Player 2 0 1 0 年 2 月号より インタビュー 全 文 I n t e r v i e w b y J U N S E K I N O / M I N O R U TA N A K A I n t e r p r e t a t i o n b y S H I N YA M I YA G AWA 「 我 々は あまり生 産 効 率 を 重 視しては い な い 。 作 業 を 丁 寧 に 行 え ば 、どうしても時 間 が 必 要 になるからね 」 アコ ースティック・ギター の 全 てを 知りつくした男 、ビ ル・コリング ス 。彼 は 長 年 ゴ ー ルデンエラ時 代 のヴィンテ ージ・ギター を修 理 する中で、なぜそれらが 素 晴らしいサ ウンドを 奏 でることが できるのか を 研 究してきた 。普 遍 的 なギター・デ ザインには 必 然 性 が あり理 由 が ある 。ビ ル は 数 々のヴィンテ ー ジ・ギタ ー を 体 験 する 中 から 導 き 出したギター 作りのセオリー を 、このインタビューで 惜しげ もなく我 々に 語ってくれ た 。そこからは 、ビ ル の オ ープンで 生 真 面 目 な 人 柄とギタ ー 作りに 対 する 強 い 自 信 が 感じられる… 。 A u s t i n , Te s a s , U . S . A . して正しい作り方をしているところだ。 マーティンは30年代半ばからネックにステ ィール製のTバー・ロッドが入っていて、かなりネックがしっかりできている。 しか しブレイシングにノッチが入っていたので、接着剤の量が少なく時間が経つとブレ イスが剥がれやすいんだ。それが唯一の欠点だね。そこで我々はこの部分を改善 した。そして、 ヴィンテージのTバーを使用していた時代と同じようなトーンを得る ために、 アジャスタブル・トラスロッドでありながら独自な構造を採用している。で も、戦前のマーティンは本当に良くデザインされたギターだと思うよ。現在のよう に機械化されていなかった時代に作られたギターなのにね。 ●同じモデルでも、個体差によって木材の厚みやブレイシングなどをアレンジしま すか? サウンドボード (ボディ・トップ)の厚みは場所によって変えているが、 ブレイシング はあまり変えないね。ボードの厚さや堅さはトーンに深く関係しているから、理想 的なトーンを得るためにすべてを調整している。サウンドボードの心臓部とも言え るブリッジ部を最も厚くして、弦振動が全体に行き渡るようにボディ端に近づく程 薄くしている。 ●ブリッジピンは溝のないローズウッド製ですね。 いや、 ピンはローズウッドではなくエボニー製だよ。一般的なプラスティックピンは 溝があるので、そこで弦のテンションが吸収されやすい。堅いエボニー製の溝なし ピンは、弦をタイトにブリッジプレートに固定できるから理想的なんだ。 トーンもそ の方が遥か勝っている。 プラスティック素材は振動を吸収するが、エボニーはもっ とソリッドだからね。弦をセットする際は、ボールエンドをブリッジプレートにしっ かりと固定させることが重要だよ。 ●コリングス・ギターには、マーティンよりもはっきりとした力強さが感じられま す。 外観は戦前のマーティンをベースに、 より洗練されたデザインにしている。 クラフト UV塗装の寿命の長さと ラッカーの美しさ ●あなたの経歴を簡単に教えてください。 1948年生まれ、 ミシガン出身だよ。74年、26才の時にテキサス・ヒューストンに 移り、その頃からギター製作を始めたんだ。 ●現在年間にどれくらいの弦楽器を生産していますか? 以前はアコースティック・ギターを年間1,500本ほど作っていたけど、現在は 1,100本くらいだね。エレクトリックが400本、 マンドリンとウクレレは500本くら いかな。同じモデルをまとめて作るのでなく、 1本ずつ違うギターを作っている。 ●スタッフは何人働いていますか? 70人近くいて、 7名がオフィスワークであとは生産関係だね。 ビルダーの中でもス ペシャリストになるといろんな工程の作業を行なうけど、全体としてはいくつかに 工程を分けて、それぞれの担当者が責任を持って作業をしている。 マンシップも洗練されていると思うよ。サウンドに関しては、木材の持っているキャ ラクターや素晴らしさを全て出し切ることを目指している。 サウンドボードをもっと 薄く作ればより鳴らしやすいけど、 ある程度の質量を残しつつ鳴らすことが重要な んだ。ギター作りのポイントは、それ以上でも以下でもない、そのバランスが全て だよ。そうしてマキシマム・パワーを作り出すのさ。 ●コリングス・ギターは、ヘッドストックのエッジが極端に尖っていますが、エッジ は丸い方が生産効率が良いのではないですか? これは我々のクリーンなクラフトマンシップを象徴したデザインなんだ。 もちろんエ ッジは丸くても良いが、そのために我々がいるわけではない。それに、我々はあまり 生産効率を重視してはいないんだ。作業を丁寧に行えば、 どうしても時間が必要 になるからね。 ●コリングスには様々なオプションが用意されていますが、 トーンに関するオーダ ーも受けていますか? それとも、 トーンは木材や仕様を選ぶことで必然的に選 ばれるのでしょうか? どちらとも言えるね。 まず木材やボディ・サイズによってサウンドの基本的なキャラ ●まずアコースティック・ギターに関して伺います。ギター・リペアを通して独学で クターが選ばれる。それから材の厚みでもトーンが変わるので、それでベストなチ ギター製作を研究されたそうですね。 ューニングを探すんだ。だからラフチューニングは木材選び、細かなチューニング ああ、ギター製作に関して誰にも教わったことはない。 リペアをしながら色々なヴ はブレイシングや材の厚みなどで調整している。 もっとレスポンスの良いギターが ィンテージ・ギターを研究して、 自分でも製作するようになったんだ。 欲しい場合などは、サウンドのオーダーというよりも、音楽スタイル、例えばフィン ●これまでに研究したヴィンテージ・ギターは? ガースタイル用だとか、そうやってオーダーするのが一番分かりやすいだろう。 やはり戦前のマーティンは凄く研究したし、個人的にも大好きだね。戦前のマーテ ィンの良い所は、 まず木材の密度の濃さと厚さ、 ネックの堅さ、全体のバランス、そ ❷ ●アコースティック・ギターに組み込むピックアップ・システムについて、あなたの 意見を訊かせてください。 我々は アコースティック・ギターをどう鳴らすか? ということだけを考えてギター を製作している。 ピックアップ・システムに関しては、それぞれのプレイヤーが好む ものを載せればそれで良いと思うよ。 でも最も理想的なサウンドでアコースティッ ク・ギターを録りたいなら、やはり生のサウンドをマイクロフォンで録った方が良 い。 になるんだ。30年も経つとかなり堅くなるね。そしてベストな状態になる。 ●現在のヴィンテージ・ギターは、良質な木材で作られていたことで最初からヴィ ンテージ・トーンの要素を持っていたのでしょうか? 木材はギターのサウンドを左右するとても重要な要素だ。昔はもっと木材が豊富 にあって贅沢に選べたけど、現在はそれが難しい状況になった。でも我々は、でき る限り昔のように良質な材を使用しているよ。それに長年ヴィンテージ・ギターを 研究したから、木材の加工に関するノウハウもある。素晴らしいヴィンテージを研 ●コリングスにベストだと思うギター弦のブランドとゲージを教えてください。 究して、そのエッセンスを再現しているんだ。現在も良い木材を使用できるのは、 Dサイズだとミディアム・ゲージの弦がベストだと思う、 もともとヴォリューム重視 我々が小さな生産メーカーだからさ。 アディロンダック・スプルースのギターを1 でデザインされたギターだからね。OMサイズやもっと小さなモデルなら、 ライト・ 日300本は作れないけど、 2∼3本なら作れるから。 ゲージを薦めるよ。 ブランドで言えば、ダダリオの製品は安定していて信頼できる 最新の機械も使うが、 ハンドメイドさ ね。中にはセットに1∼2本鳴らない弦が混じっているようなものもあるけど、ダダ リオはそういうことが極端に少ない。 まあ基本的に製品としてクオリティの高い弦 であれば、好みのブランドで良いと思うよ。 ちょっとミュートされたようなサウンド の弦もあれば、 ブライトなサウンドの弦もあるからね。個人的には、ボールエンド 部分をシルクなどでラッピングした弦は好きではない、音がソフトになりがちだか らね。 ●コリングス・ギターには、ヴィンテージ・マーティンを新しい時代に合わせて進 化させたようなイメージが感じられますね。 もちろん進化させているよ。市場には生産されてから短期間でサウンドが死んでし まうようなギターもあるが、我々はヴィンテージの素晴らしいところを活かして新 しいギターを作っている。理想的なサウンドをいつまでも楽しんでもらえるように 設計している。 コリングスの場合、最初は多少サウンドが硬い印象があるかもしれ ないが、 しばらく弾きこんでもらえればどんどん変わってくる。 さっき言ったように ギターはボディ材の厚さが大切だ。全体が軽量に薄く作られたクラシック・ギター などは、 5年もすると音が変わってきて、10年後には低音域が出すぎる事とがよく あるだろ?我々のギターは、 いつまでも長く楽しんでもらえるはずだよ。 ●ギターが経年変化することで、塗装はどのように変化し、 トーンにどう影響する のでしょう? まず、塗装が厚い場合はヴィンテージになってもあまりトーンには影響がないと思 う。でも薄ければ木材の良いニュアンスが出てくる。 ラッカー塗装は経年によって 堅くなりやがてクラックが入る。 また環境によっては、 ラッカーが溶けてベタつきが 出てルーズになる。サウンドも同じような傾向があるね。でもUV塗装はほとんど そういった現象は起きないんだ。 しかしUVは、私にはどうもプラスティックみたい に見えるのであまり好きじゃない。それもあって我々はその上からラッカーのコー ティングをしているんだよ。 UV+ラッカー塗装は、 UVの寿命の長さとラッカーの 美しさ、そして経年と共にさらに良くなるというそれぞれの良さを採り入れている。 ラッカーにクラックが起きないようにUVをかなり薄くしてシーラー代わりに使っ ているんだ。厚さは1ミルから1.5ミル(ミル=1/1000inch) くらいかな。 ラッカー が木材に染み込んでうにね。 UVが薄ければ、サウンドはオールラッカーに極めて 近いよ。 まあこれは塗装以前に木材の質にもよるけどね。チープな木材にどんな塗 装をしても、良いサウンドは期待できないから。 ●では、経年変化によって木材はどう変わるのでしょう? 完成したばかりのギターはあまりタイトでダイナミックではない。長時間弾き込む ことによって、弦振動が全体にうまく渡るようになるんだ。そして楽器として開花し て行く。 しかし、そうなるにはある程度ボディ材に厚みが必要だ。 サウンドボードは 弦のテンションによってわずかにアーチがかかる。 ブリッジ部分が少し浮き上がっ てきて、そこでロックされる。 また、良質な木材は経年変化で堅くなってベルのよう ●コリングスは、最初からヴィンテージ・ギターのようにサウンドボードにわずか なアーチをかけて製作していますね。 私がまだリペアマンをしていた頃に、 ゴールデンエラ時代(1930年代を中心とし た戦前)のギターはサウンドボードに若干アーチが掛かっていて、いつでも振動で きる状態であることに気づいたんだ。 これが良いサウンドを出すためのひとつの条 件さ。それを我々のギターにもデザインのひとつとして採り入れているんだ。 ブリッ ジ部分をやや膨らませてサウンドボードにテンションを持たせ、銃をロードさせた ような状態にする。そうすることでパワフルなサウンドとヴィンテージのようなニュ アンスが出るんだよ。 ●多くの人達は、あまり戦前のフラットトップ・ギターを弾いたことがありません。 比較的目にする50年代のギターとでは、 トーンがどのように違いますか? 良い30年代のギターは、軽く弦をタッチするだけでサウンドが大きくジャンプし て、全体が振動する。50年代はそうではなく、もっとドライでクリーンなトーンだ ね。弦振動が多少コントロールされている感じかな。サウンドボードはエキサイト するけど、それをバックが吸収しているんだ。戦前のマーティンのような爆発力が 我々のギターにも欲しいんだよ。戦前のマーティンと我々のギターとの違いはとて もシンプルだ。 コリングスの場合はもっとボディ・バックにパワーを与えている。戦 前のマーティン・サウンドをよりパワフルにして、クリアさをプラスしたイメージだ ね。30年代のダイナミックなパワーと50年代のクリアなベース・トーンをミックス したようなサウンドさ。 ●同じサイズ、質量のサウンドボードでも、テンションが与えられた木材は「音の 伝達速度が速くなり、豊かに振動する」 ということですね? そうだね。 でも、それはサウンドボードに対して弦のアングルも関係している。ただ テンションを与えただけではダメだ。我々はサドルを低目に設定して、 テンションを 低く与えている。高すぎると弦にアングルが掛かりサステインは制限されるんだ。 多くのメーカーがここを勘違いしているんだよ。 ●コリングス・ギターは、サウンドボードに振動が集中しているように感じられま す。ボディ・バック/サイドやネックの振動とトーンとの関係をどう考えますか? 全体が振動するギターは、ボディ材などが薄くてルーズに作られていることが多 い。ボディ全体でサウンドを発射させるためには、ボディ材はある程度の厚みが必 要なんだ。バックが振動しすぎると、弦振動はそこで吸収され音は小さくなって、 ト ーンは暗くなる。 サウンドボードをエキサイトに振動させ、バックから音を反射させ るのが理想だね。 ❸ ●コリングスは、サウンドボードからサイド/バックが無理なく繋がって自然に振 ●ブリッジ部の裏側にセットされているブリッジプレートには、メイプル製やロー 動している印象を受けますが…。 ズウッド製など様々な材、サイズ、厚みがあります。 ブリッジプレートはトーンにど そこに気付いてくれて嬉しいよ。我々のギターは全部で一つのユニットとして機能 のように影響しますか? している。近年のマーティンなどは、ボディ・バックのブレイシングが強すぎてひと ブリッジプレートが厚ければ厚い程、振動は抑えられるだろう。 しかし、薄すぎると つのユニットとしてはあまり機能してないように思うんだ。バックには サウンドボ 今度は必要以上に振動したり、逆にトップを充分に振動させられなくなる。 プレー ードの音を吸収する 、音を反射する という2つの役割がある。我々はそのどちら トはサイズや寿命も考えながら作ることが大切だ。ギターには175ポンドのストリ とも欲しい。そうすることで全体を振動させられるし、一つのユニットとして機能す ング・ウェイトが掛かっているけど、 プレートが充分振動できないとギターとして る。 ●コリングスのネック・ジョイントは、伝統的なダブテイルではなくボルトを使った モーティステノン・ジョイントですが、その理由は何ですか? 最悪なものになる。 コリングスのプレートは、 ヴィンテージよりはやや重く、現在の ギター・メーカーよりは軽く作られている。 ブリッジプレートもやはり厚みと質量が 重要だ。 モーティステノンはより強度を増すために考案された。 また、 ネックのリセットが必 ●コリングスでは下地にUV塗装を採用していますが、それはトーンにどのように 要になった時に、ボルトを外せば簡単に調整できるというメリットもある。 まあコリ 影響していますか? ンングスのネックはかなり丈夫なので、 リセットをすることは極希だけどね。 我々のUV塗装は極端に薄くて、 2ミル以下なんだ。塗装の寿命を長持ちさせる意 ●ネック内部には特殊な強化スティール・バーがセットされていますが、 ネックが とてもハードで振動が少ないように感じますね。 ネックのマホガニー材は2∼4ポンドまでばらつきがあって、 コリングスではその 中からある程度軽いものを選んでいる。そしてネックの両サイドに補強用のスプリ ング・スティール・バーを入れることで重さを調整しているんだ。 ネック材の重さに よって、バーを2本入れたり1本入れたりする。本来強靱で良いマホガニー材とい うのは、目が詰まっていてかなり重い。 しかしあまり重いと重量バランスが崩れる から、 スプリング・スティールによって重さを調整しているんだよ。 アジャスタブル・ トラスロッドが入ったネックでありながら、戦前マーティンのTバー・ロッドの持つ トーンが得られるように、 ネックをTバー時代の重さに近づけているんだ。 ヴィンテ ージのTバーは、素晴らしいデザインだった。見た目以上に強度もある。ただ一つ の問題点は、 アジャストができないことだ。 ●トラスロッドはシングルですか? ああ、 シングルだよ。わずか順反りした設計になっている。そして常にネックにテン ションを与えることで弦の振動をボディ・トップに集中させているんだ。 これまでギ ターを20,000本位作ってきたたけど、 ネックでトラブルになったことはないね。 ●オプションで用意されている ヴィンテージ・ネック とは、 マーティンのTバー・ ロッドと同じ形状のノンアジャスト・タイプが採用されているのですか? いや、すべてのモデルがアジャスタブル・トラスロッドだよ。 これは単にネックの形 状のことで、 グリップがヴィンテージのVシェイプという意味だ。 ●では、ヴィンテージ・ナウ・ネック というのは? これはローポジションがUシェイプで、段々とハイポジションに向ってVシェイプ になるネックのことだよ。名称のとおりさ。 ●あなたはスカラップドXブレイシングがベストだと考えますか? スカラップドはとても良いデザインだよ。我々のやり方で作るとレスポンスも良いし ラウドなギターに仕上がる。 ノンスカラップドだとトップをある程度薄く作らなけ ればならないし、そうなると基本的に別のタイプになってしまう。40年代に生産さ れたマーティンは、 ブレイシングのトラブルがよくあったんだけど、 これを改善する のにマーティンはブレイスをやや上に移してスカラップをなくしたんだ。 しかし、そ れによってトーンも大きく変わってしまった。 ブレイシングを直すのではなく、 ブレ イシングのデザインやパターンを変更したわけさ。 すると今度はブリッジが剥がれ 味もあってUV塗装を採用しているんだけど、極めて薄いからサウンドに悪影響は 無く、 とても良い方法だよ。 しかしUVを厚くするとサウンドには良くないし、 クリア な外観も得られない。個人的にはラッカー塗装の外観の方が温かみがあって好き だけど、 ラッカーはどうしても消耗しやすいからオールラッカーにはしていない。 U Vは長年使用してもほとんど消耗しないよ。だからUV塗装をベースコーティング しているんだ。 トータルの厚さでも5∼6ミル、外側のラッカーが4ミルで内側のU Vが1∼1.5ミルくらいかな。 もしもUV塗装を採用していなければ、 もっとラッカ ーを厚く塗装することになる。製作工程は増えたけど、 これがベストな方法だと思 うよ。我々は塗装の厚みを計りながらサンディングをしているから、正確に塗装の 厚みが分かる。 フィニッシュはギター製作でとても重要な要素で、塗装されていな いギターはノーグッドだ。塗装されていないマンドリン、最悪だよ。 フォーカスが全 く無いからね。 フィニッシュはトーンにカラーを与えている。でも厚くしすぎると逆 に良くないから、そこが難しいんだ。 ●一般的なポリウレタン塗装とコリングスのUV塗装との違いを教えて下さい。 我々の使用するUVは、ポリエスターレジン (Polyester Resin) という名称で、ポ リウレタン塗装とは別のものだ。 UV塗装のバリアー性と可能性は素晴らしいよ。 塗装した後も木を呼吸させてあげたい。そして良いルックスをできる限り長くキー プさせたい。 ラッカーと同じリアクションでありながら、時間が経っても外観が変 わらないギターにしたいんだ。我々のギターを見ても、おそらくみんなそこにUV 塗装が存在していることすら気づかないだろう。 ●コリングスは、構造もトーンも驚くほど均一に仕上げられています。 どうして、 こ ういったギター作りが可能なのでしょうか? それは1本ずつ違う見方で楽器を作っているからさ。 マキシマム・サウンドを出す ために1本1本を丁寧に調整している。材からフィニッシュまで全てね。厚すぎず 薄すぎず、堅すぎず柔らかすぎずさ。 ●コリングスではCNCルーターなどの最新大型機械も積極的に導入されていま す。手作業でのギター製作と、機械を使ったギター製作とでは、サウンドに違いが ありますか? 手作業では時間が掛かり効率が悪い作業に関しては、当然機械を使っている。そ の方が正確かつ時間が節約できるからね。ただし、サウンドを決定する部分は全 て手作業だ。我々は最新の機械も使うが、ハンドメイドさ。 るトラブルが増えてきた。 ブレイスをタイトに作りすぎたが故にね。 これが50年代 マーティンのタイトなトーンの要因さ。確かに良いリズム・ギターではあるが、40 年代と比べると音量は小さめでトーンはあまりクリアではない。私はスカラップド・ ブレイシングの方が好きだね。 ❹ 医者に ルーズであって欲しいかい? ●マーティンやギブソンのヴィンテージ・ギターには個体差があり、ある意味でル ーズに作られています。それに対して、 コリングスはとても高い精度で作られてい ますね。 ブレイシングや全体をタイトに作ることにより、はじめてサウンドをマキシマムな 状態に持っていける。そして時間が経つにつれてサウンドはさらに良くなっていく。 ルーズなギターの場合は、たまたまラッキーなこともあるかもしれないが、それは 1本や2本の話だと思うよ。もし医者が君にオペをするとして、その医者にルーズ であって欲しいかい? ホンダを買う時に、その車がルーズであって欲しいかな? それと同じだよ。 ●ヴィンテージ・ギブソンは、ある意味で緩く作られていることでブーミーなギブ ソン・トーンになっていますが…。 まあ時にはルーズに作られたギターが魅力的に思えるかもしれないが、我々のギ ターにはあまり欲しくない要素だね。 でも、それと ブーミーに鳴る こととはちょっ と違うよ。材の選択やクォーターソウンが甘かったりと、色々な要素が関係するか じることもあるだろう。 でも我々は、弦を弾くと同時にはっきりとしたサウンドが出 る、良いトーンとレスポンスが欲しいんだ。ルーズさだけなら欲しくないね。 ●コリングスのマホガニー・モデルは他メーカーと一線を画していて、 シャープで どっしりとした深いトーンが魅力的です。 これはどのような構造や仕様から作られ るのですか? やはり木材の選択が大きく関係していると思う。それからボディ・バックの厚みに も関係している。 もちろん塗装が薄いこともね。私が理想としているのは、 ちょっと 弦に触れるだけで、良い意味でのルーズさと素早いレスポンスがあるギターなん だ。ルーズ過ぎるギターは、強いインプットに対してあまり大きなサウンドが出な い。 ●ギターをデザインする時に、 ピッキングの強さをどのように想定していますか? それはモデルによって異なっている。例えば、 Dタイプはミディアム・ゲージを張っ てフラットピックで弾く、ある程度ヘヴィな演奏を前提にしている。 ライト・ゲージ ではない。 もちろんライト・ゲージを張ってフィンガーピッキングする人もいるけど ね。 ら。一口に ギブソン・トーン と言ってもかなり幅がある。特に30年代はね。 あの時 ●個人製作家などのデリケートなフィンガースタイル専用ギターに関しては、 どの 代は確かにルーズに作られていた部分もあったが、20年代のギブソンのクラフト ように思いますか? マンシップは最高だよ。特にマンドリンやバンジョーは素晴らしい。まあそれと比 ●面白いんじゃあないかな、 マーケット的にも良さそうだし。 ただあまりデリケート べるとギターは多少ルーズだったのかもしれないね。 もしも我々の作るものがキャ に作られたギターは、長い時間が経つとどうなるか分からないが、今エンジョイで ンプ用のギターだったら、ルーズでも良いのかもしれないけどね。ルーズ という きるのならそれはそれで良いと思うよ。でもライト過ぎるギターは限られたトーン 言葉には色々な意味がある。 コリングスも時が経つとある意味ではルーズに感 しか得られないと思うんだ。 しかし我々のギターは色々なトーンが得られる。 ❺ トーンを狙っているわけではない。 コリングスのハイエンドさは一生低下しないは ずだよ。例え他のメーカーが同じような方法でギターを作ったとしても、同じ結果 は得られないね。我々は長年そのことに注意を払っらってきたし、そのマジックを ギターに注ぎ込んでいるからね。材一つ一つを喧嘩させるのではなく、共同させて ひとつのユニットにするんだよ。 トップが強く、バックが薄く作られていたら振動は バックが吸収してしまう。 すべてが結果的に無駄な努力になってしまうよ。 まあ、 こ れがギター作りのあるべき姿なんだよ。 ●コリングスが楽器によって使い分けている、 「ヴァーニッシュ (アルコール系ニ ス)」 「ラッカー」 「UV」塗装によるトーンの違いを教えて下さい。 ヴァーニッシュ塗装は特定の周波数がカットされない。そして特定の周波数のオ ーバートーンがプラスされてくる感じかな。マンドリンではキラキラした低音域と ある程度音域が抑えられて丸くなる印象がある。 ラッカーはもっとフォーカスされ ていて尖った感じだけど、マンドリンのヴァーニッシュではもっと丸く甘い感じに 仕上がる。 どの塗装にするかは、基本的にギターを塗装でどうしたいか、 というこ とさ。振動を制限するのか、 トーンを高めるのか、塗装によって異なるトーンが生ま れるから、我々はそれぞれ必然性があってその塗装を選んでいるんだ。 ●良いサウンドボードの材を選ぶ時のポイントを教えてください。 まず、あまり木目の幅だけでトップ材を選ばない方が良いんだけど、木目がタイト 過ぎると音が制限される傾向があるから、 ある程度幅があった方が良いと思う。 ま た、木目は真っ直ぐの方が良いし、クォーターソウンであることも大切な要素だ。 その方が材が堅くて良いサウンドが長持ちするから。 トップ材で重要なのは、実は 木目の白い部分の堅さなんだ。一番ソフトな部分、肉の部分が堅ければ堅いほど 良いと思う。そこから我々の理想とするトーンが生まれる。 ●コリングスのDタイプがマーティンよりもわずかにスケールが長いのは何故で ●素材としてのブラジリアン・ローズウッド材に対する、あなたの考えを訊かせて すか? 下さい。 3/32インチ(約2.4ミリ)ほど長いね。まあ、別にこれといって大きな理由はない 個人的には大好きな木材だよ。でもブラジリアンなら全てが素晴らしいというわ よ。結果的にそれがクリアなトーンや低音域によりパワーを与えているのかもしれ けではない。やはりその中から良いものを選ばないとね。私はブラジリアンの持つ ないが、 だからそうしたわけでもない。昔からそうしているだけなんだ。 美しさ、そしてトーンが大好きだ。 しかし、他にも優れた木材や素晴らしいキャラク ●アコースティック・ギターにおける寿命について、あなたの考えを教えてくださ い。 さっきも話したが、ギターが早く寿命を迎えるのは、 ライトに作りすぎている場合 が多い。我々はある程度時が経つとさらに良く鳴ってくるギターを作っている。 こ れは的を得た良い質問だよ、本当に (笑)。私が言う ライトなギター とは、例えば ブリッジプレートがライトに作っててあるようなギターのことだ。そういうギターは しばらく使っているとトーンがつぶれてソフトになる。ボディ・バックやネックがラ ターの木材があるから、 ブラジリアンがどうしても入手できないのであれば、他の 材を使用するしかない。最近注目されているマダガスカル・ローズウッドはとても 美しい材で、 これも良いね。 ブラジリアンよりもっと濃密な印象かな。サウンドもダ イナミックでファイン・トーン・ウッドだよ。 マダガスカルとインディアンを比べると、 インディアンの方がもっと柔らかくダイナミックで、 マダガスカルはもう少し堅くも ろい印象がある。板材を叩いてみるとかなり音が違うのが分かるよ。 まあ善し悪し と言うより、 キャラクターが違うんだ。 イトなギターにも同じことが言えるね。音を発射せずに吸収してダークでつぶれた ●コリングスのホームページによれば、 あなたはトム・エリス、 マイク・スティーヴン ようなトーンになるんだ。多くのクラシック・ギターの寿命は25年ほどで、 フラメン スとギター・ショップをシェアする形で会社をスタートしたと書かれています。今で コ・ギターはおそらく5年くらいだろう。 フラメンコ・ギターはかなりライトだけど、 も彼らと仕事のつきあいはありますか? スティーヴンス・ギターは、一部コリン あれはスナップが欲しいからあえてライトに作っている。そのスナップを失った時 グスとテイストが似ていますが…。 点で、 よくフラメンコの世界では 死んでいる と言うんだけど、スパニッシュ・ギタ ああ、今もつきあいはあるよ。 トムはコリングスのインレイワークを手伝ってくれて ーとしての寿命を迎えるのさ。 コリングスはそうならないようにもっと質量を増や いるしね。 また、 マイクは世界的にも優秀なクラフトマンだ。製品のテイストもちょ して作っている。 いつまでも最高のサウンドが出せるようにデザインしているし、そ っと似ているね、特にアイボロイドとプラスティック・パーツなどは共通するテイス うなることを望んでいる。ギターが出来上がったその日から素晴らしいレスポン トがある。マイクはコリングスで1年半働いたことがあって、彼から学んだことも ス、 トーンが得られ、 日が経つ程どんどん良くななって行く…。そしてそのギターが 多々あったよ。 どちらも素晴らしいクラフトマンだし、素晴らしい才能の持ち主だ。 50歳∼75歳くらいになった時、それ以上変化しないことを望んでいるんだ。もち ろんそれはギターが正しくケアされた状態であって、天候の変化が余りないこと が前提だけどね。我々は最初からちゃんと木材の質量を計算して、充分注意を払 って製作している。必要以上に薄く軽く作ったスイートなサウンド、ベーシーな ●新しいギター・メーカーやギター製作家の中で、近年あなたが意識しているの はどこでしょう? ないね(笑)。いやいや冗談だよ、私は全てではないが、ほとんどのギター・メーカ ーやギター製作家達をリスペクトしている。皆それぞれにベストと尽くしているか ❻ らね。例えば、デイナ・ブッシュワーは最近凄く良いギターを作っている。我々とは ●ソリッド・ギターの製作にこれほど手間と時間をかけるのは何故ですか? それ デザインやコンセプトは違うが、彼らの製品を見ればパッションを持って作ってい はコリングスだからだよ (笑)。 るのが伝わってくる。 ●あなたが個人的に好きなギタリストを教えてください。 あまりにも多すぎるな(笑)。 ドレッドノートを使用してるプレイヤー、 フィンガース タイル、 フラットピッキング、それぞれに好きなギタリストはいるよ。OMプレイヤ ー、Oプレイヤー。演奏スタイルやジャンルによっても素晴らしいプレイヤーはたく さんいる。 さっき言った ルーズ の話と同じで、それを一言で答えるのは難しいね。 そう言えば、君が言うルーズなギターのトーンというやつを今度ぜひ聴いてみた いよ。そうしたらそれらがどうやって作られていて、何故その音が生まれたかが説 明できると思うんだ。バックがルーズだとそのルーズな音にはなるけど、時が経つ とどんどん音量が減っていく。我々が作りたいのは、10年、20年という時間の経 ●コリングスにはギブソン・スタイルのラインナップが多いですが、 フェンダー・ス タイルのギターに関してどのように考えていますか? フェンダー・ギターは素晴らしいサウンドだし、大好きさ。 でも製品を作ることを前 提に考えると、市場にレプリカ製品が多すぎるよ。 また、それらは我々でなくてもで きることなので、 カーブトップのいかしたなギターを作ろうと思ったのさ。 ●ブリッジやピックアップなどのパーツをオリジナルでデザインする予定は? ブリッジなどは作る予定がある。あとチープなパーツならいつでも作れるよ、 プラ スティック・パーツとかね。ただしそれをコリングスに使用するかはちょっと迷うと ころだけどね。 過と共にトーンが成熟していくギターなんだ。 これまで私がヴィンテージ・ギター ●ピックアップがトーンに与える影響は大きいですが、 ヴィンテージ・ギブソンでは で聴いたキャラクターのすべてが我々のギターにあって欲しいと考えている。だか ピックアップは特にルーズに作られていて、それ自体が楽器のようにマイクロフォ らしっかりと作らないと、今のヴィンテージ・ギターのような素晴らしいサウンドに ン効果を生み出しています。 このようなルーズなトーンを再現することは考えてい はならないんだ。 ませんか? それは コリングスだからだよ (笑) ●ではここで、エレクトリック・ギターに関して伺います。 コリングスのエレクトリッ クは、 アコースティックと同じくハンドメイドで製作されています。エレクトリック市 場におけるハンドメイド・ギターの有利性はどこにありますか? マイクロフォン効果というのは、 ノンワックス、 ノンポッティングだからなんだ。今使 用しているジェイソン・ローラー・ピックアップはノンポッティングだけど、それほど ルーズには作られていない。 でもかなりエアリー感があるよ。ポットするとそのエア リー感が無くなってしまうからノンポッティングの方が良いと思う。 ただし、 きちん と作られていないと持たないけどね。 ハンドメイドはそのギターのために選んだ最適な木材を使用できるし、 ピックアッ ●コリングスは、丸くて粘っこいギブソン・エレクトリックとは違ったトーンを狙っ プなども最適なものを個々に選べるから、我々が理想としているヴィンテージ・ト ているのでしょうか? ーンに近いニュアンスが得られる。 クリアなトーンで、高音域が出すぎず低音域も もちろん違う所を狙っているよ。 スケールも違うし、我々のギターはもっとクリアな しっかりと出るギターを作れるよ。ひとつ言っておくが、エレクトリック・ギターを トーンが出る。 もっとエアリーだし、木材を厳選しているから高音域が出すぎず丸 選ぶ時は、 アンプを通したサウンドだけではなく生音をしっかり聴いた方が良い。 ●ギブソンのES-335はプライウッド製ボディを採用していますが、多くの人はそ のトーンを好んでいます。それに対してSOCO DLXのような単板削りだしのモデ ルは、 どんなところが優れていますか? 確かに君が言うとおりさ。58年代、60年代のプライウッド・ギターのトーンは素晴 味があってバランスの良いトーンが出せる。木材とピックアップのバランスをひと つひとつ完璧に近い物として完成させているからね。だから80年代ハードロック・ スタイルのギターとはまったく違う。カラッとしたハードエッジなサウンドではな く、エアリーでやや丸味があるサウンドさ。我々は軽めの材、良質のホンジュラス・ マホガニーを使用している。50年代に使用されたのと同じような木材をね。 らかった。理由はよく分からないが、 とてもアコースティックな面が感じられる。 し ●アコースティックとエレクトリックの開発や製作で、意識的に変えている部分は かし80年代以降は、そのトーンやチャームは無くなってしまったんだ。全く違うサ ありますか? ウンドになった。SOCO DLXの開発はかなりのチャレンジだった。あのモデルは 基本的にアプローチは一緒だよ。ただしアコースティックはトップ厚さやブレイシ 50年代のセミアコースティック・トーンを再現すると同時に、 もっとクリーンなトー ングを調整することによってトーンをある程度調整できるが、エレクトリックはそ ンも狙っていたからね。開発にはかなりの時間をかけたよ。 ピックアップとのマッチ れができない。だからより材を的確に選ぶことが大切なんだ。途中で調整がきか ング、エアリー感、センター・ブロック、 プレイアビリティ、ハウリングを抑えること、 ないから。 そして美しさとクラフトマンシップ。全てを内包した満足できるギターに仕上がっ た。 ●コリングスには、 フルディプスのエレクトリック・アーチトップ・モデルが見あたり ませんね。 ●ジェイソンのローラー・ピックアップを使用している理由は? 自分ではそういうギターの必然性がいまひとつよく分からないんだ。 アーチトップ ピックアップを選ぶにあたって、50種類もの製品を試したよ。その中でジェイソン でソリッド・ボディ、 シングルコイル・ピックアップのモデルは作っているけど。 フル の安定感、エアリーな感じが気に入ったんだ。 とてもレスポンスが良い。私は良い ディプスのエレクトリック・アーチトップは、本当にプレイヤーの一番好むギターな 木材の持つクリーンなトーンが好きなんだ。 のか、それともたまに弾きたくなるギターなのかがよく分からないんだよ。それに ●エレクトリック・ギターもあなたが全て開発していますか? あなた以外に開発 担当者はいますか? また、狙っているエレクトリック・トーンは? バンドで使うのにはハウりやすいからあまり向いてないしね。だから我々のマーケ ットとしては見ていないんだ。 アコースティックの弦楽器は全て私が開発している。 しかし、エレクトリック・ギタ ●エレクトリック・ギターもアコースティック同様に高い精度で作られていますが、 ーに関しては、エレクトリック担当のアーロンの意見や色々な人の意見も聞くよ。 フレットの仕上げなどには違いが見られます。 アコースティックとエレクトリックで 狙っているトーンは、 やはりクリーンさだね。 は、担当するビルダーが別れていますか? ❼ こで働いているスタッフも胸張って働いているから、 コリングス・ギターのオーナー もきっと胸張って弾いてくれていると思うよ。 確かにフレットはエレクトリックの方が太いし、ハイドグルーで接着している。 でも 作業は同じビルダーが行っているよ。 ●エレクトリックでは、音に加えてフレイム・メイプルといった木目にも人気が集中 しています。 プレーンなメイプル材に対して、 フレイム材のトーンは異なりますか? フレイム・メイプルかどうかよりも、ハード・メイプル、 ソフト・メイプル、 ウェスタン・ メイプルかどうかの方がサウンドに関係しているね。確かにフレイム・メイプルは人 気があるが、問題はハード・メイプルかどうかだ。ハード・メイプルは高音域が豊か で堅いトーン、堅い低音域も出る。 これに対してイースターンはもっと柔らかいトー ンになる。重要なのは、その材の重量と密度だね。 ●エレクトリック・ギターをデザインするにあたり、歪んだトーンも想定しています か? いや、あくまでクリーンな状態を作ることを考えている。 アコースティックなトーン が良ければ、 どんなドライブをかけても問題ないからね。 ●あなたにとって、理想的なギターとは? 理想的なギターは皆を微笑ませることができるギターなんだろうけど、結果一人 のオーナーを微笑ませるだけで良いんじゃないかな。万人が喜ぶ音しか出ないギ ターなんて、面白くないよ。 ●ギターの製作家としての夢は何ですか? 私の夢は、 この工場がちゃんと機能できて、 ここで働いているスタッフにいつまで も楽しみながら仕事をしてもらえることさ。そしてコリングス・ギターが世界中のユ ーザーに満足してもらうことだね。製品のクオリティに関しては、最近はかなり伝 わってきたようだから、 ある意味ではすでに夢は叶っているのかもしれないね。 こ Player誌 2010年2月号より インタヴュー全文を抜粋しております。 Copyright(c) 2010 Player Corporation. 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