ペットボトルロケットとは? - 東北大学 流体科学研究所

基礎ゼミ
基礎ゼミ
成績評価の基準
ロケットを作ってとばしてみよう
講師
・ 出席を重視する
東北大学 流体科学研究所
圓山 重直 教授
小宮 敦樹 准教授
・ レポートの提出
・ 飛行試験成績
(最高距離賞、ニアピン賞、独創賞)
[email protected]
[email protected]
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/~maru/
1
東北大学
2
圓山重直
基礎ゼミ
東北大学
基礎ゼミ
圓山重直
ハンググライダー(1974)
概要
ぺットボトルロケットの飛行距離制御を通し
て物理の基本法則や流体力学を学び自分
たちの独創性を織り込んで問題解決に取り
組む
3
東北大学
4
圓山重直
基礎ゼミ
東北大学
圓山重直
基礎ゼミ
ペットボトルロケットとは?
この基礎ゼミの目的
圧縮空気
ペットボトルロケットの飛行距離の計算を通して
流体力学についての知識を深める
圧縮空気により
水が噴出
具体的には?
・ ペットボトルロケットの解析モデル構築
・ 飛行距離の数値計算
・ 実験による検証
5
東北大学
圓山重直
6
東北大学
圓山重直
1
ペットボトルの物理
ペットボトルの物理
Y軸
Y軸
ロケットに働く力(水噴射時)
ロケットに働く力(慣性飛行)
推力 F
推力 F=0
X軸からロケットがθ傾いているとすると・・・
X軸からロケットがθ傾いているとすると・・・
X軸方向について
X軸方向について
Fx  F cos  N cos
θ
Fx   N cos 
θ
Y軸方向について
Y軸方向について
Fy  F sin   N sin   G
空気抵抗力 N
Fy   N sin   G
重力 G
空気抵抗力 N
重力 G
G : 重力
X軸
X軸
7
東北大学
8
圓山重直
東北大学
物体の運動法則
圓山重直
物体の2次元運動
x方向の運動方程式
Newton’s First Law of Motion
A body acted on by no net force moves with constant
velocity and zero acceleration
Newton’s Second Law of Motion
If a net external force acts on a boy, the body accelerates.
The direction of acceleration is the same as the direction
of the net force. The net force vector is equal to the mass
of the body times the acceleration of the body.


F  ma

a : 加速度 [ m/s 2 ]
d2x F
Fx  max または 2  x
m
dt
y方向の運動方程式
d 2 y Fy
Fy  may または 2 
m
dt
Newton’s Third Law of Motion
If body A exert a force on body B (n “action”), then
body B exerts a force on body A (a “reaction”). These
two forces have the same magnitude but are opposite in
direction. These two forces act on different bodies.
ただし、 それぞれの変数は時間によって変化する
9
東北大学
10
圓山重直
東北大学
ロケットに働く力
反作用による推力
水の噴射による推力
Y軸
Y軸
重力と抗力
重力Gについて・・・
G (t )  M W (t )  M r g
推力Fについて・・・
推力 F
ボトル内の圧力P0(t)が大気圧Paより大き
いのでその圧力差で水か加速される
g
:重力加速度
Mw(t) :水の質量
Mr
:ロケット本体の質量
P0
(t)
空気抵抗力Nについて・・・
 vw
F (t )  m

kg/s
m : 質量速度 N (t )  C D Av 2 / 2
空気抵抗力 N
圓山重直
重力 G
X軸
CD
v(t)
A
ρ
: 空気の抵抗係数
: ロケットの速度
: ペットボトル本体の断面積
: 空気の密度
vw : 水の噴射速度[m/s]
X軸
11
東北大学
圓山重直
12
東北大学
圓山重直
2
流れの基礎方程式
流れの基礎方程式
エネルギー保存の式:
流れが単位質量当たりに保有するエネルギーは熱
エネルギー(エンタルピー)、運動エネルギー、位置
エネルギーの和であり、その総和は変化しない。
質量保存の式:
流路を流れる流体の質量は変化しないので
質量流量はどの断面でも等しい
2
( p1  v1 / 2  gz1 )  ein  eout  ploss
  vA  1v1 A1   2 v2 A2
m
2
 ( p2  v2 / 2  gz 2 )
 : 質量流量[kg/s]
m
p : 圧力[N/m 2 ]
 : 流体の密度[kg/m 3 ]
z : 位置[m]
v : 流体の速度[m/s]
g : 重力加速度[m/s 2 ]
A : 流路の断面積[m 2 ]
e : 流体のエネルギー[J/kg]
ploss : 抵抗による圧力損失[N/m 2 ]
13
東北大学
14
圓山重直
流れの基礎方程式
東北大学
圓山重直
東北大学
圓山重直
東北大学
圓山重直
境界層
ベルヌーイの式:
密度の変化がなく外部とのエネルギーの出入りや流体の抵
抗による損失がないとき下記のベルヌーイの式が成り立つ
流体が壁面に沿って流れるとき、流体は
粘性のために壁面に付着しており、壁面
近くに流速が急変する薄い層が生じる。こ
れを速度境界層という。
p  v 2 / 2  gz  一定
境界層外の流れは主流と呼ばれ、粘性の
影響を無視することが出来ることが多い。
p : 静圧[N/m 2 ],[Pa]
v
2
2
速度境界層には層流境界層と乱流境界層
がある。
: 動圧[N/m 2 ],[Pa]
ピトー管による流速測定
15
東北大学
16
圓山重直
層流と乱流
層流と乱流
オズボーン・レイノルズ
1842-1912
流れが層流か乱流かはレイノルズ数
(Raynolds number) で決まる。

(代表速度)
(代表長さ) u L
Re 

[ ]
流体の動粘度

u : 流体の主流速度 [m/s]
L : 物体の代表長さ[m]
 : 流体の動粘度 [m/s 2 ]
17
東北大学
圓山重直
18
3
境界層の剥離と物体周りの流れ
境界層の剥離と物体周りの流れ
円柱周りの流れのCFD可視化動画
桑原邦夫 流れのフィジックス TOTO Vision
19
東北大学
圓山重直
 Visualize the effect of a tripping
wire to the flow
1.5 m
Test piece
1.4 m
 Measure temp distribution
 Estimate velocity distribution
 Comparison with analytical data
Wind tunnel
準コモンパス大型Mach-Zehnder干渉計
風洞と準コモンパス干渉計
✘ 空気の擾乱
✘ 風洞への適用
20
圓山重直
No.21
位相シフト干渉計
✘ 測定領域が小さい
東北大学
✓ 影響の軽減
準コモンバス
凹面鏡
三次元光路
✓測定領域 200 mm
✓強制対流場
22
No.23
実験装置
No.24
実験結果
250 mm
Optical path
実験条件
Optical path
Tripping-wire (d0 = 0.74 mm)
トリッピングワイヤ径: 0.74 mm
主流速度: 1 – 20 m/s
約8 m/sで境界層の乱流遷移
表面温度均一性の確認
実験条件
温度差: 10℃
トリッピングワイヤ径: 0.52 mm, 0.74 mm, 0.91 mm
主流速度: 1 – 20 m/s (Red: 3.3×103 – 6.6×104)
Biot number: 1.8×10-3 – 7.7×10-3
円柱周りの境界層は層流
表面温度の均一性
10 mm
トリッピングワイヤを有する円柱周りの温度境界層
4
No.25
実験結果
No.26
[8] M.M.Zdravkovich, “Flow around a circular cylinders”
実験条件
測定領域: 100 mm×100 mm
主流速度: 10 m/s (Red = 3.3×104)
エッジの影響は無視
円柱周りは二次元流れを仮定 [8]
100 mm
100 mm
d0 = 0.52 mm
剥離点: 80°
影響なし
滑面円柱
剥離点: 80°
d0 = 0.74 mm
剥離点: 円柱後方
境界層の乱流遷移
d0 = 0.91 mm
剥離点: 60°
ワイヤ位置で剥離
26
東北大学
Flow visualization around a car model
No.27
No.28
Flow visualization around a airplane model
Wind velocity : 10 m/s
Temperature of airplane model
70℃~150℃
Wind velocity : 0 - 20 m/s
Temperature difference : 100 K
Initial temperature distribution
70 mm
6 mm
圓山重直
200 mm
Initial fringe
2015/4/21
M1 Nakaoku Ryota
The seminar of Maruyama・Okajima/Komiya/Iga Lab
No.29
2015/4/21
M1 Nakaoku Ryota
The seminar of Maruyama・Okajima/Komiya/Iga Lab
境界層の剥離と物体周りの流れ
翼形の流れと剥離失速
29
2015/4/21
The seminar of Maruyama・Okajima/Komiya/Iga Lab
東北大学 M1 Nakaoku
圓山重直
Ryota
翼形の流れと剥離失速
30
東北大学
圓山重直
5
境界層の剥離と物体周りの流れ
種々の物体の抵抗
抵抗係数:
CD 
(抵抗)
(基準面積)
(流体の動圧)

D
[
]


u 2
A
2
u : 流体の主流速度 [m/s]
A : 物体基準面積 [m 2 ]
D : 抵抗 [N]
翼形の流れと剥離失速
31
東北大学
32
圓山重直
自動車の空気抵抗
東北大学
圓山重直
東北大学
圓山重直
東北大学
圓山重直
自動車の空気抵抗
基準面積は車
の前面投影面
積を使う
速度が大きくな
ると空気抵抗
が重要になる
33
東北大学
34
圓山重直
鈍頭物体の流体抵抗
境界層の剥離と物体周りの流れ
35
東北大学
圓山重直
36
6
種々の物体の抵抗
種々の物体の抵抗
 Re
uL

37
東北大学
38
圓山重直
風洞実験による空気抵抗の測定
東北大学
圓山重直
東北大学
圓山重直
東北大学
圓山重直
風洞実験による空気抵抗の測定
ライト兄弟の
初飛行(1903)
39
東北大学
40
圓山重直
風洞実験による空気抵抗の測定
風洞実験による空気抵抗の測定
低乱熱伝達風洞
41
東北大学
圓山重直
42
7
風洞実験による空気抵抗の測定
検定風洞における実験例(野球ボール周りの流れ)
Auto-Rotating機能:
境界層はく離が左右非対称に発生し、後流が一方に
偏ることによって回転モーメントが発生する現象
43
東北大学
圓山重直
熱力学第1法則
~空気による推力~(もっと高精度な推定)
本物のロケットエンジンの性能計算
Y軸
推力 F
水が無くなったときの推力Fについて・・・
圧縮空気の噴出による推力Fa
水がすべて無くなったときにボトル内の
圧力P0(t)が大気圧Paより大きいので
P0
(t)
P1(t)
Pa
圧力差による推力発生!
X軸
45
46
熱力学
ロケットの性能推定
熱力学第1法則
例題 3.2
0
0
0
ペットボトルロケットの飛行軌跡性能計算(圧力の影響)
2
2


(w  w1 )
m ( h2  h1 )  2
 g ( z2  z1 )   Q12  L12 (W)
2


25
(3.37)
20
高度(m)
w 2  2c p (T1  T2 )  w
2
1
 1 /( p1 A1 )
w1  m v1 / A1  mRT
T2  T1 ( p2 / p1 )( 1) / 
w2  2
圓山重直
c p   R /(  1)
15
10
5
0
p
R
T1[1  ( 2 )( 1) /  ]  w12
p1
(1   )
0
20
40
60
飛行距離(m)
80
48
47
熱力学
圓山重直
100
熱力学
圓山重直
8
ロケットの性能推定
ペットボトルロケット
ペットボトルロケットの性能計算
90
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
80
飛 行 距 離 (m )
70
60
50
40
30
20
10
0
0
20
40
60
角度(°)
80
100
0
0.2
0.4
水の量(ℓ)
0.6
0.8
ペットボトルロケットの発射
49
熱力学
50
圓山重直
ペットボトルロケット設計の課題
東北大学
圓山重直
もっと調べたい学生へ
•どの様にロケットの推力をモデル化して計算するか
参考書
•ロケットの飛行性能をエクセル(パソコンのプログラム)
を使って数値計算をするためにはどの様なパラメータ
を調べなければならないか
日本機械学会編 JSMEテキストシリーズ 流体力学 (丸善)
日本機械学会編 JSMEテキストシリーズ 熱力学 (丸善)
•流体力学的によく飛ぶロケットはどの様に作ったらよ
いか
•ロケットの空気圧が一定の状態で最良のロケット本体
質量、水の量、発射角を推定する
•より精密な性能予測と最適設計をするために、自分た
ちで調べた新しいアイデアを導入する
51
東北大学
圓山重直
52
東北大学
圓山重直
9