35周年に寄せて 紘武館道場 合氣道部 師範 青梅合氣会 代表 渋谷 力 紘武館道場35周年記念演武大会おめでとうございます。 紘武館の大きな行事は5年毎に開催される記念演武大会です。これまで6回の記念行事が開催されまし た。大変有意義な行事であります。私もこれらの記念行事に立ち会えたことは大変な喜びであります。こ の歴史の中、稽古を続けている中で、求める内容が変化し充実してくるのは当然のことと思います。そし て、皆さんも同じ思いなのではないかと考えます。松村館長、遠藤征四郎先生がいつもお話の修練、練 習、工夫、稽古を更に高める意味でも良い稽古相手を求めること、良い稽古相手は育てること、良い稽古 相手に出会うこと、そして素晴らしい先生に出合えることが大事になると思います。 初代の師範、奥村源太先生はどちらかと言うと昔ながらの技、胸取り、肩取り、後ろ取り、太刀取りな ど飽きない稽古を工夫されておりました。二代目の師範、関昭二先生は基本的な技を主体にし、基本技を 繰り返し、体力作り、説明なしの結構長い稽古でした。三代目の師範、西野皓三先生は気功、呼吸法を取 り入れた合氣道の技、全体的に技の質が大きく変化した時期でした。四代目の師範、遠藤征四郎先生は柔 らかさを主体にした稽古、身体全体を如何に使えるかの工夫が随所にありました。54年から56年にかけて 年始のイベントでは大澤喜三郎先生特別演武があり、特別指導をして頂きました。最初から最後まで切れ 目のない身体、武道的な使い方でした。さらに、焦鉄軍先生、星野稔先生から気功を指導して頂きまし た。気功の稽古会もかれこれ20年以上の歴史があります。この稽古で、気力、呼吸力、丹田の感じ方など を特に勉強しました。大変素晴らしい先生方にお会いできたことを深く感謝しております。 最近の合氣会は大澤先生、有川先生、飯村先生、奥村先生、斉藤先生など多くの師範がいなくなり、技 の上でも気持ちも上でも個性がなくなりつつあります。大変寂しい感じがします。これまで諸先生からご 指導を頂いた技をできるだけ残したいものと考えております。 稽古では、先ず、受身・転換・入り身・運足・膝行などの基本の動きを覚えてもらうことが大事である と思います。正しい姿勢と正しい動きはもちろん気力の使い方などを身に付けなければなりません。身体 の動きは基本の動き、形稽古をしっかり行う事で身につける。その上で形稽古の反復練習を行う。さらに 形の意味を理解する必要があります。技をかける投げ(捕)と技をかけられる受身の相対動作があります が、受身をとる人は受身だけを考えるのではなく、常に自分の身体あるいは手、足で相手を攻撃(崩し・ 返し)することを考えることが大事となります。また、攻撃(捕)も常に同様に崩し・返しを工夫する必 要があります。 技は稽古しないとすぐ低下すると言われます。身体の動きは足腰が衰えれば当然落ちます。これに対し て術は一度覚えるとなかなか忘れないものとなると言われます。この意味では「技は衰えるが術は低下し ない」ものと言えます。しかしながら、術の取得には毎日の修練、練習、工夫、稽古が必要となります。 すなわち「心」と言えると思います。稽古に終わりなく、ただ継続と深さのみであると考えます。個人的 にはまだ、やっと入り口に差し掛かった感じです。この様な思いを念頭におきながら更に稽古を進めてい きたいと考えています。 皆様、40周年、そしてその先に向けこれからも稽古に励みましょう。
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