グラフト材のトレンド/ 抜歯即時(早期)埋入の選択とテクニック

Nobel Biocare Esthetic Forum 2009
メイン会場Ⅰ
ノーベルバイオケア エステティックフォーラム 2009
メインプログラム ダイジェスト
SESSION
5
グラフト材のトレンド/
抜歯即時(早期)埋入の選択とテクニック
骨造成術における最近の骨代用材の研究報告から臨床での応用方法まで。
抜歯即時および早期埋入の際のガイドラインと適用術式を紹介します。
<スピーカー(敬称略)>
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プレゼンター
波多野 尚樹
モデレーター
春日井 昇平
コメンテーター
菅井 敏郎
エキスパート・パネル
五十嵐 一、鬼原 英道、鈴木 仙一、永原 國央
春日井: グラフト材のトレンド、抜歯即時埋入、
ラントの間にできたスペース
(ジャンピングディ
トメントにて防止するか、軟組織を移植する、
骨増生という外科がテーマについてのお話し
スタンス)が1. 5㎜、深さ5㎜、近遠心的に
などの方法を用います。
をお願いします。
4㎜程度以上ですと、
骨補填しない場合にオッ
GBR についてもう一つ、サイナスリフトにつ
波多野: 抜歯即時埋入の最初の報告は 1989
セオインテグレーションを確立しますが骨吸収
いてまとめました。ゴールドスタンダードな
年ラザーラで、以後多くの症例が報告されて
も起きます。たとえオッセオインテグレーショ
材料は自家骨です。そのほかに DFDBA、無
いますが、審美領域では、解剖学的に上顎歯
ンが確立しても、大きな歯牙、たとえば上顎
機 牛骨、HA、β -TCP などいろいろありま
牙は唇側・頬側に位置しているため、35%~
中切歯や犬歯等のソケット(抜歯窩の大きなと
す。逆にサイナス内に何も充填しなくても、サ
40%の確率で数年後問題になると言われま
ころ)の大きな径のところに、インプラント体
イナスリフトが 可能です。1980 年代からは
す。抜歯には理由があり、感染や破折やパァー
を埋入する場合、ジャンピングディスタンスが
ブロック自家骨を、次の世代は、自家骨を粉
フォレーション等多くの症例で、唇側の骨が
非常に大きいです。小さくするために、ワイド
砕し顆粒骨にして体積を増やし、血管が再生
欠損しています。そのような症例では、インプ
のインプラント体を埋入した場合、長期予後
を促す利点を用いました。さらに次の世代は、
ラント埋入手術を慎重に行わなければならな
で歯肉ラインが、下がってしまいます。なぜ下
PRP を用いて、より早く治癒させようとしま
い、場合によっては抜歯後早期埋入や抜歯後
がるかというと、生物学的幅経です。その維
した。骨再生が早いかどうかはわかりません
遅延埋入にします。インプラント手術の有無
持のために1スレッド半程度骨吸収しますが、
が、サイナスリフト成功率は約90%以上あり
に関わらず、抜歯後頬側骨は必ず吸収し、平
特に径の大きいインプラント体でなぜかより
ます。2002 年の論文はサイナスリフトを画期
均約3㎜程度が、約3週間で吸収します。一
深く吸収が起こるという報告もあります。骨吸
的に変えました。これは、自家骨のみ、無機
度吸収した骨は、たとえインプラントを埋入し
収する角度は一定とされていますので、ワイド
牛骨のみ、自家骨対無機牛骨の割合を2:8
て、HA を充填しても、骨レベルは元に戻りま
プラットホームでは、より広い範囲の骨吸収が
に混合して充填して、インプラント成功率を
せん。元に戻すためには、顎堤骨増生術のみ
おきると考えられます。これが薄い唇側にお
調べたところ、三つすべて同じ結果。2003
です。抜歯即時埋入において、唇側の骨吸収
こると、骨がより吸収してしまうのです。従っ
年、Stefan Lundgren らは、サイナス内の
が激しい症例は難しく、抜歯即時埋入の適応
て、ジャンピンディスタンスが大きいケースの
嚢胞を除去し、破れたメンブレンを縫合して
は、周囲に十分骨がある場合を選択していま
場合には、インプラント体は口蓋側に埋入し、
空隙を作った結果、骨ができたと報告しまし
す。さらに上顎骨は薄いので、十分に唇側の
唇側のスペースを代用材で補填し骨再生によ
た。その空隙内にインプラントを埋入しておけ
骨が残っていても、長期的に水平的に吸収し
り、歯肉も長期的に退縮しないように努めま
ば、オッセオインテグレーションをしてサイナ
歯肉の豊隆の形態は変化します。骨吸収に関
す。代用材の理想的な充填方法は、こぼれな
スリフトが完成するわけです。空間の中に血
係してもう一つ、インプラント体の直径も関係
いように、即時修復などのプロビジョナルレス
液が充満して、血管が再生新生して、骨芽細胞、
します。抜歯後即時埋入で頬側の骨とインプ
トレーションで防止するか、ヒーリングアバッ
網状骨ができて、骨が再生するという形になっ
たと考えられます。またインプラント体表面
されたものの、唇側の骨吸収歯肉の退縮のト
十分な症例です。リスクはスキャロップの湾曲
に付着した血液がオッセオインテグレーショ
ラブルが報告されている。また、欠点として、
が強いまたはフラットな場合、ランガ先生のよ
ンの骨を形成すると考えられます。その考え
感染の危険性、歯周病により抜歯した部位で
うに歯冠を落として、歯肉を得る処置を行う、
にのっとると、サイナスリフトを行って、オッ
の即時埋入の失敗率は優位に高いという報告
あるいは、サロマ先生のように歯牙を延出さ
セオインテグレーションさせるのに、一番大
と、明確な差はないという、反対の論文があ
せて、状態を整える必要があります。また歯
切なのは初期固定です。初期固定が獲得でき
ります。これには感染の程度、感染創をいか
肉の性状、形態を考慮するべきで、薄くて、ス
れば問題ありません。ブローネマルク先生は
に掻爬できるかが重要です。ついで初期固定
キャロップの場合、非常にリスクが高い。また
機械研磨インプラントを埋入する際、必ず血
の獲得が難しく、十分な骨がない場合には初
隣在歯が修復してある場合、切開線の位置等
液に浸してから埋入を行ったとのことです。埋
期固定が得にくく、位置決めが困難なことが
を考慮しないとリセッションの原因になるので
入直後と、埋入後6か月を比較しても骨がで
あります。例えば唇側に骨がなく、通常口蓋
リスクが高いです。即時埋入の診断の要素と
きています。骨ができているかどうか、CT 撮
側にドリリングをする場合が多いですが、非常
して、十分な骨幅、骨量があることが大切です。
影にて確認しています。1㎜であった骨、2~
に滑りやすくプレパレーションをアンダーにし
また根尖部に十分な骨量も必要で、鼻腔底が
3㎜であった骨も十分に骨が再生しています。
てインプラント体を埋入しようとすると、骨の
接している場合、初期固定を得にくくなります。
71症例、血液のみでインプラント埋入手術を
ない方に必ずインプラント体が流れてしまいま
またカン先生の論文では骨欠損形態によって
施行しておりまして140本インプラント体を
す。抜歯に伴う組織の吸収量、形態変化の予
成績が変わってくるとのことです。たとえば V
埋入しましたが、脱落したのは2本です。成
測が困難なため、唇側骨吸収→軟組織退縮→
字型骨欠損では、歯肉が 1.5mm 下がる確率
功率は98. 5%。90%以上の確率で成功し
金属露出という審美的トラブルも報告されま
が 8,3%で、U 字型骨欠損では 42.5%、大き
ます。ドナーサイトがないので、患者のために
す。即時埋入に伴う審美的結果のデータは依
な U 字型では 100%歯肉退縮するとのことで
なっています。補填材を使わなくても成功しま
然として不足しています。抜歯即時埋入を行う
す。隣接歯との間は 1.5㎜またインプラント間
す。ここでいえることは GBR、サイナスリフト
症例は、まず唇側骨壁が吸収していない症例
は 3㎜ないといけません。口蓋側に埋入する
でも一番大切なのは初期固定と血液です。そ
です。できれば唇側の骨壁・唇側歯肉が厚い
ために、滑りやすいところではプレシジョンド
れによりオッセオインテグレーションを確立で
症例を選択します。Bio-type が Thick and
リルを用いるとよい。抜歯窩と形成窩の位置
きるわけです。抜歯窩の中でも同様ですから、
Flat は歯肉退縮が非常に少なく、Thin and
が違うのも確認してください。埋入深度は歯
抜歯後即時埋入したインプラント体と骨の界
Scalloped の場合は歯肉退縮が非常に大き
肉縁より2~3mm です。グルダーは頬側骨が
面では同じことが起きていると考えられます。
い。また隣接歯の歯周組織の状態が良い症例
2㎜以上あることが大切と報告しています。ま
春日井: 菅井先生、抜歯即時埋入の利点、欠点、
を選択します。骨吸収は隣接歯の状態と歯周
たレコビックやバウンスらは、吸収性メンブレ
注意点等コメントお願いします。
組織の健康に依存していると報告されていま
ンを用いて保護することで、骨吸収が抑制さ
菅井: 抜歯後のインプラント埋入時期に関し
す。インプラントの埋入はできるだけ口蓋側
れると報告しています。プランニングで大切な
て、WILSON らの分類ではタイプ1
:抜歯即時、
に埋入します。抜歯即時埋入の評価にて、歯
ことは、歯軸とインプラント軸が違うというこ
タイプ2:軟組織にトラブルまた感染がある場
肉退縮は平均 0.9mm、唇側に埋入されたも
とを、事前に診査診断しておくことで、インプ
合4週~8週軟組織治癒後、タイプ3:小範囲
のは、平均 1.8mm、口蓋側に埋入されたも
ラント成功のカギかと思います。
の骨欠損がある場合12~16週抜歯窩治癒を
のは平均 0,6mm、唇側寄りの埋入は歯肉退
待ってから、タイプ4:大きな骨欠損がある場
縮が3倍大きい傾向にあったと報告されてい
合、ソケットプリザベーション等で骨性治癒を
ます。抜歯窩内のスペースは骨補填材を填塞
完全に待って6か月以上経過後してから埋入で
してあげること、スペースに骨補填材を填塞し
す。抜歯即時の利点は治癒期間の短縮、手術
た方が唇側の水平的骨吸収を抑制できたと報
侵襲・回数の軽減、多くの場合フラップレス
告されています。
が可能です。抜歯窩への即時埋入は、唇側(頬
春日井: それでは抜歯即時埋入されている鈴
側)の骨吸収を抑制し、骨と軟組織の形態保
木先生コメントお願いします。
春日井: 単独歯の抜歯即時埋入にコメントい
存に役に立つと90年代の論文によく出されて
鈴木: 症例で検討します。Bio-type は Thick
ただきました。続いて五十嵐先生より複数歯
いましたが、最近では骨吸収の抑制効果はな
and Flat、リップラインは High、根尖病巣
の抜歯即時埋入の即時負荷についてコメント
いことが報告され、90年代に抜歯即時埋入
なし、歯肉の質は十分、CT から骨の量等も
をお願いいたします。
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Nobel Biocare Esthetic Forum 2009
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五十嵐: 当歯科を受診される患者は多数歯欠
原先生、このセッションでその他骨の移植等
などについて菅井先生お願いします。
損のある方、歯周病により大きく動揺がある
に関してコメントいただけます?
菅井: これまでは、自家骨がゴールドスタン
患者が多いのですが、歯周病による保存不可
永原: 教科書的ですが、採取部位と合併症に
ダードでしたが、自家骨採取は患者さんの精
能な歯を放置して、7㎜から10㎜の歯周ポケッ
ついてです。自家骨の採取部位ですが、口腔
神的・肉体 的 負担を強いるので、近 年同種
トが全域に広がっている症例では大量に抜歯
内では、骨隆起、上顎結節、下顎枝、オトガ
他 家骨、異 種骨、人工骨などが頻 繁に使 用
を行わなければなりません。その際には大き
イ部、口腔外ですと、脛骨、腸骨。合併症では、
されるようになってきました。再生医療の成
な抜歯窩が現れますので、骨形態によるイン
共通して出てくるのが、出血、神経麻痺、感
長により成長因子も用いられ、rh PDGF, r
プラントの埋入位置が非常に大切になってき
染で、口腔内は開口障害、口腔外の場合、特
h BMP-2 はどちらも欧米では製品化されて、
ます。術前の診査、CT 等にて、どのような骨
に腸骨は歩行障害がでます。採取部位選択の
流通しています。rh PDGF は血小板由来の
形態になるかを予測し、歯周病に侵された歯
基準として、どれだけの骨が必要か骨量、骨
成長因子で多くはグラフト材に混ぜて使用する
牙が接している、薄い骨はある程度削り取ら
質、それに伴う合併症を考慮して採取部位の
ことが推奨されています。rh BMP-2 に関し
なければなりません。頬側骨が非常に薄く上
選択をすべきです。海綿骨でも皮質骨でも移
ては2年前に、歯科、口腔外科用に FDA の
顎洞または鼻腔底が近接した状態では、埋入
植して造成した骨に関してそれほど差は出てこ
認可を受け、販売が開始されており、適用と
が困難になります。つまり骨量が十分あると
ないという見解もあります。採取部位別の骨
して上顎洞挙上術、抜歯に伴う骨欠損が含ま
確認できるもののみ、多数歯の抜歯及び即時
量骨質と伴った合併症を考えますが、例えば
れています。この材料は骨補填 材に混ぜて、
荷重を行なっていただきたいと思います。
また、
片側の骨隆起をとった場合では量が少ないの
使うものではなくて、吸収性コラーゲンスポ
術後の補綴形態を歯肉の状態も含めて事前に
で、ソケットリフト、または部分的な上顎洞挙
ンジに浸して使用することが、推奨されてい
確認して、補綴と手術を進めていただきたい
上術に用いられますし、骨質に関して、皮質
る。2005年にこの BMP-2 を用いて上顎
です。チェックアップができた 103 症例のう
骨、海綿骨様のものが一部取れる可能性があ
洞挙上の臨床例を数多くあげた論文では、通
ち、平均的には上顎で 5 本近く、下顎では 6
ると、合併症に関しては、出血、感染等が挙
法 にした がって、Caldwell-Luc 法( ラ テ ラ
本近く抜歯即時埋入を行なっております。大
げられますし、上顎結節では骨量は多くなく、
ルウインドウテクニック)で上顎洞挙上術施
量な抜歯の際には感染がおこりやすいと考え、
骨質は海綿骨、合併症は同じとなります。下
行、BMP-2 に吸収性コラーゲンスポンジに
我々が心がけていることは、麻酔科医を常駐
顎枝では、量的にはかなりふえて取れ、部分
浸して、挙上後に充填します。コントロールは
させ、そして手術時間を短くするということで
的な上顎洞挙上術に使用できますし、骨質に
自家骨のみ、6~12カ月後の両側のボーンバ
す。2 時間以内の手術時間であれば、非常に
関しては、皮質骨、海綿骨が採取でき、合併
イオプシーで、rh BMP-2 群の生検におい
スムーズな手術が行えます。例えば、ブリッ
症に関しては同様ですがさらに開口障害が生
て、自家骨移植群に近似した海綿骨量と厚み
ヂが外れて、咀嚼障害もある症例で、診査の
じる可能性があります。オトガイ部はよく、か
がみられたこと、90~95%の成熟した層板
結果すべての歯を抜歯しなければならないこ
なりとれ、骨質は皮質骨も海綿骨、大きな合
骨が見られたこと、rh BMP-2 は100%生
とになった場合、骨を削らなければならない
併症として神経麻痺がでやすいということで
存可能な骨を誘導したとあります。抜歯窩に
ので確実に骨が残存する部位に即時荷重をお
す。口腔外に関して、脛骨と腸骨はかなりの
関しましては、ヒロニリアの研究が非常に有名
こなう計画を立てます。常に多数歯の抜歯に
量がとれ、脛骨では骨髄海綿骨がとれますが、
です。これも2005年の論文ですが抜歯窩、
際し注意しなければならないことは、術前検
とりすぎると骨折の恐れがある。腸骨は一番
唇側に骨欠損がある症例で、先ほどと同様r
査を行い、体に異常がないことを確認し、骨
量が豊富で、骨質はいろいろな種類がとれま
hBMP-2 を吸収性コラーゲンスポンジに浸し
を削り取ったとしても、インプラントが確実に
すが、歩行障害が出やすく、1週間程度は松
て適用した結果、4カ月後の CT で確実に骨
埋入できるしっかりとした十分な骨量が残存
葉杖をついていただかないといけないという
が形成されているのがわかります。BMP-2 を
する部位に即時荷重を行っていただきたいと
状況です。
用いることによって、コントロール郡の5倍か
思います。
春日井: やはり現在も、ゴールドスタンダード
ら6倍骨が形成されていることがわかります。
春日井: 五十嵐先生は術前の CT を用いた診
は自家骨移植ということになります。先生方
組織像で同じく6~12か月毎に、バイオプシー
査が重要であると、それから感染予防のため
も数多くやられていますが、やはり侵襲が大
サンプルからは、網状骨と層板骨を含む海綿
に、先生は薬剤や IV-S を使われているなど、
きいので、新しい材料がないかということで
骨の形成がみられました。rh BMP-2 は新
細かい気配りをしながら、ダイナミックな治療
期待されているわけです。骨移植材、補填材、
生骨を誘導し、臨床的に安全で効果的である
を行われているということがわかりました。永
その他新しいシグナル分子、成長因子の適用
と、結論づけられる。このように再生医療の
になるのではないかと思います。次に吸収性
性で填塞しています。サイナスリフトでは 2 回
材料の特性、スピード等に関して、これは私
法じゃないとできない症例ばかりで、インプラ
達の教室でやった実験ですが、β -TCP ブロッ
ントでテント状にさせることができないので、
クいわゆるセラソルブ、オスフェリオンといわ
まずβ -TCP、Bio-Oss を患者にそれぞれ説
れる物を、ウサギの頭頂骨において骨形成を
明して選択してもらいます。
みた研究です。β -TCP, α -TCP両方とも
春日井: 五十嵐先生どうですか?
に吸収性のものといわれていますが、大きく
五十嵐: β -TCP と自家骨を両方。
応用によって、自家骨、骨補填材なしに、成
吸収の度合いが違います。当然同じ吸収性の
鈴木: 同じです。
長因子 BMP-2 のみでインプラント治療のた
ものであってもこれだけ吸収の度合が違えば、
鬼原: 審美領域の前歯部においては、インプ
めの骨増生が行えるようになってきています。
用途を考えなければいけません。臨床でのま
ラント表面は自家骨がいいと思います。その
春日井: BMP- 2に大きな期待が集まるわけ
とめですが、吸収性では長期的なインプラン
上にさらに非吸収性のものを置くと、臼歯部
ですが、日本でまだ手に入らないといったこ
ト体との BIC 向上につながる可能性がありま
に人工骨を使う場合できるだけ50%50%自
とで、話が戻りますが、鬼原先生どうでしょう
すが、圧迫部位ではなくなってしまう可能性が
家骨と人工骨がいいと思います。
か?
ある。非吸収性の骨補填材に関しては、長期
春日井: まとめにうつります。最初に抜歯後
鬼原: 吸収性、非吸収性骨補填 材に関して、
的に体内に残存する、感染のリスクなど BIC
のインプラント埋入では抜歯即時埋入の利点
骨補填材の種類から説明します。まず同種骨
に不利に働く可能性がありますが、長期残存
と欠点をよく知っていただくこと、診査が重要
で人から、異種骨で牛もしくは他の種族から
することで、審美領域では顎堤を保持するに
ということ、インプラント埋入時期の選択は
採取したもの、人工の合成骨、大きく分けてこ
はとても有効と考えられます。
それによって決めなくてはいけません。即時
の3種類に分けられます。この中で論文もしく
春日井: 最後に先生方、抜歯即時埋入して唇
埋入する時の手技、注意点等々、骨の造成に
はメーカーサイドから発表されているもので、
側にギャップがあった時に骨補填材を入れる
関して、今自家骨移植がゴールドスタンダード
DFDBA、FDBA, α -TCP, β -TCP,Calcium
か、上顎洞、臼歯部に骨が1㎜しかない場合
ですが、グラフト材もあり、新たな BMP-2 な
sulfate, Bio-oss は、吸収性、HA に関して
で、インプラント初期固定は得られる症例で、
どのシグナル分子も少しでてきました。サイナ
は議 論 が分かれる所なので、今回はグレー
どのように対処するかということをお願いしま
スにおいては、自家骨、自家骨+いろいろな
ゾーンとさせていただきます。実際に、吸収
す。
材料または、材料だけ、また波多野先生の上
性、非吸収性に関して、スピードの違いがあり、
波多野: 抜歯窩の場合はスペースがあると補
顎洞粘膜挙上だけで骨ができる話もでました。
HA の一番遅いとされているものに関しても吸
填材を詰めたくなります。自家骨か私の場合
何を選択すべきか、どれもエビデンスがあり
収は、徐々に起こると言われています。スピー
は無機牛骨で閉鎖します。サイナスの場合は、
ますので、それは会場の先生方の判断にお任
ドに関しては使い方に非常に大きく左右され
スペース確保が1番大切ですので、種類は色々
せしたいと思います。このセッションはノーベ
ると思われます。症例ですが、右上5番相当
でましたが、まず血液です。もしメンブレンが
ルバイオケアのプロダクトが一言もでなかった
部にインプラントが入っておりまして、その後
破れたら無理ですので、そのような場合は縫
のですが、ノーベルバイオケアの寛容に感謝し
ろ2本のインプラントがロストして、紹介で来
合します。縫合してもうまくいかなければ、顆
たいと思います。
院された患者さんです。サイナスリフトを HA
粒状の物をいれます。
を使って行い、その後埋入したそうですが補
春日井: 顆粒状の物は何を入れますか?
綴する時にインプラントの脱落が認められたと
波多野: バイオスです。
のことです。再埋入の依頼でしたが、なかな
永原: 大学としましては承認されたものしか使
かこういう部位に、インプラントを再埋入して
えませんので、自家骨または、たまにβ -TCP
も、インテグレーションの獲得は非常に難し
です。
い症例です。もう一つ、インプラントを希望さ
菅井: 抜歯窩の唇側のスペースに関しまして
れた患者で CT をとったところ、抜歯窩の一
は、オッセオインテグレーションのことを考え
部分に HA の様なものがみられました。同じ
ますと骨に置き換わった方がいいので深部は
くこの部位にインプラント埋入した時に、イン
β -TCP などの吸収性のマテリアル。表層はで
テグレーションという意味ではなかなか不利
きるだけ非吸収性のものを選ぶという、2 層
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