Page 1 Page 2 Page 3 Page 4 の正規分布を示し (図4), 同様に4』ぬ~5

日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要
Vo1.28
(1993)
PP.91−98
雲仙火山1991年噴出物中にみられたvesiculartuff
新川和範1)・遠藤邦彦1)・大野希一一)・宮原智哉1)
Vesicular
Kazunori
tuff
in
ash−fall
deposits
Shinkawa1),Kunihiko
Dθ4ゴoα孟84
孟o
Vesicular
lapilli
in
and
Layers
15th.
of
There
tuff.The
tuff
tuff
flows
June8th
around
was
a
were
Shimabara
layer
of
孟h召
of
η3θ刀zory
OctQber
observed
in
31,
ash
Ohno1)and
qヂFμたμ孟αro
deposits
These
two
associated
formed
of
accretionary
the
vesicular
for
forming
the
main
pyro−
accretionary
on
tuff
the
June8th
lapilli
were
eruption
between
sphericahn
could
those
shape
and
still
of
be
upper
the
observed
and
vesicles
lower
of
upper
on
June
vesicular
vesicular
shaped.
accretionary
to
with
produced
city.
lapilli
January,1992,however,a
water
Miyahara1)
Hoガ
eruptions
erupted
layer
of
on
September15th
vesicular
tuff
was
were
yield
vesicular
of32wt%of
tuff
structures
water
from
content,From
a
layer
of
the
observed
found
accretionary lapilli were observed on Septelnber16th,
In the experiment using dried accretionary lapilh,vesicular
adding
Tomoya
eruption
1992)
fall
September15th,199L
lapilli
lower
irregulary
were
and
accretionary
vesicles
Layers
On24th
structures
of
the1991Unzen−Fugendake
Endo1〉,Marekazu
(Received
clastic
of
at
tuff
on
the
structures
result,additional
accretionary
lapilli
in
September16th.
same
horizon
were
water
the
where
fo㎜ed
is
Unzen
by
necessary
case,since
general water content in accretionary lapilli of the emption is only8to16wt%。
We conclude that the vesicular tuff structure of the lower layer was formed phmarily at the
time
the
of
deposition
upper
layer
of
fomed
mud
rain
secondahly
or
by
wet
accretionary
rainfall
after
lapil1L
the
However,vesicular
tuff
structures
点ではvesicular
tuffとして確認された。本論ではこれ
1.はじめに
らの観察や簡易的な実験に基づいてvesicular
雲仙普賢岳噴火は1991年5月20日以来,溶岩ドーム
成条件について検討する。
の崩落に伴う火砕流の発生と火山灰の降下を繰り返し
2.Vesicular
ている。そのうち1991年6月3日,6月8日及び9月
Vesicular
15日には,雲仙普賢岳山頂の溶岩ドームの大規模な崩
of
deposition,
tuffの生
tuffの定義とその成因
tuff(
泡入火山灰
)は,Fisher
and
落に伴い,比較的規模の大きい火砕流が発生した.こ
Schmincke(1984)によれば,「不定形〜球形の泡を持っ
の火砕流に伴い,多量の火山灰が島原市や深江町を中
た火山灰層」と定義されるものである・
心に降下・堆積した.6月8日,9月15日の火山灰が
Vesiculartuffの生成過程についてはあまりわかって
おらず,またその過程を検証した例も少ないが,その
うちLorenz(1974)はいくつかの観察事実から唯一ベー
泥雨ないし火山豆石の形状で降下・堆積したことは,
市民の証言や宮原ほか(1992)の調査で明らかである。
しかしその後の調査ではorigina1な火山灰層中に火山豆
スサージ堆積物に存在するとしている・しかしFisher
石はわずか数地点でのみ確認されたに過ぎず,他の地
and
Schmincke(1984)は,vesicular
1)Department
1)日本大学文理学部応用地学教室1
〒156世田谷区桜上水3−25−40
of
Earth
Sciences,Nihon
tuff堆積時には水
University:3−25−
40Sakurarjousui,Setagaya−ku,Tokyo156,Japan.
91一
(67)
新川和範・遠藤邦彦・大野希
もしくは水蒸気に富んでいたという特徴から,大方マ
グマ水蒸気爆発で生成されるとしながらも,1ahar堆積
、八置
「る
ノ\
物やmud−now堆積物,泥雨として降下した火山灰層に
も存在すると述べている。またCas
and
・宮原智哉
W鯨ht(1987)
、1
も,火山灰が水で飽和され,取り込まれた空気や水蒸
気が逃げられない状態にあればvesiculartuffは生成さ
れ得ると述べ,base−surge堆積物だけでなく
ず
編{.,.
phre−
atomagmaticな降下火山灰層にもみられると述べている。
Rosi(1992)も同様にphreatomagmaticな噴火の噴煙から
もたらされる火山灰が堆積してできるというモデルを
へ\
6
》
ロP. し
,
ド
l
コ
ハマ
、ピヤ,r,■,
1、
ρへ〉
・
■圃
たてている。
以上のようにいままでvesiculartuffの生成は噴火現
象と結びつけて考えられてきた.したがってvesicular
tuffは噴火の過程に伴う,1次的な堆積物と解釈されて
いる。しかし,今回確認されたvesicular
tuffは以下の
灘…響:翁、、
根拠から堆積後にも生成され得る,言い替えれば2次
的にも生成され得ることを述べる.
3・1991年6月8日に降下・堆積した火山灰の調
査結果
i緩籠ヨー一㎞
6月8日の火山灰の降灰調査を6月15〜17日に行っ
た(写真1)。その際に得られた等層厚線図を図1に示
図1
す。調査地点(40地点)のうちvesiculartuff(7地点)
1991年6月8日の降下火山灰の等層厚線図(宮原
ほか,1991)。記号は火山豆石(回)とvesicular
tuff(■)が確認された地点を示す。また横線は
や火山豆石(3地点)は,ほぼ分布軸上の火山灰層中
火砕流分布域を示す。単位はmm.
Fig.1 Isopach map of ash fall deposits accompanied
w重th the June8th pyr㏄lastic flows(modified after
Miyahara
of
the
too・
where
et
al.,1992).The
pyr㏄last孟c
flows
Unit:minimeters.
accretionaly
is
distribution
shown
Symbols
lapiIli
or
l
ln
this
main
vesicular
area
map
sltes
tuff
were
・bse四ed(回=sites・faccreti・narylapilli,■:
sites
of
vesicular
tuff〉,
にみられた。なかでも火山豆石はvesiculartuffに比ぺ,
より厚く堆積した地域の火山灰層中に存在する傾向が
みられる。
火山豆石が観察できる地域で火山灰層の垂直断面を
みると,上位より上部vesicular
下部vesicular
tuff層,火山豆石層,
tuffの3層が確認できた(写真4)。上部
のveslculartuff中の泡は長径1.5㎜〜2mmで不定形
であり,また下部の泡は約1mmで球形であった。上部,
下部とも泡の粒径と分布には関係がみられないこと,
ほとんどの調査地点で泡の特徴で対比が可能なことは
写真1
1991年6月8日に降下・堆積した火山灰にみら
れたvesiculartuff(6月16目撮影,スケールは
5cm)。
Photo
l
Vesicular
deposits
tuff
covehng
structure
road
in
of
June
Shimabara
8th
ash
下位のvesiculartuffは泥雨のような火山灰の降灰後
火山豆石が降下したという証言より考えると,Fisher
fall
and
city(Bar:
5cm).
(68)
泡が生成後大きく移動していないことを示す。
Schmincke(1984)やCas
and
Wdght(1987)のい
うように泥雨時に1次的に生成されたと解釈できる。
92
雲仙火山1991年噴出物中にみられたvesicular
しかし火山豆石の上位に存在する上部のvesicular
tuffは以上の解釈では説明できない。したがって2次的
なvesicular
tuff
で,1992年1月24日に再び調査を行ったところ,9月
15日のohgina1な火山灰層が確認できたが,それらを構
成してるのは火山豆石ではなく,ほぼ球形の泡からな
tuffの生成過程を考える必要がある。
るvesicular
tuffであった(写真3,5)。
4.1991年9月15日に降下・堆積した火山灰の調
査結果
が2次的にvesicular
9月15日の火山灰の降下・堆積の際の観察は3.で述
あり,6月8日の上部にvesicular
べた6月8日の火山灰層上部のvesicular
9月16日及び1月24日の観察結果は火山豆石の構造
tuffの生成を
解釈する上で重要である。
tuffが存在するのは
上記と同様,構造の変化があったためと考えられる・
5.
この日も6月8日同様,泥雨のような火山灰が降下
後,火山豆石の降下に変化した。9月16日の降灰調査
tuffに変化したことを示すもので
6月8日及び9月15日の火山灰の粒度につい
て
山豆石の存在しているのが観察できた(写真2)。その
6月8日及び9月15日の火山灰の粒度組成を,4φよ
り大きいものは乾式ふるい,4φ以下のものは島津遠心
際得られた単位面積あたりの等重量線図を図2に示す。
沈降式粒度分布測定装置(島津製作所製)を用いて粒
9月15日以降ほとんど降灰がみられなかった深江町
度分析を行った。また粒度組成の解析には渡辺満久氏
(45地点)では,多数地点(24地点)で火山灰層中に火
作成の粒度分析プログラムGRAIN−PCを使用した。
その結果を図3及び4に示す。
6月8日のvesicular tuffを構成する火山灰は0φ〜9
φ(mean4。79φ)で正規分布を示す.中でも4。5φ〜
5φが卓越し,全体の約20%を占めている(図3)。ま
た9月15日の火山豆石も,一〇。5φ〜9φ(mean5.11φ)
o
<
!
写真2
1991年9月15日に降下・堆積した火山豆石(ス
Photo2
Accretionary lapilll assosiated with Septem・
ber15th pyr㏄lastic flows covering paved road
γ
一
瀦,
ケーノレは10cm)。
in
Shimabara
clty,bar
l
lO
圃
・■
」9」Q.5
■
繊徽σ
cm.
警
鱗.
,
、
ロ
『
−
−
謄
ロ
ド
写真3
Vesicular
Photo3
Vesiculartuffstructureinashfalldeposits
図2
tuff(1991年9月15日の火山灰層中に
は2cm)。
assosiated
with
September15th
1991年9月15日の降下火山灰の単位面積あた
りの等重量線図(kg/m2)(宮原ほか,1991)。
みられたもの。1992年1月24日撮影。スケール
記号は図1と同じ。
Fig.2
1sopleth
with
pyr㏄lastic
the
map
of
ash
fall
September15th
deposits
associated
pyr㏄1astic
flows
(modified after Miyahara et aL,1992).Sym・
bols are same as in Fig.1.
flows covering paved road in Fukae town.
Photo taken on24th Janua!y,1992.bar:2cm,
93
(69)
新川和範・遠藤邦彦・大野希一・宮原智哉
の正規分布を示し(図4),同様に4,5φ〜5φの粒径が
さらに9月15日の火山灰層中にみられるvesicular
のS
EM像観察を行うと,vesicular
tuff
90
tuffの泡の内壁は
80
全体的に0.02〜0.3mmの火山灰粒子で構成されている。
さらに泡の内壁表面を拡大してみると,比較的散在す
る0,02〜0,3mmの粒子の間を0.00!〜0,007mmの粒子
70
60
が埋めているのが観察された(写真6,7,8)。Fisher
50
and
40
Schmincke(1984)でも同様に泡の内壁の特徴とし
てclayもしくはsiltでcoatingされていることをあげて
おり,以上の観察と一致する。
6.Vesicular
4.でvesicular
30
2α
10
tuffに関する簡易的実験
0
tuffは1次的に生成されるだけでなく
一10123456789
2次的にも生成されること,その1例として火山豆石か
らvesicular
weight(%》
100
卓越し(約20%),両者は大変よく類似している。
verticalexaggeration=2
tuffへの変化があげられることを示した。
この章では実験を通じて火山灰層中の含水率について
検討する。
図4
Fig.4
9月15目の火山灰の粒度組成。
Histogram
of
grain
size
distribution
of
ash fall deposits associated with
Sepetember15th pyroclastic flow.
①火山豆石が形状を維持できる含水率について
まず火山豆石自体が形状を維持できる含水率を実験
より求めた。その結果は次の通りである。
が浸透し全ての火山豆石が形状を失い,vesicular
(1)採取した複数の火山豆石を乾燥器にて110℃下で24時
間以上乾燥させても形状に変化はみられなかった。
(2)乾燥させた火山豆石層に上部から水を加えると,あ
tuff
が形成された.その時の含水率を求めると平均32%で
あった。
今回の噴火で球形を呈する火山豆石の含水率が8〜
る水量に達っした時,突然上部の火山豆石から形状
16%であったことと合わせれば(大野ほか1992),球
を失い始めた。さらに水を加え続けると下部にも水
形の火山豆石では1次的にvesicular
tuffは生成され得
ないこと,2次的生成過程の1例として火山豆石が降
100
下堆積後,降雨によって形状を失いvesicular
weight(%)
tuffが生
成され得ることがわかる。
goト
1
80r一甲
!
②2次的生成過程で必要とされる含水率
/
次に9月15日の火山豆石の形状を失った火山灰を乾
燥させた後,含水率が8〜16%になるよう水を加え振
動を与えた結果』天然の火山豆石と同様の粒径・形状
lll』
を持つ火山豆石が実験的に作成できる(写真9)。これ
らは周辺部が細粒であることや明確な同心円状の構造
がないことで類似している。
実験で作成した火山豆石に水を加えていくと,天然
の火山豆石層に水を加えた時と同様,形状を失いvesi−
111☆
culartuffが生成されるが,そのときの含水率は層厚の
一麺
変化にかかわらず,平均31%であった。これは,天然
一10123456789
の火山豆石が形状を失う含水率とほぼ一致する。
verticalexaggeration=2
図3
Fig3
雲仙測候所の降水量データを見ると,6月8日の火
山豆石の降下・堆積から調査前日の6月14日までの間,
6月8日の火山灰の粒度組成。
Histogram
of
grain
size
distribution
ash fall deposits associated
8th pyroclastic flow,
with
of
10日,13日には1日を通じて降雨が観察されており,
うち10日の日合計降雨量は51.5mmであった.降水量
June
と実験結果を考慮すれば,すべての地域で火山豆石が
(70)
94
*
./ j(VJ199l p :dll l ]fC btUf‑* vesicular tuff
̲ J
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a)
t
) vesicular tuff
)
' rp 3}c
:) LLI
;i ).
Photo 4 photo showing a cross section of ash‑fa]1 deposits assosiated with the June 8th flow, 1991' Irregular and
spherical shaped vesicles are found in upper and lower part of the vesicular tuff, whereas accretionary lapi‑
lli rernain at the middle part as shown in the coiumnar section'
,e ,i
': e':;
e ; ,,
e "e'
'e "e o e'
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c
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: ; 5
Photo 5
Vesicukar tuff a)
; :
: i (1991 P 9
J 15
q)) VJL :
IC
b Lt‑.
q)).
A cross section of vesicular tuff in ash fall deposits. assosiated with September 15th pyroclastic flows
10rrrn
Omm
新川和範・遠藤邦彦・大野希一・宮原智哉
写真6
Vesicular tuff中にみられる泡のS EM像。
(9月15日の火山灰層中にみられたものスケールは0,5
mm)。
Photo6
SEM image of vesicular tuff in ash fa11deposits
ass㏄iated with September15th pyr㏄1astic nows.
Bar:0.5mm.
写真7
欝露
Vesiculartuff中にみられる泡のSEM
像。
鍵
(9月15目の火山灰層中にみられたもの
スケールは0.1mm)。
Photo7
SEM image of vesicular tuff in ash
fall deposits ass㏄iated with Septem−
ber15thpyr㏄lasticnows.Bar=0.1㎜.
凝
写真8
泡壁のS
EM像。泡壁に細粒子が集中しているの
がわかる(9月15日のもの,スケールは0.01mm)。
Photo8
SEM
image
in
ash
of
fall
September15th
(72)
96
surface
vesicles,vesicular
tuff
deposits
of
associated
the
pyroclastic
flows.Bar
with
l
O,01mm
雲仙火山1991年噴出物中にみられたvesi㎝1ar
形状を失いvesicular
tu∬が生成されるはずである。
しかし一部地域で火山豆石が残存しており,このこ
とは水の流出率の1㏄alな変化,難透水層の存在などが
考えられ今後検討する必要があるが,含水率と降水量
tuff
8.その他に考えられる2次的生成過程
乾燥させた火山豆石のように形状を持たない火山灰
(間隙比約0.33)に水を加えると,同様にvesiculartuff
との関係から,十分な水分が火山灰層中に供給された
ができる。このことは雲仙火山の火山灰の場合,火山
所では,大方6月15日以前にvesicular
豆石を形成しない降下火山灰でもvesicular
tuffになってい
たと考えてよいだろう。
tuffが生成
され得ることを示唆している。
7. 1次的に生成されたvesicular tuffの泡と2
次的に生成されたvesiculartuffの泡との形状
の違い
以上のことから,vesicular
tuffの生成には2つの生
成過程があると考えられたが,そのことは泡の形状の
違いにも影響を及ぼしている.
また,6月8目の火山灰層で地点によってはorigin且1
な火山灰層の上位に再堆積した火山灰層がのる場合が
あるが,その火山灰層中にもves呈culartuffが存在する
のが確認された。
9.結論と今後の課題
Vesicular
tuffはV、ままでCas
and
Whght(1987)ら
①泥雨のような状態の火山灰により1次的にvesicular
がいうように,base−surge,wet
tuffが生成された場合
など堆積時に形成される1次的な堆積構造と考えられ,
ash−fa11,泥流堆積物
火山灰自体が降下・堆積時に特定の凝集形態・構造
その存在から逆に噴火様式が推定されてきた.
をもたないことや形状が保持できないことから,問隙
が②の場合に比べて小さく,問隙の空気は球状の泡に
の条件がそろえば1次,2次を問わずvesicular
なりやすい。
生成されることがわかった。したがって必ずしもその
②火山豆石が存在する火山灰層が堆積後の降雨によっ
存在が噴火様式を限定するものではないが,マグマ水
蒸気爆発によるbase−surge堆積物などはこの2つの因
て2次的に生成された場合
泡の形は火山豆石として堆積していた状態の間隙に
左右され不定形になりやすい。ただし,降雨によって
含水率平均32%をはるかに上回る水が複数回供給され
るような揚合,不定形の泡を球形に変える過程が進行
しかし
細粒な火山灰
と
十分な水
という2つ
tuffは
子を同時に満たすことができるものであり,その堆積
物一般にこの構造が観察できるのもうなずける.
今後はvesicular
tuffがどのような粒度組成の条件下
で形成されるのか実験を行い,検討を重ねる必要があ
し,球形だが①よりも大きな粒径をもつ泡が形成され
る。なぜなら泥雨や雲仙噴火でみられたような火山豆
ると考えられる。事実,1992年1月24日に採取した9
石は,降下・堆積した当時の形状を長期間保持するの
月15日のvesicular
tuff試料は,2次的にも関わらず泡
は球形であった。
写真9
Photo
は困難であること,加えて堆積当初から火山豆石とし
てあるいは凝集粒子として形成された火山灰層は侵食
火山豆石の薄片写真(左側が実験的に作成
したもの。スケールは0.5mm)
g
Thin
section
of
accretionary
lapiUi.
Left= art迅cial accredonary lapilli.
Right= mtura1 accreti・na・ylapilli.
Bar:0.5mm.
97
(73)
新川和範・遠藤邦彦・大野希一・宮原智哉
されやすいことから,地層として極めて残りにくい堆
積物であろう。それに対してvesicular tuffは,9月15
日の噴出物が翌年の1月24日でも侵食の影響がほとん
ど確認されなかったことからも,一般的に火山灰層中
にみられるvesicular
tuffは地層として残りやすい堆積
引用文献
Cas,R.A.and
Whght
J.V.(1987〉
「VOLCANIC
SUCCESSIONS」,ALLEN&UNWIN,528p.
遠藤邦彦・陶野郁雄・宮原智哉・千葉達朗・小森次郎(1992)
雲仙普賢岳噴火の経緯と噴出物の特徴,土質工学研究発
物であることがわかる。
したがってvesiculartuffの泡の形状♪大きさ・分布
から成因を限定できれば,噴火現象を知る上で大変重
表会発表講演集。
Fisher
R.V.and
Schmincke
H.V.(1984)「Pyroclastic
R㏄ks」,Spdnger_Verlag,472p,
要なデータになるであろう。
Lorenz,V.(1974)Vesiculated
謝
Sedimentology21,472p,
宮原智哉・遠藤邦彦・陶野郁雄・千葉達朗・磯
辞
本論の一部は1992年の春季火山学会で発表したものであり,
tuffs
and
associated
features.
望・撰田克
哉・新川和範・安井真也・小森次郎・大野希一(1991)
その際琉球大学の加藤祐三教授や東京都立大学の井村隆介氏
1991年雲仙普賢岳噴火とその噴出物一第1報,日本大学
には有益なご討論を頂きました。アジア航測(株)の千葉達
文理学部自然科学研究所研究紀要,27,71−80,
朗氏,東京大学地震研究所の隅田まり博士,日本大学文理学
部応用地学教室の澤田晴朗助手には有益な助言を頂きました。
東洋大学の渡辺満久講師には粒度分析ソフトを頂きました。
日本大学文理学部応用地学教室学生の西川
正君,朝倉伸行
大野希一・遠藤邦彦・宮原智哉・陶野郁雄・磯望(1992)
雲仙普賢岳噴火における火山豆石の生成一1992年4月
1日及び7月14日の例一,火山学会講演要旨(秋季)。
Rosi,M.(1992)A
君,富田哲夫君には室内実験を手伝って頂きました。ここに
tuff
感謝いたします。
54,429−434.
また故堀福太郎教授には,生前様々な助言を頂きました。
当小文を捧げるとともに故人の冥福をお祈りいたします。
by
model
coalesence
of
for
98
formation
of
vesiculated
lapilli,BulL
Volcano,,
新川和範・宮原智哉・小森次郎・大野希一・遠藤邦彦・千葉
達朗(1992)雲仙普賢岳で生じたvesicular tuff,火山
学会講演要旨(春季)。
(74)
the
accretionary