T E C H N O L O G Y B R I E F Mentor Embedded Linux 開発プラットフォームの詳細 フリースケールと Mentor Embedded のテクノロジをベースに開発されたプラットフォームにより、フリースケールの QorIQおよびPowerQUICC プロセッサに対応する革新的で高度にカスタマイズされたアプリケーションを開発できま す。 2010年6月 概要 フリースケール・セミコンダクタ(フリースケール)のQorIQとPowerQUICCプロセッサに対応する商用Linux® プラット フォームが、フリースケールとメンター・グラフィックスのMentor Embedded™の間で結ばれた戦略的提携から生まれま した。Mentor Embedded™ Linuxプラットフォームは、高度に合理化された統合型ソリューションであり、リファレンス・プ ラットフォーム上での評価段階からカスタム設計ハードウェア上での開発段階に至るまで、開発チームを支援します。 Mentor Embedded Linuxプラットフォームをフリースケールのリファレンス・ボードと組み合わせることで、手戻りを発生 させずに評価段階から開発段階にスムーズに移行できます。特定ベンダへの依存を解消しつつ、さらに信頼性を高 めお客様固有のアプリケーションの開発が可能であり、設計開発期間も短縮されます。こうしたワークフローの一貫性 は、Mentor Embedded Linuxのみが提供できる強力な利点です。 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F 目次 Mentor Embedded Linux の紹介 .............................................................................................................................. 3 Mentor Embedded Linux の構成 .............................................................................................................................. 3 開発ツール ................................................................................................................................................................ 3 System Builder .......................................................................................................................................................... 4 アプリケーションの統合とカスタマイズ...................................................................................................................... 5 ADK によりアプリケーション開発者の作業効率を向上 .......................................................................................... 5 業界標準に対応したビルド....................................................................................................................................... 6 オープンソース・ライセンスのコンプライアンスを確保するツール ........................................................................... 6 ホスト・オペレーティング・システムの包括的なサポート ........................................................................................... 6 EDGE Developer Suite .............................................................................................................................................. 7 LINUX デバッグ・エージェント ................................................................................................................................. 7 EDGE Debugger ........................................................................................................................................................ 7 LINUX カーネル内部の可視化 ............................................................................................................................... 7 EDGE IDE ................................................................................................................................................................. 8 EDGE Compiler ........................................................................................................................................................ 8 System Builder の Linux ADK .................................................................................................................................. 8 Mentor Embedded Linux ソフトウェア IP ................................................................................................................... 8 カスタマ・サポート ...................................................................................................................................................... 9 パッケージ・プラクティス / プロフェッショナル・サービス ...................................................................................... 10 Getting Started: Linux 上でのデバイス開発........................................................................................................... 10 System Design ......................................................................................................................................................... 10 Sustaining Engineering プログラム .......................................................................................................................... 10 まとめ ....................................................................................................................................................................... 10 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F Mentor Embedded Linuxの紹介 Mentor Embedded Linuxは、あらゆるオプションの使用を可能にし、広範なオープンソース・ソフトウェアからメリットを 得られる新たなアプローチを開発者に提供します。特定ベンダから提供される従来の商用Linuxの場合、開発者に とってはカスタマイズ・オプションが制限されており、商用製品をプロジェクトのニーズに完全に適応させるのは困難で した。また、「Roll-Your-Own」のLinuxの場合、開発チームが付加価値に注力できなくなるため、ビジネス・リスクが高く なってしまいます。 Linuxベースの組込みデバイス開発の旧来の手法が抱えていたジレンマを解消するMentor Embedded Linuxは、独 自の製品プラットフォーム開発に必要な機能をすべて備え、しかも商用Linuxならではのきめ細かいサポートを提供し ます。Mentor Embedded Linuxが提供する強力な開発ツール、そしてオープンソースとLinuxの利点を存分に引き出し てエンジニアリング効率を高める新しいアプローチにより、開発者の生産性を最大限に向上します。 Mentor Embedded Linuxの構成 Mentor Embedded Linuxは、サポートされる各リファレンス・ボード用にすぐに使用できるルート・ファイルシステム (Linuxカーネルを含む)を用意しています。このリファレンス・ディストリビューションには、個々のニーズに合わせて製 品プラットフォームをカスタマイズしていく上で必要なコンポーネントがすべて含まれています。図1に、Mentor Embedded Linuxを構成する主要コンポーネントを示します。サポート、保証/補償、BSP、コンパイラ、コミュニティ由 来のソースコードなど、商用Linuxを提供するパートナーに対して開発者が期待する従来の要素も含まれています。 Mentor Embedded Linuxで中心となる開発ツールは、Mentor Embedded System Builder(System Builder)とMentor Embedded EDGE™ Developer Suite(EDGE)です。これらの主要テクノロジは、現在市場に流通している競合製品と の差別化要因になっています。 図1: Mentor Embedded Linuxの全体構成 開発ツール Mentor Embedded Linuxには、コマンドライン形式のコンパイラやデバッガだけでなく、包括的な開発ツールが用意 されています。 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F System Builder 標準的な開発環境の従来型ディストリビューションは、約250のユーザーランド・パッケージを使用するようにセット アップされています。開発エンジニアは、必要なランタイムのみが得られる規模にこれを縮小しなければなりません。ま た、アプリケーション開発者に引き渡してからは、このプラットフォームでの使用を想定していない大規模なライブラリ が使われる場合もあります。製品専用のランタイムではなく大規模なシステム上でアプリケーションがビルドされると、 性能に影響が生じる恐れがあります。 こうした問題の解決に当たり、Mentor Embedded Linuxは、統合されたオープンソース・ソフトウェア・コンポーネント のセットを使いやすいSystem Builder開発環境に組み込んで、ボードレベルの移植、ドライバやアプリケーションの開 発を可能にしています。System Builderは、コマンドライン形式のビルドやカスタマイズを行うツールで、クロスコンパイ ラ、glibc Cライブラリ、構成済みファイルシステム・イメージ、製品固有のサポート・ライブラリの作成に使用できます。 さらに、System Builderには、ソフトウェア・パッケージをクロスコンパイルしてPlatform Development Kit(PDK)や Application Development Kit(ADK)に組み込むためのメタデータも含まれています。System Builderでは、「レシピ」と 「コレクション」を使用して作成物とその作成方法を定義します。 図2: Linuxプラットフォーム開発におけるSystem Builderの中心的役割 図2に示すように、System Builderでは、ユーザがMentor EmbeddedのソフトウェアIPコレクションや、kernel.orgなど その他のプロジェクト・リポジトリから組込みLinuxプラットフォーム・コードを取得、統合できます。また、Mentor Embedded Linuxにはハードウェア固有のLinuxシステム全体が、ビルド・システム内の統合済みコレクションとして提供 されます。独自ハードウェア向けの構成ファイルをはじめ、カーネル・ソースも含まれています。 特長 • 完全にカスタマイズ可能な業界標準のコマンドライン・ビルド・システムにより、独自の製品プラットフォームのカ スタマイズに対応 • ビルド済みバイナリの採用により、作業開始までの待ち時間を短縮 • 構成済みのビルド・システムを利用していつでもソースからリビルドが可能 • ハードウェアに合わせた構成済みのカーネル • ライセンス違反やバイナリ-ソース・マッチングの情報をソフトウェア部品表(BoM)として収集 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F 利点 • 開発チームは、Mentor Embeddedの高い性能、安定性、コンプライアンス機能によって強化された業界標準の ソフトウェア・ワークフローを利用して、製品目標の早期達成とリスクの低減を実現可能 • 特定ベンダへの依存を解消しつつ、商用Linuxならではのサポートを提供 • 繰り返し利用可能な製品ビルドにより、ベストプラクティスのオープンソース・コンプライアンス文書を常に再現 可能 アプリケーションの統合とカスタマイズ ソースからLinuxをリビルドできるだけでは、十分でありません。開発者は、カスタマイズを行い独自の製品プラット フォームを作成できる機能を求めています。Mentor Embedded LinuxのSystem Builderは、こうしたニーズに対応しま す。元のベンダ仕様に従ってソースをリビルドしかできない競合製品と異なり、System Builderでは開発者によるカスタ マイズに柔軟に対応します。 対応可能なカスタマイズ • ソフトウェア・パッケージをデバイス・イメージに追加 • Flashデバイス・ストレージを再構成 • Linuxカーネルに対するパッチ適用または再構成 • Linuxソフトウェア・パッケージに対するパッチ適用または再構成 • システム構成ファイルを修正 • ソースからアプリケーションをビルド • アプリケーションのビルド済みバイナリを採用 System Builderは、マスタ・ビルドシステムまたは大規模な既存ワークフロー内のコンポーネントとして使用できます。 ADKによりアプリケーション開発者の作業効率を向上 製品プラットフォームを作成したら、次はアプリケーション開発のスピードアップを図ります。最初の作業は、必要な 開発ツールや対応する統合開発環境(IDE)を提供し、アプリケーション開発者に提供することです。System Builder で作成されたADKがあれば、独自のコンパイラのビルド方法の習得に時間を浪費したり、互換性のないツールに苦労 したりせずに済みます。 ADKには以下のアイテムが含まれており、特定のハードウェア・プラットフォーム上で実行するようにビルドされてい ます。 • Linuxカーネル • ファイルシステム・イメージ • 単一プロセッサ・アーキテクチャ向けの、ホストから実行可能なコマンドライン形式ツールチェーン • サポート・ライブラリ • ファームウェア(U-Bootなど) ADKはコマンドラインから使用可能なので、System Builderのトレーニングは必要ありません。また、EDGEにイン ポートするとIDEに自動的に構成され、開発者独自の製品プラットフォームに対応したプロジェクトをビルドできます。 いずれの方法にせよ、System Builderの使用により開発管理作業が効率化されるため、開発チームは付加価値に 注力でき、アプリケーション開発を迅速化します。 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F 業界標準に対応したビルド System Builder は 、 業 界 標 準 の OpenEmbedded ( OE ) プ ロ ジ ェ ク ト に 対 応 し て い ま す 。 1999 年 に 創 設 さ れ た OpenEmbeddedプロジェクトの主な目的は、開発者がLinuxディストリビューションを組込みデバイス向けにビルドする 際に利用可能なクロス開発ツールとパッケージ・メタデータを提供することです。System Builderはベンダ固有のビル ド・システムと異なり、オープンソース・テクノロジの選択肢が豊富なので、ユーザは非標準的なワークフローに依存す る必要がありません。 Mentor Embeddedは、ビルド済みバイナリ、ソフトウェアBoMツール、ライセンス・タグなどの新機能を追加して OpenEmbeddedテクノロジの価値を高めています。また、OpenEmbeddedテクノロジが初めての開発者にとって挫折の 原因となりかねない単調なコンフィギュレーション・プロセスを排除するために、Mentor Embedded Linuxプロジェクト・ セットアップ・ツールを用意し、追加により開発の成功を支援します。Mentor Embeddedは、OpenEmbeddedのメタデー タを安定化しソースをミラーリングすることで、ユーザのビルドを将来にわたって繰り返し利用できるようにします。 Mentor Embeddedのエンジニアは、OpenEmbeddedのメタデータと、OpenEmbeddedのコアとなるbitbakeツールに関 して主導的な役割を果たしています。 オープンソース・ライセンスのコンプライアンスを確保するツール 組込みシステム・プロジェクト内でオープンソース・テクノロジを使用すると大きな成果を得られますが、繰り返し利用 可能で体系的なコンプライアンス・プロセスをあらゆるワークフローに組み込むというライセンス上の義務が新たに発生 します。Mentor Embedded Linuxには、このコンプライアンス・プロセスの自動化に必要なツールがすべて用意されて います。そのほかに必要なのは、開発チーム/組織の内部ポリシーと手順のみです。こうしたポリシーと組み合わせる ことで、Mentor Embedded LinuxのSystem Builderのコンプライアンス機能は、オーバーヘッドが少なく効果的なコンプ ライアンス・プログラムを実現し、コストのかかる見落としを防止します。 System Builderコンポーネントには、オープンソース・コンプライアンス・プログラムを支援する以下の4機能が搭載さ れています。 • ソフトウェアBoMの作成: パッケージ、バージョン、ライセンス、上流ソース、パッチ、開発、製品用ビルドの依 存関係を詳細に文書化 • ライセンスの監査: ユーザの指示のもと、オープンソース・ライセンスにフラグを付け、企業が指定したオープ ンソース・コンプライアンス・ポリシーに従ってコンプライアンス条項をハイライト • ソース・パッケージ: 包括的なデバイス・プロジェクト・ソースを構築して、ライセンス開示要件に合わせたソー ス・パッケージを作成 • ライセンスのトレーサビリティ: 再配布、ライセンス・コンプライアンス、メンテナンス、最終製品のカスタマ・サ ポートのために、ソースとバイナリの照合を追跡、検証 ホスト・オペレーティング・システムの包括的なサポート OpenEmbeddedテクノロジを初めて使用する開発者の多くは、ホスト・サポート・パッケージが存在しないことや対応 していないことにより、ビルドの中断を経験しています。Mentor Embedded LinuxのSystem Builderでは、必要なホスト・ コンポーネントがすべて、サポート対象ホスト・プラットフォームに対応したバージョンで提供されます。このため、サ ポート対象ホスト・プラットフォーム上で繰り返し利用可能なビルドを作成できます。 つまり、System Builderを利用すれば、スケジュール、リソース、コストを犠牲にせず、高い品質を得られます。この一 貫性のあるアプローチにより、小規模なビルドから、最終製品の仕様を満たす為に必要なものへと進化に伴って、シス テムが柔軟に対応します。Mentor Embedded LinuxにはSystem Builderのほか、EDGEの特別バージョンも搭載され、 開発効率を高めるための新たなLinux向けテクノロジが採用されています。 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F EDGE Developer Suite Eclipse™フレームワークに組み込まれた統合開発環境(IDE)であるMentor EmbeddedのEDGE Developer Suiteは、 Linuxベース製品の開発を迅速化するツール群であり、従来のコマンドライン形式デバッグツールでは不可能であっ たアプリケーション内部の可視化を実現します。開発者が最も必要としているのは強力なデバッグ・ソリューションです が、EDGEに搭載されたLinux固有の機能があれば、従来のLinuxユーザスペースアプリケーションとLinuxカーネル・ コンポーネントの両方を含むアプリケーションを効果的にデバッグできます。 機能 • 実行中のアプリケーションの内部を把握可能 • マルチスレッド・アプリケーションの理解を支援 • 反復的作業の自動化 • カスタム・レジスタ・ビュー • ファイルシステムについての負担を軽減 LINUX DEBUG AGENT 従来のエンタープライズ・コンピューティング・アプリケーションと異なり、ほとんどの組込みソフトウェア・アプリケー ションは、単なるユーザスペースアプリケーションではありません。組込みソフトウェア・アプリケーションをデバッグする 場合、従来手法では複数のデバッグ接続やエージェントを処理する必要がありますが、これらは必ずしも協調せず、 開発者は全体像を把握できません。Linux Debug Agentはこうした制約を取り払い、開発者のアプリケーションとユー ザスペースやLinuxカーネル・ソフトウェアとの相互作用を詳細に可視化できます。このエージェントはカーネル常駐モ ジュールであり、ユーザ空間内の複数のアプリケーション、カーネル・モジュール、アプリケーションで使用されるサ ポート・カーネル機能をデバッグする際にシステムをサポートします。このエージェントが、ターゲット・システムへの単 一の接続となり、すべてのアプリケーションを把握できます。 EDGE Debugger EDGE Debuggerは、Linux固有の拡張機能を備えた強力なデバッグ環境です。高度なスクリプト機能、I/O可視化、 Linuxを考慮した機能などの標準的なデバッグ機能のほか、組込みソフトウェア・エンジニアがデバッグに費やす時間 を大幅に短縮させる数々の機能を提供します。EclipseベースのEDGE IDE内にシームレスに統合されたEDGE Debuggerは、実際のターゲット上のLinuxカーネルとアプリケーションの両方についての内部を把握します。 機能 • 進化したインタフェース • コードレットを利用した比類なきカスタマイズ • チャネル・ビューアによる柔軟なデータ視覚化 • ターゲットの容易なカスタマイズ • 構成変更可能なレジスタ・ビュー 組込みソフトウェア開発では、ホスト・コンピュータ(PCなど)上で動作するデバッガをターゲット・システムに接続でき ることが基本要件です。EDGEデバッガは、標準化されたJTAGデバッグ・ロジックIPマクロセルを介してプロセッサに接 続し、Power ArchitectureのデバッグではCodeWarrier USB TAPホスト・ターゲット・インタフェースをサポートします。 LINUXカーネル内部の可視化 EDGE Debuggerには、開発者がLinuxカーネルの内部動作を把握するための専用のLinuxコードレット・ライブラリ が搭載されており、カーネルのデータ構造を解釈して、EDGE IDE内で可視化できるように表示します。エディタ内で マウス・カーソルを変数に重ねると、コードレットによるデータ構造の表示が行われます。 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F EDGE IDE EDGE IDEは、組込みソフトウェア開発向けの統一ワークスペースです。この統合開発環境では、Linuxアプリケー ションのソフトウェア開発のあらゆる面が単一のワークスペースに統一されています。 機能 • 先進的なビルトイン・エディタ • プロジェクト・マネージャ • ウィザードベースのプロジェクト作成 • 柔軟性と拡張性 EDGE Compiler あらゆる組込みシステム開発者には、コンパイラ・ツールキット、つまり、C、C++、アセンブリ言語の組込みソース コードを受け取り、最終的なバイナリ・イメージを生成するために必要な処理をすべて実行するツールセットが必要で す。Mentor Embedded Linuxでビルドされるプロジェクトの場合も例外ではありません。 まず、System Builderが個々の製品プラットフォームに対応する適切なコンパイラ・ツールキットを生成します。次に、 EDGE IDEがこのコンパイラ・ツールキットを利用して、開発者によるアプリケーションの作成を支援します。 System Builderが生成するLinux ADK EDGE IDEでは、System BuilderによってビルドされたADKをインポートし、バンドルされたコンパイラや設定を利用 するだけで、アプリケーション・プロジェクトを自動的かつ適切にセットアップします。保守が困難なプロジェクト設定も、 この革新的な機能によって自動的に処理されるようになりました。EDGE Compilerは、組込み開発向けの包括的な コード開発ソリューションです。 Mentor Embedded LinuxソフトウェアIP Mentor Embedded Linuxは、サポートしている各リファレンス・ボード用に、そのまま使用できるルート・ファイルシステ ム(Linuxカーネルを含む)を用意しています。このリファレンス・ディストリビューションには、個々のニーズに合わせて 製品プラットフォームをカスタマイズしていく上で必要なコンポーネントがすべて含まれています。リファレンス・プラット フォームを必要に応じてカスタマイズする際は、System Builderを利用できます。 System Builderで可能な操作 • Mentor Embedded Linuxの作成用の元のソースコードと適用されたパッチの確認 • リファレンス・ルート・ファイルシステム・イメージに対するパッケージの追加または削除 • リファレンス構成の元になるソースコードをすべてリビルド • OpenEmbeddedプロジェクトのレシピを利用して、Mentor Embedded Linux外からソフトウェアを追加 Mentor Embedded Linuxには、製品開発の開始点となる最小限のファイルシステムが付属しており、これを基準とし て、製品プラットフォームの完成に必要な機能のみを追加できます。この基本となるファイルシステムへの追加作業を 支援する目的で、適切なパッケージ選択を容易にする「制御ノブ」が用意されています。対応するカーネル・ドライバ の確保は開発者の役目ですが、ファイルシステム制御ノブを利用すれば、機能を追加する際に時間を節約し、推測 作業を減らすことが可能です。 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F 利用可能な制御ノブ • audio: 必要なサウンド・サポート・ユーティリティを追加 • bluetooth: BlueZプロジェクトを使用したBluetoothサポートを追加 • host-diskdrive: ディスクの管理と、ディスク・ファイルシステムの整合性の管理のためのユーティリティを追加 • framebuffer: Linuxフレームバッファ・デバイスのサポート・ユーティリティを追加 • host-usb: USBデバイスを管理し、USBマスストレージ・デバイスで一般的に使用されているファイルシステムを 処理するためのユーティリティを追加 • mtd: Linux Memory Technology Devicesユーティリティを追加 • pci: PCIデバイスへのクエリのための基本ユーティリティを追加 • touchscreen: タッチスクリーン・キャリブレーション・ユーティリティを追加 • wifi: ワイヤレス・ネットワークへの接続に必要なツールを追加 • print-server: Sambaファイルやプリント・サービス・デーモンを介したリモート・デバイスからのプリント要求を処 理するためのユーティリティを追加 • nas: SambaまたはNFSを利用したリモート・ファイルシステムに接続するためのユーティリティを追加 • native-development: デバイス・ソフトウェア開発で必要な基本ツール • router: ルーティング、ファイアウォール、NTPサービスを提供するためのユーティリティを追加 • x11-minimal: 基本的なX11環境を追加 (注意: 個々の制御ノブに対するBSPサポートは、周辺機器やデバイス・ドライバのサポートによって異なります。) カスタマ・サポート メンター・グラフィックスのカスタマ・サポート部門は、あらゆるリソースを駆使してMentor Embedded Linuxをサポート しています。ユーザにとってサポートとメンテナンスは欠かせないものであることから、Mentor Embedded Linuxには開 発ツールや主要なオープンソース・テクノロジに対する包括的なサポートも含まれています。年2回、ユーザには安定 性と互換性を維持した最新のオープンソース・テクノロジ、コンポーネントのバージョンアップ、累積的パッチ・ロール アップなどが提供されます。また、Mentor Embeddedプロフェッショナル・サービスによるコンサルティング・サービスも 提供され、オープンソース開発のあらゆる段階で専門家から助言を受けられます。 図 3: Mentor Embedded プロフェッショナル・サービスは、広範なパッケージ・サービスとカスタム・サービスを提供し て、Mentor Embedded Linux を利用したデバイス開発を支援します。 www.mentorg.co.jp/embedded T E C H N O L O G Y B R I E F パッケージ・プラクティス/プロフェッショナル・サービス Mentor Embeddedプロフェッショナル・サービスは、Mentor Embedded Linuxのエンド・ツー・エンド・サポートにあたり、 広範なパッケージ・プラクティスとカスタム・サービスを提供して開発作業を支援します(図3)。こうしたパッケージ・プラ クティスは、Mentor Embeddedのみが提供するものであり、経験豊富なオープンソース技術者からなるチームが担当し ます。パッケージには、Getting Started、System Design、Sustaining Engineeringがあります。 Getting Started: Linux上でのデバイス開発 開発者がMentor Embedded Linuxの強力なツールを最大限に活用するにはどうしたらいいのでしょう?開発チーム がLinux上での開発に着手する際に、現在のエンジニアリング・ワークフローや開発インフラストラクチャで生じる固有 の課題や機会とは?Mentor Embeddedプロフェッショナル・サービスは、習熟したLinux専門家を世界中の開発現場に 派遣し、3日間にわたって評価とコンサルティングを行います。実際のLinux開発の全体像を把握し、デバイス固有の ニーズを検討した上で、ワークフローとプロセスを割り当てます。現場への派遣後は、調査結果と推奨事項を詳細に 記した書面によるレポートを納品します。 System Design 次世代デバイスの開発や、異なるオペレーティング・システムからの移行を実施する場合は一般に、ソフトウェア・プ ランニングに対するアーキテクチャ面からの詳細なレビューを開発の初期段階で開始するのが得策です。メンター・グ ラフィックスは、高度なシステム・アーキテクトによる現場でのコンサルティングを実行し、今までの設計の記録を確認し 評価した上で、開発中の製品に最適な方針やテクノロジを提案します。書面によるレポートには調査結果と推奨事項 が詳しく記載され、システム・アーキテクチャの全体構造と、効率的かつ高品質なデバイスの開発に必要な詳細の決 定に役立ちます。 Sustaining Engineeringプログラム デバイスの出荷後に特に課題となるのが製品ライフサイクル管理です。セキュリティ・ホールの修復や新たに発見さ れたバグの修正を行う場合、まずソフトウェアへの変更箇所を特定します。それが解決したら、設置場所に関わらずす べてのデバイスに適用しなければなりません。Mentor EmbeddedのSustaining Engineeringパッケージは、このプロセス で効果的な役割を果たします。メンター・グラフィックスはデバイス・ソフトウェア・ビルドに関連する欠陥を発見すると、 報告と優先順位付けを行います。毎月定期的に通知し、重要度と購入したSustaining Engineeringパッケージのレベ ルに応じて解決策を階層化します。 まとめ Mentor Embedded Linuxは、強力なプラットフォームと、オープンソース・ソフトウェアをフルに活用できる高度に合理 化された開発アプローチを提供します。Mentor EmbeddedとフリースケールのテクノロジをベースにしたMentor Embedded Linuxでは、ソフトウェアIP、包括的な開発ツール、優れたサポートとメンテナンスを用意しています。このプ ラットフォームは、特定ベンダへの依存を解消した統合型のソリューションです。ユーザは評価段階から製品開発段階 にシームレスに移行可能であり、フェーズが変わるごとに手戻りが発生することもありません。Mentor Embedded Linux が提供する強力な開発ツール、オープンソースの利点を存分に引き出す新しいアプローチ、受賞歴のあるサポートや メンテナンスにより、開発者の生産性は最大限に向上します。Mentor Embedded Linuxは比類なき柔軟なソリューショ ンであり、高度にカスタマイズされた最終製品の提供を可能にします。 ©2010 Mentor Graphics Corporation. All rights reserved. 最新の製品情報につきましては、メンター・グラフィックスのウェブサイトwww.mentorg.co.jpをご覧ください。 登録商標Linuxは、全世界における商標保持者Linus Torvalds氏から排他的ライセンスを受けているLMI (Linux Mark Institute) からの許諾により 使用しています。 Mentor GraphicsはMentor Graphics Corporationの登録商標です。その他記載されている製品名および会社名は各社の商標または登録商標です。 このドキュメントはメンター・グラフィックスの専有情報が含まれており、この一部または全体のコピーは、元の受領者が社内の業務目的に利用する 場合にのみ可能です。この文書を受領されるにあたり、受領者はこの情報の不正な利用を防ぐあらゆる合理的な努力をされることに同意されるもの とします。 www.mentorg.co.jp/embedded
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