共通教科情報科『社会と情報』の授業実践・指導

「大分県教育情報化推進戦略2013」
共通教科情報科『社会と情報』の授業実践・指導事例集
~情報活用能力を確実に身につけさせる教育の実現を目指して~
平成 26 年 3 月
大分県教育庁高校教育課
ま え が き
本年度から高等学校では新学習指導要領が学年進行で実施されており、その趣旨を踏まえて日々
の教育活動の実践に取り組んでおられることと思います。
知識基盤社会の到来やグローバル化が急速に進展する中、情報及び情報機器等の活用が生活に必
要不可欠な社会となってきています。
一方で高校生の実態は多様化しており、「生きる力」を育成することがますます重要になってい
ます。
学習指導要領では情報教育の目標の観点として、前回の改訂に引き続き「情報活用の実践力」、
「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態度」の3つを掲げています。
「情報活用の実践力」については、様々な情報が氾濫する社会において、直面する課題や目的に
適した情報手段を主体的に選択し、課題解決に向けて情報や情報手段を適切に活用する力が求めら
れますが、そのためには「情報の科学的な理解」として、情報そのものについて理解を深めるとと
もに、課題解決の手順と結果の評価及び情報を表現するための技法などを身につけなければなりま
せん。そして社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響についても、
情報化の「光」と「影」といった視点から情報社会への理解を深める必要があります。情報モラル
等に関する教育を中心に「情報社会に積極的に参画する態度」を身につけさせることは、今後ます
ます重要になってきます。
共通教科情報科では、このような情報教育の目標である3観点の特性等を踏まえ、相互に関連性
を持たせるとともに、情報活用から高い付加価値を創造できる人材を育成していくことが大切です。
本指導事例集では、共通教科情報科の「社会と情報」に特化し、学習指導要領における「内容と
その取扱い」を踏まえ、情報教育の充実を図るため優れた指導事例を収録しました。また授業実践
に関わる言語活動の充実や、評価のポイント等について掲載しています。
各学校において、本指導事例集が積極的に活用され、情報社会に貢献する優れた人材の育成を図
るとともに、大分県情報教育の更なる推進につながることを期待しています。
最後に、本指導事例集の作成にあたり、多大なご尽力をいただいた関係の方々をはじめ、実践授
業に取り組まれ執筆いただいた先生方に、心から感謝申し上げます。
平成26年3月
大分県教育庁高校教育課長
髙
畑
一
郎
共通教科情報科の授業実践・指導事例集
~情報活用能力を確実に身につけさせる教育の実現を目指して~
-目 次-
1
共通教科情報科の改善について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
【学習指導要領改訂の基本的な考え方】
改訂の趣旨
(1)改善の基本方針
(2)改善の具体的事項
改訂の要点
(1)教科の目標の改善
(2)科目構成の改善
(3)各科目の内容の改善
(4)指導計画の作成と内容の取扱いについての改善
情報教育の中での共通教科情報科の位置付け
(1) 情報教育の目標
(2) 体系的な情報教育と共通教科情報科
思考力・判断力・表現力等をはぐくむ学習活動の例
2
授業実践・指導事例について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
ア 指導事例の示し方
イ
3
指導事例の活用
言語活動を充実させる指導と事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(1)生徒の発達の段階等に応じた指導の充実
(2)教科等の特質を踏まえた指導の充実及び留意事項
指導事例一覧
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
4
指導事例(
「社会と情報」10事例)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
5
言語活動の評価の概要とポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
6
情報モラル教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
7
参考資料・参考URL等
8
作成協力者一覧
1
共通教科情報科の改善について
【学習指導要領改訂の基本的な考え方】
改訂の趣旨
平成20年1月の中央教育審議会答申においては,学習指導要領改訂の基本的な考え方が示されると
ともに,各教科等の改善の基本方針や主な改善事項が示されている。このたびの高等学校の各学科に共
通する教科情報科(以下,
「共通教科情報科」という。
)の改訂は,これらを踏まえて行ったものである。
答申の中で,共通教科情報科の改善については,次のように示された。
情報 (高等学校)
(1) 改善の基本方針
○ 普通教科「情報」については,その課題を踏まえ,高校生の発達の段階や多様な実態に応じて,情報
化の進む社会に積極的に参画することができる能力・態度をはぐくむとともに,情報に関する科学的
な見方・考え方を確実に定着させる指導を重視し,科目やその目標・内容の見直しを図る。
○ 情報を適切に活用する上で必要とされる倫理的態度,安全に配慮する態度等の育成については,情報
モラル,知的財産の保護,情報安全等に対する実践的な態度をはぐくむ指導を重視する。
○ 生徒の多様な学習要求に応えるとともに,進路希望等を実現させたり,社会の情報化の進展に主体的
に対応できる能力や態度をはぐくむために,より広く,より深く学習することを可能にする内容を重
視する。
(2)改善の具体的事項
○ 社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力や態度をはぐくむために,情報教育の目標の3観点を
より一層重視することとし,次のような改善を図る。
(ア) 高校生の実態は多様化している一方で,情報及び情報機器等の活用が社会生活に必要不可欠な基
盤として発展する中,これらを活用して高い付加価値を創造することができる人材の育成が求め
られている。これらを踏まえ,情報活用の実践力の確実な定着や情報に関する倫理的態度と安全
に配慮する態度や規範意識の育成を特に重視した上で,生徒の能力や適性,興味・関心,進路希
望等の実態に応じて,情報や情報技術に関する科学的あるいは社会的な見方や考え方について,
より広く,深く学ぶことを可能とするよう現行の科目構成を見直し,
「社会と情報」
,「情報の科
学」の2科目を設ける。
・
「社会と情報」については,情報が現代社会に及ぼす影響を理解させるとともに,情報機器等を効
果的に活用したコミュニケーション能力や情報の創造力・発信力等を養うなど,情報化の進む社
会に積極的に参画することができる能力・態度を育てることに重点を置く。
・
「情報の科学」については,現代社会の基盤を構成している情報にかかわる知識や技術を科学的な
見方・考え方で理解し,習得させるとともに,情報機器等を活用して情報に関する科学的思考力・
-1-
判断力等を養うなど,社会の情報化の進展に主体的に寄与することができる能力・態度を育てる
ことに重点を置く。
(イ) また,上記の科目を通じて,情報通信ネットワークやメディアの特性・役割を十分に理解し,安
全に配慮し,情報を適切に活用できる能力をはぐくむ指導をより一層重視する。また, 情報通
信ネットワークや様々なメディアを活用して,新たな情報を創り出したり,分かりやすく情報
を表現したり,正しく伝達したりする活動を通して,合理的判断力や創造的思考力,問題を発
見・解決することができる能力をはぐくむ指導をより一層重視する。
共通教科情報科については,以上のような改善の基本方針及び改善の具体的事項に基づき改訂された。
改訂の要点
(1) 教科の目標の改善
従前の教科目標と大きな変更点はないが,次のような視点に留意しつつ改善を図った。
ア
情報及び情報技術を適切に活用するために必要となる知識と技能の習得を図るという視点につい
ては,義務教育段階における情報教育の成果を踏まえ,高等学校段階において確実に身に付けさせ
るという視点を重視する。
イ
情報に関する科学的な見方や考え方を養うという視点は引き続き重視し,高等学校段階において
確実に身に付けさせるという視点を重視する。
ウ
社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させるという視点については,義
務教育段階における情報教育の成果を踏まえ,高等学校段階においては健全な倫理観や安全へ配慮
する態度を育成するという視点を重視する。
エ
情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を,情報化の進む社会に積極的に参画する能力・
態度及び社会の情報化の進展に主体的に寄与することができる能力・態度の総称と位置付け,この
ような能力・態度を高等学校段階において確実に身に付けさせるという視点を重視する。
具体的には,従前の教科目標である「情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して,
情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割
や影響を理解させ,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
」を改め,
「情報及び情報
技術を活用するための知識と技能を習得させ,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社
会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,社会の情報化の進展に主体的に対応
できる能力と態度を育てる。
」とした。
-2-
(2) 科目構成の改善
すべての生徒に履修させる科目として「社会と情報」及び「情報の科学」の2科目を設け,生徒の多
様な能力・適性,興味・関心等に応じてどちらか1科目を選択的に履修することとした。なお,標準単
位数は,いずれの科目も2単位である。
各学校において履修科目を選択するに当たっては,今回の改訂の趣旨を踏まえ,あらかじめ各学校で
どちらか一方の科目に決めてしまうのではなく,いずれの科目も設定して生徒が主体的に選択できるよ
うにすることが望まれる。
(3) 各科目の内容の改善
高校生の実態が多様化する一方で,情報及びコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の
活用が社会生活に必要不可欠な基盤として発展する中,情報や情報手段を適切に活用して高い付加価値
を創造することができる人材の育成が求められている。そこで,共通教科情報科の授業では,情報活用
の実践力の確実な定着を図るとともに,情報に関する倫理的態度と安全に配慮する態度や規範意識の育
成を特に重視した上で,生徒の能力・適性,興味・関心,進路希望等の実態に応じて,情報や情報技術
に関する科学的あるいは社会的な見方や考え方について,より広く,深く学ぶことが必要となる。この
ことを踏まえ,各科目の内容を次のように改善した。
「社会と情報」については,情報の特徴と情報化が社会に及ぼす影響を理解させ,情報機器や情報通
信ネットワークなどを適切に活用して情報を収集,処理,表現するとともに効果的にコミュニケーショ
ンを行う能力を養い,情報社会に積極的に参画する態度を育てることをねらいとする。
「情報の科学」については,情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させるとともに,情報と
情報技術を問題の発見と解決に効果的に活用するための科学的な考え方を習得させ,情報社会の発展に
主体的に寄与する能力と態度を育てることをねらいとする。
この二つの科目の学習では,情報通信ネットワークやメディアの特性・役割を十分に理解し,安全に
配慮し,情報を適切に活用できる能力を育成する指導をより一層重視している。また,情報通信ネット
ワークや様々なメディアを活用して,新たな情報を創り出したり,分かりやすく情報を表現したり,正
しく伝達したりする活動を通して,合理的判断力や創造的思考力,問題を発見・解決することができる
能力を育成する指導についてもより一層重視している。
(4) 指導計画の作成と内容の取扱いについての改善
指導計画の作成と内容の取扱いに関する主な改善事項は次のとおりである。
① 小・中学校における情報教育の成果を踏まえ,共通教科情報科での学習が各教科・科目等の
学習に役立つよう,他の教科・科目等との連携を図ることとした。
② 体験的な学習を重視し,情報手段を活用した実習を積極的に取り入れることとした。なお,
これまで各科目で示していた総授業時数に占める実習の配当時間数の割合については,今回示
さないこととした。
-3-
③ 各科目は,原則として,同一年次で履修させることとした。
④ 情報機器を活用した学習を行うに当たっては,生徒の健康と望ましい習慣を身に付ける観点から,
照明やコンピュータの使用時間などに留意することとした。
⑤ 各科目の指導においては,情報モラルの育成の充実を図ることとした。
⑥ 授業で扱う具体例などについては,情報技術の進展に対応して適宜見直しを図ることとした。
情報教育の中での共通教科情報科の位置付け
(1) 情報教育の目標
共通教科情報科の目標や内容を正しく理解し,授業を通して確実に実現するためには,小・中・高等
学校を通して体系的・系統的に行われる情報教育の目標について正しく理解する必要がある。
平成11年改訂の高等学校学習指導要領において教科「情報」を新設するに当たって,
「情報化の進展
に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議」は,平成9年10月
の第1次報告「体系的な情報教育の実施に向けて」
(以下,
「第1次報告」という。
)において,情報教育
の目標の観点を「情報活用の実践力」,
「情報の科学的な理解」,
「情報社会に参画する態度」の三つに整
理している。
平成21年改訂の高等学校学習指導要領では,情報教育の目標の観点として引き続きこの3観点を位
置付けているので,改めて,それぞれの意義や目指す能力・態度について正しく理解することは極めて
重要である。なお,学習指導要領では,情報教育の目標の3観点に整理された能力・態度を情報活用能
力と,また,情報活用能力をはぐくむ教育を情報教育ととらえている。
① 情報活用の実践力について
第1次報告では,「情報活用の実践力」を次のように定義付けている。
課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて,必要な情報を主体的に収集・判断・
表現・処理・創造し,受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力
この定義からも明らかなように,情報教育によってはぐくまれる情報活用の実践力とは,単に情報手
段が操作できるという意味での「使うことのできる」力のことだけではない。このことについては,上
記の定義を次の三つに区分して解説する。
「課題や目的に応じて情報手段を適切に活用する」活動は,課題や目的に合った手段は何かを考える
ことから出発する。様々な情報手段の中から,直面する課題や目的に適した情報手段を主体的に選ぶこ
とができることは,問題解決や目的達成のために情報や情報手段を適切に活用する上で極めて重要な力
である。
「情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し」とは,情報を取り扱う際の一連の活動を例示的
に示したものである。情報活用の実践力を習得するに当たっては,個々の活動を個別的・独立的に扱う
のではなく,一連の流れをもった活動として扱うとともに,実習などを通して実際に体験させ,経験を
積み重ねることで得られる結果を自ら評価し,改善を図ることが大切である。
-4-
「受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる」とは,情報の発信先,伝達先には必ず人間がいる
ことを意識して,発信先,伝達先にとって分かりやすくかつ不快な思いをさせないような情報の発信・
伝達ができることである。
以上の内容を生徒に確実に身に付けさせるには,学校種ごとに生徒の発達の段階に応じて段階的には
ぐくんでいくことが大切である。
また,
「情報活用の実践力」を育成することは,学習指導要領改訂の基本的な考え方の一つである「生
きる力」の育成と密接につながっている。基礎的な知識と技能の習得や思考力・判断力・表現力等の育
成のための具体的な学習活動として例示されている,調べる,まとめる,発表する,話し合う,討論す
るなどの学習活動は,多くの場合,情報手段を活用して行われている。情報手段を活用したこれらの学
習活動を通して「情報活用の実践力」を高めていくことができる。他方,
「情報活用の実践力」が高まる
ことにより,これらの学習活動がより一層活発になっていく。このように学習活動と情報活用の実践力
との間に相乗効果が期待できるのであり,このような視点で,
「生きる力」を育成するという観点から学
校教育全体で「情報活用の実践力」を育成するように配慮しなければならない。
② 情報の科学的な理解
第1次報告では,
「情報の科学的な理解」を次のように定義付けている。
情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と,情報を適切に扱ったり,自らの情報活用を評価・
改善するための基礎的な理論や方法の理解
この定義からも明らかなように,情報教育によってはぐくまれる情報の科学的な理解とは,単に情報
手段の種類,仕組みや特性などについて理解することだけではない。情報に関わるあらゆる学問の中か
ら,情報や情報手段を適切に活用するために必要となる基礎的な理論を理解し,方法を習得するととも
に,それらを実践することである。
「情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解」とは,情報手段の特性を理解することにとどまらず,
理解した情報手段の特性を踏まえて情報手段を適切に選択し活用することまでを含んでいる。
「情報を適切に扱ったり,自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解」とは,
情報や情報手段をよりよく活用するために,情報そのものについて理解を深めるとともに,問題解決の
手順と結果の評価及び情報を表現するための技法,人間の知覚,記憶,思考などの特性などについて基
礎的な理論を理解し,方法を習得するとともに,それらを実践することである。
③ 情報社会に参画する態度
第1次報告では,「情報社会に参画する態度」を次のように定義付けている。
社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し,情報モラルの必
要性や情報に対する責任について考え,望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度
社会の情報化が急速に進展する中,私たちが情報化によって享受しているいわゆる情報化の「光」
-5-
と「影」の部分が人間や社会に与える影響について理解するとともに,それらに適切に対処していくこ
とができる方法などについて習得することによって,情報社会へ積極的に参画していく態度を身に付け
させることは,今後ますます重要になっていく。
「社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解」するとは,社会を情
報や情報技術の視点からとらえることにより,情報化の「光」と「影」の両面から情報社会についての
理解を深めていくことである。
「情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え」とは,情報社会においては,すべての人間が
情報の送り手と受け手の両方の役割をもつようになるという現状を踏まえ,情報の送り手と受け手とし
てあらゆる場面において適切な行動をとることができるようにするために必要なルールや心構え及び情
報を扱うときに生じる責任について考えることである。
「望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度」とは,以上のことを踏まえ,情報社会に積極的に
参加し,よりよい情報社会にするための活動に積極的に加わろうとする意欲的な態度のことである。
情報教育が育成を目指す能力や態度を実践的な行動に結び付けるには,情報社会に参画する態度の育
成が不可欠である。こうした態度が育成されるとき,情報活用能力全体が高められることにつながって
いく。
情報手段の特性について客観的な知識として身に付けるだけでは,必ずしも情報手段を実践的に活用
するために十分であるとはいえない。情報手段を実践的に活用するためには,様々な技能の助けが必要
となる。これら情報教育の目標の三つの観点は,個々に独立した能力・態度ではない。情報の科学的な
理解が効率的な情報活用の実践につながり,情報活用の実践を多く行い具体例を豊富にもつことが,情
報の科学的な理解を促進する。また,情報社会に参画する態度を身に付けることが適正な情報活用の実
践につながり,情報活用の実践の経験やその反省を通して情報社会に参画する態度が育成される。
このように,情報社会を理解するためには,社会の中で情報や情報技術が果たしている役割を科学的
にとらえる必要があり,また,情報の科学的な理解の必要性を理解するには,情報社会における様々な
問題を認識することが動機付けになる。
このようにまさに,3観点は相互に緊密な関連をもつとともに,他の観点を補完・補強しながらはぐ
くまれていく。
共通教科情報科では,こうした3観点の特性等を理解した上で,相互に関連付けながらバランスよく
はぐくんでいくことが大切である。
(2) 体系的な情報教育と共通教科情報科
答申は,情報教育の在り方について次のように示している。
(情報教育)
○
急速に進展する社会の情報化により,ICTを活用して誰でも膨大な情報を収集することが可能と
なるとともに,様々な情報の編集や表現,発信などが容易にできるようになった。
学校においては,ICTは調べ学習や発表など多様な学習のための重要な手段の一つとして活用さ
れている。学習のためにICTを効果的に活用することの重要性を理解させるとともに,情報教育が
目指している情報活用能力をはぐくむことは,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着とともに,
発表,記録,要約,報告といった知識・技能を活用して行う言語活動の基盤となるものである。
-6-
○
他方,こうした情報化の光の部分のほか,情報化の影の部分も子どもたちに大きな影響を与えてい
る。インターネット上の「掲示板」への書き込みによる誹謗中傷やいじめ,個人情報の流出やプライ
バシーの侵害,インターネット犯罪や有害情報,ウイルス被害に巻き込まれるなど様々な問題が挙げ
られる。これらの問題への対応については,家庭の果たすべき役割も大きく,学校では家庭と連携し
ながら,情報モラルの育成,情報安全等に関する知識の習得などについて指導することが重要である。
○
このような観点から,情報教育について,その課題も踏まえた上で,子どもたちの発達段階に応じ
た改善を図る必要がある。特に,小学校の低学年段階からこれらを確実に身に付けさせるため,情報
モラル等を中心に,文部科学省が情報教育に関する指導の手引きや指導資料を作成することも考えら
れる。
・小学校段階では,各教科等において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの積極的な活用を通
じて,その基本的な操作の習得や,情報モラル等に係わる指導の充実を図る。
特に,総合的な学習の時間において,情報に関する学習を行う際には,問題解決的な学習や探究活動
を通して,情報を受信し,収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりす
るなどの学習活動が行われるよう配慮することとする。また,道徳においても,その指導に当たって,
発達の段階に応じて情報モラルを取り扱うよう配慮する。
・中学校段階では,各教科等において,小学校段階の基礎の上に,コンピュータや情報通信ネットワー
クなどを主体的に活用するとともに,情報モラル等に関する指導の充実を図る。
特に,技術・家庭科の内容としては,マルチメディアの活用やプログラミングと計測・制御などに関
する基本的な内容をすべての生徒に学習させる。
・高等学校段階では,各教科等において,小学校及び中学校段階の基礎の上に,コンピュータや情報通
信ネットワークなどを実践的に活用するとともに,情報モラル等についての指導の充実を図る。
特に,普通教科「情報」については,将来,いずれの進路を選択した場合でも必要となる情報活用能
力を身に付けさせるため,現行の科目構成を見直す。
思考力・判断力・表現力等をはぐくむ学習活動の例
① 体験から感じ取ったことを表現する
(例)
・日常生活や体験的な学習活動の中で感じ取ったことを言葉や歌,絵,身体などを用いて表現する
② 事実を正確に理解し伝達する
(例)
・身近な動植物の観察や地域の公共施設等の見学の結果を記述・報告する
③ 概念・法則・意図などを解釈し,説明したり活用したりする
(例)
・需要,供給などの概念で価格の変動をとらえて生産活動や消費活動に生かす
・衣食住や健康・安全に関する知識を活用して自分の生活を管理する
-7-
④ 情報を分析・評価し,論述する
(例)
・学習や生活上の課題について,事柄を比較する,分類する,関連付けるなど考えるための技法
を活用し,課題を整理する
・文章や資料を読んだ上で,自分の知識や経験に照らし合わせて,自分なりの考えをまとめて,A4・
1枚(1000字程度)といった所与の条件の中で表現する
・自然事象や社会的事象に関する様々な情報や意見をグラフや図表などから読み取ったり,これらを用
いて分かりやすく表現したりする
・自国や他国の歴史・文化・社会などについて調べ,分析したことを論述する
⑤ 課題について,構想を立て実践し,評価・改善する
(例)
・理科の調査研究において,仮説を立てて,観察・実験を行い,その結果を整理し,考察し,ま
とめ,表現したり改善したりする
・芸術表現やものづくり等において,構想を練り,創作活動を行い,その結果を評価し,工夫・改善す
る.
⑥ 互いの考えを伝え合い,自らの考えや集団の考えを発展させる
(例)
・予想や仮説の検証方法を考察する場面で,予想や仮説と検証方法を討論しながら考えを深め合
う.
・将来の予測に関する問題などにおいて,問答やディベートの形式を用いて議論を深め,より高次の解
決策に至る経験をさせる
平成19年6月に改正された学校教育法第30条第2項は,
「前項の場合においては,生涯にわたり学
習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解
決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を
養うことに,特に意を用いなければならない。
」と規定している。ここでは,生涯学習の理念を踏まえつ
つ,学力の重要な要素として「基礎的な知識及び技能」
,
「それを活用するために必要な思考力・判断力・
表現力等」
,
「主体的に学習に取り組む態度(学習意欲)
」を挙げ,それらをバランスよくはぐくむことの
大切さを規定している。このことを受け,答申は「思考力・判断力・表現力」の育成を単にスローガン
に止めるのではなく,確実に子どもたちに身に付けさせるための手だてとして,思考力・判断力・表現
力等を育成するための学習活動を6項目例示するとともに,これらの学習活動を各教科等の性格やねら
い,子どもたちの発達の段階に応じて,各教科等の内容等に意識的に組み入れるように学習指導要領を
構成するよう提言した。さらに,これらの学習活動はすべて言語を用いて行われることから,言語活動
のより一層の充実が小・中・高等学校の学校段階を問わず,教育内容に関する重要な改善事項として位
置付けられている。他方,これらの学習活動を生徒が授業等で行う姿を思い浮かべるとき,生徒が情報
手段を活用している姿を思い浮かべることができる。授業等における情報手段の活用が一般化した学校
教育では,思考力・判断力・表現力等を育成するための学習活動も情報手段を活用して行われている。
-8-
このことを踏まえ,答申の情報教育に関わる提言内容を読み解いていくことが大切である。情報教育
が目指している情報活用能力を育成することは,基礎的な知識と技能の確実な定着とともに,発表,記
録,要約,報告といった知識と技能を活用して行う言語活動の基盤となっている。
ここで重要なのは,情報活用能力は学校教育法第30条第2項が規定している学力の3要素のうち,
身に付けた基礎的な知識及び技能とそれを活用するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成の基
盤であるということである。この観点から,小・中・高等学校を通しての情報教育によって,情報教育
の目標の三つの観点を踏まえ情報活用能力を体系的に身に付けさせる教育の充実が極めて重要である。
このことから,学習指導要領総則における規定も,基本的な操作や情報モラルを身に付けさせること
を明記することで,小・中・高等学校の各段階で情報活用の実践力に偏るのではなく,情報の科学的な
理解や情報社会に参画する態度をバランスよく身に付けさせる教育の実現を求める内容となっている。
子どもたちが体験から感じ取ったことを表現する活動から,互いの考え方を伝え合い,自らの考えや
集団の考えを発展させる活動までの学習活動を具体的に授業等で行っている姿を思い描いたとき,それ
ぞれの学習活動において情報手段を活用している子どもたちの姿が描かれているのではないだろうか。
これは,平成13年からのe-Japan戦略(平成13年1月22日;高度情報通信ネットワーク
社会推進戦略本部(IT戦略本部)決定)に始まり,現在も引き続き国家戦略として学校におけるIC
T(Information and Communication Technology:情報通信技術)環境整備を推進しているのは,こう
した学習活動への適切な情報手段の活用を強く促すものであることを思えば,必然的に思い描ける子ど
もたちの姿である。授業等で行われる思考力・判断力・表現力等を育成する学習活動は,多くの場合,
情報手段を活用して行われる。
思考力・判断力・表現力等を育成するためには,言語活動を充実させるとともに,その基盤としての
情報活用能力を身に付ける教育,すなわち情報教育を充実させることが重要であり,このことが「生き
る力」を育成することにつながる。言語活動の充実と情報教育の充実は表裏一体の関係にある。そして,
高等学校段階においてこの情報教育の要として設けられているのが共通教科情報科である。
-9-
2
授業実践・指導事例について
学習指導要領の改訂の趣旨を考慮し、参考となる具体的な指導事例を以下に掲載する。
指導事例は、新学習指導要領の全面実施における共通教科情報科の課題を踏まえ、授業実践に取り組
んだものを収集している。
ア 指導事例の示し方
各指導事例は、1つの事例を見開き2ページで示している。左側のページは「単元指導計画」
や「評価基準」、
「実践者のコメント」などを配置し、右側のページには「授業の展開」や「生徒
の反応・効果等」を配置している。
【指導事例の概要】
(
文頭に、科目名、教科書名、実践学校名、実践者名などを記述している)
1
2
3
4
5
6
7
8
単元名(題材)
単元指導計画
本時の評価基準例(新学習指導要領を踏まえたものとしている)
本時のテーマ(目標)
補助教材等(使用教材)
実践者のコメント
本時の展開(指導の流れ)
生徒の反応・効果等
※授業実践に使用した補助教材を指導事例の後に示している。
イ 指導事例の活用
各高等学校においては、新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業を実践するためにも、以下の事
例を参考に、これまでの取組を見直し、教科の目標を達成するため効果的に活用していくことが
望まれる。
そのためには授業の展開例や補助教材等について、各学校の実態に応じた工夫・改善が必要にな
ってくる。言語活動を取り入れた授業など、課題の解決に必要な思考力、判断力、表現力をはじ
め様々な能力をはぐくむ授業展開が望まれる。
(文部科学省:「高等学校学習指導要領解説」
- 10 -
情報編
2010)
3
言語活動を充実させる指導と事例
(1)生徒の発達の段階等に応じた指導の充実
高等学校における教育には,義務教育の成果を更に発展拡充させ,国家及び社会の形成者としての必
要な資質を養い,学問研究や技術の習得に結び付けていくことが求められている。そのためには,高等
学校においても小・中学校と同様に,各教科・科目等において,基礎的・基本的な知識・技能の習得と
ともに,知識・技能を活用する学習活動,とりわけ記録,要約,説明,論述,討論といった言語活動を
発達の段階に応じて行い,社会について,広く深い理解と健全な批判力を養っていくことが重要である。
先に示した中学校版の指導事例集においては,次のような点を重視するよう求めている。
・帰納・類推,演繹などの推論を用いて,説明し伝え合う活動を行う。
・日常生活の中で気付いた問題について,自分の意見をまとめ説得力ある発表をする。
・社会生活の中から話題を決め,それぞれの視点や考えを明らかにし,資料などを活用して話し合う。
・グループで協同的に問題を解決するため,学習の見通しを立てたり,調査や観察等の結果を分析し
解釈したりする話合いを行う。
・新聞,読み物,統計その他の資料を基に,根拠に基づいて考えをまとめ報告書を作成する。
・実験や観察の結果,調査結果などを整理し重点化し,相手に分かりやすく,ポスターやプレゼンテ
ーション資料などに表現する。
・テーマを決めて複数の本や資料などを読み,内容を比較したり,批判的にとらえたりするなど,知
識や考えを深める。
高等学校では,これを踏まえて,高校生としての学習活動にふさわしい言語活動を着実に行う必要が
ある。
現在,高等学校には多様な生徒が在籍しており,学習指導要領の規定も,共通性を維持しつつも,一
定の弾力性をもっている。言語活動の充実についても,このような高等学校教育の共通性と多様性のバ
ランスに配慮しつつ,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図り,多様な内容を様々な方法で学ぶ
という点から捉える必要がある。
このことも踏まえ,生徒の実態に応じて,高等学校において取り上げる言語活動としては,例えば,
次のような点に留意する必要がある。
【事例】
・現代の社会生活で必要とされる実用的な文章を読んで内容を理解し,自分の考えをもって話し合う。
・文字,音声,画像などのメディアによって表現された情報を,課題に応じて取捨選択してまとめる。
・授業のまとめとして,その時間のポイントなどを説明する。
・課題についての自分の考え方を板書し,どのようにすればよりよい考えや表現になるかを考える。
・適切な主題を設定し,資料を活用して探究し,考えを論述する。
・観察,実験などの結果を分析し解釈して自らの考えを導き出し,表現する。
・学習の成果を互いに伝え合ったり,助言し合ったりして,新たな追究に向かう。
・自己評価や相互評価を通して,自己の変容を確認する。
- 11 -
(2)教科等の特質を踏まえた指導の充実及び留意事項
高等学校における言語活動は,義務教育段階で身に付けた言語に関する能力,高等学校国語で指導す
る内容等を基本に,各学科に共通する各教科・科目や主として専門学科において開設される各教科・科
目など,全ての教科・科目等において充実する必要がある。
なお,主として専門学科において開設される各教科・科目のうち職業に関する各教科・科目について
も,実習(実験)等において,言語活動を行うことが大切である。その際,各教科・科目等の特質を踏
まえつつ,言語活動を通じて意図的,計画的に指導するということに留意し,国語の各科目との関連も
図りながら言語活動を行っていくことが求められる。
そのためには,例えば,思考力,判断力,表現力等に係るどのような力を育むために,それにふさわ
しいどのような言語活動を,どの場面で行うのか等を,各教科・科目等の指導計画に明確に位置付ける
ことが求められる。そして,実際の指導では,教師のみならず生徒も言語活動についてその目的を意識
しながら学習に取り組むことができるようにする工夫が必要となる。
このことを通じて,各教科・科目等の授業の構成や進め方自体が改善され,主体的に学習に取り組み,
生涯にわたる学習の基盤を培うことにもつながる。
(文部科学省:「言語活動の充実に関する指導事例集
MEMO
- 12 -
~思考力、判断力、表現力等の育成に向けて~ 2012)
4
番号
指導事例一覧
科目名
社会と情報
1
単元名
①情報の活用と表現
(秋吉)
ICT活用・言語活動等について
・スライドを使って立体視が体験できる画像
を表示
補助教材等
3D眼鏡
授業プリント
ページ
14
・各班でまとめた、立体のメリットを発表
社会と情報
2
②情報の活用と表現
(利光)
・ディジタルカメラのデータをPCへ取り込
む。書画カメラを使用した特性の理解
・グループでの意見のまとめ
①情報通信ネットワー
3
社会と情報
クとコミュニケーシ
(秋吉)
)
ョン
ディジタルカメラ
SDカード
17
カードリーダー等
・コマンドプロンプトを使用した IP アドレ
スの調査
・各種プロトコルについて調べ、まとめ、班
授業プリント
19
授業プリント
23
授業プリント
26
員へ説明
4
5
社会と情報
(畑野)
社会と情報
(畑野)
②情報通信ネットワー
クとコミュニケーシ
TCP/IP の役割を学ぶ
ョン NO1
・身近な IP アドレスを考える
③情報通信ネットワー
社会と情報
(佐藤)
・Web サイトからドメイン名を考える
クとコミュニケーシ
・IP アドレスを調べる
ョン NO2
・WWW による情報閲覧の仕組みを考察する
④情報通信ネットワー
6
・調べた IP アドレスを周囲の人と比較する。
クとコミュニケーシ
ョン NO2
・情報の伝達手段ごとの特徴を確認し、適切
な伝達手段を考える
授業プリント
・言語を使わず身振り手振りで「お題の物」
ワークシート
29
を班員全員に伝える
7
社会と情報
(木部)
社会と情報
8
(利光)
①情報社会の課題と
情報モラル
②情報社会の課題と
情報モラル
・会員登録における個人情報の入力について
・何が問題かグループで討議する
・ウイルス被害の実情を調べ、ウイルス被害
似合わないための行動を、グループで意見
をまとめ発表(書画カメラ使用)
社会と情報
9
(佐藤)
③情報社会の課題と
情報モラル
・産業財産権について具体的にどのようなも
を発表
10
(畑野)
①望ましい情報社会の
構築
ウイルス疑似
体験ソフト
34
37
・プロジェクタや書画カメラを使用
のに権利が与えられているか調べて特徴
社会と情報
授業プリント
授業プリント
39
授業プリント
43
授業プリント
46
権利の侵害について考える
・身近な情報システムを考える。
・インターネットでの予約
どのような情報
を入力し、何が問題か話し合う
社会と情報
11
(木部)
②望ましい情報社会の
構築
・知的財産に関するグループディスカッショ
ン及び意見発表
・事例から問題点を話し合い、解決策を検討
- 13 -
1年
対象学年
学
社会と情報
科目名
大分県立杵築高等学校
校 名
教科書名
指
最新社会と情報(実教出版)
導 者
指導要領
情報の活用と表現
教 科 書
2章 情報機器とディジタル表現(画像の表現)
秋吉 祐樹
単 元 名
単元指導計画
(全8時間)
時間数
学
3時間
カラー画像 画像のディジタル化
3時間
動画の表現
2時間
「本時」
習 内 容
立体の表現
本時の評価規準例
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
立体の表現方法について関心がある。
思考・判断・表現
自分の考えなどを言葉にして相手に伝えることができる。
技能
知識・理解
立体の作成方法、メリットなどを理解できる。
1.立体に見える仕組みを知る。
本時テーマ
(目標)
2.様々な立体表現方法を知る。
※本時の授業配分( 座学3:7実習 )
補助教材等
実践者の
コメント
3D眼鏡(製作)
授業プリント(立体視、3DCGについて)
赤青メガネを準備する必要があるが、生徒の授業への興味関心度は高くなるので是非体験させた
い。
立体の表現と画像の表現をリンクさせることで授業につながりが出来て面白い。
- 14 -
本時の展開
学習の流れ
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
3D 映画の予告編を見る。
導 入
評価・備考
留意事項
プロジェクターで投影する。
なぜ人間は立体的にモノを見ることができ
るのか考える。
グループ内で話し合い、出た (グループ学習)
意見を班長が簡潔にまとめ 【思考・判断・表現】
て、ホワイトボードに書く。
立体の表現方法を理解する。
3DCG
〇立体視を体験する。
展 開
スライドを使って立体視が体
験できる画像を表示。
【知識・理解】
〇3DCG作成工程を理解する。
1.ワイヤーフレーム
2.モデリング
3.レンダリング
理解度を深めるためCG作成
過程の映像をプロジェクター
で投影する。
ここが POINT!
〇アナグリフを体験する。
アナグリフ加工した画像や映
像を見せる。
(パソコン画面に
一斉出力)
〇色を使った錯覚について理解する。
立体表現のメリットを考える。
なぜ、赤と青を使うのか考えさ
せる。
(光の三原色に関連)
各班でまとめた、立体のメリ
ットを発表する。
(グループ学習)
【関心・意欲・態度】
【知識・理解】
ここが POINT!
各単元が終わるごとに、生徒に授
業評価(4段階)感想、授業内の
疑問点を書かせることで振り返り
を行う。
本時をまとめる。
本時の目標達成度、感想、疑
問を授業プリントに書き込み
まとめ
提出する。
【生徒の反応・効果等】
アナグリフや立体視を体験することで立体について興味関心を持った生徒が増えた。
アナグリフ以外の3D眼鏡の仕組みについても興味を持つ生徒がいた。
※生徒の感想
・なぜ3D映画が最近多くなっているのか、3D映画の迫力を初めて体験して分かった。
・アナグリフの画像が飛び出して見えて興奮した。検索して違う立体画像を見てみたい。
- 15 -
【思考・判断・表現】
-16-
1
対象学年
学
年
科目名
社会と情報
教科書名
大分県立大分西高等学校
校 名
指
最新社会と情報 実教出版
利光 宏隆
導 者
指導要領
情報の活用と表現
教 科 書
2章 情報機器とディジタル表現
単 元 名
単元指導計画
(全5時間)
時間数
学
2
アナログとディジタル
1
情報機器の種類と特徴
1「本時」
情報機器の接続と情報機器の活用①
1
情報機器の接続と情報機器の活用②
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
技能
積極的にグループ活動に取り組み理解を深めようとしている。
感想等を自分の言葉で論理的に文章にまとめている。
効果的に発表するための工夫がされている。
画像データを、インタフェースを活用してコンピュータに取り込める。
知識・理解
本時テーマ
(目標)
インタフェースの仕組みや働きを理解している。
1.コンピュータと周辺機器の接続に使われるインタフェースを理解する。
2.ディジタルカメラの仕組みを理解し、撮影した画像データを取り込むことができる。
※本時の授業配分の目安(
補助教材等
習 内 容
座学4 : 6実習
・ディジタルカメラ
・カードリーダー
・SD メモリーカード
・USB ケーブル
)
・教育用動画(IPA の HP より)
グループは、なるべく少人数での構成とし、情報機器の操作に慣れた生徒を各グループに配置で
実践者の
コメント
きるように工夫する。
本時の展開部分については内容が多くなっているので時間配分等に気をつける必要がある。
座学だけでなく、簡単な実習を取り入れることで、生徒の興味関心等を途切れさせないようにす
る。
- 17 -
本時の展開
学習の流れ
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
1.本時の内容説明
導
入
評価・備考
留意事項
・最初にグループのメンバーを確認さ
・本時の目標を確認する。
せる。
1.以下のインタフェースの説明を聞く。
・USB ケーブルや LAN ケーブルの形状
・USB インタフェース
については書画カメラを活用しなが
・イーサネット、無線通信のインタフェース
ら説明をする。
2.ディジタルカメラの仕組みの説明を聞く。
・ダウンロードした教育用動画を活用した説
明を聞く。
3.教室内の風景と人物をディジタルカメラで撮
4.撮影したものをコンピュータに取り込む。そ
の際、グループ内で次の①~③の取り込み方
開
【関心・意欲・態度】
るように指示する。
影する。
(グループ活動)
展
・グループリーダーを中心に活動をす
・書画カメラを活用しながら、データ
【技能】
の取り込み手順を説明。
で操作をする。
①USBケーブルで取り込む
ここが POINT!
②SDカード内のデータをカードリーダーで
画像データを取り込む際
には、グループリーダー
を中心にサポートし合い
ながら取り組ませる。
取り込む
③SDカードから直接取り込む
5.4で取り込んだ際の、①~③の取り込み方の
・個人の感想を書かせ、グループ内で
【思考・判断・表現】
違いを踏まえながら、感想を書き、発表する。 まとめさせる。
(グループ活動)
6.コンピュータと周辺機器とのインタフェース
にどんなものがあるかインターネットを活
用して調べ、まとめ、発表する。
を書画カメラで表示させながら発表
させる。机間指導をしながら発表させ
(グループ活動)
まとめ
・発表用に、A3 の用紙にまとめ、それ
るグループを決めておく。
1.本時の内容を振り返る。
・インタフェースの種類について振り
2.次時の説明を聞く。
返り、操作の目的が同じでも、いろい
・画像の編集を行い、合成写真を作成すること
の説明を聞く。
ろなインタフェースの活用の仕方が
あることについて触れる。
【生徒の反応・効果等】
話し合いの場面で、他者が感じたことと共感したり、自分との違いを意識したりしながら理解を深める。
グループ内で役割を決めてサポートし合う活動を通して、情報機器の操作に不慣れな生徒の意欲の向上につなげ
る。
- 18 -
1年
対象学年
学
科目名
社会と情報
教科書名
大分県立杵築高等学校
校 名
指
最新社会と情報(実教出版)
導 者
指導要領
情報通信ネットワークとコミュニケーション
教 科 書
第4章
秋吉 祐樹
単 元 名
単元指導計画
コミュニケーションとネットワーク
(全3時間)
時間数
1時間
「本時」
学
習 内 容
ネットワークの特性
1 時間
インターネットの仕組み
1 時間
インターネットのサービス
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
ネットワークの仕組みについて関心を持ち、これらを活用しようとしている。
プロトコルについて自分の言葉で説明できる。
必要な情報を収集・まとめ、相手に伝えることができる。
IP アドレスを調べることができる。
技能
インターネットを使って情報収集することができる。
知識・理解
ネットワークの仕組みを理解できる。
1.通信方法の変化を知る。
本時テーマ
(目標)
2.各種プロトコルについて学ぶ。
3.ネットワークの仕組みについて理解する
※本時の授業配分( 座学4:6実習 )
プリント・・・答えをただ記入する欄と、自分の考えを書く欄とでは違う括弧にしている。単語を
埋めるだけではなく、文章で書かせることをメインにしている。プリントの最後にはかならず単
補助教材等
元目標の達成度、感想、授業中の疑問点などを書かせる欄を作成している。プリントとほぼ同じ
画面をプロジェクターで投影させる。
生徒に視聴させるCM・・・「初期の携帯電話、ポケットベルなど」
実践者の
コメント
本時の目標はネットワークの仕組みを理解することだが、各種プロトコルなど初めて聞く言葉が
多く知識詰め込み型の授業にならないよう授業に工夫が必要である。
IPアドレスを調べた際に、モラルの観点からも話をすると効果的である。
- 19 -
本時の展開
学習の流れ
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
評価・備考
留意事項
1980 年代、90 年代のCMを見る。
(以下すべてプロジェクタで
授業データを投影する)
今と昔の電話の違いについて考える。
導 入
(通信方法に絞らず何でも可と指示)
グループごとに話し合い、今
各班の相違点を発表する。
と昔の電話における相違点を
(グループ活動)
【関心・意欲・態度】
箇 条 書き で 用紙 に記 入さ せ
る。
通信方法の変化を知る。
回線交換方式
ここが POINT!
調べた用語を簡潔にまとめ、
他者へ伝える。プレゼンテー
ション力も磨ける。
パケット交換方式
各種プロトコルについて調べ、まとめ、班
※1インターネットを利用し
員へ説明する。
て、各自に割り当てられたプ
※1
ロトコルを調べ、自分の言葉
(グループ活動)
【思考・判断・表現】
で班員に説明する。
展 開
データが送られる仕組みを理解する。
※2コマンドプロンプトで IP
【技能】
IP アドレスの存在を知る。※2
アドレスを調べる。
補 足 と し て 、 IPv 4 と
IPv6 について説明する。
(ipconfig)
TCP/IP の働きを理解すると共に、パケット
について理解する。
実際に LAN ケーブルやハブを
LAN の仕組みを理解し、ネットワーク機器
見せ、イメージさせる。
の役割や、接続方法について理解する。
各単元が終わるごとに、生
徒に授業評価(4段階)感
想、授業内の疑問点を書か
せることで振り返りを行
う。
ネットワークの仕
組みを理解するこ
まとめ
ここが POINT!
とで、データの送
受信をイメージで
本時の目標達成度、感想、疑
き、さらにモラル
問を授業プリントに書き込み
についても考える。
提出する。
【知識・理解】
【生徒の反応・効果等】
分からない用語を調べ、相手に伝えるため責任感が生まれ積極的に授業参加する生徒が増えた。
IP アドレスの意味が分かったことでモラルについても深く考えることができた。
※生徒の感想
・ネットワークに繋がっているコンピュータには住所(IPアドレスがあると初めて知った)
・ハブを見て、コンピュータが繋がっているんだと感じた。
- 20 -
-21-
-22-
対象学年
1
学
大分県立別府青山高等学校(普通科)
校 名
年
科目名
社会と情報
教科書名
指
最新社会と情報
導 者
302(実教出版)
畑野 新司
指導要領 情報通信ネットワークとコミュニケーション
単 元 名
教 科 書 第4章 コミュニケーションとネットワーク(P91~114)
2節 ネットワーク(P100~113)
単元指導計画
(全8時間)
時間数
1
2「本時」
その1
2
学
習 内 容
・回線交換方式とパケット交換方式の違いについて理解する。
・パケット交換方式の長所と短所について理解する。
・コミュニケーションを行う時のプロトコルについて学ぶ
・TCP/IP について理解する。
・クライアントサーバシステムについて学ぶ。
・IP アドレスやドメインについて学び,実習で IP アドレスを確かめる。
・WWW について学び,ブラウザで Web ページを表示する仕組みについて理解する。
・電子メールの仕組みについて学ぶ。
1
・転送速度とデータ量の基本的な計算ができるようにする。
1
・情報を正確かつ効率的に転送する工夫について理解する。
1
・ディジタル情報の圧縮について理解する。
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
・ネットワークの特性や仕組みに興味を持っているか。
思考・判断・表現
・ネットワークの通信方式の相違を判断できるか。
・自分が使用しているパソコンの IP アドレスを調べることができるか。
技能
知識・理解
本時テーマ
(目標)
補助教材等
実践者の
コメント
・通信方式とその相違を理解しているか。
インターネットの仕組み
※本時の授業配分(座学中心であるが、途中でパソコンを使った実習を 10 分程度入れる)
教科書 P102~104
確認問題プリント
自分が使っているパソコンの IP アドレスを調べさせ、IP アドレスとは何かを考えさせよう。
余裕があれば有線LANだけでなく無線LANについても考えさせよう。
なお、IP アドレスについては中学校で扱う教科書に掲載済である。
(開隆堂 技術 723)
- 23 -
本時の展開
ICT 活用・言語活動等の
学習の流れ
主な学習活動
なぜ、情報通信ができるのか
[関心・意欲・態度]
導 入
日常生活の中で利用しているネットワークに
ついて考える。
郵便、宅配便、電子メールを比較する。
考えさせる。
ネットワークの特
性や仕組みに興味
を持っているか。
情報通信ネットワークの仕組みについて学
ぶ。
参考サイト:NTT 西日本
留意事項
評価・備考
http://www.ntt-west.co.jp/kids/shikumi_ip/
多くのコンピュータをつないで情報をやり取りできるようにする仕組みをネットワ
ークという。それを世界規模でつないだのがインターネットである。
[補足資料]インターネットの起源→ARPANET
・カリフォルニア大学ロサンゼルス校、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、 ユ
タ大学、スタンフォード研究所の 4 拠点を接続する形で運用が開始
1969 年
・TCP/IP TCP と IP の役割を学ぶ
TCP の役割:データの正確性を保証(パケットに分割、届かない場合、再送の要求
IP の役割:IP アドレスを用いてルーティングを行い、パケットをやり取りする
・IP アドレスとドメイン名について学ぶ。
・URL の構成やドメインについて学ぶ。
展 開
[技能]
自分が使用してい
る パ ソ コン の IP
IP アドレス:インターネットに接続されたコンピュータや通信機器 1 台 1 台に
割り振られた識別番号、グローバル IP・プライベート IP
アドレスを調べる
ことができるか。
ドメイン名:IP アドレスを人間にとってわかりやすい名前に置き換えたもの
[実習1]
自分が使っているパソコンの IP ア
ドレスを調べる。
・コマンドプロンプトを開く
・
「ipconfig」を入力
周囲の人と IP アドレスを比較する。
※ これは LAN 内で割り当てられた
プライベート IP アドレス
(電話の外線番号と内線番号)
身近なもので IP アドレスが割り振られて
いるものを考える。
上記と同様に IP アドレスを比較する。
まとめ
情報通信の流れを再度、説明し確認する。
練習問題を解く。
授業の感想を記入する。
パソコンの電源を入れる。
・
「cmd」と検索枠に入力
IP アドレスを比較し、どの部
分が違うのか考えさせる。
余裕があれば、自分が使って
いるスマートフォンの IP ア
ドレスも調べさせる。
http://www.ugtop.com/spill.shtml
スライドを使って確認する。
【生徒の反応・効果等】
・知識だけではなく、実習をすることで IP アドレスの役割を理解させることができる。
・情報モラル(ワンクリック詐欺等)の指導も併せて行うと更に学習効果を高めることができる。
- 24 -
「社会と情報」授業プリント
月
日(
[確認問題]
作業
1)自分が使っているパソコンに割り振られた IP アドレスを調べなさい。
自分
他の人①
他の人②
他の人③
2)次の問いに答えなさい。
① IP アドレスが 192.168.1.x の x は全部で何通り存在するか。
② LAN 内で利用する IP アドレスを何というか。
③ 128 ビットの IP アドレスを利用できる規格は何というか。
④ ドメイン名を IP アドレスに変換するサーバを何というか。
① 256 ② プライベート IP アドレス ③ IPv6 ④ DNS
3)次の問いに答えなさい。
http://www.kantei.go.jp/hakusyo/index.html
(ア)
(イ)
(ウ)
(エ)
① 上に示したようなインターネット上の住所にあたるものを何というか。
② 下線部(ア)~(エ)を何というか。
③ ドメイン名の組織区分について対応する組織を語群から選びなさい。
あ)or
い)co
う)ed
え)go
お)ac
《語群》 企業、大学、非営利団体、政府機関、高校
① URL
② ア)スキーム名 イ)ドメイン名 ウ)フォルダ名 エ)ファイル名
③ あ)非営利団体
※
い)企業 う)高校 え)政府機関 お)大学
今日の授業の感想を書きなさい
- 25 -
)実施
1
対象学年
学
校 名
年
科目名
社会と情報
大分県立別府青山高等学校(普通科)
教科書名
指
最新社会と情報 302 (実教出版)
導 者
畑野 新司
指導要領 情報通信ネットワークとコミュニケーション
単 元 名
教 科 書 第4章 コミュニケーションとネットワーク(P91~114)
2節 ネットワーク(P100~113)
単元指導計画
(全8時間)
時間数
1
2「本時」
その2
2
学
習 内 容
・回線交換方式とパケット交換方式の違いについて理解する。
・パケット交換方式の長所と短所について理解する。
・コミュニケーションを行う時のプロトコルについて学ぶ
・TCP/IP について理解する。
・クライアントサーバシステムについて学ぶ。
・IP アドレスやドメインについて学び,実習で IP アドレスを確かめる。
・WWW の仕組みについて学び,ブラウザで Web ページを表示する仕組みについて理解する。
・電子メールの仕組みについて学ぶ。
1
・転送速度とデータ量の基本的な計算ができるようにする。
1
・情報を正確かつ効率的に転送する工夫について理解する。
1
・ディジタル情報の圧縮について理解する。
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
・意欲的に実習に取り組めたか。
思考・判断・表現
・IP アドレスとドメイン名の違いについて考えることができたか。
技能
・IP アドレスとドメイン名の変換ができるか。
知識・理解
本時テーマ
(目標)
補助教材等
・ドメイン名の構成が理解できるか。
インターネットの仕組み
※本時の授業配分(実習を中心に行う)
教科書 P105~106
補助プリント:別紙
検索の指示カード
実践者の
IP アドレスとドメイン名について考えさせる。
コメント
また、URLドメイン名について違いを知ることで、情報モラルの指導にも繋げる。
- 26 -
本時の展開
学習の流れ
導 入
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
留意事項
IP アドレスとドメイン名について復習する。
例)教科書 P105 を参考に
ドメイン名 http://www.kantei.go.jp/
IP アドレス 202.232.75.151
202.232.86.11
実習プリントを確認する。
[実習]
①IP アドレスを入力し、どのサイトに
繋がるか確認する。
評価・備考
URL のドメイン部分の説明を行
う。前時のプリントを活用
実習プリントを配布する。
事前に IP アドレスを用意する。
ミラーサイトがある Web サイトを何例か用意しておく。→生徒に発表させる。
②うみたまごのあるサイトの URL
http://umitamago.jp/goto/price/ の
のドメイン名を考える。
→[umitamago.jp]がドメイン名
コマンドプロンプトを開き、
nslookup umitamago.jp で IP アド
レスを調べる。
202.229.132.124
展 開
③〇〇県庁のホームページの URL を
検索し、ドメイン名を調べる。
また、IP アドレスに変換する。
事前に〇〇県を用意する。1 人ひとり異なるように工夫する。
・③に関しては、容易に検索できる。
④〇〇県にある大学のホームページの
URL を検索し、ドメイン名を調べる。
ここが POINT!
AND 検索に触れてもよい。
また、IP アドレスに変換
させる。
[技能]
IP アドレスとドメ
イン名の変換がで
きるか。
WWW による情報閲覧の仕組みを考える。
教科書 P106 にある図1
WWW による情報閲覧の仕組み
を紹介する。
スライドを使って確認する。
[関心・意欲・態度]
授業の感想を記入する。
まとめ
意欲的に実習に取
り組めたか。
【教材の準備について】
・検索指示カードは A6 サイズで差し込み印刷を利用して作成する。
他のクラスで利用するのでラミネート加工しておく。
組織区分や国別コードを用意し、いろいろ組み合わせてもよい。
- 27 -
月
「社会と情報」授業プリント
[実習]
(
)組(
指示カードを1枚受け取り、番号を書きなさい。(
日(
)実施
)番 氏名
)番
1)カードに書かれたIPアドレスを書きなさい。
IP アドレス
上記のIPアドレスが示すサイトのURLを書きなさい。
URL
2)次のURLからドメイン名を答えよ。また、ドメイン名を IP アドレスに変換しなさい。
URL
http://umitamago.jp/goto/price/
ドメイン名
IP アドレス
3)カードに書かれた都道府県名を書きなさい。また、ドメイン名を IP アドレスに変換
都道府県名
ドメイン名
IP アドレス
4)カードに書かれた都道府県名を書きなさい。また、ドメイン名を IP アドレスに変換
都道府県名
ドメイン名
IP アドレス
※ 今日の授業の感想を書きなさい
- 28 -
1
対象学年
学
校 名
年
科目名
社会と情報
教科書名
大分県立中津北高等学校
指
導 者
最新社会と情報(実教出版)
佐藤
奈緒美
指導要領
情報通信ネットワークとコミュニケーション
教 科 書
4章 コミュニケーションとネットワーク
単 元 名
単元指導計画
(全4時間)
時間数
1
学
習 内 容
発達の歴史
1「本時」
さまざまなコミュニケーション
1
ネットワークのコミュニケーション
1
守らなければならないルールとマナー
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
技能
ろうとしているか。
目的に応じた適切なコミュニケーション手段を選択できるか。
電子メールや SNS などのコミュニケーションツールを適切に利用できるか。
知識・理解
本時テーマ
(目標)
電子メールや SNS などのコミュニケーションツールを利用する際のルールとマナーを守
コミュニケーション手段各種の分類や形態を理解しているか。
よりよいコミュニケーション手段を考える。
※本時の授業配分( 座学2:実習3 )
授業プリント、ワークシート、DVD
補助教材等
☆ワークシート…与えられた条件でコミュニケーションを取り合った感想や内容の伝わりや
すさの度合いを記入する。
実践者の
コメント
コミュニケーション形態によって、また伝達内容によって、どのコミュニケーション手段が適
切かをじっくり考える機会にしてほしいです。
- 29 -
本時の展開
学習の流れ
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
DVDでお互いの説明不足による勘違いの
プロジェクタを利用して鑑賞
コントを見る。(5 分程度)
する。
コントの内容を理
なぜこのような勘違いが起こったのかを考
える。
補足
導 入
評価・備考
留意事項
動画を見せることにこだわらな
い。言葉を省略することでトラブ
ルにつながることがあることを再
確認する。
解し、勘違いの原
お互いの自分勝手な「思い込
因を理解できてい
み」によりこのような勘違い
るか。
が起こった。言葉による説明
【知識・理解】
があれば勘違いが起こらなか
ったことを確認する。
→情報伝達には言語が欠かせ
ないことを確認。
以下の情報を指示された伝達手段で相手に
伝える。
(グループ活動)
指示された伝達手
グループ活動する。
例1)店までの道を電話だけで説明する。
例2)無表情でおもしろいことを語る。
もしくは笑顔で怒る。
段で情報を伝達で
きたか。
情報の伝達手段ごとの特徴を
【技能】
確認し、適切な伝達手段を考
例3)言語を使わず身振り手振りだけで「お
える。
題の物」をグループの全員に伝える。
展 開
お題例)野球、バナナ、梨など
よりよい伝達方法
を検討できたか。
グループごとに伝わり具合を確認し、より
【思考・判断・表
よい伝達手段がないか話し合う。
現】
同期、非同期、1対1、1対多、などコミ
ュニケーション方法ごとの分類をする。
伝達内容によって適切な方法があることを
確認する。
まとめ
ここが POINT!
ノンバーバルな情報伝達も必要であるこ
と、私たちが通常利用する文字だけでなく
手話や点字の必要性にも触れる。
伝達する内容、場面によって、適切な伝達
伝える人数や伝えるべき相手
方法をよく考える必要がある。
だけに伝えられているかなど
にも配慮すべきである。
【生徒の反応・効果等】
動画を見せることで興味をひきつけることができた。グループ活動に取りかかれていない班があったが、指
導者が例を示すことで活動できるようになった。情報伝達手段の違いや利用方法について改めて考える機会に
なったようである。
生徒の感想・・・紙に書かずに道を説明するのは難しかった。言葉の説明も大切だけど、他の方法も大切だと
思った。表情は気持ちを伝えるものだと感じた。 など
- 30 -
社会と情報
授業プリント
年
組
番氏名
平成
年
月
日(
4章 コミュニケーションとネットワーク 1節 コミュニケーション
1.発達の歴史
紀元前4万年頃
1
・
・
・
(約 42000 年前)
目の前にいる人にしか伝えられなかった。
空 …空間を超えて
○
時 …時間を超えて
○
数 …伝える人数
○
紀元前 7000 年頃
(約 9000 年前)
2
・
…伝えられる内容が増えた。
空
3○
…遠隔地に伝えられる。
時
4○
紀元前 3000 年頃
(約 5000 年前)
1400 年頃
室町時代
数
5○
…洞窟に残して次世代へ
・
(手書きと写本)手間がかかる。
多くの人に均一な情報が伝えられる。
数
6○
・
これまでと比べてメディアの利用が簡便になった。
さらに多くの人に情報が伝えられるようになった。
1870 年頃
明治
1900 年頃
大正
時
7○
空
8○
時
9○
空
10○
数
11○
1960 年頃
昭和
1990 年頃
平成
空
12○
…人物や風景など写実的な情報を伝えられる。
…情報量は少なかった。
…音声と動画を伝えられる。
…個人間の情報伝達。
…1対多のマスコミ型情報伝達
…音声と動画(カラー)が伝えられる。
空
13○
空
14○
…リアルタイムに。地球規模で。
…場所による制約が少なくなった。
数
15○
…世界中の人々を対象に
コミュニケーションが取れる。
- 31 -
)
2.さまざまなコミュニケーション
発信者と受信者の人数や位置関係、コミュニケーションの 16
によって次のように分類
できる。
・発信者と受信者の人数による分類
17
(
19
(
教 P.94 図1参照
型)
、18
(
型)
、20
型)
、
(
型)
・発信者と受信者の位置関係による分類
直接対面している…21
コミュニケーション
相手が離れた場所にいる…22
コミュニケーション
・コミュニケーションの同期性による分類
相手からすぐ反応や返事がある…23
コミュニケーション
例)24
など
相手がいつ受信したかわからない…25
コミュニケーション
例)26
など
3.ネットワークのコミュニケーション
・27
…同時に多数の人に送信できる 28
をもつ。
・29
…「ウェブ」+「ログ(記録)
」の造語。簡便に更新できる。
・30
…インターネット上でのコミュニケーションをサポートするサービス。
・31
…インターネットを通じて動画や音声をやりとりする。
☆「To」
「CC」
「BCC」のちがい
宛先(To)…メールを送る
32
CC(Carbon Copy)
、BCC(Blind Carbon Copy)
…入力されたメールアドレス宛に 33
を送る。
↓ CC と BCC のちがいは?
複数の人へ送信した場合、To と CC に入力されたメールアドレスは、メールを受け取った全員へ
公開される。BCC に入力されたメールアドレスは他者へ公開されない。
- 32 -
社会と情報
ワークシート
☆以下の情報を指示された伝達手段で相手に伝えてみよう。
実習1)店までの道を電話で説明する。
→ 説明する道筋は用紙に書いています。説明役の人が教卓へ取りに来ること。
今回は糸電話でやってみよう。
伝わり具合はどうでしたか?
より伝わりやすくするために、あなたならどう工夫しますか?
実習2)無表情でおもしろいことを語る。もしくは笑顔で怒る。
→ どうですか?うまくできましたか?
伝わり具合はどうでしたか?
より伝わりやすくするために、あなたならどう工夫しますか?
実習3)言語を使わず身振り手振りだけで「お題の物」を伝える。
→ お題は身振り手振りをする人にだけ、のちほど教卓付近で伝えます。
伝わり具合はどうでしたか?
より伝わりやすくするために、あなたならどう工夫しますか?
☆コミュニケーションについて、今回の実習で感じたこと、考えたこと、今後に活かしたいことなど自
由に書こう。
(
)年(
)組(
- 33 -
)番
氏名(
)
1
対象学年
学
年
科目名
社会と情報
教科書名
大分県立宇佐高等学校
校 名
指
導 者
指導要領 (4) 望ましい情報社会の構築
単 元 名
((3)
社会と情報(日本文教出版)
木部 武志
ア.社会における情報システム
情報社会の課題と情報モラル
ウ.情報社会における法と個人の責任 にも対応)
教 科 書 第3章 望ましい情報社会を構築するために
第2節 情報社会における情報システム 第1節 情報化が社会に及ぼす影響と課題
単元指導計画
(全3時間)※行数は自由に変更して結構です。
時間数
学
習 内 容
1
第2節 情報社会における情報システム
1
第1節 情報化が社会に及ぼす影響と課題 4項 個人情報の保護と活用(個人情報とプライバシー)
1(本時)
第1節 情報化が社会に及ぼす影響と課題 4項 個人情報の保護と活用(事例検討)
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
技能
補助教材等
用ならびに活用する態度を身に付ける。
状況に応じて自分の個人情報やプライバシーを保護あるいは活用することができる。
事例検討を通して個人情報やプライバシーの扱われ方を適切にコントロールすることができる。
知識・理解
本時テーマ
(目標)
自分の個人情報やプライバシーの取り扱われ方に関心を持ち、自分自身でこれらを適切に運
事例検討を通して個人情報やプライバシーがどのように形成収集されていくかを理解する。
情報社会で収集されている個人情報やプライバシーを理解し、自らの個人情報やプライバシーを保護・
活用ができるようになる。
会員カード及び共通ポイントカード
事前に以下の項目を学習しておくと円滑な授業が行える。
実践者の
1)現代社会における様々な情報システムの概要について(本単元1限目)
コメント
2)個人情報およびプライバシーの概要とその違いについて(本単元2限目)
提供側の視点ではなく、主体的に取り扱う者としての視点からも理解を促す
- 34 -
本時の展開
学習の流れ
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
評価・備考
留意事項
1.本時のテーマを聞く。
≪説明画像配信≫
1)個人情報がどのように収集活用されているのか?
導 入
2)個人情報がどのように保護されているのか?
3)情報を提供する側、利用する側それぞれが注意すべき
ことは何か?
を理解する。
1.今回取り扱う題材(状況)の説明
≪説明画像配信≫
今回は会員カード+共通ポイントカード
2.カードを利用する際に個人情報が登録され
るかを考える。
ポイントを提示する
≪説明画像配信≫
ポイントを提示する
3.これらの個人情報がどのように保管されて
ここが POINT!
いるかの説明を聞く。
→教科書を用いて説明する。どのような点に注
→ プライバシーの視点から考えさせるように導く。
目しているかに注意を払う
4.上記2の情報以外で、登録(収集)される情
報を考える。
展 開
行動履歴や嗜好などが解析されてしまう点に注目させる。
≪班でディスカッション
【思考・判断・表現】
→内容をワークシートに記入
≫
5.情報を提供する側と利用する側双方のメリ
≪代表者に発表させる≫
ットデメリットを考える。
≪班でディスカッション→内容
ここが POINT!
をワークシートに記入≫
机間指導をしながらグループ
≪書画カメラで各班のワークシ
内での積極的な発言を促す
ートを提示する≫
6.情報を提供する側としてどのような点に気を
つけるべきかを意見交換する。
をワークシートに記入≫
7.情報を扱う側としてどのような点に気をつけ
るべきかを意見交換する。
まとめ
≪班でディスカッション→内容
≪書画カメラで各班のワークシ
ートを提示する≫
1.本時のまとめを聞く。
≪説明画像配信≫
2.感想を書く。
ポイントを提示する
【授業の効果等】
会員カードやポイントカードなど、個人情報の登録の必要な身近なものを教材として使用することで、個人
情報の取り扱いなど、その危険性について身近な課題として捉え情報モラルの意識を高める機会となる。
- 35 -
2 様々な事例を通して知的財産権をうまく活用しよう
組
番 氏名
今回のポイント
1)個人情報がどのように収集活用されているのか理解する。
2)個人情報がどのように保護されているのかを理解する。
3)情報を提供する側、利用する側それぞれが注意すべきことは何かを理解する。
事例検討
レンタルショップの会員登録を考えてみよう
登録の際に情報を相手に与えるのかを考えてみよう
同じカードが他の業種でも使えるのは何故だろう?
☆ 購入履歴を集められているということを認識させる。
情報を与える側と扱う側それぞれが注意すべきことはなんだろう?
情報を与える側
情報を扱う側
感想
- 36 -
1年
対象学年
学
科目名
社会と情報
大分県立大分西高等学校
校 名
最新社会と情報 実教出版
教科書名
指
導 者
指導要領
情報社会の課題と情報モラル
教 科 書
5章 法規とセキュリティ
利光 宏隆
単 元 名
単元指導計画
(全4時間)
時間数
1「本時」
学
習 内 容
情報セキュリティ技術(コンピュータウイルス対策)
1
情報セキュリティ技術(情報の暗号化、ディジタル署名)
1
情報セキュリティ技術(ファイアウォール、アクセス制御、フィルタリング)
1
情報セキュリティポリシー
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
グループ活動等において積極的に発言し、意欲的に取り組んでいる。
コンピュータウイルスの種類や特徴をまとめられている。
思考・判断・表現
コンピュータウイルスに対するセキュリティの方策・手段を考察する。
効果的な発表となるよう工夫している。
技能
コンピュータウイルスに対するセキュリティ対策を実践できるようになる。
知識・理解
本時テーマ
(目標)
コンピュータウイルスの定義、セキュリティ対策を理解している。
1.コンピュータウイルスの定義を理解する。
2.コンピュータウイルス対策ソフトウェアの仕組みを理解する。
3.コンピュータウイルスに感染した場合の対処を考察し、まとめる。
※本時の授業配分( 座学5 : 5実習 )
補助教材等
実践者の
コメント
・ウイルス疑似体験ソフト(フリーウェア)
、
・教育用動画(IPA の HP より)
展開の4~6については、生徒の実態にあわせて順序を変えてもよいと思う。また、コンピュータウ
イルスの被害にあわないための行動を考えさせる活動では、自分が被害者であると同時に、加害者に
なってしまう恐れがあることも理解させる。
- 37 -
本時の展開
学習の流れ
導
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
留意事項
1.各自 PC を起動する。生徒 PC の起動と
・生徒 PC に起動と同時にウイル
同時にウイルス疑似体験ソフトが実
ス疑似体験ソフトが実行され
行し、ウイルス感染の疑似体験をす
るように事前準備しておく。
入
評価・備考
る。
・疑似体験させた画面を全員に
2.本時の目標を確認する。
表示する。
1.ウイルスの定義について確認する。
2.ウイルスに関して、次の①②について
・グループ活動の際には机間指
インターネットを活用して調べ、まと
導しながら積極的な取り組み
める。
を促す。
【関心・意欲・態度】
・発表用に、A3 の用紙にまとめ
(グループ活動)
させる
①ウイルスの種類とそれらの特徴
②これまでのウイルス被害の事例
・発表用紙を書画カメラで表示
させながら発表させる。机間
展
開
3.2でまとめたことを発表する。
指導をしながらグループ内の
【思考・判断・表現】
積極的な発言を促すととも
に、発表させるグループを決
4.ウイルス被害にあわないための行動、
めておく。
被害にあった場合の行動を考え、まと
める。
(グループ活動)
5.4でまとめたことを発表する。
6.ウイルス対策ソフトの仕組みの説明を
聞く。
を活用して説明をする。
1.本時の内容を振り返る。
まとめ
・ダウンロードした教育用動画
・安易にウイルスを作成してし
2.次時の説明を聞く。
まうと罪になること(ウイル
・暗号化、ディジタル署名などのセキュリ
ス作成罪)等にも触れながら
ティ技術について学習することを聞く。
振り返る。
【生徒の反応・効果等】
話し合いの場面で、他者が感じたことと共感したり、自分との違いを意識したりしながら理解を深める。
ウイルス疑似体験ソフトを活用することで、ウイルス感染の疑似体験ができる。そこから学習内容に対しての意欲の
喚起につなげる。
- 38 -
1
対象学年
学
校 名
年
科目名
社会と情報
大分県立中津北高等学校
教科書名
指
最新社会と情報(実教出版)
導 者
指導要領
情報社会の課題と情報モラル
教 科 書
5章 法規とセキュリティ
佐藤 奈緒美
単 元 名
単元指導計画
(全5時間)
時間数
1
学
習 内 容
知的財産権 著作権
1「本時」
産業財産権
1
さまざまな法律
1
情報セキュリティ技術
1
情報セキュリティポリシー
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
事例を積極的に調べようとしているか。
思考・判断・表現
それぞれの権利について違いを判断できるか。
技能
生活の中で産業財産権について意識できているか。
知識・理解
本時テーマ
(目標)
補助教材お
よび参考に
したサイト
等
著作権と産業財産権について理解しているか。
産業財産権について理解し、権利について具体例を調べる。
※本時の授業配分の目安( 座学3:実習2 )
授業プリント
特許電子図書館 http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl
IPP 国際特許事務所 http://www.ippjp.com/index.html
知的財産_授業 https://sites.google.com/site/eduinpro/home
ゲーム作りから見る著作権
http://www.c-place.ne.jp/g-copyright/index.html
実践者の
産業財産権に関する権利について具体例を生徒自身に調べさせることで、より理解が深まるよう
コメント
に工夫しました。
- 39 -
本時の展開
学習の流れ
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
留意事項
知的財産権について理解しているかを確認
する。
(前回の授業の確認)
導 入
本時は産業財産権について学習することを
理解する。
評価・備考
プロジェクタや書画カメ
著作権と産業財産
ラで表示し、視覚的にも確
権について理解し
認させる。
(漢字表記も含め
ているか。
て)
【知識・理解】
産業財産権について具体的にどのようなも
のに権利が与えられているかを調べる。
(うまく検索できない場合には下記のサイト
パソコンを利用し、We
bページを検索させる。
を紹介する。
)
どのような単語を入力す
○IPP 国際特許事務所
ると求める情報が得られる
○知的財産_授業
かを考えさせる。
→
べようとしている
か。
○特許電子図書館
展 開
事例を積極的に調
何かを作る際には多くの権利がかかわっ
【関心・意欲・態
度】
Webページを利
ていることに気づく。
用して産業財産権
について検索でき
調べた内容をプリントに記入し、グループで
ているか。
意見交換をする。
【技能】
ゲームを作る際にかかわっている権利につ
いてWebページを見ながら考えさせる。
○ゲーム作りから見る著作権
http://www.c-place.ne.jp/g-copyright/index.html
→
1本のゲームにも多くの権利がかかわっ
ここが POINT!
ており、何かを作る・使用するという場合に
まとめ
は、権利を侵害していないかを考える必要が
あることを知る。
著作権も産業財産権も、私たちの生活に密
着しているものであることを理解する。また
キャリア教育の視点
将来「ものづくり」にかかわる場
合は、特にこれらの権利が重要で
あり、権利を巡り被害者にも加害
者にもならないよう態度として
身につける。
権利を侵害しないように気遣うとともに、自
分の権利が侵害されないように注意すること
の必要性も確認する。
【生徒の反応・効果等】
以前、知的財産権に関する権利について生徒に具体例を調べさせた後、その他の例も紹介した。その際、
「お
菓子にも特許がかかわっているとは思いもしなかった。」
「ひとつの商品にいくつもの権利がかかわっていると
は知らなかった。
」などの反応があり、授業前にくらべて興味・関心を持つようになった。
- 40 -
社会と情報
授業プリント
年
組
番氏名
授業日平成
5章 法規とセキュリティ
年
月
日( )
1節 情報の管理・保護に関する法律
1.知的財産権
知的な活動から創作したもの…他人が無断で使用して利益をえることができないように、
創作した人の権利が法律で保護されている。
→人間の考え出した知的な生産物が1
2
を生む場合に、その利益に対する支配権を
という。
②
④
⑤
⑥
①
⑦
③
著作者の権利
⑧
⑨
その他
⑩
(財産権)
実演家人格権
財産権
産業財産権…上記④~⑦。新しい 3
や4
、デザイン、5
などに対して一定期間保護する権利。6
に出願して認められれば権利として登
録される。
著作権…小説、音楽、絵画、映画およびコンピュータプログラムなどの著作物を最初に創作した人に
与えられる。届け出をしなくても著作物を創作した時点で権利が発生し、7
と
なる。
著作者のもつ権利…8
と9
(財産権)に分けられる。
↓
10
、11
↑こちらは譲渡や相続が可能。
、12
がある。
こちらは著作者だけに与えられ、譲渡や相続はできない。
著作権の保護期間=原則として著作者の生存期間および 13
。
(教 p.118 左①参照)
☆歌手・演奏家・俳優などの実演家、CDを制作する人、放送事業者など著作物を公衆に伝達する人
や事業者=著作隣接権者…14
☆ほかにも 15
をもっている。
や 16
がある。
(教 p.119 参照)
- 41 -
◎権利の侵害例
著作物の 17
(コピー)…著作権者の許可がなければ著作権侵害にあたる。
著作物を著作者に無断で 18
する。内容や題名を 19
著作者が匿名を希望しているのに勝手に 20
する。
など。
→ 著作物に関する権利に注意し、その権利を守らなければならない。
◎著作権の例外規定
以下の場合は、著作権者の許諾を得なくても利用できる。
例)21
のためのコピー、22
や 23
などでのコピー、24
でのコピーなど。
ただし、著作権者の利益を不当に害さないように、また著作物の通常の利用が妨げられないように、
条件が厳密に定められている。
・25
…著作者が自分の著作物を他人に自由に使ってもらってよいと考える場
合に、その意思を表示するためのマーク。
(教 p.120 豆知識参照)
・26
…自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説すること。以
下の①~④の要件をすべて満たしていれば著作権者の了解なしに著作物を利用することができる。
①
著作物であること。
②自分の著作物と他人の著作物が
③引用の
があり、自分の著作物が
④
すること。
されていること。
で他人の著作物は
☆産業財産権の具体例を調べ、記入しよう。
- 42 -
であること。
社会と情報
対象学年
1 年
学
大分県立別府青山高等学校(普通科)
校 名
単 元 名
科目名
望ましい情報社会の構築
教 科 書
第6章 情報社会と問題解決
1節 情報システムと人間
導 者
302 (実教出版)
畑野 新司
(全5時間)
時間数
1
[本時]
指
指導要領
単元指導計画
最新社会と情報
教科書名
学
習 内 容
・社会を支える情報技術について学ぶ。
・社会を支える情報技術の具体例について話し合う。
1
・情報バリアフリーやユニバーサルデザインの考え方を学ぶ。
・ユビキタスネットワーク社会を構成する情報技術について話し合う。
・ウェブアクセシビリティ,ユーザビリティについて学ぶ。
3
・座席予約,POS など身近な情報システムの仕組みと働きについて学ぶ。
・行政や企業の情報システムについて学ぶ。
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評
価 規 準
関心・意欲・態度
・社会における情報システムに興味・関心を持っているか。
思考・判断・表現
・課題に沿って簡単に説明をまとめているか。
技能
・座席予約など情報システムを活用できるか。
知識・理解
本時テーマ
(目標)
・社会における主な情報システムの種類と内容について理解しているか。
社会を支える情報技術を学ぶ
身近な情報システムについて理解を深め、どのような情報がやり取りされているかを考える
※本時の授業配分(座学中心 グループで話し合いをさせてもよい)
補助教材等
実践者の
コメント
教科書 P136~139
確認問題プリント
この単元は、生徒の実態に応じて身近な情報システムを取り上げるとよい。
できれば、情報化社会の「光と影」の両方の側面から考えさせるとよい。
教員がいくつかテーマを用意し、グループごとに調べ、発表させる方法も可能である。
- 43 -
本時の展開
学習の流れ
導 入
展 開
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
身近な情報システムを考える。
・列車切符の予約と購入
・ホテルの予約
・コンビニの商品管理
・ネットショッピング
・カーナビゲーションシステム など
例1)列車切符の予約と購入
条件:インターネットで予約し、
クレジットカードで購入する。
まず、
「鉄道会社」
「クレジット会社」
「銀行」
「購入者」でどのような情報のやり
とりがあるか考える。
説明を聞き、理解を深める。
・コンビニ決済
・ホームページの安全性(SSL 等)
・クレジットカードのセキュリティー
コード
インターネットでどのような情報を入力
するか確認する。
無意識のうちに多くの情報を提供している
ことを知り、何が問題かグループで話し合
う。
会員登録に必要な情報
メールアドレス、パスワード、住所、
氏名、性別、生年月日など
オプトイン方式の説明を聞く
[参考サイト]
評価・備考
留意事項
動画があれば紹介する。
情報システム:コンピュータを利用して情報の
管理・通信や制御などを行う仕組み
身近な例を提示する。
[知識・理解]
社会における主な
情報システムの種
周囲の人と話し合わせる。
類と内容について
理解しているか。
情報モラルの指導につながる
ように心がける。
※机間指導により、グループ内で
の発言を促す。
ここが POINT!
[思考・判断・表現]
課題に沿って簡単
に説明をまとめて
実際の予約画面を使って、
どのような情報を入力す
るのか、登録の際に共通し
ている事項は何か?紹介
しながら注意を喚起する。
いるか。
神奈川県消費生活課
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/0207/contents/04.html
例2)教科書 P136 の確認問題
ネットショッピングで商品を購入した際に代金をコンビニエンスストアで支払う
場合について、例題1と同様のものをつくってみよう。
まとめ
確認問題を解く。
授業の感想を記入する。
【生徒の反応・効果等】
今後、情報システムはより身近なものになってくる。これにより利便性は高まるが、注意しなければならない
こともあることを生徒に気づかせることが大切である。
- 44 -
「社会と情報」授業プリント
(
)組(
)番 氏名
[問題1]
ネットショッピングで商品を購入した際に、代金をコンビニエンスストアで支払う場合について、
ネットショップ、コンビニエンスストア本部、コンビニエンスストア店舗、顧客との間で、どのような
情報のやり取りがあったか整理してみよう。
① 予約依頼情報、クレジット番号、金額、個人情報
②
予約番号
③ クレジット番号、金額、個人情報
④
代金
⑤ 払込依頼金額、個人情報
⑥
依頼金額振込
⑦ 支払情報
⑧
出金情報
[問題2] インターネットショッピングをする際、どのような個人情報を入力しているか。
名前(漢字)
FAX番号
名前(仮名)
メールアドレス
生年月日
パスワード
性別
勤務先
住所
電話番号
※ 今日の授業の感想を書きなさい
- 45 -
1
対象学年
学
年
科目名
社会と情報
大分県立宇佐高等学校
校 名
教科書名
指
指導要領 (3) 情報社会の課題と情報モラル
単 元 名
木部 武志
導 者
ウ.情報社会における法と個人の責任
教 科 書 第 3 章 望ましい情報社会を構築するために
第 1 節 情報化が社会に及ぼす影響と課題
単元指導計画
社会と情報(日本文教出版)
3 項 知的財産の保護と活用
(全 3 時間)※行数は自由に変更して結構です。
時間数
学
習 内 容
1
知的財産権のうち、産業財産権の種類とその内容について学習する。
1
知的財産権のうち、著作権(含む著作隣接権)の種類とその内容について学習する。
1(本時)
知的財産権を理解した上で、様々な状況を考えて適切な対応について考える。(事例検討)
本時の評価規準例
※本時の評価基準は参考までに、4 観点の評価を示しています。
観 点
評 価 規 準
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
技能
各権利の内容や特徴を理解し、日常生活において他者の権利を尊重し、自分の権利を行使す
ることができる。
状況に応じて適切な権利に基づいた判断ができる。
知的財産権を尊重した行動や対応を取ることができる。
知識・理解
日常生活内の知的財産権の活用事例あるいは運用事例について理解する。
本時テーマ
(目標)
知的財産権を理解した上で、様々な状況を考えて適切な対応について考える。
補助教材等
プリント資料(知的財産クイズ ワークシート)
実践者の
各権利について説明を行う際には実例を提示しながら説明を行うと生徒は興味を示し、積極的に授業
コメント
に臨んでいた。
- 46 -
本時の展開
学習の流れ
ICT 活用・言語活動等の
主な学習活動
留意事項
1.本時のテーマを聞く。
評価・備考
≪説明画像配信≫
特に自分たちの日常生活を意識して授業
導 入
に臨むように意識付けを行う。
【思考・判断・表現】
1.ワークシートの○×クイズを解く。
この段階では各個人で考えさせる。
2.グループ内で各自の答えを発表する。
展 開
3.各グループの意見を聞く。
≪書画カメラにて各グループの
→どのような点に注目しているかに注意を
ワークシートを表示する。≫
払う
4.正解を聞く
≪解答画面配信≫
1.ワークシート2の問題を読み、状況の解決
≪説明画像配信≫
方法を考える。
※この段階では各個人で考えさせる。
2.グループ内で各自の答えを発表する。
3.各グループの意見を聞く。
≪書画カメラにて各グループの
→どのような点に注目しているかに注意を
展 開
ワークシートを表示する。≫
払う
4.回答を聞く
≪説明画像配信≫
①オープンソースについての説明を聞く。
要点を提示する
②クリエイティブコモンズについての説明を
聞く。
1.まとめを聞き、自己評価シートを記入する。
≪説明画像配信≫
【知識・理解】
ポイントを提示する
ここが POINT!
まとめ
①権利を行使する際は自分の目的に沿って適切に行使することが大切である点に注目させる。
②自分の権利と他者の権利それぞれを尊重するためにはどのような方法があるのかを理解させる。
【授業の効果等】
知的財産権の産業財産権と著作権に関するクイズに取り組むことで、様々な身近な事例から知的財産権につ
いて考察を深める機会となる。
日常生活の様々な場面において、知的財産権を意識し行動できる力を身につける。
- 47 -
- 48 -
番号:
( ○ )
6 意図的に特許をとっていない事例もある。
( ○ )
(○)∵個人的に楽しむ目的であれば認められる。
10 CDから気に入った曲を選んで、オリジナルのMDを作ってもよい
それ以降、だれでも自由にコピーすることができる。
(×)著作権は作者の死後50年間保護される。
9 著作権は永遠に保護される。
(○)∵授業における利用であれば認められる
8 授業の参考になる英文のWebページを翻訳して、授業でプリントにして配布してもよい
ただし、コラムや社説には著作権が発生する。
( ○ )
7 新聞で読んだ事件の発生時間や場所を、自分のWebページに載せてもよい
なった。(平成16年1月2日より)
(○)授業の中であれば、生徒であってもコピーして利用できるように
6 総合的な学習の時間に、参考になるWebページの写真や文をコピーして発表に使ってよい。
(○)著作権は、創作の完成と同時に自動的に発生するものであり、
5 著作権は登録しなくても権利が発生する?
(×)改変していなければ著作物には当たらない。
4 民話を聞き書きしたものは著作物になる
(○)事実の伝達だけの記事であれば、承諾なしでのせても問題ない
5 立体的な造形物でも商品やサービスを連想させるものであれば商標として登録できる。
氏名:
(○)∵写真の構図などに撮影者の意図が入るので著作物と考えられる。
3 彫刻作品を撮影した写真画像の著作権は撮影者に与えられる。
(×)∵文章問題は著作物にあたるので勝手に利用できない。
2 数学の計算問題にも著作権はある
(×)∵著作権は身分や年齢に関係なく、著作物に対して発生する
1 自分の書いた日記やレポートなどでは、著作権は発生しない。
クラス:
特許権の取得ができる。
4 インターネット上で見つけた海外の技術でも、国内で公表されていないものであれば
( × )∵先に販売してしまうと、未公表とはいえない
3 「デジタルカメラ」を初めて考えついて販売したところ売れ行きがよかったので、特許出願をした。こ
の場合、特許をとれる?
( × )∵技能であり、技術とはいえない
・「カップラーメンの製造のしかた」なら特許可能
2 「フォークボールの投げ方」を初めて考えついたら特許をとれる。
( × )∵単なる取り決めにすぎず、自然法則でない
・「オセロゲームの駒」なら特許可能
・「コンピュータゲームのゲーム進行方法」(コンピュータプログラム)なら特許可能
1 「オセロゲームの方法」を初めて考えついたら特許をとれる。
氏名:
(問題例)
番号:
(問題例)
クラス:
知的財産クイズ(著作権)
知的財産クイズ(産業財産権)
○
×
○
○
×
○
×
○
×
×
2 様々な事例を通して知的財産権をうまく活用しよう
組
番 氏名
事例を通して知的財産権をどのように生かしていけばよいかを考えてみよう
事例検討1
世界で初めてグリーンピースを原材料にした炭酸飲料を開発した。
その製法に対して特許はとるべきか?
ポイントは何か?
製造方法
=
炭酸飲料
=
問題点はどこか?
☆ 特許を取得する際の手続きに注目をさせる
☆ 対象となるものによって特許をとる利点が変わる
ことに注目させる。
考え付いた解決方法
☆ オープンソースという概念の説明を行う。
- 49 -
事例検討2
総合的な学習の時間で発表したプレゼンテーションを県の研究会で発表するようにな
りました。このプレゼンテーション資料はそのまま使えるのでしょうか?
ポイントは何か?
総合的な学習の時間
=
県の研究発表会
=
問題点はどこか?
☆ 著作権の効力がどの範囲に及ぶのかに注目させる。
☆ 対象となるものによって特許をとる利点が変わる
考え付いた解決方法
☆ クリエイティブココモンズという概念の説明を行う。
感想
☆ 権利は行使するだけでなく、尊重することも大切である
☆ 様々な兼ね合いを考えた上で、どのように権利を行使するか
を考えることも大切である。
以上の点に生徒が気づくとよいのではと考えています。
- 50 -
5
言語活動の評価の概要とポイント
【言語活動の充実】
情報科においては,情報活用能力を育むことをねらいとし,習得した情報に関する知識・技能や科学
的な見方・考え方などを活用して,高度に情報化した社会に積極的に参画したり,その発展に寄与した
りすることができる能力・態度の育成を重視する。言語活動を取り上げる際には,生徒が主体的に考え,
討議し,発表し合う学習活動を取り入れ,言語などを活用して,新たな情報を創り出したり,分かりや
すく情報を表現したり,正しく伝達したり,他者と共同して問題を適切に解決する学習活動を充実する。
その際,「情報教育が目指している情報活用能力をはぐくむことは,基礎的・基本的な知識・技能の確
実な定着とともに,発表,記録,要約,報告といった知識・技能を活用して行う言語活動の基盤となる
ものである。」という平成20年答申の提言の趣旨を十分に踏まえた学習活動とする必要がある。
○「社会と情報」においては,情報手段などを適切に活用して情報を収集,処理,表現するとともに効
果的なコミュニケーションを行うために必要な基礎的な知識・技能を習得させるために,情報手段等の
目的に応じた適切な選択,情報の信憑性や著作権への配慮の必要性・重要性,望ましい情報社会の在り
方と情報技術の適切な活用等について,生徒が主体的に考え,討議し,発表し合う等の学習活動を充実
する。
○「情報の科学」においては,情報や情報技術を問題の発見と解決に効果的に活用するための科学的な
考え方を習得させるために,複数の問題解決策の考案と目的・状況に応じた解決策の選択,問題解決の
過程と結果の評価・改善,情報技術の進展が社会に果たす役割と影響等について,生徒が主体的に考え,
討議し,発表し合う等の学習活動を充実する。
文部科学省:「言語活動の充実に関する指導事例集」~思考力、判断力、表現力等の育成に向けて~
2012
☆高等学校において取り上げる言語活動としては,例えば,次のような点に留意する必要がある。
・現代の社会生活で必要とされる実用的な文章を読み内容を理解し,自分の考えをもって話し合う。
・文字,音声,画像などのメディアによって表現された情報を,課題に応じて取捨選択してまとめる。
・授業のまとめとして,その時間のポイントなどを説明する。
・課題についての自分の考え方を板書し,どのようにすればよりよい考えや表現になるかを考える。
・適切な主題を設定し,資料を活用して探究し,考えを論述する。
・観察,実験などの結果を分析し解釈して自らの考えを導き出し,表現する。
・学習の成果を互いに伝え合ったり,助言し合ったりして,新たな追究に向かう。
・自己評価や相互評価を通して,自己の変容を確認する。
- 51 -
【評価の概要とポイント】
学習指導の改善や教育課程全体の改善につながる学習評価の意義・目的を踏まえ,言語活動を通し
て育成する,思考力・判断力・表現力等について,各教科の対応する観点において適切に評価するこ
とが求められる。
【評価の内容について】何について評価するのか?
「思考・判断・表現」した過程と結果を評価
①基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習活動を重視
②課題を多面的に考察し説明しているか?
③生徒がどのように伝えているか?
④自らの分析や解釈をして論述しているか?
⑤互いの考えを伝え合い、自分の考えを広げたり深めたりしているか?
など
【評価の方法】どのように評価するか?
表現に係る活動や作成物を評価
発表や討論の場面をはじめ、論述、観察、レポートなどの作成物につい
て、学習目標に照らし合わせて評価する。
【活動の観察】 例:チェックリストによる評価
出席
番号
自分なりによく考えて
発言している
1
✔
問題意識が持続してい
る
自工夫しながら作業を
進めている
✔
2
✔
3
4
根拠に基づいて発言し
ている
✔
✔
✔
✔
【評価の時期】いつ評価するのか?
学習活動を通して意図的・計画的に評価
①単元において、計画的に設定した時期に適切に評価する
②発表や討論、授業後、提出物等設定した場面において意図的に評価する
評価より、生徒の変容を把握する
- 52 -
授業改善へつなげる
6
情報モラル教育
第 1 節児童生徒の実態や発達段階に応じた情報モラル教育
情報社会では、一人一人が情報化の進展が生活に及ぼす影響を理解し、情報に関する問題に適切に対
処し、積極的に情報社会に参加しようとする創造的な態度が大切である。誰もが情報の送り手と受け手
の両方の役割を持つようになるこれからの情報社会では、情報がネットワークを介して瞬時に世界中に
伝達され、予想しない影響を与えてしまうことや、対面のコミュニケーションでは考えられないような
誤解を生じる可能性も少なくない。このような情報社会の特性を理解し、情報化の影の部分に対応し、
適正な活動ができる考え方や態度が必要となってきている。そこで、学習指導要領では、「情報社会で
適正な活動を行うための基になる考え方と態度」を「情報モラル」と定め、各教科の指導の中で身につ
けさせることとしている。
具体的には、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責
任をもつことや、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使
用による健康とのかかわりを理解することなどの内容となっている。これらの内容は、情報社会の進展
に伴って変化することが考えられ、今後も柔軟かつ適切に対応することが必要である。また、普及の著
しい携帯電話をはじめとする携帯情報通信端末のさまざまな問題に対しては、地域や家庭との連携を図
りつつ、情報モラルを身につけさせる指導を適切に行う必要がある。
情報モラル教育
日常モラルの指導 +
情報社会の特性の理解
情報社会で適正な活動を行うための
基になる考え方と態度の育成
(1)情報社会の特性の理解
情報化社会の進展により、携帯電話のインターネット等の普及が急速に進む中で、インターネットの
掲示板や携帯電話のメールによるいじめ、「ネットいじめ」が多発している。「平成 19 年度生徒指導
上の諸問題に関する調査」(文部科学省)によると、「コンピュータや携帯電話等で、誹謗・中傷や嫌
なことをされる」の認知件数は、5、899 件(前年度:4、883 件)に昇り、ネットいじめが急増してい
る。常に持ち運ぶことができるようになった携帯電話は、子ども達に最も身近なインターネット端末と
- 53 -
なった。子どもたちはその携帯電話の小さな画面から世界中にリンクしていることを理解しないまま利
用している。何気なくプロフに書き込んだ個人情報、悪気のない掲示板への書き込みが世界中に発信さ
れていることを理解しないまま利用しているという現状がある。
携帯電話を使ったコミュニケーションは、従来の人と人が接するコミュニケーションとは全く異なる。
会話であればその場で話したことは記憶にのみ残り、記録には残らない。しかし、インターネットを介
したコミュニケーションの場合、記録として保存され、簡単に削除することができない可能性がある。
これにより、インターネット上の 1 つの書き込みから、裁判に至るケースもある。基本的な情報モラ
ルを持ち合わせていないために大きな事件に巻き込まれる場合もある。このような情報社会の進展とと
もに変化する特性を教員自身が理解し、児童生徒に指導することが必要である。
(2)社会の変化と情報モラル教育の必要性
前述のように、情報社会は日々進化しており、その流れは後戻りできない状況である。児童生徒は将
来にわたり、社会人となっても情報社会の中で生きていかなければならない。そういう観点からも、児
童生徒の時期の情報モラル教育は、重要且つ急務であり、情報活用能力の学習と合わせて行われなけれ
ばならない。
コンピュータや携帯電話は、一つの道具・ツールとして非常に利便性が高く社会生活から切り離す事
ができない。しかし、使い方によっては、非常に危険なツールとなることもあり、児童生徒が巻き込ま
れる事件も多く、ネット上のいじめ等、顕在化していないトラブルは相当の数に達すると考えられる。
既にコンピュータや携帯電話を利用している児童生徒への情報モラル教育はもちろん必要であるが、こ
れから新たに触れていく初期段階の児童生徒に対しても、情報社会の光の部分と共にその影の部分に関
する具体的な事例、それに伴うルール決めや遵守すべき項目を明確に理解させる必要がある。また、こ
の取組は学校のみならず、社会や家庭を巻き込み、それぞれの立場で情報の共有化や児童生徒への教育
を進めていかなければならない。
(3)地域や学校の実態の把握
情報化によるコンピュータや携帯電話の機能や使用方法は日々変化・進化しており、今後、新たな機
能や使用方法の開発に伴った問題が起こってくる可能性がある。学校や地域、家庭で情報モラル教育を
推進する上で、これらの実情を知るとともに、情報社会での児童生徒の行動や状況を知ることは非常に
重要である。
児童生徒の情報化社会における行動や状況を把握するには、アンケートやヒアリング等を定期的に実
施し、新しい情報を把握する必要がある。そして、その分析結果や動向を元に、情報モラル教育の対象、
方法、中身を検討し、臨機応変に対応できるよう取組む必要がある。児童生徒本人へのアンケートやヒ
アリング以外に、保護者(家庭)に対するアンケートやヒアリングも把握のためには重要である。保護
者(家庭)に対するアンケートは実態の把握のみならず、保護者への意識付けや家庭での情報モラル教
育の推進のためにも重要な取組といえる。一方、学校からの一方的なアプローチだけではなく、PTA
等を活用した家庭から学校への情報発信の仕組も必要である。また、情報化に関連する企業・団体との
連携も必要な要素である。地域だけでなく、全国的な児童生徒の情報社会に関する情報が入手可能で、
情報モラル教育を実施するための支援者ネットワークとしても活用できる。
- 54 -
(4)不易の部分の指導と変化への対応
情報モラル教育の目標は、道徳などで扱われている「日常生活におけるモラル(日常モラル)の育成」
と重複する部分が多く、これは情報モラル教育の基本となる態度の育成に欠かせない。
道徳で指導する「人に温かい心で接し、親切にする」「友達と仲良くし、助け合う」「他の人との関
わり方を大切にする」「相手への影響を考えて行動する」「自他の個人情報を、第三者にもらさない」
などが基盤となる。道徳においては、そのカリキュラムの軸の一つとして、
①主として自分自身に関わること
②主として他の人とのかかわりに関すること
③自然や崇高なものとのかかわりに関すること
④主として集団や社会とのかかわりに関すること
などの視点から内容が展開される。情報モラルでは、その「他の人」や「集団や社会」がインターネ
ット上の関係も含めた「情報化社会」に置き換えることができる。しかし、日常の社会では、個人、家
庭、地域社会と順に経験しながら、ゆっくりと時間をかけてその関係を理解していくことができるのに
対し、情報ネットワークでは、端末を利用したコミュニケーションを開始するとすぐに、見えない人と
のつながりや社会との接点が同時に生じる部分が異なる。従って、情報端末を利用するにあたって、危
険回避を行うための具体的な教育が必要な一方、情報化社会の特性やネットワークの理解を深め、自分
自身で正しく活用するために的確な判断ができる力を身につけることが必要である。
(文部科学省:「教育の情報化に関する手引き」
(現状における課題)
大人の知らないところでの
新しいメディアの特性の
コミュニケーション・・・
理解不足・・・・
生徒の行動が把握
できない・・・
適切な指導が困難
生徒が自身で判断して行動できる力と態度が必要
情報モラル教育の必要性
- 55 -
2010)
- 56 -
- 57 -
- 58 -
【参考資料】
文部科学省(2010) 『高等学校学習指導要領解説
情報編』
開隆堂出版株式会社
文部科学省(2010) 『教育の情報化に関する手引き』
文部科学省(2013) 『言語活動の充実に関する指導事例集』
~思考力、判断力、表現力の育成に向けて~
国立教育政策研究所(2012)
教育課程研究センター『評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料』
(高等学校 共通教科 「情報」
)
~新学習指導要領を踏まえた生徒一人一人の学習内容の確実な定着に向けて~
【参考 URL 等】
・情報処理推進機構
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz2/list.html
(教育用画像素材集)
・特許電子図書館
http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl
・IPP 国際特許事務所 http://www.ippjp.com/
・知的財産_授業
https://sites.google.com/site/eduinpro/home
・ゲーム作りから見る著作権
http://www.c-place.ne.jp/g-copyright/index.html
【フェイクソフトの紹介】
コンピュータウイルス疑似体験ソフト
「ジョークソフト」で検索すると、Free のものが多く存在しています。その中から最適なものを選択し
てください。ただし、利用に関しては自己責任でお願いします。
・
【使用フリーソフトウェア名 】 J_happy birthday
共通教科情報科の授業実践・指導事例集
~情報活用能力を確実に身につけさせる教育の実現を目指して~
【作成協力者】
(実践授業に取り組まれた先生方)
秋吉 祐樹
大分県立杵築高等学校
情報科教諭
木部 武志
大分県立宇佐高等学校
情報科教諭
佐藤 奈緒美 大分県立中津北高等学校
情報科教諭
利光 宏隆
大分県立大分西高等学校
情報科教諭
畑野 新司
大分県立別府青山高等学校 情報科教諭
(五十音順)
(外部協力者)
公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所
江原 裕幸 事務局長
渡辺 律子 副所長(兼大分県教育庁教育財務課情報教育推進班 教育情報化ファシリテータ)
大分県教育委員会においては、次の者が本書の編集にあたった。
大分県教育庁教育財務課情報化推進班
濱崎 貴弘 指導主事
大分県教育庁高校教育課産業教育指導班
小池 楠男 指導主事兼主幹
森
浩三 指導主事