何度も何度も同じことをして,異なる結果を予想することは?(2015/09/28) ある人が会社を遅刻してしまいました。原因は寝坊でした。次の日も遅刻しました。やはり 寝坊でした。その次の日も遅刻しました。またもや寝坊でした。この人を皆さんどう思います か?馬鹿な人だなと思いますか。遅刻対策を立てないのだろうと思いますか? 夏休みに千葉県にあるいすみ鉄道の鳥塚亮社長の話を伺う機会がありました。いすみ鉄道は 千葉県や地元自治体により設立された鉄道です。会社発足以来赤字が続き,廃止も検討するほ どでしたので,経営立て直しのために社長を一般公募し,元ブリティッシュ・エアウェイズ旅 客運航部長の鳥塚氏が代表取締役社長になりました。ローカル鉄道が地域の足として成り立つ には鉄道沿線の人口が 10 万人以上いることが必要です。いすみ鉄道沿線には3万人しか住ん でいません。そこで,鳥塚さんは,住民の足としての鉄道の使い方をやめることを考えました。 どうしたと思いますか。地域の足ではなく,観光として売り出す観光鉄道として生きていくこ とを考えました。鉄道をレストランにしていすみ鉄道沿線の食材を使ったディナーを提供した り,鉄道ファンの垂涎の的であるレトロな車両を格安で購入して導入し,電車に乗ることその ものを観光にしてしまいました。また,地域を廃れていると見るのでなく昭和が残っていると して観光資源にしたり,子ども向けの行事を行い,子どもを人質にして保護者を連れて来たり, 「ここには何もないがあります」を売り物にしたりと,大変面白いユニークな取り組みを数多 く行いました。そのおかけでいすみ鉄道は徐々に経営が改善しています。鳥塚氏は他にも数々 の取り組みをしていますので,インターネット等で調べると話のタネになると思いますよ。そ の鳥塚社長が,アルバート・アインシュタインが言った狂気についての言葉を紹介してくれま した。それは,”Insanity: Doing the same thing over and over again and expecting different results.”というものです。訳しますと, 「狂気:何度も何度も同じことをして,異なる結果を 予想すること。 」となります。 同じことをしていれば,同じ結果になります。同じことを何度繰り返しても,違う結果には なりません。違う結果になると思うことが狂気と言うわけです。最初の遅刻した人も,もしか したら今度こそは気をつけるから大丈夫,遅刻はしないと思ったのかもしれません。鳥塚社長 は,いすみ鉄道を地域の足として使うことばかりやってきて上手くいかないから,別の方法を 考えたわけです。同じことをしても上手くいかないのは当たり前のことに思えますね。でも, 私たちは同じことを繰り返してしまい,上手くいかないことをしてしまうことが多々あります。 現に,いすみ鉄道を地域の足ではなく,観光として売り出す観光鉄道として生きていくことを 考えたのは,鳥塚氏が社長になる前はありませんでした。それまで何度しても駄目だった鉄道 の地域の足という考え方から脱却できなかったのです。 上手くいかなかったらなぜかとその原因を分析し,別の方法でやってみることが大切です。 1
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