「産学官連携活動に携わるコーディネート人材に必要な スキルに関する

「産学官連携活動に携わるコーディネート人材に必要な
スキルに関する調査の分析」報告書(概要)
独立行政法人 科学技術振興機構
平成26年3月
第1章
調査の概要
1.1 調査の目的
科学技術振興機構(
「JST」
)は、科学技術の振興を通じて新たな価値を創出する重要な役割のひ
とつとして産学官連携活動におけるコーディネータを位置づけコーディネータに対する人材育成プロ
グラム(目利き人材育成プログラム)を実施し、コーディネータの活動の質およびスキルの向上を推
進している。今回の調査においては、コーディネート人材が個々の業務を実施する際に必要とされる
機能や能力について実務者および管理者に対し、アンケート調査を行い、その結果をとりまとめ今後
の目利き人材育成プログラムの企画およびカリキュラムの策定に役立てるとともに、広く一般に公開
を行うことで、産学官連携を推進される機関において活用されることを願うものである。
1.2 調査対象
大学等のコーディネート管理者およびコーディネータ実務者
1.3 調査規模(調査回答数)
コーディネート管理者 82 通、コーディネート実務者 166 通の合計 248 通
1.4 調査方法
事務局で考えられるコーディネート活動の全範囲を網羅する業務に対するスキルを設定し、各ス
キルに対して、
「絶対必要:2ポイント」
、
「あった方が良い:1ポイント」
、
「無くても良い:0ポイ
ント」で評点をアンケート形式で記入を行って頂いた。また、スキルについては、10の大項目の
下の中項目、小項目を設定し、それぞれの項目について評価を依頼した。
大項目 A 研究シーズ関連、B 知的財産関連、C ニーズ調査関連、D ライセンス関連、E 研究成果有体物関連、
F 事業化関連、G 共同・受託研究関連、H プロジェクト関連、I リスク管理関連、J 総合。
中項目、小項目については P8 以降に記載。※アンケート記入票については、別紙参照のこと。
第2章
集計結果および考察
2.1 コーディネート管理者
・管理者の所属機関は、82 機関中大学が 70 機関と 85%の割合。
・管理するコーディネーター数は 653 人と回答。
・コーディネーターの担当分野はベンチャー支援が少ない他はほぼ均等。
2.1.2 スキルについて
・大項目は 7 項目が 10%程度、F 事業化関連が 8%、リスク管理と MTA 関連が 5%の割合
・中項目は 2「絶対必要」の多い順に以下の 4 図を掲載した。
1.全コーディネート管理者…シーズ探索・評価(1 位)
、コミュニケーシ
ョン能力(2 位)
、共同・受託研究一般(3 位)
、ネットワーク構築(4
位)
、シーズのプレゼン・PR(5 位)の順番→右図
2.全大学コーディネート管理者…全コーディネート管理者の 5 位が
「知財の権利化」に入れ替わる。
3.大規模大学コーディネート管理者…知財の権利化(1 位)
、研究開発資
金調達(2 位)
、ライセンシング(5 位)
1.
全コーディネート管理者
1
A-1 シーズ探索・評価
2
J-7 コミュニケーション能力
3
G-1 共同・受託研究一般
4
J-6 ネットワーク構築
5
D-1 シーズのプレゼン・PR
4.中小規模大学コーディネート管理者…全コーディネート管理者と 1
位~5 位は同じ。
・小項目は以下の 2 図を掲載した。
5.全コーディネート管理者 :評価段階「2」の多い順…特許制度一般(1 位)
、説得力(2 位)
、シ
ーズ探索発掘(3 位)
、シーズの評価(4 位)
、シーズのプレゼン(5 位)
6.全コーディネート管理者 :評価段階「0」の多い順…研究予算の執行管理(1 位)
、ベンチャー
支援(2 位)
、資源配分(3 位)
、企業の本気度(4 位)
、研究開発プロジェクト(5 位)
2
2.1.3 研修講義の進め方等
・研修講義の進め方について、座学+グループ討議が圧倒的に支持されている。
・Web ラーニングは「使う可能性はあるがいつ使うかわからない」が大半。
・分析ツールは使用していると回答したのは数パーセント。ロードマップ、特許マップ、発明評価が
トップ3。
・期待するコーディネート人材(自由記述)では、特定分野に精通した専門家ではなく、幅広い経験や
優れたコミュニケーション能力を有する人材を期待していると要約できる。
2.2 コーディネート実務者
・大部分の回答者は大学に所属で、その半数が国立大学法人に所属している。
・実務経験年数は 1 年未満が少ないが、2 年から 10 年以上までほぼ均一に分布している。
・年代は 20 歳台が少ないが、30 歳代から 60 歳代以上までほぼ均一に分布している。
・担当分野は、ベンチャー支援、ライセンスを担当する割合が低い以外はほぼ均等の分布。
2.2.2 スキルについて
・大項目は 8 項目が 10%程度、リスク管理と MTA 関連が 5%程度の割合。
・中項目は 2「絶対必要」の多い順に以下の 4 つの切り口から紹介する。
1.全コーディネート実務者…ネットワーク構築(1 位)
、コミュニケーション能力(2 位)
、シーズ
探索・評価(3 位)
、全体俯瞰力・全体構想力(4 位)
、研究開発資金調達(5 位)→下図
2.JST 受講者…マーケティング(3 位)
、企業ニーズ探索(4 位)
、
マーケティングが大きな差。
3.大規模大学コーディネート実務者…企業ニーズ探索(5 位)
、研究
開発資金調達が 12 位と低い。
4.中小規模大学コーディネート実務者…上位は全実務者と同じ。
・小項目は以下の 5 つの切り口から紹介する。
1.
全コーディネート実務者
1
J-6 ネットワーク構築
2
J-7 コミュニケーション能力
3
A-1 シーズ探索・評価
4
1.全コーディネート実務者 :2 の多い順…個人的ネットワーク(1
位)
、所属機関の産学連携状況を見渡す(2 位)
、説得力(3 位)
、
5
J-1 全体俯瞰力・全体構想
力
F-5 研究開発資金調達
競争的資金等(4位)
、特許制度一般(5 位)
2.全コーディネート実務者 :0 の多い順…権利侵害対応(1 位)
、意匠・商標制度の一般知識(2
位)研究予算管理(3 位)
、ベンチャー支援(4 位)
、著作権の取扱い(5 位)
3.大規模大学コーディネート実務者 :2 の多い順…全体俯瞰力・全体構想力(1 位)
、説得力(2
位)企業ニーズ収集(3 位)
、シーズの評価(4 位)
、技術の応用先(5 位)
4.中小規模大学コーディネート実務者 :2 の多い順…個人的ネットワーク(1 位)
、国の競争的資
金等(2 位)
、説得力(3 位)
、特許制度一般(4 位)
、研究開発資金調達(5 位)
5.JST 受講者 :2 の多い順…個人的ネットワーク(1 位)
、全体俯瞰力・全体構想力(2 位)
、企
業ニーズ収集(3 位)
、技術具現化(4 位)
、競争的資金等(5 位)
2.2.3 研修講義の進め方等
・講義の進め方は、座学+グループ討議が圧倒的に多い。
・Web ラーニングについて、利用可能性はあるが、いつ使うかわからないが大多数。
・分析ツールは、
「使用している+考え方は使用している」の順番が SWOT、ロードマップ、特許マッ
プ、発明評価となっている。
・期待するコーディネート人材は、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事が進められる人材を期
待する回答が多いが、オールランダーを確保するのは難しく現実的でないとの意見もある。
3
第 3 章 分析
3.1.スキル中項目の比較
1.経験年数による差について
3 年未満
3 年以上 6 年未満
6 年以上
1
J-6 ネットワーク構築
A-1 シーズ探索・評価
J-6 ネットワーク構築
2
J-1 全体俯瞰力・全体構想力
J-7 コミュニケーション能力
C-1 企業ニーズ探索
3
J-7 コミュニケーション能力
J-6 ネットワーク構築
G-2 契約交渉
4
A-1 シーズ探索・評価
A-2 シーズの育成支援
A-1 シーズ探索・評価
5
F-5 研究開発資金調達
F-5 研究開発資金調達
J-7 コミュニケーション能力
…コーディネート実務者を経験年数が 3 年未満、3 年以上 6 年未満、6 年以上のグループに分けた
ところ、3 年以上 6 年未満で「シーズの育成支援」
、6 年以上で「企業ニーズ探索」
、
「契約交渉」
が上位にランクされている。コーディネーター経験を経るにつれて、まずシーズを強くする必要
性を実感し始め、更に進むと相手である企業のニーズの重要性を感じるようになり、また、アウ
トソーシングや人任せにしていた面倒でスキルのいる契約交渉を担当する立場になり、交渉スキ
ルの必要性を痛感するようになると考えられる。
2.年齢による差について
20,30 代
40 代
1
J-7 コミュニケーション能力
J-7 コミュニケーション能力
J-6 ネットワーク構築
J-6 ネットワーク構築
2
J-6 ネットワーク構築
B-1 知財の権利化
A-1 シーズ探索・評価
A-1 シーズ探索・評価
J-6 ネットワーク構築
J-2 組織目標の理解
C-1 企業ニーズ探索
3
J-1 全体俯瞰力・全体構想
力
50 代
60 代
4
A-1 シーズ探索・評価
A-1 シーズ探索・評価
J-7 コミュニケーション能力
F-5 研究開発資金調達
5
F-5 研究開発資金調達
G-2 契約交渉
F-5 研究開発資金調達
J-7 コミュニケーション能力
…年代でグループ分けしたところ、40 代で「知財の権利化」
、50 代で「組織目標の理解」が上位に
ランクされているのが特徴的である。
どちらもコーディネート実務者全体では中位の項目である。
採用時に知財の権利化が重要な任務であると教えられたコーディネーターが 40 代に多いのでは
ないかと考えている。50 代は企業から大学へ転職しているコーディネーターが多く、企業と異質
な大学環境に置かれて、新たな仕事場である大学の組織目標を理解しようとする意識が働いてい
ると考えられる。
3.実務者 大規模大学と中小規模大学の比較
大規模大学
中小規模大学
1
J-1 全体俯瞰力・全体構想力
J-6 ネットワーク構築
2
J-6 ネットワーク構築
A-1 シーズ探索・評価
3
J-7 コミュニケーション能力
J-7 コミュニケーション能力
4
A-1 シーズ探索・評価
F-5 研究開発資金調達
5
C-1 企業ニーズ探索
G-1 共同・受託研究一般
…大規模大学と中小規模大学の大きな差は「研究開発資金調達」である。12 位と 4 位。中小規模で
は共同研究や研究者を支援するために研究開発資金を調達する必要が多いのに比べて、大規模大
学では大企業相手で研究開発資金が比較的潤沢にあり、
また他部門で資金調達されることが多く、
コーディネーターは余り資金調達に注目していないのであろう。ここでは表を示していないが、
中小規模大学が絶対必要と答えた割合の多い項目は「研究開発資金調達」と「地域貢献」である。
地域貢献に対する意識は中小規模大学で高いことを反映している。
4
4.JST の人材研修修了者の中項目順位
全実務者
JST 受講者
1
J-6 ネットワーク構築
A-1 シーズ探索・評価
2
J-7 コミュニケーション能力
J-6 ネットワーク構築
3
A-1 シーズ探索・評価
F-1 マーケティング
4
J-1 全体俯瞰力・全体構想力
C-1 企業ニーズ探索
5
F-5 研究開発資金調達
J-1 全体俯瞰力・全体構想力
…修了者はマーケティング、企業ニーズ探索を重視している。
5.管理者 大規模大学と中小規模大学の比較
大規模大学
中小規模大学
1
B-1 知財の権利化
A-1 シーズ探索・評価
2
F-5 研究開発資金調達
J-7 コミュニケーション能力
3
J-7 コミュニケーション能力
G-1 共同・受託研究一般
4
A-1 シーズ探索・評価
J-6 ネットワーク構築
5
D-2 ライセンシング
D-1 シーズのプレゼン・PR
…上位 5 位の中で違っているのは、大規模大学が「知財の権利化」
、
「研究開発資金調達」
、
「ライセ
ンシング」の 3 項目、中小規模大学が「共同・受託研究一般」
、
「ネットワーク構築」
、
「シーズの
プレゼン・PR」である。
大規模大学
中小規模大学
6
F-3 起業
E-1 研究成果有体物
5
J-3 情報収集・分析力
J-3 情報収集・分析力
4
J-4 地域貢献
F-4 企業評価
3
E-1 研究成果有体物
F-2 ビジネスモデル
2
F-4 企業評価
C-2 企業分析
1
C-2 企業分析
F-3 起業
ボトム6は 1 項目が違っており、大規模大学は「地域貢献」
、中小規模は「ビジネスモデル」で
ある。
6.管理者と実務者の比較
大規模大学の管理者と実務者
管理者
中規模大学の管理者と実務者
実務者
管理者
実務者
1
B-1 知財の権利化
J-1 全体俯瞰力・構想力
1
A-1 シーズ探索・評価
J-6 ネットワーク構築
2
F-5 研究開発資金調達
J-6 ネットワーク構築
2
J-7 コミュニケーション能力
A-1 シーズ探索・評価
3
J-7 コミュニケーション能力
J-7 コミュニケーション能力
3
G-1 共同・受託研究一般
J-7 コミュニケーション能力
4
A-1 シーズ探索・評価
A-1 シーズ探索・評価
4
J-6 ネットワーク構築
F-5 研究開発資金調達
5
D-2 ライセンシング
C-1 企業ニーズ探索
5
D-1 シーズのプレゼン・PR
G-1 共同・受託研究一般
…大規模大学の管理者の「知財の権利化」
(1 位)
、
「研究開発資金調達」
(2 位)は実務者では中位
の順位である。管理者は効果的な知財群の形成や「研究開発資金調達」に注意を払っているが、
実務者はそのストレスをあまり受けていないようである。中小規模大学では実務者は「研究開発
資金調達」に注目している(4 位)が、管理者は余り注目していない(14 位)
。
5
7.TLO(コーディネート管理者+実務者)と全コーディネート実務者の比較
全実務者
TLO(管理者+実務者)
1
J-6 ネットワーク構築
F-1 マーケティング
2
J-7 コミュニケーション能力
A-1 シーズ探索・評価
3
A-1 シーズ探索・評価
C-1 企業ニーズ探索
4
J-1 全体俯瞰力・全体構想
力
J-7 コミュニケーション能力
5
F-5 研究開発資金調達
D-2 ライセンシング
6
C-1 企業ニーズ探索
J-6 ネットワーク構築
…回答者の中に含まれている TLO 関係者について、管理者と実務者を合計した 32 名を1グルー
プとして全コーディネート実務者とスキル中項目の順位を比較した。上位6位の中で共通する項
目は4項目ある。一致しない2項目は相手の順位では中位の項目なので、この2項目が各グルー
プを特徴づけている。TLO(管理者+実務者)にとってマーケティングとライセンシングは TLO
活動に必須のスキルなので上位に入っているのは当然である。一方、研究開発資金調達(10 位)は
研究開発の段階で必要なスキルなので TLO が直接関与することは少ない。全体俯瞰力・全体構
想力が低い(12 位)のは既に出来上がったシーズをライセンシングすることが業務であるので、
研究開発に関与している(少なくとも意識は)大学のコーディネーターと比べ業務分野が限定さ
れており、産学連携全体に対する意識が低いためであろう。
8.中項目に共通する傾向…どのグループでも共通して最上位に入っているのは、
(1)ネットワーク
構築、
(2)コミュニケーション能力、
(3)シーズ探索・評価である。ネットワーク構築やコミ
ュニケーション能力はコーディネーターの仕事のどの分野にも共通して入っているソフトウエア
の OS のようなスキルである。シーズ探索・評価は研究シーズ関連のスキルであり、大学にどの
ようなシーズがあるのかを把握しようとするものであり、大きな関心があるのは当然である。
最下位には、
(1)起業、
(2)企業評価、
(3)企業分析が共通して入っている。事業化関連とマ
ーケティング関連のスキルであり、大学発ベンチャー活動が低調な現状ではコーディネーターが
かかわる機会が少なく当然の結果である。
3.2 小項目の順位と中項目の順位について
小項
目の
中項目
中項目
の順位
小項目
1
J-6
1
1 研究者、コーディネータ、企業等に対する個人的なネットワーク
2
J-1
4
1 所属機関の産学連携の状況を俯瞰的に見渡す力および状況を踏まえて総
順位
合的に推進する力
3
J-7
2
1 説得力(経験を踏まえ人を説き伏せる能力)
4
F-5
5
1 国の競争的資金、公的機関の助成制度、投資ファンド、金融機関の融資等
5
B-1
13
1 特許制度及び出願から権利化まで一般的知識に関すること
6
C-1
6
1 企業ニーズ収集・分析
7
J-6
1
2 大学、企業、技術移転支援機関等に対する組織的なネットワーク
小項目の 2「絶対必要」の多い上位と中項目の上位の比較をした。概ね上位の小項目が入った中項目
は同様に上位にあるが、中項目では中位のもので小項目が上位にランクされるものもある。
「知財の権利
化」に入っている小項目は 5 位から最下位 64 位まで広く分布している。
6
3.3 ヒアリング調査
首都大学東京、鹿児島大学、芝浦工業大学、神戸大学のコーディネート管理者、実務者にヒアリング
をおこなった。2 章や 3 章で紹介しているスキル中項目の順位に関して、大凡納得できるとの意見であ
った。
順位の高かったコミュニケーション能力やネットワーク構築について JST 人材育成プログラムに取り
入れるべきだとの複数意見があった。また、Web ラーニングがあればありがたいという意見もあった。
(アンケート協力機関等)
北海道大学 、帯広畜産大学、旭川医科大学、弘前大学、岩手大学、茨城大学、筑波大学、宇都宮大学、
東京大学、東京医科歯科大学、東京農工大学、東京工業大学、東京海洋大学、電気通信大学、横浜国立
大学、山梨大学、信州大学、首都大学東京、自治医科大学、應義塾大学、芝浦工業大学、帝京大学、東
海大学、東京女子医科大学、東京電機大学、東京理科大学、日本大学、日本医科大学、法政大学、明治
大学、早稲田大学、富山大学、金沢大学、福井大学、静岡大学、名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技
術科学大学、滋賀大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、奈良先端科学技術大学院大学、静岡県立大学、
大阪府立大学、大阪市立大学、和歌山県立医科大学、中部大学、名城大学、同志社大学、立命館大学、
龍谷大学、近畿大学、関西学院大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、香川大学、
愛媛大学、九州工業大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、鹿児島大学、鹿屋体育大学、琉
球大学、福岡大学、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構、株式会社 東北テクノアーチ、一般
財団法人 生産技術研究奨励会、タマティーエルオー株式会社、農工大ティー・エル・オー株式会社、
株式会社 信州 TLO、公益財団法人 名古屋産業科学研究所 (中部 TLO)
、関西ティー・エル・オー
株式会社、有限会社 山口ティー・エル・オー(山口 TLO)
、株式会社 テクノネットワーク四国(四国
TLO)
、"公益財団法人 北九州産業学術推進機構(FAIS)産学連携統括センター知的財産部(北九州 TLO)
、
株式会社 産学連携機構九州(九大 TLO)
ほか企業4社、公益法人5機関、公設試2機関、国研1機関、独法1機関
以上
※本報告書は、平成25年8月に科学技術振興機構が一般社団法人大学技術移転協議会に委託して調
査・分析を行った結果となります。
7
別紙
コーディネート人材に必要なスキルに関する調査票
はじめに
本アンケートのコーディネート人材とは、産学官連携・技術移転・研究資金獲得に渡る広義の意味で捉え、大
学等シーズの発掘・評価、産業界ニーズの取得・伝達に始まり、知財管理、ライセンス、共同・受託研究、プロジ
ェクトマネジメント、ベンチャー起業支援、事業化支援、URA 関係を含む広い範囲を考えていることにご留意の
上、ご記入ください。
また、記入するセルは黄色に着色しています。
1. ご回答いただく方についてご記入ください。
貴機関名
所属部課名
役職名
氏名
住所
電話番号
FAX 番号
Email
貴機関が該当するタイプを選んで、該当欄に英数字の 1 をご記入ください。
タイプ
該当
1.大学産学連携部門(知的財産本部等、但し、承認 TLO を含まない)
2.承認TLO・大学内部組織
3.承認TLO・大学外部組織・単独型
4.承認TLO・大学外部組織・広域型
5.認定TLO、研究機関(大学以外)
貴機関が管理するコーディネータ実務者の数は何人ですか。また実務者の担当する業務分野をパーセン
トの数字で書き入れてください。実務者が複数人いる場合は足し合わせて平均してください。合計が 100
になるように配分してください。
管理するコーディネータの人数
研究者支援(注 知財管理
人
ライセンス
1)
共 同 受 託 研 究 ベンチャー支援
その他(技術相
支援
談、イベント対
応等)
(注1)URA 業務の Pre-award や研究マネージメント等
8
(%)
2.スキルに関する説明
コーディネート人材が関係するスキル(大項目)A~J を以下のように図解しました。各スキルの位
置づけをご確認ください。
大学等の研究成果の事業化までの流れと必要スキル
政府ファンド
大学等研究者
大学等コーディネーター
のスキル(大項目)
シーズ探索
研究成果
企業
A
知財の権利化・マネジメント
B
審査請求・維持管理
ニーズ収集
C
ニーズ情報
D
面談
プレゼン・PR
フィードバック
MTA
ライセンス、
共同・受託研究
支援
技術移転、
共同・受託研究
GAPファンド
追加研究
競争的資金
ファンド
シーズ育成支援
プロジェクト支援
Pre-award支援
Post-award支援
政府競争的資金獲得
事業化支援
起業
E
D
技術移転、
共同・受託研究
G
事業化
A
H
F
中小企業
事業化
起業支援
F
リスク管理
I
総合
J
ここから Q&A を開始します。
管理者として、貴機関のコーディネート人材が身に付けるスキルの重要度についてお答えください。
3.スキル(大項目)について
上記スキル(A~J)を下記の 10 項目(大項目)に対して貴殿が考える重要度をパーセントの数字で
書き入れてください。合計が 100 になるよう配分してください。
(半角数字のフォントでご記入してく
ださい)
A 研究
シーズ関
連
B 知的
財産関連
C ニー
ズ調査関
連
D ライセ
ンス関連
E 研究
成果有体
物関連
F 事業
化関連
G 共同・
H プロジ
受託研究 ェクト関
関連
連
I リスク管
理関連
J 総合*
*J 総合の内容は p5 の項目をご覧ください。 (%)
4.スキル(中項目、小項目)について
大項目別に中項目、小項目の表を示します。
各項目の右に記入欄を付けています。必要度に応じて 3 段階評価をお願いします。
「絶対必要を 2、あ
った方が良いを 1、無くても良いを 0 」としてください。
(英数字フォントをお使いください)
中項目も小項目も共にご回答をいただく段階評価の数に制限はありません。
また、記載された項目にはないが、必要だとお考えになる項目(中項目、小項目)があれば、
(追加)
の欄にご記入ください。複数の記入項目がある場合は、先頭に・を打ってください。そして、文の末尾
に、絶対必要なら 2、あった方が良いなら 1 を追記してください。
9
A 研究シーズ関連
中項目
A-1 シーズ探索・評価
小項目(例示)
(評価)
1 研究成果(シーズ)を探索し発掘する。(各種手段(web、研究者
ヒアリング、学会参加等)によりシーズを見つけ出す)
2 発掘したシーズを評価し適切に取り扱う。(積極的に展開、状況
の観察→積極的展開 or 塩漬け)
3 シーズを創出した研究者の評価(技術移転に対する想いの程
度)
4 学内全体の研究シ-ズ情報の収集
(追加)
1 企業がシーズを技術導入するかどうかの判断が出来るレベルま
A-2 シーズの育成支援
で研究データを蓄積したり、試作品を作成するための手段(ギャッ
プファンド、国の競争的資金、企業との共同研究・寄付金・委託研
究、公的機関の助成制度等の利用)の認識・理解および活用。
(追加)
(追加)
(追加)
B 知的財産関連
B-1 知財の権利化
1 特許制度及び出願から権利化まで一般的知識に関すること
2 特許、審査請求の判断(市場性、特許性等を含め、本出願の活
用可能性を評価)B-2-3 との関連
3 権利取得手続き(拒絶理由、意見書、補正書、審判請求)
4 外国出願戦略(出願拒否、出願国等)
5 先行技術調査(特許性判断用)
6 意匠・商標制度に関する一般的知識に関すること
(追加)
B-2 知財のマネジメント
1 基本特許・応用特許出願、関連特許出願の整理
2 関連技術の他者の出願の動向把握(国内外)(パテントマップ他)
3 権利化された特許等の維持・放棄の判断(質の確保と出願経
費・維持経費管理)B-1-2 と関連
4 知的財産戦略(ノウハウ、標準化等を含む)
5 著作権の取扱・特許との協働
6 権利侵害対応
7 譲渡等契約書の締結
(追加)
(追加)
(追加)
C ニーズ調査関連
C-1 企業ニーズ探索
1 企業ニーズ収集・分析
(追加)
C-2 企業分析
1 企業の技術ポテンシャルや経営方針・事業戦略を総合的に評
価・分析
(追加)
(追加)
(追加)
D ライセンス関連
10
(評価)
1 技術移転のためにシーズを企業等に紹介するに際してのプレゼ
D-1 シーズのプレゼン・PR
ンテーションや PR。
(企業等が知りたい情報が盛り込まれているか。簡潔にまとめられ
ているか。シーズに対する理解度は十分か。)
(追加)
D-2 ライセンシング
1 ライセンス条件の知識(特許法関連)
2 ライセンス交渉術
3 ライセンス候補企業の探索
4 ライセンス契約の締結
(追加)
(追加)
(追加)
E 研究成果有体物関連
E-1 研究成果有体物(マテリアル)の
取扱い
1 研究成果有体物の管理
2 MTA の交渉と締結
(追加)
(追加)
(追加)
F 事業化関連
F-1 マーケティング
1 技術の応用先、売り先を見いだす。(シーズ志向)
2 価値につながる技術は何かを考えて、その技術を具現化する。
(ニーズ志向)
(追加)
F-2 ビジネスモデル
1 ビジネスモデルの概要を立案する。(BMO 法、ロードマッピン
グ、収益モデル、サプライチェーンも考慮する。)
(追加)
F-3 起業
1 大学発ベンチャー起業立ち上げ支援等
(追加)
F-4 企業評価
1 企業の本気度、経営方針、研究開発力、販売・マーケティング
力、財務等の評価
(追加)
F-5 研究開発資金調達
1 国の競争的資金、公的機関の助成制度、投資ファンド、金融機
関の融資等
(追加)
(追加)
(追加)
G 共同・受託研究関連
G-1 共同・受託研究一般
1 共同研究・受託研究に係る大学の戦略の構築
2 シーズのプレゼン・PR
3 研究開発資金調達
(追加)
G-2 契約交渉
1 共同研究契約、受託研究契約の交渉・締結(研究成果の取扱
等)
2 共同出願契約の交渉・締結
3 持ち分譲渡契約書の締結
11
(追加)
(追加)
(追加)
H プロジェクト関連
H-1 プロジェクト構築
1 参画メンバーの選定・勧誘
2 研究開発プロジェクト計画立案(役割分担、資源の配分、目標
設定(期日、成果))
(追加)
H-2 プロジェクトマネジメント
1 計画に対する進捗状況の把握(定期報告会等の開催)
2 進捗状況に応じた資源の配分
3 世の中の動きに対応し目標設定の確認(調整)
4 研究開発予算の執行管理
5 知的財産の管理(知財の権利化、マネジメント、ライセンス)
6 年度計画、全体計画、プロジェクト終了後の計画
(追加)
(追加)
(追加)
I リスク管理関連
I-1 契約・法務の基礎
1 契約に関する基礎知識(NDA を含む)
2 法律に関する知識(訴訟、判例読解、弁護士対応等々)
(追加)
I-2 法令遵守、CSR,外為法、不正経
理
1 利益相反、責務相反
2 安全保障貿易管理
3 生物多様性条約
4 研究倫理(医療医薬関係を中心に)
(追加)
(追加)
(追加)
J 総合
J-1 全体俯瞰力・全体構想力
1 所属機関の産学連携の状況を俯瞰的に見渡す力および状況
を踏まえて総合的に推進する力
(追加)
J-2 組織目標の理解
1 知財ポリシーの理解と応用
2 産学連携ポリシーの理解と応用
(追加)
J-3 情報収集・分析力
1 国際取引力(知識/法律)
2 海外展開力(情報収集・分析)
(追加)
J-4 地域貢献
1 企業相談窓口、地域研究会運営、社会ニーズ調査
(追加)
J-5 コーディネート人材の育成
1 後進のコーディネータの育成
(追加)
J-6 ネットワーク構築(人・組織)
1 研究者、コーディネータ、企業等に対する個人的なネットワーク
2 大学、企業、技術移転支援機関等に対する組織的なネットワー
ク
12
(追加)
J-7 コミュニケーション能力
1 説得力(経験を踏まえ人を説き伏せる能力)
2 突破力(諦めず目的を果たす意思の強さ)
(追加)
(追加)
(追加)
5. 研修における講義の進め方について
コーディネータ人材育成プログラムにおいて、どのような講義の進め方が有効であるとお考えかお答え
ください。最も有効と考えられる欄に半角数字の 1 をご記入ください。
5-1.好ましい研修当日の進行方法は
(選択)
1 講師からの座学講義のみ
2 講師からの座学講義+テーマを決めたグループ討議
3 テーマを決めたグループ討議のみ
その他(具体的に)・
5-2.仮に、グループ討議を行うとした場合における討議テーマの設定は
1 事前に共通のテーマ(業務の進め方等)を設定する
2 特に事前のテーマは決めず各メンバーが抱える問題点を当日持ち寄ることとする(他
の大学の事例を共有し、対処法を学びたい)
3 ケーススタディとして実際の模範解答ケースがある研究開発事例を事前にテーマ設定
する
その他(具体的に)・
5-3.講義資料(テキスト)の配付のタイミング
1 研修開催日以前に受講者宛に送付する
2 研修当日配付する
6. 目利き人材育成プログラムのwebラーニングについて
コーディネータ初任者等の基礎知識の習得および向上を目的としたwebラーニングのニーズの有無
についてお答えください。
6-1.貴大学等のコーディネート人材研修の一部あるいは自己研鑽の方法の1つとしてwebラーニング
を利用する可能性はありますか。該当する欄に半角数字の 1 をご記入ください。
(該当)
1 絶対(大いに)使いたい
2 使う可能性があるが、いつ使うかわからない
3 使うことはないと思う
(理由)
6-2. 6-1 にて、1 または 2 とお答えの方のみにお聞きします。
利用する可能性がある場合は、どのような講義科目が有用と思いますか。次の中から3つお選びくだ
さい。該当する欄に半角数字の 1 をご記入ください。他にあれば、その他欄にご記入ください。
13
A 研究
シーズ関
連
B 知的
財産関連
C ニー
ズ調査関
連
D ライセ
ンス関連
E 研究
成果有体
物関連
F 事業
化関連
G 共同・
H プロジ
受託研究 ェクト関
関連
連
I リスク管
理関連
J 総合
その他*(自由記述欄)・
7. 分析ツールについて
7-1. JST 目利き人材育成プログラムの実用化プロジェクトマネジメントコースで学ぶツール(添付資料
をご覧ください)について、
「使用しているを 3、使用していないが考え方は使用しているを 2、使用し
ていないが今後検討したいを 1、使用しないを 0」として記載してください。
発明評価(TRIAGE)
シーズ・ニーズ(SN)マトリクス変換
ロードマップ(技術、事業)
特許価値評価
特許マップ
BMO 法
SWOT
7-2.上記ツール以外に、貴機関で活用されている分析評価ツールがあればツールの名称および用途をお
書きください。
分析評価ツールの名称
①
②
分析評価ツールの用途
①
②
【分析評価ツールの例】
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)
、バランススコアカード(BSC)
、5つの競争要因(フ
ァイブ・フォース)
、特性要因図(フィッシュボーン)
、ロジックツリー、プロセスマッピング、バリュ
ーチェーン、ステークホルダ分析、ポジショニングマップ、マインドマップ、メリット・デメリット法、
意志決定マトリクス、ペイオフマトリクス等々
8. 新たなコーディネート人材
最後になります が、今後 5~10 年の将来、貴機関ではどんなコーディネート人材を期待するでしょう
か、下記の欄に自由にご記入ください。
14
(自由記述欄)・
ご協力、ありがとうございました。
(添付資料)
※1発明評価(研究成果シーズを評価・選別する。
)
「トリアージ」はUniversity of Pennsylvania の「Katheleen Denis and Louis Berneman; Intellectual Asset
Evaluation and Selection」を簡略化したものです。
15
※2シーズ・ニーズマトリクス変換(研究シーズの特長的な機能を明らかにし、その機能を介して技術
特性や製品・市場を顕在化する。
)
出典「新製品・新事業開発の進め方」鈴木剛一郎著から引用。
※3ロードマップ(開発研究から商品化・事業化に必要な研究開発要素について各研究開発フェーズに
おいて解決すべき課題を顕在化させ道筋の可視化を行う。
)
16
アンケート調査結果
有効回答のうち、「絶
対必要(評価2)」の割
合が55~65%
有効回答のうち、「絶対必
要(評価2)」の割合が
65%以上
スキル大項目
スキル中項目
中
項目
総合
順位
管理者・実務
全管理者
者
評価2の個
評価2の個数
数/有効回
/有効回答数 全管理者
全実務者
答数(%)
評価順位
評価順位
(%)
有効回答
数:82
有効回答数:
248
全実務者
評価2の個
数/有効回
答数
(%)
有効回答
数:166
A-1 シーズ探索・評価
2
72
1
80
3
67
A-2 シーズの育成支援
12
53
15
52
9
53
B-1 知財の権利化
10
55
7
65
12
50
B-2 知財のマネジメント
14
49
9
62
15
43
6
59
12
60
6
58
26
25
26
20
23
27
9
56
5
66
11
51
11
55
6
66
13
49
22
29
22
35
26
26
F-1 マーケティング
13
52
14
54
10
52
F-2 ビジネスモデル
25
26
24
23
24
27
F-3 起業
27
14
27
13
27
14
F-4 企業評価
23
27
23
26
25
27
F-5 研究開発資金調達
7
59
13
56
5
60
G-1 共同・受託研究一般
5
60
3
68
7
57
G-2 契約交渉
8
58
8
65
8
55
18
42
21
40
17
42
17
43
19
43
14
43
19
42
16
49
19
39
A 研究シーズ関連
B
知的財産関連
C-1 企業ニーズ探索
C ニーズ調査関連
C-2 企業分析
D-1 シーズのプレゼン・PR
D ライセンス関連
D-2 ライセンシング
E
F
G
研究成果有体
物関連
事業化関連
共同・受託研究
関連
E-1
研究成果有体物の取
り扱い
H-1 プロジェクト構築
H プロジェクト関連
H-2
プロジェクトマネジメン
ト
I-1 契約・法務の基礎
I リスク管理関係
J
総合
I-2
法令遵守、CSR、外為
法、不正経理
21
40
17
48
21
36
J-1
全体俯瞰力・全体構想
力
4
62
10
62
4
61
J-2 組織目標の理解
15
45
11
49
20
39
J-3 情報収集・分析力
24
27
25
23
22
28
J-4 地域貢献
20
41
20
43
18
40
J-5
コーディネート人材の
育成
16
44
18
48
16
43
J-6
ネットワーク構築(人・
組織)
3
71
4
68
1
72
2
72
2
80
2
68
J-7 コミュニケーション能力
評価基準
2:絶対必要、1:あった方が良い、0:無くても良い
17