PDFファイル - TRY 北海道から海外教育旅行

海外教育旅行促進事業
海外教育旅行促進事業
旅行先現地調査レポート
旅行先現地調査レポート ハワイ(3泊5日)
ハワイ(3泊5日)
北海道札幌国際情報高等学校 教諭 佐藤 和恵
1頁
北海道岩見沢農業高等学校
教諭 齋藤 克幸
6頁
北海道室蘭栄高等学校
教諭 横山 則幸
12 頁
札幌大谷中学校高等学校
教諭
14 頁
金吉 美佳
2015.01.
道内空港を利用した海外教育旅行促進事業
①旅行先現地調査 ハワイ(3泊5日)
日
次
月
日
地
名
時
間 交 通 機 関
ス ケ ジ ュ ー ル
2 1 : 1 0 H A - 4 4 2 空路、ホノルル空港へ
10:10
※集合は新千歳空港 19:10
1 1 : 0 0 専 用 バ ス 到着後、ワイキキ市内の循環バス等の説明
イ 昼
食
【ホノルル市内研修メニュー調査】
13:10
ヌアヌ・パリ、パンチボール、カメハメハ大王
像
15:30
ホテルチェックイン
自由見学
夕
食
パシフィックビーチホテル【泊】
イ 0 7 : 0 0 専 用 バ ス ホテルを出発しノースショアへ
【農園ツアー調査】
08:45
・Poamoho Organic Produce(果物園:
マンゴー、パパイヤ等その他多数)
09:45
・Na Mea Kupono(タロイモ水田)
新 千 歳 空 港 発
ホ ノ ル ル 空 港 着
1
2
ハ
ワ
ハ
ワ
7/30
(水)
7/31
(木)
11:00
・Mohala Farm(野菜農園)
昼
食
13:30
【学校訪問】カフク高等学校
15:30
夕
ハ
ワ
パシフィックビーチホテル【泊】
2コースに分かれての視察
日 混乗バス
8/1
(金)
8/2
(土)
①【ハワイの歴史・文化の研修メニュー調査】
午前:自由行動
午後:ポリネシア文化センター
②【ハワイ島研修メニュー調査】
午前(9:25 ホテル出発)
空路、ハワイ島へ
キラウエア火山国立公園
イ
10:00 専 用 バ ス
11:00
ホ ノ ル ル 空 港 発
13:20 HA-441
ハ
4
食
イ
終
3
ハワイFM局出演
自由見学
ワ
パシフィックビーチホテル【泊】
ホテルからホノルル空港へ
チェックイン
ホノルル空港出発
(仙台空港経由)新千歳空港
【機内泊】
新 千 歳 空 港 着
5
8/3
(日)
19:00
新千歳空港到着
※到着ロビーにて解散
旅行先現地調査レポート
ハワイ(3泊5日)
北海道札幌国際情報高等学校 教諭 佐藤 和恵
本校では、来年10月21日(水)~25日(日)にハワイへの見学旅行を予定している。その視察
も兼ねて今回のツアーに参加した。300名程度、7~8クラスでの団体旅行の場合の観点から、今回
の研修について報告する。因みに筆者は海外渡航経験20回を超えるが、ハワイは初めてである。
まずは初日、新千歳空港19:10集合ということでJRを利用し、札幌の自宅(中央区)から約1
時間で到着。成田経由と違い、時間もお金も節約できることを実感。両替所は1ヶ所のみで、オープン
は18:30からとのこと。成田のように24時間営業ではない。しかも一番必要な1ドル札は1人5
枚まで。
人数を考えると事前に5千円から1万円程度は両替させておいた方がよさそうだ。
手荷物検査、
税関通過後、機内持ち込みの飲み物が買える。現地の到着ロビーには自販機やキオスクがないので、で
きればこの段階で購入しておいた方が良い。HAには前座席に映画等を視聴するタブレットが装備され
ておらず、約10ドルをクレジット決済し、レンタルするという仕組み。無い方が翌日の行程を考える
と良い。機内は寒いくらい。長袖の上着1枚は持ち込まないと風邪をひいてしまう。
8時間ほどのフライトでホノルル空港へ。到着口から税関まで、10分程度歩く。空港はレトロ。途
中南国らしく、オープンエアになっている場所を通過する。税関の窓口は11カ所程で、新千歳とほぼ
同じくらいの広さ。
世界中から観光客が午前中に集中するため、通過するのにゆうに1時間はかかった。
千人以上はいたのでは。税関では目的と滞在日数を訊かれ、虹彩と手のひらの静脈検査後通過。税関は
生徒に是非体験させたいところのひとつ。その後荷物を受け取り場所へ。すでに荷物はグループ毎にタ
ーンテーブルより下ろされ、スペースがトランクで一杯であった。ここで大切なのはクラス毎のタグを
必ず、トランクに取り付けること。生徒は責任を持ってクラス毎の荷物から自分のものを探し、現地の
ガイドが待つ外へという流れになろうか。全体指導できるようなスペースはない。この間にトイレが少
なく、飲み物の自販機が無いことに気づく。トイレは飛行機の中で済ますよう事前指導の必要あり。晴
天。日射しは強いが湿度は日本ほどではない。外の駐車場は狭く、大型バスが8台も待機できそうにな
い。バスの中で点呼できたクラスから順に市内観光となることをシミュレーション。
ランチは市内のレストランへ。ランチタイムは11:00~16:00と長め。ランチメニューは
10ドル前後。ソフトドリンク3ドルにチップをいれて、15ドルくらいか。高校生には高いが、自主
研修時、夕食時よりはランチでチップ経験のできるレストランを体験させたいと考えながらフィッシュ
バーガーをいただく。マクドナルドだとハンバーガー5ドル、ソフトドリンク1ドルで飲み放題とのこ
と。320名が一度に入れるレストランはない。70~80名が現実的。全体で行く場合、同規模、同
予算、同内容のレストランを複数抑える必要あり。
その後、市内観光へ。昨夜眠れてはいないが、緊張の為か、時差もさほど気にならない。ハワイ大学
等ながめながら標高500mヌアヌバリ(涼しい崖)へ。カメハメハ大王がオアフ島に侵攻した際、ク
ライマックスを迎えた場所。ワイキキよりマイナス10℃で、風も強い。わずか1時間程度の移動で全
く気候が違うことを体感。クラス毎の写真撮影ができる場所もある。再び乗車し、戦死者が眠るパンチ
1
ボール等を車窓よりながめ来年宿泊予定のパシフィックビーチホテルへ。
フロントは日本の巨大な温泉旅館のように広くはない。入館率が通年90%で毎年宿泊料金が上がっ
ているとのこと。班長会議などの部屋を借りると別料金発生。部屋をチェック。ベッドが高く大きい。
ここにエキストラベッドを入れて3名がよいところか。トイレはどこのトイレも音姫やウォシュレット、
トイレ用蓋付ゴミ箱はない。
夜はステーキで有名なレストランヘ。日本人が多い。日本から行く場合は事前の予約を入れておいた
方がよさそうだ。ワイキキ沿いのブランド店や高級ホテルレストランがひしめくストリートは酔っ払い
等もおらず、治安の良さを感じさせる。ビーチでお酒を売ったり、飲んだりした場合罰金が取られるた
めらしい。夜の10時を過ぎでも昼間のような人通り。女性一人で歩いていても明るい通りから外れな
ければ問題はない。店によって営業時間の異なるコンビニエンスストアABCマートがいたるところに
ある。水99セント。お土産もここで買った方が免税店より安い。アルコール販売に対する規制が厳し
く時間と年齢制限がある。ローカルフードも販売しており、安く済ませようと思えばここで飲食物を購
入し、ビーチで食べることもできる。因みに日中、日向は強烈な日射しだが、日陰は湿度が日本より低
く、夜は心地よい気温で過ごし易い。
2日目、6:00オープンの1階のレストランへ。味噌汁もある。ビュッフェ形式。200名は収容
できる。朝食時間は9:00までなので4クラス毎、多少の時間差にすれば問題はなさそうだ。昨日同
様の天候。
マウイ島北部ノースショアの農園ツアーへ。JTBハワイのDMCのMさんと合流。こちらは観光の
ほか農業に力を入れているとのこと。バスの中で様々なアクティビティについて聞く。日系3・4世の
方に移民の歴史を聞く場合、通訳が要らないので金額的に安くつくとか、ホノルルマラソンのコースを
走ってみる。2.5ドルで公共のバスを使用し島1周できるなど、ただし日本のように時間通りではな
い。定時もあれば1時間半遅れることもある。ハワイタイムでアバウトとのこと等。マラサダ(もちも
ちしたドーナツ)発祥と言われているパン屋前で通訳のMさんと現地ガイドを待つ。現地ガイドを待つ
間、マラサダを1ドルで購入。おいしい。生徒に是非勧めたいひと品。現地ガイドの先導で、小規模有
機栽培農家を3軒視察。1軒目は人のよさそうな白人の主人が有機栽培について、畑を巡りながら丁寧
に説明してくれる。茅葺の昔ながらの小屋で黄色いリリコイという無花果のような果物のもちとサトウ
キビのジュースをいただく。規模が小さいので少人数7名程度のグループ向き。赤土は衣服に付くと落
ちないので色が濃いジャージまたはズボンにスニーカー、帽子というスタイルが良い。蚊もいる。
2軒目はポリネシア系の夫婦が経営している農園へ。湿地帯にタロ芋を栽培している。40名くらい
入れるテントで持続可能な農業、ポリネシア文化体験等、ここで可能なアクティビティについて聞く。
夫人がフラダンスやレイ作りや伝統料理を教えてくれる。キッチンはここで料理したものが販売できる
という認定も受け整備されている。主人がタロ芋の植え付けや収穫等、農園に関することを教えてくれ
る。ただし時期があるので、やりたいことを事前に伝えてほしいとのこと。60名まで夫婦二人で担当。
それ以上だと人を3~4人雇うと話していた。日本人には陽のあたらない場所が確保されないと辛いの
でテントの大きさから考えると受け入れは、40名程度か。オプショナルのひとつとして視野に入れて
もよさそう。
最後に白人の若夫婦が経営しているオーガニック認定を受けている農園へ。トイレ付の農家小屋で認
2
定の条件や飼っている動物の役割、雌のフェロモンを利用した農薬の代替物等の説明を受ける。夫人は
化学を専攻した科学者で、ご主人は石に関する建築家。アボカド、ドラゴンフルーツ、マンゴー、ニノ、
ジャックフルーツ等の果物がなっており、棘のあるドラゴンフルーツの採り方をデモンストレーション
してくれた。地元のシェフがまとめ買いしていくという。ひと通り農園を見学後、小屋で自家製はちみ
つとマンゴー、果肉が赤紫色のマンゴーを試食。マンゴーの甘さに驚く。おいしい。ドラゴンフルーツ
も甘い。時期によって収穫物は異なるが、10月だとマンゴーは大丈夫だと思うとのこと。小屋の広さ
から考えて、20名程度受け入れ可能か。
その後ガーリックシュリンプがおいしいという屋台へ。このあたりはエビの養殖で有名。トラック内
で調理され、20、30人も入れば一杯になりそうな屋根付のテーブルでいただく。店のイメージとは
異なり、揚げたエビにガーリックバターをかけた名物はとてもおいしい。マカロニサラダとご飯がつい
て約10ドル。残した場合は、分別することなくごみ箱へ。やや後ろめたい。
ここより車で約5分、目的のカフク高校へ。ワイキキのホテルから1時間20~30分かかるが、途
中の景色が美しく飽きることがない。ジュラシックパークやパイレーツオブカリビアンの撮影場所も通
過する。街のにぎやかさと異なりローカルの人々が住む穏やかな地域である。
カフク高校は中高一貫校で、約2,000名が在籍する、フットボール強豪校である。高見山や小錦
も在籍していたという。夏休みは5月中旬から7月一杯まで。来週から授業が始まるという時に訪問し
た。部活動の生徒がちらほら登校している。受け入れに積極的な日本語クラスを担当しているマーク先
生ご自身の教室で説明を受ける。受け入れは月に1回のみ。来年の10月に来校するなら、最低でも半
年前の4月には連絡してほしいとのこと。先生から直接、校長先生にお願いするとのこと。受け入れ人
数は80名程度が理想であるが、100名まで可能。以前には300名を2日に分けて受け入れたこと
もあるそう。コーディネーター兼通訳の方が、若い人はわずか半日でも仲良くなってメール交換をした
り、別れ際に涙ぐむ子もいる。双方にとって刺激を受け、学び合いになるので是非、交流訪問は実施さ
れた方が良いと勧められた。マーク先生が熱心なので2日に分けて全員経験させた方が良いと勧められ
た。交流内容は9:30から中庭で対面式、10名1グループに現地生徒(日本語が少しわかる生徒)
3、4名が対応。対面式後は文化交流。折り紙を教えたり、習字を教えたり、日本語を教えたりという
ことを中庭や日本語教室で実施。この教室は40名も入ったら一杯になる。その後キャンパスツアー、
冷房完備で体育館のようなキャフェテリアでランチ、写真撮影をし、12:00~12:30頃お別れ
という流れになる。本校がやりたいことがあれば事前に早めに伝えておいてくれれば、なるべく対応し
たいとのこと。気をつけるべきことは10月の1、2週目は現地校が1週間程度の休みになること。ス
ケジュールが毎年異なる事、雨天の場合場所の確保が難しいかなど。10月頃から雨季には入るが、8
月とあまり変わらない天候であるとホテルの売店の方は話していたが。
2日目のカフク高校からワイキキに向かう途中眠気に襲われる。時差の関係か。夕方ホテルに到着。
昨日同様と徒歩で行ける北京料理のレストランへ。ここも人が一杯。100名は収容可能。料理はおい
しい。高校生には贅沢かなとは思うが、経験させたい料理ではあった。帰り路、ヒルトンホテルにある
スタジオリムハワイへ。ここでのラジオ放送がFMノースウェーブでオンエアされている。5名程度な
ら生出演させていただけるらしい。放送に興味のある生徒に是非紹介したい場所。
3日目、朝一番のオリオリカー(JTB所有の無料巡回バス)に乗って、ダイヤモンドヘッドへ。所
3
要時間約30分。途中の景色が美しい。登山口で1ドル支払い登り約35分、下り約25分、約1時間
で観光できる。展望台からの景色はやはり素晴らしい。靴はスニーカーがよい。帽子と水は必需品。駐
車場のトイレ脇にペプシの自販機があり、クレジットカードで購入できる。その後再びオリオリカーに
乗車し、アラモアナショッピングセンターへ。ブランドショップが多数入店する巨大モール。高校生が
買えそうな GAP もある。1Fにフードコートがあるので、ここでランチをしてもよい。レストランよ
りは安く済む。ここのモールは巨大なので、オリオリカーの停留所をあらかじめ確認する必要がある。
ポイントは1階のフードコート。ここを抜けたところに各社のフリーパスバスが来る停留所がある。オ
リオリカーはフードコート抜けて右手奥。込んでいる時間帯は乗車拒否もあるし、渋滞の時間帯は時間
通りではない。余裕をもって行動する必要あり。ごく稀にオリオリカード(フリーパスカード)の提示
を求められる。
14:00、専用バスで他の観光客とともにポリネシア文化センターへ。ダンサーと料理人以外は隣
接する大学の学生がボランティアをしている。ここの利益が彼らの奨学金となる。ここの出し物のメイ
ンとなるものが 19:30から始まるポリネシアの国々のショー。それ以前は自分のペースで見学する
わけにいかず、学生により順番に案内される。ショーが終わり現地を出発したのが、21:20頃か。
途中いくつか大きいホテルを経由して宿泊のホテルに到着したのが22:45頃。率直なところ見学旅
行ではこれだけの時間をかけて必見ではないと感じた。
4日目、最終日。枕銭(チップ)1ドルを置くのも今日が最後。トランク回収が朝8:00、部屋の
中、ドア付近に置いてほしいとのこと。ドア中は珍しい。安全上の問題か。
ホテルから徒歩3分のところにあるデューク・カハナモク像前、7:51発オリオリカーで、土曜の
午前開催のKCCファーマーズマーケットへ。オリオリカーで20分くらい。日本人が多い。通りは朝
から人でいっぱい。語学研修など小集団の場合であれば来ても良い所。地元の農産物や軽食などを見た
り食べたりできる。
ホテルに戻り、ABCマートで最後のお土産を購入。免税店より同じものが2ドルくらい安い。ホテ
ルから空港まで車で25分。アクセスは良い。入国と異なり出国は手荷物と税関の審査が同時にあっさ
りとできる。13:20発、仙台経由で新千歳着約18:40。仙台を経由しなければ1時間は短縮で
きる。来年は貸し切り状態なので、仙台は経由する必要がない。
最後に今回のツアーを通してハワイ見学旅行の意義をまとめてみた。結論から言えば、本校の学校教
育目標であるグローバル人材の育成という点から、その登竜門としてハワイは適任地であると考える。
その理由として、以下の点が挙げられる。
① 治安の良さ。ビーチで酒類を販売すると罰金が科せられるため、酔っ払いはいない。いたって
健全。
② アロハの精神で人々にホスピタリティーがあり、海外旅行初心者に好印象を与える。
③ 日系人やポリネシア系は多いものの多様な人種の人々が存在する。
④ チップの文化を体験できる。
⑤ 観光地ならではのハイセンスな場所と、自然豊かな場所が比較的短時間で味わえる。
4
⑥ 事前学習を実施した上での平和学習ができ、ポリネシア独自の文化体験ができる。
⑦ 観光だけなら初級英会話力で十分対応でき、授業での成果を実際に活かせる。
⑧ 10月下旬実施だと、計画的に進めれば、地元の高校生と触れ合う機会に恵まれる。
⑨ 時差(-19時間)がさほど気にならない。
個人的にはハワイへの見学旅行というのはやや懐疑的であったが、今回の研修を経て、特定の生徒だ
けではなく、全員に経験させたいと強く感じた。感性の瑞々しい時期に、ハワイの美しい自然とおもて
なし精神は彼らの心に焼きつき、将来のリピーターとなるに違いない。
要望事項として、教育旅行のモニターツアーであれば、ポリネシア文化センターは抜かしてもやはり、
平和教育に関する博物館等やハワイ大学の見学も行程の中に盛り込んだほうが良かろう。
最後にこのような貴重な機会を与えてくださった関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。
5
旅行先現地調査レポート
ハワイ(3泊5日)
北海道岩見沢農業高等学校
1
教諭 齋藤 克幸
現地調査先
ハワイ
2
日
程
平成26年7月30日(水)~平成26年8月3日(日)
3
本校での視察目標
(1)SSH海外視察研修において適切な視察先かどうかの検討をする。
4
①
7学科実施の課題研究における、巡検による海外事例の理解および技術の習得をする。
②
世界に貢献できる国際性の向上。
視察内容
(1)交通機関について
①
新千歳空港(ハワイアン航空)
19:10
集合
19:30
チェックインカウンター、出国手続き
20:35
搭乗
21:10
出発
9:35
10:45
(出発2時間前)
到着、入国審査、税関
空港バス乗り場
(ア)出発ロビーが広く集合が容易である。
(イ)札幌近郊の学校であれば午後出発が可能、夕食は早めの軽食が最適である。
(ウ)新千歳空港を夜に出発、ホノルル空港は午前中到着。特に時差による体調不良等は無かっ
た。出発→機内食(夕食)→消灯→機内食(朝食)→到着
(エ)入国手続き後、11時にはバスに乗車可能。
①空港内はトイレが少なく、着替え場所がない。
②冬の実施は、到着後上着を脱いだら半袖等になれるよう
な工夫が必要である。
③昼食をかねて休憩を取れば、午後の研修が可能である。
②
ホノルル空港の外ロビー
ホノルル空港(ハワイアン航空)
10:00
ワイキキ地区ホテル発(出発2時間前)
10:30
ホノルル空港着、出国手続き、買い物可能
12:42
搭乗
13:20
出発
16:20
仙台空港到着
18:25
新千歳空港着、入国審査、税関
18:50
到着ロビー解散
6
(ア)ワイキキ地区のホテルは、空港が近く交通の便がよい。しかし、午前中の研修は時間が短
いので工夫が必要。報告者は、早朝マーケットを見学した。
(7:22 発バス→7:50~8:50KCC マーケット→9:00 ホテル着)
(イ)チェックインカウンターが混雑している。
(ウ)空港内DFSは充実しており、お土産等の買い物が可能である。
(エ)ホノルル空港を午後に出発、新千歳空港は夜に到着。飛行機内で寝なければ、特に時差に
よる混乱は無いと思われる。
出発→機内食(夕食)→消灯→機内食(朝食)→到着
※すぐ夕食があるので、空港での昼食は不要である。
③
オアフ島内
(ア)クラス単位で移動するなら、大型バスが必要。道路状況が
よく、
高速道路が整備されているので、移動時間が想定できる。
→鉄道とモノレールはない。
(イ)ワイキキ地区での自主研修は、各旅行業者等が各自で運営
する無料巡回バスを利用すると便利である。
※旅行業者によっては便数や運行状況が違うので確認が必要
旅行業者の無料巡回バス
である。
(ウ)タクシー運賃の支払におけるチップの金額に注意が必要で
ある。
(2)食事について
①
北海道の市街地に比べてやや高価である。
・昼 食
レストラン$15~、
マクドナルド$10~、
スーパーの弁当$10~
・ソフトドリンク 500ml$3~
フィッシュバーガーセット$15
② 食事の量は多めで、味は一般的であった。
③ 人気レストランは非常に混んでおり、予約が必要である。
④
レストランでの食事は、チップが必要である。
⑤
レストランでの夕食時間は、早めの開始が良い。
→カラカウア通りは賑やかで、ショップが多く夜の自主
研修も可能だと思われる。
(3)治安および生活の留意点
①
世界中からの観光客が多いが、メインストリートや主要施
20 時頃のカラカウア通り
設での治安の不安は感じられない。また、夜8時においても
不安を感じることがなかった。
②
日本人における対応に、非常に慣れている。
③
ホテルによっては、フロントに日本語対応者が常駐や、旅
行業者のラウンジがあり、対応がスムーズである。
④
飲食店、ホテルベッドメーキング、タクシーなどにチップ
7
12 時頃のカラカウア通り
が必要であり、事前学習が大切である。
⑤ ワイキキビーチでの飲酒は禁止である。
⑥ 道路の横断、信号無視の違反は非常に厳しく、約$200 の罰金となる。
(4)連絡手段
①
引率教員は、現地で使用可能な携帯電話と携帯 Wi-Fi ルーターがあると便利。
(旅行業者と協
議が必要)
→携帯電話:緊急時の通話
→Wi-Fi ルーター:G メール等が使用可能(自分の携帯電話を機内モードで使用可能)
※自分の携帯電話を海外で利用可能にすることも可能。
(設定・使用料金の発生)
② ホテルによっては、館内無料 Wi-Fi があり利用可能である。
③
生徒との緊急連絡手段に工夫が必要である。
→生徒が、自分の携帯電話を海外利用設定していない時
→ホテル外、携帯 Wi-Fi ルーターなしの場合
(5)施設見学等
(教育効果が)◎非常に高いと思われる
○高いと思われる
△あまり思われない
×思われない
①
市内観光
■所要時間:2時間程度(貸し切りバス・車窓)
【7 月 30 日(水)14:00~15:40】
(ア)ヌアヌ・パリ【◎】
・ハワイの地形、環境を理解することができる。集合写真が
可能。地形や歴史など事前の十分な説明が必要。
(イ)アンチボール、イオラノ宮殿、カメハメハ大王像など【◎】
・今回は車窓からの見学であった。時間がない場合は、車窓
からでも可能だと思われる。
・ハワイの歴史を学ぶ場合は、時間を掛ける方が良い。
②
ダイヤモンドヘッド登山【○】
ヌアヌ・パリ
■所要時間:3 時間程度(ホテルから無料巡回バス)
【8 月 1 日(金)7:30~10:10】
・ホテルから、旅行業者の無料巡回バスを使用して行くこと
が可能。
(片道約 20 分)
・軽登山であり日差しがきついため、スニーカー、帽子、両
手を空ける(ショルダーバック等利用)
、水、タオル、着替
えがあると良い。
・ハワイの地形と軍用地などの歴史を理解することができる。
③
買いもの
眺めと海風が気持ちいい登山道
(ア)ABCストアー【◎】
・ワイキキ地区に店舗が多数あり、食料品やお土産、ビーチグッズを購入するのに適した店
であり、日本におけるコンビニ的な存在。
8
(イ)DFS(免税店)
【△】
・ブランド品やハワイ名産の食料品(お土産)を販売。
・日本語対応が可能である。
(ウ)スーパーマーケット(ドン・キホーテなど)
【◎】
・食料品、雑貨、安価なお土産(チョコ)などが売られて
おり、お得感がある。
・観光客はあまりいない。
・ハワイにおける食の調査に最適。写真や調査等の事前許
可がとれば学習がしやすい。
ドン・キホーテ
(エ)アラモアナセンター【○】
・ブランド販売店や雑貨、お土産、飲食店があるショッピングモール。
・生徒が購入するにはやや高価なものが多い。
・目的を持って買いものをしないと時間の無駄が生じる。
(オ)KCCマーケット【◎】
・土曜日午前中のみ実施。
・有名になりすぎて日本人観光客が非常に多い。有名な屋台
は列が長く、購入は困難である。
・農産物販売や飲食物の屋台があり、ローカルな食文化を理
解することができる。
・朝食をとることができるが、その場合、十分な見学時間が
KCCマーケットの入り口
必要である。
(1時間30分~2時間程度)
④
ワイキキビーチ【◎】
・ビーチに面しているホテルであれば、ホテルからTシャツ、
水着、ビーチサンダルでビーチに行くことが可能である。
(着替え、貴重品の持ち歩きをしなくてもよい)
・上記の服装でカラカウア通りを歩いている人が多い。
・ビーチ用バスタオルを、無料貸し出し可能なホテルあり。
・ビーチ出入り口に無料シャワーがあり、利用可能である。
・ライフセーバーが常駐している。
観光客で賑わうワイキキビーチ
・催し物が常時行われているように見受けられた。
⑤
ポリネシア・カルチャー・センタ-(スタンダードパッケージ) 【△】
■所要時間:半日から終日(送迎バス)
【8 月 1 日(金)14:00~22:45】
・センターの送迎バスでワイキキから片道約1時間。
・ポリネシア文化などの理解が可能である。
・夕方の入場は、アトラクションや各島のステージの見学が
限定される。
・夕食バイキングはポリネシアンフードもあるが、品数と味
は一般的であった。
・イブニングショーのステージは見応えがあり素晴らしい。
9
HA:ブレス・オブ・ライフ
・終了後のホテル着が遅いので(22:45)
、スケジュールに余
裕がない場合は、次の日の活動に支障があると思われる。
⑥
カフク高校との交流 【○】
■所要時間:半日(貸し切りバス)
【7 月 31 日(木)午後】
・カフクまで片道約1時間。
・日本語コースがあり、日本語、文化の学習が盛んである。
・日本の高校との交流会を多数実施しているため、独自の
受け入れプログラムがある。
(例 9:00~12:00、ランチ可能)
・受け入れは基本的に一ヶ月1校で、半年くらい前まで申
し込む必要あり。100 名程度まで可能。
カフク高校日本語コースの教室
・FFAがあり活動している。
⑦
農業関係 【◎~△】
■所要時間:半日から終日(貸し切りバス)
【7 月 31 日(木)6:45~午前】
ワイルワ地区まで片道約1時間30分。
(ア)Mohala Farm(野菜農園)
(1時間程度)
【△】
・6エーカーの敷地に、野菜と果樹を栽培しているオー
ガニック農場。雑草が多い。
・農場主、従業員、実習生を含めて5~6人で経営。
・土作りのために、腐葉土、コンポスト、緑肥などを活
用している。
・生産物はファーマーズマーケットやホールフーズに出荷。 キャベツ等を栽培、かん水チューブ設置
・生徒の視察受け入れ可能。当日は、YMCA体験ツアー
を受け入れていた。
(イ)Poamho Organic Produce(果樹園)
(1時間~)【◎】
・7エーカーの敷地に、果樹(アボカド、マンゴー、ラ
イチなど30種)を栽培しているオーガニック農場。
管理が行き届いている。
・農場主(夫婦)の2人で経営。
・生産物はホテルやファーマーズマーケットなどに出荷。
・生徒の農業体験や視察受け入れ可能である。
管理が行き届いている果樹園
(ウ)Na Mea Kupono(タロイモ水田)(2時間~)
【○】
・ハワイアンカルチャーと農業を伝える活動を行っており、
タロイモ栽培、加工体験ができる農場。
・農場主、スタッフの3~4名で運営。
・生産物(タロイモをすったもの)は、マーケットで販売。
ハワイで有名である。
・生徒の農業体験や視察受け入れ可能である。
(最大80名)
10
わかりやすい説明
⑧
その他(現地旅行業者から)
(ア)各地でファーマーズマーケットが開催されている。(曜日と時間の確認)
10名単位での、現地ガイドにおける説明が可能である。
(イ)ボランティアやインターンシップも可能である。
(ホノルルフェスティバル、ホノルルマラ
ソンなど)
(ウ)ABCプログラムでは、ローカルな人とアクティビティが可能である。
(エ)時期により、学生寮やコンドミニアムも使用可能である。
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まとめ
生徒一人当たりの金額が不明であるが、直行便を利用することで移動でのロスがなく非常に楽であ
る。また、語学の習得、治安、施設見学、農業視察、高校との交流などが出来ることから、見学旅行
地としては最適であると考える。
本校におけるSSH海外視察研修実施については、今後、農業関係者からの講話や大学・高校との
共同研究が可能かどうかを確認し、候補地として適切であるかを最終検討する。
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旅行先現地調査レポート ハワイ(3泊5日)
北海道室蘭栄高等学校 教諭 横山 則幸
北海道からの直行便を利用したアクセスの良さと治安面を考慮しても適切な研修地であると言える。観光地
としてのイメージが強いが、自然、歴史、環境、文化、
語学、農業、平和教育、日系社会などあらゆるテーマ
に対応した研修が可能である。英語はもちろんのこと
高度な専門分野においては、日本語でも対応できる
人材を確保できるのではという印象を得た。高校間交
流では相手校のスケジュールに合わせるのは、なか
なか困難である。ハワイの高校では、8月初旬が学
年の始まりであり、この時期に現地校が国際交流的
なプログラムを特別に組むのは期待できない。この点
では、大学生との交流が現実的でありさらにアメリカ
の高校生のレベルが一様でないことから、本校生徒
には大学生が適任である。ホノルルのホテルの年間
稼働率は約9割で、ホテル代は上昇傾向にある。よって、大学の学生寮やホームステイが安価で費用の面でも
抑えられる。ただし、ハワイ島では、ホームステイは不可であると聞いた。ホノルルからのキラウエア火山のツ
アーに参加したが、ガイドは単なるツアーガイドで専門家ではない。有珠山の巡検を経験している本校の生徒
の知的好奇心を満足させるには程遠い。天候が一日中、雨で十分に視察できなかったが、海辺に達する溶岩
流の台地は誰をも圧巻するスケールであり、一見の価値があった。
現地3泊では、時差ぼけもあり調査と言える
ものは困難であった。例えば、見学旅行が3泊
だから調査もそれに合わせるというのではなく、
最低でも1週間くらい取って、現地事情やその
分野に詳しい人と接触して、実際に足を運んで
確かめる必要がある。さらに、単なる観光型の
修学旅行と SSH のように特定のテーマをもった
研修旅行では、扱いが全く異なることを痛切に
感じた。定番の観光型であれば、どこの業者で
も安全でサポート体制がしっかりしていればそ
れでよい。しかし、研修テーマが特別であれば
あるほど、成功の可否を握るのは現地のコーディネーターの存在で、業者はその手配力を問われる。今回のツ
アーでは、ノースショアーの農園を3か所回った。JTB ハワイ⇒Ribbon Productions⇒アメリカ人女性⇒農園と
いうように中途に複数の人間が入り、ものごとが運ぶことがわかった。本校の SSH のニーズを満たすためには、
ハワイ島に1泊は最低必要であったし、ハワイ島の火山や天文台等のコーディネートを得意をとする人と会い、
視察研修、語学研修のアレンジや宿泊に関する情報を得られればと思った。英語圏であるハワイは、語学習得
や国際交流はもちろんのこと、多様なテーマに対応できるユニークな存在であり、価値は大きい。明白なテーマ
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のもと、本校での事前事後の指導と現地でのアレンジがマッチすれば、SSH の目的を遂行できる適地であると
言える。
新千歳空港から約8時間で行けるハワイは、
北海道にとって最も近い英語母国語圏である。
英語を中心とした異文化体験を生徒に経験させ
たいのであれば、適地の候補に間違いなく上が
る。さらに、温暖な気候で過ごし易く軽装で行動
できるメリットはお金に代えがたく、楽しさを倍増
させると言える。高校生の内向き志向は、現場
で日々、思うところであり、若い感性の鋭い時に
インセンティブとしてハワイに研修旅行の機会を
与える価値は十分にある。ホノルル中心部であ
れば、生徒自身による自主研修も可能でありさ
ほど治安面でも問題はない。また、1日くらいなら史跡、博物館、美術館などの公共施設やショッピングセンター
など訪問するところも豊富にある。ワイキキ中心に、大手旅行会社が運行する無料循環バスや公共交通機関
の"THE BUS"も使い勝手に優れている。今回もできれば、参加者がバスを利用して自由に市内を研修できる
時間が欲しかったと思う。一番の問題点は、やはり費用ではないかと思う。国際情報高校が来年度、2年生全
員がハワイに修学旅行に行くが、費用は、20万円程。パスポート取得費、旅行保険代、小遣い等を入れるとさ
らに、10~15万円は必要になると思う。公的補助が何らかの形であれば、少しでも参加しやすくなると思う。
道立高校は、様々な制約を設け、私立高校が当たり前のように実施していることでもなかなかできない現状に
ある。海外研修促進のため制度上の整備が必要であり、国際化の後押しを道と道教委が歩調を合わせて進め
て欲しい。
SSHのような特定のテーマを持った研修は、
いかに優秀なコーディネーターに依頼し、ツア
ーをアレンジしてもらえるかに全てがかかって
いる。費用面での安さだけを求めてもこれは難
しいと思う。単に現地に長く在住していればツア
ーガイドは誰にでも可能である。ただ、通訳も
含め本当に優秀な人材は、数が限られている
と思う。引率する教員が、生徒を連れて行く前
に、有意義で楽しいと感じられないと、研修の
意味はないと思う。引率する上で疑問なのは、
海外旅行保険を公費で面倒見てくれるかどうか
である。ハワイで救急車を呼ぶと、500ドル以上とネットに書いてあったが、現地のガイドは800ドルと言って
いた。医療費も日本の比ではないほど高額なので、出張で行くのであれば、公費負担は極めて当たり前である。
医療サービスを受けるときは、必ず保険の加入の有無を尋ねられ、加入していないと治療を受けられない厳し
い現実に直面する。限られた時間ではあったが、現地の事情に直接触れ、関係者に会うことによって、情報交
換が出来たことは画期的であり、今後もこの事業を継続・発展させていただきたい。国際化の推進は、教育の
現場に勝るものはないと誰もが認めることであり、本校もその一翼を担えればと思う。
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旅行先現地調査レポート
ハワイ(3泊5日)
札幌大谷中学校高等学校 教諭 金吉 美佳
1.本事業の目的
本事業は北海道総合政策部航空局が主催し、北海道における航空行政の推進を目的に「道内空港を利
用した海外教育旅行促進事業」の一環として旅行先を現地調査することを目的としている。
2.本視察旅行の行程
7/30(水)
HA442 便 21:30 新千歳空港発-10 : 20 ホノルル空港着
午後:市内施設調査
7/31(木)
ホノルル郊外農園 見学・休験施設調査
現地校視察 学校交流内容取材
8/1(金)
ポリネシア文化センタ―視察
8/2(土)
チェックアウト~帰路
HA441 便ホノルル空港 12 : 20 発-
8/3(日)
-19 : 00 新千歳空港着
Honolulu 空港
3.考察
1) 本視察参加の目的
リゾート観光地としての知名度の高さを鑑みると、ハワイは生徒にとって魅力的な場所である。ハワ
イを研修旅行・修学旅行として位置付けることは学校の教育の特徴として外部へのアピール度は高い。
ただし、旅行の目的を何に置くか、ハワイ研修を通して生徒に何を学ばせるかのコンセプトを明確に設
定することが重要となる。ハワイでしかできない特色のある旅行のテーマ設定ができるかが今回現地調
査に参加させていただいた主たる目的である。
加えて、教育旅行は規模にもよるが、時に 300 人を超える大きな集団での移動となる場合がある。そ
の際には、通常のツアー旅行とは異なる集団行動が展開する。研修場所がその集団行動に耐えうるもの
であるか、またその集団を指揮するためにどのような配慮が必要かなどの引率者としての観点は、ある
意味教育旅行では最も大切となる。そういった観点で、ハワイ研修をどのように教育に適用させていく
ことができるかを考察していくことも目的の一つであった。
2) 教育旅行へ適用することの可能性
中学校・高等学校を併設する本校では中高合わせて様々な形式の研修旅行・修学旅行がありそれぞれ
に旅行の目的が設定されている。異文化交流・異文化理解・語学研修・平和学習などそれぞれの旅行に
それぞれのテーマ設定を行っている。実施学年も中学 2 年生から高校 2 年生まで発達段階に沿ったさま
ざまな目的による旅行設定がなされている。今回の視察に参加するにあたって、どのようなテーマ設定
が可能かを視察先あるいは現地係員から得た情報から想定してみた。
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①テーマ1 異文化交流
今回の行程の中で最も関心があったのは、ハワイの学校との交流の可能性であった。今回視察を行っ
たのは、ホノルル郊外の Kafuku High & Intermediate School であった。この学校は中学高校を併設し、
フットボールが盛んで有名選手も輩出する学校である。この学校の日本との国際交流は第 2 外国語とし
て日本語を教える Mark 先生が主に担当、歓迎会・culture exchange、さ
らに日本とハワイの学生が数名ずつのグループになっての生徒同士の交
流などを企画し、100 名くらいまでの受け入れが可能とのことであった。
学校側からすると日本語を選択する生徒の学習モチベーションを高める
教育活動の一環とも思われる。姉妹校交流等で行われる学校をあげての交
流とは言えないが、同年代のハワイの学生と直接交流する機会となること
Kafuku 中等高校
は意義がある。ただ、Kafuku 高校の
日本語の授業の中での限られた時間設定であることから、交流として
どの程度密度の濃い交流に至ることができるかが課題であると感じた。
②テーマ2 異文化理解
行程 2 日目の午前は農園視察であった。Mohala Farm(野菜農園)・
Poamoho Organic Produce(果樹園)・Na Mea Kupono(タロイモ水田)
を見学させていただいた。環境教育をテーマとした場合の研修ともいえ
るが、タロイモなど日本では経験することのない食習慣や、食物・自然・
生命に対するハワイに暮らす人々の考え方などを学ぶ機会となりうる。
行程 3 日目の視察先はポリネシア文化センターであった。太平
タロイモ水田
洋に浮かぶハワイ、ニュージーランド、イースター島に囲まれた地域
であるポリネシアにある6つの国や地域を体験できるテーマパーク
であり、ポリネシアの伝統的なゲームや遊び、フラなどのカルチャー
体験、総勢 100 余名によるイブニングショーなど、大人から子供まで
楽しめるイベントが企画されており、先住民族がどのような暮らしを
していたかを知ることができるので、北海道民としてはアイヌ民族と
のかかわりで学習を深めることは可能であるかもしれな
NZ の伝統的な遊び
い。ただし、団体旅行での料金体系は不明であるが、公表されてい
る入場料は内容により 100$前後となっており、生徒の自主研修先としては高額であると思われる。
③テーマ3 語学研修
日本人にはあまりにもポピュラーな観光地であるためメインストリートの店舗などでは日本語が通
じるところが多く、買い物等で英語の訓練ができるということはない。語学研修先としての可能性とい
う観点はで今回直接視察した中では多くを得ることはできなかった。しかしながら、現地旅行社の方か
ら紹介されたプランによると、ハワイ大学で学生寮に滞在し語学研修を受けるなどのプランが現地では
展開されているということである。ハワイ大学は卒業することが大変とされる大学の一つである事から、
そこでの語学研修はアピール度の高いものがある。ただし研修として選定するためには具体的にどのよ
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うなレベルでどのような英語指導が行われているかの検証が必要である。
④
その他のテーマの可能性
今回は限られた時間設定であったので、現地視察を通して教育旅行のテーマ設定として見出すことが
できたものは上記①~③であった。しかしながら、ハワイにはパールハーバーやアリゾナ記念館などを
含む歴史教育・平和教育の可能性も考えられる。今回は視察することはできなかったが、今後機会があ
ればその可能性を探りたい。
3) 教育旅行地としてのハワイ‐引率教員の視点から
前述の通り、教育旅行の場合は生徒集団を統率する立場からの考察が重要と考える。旅行団が大集団
になればなるほど教員指示の浸透、生徒リーダーから各生徒への指示の浸透がスムーズであることが必
要である。今回は時期的に夏休み中のファミリーが街中に溢れ団体旅行の一団に出くわす場面はなかっ
たのであくまでも状況予測であるが、たとえば空港でのクラス集合時や、通常行われるような宿泊先で
の班長会議・クラス代表者会議などを通しての指示伝達は難しく工夫が必要であると感じた。集団が小
さく、少人数で対応できる研修旅行であれば運用次第で可能であろう。
また、空港やその他の観光施設においての toilet facility などは大集団での修学旅行では十分であるか
の疑問が残った。ただし、そういった不便さを経験することもある意味の学習であるとも言える。
4.まとめ
海外観光地として日本人には最もポピュラーなハワイの教育旅行先としての可能性を探ることを目
的とした視察であった。短い時間の経験のみで結論を述べることは早計に失するが、これまで述べたよ
うにいくつかの教育的意義を見出すことができた。あまりにもポピュラーで身近な存在であるがゆえに、
通常報道されていないハワイの生活に密着した異文化としての側面は生徒に一種新鮮な体験をもたら
すと予測される。文部科学省も体験活動の教育的意義を発表しているが、今後の教育旅行は見学から体
験経験を包括したものへとシフトしていくと考えられる。その意味では、各学校がそれぞれ求めるテー
マに応じてフレキシブルな旅行内容の設定ができれば、十分に教育旅行への応用が可能であると感じた。
そのためにも、今回体験できなかった現地にしかないオリジナリティあふれる企画を積極的に提示し、
教育旅行の販路を広げていただきたい。
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