Photog-CAD ニュース(第 27 号:平成 28 年 3 月 15 日(火)発行) 現場を正面から撮影できない場合の注意事項 次は、土砂災害の現場写真です。道路幅より後ろへさがれませんので、現場を正面から撮 影することができません。そうしたときは、 「基線(現場の X 軸となります、リボンロッド を置きます) 」を撮影位置と現場を結ぶ線と直交するように引き、左側、正面、右側から撮 影します。 現場を斜めから撮影した場合も、横断図を正しく描くことはできますが、注意しなければ ならないことがあります。 ここでは、現場を正面から撮影できない場合の注意点を挙げ、対処方法を説明しています。 横断図を描くため の線(横断線) Photog-CAD 現場に平行な線 の「基線」 【写真】土砂災害の現場写真 1.Photog-CAD の容量計算 Photog-CAD で土量等を求める際の容量計算には「平均断面法」が用いられています。 平均断面法とは、ある測点の断面積を S1 とし、その次の測点の断面積を S2 とし、2 点 間の距離を L とした場合に、2 測点間の容量(V)は V=(S1+S2)÷2×L としたものです。 -1- 例えば下図で、手前の赤い多角形の面積を S1、中央の緑の多角形の面積を S2、とした場 合に、赤い多角形と緑の多角形を繋いだ多角柱の容量は(V1=(S1+S2)÷2×L1)で求め ます。 同様に、中央の緑の多角形と、奥の青い多角形を繋いだ多角柱の容量は、 (V2=(S2+S3)÷2×L2)で求めます。 つまり、容量計算には、横断図の面積(S)、横断間距離(L)が必要となります。 S3 S2 L2 S1 L1 L 【図】平均断面法のイメージ図 【表】平均断面法による容量計算 2.Photog-CAD の容量計算 2.1 断面積 現場を正面から撮影できない場合は、Photog-CAD の「基線」 (【写真】 (1 ページに掲載) の垂直ポールの根元から右側へ引かれているリボンロッド)はカメラ線と直交するように 引きますが、 「横断図を描くための線(横断線) ( 【写真】の赤い線) 」は「現場に平行な線(【写 真】の青い線) 」と直交するように描きます。 -2- Photog-CAD は、現場を正面から撮影できない場合でも、横断図の形状も寸法も正しく計 測することはできますが、横断間距離は「現場に平行な線」に沿って計測されていません(あ くまでも「基線」に沿って計測されます)ので、正面から撮影できない場合は、横断間距離 を修正する必要があります(容量計算には、 「現場に平行な線」に投影した距離が必要です) 。 従って、現場を正面から撮影できない場合は、対処策として以下のどちらかを施しておく 必要があります。 ①「現場に平行な線」に投影した横断間距離を実測し、記録して置きます。 ②「現場に平行な横断間距離」を Photog-CAD で計測できるように、 「現場に平行な線」 上に横断間距離用のターゲットを置きます。 2.2 横断間距離 【写真】の崩れた土砂の容量は、以下の手順で求めます。 (1)横断図面積 横断図( 【写真】の赤い線)の面積を求めます。赤い線が 3 本ありますので、3 断面のそ れぞれの面積を計測します。 (2)横断間距離 次に、横断間距離を求めます。土量を求めるためには、現場に平行な線(【写真】の青い 線)に投影した距離(☆印と☆印の間の距離)が必要です。しかし、Photog-CAD では、基 線(リボンロッド)に投影した距離(○印と○印の間の距離)が求められますので、横断間 距離を修正しないまま容量計算すると実際より小さく計測されます。 そこで、正面から撮影できない場合は、Photog-CAD が「○印と○印の間の距離」として いるところを「☆印と☆印の間の距離」に修正する必要があります。 2.3 具体的操作 (1)横断図の閉領域指定 横断図で、容量を求めたい 部分の面積を指定します。右 図の緑色の閉領域は、埋め戻 し量を求めるための面積で す。赤紫色の閉領域は、撤去 量を求めるための面積です。 Photog-CAD では、埋め戻し 量と撤去量を区別して集計 することができます。 -3- (2) 「横断」コマンド 横断図で、面積を求めるための閉領域指定が終わったら、 「横断」コマンドを押します。 (3)横断座標編集 「横断座標編集」画面が表示されます。その中の「追加距離」が横断間距離(累計)です。 当初は、 「基線に投影した距離(○印間距離) 」が表示されます。撮影が正面からできていな い場合は、この「追加距離」を「☆印間距離」に修正します。 (4)容量計算 「容量計算」コマンドを押します。各横断図で求めた面積と横断間距離により容量を計算 します。 以上です。 -4-
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