『社会学評論』の現況分析 - 学会業務情報化サービス

[第઄部]
『社会学評論』の現況分析
専門委員アンケート調査およびインタビュー調査等からの
自己点検(資料付き)
樫 田 美 雄*
『社会学評論』の現況を,投稿者インタビュー,査読者インタビュー,専門
委員アンケート調査等に基づいて,分析した.まず,「投稿辞退問題」に注目
し,論じた.
「C判定」になりながらも,「辞退」を申し出てくるケースの背景
には,
『社会学評論』をめぐる環境の構造的変動の影響があるようだった.た
とえば,インタビューでは,博士号取得要件として,査読誌掲載論文が必要に
なってきているという認識が語られた一方で,たとえ投稿したとしても,査読
プロセスの途中で,掲載決定までにかかる労力・時間が勘案され,割が合わな
いと判断された場合には,同プロセスからの離脱が決断されることが語られた.
つまりは,もはや「雑誌への投稿」という行為は,学問的動機づけからのみな
されている訳ではなく,投稿者の利益を最大化する,消費的行為や投資的行為
としてもなされているのである.今後の雑誌編集にあたっては,この点への留
意が必要であろう.ついで,本誌の投稿論文査読プロセスの改善をいかに図る
かを検討した.
「情報公開の促進」だけでは,不十分であること,複数の学術
雑誌が競合する時代になっていることを踏まえて,本誌の位置づけについての
戦略的な再定位の必要があるかも知れないことを主張した.さらに,雑誌の魅
力増大策について「公募特集」と関連づけて考察し,その後,専門委員アンケ
ートに関して,結果の概要の紹介を行った.
キーワード:投稿辞退問題,博士号取得要件としての査読誌論文,情報公開
の促進
1 はじめに
本稿の位置
『社会学評論』には,いくつかの懸案とされている問題がある.投稿数が減り気
味であること,査読期間が長めであること,査読者への負担が重いように思われる
こと,査読プロセスの途中での投稿辞退が多いこと,等々である.けれども,これ
らの問題がどのような背景のもとで,どのようなプロセスで起きているのか,さら
*
徳島大学ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部准教授
kashida-yoshio.com/)
[email protected](http://
27
には,それらの諸問題が,どのように連関しあっているのか,は明らかではない.
そもそも,これらの問題がじっさいにはどのような重みをもった問題なのか,だれ
がどのように問題にしているのか,ということすら,明らかではない.投稿数は,
現在が妥当な水準かも知れないし,査読期間の長さは,査読の信頼性を確保するた
めに,あるいは,査読の教育機能の発揮上,必要な長さなのかもしれない.辞退の
多さは,辞退数が少ない場合より,誰にとって悪いことなのだろうか.
本稿では,次節で,懸案とされている問題のうち,最後の投稿辞退問題について,
そのじっさいのプロセスを,長時間インタビュー等をもとにして,まずは再構成す
る.さらに,この投稿辞退問題に関しての評価を多面的に行ったうえで,対応策に
ついても,若干の検討を行う.これは,諸懸案を順次考えて行く際の,思考のひな
形になるはずだ.
ついで,第 3 節で,2012 年月に実施した「専門委員調査紙法調査」をもとに,
素描的なかたちで,他の懸案事項(たとえば,査読期間の長さ問題)も扱っていく
ことにしよう.そのようなかたちで,初歩的なかたちながらも,学会誌としての
『社会学評論』の自己点検を行っていこうと思う.
筆者は,2010 年以来,「若手支援」の観点から,学会誌の自己点検のやり方はど
うあるべきか,という問題を考察してきており,そのとりあえずの結論として,学
会誌の自己点検は,多面的に,かつ,学会と社会の状況に関わる総合的な分析的視
点を伴わせたかたちでなされるべきだ,という主張をしてきている1).本編集委員
会報告書では,幸い,齋藤論文(第部)と本稿を組み合わせることで,多面性と
総合性をそれなりに確保した分析ができているように思われる.「懸案解決への道
筋」は,十分には示すことができなかったが,「懸案がどのような問題なのか」「懸
案にどのようにアプローチしていけばよいのか」というレベルでは,ある程度の検
討はなしえたのではないか,と思っている2).
2 辞退という問題から考える『社会学評論』の自己点検
インタビュー調査および専門委員調査紙法調査の
自由回答部分からの検討
2.1
インタビュー調査の概要と専門委員調査紙法調査の概要
本稿を執筆するにあたって,筆者は名の会員の方に,インタビューを行い,
『社会学評論』のあり方に関するご意見を伺った3).うち名の方には,IC レコー
ダーで録音しながら,各々 120 分から 180 分のロング・インタビューを実施し,そ
れぞれ,逐語録データを作成し,分析を行った.また,残りの名の方には,10
分程度のショート・インタビューを行い,こちらは,録音を行わず,要点のみをノ
ートに記録してデータとした4).
また,2012 年月に,2006〜09 期専門委員 48 名および 2009〜12 期専門委員 56
名の合計 104 名にあてて「資料」(本報告書の末尾に掲載)のような簡易な調査
紙法調査を実施した5).期限内での回答数は,50 件,回答率は,48.1%(2006〜09
28
期は,37.5%,2009〜12 期は,57.1%)であった6).
以下本節(第 2 節)では,このつのデータ源に基づいて,投稿プロセスの途中
での「辞退」という判断が,どのような文脈のなかで選択されているものなのか,
を具体的にみていくことにしよう.この検討を通して,どのような事情や理解が,
どのような他者や環境や未来認識のもとで,論文投稿や査読に関する個別の要望を
形成していっているか,本格的な概念間連関分析に進んで行く方向での,つの議
論のひな形を示すことができればよいと思う7).
2.2
辞退という問題から
起きているのか
辞退はどこに発生しているか,どのように
この項では,「辞退」という現象を探求しつつ,『社会学評論』の環境を考えてい
ってみよう.
齋 藤 論 文 の「表 」が 示 す よ う に,第 回 審 査 結 果 が C 評 価 で あ る 論 文 の
16.4%は,
「辞退」で審査プロセスから退出している8).
たしかに『社会学評論』は,載りやすい雑誌ではない.2001 年からの 10 年間平
均の掲載率は,35.6%であるし,初回審査で,ほぼ半数(46.2%)が,D評価(掲
載不可)またはE評価(『社会学評論』の対象外)という判定を受けている.けれ
ども,そうであればなおのこと,初回審査でC判定をとったということは,掲載へ
の第一歩を踏み出したということを意味しているといえるはずだ(じっさい,初回
C評価の論文の割が,掲載に至っている).それにもかかわらず,審査プロセス
の進行中に,約割の辞退が,この初回のC評価のなかから生まれている.
これは,困ったことである可能性がある.もし,この「辞退者」のなかに,辞退
にふさわしくない方々が含まれていた場合,掲載に至ったかもしれない論文が,失
われていることになる.しかも,この損失は,「査読」という労力を費やしたうえ
での損失である.
もちろん,困ったことではない可能性もある.さらに数回の査読を費やしても,
掲載に至らない論文だった場合や,他誌での掲載(本誌辞退論文の幾分かは,他誌
に掲載されているようである)が,学術の発展にあたって有意味である場合がそう
である.とはいえ,辞退のすべてが,辞退が望ましい論文に関して起きているとは
考えにくい.したがって,総合的にみて,もう少し「辞退」の比率は少ない方がよ
いといえることになるはずだ.けれども,どんな現象に対してどのような対策をと
ったらよいのだろうか.
そもそも「辞退」はどのようになされているのだろうか.辞退する投稿者は,ど
のようなプロセスで,その判断を選択しているのだろうか.さらには,この「辞
退」の背後には,どのような『社会学評論』が直面している問題があると見なせる
のだろうか.そのような状況把握から議論を始めるべきだろう.すなわち,まずは,
問題の多面的な把握から始めるべきである.
今回はインタビュー対象者中に,
『社会学評論』の辞退経験者がいた.そのケー
『社会学評論』の現況分析
29
スの検討を中心に,辞退の具体的様相を探りつつ,『社会学評論』における辞退の
環境的背景を探っていくこととしよう.
なおこのようなインタビュー調査を用いて,辞退に至る意思決定プロセスを探求
することが適切な理由は,ここで述べておくに値するだろう.なぜインタビューデ
ータをメインに使うかといえば,それは,「辞退」という意思決定には,インタビ
ューでしか迫っていくことができない「査読プロセスの未来予想の追体験」という
側面が,あるからである.同じC判定であっても,投稿者は,コメントの内容を精
査し,そこから,掲載に至る確率や期間の大小および長短を,事例個別的に見積も
るだろう.つまり,投稿者は,たんにC判定という結果のみを与えられて,後続す
る行為を選択している単純な判断者ではなく,
「甲・乙両査読者からのコメント」
という,ABCD の段階的判定よりも情報量が豊富なデータをもって判断をしてい
る,総合的な判断者なのである.
「査読コメント」は,初回時査読においては,事
前には対話のない者から別々に出されてきている9).投稿者は,この査読コメン
トの組み合わせ状況のなかから,将来の論文評価の推移を予想し,自らの未来を不
透明ながらに,なんとかかんとか判断している.このような複数アクターの相互行
為環境のなかで,当事者(投稿者)がどのような対処行動をしているのか,を探求
するのには,事例の詳細さに肉薄できる,インタビュー調査などの質的方法が欠か
せないだろう10).
さて,インタビュー内容の検討に進もう.今回の投稿辞退者は,査読論文の意
味・位置づけを,以下のように語る11).「〔論文博士を目指しているという話のな
かで:
〔
〕内は樫田による注記あるいは補記.以下同様〕審査の基準というのは
どこにあるかというと,これは基本的には,査読論文の結果とか,本数であるとか,
そこにかかってくるんです」(樫田手元インタビュー集,頁).より縮約したかた
ちでは,「それ〔査読論文のこと〕が何個あるかによって,この人ならば,これだ
け査読もあるしっていうんで,間違いないだろう〔ということになる〕」
(樫田手元
インタビュー集,頁).つまり,獲得を狙っている論文博士を審査する教育機関
には,学位の授与基準があり,そこには査読論文の必要本数があり,その本数をク
リアしなければ,学位授与が望めないというのである12).
けれども,結局,このケースでは,『社会学評論』(初回C判定)への投稿が辞退
されている.その論理のつは,下記のような表現で述べられたものだった.
「論文」の審査結果が出るまでに「早くてもヵ月待たなきゃいけない」「へたを
したら年,年とか,いうふうなことに.そこがじれったい」
(樫田手元インタ
ビュー集,頁)
.
つまり,雑誌に査読論文が掲載されることで,みずからの研究の価値を社会的に
認めてもらってから単著の出版をしようと思っていたところ,回目の査読がC判
定で戻ってきて,雑誌の方の査読終了までの見通しが比較的長期間となったため,
計画に合わなくなって,本を出す方を先行させることにした,というストーリーが
語られたのである.その際,C判定であったことで,自動的に,「投稿辞退」が選
30
択されたわけではなかった点が重要である.いろいろ悩んだすえの判断だったとい
う.悩みのなかには,コメントへの対応の仕方もあった.発言としては,「
〔査読者
からのコメントは〕いいところをついてるんですけれども,それをまあ,どういう
ふうにやっていくかっていうのが,あの,自分の今の状況,置かれた状況では,難
しいかなと」ということであった13).より詳しく辞退の理由を聞くと以下のつ
の理由が語られた.①自分の論文のような,新しい提案を受け入れてもらうのは,
困難である.②査読コメントに「熟読感」がないと,あい対する気にならない.
「社会学として成立していない」と書かれてしまったが,û古いý社会学の考え方で,
コメントされている気がする.そう思ってしまうと反論する気力がわかない.この
つの理由である.つの典型的な「辞退」プロセスがみてとれよう.もちろん,
査読者側には,投稿者側とは違った「情況理解」があったことだろう.社会学の未
来を査読者なりに展望したうえで,そこに向かっていけているようにはみえないと
いう判断があったのかも知れないし,
(当該論文は学際的論文なので)別の学問フ
ィールドで論文化をした方が,学術的実りが大きいだろう,というような誘導的判
断もあったのかも知れない.けれども,少なくとも,投稿者側からみれば,上記の
ような査読コメント理解で,「辞退」への展開となったのである.
ここまでの議論をまとめておこう.
「辞退」の理由は,多様にありうるが,今回
の事例分析からは,「辞退」もまた,積極的に選ばれている可能性があることがわ
かった.すなわち,たんに展望がみえない,という理由で「辞退」がなされている
のではない.より積極的に,みずからの研究戦略や業績獲得戦術のなかで,「投稿」
を継続する以外の「選択肢」が「合理的」に,選ばれているようだった.
今回のケースでは明確には述べられていなかったが,このような判断プロセスの
背後に,「ギルド的学会観から,サービス提供機関的学会観へ」という流れが存在
している可能性もあるだろう14).そして,そのようにみると,(投稿)「辞退」と
(査読結果がでるまでの)「じれったさ」が概念的に結びつけられているようにもみ
える.サービス利用者としての投稿者からみれば,「査読」は「じれったい」もの
であってはいけないのである.雑誌によい論文が載ることだけが,至高の目的では
なく,総合的に効率よく業績を積んでいくことが目標ならば,それは,「合理的な
判断」であるともいえよう.
2.3
辞退という問題から
どのような対策がありえるか
前項で提示したようなタイプの「辞退」,すなわち,積極的な他の選択肢への移
動行動としての「辞退」は,どのような対策によって減らせるのだろうか.それが,
「合理的な判断」ならば,「合理的な対策」がとれるはずだ.
もちろん,情報公開の促進は,つの対策になりうる.はじめから査読に長期間
のプロセスが必要だとわかれば,それを組み込んだかたちで,投稿者は予定をたて
るので,辞退は減るはずだ(後述のように,この考え方は,「専門委員アンケート」
の自由回答においても述べられていた).
『社会学評論』の現況分析
31
しかし,この種の「辞退」を減らすのに,たんなる「透明性確保路線(=平均査
読日数や査読プロセスに関する諸情報を公開して,投稿後のプロセスの不透明性を
減ずる路線)」,すなわち,情報開示路線だけでは,不十分な可能性もある.つまり,
一方では,たしかに,透明性が高まった分,将来予想が明確になって「辞退」が減
る可能性があるが15),もう一方では,齋藤論文の表のような数値がでることで,
すなわち各審査段階別各評価階級別の未来予想が確率的にできるようになることで,
査読プロセスの途中で,論文の未来に関する予想を,現在よりは細かくトレースで
きるようになり,その結果,各局面での「辞退」が誘われる効果も生じてくるよう
に思われるからだ.そもそも,このような情報公開によって,
『社会学評論』への
「投稿数」そのものが減少してしまう可能性もある.査読期間が予想外に長かった
ことが判明すると,はじめから,『社会学評論』を戦略的に投稿先として選ばない,
という投稿者が増える可能性があるからだ.
それでもよい,という考え方もあるだろう.掲載論文の水準が落ちず,掲載論文
の種類・分野的バランスも維持される場合だ.そのような展開が予想されるのなら
ば,長期間の査読期間を “予想外” と考える投稿者が,途中辞退ではなく,はじめ
から投稿してこないことは,困ったことではない.
とはいえ,これは,他誌と同等以上の魅力が,『社会学評論』に存在していて,
バランスよく各方面からの投稿が,それなりの比率で『社会学評論』になされ続け
ていくと考えた場合に有効になる推論である.
じつは,そこに疑問の目が向けられている現実がある.「専門委員アンケート」
の自由回答欄には,以下のような意見が述べられていた.
『社会学評論』の投稿論文ということで,きわめて高い水準の論文を審査で
きると期待していたが,任期がおわってみると,残念ながらそうでもなかった
というのが一番印象に残っていることである.むしろ,個別領域の専門学会誌
の方にレベルの高い投稿論文が送られてきている.かつて個別領域の専門学会
誌が少なかったころと,それが多くなってきた現在とでは,
『社会学評論』の
位置づけや重要性が変化しており,『社会学評論』の側でも,そうした変化に
対応した取り組みや改革が求められているのだろうと感じている(「専門委員
アンケート」50 番より,強調は樫田).
以下の点が,ここで示唆されているととってよいのではないだろうか.第に,
『社会学評論』がどのような雑誌であるべきか,という問題がいまや考慮すべき問
題としてありうる,ということである.第に,『社会学評論』の特徴としてかつ
て存在した,レベルの高さやクオリティの高さという特徴は,もはや,他の個別専
門領域の専門学会誌の特徴になってきている可能性がある,ということである.い
ずれも,傾聴すべき論点であるように思われた.
では,これらつの指摘を,ありうべき「辞退対策」に関連させて考えてみると,
32
どうなるだろうか.たとえば,他誌との棲み分け方を再編する「辞退対策」の検討
がありうるということになるのではないだろうか.具体的には,『社会学評論』の
特集の設定や書評対象本の選択において,連辞符社会学の専門雑誌が存在している
領域ではなく,専門誌整備が遅れている領域や,新興のニッチな領域に注力するこ
とが考えられてよいだろうし,一般投稿論文の取り扱いに関しても,他の学問領域
との学際的論文を積極的にすくい上げることに,本誌の特徴をみいだしていくこと
などが,検討されてよいだろう.まとめていえば,
『社会学評論』の特徴を,社会
学関連諸分野の総合雑誌としてモザイク的に構成するのではなく,もっと戦略的に
特化させたかたちにしていくこと,が検討されてよいはずだ.より大胆ないい方を
すれば,各連辞譜社会学の領域のみで意味をもつ論文は,各専門領域雑誌に任せて,
『社会学評論』では,複数領域横断的な論文や,新領域開拓的な論文に多めにスペ
ース提供するようなかたちで,雑誌としての個性作りをしていく手がありうるだろ
う.
2.4
辞退という問題から
『社会学評論』の未来への展望
前項では,学会数の増大のなかでの『社会学評論』の位置取りに関する検討を行
った.けれども,棲み分けをするだけでは,
「魅力増大策」にはならない.本項で
は,「魅力増大策」の観点から,若干の考察をしてみることにする.
さて,査読をする学術雑誌には,藤村(2006)の分類を敷衍すれば,種の雑誌
がある.
「入学試験タイプ」の査読をする雑誌と「資格試験タイプ」の査読をする
雑誌だ.すなわち,前者は,掲載号を特定したうえで投稿を募り,その投稿母集団
のなかで掲載号の限定的な定員数を争うタイプの雑誌である.後者は,随時投稿を
受け付けて,掲載時期を定めず,継続的査読を行うので,一定水準のクリアを争う
タイプの雑誌である.『社会学評論』と競合・競争関係にある諸雑誌には,この両
方のタイプのものがあるが,まずは,そのうち,前者のタイプの雑誌の魅力を検討
しつつ16),
『社会学評論』の魅力増強策を考えていってみよう.
博士課程修了申請までに査読を通過した論文がN個必要であるという要請が強ま
っている状況では,「入学試験タイプ」の短期決戦性は,魅力的である.査読プロ
セスの期間が最長でも半年程度であることが,あらかじめ決められており,学位取
得スケジュールのなかでの,投稿論文の位置づけが容易だからだ.
とするならば,この「入学試験タイプ」の査読に近い査読プロセスを本誌に取り
込むことも考慮されてよいのではないだろうか.
たとえば,査読プロセスの各期間(書き直し期間と再査読期間)が短い新しい投
稿カテゴリーを作っていくという手もあるだろう.具体的には,投稿の枠組みとし
て,心理学分野における「ショート・レポート」17)に相当するような査読カテゴリ
ーが構想されてもよいのではないだろうか18).
また,専門分野的には限られたものとはなったものの,今期の編集委員会で試み
られた「公募特集」には,「掲載予定時期があらかじめ定まっている」という特徴
『社会学評論』の現況分析
33
があった.したがって,この「公募特集」という企画にも,「入学試験タイプ」同
様の魅力としての「期間限定性・短期決戦性」があったということが出来るかもし
れない.
ついで,「資格試験タイプ」の魅力をもとに,本誌の魅力増大策を考えて行くこ
とにしよう.投稿者からみた際の「資格試験タイプ」の第一の魅力は,その教育的
能力の高さではないだろうか.繰り返しの査読プロセスのなかで,査読者との対話
を経て,研究が熟成していく,そういう魅力が「資格試験タイプ」の魅力だろう.
そして,この「資格試験タイプ」の雑誌で,
『社会学評論』とならんで成功を収め
ているものとして『ソシオロジ』をあげることが出来るだろう.『ソシオロジ』は,
特集に依存せずに年間号を刊行していることからみても,投稿者に魅力的な投稿
先として,投稿を集めているといえよう19).この『ソシオロジ』の編集システム
の特徴は,専門委員を置かない,編集委員会直接査読方式である.したがって,魅
力の源もそこにあるように思われた.たとえば,編集委員会の総意によるバランス
のとれた査読コメントが,継続的査読であるにもかかわらず,決まった日時で必ず
帰ってくるシステムになっていることが,投稿者に魅力的に映っているのではない
だろうか20).
とすると,今期の本誌の取り組みである「公募特集」においては,募集にあたっ
て期待される論文の方向性が公表されており,結果として,査読コメントのトーン
の統一が,通常の投稿論文査読の場合よりもあっただろうと思われる.つまり,そ
のような教育効果の向上につながる査読プロセス関連環境の整備が今回の「公募特
集」の工夫の一部となっていたともいえよう.「公募特集」に関しては,両「公募
特集」の冒頭の総括文においてそれぞれまとめと反省が書かれているため,これ以
上の言及はしないが,査読誌のつのタイプのいいとこ取りに近いかたちで,「公
募特集」のあり方が構想されていたともいえることは,確認しておいてよいことだ
ろうと思われる.
この項では,
「入学試験タイプ」の査読誌と,「資格試験タイプ」の査読誌の両方
のタイプの雑誌との比較から,本誌の魅力増大策を考えた.このような考察はより
本格的に,知識社会学的になされるべきだろうが,本稿のような考察であっても,
とりあえずの,試論的意味はあったといえるだろう.
3 『社会学評論』の現況理解と今後に関する展望
専門委員アンケートより
3.1
専門委員アンケート(概要)について
専門委員アンケートについては,本報告書の末尾において,その設問文と単純集
計結果を「資料」として掲載している.以下は,その簡易な分析である.今期の
終了までの間に,さらに分析を加えて,今回の自己点検作業の充実を計っていきた
い.
34
まずは,専門委員アンケートの実施枠組みから述べる.
今回の「専門委員アンケート」は,2006〜09 期専門委員(48 名)と 2009〜12 期
専門委員(56 名)の全員に対して,電子メールの添付ファイルに調査紙を添付す
る形で行われた.調査は,2012 年月に行われ,回答率は,48.1%であった.
2006〜09 期 専 門 委 員(48 名)の な か の 回 答 者 は,18 名(回 答 率 37.5%),
2009〜12 期専門委員(56 名)のなかの回答者は,32 名(回答率 57.1%)であった.
なお,回答してくださった 50 名の先生方の平均査読担当本数は,3.7 本であり,
2006〜09 期専門委員では,4.5 本,2009〜12 期専門委員では 3.3 本であった.な
お,本あたり平均で 1.9 回の査読があるので(齋藤論文の表を参照のこと),
全体の平均総審査回数を計算すると,7.0 回/人になる(加重平均).
なお,この点に関連して,ロング・インタビューの対象者で,専門委員歴もある
方からは,
「本の査読に複数回の審査があることは意識していなかった.最大
年間で論文までに担当本数を制限していると拡大編集委員会で説明されたが,
論文の担当で複数回の査読があるのだから,すぐに,回や 10 回の査読総回数に
なってしまう」という注意喚起があった.査読負担の問題を考える際には,担当論
文数だけでなく,総査読回数の視点も重要であるように思われた.
また,この負担感に関連して,インタビューでは,
「C評価をつけるときにはち
ょっと躊躇してしまう」という意見も聞かれた.つまり,「C判定」を付けた場合
には,回目の査読や回目の査読がくることが容易に想像できるので,わずかに
躊躇してしまう,というのである.
今後,有能な査読者をリクルートし続けるためには,たとえば,『年報社会学論
集』方式(専門委員による査読は,原則として,初回の回のみであり,修正後戻
ってきた投稿原稿に対する回目の査読は,特別のことがないかぎり,査読者には
戻さす,編集委員会がチェックすることで,採否を決定する方式)の導入を(たと
えば,ショート・レポート形式に限ってであっても)検討する必要があるかもしれ
ない.あるいは,査読回数に対応した謝金支払いなども検討する時期に来ているの
かもしれない.
3.2
専門委員アンケート(全体の集計結果)について
本項では,各設問への回答を全体回答に注目しつつまとめておこう.本報告書末
尾の「資料」内のグラフを照らし合わせつつ読んで頂きたい.
図は,設問(約 290 日21) という平均査読日数の長さへの感想)の回答のグ
ラフである.回答(すこし長い)が,48%,回答(かなり長い)が 16%あり,
合計して,64%ある.専門委員からみても,投稿受理(編集委員会開催日)から,
掲載決定(A判定確定日)までの期間が 290 日というのは,若干長いと感じられて
いるようだ.
受付日から受理日までの平均日数は,刊行頻度の高い理系の雑誌では短いようで
ある.たとえば,日本生体医工学会(n.d.)では,受付から掲載決定までが,30 日
『社会学評論』の現況分析
35
図1
設問ઃの回答割合
図2
設問઄の回答割合
から 100 日であると WEB サイト上に明記して,投稿論文を募集している.日本社
会情報学会(n.d.)の場合は,WEB サイト上で,
「受付日から受理日までの平均日
数は 180 日」であると宣言している.学際的研究が増えつつある現在,もし,他の
学問領域の学会誌に比べて,『社会学評論』の平均査読期間が長いならば,学問領
域間競争上の問題が生じることになるかもしれない.幅広い調査と検討が必要であ
ろう.
一方で,設問(約 2.9 回という平均査読回数の多さへの感想)になると,趣き
が変わってくる.図をみてわかるように,回答(妥当な回数だと思う)が
54%と過半数を占め,回答(少し多い)の 38%を押さえている.
最初の査読判定がB判定の場合,齋藤論文の表にあるように,掲載決定までの
平均査読回数は,約回であり,この設問で回答(少し多い)を選んだ委員は,
この初回B判定のイメージあたりを理想としているのかもしれない.
設問は,
『社会学評論』の掲載率についての質問であり,この 10 年間,おおむ
ね 30%台前半であることへの評価を聞いている.回答(妥当な比率だと思う)
36
図3
設問અの各回答割合
図4
設問આの各回答割合
が,74%の多数を占め,番目の回答(やや小さい)の 10%を大きく引き離し
ている.
設問は,査読担当時に悩まれたことや,困ったことを,複数回答方式できいた.
結果は,回答(明らかに検討不足・推敲不足の原稿がある)が 58%でもっとも
多く,これに,回答(自分の専門外の原稿の査読要請を受けた経験がある)の
30%が続いていた22).回答(依頼された査読の回数が多くて困ったことがある)
は,16%で回答や回答とともに,番目に多い回答となっているが,この回答
を選んだ専門委員の平均担当査読本数は 5.0 本であった(最大値は,,最小値は,
だった).回答者全体の平均値である,3.7 本に比べて,35%ほど多い.
『社会学評論』の現況分析
37
3.3
専門委員アンケート(自由記述の集計結果)について
自由記述欄には,全部で 21 件(42.0%)の回答があった.匿名性確保の必要か
ら,一部の事例言及的意見は,取り上げることが出来ない.ここでは,匿名性を守
ることが出来る範囲で可能な分析をしていこう.
もっとも多かったのは,投稿論文が事前のチェックを十分に経ていないことへの
対策の必要性を訴える回答であり,件であった.内容としては,所属機関での事
前スクリーニングの勧めが多かったが,所属機関に指導者がいる場合であっても,
指導を強めれば強めるほど,アカデミック・ハラスメント・リスクが生じるという
情況が予想されるため,事前チェックの徹底はかなり困難であると思われた.また,
学際的な大学院所属院生の場合では,指導者やピア・レビューアーが機関内にいな
い場合もあるだろう.大学院指導教員の繁忙問題も存在する23).所属機関におけ
る指導の促しと並行して,学会独自の執筆支援の試みが模索される必要もあるので
はないだろうか24).
次いで多かったのは,特集の掲載論文の水準と一般投稿論文の水準に隔たりがあ
るのではないか,という回答であった(件).重要な指摘ではあるが,特集掲載
論文のなかには,自由に書くことを許されなかった論文があること(たとえば,特
集全体としてのバランスの面から,多くの注文があらかじめつけられた論文がある
こと)は,理解されるべきだろうし,意欲的な特集であればあるほど,既存の学的
蓄積に依存しない原稿が要求されるということもあるだろう.なお,調査時期の問
題から,この評価には,今期の特色である「公募特集」についての評価は含まれて
いない.望ましい「特集」のかたちについては,この「公募特集」のようなやり方
も含めたかたちで,さいど,評価と意見の募集がなされるべきかも知れない.
また,国際化時代にふさわしい連絡体制(例:電子メールの活用)を促す自由記
述が件あった.この要望に関しては,長期的には,本誌の編集体制全体の電子化
(例:J-stage の活用)が検討されていることを,まずは述べておきたい.さらに,
現時点での対応策としては,海外に出ている,投稿者・査読者に対しては,電子メ
ールを用いた連絡を,試行的に実施していることを述べておきたい25).
これら以外に,学会費の問題を述べているもの(例:非常勤雇用の者には現在の
学会費は高すぎる),D判定後の再度の査読依頼の問題性を述べているもの(例:
編集委員会で引き取るべきである)
,情報公開の必要性を述べているもの,などが
あった.
いずれの自由回答欄記述も,経験に基づいた深い内容を含んでおり,今後に役立
てていくべき提言であるように思われた.
今回の「専門委員アンケート」は,齋藤論文が明らかにした統計的事実(平均査
読期間や,平均査読回数,および平均掲載率)を,査読者に提示して,その公開の
意味を事前に予想する意味合いがあったが,自由回答欄記述によれば,この当期委
員会の方針は,おおむね肯定的にとらえられ,今後持続的にこの種の情報公開をし
続けていくことにも,承認が得られたといってよいように思われた.次期には,ま
38
た違った種類の自己点検が構想されることになるかもしれないが,今期に当委員会
が公開したような基本的情報は,他学会でも,すでに,天田(2012b)等のように,
公開され始めており,特段の事情がなければ,継続的な公開が望ましいように思わ
れた.
4 まとめ
『社会学評論』の現況と課題にむけて
本稿での議論をまとめておこう.
第 1 節では,学会機関誌の自己点検は,多面的かつ,総合的な分析的視点を加味
して行う必要がある,という主張を行い,今回の編集委員会報告書には,そのよう
な主張に対応した質が備わっていると論じた.
第 2 節の前半では,投稿者の「辞退」問題が扱われ,「C判定」後の辞退の理由
として,査読の「じれったさ」が言及される場合があることを確認した.第 2 節の
後半では,
「辞退」から「辞退」判断の背景に議論が拡張され,その議論のなかで
今期の「公募特集」の企画が,投稿促進的意味や,査読プロセスの教育機能の強化
的意味合いをもっている可能性を指摘した.
第 3 節では,
「専門委員アンケート」の結果を紹介し,関連した考察を述べた.
この第 4 節の残りの部分では,われわれが本稿で扱いえなかった問題をいくつか
提示することで,われわれの自己点検における今後の課題の確認をしていきたい.
まず,今回扱いえなかった重要なことは,情報公開に伴う「思わざる効果」に関
して,総合的な検討を,十分には出来なかったことである.2 節において,平均査
読期間の長さなどに関する情報公開が,投稿数の総体的減少につながる危惧につい
て述べたが,そのような危険性は,すべての情報公開について存在する.「とにか
く,情報公開をすればよい」という主張は乱暴である.しかし,作為の「思わざる
効果」のみを怯えるのは,推論の仕方として不適切であるともいえよう.何も情報
公開をしないままで事態を放置する際の,不作為の「思わざる効果」ということも
想定できる.この両方を意識しながら,時代と状況に合わせた,臨機応変の対処を
していくべきではないだろうか.
たとえば,少なくとも今回の編集委員会報告書による情報公開によって,「『社会
学評論』に載せるには,年程度はかかる」という「神話」や,「『社会学評論』は
若手しか書かない媒体だ」というような都市伝説的な言説は,通用力をなくしたと
思われる.情報公開で,避けることができる「誤解」ということもあることを公平
にバランスよく見通しながら,今後の自己点検作業を行っていくのがよいだろう.
ついで,今回十分論じることが出来なかった重要な問題のつ目は,このような
自己点検作業がもっている「現代社会論」的側面を,あまり明確には呈示出来なか
ったことである26).「グローバライゼーション」との関係,
「専門分化社会」との
関係への言及のほかに,とうぜん「リスク社会論」的議論がなされるべきだっただ
ろう.社会全体での競争を激化させる時代の流れ,自己責任的行為をそれぞれの個
『社会学評論』の現況分析
39
人に押しつける時代の流れ,そういう時代の流れに乗っかって,査読プロセスの透
明化要求が強まっているのではないだろうか.
『社会学評論』は日本社会学会の邦
文機関誌であり,みずからの自己点検においても,その振る舞い自身が,どのよう
な社会学的意味を帯びているか,を真剣に問いながら作業を行っていくべきであろ
う.その作業のための見取り図を十分に呈示できなかったことは,今回の論文執筆
で心残りの点である.次稿を期したい.
[注]
1) この点に関しては,
「論文投稿学・序論」の表(樫田,2012e: 10)を参照せよ.
「類型」が
つあることが,多面性の必要性を,類型のなかに「類型」(外部機関の調査研究・個人に
よる調査研究)があることが,総合的分析的視点の必要性を示している.
2) 日本社会学会若手研究者問題検討特別委員会(2010)は,重要な著作であり,今期の自己点
検においては扱うことが出来なかったが,来期には,この資料の分析結果をも組み込んだ『社
会学評論』の自己点検が行われるべきだろう.
3) 名の方の性別は,男性名,女性名であった.また,このうち名の方が,常勤者であ
った.より詳しい属性等は,準備中の別稿に記す予定である.
4) 名中名は,事務局からの紹介であり,あとの名は,樫田が探索した.
5) 資料には,100 分比での単純集計結果を併記した.
6)『社会学評論』では,各期のスタート時に,論文査読を担当する専門委員を,専門分野のバ
ランスと拡がりに配慮しながら約 50 名委嘱している.なお,実際の査読にあたっては,専門
委員の先生方以外に,各論文ごとに依頼する臨時専門委員もお願いしている.ただし,甲乙
名の査読者の両方が臨時専門委員となることはない.
7) ここで概念間連関分析の実践例としてイメージされているのは,酒井ほか編(2009)である.
8) 他誌の情況を,
『年報社会学論集』
(関東社会学会機関誌)を例にみてみよう.第 25 号には,
37 本の投稿があり,23 本が第次審査を通過している.そのうち,本のみが辞退され,他の
ものは第次審査で絞られて,最終的に 15 本が掲載された.掲載率は,41%で,辞退率は,
%である(若林,2012: 194)
.
9)『社会学評論』は,複数の匿名査読者の査読によって判定を行っているが,期前の委員会
において,第回目査読時のコメントを,第回目査読時に,査読者宛に複写配布するシステ
ムを採用した.このシステムが新しいコミュニケーションの回路を生み出している.「第回
目の査読の時は,人目の査読者が誰か分からないので,回答に不安があるが,リプライをも
らう第回目は,もう人の査読コメントももらえるので,編集委員会が私に期待している査
読の視点が分かり,スムーズにコメントする事ができた」(専門委員アンケートの自由回答か
ら)
.つまり,この専門委員氏は,相方の査読コメントから,査読者甲・乙の組み合わせを構
想した編集委員会の意図を読み取っているのである.査読の現場は,たんに,投稿者と査読者
が対話している場ではなく,多様なアクターが多様なリソースを用いて複雑にコミュニケーシ
ョンをしている現場であるといえよう.
10) もちろん,記憶に基づいた回顧的調査ではなく,査読コメントを含めたかたちで,投稿論文
の改訂プロセスを証拠収集出来るような環境があれば,そちらの方が望ましい.そのような研
究を試みた例として,木下の(2012a,2012b,2012c,2012d)をあげておこう.最終的には,
園田賞(日本保健医療社会学会第回学会奨励賞)を受賞するに至った論文が,年半まえの
40
模擬査読イベントでどのように検討されたかが,改訂プロセスをトレースできるようなかたち
で,諸資料を使って明らかにされている.
11) 今回の企画は,
『社会学評論』の自己点検が主目的であるため,インタビューデータに関し
ては,意味の通りやすさを優先した表記とし,言い間違い・言い直し・訂正発言等を無視して
いる.
12) 参考までに,筆者の本務校での例をあげるならば,徳島大学総合科学教育部での博士号授与
基準は,課程博士の場合は,著名な雑誌への査読論文本以上,論文博士の場合は,本以上
となっている.
13) 人の査読者の意見は,甲は,社会学の論文として見なせるどうか分からないという意見,
乙は,修正が必要である,という意見だったという.このケースでは,投稿者は,甲の意見へ
の対処に,より困難さを感じていたようだった.
14) ギルド的学会観とは,学会を,同業者の独占的利益を相互に保全しあうための組織と考える
考え方であり,したがって,ギルドが提供する権利と義務は一体的なものとして学会員に受け
入れられることになる,そういう学会観のことである.それに対して,サービス提供機関的学
会観とは,学会を,学問的成果を上げようとする個人が利用できるサービスを提供するための
機関であると考える考え方であり,したがって,消費者としての学会員が利用しにくいサービ
スは,利用しやすいサービスになるよう日々改善されていくべきだ,そうでなければ,淘汰さ
れることもありえる,と考えるような学会観のことである.増えているようにも見える後者の
学会観をもつ会員に,本誌がどのように対応していくかは,自己点検における重要な論点のひ
とつであるといえよう.
15)「専門委員アンケート」の自由回答には,ここで述べた予想と同様の予想が以下のように述
べられていた.「現在の状況(査読期間や回数や掲載率)を積極的に公開しておけば,それを
所与のものとして博士論文を執筆するなどの研究計画を立ててゆくはずで,それでよいのでは
ないかと考えております」
(30 番).つまり,情報公開は,査読期間の短縮と結びつかなくても,
それ自身で,投稿者の判断支援になって,状況を改善する,という考え方が表明されていた.
16)「入学試験タイプ」の典型例である『年報社会学論集』
(関東社会学会機関誌)と『社会学評
論』との総合的比較は,齋藤(2012)が行っている.
17) ショート・レポートという様式は,『性格心理学研究』誌(現在の『パーソナリティ研究』
誌)での紹介によれば,
「新しい研究の内容を簡潔に時期的に早く紹介することを目的として」
設定されたものであり,「とくに大学院修士課程(博士課程前期)学生の修士論文,博士課程
学生等の先端的研究の公表にたいへん便利」な論文様式であるという(性格心理学会,n.d.).
18)「ショート・レポート」カテゴリーの創設は,
「専門委員アンケート」において,査読回数は
妥当だが,査読期間は長い,と回答した専門委員の期待に応えるものとも言えよう.
19) もちろん,この点を論じるにあたっては,『ソシオロジ』の方が,発行回数が回少ないこ
と,学会誌ではなく,同人誌であること,年会費が安いこと等の諸要因を総合的に判断する必
要があるだろう.
20) この方式の強みは,継続的査読であるにもかかわらず,投稿者からみて,スケジュールを組
みやすいところにもあるだろう.
21) 齋藤論文表の平均値は最新集計結果であり,「専門委員アンケート」時点では当時査読中
の論文を除いた違った値が途中集計されていた.
22) この選択肢は,「経験」を聞いているのだから,この数値は,全査読の約分のが,専門
外の査読委員に割り振られている,ということを意味しているわけではない.また,3.7 本と
『社会学評論』の現況分析
41
いう人あたりの平均査読本数からみれば,30%の経験率は,それほど大きな数値ではないと
もいえよう.たしかに,
『社会学評論』の専門委員は,3600 名強の会員から,約 50 名だけが選
ばれているのであって,すべての領域をこの少人数で完全に網羅できている訳ではない.編集
委員会としては,専門性への,より徹底した配慮が必要な場合には,臨時査読委員をこの 50
名の外側から依頼することとしており,査読システム全体としては,専門性と幅広さの両方に
目配りした査読者決定をしている.
23) 天田(2012a)は,近年の院生数の増加だけでなく,学部教育の質的変化も,院生の指導を
する教員が,その活動に困難を覚えるようになってきている原因であると指摘している.
24) 他学会での取り組みになるが,樫田(2012e)および木下(2012b)は,保健医療社会学会で
の,模擬査読イベントを活用した執筆支援の取り組みを報告している.
25) 事前に編集事務局に連絡をいただけた場合には,関係資料を PDF 化して,電子メール送信
する対応を行っている.
26) 当事者の要求による,研究評価に関する諸情報の公開の程度の進展が,一方では,競争環境
の整備として,競争者間(論文投稿者間)に公平性をもたらすものの,そのメリットを上回る
かたちで,競争の激化と競争者の相互的疲弊をもたらすという,リスク社会の陥穽に関しては,
中央教育審議会(2011)および西部(2011)等を参考に,樫田(2012a,2012b,2012d)で,
試論的に論じた.
[文献]
天田城介,2012a,
「歴史と体制を理解して研究する
社会学会の体制の歴史と現在」
『保健医療
社会学論集』23(1): 16-27.
,2012b,「日本保健医療社会学会機関誌編集委員会の制度と運用の変更について」『保健
医療社会学論集』23(1): 106-12.
藤村正之,2006,
「編集後記」
『社会学評論』57(4).
樫田美雄,2010a,
「論文投稿のすすめ
投稿誌の選定から査読対応まで」
(日本保健医療社会学
会・関西定例研究会)(2010 年月 18 日,龍谷大学梅田キャンパス)ミメオ.
,2010b,「周辺への/周辺からの社会学」
『社会学評論』61(3): 235-56.
※http://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/61/3/235/_pdf/-char/ja/ で公開中.
ここで公開されている上記サイトのファイルには誤植があります.下記サイトにその訂正文を
載せました.同時にご参照下さい.※ http://kashida-yoshio.com/kasida/ronbun/110920_seig
o-page.html
,2011,
「大学院格差問題から考える社会科学系学会の新機能」
『書斎の窓』(604): 54-9,
(http://kashida-yoshio.com/kasida/ronbun/ronbun.html,の 22 番に同文掲載中).
,2012a,
「若手支援学からみた博士後期人材養成の未来
複数学会所属と積極投稿で新
時代対応型研究者になろう」(立命館大学大学院シンポジウム『博士課程の地図を描く』2012
年月日,会場内配布文書)
.
,2012b,
「論文投稿学・序論(会場内配布物)」
(2012 年月日福祉社会学会第 10 回大
会)
(http://kashida-yoshio.com/kasida/presentation/120602_hukusi/120603_kantoh_kashida
_toukougaku1.pdf,に配付資料あり)
.
,2012c,
「学会活動と論文投稿のノウハウを公開・共有しよう
研究活動支援と学会の
自己認識のために」(ミメオ)
(2012 年月日関東社会学会,テーマセッション,会場内配布
文書)
.
42
,2012d,
「労働法学と社会学の革新を要求する「場所」としての,若者(若手)支援の現
場(フィールド)
就活問題および若手研究者問題において「正当性なき権利主張をする若
者」を考えながら,学問を革新しよう」雇用構築学研究所監修『ニューズレター』38: 40-5,
雇用構築学研究所(http://kashida-yoshio.com/kasida/ronbun/120715.pdf,に同文掲載中).
,2012e,
「論文投稿学・序論
投稿誌の選定から査読対応までの支援学の試み」『保健
医療社会学論集』23(1): 3-15. (2014 年月よりインターネット上=CiNii=で無料公開の予
定)
,2013,
「論文査読の現実
方法的吟味・現状把握・助言的にいえること」『学的探求の
道案内』東信堂(近刊)
.
関東社会学会,n.d.,関東社会学会機関誌『年報社会学論集投稿論文審査用紙』,(2012 年月日
取得,http://kantohsociologicalsociety.jp/annual_report/exam.pdf).
木下衆,2011,
「家族による『認知症』の構築」徳島大学大学院授業提供草稿.
(http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/social/20100918-hoken/mogi-toko-genkou.pdf)にて公開中.
,2012a,
「家族会における「認知症」の概念分析
介護家族による「認知症」の構築と
トラブル修復」『保健医療社会学論集』22(2): 55-65.
,2012b,
「査読される側の論理
ある模擬査読のケーススタディ」『保健医療社会学論
集』23(1): 28-37.
,2012c,
「学的探求における『学際性』とは何か?
ある論文投稿のケーススタディ」
『学的探求の道案内』東信堂(近刊).
・樫田美雄,2012d,「WEB を利用した模擬査読の課題と可能性」『徳島大学総合科学部社
会科学研究』26: 15-28,
(http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/bulletin/socj.html,に 2013 年月
掲載予定)
.
齋藤圭介,2012,「学会誌における若手研究者の実態
『年報社会学論集』と『社会学評論』の比
較から」
(第 60 回関東社会学会大会テーマセッション『学会活動と論文投稿のノウハウを公
開・共有しよう』
)会場(帝京大学)配布レジュメ(月日).
酒井泰斗・浦野茂・前田泰樹・中村和生編,2009,『概念分析の社会学
社会的経験と人間の科
学』ナカニシヤ書店.
性格心理学会,n.d.,「
『性格心理学研究』ショートレポート欄新設について」,(2012 年月 19 日取
得,http: //jspp.gr.jp/doc/news07_04.html)
.
日本生体医工学会,n.d.,「論文誌への投稿方法」,
(2012 年
月 30 日取得,http://jsmbe.org/journal/submit.html).
日本社会学会若手研究者問題検討特別委員会,2010,『若手研究者の研究・生活の現状と研究活性
化に向けた課題』
,(若手研究者問題検討特別委員会報告書,2012 年月日,http://www.ga
kkai.ne.jp/jss/2010/03/10181802.php)
.
日本社会情報学会,n.d.,「学術論文投稿のお誘い」
,(2012 年
月 30 日取得,http://wwwsoc.nii.
ac.jp/jasi/pdf/toukou.pdf)
.
西部忠,2011,
『資本主義はどこへ向かうのか
内部化する市場と自由投資主義』NHK 出版.
中央教育審議会,2011,『グローバル化社会の大学院教育(答申)』,文部科学省,(2012 年月日
取得,http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1301929.htm).
若林幹夫,2012,
「編集後記」『年報社会学論集』25: 194.
『社会学評論』の現況分析
43
A Sociological Analysis of the Japanese Sociological Review
(Shakaigaku Hyoron):
Interviews and Research on Its Peer Review System
KASHIDA, Yoshio
University of Tokushima
[email protected]
This study analyzes the present condition of the Japanese Sociological Review
(syakaigaku-hyouron)based on the results of interviews conducted with both the
contributor and the peer reviewer.
The first area for discussion focuses on how we should regard the contribution
paper withdrawal problem. Even though some contributors received a ’Cýon their
evaluation, several still withdrew their contributions. One contributor who had
withdrawn his paper stated to me that ’the number of reviewed papers is very
important for getting a doctorʼ s degree.ýHis reasoning was this: ’When I had
received my C-grade judgment, I thought that I would spend an unbearably long
time trying to pass through the peer review process. So, I have decided to withdraw
my paper, and I will spend my work time preparing to issue my booký
.
This contributorʼs decision shows me the complexities of motives regarding the
actions of paper contributors. A paper contribution action has two dimensions
concerning motive. One dimension is a pure academic motive, and the other
dimension is a consumption- or investment-like motive. The editorial-board will
likely need to adapt to these new complexities.
The second area for discussion focuses on what we should do to improve our
contribution paper review system. One idea is to promote information disclosure,
but this policy supposedly does not go far enough. We think that perhaps
reconstructing an establishment that welcomes ideas may be required to adjust to
the new situation of multiple outlets in the scientific journal environment.
The last area for discussion focuses on what things we can do to increase the
value of our journal. We considered this issue with two trial practices of issuing a
’publicly called special edition(koubo-tokusyuu)ý
.
Key words: contribution paper withdrawal problem, the number of reviewed
papers for getting a doctorʼs degree, promote information disclosure
44
資料 1: 専門委員アンケートの調査表(単純集計結果付き)
2006〜09 期および 2009〜12 期専門委員各位
2012 年 7 月 14 日
【
『社会学評論』に関する専門委員アンケートの御願い】
単純集計および簡易解説記入版(2012 年 8 月)
社会学評論編集委員会委員長
伊藤
公雄
【注】各設問選択肢の右側の 100 分比の単純集計結果は,調査終了後の書き加えで
ある.(2012 年 11 月記)
(1) 御願い
『社会学評論』の査読に関しては,いつもお世話になっております.このたび,
社会学評論編集委員会では,当期の 3 年間の活動を終えるにあたっての総括活動の
一環として,当期および前期の専門委員の先生方に対して,電子メールでの簡略な
質問紙調査(無記名)をさせて頂くことにいたしました.この調査の目的は,若手
支援および自己点検のためですが,より詳しい調査の趣旨および利用法等に関して
は,添付ファイル(別紙:本報告書では省略)に記しましたので,そちらをどう
ぞご確認下さい.
この調査は,任意で御願いしているものですが,お答え頂ける場合には,下記の
回答欄あるいは,添付ファイルの回答欄のいずれかに,直接回答を書き込んで頂き,
「返信」コマンドでご送信頂ければ幸いです.
なお,本調査では,返信受付担当者と集計担当者を分離することで,簡易的では
ありますが,匿名性を確保しております.なお,集計の都合がありますので,勝手
ながら,1 週間をめどに(7 月 21 日ごろまでに),ご返信下さいますようお願い申
し上げます.
(2)『社会学評論』に関する専門委員アンケート調査(本文)
以下,
『社会学評論』の編集プロセスの現状等に関連して,5 問おたずねします.
Q 1 から Q 4 までは,選択肢として選んだ番号を回答欄に記入して下さい.また,
Q 5 に関しては,自由回答ボックスにご回答下さい.この Q 5 では,Q 1 から Q 4
まででおたずねした内容に関するご意見も賜りたく存じます.意見をいって頂く際
に,必要があるようでしたら,資料の添付をして頂いても構いません.もし,担当
編集委員の直接の意見聴取に応じてもよい,ということでしたら,ご連絡先(電話
資料 1
45
番号等)を記して頂ければ,後日こちらから,連絡を取らせて頂きます.どうぞよ
ろしくお願いいたします.
Q 1) 投稿論文の編集委員会での受理から掲載決定までの平均査読日数は,現
在(2002 年から 2010 年の期間で)約 290 日となっています(不掲載決定論文,途
中辞退論文は除く)が,この日数についてどのようにお感じでしょうか.下の選択
肢の中から,1 つを選ぶ形でおこたえ下さい.
① 思いの外短い……………-%
② やや短い…………………-%
③ 妥当な日数だと思う……34%
④ 少し長い…………………48%
⑤ かなり長い………………16%
⑥ わからない………………-%
★
無回答……………………%
※「無回答」は回答選択肢を選ばなかったものの比率(以下同じ)
Q 1 回答欄(
)
Q 2) 投稿論文の受理から掲載決定までの平均査読回数は,現在(2002 年から
2010 年の期間で)約 2.9 回となっていますが,この回数についてどのようにお感
じでしょうか.下の選択肢の中から,1 つを選ぶ形でおこたえ下さい.
① 思いの外少ない…………-%
② やや少ない………………%
③ 妥当な回数だと思う……54%
④ 少し多い…………………38%
⑤ かなり多い………………%
⑥ わからない………………-%
★
無回答……………………%
Q 2 回答欄(
)
Q 3) 投稿論文の掲載率(掲載数/投稿数=但し,辞退を除く=)は,年度に
よって上下していますが,この 2 期の編集委員会の期間では,おおむね 30%台前
半で推移しています.この比率についてどのようにお感じでしょうか.下の選択肢
の中から,1 つを選ぶ形でおこたえ下さい.
①
46
思いの外小さい…………%
②
やや小さい………………10%
③
妥当な比率だと思う……74%
④
少し大きい………………%
⑤
かなり大きい……………-%
⑥
わからない………………
%
Q 3 回答欄(
)
Q 4) 先生が『社会学評論』の査読をご担当になっていて,悩まれたことや困
った経験として,以下に当てはまる選択肢がございましたら,いくつでもお選びの
上,その番号を回答欄にご記入下さい.(複数回答可)
①
明らかに検討不足・推敲不足の原稿がある.㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
58%
②
自分の専門外の原稿の査読要請を受けた経験がある.㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
30%
③
依頼された査読の回数が多くて,困ったことがある.㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
16%
④
査読コメントの提出までの期間が,短かったことがある.㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
10%
⑤
再査読時,前回の査読コメントが論文の改訂に,十分反映され
ていなかった.㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
㌀
16%
⑥ 審査ワレが生じたときの対応に,困難を感じたことがある.㌀
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16%
⑦
上記以外の悩んだこと,困った経験がある(Q 5 の自由回答欄
にご記入下さい)㌀
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12%
⑧
とくに悩んだこと,困った経験はない.㌀
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16%
Q 4 回答欄(
)=複数回答可=
Q 5) 今回の専門委員アンケートの各質問項目について,および今期の社会学
評論編集委員会の活動(たとえば,このような自己点検活動や,公募特集の実施
等)に関して,以下の回答ボックスに,自由にご意見をご記入ください.
さらに,
『社会学評論』の改善に係わるアイディアがあれば,どのようなもので
も結構ですので,同じく,下の自由回答ボックスに,ご提案下さい.
例:
『社会学評論スタイルガイド』へのご意見,新しい投稿枠・寄稿枠・特集カ
テゴリーの提案,新しい編集体制や,新しい機関誌発行方法の提案
論』の WEB 雑誌化や新雑誌の提案
Q5
『社会学評
等,自由にお書きください.
自 由 回 答 ボッ ク ス(文 字 数 制 限 な し)* *
解答欄省略
* * …21 名
42%が回答
★以上で,質問は終わりです.ご協力どうもありがとうございました.
資料 1
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