「海外投資家アンケート調査」の概要について 平成 26 年 8 月 国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課 《調査方法等》 1.調査目的: 不動産への長期投資を主体に資金を運用している海外の機関投資家等を 対象にアンケートを行い、日本の不動産への投資意欲や、日本の不動産に投 資する(しない)理由、日本の不動産市場インフラに対する評価等、日本の 不動産市場に対する意識を調査するとともに、その意識を生む背景となって いる要因について考察する。 2.調査対象: 米国・EMEA(欧州、中東、アフリカ)・アジアに拠点を置く海外投資家(年金 基金、機関投資家等) 3.調査事項: ①投資地域の選択に際して重視する項目と、日本や海外の各地域の不動産 市場に対する評価 ②日本の不動産への投資状況 ③各地域の不動産投資市場に対する投資状況・投資方針 ④2020 年夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催決定、いわゆるア ベノミクス政策、消費増税の検討など、2013 年に生じた事柄と今後の不動 産投資行動への影響 4.調査方法: インターネット調査 5.調査期間:平成 25 年 11 月 1 日~平成 26 年 2 月 8 日(日本時間) 6.回収結果:総回答者 99 7.調査実施機関:シービーアールイー株式会社 【アンケート回答者の属性】 (1) 総回答者数:99 (2) 回答者の属性 ① 地域別内訳 回答者の本社所在地について、解答欄に記載があった 38 件について見ると、北米が 2 件(構 成比 5.3%)、欧州が 11 件(同 28.9%)、アジアが 24 件(同 63.2%)、オセアニアが 1 件(同 2.6%) であった。 オセアニア, 2.6% 北米, 5.3% 欧州, 28.9% アジア, 63.2% ② 国別内訳(n=38) 回答者の本社所在地を国別で見ると、日本が 11 件、以下、ドイツ(6 件) 、シンガポール(6 件) 、香港(4 件)の順となっている。 北米 0 2 米国 4 6 3 オランダ 2 アジア 日本 11 シンガポール 6 香港 4 中国 オセア ニア 12 6 英国 オーストラリア 10 2 ドイツ 欧州 8 3 1 ※日本については外資系金融機関の日本法人や日本本社の海外拠点(シンガポール等)が該当する ③業種別内訳(n=39) 回答者の所属業種について、解答欄に記載があった 39 件について見ると、 「不動産投資ファ ンド(15 件、38.5%) 」、 「不動産アセットマネジメント会社(6 件、15.4%)が 10%を超える構 成比となっている。 証券会社, 2.6% その他, 10.3% 投資銀行, 2.6% 年金基金, 2.6% 上場不動産投資信 託, 2.6% プライベートエク イティ, 5.1% 不動産投資ファンド, 38.5% 商業銀行, 5.1% デベロッパー, 7.7% 不動産アセットマネジ メント会社, 15.4% アセットマネジメ ント会社, 7.7% ④ 資金調達先別内訳(n=38) 回答者の資金調達先については、年金基金(28.9%) 、事業会社(21.1%) 、投資会社(13.2%) 、 個人(13.2%) 、自己資金(10.5%)が 10%を超えている。 政府系機関, その他, 7.9% 5.3% 年金基金, 28.9% 自己資金, 10.5% 個人, 13.2% 投資会社, 13.2% 事業会社, 21.1% ⑤ 業務属性別内訳(n=33) 回答者の業務属性は、ポートフォリオマネージャーが 30.3%と最も多く、以下、オーナー、 アクイジション、アセットマネージャーが 15.2%で並んでいる。 その他, マーケティン 12.1% グ, 3.0% ポートフォリオ マネージャー, 30.3% リサーチャー, 3.0% ファイナンス, 3.0% アナリスト, 3.0% アセットマネー ジャー, 15.2% オーナー, 15.2% アクイジション, 15.2% 【調査結果】 (1)投資地域の選択に際して重視する項目と日本や海外の各地域の不動産市場に対する評価 問 1:投資地域の選択に際して重視する項目と、日本や海外の各地域の不動産市場に対する現状評価 ①投資地域の選択に際して重視する項目 ¾ 『重要』の回答が 40%を超えるものとしては、以下の 9 項目があげられた。 ・不動産市場の規模(42.5%) ・不動産市場の成長性(56.5%) ・不動産市場の安定性(42.9%) ・不動産市場の流動性(53.6%) ・不動産市場における平均的な利回り(48.8%) ・不動産投資リスクの水準(49.4%) ・不動産投資関連情報の充実度(44.6%) ・不動産投資関連制度の安定性(57.1%) ・信頼できるパートナーの存在(47.0%) ¾ 他方、 『重要でない』 、『あまり重要でない』の回答が合算で 10%を超え、かつ、 『重要』 、『やや 重要』の合算が 60%以下の項目としては、「不動産投資市場における商品(不動産)の多様性」 があげられた。 0% 10% 20% 不動産市場の規模 (n= 87) 30% 40% 50% 42.5% 不動産市場の成長性 (n= 85) 60% 70% 28.7% 27.1% 42.9% 不動産市場の流動性 (n= 84) 31.0% 53.6% 不動産市場における商品(不動産)の多様性 (n= 84) 8.2% 9.5% 28.6% 29.8% 90% 16.1% 56.5% 不動産市場の安定性 (n= 84) 80% 4.8% 42.9% 14.3% 不動産市場における平均的な利回り (n= 84) 48.8% 不動産投資リスクの水準 (n= 83) 49.4% 税優遇等の不動産投資におけるインセインティブの充実度 (n= 83) 26.5% 不動産投資関連情報の充実度 (n= 83) 不動産投資関連情報の入手容易性(透明性) (n= 83) 不動産投資における資金調達の容易さ (n= 83) 34.9% 13.3% 38.6% 47.0% あまり重要でない 13.3% 43.4% 50.6% どちらでもない 13.3% 16.9% 36.1% 信頼できるパートナーの存在 (n= 83) やや重要 39.8% 30.1% 8.3% 25.3% 44.6% 不動産投資関連制度の安定性 (n= 83) 重要 32.1% 16.9% 32.5% 19.3% 重要でない 9.6% 24.1% 100% ②投資地域の選択に際して重視する項目と各地域に対する評価比較(DI) 不動産市場の規模 100 信頼できるパートナーの存在 不動産市場の成長性 80 60 40 不動産投資関連制度の安定性 不動産市場の安定性 20 0 -20 不動産投資における資金調達の 容易さ 不動産市場の流動性 -40 -60 不動産投資関連情報の入手容易 性(透明性) 不動産市場における商品(不動 産)の多様性 不動産市場における平均的な利回 り 不動産投資関連情報の充実度 税優遇等の不動産投資におけるイ ンセンティブの充実度 重視度 日本 北米 不動産投資リスクの水準 欧州 日本を除くアジア オセアニア DI={(「優れている」の割合+「やや優れている」の割合×0.5) -( 「やや劣っている」の割合×0.5)+「劣っている」の割合}×100 ③投資地域の選択に際して重視する項目と日本に対する評価比較(DI) ¾ ¾ ¾ ¾ 日本に対する評価が高かったのは、DI の順に「不動産市場の規模(45.9)」 、 「不動産投資関連制 度の安定性(41.5)」であった。 次いで、 「不動産投資リスクの水準(40.2)」 、 「不動産市場の流動性(39.9)」の順となっている。 一方で、DI が評価が低かったのは、 「税優遇等の不動産投資におけるインセンティブの充実度 (11.7)」 、「不動産市場における商品(不動産)の多様性(18.1) 」であった。 「不動産市場の成長性」については、重要度が 64.1 で最も高い一方で、日本は 20.2 となってお り、他地域と比較して最も厳しい評価がなされている。 不動産市場の規模 信頼できるパートナーの存在 100 不動産市場の成長性 80 60 不動産投資関連制度の安定性 40 不動産市場の安定性 20 0 不動産投資における資金調達の 容易さ -20 不動産市場の流動性 -40 -60 不動産投資関連情報の入手容易 性(透明性) 不動産市場における商品(不動 産)の多様性 不動産市場における平均的な利 回り 不動産投資関連情報の充実度 税優遇等の不動産投資におけるイ ンセンティブの充実度 不動産投資リスクの水準 重視度 日本 ④投資地域の選択に際して重視する項目と北米に対する評価比較(DI) ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ 北米に対する評価が高かったのは、DI の順に、 「不動産投資関連情報の入手容易性(透明性) (72.3)」 、「不動産市場の規模(71.2) 」であった。 次いで、「不動産投資関連情報の充実度(62.5)」 、「不動産市場の流動性(58.0) 」となっている (「その他を除く」) 。 上位の 3 項目は 60 を超える DI であり、日本と比較すると北米の評価は総じて高い。 評価が低い項目についても、 「税優遇等の不動産投資におけるインセンティブの充実度(北米: 23.6、日本:11.7) 」、 「不動産市場における平均的な利回り(北米:35.7、日本:27.1)」と格差 が見られる。 日本との比較では、全体として北米の評価が高く、 「不動産投資関連情報の入手容易性(透明性) 」 では 48.5 ポイント、 「不動産投資関連情報の充実度」では 36.0 ポイントの差が生じている。 不動産市場の規模 100 信頼できるパートナーの存在 不動産市場の成長性 80 60 40 不動産投資関連制度の安定性 不動産市場の安定性 20 0 -20 不動産投資における資金調達の 容易さ 不動産市場の流動性 -40 -60 不動産投資関連情報の入手容易 性(透明性) 不動産市場における商品(不動 産)の多様性 不動産市場における平均的な利 回り 不動産投資関連情報の充実度 税優遇等の不動産投資におけるイ ンセンティブの充実度 重視度 不動産投資リスクの水準 日本 北米 ⑤投資地域の選択に際して重視する項目と欧州に対する評価比較(DI) ¾ ¾ ¾ ¾ 欧州に対する評価が高かったのは、DI 同率で「不動産市場の規模(55.5)」 、 「不動産投資関連制 度の安定性(55.5)」であった。 次いで、「不動産投資関連情報の充実度(49.1)」 、「不動産投資関連情報の入手容易性(透明性) (49.1)」 、「不動産市場の安定性(46.4) 」となっている。 評価が低い項目としては、「税優遇等の不動産投資におけるインセンティブの充実度(25.9)」、 「不動産市場の成長性(27.3)」となっているが、両項目とも、日本の DI よりは高い。 日本との比較では、北米ほどの差は生じていないが、欧州の方がすべての項目において高い評価 がなされている。 不動産市場の規模 100 信頼できるパートナーの存在 不動産市場の成長性 80 60 40 不動産投資関連制度の安定性 不動産市場の安定性 20 0 -20 不動産投資における資金調達の 容易さ 不動産市場の流動性 -40 -60 不動産投資関連情報の入手容易 性(透明性) 不動産市場における商品(不動 産)の多様性 不動産市場における平均的な利 回り 不動産投資関連情報の充実度 税優遇等の不動産投資におけるイ ンセンティブの充実度 重視度 不動産投資リスクの水準 日本 欧州 ⑥投資地域の選択に際して重視する項目と日本を除くアジアに対する評価比較(DI) ¾ ¾ ¾ ¾ 日本を除くアジアに対する評価が高かったのは、DI の順に、 「不動産市場の成長性(61.7) 」、 「不 動産市場の流動性(41.7) 」であった。 次いで、同率で「不動産市場の規模(39.2)」、「不動産投資における資金調達の容易さ(39.2)」 が続くが、DI のポイント自体は高くない。 評価の低い項目は、 「不動産市場における商品(不動産)の多様性(12.5) 」、 「不動産投資関連情 報の入手容易性(透明性)(25.8)」となっている。 日本との比較では、 「不動産市場の成長性」では日本が大きく劣った反面、 「不動産投資関連制度 の安定性」では日本が優っており、マーケットの成熟度による違いが表れている。 不動産市場の規模 信頼できるパートナーの存在 100 不動産市場の成長性 80 60 40 不動産投資関連制度の安定性 不動産市場の安定性 20 0 -20 不動産投資における資金調達の 容易さ 不動産市場の流動性 -40 -60 不動産投資関連情報の入手容易 性(透明性) 不動産市場における商品(不動 産)の多様性 不動産市場における平均的な利 回り 不動産投資関連情報の充実度 税優遇等の不動産投資におけるイ ンセンティブの充実度 重視度 不動産投資リスクの水準 日本 日本を除くアジア ⑦投資地域の選択に際して重視する項目とオセアニアに対する評価比較(DI) ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ オセアニアに対する評価が高かったのは、DI の順に、 「不動産投資関連情報の充実度(47.1)」、 「不動産投資関連情報の入手容易性(透明性) (43.1) 」であった。 次いで、 「不動産投資関連制度の安定性(37.3)」、 「不動産投資における資金調達の容易さ(34.3)」 となっている。 評価の低い項目は、 「不動産市場の規模(14.7)」、 「不動産市場における商品(不動産)の多様性 (15.7)」となっている。 日本との比較では、 「不動産市場の規模」は日本が優り、 「不動産市場の成長性」はオセアニアが 優る違いが出ている。オセアニアについては、市場規模が限定的であり、それにも関連して投資 商品の多様性に乏しい点がネックといえる。 一方で、 「不動産投資関連情報の充実度」 、 「不動産投資関連情報の入手容易性(透明性) 」といっ た投資マーケットにおける情報整備面について、オセアニアが優る評価となっている。 不動産市場の規模 信頼できるパートナーの存在 100 不動産市場の成長性 80 60 40 不動産投資関連制度の安定性 不動産市場の安定性 20 0 -20 不動産投資における資金調達の 容易さ 不動産市場の流動性 -40 -60 不動産投資関連情報の入手容易 性(透明性) 不動産市場における商品(不動 産)の多様性 不動産市場における平均的な利 回り 不動産投資関連情報の充実度 税優遇等の不動産投資におけるイ ンセンティブの充実度 重視度 不動産投資リスクの水準 日本 オセアニア (2)日本の不動産への投資状況 ①日本の不動産への投資状況 問 2.日本の不動産への投資状況(n=96) ¾ ¾ ¾ 日本への不動産投資については、53.1%が「あり(現在も投資継続中) 」と回答している。 以前は投資していたが現在はしていない「あり(現在は投資していない)」は 9.4%で、回答者の 62.5%が日本への投資経験があるとしている。 一方、投資を検討するも実現には至っていない「なし(投資を検討したことがある)」も 15.6% みられている。 投資実績あり(現在も投 資継続中) 21.9% 投資実績あり(現在は投 資していない) 53.1% 15.6% 9.4% 投資実績なし(投資を検 討したことがある) 投資実績なし(投資を検 討したことがない) ②日本で不動産投資を始めた時期 問 3.日本で不動産投資を始めた時期(n=48) 日本で不動産投資を始めた時期については、 「2003 年以前」が 25.0%と最も多く、比較的長期に わたり日本での不動産投資を行っている投資家が多いことがわかる。 次いで多いのは「2008 年」の 16.7%、「2003 年」「2005 年」の 10.4%と続く。 2005~2008 年の累計は 41.7%であり、リーマン・ショック前の数年間に海外からの投資が加速 したことがうかがえる。 一方、2010 年以降は低位に留まっているが、2013 年からとする回答もみられる。 ¾ ¾ ¾ ¾ 2.1% 2.1% 2002年以前 4.2% 2003年 2.1% 2004年 6.3% 2005年 25.0% 2006年 2007年 16.7% 2008年 10.4% 2009年 2010年 6.3% 8.3% 10.4% 6.3% 2011年 2012年 2013年 14 12 12 10 8 8 6 5 5 4 4 3 3 3 2 2 0 1 1 1 ③不動産投資の対象 問 4.日本の不動産投資の対象(複数回答可)(n=68) ¾ ¾ 日本の不動産へ投資実績がある回答者がどのような投資形態で参入しているかについては、 「実 物不動産(エクイティ)」の選択割合(回答者のうち当該項目を選択した回答者の割合)が 62.7% と最も多く、次いで、「私募ファンドへの投資(エクイティ) 」が 27.5%となっている。 「不動産を裏付けとする債権」は 23.5%、「J-REIT」は 17.6%となっている。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 実物不動産(エクイティ) 70% 62.7% 私募ファンドへの投資(エクイティ) 27.5% 不動産を裏付けとする債権 23.5% J-REIT 17.6% その他 2.0% ④主要な不動産投資用途 問 5.日本における主要な不動産投資用途(代表的なもの 1 つ)(n=47) ¾ ¾ 日本における主要な不動産投資用途(代表的なものを 1 つ選択)では、「オフィス」を選択した 回答が 32 社と最も多く、 「レジデンス」(8 社) 、 「商業施設」 (5 社)が続く。 「物流施設」 、「ホテル」の回答は見られなかった。 0 5 10 オフィス 20 25 30 35 32 レジデンス 8 商業施設 5 物流施設 0 ホテル 0 その他 15 2 ⑤不動産投資の適格エリア 問 6.日本における不動産投資の適格エリア(複数回答可) (n=51) ¾ ¾ ¾ 不動産投資の適格エリアには、 「東京圏」の選択割合(回答者のうち当該項目を選択した回答者 の割合)が 100%と、回答者の全てが東京圏を投資適格エリアとしている。 「大阪圏」は 51.0%、「名古屋圏」は 27.5%、 「その他の大都市(札幌・仙台・広島・福岡)」は 27.5%と、都市の規模に相応する形で選択割合が逓減している。 但し、札幌市、仙台市、広島市、福岡市といった地域ブロックの中心都市までを投資適格とする 回答が 1/4 超見られることは、投資意欲の改善と見ることもできる。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 東京圏 100.0% 大阪圏 51.0% 名古屋圏 27.5% その他の大都市(札幌・仙台・広島・福岡) 27.5% その他 3.9% ⑥不動産投資の運用期間 問 7.日本における不動産投資の運用期間(代表的なもの 1 つ)(n=50) ¾ ¾ ¾ 日本における不動産投資の運用期間では、 「5~10 年未満」の長期投資を選択した回答が 27 社と 過半以上を占め、 「3~5 年未満」 (10 社)、 「10~20 年未満」(6 社)が続く。 「10~20 年未満」(6 社)と「20 年以上」(2 社)で回答者の 16%を占めており、更に長期で運 用する投資家も一定数存在することがわかる。 1 年未満の回答はなく、1~3 年未満の短期投資も少数となっている。 0 1年未満 5 10 20 25 30 0 1~3年未満 5 3~5年未満 10 5~10年未満 27 10~20年未満 20年以上 15 6 2 ⑦拠出金の目標運用利回り 問 8.日本の不動産投資における拠出金の目標運用利回り(代表的なもの 1 つ) (n=50) ¾ ¾ ¾ 日本の不動産投資における拠出金の目標運用利回り(代表的なもの 1 つ選択)では、「5~10% 以下」が 25 社と最も多かった。 「3~5%以下」も 18 社と存在感を示している。 15%以上の目標運用利回りとする回答や、3%以下での利回りを甘受するといった回答は少数で ある。 0 5 3%以下 10 15 20 25 1 3~ 5%以下 18 5~ 10%以下 25 10~ 15%以下 5 15~ 20%以下 20%以上 30 1 0 ⑧日本における不動産投資を始めた理由 問 9.日本における不動産投資を始めた理由(複数回答可) (n=51) ¾ ¾ 日本における不動産投資を始めた理由では、選択割合(回答者のうち当該項目を選択した回答者 の割合)の順に、 「市場規模が大きい(80.4%)」、 「流動性が高い(60.8%)」 、 「市場が安定(51.0%) 」 となっており、日本に対する評価と相応する結果となっている。 「市場の成長性が高い」の選択割合も 33.3%見られる。日本で不動産投資を始めた時期(問 3) が 2002 年以前とする回答が多いなど、日本での不動産証券化手法を用いた不動産投資市場の黎 明期に、今後の市場の拡大を見込んだとの見方もできる。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 市場規模が大きい 90% 80.4% 流動性が高い 60.8% 市場が安定 51.0% 市場の成長性が高い 33.3% リスクが低い 29.4% 利回りが高い 23.5% 商品の多様性 19.6% 資金調達が容易 17.6% 情報の透明性が高い その他 80% 11.8% 3.9% ⑨日本の不動産から撤退した時期 問 10.日本の不動産投資から撤退した時期(※投資実績があり、現在投資を行っていない方のみ) (n=2) ¾ 日本の不動産投資から撤退した時期について明記が得られたのは、2 件に留まった。 ⑩日本の不動産から撤退した理由 問 11.日本の不動産投資から撤退した理由(複数回答可) (※投資実績があり、現在投資を行っていない方のみ) (n=2) ¾ 本設問についての回答も僅少であったため、明確な傾向は見いだせないが、リーマンショック以 降のマクロ経済環境と投資環境の悪化が主たる要因といえる。 0 競争激化に伴う投資環境の悪化 金融危機に伴う資金の回収 日本マーケットの相対的位置づけが低下 目標運用利回りが確保できない 短期的な景気の先行き不透明感の増大 日本経済の長期的な成長力の弱さ 不動産価格下落の見込み マーケットの基礎的データが入手し難い 商習慣、取引制度の分かりにくさ 政治的なリスク 資金調達環境の悪化 稼働率、賃料収入下落の見込み 円高による割高感 その他 1 2 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 3 4 5 6 7 8 9 10 ⑪日本の不動産に投資しなかった理由 問 12.検討したものの投資しなかった理由(複数回答可) (※投資実績はないが、投資を検討したことがある方のみ)(n=15) ¾ ¾ 日本に投資実績がないものの投資を検討したことがある回答者の、投資しなかった理由について は、 「日本経済の長期的な成長力の弱さ」と「商習慣、取引制度の分かりにくさ」という、マク ロ的な視点とミクロ的な視点のそれぞれが上位の回答となっている(6 件で同率 1 位)。 次いで多い、 「信頼できるパートナーが存在しない(5 件) 」についても、「商習慣、取引制度の 分かりにくさ」に繋がる回答であるといえる。 0 1 2 3 4 5 6 7 日本経済の長期的な成長力の弱さ 6 商習慣、取引制度の分かりにくさ 6 信頼できるパートナーが存在しない 5 政治的なリスク 4 競合が多く投資環境が悪い 4 投資対象となる売却物件の少なさ 3 目標運用利回りが確保できない 3 投資パフォーマンスの測定が出来ない 3 金融危機に伴う投資資金の縮小 3 短期的な景気の先行き不透明感の増大 2 不動産価格下落の見込み 2 稼働率、賃料収入下落の見込み 2 マーケットの基礎的データが入手し難い 2 円高による割高感 2 資金調達環境の悪化 1 その他 1 ⑫日本の不動産に投資実績がない理由 問 13.投資実績がない理由(複数回答可) (※投資実績がなく、投資を検討したこともない方のみ) (n=21) ¾ ¾ 日本に投資実績がなく、投資を検討したこともない回答者の、投資しない理由は、「自国におい て日本の不動産情報が不足」 「予備知識がない」が上位となっている(それぞれ 42.9%) 日本を知らない海外投資家に対する有用な情報発信の必要性はここでも指摘されている。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 自国において日本の不動産情報が不足 42.9% 予備知識がない 42.9% マーケットの基礎的データが入手し難い 0.0% 投資対象エリア外 23.8% 担当部署ではない 19.0% その他 19.0% (3)各地域の不動産投資市場に対する投資状況・投資方針 問 14.各国の不動産投資市場に対する貴社の投資状況・投資方針(n=73) 地域別の回答者の不動産投資比率の見方 例えば、不動産に対する総投資額のうち、日本のみに投資(組み入れ 100%)している回答者が 6.8%いることを示す ①現在の投資割合 ¾ 地域別の投資比率では、100%同一地域の回答は、北米とオセアニアでは見られず、この両地域 に高い割合で投資しているという回答も少ない(オセアニアは 61%以上の回答はゼロ) 。 ¾ 一方、日本を除くアジアについては 100%同一地域の回答も含め、高い割合層での回答が見られ た。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 6.8% 日本 42.5% 北米 37.0% 52.1% 欧州 30.1% 45.2% 日本を除くアジア 16.4% 8.2% 2.7% 1.4% 9.6% 24.7% 27.4% オセアニア 5.5% 5.5% 9.6% 16.4% 9.6% 13.7% 61.6% 4.1% 0.0% 6.8% 2.7% 15.1% 35.6% 1.4% 0% 1‐20% 21‐40% 41‐60% 61‐80% 81‐99% 100% ②現在の投資額と3年後の投資額との比較 ¾ 現在の投資額と 3 年後の投資額を地域別に比較すると、『増加』の回答割合が最も高いのは日本で 16.1%となっている。 ¾ 『やや増加』を合算すると、日本は 41.1%となり、日本を除くアジアの 50.8%を下回るが、北米 の 36.8%を上回る。 ¾ これまでの設問分析からは、日本の現状について厳しい指摘(他地域と比較して低い評価)も見 られたが、3 年後の視点に立った場合には、期待も含め前向きな評価がなされている。 100% 90% 6.1% 12.2% 6.4% 80% 70% 60% 6.8% 11.4% 8.8% 8.8% 17.0% 12.5% 12.5% 31.6% 44.9% 42.6% 50% 54.5% 33.9% 40% 36.8% 30% 20% 10% 0% 28.6% 8.2% 北米 25.0% 34.0% 25.0% 16.1% 14.0% 0.0% 欧州 増加 2.3% 日本を除くアジア オセアニア やや増加 同じ やや減少 減少 日本 問 15. 3 年後には現在よりも日本への投資額を増加させていると考えた理由(複数回答可) (n=20) ¾ ¾ ¾ ¾ 最も多かった回答は、「不動産価格上昇の見込み(85.0%)」となっており、以下、 「不動産投資 市場の活性化(取引件数の増加等) (80.0%) 」、 「短期的な景気の先行き感の改善(70.0%)」と続 く。 「不動産価格の上昇」は市場の成長を意味し、 「取引件数の増加等」は市場の流動性を意味する。 設問 1_投資地域の選択に対して重視する項目では、不動産市場の成長を「重視する」する回答 は 56.5%、不動産市場の流動性を「重視する」する回答は 53.6%と高い。 これらの回答が上位を占めていることは、これまで停滞感が強く、投資先としての魅力が低下し ていた日本の不動産投資市場の活性化が期待されているものといえる。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 不動産価格上昇の見込み 85.0% 不動産投資市場の活性化(取引件数の増加等) 80.0% 短期的な景気の先行き感の改善 70.0% 稼働率・賃料収入上昇が見込み 45.0% 円高緩和による割安感 40.0% 日本経済の長期的な成長力の高まり 35.0% 他国不動産の魅力低下(政治リスク、成長鈍化等) グローバルでの金融緩和(良好な資金調達環境) 90% 30.0% 15.0% マーケットの基礎的データの充実 10.0% 他資産の魅力低下(株式、国債等) 10.0% (4)2013 年に生じた事柄と今後の不動産投資行動への影響 問 16.次の各事項が、貴社の日本における 1~2 年先の不動産投資行動へ与える影響について、どの ようにお考えですか。 (複数回答不可) ①2020 年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されること(n=84) ¾ ¾ ¾ 回答者の半数が「プラスの影響を与える」と回答しており、前向きな評価がなされている。 「影響を与えない」が 32.1%であるのは、開催地が決定したのが 2013 年 9 月であり、日本の不 動産投資市場は既に活況であり、直接的な影響は受けないとする考えも推察される。 「マイナスの影響」については、今後の建築価格の高騰等を危惧する見解や、不動産価格の上昇 が新規取得の側からは利回りの低下に繋がるとの見解などが推察される。 0% 20% 40% 50.0% プラスの影響 60% 80% 32.1% 影響を与えない マイナスの影響 100% 7.1% 10.7% 今後の状況次第 ②アベノミクスと言われる大胆な金融政策や民間投資を喚起する成長戦略等が実施されていること (n=83) ¾ ¾ 回答者の半数以上が「プラスの影響を与える」と回答しており、前向きな評価がなされている。 「影響を与えない」が 22.9%、 「今後の状況次第」が 14.5%と一定の割合を示しているのは、2013 年においては、期待(マインド)が先行した側面が強く、実行についてはこれからであるとの見 解によるものと推察される。 0% 20% 40% 54.2% プラスの影響 60% 22.9% 影響を与えない マイナスの影響 80% 8.4% 100% 14.5% 今後の状況次第 ③消費税増税等の財政健全化に向けた施策が講じられていること(n=83) ¾ ¾ ¾ 「プラスの影響を与える」の回答割合は 10.8%に留まり、「マイナスの影響を与える(36.1%)」 の 1/3 に留まっている。 中長期的な財政健全化の効果よりも、短期的な景気へのマイナス効果を懸念する見解と思われる。 「影響を与えない」については、消費増税が市場に織り込み済みであるとの見解、増税の影響を 緩和するための施策が展開されるであろうとの見解、他国と比較すると消費税率は未だ低率であ るとの見解によるものと推察される。 0% 20% 10.8% 40% 26.5% プラスの影響 60% 80% 36.1% 影響を与えない マイナスの影響 100% 26.5% 今後の状況次第 ④米国において、現在、景気回復の状況に鑑み、金融緩和の縮小が検討されているが、今後、縮小が 実施された場合(n=84) ¾ ¾ 「プラスの影響を与える」の回答割合は 11.9%に留まり、「マイナスの影響を与える(34.5%)」 の 1/3 程度に留まっている。 「マイナスの影響を与える」の回答割合は最も多く、米国の金融緩和の縮小は、新興国のみなら ず、先進国にもマイナス影響を与えるとの懸念によるものと推察される。 0% 20% 11.9% 40% 25.0% プラスの影響 60% 34.5% 影響を与えない マイナスの影響 80% 28.6% 今後の状況次第 100%
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