吉岡 翼・増渕 佳子・藤田 将人

38巻冬の号
第
No.152 2016
地球を丸ごと考える自然の公園 立山黒部ジオパーク
吉岡 翼・増渕 佳子・藤田 将人
じょうがんじがわ
やくしだけ
くわさきやま
とやま
常願寺川から薬師岳と鍬崎山を望む(富山市大山上野)
きた
ちいき
北アルプスからの水の流れはこの地域をまとめるキーワードのひとつ
富山市科学博物館
TOYAMA SCIENCE MUSEUM
2
とやまと自然
No.152 2016
地球を丸ごと考える自然の公園
立山黒部ジオパーク
吉岡 翼・増渕 佳子・藤田 将人
ぞくぞく
たんじょう
全国各地に「ジオパーク」が続々と誕生して
目で見れば、大地はまるで生きているかのよう
います。富 山では県東部の 9 市町村と富 山湾
です。私たちの生活もこうした大地の活動の上
を含 む範 囲が「立山黒部ジオパーク」として
に成り立っています。足元の石ころ、目の前に
2014 年に認 定されました。石川県の白山手取
広がる地形、そこに息づく動植物や人々の文化
川ジオパークや新 潟県の糸魚川ジオパークな
も、そうした大地の営みと無関係ではありませ
ど、近県にもジオパークがあります。今回はジ
ん。そして、生物の進化や地球環境の変化の記
とやま
ふく
とやまわん
はんい
にんてい
にいがた
オパークとは何か、なぜ各地にジオパークが
たんじょう
とやま
わたし
ひとびと
いとな
ちきゅうかんきょう
おく
さまざま
きざ
き
わたし
憶もまた、様々な形で大地に刻まれ、私たちに
し
さ
あた
誕 生しているのか、そして富 山県東部がジオ
数多くの示唆を与えてくれます。こうした大地
パークとして認められた理由やジオパークの楽
の活動を記録した岩石や地形、それらを背景と
しみ方についてご紹介します。
した自然や文化の多くは地域固有の特徴を持っ
みと
しょうかい
はいけい
ちいき
とくちょう
ていますが、人間の活動や社会の変化によって
きちょう
いさん
■ジオパークとは
失われることもあります。貴重な大地の遺産を
ジオパークはある種の自然公園であり、大切
守り、
賢く活用して地域の発展に活かしていく、
な自然環境を守る取り組みのひとつです。ここ
ジオパークはそうした考えから生まれた国際的
で守るべき自然環境と聞いて何を思い浮かべる
な取り組みです。
でしょうか。多くの方は貴重な動植物を思い浮
ジオパークという言葉自体もまだなじみが薄
かべるのではないでしょうか。あるいは環境問
いかもしれません。これは大地を意味する「ジ
題と関連して、清らかな水、新鮮な空気といっ
オ」と公園のことである「パーク」の組み合わ
たイメージもあるかもしれません。一方、足元
せで、
「大地の公園」
と訳されることもあります。
の大地に想いを巡らせるという方は、それほど
地面の下の地層や岩石(地質)を調べる学問を
多くはないでしょう。
地質学、英語でジオロジーといいますが、この
しぜんかんきょう
しぜんかんきょう
おも
きちょう
う
おも
う
かんきょう
しんせん
めぐ
ちきゅう
かしこ
ちいき
はってん
こくさいてき
うす
やく
ちそう
ちしつ
ちしつ
長い時間をかけて生物の進化が起こり、地球
「ジオ」も同じで、学問を意味する「オロジー」
環境が変化してきたように、普段動いているよ
との組み合わせから来ています。さらに「ジオ」
うには見えない、私たちの住んでいる足元の大
という言葉は、単に足元の大地を意味するだけ
地もまた、長い年月をかけ絶えず変化してきま
でなく、大気や海洋、動植物や人の営 みまで、
した。山ができ、川が土地を削り、長い時間の
土地と関わりのある様々な対象、そして地球シ
かんきょう
ふだん
わたし
た
けず
くれは
たてやまれんぽう
図1:呉羽山から望む立山連峰
いとな
さまざま
とやまと自然
No.152 2016
してん
ふく
ステム全体としての視点を含んでいます。です
から、ジオパークは「地球を丸ごと考える自然
の公園」といえるでしょう。
みと
また、ジオパークとして認められるには、守
きちょう
るべき貴重な自然や文化があるだけではいけま
しげん
ちいき
おとず
せん。それらの資源を、地域の人も訪れる人も、
わたし
みな
じ
今の私たちも後世の人たちも、皆が活用し、持
ぞく か の う
続可能なよりよい社会につなげていく仕組みを
作ることも求められます。これはちょうど博物
に
きちょう
館の活動と似ています。貴重なコレクションを
ほ かん
じょうほう
保管するだけではなく、情報を発信し、標本へ
図2:日本のジオパーク(白丸は世界ジオパーク、黒丸は日
のアクセスを確保し、調べたり学んだりといっ
本ジオパーク)
た活動に結び付け、さらには観光や地域づくり
それらはゆっくりと移動しています。プレート
にもつなげる。そうしていく中で、コレクショ
の境界は岩石に大きな力が加わり、火山や地震
ンや博物館が改めて評価され、さらなる活用を
といった様々な地質現象を引き起こします。プ
生み出しながら、地域のアイデンティティも育
レートがぶつかり合う場所では岩石が熱や圧力
ちます。ジオパークのコンセプトはまさにこう
で変化した変成岩が形成され、海を移動してき
した「守り、伝え、活かす」という循環を生む
たプレートが陸にぶつかると堆積物が剥がしと
ために、地域の「ジオ」に目を向けながらその
られ付加体と呼ばれる複雑な地質構造を作りま
地域全体で取り組もうとするものです。
す。日本はこうした過去の変動が幾重にも記録
ちいき
ひょうか
ちいき
じゅんかん
ちいき
ちいき
いどう
きょうかい
じしん
さまざま
ち し つ げんしょう
あつりょく
いどう
たいせき
ふ か た い
よ
ふくざつ
か
は
ち し つ こうぞう
こ
いくえ
され、ジグソーパズルのように組み合わさって
げんざい
まい
■ジオパークの歴史と日本のジオパーク
いる場所です。日本列島の周囲には現在も 4 枚
ジオパークがユネスコ(国際連合教育科学文
のプレートが押し合うように集まり、大地は活
化機関)の支援の下に国際的な取り組みとして
発に活動しています。そのため、大地の特徴も
始まったのが 2004 年、ユネスコの正式な事業
ひときわ複雑なものとなり、地域の個性を豊か
となったのは 2015 年のことです。ユネスコの
にしています。
事業でありジオパークと比較されることのある
そして、こうした大地の活動が活発な場所に
世界遺産が 1970 年代に始まったことを考える
災害国である日本は、
は多くの災害も伴います。
と、まだ歴史の浅い取り組みです。
地震や津波、火山、土砂災害など数多くの脅威
日本に最初のジオパークが誕生したのは
にさらされています。東日本大震災や御嶽山の
2008 年のこと。それから瞬 く間に全国に広が
噴火はまだ記憶に新しいでしょう。ジオパーク
り、2015 年末現在、北海道から九州まで 39 の
の取り組みを通じ、地球の仕組みや地域の特性
ジオパークが誕 生しています(図 2)。さらに
を知ることで、減災や防災につなげるというこ
このほかにもジオパークを目指す地域が全国各
とも重要な課題となっています。
地にあり、今後もっと増えていくでしょう。
また、日本の教育現場では「ジオ」すなわち
なぜこれほどまでに日本各地にジオパークが
地学や地理の履修者が少なくなっています。日
こくさい
しえん
こくさい
ひかく
いさん
たんじょう
またた
げんざい
たんじょう
ちいき
ふ
たんじょう
誕生しているのでしょうか。ひとつには日本の
とくちょう
お
とくちょう
ふくざつ
さいがい
じしん
ちいき
ともな
つなみ
こせい
さいがい
ど し ゃ さいがい
きょうい
だいしんさい
ふんか
ゆた
おんたけさん
きおく
ちいき
げんさい
とくせい
ぼうさい
げんば
りしゅう
にち
じょう
常生活の場においても、大地はコンクリートや
おお
ふ
大地の特徴がきわめて多様な点にあります(ジ
「ジオ」に触れる機会
アスファルトで覆われ、
。これは日本列島が形成された歴史
オ多様性)
は限られたものになっています。災害国である
とも関係します。地球の表面はプレートと呼ば
日本の将来にとって、また温暖化など地球シス
れる十数枚の岩石でできた板に分かれており、
テムそのものが国際的な課題となる中、こうし
たようせい
よ
まい
かぎ
さいがい
しょうらい
おんだん
こくさい
3
4
とやまと自然
No.152 2016
ばな
ゆうりょ
にん
た地学離れは極めて憂慮すべき問題であり、な
日本ジオパークで、これから世界ジオパーク認
んとか克 服したいという関係者の思いもジオ
定を目指すという段階にあります。
こくふく
ささ
パークの広がりを支えています。
きはく
ち
てい
だんかい
とくちょう
さらに、ジオパークは希薄になりつつある地
■立山黒部ジオパークとその特徴
域コミュニティーの活性化や観光などの地域振
それでは立山黒部ジオパークが日本ジオパー
興、特色ある教育活動など、地域の様々な課題
クに認 定された理由とは何だったのでしょう
に対する手立てのひとつとしても期待されてい
か。日本ジオパークの認定機関である日本ジオ
ます。
パーク委員会は認定時に発表した文章の中で、
さて、ここまでジオパークという言葉を使っ
この地域を認定する理由として次の 3 つの特徴
てきましたが、国内のジオパークには国際的に
をあげています。
認められた「世界ジオパーク」と国内版の「日
1)北アルプスから富山湾にいたる壮大な水循
いき
かっせい
ち いきしん
こう
ちいき
さまざま
こくさい
みと
ばん
本ジオパーク」という 2 種類があります。いず
にんてい
ちいき
そしき
にんてい
にんてい
にんてい
ちいき
にんてい
きた
とくちょう
とやまわん
そうだい
みずじゅん
かん
環を学ぶことができること。
ひょうが
らいちょう
たてやましんこう
さぼう
れも認定された地域からなるネットワーク組織
2)氷河や雷鳥、高山植物、立山信仰、砂防・
があり、地 域での活動を推 進する団 体がメン
治水、電源開発の歴史、湧水群など特徴ある自
バーとして加盟認定されることで、ジオパーク
然と暮らしの関係が息づいていること。
を名乗ることができるようになります。
3)民間主導のジオパークとして新たな運営モ
ちいき
すいしん
だんたい
か め い にんてい
げんざい
かこく
ちいき
でんげんかいはつ
ゆうすいぐん
とくちょう
く
しゅどう
うんえい
かのうせい
世界ジオパークには現 在、33 ヵ 国 120 地 域
デルになる可能性があること。
、糸
があり、国内では洞 爺湖有 珠山(北海道)
立山黒部ジオパークは他地域と比べても範囲
、山 陰海岸(鳥取県・兵庫県・
魚川(新 潟県)
が広く、その特徴はこのほか多岐にわたります
、室戸(高知県)
、
京都府)、島原半島(長崎県)
が、ジオパークとしての自然、文化、活動のそ
、アポイ岳(北
隠岐(島根県)、阿蘇(熊本県)
れぞれの点が評価されたものとなっています。
海道)の 8 地域が認定されています。国際的に
富山に暮らす私たちの生活圏は、水深 1,000m
認定されるわけですから、質の高い資源と活動
を超える富山湾と標高 3,000 m 級の峰々が連な
が不可欠です。国内の地域が世界ジオパークと
る北アルプスに囲まれています。日本海から運
して認められるにはまず、日本ジオパークとし
ばれた水蒸気は雲となり、峰々に大量の雪をも
て認定される必要があります。さらにジオパー
たらします。立山を中心とする山岳域に降る雪
クは 4 年に 1 度の再 審 査もあり、持続的な取
や雨は急流河川である黒部川や常願寺川を流れ
り組みがなければ取り消されてしまいます。立
下りながら砂礫を運び、扇状地が発達する平野
山黒部ジオパークが 2014 年に認定されたのは
を形作り、ここにすまう命を育んでいます。こ
と う や こ う す ざ ん
にいがた
さんいん
ながさき
お
き
あ
ちいき
そ
くまもと
にんてい
こくさい
にんてい
ふ か け つ
だけ
しつ
しげん
ちいき
みと
にんてい
さい し ん さ
にんてい
た ち い き
とくちょう
くら
た
はんい
き
ひょうか
とやま
こ
く
わたし
けん
とやまわん
みねみね
きた
すいじょうき
みねみね
さんがくいき
かせん
ふ
じょうがんじがわ
されき
せんじょうち
じゅんかん
図3:立山黒部ジオパークの水循環と大地
いさん
の遺産(代表例)
とやまと自然
No.152 2016
ぶっしつじゅんかん
けん
ちいき
いっぱんしゃだんほうじん
うした物質循環の場、そしてこの生活圏から望
ては、地域住民らで作る一般社団法人立山黒部
む景観のすべてが立山黒部ジオパークの範囲と
ジオパーク協会が中心的な役 割を担 っていま
なっています(図3)
。
す。これは国内の多くのジオパークが行政を中
はんい
ちいき
しょうちょう
きた
やくわり
にな
ぎょうせい
すいしん たいせい
この地 域を象 徴する北 アルプスは 400 万年
心とした推 進体 制をとっているのと対照的で
前に始まる激しい隆起によって形作られたもの
す。活動は始まったばかりであり、自然、文化、
です。地下深くにできた花崗岩が地表に顔を出
活動の有機的なつながり、
すなわち
「守り、伝え、
すには長い時間がかかりますが、激しい隆起の
活かす」という循環の仕組みを、民間という立
結果、黒部川流域には地表で見られるものとし
場でいかにこの地域に構築していくかが今、問
ては世界で最も若い(といっても 80 万歳)花
われています。
はげ
りゅうき
かこうがん
はげ
りゅうき
りゅういき
わか
さい
か
こうがん
じゅんかん
ちいき
こうちく
崗岩があります。さらに、日本海の形成を記録
ちそう
きょうりゅう
した地層や化石、日本海ができる前の恐竜時代
■立山黒部ジオパークを楽しもう!
を知ることのできる地層や化石、2 億 5 千万年
ジオパークにはその地域を特色づける見どこ
前の大陸衝 突でできた岩石、そして日本最古
ろである「ジオサイト」が用意されています。
37 億 5 千万年前の砂 粒まで、日本列島の生い
立山黒部ジオパークには 12 に区分されたエリ
立ちに迫る様々な大地の記憶がこの地域に秘め
アの中に、計 48 のジオサイトがあり(図4)
、
られています。
それらのジオサイトにはさらに見学地として計
ちそう
しょうとつ
すなつぶ
せま
さまざま
きおく
ひとびと
ちいき
ひ
しんこう
ちいき
せってい
そしてこの大地で人 々は山を信 仰の対象と
315 のジオポイントが設定されています。これ
し、水の流れは農業や電力に利用され地域の発
らをめぐることで、日本列島形成の歴史やこの
展を支えました。一方 1858 年の飛越地震では、
地 域の文化や歴史を感じ取ることができるで
鳶山が崩壊し、天然ダムの決壊による土石流が
しょう。次のページ以降ではジオサイトをめぐ
平野を飲み込む惨禍となりました。常願寺川沿
るお勧めのコースも紹介しているのでお出かけ
いに残る大転石や立山カルデラで今なお続く砂
の参考にしてください。
防事業は災害への教訓を与えてくれます。
また、
「ジオ」の楽しみはジオサイトをめぐ
認定理由の最後にあげられている運営につい
るだけではありません。例えば、日常の景観や
ちいき
てん
ささ
とんびやま
はっ
ひえつじしん
ほうかい
の
けっかい
こ
さんか
じょうがんじがわ ぞ
さ
ぼう
さいがい
あた
にんてい
うんえい
ちいき
いこう
すす
しょうかい
にちじょう
しょくたく
ようそ
かく
食卓にも「ジオ」の要素が隠れていま
す。
「この道が坂道なのはどうしてだ
いしがき
ろう?」
「石 垣の石はどこから来たの
かな?」
「夕飯の食材はどんな場所で
ぎもん
とれたのだろう?」―そんな疑問から
見えてくる「ジオ」につながる物語に
めぐ
思いを巡らせてはどうでしょうか。あ
るいは、静かなブームとなっている、
くぼ
たず
地形の窪みを訪ね歩く「スリバチ研究」
とくちょう
のように、何か特 徴的な地形や景観
せいいん
を見つけて成因を考えてみることもジ
オを楽しむひとつの方法となるでしょ
う。こうした学びや体験を家族や仲間
と分かち合えば、ジオパーク活動の広
とやま
がりにもつながります。さあ、富山の
大地を歩いてみましょう。
図4:立山黒部ジオパークのジオサイト
5
6
とやまと自然
12 悪城の壁・称名滝
No.152 2016
称名川
立山駅
立山黒部ジオパーク
常願寺川
ここがオススメ part 1
しょうみょう けいこく じょうがん じ がわ
称名渓谷ジオサイト・常願寺川ジオサイトで
火山と雪と水を楽しむ
1
あくしろ
4
かべ
かえ
3
4
▲
▲
6 極楽坂山
悪城の壁
く
ラ
ゴンド
立山山麓
スキー場
たつがみ
5 瀬戸蔵山
たき
龍神の滝
なだれ
ふん か
繰り返し雪崩が
約10万年前の立山の噴火に
起きたり、雪の
よる火砕流堆積物を侵食し
塊がゆっくりと
た落差約40mの滝。龍が天
滑ることによっ
に昇っているようにみえる
て岩肌が削られ
ことから名付けられまし
か さいりゅうたいせきぶつ
かたまり
たき
けず
た。
てできたU字型
ひゃっけんなめ
の地形(アバラ
ンチシュート)を見ることができます。
あくしろ
かべ てんぼう
りゅう
のぼ
すべ
いわはだ
しんしょく
百間滑から徒歩約 15 分
ちゅうしゃ
立山駅から悪城の壁展望台まで車で約 10 分
(駐車場あり)
とう き へい さ
冬季閉鎖
2
5
しょうみょうだき
称名滝
せ と くらやま
瀬戸蔵山
たい せき ぶつ
ばくはつ
山頂から、溶岩
み
ようけつ
爆発した時の堆積物(溶結
台地である弥
凝灰岩)と9万~4万年前に
陀ヶ原や、立山
噴出した溶岩を称名川が
カルデラと呼ば
削ってできた滝。4段から
れる侵食地形を
なり、日本一の落差(約
見ることができ
ぎょうかいがん
ふん しゅつ
よう がん
けず
だ が はら
よ
しょうみょうがわ
たき
しんしょく
だん
ます。
350 m)があります。
しょうみょうだいらちゅうしゃ
称名平駐車場から徒歩約 30 分
とう き へい さ
たつがみ
たき
龍神の滝から徒歩約 1 時間 30 分または
さんちょう
冬期閉鎖
3
ゴンドラリフト山頂駅から徒歩約 40 分
6
ひゃっけんなめ
百間滑
さんちょう てん ぼう だい
ゴンドラ山頂展望台
さんろく
長さ約200mに
立山山麓スキー
わたって岩肌が
場のゴンドラ山
いわはだ
さん
ろしゅつ
ちょう
を水がすべるよ
やま
うに流れていま
ある標高1,177m
す。岩肌は中生
の展望台。北は
代白亜紀前期の
富山平野と富山
露出し、その上
いわはだ
さ がんそう
て とりそうぐん
粗粒な砂岩層(手取層群)からなります。
さんろく
立山山麓スキー場から徒歩約 20 分
ごくらくざか
頂駅から極楽坂
と ちゅう
山に行く途中に
ちゅうせい
てんぼうだい
だいはく あ き
そ りゅう
ようがん
さんちょう
立山火山が約10万年前に大
と やま へい や
わん
くわさきやま
やく し だけ
と やま
湾、南は鍬崎山や薬師岳を見ることができます。
さんちょう
ゴンドラリフト山頂駅から徒歩約 8 分
もっと深く!
楽しむための
た
よ
立ち寄り
スポット
おおやま れき し
大山歴史
立山カルデラ
民俗資料館
砂防博物館
みんぞく し りょうかん
さ ぼうはくぶつかん
ジップライン
アドベンチャー
ていきょう おおやまかんこうかいはつかぶしきがいしゃ
写真提供/大山観光開発株式会社
ゴンドラリフト
とやまと自然
No.152 2016
ここがオススメ part 2
やつ お
八尾ジオサイトでへん せん
化石から日本海の変遷を知る
45
笹津
川
久婦須
てん ぐ びら
1
野積川
1
東八尾
越中八尾
神通川
立山黒部ジオパーク
か せき そう
天狗平の化石層
3
楡原
6
4
じょう が やま し ぜん こう えん
城ヶ山自然公園
おとがわそう
音川層(約1300万~500万年前)の浅い海の貝化石
す
ふく
南北朝時代に諏
などを産出。化石を含んだノジュールが観察できま
す。
と やま
しょう
さいしゅう
じょう が
ひがし やつお
東八尾駅から徒歩約 15 分
2
しろ
将が城をかまえ
富山市指定天然記念物(採集はできません)
やま
たことで、城ケ
よ
れんぽう
くれ は きゅうりょう
山と呼ぶようになりました。立山連峰や、呉羽丘陵
かい か せきしょう
たかくま
ぶ
わ
訪左近という武
高熊カキ貝化石床
ちょうぼう
さくら
の眺望がよく、春は桜の名所となっています。
えっちゅう やつお
ぞ
越中八尾駅から国道 472 号線沿いに車で約 15 分
5
やつお
まち な
八尾の町並み
くろ せ だにそう
新生代中新世(約1600万年前)の黒瀬谷層のカキ化石
みっしゅう
が密集して産出します。カキ化石の大きさは30cmほ
あ ねっ たい
き すい いき
どになり、亜熱帯の汽水域に生息していました。
と やま
さいしゅう
富山市指定天然記念物(採集はできません)
か がんだんきゅう
越中八尾駅から車で約 10 分
3
かわくら
いしがき
いしだたみ
河岸段丘の上に作られた、石垣や石畳の道が印象的
えっちゅう やつお
な町。
ふ どうだき
えっちゅう やつお
川倉の不動滝
ぞ
越中八尾駅から国道 472 号線沿いに車で約 10 分
6
たきぐち
たき
やつ お か せき し りょうかん
八尾化石資料館
たき
滝口が3つにわかれた高さ8mの滝。とやまの滝37
選のひとつ。
えっちゅう やつお
越中八尾駅から県道 323 号線沿いに
車で約 20 分+徒歩 3 分
しょうかい
やつ お
ぞ
八尾町から産出した中生代、新生代の化石を紹介。
えっちゅう やつお
ぞ
越中八尾駅から県道199および198号線沿いに車で約30分
ゴールデンウィーク前後および夏休み期間中のみ開館
7
8
とやまと自然
No.152 2016
315地点ある立山黒部ジオパークのジオポイント
しょうかい
(みどころ)の中から、おすすめの場所をご紹介し
ます。
立山黒部ジオパークの
おすすめジオポイント
みやざき
さかい
◉ ヒスイ海岸(宮﨑・境海岸)
◉ 中 山
えっちゅうみや ざき
あいの風とやま鉄道の越中宮崎駅の北側に広がる海
ち しつ
山頂から見た剱岳
あっとう
はくりょく
はんえい
れき
岸。周辺の地質を反映するさまざまな石からなる礫を
観察できます。運が良ければヒスイを見つけることが
ぎわ
き けん
早月川上流部にある標高1,255mの山。圧倒的迫力でせ
できます。波が高いときは危険なので波打ち際に近づ
まる剱岳、早月尾根、猫又山、赤谷山などを山頂から眺
かないようにしましょう。
つるぎだけ
はやつき お ね
さんちょう
すぎ
なが
きょぼく
なら
めることが出来ます。登山道には立山杉の巨木が立ち並
さ
みだ
び、春にはイワカガミ、ニリンソウなどの花が咲き乱
こうよう
ばん ば じま
れ、秋の紅葉も見事です。馬場島から登り約1時間30分
ば ば だに
◉ 祖母谷
~2時間。
けやきだいら
きょうこく
黒部峡谷鉄道の終点、欅平からさらに徒歩30分の場所
ひ とう
ろ てん
ば ば だにおんせん
に秘湯「祖母谷温泉」があります。開放感のある露天風
やつお
八尾ジオサイトの
おすすめは 7 ページ
せんしつ
たんじゅん
ば ば だに じ ごく
せん
呂で、泉質は単純硫黄泉。上流に祖母谷地獄があり、
か わら
おんせん
ふんしゅつ
ふく
河原から温泉が噴出しています。暗色包有物を含む黒
かこうがん
しょうみょうけいこく
じょうがんじ
称名渓谷・常願寺川ジオ
サイトのおすすめは 6 ページ
か わら
部川花崗岩を河原で観察することができます。
とこにじ
たき
◉ 常虹の滝
いのたに
神通川中流の猪谷の近
いのたに
じゃ ば み
く、猪谷川と蛇歯見川合
しろ
き
たき
て とりそうぐんいのたに
流部の滝。手取層群猪谷
みね
◉ 白木峰
そう
さ がんでいがん ご そう
しんしょく
層の砂岩泥岩互層を侵食
じゃ ば
しています。右手に蛇歯
み
たき
見の滝、その下に五色の
め おと
たき
滝、正面に二筋の夫婦
だき
たき
滝、その上に大滝(不動
だき
にじ
滝)があり、朝に虹がたつ
と やま
ひ だ
ぎ ふ
りゅうき
富山県と岐阜県の県境にある飛騨変成岩類からなる隆起
じゅん
さ
みだ
準平原。7月にはニッコウキスゲやササユリが咲き乱れ
しろ き みね
ち とう
さんちょう
てん
ます。白木峰(標高1,596 m)の山頂周辺には池塘が点
ざい
ぐんせい
在し、モウセンゴケ、イワショウブなどが群生していま
れんぽう
のりくらだけ
おんたけさん
す。晴天時には立山連峰、乗鞍岳、御嶽山が一望できま
す。
ことから、これらの五つ
たき
とこにじ
たき
の滝をまとめて常虹の滝
とよんでいます。
とやまと自然 第38巻第4号(冬の号)(通算152号)平成28年1月5日発行
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