成人先天性心疾患診療ガイドライン

2015/2/5 更新版
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
成人先天性心疾患診療ガイドライン
(2011 年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)
合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本産科婦人科学会,日本小児循環器学会,
日本心臓病学会
班 長 丹 羽 公一郎
班 員 赤
木
禎
聖路加国際病院心血管センター循環器内科
治 岡山大学病院循環器疾患治療部
賀
藤 均 国立成育医療センター循環器科
市
川 肇 国立循環器病研究センター心臓血管外科
河
田
政
明 自治医科大学心臓血管外科
市
田
蕗
子
川
俣
和
弥 愛育病院産婦人科
大
嶋
義
博 兵庫県立こども病院心臓血管外科
小
垣
滋
豊 大阪大学大学院医学系研究科小児発
角 秀
秋
近
藤
千
里 東京女子医科大学画像診断・核医学科
坂
﨑
尚
佐
地 勉 東邦大学医療センター大森病院第一小児科
白
石 公 国立循環器病研究センター小児循環器診療部
高
橋
長
裕 千葉市立青葉病院循環器内科
城
尾
邦
隆 九州厚生年金病院小児科
福
嶌
教
偉 大阪大学大学院医学系研究科
高
橋
一
浩 沖縄県立南部医療センター ・ こども
立
野 滋 千葉県循環器病センター成人先天性
谷
口 学
布
田
一 東京女子医科大学東医療センター内科
宗
内 淳 九州厚生年金病院小児科
八
尾
史 東京大学医学部附属病院循環器内科
国立大学法人富山大学医学部小児科学
福岡市立こども病院心臓血管外科
心臓血管・呼吸器外科
松
尾
浩
三 千葉県立循環器病センター心臓血管外科
松
田
義
雄 東京女子医科大学産婦人科
協力員 池
田
亜
希 東京女子医科大学画像診断・核医学科
池
田
智
明 三重大学産科婦人科
岩
崎
達
雄 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
麻酔・蘇生学分野
牛ノ濱 大 也 福岡市立こども病院 ・ 感染症センター
循環器科
伸
厚
達医学講座小児科学
徳 兵庫県立尼崎病院小児循環器内科
医療センター小児循環器科
心疾患診療部
岡山大学病院循環器疾患治療部
安河内 聡 長野県立こども病院循環器科
山
岸
敬
幸 慶應義塾大学医学部小児科
山
岸
正
明 京都府立医科大学附属小児疾患研究
山
村
英
司 東京女子医科大学小児循環器科
直
樹 国立大学法人富山大学医学部第一外科
施設小児心臓血管外科
大
内
秀
雄 国立循環器病研究センター小児循環器
太
田
真
弓 さいとうクリニック小児科
芳
村
赤
阪
隆
史 和歌山県立医科大学循環器内科
松
田 中
澤 誠 脳神経疾患研究所附属総合南東北病院小児科
八木原 俊 克 国立循環器病研究センター
診療部
外部評価委員
暉 兵庫医療大学
(構成員の所属は 2011 年 7 月現在)
1
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
目 次
改訂にあたって…………………………………………………… 2
Ⅰ.総論…………………………………………………………… 4
1.成人先天性心疾患の頻度 ……………………………… 4
2.自然歴・術後歴 ………………………………………… 4
3.診断 …………………………………………………… 18
4.内科治療 ……………………………………………… 24
5.妊娠出産管理 ………………………………………… 34
6.避妊,妊娠中絶 ……………………………………… 35
7.遺伝 …………………………………………………… 39
8.心理的問題 …………………………………………… 43
9.社会的問題 …………………………………………… 43
10.成人期の手術 ……………………………………… 45
11.心臓移植 …………………………………………… 47
12.肺,心肺移植 ……………………………………… 51
13.非心臓手術 ………………………………………… 55
14.麻酔 ………………………………………………… 57
15.診療体制:診療施設 ……………………………… 59
16.移行・病気に対する理解・病気告知時期 ……… 60
Ⅱ.各論………………………………………………………… 61
1.心室中隔欠損 ………………………………………… 61
2.心房中隔欠損 ………………………………………… 64
3.房室中隔欠損 ………………………………………… 65
4.動脈管開存 …………………………………………… 67
5.右室流出路狭窄性疾患:右室二腔症,肺動脈弁狭窄,
弁下狭窄,弁上狭窄 ………………………………… 68
6.左室流出路狭窄性疾患:大動脈二尖弁,弁下狭窄,
弁上狭窄,大動脈縮窄 ……………………………… 70
7.Ebstein 病 ……………………………………………… 73
8.修正大血管転位 ……………………………………… 75
9.大動脈拡張性疾患 …………………………………… 76
10.Fallot 四徴 …………………………………………… 78
11.完全大血管転位 心房位血流転換術後 …………… 83
12.完全大血管転位 動脈位血流転換術後 …………… 84
13.心外導管手術術後:心室中隔欠損兼肺動脈弁閉鎖,
総動脈幹,両大血管右室起始……………………… 89
14.Fontan 手術後(単心室,肺動脈弁閉鎖,
三尖弁閉鎖,左心低形成)………………………… 90
15.チアノーゼ型先天性心疾患,未手術あるいは
姑息手術後 …………………………………………… 95
文 献…………………………………………………………… 99
(無断転載を禁ずる)
本ガイドラインで用いられる主な略語
ACC:American College of Cardiology ESC:European Society of Cardiology
AHA:American Heart Association NYHA:New York Heart Association
CCS:Canadian Cardiovascular Society
改訂にあたって
2
内科,外科の発達の恩恵を受け,多くの先天性心疾患
すなわち,先天性心疾患は,既に成人循環器疾患の 1 領
患者が成人となることが可能となり,我が国では,既に
域と考えて差し支えない.
400,000 人以上が成人患者となっている 1),2).先天性心
先天性心疾患患者は,成人後も主に循環器小児科医が
疾患は,生産児の約 1%に発生するため,日本では年間
継続して診ていることが多いが,管理が循環器内科医に
1 万人あまりが生まれ,そのうち 90 %の 9,000 人以上が
移行している場合も増えている.小児の未修復手術チア
成人する.したがって,今後,成人先天性心疾患患者数
ノーゼ型先天性心疾患は減少しているが,成人では一定
は,現在の人数の 5%の割合で増加し続けると予想され
数存在し,長期間継続したチアノーゼの合併症として生
る.成人先天性心疾患は,18 歳以上あるいは 20 歳以上
じる系統的多臓器異常に対する加療が必要である.複雑
の先天性心疾患患者とする報告もあるが,このガイドラ
心疾患術後の成人患者も増加している.先天性心疾患手
インでは,小児期とは医学的問題点が大きく異なり,小
術の多くは根治とはなっておらず,合併症,遺残症,続
児科から内科へと診療科が異なる 15 歳以上の先天性心
発症を伴う.このため,生涯にわたっての経過観察が必
疾患と定義した.1970 年頃は,先天性心疾患といえば,
要なことが多い.さらに,加療を必要とする場合も少な
子どもの病気だったが,1997 年には,成人患者数と小
くない.加齢に伴い,心機能の悪化,不整脈,心不全,
児患者数はほとんど同数になった 2).さらに,2020 年に
突然死,再手術,感染性心内膜炎,妊娠,出産,高血圧,
は,成人患者数は,小児を遙かに凌駕すると予想される.
冠動脈異常,非心臓手術等により病態,罹病率,生命予
成人先天性心疾患診療ガイドライン
後が修飾される.また,就業,保険,結婚,心理的社会
3)
複雑疾患と同様に,解決すべき問題点が多いことがわか
的問題,喫煙等成人特有の問題を抱える .このため,
ってきた.このため,今回のガイドラインでは,前回の
成人先天性心疾患全体の約 1/3 を占めるとされる 重症
ガイドラインと異なり,これらの疾患に関しても,新た
度が中等度以上の成人先天性心疾患の多くは,成人先天
に項目を設けて記載した.また,前回のガイドライン公
性心疾患を専門とする医師を中心とした循環器小児科,
表後に報告された論文のデータを可能な限り取り入れ,
循環器内科,心臓血管外科,麻酔科,産科,内科,看護
updated な内容にすることを心がけた.特に,疾患各論
4)
1)
師,臨床心理士等を含むチームでの診療を必要とする .
に関しては,大きく改訂した項目もある.
再手術,内科治療を含む,継続的な診療により,重度と
それぞれの手技・治療法に関する,「証拠のレベル」
考えられる患者さんも QOL が改善し,長期の生命予後
と「推奨の程度」は,ACC/AHA のガイドラインの記載
が期待できる.また,動脈管切離術後は,根治術であり,
法に従った(表 1,2).しかしながら,成人先天性心疾
経過観察の必要がないと考えられている.
患の研究分野は,対象症例が比較的少なく,解剖,血行
欧米では,1998 年のカナダの成人先天性心疾患ガイ
動態の異なる多くの疾患を含むため,対照を設けた大規
ドラインに始まり,これまでに成人先天性心疾患に関す
模研究が困難である.このため,前向き研究は行いにく
るガイドライン 4)−6)が公表され,成人先天性心疾患に関
く,後方視的な臨床研究がほとんどを占めている 17).し
す る テ キ ス ト ブ ッ ク 7)−9)も 発 刊 さ れ て い る. 米 国 は
たがって,ランク付けが困難なことが多いため,必ずし
ACC と AHA が 2008 年に成人先天性心疾患ガイドライ
もすべての項目において「証拠のレベル」と「推奨の程
ン 4)を初めて公表した.CCS は,2002 年に発表,2009
度」を記載したわけではない.また,証拠のレベルは,
年に改訂した.さらに,2010 年は,ESC が成人先天性
専門家の合意に基づく場合が多いため,推奨すると記載
心疾患ガイドラインの改訂版を公表した.一方,日本で
した項目の多くは,後方視的な臨床研究に基づいている.
も,成人先天性心疾患に関する日本循環器学会ガイドラ
この点で,今回のガイドラインは,臨床に即した実際的
イン 9)−13)が 2002 年に報告 9)され,2006 年に改訂 10)された.
な改訂が行われたものと考えている.心機能分類は,チ
また,テキストブック
1),14)−16)
も刊行されている.
10)
我が国では前回のガイドライン発刊(2006 年)
以後,
アノーゼ性疾患を除いて,NYHA 心機能分類を用いた
(表 3).
この 5 年間に多くの共同研究がなされ,データが蓄積さ
ガイドラインの目的は標準的な診療情報の提供であ
れている.また欧米でのこの分野での研究発表も年々増
り,個々の症例における臨床的診断の決定・責任はそれ
加している.そこで,これらの動向を取り入れ,今回の
ぞれの医師と患者さんにあることを改めてご認識いただ
日本循環器学会ガイドラインの部分改訂版が企画され
いた上で,このガイドラインを活用いただくことをお願
た.また,軽度から中等度疾患も経過観察が必要であり,
いしたい.
Level A
Level B
Level C
Class
Class
Class
Class
Class
Ⅰ度
Ⅱ度
Ⅲ度
Ⅳ度
Ⅰ
Ⅱ
Ⅱa
Ⅱb
Ⅲ
表 1 証拠のレベル
複数の無作為介入臨床試験やメタ分析で実証されたもの
単一の無作為介入臨床試験や,無作為介入でない臨床試験で実証されたもの
専門家の意見,ケース・スタディー,標準的治療等で意見が一致したもの
表 2 推奨の程度
有用性・有効性が証明されているか,見解が広く一致している
有用性・有効性に関するデータあるいは見解が一致していない場合がある
データ・見解から有用・有効である可能性が高い
データ・見解から有用性・有効性がそれほど確立されていない
有用・有効でなく,時に有害と証明されているか,否定的見解が広く一致している
表 3 NYHA(New York Heart Association)の心機能分類
心疾患があるが,身体活動に制限なし,通常の労作で症状なし
心疾患があり,身体活動が軽度に制限される,通常の労作で症状あり
心疾患があり,身体活動が著しく制限される,通常以下の労作で症状あり
心疾患があり,すべての身体活動で症状が出現する,安静時にも症状があり,労作で増強する
3
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
2
Ⅰ
総論
先天性心疾患の死亡率
発生頻度の高い心室中隔欠損,Fallot 四徴等を中心と
した先天性心疾患による死亡総数は,1968 年以降明ら
かに減少している.また,年齢別の先天性心疾患死亡数
1
成人先天性心疾患の頻度
を検討すると,1972 年と比べて,1997 年には,0 ~ 19
歳の死亡数は半減しているが,60 歳以上は,著明に増
加している 19).この事実は,多くの先天性心疾患が,小
心臓血管外科治療が行われる以前は,先天性心疾患を
児期,成人期を過ぎて,60 歳を超えて生存していく傾
持つ小児が成人になれる割合は生産児の 50 %以下であ
向を示唆している.
った.しかし,半世紀ほど前からの外科治療の発達と,
内科管理の向上により,小児先天性心疾患の多くが成人
3
成人先天性心疾患の頻度
を迎えるようになった 18)−22).今では,乳児期を過ぎた
1967 年には,先天性心疾患は,小児が約 160,000 人,
先天性心疾患児の 90 %以上は成人となっている 18).小
成人は,約 53,000 人だったが,1997 年には,成人患者
児期には手術方法が未発達あるいは早期診断がなされな
数(約 318,000 人)と小児患者数(約 304,000 人)はほ
かったため,未修復手術(姑息術のみ)で成人となって
とんど同数となった.2007 年には,成人患者数は,約
いるチアノーゼ型先天性心疾患が,多数存在する 23).ま
409,000 人となっている 2).このうちの 1/3 は,綿密な経
た,単心室形態を持ち Fontan 術後等を含む術後の成人
過観察を必要とする中等度以上の疾患である.また,川
の先天性心疾患患者数も増加している.これらの複雑心
崎病は,2010 年までに少なくとも 200,000 人が罹患して
疾患は,専門の診療医療施設での定期的な経過観察と加
いる.このうち冠動脈合併症を伴い,成人期も経過観察
.したがって,成人となった小児心疾
を続けなけなければならない人は,少なくとも 18,000
患患者,すなわち成人先天性心疾患患者数は,飛躍的に
人近くと推測される 20),29).米国では,約 900,000 人の成
増加していると同時に,診療内容も高度なものとなって
人先天性心疾患患者がおり,毎年増え続けている 24),28).
きている 24).また,成人先天性心疾患はチーム医療を必
英国では,少なくとも 150,000 人の成人先天性心疾患患
要とするため,この分野に携わる人材の育成も行われは
者がおり,中等度から重度先天性心疾患患者数が,年間
療を必要とする
じめている
1
24)
25)
.
先天性心疾患の発生頻度
先天性心疾患患者の出生児に占める疾患の種類とその
頻度は,国,地域,人種により異なるが,全先天性心疾
患の発生頻度は,ほとんど一定している 26).欧米,日本
1,600 人の割合で増えている 30),31).また,小児期心疾患
の予後が改善するにつれて,成人でも先天性心疾患の病
型別あるいは疾患別頻度が,新生児小児期の病型,疾患
別頻度に近付いている 19),32),33).
2
自然歴・術後歴
1
不整脈
の調査によると,先天性心疾患は生産児の約 1%内外を
占めるとされる 27),28).現在,日本の出生数は減少して
いるが,先天性心疾患を持つ出生児は,毎年 10,000 人
)
近くと推定される 18(表
4).
先天性心疾患患者は,その生命予後が改善し,成人期
に達するようになった 34).成人先天性心疾患患者では,
手術施行の有無にかかわらず,不整脈が症状,入院,血
栓症等罹病の原因となることが少なくない.また心機能
表 4 日本の成人先天性心疾患患者数
日本の人口:127,390,000 人(2010.3)
生産児:1,069,000 人(2009)
先天性心疾患の生産児に占める頻度:1%
先天性心疾患生産児:10,690 人 / 年
約 95%が成人となる : 10,155 人 / 年
成人先天性心疾患患者数:約 409,000 人
成人先天性心疾患患者数増加率:4 ~ 5% / 年
先天性心疾患の心臓手術:9,202/ 年(手術死亡:3.6%)
4
低下や心不全症例に不整脈が合併すると,心臓突然死を
生じることがある 35),36).不整脈は,先天性心疾患患者
の“術後歴”を左右する大きな要素であるといえる.
成人先天性心疾患における不整脈の原因・メカニズム
は,形態異常に基因する内在的不整脈基質による場合も
あるが,後天的不整脈基質によるものが多い 37).手術未
施行の場合は慢性的血行動態異常やチアノーゼによる心
成人先天性心疾患診療ガイドライン
筋病変が,修復手術後症例の場合は,遺残病変,心機能
3)手術により新たに生じた続発症
低下による心筋病変,手術瘢痕が主な原因(不整脈源性
手術切開線やパッチ閉鎖部位等手術により生じた様々
基質)と考えられる.
な障壁に伴うマクロリエントリ性頻拍.
不整脈の管理は,基礎疾患のない場合とは異なり,先
天性心疾患に関しての解剖学的・血行動態的知識,手術
頻脈性不整脈診断の際の注意点として,術後は,先天
方法に関する知識が必要となる 38).
的または後天的に脚伝導障害を伴う場合があり 12 誘導
1960 ~ 1970 年代に手術を行った先天性心疾患術後患
心電図で上室頻拍か心室頻拍かを鑑別することが困難で
者は,不整脈を伴うことが多く,予後も悪い.しかし,
ある場合がある.これらの不整脈の電気生理学的異常は,
手術方法の改善,この 10 年の電気生理学におけるマッ
刺激生成,興奮伝導の異常,あるいはこれらの複合によ
ピングシステムのコンピューター化による不整脈基質の
り生じる.異常自動能,トリガードアクティビティが刺
39)−51)
.遠隔期
激生成の要因である.興奮伝導異常には伝導ブロック(洞
死亡の主要原因である心室性不整脈もデバイス治療の発
結節,房室結節,ヒスプルキンエレベル)による徐脈や
解明等の進歩により予後は改善している
展が治療効果を上げている
52)−54)
一方向性ブロックによるリエントリーがあり,徐脈性不
.
基礎心疾患がない場合は血行動態的に大きな影響を与
整脈も同様に先天性に存在する洞機能異常,房室伝導異
えないような不整脈が,成人先天性心疾患では血行動態
常の他,2),3)を原因とする刺激伝導路の障害に伴う
的に耐容できず,
心室機能不全を惹起あるいは悪化させ,
洞機能異常,房室伝導異常がある.
心不全,突然死に至ることもある.不整脈が基礎心疾患
や遺残病変による血行動態の異常,悪化の初期サインの
②頻度
ことがあり,心臓カテーテル検査を含む循環動態の全般
先天性心疾患は複雑心疾患ほど不整脈の頻度が高い
的評価が必要なことがある.その結果,外科的手術の適
が,単純なものでも術後遠隔期には不整脈を生じる 61).
応となることもある.また,心房手術後患者では,洞結
Fallot 四徴術後は,17 年で 30 %に上室頻拍 62),35 年で
節機能不全を合併していることも多く,抗不整脈薬治療
11 %に高度の心室性不整脈を合併し 63),さらに,除細
により徐脈が悪化し,ペースメーカが必要になることも
動器の植込み例が多く 54),10 年で 2%の頻度で心臓突然
ある.
死 64)を 生 じ る.Fontan 術 後,Mustard/Senning 術 で は,
すなわち,成人先天性心疾患の不整脈を管理,治療す
約 20 年 で 40 % 以 上 に 上 室 頻 拍 を 生 じ 65),66),Mustard/
るためには,不整脈診断の他に,心機能評価,血行動態
Senning 術では術後 10 年間でほとんどの例で,洞調律を
評価が必要である.さらに,不整脈や突然死の危険因子
維持できない 67),また,血栓症のリスクも高い 68).
を検索し,予防を講じることも重要である.先天性心疾
患は,解剖や手術方法が多様であるため解剖や術式に伴
2
心不全
う血行動態についての理解が必要であり,循環器小児科
慢性心不全治療ガイドラインによる慢性心不全の狭義
医,循環器内科医,不整脈専門科医,心臓外科医の協力
の定義は,“慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が
が必須である.
低下し,末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液
量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態であり,肺,
①メカニズム
体静脈系または両系にうっ血を来たし日常生活に障害を
不整脈の基質は大きく 3 つに分類される(表 5)
55)−60)
.
生じた病態”とされる 69).さらに労作時呼吸困難,息切
1)先天的で術前から存在する異常
れ,尿量減少,四肢の浮腫,肝腫大等の症状の出現によ
副伝導路を介する房室回帰性頻拍,房室結節回帰性頻
り生活の質的低下(Quality of Life;QOL の低下)が生じ,
拍,心房頻拍,心房粗動,心室頻拍の他,重複房室結節
日常生活が著しく障害される.また致死的不整脈の出現
による房室回帰性頻拍が含まれる.
も高頻度にみられ,突然死の頻度も高いとされる.
2)先天性心疾患に伴う血行動態的異常(圧・容量負荷)
先天性心疾患の自然歴や術後歴として起こる心不全は
や低酸素による心筋病変によるもの
弁狭窄による圧負荷,弁閉鎖不全や心内短絡による容
主に慢性心不全である.解剖学的に異なる様々な心疾患
があり,二心室修復術後の病態から,体循環心室が右室
量負荷,術後の遺残病変も含む.心筋病変を原因とする
である病態,Fontan 術後や無治療あるいは姑息手術後の
マクロリエントリ性頻拍,異所性起源による頻拍が含ま
チアノーゼ残存,さらには心房中隔欠損等成人期になっ
れる.
て発見あるいは発症するものまで様々な病態を含んでい
5
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
表 5 成人先天性心疾患に見られる不整脈と不整脈を生じやすい疾患 / 状況
不整脈が生じやすい疾患 / 状況
不 整 脈
先天性心疾患そのものに
血行動態異常や低酸素に
手術により術後新たに
合併するもの
起因するもの
生じるもの
Ebstein 病
WPW 症候群
Fontan 術(Bjork 法)
修正大血管転位
内臓錯位症候群
重複房室結節
房室不一致
手術による新たな障壁・残存
心房性頻拍
心房負荷の強い状態
心負荷による
心房内リエントリー性頻拍
三尖弁閉鎖不全
Fontan 術
心房粗動,心房頻拍
Ebstein 病等
Fallot 四徴
心房位血流転換術
心房負荷の強い状態
心房中隔欠損
僧帽弁疾患
心房細動
大動脈狭窄
単心室
Ebstein 病等
Fallot 四徴
心室中隔欠損
接合部頻拍
内臓錯位症候群
完全大血管転位
総動脈幹症
大動脈弁狭窄
Fallot 四徴
心室頻拍
Ebstein 病
周術期心筋梗塞
洞結節に対する障害を引き起
こしやすい術式
心房スイッチ術
Fontan 術後
洞結節機能不全
多脾症候群
Glenn 術後
静脈洞型心房中隔欠損
部分肺静脈還流異常
手術による房室伝導の障害
房室中隔欠損
心室中隔欠損
房室ブロック
修正大血管転位
Fallot 四徴
多脾症候群
大動脈弁置換術
る.成人先天性心疾患の慢性心不全は,成人心疾患の定
義と合致する.
②神経体液因子
①評価法
心不全を神経体液性因子の異常を示す症候群としてと
成人心疾患は一般的に心不全の機能分類として
らえる考え方が定着してきた 69).ESC は,慢性心不全
NYHA 機能分類が用いられる.チアノーゼ性心疾患は,
の診断に,症状と他覚的な心臓機能障害と同時に,神経
心機能が正常でも,日常生活労作で多呼吸等の呼吸不全
体液性因子である natriureic peptide の上昇が必要項目に
症状が出現する.これは,運動時に右左短絡が増加し,
加えられている 75).ANP や BNP が先天性心疾患の心不
呼吸中枢が低酸素と酸血症を感知するために運動開始後
全の指標とされている 76)−82).神経体液性因子は,成人
早期に呼吸困難が出現するためで,心室機能不全や,心
先天性心疾患の死亡予測因子の 1 つであり 83)−85).平均
不全による肺うっ血の結果ではない 70)−72).Fontan 循環
年齢 34 歳(平均観察期間 8 年)で,NYHA 機能分類Ⅱ
では,心臓の機能障害がなくても,運動耐容能の低下が
度以上の群で,BNP78 以上,ANP146 以上が有意な死亡
認められる.心不全の評価法は病態や治療効果の判定あ
予測因子との報告がある.BNP 上昇は NYHA 機能分類
るいは予後を予測できることが望ましい.NYHA 機能
悪化や体循環心室の機能低下と相関する 84).成人心疾患
分類が広く用いられている
6
る 74).
73)
が,チアノーゼ性先天性心
と同様に BNP が先天性心疾患においても心不全の存在
疾患の評価は activity index や ability index がよいとされ
診断,心不全の重症度診断,心不全の予後診断の指標と
成人先天性心疾患診療ガイドライン
なり得る.しかし,疾患によって基準値が異なることも
成人先天性心疾患は右心不全・左心不全あるいは両心
考慮する必要がある.高齢者においては大動脈狭窄にお
不全を起こし得る因子を 1 つ以上有している 4).
ける BNP は心筋重量や症状と相関するといわれる
86)
が,
小児期では BNP が増加しない場合がある 87).Fallot 四徴
④症状
術後の肺動脈弁逆流に関しては BNP が容量負荷の指標
慢性心不全ガイドラインでは左心不全として左房圧上
となり得るが,狭窄病変との関連性はない 88).完全大血
昇と低心拍出,右心不全の症状として浮腫と肝腫大が挙
管転位の心房スイッチ術後における体循環右心室不全で
げられている.左房圧上昇の症状は労作時の息切れから
は重症度の指標となる
89)
.一方,Fontan 循環に関して
は有用性が認められていない 90).
はじまり呼吸困難を呈する.低心拍出の症状として全身
倦怠感,頭痛等の神経症状,食思不振等非特異的なもの
も多いとされる.先天性心疾患では低心拍出は左房圧上
③病態と悪化因子(表 6)
昇を伴わずに起こることがあり,右室不全や Fotan 循環
形態異常を有する先天性心疾患の主要な治療は手術で
でも生じる.肺うっ血がなくても労作時の息切れを呈す
ある.単心室血行動態の心疾患の外科治療は Fontan 手
る.浮腫や肝腫大は右室不全の症状であるが,肝性浮腫,
術であるが,この機能的根治術に到達できず,姑息手術
貧血,腎性浮腫等との鑑別が必要であり,Fontan 循環で
のみ行われる場合もある.修復術後も Fallot 四徴の肺動
あれば蛋白漏出性腸症も鑑別が必要となる.ESC は,症
脈弁逆流のような続発症を有し,再手術の対象となるこ
状として息切れ,安静時あるいは運動時の易疲労感と足
ともある.さらに形態的異常がほとんどない心房中隔欠
首の浮腫を挙げている 75).ACC/AHA は,呼吸困難と疲
損閉鎖例でも運動耐容能の異常 91)や BNP 値の異常 92)が
労で運動耐容能が制限され,あるいは肺うっ血あるいは
認められる.
体うっ血を呈する水分貯留状態を呈する病態としている 96).
先天性心疾患の心不全は,出生後から手術までの心負
荷と,術後の遺残症,続発症,合併症による経年的な圧
負荷,容量負荷,張力や血流異常の負荷の結果として運
⑤成 人先天性心疾患にみられる疾患別の心不全症
状,修飾因子(表 7)
動耐容能や神経体液性因子の異常が生じる.周術期にお
1)成人先天性心疾患の全体像としての心不全
ける心筋障害は長時間の人工心肺運転,大きな人工補填
成人先天性心疾患患者が慢性心不全の急性増悪で入院
物の使用や大きな切開創等では起こり得る.このような
する場合の症状は浮腫や体重増加,倦怠感(易疲労感),
先天性心疾患固有の病態による心不全は,頻度は低いが
呼吸困難,消化器症状,動悸等である 97).症状は,基礎
不可避である.しかし,治療法の進歩による予後の改善
心疾患や加療の内容によって異なる.1,000 例の追跡調
は著しい.米国の集計では,先天性心疾患の心不全死亡
査で心房中隔欠損や肺動脈弁狭窄を含むすべての心疾患
は非チアノーゼ性心疾患では百万人当たり 1 から 0.3 人
では 26 ~ 37 年間の経過で生存例の 13%に心不全が認め
と低下し,チアノーゼ性心疾患では百万人当たり 0.1 か
られた 98).Fallot 四徴まで含む複雑先天性心疾患(非手
ら 0.16 人と不整脈死亡の減少に伴い微増している 93).
術例を含む)においては,平均年齢 33 歳で,79 %が
我が国の報告では 1968 年から 1997 年で,死亡率は百万
NYHA 機能分類Ⅱ度以上を呈した 83).この結果から,
人あたり 3.36 から 1.22 に減少している
30 歳代で 30 ~ 70%に何らかの心不全が起こっていると
19)
.
小欠損とされる未手術心室中隔欠損,動脈管開存等の
左右短絡疾患でも加齢により心不全を生じるとの報告
94)
があるが,これと異なり,心不全はほとんど生じないと
する報告
95)
もある.
考えられる.我が国の報告では,122 名(29 歳平均)で,
NYHA Ⅰ - Ⅱ機能分類は,87%を占めていた 99).
① Fallot 四徴
Fallot 四徴術後で成人期に達した患者の有症状例は少
表 6 先天性心疾患における主な慢性心不全の要因
1) 重度の大動脈弁狭窄や逆流,大動脈弁下・弁上狭窄あるいは大動脈縮窄
2) 重度の僧帽弁狭窄あるいは閉鎖不全
3) 未手術心房中隔欠損あるいは不全型房室中隔欠損
4) 修正大血管転位
5) 完全大血管転位の心房位血流転換術後(体循環右室)
6) Fallot 四徴の初期手術症例や短絡手術後に長期経過した場合ならびに修復術後の重度の肺動脈弁逆流
7) 単心室
8) Fontan 術後
7
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
表 7 成人先天性心疾患と NYHA 心機能分類(報告例のまとめ)
評価時年齢
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
対象疾患
患者数
評価方法
mean ± SD
(%) (%) (%) (%)
functional
成人先天性心疾患
30 ~ 37
1000
25.4
37.8
6.3
1.7
status * 1
成人先天性心疾患
33.5 ±
1.5
53
NYHA
20.7
58.5
18.9
1.9
成人先天性心疾患
34.0 ±
11
49
NYHA
22.0
57.0
20.0
0.0
Fallot 四徴
34.0 ±
11
99
NYHA
93.0
7.0
0.0
0.0
Fallot 四徴
33.3 ± 13.2
85
NYHA
65.9
24.7
9.4
0.0
非チアノーゼ性先天性心疾患
33.0 ± 12.9
478
NYHA
53.9
34.8
11.2
0.0
右室性体心室 / 右室性単心室
30.2
188
NYHA
82.4
13.3
4.3
34.0
合併症なし
34
±
15
50
CHF * 3
修正大血管転位
合併症あり
32
±
12
132
CHF
51.0
20.2
213
NYHA
47.4
48.0
4.6
0.0
完全大血管転位
大血管位転換術
Mustard 術
25.3
88
NYHA
44.6
48.2
7.1
0.0
完全大血管転位
Senning 術
19.0
329
NYHA
47.9
47.9
4.1
0.0
Fontan 術
21
±
9
321
NYHA
42.0
43.0
15.0
0.0
Eisenmenger 症候群
26.1 ±
9.7
188
ability index
20.0
64.0
14.0
2.0
Eisenmenger 症候群
28.6 ± 10.8
109
NYHA
15.0
41.0
38.0
6.0
チアノーゼ性先天性心疾患
34.5 ± 12.7
82
NYHA
11.0
28.9
30.1
0.0
チアノーゼ性先天性心疾患
39.4 ± 14.3
53
NYHA
7.4
67.9
24.5
0.0
* 2 NYHA: NYHA 機能分類,
* 3 CHF: 心不全
* 1 functional status は exellent,good,fair,poor に分類している,
98
83
84
100
101
113
102
104
104
105
106
106
108
111
112
113
114
100)
なく,7 %(平均年齢 34 歳)
から 34 %(平均年齢 33
%, 心 不 全 死 は 全 死 亡 例 の 26 % で あ っ た. 成 人 期
歳)101)である.有症者が 7 %の報告でも,最大酸素消費
Fontan 術後は 20 ~ 58%に心不全を伴う 102).
量は予測値の 66 %と低値であり,多くは潜在的な心機
④ Eisenmenger 症候群
能低下があると考えられる 100).
我が国では 18 歳以上の平均 12 年の経過観察で心室中
② 体循環右室疾患
隔欠損,心房中隔欠損あるいは動脈管開存に死亡例はな
体循環心室が右室あるいは単心室である病態は,30
く, 複 雑 心 疾 患 は 25 年 生 存 率 51 % と 不 良 で あ る 109).
歳前後で有症率 17%との報告がある
.修正大血管転
Ability index も経時的に増悪し,低酸素血症よりも心機
位と完全大血管転位の心房位血流転換術後は,32 歳で
能障害が主因と考えられている.海外の報告では生命予
102)
有症率 24 %であり,三尖弁閉鎖不全は右室機能不全と
後 は 30 歳 で 75 %,40 歳 70 ~ 86 %,50 歳 55 % ~ 74 %,
密接に関連している 103).修正大血管転位は平均 34 歳で
60 歳 53%である 110).運動耐容能の低下は平均年齢 26 ~
32 %が 102),45 歳で 55 %が 104)心不全を発症し,合併形
28 歳で,80 ~ 84%と有意な低下を示す 111),112).Eisenmenger
態異常がない場合も 30 歳代で 30%以上に認める
.完
を含むチアノーゼ性心疾患では 38 歳で NYHA 機能分類
全大血管転位の Mustard,Senning 術後 18 ~ 23 年(観察
Ⅲ度以上の機能低下を 36%に認め 113),39 歳で 93%が有
時年齢 21 歳)の遠隔期死亡が 10 ~ 18 %と 8 %で,30 %
症者である 114).
が心不全死,約半数は突然死である
8
文献
104)
105)
.NYHA 機能分
類Ⅱ度以上が 51 ~ 55%で,術後観察時年齢 34 歳で心不
2)各疾患の固有の素因,病態以外の心不全の修飾因子
全を 20 %に認める
長期間の低酸素血症,圧負荷(大動脈弁狭窄,弁下部
.右室機能不全は 9 %,三尖弁閉
102)
鎖不全は 15%である 106).
狭窄等),容量負荷(短絡術後,房室弁逆流,半月弁逆
③ Fontan 循環
流や遺残短絡),不十分な心筋保護,大きな心室中隔欠
Fontan 循環は,遠隔期死亡 15 %のうち心不全死は 14
損閉鎖パッチ,大きな心室切開創,遺残左室流出路狭窄
%であり,術後 10 年で有症率が 20 %である 107).321 症
あるいは右室流出路狭窄や短絡(遺残心室中隔欠損等),
例の平均術後期間 14 年,平均年齢 21 歳で,22 例が死亡,
不整脈が挙げられる.さらに後天性弁疾患(弁膜症),
6 例が心移植をしており,合計 8.7 %であった 108).運動
冠動脈疾患,高血圧,糖尿病,妊娠,心内膜炎,慢性呼
耐容能が正常は 4%以下で,NYHA 機能分類Ⅱ以上が 58
吸器疾患,心筋障害性化学療法や縦隔照射,違法薬物,
成人先天性心疾患診療ガイドライン
腎疾患,肝疾患,睡眠時無呼吸,甲状腺機能障害(機能
どの先天性心疾患で予防投薬を推奨している 13).日本の
亢進あるいは機能低下)肥満が挙げられる 75).
先天性心疾患の心内膜炎に関する多施設研究結果では,
医療の進歩とともに外科治療や内科治療も変化するた
中等度リスク群の歯科処置後の心内膜炎発症を 6%程度
め,今後も心不全の病態も変わることが予想される.
に認めている.さらに,心内膜炎の死亡率は 8.8%であり,
3
感染性心内膜炎
感染性心内膜炎は,一定数に発症し 115),116),罹病率,
死亡率が高い.最近は,成人先天性心疾患に多く認め
る 117)−119).成人先天性心疾患にみられる心内膜炎の特
徴を表 8 に示す
117),118)
.
いわゆる中等度リスク疾患以下でも心内膜炎による死亡
率は決して低くはないとしている 117).
①基礎心疾患別リスク(表 9)
心房中隔欠損単独の場合を除く,大部分の未修復先天
性心疾患は,心内膜炎のリスクがある.複雑先天性心疾
発症予防は非常に重要で,予防のためには,(1)ハイ
患は,人工材料を用いる手術が多く修復術後も感染リス
リスク心疾患,(2)感染危険率の高い手技・処置,(3)
クが高い.日本の多施設研究 117)では,術後の心内膜炎
心内膜炎の予防法を認識することが必要である.AHA
が全体の 55 %を占める(修復術後:63 %,姑息術後:
の心内膜炎ガイドラインは,中等度リスク以下の先天性
37%).この内,チアノーゼ性心疾患は 75%で,姑息術
心疾患では,歯科処置の際の抗菌薬予防が推奨されな
後では,高頻度に認められる.成人先天性心疾患の心内
.2008 年の AHA の成人先天性心疾患ガイ
膜炎は,心室中隔欠損が多く,次いで,Fallot 四徴,僧
いとした
120)
ドラインは,高リスク群での予防投薬を推奨するととも
に,大動脈二尖弁等ハイリスク心疾患以外でも予防投与
を許容している 4).一方,日本循環器学会の心内膜炎ガ
イドラインは,心房中隔欠損(二次口型)を除きほとん
帽弁疾患,大動脈弁疾患と続く 117),121).
②症状
感染症状(発熱等)に基礎疾患,感染部位,塞栓部位,
表 8 成人先天性心疾患にみられる心内膜炎の特徴
1.原因が判明した場合は,歯科処置,次いで,心臓外科処置に起因することが多い
2.右心系感染の頻度が高い
3.心不全,塞栓症状の頻度が低い
4.抗菌薬治療は概ね良好
5.急性期の心臓外科手術頻度が高い
6.人工材料感染が多い
7.経食道エコー法診断を必要とする
表 9 基礎疾患別リスク
1.高度リスク群
人工弁術後
細菌性心内膜炎の既往
複雑チアノーゼ型先天性心疾患(未手術 / 人工材料を使った修復術後)
体肺動脈短絡術後
人工材料を使用した心房中隔欠損,心室中隔欠損の修復術後やデバイス閉鎖後 6 か月以内
2.中等度リスク群
ハイリスク群を除くほとんどの先天性心疾患
弁機能不全
肥大型心筋症
弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
3.感染の危険性が特に高くない例(一般の人と同等の危険率)
単独の二次孔型心房中隔欠損
心房中隔欠損,心室中隔欠損もしくは動脈管開存の術後(術後 6 か月を経過し続発症を認めない例)
冠動脈バイパス術後
逆流を合併しない僧帽弁逸脱
無害性心雑音
弁機能不全を伴わない川崎病既往例
弁機能不全を伴わないリウマチ熱既往例
(文献 123 を改変)
9
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
免疫学的反応等の影響が加わり,多彩な症状を呈する.
特に人工弁置換術後は,バンコマイシンを併用する 128).
合併症は,弁逆流悪化,心不全,弁輪部膿瘍,人工弁機
能不全,全身塞栓,脳塞栓,不整脈,膿瘍形成,細菌性
4)外科的治療法
動脈瘤であり,全体の約 50%に認められる 122).
外科手術の適応,時期
外科療法の適応は,心不全増強,感染コントロール不
③診断
良,可動性疣腫(> 10mm),塞栓,真菌感染,人工弁
123),124)
Duke(modified)Criteria
は先天性心疾患にも有
用な診断基準とされる.
感染,進行性病変(弁輪周囲膿瘍,心筋膿瘍,伝導系異
常),人工材料(グラフト等)感染である 129),130).急性
期でも,血行動態が悪化すれば,ためらわずに外科治療
を行うことが推奨されている 13),131),132).
1)血液培養
原因菌は初期 3 回の培養で検出されることが多いた
め,培養は 24 時間に 2 ~ 3 回で十分である 125).菌血症
5)予防
は持続的に生じているため,高熱時のみに培養を行う意
予防に関する患者教育は大切で,特に 10 ~ 20 歳台の
味はない.血液培養の陽性率は,68 ~ 98 %である(日
患者は,予防に関する注意を繰り返し喚起する必要があ
本多施設研究では 84.1%)117).
る 133),134).
2)心エコー法
① 予防を必要とする手技,処置
疣腫の大きさ,形態,位置,可動性,弁逆流,心機能
循環器病の診断と治療に関するガイドラン・感染性心
.塞栓のリスク,手術適応の決定に
内膜炎ガイドラインを参照 13).正常分娩でも,会陰切開
も有用である.人工材料感染は,疣腫の検出が困難な場
等侵襲的操作を加えることも多いため,感染リスクがあ
を診断できる
合がある
126),127)
125)
る疾患での出産時は,抗菌薬投与が推奨される 4).
.
3)内科的治療法
② 歯科,口腔,呼吸器,食道の手技,処置における抗
① 推奨される抗菌薬とその使用法(菌種が同定されて
菌薬予防法(表 10)
抗菌薬予防が重要だが,日常生活での予防(歯磨きの
いる場合)
広く用いられる抗菌薬治療法は,循環器病の診断と治
励行,にきび,アトピーのケア,爪かみの中止等)も重
療に関するガイドラン・感染性心内膜炎ガイドラインを
要である 11),134).心臓手術予定患者は,歯科処置を術前
参照
13)
に済ませることが推奨される.
.
② エンピリック治療(菌種が同定されていない場合)
一般的に,亜急性(口腔内感染が疑われる場合等)で
4
チアノーゼ型先天性心疾患にみられ
る全身系統的異常
あれば,α溶血性レンサ球菌,腸球菌に有効であるペニ
未修復術あるいは姑息手術後のチアノーゼ型先天性心
シリン G(ないしはアンピシリン)とアミノグルコシド
疾患は,長期にわたる低酸素血症とそれに付随した二次
系薬剤の組み合わせとする.急性でメチシリン耐性ブド
性赤血球増多により,中枢神経系,血液凝固系,全身血
ウ球菌が強く疑われる場合,心臓手術後 2 か月以内で,
管系,心筋・冠循環,尿酸代謝,腎臓,四肢骨格等,全
表 10 歯科,口腔,呼吸器,食道の手技,処置における予防法
抗菌薬
投与法
経口投与可能
アモキシシリン
2g/ 回処置 1 時間前経口
経口投与不可
アンピシリン
2g/ 回処置 30 分以内に静注
(1)クリンダマイシン
600mg/ 回処置 1 時間前に経口
ペニシリンアレルギーがある場合
(2)アジスロマイシンあるいは
500mg/ 回処置 1 時間前に経口
クラリスロマイシン
(1)クリンダマイシン
600mg/ 回処置 30 分以内に静注
ペニシリンアレルギーがあり,経口投与不可
(2)セファゾリン
1g/ 回処置 30 分以内に静注
(注)これらの投与量,投与回数は,多数例での証拠に基づいていないため,体格,体重に応じて減量可能と考えられる.
対象
10
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 11 チアノーゼ先天性心疾患の全身合併症(文献 135 より改変)
1.血液学的異常
赤血球数の増加
エリスロポエチン高値
過粘稠度症候群
出血傾向(血小板減少,von Willebrand 因子異常,血管拡張,新生血管増生)
脳血栓
肺内出血・喀血
2.ビリルビン代謝異常
胆石・胆のう炎
3.尿酸代謝異常
尿酸値高値・痛風発作
4.低コレステロール血症
5.腎合併症
蛋白尿,腎機能低下,ネフローゼ症候群,腎不全
糸球体毛細血管拡張,間質細胞増生
6.運動時心肺異常反応
運動時多呼吸,酸素消費量増加不良
7.全身血管系異常
末梢血管拡張,血管新生,冠動脈拡張,冠血流予備能低下
8.四肢,長管骨の異常
ばち状指,肥厚性骨関節症
9.感染性心内膜炎
身多臓器の異常を伴う(表 11).これらの合併症を早期
筋肉痛,筋力低下,手指や口唇の感覚異常等過粘稠度症
に診断し,悪化因子を除去し(表 12)
,予防と的確な治
候群を来たし,脳血管障害(脳血栓)の危険性が増す.
療を行うことが,QOL や予後を改善させるために重要
一般的に,ヘマトクリット値 65 %以上で過粘稠症候群
である.我が国の多施設共同研究では,チアノーゼ型先
の症状を認めるが,慢性消化管出血や大量生理出血等鉄
天性心疾患の長期予後は,18 歳以降の 10 年生存率 91%,
欠乏性貧血を合併する場合には,65 %以下でも症状を
20 年生存率 84%と,これまでの報告に比べ良好であり,
来たしやすい.これに対し,鉄欠乏のない正球性赤血球
これは近年の早期診断と治療の開始を反映しているもの
増加の場合には,ヘマトクリット値が 65 %以上であっ
と思われる
135)
.
①過粘稠症候群
ても,症状がないか軽度である.
【管理指針】まず,脱水と鉄欠乏貧血の有無を判定し,
慢性低酸素に伴いエリスロポエチン分泌が増加してい
これらがあれば補正を行う.瀉血の適応は,脱水と鉄欠
るため,常に骨髄造血が亢進している.このため赤血球
乏貧血を改善しても明らかな過粘稠症候群があり,ヘマ
数が増加し,その程度に応じて血液粘稠度は上昇する.
トクリット値が 65 %以上の場合とする(Class I).術
血清鉄が欠乏し相対的鉄欠乏性貧血を合併すると,赤血
中出血を軽減するため,術前にヘマトクリット値 65 %
球形態は球状となり血球の変形能は低下し,末梢循環障
以下を目標に瀉血を行う場合があり,凍結血漿等で凝固
害を来たし,組織への酸素運搬能は低下する.その結果,
因子を補充する.ヘマトクリット値のみに基づく頻回の
頭痛,めまい,失神,視力障害(複視,ぼやけ),耳鳴,
瀉血は,鉄欠乏を来たし血液粘度をさらに上昇させ悪循
環となり,脳血栓の危険性も高まるため,過粘稠症候群
表 12 チアノーゼ先天性心疾患の状態悪化因子
1.妊娠
2.全身麻酔
3.脱水
4.大量出血,貧血
5.非心臓手術
6.心臓手術
7.血管拡張薬,利尿薬,経口避妊薬(一部)
,鎮痛解熱薬
8.心臓カテーテル検査,運動負荷試験
9.フィルターのない静脈ライン,長時間の座位
10.高地訪問
11.下気道,肺感染
の症状がない限り避けることが望ましい 4),136)−138).
②出血傾向
約 20 %のチアノーゼ性心疾患で,血小板の減少や機
能異常,von Willebrand 因子やその他の凝固因子の減少
等の出血凝固系異常が認められる.さらに,赤血球増加
に伴い血管内皮の shear streess が上昇し,一酸化窒素,
プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン や VEGF(vascular endothelial
growth factor)産生が亢進し,細動脈拡張や毛細血管増
11
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
生を生じる.この出血凝固異常と細動脈拡張や毛細血管
【管理指針】痛風発作時の治療法は一般的な痛風性関節
増生のため,臨床上出血しやすい状態にある.喀血(肺
炎と同様であり,コルヒチンやアロプリノールが有効で
外出血),肺内出血の頻度は高く,下気道感染時に多く
ある.無症状の高尿酸血症に対して治療は行わない
認められ,時に致死的となる.Eisenmenger 症候群の肺
が,136),137),141)痛風発作既往例では,尿酸産生抑制薬,
動脈瘤破裂と肺動脈血管梗塞,肺血流減少性心疾患に合
排泄促進薬の投与や食事の指導と尿のアルカリ化を計る
併する体肺側副血行路や肺内新生血管からの出血が原因
ことも行われる.
である.
【管理指針】中等度以上の肺出血が疑われる場合は,原
則として入院安静とし,胸部 X 線や必要であれば CT ス
脳梗塞,脳出血,脳膿瘍等がある.脳血栓の発症率は
キャンで,出血の程度や部位,肺血栓の有無を確認する.
低く,赤血球増多単独では脳血栓の危険因子とはならな
出血量が多い場合は,血液製剤投与やビタミン K 製剤投
い.しかし,チアノーゼ性先天性心疾患成人例に頭部
与を行う.内因性の von Willebrand 因子誘導薬である,
CT 検査を行うと,無症候性の陳旧性脳血栓を認めるこ
Desmopressin が有効な場合がある
135)
.側副血行路から
とが少なくない.
の出血の場合,責任血管のコイル閉鎖術が有効な場合も
【管理指針】本来出血傾向が強く,肺出血が致命的にな
あるが,明らかな責任血管が不明である場合が多い.ま
ることがあるため,脳血栓予防のための抗血小板薬,抗
た,出血急性期に施行する場合には,出血を助長するこ
凝固薬投与は,できるだけ慎重になるべきである.しか
とがあり,その施行には慎重な検討が必要である.気管
し,脳血栓・塞栓を含む全身血栓既往例や,心房細動,
支鏡検査は,元来出血傾向のあるため出血を助長する可
妊娠後期,Fontan 術後等の凝固能亢進状態では,抗血小
能性があり,また出血部位の同定に有用でない場合が多
板薬や抗凝固薬投与が検討される 137),148)−150).
く,一般的にはすすめられない
135),137)−143)
.
⑥ビリルビン代謝異常(胆嚢結石,胆嚢炎)
③腎障害,尿酸代謝異常
赤血球増多により,肝臓でのビリルビン処理能を超え
腎機能異常として,蛋白尿,高尿酸血症,糸球体硬化
たビリルビン過剰産生により,胆道内の非水溶性の非抱
症がある.過粘度の血液ろ過が行われるため,糸球体内
合ビリルビンが増加する.このためと慢性の腎機能低下
静水圧が上昇し,蛋白尿を生ずる.ネフローゼ症候群,
のため,胆嚢内にビリルビン石が生じやすく,胆嚢炎の
チアノーゼ腎症(血清クレアチニン> 1.5mg/dL)とな
併発も少なくない 2).修復術によりチアノーゼや赤血球増
る例も見られるが,最近の全国調査では,チアノーゼ性
多が解消した術後長期遠隔期でも,胆石保有率は高く 150),
先天性心疾患患者の 1.6%と頻度は低い
急性胆嚢炎を認めることがある.時にグラム陰性菌によ
143),144)
.
【管理指針】チアノーゼ性腎症に,ACE 阻害薬が有効と
る菌血症を伴うことがあり,心内膜炎の合併にも注意が
の報告があるが,末梢血管の拡張に伴う右左短絡の増加
必要である.症状がない限り,手術は控えた方が望まし
により,チアノーゼの増強や赤血球増多を助長する可能
い 135),137).(非心臓手術の項参照)
性があり,注意が必要である.定期的な血液検査,尿検
査が必要である.糸球体濾過率(GFR)が著しく低下し
⑦末梢血管拡張,増生
た症例では,造影剤や薬剤投与(特に抗菌薬や ACE 阻
赤血球増多.血液粘稠度の増加に基づく shear stress
害薬等)には注意を要し,適切な投与量の設定が必要で
増大により,血管内皮を介して一酸化窒素(NO),プロ
ある 135),137),145)−147).
スタグランジン分泌亢進が起こり,末梢血管拡張が生じ
④尿酸代謝異常
る.さらに,血管新生が盛んで全身の末梢血管,毛細血
管が増生する.このような末梢血管床の発達は,慢性的
血清尿酸値はヘマトクリット値と正相関し,加齢とと
な組織低酸素状態に対する二次的な反応と考えられてい
もに上昇する.フロセマイド投与例でも上昇する.赤血
る.
球増多に伴う尿酸産生増加と尿細管異常による尿酸の再
【管理指針】元来の血液凝固異常や末梢血管拡張や増生
吸収増加が主な原因と考えられている.尿酸腎症や尿酸
のため,手術時に大量出血を伴うことがあり注意が必要
結石を来たすことはまれである.約 20 %程度に痛風性
である 135),137).
関節炎がみられるが,尿酸値の値から予想されるほど高
頻度ではない.
12
⑤中枢神経系異常
成人先天性心疾患診療ガイドライン
感染症への暴露である.機内では,気圧低下に伴い約 8
⑧冠動脈異常,心筋障害
%の酸素飽和度の低下が起こるが,無意識の多呼吸で対
心筋細胞肥大がないにもかかわらず,冠動脈拡張・蛇
応しているため,全身状態には影響を及ぼさない.チア
行が認められる場合がある.これは,末梢血管拡張の発
ノーゼ性心疾患患者では,赤血球増加と酸素解離曲線の
症機序と同様で,心筋の慢性酸素欠乏状態に対する適応
右方偏位により,組織への酸素運搬が維持されているた
反応と考えられる.冠動脈が拡張していても,動脈血酸
め,影響は少ない.しかし,状態悪化時の対応に備え,
素飽和度の高度低下例,心筋肥大例,酸素需要の高い状
酸素ボンベの準備は望ましい(Class Ⅱ).機内は,湿度
態では,それに見合うだけの酸素は供給されない.また,
が非常に低いため,脱水による血液濃縮,血栓形成,静
冠動脈血流量は安静時,負荷時ともに一般人と比較し多
脈血栓を生じやすい.特に,12 時間以上の長時間の飛
いが,冠血流予備能は低下している.そのため,慢性低
行では,深部静脈血栓からの thromboembolism や脳血栓
酸素血症に伴う二次的な心筋障害が長期にわたり,非可
の危険性が高いため,十分な水分補給(アルコールやカ
逆性の心筋障害へと進行する 135),151).
フェインを含まない水分)による脱水の予防が重要であ
脂質代謝異常があり,血中総コレステロール,LDL
る(Class I).また,着席での下肢の運動,時々の離席
( l o w d e n s i t y l i p o p r o t e i n ), H D L ( h i g h d e n s i t y
と機内歩行,弾力ストッキングの着用等の工夫が必要で
lipoprotein)のすべてが,心修復術後でも低値をとる.
ある.特に,Fontan 術後で抗凝固療法を行っていない場
また,冠動脈粥状硬化病変は認められず,虚血性心疾患
合には,一時的にアスピリンを 1 週間前から帰国まで服
の頻度も非常に低い 135).
用させることも血栓塞栓の予防として有用である.また,
過度の緊張や空港内の長距離の移動を避けるため,車い
⑨四肢の異常
すの利用を考慮する.これらの注意点を守れば,飛行機
ばち状指,肥厚性骨関節炎等が合併する.肥厚性骨関
による旅行も十分に可能である 4),137),153)−155).肺高血圧
節炎は約 30 %に認められ,無症状から高度の圧痛や自
を有する患者でチアノーゼを伴わない場合は,反応性の
発痛を伴うものまで症状は様々である.側弯も高頻度に
多呼吸が十分でないことが多く,あるいは,多呼吸を生
認められ,重症例では,呼吸機能を障害し,整形外科的
じても酸素解離曲線の左方偏移が起こり組織への酸素運
治療を要する場合もある.爪周囲組織の増生や骨膜肥厚
搬が低下する.この低酸素や脱水が肺高血圧クリーゼを
等の増殖性変化は,腎臓での細胞増生と同様に巨核球,
誘発しやすく,飛行機旅行はすすめられない.しかし,
血小板組織増生因子と関連する
135),152)
.
⑩運動に対する心肺の特異的反応
Eisenmenger 症候群のように肺高血圧にチアノーゼを伴
う場合は,赤血球増加と酸素解離曲線の右方偏位により
飛行中の毛細管酸素分圧低下はわずかであり,組織への
安静時には,呼吸数増加と動脈血二酸化炭素分圧の上
酸素運搬はほとんど減少しない.このため,Eisenmenger
昇があり,運動開始後には早期に呼吸数増加が見られる
症候群の飛行機旅行は,安全とされている 153),156).
ことが特徴である.運動開始後早期多呼吸は,運動によ
る体血管抵抗低下に伴う右左短絡の増大,末梢低酸素に
よる代謝性アシドーシスに対する二次的反応である.運
動制限は,多くの場合,心機能低下ではなく呼吸困難に
5
肺高血圧(病態)
①背景
起因する.運動時の酸素消費量は,肺血流量と肺動静脈
安静時仰臥位での主肺動脈平均圧が 25mmHg,労作
酸素飽和度較差に依存するため,肺血流量増加が少ない
時 30mmHg 以上,肺動脈楔入圧 15mmHg 以下で,肺血
本疾患群では,運動時の酸素消費量の増加が少なく,安
管抵抗が,10Wood 単位 /m2 以上を伴う場合を肺高血圧
定状態となるまで長時間を要する.また,運動後,クレ
と定義する.肺動脈血圧は,胎内では大動脈圧とほぼ同
アチニンリン酸の再合成が遅れるため,回復時間も遅延
一であるが,その後生理的に下降し生後 3 週間で成人レ
する.組織低酸素や骨格筋内乳酸値上昇も,運動耐容能
ベルに低下する.中等度以上の左右短絡が持続すると肺
を大きく制限する因子である
135),137)
.
⑪飛行機旅行
動脈閉塞性疾患に発展するが,適切な時期に手術を行え
ば肺高血圧は可逆的である.しかし,既に小児期に手術
適応のない症例や,欠損孔が存在するにもかかわらず出
飛行機旅行での問題点は,低酸素,静脈血栓,生理的
生後も左右短絡による肺血流増加の時期がみられずに肺
精神的ストレス,心疾患病態悪化(不整脈,肺血栓等),
高血圧が進行することがある 157).
13
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
肺高血圧が非可逆的になり,左右短絡の減少による肺
うっ血の軽減と右左短絡の増加によるチアノーゼが出現
③症状と診断
すると,Eisenmenger 症候群と呼ばれる血行動態となる.
表 13 に臨床症状を示す 159).
肺血管抵抗は 10Wood 単位 /m2 以上となり,肺体血管抵
失神発作:特に修復術後の短絡のない肺高血圧では運
抗比も 1 に近くなる.
動誘発性の失神発作がある.時に突然死を認める.これ
Eisenmenger 症候群の生命予後は最近改善してきた
は,運動に伴う肺血管拡張が生じないにもかかわらず,
が,多くは 30 歳後半から 40 歳代であり,最後の数年は
末梢血管は拡張し血圧と脳血流が低下するためである.
低酸素血症と心不全症状が強い.
心房中隔欠損に伴う肺高血圧では,心室中隔欠損・肺高
②病態生理学的異常 158)
血圧,動脈管開存・肺高血圧と異なり,運動に伴う右−
左短絡が充分に生じないため,失神を来たすことがある.
2008 年(Dana Point)WHO 分 類 が 改 訂 さ れ,
運動時呼吸困難:軽度の等張性運動では変化がないが,
Eisenmenger 症候群は各種疾患に伴う肺動脈性肺高血圧
等尺性運動では症状が増悪する.短絡の残っている(非
として 1.4.4 の先天性心疾患に分類された.
手術)肺高血圧では右−左短絡が増加し,酸素飽和度の
低下と二酸化炭素の増加により,呼吸中枢の反射で呼吸
1)血管作動物質
促迫になり,“息苦しさ”を感じる.
肺血管に作用する血管作動物質の異常が存在する.血
診察上,聴診では,心音Ⅱ音の単一亢進,短絡性の収
管収縮物質には,エンドセリン 1,トロンボキサン A2,
縮期心雑音は消失し,三尖弁閉鎖不全,そして拡張期の
アンギオテンシン,プロスタグランジン F2 α等がある.
肺動脈弁逆流心雑音(Graham-Steell 雑音),時に肺動脈
一方これに拮抗する拡張性物質にはプロスタサイクリン
性の収縮期クリックが聴かれる.
(PGI2),一酸化窒素(NO),プロスタグランジン E1 が
あり,通常肺高血圧では,血管収縮物質の過剰と拡張物
質の減少が特徴である.また多くの血管収縮物質には細
診断に有用な検査を表 14 に挙げる.
④非手術例
胞増殖作用があり,これらには内皮細胞障害,血管腫の
Eisenmenger 症候群は,左−右短絡性疾患に伴う肺血
リモデリング(再構築)とアポトーシス抵抗性を示す.
管の非可逆的閉塞性変化である.臨床症状としては,右
左短絡のための労作時低酸素血症,チアノーゼ,ばち状
2)血管壁の再構築
指,高尿酸血症,慢性腎疾患(蛋白尿,慢性腎炎,ネフ
病理学的特徴は,血管内微小血栓・凝固異常,血管壁
ローゼ症候群),肥厚性骨関節症,血栓塞栓症,細菌性
の細胞増生と肥厚,血管壁の再構築である.分子学的に
心内膜炎,過粘度症候群等の全身症状を伴う.
はエンドセリン,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発
現亢進,内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS),プロス
1)心房中隔欠損症に合併する肺高血圧症
タグランジン I2 の発現減弱が認められる.
心房中隔欠損の修復手術適応は肺体血流量比 Qp/Qs >
1.3,肺血管抵抗値 PVR < 14 単位で拡張反応の残存例と
3)遺伝子異常
されている.Eisenmenger 症候群でも,三尖弁前短絡(例:
肺 動 脈 性 肺 高 血 圧 の 分 子 学 的 異 常 の 1 つ に,Bone
心房中隔欠損)と三尖弁後短絡(例:心室中隔欠損や動
Morphogenetic Protein Receptor Type Ⅱ(BMPR2)の変
脈管開存)では血行動態が異なる(表 15).心房中隔欠
異,Activin receptor-like kinase-1(Alk1)の変異が報告
損・Eisenmenger 症候群では著しい右室機能低下があり,
されている.特発性肺高血圧の散発例で 10 ~ 30%,家
右室圧は全身血圧以上に高く著明な右室拡大を示す.左
族例でも 40 ~ 70 %で認められる.Eisenmenger 症候群
室は歪んで押しつぶされた三日月状である.一方,心室
では 6 %との報告がある 159).その他修飾因子 modifier
gene として,eNOS,Serotonin transporter,アンジオテ
ン シ ン Ⅱ, ア ン ジ オ テ ン シ ン 変 換 酵 素(ACE) の
polymorphism,Kv チャネル,内皮細胞依存性過分極因
子(EDHF),細胞外マトリックス等の異常が考慮され
ている.
14
表 13 肺動脈性肺高血圧の主な症状
呼吸困難,低酸素血症
バチ状指
胸痛,動悸
運動時失神
右心不全による浮腫(顔面,前脛骨部)
頚静脈怒張
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 14 肺高血圧の検査
Ⅰ.生理学的検査
● 心電図(強い右軸偏位,右室肥大)
● 心エコー法(右房,右室,肺動脈の拡大,左室の縮小化)肺動脈弁逆流,三尖弁逆流
● 負荷心電図
● 24 時間ホルター心電図(特に心房性頻拍,心房細動,発作性上室性頻脈)
● 経皮酸素モニタリング
● 肺機能検査
● 6 分間歩行
Ⅱ.画像検査
● 胸部 X 線(心拡大,主肺動脈,右肺動脈枝の拡張,肺野末梢の血流減少)
● CT(主肺動脈の拡大,肺動脈末梢狭小化,血栓の有無)
● 肺血流シンチグラフィー(血栓による局所性灌流欠損)
● 心筋シンチグラフィー(右室の描出,拡大)腹部超音波,肝胆系,門脈系の異常
● MRI
Ⅲ.血液検査
● 血算,生化学検査,肝,腎機能,甲状腺機能検査
● 出血・凝固検査,プロテイン C,プロテイン S
● 尿検査
● 膠原病関連検査,抗リン脂質抗体
● 血管作動物質 hANP,BNP,エンドセリン 1,トロンボキサン B2,6 - Keto-prostaglandin F1 alpha
Ⅳ.尿検査
表 15 心房中隔欠損・肺高血圧と心室中隔欠損(動脈管開存)・肺高血圧の相違
Eisenmenger 症候群
心疾患
右室圧
右室不全
右室サイズ
壁厚
右房圧
三尖弁前短絡
心房中隔欠損
>大動脈血圧
頻度高い
拡大
肥厚
上昇
三尖弁後短絡
心室中隔欠損,動脈管開存
≒大動脈血圧
稀
左室と同じ
左室と同じ
正常
左室形態
三日月型
D型
表 16 肺高血圧に対する心臓カテーテル検査
1)肺血管抵抗
肺動脈平均圧(PAm)
,大動脈平均圧(Aom)
,右房平均圧(RAm)
,肺動脈楔入平均圧(PCW)
,心係数(CI)を測定し肺血管
抵抗(Rp)
,体血管抵抗(Rs)
,肺体血管抵抗比(Rp/Rs)を算出する.肺血管抵抗値から 10Wood 単位 /m2 以上を肺高血圧症
と定義し,8 ~ 10Wood 単位 /m2 は境界領域である.
2)急性負荷試験
a.純酸素吸入試験:純酸素 10 ~ 15L/min を 10 ~ 15 分吸入させる.
b.一酸化窒素吸入,プロスタグランジン I2 静注,ニフェジピン等の投与により拡張性の有無が検索できる.
c.上記の負荷によって肺血管抵抗が 6Wood 単位 /m2 以下となる症例は予後良好である.
d.肺血管抵抗が> 20%低下,肺動脈平均圧が> 20%低下し,心拍出量が増加する場合を Responder,肺血管抵抗が< 20%の
低下で,肺動脈平均圧が減少しない場合を Non-Responder と呼ぶ.
中隔欠損・Eisenmenger 症候群は,心室中隔が平坦で左
室は D 型を示すことが多い.右室 / 左室の壁肥厚は同程
2)手術適応の最終決定
度,右室機能は比較的正常である.右室機能低下時は,
肺血管抵抗値が規定以上に上昇している場合は,修復
左室機能もある程度低下している.特発性肺動脈高血圧
術が不可能である.それぞれの疾患で手術適応の目安が
の一部には大きな心房中隔欠損を伴う場合があるが,若
決定されている(各論参照).心臓カテーテル検査での
年例の心房中隔欠損・肺高血圧で肺血管抵抗値が 10 ~
血行動態指標と,血管拡張薬や 100%酸素吸入への反応
14Wood 単位以上で 20 ~ 30Wood 単位という高値を示す
性が目安となる(表 16).境界線上の症例では肺生検に
症例は,特発性肺動脈高血圧・心房中隔欠損と考えるの
160)
おいて,Heath-Edwards(Grade Ⅰ - Ⅵ)
,八巻(IPVD
が妥当と思われる.
161)
法)
または Ravinovitch の基準(A,B,C)162)を参考に
15
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
して適応を判定する.Heath Edwards 分類Ⅲ度以上は手
術禁忌とされている.
⑤手術例
表 17 に,主な先天性心疾患の手術適応基準を示す.
一般的に,早期の心内修復術は肺血管床の正常な発育
先天性心疾患に伴う左右短絡による肺高血圧は適切な
を促し,肺高血圧の発症を抑制する.しかし,一部では
時期に手術を行うことによって正常化する(Class Ⅰ,
修復術施行数年~ 10 数年後にも肺高血圧の新たな発症
Level B).しかしながら手術時期を逸した症例では,術
が見られることがある.肺高血圧を伴う主な先天性心疾
後に肺動脈圧が十分低下しない場合や遠隔期に再度肺高
患の肺高血圧の特徴を示す(表 18).
163)
血圧を発症することがある (Class Ⅰ,Level B).また,
重症肺高血圧(Eisenmenger 症候群)に対する修復手術
は禁忌である(Class Ⅰ,Level B).
⑥生活管理
Eisenmenger 症候群では表 19 に挙げる症状悪化因子
に日常生活で注意する.
表 17 主な先天性心疾患の心内修復手術の(Class Ⅰ,level B)手術適応
a.心房中隔欠損
肺血管抵抗 14Wood 単位 /m2 以下は手術適応とする
b.心室中隔欠損
肺血管抵抗 8 ~ 10Wood 単位 /m2 以下を手術適応とする.
肺血管抵抗が上昇している症例では,トラゾリン負荷試験または酸素負荷試験を行い,肺血管抵抗が 7Wood 単位 /m2 以下
となる症例は手術適応とする.
c.動脈管開存
左右短絡を有していれば手術適応とする
心房中隔欠損
動脈管開存
心室中隔欠損
完全大血管転位
房室中隔欠損
総肺動脈還流異常
Fallot 四徴
表 18 主な先天性心疾患と合併する肺高血圧の特徴
本来肺高血圧合併はまれで 10%以下
右左短絡がない場合でも妊娠は High Risk
40 歳以上の有症状者は,軽度から中等度の肺高血圧がある
若年女性で高い肺血管抵抗が存在する時は特発性肺高血圧の合併を考慮
心房中隔欠損合併の特発性肺高血圧は短絡なしの症例より予後が良い
肺高血圧合併症例では左室容量負荷がなく左心不全なし
肺高血圧を合併しない大短絡症例は成人にまで達し得ない
運動時息切れ等の症状は他疾患の合併肺高血圧より軽度
肺高血圧合併は手術時年齢と術前肺高血圧の程度による
術前 5 単位以上では,5 年後生存率 25%
2 歳以下の修復手術であれば概ね術後肺高血圧なし
長期経過後の肺高血圧発現は手術時年齢と肺血管抵抗に依存する
肺血管抵抗値が 10 単位以上であれば,5 年後生存率 75%
心室中隔欠損合併例では 6 か月で肺血管閉塞性病変の変化が見られる
心室中隔欠損と肺動脈弁狭窄のない動脈管開存合併例では概ね肺高血圧は改善するがまれに肺高血圧が持続
幼児で 5 ~ 10%は術前肺血管抵抗が正常でも肺高血圧が起きる
Down 症候群では術後も肺高血圧が持続することがある
大部分は術後に肺高血圧は改善する
Potts 術後は肺高血圧が生じ易いが,Blalock-Taussig シャント後でも生じる場合がある
表 19 Eisenmenger 症候群の症状悪化因子
● 妊娠・出産
● 全身麻酔,非心臓手術,心臓手術(姑息手術)
● 脱水,過量な利尿薬投与,感染,経口避妊薬の一部
● 心臓カテーテル検査,運動負荷テスト,呼吸機能検査
,長時間の飛行機搭乗
● 長時間の座位(エコノミークラス症候群)
● 高地訪問,喫煙,抗凝固薬・抗血小板薬の過剰投与
16
成人先天性心疾患診療ガイドライン
⑦ Eisenmenger 症候群の自然歴 163),164)
内科的治療の改善により,Eisenmenger 症候群は,40
~ 60 歳代まで生存が可能となった.先天性心疾患の自
ある.続発症,遺残症,合併症の進行は個人差もあるた
め,長期の継続的な経過観察が必要である 167),168).
①遺残症
然歴の調査では心室中隔欠損を伴う Eisenmenger 症候群
1)電気生理学的異常
の 25 年生存率は 42%である 165).複雑先天性心疾患(25.8
(1)軸偏位,(2)伝導障害,(3)洞機能異常,(4)不
± 7.9 歳)は単純先天性心疾患(32.5 ± 14.6 歳)よりも
整脈に分類できる.
予後不良であり,平均死亡年齢は 37.0 ± 13.3 歳との報
(1)軸偏位:房室中隔欠損,三尖弁閉鎖,左室性単心室
告がある 166).また,初診後の 5 年生存率は総動脈幹:
では左軸偏位が認められ 168),術後も持続する.一方,
91 %,心室中隔欠損:67 %,単心室:34 %との報告も
術前に認められる右軸偏位の多くは術後消失する.
ある
(2)伝導障害:房室中隔欠損の房室伝導障害は,術後も
141)
.
NYHA 機能分類Ⅲ,Ⅳ,上室性不整脈,右房圧 7mmHg
以上,酸素飽和度 85 %以下,クレアチニン高値,尿酸
高値,右室不全がある症例の予後は不良である 163),111),112).
6
心血管修復術後の遺残症,続発症,
合併症
残存する.
(3)洞機能異常 : 上大静脈洞欠損型の心房中隔欠損では
心房ペースメーカは下方に移動することがあり,こ
れは術後も持続する.
(4)不整脈:心房粗細動は,心房中隔欠損,房室弁逆流
に合併するが,術後も持続 / 再発することが多い.
先天性心疾患の長期生存に従い,疾患ごとの術後の問
2)半月弁 / 生体弁の逆流 / 狭窄
題点が明らかになってきた.小児期に適切な手術が行わ
軽度の場合は手術時に放置するため,多くは遺残病変
れても,各疾患あるいは術式に特徴的な形態 / 機能異常
となる.
が年齢に伴い進行して内科治療や再手術を必要とするこ
3)血管系の異常
とがある.これらの異常は,遺残症,続発症,合併症に
大 動 脈 二 尖 弁, 大 動 脈 縮 窄 は 大 動 脈 中 膜 に cystic
分類できる.遺残症は,術前より認める心血管系異常で,
medial necrosis を内在し,術後も経年的に大動脈拡張を
手術とは無関係に術後も持続する.続発症は,修復術に
生じ aortopathy として認識される 169),170).チアノーゼ性
伴 っ て 必 然 的 に 発 生 し, 術 後 も 継 続 す る( 表 20).
心疾患にみられる冠動脈拡張,Fallot 四徴に合併する冠
Fallot 四徴修復手術後の右室流出路狭窄は遺残症,肺動
動脈走行異常,右大動脈弓は,術後も持続する.肺高血
脈弁逆流は続発症である.複雑心疾患には,その疾患に
圧は,修復術後の重大な遺残症である.
特徴的な遺残症,続発症が存在する.遺残症,続発症が
4)非心臓血管系
進行すると QOL を低下させ,不整脈,心不全を生じ.
側彎等の骨格系異常,中枢神経系異常,てんかんは術
内科治療,再手術を含む侵襲的治療が必要となる場合も
後も持続する 171).チアノーゼ性疾患の胆石(ビリルビ
表 20 心血管修復術後の遺残症と続発症
遺残症
電気生理学的異常(電気軸,脚ブロック)
半月弁,房室弁異常(逆流,狭窄)
心室形態,機能異常(体心室右室)
血管系:形態異常(奇静脈)
,欠損(下大静脈欠損)
,高血圧,肺高血圧
非心臓血管系:発達異常(精神発達遅滞)
,発育異常,外表異常
中枢神経系異常:神経学的欠損,てんかん
続発症
電気生理学的異常
心房切開:心房内修復術,心室内修復術(上室性,心室性不整脈の回旋路)
心室切開:心室内修復術(右脚ブロック)
半月弁,生体弁異常(弁切開後の弁逆流)
心室流入路,流出路異常(右室流出路心室瘤)
人工材料:パッチ,弁,導管
心筋,心内膜(術後一過性心機能低下)
血管系(古典的 Blalock-Taussig 短絡術後の上肢血流低下)
神経系(横隔膜神経麻痺)
17
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
ン石),胆嚢炎は修復術後も発生する 2)が,高尿酸血症,
弁の種類,血行動態,置換部位,年齢,性別によって異
痛風は消失する.ばち指も軽快する.
なる.Ross 手術は,大動脈弁逆流や右室流出路狭窄病
変を生じる.異種生体弁は,劣化,石灰化が問題となる.
②続発症
③導管
1)電気生理学的異常
術後平均 10 ~ 20 年に 1 回は,導管置換再手術を要す
修復術後の不整脈,伝導障害は,合併症と続発症の混
ることが多い.
在したものが多い.
上室性不整脈,伝導障害は心房切開線,心房内修復術
②合併症
操作により生じることがある.術後遠隔期にみられる心
合併症は,予期せずに生じた状態で,軽度から冠動脈
房細動は,心房修復による続発症あるいは長期容量負荷
閉塞,大動脈解離等死に至る合併症まで含まれる.
による遺残症とみなせる
172)
.完全大血管転位の心房位
血流転換術後の心房性不整脈は,続発症であるが,体心
室右室機能低下の影響も受ける
3
診断
1
心エコー法
67)
.
心室切開後の右脚ブロックは,続発症の 1 つであり,
右脚近位部の損傷よりも心室切開そのものに起因する.
左脚前枝ブロックを伴う場合は,右脚近位部の損傷と考
成人先天性心疾患の評価と管理に心エコー法は欠かせ
えられる.心室切開は心室内伝導遅延部位を生じ,リエ
ないものである 35),174)−179).小児期に外科的修復術を受
ントリー性心室頻拍の発生部位となる 63),173).
けていることも多いが,心房中隔欠損,大動脈二尖弁等
2)半月弁,房室弁異常
診断されないまま成人に達する例もある 6),180).
修復術後や経皮的バルーン形成術後は,弁逆流が続発
一般的に先天性心疾患は,小児期に診断がなされ,外
症として発生する.再狭窄を生じる場合もある.
科的治療が行われている場合に,その正確な診断名,術
3)複合型右室流出路狭窄
式の情報が得られやすいが,経過観察から全くはずれて
Fallot 四徴は,弁下,弁輪,弁,弁上部,分枝狭窄が
しまい,本人自身がそれらの情報を両親から聞かされて
混合して流出路狭窄を形成する.弁輪を越えるパッチ修
いないこともある.
復では,弁逆流が続発症となり,進行性右室拡大,機能
多くの病院の循環器内科では,検査技師(ソノグラフ
不全を生じることがある
63)
.Jatene 手術,Norwood 手術,
ァー)が心疾患のスクリーニングを行う.先天性心疾患
Ross 手術は,肺動脈弁が,新生大動脈弁となり,進行
に不慣れな成人の心エコー法検査室の正診率は,専門的
性大動脈拡張,弁輪拡大,弁逆流を生じることがある 173).
なトレーニングを受けた検査技師や循環器小児科医に比
4)人工材料による異常
べ明らかに低い 181).
先天性心疾患の修復術には,人工材料,生体材料が広
成人循環器外来で最も頻度の高い先天性心疾患は心房
く用いられ,耐久性,変形,易感染性等,術後多くの問
中隔欠損で,次いで心室中隔欠損である.Fallot 四徴,
題を認める.
動脈管開存が続き,頻度の低いものとして Ebstein 病,
①パッチ
完全大血管転位がある.刺激伝導系の異常や弁逆流が問
中隔欠損,流出路拡大等に用いられたパッチは,経年
題となり受診した例で修正大血管転位が見つかることが
的に石灰化することが多い.
ある.
②人工弁
経胸壁心エコー法は断層法とドプラ法を用い,形態診
置換弁(自己弁,生体弁,機械弁)による続発症は,
断,血行動態診断,さらに心機能評価を行う 182).形態
表 21 心エコー法の系統的アプローチ
1.内臓心房位,心房心室関係(一致,不一致)
,心室大血管関係(一致,不一致)
2.肺静脈の流入部位
3.心房心室の大きさと機能
4.弁の形態と機能,弁閉鎖,狭窄,閉鎖不全
5.心房レベルまたは心室,大血管レベルの短絡
6.肺動脈圧
7.大動脈弓部と下行大動脈の血流,血管径
8.冠動脈の走行,形態
18
成人先天性心疾患診療ガイドライン
診断は,区分分析法(Segmental approach)を用いるこ
るガイドライン(2008 年改訂版)では,経食道心エコ
とが有用で,これにより内臓心房位,心房心室関係,心
ー法を施行する際の予防的抗菌薬投与は適応ではない
室大血管関係について基本的な心血管の立体的位置関係
を理解する
183),184)
(Class Ⅲ)210).
(表 21).区分分析法により複雑心疾
成人先天性心疾患は,中等度以上疾患の修復術後評価
患であっても,基本的な解剖,血流の流れの把握ができ
が必要なことが少なくない.その場合は,(1)右室や肺
る.さらに,心腔のサイズ,機能や弁の形態,機能の評
動脈等右心系の評価が必要,(2)癒着等により画像が鮮
価を行う.右室の圧負荷では心筋の肥厚と心室中隔の扁
明ではない,(3)人工材料の使用が多い,(4)しばしば
平化を認め,容量負荷では右室容積が拡大する.心房拡
経食道心エコー法が必要になる等の特徴がある.また,
大は還流血流量の増大または房室弁逆流による.これら
Fontan 等循環器内科医が不慣れで,特殊な血行動態を伴
の基本原則に基づき系統的な診断を進めることが重要で
う疾患があり,この様な場合には,複雑心疾患の心エコ
ある.血行動態評価には,カラードプラ法による異常血
ー法に習熟した医師に依頼することも必要である.
流の存在と負荷の種類と程度,狭窄や弁逆流の程度を判
定 す る. 心 機 能 評 価 で は, 駆 出 率 や myocardial
2
運動負荷テスト
performance index 等が用いられる 185).右室機能評価の
運動能力は患者の予後と密接に関連するため,心疾患
結果は,運動能低下のみならず,致死性不整脈の発生や
の病態の理解に加えて,運動および心臓電気生理学的な
予後とも関係があるため,治療方針の決定に重要である
問題点を理解することが患者管理に必要である.成人先
が,二次元経胸壁心エコー法では正確な評価に限界があ
天性心疾患は,病態が比較的複雑であり,解剖学的特徴
る 186),187).成人,特に,修復術後は,経食道エコー法が
と病態生理の理解に加え,一般の不全心の知識が要求さ
有用な場合が少なくない(表 22)
.術後の先天性心疾患
れる.さらに,加齢とともに不整脈と代謝疾患が増加す
の診断を的確に行うには,姑息術,修復術の術式と術後
るため,単一診療科での対応は難しいことが多い.
経過を把握しておく必要がある.また,コントラスト心
エコー法は,心内短絡の診断や心室造影,ドップラ信号
の増強等が可能であり,卵円孔開存を含む心房内短絡や
肺動静脈瘻,左室緻密化障害や心腔内血栓等が疑われる
運動能評価の意義,問題点および臨床的指針
①意義
症例に有用である 188)−190).
呼気ガス分析を併用した心肺運動負荷試験は心臓のス
Amplatzer® Septal Occluder を用いた心房中隔欠損に
トレスに対する予備能力を客観的に評価可能で,同時に
対するカテーテル治療が行われるようになり,経食道心
ストレス関連の不整脈検出に有利である.
エコー法は治療ガイドとしての役割を担うようになっ
た 190)−198).また,三次元心エコー法は,複雑な形態を
②運動負荷の目的
示す先天性心疾患の形態評価や弁形態評価において,二
不整脈の診断,評価,治療,および運動能力評価の目
次元心エコー法では見ることのできない画像を提供し,
的で施行される.
正確な右室機能評価の実現も可能である
199)−209)
.
日本循環器学会の感染性心内膜炎の予防と治療に関す
1)不整脈の診断
基礎心疾患が背景にあると,運動誘発性不整脈を伴う
表 22 経食道心エコー法の適応
1.経胸壁心エコー法の情報が不十分な場合
2.経胸壁心エコー法にさらに付加的情報が必要な場合
1)内臓心房位,心房心室関係(一致,不一致)
,心室大血管関係(一致,不一致)
2)心房中隔と大静脈の走行,位置関係
3)短絡(心房,心室,大血管)
4)弁の形態,機能
5)感染性心内膜炎の疣腫
6)心内血栓や腫瘤
7)大動脈拡張,瘤,解離
3.弁形成術の術中や術後評価
1)残存短絡
2)残存狭窄,逆流
3)人工弁機能
4.カテーテル治療のガイド
19
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
場合の不整脈の重症度は高い.不整脈検出の再現性があ
さらには神経体液性因子による機能調節は運動耐容能と
る場合は,薬物等による治療効果を判定できる.
関連する.理論的には,運動はこれらの機能改善に寄与
2)運動能力評価
することから,小児先天性心疾患領域での多くの心臓リ
心疾患の病態理解に加えて,治療の効果判定,治療介
ハビリテーションの報告が見られる 221).しかしながら,
入の必要性の是非,将来の心事故予測に有益な情報が得
成人先天性心疾患での報告は少ない 222).
られる.未治療患者の内科的外科的治療介入の有益性の
判断には,運動能力を含めた患者の運動ストレスに対す
る反応を理解することが有用である.最高酸素摂取量
1)適用対象
(peak VO2)が 20(mL/kg/ 分)程度あれば,日常生活の
不整脈の重症度,治療効果および不整脈の有無の評価,
活動では,不自由することはなく,将来の心事故の可能
さらには自覚症状と心血行動態との乖離が大きい場合は
211)
.成人 Fontan 術後患者で
心肺運動負荷試験を考慮する.活動性の感染症を伴う場
は 20 未満であることが多い 212).自覚症状と実際の運動
合,NYHA 機能分類Ⅳ度,整形外科的障害あるいは認
性も高くないと予測される
能力には乖離のあることが珍しくないため
213)
治療介入
知障害等では本試験は避ける.
時には,心肺運動負荷試験により心肺予備能力を客観的
2)負荷方法
に評価することが,長期的な予後予測に有用である.
通常,1 ステージ 3 分の多段階負荷(Bruce プロトコ
Fallot 四徴術後の肺動脈弁閉鎖不全の治療介入の客観
ール等)が使用される.複雑成人先天性心疾患では運動
的な指標として運動能の低下が有用とされている 214).
耐容能が低いため,急な負荷強度の増大は好ましくなく,
しかし,運動耐容能を規定する因子は運動習慣をはじめ,
ランプ負荷はこの点で優れている 223).縦断的な評価が
心機能,血管機能,作業筋,呼吸機能等と多様であるこ
必要な場合には,負荷法はできるだけ一貫した方法が望
とから,肺動脈弁閉鎖不全による右室容量負荷は運動能
ましい.普段運動機会の少ない成人先天性心疾患では,
低下の一規定因子に過ぎない
215)
.このため,運動耐容
急な運動負荷中止は,反射性に副交感神経賦活し,徐脈
能だけではなく,総合的に治療介入時期を決定すること
や低血圧が出現する場合があり,最大の負荷強度終了後
が合理的である.一方,低い運動能力の患者は将来の心
30 秒程度あるいはそれ以上のクールダウンは負荷試験
事故のリスクが高いことから 211),何らかの治療介入の
の事故回避の意味から施行することが望ましい.これら
必要性も示唆される.実際,成人の非先天性心疾患の慢
徐脈や血圧低下の際は速やかにベット上安静とし,下肢
性心不全では,最大酸素摂取量からみた運動能力低下は
挙上位をとらせることが必要である.
有意な死亡予測因子である.心臓移植の適応基準として
3)負荷装置
最大酸素摂取量が重要な評価項目の 1 つである 216).運
普及程度を考えると,トレッドミルかエルゴメーター
動能力は先天性心疾患の重症度と密接に関連する
217)
.
が一般的である.
Diller らは最大酸素摂取量が 15.5(mL/kg/ 分)より低い
4)測定項目
場合には心事故が多いとしているが 211),対象疾患が極
呼気ガス分析装置を併用することが好ましいが,運動
めて多様であり治療法決定への有用性は明確でない.
能力評価に必須ではない.負荷様式が同一であれば運動
Fontan 術後では最大酸素摂取量を含めた運動心肺指標
時間のみで十分評価可能である.不整脈を検出するため
により,予定外入院等の心事故は予測できるが,死亡予
には心拍モニターは重要である.血圧は可能な限り測定
108)
.しかし,神経体液性因
することが望ましい.聴診法の代用として触診法も有用
子と最大酸素摂取量を組み合わせると将来の心事故を予
である.経皮酸素モニターはチアノーゼ性心疾患や
測はできないとされている
測できるとされる
218)
.チアノーゼ性成人先天性心疾患
の多くはこの基準値を下回る
211),212)
.
Fontan 術後では有益な情報を提供する.
5)中止基準
成人慢性心不全患者と同様に,心機能低下や運動能低
原則的に運動中止は症状限界性である.自覚症状から
下と自覚症状出現時期には大きな乖離があることを常に
判断することは困難な場合もあるが,概ね客観的指標と
念頭におく必要がある
213),219)
.
して以下の基準を参考とする.(1)運動最大時ガス交換
3)治療
比(R= 二酸化炭素排出量 / 酸素摂取量)(成人では 1.20
運動能力が将来の心事故に関連することから,成人領
前後を目安とする),(2)目標心拍数(220 −年齢)
,(3)
域では心臓リハビリテーションの有用性が強調されてい
酸素摂取量あるいは心拍数の平坦化等であるが運動最大
る
20
③心肺運動負荷試験による運動能力評価法
220)
.心機能,血管機能,呼吸機能,作業筋環境や機能,
時ガス交換比が最も信頼性が高い.しかし,チアノーゼ
成人先天性心疾患診療ガイドライン
性心疾患,肺高血圧を有する先天性心疾患では運動最大
フェーズコントラスト MRI では血流の速度や流量の
時ガス交換比は低い場合も多く,また,心疾患では心拍
評価が可能であり,心拍出量や肺体血流比,弁逆流,左
応答は低下しており目標心拍数は設定できない.したが
右肺血流の定量が可能である 241)−245).
って,多くの成人先天性心疾患例では自覚症状に頼るこ
心血管の形態評価にはガドリニウム造影剤を使用する
とになり,運動負荷試験に精通している者が行うことが
方法 246),247)と,造影剤を投与せずに心電図と呼吸同期を
望まれる.
併用する方法が行われている 248)−250).造影剤を使用す
6)評価
ることで心筋血流評価 251),さらに遅延造影像として心
運動能力評価では対照と比較することは必須である.
筋の線維化が描出できる 252)−254).遅延造影と Fallot 四徴
最大酸素摂取量は運動能力評価に有用である.簡便的に,
術後遠隔期における予後との関連も報告されている 80).
10(mL/kg/ 分,以下同)未満は極端に低い,10 ~ 20 は
なお,ガドリニウム造影剤の使用は推算糸球体濾過値
高度低下,20 ~ 30 は低下,30 ~ 40 は正常下限から正常,
(GFR)が 30 未満の場合には腎性全身性線維症(NSF;
40 以上では優秀な運動能を有すると評価する.この際
Nephrotic systemic fibrosis)の発症リスクが高く禁忌で
に,健常者は,経年的に最大酸素摂取量が低下するが,
ある 255).
成人先天性心疾患も同様であることに注意する
91)
.
開胸術やカテーテルインターベンション施行後は,心
運動時間から運動能力を評価する場合には注意が必要
内外に装着したデバイスが MRI に対応しているかどう
である.心不全では,少ない心拍出量を運動筋により多
かを検査前に把握しておく必要がある.ペースメーカや
く配分する一種の代償機構が働くため,同一の運動強度
ICD は本体だけでなくペースメーカリード残存例も禁忌
であってもより少ない心拍出量,酸素摂取量で達成され
である.たとえ本体を取り除いていても心筋リードが残
ている
224)
.したがって,運動時間(達成された外的仕事)
存している場合には,検査部位にかかわらず MRI の静
による運動能力評価は最大酸素摂取量に比較すると,異
止磁場の影響を受けるため,MRI 検査室への入室は控
常と評価されにくいことを念頭におく必要がある.この
)
える 256(
2010 年現在).その他,近年販売されている人
ことが,運動耐容能の範囲内での自発的な日常生活様式
工弁やステント等のデバイスのほとんどは MRI 検査で
制限(無理をしない)に加え,自覚症状と最大酸素摂取
の危険性は少ないが,古い製品で判断に迷う場合はデバ
量の乖離の原因の 1 つと考えられる.
イスのメーカーに確認する必要がある.また,それらの
3
金属によりアーチファクトが出現し,診断的価値のある
MRI,CT,RI
画像が得られない場合もある.
① MRI
② CT
成人先天性心疾患における心臓 MRI(CMR; cardiac
CT は高い空間分解能を有し検査時間が短い利点から,
magnetic resonance imaging)は近年ルーチンの検査とし
成人先天性心疾患の分野でも頻用されている 257),258).特
て行われている 225),226).しかし,その多くは虚血性心疾
に心エコー法で評価しにくい肺静脈 259),260)や大動脈 261),
患のプロトコールを応用したものである 227).多彩な血
冠 動 脈 262), 末 梢 肺 動 脈 の 評 価 に 優 れ て い る 263)−265).
行動態を有する成人先天性心疾患に対して単一のプロト
主 要 大 動 脈 肺 動 脈 側 副 血 行 路(MAPCA; major
コールを設定することは困難である
228)−230)
.
aortopulmonary collateral arterie)の評価では CT の方が
シネ MRI は形態だけでなく,左右心室容積,心筋重量,
心臓カテーテル検査よりも描出能に優れており,血管径
心機能や壁運動評価が可能である.成人正常心だけでな
評価では両方法の相関は良く,CT での血管径測定の再
く,Fallot 四徴のような拡大した右室や小児の心機能解
現性も高い 266).また,新生血管や検査前に診断のついて
析の正常値が報告されている 231)−233).特に体心室右室
いない構造物の評価に関しての見落としが少ない 267),268).
の評価では他のモダリティに比較し再現性に優れ,現在
さらに,他臓器との空間的な位置関係の把握が容易で術
では標準的評価法となっている
103),234),235)
形態や逆流の程度,狭窄部位やその程度
.また,弁の
前検査としても有用である 269)−271).一方,被ばくを伴
236)−238)
うため,検査の適応決定に際して肺や乳腺の生涯発がん
,さら
に心内外の短絡 239)や心血管内の乱流を表示できる.
リスクを考慮する必要がある 272)−274).若年者ほど放射
スピンエコー法による Black-Blood 画像は内腔と血管
線感受性は高く,冠動脈 CT において 20 代女性の発がん
壁のコントラストがはっきり描出され,心血管とそれ以
リスクは 60 代男性と比較し 8.8 倍高いと推定されてい
外の胸部構造との関係が評価しやすい 240).
る 272).また,ヨード造影剤投与が必要であり,腎機能
21
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
低下例においては,検査前に十分な水分投与と消炎鎮痛
剤の中止が必要である
に相関があり 299),failing Fontan の経過観察に有用であ
疾患は腎予備能が低く
276)
,明らかな推算糸球体濾過値
る.感染性心内膜炎や縦隔炎の評価にはガリウム炎症シ
の低下がなくても造影剤腎症のハイリスク群として適切
ン チ グ ラ フ ィ ー 300),301)や FDG-PET が 用 い ら れ, 特 に
.特にチアノーゼ性先天性心
な対応が必要である.
FDG-PET は臨床症状を認めない末梢性の塞栓症や炎症
を診断できる 302).
③ RI
冠動静脈瘻や BWG 症候群のような先天性冠動脈異常
では治療方針決定のために有用な場合がある 276)−280).
4
心臓カテーテル検査,電気生理学的
検査
さらに冠動脈スイッチを伴う完全大血管転位の Jatene 術
心臓 MRI や CT 検査等の非侵襲的検査の発達により,
後や Ross 手術後では無症状で冠血流予備能が低下して
心臓カテーテル検査の適応・意義が変化している.形態
いる症例が認められる 281),282).形態的な冠動脈狭窄を伴
は非侵襲的検査でほぼ診断できるため,心臓カテーテル
わない症例もあり,予後との関連は明らかではない.体
検査の適応は,非侵襲的検査では得られにくい形態診断
心室右室では前壁や下壁に負荷時の心筋血流低下を伴う
(複雑先天性心疾患),冠動脈造影(特に,川崎病冠動脈
ことが多く,血流低下と収縮能低下とに正の関連がある
病変)および,血行動態評価(特に,肺血管抵抗,圧較
283)−285)
. 心 筋 血 流 PET(Positron
差,短絡率等)である.また,心臓カテーテル検査では
Emission Tomography)を用いた検討では,チアノーゼ
カテーテルインターベンションが,電気生理学検査では
性先天性心疾患の冠血流量は安静時には正常よりも増加
カテーテルアブレーションや,植込み型除細動器(ICD)
しているが,負荷時の冠血流量は正常より少ない.この
の適応決定等,カテーテル検査の治療的側面が強まって
ため,冠血流予備能は低い 286).心電図同期 SPECT
(QGS;
いる 303)−306).
と報告されている
Quantitative gated SPECT)は心室容積,駆出率のみな
らず局所壁運動の評価も可能である 287).壁運動の時相
的な不一致の評価が可能であり,心臓再同期療法の効果
判定が可能である
288)
.心電図同期心プールシンチグラ
フィーで評価した体心室右室機能は MRI の結果と相関
する
289)
.川崎病既往例でも心臓核医学検査での心筋血
流の評価が診断および予後予測に有用である
290),291)
.
④心臓以外の臓器への画像診断法の適用
心臓カテーテル検査
カテーテル検査による診断情報の質および有用性は,
検査前計画と準備,術者の知識と経験に依存する 307).
カテーテル検査前に必要な情報は,過去の手術記録,カ
テーテル検査記録,心外異常の情報等がある.短絡疾患
において,身体所見や他の検査との総合判断による中等
度以上の肺高血圧を認める場合は,治療方針の決定のた
めにカテーテル検査が必要になる.特に,複雑心疾患で
肺血流シンチグラフィーは術前術後の肺血流左右比評
は肺血管抵抗を計測することが求められる.高度肺高血
価 292),293)に用いられる.肺血流左右比の評価にはフェー
圧で治療方針決定のために血管反応性を評価する必要が
ズコントラスト MRI(PC-MRI; phase contrast-MRI)も
ある場合,100%酸素,一酸化窒素,血管拡張薬に対す
用いられる.2 心室修復術後の肺血流左右比は,RI と
る反応性を評価する 308).短絡がある場合,肺体血流比
MRI はよく相関する 294)−296).両方法における Fontan 術
(Qp/Qs)や肺血管抵抗(Rp)は熱希釈法では評価できず,
後の肺血流比は 7%のずれを認める
294)
.Fontan 術後は,
通 常,Fick 法 を 用 い て 評 価 す る. 酸 素 消 費 量 は,La
上下肢静脈血が,左右肺動脈に均等に分布しないため肺
Farge の推定式が使用されるが,実測することが望まし
血流シンチグラフィーは正確な評価が困難である.この
い 309),310).
ため,Fontan 術後は PC-MRI が臨床的に使用できる唯一
の方法である 294).肺血流シンチグラフィーと換気シン
チグラフィーを組み合わせることで肺塞栓の診断ができ
22
の肝障害では,CT 所見と組織学的な肝線維化の重症度
275)
①成 人先天性心疾患のカテーテル検査の一般的原
則
る.
患者の体格,心内腔拡大,血管の湾曲,蛇行等のため,
Fontan 術後の成人患者では無症候性肺塞栓が 17 %に
小児とは違う意味で,慎重なカテーテル操作を必要とす
認められる 297).Fontan 術後のタンパク漏出性腸症の診
る.血管アクセスは,大腿静脈穿刺法が広く使用される
断にアルブミン血液プールシンチグラフィーが有用で,
が,橈骨,内頸,腋窩,鎖骨下静脈等の多種のアプロー
感度 96 %,特異度 100 %である
チ法もある.高度の肥満は血管の局在,止血を困難にす
298)
.Fontan 術後遠隔期
成人先天性心疾患診療ガイドライン
る.カテーテル検査による動脈壁の解離にも注意が必要
4)造影剤腎症
である.高齢者は,動脈硬化が高度なため解離を起こし
チアノーゼ性心疾患による赤血球増多症患者の場合
やすので,必ず,ガイドワイヤーを使用する.止血には
は,糸球体濾過率 GFR が低下し腎障害を伴う場合があ
十分な力と時間を要する.心室機能低下以外に,短絡路
る.したがって,血清クレアチニンが上昇している場合
の有無にも注意が必要である.
は,造影剤腎症発症への注意が必要である.その他の危
②小 児先天性心疾患におけるカテーテル検査との
基本的な違い
険因子は糖尿病,脱水等が報告されている 311),312).チア
ノーゼ性心疾患患者では造影剤腎症が生じやすいかどう
かは明らかではないが,術前からの十分な補液が推奨さ
成人先天性心疾患の病態は,先天性心疾患自体の複雑
れている 313).一般的に,腎障害がある場合の造影剤腎
さ以外に,複数回の姑息術,心内修復術,加齢のために,
症の予防に関して,いくつかの予防策が提唱されている
病態が複雑になっていることが多い.心エコー検査によ
が 314)−316),造影剤最大使用量は,5mL/kg/ 血清クレアチ
る診断が小児に比し困難な場合があり,MRI や CT 検査
ニンという報告があり,造影剤の計画的使用を心がける
等の画像検査の併用がすすめられる.
必要がある 317).
③注 意すべき合併症や特殊な状況での留意点とそ
の対策
5)妊娠
合併症に関しては,小児先天性心疾患患者と異なる以
している.成人先天性心疾患患者,特に,体心室が右室
下の合併病変に注意が必要である.すなわち,冠動脈病
の妊婦における心カテーテル検査では,収縮能が低下し
変,糖尿病,末梢血管・脳血管病変,赤血球増多症,腎
て,病態が悪化している場合があり,造影剤の量を減ら
機能低下,妊娠,慢性肺疾患,高血圧,肥満,薬物使用
したり,検査前後での心不全治療の強化が必要である.
等である.
妊婦は腹部膨満を伴い,嘔吐や誤嚥の危険性があり,仰
1)心筋虚血
療の時期は,胎児の器官形成時期を経過した後の,妊娠
過去の手術の続発症,合併症により心筋虚血や梗塞が
18 週以降に行われることが望ましい.胎児の受ける線
起こることがある.カテーテルアブレーションの際等の
量を 100mGy 以下に制限することが重要といわれてい
イソプロテレノール投与には十分に注意が必要である.
る 318).さらに,胎児への放射線被ばくを最小限にとど
一般に,妊娠中は,前負荷,心拍数,心拍出量が増加
臥位での検査時間をできるだけ短くする.カテーテル治
めるために,照射野が胎児を直接照射する下腹部である
2)糖尿病
場合や,骨盤のカテーテル検査が必要な場合では,検査
血糖値のモニター,インスリンの投与計画が必要であ
の必要性の再確認や,妊娠終了まで延期することが可能
る.ビグアナイド系経口血糖降下薬の服用中は,造影時
かどうかを検討する必要がある.妊婦の胸部,上肢,頭
に乳酸アシドーシスを生じるため,服用を中断する等の
部等のように,胎児から離れた部位の検査では,胎児に
注意が必要である.腎血管病変や,全身の動脈硬化性病
X 線を直接照射しないカテーテル挿入部位(肘動脈,橈
変に注意をする.
骨動脈等)を選択したり,一般的な被ばく低減技術(低
レートパルス透視,照射野制限,付加フィルタの使用,
3)血栓・塞栓症
管球を近づける等)を厳格に実行することも大切である.
チアノーゼがあり赤血球増多症のある患者,奇異性塞
また,妊娠初期に,カテーテルアブレーションを行う必
栓の危険性のある場合,肥満,喫煙患者,経口避妊薬常
要がある場合には,妊婦の膀胱内の造影剤を空にするこ
用,閉塞性末梢血管疾患,Fontan 術後等は,血栓・塞栓
とがすすめられている 319).また,カテーテル時に緊急
症の発症予防のための注意が必要である.特に,太いシ
分娩となることもあり,あらかじめ産科医と連絡を取っ
ースを留置し,手技時間が長い場合は,十分な輸液以外
ておく必要がある.
にも,ACT 時間の測定をしながらヘパリン療法をする
必要がある.また,経心房中隔穿刺をする場合は,左心
耳内血栓の有無を術前に経食道エコー法でチェックして
おくことがすすめられる.
④その他留意すべき点
・血圧低下:収縮期血圧が 90mmHg 以下の場合や,急
激に血圧が低下した場合は,水分負荷や血管作動薬で
の対応が必要になる.特に,Fontan 術後の場合,術前
23
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
の十分な補液がすすめられる.急変時に備え,人工呼
吸器,肺血管拡張薬を準備し,経皮的心肺補助装置
(PCPS)等補助循環を使うことも想定しておく.
・肺心室機能不全,肺血管病変
右室は容易に急性心不全に陥る.前負荷や後負荷の急
激な変化は避けることが望ましい.肺高血圧治療の進
歩は目覚ましく,肺血管抵抗評価は重要な検査法の 1
つである.
・Down 症候群患者:Down 症候群の成人は,多臓器に
わたる合併症を伴う.甲状腺,上気道狭窄,胃食道逆
表 23 成人先天性心疾患の心不全の原因
1.チアノーゼ
2.圧 / 容量負荷
3.修復術後の遺残症と続発症
4.手術中の不十分な心筋保護
5.人工材料(大きな心室中隔欠損パッチ等)
6.心筋切開線 / 術後心筋瘢痕
7.不整脈(徐脈,頻脈)
8.ventriculo-arterial coupling の異常
(大動脈拡張,大動脈弾性低下,硬度上昇)
9.ventricular-ventricular interaction
10.心筋虚血(心筋肥大,冠動脈潅流異常)
11. 高血圧,冠動脈硬化等加齢による影響
流,誤嚥,コミュニケーション不良,精神遅滞等の問
題である.肺血管抵抗の評価の際には,換気が十分に
できているかに注意しておく必要がある.人工呼吸管
理が必要なことも多い.
・冠動脈造影,読影の際,小児循環器科医は,循環器内
科医と共同で行うとよい場合がある 320)−322).
・全身麻酔は,麻酔科医が行うことが望ましい 323),324).
・肥満,高血圧等の合併症に注意する 325)−330).
・カテーテル検査後の穿刺部圧迫による迷走神経反射が
表24 右心不全(体循環右室も含む)の原因となる先天性心疾患
1.Fontan 術後(右房圧上昇)
2.肺高血圧(Eisenmenger 症候群)
3.心房中隔欠損
4.三尖弁疾患(閉鎖不全,狭窄,Ebstein 病)
5.右室肺動脈導管手術(Rastelli 術)後
6.肺動脈弁閉鎖不全(Fallot 四徴に多い)
,肺動脈弁狭窄
7.完全大血管転位心房位血流転換術後(Mustard,Senning
術後,体循環右室機能不全)
8.修正大血管転位(体循環右室機能不全)
9.肺血栓,肺塞栓
強い場合がある 331).
・小児に比し被ばく線量が多くなる.特に,斜位像は注
意が必要で腕が入らないようにしたり,パルス撮影に
する等の工夫が必要である
332)
.
・無菌操作なので,予防的抗菌薬投与は不要であるが,
長時間の検査,感染性心内膜炎のハイリスク群では,
抗菌薬の投与を行ってもよい 117).
・デバイス装着患者では,心内にリードがあり,カテー
テルにより dislodge しないようにより慎重なカテーテ
ル操作が必要である.
4
1
内科治療
心不全治療
①心不全の成因
成人先天性心疾患では,心不全を生じる様々な特徴的
な原因因子がある(表 23)4),333).両心不全の場合が少な
くないが,症状,病態,背景心疾患の解剖の特徴から右
心不全(表 24)と左心不全(表 25)とに大きく分けら
れる.また,先天性心疾患の病態に応じた心不全の分類
186)
も可能である(表 26) .
1)右心不全の特徴
後天性心疾患と異なり,先天性心疾患では,右室機能
が長期予後に重要な影響を及ぼす疾患が多い 186).Fallot
24
表 25 左心不全の原因となる先天性心疾患
1.大動脈弁疾患(大動脈弁狭窄,弁下狭窄,閉鎖不全)
2.僧帽弁疾患(僧帽弁狭窄,閉鎖不全)
3.左右短絡疾患(心室中隔欠損,房室中隔欠損,遺残病変
の場合も多い)
4.未修復大動脈縮窄(現在では,まれ)
5.チアノーゼ型先天性心疾患(左室性単心室等)
6.肺静脈狭窄
7.修復術による不十分な心筋保護
8.左冠動脈肺動脈起始
9.川崎病心筋梗塞
10.大動脈肺動脈側副血行,大動脈肺動脈シャント術後
表 26 成人先天性心疾患の心不全の血行動態的特徴
右室
体心室右室(房室弁閉鎖不全の有無)
完全大血管転位心房位血流転換術後
修正大血管転位
右室性単心室
肺動脈弁下右室
1.左 – 右短絡疾患(心房中隔欠損)
2.三尖弁閉鎖不全(Ebstein 病,Fallot 四徴術後等)
3.肺動脈狭窄,肺高血圧(Eisenmenger 症候群)
4.肺動脈弁閉鎖不全(Fallot 四徴術後等)
左室
1.圧負荷
大動脈縮窄,大動脈狭窄等
2.容量負荷
大動脈弁閉鎖不全(大動脈二尖弁,Fallot 四徴術後等)
左 – 右シャント(心室中隔欠損,動脈管開存)
僧帽弁閉鎖不全
成人先天性心疾患診療ガイドライン
四徴術後肺動脈弁閉鎖不全,心房中隔欠損にみられる長
予測に有用だが,成人先天性心疾患でも心拍変動の低下
期の右室容量負荷,Eisenmenger 症候群等肺高血圧では
とサイトカインの活性化が認められる 83).運動能の低下
後負荷により右室機能に影響を及ぼす.修正大血管転位,
も広く認められている 83),91).慢性心不全,Fontan 術後,
心房位血流転換術後の完全大血管転位では右室が体循環
心房位血流転換術後等では運動による心拍応答不良や負
を担う.これらの疾患では,右室機能を継続的に観察し,
荷後の心拍減衰がすくないこと,血圧の回復が遅延を認
再手術を含む治療介入を適切な時期に行うことが予後改
めることがある.これは洞機能不全,副交感神経の活性
善に必要である
334)
化の遅延に由来たし開胸手術による心臓自律神経の損傷
.
および心機能低下を反映している 340),341).心臓の自律神
2)左心不全の特徴
経機能を反映する心拍変動の低下は,心不全の予後を予
左心不全は,左右短絡疾患による容量負荷,左室性単
測できるとされるが,先天性心疾患でも同様の研究結果
心室,術後心筋保護と関連した機能障害,加齢による拡
が報告されている 342)−346).Fontan 術後にみられる運動
張障害,僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁狭窄,閉鎖不全等で
能の低下は,骨格筋の酸素供給の異常,血管内皮機能異
認められる.左右短絡に伴う心不全を成人期に認めるこ
常に基づく血管拡張不全も関与するとされ 347),神経内
とは少ない.小−中等度欠損の心室中隔欠損でも,50
分泌活性と予後に相関が見られる 218).サイトカイン活
歳代以降,有意な左室拡大を認め,心房細動の合併率も
性の上昇は,慢性心不全で認められ,神経内分泌系と同
高い.修復術後の遺残短絡を含め左右短絡疾患では,加
様,心機能低下の原因となる.先天性心疾患でも,活性
齢による左室拡張期圧上昇を生じたり,高血圧により短
が認められ,臨床症状,体心室機能低下と相関する 348),349).
絡量が増加し心不全が顕在化したりすることがある.感
染性心内膜炎に合併した房室弁閉鎖不全,大動脈弁閉鎖
④心不全治療
不全に起因する心不全もある.川崎病冠動脈瘤,心筋梗
慢性心不全とは狭義の意味からは,“慢性の心筋障害
塞後に伴う心不全も少数ながら存在する.大動脈拡張性
により心臓のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素
疾患では,大動脈壁の弾性低下,硬度上昇が認められ,
需要量に見合うだけの血液量を絶対的にまた相対的に拍
左 室収 縮, 拡 張機能 を 低下 させる こと があ る. この
出できない状態であり,肺,体静脈系または両系にうっ
ventricular-arterial interaction の異常は,体心室右室でも
血を来たし日常生活に障害を生じた病態”である 69).慢
同様である
335),336)
.また,心房中隔欠損に認められる右
性心不全は,労作制限,労作時息切れ,浮腫,不整脈等
室容 量負荷 は, 左 室 機能 低下 も 招来 た する が, この
の症状,心室収縮拡張機能異常,神経内分泌系の活性化
ventricular-ventricular interaction は,Ebstein 病の左室で
[交感神経系,レニン・アンジオテンシン・アルドステ
も認められる 337).
ロン系,サイトカイン,ナトリウム利尿ペプチド(ANP,
BNP)]の上昇等の共通所見が認められる症候群と定義
②神経体液因子の異常
される 75).したがって,心筋障害の種類が,心筋梗塞,
中等度以上の成人先天性心疾患は,不顕性の場合も含
めて心不全を伴っていることが少なくなくない
83),333)
.
また,成人心疾患と同様に BNP 値や神経体液因子の活
性化と心機能低下の程度が相関するとされている
77),83)
.
感染,心筋症,高血圧,弁疾患のいずれでも,心不全と
いう症候群を起こす可能性がある.先天性心疾患でも同
様の症候,検査結果が認められ,心不全の病態が存在す
ることが少なくない 73),83),91),218),333),339)−350).このため,
しかし,経時的な BNP 値の変化が,将来的な心事故の
成人先天性心疾患の心不全でも,成人心疾患の左心不全
予測に役立つとの報告がある 84).一方,チアノーゼ性先
と同様の心不全治療が行われ始めている 73).強心薬,利
天性心疾患では,心不全がない,あるいは心機能低下の
尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE 阻害薬),
ない場合でも BNP は上昇している
338)
.
アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB),β遮断薬等
が用いられているが,未だ,治療のエビデンスに乏し
③神経内分泌活性の異常
い 338),351)−357).先天性心疾患は,疾患の種類,循環動態
交感神経系,レニン・アンジオテンシン・アルドステ
が多彩で,弁狭窄閉鎖不全,左右短絡,体循環右室,心
ロン系,エンドセリンの活性化は,心不全の予後判定の
室低形成,内因性心筋異常等心不全の原因は,様々であ
指標とされるが
333)
,先天性心疾患でも活性化が予後予
測に有用との報告もある
339)
.運動能(最大酸素消費量)
と心拍変動の低下やサイトカインの活性も心不全の予後
る. ま た, 右 室 機 能 不 全 を 認 め る こ と が 多 い 73),350).
Fallot 四徴修復術後の肺動脈閉鎖不全による右心機能低
下は,ACE 阻害薬で改善するとの報告があるが,症例
25
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
数は少ない 358).先天性心疾患は,長期にわたる心負荷,
薬物治療は基礎心疾患のない上室頻拍に準じる.
加齢による心機能の低下,さらに,修復術後遠隔期の心
不全が多い.このため,心臓血管手術や再手術が有効で
1)緊急的な停止を要する場合
あることも少なくない.しかし,左心不全と異なり,右
血行動態が破綻もしくはその前状態にある場合には頻
心不全に対する心不全治療薬の有用性は確立していな
脈性不整脈の停止を急ぐ必要がある.この場合には,電
い. 最 近 の 肺 動 脈 の 標 的 療 法 の 発 達 に よ り,
気的除細動による発作停止を優先させる.ただし適切な
Eisenmenger 症候群等肺高血圧に伴う右心不全には,有
通電が行われても,自動能亢進による頻拍では一過性の
効な症例が認められている(肺高血圧治療の項参照).
抑制のみに終わり,洞調律に復しない場合,薬物療法を
成人先天性心疾患においても両心室ペーシングによる心
考える必要がある.
臓 再 同 期 療 法(CRT; cardiac resynchronization therapy)
が行われている.単心室における multi-site pacing の有
2)緊急的な停止を要しない場合
用性も報告されている 359),360).しかし,右心不全が多く,
血行動態が比較的安定しており,緊急的な発作停止の
解剖学的な多様性や手術による広範な瘢痕があり,病態
必要がない場合には,迷走神経反射や抗不整脈薬による
の評価法や至適なリードの植込み位置の決定,植込み手
停止を試みる.迷走神経反射による頻拍停止は,房室結
技について課題が多い
2
359)−362)
.
不整脈治療
節をリエントリー回路に含む上室頻拍の場合に有効であ
る.アデノシン三リン酸(ATP)の急速静脈内投与も同
様に有効である.抗不整脈薬による停止は無効な場合が
成人先天性心疾患に認められる不整脈は,経過中様々
あり,房室伝導を低下させる薬剤投与でレートコントロ
な時点で出現するものであり,これらの患者は慎重な経
ールするという選択もある.薬物治療を行う場合には,
過観察と不整脈が出現した際には適切な治療が必要とな
循環動態の変化,洞機能,房室伝導への影響に十分に注
る.また先天性心疾患を有しない患者に比較し,不整脈
意を払う必要があり,循環動態が破綻した場合の直流通
の出現はより心機能に影響することを治療に際し考慮す
電に切り替える準備が必要である.
る必要がある.
洞結節機能不全を合併している場合には,頻脈性不整
3)頻脈性不整脈の再発の予防
脈に対する抗不整脈薬の治療の際,徐脈の悪化を来たし
先天性心疾患術後に発症するマクロリエントリー性心
得るためペースメーカ治療が必要になることがある.除
房頻拍では薬物コントロールが困難なことが多く,カテ
脈性不整脈は頻脈性不整脈を生じやすくさせる要因であ
ーテルアブレーションも検討されることが多い.心房手
り洞機能,房室伝導の維持は頻脈性不整脈の予防にも必
術後の場合,刺激伝導系の障害(洞結節機能不全,房室
要である.このような成人先天性心疾患患者では状態に
ブロック)を合併していることもあり,抗不整脈薬の治
応じた生理的なペースメーカ治療が必要である.
療により徐脈が悪化し循環動態が破綻,あるいはそれが
基礎心疾患,手術方法,患者の状態によってはペース
予想される場合にはペースメーカ治療が必要になること
メーカ植込みやカテーテルアブレーションの静脈ルート
もある.
の確保が困難な場合がある.また,心内短絡が残存して
いる際には,全身の塞栓症の危険性があるのでその評価
4)各種頻拍に対する薬物治療
も必要になる.このように成人先天性心疾患の不整脈を
①上室頻拍
管理,治療するためには,不整脈に対する理解のみでな
房室結節が関与する上室頻拍(房室回帰性頻拍,房室
く,背景となる先天性心疾患や外科手術後の解剖や病態
結節回帰性頻拍,重複房室結節による房室回帰性頻拍等)
についても理解が必要であり,循環器小児科医,循環器
の治療は,一般の上室頻拍治療と同じであり,急性期治
内科医,電気生理学医,心臓外科医の協力が必須である.
療の詳細は日本循環器学会が示すガイドライン「不整脈
①薬物治療
26
薬物治療に関するガイドライン(2009 年改訂版)」363)に
記載があり,発作予防,慢性期治療も同様である.同ガ
頻脈性不整脈の治療は発作の停止と発作間欠期(慢性
イドラインでは心機能に応じ薬剤に選択を指示してお
期)の再発予防に分けて考える必要がある.頻脈性不整
り,成人先天性心疾患患者ではさらに抗不整脈薬選択に
脈を停止させるために,緊急治療の必要性の有無をまず
際し心機能に与える影響を考慮する必要がある.この点
見極めることが重要である.頻脈性不整脈の急性期治療,
は成人先天性心疾患に生じるすべての不整脈に通じる.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
房室回帰性頻拍は副伝導路と房室結節を介するリエン
ると報告されている 364),365).特に,Fontan 手術後等右房
トリー性頻拍で,治療の標的は副伝導路か房室結節であ
に巨大血栓が存在することがあり注意が必要である.ま
る.副伝導路の伝導に対しては K チャネル遮断薬,Na
た,電気的除細動後も心房スタンニングが数週間持続す
チャネル遮断薬が,房室結節の伝導を抑制する目的で
るため 366),頻拍停止後も抗凝固療法を継続することが
Ca 拮抗薬,β遮断薬が用いられる.Ebstein 病は,10 ~
すすめられる 367).
29%に WPW 症候群が合併するといわれ,房室回帰性頻
慢性期治療は一般的には薬物治療がまず行われるが,
拍を合併しやすい先天性心疾患である.
薬物治療によるコントロールに難渋する場合が多い.ま
房室結節回帰性頻拍は房室結節に対する速伝導路と遅
た種々の抗不整脈薬が予防投与として使用されているが
伝導路を介する頻拍,重複房室結節による房室回帰性頻
前方視的に効果,安全性を検討した報告はない.抗不整
拍(2 個の房室結節を旋回する頻拍)で,治療の標的は
脈薬を選択する場合,先天性心疾患を有しない患者に用
房室結節である.房室結節の伝導を抑制する目的で Ca
いる際と同様で,基本的に心房筋の不応期を延長させる
拮抗薬,β遮断薬が用いられる.重複房室結節による房
目的で,K チャネル遮断作用を有する薬剤や,相対的緩
室回帰性頻拍においてもその有効性が示されている.
徐伝導を抑制,引き金となる心房期外収縮抑制する目的
心房頻拍は異所性自動能やミクロリエントリーによる
で,Na チャネル遮断薬が用いられる.ただし,心機能
focal な頻拍で,治療の標的は自動能亢進,激発活動,
に応じて薬剤を選択することが重要である.心機能が低
リエントリーと多岐にわたる.それらの機序を考慮し薬
下している例では,房室結節抑制薬としてジゴキシンや,
剤選択を行う必要がある.
心機能抑制作用が比較的に弱い薬剤を用いる.
②心房粗動,マクロリエントリー性心房頻拍
ジゴシン,アミオダロン,フレカイニドが有効との報
心房粗動とは,三尖弁−下大静脈間を峡部とし三尖弁
告がある 368).ソタロールは急性期の 72 ~ 88%に効果が
周囲を旋回する右房内のマクロリエントリーである.右
ある 369).しかし,催不整脈性が強く(10 ~ 16 % 370)),
房の Crista terminalis あるいは上下大静脈間の静脈洞部
再発も多い(2 年で 66% 371)).先天性心疾患患者ではア
が後方の障壁,三尖弁が前方の障壁となっている.また
ミオダロンの有効性が示されている 372).しかし,副作
これと異なりマクロリエントリー性心房頻拍とは心房内
用も多く 200mg/ 日以上の長期投与ではその頻度が高い.
に生じた瘢痕組織,手術による切開線,心房粗動と同様
チアノーゼ型心疾患や Fontan 術後ではそのリスクが高
な解剖学的構造が障壁となりマクロリエントリー回路を
い 373).小児先天性心疾患では催不整脈性が強く,Ⅰ c 群
形成することがある.心房粗動とマクロリエントリー性
使用による心停止や突然死が多いと報告されている 374).
心房頻拍は同一患者において同時に存在することがあ
血栓症のリスクが高まるためワルファリン等抗凝固療
る.このリエントリー回路の興奮旋回は伝播する興奮前
法で予防をすることもある.特に Fontan 術後はそのリ
面とそれ以外の興奮間隙からなる.
スクが高いことが報告されている 375).
急性期治療として血行動態が不安定あるいは心不全症
洞結節機能不全は上室性不整脈のリスク因子である
状を認める場合は心電同期下での電気的除細動を施行す
が 376),抗不整脈薬の使用の妨げになるためペースメー
る.心房筋の不応期を標的として K チャネル遮断薬,ま
カは有効な補助的治療である.
た回路内に存在する相対的緩徐伝導を標的として解離速
基礎心疾患のない多くの頻脈性不整脈ではカテーテル
度の遅い Na チャネル遮断薬が選択される.抗コリン作
アブレーションは根治的療法と考えられている.成人先
用を有する Na チャネル遮断薬では房室伝導促進作用に
天性心疾患も,同様にカテーテルアブレーションの効果
より心室拍数が増加し,時に 1:1 房室伝導を来たす可
が期待される.特に術後のマクロリエントリー性心房頻
能性があることに注意する.また Na チャネル遮断薬に
拍は薬剤抵抗性であるため,カテーテルアブレーション
より心房レートが減少することによっても 1:1 房室伝
が期待される.
導を来たし,その心拍レートによっては循環動態の破綻
につながる可能性がある.これを避けるために房室伝導
②カテーテルアブレーション
抑制を目的に予め房室結節抑制薬の投与を考慮する.頻
基礎心疾患のない多くの頻脈性不整脈ではカテーテル
拍停止を目的とせず,心室のレートコントロールを目的
アブレーションは根治的療法と考えられている.先天性
に房室伝導の伝導を低下させる薬剤投与の選択もある.
心疾患の場合も,同様にカテーテルアブレーションの適
以前は塞栓症の危険性は心房細動に比べて低いと考え
応がある.先天性心疾患でも副伝導路を介する房室回帰
られていたが,最近の報告では 1.7 ~ 7 %の危険性があ
性頻拍,房室結節回帰性頻拍に対して根治的治療として
27
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
重要であり,twin AVN による房室回帰性頻拍特や,薬
を用いた Total cavo-pulmonary connection(TCPC)手術
剤抵抗性であるマクロリエントリー性心房頻拍に対して
は術後の新たな不整脈基質の発現を予防する可能性があ
も適応がある.
り,単心室循環患者の不整脈発生が減少することが期待
不整脈基質には,通常型心房粗動における三尖弁−下
される.
大静脈間峡部の他,手術瘢痕,縫合線,人工物(パッチ,
人工弁),crista terminalis や静脈開口部等の元々の解剖
学的伝導障害部位が関与する.したがって様々な不整脈
一般成人における適応は,徐脈による症状を有する患
回路が存在し,1 人の患者で不整脈基質が複数存在する
者と突然死のリスクのある患者が主な対象として細かく
ことが多い.実際,開心術後の心房粗動では峡部依存性
60)
クラス分類されている(表 27)
.さらに先天性心疾患
とそれ以外の scar に関連したマクロリエントリー性心房
では,心房内リエントリー性頻拍に合併した洞結節機能
377),378)
.さらに,Fontan 術後の
不全に対して,抗不整脈薬による場合も含めて,ペース
右房内のように,血流が停滞している部位では高周波通
メーカ治療は頻拍発作の予防と停止にも有用とされ
電に際しクーリング効果が得られないため焼灼に必要な
)
る 376),397(表
27).複雑先天性心疾患特に心房手術患者
十分な出力が得られず貫壁性のアブレーション lesion が
での洞結節機能不全,心臓手術後に遷延する高度ないし
できない.以上の理由から,現時点では先天性心疾患に
完全房室ブロックに対しては,無症候性であっても積極
合併した頻脈性不整脈に対する高周波カテーテルアブレ
的なペースメーカ治療が推奨される 398),399).高度ないし
ーションの成績は,基礎心疾患のない場合に比し悪い.
完全房室ブロックは心臓手術直後だけではなく遠隔期に
Ensite や CARTO 等の新しい三次元マッピングシステ
も発症することがあり,注意が必要である 400),401).
ムにより不整脈基質の理解がより容易となり 48),379)−386),
ペースメーカ植込みに際しては,静脈や心臓内の走行
成績は改善してきているが(成功率 71 ~ 93%)387)−389)未
異常,狭窄や閉塞の異常を伴うことがあるため,解剖学
だ再発率が高い(46 ~ 53%)
.しかし,電気的除
的知識と既往手術に対する理解と様々な工夫が必要にな
細動や入院の頻度の減少といった臨床的な QOL の改善
る 402).Fontan 手術後のように心房ないし心室への静脈
が得られることが報告されている.我が国でも Irrigation
アプローチが困難な症例や,遺残短絡による全身塞栓症
頻拍が同時に存在し得る
390)−392)
カテーテル
393),394)
が導入され,今後成人先天性心疾患に
合併した頻脈性不整脈に対する高周波カテーテルアブレ
ーションの成績の向上が期待される.
成人先天性心疾患に合併した頻脈性不整脈に対する高
周波カテーテルアブレーションの治療には長時間を要す
のリスクの高い症例においては 403),心筋リードを使用
する場合が少なくない.
④ ICD(Implantable Cardioverter-Defibrillator: 植
込み型除細動器)治療
ることもあり X 線の透視時間が問題になる.
成人先天性心疾患において,突然死は心不全死,再手
このように,成人先天性心疾患に合併した頻脈性不整
術時死亡とともに主要な死因の 1 つとなっている 404).
脈に対する高周波カテーテルアブレーションは未だに
突然死の原因となる不整脈は,心室頻拍,心室細動が多
challenging であり,手技には基礎心疾患,手術術式,解
く,発作時の治療法の 1 つとして,ICD 治療が普及する
剖の多様性の理解が要求されるため経験のある施設に紹
ようになった.
介することがすすめられる.
適応は,心臓イベントによる蘇生例では,二次予防と
Fontan 術後の頻脈性不整脈はしばしば治療に難渋し,
しての ICD 治療が Class Ⅰとして確立されている(表
高周波カテーテルアブレーションの結果は満足のいくも
28)60),405)−408).持続性心室頻拍や心室細動の既往のない
のではない.広範囲な心筋肥大,線維化,伝導遅延,巨
症例において,一次予防としての ICD 植込みの適応基
大な右房,血流のうっ滞がアブレーションを困難にして
準作成には,大規模前向き研究による突然死リスクの評
いる.また,右房を肺動脈への血流路とする Fontan 術
価が必要である.しかし先天性心疾患では疾患の種類が
後の循環では,右房には新しい基質が生じ,この悪循環
多く,それぞれの症例数が限られるため未だ十分なデー
を止めるため Fontan conversion が提唱されている.従来
タが得られていない.Fallot 四徴は,複雑心疾患のなか
は conversion のみを行っていたが,術前アブレーション,
で最も症例数が多く,突然死も少なくないことから突然
術中アブレーション,さらにはペースメーカ治療も合わ
死のリスクファクター研究が行われており,各施設にお
せて行われ,短期,中期的に良好な結果が得られてい
いての判断を元に一次予防として施行することがあっ
る
28
③ペースメーカ治療
395),396)
.肺動脈への血流路に右房を含まない人工導管
た.さらに植込み後の ICD 作動状況の解析から,短絡
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 27 成人先天性心疾患に対するペースメーカ植込みの適応基準
一般成人の適応(黒字)と先天性心疾患患者における追加項目を下線で記載
Class
洞結節機能不全
房室ブロック
1.高度房室ブロックまたは完全房室ブロックで以下を示す
a 徐脈による症状ないし心不全や心室性不整脈,心室機能不全を伴う
b 投与不可欠な薬物が原因の徐脈による症状を伴う
c 覚醒時 3 秒以上の心静止,40/ 分未満の補充調律ないし房室結節より下方から
の補充収縮を有する
1.徐脈あるいは洞停止による症状を伴
d 心房細動に合併し覚醒時 5 秒以上の心静止を伴う
う(必要不可欠な薬物による徐脈も
e 房室接合部のカテーテルアブレーション後
Ⅰ
含む)
f 進行性の神経筋疾患に伴う
2.変時応答不全による症状を伴う
g心臓手術後,7 日以上持続する
2.2 度房室ブロックで徐脈による症状を伴う
3.無症候性の完全房室ブロックで覚醒時平均心拍数が40/ 分以上あるが,
心拡大,
左室機能不全を伴うか,ブロック部位が房室結節より下方である
4.虚血性心疾患を伴わない運動時の 2 度ないし3度房室ブロック
5.右脚ブロックを含む慢性2枝ブロックにⅡ型 2 度房室ブロックが生じた場合
1.40/ 分未満の洞性徐脈が証明される
が重篤な症状との関連は明らかでな
1.無症候性で覚醒時心拍数が 40/ 分以上の完全房室ブロックで心拡大を伴う
い
2.原因不明の失神があり,電気生理検 2.症状のないⅡ型 2 度房室ブロックで電気生理検査にてブロック部位がヒス束以
下であることが証明
査で洞結節機能不全が証明される
3.先天性心疾患と洞性徐脈を有し,繰 3.ペースメーカ症候群に類似する症状ないし血行動態異常を伴う 1 度ないし 2 度
Ⅱa
房室ブロック
り返す心房内リエントリー性頻拍の
予防を目的とする(洞結節機能不全 4.症状のないⅡ型 2 度房室ブロックで narrow QRS である
5.心臓手術後一過性の完全房室ブロックと残存する脚ブロックがあり,原因不
は薬物によるものも含む)
明の失神を伴う
4.複雑心疾患に合併し安静時心拍数が
40/ 分未満ないし 3 秒以上の洞停止
を認める
1.軽微な症候性で覚醒時心拍数が 40/
分未満
1.進行性の神経筋疾患に伴う房室ブロック
2.両心室を用いた心内修復術後の先天
2.薬剤性の房室ブロックで,薬剤中止後も再発が予想される
Ⅱb
性心疾患患者で,安静時心拍数が
3.心臓手術後に一過性にみられる完全房室ブロックで 2 枝ブロックが残存する
40/ 分未満ないし 3 秒以上の洞停止
を認める
1.無症状の 1 度房室ブロック
2.無症状のⅠ型 2 度房室ブロックでヒス束いかのブロックであることが証明され
1.無症候性
ていない
2.症状を有するが,徐脈のないときの
3.一過性で原因を取り除くことで改善がえられ,再発が予想されない房室ブロ
Ⅲ
症状であることが証明されている
ック
3.必須でない薬物による症候性徐脈
4.心臓手術後に一過性にみられる房室ブロックで正常な房室伝導に復すもの
5.症状のない心臓手術後の 2 枝ブロックで 1 度房室ブロックの有無に関わらない
術の既往,誘発される心室頻拍,180ms 以上の QRS 幅,
心室切開,非持続性心室頻拍,12mmHg 以上の左室拡
張末期圧等,複数のリスクファクターをスコアリングす
3
Eisenmenger 症候群(薬物治療)
①肺動脈性肺高血圧の分類
ることで,リスクの高い患者を選別し得る可能性が示さ
れた 52).今後のデータの集積から一次予防としての ICD
成人先天性心疾患由来の肺高血圧症の病態は主に以下
治療の普及が期待されるが,誤作動やペースメーカ同
の 3 つの群に分類することができる.(1)外科的修復後
様に心腔内リードの使用できない症例におけるリード
トラブル,高い除細動閾値等の問題はまだ解決していな
い 406),409),410).また,Fallot 四徴修復術後は一般に若年で
の遺残肺高血圧,(2)Eisenmenger 症候群,(3)その他
(Fontan 循環不全を伴う肺高血圧).
1)外科的修復術後の遺残肺高血圧に対する薬物治療
あることと,冷凍凝固術を併用した再手術により心室頻
成人肺動脈性肺高血圧全体の 10 ~ 15%くらいを占め
拍の発生が有意に低下することから,一次予防としての
るとされる.基本的薬物治療方針は,肺動脈性肺高血圧
ICD 治療の適応に関しては,未だ確定していない 411).
治療指針に従い,熟練した施設で管理されることが推奨
される.
29
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
表 28 ICD 治療の適応基準
Class Ⅰ
1.心室細動や血行動態の破綻する心室頻拍に対する蘇生歴があり,原因が完全に除去できない
2.持続性心室頻拍があり,血行動態および心臓電気生理検査による評価により,他の治療法(カテーテルアブレーション・手術)
では不十分と考えられる
Class Ⅱ a
1.病院外で待機中の心臓移植対象患者
2.反復する原因不明の失神を有し,心室機能障害ないし心臓電気生理検査で誘発される心室性不整脈を合併する
Class Ⅱ b
1.進行性の心機能異常と失神があり,原因検索のための検査を行っても失神の原因が特定できない
Class Ⅲ
1.1 年以上の余命が期待できない
2.心室頻拍ないし心室細動が頻発している
3.著しい精神障害があり,ICD 植込みにより精神障害に悪影響を与えるか,治療に協力が得られないと予想される
4.NYHA クラスⅣの薬剤抵抗性の重度うっ血性心不全患者で,心移植ないし CRTD の適応とならない
5.カテーテルアブレーションや外科的手術により根治可能な原因による心室細動・心室頻拍
表 29 肺動脈性肺高血圧に対する基本治療薬
1.cAMP(cyclic adenosine monophosphate)賦活薬
プロスタサイクリン Prostacyclin(経口,静注,皮下注・
吸入)
2.cGMP(cyclic guanosine monophosphate)賦活薬
ホスホジエステラーゼ 5 阻害薬(シルデナフィル,タダ
ラフィル)
,一酸化窒素吸入
3.エンドセリン受容体拮抗薬
エンドセリン A,ETB 受容体拮抗薬(ボセンタン)
エンドセリン A 受容体選択的拮抗薬(アンブリセンタン)
肺高血圧治療薬の使用により,生活の質(QOL)の改
善や血行動態の改善を認めたとの近年の報告がある 412).
しかし,いずれの薬剤投与に関しても肺高血圧治療経験
豊富な医師の評価が必要と考えられる.
3)その他:Fontan 循環不全を伴う肺高血圧に対する薬
物治療
肺血管抵抗の上昇により全身の静脈うっ血,低心拍出
量と残存右左短絡を伴う場合のチアノーゼが原因で種々
の全身症状を呈する.在宅酸素療法は,行ってもよい治
2)Eisenmenger 症候群に対する薬物治療(表 29)
療であるが,その症状 / 予後改善効果は不明である(Class
肺動脈の不可逆性変化により中心性チアノーゼを呈す
Ⅱ b,Level C).血栓予防のための抗凝固療法(ワルフ
る短絡性先天性心疾患である.薬物治療は,肺血管拡張
ァリン,
Class Ⅱ a,Lebel C)もしくは抗血小板療法(Class
療法,合併症の予防と症状 / 増悪因子の軽減を目的とす
Ⅱ b,Level C)を用いてもよいが出血性素因との兼ね合
る.熟練した専門医師のもとで管理されることが望まれ
いでの有益性を考慮する.
る(Class Ⅰ,Level C).
肺動脈性肺高血圧治療薬の使用に関しては,使用経験
ジギタリスや利尿薬といった従来からの心不全治療薬
の報告は認めるものの効果は確立していない.専門施設
は,根本的に予後改善や症状悪化を軽減するものはなく,
で熟練した医師により管理されることが望ましい(Class
抗不整脈薬や抗凝固療法も同様である
111)
.しかしなが
ら,これらの薬剤は個々の症例において特異的に使用す
ることは可能である.ジギタリスは右心不全治療の有効
30
Ⅰ,Level C).
②肺高血圧の治療
性は低い(Class Ⅱ b,Level C)が,頻脈性心房細動の
1)Ca 拮抗薬
心拍数のコントロールに有効である(Class Ⅰ,Level C).
有益性に関する報告はない.また,本薬剤は血圧低下
利尿薬は症候性のうっ血や浮腫に有効(Class Ⅰ,Level
から右左短絡の増悪を来たすおそれがあり奨励されな
C)であるが,血液粘性の悪化に注意が必要である.経
い.
口抗凝固薬(ワルファリン,Class Ⅱ a,Lebel C)およ
2)酸素投与
び抗血小板薬(アスピリン,Class Ⅱ b,Level C)は,
予後改善には寄与しないが,時に症状を緩和すること
血栓形成 / 塞栓症(脳,肺,心臓その他)の予防目的に
があり,適宜使用可能である(Class Ⅱ a,Level C).酸
使用されることがあるが,Eisenmenger 症候群特有の気
素投与によりわずかに酸素飽和度が上昇するが長期効果
管支動静脈短絡の発達による喀血,肺内出血を含む出血
は明らかでない 412).
性疾患の合併を助長するため,適応に関しては専門家に
3)エンドセリン受容体拮抗薬
よるリスク評価が必要である.
肺高血圧症を伴う先天性心疾患は,血中エンドセリン
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 30 先天性心疾患に伴う肺動脈性高血圧症の内科的治療指針
1.内科治療
先天性心疾患に伴う PH の治療は特発性肺動脈性肺高血圧
の治療と同様に,酸素療法と薬物療法を組み合わせて行う.
NYHA Ⅱ度以下では経口薬にて管理することが可能である.
1)慢性期の治療(NYHA Ⅰ~Ⅱ度)
Class Ⅰ
a.在宅酸素療法(鼻カニューラにて 1 ~ 41/ 分)
(Level B)
b.抗凝固,抗血小板療法(Level B)
ワルファリン PT INR 1.5 ~ 2.0 で維持
ジピリダモール 2 ~ 4mg/kg/ 日
c.強心薬(Level B)
ジゴキシン
d.利尿薬(Level B)
フロセミド,スピロノラクトン等
Class Ⅱ a
e.経口血管拡張薬(Level B)
ベラプロスト 60 ~ 180 μ g/ 日
ボセンタン 125 ~ 250mg/ 日
シルデナフィル 25 ~ 100mg/ 日等
2)心不全増悪期の治療(NYHA Ⅲ~Ⅳ度)
Class Ⅰ
a.酸素吸入(Level B)
b.カテコラミン,ホスホジエステラーゼ(PDE)Ⅲ阻
害薬.
(Level B)
Class Ⅱ a
c.プロスタサイクリン(PGI2)の持続静注療法
(Level B)
d.一酸化窒素(NO)吸入(Level C)
シルデナフィルを用いて行われ 422),同様の結果がタダ
ラフィル(Tadalafil)でも示されている 423).副作用は
顔面紅潮,頭痛,鼻炎,消化不良,胃食道逆流であり,
blue color vision は網膜に分布するホスホジエステラー
ゼ 6 の阻害による交叉反応である.血圧低下はなく認容
性に問題なければ投与されることは推奨される(Class
Ⅱ a,Level B).肺動脈性肺高血圧の治療上最も問題と
なる“長期効果”を見守る必要がある 424).その他,心
不全に対する有用性もある.Fontan 術後の心肺機能にも
有用性が高い.
5)プロスタノイド製剤
①ベラプロスト Beraprost(経口製剤)
我が国で開発され,肺動脈性肺高血圧に使用されてい
る経口薬剤である.二次性肺動脈性肺高血圧,末梢動脈
閉塞,閉塞性血管炎,Raynaud 症候群にも適応がある.
NYHA 機能分類Ⅱの軽症例で外来管理には最適の薬剤
である.NYHA 機能分類Ⅱ~Ⅲの症例における運動耐
容能の改善は開始後 9 ~ 12 か月の時点では認められな
いとの報告もあるが,長期効果を持つ剤型も用いられる
ようになっている.
②エポプロステノール Epoprosternol(静注製剤)
1999 年 1 月肺動脈性肺高血圧に承認されたプロスタサ
濃度が上昇し,肺高血圧進行と心不全悪化に寄与してい
イクリン(PGI2)の静注製剤である.依然として肺動
る こ と が 推 察 さ れ て い る. 無 作 為 介 入 試 験
脈性肺高血圧治療の gold standard である.半減期は 3 ~
(BREATHE-5)413)でエンドセリン受容体非選択的拮抗薬
5 分間であるため,継続的な持続静注療法が必要で,最
ボセンタンは運動耐容能や血行動態を改善させ,引き続
も信頼性の高い治療薬とされ小児でも生存率の改善が認
き行われた 24 週間にわたるオープンラベル長期試験に
められる.二次性肺動脈性肺高血圧への使用も我が国で
おいてもその効果の持続性が証明されている 414).他の,
も 2004 年 6 月承認された.エポプロステノール持続静
415)−421)
からも本薬剤の効果は検証される
注により血行動態や運動耐容能が改善したとの報告 425)
とともに認容性も十分期待できる.最も深刻な副作用は
がある.しかし,著しく高い肺血管抵抗が手術適応範囲
肝機能障害であり,減量か中止を余儀なくされるが再開
まで軽減し,術後肺動脈性肺高血圧も長期に回避したと
しても肝障害を来たさないこともある.時にふらつき,
する報告はまだない 426)−428).血管内カテーテル留置に
めまいがあり,また催奇形性のため妊娠には注意が必要
よる血栓形成からの塞栓や感染のリスクがありその使用
で,最近では小児領域での安全性,有効性も報告されて
は限られる.他の経口薬剤にて循環動態が保てない場合
小規模の報告
いる.したがって,肝障害等認容性に問題なければ投与
に使用可能である(Class Ⅱ b,Level C).
されることが推奨される(Class Ⅰ,Level B).
6)併用療法
4)ホスホジエステラーゼ 5 阻害薬(PDE5I)
最近では,プロスタサイクリン,ホスホジエステラー
cGMP 特異的阻害作用があり,血管平滑筋,肺動脈,
ゼ 5 阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬の併用療法を
陰茎海綿体,血小板に多く分布する.ホスホジエステラ
Advanced 治療または Target 治療と呼んでいる 429).この
ーゼ 5 阻害薬は cGMP の代謝を抑制することによる選択
advanced 治療の中期予後は,死亡の Risk も低く,血行
的な肺血管拡張作用があり,全身血圧にはほとんど影響
動態の改善もよい 412).
を与えない.シルデナフィル(Sildenafil)の Tmax は約
Eisenmenger 症候群に関する内科治療を表 30 に示す.
1 時 間 で,T1/2 は 4 時 間 で あ る.Tadarafil の Tmax は 約
17 時間で,T1/2 は 36 時間である.10 名の小規模ながら
前向きのプラセボコントロール−クロスオーバー試験が
4
カテーテル治療
成人先天性心疾患に対するカテーテル治療は,新しい
31
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
デバイスの登場や器具の改良によって適応となる対象疾
患を拡大してきている
.2005 年 か ら は
306),320),430)
が有用である.
Amplatzer Septal Occluder を用いた心房中隔欠損のカテ
閉鎖術は,原則として全身麻酔下に施行する.閉鎖に
ーテル治療が可能となり,国内での治療経験も増加し,
はこの伸展径と同一サイズ,もしくは 1 サイズ大きい閉
今後の治療戦略に大きな影響を与えると思われる.
鎖術を施行する.経食道エコーによるモニターが重要な
成人領域でのカテーテル治療に用いられるデバイスは
ポイントとなる.閉鎖術後は抗血栓を目的にアスピリン
小児期の先天性心疾患に適応されるものと基本的に同一
を 6 か月間服用する.2010 年からは,多発性欠損例に対
である.すなわちコイルを用いた動脈管閉塞術や血管閉
する Amplatzer Cribriform Device も使用可能となった.
塞術,バルーンによる弁形成術や血管形成術,ステント
海外では既に 100,000 例を超える留置実績があり,我
.しかし
が国での治療経験も 2,000 例を超え心房中隔欠損に対す
ながら成人先天性心疾患では,先天性心疾患そのものに
る治療法としての地位を確立している.米国における外
加え,動脈硬化性病変の合併(虚血性心疾患,高血圧等)
科治療との比較検討によるとカテーテル治療による重大
や先天性心疾患そのものの加齢に伴う変化(呼吸機能,
な合併症(処置が必要な合併症)として,不整脈(心房
腎機能)を考慮に入れて,治療方針を決定する必要があ
細動や房室ブロック),デバイスの脱落,脳血管塞栓症
る.このため成人期の先天性心疾患のカテーテル治療に
が報告されている.これら合併症の発生率は外科手術の
かかわる場合は,先天性心疾患に対する知識や経験のみ
合併症発生率と比較し有意に低いものであったと報告さ
ならず,成人領域にわたる全般的な知識や経験も身につ
れている 437)−441).遠隔期合併症としては心臓壁のびら
ける必要がある 431)−434).
ん(erosion)に伴う心タンポナーデ合併が報告されて
を併用した血管形成術が主体である
306),320),430)
いる.多くの場合前縁欠損(心房中隔欠損孔と大動脈壁
①心房中隔欠損
との間の壁が短い欠損)で,欠損孔に比べ大きいサイズ
心房中隔欠損に対するカテーテル治療は,これまで
のデバイス(> 150%以上)が留置されている 442).
様々な試みがなされてきたが,認可に至ったものはなか
本法はこれまでのカテーテル治療と比べ,安全で高い
った 435).
完全閉鎖率が期待できる.閉鎖栓の安全性や血栓症等の
®
1990 年代後半に登場した Amplatzer Septal Occluder
長期予後に関しては,今後の検討が必要である.二次孔
は ニ ッ ケ ル・ チ タ ン 合 金 か ら で き た 形 状 記 憶 合 金
型心房中隔欠損の多くで手術によらない治療が可能にな
(Nitinol )のメッシュで構成された円形の閉鎖栓であり,
ると思われる.成人期,特に高齢者ではカテーテル閉鎖
金属メッシュ内部には血栓形成性を高めるポリエステル
の経験も増加している 443),444).高齢者では欠損孔の閉鎖
®
製の布製パッチが縫着されている
436)
.閉鎖栓の末端は,
に伴う左室容量負荷が急性肺水腫を起こす可能性がある
ねじ状の接続部でデリバリーケーブルとつながっている
ことが危惧されており,肺動脈圧楔入圧のモニターを含
ため,閉鎖術中に閉鎖栓の位置を変更したり,カテーテ
めた慎重な術後 ICU 管理が必要である.高齢者では慢
ル内に回収したりすることが可能である.世界中で数万
性心房細動を合併している患者も多いが,このような症
例を超す安定した留置実績があり,我が国でも 2006 年
例に対する有効性も報告されている 445).
春より保険診療が可能となった
437)
.本治療は日本
海外では奇異性脳梗塞再発予防目的とした卵円孔閉鎖
Pediatric Intervention Cardiology 学会,もしくは日本心
も行われているが,現在国内で卵円孔閉鎖を目的として
血管インターベンション治療学会の認定基準を満たした
閉鎖栓は認可されておらず,保険適応もない.
施設でのみ実施可能である.
Amplatzer Septal Occluder を用いた心房中隔欠損のイ
ンターベンション治療対象は,二次孔型心房中隔欠損で,
32
正確な部位診断と欠損孔周囲縁の評価には経食道エコー
②動脈管開存
コイルを用いたカテーテル治療が一般的に行われてき
(1)欠損孔のバルーン伸展径が 38mm 以下,(2)肺体血
た.現在国内で動脈管のカテーテル閉鎖術に用いられる
流比が 1.5 以上,(3)前縁を除く欠損孔周囲縁が 5mm 以
コイルの大半は Cook 社製の detachable coil であり 446),447)
上あるもの,または(4)肺体血流比が 1.5 未満であっ
コイルの材質は MRI 検査に対応している.閉鎖術の適
ても心房中隔欠損に伴う心房性不整脈や奇異性塞栓症を
応は,動脈管の最小部径が 3.0mm 未満の小さな動脈管
合併するもの,である.高度の肺高血圧を合併する例等
とされている.これは,3.0mm 以上の動脈管では残存
心房中隔欠損の治療そのものが適応にならない場合は,
短絡の発生頻度が有意に高くなること,さらにコイルの
インターベンション治療も適応とはならない.欠損孔の
脱落頻度が高率になるためである.このような中等度以
成人先天性心疾患診療ガイドライン
上の動脈管開存に対しては,複数個のコイルを留置する
ことにより,完全閉鎖率の向上とコイル脱落等の合併症
の軽減が可能である 448).また,動脈管の形態によって
行われることはまれである.
④肺動脈狭窄
コイル閉鎖術に適しているものとそうでないものとがあ
成人期の肺動脈狭窄の多くは,Fallot 四徴等の心疾患
る.最も頻度の高い megaphone type は,コイル閉鎖術
に伴うものか術後に残存する狭窄である.このような狭
に適した形態である.これに対し,大動脈側と肺動脈側
窄に対し,これまでバルーンによる拡大術,ステント留
との距離が短い window type や tubular type は,コイルに
置術,カッティングバルーンによる拡大術が試みられて
よる閉鎖が難しい場合が多く,留置が可能であっても残
いる 455).バルーン拡大術はあくまでも狭窄血管の伸展
存短絡を残す確率が高い.成人の動脈管開存は加齢に伴
あるいは血管内膜や中膜の断裂によって拡大が得られる
う大動脈側の変化により window type の動脈管が多くな
ため,拡大術後に再狭窄を起こす可能性が高い.また,
る.さらに動脈管に石灰化を来たしコイルと大動脈壁の
肺動脈の断裂,動脈瘤形成,血管閉塞等の合併症を起こ
密着性が悪く,術後の残存短絡の発生率が高くなる.コ
す危険性がある.このため,最近ではステント留置術を
イル脱落(多くの場合肺動脈末梢)や溶血が小児期と比
併用することが多い.現在,国内で用いることのできる
べ高く,特に直径 3.0mm 以上の動脈管での頻度が高い.
ステントは Palmaz ステント,Palmaz-Genesis ステント
2009 年から,我が国でも Amplatzer Duct Occluder が
であるが,肺動脈狭窄を始めとする先天性心疾患に対す
使用可能となり,成人期の大きな動脈管も安全に閉鎖で
る承認は得られていない.ステント留置による治療成績
きるようになった 449)−452).通常直径 2.0mm 以上の動脈
はバルーン拡大術よりも良好であり,より大きな血管径
管が治療対象であり,直径 10mm 程度までの動脈管は閉
を獲得することができる.しかしながら,手技が煩雑で
鎖可能である.コイルによる閉鎖術と比較し,より安全
かならずしも目的とする狭窄部まで安全に到達できない
に確実な閉鎖が可能であり,特に成人期の動脈管開存症
こと(特に Palmaz ステントの場合),留置後に内膜増殖
には有用である.心房中隔欠損のデバイスと同様の施設
に伴う再狭窄が認められること,留置時のバルーン破裂
基準と術者基準が必要である.
③肺動脈弁狭窄症
等に伴うステントの不完全拡張や脱落が起こること等,
合併症もまれではない.
カッティグバルーンは優れた血管拡大効果を得ること
肺動脈弁狭窄は,バルーン弁拡大術が治療の第一選択
が可能とされているが,最大バルーンサイズが 8mm と
と考えられている.成人期の肺動脈弁狭窄は,弁組織の
小さく,長期予後についても充分な検討が行われていな
石灰化が高頻度に認められること,主肺動脈の拡大や右
い.金属ブレードの脱落等の合併症も報告され,肺動脈
室の拡大等も同時に見られるため,カテーテル治療中に
狭窄に対する使用には注意を喚起する勧告が出されてい
バルーンを肺動脈弁に固定することが困難な場合があ
る.
る.また肺動脈弁輪径が大きいため,通常複数個のバル
ーンを同時に用いて拡大する必要がある.イノウエバル
⑤大動脈縮窄
ーンの有効性も報告されている.バルーン拡大術後は,
大動脈縮窄に対するカテーテル治療は,バルーンによ
急速な右室圧減圧のため,右室流出路狭窄が出現するこ
る拡大術やステント留置を併用した縮窄部の拡大術が報
とがあり,必要に応じてβ遮断薬を投与する.術後の
告されている 456).未治療の大動脈縮窄のみならず術後
残存狭窄,肺動脈弁閉鎖不全,心室性不整脈に注意を払
に残存する縮窄にも治療適応がある.バルーン拡大術で
い経過観察を行う 453),454).
は再狭窄の頻度が高く大動脈壁の解離や動脈瘤形成等の
成人期の大動脈弁狭窄は弁石灰化が強く,バルーン拡
合併症を起こす可能性が高い.これに対しステントを用
大術の有効性が低いこと,治療後に大動脈弁閉鎖不全を
いた拡大術は有効性も高く,大動脈壁の解離や動脈瘤形
合併する可能性が高いこと,脳塞栓等の中枢神経合併症
成の予防も可能と考えられている.しかしながら,大腿
を起こす危険性あるため,弁に石灰化を伴わない若年成
動脈から太いロングシースの挿入が必要であること,近
人の弁性狭窄を除いては,適応は限られている.近年,
接する総頚動脈や鎖骨下動脈との位置関係等から,必ず
経カテーテル大動脈弁置換術が国内でも導入されつつあ
しも治療に適していない場合もある.血管造影,CT,
り,今後大きな変革が期待される領域である.
MRI 等の画像診断を併用した慎重な適応評価が望まれ
成人期に見られるリウマチ性僧帽弁狭窄のカテーテル
る.ステント留置後にも再狭窄を来たす可能性があり,
治療とは異なり,先天性僧帽弁狭窄でカテーテル治療が
慎重な経過観察が必要である 457),458).
33
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
心電図は不整脈の程度に応じて,施行することが推奨さ
⑥冠動脈瘻
れる.心エコー検査は,第 1 回目を妊娠前あるいは妊娠
成人における症状は心不全症状である.心筋虚血や心
判明後すぐに,第 2 回目は妊娠 26 ~ 28 週頃に施行し,
内膜炎,心房細動,心破裂を来たすこともあり,有意な
この時点で早期の分娩待機入院の時期を計画する.そし
虚血所見がなくても治療を行う方が望ましいとされて
て,入院後の第 3 回目検査は,安全で適切な分娩日(帝
いる 459).coil を用いる塞栓術が中心であるが,動脈瘻の
王切開術の場合も)を予測あるいは決定するための情報
直径, 開口 部 位 を 正 確に 判 断し た 後,塞 栓 に用 いる
とする.ハイリスク妊娠では,入院安静を続けても心不
device を決定する.右心系に開口し動脈瘻内に閉鎖に適
全症状が出現し,胎児の発育停止となるポイントを妊娠
した狭窄部がある場合,カテーテル治療に適していると
終了・出産の時点とする.このポイントを予測するため
判断される
459),460)
に,心エコー法を頻回に行う.脳性ナトリウム利尿ペプ
.
チド(BNP)値は,中等度以上のリスク疾患における経
⑦今後の展望
過観察に役立つが,分娩時期を決定する具体的な値は明
現在欧米では心室中隔欠損閉鎖用の Amplatzer device
らかではない.
が臨床治験に入っている 461),462).心筋梗塞後の心室中隔
循環器内科医は,妊娠が判明した時点で,心エコー法
463)
.また再発性脳梗塞
等による心形態および心機能の評価を行い,産科担当医
患者に対するカテーテル卵円孔閉鎖術も様々なデバイス
にその結果と分娩前後も含めた妊娠経過観察時の注意点
が登場し,その臨床的有効性についてもコントロールス
について情報提供する必要がある.胸部 X 線検査は,放
欠損に対しても応用可能である
タディが行われている
464)−467)
.さらに Fallot 四徴術後の
射線被ばくによる催奇形性を考慮して,必要と判断され
肺動脈弁閉鎖不全に対する経カテーテル肺動脈弁留置術
る場合に限り,妊娠 16 週以降に行われる.特にハイリ
も急速に普及している 468)−470).
スク妊娠で帝王切開術を施行する場合には,前日に仰臥
5
妊娠出産管理
位の胸部 X 線検査を行っておくと,術後との比較がしや
すい.原則として,心不全徴候がみられた場合には,入
院安静とし,必要に応じて心不全治療を行う.
妊娠中の母体経過観察基準
1
妊娠中の循環動態評価
心疾患合併妊娠では,妊娠に伴う母体の循環動態の変
妊娠・出産に伴う循環動態の変化に対して,母体心臓
化が,心機能に影響を及ぼす可能性が高く,母児の罹病
の適応の可否を見極めるために,妊娠産褥を通じ,複数
率が高くなり,場合により死亡することもある.したが
回にわたる循環動態評価を行うことが望ましい.
って,産科医,循環器内科医,麻酔科医,看護師を中心
とするチームによる継続的な観察が必要である 471).観
察ポイントは,不整脈,心不全,血栓症が主なものであ
る
472)
.
合併症のない妊婦の産科の定期健診スケジュールは,
おおよそ妊娠 11 週末までに 3 回程度,12 から 23 週末ま
①心エコー検査
妊娠中の循環動態を評価する上で,非侵襲的かつ情報
量の多い心エコー検査は有用である 473).
②心臓 MRI 検査
では 4 週ごと,24 から 35 週末までは 2 週ごと,それ以降
放射線被ばくがないという点で,妊娠中の心臓 MRI
40 週末までは 1 週ごとが標準的とされている.これを基
検査は安全度が高い.右心系の評価や,複雑先天性心疾
本として,循環器内科医は,個々の心疾患の重症度すな
患・術後では,心エコー検査による評価が十分でないこ
わち妊娠のリスクレベルに準じた経過観察のスケジュー
とがあり,この場合には,MRI は有用である.胎児へ
ルを組み立てる.軽症心疾患は,妊婦健診ごとに循環器
の危険性ついては明らかでないため,診療上必要な場合
外来も受診する必要はない.重度の疾患では妊娠 22 週
にのみ施行することが望ましい 474).
頃から 2 週おきの観察が望ましい.妊娠 30 ~ 31 週頃か
らの早期の分娩待機管理入院では,毎週の循環器内科医
34
2
③心臓カテーテル検査,心臓 CT 検査
による診察が必要となる.心不全の悪化に伴い不整脈の
放射線被ばくの観点から,診療上施行することが有益
増加が顕著になるが,妊娠 27 ~ 28 週頃から増加する場
と判断した場合にのみ施行する.腹部への放射線照射を
合や,妊娠 35 週前後で増加する場合等がある.Holter
できる限り減らすために,腹部遮蔽や,カテーテルアプ
成人先天性心疾患診療ガイドライン
ローチを大腿動脈ではなく,橈骨動脈にする等の工夫が
必要である.
3
胎児評価法
子宮内胎児が well-being であるか否かの評価法とし
て,胎児心拍数モニタリング 475)−477)による Non Stress
表 31 東京女子医科大学母子総合医療センターにおける生存
児の神経学的後遺症(1984–1997 年) 入院
死亡(%)
障害(%)
< 24 週
20
12(60)
1 (5)
24 ~ 27 週
158
19(12)
30(19)
28 ~ 31 週
311
18(6)
37(12)
32 週以上
3,478
87(3)
30(1)
Test(NST),超音波断層法を用いた Biophysical profile
(BPP)
(呼吸様運動,胎動,筋緊張,Non Stress Test(NST),
羊水量の 5 項目からなるスコアリングシステム)478),479),
さらに胎児超音波ドプラ法による血流計測
480)
等がある.
分娩時の胎児心拍モニタリング所見に基づく管理方針に
ついては,日本産婦人科学会・日本産婦人科医会産婦人
科診療ガイドライン 2011(http://www.jsog.or.jp/activity/
guideline.html)を参照.
4
妊娠継続可否の判断
①母体からみた判断
い.
5
分娩法の選択
①分娩時の循環病態
心疾患合併妊婦において,分娩は最も循環動態が変化
する時期であり,生命への危険が及ぶ可能性を念頭に,
管理を行う必要がある.分娩が開始されると,心拍出量
は陣痛開始前と比べて 13 %増加するといわれ,子宮収
縮時にはさらに 34 %増加し,総計約 50 %は増加すると
心不全や不整脈のため母体の病態が継続的に悪化し,
いわれている 482).また,分娩中は心拍出量の変化を減
母体の健康ないし生命が著しく脅かされることが予測さ
少させるために左側臥位が推奨されている 483).これは,
れる場合には,妊娠中断(中絶ないし早期娩出)を考慮
仰臥位低血圧症候群を予防するためにも有用である.
する.また,母体の病態の継続的な悪化のため,胎児頭
囲の発育が停止した場合には,妊娠の中断(早期娩出)
とする.
②早期娩出時の児の予後
②分娩方法の選択
一般的に経腟分娩が推奨されるが,一部の症例では帝
王切開術が選択される(表 32).心疾患の中で帝王切開
術の適応が明らかとされるものは,上行大動脈径の拡大
出産の時期を決定するにあたり,分娩時の妊娠週数別
を伴う Marfan 症候群と,分娩前にワルファリンからヘ
に,生存率や神経学的後遺症を含む生存児の障害発生率
パリンへのコントロール不良の機械弁装着の場合とされ
がどの程度なのかが,大きな要因となる.特に,1,000g
ている 483).その他のハイリスク群に属する場合でも帝
未満(超低出生体重児)や妊娠 28 週未満の出生児(超
王切開を考慮することがある 484).母体負荷を軽減する
早産児)の予後は悪い.米国からの体重別生存率の報告
ために,分娩第 2 期を短縮する目的で,吸引や鉗子分娩
では,500 ~ 750g で 55 %であるが,生存児の 65 %に何
を行うこともある.中等度~高度リスク群では,少なく
らかの障害がみられたとされている 481).
とも分娩後 72 時間はモニター管理を行う必要がある.
我が国の主要施設において,2001 年に出生した児の
一般に,分娩後にもとの安定した循環動態へ戻るまでに
生存率を妊娠 22 週より 1 週ごとに検討したところ,27.2
4 ~ 6 週間かかる.
%,58.2 %,80.9 %,92.1 %,94 %となった.隣接する
以上,「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関す
週での生存率の比較では,22 週と 23 週(p=0.0053),23
るガイドライン(2010 年改訂版)」12)を参照.
週と 24 週(p=0.0017)で有意差がみられたが,24 週以
降では差はみられなかった.1984 年から 1997 年の 14 年
6
避妊,妊娠中絶
1
妊娠を避けることが望ましい疾患・病態
間における,東京女子医科大学母子医療センターでの生
存児の神経学的後遺症(主として脳性まひ)の発生率を
週数別で示す(表31)
.妊娠 32 週以降では生存率は 97%,
障害発生率は 1%となり,妊娠 32 週が早期娩出の 1 つの
目安と考えられる.各施設において,このような治療成
績を加味しながら,娩出時期が決定されることが望まし
①母体の予後規定因子
妊娠・分娩に伴う容量負荷,血管の脆弱性や凝固亢進
35
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
表 32 帝王切開術の適応
一般
(1)母体適応
1)児頭骨盤不均衡
2)軟産道強靭
3)狭窄,瘢痕,骨盤内腫瘍により経腟分娩が困難な時
4)子宮破裂の危険がある時(前回帝王切開,子宮筋腫核出術等の既往)
5)母体に危険が迫っている時(重症妊娠高血圧症候群,子癇,前置胎盤,常位胎盤
早期剥離,肺疾患,腎疾患,肝疾患等の合併等)
6)試験分娩,吸引分娩,鉗子分娩によっても経腟分娩不可能と考えられるとき
(2)胎児適応
1)胎児機能不全
2)臍帯脱出
3)遷延横位,胎位・胎勢・回旋異常
4)胎児の未熟性が予測される骨盤位
母体が心疾患
(1)人工弁でワルファリンのコントロール不良
(2)大動脈拡張が著明な心疾患
(3)心機能高度低下
(4)血圧変動がきっかけで循環動態が破綻しやすい場合
(5)有意な大動脈縮窄,高度大動脈弁狭窄
(6)Fontan 術後(経腟分娩が可能なこともある)
表 33 心疾患患者において妊娠中に心臓合併症を発症するリスク因子
●妊娠中の心臓合併症の既往(心不全,一過性虚血あるいは妊娠前の脳血栓)
●妊娠前の NYHA class Ⅲ~Ⅳあるいはチアノーゼ
●左心閉要塞病変(僧帽弁口面積< 2cm2,大動脈弁口面積< 1.5cm2 あるいは心エコー法での最大左室流出路圧較差> 30mmHg)
●体心室収縮期心機能低下(駆出率< 40%)
等による原疾患への影響が問題となる.多変量解析にて
不良である.
明らかとなった心疾患母体の心事故(肺水腫,持続性頻
チアノーゼ性心疾患の予後も不良で,23 妊娠のうち
脈性不整脈,治療を要する徐脈,脳梗塞,心停止,心原
13 妊娠が心機能低下し,うち 7 妊娠は心不全を発症との
性死亡)を発症する 4 項目のリスク因子(表 33)につ
報告がある 494).チアノーゼ性心疾患 44 患者 96 妊娠で,
いて,それぞれを 1 点として点数化すると,心事故の発
死亡 1 例(感染性心内膜炎),心合併症 14 例,心不全 8
生は 0 点で 5 %,1 点で 27 %,2 点以上で 75 %との報告
例とも報告されている 495).
がある
485)
.また,上記に加えて,重度の肺動脈弁逆流
や僧帽弁逆流がある場合は,妊娠中のリスクが高い 496),497).
とする報告もある 486).
ヨーロッパ心臓病学会の Grown Up Congenital Heart
American College of Obstetrics and Gynecology
Disease(GUCH)ガイドラインでは,妊娠ハイリスク
(ACOG)は,母体死亡率をもとに各心血管疾患の危険
群および妊娠を避けることが望ましい疾患群を表 36 の
487)
度をクラス分類している (表 34)
.またリスクの高い
488)
疾患についての母体死亡率も報告されている (表
35).
36
Marfan 症候群で大動脈径が 40mm 以上の大動脈拡張
や肺循環心室の機能低下,喫煙が母体リスク因子である
ように示している 498).
②胎児の予後規定因子
Eisenmenger 症候群の妊娠出産の予後は不良であり,
心 機 能 低 下 例 の 妊 娠 で は, 胎 児 合 併 症 が 多 い が,
1970 年代は母体死亡率が 52%と高率であった 489).また,
NYHA 機能分類Ⅳでは胎児死亡率が 30%とされている 499).
22 患者 39 妊娠で,15 例が人工妊娠中絶,14 例が自然流
母体の高度チアノーゼは流早産と胎児死亡を引き起こし
産で,30%が帝王切開後に死亡したとの報告がある
.
やすい 500).母体のヘマトクリット値 65%以上では妊娠
Eisenmenger 症候群の母体死亡は 40%との報告もある 490).
の継続は難しい 500).母体の動脈血酸素飽和度が 86 ~ 90
1978 年から 1996 年の報告の集計では,27 例の妊娠で母
%では児の生存率は 50 %以下,85 %以下では 12 %とさ
体死亡が 36%であった 491).近年,新しい肺高血圧治療
)
れている 495(表
37).
薬を用いた妊娠管理もされているが 492),493),母体予後は
チアノーゼ性心疾患の妊娠の分析では,自然流産 51
111)
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 34 心疾患別にみた妊産婦死亡率
Group 1 軽度リスク疾患 妊産婦死亡率< 1%
・心房中隔欠損
・心室中隔欠損
・動脈間開存
・肺動脈 / 三尖弁疾患
・Fallot 四徴(修復術後)
・生体弁置換術後
・僧帽弁狭窄(NYHA Class Ⅰ~Ⅱ)
Group 2 中等度リスク疾患 妊産婦死亡率 5 ~ 15%
2A
・僧帽弁狭窄(NYHA Class Ⅲ~Ⅳ)
・高度大動脈弁狭窄
・大動脈縮窄(弁合併症のない場合)
・Fallot 四徴(未修復術)
・心筋梗塞の既往
・Marfan 症候群(大動脈拡張軽度)
2B
・心房細動を合併した僧帽弁狭窄
・人工弁
Group 3 高度リスク疾患 妊産婦死亡率 25 ~ 50%
・肺高血圧
・大動脈縮窄(弁合併症あり)
・Marfan 症候群(大動脈拡張中等度以上)
表 35 妊産婦の高度リスク心疾患
心疾患
妊産婦死亡率(%)
大動脈弁狭窄
10 ~ 20
大動脈縮窄
5
Eisenmenger 症候群
30 ~ 70
Marfan 症候群
25 ~ 50(推定値)
僧帽弁狭窄(心房細動の合併)
14 ~ 17
周産期心筋症
15 ~ 60
特発性肺高血圧
50
Fallot 四徴(未修復術)
12
表 36 成人先天性心疾患の診療専門施設によるガイドライン
高度リスク疾患
・高度大動脈弁狭窄(平均圧較差> 40mmHg,弁口面積<
0.72cm2)
・高度大動脈縮窄,特に大動脈合併症を伴う場合
・高度僧帽弁狭窄
・体心室機能低下
・機械弁手術後
・肺高血圧
・Marfan 症候群
・チアノーゼ性心疾患
妊娠を避けた方が良いと考えられる患者
・Eisenmenger 症候群
・Marfan 症候群で大動脈拡張
・高度大動脈弁狭窄 / 大動脈縮窄
・体心室駆出率< 35%
%,死産 6%,早産 16%,正期産 27%と高率に胎児合併
表 37 母体動脈血酸素飽和度と生産児出生率
動脈血差塩飽和度(%)
妊娠
% 生産児
≦ 85
17
12
85 ~ 89
22
45
≧ 90
13
92
もある.
早産・子宮内胎児発育不全・新生児死亡をあわせた新
生児合併症の解析では,NYHA 機能分類>Ⅱまたはチ
アノーゼと左室閉塞性病変が有意な危険因子であっ
た 485).また,NYHA 機能分類Ⅰ,Ⅱの心疾患患者(先
天性心疾患:72 %)で,子宮内胎児発育不全は 20 %で
あった 502).さらに,心疾患患者(NYHA Class Ⅰ~Ⅱ:
175 人 NYHA 機 能 分 類 Ⅲ ~ Ⅳ:32 人, 先 天 性 心 疾 患
11.5%)での早産率 25%,子宮内胎児発育不全 18%で,
早産率と低出生体重児は NYHA 機能分類Ⅲ~Ⅳで有意
に多いと報告された 503).重症心疾患の妊娠は,子宮内
発育遅延,早産や低出生体重児の比率が高い.
Eisenmenger 症候群は児の予後も不良で,早産率 53 ~
100%,新生児生存率 75 ~ 92%とされている 111),490),491).
③妊娠が母児にとって危険で,妊娠中絶,妊娠中の厳
重な管理,あるいは妊娠前に修復術の施行を考慮
することが望ましい疾患
(1)NYHA 機能分類Ⅲ以上
(2)未修復術のチアノーゼ性心疾患
(3)狭心症発作歴
(4)中等度以上の左室流出路流入路狭窄(僧帽弁,大動
脈弁,大動脈)
(5)心機能低下(ejection fraction < 40%)
(6)Eisenmenger 症候群
(7)大動脈径が 40mm 以上の Marfan 症候群
(8)機械弁
(9)Fontan 術後
これらの疾患群では専門医と協力し,患者へ十分な説
明をした上で方針を決定する必要がある.
NYHA 機能分類Ⅰ~Ⅱの母体死亡率はほぼ 0 %だが,
心合併症を認めることがあり,妊娠出産には注意が必要
で,患者への十分な説明が必要である.
2
人工妊娠中絶術
症を認めた 495).また,別の検討では,14 %が死産,36
Eisenmenger 症候群の人工妊娠中絶(6 ~ 20 週)で合
% が 子 宮 内 胎 児 発 育 不 全(IUGR; intrauterin growth
併症はなかったとの報告がある 111).
.早産率は 17%(自
心疾患合併では,出血による循環動態の変化や感染性
然早産 59 %),子宮内胎児発育不全は 3.6 %とする報告
心内膜炎に注意する必要がある.麻酔法に関しても,専
restriction)と同様の傾向である
501)
37
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
門医と相談の上,十分な検討が必要である.妊娠 12 週
て,循環器担当医と産婦人科医の双方から本人およびそ
以後の中期中絶では,分娩時と同様の管理が必要である.
の家族に,個々の状況に即した最適な避妊法を,十分説
3
明し同意を得ておくことが望ましい.
避妊
504)
②避妊法(表 38)
①カウンセリング
避妊に失敗すれば重大な転帰がもたらされるため,心
性成熟期に入った患者は,妊娠・避妊に関するカウン
疾患の重症度が高いものほど,効果の高い避妊法が推奨
セリングを必要とする.避妊に関するカウンセリングは,
される.また,エストロゲン製剤の易血栓性等,副作用
母体・児のリスクから判断すべきであり,カウンセリン
に対する厳重な注意が必要であり,適切な避妊法の選択
グを行う人の個人的観念にとらわれないことが大切であ
が不可欠である.
る.妊娠を望まない者あるいは妊娠は望ましくないとさ
れる者を含め,心疾患を持つすべての女性にそれぞれに
1)卵管結紮
適した避妊法をすすめる.
永久不妊術であるが,再疎通させることはできない.
妊娠が危険と考えられる患者,または妊娠出産後の経
①帝王切開時の卵管結紮
過観察中に心機能の悪化がみられ,次回の妊娠をすすめ
最も簡単で確実.
られない患者には,避妊の必要性,また避妊方法につい
②経膣分娩後の卵管結紮
臨床症状* 1/WHO 分類
生理学的心雑音
心臓構造異常のない発作性
心房細動(ワルファリン使
用例を含む* 2)
修復術後の Fallot 四徴
未修復心房中隔欠損
拡張型心筋症
中等度以上の大動脈弁狭窄
僧帽弁の Bjork-Shiley 弁
僧帽弁の二葉弁
チアノーゼ性心疾患(肺高
血圧症を伴わないもの)
表 38 臨床症状別にみた避妊法の使用基準に関する WHO 分類
低容量エスト プロゲストー
ホルモンを
DepoMirena® 標準的な
ロゲン含有避 ゲン単剤避妊 Cerazette® Implanon®
用いた緊急
®
Provera
IUS
IUD
妊薬
薬
避妊処置
1
1
1
1
1
1
1
1
1(ワルフ
3
1
1
1
ァリン使用
1
1
1
例は 3 * 2)
1
1
1
1
1
1
2
1
3
1
1
1
1
1
1
1
1(ワルフ
*3
1
1
1
1
1
ァリン使用
4
(1)
例は 3 * 2)
2
1
1
1
1
2
3
1
4
1
1
1
3
3
4
1
3
1
1
1
3
3
4
1
2(ワルフ
*3
2
3
1
1
1
ァリン使用
4
(1)
例は 3 * 2)
Eisenmenger 症候群や肺高
*3
1
1
4
(1)
血圧症
Fontan 循環(ワルファリン
*3
1
1
4
(1)
使用例を含む* 2)
WHO 分類群 1:使用制限なし
WHO 分類群 2:全般に,使用の有益性が理論上または実質上のリスクを上回る
WHO 分類群 3:全般に,理論上または実質上のリスクが有益性を上回る
WHO 分類群 4:健康上のリスクが極めて高い
1
4(3 * 4)
4
1
3
4(3 * 4)
4
1
* 1 詳細については各避妊法の項を参照.
* 2 ワルファリン使用例の場合,
Depo-Provera の使用期間中は INR(国際標準比)をモニタリングする必要がある(エストロゲン・
プロゲストーゲン合剤の併用で変化する可能性がある)
.Depo-Provera 使用例では,限局性の血腫を来たすおそれがある(本
文を参照)
.
* 3 安全とされているが,プロゲストーゲン単剤避妊薬の効果は限られてるため,妊娠によって特定のリスクのある者では使用
を制限する.
* 4 他に適切な避妊法がなく,妊娠のリスクが使用に伴うリスクを上回ると判断された場合には使用してよい.
IUS:子宮内避妊システム IUD:子宮内避妊器具
38
成人先天性心疾患診療ガイドライン
分娩翌日,もしくは 2 日後に実施.
7)パートナーの避妊手術
③膣式卵管結紮術
パートナーの女性が死亡することもあるので積極的に
子宮内掻爬による妊娠初期の人工妊娠中絶術に続いて
はすすめられない.
膣式に卵管結紮術が可能.
以上,「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関す
④内視鏡下卵管結紮術
るガイドライン(2010 年改訂版)」12)を参照.
小切開で手術が可能.Eisenmenger 症候群患者 22 例の
卵管結紮術において,1 例の死亡と 1 例の循環不全を認
めたとの報告がある
7
遺伝
1
先天性心疾患の頻度・成因
111),505)
.
2)子宮内避妊器具
(IUD/S; Intrauterine Device/System)
手術操作は容易で,比較的安全.抜去すれば再び妊娠
先天性心疾患は,生命に直結する主要な先天性異常の
が可能.約 2%に骨盤内感染症があり,卵管性不妊とな
中で,中枢神経系に次いで 2 番目に頻度が高いといわれ
.感染性心内
ている.日本における先天性心疾患の頻度は 1,000 人の
膜炎のリスクがあり 505),506)骨盤内感染症や感染性心内膜
出生に対して 10.6 人と報告され,欧米は,1,000 人の出
炎を発症時は,除去.抗凝固療法を行っている患者では
生に対して 4.1 ~ 10.2 人であり,明らかな人種差は認め
る危険があり未産婦には推奨できない
子宮出血が問題となることもある
505)
505)
.高い避妊効果が
期待できるプロゲストーゲン徐放性子宮内避妊器具も発
売されている.
)
られない 32),507),508(表
40).ただし,先天性心疾患の表
現型は多彩であり,成因も単一ではない(表 41).
①染色体異常
3)低容量エストロゲン含有避妊薬
染色体異常症では全身性の先天異常症候群を呈し,そ
避妊効果は高いが,副作用として,水分貯留,血栓症,
の部分症として先天性心疾患を合併する(表 42).染色
血圧上昇等が問題.チアノーゼ性心疾患では,血栓の発
体異常症では,一般に先天性心疾患の頻度が増加し,一
症が多い 506).Eisenmenger 症候群では心機能悪化とチア
般集団で頻度の高い心室中隔欠損,心房中隔欠損等の合
ノーゼの増強が見られ,血栓症による死亡も認められて
併率は上昇する.一方,一般集団中で比較的頻度の低い
いる 111).低容量エストロゲン避妊薬を控えるべき疾患
先天性心疾患の発生率が,特定の染色体異常で特に増加
を表 39 に提示する
505)
.
す る 場 合( 例:Down 症 候 群 に お け る 房 室 中 隔 欠 損,
Turner 症候群における大動脈縮窄等),その先天性心疾
4)プロゲストーゲン単剤避妊薬
患の発症に異常染色体が大きく関与する可能性が示唆さ
排卵阻害作用がないため,毎日ほぼ同時刻に使用しな
れる.通常の G バンド分染法では検出困難で,FISH 法
くてはいけない.血栓リスクを高めない点,エストロゲ
により異常を検出することのできる染色体微細欠失症候
ンを用いた避妊法に比して安全である.
群の中にも,高率に先天性心疾患を合併するものがある.
5)コンドーム
②単一遺伝子病・症候群
確実に正しく装着していれば,避妊効果は高い.
メンデル型の遺伝形式(常染色体優性,常染色体劣性,
6)基礎体温
いる疾患と特定されていない疾患がある.多くは,病因
本人の自覚のみに任せるので確実性はない.
遺伝子の多面効果によって複数の異常形質をもたらす先
X 連鎖性)に従う疾患群.疾患責任遺伝子が特定されて
天異常症候群として発症し,先天性心疾患はその部分症
表 39 低容量エストロゲン避妊薬を控えるべき疾患
・チアノーゼ性心疾患
・肺高血圧
・低心拍出量
・心室拡張
・上室性不整脈
・静脈系の導管内血流の流れが緩徐の場合
・高血圧(十分な治療が行われていない場合)
・塞栓血栓の既往
として認められる(表 43).近年の分子遺伝学的研究の
成果により,NKX2.5 変異,GATA4 変異等,病因遺伝子
により心臓だけが特異的に障害される症例が発見されて
きているが,単一遺伝子病全体の中で占める割合はまだ
少ない.
39
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
疾患名
心室中隔欠損
Fallot 四徴
表 40 先天性心疾患の疾患(表現型)別頻度
小児循環器学会
厚生省研究班 32)
疫学委員会 32)
(1986 年 773 例)
(2003 年 2,654 例)
頻度(%)
頻度(%)
32.1
56.0
11.3
5.3
米国
Hoffman et al.508)
(1978 年 3,104 例)
頻度(%)
30.3
5.1
心房中隔欠損
10.7
5.3
6.7
完全大血管転位
肺動脈狭窄
4.3
3.7
2.2
9.6
4.7
7.4
3.6
1.8
0.4
8.6
3.2
1.0
動脈管開存
2.8
房室中隔欠損
2.3
三尖弁閉鎖
2.0
大動脈縮窄
1.9
2.7
5.7
大動脈狭窄
1.5
0.4
5.2
総肺静脈還流異常
1.4
1.2
1.1
肺動脈閉鎖
1.1
0.8
左心低形成症候群
0.1
0.6
1.3
その他
各 1 以下
各 1 以下
各 1 以下
註)日本小児循環器学会疫学委員会の調査は,小児循環器専門施設を対象にしているため,厚生省研究班の一般新生児を対象とし
た調査結果と比較すると若干の差が認められる.米国の報告は疫学委員会の報告に比べ,動脈管開存,大動脈縮窄,大動脈弁
狭窄,左心低形成(いわゆる左心系疾患)が多く,Fallot 四徴,心房中隔欠損(6.7%)が少なく,人種差が示唆される.
表 41 先天性心疾患の成因 509)
染色体異常
単一遺伝子病
催奇形因子
多因子遺伝
考えられるもので,大部分の先天性心疾患,特に心臓大
8%
5%
2%
85%
血管にだけ先天異常を有する症例のほとんどが該当す
る.複数の同義遺伝子(単一では効果の弱い対立遺伝子)
が互いに相加的に働き,さらに環境因子の影響を受け,
1 つの形質(表現型)を発現させるポリジーン系モデル
によって説明されるもので,換言すれば単一の原因を特
定できないものである(表 45).
③催奇形因子(表 44)
胎児の心臓大血管系は妊娠初期(3 ~ 8 週)に形成さ
先天性心疾患の同胞発生の頻度
れる.この時期は,特に催奇形因子による影響を受けや
多因子遺伝の場合,1 度近親内の再発期待値は一般人
すく(受攻期),心臓の発生異常が最も起こりやすい時
口頻度のルートに近似する.実際の再発率は経験値によ
期である.また,母体疾患の中にも児の先天性心疾患に
っており,第 1 子が先天性心疾患の場合,次子の経験的
関連するものがある.
)
再発率はおよそ2~5%である507),509(表46)
.このことは,
先天性心疾患の児が 1 人生まれた家系の,次の児に何ら
④多因子遺伝
かの先天性心疾患が発症する頻度が,一般における発症
遺伝的素因と環境要因との相互作用により発症すると
染色体異常症候群
Down 症候群
(21 トリソミー)
Turner 症候群(45X)
微細欠失症候群
22q11.2 欠失症候群
(del.22q11.2: TBX1, etc.)
Williams 症候群
(7q11.23: elastin, etc.)
40
2
頻度(約 1 %)の 2 ~ 5 倍に上昇することを意味する.
表 42 成人先天性心疾患に見られる主な染色体異常症候群
主な合併心疾患
心室中隔欠損,房室中隔欠損,Fallot 四徴,心房中隔欠損,動脈
管開存
大動脈縮窄,大動脈弁狭窄,大動脈二尖弁
Fallot 四徴,心室中隔欠損,心室中隔欠損兼肺動脈閉鎖,主要大
動脈肺動脈側副血行路,大動脈離断(B 型)
,総動脈幹
大動脈弁上狭窄,大動脈弁狭窄,大動脈二尖弁,僧帽弁逸脱,僧
帽弁閉鎖不全,肺動脈狭窄心房中隔欠損,心室中隔欠損,末梢肺
動脈狭窄
合併頻度
40 ~ 50%
35%
80%
75%
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 43 成人先天性心疾患に見られる主な単一遺伝子症候群
症候群
遺伝子座
遺伝子
主な合併心疾患
Noonan/RAS/MAPK 症候群
12q24.1
3p25
12p12.1
2p22 - p21
11p15.5
7q34
15q21
19p13.3
20p12
1p13 - p11
6p12
15q21
PTPN11
RAF1
KRAS
SOS1
HRAS
BRAF
MEK1
MEK2
JAG1
NOTCH2
TFAP2B
Fibrillin1
心房中隔欠損,心室中隔欠損,肺動脈狭窄,
動脈管開存,肥大型心筋症
9q33 - q34
3p22
12q2
TGFBR1
TGFBR2
TBX5
Alagille 症候群
Char 症候群
Marfan 症候群
Loeys-Dietz 症候群
Holt-Oram 症候群
合併
頻度
Fallot 四徴,末梢性肺動脈狭窄,
心房中隔欠損,心室中隔欠損,大動脈縮窄
動脈管開存
僧帽弁逸脱,僧帽弁閉鎖不全,
大動脈弁輪拡張,大動脈弁閉鎖不全
動脈管開存,大動脈弁輪拡張,大動脈解離
93%
心房中隔欠損,心室中隔欠損
50%
100%
70%
表 44 催奇形因子・環境要因
先天性心疾患の頻度(%)
主な病型
催奇形因子
アルコール
アンフェタミン
ヒダントイン
トリメタジオン
リチウム
レチノイン酸
性ホルモン
サリドマイド
感染
風疹
母体疾患
糖尿病
ループス
フェニルケトン尿症
40
10
2~5
15 ~ 30
5
15 ~ 20
2~4
5 ~ 10
35
3 ~ 5(30 ~ 50)
40
25 ~ 100
心室中隔欠損,動脈管開存,心房中隔欠損
心室中隔欠損,動脈管開存,心房中隔欠損,
完全大血管転位
肺動脈狭窄,大動脈狭窄,大動脈縮窄
完全大血管転位,Fallot 四徴,左心低形成症候群
Ebstein 病,三尖弁閉鎖,心房中隔欠損
心室中隔欠損,心房中隔欠損,動脈管開存
心室中隔欠損,完全大血管転位,Fallot 四徴
Fallot 四徴,心室中隔欠損,心房中隔欠損
末梢性肺動脈狭窄,動脈管開存,心室中隔欠損,
心房中隔欠損
円錐動脈幹異常,心室中隔欠損,心肥大
房室ブロック
Fallot 四徴,心室中隔欠損,心房中隔欠損
表 45 多因子遺伝の一般的および先天性心疾患の特徴
1.ありふれた疾患は,一般人口頻度 0.1 ~ 1%
2.1 度近親の経験的再発率が P(P= 一般人口頻度)に一致.一般に 1 ~ 5%
3. 一卵性双生児の一致(両児とも疾患を有する)率は二卵性の 5 ~ 10 倍(先天性心疾患では一卵性 46%,二卵性 4%)
4.季節,社会階層,催奇形因子等の環境要因により,発生頻度に差が認められる
5.発生頻度に性差あり(心房中隔欠損,動脈管開存は女性に多く,大血管転位,大動脈狭窄は男性に多い)
6.頻度の少ない方の性で,1 度近親の再発率が高くなる
7.1 度近親に患者数が増せば増すほど再発率は上昇する(先天性心疾患では,同胞に 1 人で 2 ~ 5%,2 人で 15 ~ 30%,3 人で
50%以上)
8.発端者の疾患が重症なほど,同胞の再発率が増加する
9.近縁の度が少なくなるほど急激に再発率が低下する.1 度近親で一般人口頻度の数十倍,2 度近親で数倍,3 度近親では一般人
口頻度にほぼ等しい
41
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
一般人口頻度
(P)%
心室中隔欠損
Fallot 四徴
心房中隔欠損
完全大血管転位
肺動脈狭窄
動脈管開存
心内膜床欠損
0.25
0.13
0.1
0.05
0.04
0.03
0.02
表 46 先天性心疾患の同胞再発率
小児循環器学会疫学委員会
期待値
P
(2003 年)
経験的再発率%
5
4.1
3.6
4.1
3.2
2.8
2.2
2.1
2.0
3.3
1.7
5.4
1.4
1.6
同胞内に 2 人先天性心疾患児がいる場合 7 ~ 10 %に,3
人いる場合には 50 %以上に上がるとされる.疾患の一
米国 Nora ら(1980 年)
経験的再発率%
4.2
3.0
2.9
1.7
2.7
3.5
2.6
①多因子遺伝の先天性心疾患の再発率
致率は 60 %程度で,必ずしも家族内で同じ疾患を再発
前述の経験的再発率を基盤としてカウンセリングを行
するとは限らない.動脈管開存,肺動脈狭窄,心房・心
う.家系内の心疾患発生状況を綿密に調査し,発端者が
室中隔欠損では,比較的高い確率で同一の疾患を発症す
属する家系が一般的な素因の家系か,家族性の強い家系
るのに対し,Fallot 四徴の家族例では一致率が低い.
3
先天性心疾患の親子間の発生頻度
(家系に複数の先天性心疾患患者がいる)かを確認する.
発端者の妊娠初期に,表 44 のような催奇形因子の関与
がなかったかどうかを,母に罪悪感を抱かせることのな
多因子遺伝の場合,両親のいずれかが先天性心疾患で
いように十分に配慮しながら聴取する.家系内にあった
あれば,その子供に先天性心疾患が発生する頻度は一般
先天性心疾患の自然治癒についても,見落としがないよ
に高くなる.疾患の種類により発生頻度に差があり,母
う十分に聴取する.特に心室中隔欠損では 50 %近くも
親が先天性心疾患の場合,その頻度は経験的に 2 ~ 12%,
自然閉鎖があり,これらも遺伝的には家族歴ありとみな
父親の場合 1 ~ 3%と報告されており,母親からの再発
す必要がある.
510)
率が高い (表47)
.疾患別では左心系の閉塞性疾患(大
動脈狭窄等)の再発率が高いが,例えば,母親がチアノ
ーゼ性心疾患である場合には,自然流産の率も高く,各
②染 色体異常・先天異常症候群を原因とする先天
性心疾患の再発率
疾患の再発率・疾患一致率の評価は慎重でなければなら
Down 症候群の児が生まれた両親における次子の再発
ない.
率は,両親の染色体が正常の場合 1%以下である.先天
4
先天性心疾患の遺伝カウンセリング
の実際
性心疾患を合併する常染色体優性遺伝形式の症候群の場
合,両親のいずれかがその疾患である,すなわち原因と
なる染色体微細欠失ないし遺伝子異常を保有していれ
先天性心疾患の児を生んだ親にとって,次子の心疾患
ば,児の再発率は 50 %である.ただし,いずれの症候
再発率を知ることは切実な問題である.また,先天性心
群が再発したとしても,先天性心疾患の有無,表現型(病
疾患の診断・治療管理の向上により,多くの患者が成人
型)は親子間で必ずしも一致しないので注意を要する.
に達し,先天性心疾患の親子間の再発率が問題となるケ
一方,両親のいずれにも遺伝的原因が検出されない場合,
ースも増加している.
発端者に新生突然変異が起こったと考えられ,次子の再
適切な遺伝カウンセリングのためには,まず成因診断
発率は一般集団と同等と推定する.
を正確に行うことが重要である.また,専門的知識・技
染色体異常,単一遺伝子病による先天性心疾患は少数
能を有する専門医またはカウンセラーによって行われる
であるが,
(1)遺伝学的検査による診断,
(2)保因者診断,
ことが望ましい.詳細については,「心臓血管疾患にお
(3)再発率,(4)先天性心疾患と他の症状(症候群)の
ける遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイド
自然歴,予後,包括的管理,(5)出生前診断等,遺伝カ
ライン」511)や日本医学会「医療における遺伝学的検査・
ウンセリングの内容は多岐にわたる.特に,22q11.2 欠
診断に関するガイドライン」512)を参照されたい.
失症候群 513),514),Noonan 症候群等は比較的頻度が高く,
先天性心疾患が診断のきっかけになることが多い.染色
体異常ないし遺伝子異常の診断が確定しても児の臨床表
42
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 47 父または母に先天性心疾患がある場合の児の再発率
疾患名
母に先天性心疾患
父に先天性心疾患
あり
あり
大動脈弁狭窄
11.9%
2.5%
心房中隔欠損
5.8%
2.0%
大動脈縮窄
4.3%
2.2%
心室中隔欠損
4.1%
2.6%
動脈管開存
4.1%
2.2%
肺動脈狭窄
3.4%
1.7%
Fallot 四徴
2.0%
1.4%
すこともあり,問題はさらに大きくなる.遠隔期には術
後合併症や再手術等新たな壁にぶつかることがある.そ
の際に症状や手術,さらには死に対する,不安,恐怖等
を感じ,これに対処できないためストレスや精神症状に
発展することも多い.
精神心理的問題に介入するには精神科医,臨床心理士
への紹介や連携は重要である.可能であれば先天性心疾
患に興味がある,あるいは精通している精神科医や臨床
心理士が望ましい.介入方法としては薬物療法,精神心
理療法がある.薬物療法の際には精神作用薬物と循環器
現型(自然歴・予後)を確実に予測することができない
薬との相互作用,循環器疾患への影響について考慮する
場合が多いことが問題である.両親に過度の不安を与え
必要がある.精神心理療法には個人療法,グループ療法,
ることなく,症候群についての幅広い知識をもって,長
家族療法がある.また最近では患者や疾患経験者が自ら
期的に包括的な管理を行っていくことが大切である.各
カウンセリングをするピアカウンセリングも有用とされ
疾患・症候群については,「心臓血管疾患における遺伝
ている.
511)
学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」
未修復術・姑息術後患者は,神経認知学的に問題があ
を参照.
る場合がある.総合知能検査の多くは正常範囲であるが,
8
心理的問題
かなりのばらつきがあり,抽象的推論や空間記憶が障害
されているとされる.特に姑息的手術不成功例,2 歳以
降の修復術後,乳児期の心不全合併例で中枢神経系合併
先天性心疾患は成人期に様々な医療的社会的問題に直
症,知的発達の遅れ,学業成績の不良が多く見られた 527).
面することが多い.再手術,合併症等の医療的側面と就
これらの認知機能の障害は成人後の神経学的問題のみな
学,就職,結婚,妊娠出産といった社会的問題の側面が
らず精神心理的問題に大きな影響があると思われる.
ある.そのような長期的ストレスを背景として精神心理
的問題を生じることがある.両親の過保護や家族の病気
9
社会的問題
に対する認識不足や病気を受容できないことにより幼少
期より適応不全になることも多い 515)−518).幼少期より
成人先天性心疾患は,背景となる心臓病に関した問題
持続する低酸素状態,手術の際の人工心肺使用の影響等
だけでなく,教育,就職,結婚,妊娠,出産,育児,子
により神経認知機能障害を来たしていることもある.
供への遺伝,旅行,運動,レクリエーション,社会保障
精神心理的問題は心疾患の治療や社会適応に影響を及
(保険,年金,身体障害者認定,医療給付,更成医療給付)
ぼすことが多く,その対処は重要である.不安やうつ等
等社会的な問題も重要である 3),34),528).成人先天性心疾
の精神症状,あるいは人格障害も認められることがある.
患患者は,一般と比べ,社会的自立の程度は劣ることが
うつと不安の頻度は 36 ~ 50%であり 519)−521),一般の頻
多いとされる 21),529)−532).社会的自立を規定する因子は,
度に比べて高率である.精神的症状を呈さないものの,
)
医療側,患者側,社会側の 3 つの側面に分けられる 528(表
潜在的にうつや不安を抱えている患者も認められる.こ
48).医療側には十分な知識に基づく適切な医療,医療
のことが就労能力や対人関係に影響を与える可能性があ
施設の提供,長期予後,生涯歴の解明という因子がある.
り,適切なスクリーニングは重要である.精神心理的症
患者側には疾患重症度,精神心理学的問題 533)−536),術
状に影響を与える因子には,身体機能,性差,年齢,手
後遺残症,続発症,合併症,継続的医療の必要性,入院,
術の既往,合併症,手術創等のボディイメージ,運動制
投薬の継続,再手術,病気の適切な理解という因子があ
限がある
521)−526)
.先天性心疾患は幼少時より自分は人
る.また,社会的側面には社会の心臓病に関する適切な
と違うという認識を持ち,成長につれ自分の身体的機能
理解,教育,就職の機会均等性,社会保障福祉体系(健
低下,運動制限等により劣等感を持つことが多い.成長
康保険,障害者認定,年金,医療費公費負担)という問
の過程でこれらの様々な壁にぶつかった際に,友人と話
題がある.社会的自立には,これら因子が複合し影響を
をしたり感情を表現したりする場を持っていないことが
及ぼす.
多い.学童期以降には友人等の対人関係にも障害を来た
43
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
表 48 成人先天性心疾患患者の自立を妨げる要因
1.医療の側面
十分な知識に基づく適切な医療,適当な医療施設,長期
予後と生涯歴の解明
2.患者の側面
疾患重症度(未手術,手術不能,手術後(術後遺残症,
続発症,合併症,再手術の有無)
)
,継続的要医療,頻回
の入院,継続的投薬.心臓病,病態の適切な理解.精神
神経心理学的問題
3.社会の側面
心臓病についての適切な理解,教育,就職の機会均等性,
社会保障福祉体系(健康保険,障害者認定,年金,医療
費公費負担)
,生命保険
害者雇用率制度等の年金,手当,医療費助成を受けられ
る 3),555).
4
結婚,妊娠 12),556)
男性患者の場合,家庭の独立を保つ責任感を感じ,心
疾患が重篤であればあるほど経済的バックグラウンドの
弱さが結婚を含む社会的自立に大きな障害となる.男性
は一般に比べ既婚率は低く,女性は既婚率が高い 3).女
性は,妊娠や出産に関心が高いが,遺伝に関する不安は,
男女共通の悩みとされる 528),557).多くの先天性心疾患患
者は,性生活,結婚生活が可能である 557)−559).心理的
1
な面では,自己を過小評価する傾向,安全な生活を求め
就学,教育
ること,自分の病気を知られると嫌われるかもしれな
教育程度は,社会生活の質,就業に影響を及ぼす.
いと考えること,性生活により心臓の状態が悪化する
教 育 レ ベ ル に 影 響 を 及 ぼ す 因 子 に は 疾 患 の 重 症 度,
と考えがちなことから異性と親しくなれない場合も多
IQ,遺伝子異常,精神心理学的問題,家庭環境等があ
い 520),559)−561).男女とも,配偶者より早く死ぬという不
る
530),532),537)−539)
.チアノーゼ性心疾患術後の IQ や学
業成績,認知機能は,非チアノーゼ型より劣るとされ
る 536),537),540).チアノーゼ性心疾患患者の発達に影響を
及ぼす因子には,慢性低酸素血症,脳血管系合併症,手
否定的な報告もある 3),540).
5
就業
術中の循環停止等がある 537),541)−547).多くの先天性心疾
成人先天性心疾患患者の,就業率は報告により異なる
患の知的能力は正常範囲内であるが,チアノーゼ性心疾
が 529),531),540),疾病が重症なため就業できない患者は,
患は多少劣るとされる 538).家庭的に過保護に育てられ,
全体の 10%以下とされている 539).NYHA 機能分類Ⅲ以
学校側も特別扱いするため競争心に乏しいことが多く,
上では,入退院を繰り返すため満足に勤務できない場合
学校を休むことも少なくないため就学率は低いとされて
も多い 3).NYHA 機能分類Ⅱ以上,心拡大,強心薬内服
いた 532),547)−550).疾患の重症度が増すと高等学校での教
が就業に影響を及ぼし,身体活動能力は就業状況と相関
548)
.チアノーゼが
するとの報告がある 531),562).重症心疾患で,教育程度が
残存している場合は,大学への進学をあきらめている場
十分でない場合は,就業率は低い 516),562).小児期から思
合も多い 3).重症心疾患では,学校を休むことが多く,
春期の精神的葛藤が成人期以降の精神状態,ひいては就
育も受けていない場合が少なくない
.し
業に影響することがある 21),557).障害者雇用促進等に関
かし,専門学校,短大以上の就学率は,一般と比べ同等
する法律を利用すると就職が有利な場合がある 3).内部
とする報告もある 3),540).
障害のため,職場の理解が乏しいことが少なくない.職
進級が遅れるため,学校を中退することもある
2
532)
保険
業訓練を受け,就業しやすい技術を身につけるが必要で
あるが,資格獲得率は低い.普通運転免許は就職時のみ
健康保険に加入ができているか,扶養家族として健康
ならず通院時にも有用であるが,取得率は一般と比べ低
保険を利用できる.生命保険加入率は一般の人の加入率
い 3).心臓病は就職時に不利ではないことが多いが,多
に比べはるかに低い 3),515),551)−554).先天性心疾患心内修
くの患者は心疾患があると就職に不利と考えている 3).
復術は 1950 年代に開始されたため,先天性心疾患の多
自己を低く評価し 520),561),562),心臓病のため就職を拒否
くは自然歴,術後生命予後,長期遠隔期罹病率が十分に
されるのではないかと考えるため,就職先を探すことを
は明らかでない.このため,生命保険加入基準,就業基
ためらう場合や雇用者側に心臓病の告知をしない場合も
準の設定が難しいとも考えられている.
ある 561).雇用側は,心臓病患者は病状の急変や長期入
3
44
安を持つ 520),559)−561).離婚率が高いとの報告 550)があるが,
身体障害者認定,年金
院を必要とする可能性があると考え雇用に消極的になり
やすい 563).心疾患の自然歴,修復術後遠隔成績,罹病
身体障害者の認定(1 級のみの場合もある)を受けた
率は今後明らかになるので 165),主治医は患者の勤務能
場合は,障害者基礎年金,重度障害者医療助成制度,障
力に関する身体的情報を,生涯歴も含め雇用者側に的確
成人先天性心疾患診療ガイドライン
に伝えることが望ましい 553).就業に大きな影響を及ぼ
す要因に,精神的問題がある.精神的問題には,知的障
害と精神障害が含まれる.知的障害の原因として,染色
体異常,周術期の集中管理等によるものがある.一方,
1
成人期初回手術(表 49)
①非チアノーゼ性心疾患
精神障害の原因は,22q11 deletion 症候群等が挙げられ
1)心房中隔欠損
る.ともに就業能力は低く社会的バックアップが必要と
長期的な左−右短絡のため左室の発育不全や右心系容
なる
量負荷の増大が次第に進行する.40 歳以降では心房細
564)−566)
.
動の合併率が増加するため 568),発作性心房細動に対し
10 成人期の手術
ても欠損孔閉鎖時にメイズ手術を追加することが推奨さ
れる 568),569).また右心系容量負荷により三尖弁閉鎖不全
成人先天性心疾患は,適切な診断を受けていないケー
を合併することもあり中等度以上の逆流では同時修復が
スや診断を受けても自覚症状が強くないために成人期ま
望ましい.このような合併症が認められる症例では手術
で放置していた患者にしばしば遭遇する.また姑息的手
治療を行うか,カテーテル閉鎖術を行うかの十分な検討
術の段階に留まり,それ以降の治療が検討されていない
が必要である 6).
症例も認められる.これらの症例に対しては現在の診断
技術や手術成績,予後等から手術適応を再検討する必要
2)心室中隔欠損
がある.一方手術成績の向上と内科的治療の発展により
左−右短絡の多い心室中隔欠損を成人期まで持ち越す
成人期に達する心内修復後症例は年々増加しているが,
ことはまれであるが軽度−中等度の肺高血圧を伴いなが
長期フォロー中に遺残症による障害や続発症が出現し再
ら日常生活を営んでいるケースもある.肺高血圧を伴う
手術が必要となるケースも少なくない.再手術を行う際
場合は,酸素,NO あるいは肺血管拡張薬による肺血管
には,修復方法や原疾患そのものの慢性的変化をあらか
の反応性の術前検査を行い,必要があれば肺生検を行っ
,解剖学的特徴
て手術適応を決定する 160),161).またアジア人に多い肺動
を把握する小児心臓外科医の経験に加え,弁膜病変や不
脈弁下欠損では大動脈弁が逸脱して欠損孔を塞ぎ,症状
整脈を治療する成人心臓外科医の技術が必要と考えられ
に乏しく診断が困難なことがある.しかし大動脈弁閉鎖
る 6),567).
不全を合併したり中年期以降に逸脱した弁尖が破裂して
じめ診断しておくことは重要であり
567)
バルサバ洞動脈瘤破裂を来たすこともあるので 570),571)定
期的な心エコー法での観察,手術時期決定が必要である.
3)Ebstein 病
成人例では三尖弁前尖が帆のように大きいことが多く
Single-stitch 法 572),Carpentier 法 573)のような弁輪縫縮お
表 49 成人期先天性心疾患の手術
1.初回手術
(1)非チアノーゼ性心疾患
心房中隔欠損(部分肺静脈還流異常合併例を含む)
心室中隔欠損
房室中隔欠損(不完全型,完全型)
動脈管開存
大動脈弁病変
(2)チアノーゼ性心疾患(姑息術後例を含む)
Fallot 四徴(肺動脈狭窄 / 肺動脈閉鎖)
三尖弁閉鎖
単心室+肺動脈狭窄
大血管転位+肺動脈狭窄
修正大血管転位+肺動脈狭窄
2.再手術
右室流出路心外導管交換
Fallot 四徴術後肺動脈弁閉鎖不全
房室中隔欠損術後僧帽弁閉鎖不全
Failing Fontan に対する TCPC conversion
よび一弁化形成術が有効である.しかし弁葉が形成不良
である場合,弁置換も選択される 572),574).頻拍性不整脈
に対してはカテーテルアブレーションや術中右側メイズ
術 が 有 効 と さ れ て い る 575),576). 最 近 は,Cone
reconstruction が行われることもある 577).
4)動脈管開存
高齢者の動脈管開存ではしばしば近傍の大動脈が石灰
化を起こし,単純な結紮や切断は大動脈の亀裂を起こす
危険性がある.このような症例では体外循環下に動脈管
を切離し大動脈の形成を行う方法や主肺動脈経由のパッ
チ閉鎖等の方法が報告されている 578),579).
45
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
5)修正大血管転位
心室中隔欠損や肺動脈弁狭窄等の心内合併異常を伴わ
ない修正大血管転位もしばしば成人期に遭遇する.手術
適応は主として経年的な体循環房室弁である三尖弁閉鎖
2
再手術
①再手術適応と術式
不全の進行と形態的右室の収縮能低下によるものであ
1)肺動脈弁機能不全(閉鎖不全・狭窄)
る.中等度以上の三尖弁閉鎖不全を認める場合,早期の
右室流出路再建に用いられた心外導管の機能不全,あ
手術介入がすすめられるが
56)
Ebstein 様の三尖弁形態を
るいは肺動脈弁交連切開や弁輪を越える流出路パッチ拡
呈する症例も認められ,弁形成術が有効ではないことが
大術後の肺動脈閉鎖不全は再手術の頻度が高い.肺動脈
多い 8).体心室機能が低下していることを考慮すると確
分枝狭窄を伴う場合はバルーン拡張術を行い,無効であ
実な修復が重要であり,成人期の治療では弁置換が推奨
れば再手術時の修復を検討する.遺残肺動脈狭窄でも再
.手術にあたっては形態的右室が収縮率
手術を考慮することがある 6),8).慢性的な肺動脈弁閉鎖
40 ~ 45 %以上を保っている時期が望ましい 6).また加
不全は右室拡大や収縮力低下を引き起こし不整脈基質と
齢とともに刺激伝導系障害も出現することが知られてお
なることが示されており 8),582),肺動脈弁閉鎖不全を確
り,高度徐脈や房室ブロックを認める場合ペースメーカ
実に防止することが肝要である.十分大きなサイズの人
移植の適応である.
工弁を用いて弁置換あるいは弁付き心外導管による再建
される
11),56),580)
②未修復術,姑息的手術後のチアノーゼ性心疾患
が望ましい.成人期では右心系に用いられた生体弁は長
い耐久性を持つことが期待でき抗凝固療法が不要なこと
成人期に見られるチアノーゼ性心疾患の多くは心室中
から生体弁等組織弁を用いた肺動脈弁置換が望まし
隔欠損を伴い適度な肺動脈弁狭窄により肺血流がバラン
い 56),583).今後カテーテルによるステント付き弁移植
スよく調節されている.Fallot 四徴や大血管転位,修正
(PPVI; percutaneus pulmonary valve implantation) が 日
大血管転位,単心室が挙げられる.慢性的な低酸素血症
本でも導入されれば重要な選択肢となり得る 584).
にさらされ,出血傾向や腎機能障害等の多臓器合併症を
2)房室中隔欠損術後の房室弁閉鎖不全
伴う.全身的合併症を術前に診断しておくことが望まし
心室間の遺残短絡とともに房室中隔欠損術後の房室弁
い.
閉鎖不全に対する再手術の頻度が高い.房室中隔欠損の
二心室を備えている疾患でも形態的右室は体循環心室
左側房室弁閉鎖不全では縫合された前尖裂隙(クレフト)
として機能しているため厚い肉柱が形成され,容積減少
の肥厚短縮,接合部の肥厚,腱索の肥厚短縮あるいは著
や拡張能低下を認める症例や多発性の心室中隔欠損や腱
明な弁輪拡大等を認め,弁形成術は困難なことが多い 585).
索の一側房室弁両室挿入(straddling)を伴っている場
3)Fontan 手術後
合がある.二心室修復をめざす完全大血管転位や修正大
Fontan 手術では 1990 年以前の標準的な術式であった
血管転位でも解剖学的形態異常のため二心室修復が困難
右房−肺動脈結合 Fontan 術後の遠隔期に著明な右房拡
な場合がある.どちらかの心室容積が 70 %以下の場合
張を来たし Fontan 循環の破綻や心房内血栓,頻拍性不
は体 - 肺短絡手術を介するか,Fontan 型手術も考慮す
整脈合併を認める症例が増加している.こうした症例に
る 580).
対して拡張した右房壁を可及的に切除して縮小し,両方
Blalock-Taussig 短絡術をはじめとする種々の体−肺短絡
向性 Glenn 手術と下大静脈−肺動脈間を人工血管で再建
術や両方向性 Glenn 手術,TCPS 術(Total cavo-pulmonary
す る extracardiac TCPC conversion は Fontan 循 環 を 改 善
shunt; Kawashima 手術)等右心系短絡術に留まったまま
するとの報告がなされ 396),その症例数は我が国でも年々
経過観察となっている症例も見られる 581).体循環,肺
増加している.洞機能低下もしばしば認められ DDD 型
循環への側副血管の形成が認められることが多く肺循環
ペースメーカ移植や心房細動歴を有している症例では同
への側副血管に対してはコイル塞栓術等を先行させる.
時メイズ手術が適応となる症例も多い.再手術に際して
修復術を行う場合は,未治療症例と同じく心室収縮能,
は,既往手術の内容や解剖学的位置関係を MRI や CT 等
心室容積,肺血管抵抗,房室弁機能等の条件が適当であ
の方法で把握しておくことが重要である 567).
るかが重要であり,姑息的手術の追加を行うか,Fontan
型手術か二心室修復が可能か等の治療選択の決定要因と
なる.
②不整脈,術中アブレーション
初回手術,再手術を問わず成人期では種々の不整脈の
合併が多く,不整脈に対する同時処置をオプションとし
46
成人先天性心疾患診療ガイドライン
て考慮する必要がある.心房中隔欠損や Ebstein 病,右
房−肺動脈結合 Fontan 術後等で心房性頻拍の合併が多
11 心臓移植 586)−593)
く認められる.また Fallot 四徴や大血管転位で右室切開
を置いた症例では右室起源の心室性頻拍を認めることが
あり,突然死の一因と考えられている.術前の電気生理
1
世界における心臓移植対象疾患の状況
学的検査に基づき高周波焼灼デバイスや cut & saw 法,
世界における心臓移植対象疾患の最近の割合は,成人
冷凍凝固(cryoablation)を用い,心房性頻拍に対して
では心筋症が 51.4%,冠動脈疾患が 39.9%であり,この
は三尖弁峡部ブロック,肺静脈隔離術,両房メイズ術,
二大疾患で全体の約 9 割を占め,成人先天性心疾患はわ
右房メイズ術を行う.右室起源の心室性頻拍に対しては
ずか 2.5%しかない 594).
最早期興奮部位の焼灼,切除や興奮旋回隘路のブロック
世界における小児心臓移植対象疾患は,年齢により内
を行う.
訳が異なる.国際心肺移植学会レジストリー 595)による
3
術後予後
一般的に成人期の手術成績も小児期と大差なく
Srinathan らの 1998 ~ 2002 年の検討では再手術も含めて
術後死亡率 3.4%とされている 434).再手術例を含めた予
と,11 歳以上では先天性心疾患は 25%で,心筋症が 65
%と多い.我が国では,成人先天性心疾患の移植施行割
合も未だ不明の状態である.
2
心臓移植の適応
後も良好であるが手術の適切なタイミングと手術方針決
(日本循環器学会心臓移植委員会 http://plaza.umin.ac.jp/˜hearttp/)
定のためには小児科医,循環器内科医,心臓外科医等を
(日本小児循環器学会臓器移植委員会による小児心臓移植の適
含めた診療体制作りが重要である.
応判定ガイダンスについては表 50 参照)
表 50 小児心臓移植の適応判定ガイダンス(日本小児循環器学会 臓器移植委員会)
(http://plaza.umin.ac.jp/˜hearttp/)
日本小児循環器学会移植委員会として,成人先天性心疾患および成人期川崎病既往例の心臓移植適応を判定するためのガイダン
ス 587)−593).
【1】単心室型先天性心疾患
単心室型先天性心疾患は,思春期~成人期の心臓移植の適応となる先天性心疾患の代表である.Fontan 型手術以前に心臓移植の
適応となるものと,Fontan 型手術以降に心臓移植の適応となるものに分けられる.
(1)Fontan 型手術前 586)−589)
Fontan 手術に耐術できない以下の条件を持った単心室症例で,高肺血管抵抗,肺動脈・肺静脈低形成等の心臓移植の禁忌を伴
っていない場合には適応と考えられる.
1)軽度肺血管抵抗上昇(PVRI < 9W.U./m2)
2)低体心室駆出率(SVEF < 30%)
3)高度房室弁逆流
4)カテコラミンの持続投与が必要な場合
5)治療抵抗性の致死的不整脈
,肺動脈・肺静脈低形成等を伴っている場合には,心臓移植の適応ではなく,心肺移植の
高肺血管抵抗(PVRI 9 W.U./m2 以上)
適応と考えられる.
(2)Fontan 型手術後
Fontan 型手術後,急性期から遠隔期にかけて,薬剤,ablation,外科的治療で治療できない,以下のような条件に当てはまる
場合には適応と考えられる.
1)治療抵抗性の心不全(特にカテコラミン持続点滴を要する場合)
2)高度房室弁逆流
3)コントロールできない PLE588)
4)チアノーゼの著明な肺動静脈瘻 589)
5)高度左室流出路狭窄(外科的修復のできないもの)
6)薬剤・ablation・外科治療(TCPC conversion,Maze 手術等)に耐性の致死的不整脈
多くの場合,肺血管抵抗は低く心臓移植の良い適応となるが,病期が進みすぎて肝硬変等の合併症を来たした場合は適応とな
らない.
【2】その他の先天性心疾患
症例ごとに検討される内容が変わってくる.
47
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
(1)重症 Ebstein 病
Starnes 手術,三尖弁形成等の外科治療を行っても心不全の改善しない症例,等
(2)冠動脈異常を伴う純型肺動脈閉鎖 590)
冠動脈瘻異常があって,肺動脈弁切開等の右室流出路形成等の右室除圧手術が適応とならない症例,等
(3)その他
【3】川崎病
虚血性心筋症に陥り,薬剤治療,冠動脈バイパス術,経皮的冠動脈形成術(PCI)を行っても重症心不全が治癒できない場合,
または治療抵抗性の致死的不整脈を認める場合 591)
適応除外条件
下記の条件を満たす場合には心臓移植の適応とならない.
1)高度の肝腎機能障害
2)高度精神神経障害 精神発達遅延が強く家族の協力があっても,薬剤投与が困難な場合を含む
3)全身性感染症
4)高肺血管抵抗(PVRI > 9 W.U./m2)
高肺血管抵抗は心臓移植手術に耐術しないため,心肺移植の適応となる.高肺血管抵抗の診断基準は未だ議論のあ
,一酸化窒素吸入(最大 40 ~ 80ppm)等を行い PVRI が 9W.U./m2 以下または
るところであるが,酸素吸入(100%)
Transpulmonary gradient が 15mmHg 以下となった場合には,肺血管抵抗は可逆的であると考え,心臓移植の適応とし
ている施設が多い 596).
5)高度肺動脈低形成・肺静脈狭窄
高肺血管抵抗とも関係してくるが,肺血管の異常例は心肺移植の適応となる.心臓移植時に修復可能な肺動脈狭窄,
総肺静脈還流異常・部分肺静脈還流異常は心臓移植の適応となる.
なお,これまでの海外の経験から,無脾症,多脾症 592)は,移植後の予後に差がないため,適応とされている.
心臓移植の適応を判断する上で慎重を要する条件
以下のような症例では,心臓移植の適応を慎重に判定することが望ましい.
1)高度な側副血行路を認めるもの
2)肺静脈狭窄・肺動脈狭窄を認めるもの
3)複数の手術歴のあるもの
4)高度の肺動静脈瘻・蛋白漏出性腸症を伴うもの
5)医師が不適応と判断したもの
完全大血管転位心房血流転換手術,Bland-White-Garland 症候群術後等の術後に,治療抵抗性の重症心不全に陥った
場合,等(適応基準は,拡張型心筋症に準じる)
①適 応は従来の治療法では救命ないし延命の期待
が持てない重症心疾患
(1)拡張型心筋症,および拡張相の肥大型心筋症
(2)虚血性心筋疾患
(3)その他(日本循環器学会および日本小児循環器学会
の心臓移植適応検討会で承認する心臓疾患)
②適 応条件は不治の末期的状態にあり,以下のい
ずれかの条件を満たす場合
力が得られる.
③除外条件
(1)絶対的除外条件
●
肝臓,腎臓の不可逆的機能障害
●
活動性感染症(サイトメガロウイルス感染症を含む)
●
肺高血圧症(肺血管抵抗が血管拡張薬を使用しても
6Wood 単位以上)
(1)長期間またはくり返し入院治療を必要とする心不全
●
薬物依存症(アルコール性心筋疾患を含む)
(2)β 遮断薬および ACE 阻害薬を含む従来の治療法で
●
悪性腫瘍
は NYHA 機能分類ⅢないしⅣから改善しない心不
●
HIV(Human Immunodeficiency Virus)抗体陽性
全.
(3)いかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有す
る症例.
48
(4)年齢は 60 歳未満が望ましい
(5)本人および家族の心臓移植に対する十分な理解と協
(2)相対的除外条件
● 腎機能障害,肝機能障害
● 活動性消化性潰瘍
成人先天性心疾患診療ガイドライン
● インスリン依存性糖尿病
る.多くの施設では,(1)カルシニューリン阻害薬:シ
精神神経症(自分の病気,病態に対する不安を取り
クロスポリンまたはタクロリムス,
(2)核酸合成阻害薬:
除く努力をしても,何ら改善がみられない場合に除
ミコフェノール酸モフェチルまたはアザチオプリン(多
外条件となることがある)
くの施設でミコフェノール酸モフェチルが主流),
(3)ス
●
肺梗塞症の既往,肺血管閉塞病変
●
● 膠原病等の全身性疾患
テ ロ イ ド の3種 類 を 併 用 し た 標 準 的 三 薬 併 用 療 法
(standard triple therapy)が行われるが,心臓移植対象者
は待機中の低心機能がもたらす腎前性腎不全(腎機能低
④適応の決定
下)を伴っていることがあるため,その時は抗胸腺細胞
各施設内検討会および日本循環器学会心臓移植委員会
グロブリンや抗 CD25 モノクローナル抗体であるバシリ
適応検討小委員会の 2 段階審査を経て公式に適応を決定
キシマブを用い,カルシニューリン阻害薬を数日遅らせ
する.適応決定後,本人および家族のインフォームドコ
て使用することにより腎機能を保持する.また PRA
ンセントを経て,移植患者待機リストにのった者を対象
(panel reactive antibody)高値の場合にも抗胸腺細胞グ
とする.
ロブリンを用いる.
心臓移植手技
3
術後の拒絶反応が首尾よくコントロールされてくれ
ば,術直後から用いられてきた 3 薬のうち,ステロイド
心臓移植は,Lower & Shumway 法による心房レベル
は,その副作用を考慮して早期に中止または漸減される.
での吻合を行う方法が心臓移植の標準手技となってい
またカルシニューリン阻害薬であるシクロスポリンやタ
る.ただし,この方法では術後に三尖弁閉鎖不全を来た
クロリムスも漸減されていくが,移植後リンパ増殖性疾
すことがあり,近年は両大静脈を直接吻合する Bi-Caval
患等の悪性腫瘍が形成された場合等の特別な場合を除い
法が多くなっている.なお,レシピエントの大静脈後壁
て中止されることはない.
を残して両大静脈を吻合する Modified Bi-Caval 法も考
移植後リンパ増殖性疾患や中等度以上の腎機能障害を
案されている
597)
.
先天性心疾患,特に複雑先天性心疾患の場合は,内臓
来たした場合には,カルシニューリン阻害薬で腎毒性の
あるシクロスポリンやタクロリムスを減量して,そこに
逆位,右胸心や大血管の位置異常に加え,以前に行われ
m-TOR 阻害薬であるエベロリムスを併用することもあ
た各種姑息的手術や修復術の影響による構造変化を有す
る.
る場合が多く,手術の手技を複雑にする.これらを十分
に把握し手術,体外循環,ドナー心虚血時間を短縮する
手術計画が要求される.
心臓移植の臨床成績
4
心臓移植の移植術後生存率は,国際心・肺移植学会の
統計
によると,成人で,1 年約 80%,5 年 70%である.
594)
死因は移植後の時期によって異なり,移植後 1 年以内は
拒絶反応や感染症が死因の主因であるのに対し,その後,
リンパ腫を含む悪性腫瘍,移植心冠動脈病変(CAV;
6
拒絶反応の診断と管理
拒絶反応は心筋組織に炎症が生じ,心筋炎と同様に,
発熱,息切れ,浮腫,体重増加,安静時頻脈,不整脈,
ギャロップリズム等を認める.これらの症状を認める場
合は,既にかなり進んだ状態で,中等度に進行した拒絶
反応でも症状を認めないこともある.このため,心筋生
検で確定診断を行うことが必要である.
①心筋生検
Cardiac Allograft Vasculopathy)
(いわゆる慢性拒絶反応)
心筋生検による拒絶反応の病理組織学的診断は,拒絶
の割合が増える.移植後の生存曲線で注目すべき点は,
反応の主体である細胞浸潤と細胞障害をその程度と広が
移植後 1 ないし 2 年以降は右下がりの直線で 3 ~ 4%の割
合である 594),595).この主原因が,悪性腫瘍と移植心冠動
脈病変である.
5
心臓移植後の管理
①心臓移植後の免疫抑制療法
現在の免疫抑制療法は多剤併用療法が汎用されてい
り に よ っ て grading し,Grade 1R(mild),Grade 2R
(moderate),Grade 3R(severe)とされる.
心臓移植後の心筋生検組織は右室の異なる場所から最
低 3 個が必要である 598).
②心エコー法
心室壁内細胞浸潤と浮腫がもたらす,(1)心室壁厚,
心室重量や心室容積の増加と心室壁厚増加率
49
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
(%thickening)の低下,(2)収縮力(%FS)の低下,(3)
僧帽弁または三尖弁逆流の新たな出現または増量,(4)
拡張機能低下としての急速流入(E)波のピークからの
減速時間(DcT)や等容性拡張時間の減少,(5)心嚢液
らタクロリムスへの変更,ステロイドの長期漸減および
)
少量持続療法もとられる 598(図
1).
感染症の管理
8
の新たな貯留とされている.これらの所見が揃えば心筋
拒絶反応の発生頻度が減少するのに従い,感染症の頻
生検を施行せずに,拒絶反応に対する治療を開始して良
度も低下する.感染症の原因は,術後 1 か月以内は細菌
いが,不確定の場合は,心筋生検にて診断確定する必要
感染が主であるのに対し,その後は単純ヘルペスウイル
がある.
スやサイトメガロウイルス(CMV)等の日和見感染が
7
増 加 す る 598),599).CMV 持 続 感 染 は 移 植 心 冠 動 脈 病 変
拒絶反応に対する治療法
(CAV)の危険因子とも考えられており 600),治療は重要
拒絶反応は,三薬併用療法を遵守し術後管理を厳格に
である.移植後感染症は,日和見感染に加えてレシピエ
行えば,頻回に生じるものではない.40 %の患者が移
ント由来,ドナー由来の感染症にも注意が必要である.
植後 1 か月以内に拒絶反応を 1 回以上,60%が半年以内
移植後は最低 3 か月間,ウイルス,真菌,原虫感染症の
に経験する 599)が,その後,発生頻度は減少し,心筋生
予防として,アシクロビル,ファンギゾンシロップ等の
検施行頻度も減少する.
抗真菌薬,ST 合剤を内服する.
術後 1 年以内の中等度ないし重症度の拒絶反応なら
が行われる.しかし数年を経過して出現したものに対し
移 植 心 冠 動 脈 病 変(CAV; Cardiac
Allograft Vasculopathy:いわゆる慢
性拒絶反応)
ては,経口ステロイドやカルシニューリン阻害薬(シク
全心臓移植の 1 年生存率は約 80%であるが,移植後 1 ~
ロスポリンまたはタクロリムス)の一時的増量で十分コ
2 年以降は右下がりの直線で 3 ~ 4%が毎年亡くなる 594).
ントロールされることが多い.また,軽度ないし中等度
この理由に移植心冠動脈病変(CAV)がある.
ではあっても持続,反復する場合は,シクロスポリンか
移植心冠動脈病変は,移植後数か月から数年の経過で
ば,メチルプレドニゾロンを用いたステロイドパルス療
法,さらには抗胸腺細胞グロブリン等を主体とする治療
9
図1 拒絶反応に対する治療法方針
軽度拒絶反応
中等度拒絶反応
血行動態安定
あり
高度拒絶反応
血行動態安定
なし
あり
血行動態安定
なし
なし
あり
CYA,TAC,MMFの
至適量維持
必要ならば
経口ステロイドパルス
悪化
CYA,TAC,MMFの
至適量維持
静注ステロイドパルス
悪化
CYA,TAC,MMFの
至適量維持
CYA,TAC,MMFの
至適量維持
静注ステロイドパルス
静注ステロイドパルス
ATG
ATG
悪化
悪化
再移植を考慮
静注ステロイドパルス継続
ATG
悪化
50
再移植
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 51 移植心冠動脈病変と粥状冠動脈硬化の比較
移植心冠動脈病変 粥状冠動脈硬化症
部位
びまん性,末梢性 限局性,中枢性
冠動脈狭窄形態
求心性(concentric) 偏心性(eccentric)
側副血行路
最低限あり
よく発達
石灰化
まれ
しばしば
初期変化
平滑筋細胞増殖
Fatty streak
内弾性板
保たれる
しばしば断裂
内膜のリンパ球
しばしば
認めない
T リンパ球の局在
内膜下
粥腫の端
内膜の MHC ClassⅡ 発現あり
発現なし
細胞浸潤 / 血管炎
有
まれ
静脈病変
有
無
進展速度
月単位
年単位
12 肺,心肺移植
1
はじめに
成人先天性心疾患には,高度肺高血圧や肺実質・血管
の低形成のため修復術ができず,成人期に肺移植の適応
となる症例も少なくない 603)−606).また,修復術後例でも,
後に肺高血圧が進展して,肺移植の適応となる症例も認
められる.成人先天性心疾患の増加に伴い,今後,肺移
植の適応例が増加することが予想される.原疾患が単純
先天性心疾患である場合や,既に修復術が施行された場
合には,肺移植(脳死または生体)の適応となるが,原
出現し進展する冠動脈狭窄で,粥状冠動脈硬化と異なり
疾患が複雑先天性心疾患であったり,心機能が不良であ
ったりする症例は,心肺移植の対象となる.
(表 51),移植心の慢性的虚血を来たす.
移植心は除神経心であるため狭心症の症状を示さず,
Spray ら 607),608)が,先天性心疾患において積極的に心
冠動脈の狭窄病変はびまん性のため,通常の冠動脈造影
内修復と両側片肺移植を行うようになってから,現在で
では病変をとらえにくく,冠動脈予備能の低下
596),601)
,
は単純先天性心疾患に伴う Eisenmenger 症候群の多くは
血管内超音波法(IVUS)で肥厚した血管内膜を観察す
両側片肺移植の適応となっている.我が国でも心房中隔
ることで診断される.冠動脈バイパス術や冠血管形成術
欠損を合併した特発性肺高血圧の男児に生体肺葉移植と
は無効なことが多く,冠動脈病変が進行すれば,移植心
心 房 中 隔 欠 損 閉 鎖 609), 大 き な 心 室 中 隔 欠 損 に よ る
全体の慢性的虚血をもたらすため,救命は再移植しかな
Eisenmenger 症候群の成人例に両側片肺移植と心室中隔
い.
欠損閉鎖が行われた 610).単純先天性心疾患における心
本病変が出現し進展する原因は,免疫学的要因と非免
内修復と両側片肺移植の併用術は,ドナー不足の極めて
疫学的要因がある.拒絶反応,サイトメガロウイルス感
厳しい我が国でも選択できる手術法である.片肺と心臓
染等の免疫学的機序による血管内皮障害により惹起され
を移植する報告 606)も散見されるが,そのような症例は
ると考えられているが,移植手術時の再灌流障害やドナ
多くはない.
ー心虚血,また高齢のドナー,ドナーの高血圧,移植後
の高血圧,脂質異常症等による血管内皮障害も加わり,
それらが総合的に本病変を形成する
601)
.
2
肺移植・心肺移植の適応基準と登録
肺移植の適応は,一般的適応指針(表 52)のごとく,
移 植 心 冠 動 脈 病 変 に 対 し て,Proliferation Signal
移植以外の最大限の治療に反応しない慢性進行性肺疾患
Inhibitor ともいわれる mTOR 阻害薬であるエベロリムス
で,肺移植以外に患者の生命を救う有効な治療手段がな
は,大規模臨床研究ではアザチオプリンに比して冠動脈
く,残存余命が限定されると判断される場合が適応とな
内膜肥厚を抑制するばかりでなく,サイトメガロウイル
る.我が国での年齢のめやすは,心肺移植 55 歳末満,
ス感染症も減らすことが明らかになった
10
602)
.
移植直後から慢性期にかけてのケア
の留意点
両肺移植 55 歳末満,片肺移植 60 歳末満とされている.
最近では,肺移植の成績や肺移植後の右心不全の管理
が向上したこと,ドナー不足がさらに深刻になってきて
いること(心肺移植では,1 人の人を救うのに 3 つの臓
心臓移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点を図
器が必要なため)から,心肺移植の適応疾患が限定され,
2 に示す.これは,出現頻度ではない.心臓移植後の管
片肺または両側片肺移植の適応が拡大してきている.ま
理は,急性期には拒絶反応と感染症の予防と治療に,さ
た,心肺移植の適応疾患の生命予後は,心または肺単独
らに心筋生検合併症に主眼がおかれるが,その後は経過
の移植の適応疾患の予後より良いことが多いので,適応
とともに腎機能保持,さらに遠隔期になると,移植心冠
の判定には慎重を要する.ドナー不足の深刻な我が国で
動脈病変の進展予防と腫瘍発生予防に主眼が次第に移行
は,心肺移植の適応基準は厳格である(表 53,54).
する.
肺血管系の異常に起因した疾患に肺移植を行う場合
51
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
図2 移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点
(CYA:シクロスポリン,TAC:タクロリムス,
MMF:ミコフェノール酸モフェチル,ATG抗胸腺細胞グロブリン)
拒絶反応
感染症
移植心冠動脈病変
腎機能障害
悪性新生物
心筋生検合併症
心移植
年数
表 52 肺移植のレシピエントとしての一般的適応指針
(肺・心肺移植関連学会協議会「肺・心肺移植レシピエントの適応基準」より)
1.治療に反応しない慢性進行性肺疾患で,肺移植以外に患者の生命を救う有効な治療手段が他にない.
2.移植医療を行わなければ,残存余命が限定されると臨床医学的に判断される.
3.レシピエントの年齢が,原則として,心肺移植の場合 45 歳末満,両肺移植の場合 55 歳末満,片肺移植の場合には 60 歳末満で
ある.
4.レシピエント本人が精神的に安定しており,移植医療の必要性を認識し,これに対して積極的態度を示すとともに,家族およ
び患者をとりまく環境に十分な協力体制が期待できる.
5.レシピエント症例が移植手術後の定期的検査と,それに基づく免疫抑制療法の必要性を理解でき,心理学的・身体的に十分耐
えられる.
表 53 心肺同時移植の適応疾患
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移植レシピエントの適応基準」より)
心肺同時移植の適応となる疾患は,移植以外では救命ないし延命の期待が持てない以下の重症疾患とする
1.心機能低下を伴う原発性肺高血圧症を含む肺移植適応肺疾患
2.肺高血圧を伴う先天性心疾患(Eisenmenger 症候群)で外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの
3.肺低形成を伴う先天性心疾患で外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの
4.その他,心肺同時移植適応検討小委員会が認めたもの
表 54 心肺同時移植の適応条件
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移植レシピエントの適応基準」より)
表 53 に示す疾患で心不全もしくは呼吸不全により,心肺同時移植でなければ救命ないし延命の期待が持てない以下の場合を適応
とする
1.進行した肺疾患により,肺移植の適応が考えられる症例において,外科的修復の難しい先天性心疾患や高度心機能低下を伴い,
最大限の内科的治療によっても NYHA Ⅲ度からⅣ度に相当する臨床症状から脱しない場合
2.高度心不全を呈し心移植の適応が考えられる症例において,薬剤抵抗性の不可逆的肺高血圧[一酸化窒素の吸入またはプロス
タサイクリンの静脈内投与で Transpulmonary gradient(TPG)が 15mmHg 以上,または肺血管抵抗が 8wood unit 以上の症例]
を伴う場合
3.年齢は 55 歳以下が望ましい
4.本人および家族の心肺同時移植に対する十分な理解と協力が得られている
52
成人先天性心疾患診療ガイドライン
に,その病変が片側性でない限り,両側片肺移植を行う
ら改善しない場合
ことが望ましい.そのため,成人先天性心疾患に伴う肺
移植の術式は両側片肺移植または生体両側肺葉移植を行
3)先天性心疾患に起因した肺動静脈瘻
うことが多い 607),608).
在宅酸素療法を行っても,NYHA 機能分類Ⅲ~Ⅳか
①成 人先天性心疾患に関連した肺移植・心肺移植
の適応基準
ら改善しない場合
②肺移植・心肺移植の適応除外条件
1)Eisenmenger 症候群
多くの適応除外条件が具体的に設けられている(表
肺移植または心肺移植の適応を決めるためには,本症
55,56).また,肺移植レシピエント選択の国際ガイド
の自然予後を知る必要があるが,患者の余命を予測する
ライン 612)では,HB 抗原陽性例,肝生検で肝疾患を認め
ことは困難である.下記(1)~(3)に示すような条件
る HCV 陽性例も禁忌とされている.
を満たせば,2 年以内に死亡する確率が高いので,適応
を 検 討 す る 111),604),611). 先 天 性 心 疾 患 の 中 で,
③成人先天性心疾患の肺移植・心肺移植の現状
Eisenmenger 症候群とそれ以外を比較すると,前者が有
国際心肺移植学会の統計(1995 年 1 月~ 2009 年 6 月)
意に予後不良である.しかし,Eisenmenger 症候群に限
によると 603),成人の片肺移植の適応疾患で,先天性心
ると,たとえ単純先天性心疾患の合併例でも,心肺移植
疾患は,0.3%,成人の両肺 / 両側片肺移植の適応疾患は,
と成績に差はなく,両側片肺移植にするか,心肺移植に
先天性心疾患 1.3%であり,先天性心疾患による肺移植
するかの適応判定は慎重に行う必要がある(http://www.
症例は多くない 603).それに対して,成人の心肺移植の
ishlt.org/registries/slides.asp?slides=heartLungRegistry を
適応疾患に先天性心疾患の占める割合は大きい.1982
参照).
~ 1995 年(1,510 例)の適応疾患は,先天性心疾患 32.5
(1)心不全(右・左単独,両心不全の場合あり)
●
%(490 例),特発性肺高血圧 30.0%(453 例)であった
薬剤投与によっても NYHA 機能分類Ⅲ~Ⅳから改
のに対し,2006 年 1 月~ 2009 年 6 月(675 例)では先天
善しない場合
性心疾患 43.6%(294 例),特発性肺高血圧 24.0%(162 例)
● 臓器障害(肝腎機能障害:ただし不可逆的)が認め
られるようになった場合
であった 603).
( http://www.ishlt.org/registries/slides.asp?slides=
(2)難治性の心室性不整脈
heartLungRegistry を参照).先天性心疾患合併例の心内
(3)頻回の喀血(気管支動脈栓塞術無効例)
修復術と肺移植を同時に行った症例は少ない.心室中隔
欠損 613)を合併した Eisenmenger 症候群 1 例で脳死両側片
2)肺実質・肺血管の低形成,高度肺静脈狭窄を伴う先
天性心疾患
在宅酸素療法を行っても,NYHA 機能分類Ⅲ~Ⅳか
肺移植が行われ,心房中隔欠損を合併した特発性肺高血
圧 614)と心房中隔欠損による Eisenmenger 症候群の各 1 例
で生体両側肺葉移植が実施された.
表 55 肺移植の適応除外条件
(肺・心肺移植関連学会協議会「肺・心肺移植レシピエントの適応基準」より)
1.肺外に活動性の感染巣が存在する
2.他の重要臓器に進行した不可逆的障害が存在する
悪性腫瘍 骨髄疾患 冠動脈疾患 高度胸郭変形症 筋・神経疾患
肝疾患(T-Bil > 2.5mg/dL)
腎疾患(Cr > 1.5mg/dL,Ccr < 50mL/min)
3.極めて悪化した栄養状態
4.最近まで喫煙していた症例
5.極端な肥満
6.リハビリテーションが行えない,またはその能力が期待できない症例
7.精神社会生活上に重要な障害の存在
8.アルコールを含む薬物依存症の存在
9.本人および家族の理解と協力が得られない
10.有効な治療法のない各種出血性疾患および凝固能異常
11.胸膜に広汎な癒着や癒痕の存在
12.HIV(human immunodeficiency virus)抗体陽性
53
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
表 56 心肺同時移植の適応除外条件
(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移植レシピエントの適応基準」より)
1.絶対的除外条件
【1】肝臓,腎臓の不可逆的機能障害
【2】活動性,全身性感染症
【3】薬物依存症(アルコールおよびニコチン依存症を含む)
【4】悪性腫瘍
【5】HIV 抗体陽性
2.相対的除外条件
【1】肝臓,腎臓の可逆的機能障害
【2】活動性消化性潰瘍
【3】合併症を伴ったインスリン依存性糖尿病
【4】高度胸郭変形や胸膜に広範な癒着や癩痕
【5】高度筋神経疾患
【6】極端な低栄養または肥満
【7】リハビリテーションが行えない,またはその能力が期待できない症例
【8】本人および家族の理解と協力が得られない
【9】精神社会生活上に重要な障害
表 57 免疫抑制療法プロトコール(大阪大学,肺移植)
シクロスポリン(Sandimmun 静注,Neoral 経口)
1.移植直後から Sandimmun を 2 ~ 3mg/ 時で持続静注開始
400ng/mL(全血;FPIA 法)まで 1 ~ 2mg/ 時ずつ増量
2.経口ないし経腸が入れば 2 ~ 3 日かけて Neoral(2 回 / 日)へ変更
めやす:経口 1 日量 =4 ~ 5 ×静注 1 日量
目標全血 12 時間トラフ値:
術後 8 週間
350 ~ 400ng/mL
術後 8 から 12 週間
300 ~ 350
術後 3 から 6 月
300
術後 6 月から 1 年
250 ~ 300
術後 1 年以降
185 ~ 225
ミコフェノール酸モフィチル(CellCept)
経口ないし経腸が入れば 500 ~ 1,500mg/ 日 分 2(通常 1,000mg/ 日で開始)
W < 4500 なら 50%減量,W < 3,000 なら中止
下痢等の消化器症状が強ければ,アサチオプリン(Imuran)に変更
メチルプレソニゾロン(MPS)静注,プレドニゾロン経口
MPS 500 ~ 1,000mg
1.術中再灌流時
2.術後 3 日間
MPS 0.5mg/kg × 2 回 / 日
3.以後経口が入れるまで数日間
MPS 0.5mg/kg × 1 回 / 日
4.プレドニゾロン
3 か月まで 0.5mg/kg/ 日
6 か月まで 15mg/ 日へ漸減
12 か月まで隔日 15mg へ漸減
以降隔日 15mg
3
肺・心肺移植手技
外科的な移植手技に関しては,関連外科書籍を参照.
4
54
移植後管理のポイント
の患者に発生すると報告され,多くは術後 4 週以内に起
こる.
慢性期には各臓器の移植と同様,移植後冠動脈硬化症
や閉塞性細気管支炎(BO; Bronchiolitis Obliterans)が
問題で,遠隔期の主な死因となり,有効な治療法は再移
免疫抑制薬は心臓移植と同様 3 剤併用療法が基本であ
植しかない.日常の呼吸機能測定(特に一秒率検査)や
)
る 603(表
57).ただし,気管縫合不全を防ぐために術後
定期的な冠動脈内エコー検査が発見に有用である.
早期にはステロイドを使用せず,抗胸腺細胞グロブリン
ステロイド中心の時代に比較して,感染症が軽減し,
を使用する施設が多い.拒絶反応は心と肺で別々に起こ
創傷治癒が改善したが,心臓移植後よりも高頻度かつ重
るため,適宜,心臓は心筋生検を,肺は各種画像検査と
症の感染症,特に肺感染症に罹患するので注意をする.
気管支鏡下(または CT カイド下)肺生検を行い病理学
移植肺は解剖学的に神経もリンパ系も遮断されているの
的に判定する.気管支肺胞洗浄液の細胞分画も参考にす
で,心臓のみの移植よりも肺感染症に罹患しやすい.遠
る.肺の拒絶反応は心臓よりも発生しやすく,約 33 %
隔期に閉塞性細気管支炎を来たすと,肺感染症の危険性
成人先天性心疾患診療ガイドライン
がさらに増加する.
5
臨床成績
①欧米の成績
(表 59).高度リスク群ほど,危険因子は多岐にわたっ
ているため,麻酔科医の習熟度をはじめとし,循環器
内科医,内科専門医,外科医のチーム医療が不可欠で
)
ある 4),25),618)−622(表
60).
非心臓手術の周術期には,心不全,種々の不整脈,肺
心肺移植数は 2008 年では 73 例に過ぎない 603).肺移植
高血圧のコントロールが主体であり,細菌性心内膜炎の
数は 2008 年では片肺移植 816 例,両側片肺・両肺移植
予防も忘れてはならない 623).細菌性心内膜炎の予防に
1,953 例になった.肺移植後の 1,5,10 年生存率は,片
は,口腔内,耳鼻科手術では溶連菌,消化器,産婦人科,
肺 移 植 77.8 %,47.3 %,21.4 %, 両 側 片 肺・ 両 肺 移 植
泌尿器科手術では,ブドウ球菌,腸内細菌をカバーする
79.9 %,56.0 %,37.4 %, あ わ せ て 79.0 %,51.9 %,
抗菌薬を用いる.抗凝固療法を行っている患者では,出
29.1%であった.死因は,30 日以内では非特異的グラフ
血に十分な注意が必要である.症例や手術の内容によっ
ト機能不全(技術的要因含む)が 36.5%,感染症が 20.1
ては,ワルファリンの静注をペパリンで代用することが
%であった.31 日から 1 年までは感染症が 38.4%と圧倒
必要である.アスピリン使用例でも,同様である 624).
的に多く,1 年以降では閉塞性細気管支炎 bronchiolitis
obliterans(BO)が 25.9 %,感染症が 20.0 %であった.
単純先天性心疾患に伴う Eisenmenger 症候群であって
も,両側片肺移植の成績は,他の疾患に比して不良であ
る.
心肺移植の 1,5 および 10 年生存率は 64.3 %,44.2 %
および 30.5%で,心臓移植・肺移植に比して不良である.
術後死亡の多くは術後早期(30 日以内)に発生し,そ
の原因として臓器機能不全(Primary graft failure),感
染症,気管の吻合不全等の技術的要因が挙げられる.種々
の改良により徐々に改善してきているが,依然として
30 日以内死亡は 34.8%である.
②我が国の成績
我が国では 2010 年 9 月末までに,78 例の脳死肺移植,
96 例の生体肺移植が行われているが,原疾患に先天性
心疾患は,含まれていない.渡航心肺移植を受けた日本
人はいない.
13 非心臓手術
成人先天性心疾患は,修復術後も,心不全,肺高血圧,
不整脈等の非心臓手術時の危険因子を伴うことが多い
(表 58).特に,肺高血圧やチアノーゼを伴う場合には,
リスクが高く,周術期出血も多く,術前から瀉血が必要
なこともある.非心臓手術をより安全に施行するため
には,手術侵襲の大きさと合わせ,これらの危険因子
を術前から把握し可能な限り除去することが重要であ
る 4),615)−619).心疾患以外に介在する危険因子として,高
血圧,糖尿病,腎機能低下,肝機能低下,出血傾向,胸
郭変形による呼吸障害等があり,日常から服薬中の抗凝
固薬も危険因子として注意しなければならない 618),619),
表 58 非心臓手術に関する心疾患危険因子
1. 肺高血圧
2. チアノーゼ
3. 心不全
4. 体肺短絡術後
5. 人工弁置換術後
6. 右室性単心室,右室性体心室
7. Fontan 型血行動態
8. 弁性,弁下部,弁上部狭窄
9. 大動脈拡張,瘤形成
10.NYHA Class Ⅱ<
11.頻拍型不整脈,高度徐脈
12.心疾患術後の遺残症,続発症,合併症
13.感染性心内膜炎
14.冠動脈疾患(川崎病,大動脈縮窄)
表 59 非心臓手術に関する心疾患以外の危険因子
(文献 618 より改変)
1.高血圧,糖尿病
2.腎機能低下
3.肝機能低下
4.出血傾向(チアノーゼ性心疾患)
5.人工弁置換術後(抗凝固療法)
6.呼吸器疾患(胸郭変形,側弯症による拘束型呼吸障害)
7.手術手技の危険度(大量出血,代謝異常)
8.麻酔科医の習熟度,チーム医療の有無
表 60 先天性心疾患における非心臓手術時のリスク分類
(文献 4 より改変)
ハイリスク
肺高血圧
チアノーゼ性心疾患
NYHA Class Ⅲ or Ⅳ
重症体心室機能低下(EF < 35%)
重症左室大動脈閉塞性疾患
中等度リスク
人工弁置換・人工血管
心内短絡
中等度左側閉塞性疾患
中等度体心室機能低下
55
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
1
一般的な注意点
(1)基本的術前検査(動脈血酸素飽和度,ECG,胸部 X
線,経食道心エコー法,血液検査および凝固系検査)
(2)非心臓手術および術前検査は,先天性心疾患に習熟
した麻酔科医や外科医がいる施設で行われること
が望ましい
表 61 チアノーゼ型心疾患,術中病態悪化因子
(文献 618 より改変)
1.全身麻酔
2.脱水,血液濃縮,過剰輸液
3.大量出血,貧血
4.血管拡張薬,利尿薬
5.低血圧,急激な体位変換と体血管抵抗低下
6.空気フィルターのない静脈ライン,長時間の屈曲位
7.換気不全,低酸素血症
(3)以下のハイリスク患者における非心臓手術は,急変
●
時に対応できる先天性心疾患の専門施設で行われ
61).体血管抵抗への影響の少ない麻酔法を選択し,奇
ることが望ましい
異性塞栓の予防のため,静脈ラインにフィルターを用い
Fontan 術後患者
● 重症肺高血圧
● チアノーゼ性心疾患
瀉血を行い,ヘマトクリットを 65 %以下にする.新鮮
● 心不全や弁疾患等の遺残病変や抗凝固療法施行中の
凍結血漿製剤を併用すると効果が高い.瀉血した血液は,
●
複雑先天性心疾患
術後自己血輸血をして用いることができる.鉄欠乏性貧
重症不整脈を伴う先天性心疾患
血を認める場合には,脱水時に血栓形成が起こりやすく,
(4)非心臓手術時のリスクに関して,先天性心疾患に習
熟した専門家へコンサルトすることが望ましい.
(5)中等度以上のリスクを有する患者の非心臓手術時に
は,心疾患に習熟した麻酔科へコンサルトすること
)
が望ましい 4(
Class Ⅰ,Level C).
2
疾患別の注意点
①機械弁置換術後
十分な補液に努める.疼痛のため全身状態が悪化するこ
とがあり,十分な疼痛管理が必要である.胆石,胆のう
炎はしばしば認められ,手術時には,細菌性心内膜炎の
予防が必要である 617),618),620),622),623).
③肺高血圧
非可逆性の肺血管閉塞性病変では,酸素需要の急激な
増加や血圧の変動に対応できないため,小手術でもリス
クは高い.Eisenmenger 症候群はリスクが高く,可能な
機械弁置換術後は,抗凝固療法を含む周術期管理が必
限り手術を避けることが望ましい.全身麻酔下で出血に
要であるが,弁置換の部位により異なる.僧帽弁置換術
よる循環血液量の減少が起こると,低血圧,低酸素血症,
後は,大動脈弁置換術後よりも血栓を生じやすく,特に
血液濃縮を来たし,死の転機をとることがある.このた
心房細動を伴う場合には危険性が高い.定期手術の場合
め,習熟した麻酔科医の関与が重要である.体血管抵抗
には,術前にワルファリンを中止し,ヘパリン静注を開
に影響の少ない麻酔法を選択し,脱水,出血の早期補正
始し(APTT をコントロールの 1.5 ~ 2.0 倍),INR 正常
を行い,厳重な循環呼吸管理が必要である.肺血管を
化後に手術を行う.手術開始 4 ~ 6 時間前に,ヘパリン
収縮させる低体温,アシドーシス,低酸素血症,血中二
を中止し,
術後 48 時間以内に再開する.ワルファリンは,
酸化炭素蓄積,α刺激薬投与等は避けることが望まし
できるだけ早期に再開する.大動脈弁置換術後は,手術
い 618),621),622),625).
2 ~ 3 日前にワルファリン中止,術後 2 ~ 3 日で再開する.
緊急手術では,ワルファリン中止とともに,新鮮凍結血
④心室機能不全
漿製剤を静注し,INR を正常化させる.ビタミン K の術
心室機能不全は,慢性チアノーゼ,圧負荷,容量負荷,
前投与は,ワルファリンの効果を長期にわたって阻害す
心臓手術による二次的心筋傷害,加齢等が原因となる.
るため,推奨されない 4),617),618),620),624).
手術リスクは,心室機能不全と代償の程度による.術前
②チアノーゼ性心疾患
56
る.また,チアノーゼ性心疾患では,凝固異常があり,
手術時大量出血や止血困難を来たしやすいため,術前に
の運動負荷試験は,血行動態予備能を把握でき有用であ
り,特に,予備能の低下が疑われる単心室,右室性体心
チアノーゼ性心疾患では,非心臓手術周術期合併症が
室(修正大血管転位,心房位血流転換術後の完全大血管
多い.出血による循環血漿量減少,急激な体血管抵抗低
転位)では,術前に施行することが望ましい.術中の過
下,低血圧,低酸素血症,血液濃縮を生じ,全身状態が
剰な補液は避けるべきであり,Swan-Ganz カテーテルや
悪化しやすいため,厳重な循環管理を必要とする(表
経食道心エコー法での心機能の術中モニタリングは有用
成人先天性心疾患診療ガイドライン
である 4),618),626).
的である.Eisenmenger 症候群の周術期死亡率は高く 625),
手術適応は絶対不可避のものに限る 631).麻酔時は肺血
⑤ Fontan 術後
管抵抗の上昇を防ぎ,体血管抵抗を維持することを管理
Fontan 術後は,体静脈肺静脈短絡,肺動静脈瘻等のた
目標とする.急激な肺血管抵抗の上昇は心内短絡がない
め,チアノーゼを伴っていることがある.前負荷減少と
場合は右心不全から,心内短絡がある場合は動脈血酸素
肺血管抵抗の増大は,肺血流量を減少させ,Fontan 循環
飽和度の低下から心不全となり心停止を起こす.予防お
に著しい影響を及ぼすため,予防と早急な対応が望まれ
よび治療として,純酸素による過換気,アシドーシスの
る.低酸素,麻酔薬,アシドーシス,肺血栓,無気肺等
補正,交感神経刺激の遮断,体温の維持,低胸腔内圧の
は,肺血管抵抗の変動の原因になる.また,出血,血管
維持,陽性変力作用薬の投与,一酸化窒素やエアゾル化
拡張,脱水,陽圧呼吸,せきこみ,腹腔鏡検査等は,前
した PGI2 製剤の吸入を行う 631).麻酔方法は局所麻酔が
負荷減少の原因となる.長時間の手術では,静脈血栓形
選択されることが多い.脊椎麻酔,硬膜外麻酔では自発
成に注意が必要である.また,手術が引き金になって上
呼吸が温存でき陽圧換気が避けられる.しかしながら,
室性頻拍を起こすことがあり,対応が必要である
4)
,
617)
−619)
.
体血管抵抗の低下による心内の右左短絡の増加 631),前
負荷の低下が起こり,過換気にする等の呼吸管理ができ
⑥不整脈
ないことに十分留意する.全身麻酔は陽圧換気により肺
非心臓手術の際に,不整脈が発生することは少なくな
血管抵抗を増加させるものの呼吸パラメーターの管理が
い.循環血液量の急激な変動,低酸素血症の進行,電解
容易であり,ハイリスク症例ではその選択も考慮する.
質異常,カテコラミン分泌亢進や亢心臓薬の投与が不整
脊椎麻酔,硬膜外麻酔か全身麻酔かの選択は患者の状態,
脈を誘発する可能性があり,早期の対応が望まれる.上
手術侵襲,それぞれの麻酔法の得失を十分に考慮し慎重
室性頻拍は,心機能不全,房室弁逆流,心房位血流転換
に行う.
術後,Fontan 術後,40 歳以上の未修復術患者,心房中
隔欠損閉鎖術後,WPW 症候群を合併する Ebstein 病等
②チアノーゼ
に認められることがある.心室頻拍は,Fallot 四徴等の
チアノーゼ患者は,低酸素暴露による赤血球増多症と
心室内修復術後や心機能不全でみられることがある.血
ともに凝固系の異常と血小板数や血小板機能低下を呈す
行動態に影響を及ぼしている場合には,直ちに治療を行
るため小手術であっても血栓と出血のリスクが高い.赤
う.持続性心室頻拍の場合には,電気的除細動等早急に
血球の変形能低下を来たす鉄欠乏,脱水は血栓のリスク
対応できる準備が必要である.抗不整脈薬を定期的に内
を高めることになる 632).そのため,時間的な余裕があ
服している患者では,術後早期に再開する
615),618),627)
.
れば鉄欠乏の補正を行い,術前の絶食時には経静脈的な
補液を考慮する.術前の寫血も考慮する.血液粘度上昇
14 麻酔
による細動脈の拡張や組織の血管増生 631),体動脈から
肺動脈への側副血行路,高中心静脈圧も出血のリスクを
中等度以上の先天性心疾患は,特異的かつ複雑な解剖
高 め て い る 633).INR 値 や APTT 値 は 異 常 値 を 示 す が,
および生理を呈しているため,先天性心疾患に精通した
出血時間は血液粘度の上昇と低循環により異常を示さな
循環器内科医,麻酔科医のいる専門の施設にその管理を
い場合がある.また赤血球増多症では血漿成分が減少
委ねることを考慮する
1
628)
.
先天性心疾患の長期的影響
成人および思春期の先天性心疾患はいくつかの特徴を
共有しているが 629),630),周術期合併症に影響を及ぼす因
しており通常の検査用試験管内のクエン酸量で測定し
た場合の INR 値や APTT 値の信頼性は低いことに注意す
る 631).
③心不全
子として肺高血圧,チアノーゼ,不整脈,心不全,再手
心室の圧・容量負荷やそのためのリモデリング,チア
術がある.
ノーゼの影響等により左,右心不全を合併することは珍
①肺高血圧
肺静脈性の原因によっても肺高血圧を発症するが,大
しくない.左心不全は後天性心疾患による心不全の管理
と同様に利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,β
遮断薬等により術前から十分な管理を行う 631).
きな短絡による肺血流の増加や圧負荷によることが一般
57
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
2)感染性心内膜炎の予防
④不整脈
感染性心内膜炎の項参照.
最も頻度が高いものは右房を起源とする心房リエント
リー性頻拍である.心房性頻拍はしばしば薬物治療に抵
②術中管理
抗し,循環動態の悪化を招く.40 歳以降に行われた心
1)モニタリング
房中隔欠損症閉鎖術 634),Senning 手術,Mustard 手術,
患者の解剖学的,生理学的な特徴を理解することが適
Fontan 手術等の心房に操作を加える手術の後によく見
正なモニタリングとその評価にも欠かせない.パルスオ
られる.心室性不整脈は左,右心不全症例によく見られ
キシメーターは,右─左短絡の流量の変化を推測できる.
る.心室切開を伴う手術後,術後早期,適正な時期より
すなわち,右−左短絡量が増えれば酸素飽和度は低下す
も遅くに手術が行われた症例,心室がチアノーゼ,容量
る.一方,左−右短絡量の変化を推測することは困難で
負荷,圧負荷に長期間さらされた症例も心内伝導性に変
ある.カプノグラムは右−左短絡が存在するときには,
化を来たしておりリスクが高い 631).
死腔効果のため動脈血二酸化炭素分圧を過小評価す
る 641).Blalock-Taussig 短絡術を施行されている患者で
⑤再手術
は,用いた鎖骨下動脈側での観血的動脈圧の測定,パル
癒着剥離のため出血量が多くなる可能性がある.特に
スオキシメーターの使用はできない.短絡術に人工血管
胸骨切開時には心臓,大血管の損傷により大量出血する
を用いている場合でも観血的動脈圧は過小評価されるこ
ことがある.癒着のため術野での電気的除細動ができな
とがある.両方向性 Glenn 手術の場合上大静脈圧は肺動
いことがあるため除細動パッドの貼付を考慮する.
脈圧を示し,体心室の拡張終期圧を近似するのは下大静
脈圧である.Fontan 手術術後では中心静脈圧は肺動脈圧
麻酔
2
を示し,経皮的に体心室の拡張末期圧を測定することは
困難である.肺動脈カテーテルの留置は解剖学的に困難
①術前評価
なことが多い.経食道心エコー法も有用であるが,非侵
術前評価は外科医,循環器内科医,麻酔科医,集中治
襲的ではないことに注意する.
療科医を含めて集学的に行う.術前評価のみならず周術
2)麻酔方法
期管理には心エコー法および心臓カテーテル検査,既往
麻酔方法は患者の状態,手術侵襲,それぞれの麻酔法
手術術式等から患者の疾患に特異的な解剖と生理につい
の得失を十分に考慮し選択する.多くの麻酔薬は心筋収
てよく理解しておく.疾患自体や既往手術に特異的で高
縮力を抑制するが,オピオイドは心筋収縮力の抑制が非
頻度にみられる術後遠隔期合併症に注意する.チアノー
常に少なく心機能が低下した症例においても比較的安全
ゼを呈している患者では長期の低酸素暴露により心
腎
636)
,肺,中枢神経の機能障害
635)
,
632),637),638)
を来たしてい
に使用できる.特にフェンタニルは重篤な副作用も少な
く用いやすい 642),643).ケタミンは心筋酸素消費量を増加
ることが多い.予定された手術手技,片肺換気の要否,
させるが心拍出量,体血管抵抗を保つとされ,心不全患
体位を確認しその及ぼす影響も評価する.右 - 左短絡の
者に有用な可能性がある 644),645).その一方,肺血管抵抗
ある患者ではルームエアでの動脈血酸素飽和度モニター
を上昇させる可能性もあることに留意する 644),646).麻酔
も重要である.最近に検査が行われておらず,以前の検
導入時,右 - 左短絡のある場合,吸入麻酔薬の効果発現
査データしか手に入らない場合は術前の心エコー法を考
は遅れ,静脈麻酔薬は早まるが,左 - 右短絡の場合,そ
慮する 639).また,これらに加え加齢による合併症すな
の影響は非常に少ない 647)−649).短絡血流がある場合は
わち高血圧,糖尿病,冠動脈疾患等の評価も行う.
十分な体血流量を維持しながら体,肺血流のバランスを
1)前投薬
維持することを循環管理の目標とする.そのために気道
前投薬は,その呼吸抑制作用により高二酸化炭素血症,
内圧,吸入気酸素濃度,動脈血二酸化炭素分圧等肺血管
肺血管抵抗上昇を来たす場合があるため,特に肺高血圧
抵抗に影響する因子を状況に応じて調整する.体血管抵
を合併する患者や体−肺短絡を有する患者では慎重に用
抗の調節も重要である.体血管抵抗の低減は肺血管抵抗
いる.このときチアノーゼ患者では呼吸に対する低酸素
を増加させるのと同様の効果を持つため,体血管抵抗の
刺激への反応は減弱しているが,二酸化炭素刺激に対す
調節も重要である.浅麻酔は交感神経刺激により体血管
る反応は正常に保たれていることに注意する 640).
抵抗を上昇させ肺血管抵抗減少と同様の効果を示す.左
−右短絡のある場合(心房中隔欠損,心室中隔欠損等)
58
成人先天性心疾患診療ガイドライン
は体血管抵抗の上昇に注意する.無痛分娩,帝王切開に
は脊椎麻酔,硬膜外麻酔を考慮する.体−肺短絡のある
場合(Blalock-Taussig 短絡等)は低酸素血症を呈してい
らない 4),6),25),650),652)−654).
1
成人先天性心疾患診療のチーム診療体制
ることが多く,体血圧の低下はさらなる低酸素血症を招
成人先天性心疾患の診療体制において重要なことは,
くため体血管抵抗の低下に注意する.未修復術の Fallot
先に述べたような患者が直面する様々な医学的および社
四徴のようなチアノーゼ患者では吸入気酸素濃度を上昇
会的問題に対して,小児循環器科医,循環器内科医,心
させるより体血管抵抗を上昇させる方が動脈血酸素飽和
臓血管外科医,内科専門医,産婦人科医,心臓麻酔科医,
度の上昇につながる.このような場合は,体血管抵抗を
精神科医,専門看護師,専門生理機能検査技師,臨床心
下げる脊椎麻酔より全身麻酔を考慮する.このような疾
理士,医療ソーシャルワーカー等の複数科および複数の
患特異的な複雑な生理を考慮に入れて麻酔管理を行う必
職種から成る「成人先天性心疾患診療施設」を構築し,
要がある.短絡血流がある場合,静脈ラインからの空気
チーム医療を行うことである 4),650).
の混入も奇異性塞栓を起こす可能性があるので十分注意
する.
15 診療体制:診療施設
2
成人先天性心疾患診療施設
欧米では 1980 年代より各地域の主要病院に成人先天
性心疾患診療部門が開設され,循環器内科医が中心とな
って診療が行われている.医療事情の異なる日本では,
先天性心疾患患者は,成人期に入り年齢を重ねるにつ
欧米のシステムを取り入れつつも,各地域に適した診療
れ,遺残病変や続発症のために新たな様々な問題を伴う
体制を構築する必要がある.現時点では全国的にみて成
ことがある.患者の多くは全国の小児施設で外科治療お
人先天性心疾患に特化した診療部はごく少数で,年間入
よび経過観察を受けてきているが,
(1)成人に達すると
院が 50 人を超える施設は全国の循環器専門医研修施設
小児科外来には受診しにくい,(2)入院が必要になった
の 2%にとどまっている 651).また循環器内科医の診療へ
ときに年齢制限のため小児科病棟に入院できない,(3)
の参加が少ないために,患者のほとんどは小児循環器科
循環器内科には先天性心疾患に専門知識のある医師が全
医が診療にあたっている.成人先天性心疾患を担当でき
国的に極めて少ない,等の理由から,患者数は増加の一
る心臓血管外科医も少ない.これらの理由から,日本に
途にあるにもかかわらず,安心して受診できる施設が整
おける成人先天性心疾患の診療体制の確立に向けて,以
備されていない
2),650),651)
.
下のような目標が示されている(表 62).
これらの成人先天性心疾患患者を診療するにあたって
は,個々の特徴的な血行動態を十分に理解するとともに,
新たに出現する合併症,
年齢に伴う生活習慣病の影響(肥
3
成人先天性心疾患診療のトレーニン
グシステム
満,高血圧,糖尿病,動脈硬化,冠動脈疾患,消化器疾
ACCF(American College of Cardiology Foundation)
患),再手術の適応,妊娠出産,社会自立とそのサポート,
Training Statement[COCATS(Core Cardiology Training
精神心理学的な問題,遺伝の問題等を総合的に診てゆか
Symposium)3; adult congenital heart disease]では,成
ねばならない.そのためには小児循環器科医や循環器内
人先天性心疾患診療のトレーニング目標として,以下 3
科医だけでなく,縦割りでない複数の専門家の連携に基
段階を提示している 652).
づくハイブリッド型の診療体制を確立させることが不可
欠である.それとともに,成人先天性心疾患診療を担当
する専門医や循環器内科医を積極的に養成しなければな
Level 1(Basic training)
循環器内科医,小児循環器科医として成人先天性心疾
表 62 成人先天性心疾患の診療体制の確立に向けての目標
1.成人先天性心疾患診療を実施し,循環器内科医や小児循環器医の教育施設となり得る代表施設を全国で 15 ~ 30 施設認定し,
成人先天性心疾患診療を専門とする医師や看護師を養成する
2.患者統計から各地域に必要な成人先天性心疾患を診療する中核施設は人口約 200 万~ 800 万人に 1 施設の割合で必要とされて
いるので 655),全国で約 50 か所に成人先天性心疾患拠点施設を開設し,患者の便宜を図る
3.中核病院に通院が困難な地方の患者には,自宅近隣のかかりつけ医と中核病院との間でインターネット等を介した遠隔診断を
行い,通常の経過観察だけでなく緊急時の初期対応に役立てる
4.成人先天性心疾患は出生直後からの非常に長い病歴を持つことが多いので,過去の臨床情報や手術所見が失われない様,臨床
情報のデジタル集約化,保存化を図る
59
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
患の初期対応ができ,専門施設に紹介ができるレベル(循
環器専門医試験レベル)
●
先天性心疾患の一般的知識:解剖,病理,生理,遺伝
●
自然歴,予後:遺伝カウンセリング,妊娠,非心臓手
16 移行・病気に対する理解・病
気告知時期
術時の管理等を含む一般的な先天性心疾患の臨床知識
と初期対応
●
予後,続発症,遺残病変の知識:Fallot 四徴,心房中
1
循環器小児科外来から成人先天性心
疾患外来への移行
隔欠損,心室中隔欠損,完全大血管転位,単心室(Fontan
日本には成人先天性心疾患専門施設が十分ではなく,
手術),肺動脈狭窄,大動脈狭窄等
先天性心疾患と関わりの少ない循環器内科医が成人先天
Level 2(Special training)
性心疾患を診療せざるを得ないこともまれではない.こ
のため,紹介された患者が,循環器内科で診察を受けて
成人先天性心疾患の日常診療を行えるレベル(1 年程
も,その後,循環器小児科に戻ってしまうこともある.
度の専門施設での研修が必要)
したがって,循環器内科へのスムースな「移行診療」は,
●
解剖,生理,臨床症状,自然歴
患者の希望するところでもあると同時に,患者の循環器
●
診断方法:身体所見,心電図,不整脈 / 電気生理,胸
内科への通院拒否につながらないようにするため,小児
部 X 線,断層心エコー法(経胸壁,経食道),心臓カ
循環器科医が責任を持って行わねばならない重要な作業
テーテル検査 / 造影検査,核医学検査,MRI,CT
である 650),656),657).診療システムの現状や社会状況を考
●
治療手技:薬物治療,外科治療,カテーテル治療
慮すると,患者の病状,年齢,成熟度,病気の理解度に
●
外科手術およびカテーテル治療後の続発症および遺残
も左右されるが,早い患者では中学に入学する 12 歳頃
症の管理
より,また遅くとも小児科病棟への入院が困難となる
適切な外来診療への移行
15 歳頃までには病気の説明を始める必要がある.同時
●
妊娠と出産:妊娠の可否,妊娠および分娩中の管理,
に,今後の生活指導,女性では妊娠や出産に関連した注
避妊
意事項を含めた「移行」診療を開始し,高校を卒業して
●
非心臓手術時の管理
親元を離れて短大,専門学校,大学に進学するか就職し
●
姑息的治療:肺血管閉塞性病変の管理等
て独立する可能性のある 18 歳(~ 20 歳)までには終了
●
運動および活動性の評価
するのが理想的と考えられる 4).具体的には,小児循環
●
就職および社会経済的な問題,生命保険,社会心理学
器科医が中心となって診療を継続しながら成人先天性心
的な問題
疾患外来もしくは循環器内科外来に紹介し,患者と循環
●
成人先天性心疾患外来への参加(1 回 / 週,10 症例 / 回)
小児循環器病棟診療ヘの参加(1 ~ 2 か月以上)
成人先天性心疾患の周術期管理,手術見学
器内科医(あるいは成人先天性心疾患を専門とする医師)
とコミュニケーションを図りながら,次第に循環器内科
(あるいは成人先天性心疾患を専門とする医師)への受
小児循環器・小児心臓外科のトレーニングプログラムの
診頻度を高めることにより,患者にとって混乱が生じな
存在
いように「移行」を進めるのが望ましい 6),656),658)−660).
少なくとも 1 人以上の成人先天性心疾患専門医の存在
実際には幼少時より馴染みのある循環器小児科へ継続し
Level 3(Advanced training)
て通院することを希望する患者や両親も多いが,医師の
専門性や患者自身の将来のことを十分に説明して「移行」
成人先天性心疾患を専門として診てゆくレベル(成人
を進める.この作業が不十分であると,成人期に達して
先天性心疾患専門施設で 2 年以上の研修)
通院が途絶える可能性があり,定期検診の重要性や生活
●
臨床研究および基礎研究への参加
管理および将来への注意事項を知らないまま社会に出る
●
成人先天性心疾患診療への参加と診断能力(心臓カテ
という,患者にとって不利益な状態を生み出すことにな
ーテル検査 40 例,経胸壁心エコー法 300 例,経食道
る.このため,医療従事者は「移行診療」の重要性を認
心エコー法 50 例,CT,MR)
識する必要がある.
2
病気に対する理解
先天性心疾患は,成人期に入り新たに様々な問題を生
60
成人先天性心疾患診療ガイドライン
じるようになる 4),6).特に複雑先天性心疾患の術後は,
難治性不整脈,慢性心不全,感染性心内膜炎,人工導管
機能不全等の合併症を伴い,薬剤治療,カテーテル検査
および治療,再手術を考慮する必要が生じることが少な
Ⅱ
各論
くない.さらに Fontan 術後は,血栓塞栓症,うっ血肝
および肝硬変,糖代謝異常,腎障害,高尿酸血症,側副
動静脈の発達,蛋白漏出性腸症の発症等,生命予後に関
非チアノーゼ型先天性心疾患
わる重篤な合併症が発症することがある.成人先天性心
疾患の多くは,小児期からの両親への依存度が高いこと
も一因となり,自己の病気の現状と将来に対する認識が
低いことが少なくない
1
心室中隔欠損
659),660)
.成人期以降も QOL を保
ち,生命予後を改善させるためには,患者本人に正確な
先天性心疾患の中で最も頻度が高く(30%).欠損孔
病名を告知するとともに,健康管理のために必要な知識
のサイズと部位により,症状と自然歴,治療法が異な
)
を十分に理解させることが必要である 7(表
63)
.
る 141),661)−663).近年,心症状を伴う中~大欠損は乳幼児
告知時期
3
期に安全な開心術が施行され,術後遠隔期の予後は良好
である.そのため成人期の問題は,乳幼児期に開心術が
循環器小児科から成人先天性心疾患外来への移行期間
なされなかった小欠損心室中隔欠損の感染性心内膜炎を
中もしくはそれ以前に,病名の告知,過去の治療歴,現
含む管理と円錐部欠損に伴う大動脈弁逸脱や大動脈弁逆
在の心血管系の病状,今後起こり得る問題とその対策,
流,バルサルバ洞動脈瘤破裂に集約される.
日常生活での注意事項,成人病予防対策等を,本人に時
間をかけて十分に説明する必要がある 4),659).クラブ活
1
解剖学的特徴と病態生理
動が始まる中学入学時(12 歳頃)には本人にある程度
心室中隔欠損は,欠損孔の部位により膜様部,漏斗部,
の病名告知と病状説明を行い,運動が心臓に与える影響
筋性部欠損等に分けられる.膜様部欠損(右室内辺縁肉
や日常生活での注意点等を説明開始する.成人先天性心
柱後脚が三尖弁輪と円錐部の間に挿入する部分で,左室
疾患には,染色体異常や知的障害を伴う患者が存在す
側から見ると大動脈弁無冠尖と右冠尖に囲まれた部分)
る
657)
.病気の理解度に問題のある患者でも,遅くとも
が最も多い(50%).日本人を含めた東洋人には円錐部
高校卒業時(18 歳頃)までには病名を告知し,自分の
中隔(肺動脈弁下)欠損が多いことが特徴である(30%).
病気を知らずに社会に出ることのないようにすることが
流出路円錐部中隔と流入部・心尖部中隔にズレが生じて
望ましい.病気の告知と病状説明が行われないと,親か
発生した,いわゆる非整列(malalignment)による欠損
ら離れて社会に出た際に,通院が途絶えてしまい,病状
孔は,円錐中隔が前方へ偏位すると右室流出路狭窄や大
の悪化や突然死等に陥る可能性もある.患者本人への病
動脈弁閉鎖不全,後方への偏位は左室流出路狭窄,大動
気の告知は,患者本人が親から独立して自分の身体の現
脈弁狭窄(二尖弁を含む),大動脈縮窄等一連の狭窄性
状を把握し,自分の将来に対して責任を持つという観点
疾患を生じる.また,筋性部欠損は,心エコー法の普及
から,患者の身体的および知的状況に応じた時期に行う
により新生児期には,以前より多くみられることがわか
べき重要な診療行為である.
ってきたが,その多くは乳児期までに自然閉鎖する 664).
短絡量を決定するのは欠損孔サイズと肺血管抵抗で,
表 63 成人先天性心疾患患者の自分の病気に関する理解度
1.良好な理解(80%以上の患者が認識)
定期検診が必要なこと,食事管理の重要性,治療歴,歯科管理の必要性
2.比較的良好な理解(50 ~ 80%が認識)
頻回の検診と検査,病状に適した職業選択,薬剤内服の必要性,性生活での注意
3.理解不良(50%以下のみ認識)
自分の正確な病名,定期検診が必要な理由,激しい運動をした際の病気への影響
心疾患の悪化に伴う自覚症状,感染性心内膜炎のリスク
喫煙や飲酒がもたらす病気への影響,遺伝的な要因
妊娠に伴う危険性と病状により避妊が必要なこと
61
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
欠損孔が大動脈弁輪径と同等(大欠損)あるいは大動脈
弁輪径の 1/2 程度(中欠損)では,体重増加不良,呼吸
器症状,肺高血圧のため乳幼児期に手術が行われる.何
らかの理由で手術が遅れ,2 歳を過ぎると肺動脈は不可
2
臨床所見
①症状
逆的変化に至ることが多い(Eisenmenger 症候群).大
小欠損は,心雑音以外に,何ら自覚症状なく運動や日
動脈弁輪径の 1/3 以下の小欠損は,右室・肺動脈圧の上
常生活に支障がない.
昇がなく,肺体血流比< 1.5(短絡量 33%)で,通常無
症状に経過し,自然閉鎖も期待されるので定期的に観察
を続けるのが一般的である.
①大動脈弁逸脱と大動脈弁閉鎖不全 665)−668)
円錐部中隔欠損は高率に大動脈弁逸脱を合併する.収
②身体所見
1)視診・触診
頚静脈波では,A,V 波ともに正常であることが多い
が,心不全を認める場合は,突出する.反兆脈(バウンデ
イングパルス)を認める場合は,大動脈逸脱による大動
縮期に大動脈弁の一部(多くは右冠尖)が,欠損孔には
脈閉鎖不全の合併を考慮する.小欠損孔では,第 3,4
まりこみ(大動脈弁逸脱),変形し,変形が進むと大動
肋間胸骨左縁にスリルを触知する.漏斗部欠損では,第
脈弁閉鎖不全を生じる.円錐部欠損は我が国成人期未手
2 肋間胸骨左縁にスリルを触知し,時に左方,さらに頸
術心室中隔欠損の 60 %に達するが,大動脈弁逸脱で部
部に放散する.中欠損では,左室,肺動脈拍動を触知する.
分的に欠損孔が縮小して一見無症状の場合があり,大動
2)聴診
脈逸脱の程度と欠損孔の大きさを的確に診断することが
中等度以上の膜様部欠損では,胸骨左縁下部の高調性
重要である.大動脈弁逸脱は膜様部欠損にも合併し,多
の汎収縮期雑音(Levine3 ~ 4 度のことが多い),漏斗部
くは malalignment 型欠損に伴う.膜様部欠損に合併する
欠損型では,胸骨左縁第 2 ~ 3 肋間の汎収縮期雑音を聴
大動脈弁逸脱は,無冠尖と右冠尖の二尖が逸脱している
取することが多い.中等度までの筋性部欠損は,膜性部
場合や大動脈弁輪そのものの拡大を伴い,大動脈弁逆流
と同じ位置に,汎収縮期雑音を聴取する.肺血流量が増
が重症となることがある.若年発症の大動脈弁閉鎖不全
えると,心尖部にⅢ音と低調な拡張期流入性雑音を聴取
では,心室中隔欠損に合併した大動脈逸脱を鑑別するこ
する(相対的僧帽弁狭窄).肺高血圧合併では,Ⅰ音,
とが必要である.さらに,円錐部中隔欠損はバルサルバ
Ⅱ音が亢進し,肺動脈性駆出音を聴取する.肺血管抵抗
洞動脈瘤,破裂を合併することがあり,注意が必要であ
が 高 く な る と と も に, 収 縮 期 後 半 が 短 縮 し,
る
669)
.
②右室流出路狭窄
Eisenmenger 症候群では,収縮期雑音を認めず,無雑音
あるいは肺動脈閉鎖不全の雑音(Graham Steel 雑音)の
みを聴取する場合もある.漏斗部欠損型で大動脈弁閉鎖
心室中隔欠損に右室流出路狭窄を伴うことがあるが,
不全を合併する場合,連続性雑音ではなく,汎収縮期と
この要因には,大きな膜様中隔瘤,右室流出路へ大きく
拡張早期雑音を聴取する.拡張期雑音は,高調で大動脈
突出した大動脈弁逸脱,右室内異常筋束の発達,が挙げ
Ⅱ音に連続する.最強部は動脈管開存と異なり,Ⅱ音の
られる.右室内異常筋束の発達は右室内部が高圧系の流
前後ではない(動脈管開存は,連続性で,Ⅱ音周辺にピ
入部と低圧系の流出部に二分され右室二腔症(DCRV;
ークがある).心室中隔欠損による収縮期雑音は,胸骨
double-chambered right ventricle)となる.逆に,右室二
左縁第 3 第 4 肋間が最強であり,拡張期雑音(大動脈弁
腔症もまた malalignment を伴う心室中隔欠損を伴うこ
閉鎖不全)は胸骨左縁中部から下部が最強点である.ま
とが多い.
た,瘤内に小欠損が残存することがあり,この場合,収
③ Gerbode 欠損(膜様中隔瘤に伴う左室右房短絡)
心室中隔欠損が自然閉鎖してゆく過程の中で,三尖弁
の一部が膜様中隔瘤となり,その中隔瘤の血流が吹き出
す方向により左室右房短絡となることがある(Gerbode
欠損).感染性心内膜炎や右房拡大を生じて洞結節機能
不全の要因となることもある.
縮後期にこれら欠損孔が開き,血流が通過する.このた
め,収縮後期雑音あるいは収縮後期に雑音が増強する
(late systolic accentuation)ことがある.
3
検査所見
①心電図
欠損位置の判定にはあまり有用ではないが,短絡量,
62
成人先天性心疾患診療ガイドライン
肺高血圧,心室負荷の判定には有用である.小欠損孔で
は三尖弁閉鎖不全血流の流速で推定する.経食道エコー
は,正常の場合がほとんどである.しかし,膜性中隔瘤
法は,エコーウインドウの悪い患者では有用である.心
を伴う場合は不整脈(心房粗細動,上室性頻拍,房室結
室中隔瘤が大きいと,三尖弁閉鎖不全を生じることがあ
節性調律,完全房室ブロック等)を伴うことがある.中
る.また,心室中隔瘤が石灰化し,フジツボ状となり欠
等度欠損では,左房性 P 波,左室拡大を認めることが少
損孔が右房内に直接向かい,左室右房シャントとなるこ
なくない.多発性心室中隔欠損は,左軸偏位が多い.肺
ともある.
高血圧合併では,軽度の右軸偏位,右室肥大を認める.
P 波の波高が高いこともある.流入部欠損(心内膜床欠
④心臓カテーテル検査
損型)には左軸偏位が多い.小欠損で,大動脈弁閉鎖不
臨床的評価で有意な負荷が認められれば,手術適応決
全が高度の場合,大動脈弁閉鎖不全単独と同様の所見と
定のために行う.
なる.すなわち,左側胸部誘導にて,深い Q 波,高い T 波,
右室・肺動脈圧を測定し,Fick 法により短絡量を算定
深く陰性の T 波を示す.
する.肺体血流量比,肺動脈圧,肺動脈血管抵抗値の計
②胸部 X 線
測に有用であり,肺体血流量比が少なく,肺血管抵抗が
高い場合は,肺血管の可逆性をみる負荷テスト法として,
小欠損孔では,肺血管陰影,左室ともに正常であるが,
酸素,一酸化窒素負荷,プロスタグランジン負荷を行う
肺動脈主幹部は,突出することが少なくない.膜性中隔
場合がある.反応がほとんどなく,肺血管閉塞性病変が
瘤は膜性部欠損の自然閉鎖過程で生じることがあるが,
非可逆性の場合は,Eisenmenger 化していると考える.
成人では,瘤に石灰化を伴う場合がある.中等度以上の
肺体血流量比が 1.5 ~ 2.0 以上の場合は,手術適応と考
欠損孔では,肺血管陰影増強,左室拡大,肺動脈突出を
える.1.5 程度と少ない場合でも,左室拡大が著明な場
認める.また,左房拡大を認める.肺高血圧を伴うと,
合がある.心室中隔欠損の位置,合併心異常の有無と大
心胸郭比は軽度増加,右室拡大,肺動脈主幹部,分岐近
動脈弁変形(大動脈逸脱),閉鎖不全の有無,範囲,程
位部の拡張と肺血管陰影の減少を認める.中等度欠損で,
度の判定は重要である.大動脈弁変形(大動脈弁逸脱)
大動脈弁閉鎖不全合併の場合,左室拡大程度が心室中隔
が中等度から高度である場合あるいは大動脈弁閉鎖不全
欠損単独より大きく,上行大動脈が突出する.しかし,
を認める場合は,手術適応と考える.多発性心室中隔欠
肺血流量が多く肺動脈突出が目立つ場合,大動脈陰影が
損の場合があり,注意深い読影を必要とする.40 歳以
目立たないこともある.
上では,冠動脈造影により冠動脈病変合併の有無の判定
③心エコー法
欠損孔の場所,大きさ,シャントの方向,中隔と大動
も行う.
4
予後
脈の整列の有無,右室,肺動脈圧の推定,容量負荷程度
一般的には心室中隔欠損の 70 ~ 75%が自然閉鎖する
(左室拡大,左房拡大,肺動脈拡張),膜性中隔瘤の有無,
とされているが,多くは乳児期のうちに閉鎖し,2 ~ 3
大動脈逸脱の有無,程度,大動脈閉鎖不全の有無,程度,
歳以降閉鎖率は極端に減少する.思春期以降の自然閉鎖
僧帽弁閉鎖不全等合併症の有無を判定できる.カラード
率は 6 ~ 15 %とされ 94),661),662),670),671),Neumayer らは自
プラ法を使うことにより,多発性心室中隔欠損,特に筋
然閉鎖率 10 %(0.8 % / 年)で,最年長 45 歳であったと
性部欠損の描出を容易に行える.心室中隔欠損径は,心
報告した 94).
室中隔欠損が円形ではないことが多いため正確に測定で
肺体血流比< 2.0 および正常肺動脈圧の未手術心室中
きないことが多い.カラードプラ法にて,乱流を認めれ
隔欠損(小欠損)は,成人に達した場合の長期予後は一
ば,中等度以下の欠損孔,層流であれば,大欠損孔の場
般に良好とされてきた.Gabriel らは,222 名(平均 30 歳)
合が多い.シャント血流は両方向性のことが少なくない.
の前方視的観察平均 7.4 年間で,95%が無症状で経過し,
等容収縮期には,左右シャントである.大欠損孔では,
入院治療や手術を必要とする合併症は約 1%と低率であ
シャント方向は,肺動脈血管抵抗と体血管抵抗比によっ
った 95).一方で,Brompton 病院 GUCH 外来を受診した
て決まる.等容拡張期には,右左シャントになる.拡張
188 名(17 ~ 72 歳,平均 29.2 歳)の検討では,感染性
期には,両方向のシャントが認められる.すなわち,僧
心内膜炎 21 例(11%),左室拡大,心機能低下,心房細
帽弁開放時に一過性の右左シャントが生じ,拡張中期か
動,心筋症様病態等,25 %に合併症を認めた.心内膜
ら,僧帽弁閉鎖時までは,左右シャントとなる.右室圧
炎や大動脈弁閉鎖不全を中心に 20 例に心臓手術がなさ
63
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
れた.長期にわたる左心室容量負荷が心筋変性を生じ得
ろが大きい.病態初期にはコンプライアンスが高い右室
ると考えられ,運動能低下や収縮・拡張機能低下,不整
方向に血流が流れるので安静時は左右短絡が主となる.
671)−673)
.小欠損でも,少
成人の病態生理の特徴としては,長期にわたる肺血流増
数ながら,感染性心内膜炎,心不全,不整脈等の重篤な
加により肺血管床の内皮機能障害から肺高血圧症を呈す
脈基質化等が認められている
合併症を引き起こす可能性がある
5
117)
.
ることがあることや成人性心疾患(左心不全,弁膜症,
冠動脈疾患,肺疾患,高血圧,膠原病等)の合併により
治療・管理
病態に修飾がかかる点が挙げられる.また,心房細動 /
粗動といった不整脈の発生は 40 歳以前では少なく,年
①外科的治療適応
齢とともに増加し病態の悪化に寄与する.
肺体血流比≧ 1.5 であり縮小傾向を示さず,しかも左
室拡大がある場合には外科的治療を考慮する 674),675).さ
らに,大動脈弁逸脱に大動脈弁逆流を伴う場合や,圧較
差 50mmHg 以上の右室流出路狭窄,再発性心内膜炎を
2
臨床所見
①症状
認 め た 場 合 は 外 科 治 療 が 推 奨 さ れ る. 近 年 で は
右心不全症状を呈していれば見逃されることは少ない
Eisenmenger 症候群とされてきた症例にも,肺血管拡張
が,その場合は専門施設での診療が望ましい.症状とし
薬による負荷試験や肺生検による血管病変の詳細な評価
ては,息切れ,動悸といった非特異的症状しかなく,自
により,肺血管病変が可逆性であると考えられ,手術適
覚症状がないことも多い.したがって,成人期には,前
応について検討される症例もある.しかし,肺血管のリ
述した合併症による症状悪化や検査中に偶発的に見つか
モデリングの有無,肺血管拡張療法の長期効果,肺血管
ることも多い.
抵抗の改善後の薬剤治療の中止可能の判断等明らかでな
い点が多い .
②身体所見
聴診所見では左右短絡が中等症以上でⅡ音の固定性分
②術後遠隔期管理
裂を聴取し,相対的三尖弁狭窄による拡張期ランブルを
適切な時期に閉鎖術を行った心室中隔欠損の予後は比
胸骨左縁下部で聴取することもある.以下のような心電
較的良好である.1,280 人の長期観察結果で,25 年生存
図 / 胸部 X 線写真から心房中隔欠損を鑑別に入れた心エ
率は,小欠損では,87.0%
コー法を行うことが軽症の ASD 患者診断の基本となる.
676)
.中等度から,大欠損では,
それぞれ,86%と 61%という報告がある.
閉鎖後肺高血圧のない場合,小欠損は,運動制限の必
要はない.中等度以上の場合,肺高血圧を伴う場合は,
競争等の競技への参加は,控えることが多い.乳幼児期
3
検査所見
①心電図
に手術が行われて,遺残短絡や伝導障害がなく小中高校
洞調律,心房粗細動いずれもあり得る.左上大静脈遺
時代の生活や検診歴に問題がない例は治癒と認められる
残合併や静脈洞型では冠静脈洞調律(Ⅱ.Ⅲ.aVf での陰
場合もある.
性 P 波)を認めることがある.右軸偏位,(不)完全右
2
心房中隔欠損
脚ブロックは,比較的多く見られる QRS 異常で,右室
負荷所見が見られた場合は症候性心房中隔欠損の可能性
を考え鑑別の 1 つに入れる.
1
解剖学的特徴と病態生理
心房中隔欠損は,欠損部位により二次中隔型,一次中
左右短絡を反映して肺動脈の拡大が見られる.側面像
隔型,静脈洞型,単心房型,冠静脈洞型に分類される.
も参照して右室の拡大による心胸郭比の上昇を認める.
1cm 以上の欠損の多くは臨床的に診断されることが多
肺高血圧症合併例では肺野が明るい.
い.全先天性心疾患患者の 1 割前後を占めるとされ,二
次中隔型が最も多く,約 2:1 で女性の割合が高い.短
64
②胸部 X 線
③心エコー法
絡血流量と方向は,主に欠損口の大きさ,左右房圧較差,
右心系拡大,推定右室圧,心室中隔の奇異性運動,心
左右の心室のコンプライアンス,肺血管抵抗によるとこ
房中隔欠損および短絡血流の直接同定をまず行い診断す
成人先天性心疾患診療ガイドライン
る.非侵襲的肺体血流比の算出,経食道心エコー法を用
治療適応を満たす場合は経皮的デバイス閉鎖術 680),681)
いて,欠損口の部位 / 大きさ,短絡方向の正確な評価,
か外科的閉鎖術 172),682)の治療となる.外科的閉鎖は,治
肺静脈還流異常の検索,僧帽弁の詳しい観察(逸脱の有
療の基本であり,術後長期予後も明らかになっている
無と逆流の程度)を行うことも有用である.さらに欠損
(Class Ⅰ,Level A).カテーテルによるデバイス閉鎖術
口の辺縁の評価も経皮的デバイス治療のためには必要で
は,限 られた 承認施 設で行 われ なけ ればな らず,径
ある(カテーテル治療の項参照).
38mm 未満の 2 次孔欠損でかつ前縁を除く欠損孔周囲縁
が 5mm 以上ある場合が適応となる(Class Ⅰ,Level B).
④ CT
術後,抗血小板薬(アスピリン 100mg/ 日)を少なくと
近年,冠動脈 CT 検査の普及により冠動脈の評価のみ
も 6 か月投与する.それ以外の条件では患者の臨床的背
ならず心臓の内部構造や肺血管の解像度も上昇してい
景を考慮し,外科的治療との比較検討を行う必要がある.
る.欠損口の評価のみならず部分肺静脈還流異常の評価
また,手術後あるいはデバイス閉鎖術後 6 か月以内は,
にも役立つ.成人では,冠動脈疾患合併例を伴うことも
感染性心内膜炎の予防が必要である.
ありその早期評価にも有用で,肺疾患も同時に評価でき
Eisenmenger 化した症例の薬物治療に関しては,肺高
る.しかしながら,造影剤を使用するため診断確定後に
血圧症と Eisenmenger 症候群の薬物治療の項を参照.
行われることが推奨される.
⑤ MRI
3
房室中隔欠損
1
解剖学的特徴,病態生理と小児期修
復術
肺静脈還流異常の診断評価に有用である.右心機能評
価のゴールドスタンダードであり右室駆出率や拡張末期
容積といった手術リスクや術後回復に関わる因子の評価
に有用である.造影は必ずしも必要でなく低侵襲的検査
房室弁に隣接する心房心室中隔組織の欠損に房室弁異
である.
常を合併する疾患で,完全型と不完全型に分かれる.完
⑥心臓カテーテル検査(Class Ⅰ,Level A)
全型は共通前尖と共通後尖が分離し,共通房室弁を形成
する.不完全型では,房室弁は左右に分かれる.左側房
左・右短絡量や肺体血流量比(Qp/Qs)と肺血管抵抗
室弁は裂隙(cleft)を有し,房室弁逆流を生じる.完全
を評価し,肺高血圧や Eisenmenger 症候群の有無を判定
型は心室中隔欠損を伴い,不完全型は伴わない.完全型
する.熟練した専門医のもと行うことが推奨される.酸
は腱索の付着部位により,さらに,3 つの型に分類され
素飽和度の評価から新たに短絡部位が発見されることも
る(Rastelli 分類 A-C)683).左房室弁逆流の程度は弁形成
ある.高度の肺高血圧を認めた場合は,酸素や薬物負荷
異常と弁輪拡張の程度に依存する.また,心室低形成,
テスト(肺高血圧症の項参照)を施行し肺血管病変の可
左室流出路狭窄等の合併の有無により病態が修飾され
逆性を検討する.冠動脈疾患,弁膜症等の評価が必要な
る.
場合,左心カテーテルも同時施行する.
内科的治療では十分な改善は望めず,高度の肺血管閉
4
治療・管理
塞性病変がない限り,中隔欠損のパッチ閉鎖術と房室弁
修復術の適応となる.多くは裂隙縫縮術を含む房室弁形
治療適応に関しては未だに議論の余地があるが,臨床
成術を行う.左室低形成例では,Fontan 型手術になるこ
的に有意な心房中隔欠損,高齢者(60 歳以上)では,
ともある.不完全型の手術成績は良好である.高度房室
肺体血流比> 2.0 の場合は適応を考える.肺動脈圧もし
ブロックに対してはペースメーカの植込みが行われる.
くは肺血管抵抗値が,体血圧と体血管抵抗値のそれぞれ
一方左側房室弁の変形が著しく,形成術のみでは逆流が
2/3 以上では,肺体血流比≧ 1.5 でなければ治療適応とは
コントロール困難な場合,または明らかに狭窄を来たす
みなさない.肺体血流比< 1.5 の場合や肺血管抵抗値が
と思われる場合には僧帽弁置換を考慮する.また房室結
7wood 単位以上の場合は酸素負荷や薬物負荷テストを行
節の位置異常があるので,パッチ縫着時等に損傷しない
い肺血管の反応性の評価が必要である 677)−679).肺血管
注意が必要である.遺残短絡,有意の房室弁逆流の残存
の可逆性評価のための肺生検は,手技自体のリスクも高
がある症例は少数であるが,術後も房室弁逆流が顕著な
く,組織学的評価は熟練した病理医師が行うべきであり,
いしはその程度が進行性に増加するような場合には,僧
対象は限られる(Class Ⅱ b,Level C).
帽弁置換を含めた再手術を考慮する.
65
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
2
臨床所見(表 64)
③心エコー法
心房間交通の部位,大きさ,房室弁形態,共通弁の詳
①症状
細を把握できる.心尖部四腔断面より心房一次中隔欠損
心房粗細動,房室ブロックを認めることがある.不完
と心室中隔欠損を評価できる.短軸断面で乳頭筋,房室
全型の未手術例は心房中隔欠損と比べ,早期に発症する.
弁形態異常,cleft の形態を評価する.左室,右室流出路
加齢とともに運動耐容能低下,動悸,息切れ,易疲労性
狭窄,左室,右室低形成,乳頭筋形態,房室弁形態,房
が現れる.房室ブロックによる失神発作を伴うことがあ
室弁逆流の程度の評価も重要である.心エコー法で心内
る.完全型は,早期に肺高血圧と房室弁逆流が悪化する
形態の評価は可能であることが多いが,経胸壁エコー法
ため,未手術の長期生存例はまれである.
ではその描出が困難な場合が少なくない.経食道エコー
②身体所見
Ⅱ音の固定性分裂と心尖部の汎収縮期雑音が聴取され
法は弁逆流の評価に有用である.
④ MRI
る.修復術後も遺残房室弁逆流がある場合に,汎収縮期
心臓全体を客観的に観察するためには,MRI が有用
雑音を聴取する.
である.しかし房室弁の詳細な形態評価は困難であるこ
3
検査所見(表 64)
①胸部X線
とが多い.
⑤心臓カテーテル検査
心内形態,肺血管抵抗の評価の目的で適応となる.左
心拡大と肺血管陰影の増強が見られ,重度の房室弁逆
室造影正面像で,左室流入路が短く,流出路が狭小化す
流では,左房拡張を認める.
ることによる“goose neck deformity”がみられる.
②心電図
左軸偏位,PQ 間隔の延長,不完全右脚ブロックがみ
られる.心房中隔欠損と異なり左軸偏位を認めるが,こ
の所見は,特徴的で診断的価値が高い.
4
予後
①非手術歴
不完全型の自然歴は,重度の房室弁逆流を合併する場
合を除いては,大きな二次孔タイプの心房中隔欠損と大
きく変わらない 684),685).すなわち一部の症例では肺血管
表 64 房室中隔欠損の診断
臨床症状
思春期ころから運動耐容能低下,動悸,息切れ,易疲労性
身体所見
Ⅱ音の固定性分裂,心尖部の汎収縮期雑音
修復術後の遺残房室弁逆流では,汎収縮期雑音
胸部 X 線
心拡大と肺血管陰影の増強
高度の房室弁逆流では,左房拡張
心電図
左軸偏位,PQ 間隔延長,不完全右脚ブロックパターン
心エコー検査
心房間交通の位置,大きさ,房室弁形態,特に共通弁の詳
細を把握
四腔断面により心房一次中隔欠損と心室中隔欠損の評価
短軸断面で乳頭筋や房室弁,cleft の形態評価
左室および右室流出路狭窄,左室および右室の低形成,房
室弁逆流の程度
心臓カテーテル検査
心内形態,血行動態,肺血管抵抗の評価
左室造影の正面像で,
“goose neck deformity”
術後遠隔期
左側房室弁逆流,大動脈弁下狭窄,房室ブロック,肺高血
圧の進行の評価
66
病変を合併し,肺高血圧を呈し,中年以降は心房性不整
脈の合併が多く,これとともに自覚的にも状態が悪化す
る場合がみられる . 本症の予後は,房室弁逆流や,刺激
伝導系の異常に伴う合併症の存在のため,通常の心房中
隔欠損に比較してやや不良である 686),687).完全型の場合
は,房室弁逆流,肺高血圧等のため,高度の心不全を伴
うため長期生存が難しい 688).
②修復術後歴,術後長期予後
心内修復術後の予後は比較的良好だが,術後の遺残房
室弁逆流が問題となる場合がある.術後長期遠隔期は,
左側房室弁逆流,大動脈弁下狭窄,房室ブロック,肺高
血圧の進行等により生命予後は一般よりやや悪い.有意
の遺残短絡や遺残房室弁逆流を認め,逆流が顕著ないし
は進行性に増加する場合は,僧帽弁置換術を含めた再手
術を考慮する.高度房室ブロックが遠隔期に出現するこ
とがある.術後遠隔期の合併症の多くは房室弁逆流に対
成人先天性心疾患診療ガイドライン
する治療の如何によって左右される 4),689).すなわち房
室弁逆流遺残が重度な場合には心室機能不全,心房細動
③心エコー法
等の上室性不整脈の頻度が高い.また高度房室ブロック
中等度以上の左右短絡を認める症例では,左房左室拡
が遠隔期に出現することがあり注意深い経過観察を必要
大所見を認める.カラードップラでは,動脈管から主肺
とする.まれではあるが,術後に大動脈弁下狭窄が進行
動脈への左右短絡血流が観察されるが,重度肺高血圧症
することがある(5 ~ 10%)685),690).
例では,動脈管で両方向性の短絡血流を認める 692).
4
④ CT
動脈管開存
動脈管の形態,動脈瘤,合併する大動脈弓の異常を評
1
価できる.手術適応症例では,石灰化の程度と範囲を評
解剖学的特徴と病態生理
価するために有用である 692).
成人の動脈管は,大動脈峡部と肺動脈における石灰化
と血管の脆弱性が認められる 691).また,長期間持続す
る左右短絡により,たとえ小さい動脈管でも,心筋障害
を来たしうっ血性心不全を呈することがある
691)
.一方,
大きな径では,Eisenmenger 症候群となる 692).
2
臨床所見
⑤心臓カテーテル検査
肺高血圧症例では,閉鎖術前に,肺血管抵抗値および
短絡率を評価し 692),酸素,プロスタサイクリン,シル
デナフィル,一酸化窒素等薬剤の反応性を評価すること
が望ましい.また,バルーンカテーテルによる閉塞試験
は,閉鎖可能かどうかの判断として有用である.
①症状
⑥心血管造影検査
中等度以上の左右短絡のある患者では,労作時息切れ
動脈管形態の詳細な評価は,カテーテル閉鎖術の際に,
や易疲労性等の症状を呈する.
適切なデバイスの選択のために有用である.
②身体所見
4
予後
第 2 肋間胸骨左縁に連続性雑音,心尖部に拡張期ラン
成人期の自然歴は,動脈管のサイズ,短絡量と肺血管
ブルを聴取する.右左短絡優位の肺高血圧を伴う患者で
閉塞性病変の有無に大きく影響される.
は,differential cyanosis と足爪のばち指を認め,通常は
心雑音を聴取しないが,三尖弁閉鎖不全による汎収縮期
雑音や肺動脈弁閉鎖不全による Graham Steell 雑音を聴
取することがある.
3
検査所見
①うっ血性心不全
軽度から中等度の短絡量を有する症例は,小児期に無
症状であっても,50 歳以降に,長期間の容量負荷によ
るうっ血性心不全を呈することがある.さらに,心房細
動を伴うと予後不良となる 691).
①胸部 X 線
②肺血管閉塞性病変
動脈管の大きさにかかわらず,50 歳以降では年齢と
大きな径では,非可逆的な肺血管閉塞性病変を来たす
伴に心拡大が進行する 691).主肺動脈はしばしば拡張し
症例が多い 692).右心不全症状,不整脈,長期のチアノ
ており,肺高血圧症例では,動脈管部に石灰化像を認め
ーゼによる全身合併症が経年的に出現し,Eisenmenger
ることがある
692)
.
②心電図
症候群の病像を呈する.
③動脈内膜炎
中等度以上の左右短絡を認める症例では左室肥大所
動脈内膜炎は比較的まれな合併症で,30 ~ 40 歳に最
見,左房負荷所見を認め心房細動を伴うことがある 691).
も多く,50 歳以上ではまれとされる 691).また,心雑音
肺高血圧を伴う大きな径の症例では,右房負荷と両心室
を認めず径の小さい動脈管(silent PDA)にも動脈内膜
負荷所見を認めることが多い 692).
炎が起こる 693),694).
67
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
● 他の心血管構造異常に対する心臓手術時
④動脈管瘤 / 肺動脈瘤
● 経カテーテル的閉鎖術が困難な動脈管形態(動脈管
瘤を含む)
動脈管瘤は,感染性心内膜炎後,外科的閉鎖術後,
Ehlers-Danlos 症候群,Marfan 症候群のような結合組織
(3)経カテーテル的閉鎖術 451),701)−703)
疾患に起こる 695).
肺動脈瘤は,肺高血圧例に認められ,解離性瘤破裂が
報告されている
5
● 動脈内膜炎
696),697)
.
Amplatzer duct occluder の 登 場 に よ り, 大 き な 径 の
PDA に対する経カテーテル的閉鎖術は,より安全で確
実になった.我が国でも,2008 年から使用可能となっ
治療・管理
ており,2mm 以上の例には,Amplatzer duct occluder に
よる閉鎖術が望ましい.また,2mm 未満の PDA につい
①内科管理
ては,従来通りコイル塞栓術が望ましい.
(1)左室容量負荷所見のない小さい動脈管開存症例にお
いても,定期的に経過観察することが望ましい.
(4)外科手術 698)−700),704)
動脈管が短く,開口部の石灰化が著明な場合には,
(2)右左短絡優位の肺高血圧症例では,厳密な管理が必
離断することは困難であり,人工心肺を用いて,大動脈
側 698),700)または肺動脈側 704)からのパッチ閉鎖が行われ
要であり,Eisenmenger 症候群の管理に準じる.
(3)silent PDA 症例でも,動脈内膜炎を合併することが
あり,閉鎖術後 6 か月以上経過し残存短絡のない症
例以外は,動脈内膜炎の予防が必要である.
る.
5
②経カテーテル的閉鎖術 / 外科手術
1)閉鎖術の適応
右室流出路狭窄性疾患:右室
二腔症,肺動脈弁狭窄,弁下
狭窄,弁上狭窄
①左室容量負荷所見を認めるもの 451),691),692),698)−702).
孤立性肺動脈弁狭窄は,異形成弁を除いて,現在では
(Class Ⅰ)
ほとんどバルーン拡大術で治療可能となった.しかし成
②左右短絡優位の肺高血圧症例
451),691),692),698)−702)
人期においては心血管系の経年的変化を加味して判断す
.
(Class Ⅰ)
ることが必要で,カテーテル治療,外科的治療の両面の
③無症状の小さい動脈管(Class Ⅱ a)
アプローチが必要と考えられる.また,Fallot 四徴も含
一般的に適応と考えられるが,動脈内膜炎の頻度は低
めて,術後の右室流出路の遺残狭窄,術後の右室流出路
いため,高齢者での適応は定かではない.しかし,若年
狭窄の進展にも注意が必要である .
者においては経カテーテル的閉鎖術がすすめられる
692)
.
④雑音を聴取しない動脈管(silent PDA)(Class Ⅱ b)
動脈内膜炎の既往がある場合は,適応となるが,それ
以外の適応は定かではない .
⑤右左短絡優位の肺高血圧症例(Class Ⅲ)
右室二腔症
(DCRV; double-chambered right ventricle)
1
解剖学的特徴と病態生理
原則として適応外であるが,心臓カテーテル検査(薬
中隔縁柱(septomarginal band)から右室自由壁方向
物負荷試験やバルーン閉塞試験)や肺生検等により適応
に の び る 肉 柱 が 肥 厚 し, 右 室 に 流 入 側 高 圧 腔(high
を決めることが望ましい 692).
pressure chamber) と 流 出 路 側 低 圧 腔(low pressure
chamber)の 2 つの腔を形成する疾患である.先天性心
2)閉鎖法の選択
疾患のうち 1 %の発生率を示す比較的まれな疾患であ
(1)成人期は,動脈管周囲の石灰化と脆弱性に加え,動
る.70 ~ 80 %に膜様部心室中隔欠損が合併し高圧腔に
脈硬化,動脈瘤,冠動脈病変および腎疾患等の成人
存在することが多い 705),706).Fallot 四徴と異なり,漏斗
期の諸問題を伴うため,小児期に比べて外科的手術
部中隔の前方偏位や肥厚は認めない.
のリスクが高い.よって,動脈管単独の場合は,外
科的閉鎖術よりも経カテーテル的閉鎖術が望まし
本症に大動脈弁下狭窄や大動脈弁閉鎖不全を合併する
い.
ことがあり心室中隔欠損を介するジェット流によるずり
(2)ただし,以下の場合は外科手術が推奨される.
68
応力で生じた内膜肥厚により大動脈弁下狭窄が発生する
成人先天性心疾患診療ガイドライン
と考えられている.
2
臨床所見
①症状
肥厚した筋束によって血流は制限されるため高肺血
流とはならず症状の発現は遅い.しかし狭窄は進行性
手術成績は良好であり,狭窄が良く解除された症例では
遠隔期の再発も認めない 706),707).
肺動脈弁狭窄
(PS; pulmonary stenosis),弁下狭窄,弁上狭窄
1
解剖学的特徴と病態生理
で 8),706),心室中隔欠損を介して右−左短絡生じると運
他の心異常を伴わない肺動脈弁狭窄は先天性心疾患の
動時にチアノーゼの出現と増強,呼吸困難を自覚するよ
7 ~ 12 %を占める.Noonan 症候群にしばしば合併する
うになる .
が,この場合は異形性弁である.乳幼児期に発症する重
症型では右室低形成を伴い,臨床像が異なる.軽度ない
②聴診所見
し中等度狭窄では無症状ないし軽度の症状で成人に達す
胸骨第 2 ~ 3 肋間に表在性の大きな収縮期雑音があり,
るが中等度以上では進行性のこともある.
強度が 5 ~ 6 度の場合は,まずこの疾患を考える.
主肺動脈幹の狭窄,分岐部狭窄,末梢肺動脈狭窄は他
3
検査所見
の先天性心疾患に合併して見られる.また Noonan 症候
群,Keutel 症候群,Williamas-Beuren 症候群,先天性風
疹症候群等に合併する.
①胸部 X 線
特徴的な所見はない.
2
治療・管理
肺動脈弁狭窄は,最大圧較差が 25 ~ 49mmHg の症例
②心電図
は 20 %,50mmHg 以上ではほとんどがカテーテルイン
右室肥大と V3R,V1 で T 波が上向きとなり,増高して
ターベンションを必要とする 8).肺動脈弁は fish-mouth
いることが特徴とされる 8),705).
様変形を呈することが多いが弁輪部は比較的大きい.し
③心エコー法
右室内異常筋束の描出,心室中隔欠損合併,弁性肺動
たがってバルーン拡大術の良い適応であり第一に選択さ
れる治療である.しかし成人では肺動脈弁の石灰化や高
度に肥厚している場合がありバルーン拡大術が困難なこ
脈狭窄合併の有無等について最も診断的に優れている.
とがある.また,Noonan 症候群に多くみられる異形成
三尖弁逆流から高圧腔の圧推定が可能である.心電図上
弁や乳幼児期に姑息的弁輪拡大が行われている症例では
心臓カテーテル検査では右室内での著明な圧較差と高圧
固い狭窄組織が残存し弁逆流を認める例があり手術によ
腔からの右室造影で右室中央を横切る太い筋束を認め
る修復が必要となる.弁切開術あるいは弁置換術を行う
る.
が必要に応じて弁輪拡大を行う.
4
治療・管理
弁上狭窄および末梢狭窄では,有意な右室圧上昇や形
態的に 50 %を超えるような末梢性狭窄,肺血流シンチ
経胸壁心エコー法は診断時年齢を問わず圧較差が 30
グラフィーでの血流分布異常が認められる場合,ステン
~ 50mmHg 以上を示す右室内狭窄があれば手術治療が
ト留置を含むバルーン拡大術 708),709)あるいは人工心肺使
推奨される
705)
.バルーン形成術,アルコールアブレー
用下の拡大形成術を検討する.Noonan 症候群に認めら
ション等も行われたことがあるが,肺動脈弁狭窄と異な
れる弁状狭窄は,バルーン形成術は難しい.
り,カテーテル治療は有効ではない.
カテーテル治療や手術介入の適応,タイミングについ
5
手術
ては明瞭なガイドラインはないが ESC ガイドライン 6)に
簡潔にまとめられている(表 65).
人工心肺下に右房を切開し,三尖弁経由で右室自由壁
および中隔縁柱の肥厚した筋束をそぎ落とすように切除
する.心室中隔欠損は閉鎖する.主肺動脈経由の筋束切
除も有用な場合がある.右室切開による筋束切除の報告
もあるが 706)合併症も危惧され近年では選択されない.
69
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
6
病状の進行とともに易疲労感,労作時呼吸困難等の心不
全症状,胸痛等の心筋虚血症状,意識消失等の脳虚血症
左室流出路狭窄性疾患:大動
脈二尖弁,弁下狭窄,弁上狭窄, 状を呈する.初発症状が突然死の場合がある .
大動脈縮窄
(2)身体所見
胸骨右縁第 2 ~ 3 肋間に最強点を有する収縮期駆出性
大動脈二尖弁(BAV; bicuspid aortic valve)
1
雑音が聴取される.駆出音に続く拡張期雑音が聴取され
る.胸骨上窩や右頚部方向に thrill を触れる.拡張期雑
解剖学的特徴と病態生理
音を聴取する場合には閉鎖不全がある.なお,狭窄や閉
成人期にみられる最も頻度の高い先天性心疾患で,全
人口の約 1 %を占め,70 %以上が男性である
170),710),711)
.
95%に弁尖の不同がみられ,75%に raphe といわれる仮
性交連組織が存在する 712).大動脈中膜に cystic medial
necrosis の所見が認められ,血管壁の fibrillin-1 含有量が
少ないことが知られており,大動脈拡張,瘤化,解離の
リスクが高いとされている.この所見は,大動脈弁閉鎖
不全を増悪させると同時に体心室収縮機能,拡張機能,
鎖不全が有意でない場合,駆出音のみを聴く.
3
検査所見
①胸部 X 線
上行大動脈の拡大のため,右Ⅰ弓が突出する.
②心電図
冠動脈潅流を悪化させる.これらの疾患群は,大動脈拡
左室肥大,重症例では胸部誘導で ST-T 変化(strain
張という形態的な特徴だけではなく心機能異常を伴う新
pattern)の所見を呈する.
たな疾患群,Aortopathy としてとらえられるようになっ
た.この拡張性病変は,単に狭窄後拡張(post-stenotic
③心エコー法
dilatation)という血行動態異常に基づく疾患群ではなく,
大動脈弁の形態を観察するために最も有用な検査であ
内在する大動脈壁異常に基づくものである 169).比較的若
る.二尖弁の診断,raphe の有無,弁組織の肥厚,硬化,
年齢から大動脈弁狭窄が進行する
169),713)−717)
.少数だが
石灰化病変の程度,弁口面積,左室壁厚,左室機能,左
大動脈弁閉鎖不全を主徴とする場合がある 718).家族歴
室−大動脈圧格差等により病態の把握,重症度の判定が
を認めることも多く,その検索をしておくことは感染性
可能となる 170),719).
心内膜炎の予防を行える点でも重要である 710).
2
臨床所見
④ CT・MRI
大動脈基部拡大の有無や上行大動脈径等,大動脈形態
を詳細に評価することができ,上行大動脈人工血管置換
(1)症状
術同時施行の要否を判断する際に有用である 720).
当初は無症状であるが,後天性の大動脈弁狭窄と同様,
表 65 右室流出路狭窄病変に対するインターベンションの適応 6)
適応
症状の有無にかかわらずどの狭窄部位でも修復が必要
・右室機能,弁機能が正常のときドプラ最大収縮期圧較差> 64mmHg(peak velocity > 4.0m/sec)
肺動脈弁狭窄ではバルーン拡大術が選択される.
・無症状の患者でバルーン拡大術が無効であり弁置換術が唯一の選択肢と考えられる.
・収縮期右室圧> 80mmHg(TR velocity 4.3m/s)の場合,手術を行う.
最大圧較差< 64mmHg の場合,次のような条件が存在するときインターベンションが推奨される.
・肺動脈狭窄に関連した症状があるとき
・右室機能が低下している
・右室二腔症を合併(通常,進行性である)
・有意な不整脈がある
・心房中隔欠損または心室中隔欠損を介する右-左短絡がある
末梢性肺動脈狭窄は症状の有無にかかわらず修復を考慮する
・肺動脈径が 50%以上の狭窄で,右室収縮期圧が> 50mmHg
・かつ / あるいは肺血流分布異常がある
70
Class Level
Ⅰ
C
Ⅰ
C
Ⅰ
C
Ⅱa
C
Ⅱa
C
成人先天性心疾患診療ガイドライン
の上で,注意が必要である.
⑤心臓カテーテル検査
狭窄部での圧較差を測定し,重症度を判定する.血管
造影検査により大動脈形態を評価する.合併心疾患の診
断と重症度を評価し,治療方針を決定する.早発性冠状
動脈疾患のリスクがあるため,40 歳以上の症例に対し
ては,冠状動脈造影も行うことが望ましい
4
720)
.
自然予後
2
臨床所見
①症状
当初は無症状であるが,心悸亢進,呼吸困難,胸痛,
失神発作等を呈する.
②身体所見
弁狭窄の進行が早いこと,大動脈瘤や大動脈解離の合
胸骨右縁第 2 ~ 3 肋間に最強点を有する収縮期駆出性
併頻度が高いことから,後天性大動脈弁狭窄よりも自然
雑音が聴取される.大動脈二尖弁と異なり駆出音,頚部
予後は不良とされてきたが,近年の診断,治療法の進歩
に放散する thrill がない.
に伴い,生命予後は健常人と比較しても遜色ないとする
報告もある 721).感染性心内膜炎が初発症状となること
があり,無症状の段階で,大動脈駆出音に注目して診断
を下しておくことが重要である 722),723).
5
治療・管理
β遮断薬は大動脈弁狭窄の進行を抑制する可能性があ
る.大動脈弁狭窄の進行に注意を払うとともに,大動脈
基部や上行大動脈の拡大にも注意を要する.上行大動脈
3
検査所見
①心エコー法
大動脈弁下が異常構造物により狭窄し,カラードップ
ラでは左室流出路に乱流が認められる 726),727).大動脈弁
閉鎖不全の合併に注意する .
②心臓カテーテル検査
径が 4.0cm 以上ある場合は,年に 1 回 CT もしくは MRI
狭窄部での圧較差を測定し,重症度を判定する.血管
で大動脈の評価を行う 720).
造影検査により大動脈弁下形態を評価する.
6
手術
4
手術
石灰化病変の軽度な若年者に対しては,バルーンによ
膜様狭窄に対しては,大動脈弁ごしに膜様構造物切除
る弁切開も考慮されるが,石灰化病変の強い高齢者では
術が行われ,トンネル型狭窄に対しては,弁逆流の有無
手術が第一選択となる 724).弁形成術もしくは弁置換術
等 に よ り Ross-Konno 手 術,modifiedKonno 手 術, 左 室
が行われる
725)
.ACC/AHA2006 ガイドラインでは心臓
カテーテル検査にて収縮期圧格差 60mmHg 以上で,運
動負荷心電図上,虚血性変化が認められれば手術適応と
している . 大動脈瘤,大動脈解離を発症するリスクが高
いため,上行大動脈径 5.0cm 以上もしくは 1 年に 0.5cm
流出路筋の切除術等が選択される 728).
大動脈弁上狭窄
1
解剖学的特徴と病態生理
以上拡大する場合は人工血管置換術の適応,大動脈弁手
大動脈の ST junction から上行大動脈末梢までに狭窄
術時に上行大動脈径が 4.5cm 以上ある場合は人工血管置
を有するものをいう.膜型,砂時計型,低形成型の 3 型
換術同時施行の適応とされている 717),720).手術成績は良
に分類される.約半数に Williams 症候群を合併する 729).
好である.
大動脈弁下狭窄
1
解剖学的特徴と病態生理
大動脈弁直下に膜様の構造物が環状に張り出して狭窄
を生じるもの,線維筋性に狭窄を生じるものがある.
大動脈縮窄,大動脈離断,房室中隔欠損の術後に経年
的に進行する場合があり,これらの疾患では,経過観察
2
臨床所見
大動脈弁狭窄に類似した症状を示すが,早発性冠状動
脈病変の合併が特徴である 730).
3
検査所見
①心エコー法
大動脈弁上部~上行大動脈の形態を観察し,狭窄部の
71
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
圧格差を測定する.弁尖の癒合,肥厚,二尖弁等合併す
る大動脈弁病変の診断にも有用である.
左室肥厚の程度,大動脈弓部・峡部での縮窄の有無と
②心臓カテーテル検査
程度,ドプラ法による縮窄部の流速を測定するが,成人
狭窄部での圧較差を測定し,重症度を判定する.大動
脈の狭窄部位,形状,冠状動脈病変の有無,末梢肺動脈
病変の有無等の診断に有用である.
4
③心エコー法
ではエコーウインドウが狭く,評価が困難な場合がある.
④ CT・MRI
大動脈形態を詳細に評価することができ,心血管造影
手術
検査を回避できることもある 734).
一般的には 50mmHg 以上の圧格差が手術適応とされ
る. 限 局 型 の 症 例 に は, 狭 窄 部 を 2 方 向 に 拡 大 す る
⑤心臓カテーテル検査
extended aortoplasty(Doty) や 3 方 向 に 拡 大 す る three
狭窄部での圧較差を測定する.収縮期圧較差 20mmHg
patch repair(Brom), 補 填 物 を 用 い な い sliding
以上を有意な縮窄と定義する.大動脈形態を評価する.
aortoplasty(Myers-Waldhausen)等の術式が報告されて
早発性冠状動脈疾患のリスクがあり,40 歳以上では,
いる.低形成型は定型的な術式は存在せず,症例に応じ
冠状動脈造影も行うことが望ましい 735).
て人工血管による補填を行う 731).
大動脈縮窄,大動脈弓離断(CoA; coarctation of
aorta,IAA; interrupted aortic arch)
1
解剖学的特徴と病態生理
4
予後
未治療の場合,次第に左心不全を来たし,平均死亡年
齢は 34 ~ 35 歳程度とされる 735),736).死亡原因は大動脈
(瘤)破裂あるいは大動脈解離,脳内出血,感染性心内
膜炎,うっ血性心不全,急性心筋梗塞等である 735),736).
大動脈弓に狭窄あるいは途絶があり,通常縮窄あるい
これらの合併症は修復術後でも生じるため注意が必要で
は離断部は動脈管流入部もしくはそれより中枢側に存在
ある.
する.狭窄は限局性から,広範な大動脈弓低形成まであ
り,狭窄程度も高度から軽度まで様々である.成人期に
5
治療・管理
発見される多くは他の先天性心異常を伴わない単純型で
大動脈縮窄修復術後の再狭窄率は 10 ~ 15 %とされ
ある.先天性心異常を合併する複合型は,新生児乳児期
る 736),737).非手術例と同様,再狭窄例にも狭窄程度を正
に発症し,早期手術が施行される
2
732)
確に評価し,適切な管理を行う必要がある.
.
右上肢と下肢で安静時血圧を測定し,上下肢血圧差の
臨床所見
有無を確認する.軽度の縮窄遺残は,安静時の上下肢血
学童期以降から成人期には上肢高血圧,下肢の脈拍減
圧差がほとんどなく,トレッドミルやマスター等運動負
弱等があり,運動時の下肢の疲れを訴える場合もある.
荷試験後に血圧差が明らかになることがある.血圧差は
上肢高血圧,下肢の脈拍減弱が特徴で,若年性の高血圧
側副血行の発達の程度にも影響を受け,血圧差は必ずし
をみたら本症を疑う.
も縮窄の程度を反映しない 739)−745).
3
年齢に関係なく長期的に続く高血圧症を伴う大動脈縮
検査所見
窄(非手術例,術後症例にかかわらず)は,左室肥大や
早発冠状動脈疾患の予防を行う 746),747).ACE 阻害薬や
①心電図
β遮断薬が有効であるが,有意な遺残狭窄病変がでは狭
窄部末梢の血圧低下を来たすため ACE 阻害薬は使用し
左室肥大所見を呈する.
ない.大動脈縮窄の最も一般的な死亡原因は高血圧に起
②胸部 X 線
因する動脈硬化性病変であるため,降圧療法とともに他
成人期には拡大した肋間動脈による肋骨下部侵食像
(rib notching)が見られることがある
733)
.
のリスクファクターのコントロールも行う.食事療法,
規則正しい生活習慣とともに,運動療法を行うことが望
ましい 710).安静時に上下肢圧差がない,あるいは正常
血圧でも運動時に高血圧を呈する場合は,過度の運動は
72
成人先天性心疾患診療ガイドライン
控えるよう指導する 744),748),749).また,経年的に大動脈
右室心筋形成異常,右室狭小化,三尖弁閉鎖不全,心房
弁下狭窄を合併することがあり注意を要する.
間右−左短絡,左室心筋異常を伴う.
手術
6
解剖学的特徴と病態生理
1
乳児期手術例ではほぼ全例で縮窄部切除+端々吻合法
Ebstein 病では以下に示した形態的,機能的異常を認
や鎖骨下動脈フラップ法等自己組織のみの大動脈再建が
める.
可能である.大動脈弓低形成を伴う症例では拡大大動脈
(1)三尖弁組織と心筋(心内膜)との癒合
弓再建術を行う.学童期以降は縮窄部切除+端々吻合法
(2)三尖弁中隔尖と後尖の下方(右室心尖部方向)へ
ができず,人工血管置換を余儀なくされる症例も存在す
る
750)
.成人期手術は脊髄保護(対麻痺予防)の観点よ
り左心バイパスや F-F バイパス等の補助手段を併用する
の偏位
(3)三尖弁前尖の形態異常
(redundancy,tethering,fenestration)
必要がある.術後に上下肢ともに高血圧を生じる症例が
(4)心房化,拡大した右室流入部
あり,注意深い周術期管理が必要である.パッチ拡大法
(5)三尖弁閉鎖不全
は遠隔期に動脈瘤が高頻度に形成されるため現在ではほ
(6)右房拡大
とんど行われていない
(7)心房中隔欠損(卵円孔開存):約 50% の症例に認
751)
.
経皮的バルーン拡張術も行われるが,遠隔期に動脈瘤
める.
形成が見られるとの報告もあり,未手術の大動脈縮窄に
(8)チアノーゼ
対する初回治療としてのバルーン拡張術は一般的な治療
(9)副伝導路(心房性頻脈)
法として確立していない
752)
.近年,成人の非手術例に
(10)心室中隔欠損
対するステント留置も試みられ,良好な成績が報告され
(11)形態的,機能的右室流出路狭窄
ているが,長期成績は不明である 752)−754).
(12)僧帽弁逸脱
手術成績は新生児・乳児例
755),756)
,成人例
757),758)
とも
に良好である.複雑心疾患を合併しない症例の生命予後
は比較的良好である.術後遠隔期合併症には,修復部再
狭窄や動脈瘤,高血圧,大動脈弁膜症,早発性冠状動脈
病変等が挙げられる 734),735),737),750),757),759).
(13)左室形態,機能異常(左室緻密化障害)
2
臨床所見
①症状
再狭窄例では心不全,高血圧に加え,上下肢血圧差
新生児期に発症する重症例の予後は不良で大多数は成
20mmHg 以上がカテーテル治療または外科的修復の適
人期に達しない.それ以降の小児期発症例では進行性の
応とされる
760)
.まずカテーテル治療が行われ,カテー
テル治療の無効例に外科的修復術が選択される
761),762)
.
右心不全症状を呈するが,その多くは成人期まで加療を
行うことなく到達する.成人期には不整脈,心不全で発
縮窄部の人工血管置換術が行われるが,癒着や側副血
症することが多い.臨床症状は,三尖弁偏位の程度,右
行による出血が危惧される場合に,上行大動脈 - 下行
心系の大きさ,肺動脈弁狭窄の存在と程度,右房圧,三
大動脈間に非解剖学的バイパス術が行われることもあ
尖弁閉鎖不全の程度,右−左短絡の有無に左右される.
る
750),763)
.乳児期の人工血管を用いた弓部再建術では,
無症状で経過する成人例も認められる.
身体発育に伴い相対的な狭窄が進行する.この場合も人
成人期に認められる臨床症状は,動悸,運動時息切れ,
工血管の再置換術もしくは非解剖学的バイパス術が選択
呼吸困難,易疲労感,チアノーゼ,奇異性血栓,脳血栓
される
764),765)
.
塞栓症等である.心房中隔欠損(卵円孔開存)合併例で
手術時の年齢が成人期の場合は術後に血圧が正常化し
は運動時にチアノーゼを認めることがある.末期には高
ないことが多い 766),767).
度三尖弁閉鎖不全,右心機能低下を呈し,心房細動等の不
7
Ebstein 病
多彩な三尖弁および右室の形態的,機能的病態を示す
整脈により症状増悪を来たす.副伝導路を持つ心房細動例
や心室性不整脈例では突然死を来たす場合もある 768)−772).
②身体所見
疾患である.三尖弁および右室心筋形成異常のために三
高度の三尖弁閉鎖不全にもかかわらず拡大した右房の
尖弁中隔尖と後尖が右室内で下方に偏位し,偏位部位の
リザーバー効果により相殺されるため頸静脈波は正常の
73
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
がある.
ことが多い.チアノーゼを認める場合がある.
聴診所見は,全体に心音が弱く,Ⅰ音の分裂とⅠ音第
2 成分が大きく強く聞こえる(sail sound).右脚ブロッ
クのためⅡ音も広く分裂することがある.Ⅲ,Ⅳ音を聴
取し,吸気時に増強する.三尖弁閉鎖不全による汎収縮
期雑音を聴取する.
3
4
治療・管理
①内科的治療(Class Ⅰ)
Warfarin による抗凝固療法:心房細動あるいは奇異性
血栓の既往のある症例
検査所見(表 66)
カテーテルアブレーション(Class Ⅱ a):反復性の上
室性頻脈を来たす症例(Level B)
①胸部 X 線
心胸郭比は正常例から,著明に拡大している例まで多
②妊娠・出産(Class Ⅰ)
様である.肺血管陰影は減少している場合がある.大血
Ebstein 病の婦人の妊娠には成人先天性心疾患専門医
管陰影は小さく,右房拡大が著明である.
のカウンセリングが必要である(Level C).適切な管理
下で多くの症例では妊娠,出産が可能であるが,チアノ
②心電図
ーゼ合併症例では胎児死亡,低出生体重児のリスクが高
右 房 性 P 波(Himalayan P waves),PQ 時 間 延 長, 右
脚ブロック,QRS 時間延長,B 型 WPW(右側副伝導路)
が認められる.副伝導路合併例では PQ 時間は短縮する.
Ⅱ,Ⅲ,aVf,V1-4,に深い Q 波を認める.上室性頻脈,
い.児に先天性心疾患が合併する可能性は約 6%である 774).
5
手術(Class Ⅰ,Level B)
(1)以下の症例に対して三尖弁形成術あるいは三尖弁置
換術と心房中隔欠損閉鎖術を行う.
心房細動,心房粗動を認める場合がある.
有症状症例あるいは運動能低下例
●
③心エコー法
● チアノーゼ症例(酸素飽和度 90%以下)
本症の診断は経胸壁心エコー法で最も確実に行われ
● 奇異性血栓の既往
る.中隔尖,後尖は右室内心尖部方向に偏位(8mm/m
● 胸部 X 線にて進行する心拡大
以 上) して お り, 可動 性 不良 で あ る. 前 尖 は 大 きく
● 進行性の右室拡大あるいは右室収縮能低下
2
(sail-like)可動性は良好である.心室中隔の左方偏位を
認め,左室はバナナ状に変形している.右心系の拡大,
三尖弁閉鎖不全を認める.チアノーゼ合併例では卵円孔
欠損あるいは心房中隔欠損での右−左短絡を認める.左
心機能の評価,三尖弁以外の弁の評価も必要である
773)
.
④心臓カテーテル検査・MRI
左心機能の判定のために有用である.また,副伝導路
合併例では,カテーテルアブーションを目的とする場合
(2)先天性心疾患の経験のある外科医により,以下の症
例に対して不整脈手術を同時施行する.
● カテーテル治療不能な上室性頻拍,心室頻拍を有す
る症例
● カテーテル治療不能な早期興奮症候群
(3)外科的再手術が必要な症例
● 有症状症例,運動能低下例あるいは NYHA 機能分
類Ⅲ,Ⅳの症例
表 66 Ebstein 病の管理において推奨される検査
Class Ⅰ
心電図,胸部 X 線,心エコー法(Doppler 法)
(Level C)
Class Ⅱ a
安静時(運動時)Pulse oximetry(Level C)
電気生理学的検査:上室性頻脈が存在あるいは疑われる
場合.
可能であれば catheter ablation を考慮する(Level C)
追加検査
① 経食道心エコー法(Level B)
② Holter 心電図(Level B)
③ 冠動脈造影検査:外科的治療を要する症例で冠動脈
疾患を疑う症例(Level B)
74
● 術後進行性の右室拡大と右室収縮力低下に伴う高度
三尖弁閉鎖不全,あるいは上室性頻拍,心室頻拍の
出現,増悪
● 狭窄と閉鎖不全を伴う生体弁機能不全
● 平均圧較差 12 から 15mmHg 以上の生体弁狭窄
● 以上の狭窄基準以外でも有症状の症例,運動耐容能
低下例
(4)成 人 期 の 術 式 に は,Single-stitch 法 572),Carpentier
法 573),弁置換術 574),Cone reconstruction577)が選択
される.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
術後は運動耐容能が改善する.特に心房中隔欠損合
併例で顕著である.年齢,性別,心拡大の程度が術
後運動耐容能に影響する
775)
.術後患者は三尖弁機
能,人工弁機能,心房性,心室性不整脈,心室機能
について,生涯にわたる経過観察が必要である 776).
3
検査所見
①胸部X線
右胸心(20 %)が多い.胸骨左側辺縁に上行大動脈
陰影を認める.
8
修正大血管転位
1
解剖学的特徴,病態生理と小児期
修復術
②心電図
左室圧が低い場合は左軸偏位を認める.完全房室ブロ
ックは,生直後から,あるいは経年的(22 %)に認め
る 789).左側副伝導路による WPW 型心電図は,2 ~ 3 %
体静脈血は右房,左室経由で,肺動脈に駆出される.
に認める.心室逆位を反映し,V1 の QR 波形,V6 の rS
肺静脈は左房,右室を経由し大動脈に連結する.この房
波形を認める.
室管のつながりを心房心室不一致,心室大血管のつなが
りを心室大血管不一致という.血液循環は生理学的に修
正されるが,体循環は形態的右室が担う.心室中隔欠損
(60 ~ 80%),肺動脈狭窄 / 閉鎖(30 ~ 50%),三尖弁異
常(14 ~ 56%)104),777),778)の合併が多い.体心室右室機能,
三尖弁逆流が経年的に悪化し,頻拍型不整脈を伴うこと
も多い 104),778)−783).自然経過として房室ブロックを合併
することがある
780),784)
右室左室機能評価,三尖弁逆流,肺動脈圧推定を行え
る 103),790).
④ MRI
大血管心室の位置関係,心室機能評価に優れ,術前評
価に有用である 103),791).ペースメーカ装着例では,CT
.
小児期は心室中隔欠損閉鎖術,三尖弁置換術,左室肺
動脈心外導管修復術が行われる 580),785).左室圧が高い場
合は,double switch 手術(形態的左室を心室中隔欠損経
由で大動脈につなぎ,形態的右室と肺動脈の間に弁付き導
786)−788)
管を置き,同時に心房位血流転換手術も行う手術)
を行う場合がある.心房位血流転換術と同時に Jatene 手
術を行う場合もある.
2
③心エコー法
臨床所見
①症状
が有用である.
⑤心臓カテーテル検査
心室機能,房室弁逆流,肺動脈狭窄の評価やカテーテ
ルインターベンション時に行う.
4
予後
非手術歴
合併心異常を伴わない例は,60 歳代まで無症状のこ
ともあるが,多くは経年的に心不全を伴い,45 歳では
合併心異常を認めない場合は,経年的に三尖弁逆流,
25%に心不全を認める 104).中等度以上の三尖弁逆流(40
心不全,房室ブロック,不整脈を伴い,易疲労感,息切
~ 45 %)を合併する 104),777).三尖弁逆流と右心不全は
れ,動悸,失神を生じることがある 782).心室中隔欠損
30 歳代以降に見られることが多い.完全房室ブロック
兼肺動脈狭窄例は,チアノーゼを認める.
が 2% / 年で生じる 780).
②身体所見
大動脈拍動を第二肋間に触知し,Ⅱ音は増強する.心
室中隔欠損合併は汎収縮期雑音,肺動脈狭窄合併は収縮
5
治療・管理
①経過観察(表 67)
期雑音を聴取.三尖弁逆流では,汎収縮期雑音を聴取す
右室機能低下,三尖弁逆流,房室ブロックの増悪に注
る.
意する.心合併症のない場合は,6 か月に 1 回,手術後
で心合併症を伴う場合は,投薬の内容に応じて,頻回の
経過観察が推奨される.
75
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
右室機能低下を生じる.術後 10 年生存率は 55 ~ 85%で,
②内科管理
死亡原因は,再手術,突然死,右室機能不全,不整脈で
三尖弁逆流,右心不全の治療,進行予防のために,
ある 104),580),778),785),794).再手術は,10 年で約 1/3 に認め,
ACE 阻害薬,ベータ遮断薬が用いられるが,大規模研
主に導管狭窄,三尖弁置換術である.一般的に 10 ~ 20
究はない
357),354),792)
.体心室が肉柱の多い右室のため,
年ごとに導管形成術を行うことが多い.
心機能低下では,抗凝固抗血小板療法を用いることもあ
完全房室ブロックにより,突然死したり,心不全が悪
る.
化したりすることがある 778),785).頻拍型不整脈は経年的
に増加し,体心室機能低下を反映する 104).
③カテーテルアブレーション
Double switch 手術の遠隔期成績の報告は未だ少ない
上室性頻拍(WPW 症候群)の際に用いられることが
が 795)−798),術後生存率は,10 年で 90 ~ 100%,15 年で,
75 ~ 80 %,遠隔期死亡のリスク因子は三尖弁閉鎖不全
多い.
の残存とされている.多くは NYHA 機能分類Ⅰ−Ⅱで
④カテーテルインターベンション
あるが,ペースメーカ装着を含む再手術率は術後 10 年
肺動脈狭窄に対して,経皮的バルーン(ステント)形
で 10 ~ 20%程度である.
成術が行われることがある.
2)右室機能不全
6
加齢,三尖弁逆流,合併心異常,心臓手術が悪化因子
手術
とされる 785).三尖弁逆流は,右室拡大,左室圧低下,
①初回手術,再手術の適応,術式,タイミング(表68)
開心術後に増悪する.
3)感染性心内膜炎
中等度以上の三尖弁逆流は弁置換の適応となる.弁形
感染性内膜炎予防が必要な場合が多い 799).
成術は困難で,三尖弁置換術を行う.三尖弁置換術は,
4)体心室右室機能低下,三尖弁閉鎖不全
右室駆出率 43 %以下の場合は,予後が悪いとされ,非
肺 動 脈 絞 扼 術 に よ る 左 室 ト レ ー ニ ン グ 後 の double
可逆的な心筋病変を伴う右室機能低下を生じる前に行う
switch 手術 798)が考慮されるが,左室トレーニングに耐
ことが望ましい 793),794).
えられる必要がある.しかし,左室機能低下を生じるこ
心外導管修復後は,導管狭窄の進行のため,術後 10
とが多く Double switch に到達できる例は少ない.成人
~ 15 年で再手術となることが多い
.しかし,中
での成功例は今のところ報告されていない.左室圧が低
等度以上の三尖弁閉鎖不全合併例では,三尖弁置換術を
い場合は,肺動脈絞扼術を先行するが,三尖弁閉鎖不全
行わずに肺動脈狭窄を解除すると,心室中隔の左室方向
は肺動脈絞扼術後に改善する(左室圧上昇に伴う心室中
への変異が起こり,三尖弁閉鎖不全が悪化する場合があ
798),800)
隔偏位が,弁閉鎖に良好に作用する)
.
782),783)
り注意が必要である.
高度房室ブロックのため,ペースメーカ装着,交換が
行われる
9
大動脈拡張性疾患
1
解剖学的特徴と病態生理および成因
777)
.
②修復術後歴
1)修復術後長期遠隔成績
大動脈中膜の組織学的変化や大動脈拡張の要因とし
左室肺動脈心外導管吻合術後の遠隔期 QOL は良好だ
て,高血圧,妊娠,加齢,先天性異常(Marfan 症候群,
が,経年的に三尖弁逆流,房室ブロック,導管機能低下,
Turner 症候群)等が広く知られている.一方,先天性心
表 67 修正大血管転位の主要合併症と経過観察の注意点
1.右室機能不全,心不全:経年的に悪化し,危険因子は三尖弁逆流,合併心異常,心内修復術,房室ブロック,頻拍型不整脈
2.三尖弁逆流:加齢と伴に悪化.右室機能不全の結果 / 原因,心室中隔欠損閉鎖術後急速に悪化
3.房室ブロック:加齢,心室中隔欠損閉鎖,三尖弁置換術時に悪化し,ペースメーカ装着頻度上昇,非手術でも 2% / 年で増加
4.不整脈:加齢と伴に増加,心室性より上室性が多く,三尖弁逆流や心機能不全と関連
5.突然死:比較的まれ,心機能不全,血行動態異常,不整脈と関連
6.導管狭窄:術後経過と伴に出現,術後 10 年で 50%は再手術
7.僧帽弁逆流,大動脈弁逆流:高度の大動脈弁逆流はまれ
8.感染性心内膜炎:導管修復後,心室中隔欠損遺残,三尖弁逆流,Blalock-Taussig 吻合術後に注意
76
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 68 修正大血管転位の初回手術適応と再手術の適応
初回手術の適応
1.中等度以上の心室中隔欠損合併
2.肺動脈あるいは肺動脈弁下狭窄(圧差が 60mmHg 以上)
3.中等度あるいは高度三尖弁逆流
4.完全房室ブロック(症候性,進行性または高度の徐脈,
運動時心拍数増加不良,心拡大)ではペースメーカ植
込み
再手術の適応
1.左室肺動脈導管狭窄(圧差 60mmHg 以上)
2.外科的修復後の中等度あるいは高度三尖弁逆流
3.有意な心室中隔欠損遺残
4.肺動脈 / 肺動脈弁下狭窄の進行
5.ペースメーカ機能不全
表 69 大動脈拡張を伴うことの多い先天性心疾患
(Marfan 症候群は除く)
大動脈二尖弁(ロス手術後も含む)
大動脈縮窄
総動脈幹症
肺動脈狭窄 / 閉鎖に心室中隔欠損を伴うチアノーゼ型先天性
心疾患
Fallot 四徴
両大血管右室起始
完全大血管転位
単心室
Fontan 手術後
左心低形成症候群
疾患は,大動脈が,その疾患固有の血行動態の異常から
張例の 50.9 %に fibrillin-1 の exonic DNA variants を認め
は説明できない程度に拡張し,時に,瘤,解離,破裂を
たとの報告があり,Marfan 症候群と同様に Fallot 四徴の
生じたり,高度の大動脈逆流を合併したりすることがあ
大動脈拡張と fibrillin-1 との関連が示唆されている 816).
る 169).
これらの疾患では,大動脈壁に中膜嚢胞性壊死所見とと
Marfan 症候群は染色体 15q21.2 の異常によるフィブリ
もに,血管弾性の低下と血管硬度の上昇を認める.この
リン欠損を伴い,弾性線維の断裂,消失を特徴とするい
所見は,大動脈弁閉鎖不全を増悪させると同時に体心室
わゆる大動脈中膜嚢胞状壊死(cystic medial necrosis)
収縮機能,拡張機能,冠動脈潅流を悪化させる.これら
を内在し,大動脈瘤,大動脈解離を高頻度に認める.大
の疾患群は,大動脈拡張という形態的な特徴だけではな
動脈二尖弁も,大動脈瘤,大動脈解離を合併することが
く心機能異常を伴う新たな疾患群,Aortopathy としてと
少なくなく
801),802)
,組織学的には Marfan 症候群と同様
の大動脈壁所見を認める
803)
.大動脈縮窄も,同様の心
らえられるようになった.この拡張性病変は,単に狭窄
後拡張(post-stenotic dilatation)という血行動態異常に
血 管 系 合 併 症 を 生 じ る こ と が あ る 804).Fallot 四 徴,
基づく疾患群ではなく,内在する大動脈壁異常 802),803)に
Fontan 術後等肺動脈狭窄あるいは閉鎖を伴う先天性心
基づくものである.
疾患,総動脈幹症,完全大血管転位,左心低形成症候群
等のチアノーゼ型先天性心疾患も,経年的に大動脈が拡
)
張し 169),805)−809(表
69)
,大動脈解離を起こすことがあ
る 810),811).Fallot 四徴では,多くの例で,胎生期から大
2
臨床所見
①症状
動脈拡張が認められ,大動脈壁異常を認める.しかし,
各疾患に付随した所見を認める.大動脈拡張自体は無
これら先天性心疾患に認められる大動脈拡張は,Marfan
症状だが,解離を伴うと多くは,突然の胸痛,背部痛を
症候群と比べ,大動脈解離,大動脈瘤の頻度がはるかに
主訴とする.
低く,大動脈壁変化は,より軽度である
169),812)
.肺動脈
狭窄,閉鎖を伴うチアノーゼ型先天性心疾患は,修復術
以前は,肺動脈血流量に比べ,大動脈血流量が多い.大
動脈肺動脈吻合術後は,上行大動脈血流量は,さらに増
加する.この血行動態的特徴と動脈硬度 / 弾力性の異常
も,大動脈拡張の成因の 1 つである 335),336),812),813).Fallot
四徴で,肺動脈狭窄の程度が強いほど,大動脈拡張の程
度も強い.進行性大動脈拡張の危険因子として,Fallot
四徴では,男性,右大動脈弓,高度肺動脈狭窄(肺動脈
弁閉鎖),修復時高度チアノーゼ,修復時高年齢,大動
脈肺動脈吻合術の既往,長期吻合術後期間,修復時大動
脈高度拡張が挙げられる
805),812),814),815)
が,これらの危険
②身体所見
拡張期雑音と心尖部に収縮期駆出音を聴取する.
3
検査所見
①胸部 X 線
上行大動脈拡張.心陰影は,背景疾患に依存する.
②心電図
特徴的所見はなく,背景疾患に依存する.高度大動脈
弁逆流では,左室拡大,肥大所見.
因子の多くは長期間の体血流量増加,すなわち,大動脈
の容量負荷と関連がある.また,Fallot 四徴の大動脈拡
77
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
う場合もある.今後,経皮的大動脈ステント治療が行わ
③心エコー法
れる可能性がある.
大動脈弁逆流,左室機能の評価に有用だが,大動脈の
左 心 低 形 成 症 候 群, 完 全 大 血 管 転 位 Jatene 術 後,
描出は難しい場合も多い.
Fontan 術後も,大動脈弁逆流,大動脈拡張が多く認めら
れている 806),808),809),821),826).これらのチアノーゼ型先天
④ MRI・CT
性心疾患も,加齢とともに,大動脈拡張,大動脈弁逆流
大動脈形態,拡張,瘤の評価には,MRI,CT が有用
が増悪する可能性があり,大動脈径,大動脈弁の持続的
であり,経時的な画像での経過観察が推奨される.
な経過観察が推奨される.
大動脈二尖弁での手術成績は解離を起こしている場合
予後
4
以外は良好だが,弁劣化による再弁置換術を必要とする.
背景疾患の修復術後でも経年的に大動脈拡張,瘤形成,
Warfarin の服用を必要とすることが多く,定期的な経過
大動脈解離を生じることがある.また,大動脈弁逆流も,
観察を必要とする.マルファン症候群,大動脈二尖弁を
徐々に進行する.
除くと手術例は非常に少なく,手術成績,予後等は明ら
かではない.
治療・管理
5
無投薬の場合も,1 年に 1 回程度の経過観察が推奨さ
チアノーゼ型先天性心疾患
れる.
Marfan 症候群では,大動脈の拡張予防に,β遮断薬
一般的なチアノーゼ型心疾患の自然経過による合併症は総論の
が使用され,一定の拡張抑止効果があるとされてい
項を参照
る 817),818).先天性心疾患も,Marfan 症候群と同様の大
動脈壁異常を認めるため,β遮断薬が予防に有効と推測
10 Fallot 四徴
されるが,その有効性は明らかではない.また,TGF
(transformikng growth factor)- βの拮抗薬であるアンジ
オテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB; ロサルタン)が,動
物実験で Marfan 症候群の大動脈拡張病変の修復効果を
認めると報告
819),820)
された.このため,現在行われてい
821)
解剖学的特徴と病態生理
肺動脈狭窄(漏斗部狭窄),心室中隔欠損,50%未満
の大動脈騎乗,右室肥大を四徴とする.重症度,形態異
で
常は幅広く,いわゆる極型とよばれる肺動脈閉鎖まで含
有効性が認められれば,ARB が今後使用される可能性
まれる.肺動脈弁下あるいは漏斗部狭窄に,通常併せて
がある.
肺動脈弁から肺動脈まで狭窄がみられる.肺動脈弁はし
るベータ遮断薬アテノロールとの大規模比較試験
ばしば狭小で,肺動脈の低形成や,時に左側の肺動脈閉
手術
6
鎖も見られる.心室中隔欠損は,多くの症例では傍膜様
マルファン症候群では,大動脈径が 50mm 以上(自己
部の欠損であり 827),流出路部中隔は前方に偏位して欠
大動脈温存手術がやりやすいため,40mm 以上の拡張を
損孔は大動脈下に位置する 828).また,時に漏斗部の心
適応とする施設もある)あるいは継続的拡張が認められ
室中隔欠損(conal septal defect)の場合もある.心房中
る場合が手術適応とされる.人工弁と人工血管を組み合
隔欠損や心内膜床欠損(房室中隔欠損)を伴うことがあ
わせた Composite graft を用いる Bentall 手術,あるいは
り,ダウン症でよく見られる.また,弁輪拡大や再手術
自己弁温存大動脈基部置換術(David 法,Yacoub 法)を
の際に,注意が必要な冠動脈起始異常もまれに合併(2
.小児期に施行したロス手術後(多くは
~ 9%)する 829).特に,左前下行枝が右冠動脈より,逆
大動脈二尖弁)は,術後,大動脈径の増大,大動脈弁逆
に右冠動脈が左前下行枝より起始して,右室流出路前面
流の出現 / 悪化を認めるため,長期間の経過観察が必要
を走行していることがある.
行う
4),5),822),823)
である
824),825)
.チアノーゼ型先天性心疾患修復術後の大
動脈拡張に対する大動脈形成手術の施行基準はないが,
78
1
2
自然歴
大動脈径が 55mm を超えた拡張が認められる場合に,大
1 年生存率 64 %,10 年生存率 23 %で,長期生存を望
動脈置換術形成術が推奨される 4),5).また,大動脈弁置
めない 830).軽度の肺動脈狭窄を伴う,いわゆるピンク
換術は比較的多く行れるが,肺動脈弁置換術と同時に行
Fallot が,心室中隔欠損として見過ごされていた例や体
成人先天性心疾患診療ガイドライン
肺動脈側副血行が発達しており,チアノーゼの発現が緩
徐で,診断が遅れた例もある.大動脈拡張を生じること
も少なくない.
3
修復術および術後の臨床像
心内修復術は,右室切開か経右房アプローチによる心
室中隔欠損のパッチ閉鎖と右室漏斗部から末梢肺動脈に
かけての右室流出路の狭窄解除である.右室筋束や狭窄
した漏斗部の切除の他,狭い肺動脈弁輪や主肺動脈から
肺門部までの狭窄部位のパッチ拡大が必要な場合があ
る.近年,経肺動脈・経三尖弁アプローチへの移行,
新生児・乳児早期手術等手術時年齢の低下が進んでい
る
831),832)
.一方で,肺動脈弁輪温存率の低下等,遠隔期
の問題も多い.著しい弁輪狭小例(弁輪径が Z value − 3
~− 4 以下)は,一弁付 transannular patch を用いる施設
が多い 833).遠隔期に,肺動脈弁逆流や狭窄が顕在化す
る 834).異種心膜弁は石灰化し,狭窄を起こす.弁の素
材の ePTFE835),836)は,短期成績も良好である 837),838).自
己肺動脈弁を温存するため,右室流出路パッチ(肺動脈
パッチと分かれた separate patch)を用いるか 839),840),弁
輪切開を数 mm の範囲に限定して漏斗部機能を温存する
方法 841)も報告されている.流出路に冠動脈が走行する
例では,ほとんどの場合,心外導管を必要としない 833),842)
が,再手術では選択枝の 1 つとなる.
術後の血行動態異常は,手術時年齢,心筋保護法,術
式の影響をうけ,運動能低下や上室性,心室性不整脈の
合併に繋がる.術後の最も一般的な問題は肺動脈弁閉鎖
不全であり,不整脈や心拡大のある症例は,血行動態の
再評価が重要である.このため,十分な専門知識を持
表 70 Fallot 四徴術後の問題点
(ACC/AHA ガイドラインより抜粋)
1.肺動脈弁閉鎖不全
2.肺動脈弁閉鎖不全や三尖弁閉鎖不全による右室拡大と機
能不全
3.遺残右室流出路狭窄
4.肺動脈狭窄(分岐部狭窄および末梢肺動脈低形成)
5.不整脈
1)持続型単形性心室頻拍 2)房室ブロック,心房粗動,
細動
6.突然死
7.遺残短絡 心室中隔欠損や心房中隔欠損,卵円孔開存(チ
アノーゼ,血栓塞栓)
8.進行性の大動脈弁閉鎖不全
表 71 Fallot 四徴術後外来診察の要点(
「先天性心疾患術後
遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン」より)
1.十分な専門知識を持つ循環器専門医による定期的な外来
診療
2.心エコーは毎年,MRI は 2 ~ 3 年ごと,CT は随時(MRI 禁
忌例)
3.心電図は毎年,ホルター心電図は 1 ~ 2 年ごと
4.運動機能検査(心肺運動負荷)運動耐容能の評価や運動
誘発性の不整脈の検出
表 72 Fallot 四徴術後患者の問題点と pitfall
(ACC/AHA ガイドラインより改変)
1.胸部 X 線上の心拡大は,早急な血行動態の評価が必要であ
る.多くは,肺動脈弁閉鎖不全を伴っている
2.上室性,心室性不整脈の出現も,早急な血行動態の評価
が必要であり,肺動脈弁閉鎖不全を伴うことが多い
3.チアノーゼが存在すれば,卵円孔や心房中隔欠損の有無
を確認する
4.右室拡大や機能不全,三尖弁閉鎖不全が見られる場合は,
遺残病変,特に肺動脈弁閉鎖不全の検索を早急に行う
5.左室機能不全の原因は,修復術時の不十分な心筋保護,
手術時の冠動脈損傷,大動脈弁閉鎖不全による左心負荷,
加齢にともなう高血圧・冠動脈疾患に加え,高度の右室
機能不全から二次的に起こる場合もある
つ循環器内科医による定期的な外来診療が必要であ
)
る 628),677),843)−845(表
70)
.
4
検査所見(表 71,72)
② MRI(magnetic resonance imaging)
右 室 容 積 お よ び 収 縮 能 判 定 の 標 準 検 査 法 で あ り,
regurgitation fraction による肺動脈弁閉鎖不全の重症度
①心エコー法
判定や大動脈,肺動脈の形態異常も評価できる 850)−852).
遺残右室流出路狭窄や肺動脈弁閉鎖不全の重症度,三
右室容積,右室機能評価,各弁の逆流量評価,肺動脈分
尖弁閉鎖不全合併の有無を判定する.右室圧の推定,遺
岐部・分枝狭窄や大動脈径測定(瘤,解離の評価を含む)
残心室中隔欠損,心房中隔欠損の有無を確認する.右室
にも有用である.左心系の評価も可能である 853)−855).
容量や肺動脈弁逆流量の計測や右室壁運動の解析は,信
また, 心 筋線 維 化の評 価も 可能とさ れる. 運動負荷
頼性に乏しい
846)−848)
. 右 室 の myocardial performance
index(Tei index)は,収縮力の重症度評価に用いられ
ることがある 849).心房の大きさ,大動脈基部の拡大や
大動脈弁閉鎖不全も定期的に評価する.
MRI856)や 3D MRI857)の有用性も報告されている.現在,
最も信頼性のある検査法である.
③ CT
末梢肺動脈の描出が可能で,狭窄や低形成の程度を評
価できる 858)−860).ペースメーカや ICD 移植後で MRI が
79
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
行えない症例でも,右室容積,収縮力の評価が可能であ
が導入 869),872)され,成果を挙げている.ステントも有効
る.造影剤による充盈が不十分で,右室容積の計測がで
で,中枢に近い分岐部や主肺動脈への留置はよく行われ
きない例もある
861)
る.特に術後早期の狭窄(内膜フラップ,屈曲等)に対
.
するステントは効果的である.中・長期成績も報告さ
④運動負荷試験
れ 873),874),ステント再拡張は挿入後,最長 10 年でも有
運動耐容能,労作性不整脈の発現の有無の評価に役立
効とされる 875),876).バルーンとステントを組み合わせた
つ 862)−864).呼気ガス分析の併用が望ましい 865).最大運
手技は,成人例の末梢肺動脈狭窄に対しても行われ 877),878),
動機能の評価,酸素摂取量,心拍数,酸素脈,二酸化炭
外科的解除が困難な末梢肺動脈狭窄に対して,有効性が
素 排 泄 量, 分 時 換 気 量, 換 気 当 量 を 測 定,anaerobic
高い.
threshold 時,respiratory compensation 時,peak 前後での
遺残心室中隔欠損(筋性欠損も含む)に対するカテー
運動の安全性の評価も有用である
865)
.バルーン形成術
の効果判定にも用いられる 866).
テル閉鎖は,手術に代わる方法として有用である 879)−881)
(我が国未認可).チアノーゼ例では,卵円孔や心房中隔
運動負荷試験についての詳細は,「心疾患患者の学校,
欠損の閉鎖が行われる.経カテーテル肺動脈弁置換術(生
職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドラ
)
体弁)は,有望な方法である 468),469),882)−886(我が国未認
867)
イン(2008 年改訂版)」
を参照.
可).手術と同時に経皮的ステント術を実施するハイブ
⑤心臓カテーテル検査による診断および治療(表73)
1)心臓カテーテル診断
リッド治療も可能となった 887)−889).
5
成人期のFallot四徴に対する外科治療
再手術の可能性のある場合は,肺動脈形態や冠動脈走
心内修復術後の長期予後は良好で,生存率は,20 年
行を確認のために必要である.肺血流量,血管抵抗の測
85 % 890),36 年生存率 85 % 891)との報告もある.術後 10
定,右室流出路狭窄,肺動脈狭窄,僧帽弁閉鎖不全,大
年以降に,再手術の必要性が増加する.病態や解剖を熟
動脈弁閉鎖不全の重症度判定,心機能,遺残心室中隔欠
知した,先天性心疾患の治療経験のあるチームが担当す
損の有無,短絡量の評価,さらに肺動脈弁閉鎖不全,三
ることが望ましい.進行性か症状を伴う高度の右室拡大
尖弁閉鎖不全と右室機能不全の評価を行う.体・肺動脈
や右室機能低下を伴った肺動脈弁閉鎖不全,狭窄が外科
短絡のみの症例では,心内修復の適応の有無を判断する.
的治療の適応となる.主要な冠動脈の閉塞,損傷を避け
冠動脈の走行異常も診断する.肺動脈形態(短絡吻合部
るため,再手術前に冠動脈走行(特に左前下行枝や右冠
の屈曲,狭窄,低形成),肺高血圧も評価する.
動脈が右室流出路を横走する型)を把握しておく.大動
2)カテーテル治療
脈弁閉鎖不全の進行も手術適応となる(表 74).
術後のカテーテル治療は,外科治療の適応を含め,外
非手術または,姑息術のみの例も,適応があれば,心
科チームとよく協議する.体肺動脈側副血行(異常血管
内修復が行われる.長時間持続する低酸素血症と二次的
および短絡)の閉鎖や冠動脈病変に対するカテーテル治
赤血球増多症による臓器障害が問題となる.高尿酸血症,
療が行われる.末梢肺動脈狭窄に対するバルーン形成術
感染性心内膜炎,血栓,塞栓,喀血,中枢神経合併症,
により血流量の増加,血管床の発育,血管抵抗の減少が
腎機能低下等の合併症に対する対症療法が必要である868).
期待できる 868)−871).バルーン形成術の適応は明確では
ないが,右室圧が体血圧の 50 %を超えた場合,右室機
①肺動脈弁置換
能低下例や左右肺血流の不均衡(75 %対 25 %を超えた
従来の生体弁に加え,Carpentier-Edwards ウシ心膜弁
場合)では適応となる.高圧バルーンや cutting balloon
(CEP)892)−894)や,ブタ大動脈弁尖(Mosaic 生体弁)他,
様々な生体弁が開発され,生体弁の耐久性は向上してい
る.肺動脈弁位での使用では,同種弁(homograft)よ
表73 Fallot四徴心内修復後のカテーテル診断,治療の目的,適応
1.肺血流量,血管抵抗の測定,側副血行,肺動脈形態の把握
2.肺動脈弁閉鎖不全と右室機能不全の評価
3.右室流出路狭窄,肺動脈狭窄の評価
4.冠動脈走行異常の診断
5.僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全の重症度,心機能,
遺残心室中隔欠損の有無,短絡量の評価
6.卵円孔,心房中隔欠損の閉鎖
80
りブタ弁,CEP 弁が耐久性に優れている 895).
生体弁置換は,抗凝固療法が不要で,機械弁より遠隔
成績が良好である 857).しかし機械弁でも抗凝固療法を
確実に行えばその再手術率は同種弁より良好とする報告
もある 896).CEP 弁や stentless 生体弁 897)を用いることが
多い.肺動脈弁置換術後は,症状の改善,右室拡張末期
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 74 Fallot 四徴成人期の外科治療
1. 肺動脈弁置換術;肺動脈弁閉鎖不全または弁狭窄に対して,異種(馬心膜またはブタ弁)または同種生体弁を用いるが,石灰化,
狭窄の危険性がある.機械弁はパンヌス形成の危険性があり,抗凝固療法が必要である.流出路パッチが必要なことが多い
2. 漏斗部異常筋束切除術;主肺動脈または肺動脈分岐部狭窄部の拡大術は,しばしば,肺動脈弁置換と同時に行われる
3. 遺残または再開通する心室中隔欠損の直接またはパッチ閉鎖術
4. 大動脈弁閉鎖不全に対する生体または機械弁置換術
5. 上行大動脈または基部拡大に対する上行大動脈人工血管置換または Bentall 手術
6. 右室流出路の瘤状拡大,偽性心室瘤に対する瘤切除およびパッチ再縫合術
7. 上室性不整脈に対する Maze または変法
8. 心室性不整脈(心室頻拍,心室細動)に対する外科的アブレーション,ICD 装着
9. 三尖弁閉鎖不全に対する弁形成(弁輪縫縮)または弁置換術
10.卵円孔または心房中隔欠損閉鎖術
11.感染性心内膜炎を生じた心室中隔閉鎖パッチ,右室流出路パッチ,心外導管部に対する修復,導管置換術
容積や収縮末期容積の減少 851),898)−901),さらに運動耐容
病変があれば手術を考慮する.(1)進行性の右室拡大や
等が期
右室機能低下を伴う場合,(2)肺体血流比 1.5 以上の心
待される.しかし,右室拡大が著明で,右室拡張末期容
室中隔欠損を伴う場合,
(3)有症状で,高度の大動脈閉
積係数 170mL/m ,収縮末期容積係数 85mL/m を超える
鎖不全を伴う場合,
(4)いくつかの遺残病変を伴い,右
症例では,術後の右室容量は正常域に戻らないとの報告
室拡大や右室機能低下を伴う場合である.
能の改善
46),900),901)
,心室頻拍発生頻度の減少
2
901)
2
がある 860).
④末梢肺動脈形成術
②肺動脈弁置換の適応(表 75)
この病変のみ単独で手術を行うことはまれであるが,
有症状で,運動耐容能が低下した高度の肺動脈弁閉鎖
術前,術中のステント挿入,パッチ形成等,循環器内科
不全が適応となるが,自覚症状がなくとも,中~高度の
医(カテーテル治療医)と外科医との協調作業が望まし
右室機能低下,中~高度の右室拡大,有症状または,持
い.
続性の上室心室性不整脈の出現,中~高度の三尖弁閉鎖
不全も手術適応である(ACC/AHA ガイドライン).右
室駆出率が低下した症例では,術後の右室駆出率も改善
しないため 902),症状が出現した場合や右室駆出率が低
下し始めた段階で,弁置換を検討する.右室拡張末期容
積係数 170mL/m2,右室収縮末期容積係数 85mL/m2 を超
えないうちに肺動脈弁置換を行うことを推奨する施設も
ある
902)
.ボストン小児病院の手術適応を表75に示す
903)
.
③右室流出路狭窄に対する再手術の適応
同時収縮期圧較差が 50mmHg 以上か右室 / 左室収縮期
圧比 0.7 以上が適応であるが,これ以下でも,次の合併
表 75 Fallot 四徴のボストン小児病院における再手術適応
中等度から重症の肺動脈弁閉鎖不全,すなわち MRI による
regurgitation fraction > 25%に,以下の条件が 1 つ以上加わ
った場合
1.右室拡張末期容積係数≧ 160mL/m2
2.右室収縮末期容積係数≧ 70mL/m2
3.左室拡張末期容積係数≦ 65mL/m2
4.右室駆出率≦ 45%
5.右室流出路の瘤状拡大,偽性心室瘤
6.有意な臨床症状 : 労作時倦怠感,心不全および治療薬内服,
失神,持続性心室頻拍
7.他の遺残病変を合併する場合:中等度以上の三尖弁閉鎖
不全,心室中隔欠損,高度大動脈弁閉鎖不全等
6
不整脈の診断・治療
①不整脈や突然死に対する管理のポイント
(1)ペースメーカや除細動器植込み患者に対して,心機
能の評価,運動負荷試験を行う.
(2)定期的に,
ホルター心電図を行うことが望ましいが,
頻度は,各々の血行動態や臨床症状によって決定す
る.
(3)不整脈診断において,電気生理学的検査は有用であ
る.
②突然死
良好な血行動態であるにもかかわらず,長期遠隔期に,
突然死が起こることがある 63).原因として,心室頻拍が
最も多く,上室性頻拍(心房粗動)や房室ブロックも一
因となる.発生頻度は,10 年で 2.5%,25 年以上の経過
で 3 ~ 6 %にみられる 63),904),905).日本の多施設研究で,
1972 年の手術生存例 122 人の術後 19.0 年の経過観察で,
突然死は 2 人であった 173).
術直後 3 日間以上持続する完全房室ブロックを突然死
の危険因子とする報告がある 906).多くの研究では,心
室頻拍を突然死の主因と考えている.多施設研究で,登
81
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
録時の幅広い QRS 間隔と手術時年齢が心臓突然死の危
として ICD 植込みの報告が増えている 923)−929).一次的
険因子とされ 907),908)さらに経時的な QRS 幅の増加も突
または二次的な予防のための ICD が植え込まれた Fallot
然死に関係している.QRS 時間延長と JT dispersion の増
四徴では,適切で,効果的な除細動が高い確率で行われ
加を突然死の予測因子とする報告もある 909).QRS 時間
る一方,不適切な除細動や植込みリードによる合併症,
,QRS 時間の臨床
不適切作動がよくみられる 407),916).また,不整脈治療を
的意義は大きい.我が国の術後不整脈に関する多施設共
併用した再手術後の心室頻拍の発生率は著明に低下する
同研究では,512 人を対象として,平均 11.7 年の経過観
ため,この疾患に関する ICD の適応は,未だ明らかで
察で,不整脈死は 1 人,VT は,8 人と欧米に比べて良好
はない 411).
は右室の大きさや機能を反映し
359),910)
な成績であり,心室頻拍の危険因子として,120ms 以上
の QRS 幅,術後経過期間が有意であった 911).術式では,
心内修復時の経心室アプローチに比して,経心房アプロ
ーチが,致死性不整脈や右室機能不全を減少させるとの
報告もある
40),912),913)
運動制限,スポーツ,社会復帰:
就学・就業の許可・指導
運動許容判定のため,心機能評価,安静時および運動
.心内修復術後の突然死の危険因子
負荷時心電図,ホルター心電図による不整脈の検討を行
をまとめると,(1)心内修復時の高年齢,(2)高度の右
う.症状の有無,運動時の失神の既往,手術前の心機能
室流出路狭窄,(3)中等度から重症の肺動脈弁閉鎖不全
や心肥大の程度,不整脈の有無,手術時期と回数,修復
や狭窄による右室機能低下,(4)ホルター心電図や EPS
方法(心室切開の有無や用いた材料),術後の心不全や
で誘発される心室性頻拍の既往,
(5)左室機能低下,
(6)
不整脈の既往,術後経過年数等の病歴を調べる.運動
QRS 幅≧ 180ms が挙げられる
負荷試験は,ACC/AHA の運動負荷試験ガイドライン
46)
,
906)
,
908)
,
914)
−917)
.日本循環
器学会の「心臓突然死の予知と予防法のガイドライン」
等 930),931),「心疾患患者の学校,職域,スポーツにおけ
も参照.
る運動許容条件に関するガイドライン」867),を参照.
918)
③電気生理学検査(EPS; electrophysiologic study)
心機能の傷害因子の評価と運動耐容能検査の結果から
多角的に判断して,スポーツの許可と指導を行う.運動
動悸,めまい,失神等の徴候は,重篤な不整脈を伴っ
許容条件の決定には,患者本人だけではなく,家族,学
ている可能性があり,電気生理学検査を含めた心臓カテ
校関係者,同好会・クラブの友人・コーチも加え,患者
ーテル検査や,血行動態の早急な評価が必要である 917).
が行う意義と必要性,運動に伴う危険性について検討す
電気生理学検査の目的は心室頻拍の診断,機序の同定,
る.また,体調管理や運動環境,ウォームアップやクー
マッピング,治療効果の判定等である.プログラム刺激
ルダウン等の指導も徹底する.継続的なスポーツを希望
による心室頻拍の誘発は,心臓死のよい指標となる.血
する場合には,経年的評価が必要である.就学・就業施
行動態の安定した,マッピング可能な単形性持続性の心
行時の体調,環境,ストレスも考慮した評価が必要である.
室頻拍は,カテーテルアブレーションを考慮する.心房
粗動に対しては,診断,発生機序の解明,リエントリー
8
妊娠・出産
回路に対するアブレーション,高頻度心房ペーシングを
「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガ
目的とした検査が,心房細動に対してはカテーテルアブ
イドライン(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010
レーションが行われる.あるいは,肺動脈弁置換や心室
niwa.h.pdf)」および「先天性心疾患術後遠隔期の管理・
中隔欠損閉鎖等と同時に,術中のマッピング・アブレー
侵 襲 的 治 療 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン(http://www.j-circ.
ションが行われる 919).
or.jp/guideline/pdf/JCS2007_echigo_h.pdf)」を参照.
未治療の患者では,修復術後の妊娠をすすめる.重篤
④ ICD(植込み型除細動器)
な遺残病変がなく,良好な心機能を維持している術後患
抗不整脈薬治療は EPS で誘発阻止作用を示す抗不整
者は,妊娠,出産の経過は良好である 932)−935).妊娠の
脈薬を選択するか 920),921),心室期外収縮や非持続性心室
危険因子は,NYHA 機能分類Ⅱ以上,遺残心室中隔欠損,
922)
.外科的あ
中等度以上の肺動脈弁狭窄 / 閉鎖不全,大動脈拡張 / 閉
るいはカテーテルアブレーションにより一時的な成功が
鎖不全(径 40mm 以上),右心機能不全(心胸郭比 60%
頻拍の抑制を目的とした薬剤を選択する
82
7
得られても,致死的な不整脈のある患者では,その効果
以上),左室機能不全(駆出率 40 %以下),頻拍型不整
は不確実で,除細動器に及ばない 918).失神,症状を伴
脈の既往であり,心不全,頻拍型不整脈を伴うことがあ
った心室頻拍,救命された突然死ニアミスでは二次予防
る 12),933)−936).高度右室流出路狭窄,高度肺動脈弁閉鎖
成人先天性心疾患診療ガイドライン
不全,右室機能不全を伴う場合は,妊娠前に手術治療を
行うことがすすめられる 937).胎児は一般と比べると,
流産率が高く,先天性心疾患の合併率が高い 938).22q 欠
失症候群では,50 %に遺伝するため,遺伝内科への相
談をすすめる 13).
9
者群は,将来,肺高血圧が増悪する危険性がある 946).
2
臨床所見
①症状
多くの患者では,心拍数は遅く,洞結節機能不全の合
感染性心内膜炎の予防
併を考慮しておく.チアノーゼがある場合,狭窄を伴う
「先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関す
バッフル漏れによる右−左短絡を疑う.バッフル閉塞で
るガイドライン」11),
「感染性心内膜炎の予防と治療に関
は顔面紅潮や上大静脈症候群の症状をみる.動悸,階段
するガイドライン(2008 年改訂版)」 を参照.
を昇る時等の易疲労感も多い.突然死も生じることもあ
術後遠隔期の感染性心内膜炎発生頻度は,約 1%とさ
る.
939)
れ,観血的歯科処置では,感染性心内膜の予防処置を行
うことが推奨される 120).
三尖弁閉鎖不全があれば心尖部で汎収縮期雑音が聞か
11 完全大血管転位 心房位血流転
換術後
1
れる.心室中隔欠損遺残,肺動脈弁下狭窄があるとやや
粗い収縮期雑音を聴取する.
3
解剖学的特徴と病態生理
完全大血管転位(TGA; transposition of great arteries)
の 心 房 位 血 流 転 換 術(ASO; atrial switch operation,
Seninng 手術
940)
,Mustard 手術
②身体所見
941)
)後の血行動態を特徴
づける要素は,心房内バッフルによる血流血流転換,体
循環を担う右室(systemic ventricle)の 2 つである.こ
検査所見
①胸部 X 線
心室の大きさと肺血管陰影は,三尖弁閉鎖不全や右室
機能心不全に左右される.
②心電図
れらが誘因となって,バッフル狭窄により上大動脈症候
右軸偏位と右室肥大をみる.徐脈や完全房室ブロック
群と下大静脈流入阻害によるうっ血肝 / 肝硬変,バッフ
もみられる.洞結節機能不全を疑う場合,運動負荷検査
ル漏れ,肺動脈弁(弁下部)狭窄,右室不全,三尖弁閉
を行う.
鎖不全,肺高血圧,不整脈が起こる.下大静脈より上大
静脈の狭窄が多い.バッフル漏れは約 25 %に発生し,
③心エコー法
頻脈発生時や心内膜ペースメーカ挿入では奇異性塞栓の
948)
,
949)
経胸壁心エコー法は重要である
(Class 1,Level B)
.
誘因となる 942).
また,大動脈,大静脈,心機能の評価のため,必要なら
肺動脈弁(弁下部)狭窄は,拡大した右室による左室
4)
経食道心エコー法,CT,MRI を行う(Class 1,Level B)
.
の圧排や捻れによって起こる.肺静脈狭窄が発症するこ
コントラスト心エコー法は,バッフルの漏れ,狭窄,バ
4)
ともある .軽度から中等度の三尖弁閉鎖不全は一般的
ッフルの解剖を評価する時に有用である(Class Ⅱ a,
943)
−945)
Level B).検査項目として,心室サイズ,駆出率,房室
三尖弁閉鎖不全は,心室中隔が左室側へ右室側から圧排
弁逆流ジェットの dP/dt , E/E ’
, Tei index も有用であ
に見られ,悪化する傾向にあり,右室不全と併存する
.
.
る 103),950).経食道心エコー法ではバッフル機能(漏れや
洞結節機能不全や心房粗動も術後長期に問題となる.
狭窄)の評価,心房の解剖の把握,心房内血栓診断が可
洞結節機能不全の原因は,手術による洞結節や心房内伝
)
能である 4),951(
Class Ⅱ a,Level B).
されて三尖弁中隔尖を引っ張る形になるため起こる
946)
導組織への血流障害,切開後瘢痕による洞結節の線維化
とされる.術後 26 ~ 31 年で 35%の患者が心房粗動を経
④心臓カテーテル検査
験する 67).心室性不整脈はまれである.
合併症の診断に有用である(Class Ⅱ a).特に,
(1)
肺高血圧の頻度は約 7%とされる
血行動態(Level C),
(2)バッフル漏れ(Level B),
(3)
947)
.三尖弁閉鎖不全
の悪化が肺高血圧を起こすことがあるが,多くは原因不
バッフルによる上大静脈狭窄(Level B),(4)肺静脈狭
明である.Mustard 手術後早期に肺高血圧が見られる患
窄(Level B)の評価,
(5)心筋虚血が疑われる場合や(6)
83
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
説明のつかない右室機能不全がある場合(Level B),
(7)
有意な左室流出路狭窄がある場合(左室圧が体血圧の
50%以上,右室機能不全がある場合はそれ以下)(Level
C),(8)肺高血圧の評価(Level C)に有用である 4).
4
予後
心房位血流転換術全体の 25 ~ 30 年生存率は,65 ~ 80
%である.Ⅰ型では約 80%,Ⅲ型で 45%,Mustard 術後
20 年のⅠ型は約 80%で,Ⅱ型では約 50%であった 952)−954).
表 76 完全大血管転位 心房位血流転換術後外科手術の適応
1.有意な右室機能不全のない中等度から重度の三尖弁閉鎖
不全(Level B)4),958)
2.肺体血流比が 1.5 以上のバッフル漏れ
3.安静時または運動時に低酸素状態に陥り症状または進行
性心室拡大を呈しカテーテル治療で軽快しない時(Level B)
4.カテーテル治療で軽快しない上大静脈または下大静脈閉
塞
5.肺静脈還流ルート閉塞(Level B)
6.症状のある重度な肺動脈弁下狭窄(Level B)4)
7.その障害の原因が弁自体の場合であって,右室拡大によ
る二次性でない重症三尖弁閉鎖不全
Senning 手術と Mustard 手術で統計学的な有意差はな
い 954).術後 10 ~ 20 年後の NYHA 機能分類は,Ⅰ度が
重症三尖弁閉鎖不全に対する術式は,弁置換術,肺動
約 80%,Ⅱ度が約 15%と概ね良好である 948),949).
脈絞扼術,心臓移植が考えられる.特に右室駆出率が
術後 20 年で,40 %のみが洞性調律で,11 %にペース
44%以下の場合は術後の予後は不良である 4).
メーカ植込みがされている
.心房粗動は 14%に起こ
950)
るとされ,突然死の原因ともなる
955)
.術後長期の突然
死は,不整脈,心不全が原因とされる 951).
5
心不全症状患者で心臓再同期療法(CRT)が有効との
報告があるが 961).ランダム化試験はなく,評価は定ま
っていない.
International Heart Transplant Registry か ら の 報 告 で
治療・管理
は,先天性心疾患患者の心臓移植後 1 年以内の死亡率は,
受診時は,不整脈,心機能の検査を行う.心肺機能試
非虚血性心筋症に比して 2.27 倍高いため,この点も留
験は,可能なら行う 4).
意する 594).
洞結節機能不全にはペースメーカ植込術を行う.20
%以上の患者で行われており,その頻度は術後年数が長
くなるにつれて高い
67)
.
12 完全大血管転位 動脈位血流転
換術後
特に心房粗動は右室機能障害を悪化させるため,洞調
律の回復を図る.しかし,抗不整脈薬による治療は心ブ
完全大血管転位に対する根治手術は,大血管レベルで
ロックを誘発させるため慎重に行う.
血流転換を行う動脈位血流転換術(ASO; arterial switch
心不全の薬剤治療の効果は,検討患者数が少なく未だ
operation,Jatene 手術)が現在の標準術式となっている.
確立していない.ロサルタンを 21 人の心房位血流転換
動脈位血流転換術の術後早期死亡率は 1.8 ~ 15%で,長
術後に服用させた研究では,右室機能の改善はみられて
期生存率は 10 ~ 15 年で 86 ~ 94%と比較的良好であるが,
.エナラプリルも同様に有意な効果はみられ
遠隔死亡の多くは術後早期 1 年以内にみられる.死亡原
ていない 956).さらに,β遮断薬は洞結節機能不全のあ
因は冠動脈狭窄に伴う心筋梗塞および突然死,左心機能
いない
357)
る患者では完全房室ブロックを誘発させる可能性があ
不全,術後肺高血圧である.遠隔期の続発症は,右室流
る.しかし,ACE 阻害薬は副作用が少ないため,ACE
出路狭窄,大動脈弁閉鎖不全,冠動脈狭窄が報告されて
阻害薬か ARB が使用されていることが多い.ジゴキシ
いる 4),942),962)−979).
ンの有用性を示す客観的証拠はない 957).
動脈位血流転換術後の定期的な経過観察は,肺動脈狭
カテーテル治療は,重要な治療手段である.特に,バ
窄,冠動脈狭窄,そして,大動脈弁閉鎖不全に注意を向
ッフル漏れ(Level B),上大静脈 / 下大静脈狭窄に対す
ける.(1)心電図は,心筋虚血と右室肥大(肺動脈狭窄),
るステント留置(Level B),肺静脈還流ルート閉塞に対
するステント留置(Level B)が施行される 4).
6
必要な場合も多い),大動脈弁逆流,左室機能不全に注
意する.(3)運動負荷テストは,心筋虚血の検出に用い
手術(表 76)
る.(4)MRI は,肺動脈狭窄,右室機能,心筋線維化の
大動脈スイッチ術への conversion の成績は悪く,推奨
評価に用いる.(5)CT と冠動脈造影は,心筋虚血が疑
できないが,左室トレーニングのための肺動脈絞扼術に
わしい場合の冠動脈狭窄の検索の際に行う.定期的な冠
より,心室中隔が右室よりに変異するため三尖弁逆流が
動脈造影は推奨されてはいない.
改善する場合がある
84
(2)心エコー法は,肺動脈弁上分枝狭窄(MRI や CT が
4),959),960)
.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
大動脈弁閉鎖不全の管理
1
①発生頻度と発生機序
動脈弁閉鎖不全合併例では,比較的早期に有意の心拡大
や左室機能低下が出現する可能性があることを念頭にお
く必要がある.胸痛,動悸,失神,労作時呼吸困難等の
大動脈弁閉鎖不全による症状出現に留意しつつ,運動負
術後遠隔期の大動脈弁閉鎖不全の発生頻度は 5 ~ 40%
荷試験や心エコー法による左室機能の継続的評価が必要
と報告されている.ただし,軽度が 35%と大部分を占め,
である.
中等度以上の逆流は 5%前後にみられる.弁逆流は経年
的に増強する 980)−987).弁輪拡大と弁逆流の程度は一定
③リスク分類(表 77)
の見解が得られていない 983),985).
狭心痛や呼吸困難等の臨床症状がある患者は高度リス
大動脈弁閉鎖不全の発生機序については,解剖学的肺
クとする.
動脈弁は大動脈弁に比べ弁尖が菲薄でコラーゲン線維や
左室拡大がなくても安静時や運動誘発性期外収縮を認
弾性線維が少ないこと,弁輪の脆弱性等の内的要因の関
めるものは中等度リスクである.
与が大きい 972),987),988).外的要因としては,経肺動脈的
心室中隔欠損閉鎖に伴う弁損傷 989),先行手術としての
④運動・作業許容条件(表 78)
肺動脈絞扼術,術前の左室流出路狭窄の存在,冠動脈移
リスク分類,運動・作業許容条件は,循環器疾患の診
植に伴うバルサルバ洞の変形,新大動脈基部と大動脈遠
断と治療に関するガイドライン(2001 − 2002 年度研究
位部の口径差が関連するとされる 982)−989).
班報告)の「心疾患患者の格好,職域,スポーツにおけ
る運動許容条件に関するガイドライン」に準じた 282).
②診断
術後の大動脈弁閉鎖不全は,十分な専門知識を持つ循
環器内科医による定期的な外来診療がすすめられる.基
⑤管理と再手術適応
軽度大動脈弁閉鎖不全で左室拡大がない無症状例は軽
本的には臨床症状と心エコー検査で経過観察を行う.通
度リスクであり,12 か月ごとの定期検査を行う.中等
常の慢性大動脈弁閉鎖不全では,左室の代償機転により
度で左室拡大を認める例は中等度リスクであり,選択的
比較的長期にわたって無症状に経過し左室機能も正常に
冠動脈造影検査による冠動脈狭窄の有無や 6 ~ 12 か月
維持されていることが多い 990),991).しかしながら,動脈
ごとの左室機能評価が必要である.左室拡大の進行がな
位血流転換術後は大動脈弁閉鎖不全合併がない症例にお
ければ中等度の運動まで許容する.慢性大動脈弁閉鎖不
いても,移植冠動脈入口部狭窄,左冠動脈低形成例がみ
全の至適手術時期については現在でも議論の多いところ
られること 992),遠隔期の心筋血流評価検査で左室心筋
である.自覚症状を伴うものは絶対手術適応であるが,
潅流欠損がみられること,冠血流予備能が低下すること
症状が出現した時点では既に心機能低下が高度で手術時
が知られている
リスク分類
軽微
軽度
中等度
高度
993)−995)
.したがって,中等度以上の大
期を逸している場合もある.自覚症状がないものでも早
表 77 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,大動脈弁閉鎖不全のリスク分類
心エコー
身体所見
胸部 X 線
心電図
左室拡大
逆流の程度
心雑音 2 度以下
心拡大なし
正常
なし
微小
心雑音 3 度以上
心拡大あり
正常
なし
軽度
心尖部Ⅲ音あり
心拡大あり
左室肥大
あり
中等度
心尖部Ⅲ音あり
心拡大あり
左室肥大
あり
高度
表 78 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,大動脈弁閉鎖不全のリスク分類別運動・作業許容条件
軽い運動
中等度運動
強い運動
運動・作業強度
3METS 未満
3 ~ 6METS
6METS を超える
望ましい運動耐容能
5METS 未満
5 ~ 10METS
10METS を超える
軽微
許容
許容
許容
軽度
許容
許容
許容あるいは条件付許容
リスク
中等度 許容
条件付許容
条件付許容あるいは禁忌
高度
条件付許容
禁忌
禁忌
85
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
期の手術が予後を改善する可能性が指摘されている.特
常の弁尖温存術式が困難なことから,弁形成術の適応は
に他の遺残病変を伴う術後の高度大動脈弁閉鎖不全例で
限定される.なお,大動脈弁閉鎖不全がない大動脈基部
は,厳重な定期的臨床評価が必要である.高度例におけ
拡大例(基部径 55mm 以上)は大動脈弁を温存する基部
る管理計画を図 3 に示す.手術適応ではない中等度以下
置換術の適応である 4).大動脈弁置換術における代用弁
の大動脈弁閉鎖不全では,ACE 阻害薬が,左室拡大,
としては機械弁と生体弁に大別されるが,現時点におい
左室肥大の改善に有用 996)であり,推奨される.
て動脈位血流転換術後例は大多数が非高齢者であり,機
左室拡大の程度は循環器疾患の診断と治療に関するガ
械弁が選択されることが多い.術後の大動脈弁閉鎖不全
イドライン(2001 − 2002 年度研究班報告)の「弁膜疾
に対する大動脈弁置換術および弁形成術の手術成績,遠
患の非薬物治療に関するガイドライン」867)の“大動脈弁
隔成績に関する多数例の報告は少ない.
閉鎖不全に対する弁置換術の適応”の脚注を目安にする
右室流出路狭窄の管理
2
(表 79).
⑥術式選択と予後
①発生頻度と発生機序
術後右室流出路狭窄は 3 ~ 30%と比較的高頻度に認め
術後大動脈弁閉鎖不全に対する再手術は,通常大動脈
,大動脈弁形成術の報
られる術後続発症である 4),942),962)−980),999),1003)−1006).狭窄
告も散見される 999)−1002).しかしながら,弁尖が元来は
部位は,肺動脈弁および弁下,吻合部(弁上部),左右
肺動脈弁であること,動脈位血流転換術後で大動脈が肺
肺動脈幹,左右末梢肺動脈に単独あるいは複合して発生
動脈後方に位置すること,移植冠動脈に対する処置等通
する.狭窄の発生原因は,Lecompte 法における大動脈
弁置換術が行われるが
989),997),998)
図3 動脈位血流転換術後高度大動脈弁閉鎖不全の管理方針
臨床評価+心エコー
症状の有無
なし
不明
あり
再手術
運動負荷
左室機能評価(エコー)
EF≧50%
EF<50%
左室径拡大
軽度
中等
高度
進行性
なし
6∼12か月ごとの評価
86
あり
3か月後の再評価
他の遺残病変
(肺動脈狭窄,
冠動脈狭窄等)
成人先天性心疾患診療ガイドライン
BSA(m2)
高度拡大
中等度拡大
軽度拡大
表 79 完全大血管転位 体格を考慮した大動脈閉鎖不全における左室拡大の程度 867)
LVDs(mm)
LVDd(mm)
1.4
1.7
2.0
1.4
1.7
> 48
> 52
> 55
> 65
> 70
43 ~ 48
47 ~ 52
50 ~ 55
60 ~ 65
65 ~ 70
< 43
< 47
< 50
< 60
< 65
の後方からの圧迫と左右肺動脈の過伸展,肺動脈再建に
用いるパッチの肥厚・退縮,肺動脈弁輪部および吻合部
2.0
> 75
70 ~ 75
< 70
③リスク分類(表 80)
の成長障害,小口径の旧大動脈弁等が考えられる.動脈
右室流出路狭窄に伴う自覚症状がある患者は高度リス
位血流転換術における肺動脈狭窄発生はある程度不可避
クとする.
な合併症であり,その発生頻度は経年的に増加し,狭窄
圧較差< 50mmHg,右室拡大(−)でも安静時や運
の程度も進行する.
動誘発性期外収縮を認めるものは中等度リスクである.
②診断
④運動・作業許容条件(表 81)
動脈位血流転換術後の右室流出路狭窄は,完全大血管
リスク分類,運動・作業許容条件は,循環器疾患の診
,十
断と治療に関するガイドライン(2001 − 2002 年度研究
分な専門知識を持つ循環器内科医による定期的な外来診
班報告)の「心疾患患者の格好,職域,スポーツにおけ
療がすすめられる.基本的には臨床症状と心エコー法で
る運動許容条件に関するガイドライン」を参照 282).
転位に対する Rastelli 手術後の管理基準に準じ
1007)
経過観察を行う.通常は,右室の代償機転により長期に
わたって無症状に経過し右心機能も正常に維持されるこ
⑤管理と再手術適応
とが多い.一側肺動脈狭窄例では有意の右室圧上昇が見
軽度の右室流出路狭窄(圧較差< 50mmHg)で右室
られないことがある.軽症では運動耐容能や心機能は正
拡大がない無症状例は軽度リスクであり,12 か月ごと
常であるが,重症例では比較的早期に有意の心拡大や右
の 定 期 検 査 を 行 う. 中 等 度 の 圧 較 差( 圧 較 差 ≧
室機能低下,心室性期外収縮が出現することがある.動
50mmHg)で右室拡大を認める例は中等度リスクであり,
悸,労作時呼吸困難,肝腫大等の右室流出路狭窄による
6 ~ 12 か月ごとの右室機能評価が必要である.右室拡大,
症状出現に留意しつつ,心エコー法による右室機能,運
三尖弁逆流の進行がなければ中等度の運動まで許容す
動負荷試験,肺血流シンチグラフィーによる左右肺動脈
る.右心不全症状あり,圧較差≧ 50mmHg あるいは右
血流分布の評価が必要である.
室圧 / 左室圧≧ 0.7 の圧較差は手術適応である.圧較差
< 50mmHg,右室圧 / 左室圧< 0.7 でも一側肺動脈狭窄
による左右肺動脈血流分布不均衡が存在するもの,挙児
リスク分類
軽微
軽度
中等度
高度
表 80 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,右室流出路狭搾のリスク分類
心エコー
身体所見
胸部 X 線
心電図
右室拡大
狭窄の程度
心雑音 2 度以下
心拡大なし
正常
なし
圧較差< 30mmHg
心雑音 3 度以上
心拡大なし
正常
なし
30 ≦圧較差< 50
心雑音 3 度以上
心拡大あり
RVH,ST.T(-)
あり
50 ≦圧較差<左室圧
心雑音 3 度以上
心拡大あり
RVH,ST.T(+)
あり
圧較差≧左室圧
表 81 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,右室流出路狭搾のリスク分類別運動・作業許容条件
軽い運動
中等度運動
強い運動
運動・作業強度
3METS 未満
3 ~ 6METS
6METS を超える
望ましい運動耐容能
5METS 未満
5 ~ 10METS
10METS を超える
軽微
許容
許容
許容
軽度
許容
許容
許容あるいは条件付許容
リスク
中等度 許容
条件付許容
条件付許容あるいは禁忌
高度
条件付許容
禁忌
禁忌
87
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
希望あるいは高度運動希望がある場合,高度肺動脈弁逆
3
流を伴うものでは手術がすすめられる 4).高度の圧較差
例における管理計画を図 4 に示す.
心筋虚血の管理
①発生頻度と発生機序
⑥術式選択と予後
心筋虚血は術後の 8%にみられ,術後早期の手術死亡
最近の多施設共同研究によると,新生児動脈位血流転
や遠隔期心筋虚血や硬塞の原因となる.冠動脈走行様式
換術後遠隔期の右心系狭窄に対する再手術およびカテー
としては壁内走行冠動脈や単冠動脈のイベント発生率が
テル治療施行率は 12%で,累積回避率は術後 1 年で 94%,
高い.心筋虚血の発生機序は,術後早期は冠動脈移植術
10 年で 83%と報告されている 1006).外科的解除法は,パ
の技術的な要因が大きいが,遠隔期の冠動脈イベントの
ッチによる肺動脈拡大が行われ,狭小弁輪例に対しては弁
発生機序は十分に解明されていない 1011).冠動脈病変は
965)
,
999)
,
1003)
冠動脈主幹部の求心性内膜肥厚を伴う線維性内膜肥厚で
輪拡大が適用され,肺動脈狭窄再発率は低い
.
一方,経皮的アプローチのバルーン拡大術の成功率は外
科治療より低いが,非侵襲的で繰り返し行える利点があ
り,狭窄病変部は身体発育に応じて成長することが示さ
れている 9),1008)−1010).
あり,末梢側狭窄はまれである.
②検査
胸痛等の臨床症状や負荷心電図,心エコー法等の非侵
襲的検査で心筋虚血の徴候があるものは厳重な結果観察
と選択的冠動脈造影が必須である.非侵襲的検査の感度
図4 右室流出路狭窄の治療方針
臨床評価+心エコー
症状の有無
なし
不明
あり
運動負荷
右室肺動脈圧較差(PG)心エコー法
PG<50mmHg
PG≧50mmHg
推定左室右室圧比
<0.7
≧0.7
不均衡肺血流,挙児希望
高度運動希望,高度肺動脈弁逆流
なし
6∼12か月ごとの評価
88
あり
再手術
カテーテル治療
成人先天性心疾患診療ガイドライン
は低いため,徴候がないものでも動脈位血流転換術後 5
年,10 年,15 年の冠動脈造影検査がすすめられる 4).
③再手術の適応と術式,予後
心筋虚血症状を伴うもの,あるいは冠動脈造影検査で
すい 1026),1027).
2
臨床所見
①症状
有意狭窄を認めるものでは再インターベンションの適応
右心不全の進行による浮腫,肝腫大,呼吸困難等の症
がある.冠動脈血行再建法としては経皮的冠動脈インタ
状の出現前に,心房細動,粗動等の不整脈を初発症状と
ーベンションや冠動脈バイパス手術が行われる.冠動脈
して認めることも多い.
開口部に限定した狭窄例ではパッチによる冠動脈形成術
の適応となる 1012)−1014).術後の冠動脈血行再建術の長期
予後は不明である.
②身体所見
導管狭窄による収縮期雑音,肺動脈弁逆流による拡張
13 心外導管手術術後:心室中隔
欠損兼肺動脈弁閉鎖,総動脈
幹,両大血管右室起始
期雑音の他に,心室中隔欠損遺残病変では汎収縮期雑音
が聴取される.
3
検査所見
①胸部X線
1
解剖学的特徴と病態生理
肺動脈弁閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全,心室中隔欠損遺
心外導管は二心室心内修復術において,右室を肺動脈
残の症例で,心拡大を認める.また心外導管や弁の石灰
へ吻合する際に使用される.対象疾患は,主肺動脈を認
化,片側の肺動脈狭窄による肺血流減少を認めることが
めない心室中隔欠損兼肺動脈弁閉鎖,冠動脈起始異常の
ある.
ため右室流出路再建が困難な症例,総動脈幹症,一部の
両大血管右室起始である.完全大血管転位に対する
②心電図
Rastelli 術 1015),修正大血管転位に対するダブルスイッチ
心内修復術後のため,多くは右脚ブロックを認め,心
術でも使用される(これらは各疾患の項を参照).
外導管狭窄の進行により右室肥大が生じる.
欧米では主に凍結処理された同種弁付き導管が主流
で 1016)−1018)あるが,遠隔期の導管狭窄は避けられない.
③心エコー法
異種弁付き導管 1019)や自己心膜を用いた心外導管や 1020),
導管狭窄の進行,逆流の程度,右室容量負荷を評価す
心内導管を使用しない手術である REV(Lecompte)法
る.狭窄の評価には三尖弁逆流の流速を用いた右室圧評
や Barbero-Marcial 法が考案されている
1021),1022)
.我が国
は同種弁の使用が困難で欧米と事情が異なるため,異種
心膜や Gore-tex® sheet 等の人工布,人工血管や自己心膜
を使用して導管を作成し,導管内に弁を作成することが
多い.弁なし導管を使用することもある
1023),1024)
.
心外導管の最も大きな問題は遠隔期における狭窄で,
導管内や吻合部での内膜の肥厚・石灰化,導管の屈曲,
価が有用である.
④ MRI
右室機能,容積,肺動脈弁閉鎖不全,肺動脈分枝狭窄
の評価に有用である.
⑤ CT
弁の石灰化により生じる.また弁閉鎖不全による右心不
造影による導管の狭窄,石灰化病変や胸骨との癒着等
全の進行を認める場合もある.細菌性心内膜炎の合併も
が評価できる.
少なくない.
心外導管機能不全による右室の圧負荷・容量負荷は
⑥運動負荷テスト
右房・右室心筋障害を引き起こし右心不全や右房・右
運動耐容能,運動時の心係数の増加は正常を下回り,
室を起源とする不整脈を誘発する.完全大血管転位で
心室性期外収縮,心房性期外収縮が誘発されやすい 1028).
は左室機能障害も問題となる 1025).主要大動脈肺動脈側
副血管を合併する心室中隔欠損兼肺動脈閉鎖では遺残
肺高血圧を合併することが多く,右心不全を来たしや
⑦肺血流シンチグラフィー
主肺動脈がないか短い症例では,肺動脈吻合部での狭
89
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
窄により左右肺血流の不均等が起こりやすく,狭窄の評
価にシンチグラフィーは有用である.
6
再手術
心外導管狭窄は,術後経過期間が長く,狭窄部位に石
⑧心臓カテーテル検査
灰化が見られることが多いため,カテーテルインターベ
再手術ないしカテーテルインターベンションの適応評
ンションは無効で,再手術が必要となる症例が多い.再
価のための圧較差の測定にはカテーテル検査が必要とな
手術は新しい導管を使用するか,導管装着後に形成され
る.また遺残心室中隔欠損,心係数,右室機能,冠動脈
た導管外の皮膜を利用する Danielson 法がある 1029).
の走行の評価も必要である.
4
再手術の適応
予後
(1)右室−肺動脈の収縮期圧較差が 50mmHg 以上,
欧米の,心外導管術後遠隔期の生存率は, 10 年で
(2)肺動脈弁閉鎖不全による右室機能不全,進行性運動
76 ~ 92 %,15 年で 70 ~ 82 %,20 年で 58 ~ 59 %であ
る
1016),1017),1019)
.我が国における多施設共同研究では修
耐容能低下
(3)中等度以上の三尖弁閉鎖不全
正大血管転位を除外しているが,20 年で 88 %と良好で
ある 582).死亡原因は,(1)心不全,(2)再手術,
(3)突然
肺高血圧合併例では再手術の際に肺動脈弁閉鎖不全の
死,
(4)不整脈である
発生に留意することが必要である.
.死亡の危険因子は(1)
582),1016),1018)
男性,
(2)手術時高年齢,
(3)原疾患の種類(総動脈幹症,
カテーテル治療には経皮的血管拡張術に加えて,ステ
完全大血管転位,修正大血管転位,単心室で死亡率が高
ント留置,さらに弁付きステント留置(我が国未認可)
い),
(4)術直後の心拡大,
(5)右室圧上昇,
(6)肺高血圧,
も用いられ,その術後中期成績が報告されている.これ
(7)NYHA 機 能 分 類 Ⅱ 度 以 上, と 報 告 さ れ て い
582),1016),1019)
らの処置は,外科手術治療の間隔を延長させることが期
.多種類の不整脈がみられ,上室性不整脈
待され,より早期からの治療介入の可能性が示唆されて
の危険因子は(1)男性,(2)修復術前の短絡術の不要症
いる 1030),1031).ただし,適応評価および治療の際は,こ
例,(3)手術時高年齢,(4)術後観察期間にかかわらず
れらの処置に経験のある心臓血管外科医と循環器内科医
高年齢症例,である.心室頻拍ないし突然死の危険因子
が行うことが望ましい.
る
は術後高度右室圧である 582).
5
治療・管理
圧負荷や容量負荷により,右房・右室心筋が障害され
頻脈性不整脈や突然死の危険が生じる.心筋病変が進行
し不可逆性となると生命予後が悪化するため,その前に
再手術ないしカテーテル治療を施行する必要がある.
肺動脈狭窄および弁閉鎖不全,右室機能,三尖弁逆流
を定期的に評価するために少なくとも 6 か月から 1 年に
14 Fontan 手術後(単心室,肺動
脈弁閉鎖,三尖弁閉鎖,左心
低形成)
1
解剖学的特徴と病態生理
①解剖学的特徴
1 回の外来管理は必要である.
Fontan 手術は,心室低形成や房室弁異常のため二腔心
右心不全に対しては利尿薬が使用されるが効果は限定
修復が困難である機能的単心室血行動態を有するチアノ
的である.肺高血圧合併例では肺高血圧治療薬,在宅酸
ーゼ性先天性心疾患(単心室,肺動脈弁閉鎖,三尖弁閉
素療法,抗凝固療法等が検討される.
鎖,左室低形成等)に行う手術である.低酸素血症解消
頻拍性不整脈に対しては,心機能低下がなければ通常
と心室容量負荷軽減を目的とした肺循環への駆出心室
の適応に従い抗不整脈薬を使用し得る.ただし心外導管
(右心)をバイパスした姑息的修復術である.手術法は
の機能異常に起因することが多いため,心臓電気生理検
大きくは右房−肺動脈の直接吻合(APC; atriopulmonary
査で不整脈の診断を確定し,カテーテルアブレーション
connection) 法 と 大 静 脈 肺 動 脈 連 合(TCPC; total
ないし再手術時の外科的不整脈治療を検討する.
cavopulmonary connection)法に分類される.TCPC 法は,
人工布の使用や遺残病変を伴い,ハイリスク群のため
心房負荷が少ない利点がある.TCPC 法は,時代ととも
細菌性心内膜炎の予防は必要である.
に 改 良 が 試 み ら れ, 心 房 壁 の 一 部 を 利 用 し た lateral
tunnel 法(intra-atrial rerouting), 利 用 し な い intra-atrial
90
成人先天性心疾患診療ガイドライン
grafting 法,さらに,最近では心外導管や下大静脈を肺
下し,息切れ,疲労等の有症状(NYHA 機能分類Ⅱ以上)
動脈に直接吻合した心外導管法(extra-cardiac grafting)
の頻度が高い 212).早朝の軽度顔面浮腫,下腿浮腫の頻
が主流である
43)
度も少なくない.頭痛や起立障害の訴えも多いが,血行
.
動態の重症度との関連は不明である.
②病態生理
肺循環への駆出心室が欠如しているため,中心静脈圧
②身体所見
上昇(静脈高血圧)と体心室拡張能が肺循環を維持する
良好な血行動態であっても 90 ~ 95%未満の軽度低酸
ための規定因子となる.血行動態的には中心静脈圧上昇,
素血症を呈する場合が多く 212),成人の後天性慢性心不
体心室前負荷障害,後負荷増大と低心拍出量を特色とし
全病態と異なる.有意な肺動静脈短絡や大静脈肺静脈短
た慢性心不全病態を示す.運動耐容能は低下する
しかし,必ずしも自覚症状と一致しない
1032)
.
213)
.また,静
絡が発達した場合には高度の低酸素血症を示す.Ⅱ音は
単一で,大動脈駆出音を聴取する.房室弁閉鎖不全や心
脈高血圧歴が長く,腹部臓器の静脈鬱血のため,肝機能,
室流出路狭窄を合併すれば収縮期雑音を,大動脈弁閉鎖
腎機能および腸管機能に悪影響が及ぶことがある.術後
不全では拡張期雑音を認める.巨大な冠動静脈瘻を合併
遠隔期の管理,治療に難渋する合併症は,
(1)不整脈,
し to and fro 雑音を聴取する場合もある.肝静脈鬱血に
(2)蛋白漏出性腸症(PLE; protein losing enteropathy),
起因する肝腫大を認める.また,下腿の浮腫に加え長期
(3)肺動静脈瘻(PAVF; pulmonary arteriovenous fistulae)
,
静脈高血圧からの色素沈着の頻度も高く,重症な場合に
(4)肺塞栓を含めた血栓症,(5)心機能低下,(6)心機
は静脈瘤や潰瘍を伴うことがある 1040).
能低下を伴う房室弁閉鎖不全が主であるが 1032),成人期
では,さらに,(7)腎機能低下 1033),(8)肝硬変を含む
肝機能障害 1034),(9)喀血も予後悪化をもたらす可能性
)
がある 1035).まれながら(10)消化管出血や 1036(
11)大
3
検査所見
①胸部 X 線
動脈解離の報告も見られる 1037).また,高頻度に(12)
APC で は 拡 大 し た 右 房 の た め 心 陰 影 が 拡 大 す る.
耐糖能異常が存在し心事故と関連する 1038).これらのこ
TCPC では一般に心陰影は小さいか正常であるが,心外
とから,Fontan 手術後は,特異な循環に由来する房室弁
導管術後では導管陰影が心陰影と重なり心胸郭比は必ず
閉鎖不全や心機能不全を含む慢性心不全病態と,循環不
しも心陰影を反映しない.導管の石灰化を認める場合が
全に伴う多臓器障害を考慮した管理,治療戦略が重要で
ある.有意な肺動静脈短絡を有する患者では異常陰影を
ある.Plastic bronchitis も注意すべき合併症であるが
1039)
,
成人期の報告はない.Fontan 術後遠隔期の重要な合併症
を表 82 に示す.
2
臨床所見
肺野に認める場合が多い.
②心電図
背景疾患の特色を示す.APC では P 波増大が見られ
る 1041).幅広い QRS 時間は心機能や運動耐容能低下と関
連する簡便な指標である 1042),1043).
①症状
成人慢性心不全と同様の症状が多い.運動耐容能は低
③心エコー法
経胸壁心エコー法で体心室収縮能や房室弁閉鎖不全は
表 82 Fontan 型手術術後の問題点
不整脈
蛋白漏出性腸症
肺動静脈瘻
血栓症
心機能低下
房室弁閉鎖不全
腎機能低下
肝機能障害
喀血
消化管出血
大動脈解離
耐糖能異常
プラスチック気管支炎
ある程度判断できる.しかし,静脈系の狭窄の判断は困
難である.房室弁閉鎖不全や血栓の評価は経胸壁心エコ
ー法では困難で,経食道心エコー法の評価が推奨される.
④ MRI・CT
心房,心室の評価のみならず,MRI ではガドリニウ
ムを用いた遅延心筋画像により心筋線維化を,時相コン
トラスト MRI で非侵襲的に大動脈肺動脈副側血行を介
した左右短絡量を正確に評価可能である 245).心室筋線維
化は心室性不整脈と心機能低下との関連が示唆され 1044),
91
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
心不全を有する Fontan 手術後の心血行動態評価に有用
術 後 遠 隔 期 合 併 症 の 治 療 と 管 理( 表 83). 特 異 な
と期待される.
Fontan 循 環 に 由 来 す る 合 併 症 が 多 く, 最 優 先 事 項 は
Fontan 循環の正確な把握にある.必要に応じて心臓カテ
⑤血液生化学・神経体液性因子
ーテル検査を含めた血行動態の把握が必要で,血行動態
低ナトリウム血症を示す割合は高い 1045).肝鬱血を反
映しビリルビンやγ -GTP は高値を示す場合が多いが 1034),
ALT や AST は上昇しない場合が多い.血清脂質ではコ
①不整脈
レステロール値は低い 1038).血中ノルエピネフリンや
リエントリーを機序とする心房内リエントリー性頻拍
BNP 値 は 上 昇 を 示 す 場 合 が 多 い が,APC の BNP は
(IART; intra atrial reentrant tachycardia)と自動能亢進に
TCPC より有意に高く心房由来とされる 345).また,高
よる異所性心房頻拍(EAT; ectopic atrial tachycardia)が
い血中ノルエピネフリンや BNP は心事故の予測因子で
多く,時に致死的である.TCPC が APC に比べ発症頻度
ある 1046).
が少ないとされるが,TCPC の術式間での発症頻度の差
は明確でない 44).術式に関係なく経年的に増加するとさ
⑥運動負荷試験
れ 1050),1051),特に心房臓器錯位症候群で多い 1051).徐脈
重度の心臓自律神経活動の異常を認めることから心拍
性不整脈もまれでなく,特に左相同型の心房臓器錯位症
応答は低下し,peak VO2 からみた運動耐容能は健常者
候群で多く,ペースメーカ植込みの適応例も少なくな
の 50 ~ 60 %である 212),213).運動負荷試験から得られる
い 1052).
心肺機能指標は心事故と関連するが,死亡は予測しない
治療:心房内リエントリー性頻拍や異所性心房頻拍は
とされる
108)
.運動負荷試験中の不整脈出現と予後との
カテーテルアブレーションは有効だが,約半数で再発す
る 384).したがって,β遮断薬,治療抵抗性の場合には
関連は不明である.
ソタロールやアミオダロンを考慮する必要があり,一定
⑦ホルター心電図
の効果が期待できる.これらⅢ群薬使用時は,ソタロー
不整脈は最も頻度の高い術後遠隔期合併症である.房
ルでは QT 延長等の催不整脈作用,アミオダロンでは肝,
室 2:1 伝導等は無症状なことがあり定期的な検査が望
甲状腺や肺機能障害発症に充分注意しながらの投与が必
ましい.
要である.APC でのこれら不整脈合併の場合には TCPC
転換術を行うことがあるが 1053),周術期に手術侵襲にも
⑧心臓カテーテル検査
関連した頻拍性不整脈発症の頻度は高い.TCPC 転換術
心形態や機能評価は心エコー法,MRI や CT が非侵襲
を行う際にはペースメーカによる最低心拍数維持等の心
的で,画像の解像度も良いため,心内圧測定やカテーテ
拍数調節を考慮した不整脈管理が重要である.
ル治療を要する場合を除き心臓カテーテル検査の頻度は
減少している.しかし,Fontan 術後の心血行動態は不明
な点も多く,綿密な心不全管理,冠動脈異常,肺動静脈
短絡,大静脈肺静脈短絡評価には有用な情報を提供する.
4
②蛋白漏出性腸症
(PLE; protein losing enteropathy)
術後遠隔期の 4 ~ 13%に発症するとされ,経年的に増
加し,術後 10 および 20 年での発症回避率は 92 および
予後
術後 20 年の死亡回避率は 69 ~ 87%程度であり
86%とされる 1054).一旦発症した場合の予後は極めて不
,
良とされ発症後 5 および 10 年の死亡回避率は約 50 およ
術式と医療の進歩に伴い改善している.しかしながら,
び 80%である 1054).最近の肺血管拡張薬の進歩による予
遠隔期合併症を認める場合が多く,綿密な治療と管理を
後改善の有無は不明である.高い静脈圧と関連し,感染
要する.
が引き金になることが多いとされる 1055).モデル実験結
5
92
の改善が合併症管理と治療効果改善に欠かせない.
1047)
−1049)
治療・管理
果からも,これらが PLE 増悪因子であることは疑いな
い 1056).また,発症時は不整脈(約 30%)や血栓症(約
術後遠隔期合併症に対する内科的治療,ペースメーカ
20 %)等,他の合併症を併発していることも少なくな
装着,CRT 等の侵襲的治療,そして,右房 - 肺動脈の直
い 1054).
接 吻 合(APC 型 ) 法 か ら TCPC 型 の 修 復 に 変 更 す る
治療は感染に関連した炎症の有無を確認,対処する.
Fontan Conversion 法までを含む.
不整脈治療を含めた心血行動態の最適化と改善余地を模
成人先天性心疾患診療ガイドライン
表 83 Fontan 型手術術後の主要な遠隔期合併症とその管理,対策
主な合併症
治療,対策,管理
1.不整脈
1)洞結節機能不全
ペースメーカ植込み
2)上室性頻拍
①薬物
(回帰性,自動能亢進)
ジゴシン,アスペノン,β遮断薬
ソタロール,アンカロン,等
②カテーテルアブレーション
③手術(Maze,TCPC 転換術等)
2.蛋白漏出性腸症
1)感染(炎症)の有無
感染治療
2)血行動態評価
血行動態改善
Fontan ルート狭窄
カテ治療,手術
肺静脈狭窄
カテ治療,手術
体肺側副血行路の有無
コイル塞栓
心室機能低下
心不全療法
房室弁機能不全
血管拡張薬,手術
3)過剰水分
水分管理,利尿薬
3.肺動静脈瘻
1)血行動態評価
酸素投与,肺血管拡張薬
肝静脈血流の不均等
Fontan ルート転換
4.血栓症
1)発生部位診断(CT)
血栓溶解術,血栓除去術
5.房室弁閉鎖不全
中等度以上
抗心不全療法,手術
6.喀血
1)発生部位診断(CT)
止血剤,コイル塞栓
索し,心拍出量を維持した中心静脈圧(CVP)低下を目
指す.中心静脈圧を下げるべく,水分過剰には水分制限・
③肺動静脈短絡
利尿剤,Fontan 経路狭窄・肺静脈狭窄にはカテーテル治
肝静脈血流が肺動脈に流入しない術式であるグレンあ
療あるいは手術治療,体肺側副血行路による左右短絡に
るいは Kawashima 手術後に高頻度に肺動静脈短絡が発
はコイル塞栓術,心室機能低下例では薬物治療,房室弁
症し低酸素血症が進行する 1064).小児期にグレン吻合で
機能不全手術適応の有無を確認する必要がある.さらに
生じた肺動静脈短絡は肝血流の肺動脈還流を意識した
肺血管抵抗軽減を期待した酸素投与,肺血管拡張薬を考
Fontan 術後には改善するとされる 1065).成人 Fontan 術後
慮する.炎症関連病態にパルス療法を含めたステロイド
患者での頻度は不明であるが,左相同心ではその頻度は
療法が有効である可能性がある
1057)
.Fontan ルートと機
高く,肝静脈血流の不均等に減少した肺に生じることが
能的左房との開窓をカテーテルあるいは手術で行うと中
多い 1066).また,高年齢患者では発症頻度は低いとされ
心静脈圧降下と心拍出量増加に有効な場合がある 1058).
る.肺動静脈短絡合併例は肺血管抵抗が低く,心拍出量
初期の多施設研究では,いずれの治療も一定の有効性は
がむしろ増加し中心静脈圧が上昇する場合がある.
あるが全体の 44%しか改善しなかった
治療:小児では Hepatic factor を考慮した肝静脈還流
1054)
.小児ではヘ
パリン療法(皮下注)でその症状は 76 %で改善するが
を肺動静に均等に流入させる Fontan ルートの変更術が
予後改善の有無は不明で,再入院やアルブミン投与頻度
有効な場合がある 1067).しかし,これ以外の発症機序も
はヘパリン投与前後で変化がないとされる 1059).ヘパリ
推察されている 1068).低酸素血症に対し酸素投与に加え,
ン療法の成人 Fontan 術後患者での有効例も報告されて
一酸化窒素吸入の有効例も報告されている 1069).また,
いる
1060)
.肺血管拡張薬(プロスタサイクリン,ホスホ
成人患者で肺血流と Hepatic factor の肺循環流入増加を
ジエステラーゼ 5 阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬)の
期待した末梢動静脈瘻作成が試みられ,改善が見られる
有効例が散見されるが予後改善効果は不明である
1061)
.
心移植でほとんどの例で蛋白漏出性腸症の改善が期待で
きるが 1062),Fontan 術後はこれ以外の先天性心疾患の心
場合もある 1070).
④血栓症
移植患者より予後が悪く 1063),その至適時期は今後の課
血栓は術後の時期を問わず生じるが 1071),経過ととも
題である.
にリスクは増加する 1049).抗凝固薬使用の有無にかかわ
93
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
らず発症するが,成人では抗凝固薬非使用例で血栓関連
用はむしろ血行動態を悪化させる.したがって,不整脈
1072)
.Fontan 術後患者の止血・
治療も含めペースメーカ植込みも考慮した循環管理を行
凝固因子は異常であることが多く,特にアンチスロンビ
う必要がある.房室ブロックでの心室ペーシングや非同
ンⅢ,プロテイン C や S の低下,第Ⅷ因子増加等の凝固
期収縮を示す二腔心を有する体心室では心同期治療を意
の心事故が多いとされる
能亢進状態にあるとされる
1071)
.しかし,東洋系(中国人)
の凝固系異常は欧米人と異なることが報告され人種差の
存在が示唆されている 1073).
⑥房室弁閉鎖不全
治療:血栓予防の有効な抗凝固療法は確立してない.
非左室型体心室は,三尖弁や共通房室弁閉鎖不全の頻
しかし,以下の場合には積極的に抗凝固薬の投与を考慮
度が高く,体心室機能低下も同時に進行することが多い.
する.
治療:中等度の房室弁閉鎖不全では RAAS 抑制療法
(1)血栓の存在
は有効な可能性がある.重度の房室弁閉鎖不全では人工
(2)中心静脈圧上昇,低心拍出量,大静脈肺静脈短絡や
弁手術も考慮した対策が必要である.心機能低下,高年
開窓を有し有意な右左短絡を有する低酸素血症
齢や腎機能低下は房室弁閉鎖不全修復時の危険因子であ
(3)中等度以上の心室収縮能低下
り 1085),比較的早期の対策が重要である.僧帽弁以外の
(4)APC で拡大した右房 房室弁閉鎖不全の修復は困難で人工弁置換術を考慮す
(5)Fontan ルートの狭窄等の血行動態異常
る.
(6)心房頻拍性不整脈の既往 1071)
成人 Fontan 術後では,肺動脈を含めた Fontan ルート
⑦腎機能低下
内の巨大血栓は薬物に加え手術やカテーテルによる除去
成人先天性心疾患術後は慢性的な血行動態異常が腎機
が必要である場合も多い 1074),1075).血行動態が不安定な
能低下を引き起こすタイプⅡの心腎連関症候群の典型と
場合,その死亡率は 75%と高い
されている 1033),1086).Fontan 術後もその頻度は高く(17
1072)
.
%)1033),心事故との関連が示唆される.低心拍出量や高
⑤心機能低下
中心静脈圧はその原因と推察され,手術年齢と負相関す
体心室収縮性低下,高い後負荷の持続による体心室の
ることから 1087),術前の低酸素血症による潜在的な腎障
仕事効率の低下が,術後遠隔期の心機能破綻に繋がると
害の可能性が指摘されている.
推察されている
1042),1076)
.体心室形態も重要な心機能規
治療:腎機能低下に対する治療法は確立していないが,
定要因である.非左室型体心室の QRS 幅は左室型体心
RAAS 抑制療法が有効な可能性がある 1088).不整脈発症
室に比べ幅広く,内因性の体心室非同期収縮の原因とな
や心不全時の血行動態管理には腎機能維持を考慮する必
っている可能性があり
因である
1042)
,頻拍時や運動時の不利な要
要がある.特に RAAS 阻害薬併用例での感染や下痢等
.また,大血管の伸展性低下が示唆さ
による脱水の際は,腎機能悪化に配慮した治療が重要で
1042),1043)
れ 1077),心室の後負荷増大に加え,伸展性低下による脈
圧増大は冠循環低下を生じ,心機能低下の要因となる.さ
らに,内皮機能低下が運動耐容能低下と関連する 347),1078).
ある.
⑧肝機能障害
このため,肺血管 1079)とともに体循環での一酸化窒素に
慢性的な中心静脈圧の上昇は肝鬱血に由来した肝障害
関連した内皮機能維持の重要性が指摘されている.
を引き起こし,術後経過に伴いその頻度は増加する 1034).
治療:薬物による抗心不全療法は確立していない.利
腹部エコー法や CT は肝硬変検出に有用で,特に CT が
尿薬は浮腫,腹水や胸水等の不適切な体液貯留には有効
優れている.血液検査からも Forns 指数[=7.811 − 3.131・
である.しかし,成人慢性心不全患者と同様に,利尿薬
ln(血小板数)+ 0.781・ln(γ GTP)+ 3.467・ln(年齢)
使用が死亡の独立危険因子であり注意深く使用すること
− 0.014(総コレステロール)]は肝硬変検出に有用であ
が推奨される
1049),1080)
.レニン・アンジオテンシン・ア
るとされ,術後経過期間と高い相関性を示す 1034).
ルドステロン系(RAAS)を抑制した場合の心臓自律神
治療:肝障害に対する治療介入基準は明確でなく,今
経や運動耐容能の改善効果は否定的である 344),356),1081).
後の課題である.
β遮断薬の効果は,若年での有用性は散見されるが
1082)
,
成人での有効性は不明である.洞機能機能障害を有する
割合が高く,徐脈傾向にあり 1083),不用意なβ遮断薬使
94
識した心室ペーシング部位を選択する必要がある 1084).
⑨喀血
Fontan 術後遠隔期の喀血の報告は散見される.発達し
成人先天性心疾患診療ガイドライン
た大動脈肺動脈側副血行路が原因とされ,時に致死的な
場合があり
1035)
conversion 法が行われ始めており,一定の成績を上げて
いる 396).この手術は,右房バイパス術,右房縫縮術,
,注意を要する.
治療:胸部 CT で出血部位が予測可能な場合もある.
右房 maze 手術,ペースメーカワイヤー装着等を同時に
大動脈肺動脈側副血行路の有無を検索し,可能であれば
行う.手術死亡は 0 ~ 10%,心移植に移行した例は 12%,
カテーテルによるコイル塞栓術を行う.大量出血では輸
上室性頻拍 / 心臓細動の再発は,12.5 ~ 30%で,大部分
血が必要な場合がある.
は NYHA 機能分類Ⅰ~Ⅱと改善している 396),1089).
⑩消化管出血
外来管理
まれな合併症で,原因は不明であるが,蛋白漏出性腸
症と関連することが示唆されている
1036)
遠隔期合併症を意識し,3 ~ 6 か月ごとの経過観察が
必要であるが,患者の病態や重症度に応じた生活の質を
.
治療:輸血が必要となる場合がある.蛋白漏出性腸症
意識した生活指導,管理が望まれる.また,成人患者は,
の改善とともに改善する.
重症度が高く,合併症のリスクが上昇していることを認
識し,患者,その家族と共有することが重要である 212).
⑪大動脈解離
上行大動脈の拡大と大動脈解離を生じた例が報告され
ている 1037).他の先天性心疾患と同様,大動脈壁中膜の
15 チアノーゼ型先天性心疾患,
未手術あるいは姑息手術後
弾性線維の構造異常と関連することが推察される.冠動
脈を含めた大動脈形態評価には造影 CT が有用である.
未修復あるいは姑息手術後のチアノーゼ型先天性心疾
治療:大動脈形成術や置換術が適応となるが,薬物に
患では,低酸素血症とそれに付随する全身的系統異常を
よる予防効果は不明である.
伴う(「チアノーゼ型先天性心疾患にみられる全身系統
的 異 常 」 の 項 参 照 ). 心 室 中 隔 欠 損 兼 肺 動 脈 閉 鎖 や
⑫耐糖能異常
Fontan 手術に至らない単心室血行動態が多くを占める.
境界領域を含めた耐糖能異常の頻度は高く(43 %),
単心室群では,罹患率も高く予後も不良であるが,適度
運動耐容能低下と関連する.糖尿病型を示す割合も高く
な肺動脈狭窄を伴いチアノーゼが軽度で血行動態の異常
(16%),心事故と関連する 1038).高い中心静脈圧,肝鬱
が少ない場合には,Fontan 術後よりも QOL が良い場合
血や利尿薬投与が耐糖能異常と関連するとされている.
がある.
治療:食事や運動等の生活習慣改善が推奨される.糖
未手術か,あるいは姑息手術でとどまり機能的根治手
尿病合併例では,内分泌代謝専門医へ紹介することが望
術が困難な症例の多くは,肺動脈の低形成あるいは閉塞,
ましい.
変形,ないし高い肺血管抵抗値による.これらの異常は,
先天性ないし出生後の肺血管閉塞性病変の進行により,
⑬プラスチック気管支炎
あるいは姑息手術(肺動脈絞扼術や体肺動脈短絡術等)
まれな合併症で,小児期の発症がほとんどである.低
の合併症として起こる.肺動脈の変形・狭窄・閉塞につ
心機能,高い中心静脈圧や不整脈との関連が示唆されて
いては,カテーテルインターベンション,ステント留置,
いる
1039)
.蟹肉様の気管支鋳型(cast)が気管支内を占
心膜パッチによる肺動脈拡大術等により修復されれば,
拠し,湿性咳漱や呼吸困難で発症し,致死的な場合もあ
機能的根治手術ができる可能性がある.また,高い肺血
る.
管抵抗値に対して,肺血管拡張薬により肺血管抵抗が低
治療:プラスチック気管支鋳型を取り除くことで症状
下した場合,機能的根治手術を検討できる可能性がある.
は改善する.気管支鋳型形成予防には,血行動態の改善
未手術あるいは姑息手術後に長期にチアノーゼが持続
に 加 え, ス テ ロ イ ド 投 与 や t-PA(tissue plasminogen
した先天性心疾患では,低酸素に対する生体の反応とし
activator)のエアロゾルが有効な場合がある
1039)
.
て,体肺動脈側副血管が発達することが,しばしば問題
となる.脆弱な新生血管の破綻は,喀血の原因となる.
外科的治療法
また,原疾患に対する外科的治療について検討する場合,
上 記 合 併 症 の い く つ か を 伴 う, い わ ゆ る Failing
側副血管の存在により,術視野が制限されること,心筋
Fontan といわれる状態では,右房−肺動脈の直接吻合
保護薬剤が過剰に wash out されてしまうこと,左心系に
(APC 型 ) 法 か ら TCPC 型 の 修 復 に 変 更 す る Fontan
容量負荷がかかること等の問題点を認識し,術前に側副
95
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
血管のサイズ,部位,肺野への分布について評価する必
める.右大動脈弓を約 25%に認める.
要がある.術前カテーテルによる側副血管の閉塞,太い
側副血行が発達すれば,その部分の肺血管陰影が増強
機能的側副血管の外科的 unifocalization(大動脈肺動脈
する.
側副血行路単一化手術),結紮が考慮される.
心室中隔欠損兼肺動脈閉鎖
1
解剖学的特徴と病態生理
右軸偏位,右室肥大を認める.
③心エコー法
22 番染色体微細欠失症候群にみられることが多い(40
心機能と大動脈閉鎖不全の評価には有用であるが,肺
~ 50 %)
血管や側副血行の評価は難しい.
1090)
.肺動脈は低形成で,主要肺動脈大動脈側
副血行(MAPCA)の発達の程度により多くのバリエー
ションがある 1091).本来の肺動脈があり,動脈管に血流
④ CT・MRI
を依存する場合には,心外導管を用いた修復術が可能で
肺血管や側副血行の描出に有用であり,特に 3 次元構
ある.肺血流のほとんどが MAPCA に依存している場合
築により立体的に血管走行を把握でき,得られる情報は
には,経年的に MAPCA の狭窄や閉塞のため,徐々にチ
大きい.心臓カテーテル検査も,肺動脈や側副血行の評
アノーゼが進行する.一方,MAPCA が太く肺高血圧を
価に有用である.
伴う場合には,肺血管閉塞性病変,心不全へと進行する
場合がある.
2
臨床所見
⑤肺血流シンチグラフィー
肺動脈の閉塞や狭窄による肺血流分布の異常を把握で
きる.
4
①症状
予後
未修復術の多くは,体肺吻合術や unifocalization 術後
未手術の場合の生命予後は,不良で,死亡率は,1 歳
で,中等度以上のチアノーゼを認める.長期にわたる低
50%,10 歳 92%である 1092).姑息術後は,心不全,労作
酸素血症と全身多臓器合併症に関しては,他項を参照さ
時呼吸困難,大動脈弁閉鎖不全が問題となり,生存率は,
れたい.喀血,肺内出血,脳膿瘍,心内膜炎の危険率も
5 年 83 %,10 年 73 %,20 年 61 %とされている 1093).平
高い.肺動脈閉鎖,側副血行,体動脈肺動脈短絡のため
均死亡年齢は,32 ± 13 歳だが,肺血流の供給に適度な
大動脈血流量が多く,年齢とともに,大動脈の拡張と大
バランスが保たれた場合,60 歳代まで生存することも
動脈弁閉鎖不全の進行を認める.大動脈閉鎖不全は,左
ある 814).主要死亡原因は,突然死,心不全,チアノー
室の容量負荷だけではなく,右室の圧負荷に加え,容量
ゼ増強,不整脈,肺内出血である.
負荷のため,右心不全の急激な進行を来たす場合があ
る 804).
②身体所見
5
治療・管理
妊娠,出産は,母体のみならず,胎児リスクが非常に
高く(特に酸素飽和度< 85%,肺高血圧を認める場合)
,
大動脈弁閉鎖不全や,側副血行が発達した場合には,
流早産,低出生体重児が多い.母体は,肺血栓,心不全
脈圧が広い.右室拍動,大動脈拍動を胸骨右縁に触知す
を伴いやすい.
る.聴診上,Ⅱ音は単一で亢進する.連続性心雑音を広
非心臓手術が必要になる場合も少なくないが,肺血管
範囲に聴取する.収縮期大動脈駆出音,大動脈弁閉鎖不
抵抗低下時のチアノーゼ増強,脱水時の状態悪化等には
全では,拡張期雑音を聴取する.右心不全が進行すれば,
十分な注意が必要である(非心臓手術の項参照).
Ⅲ音,Ⅳ音を聴取することがある.
チアノーゼの増強や MAPCA の発達による心不全の増
3
検査所見
①胸部X線
右室の拡大,左第 2 弓の陥凹,肺血管陰影の減少を認
96
②心電図
悪,肺内出血例に,カテーテル治療を行う場合がある.
狭 窄血管 のバル ーン拡 張,ス テン ト留置, 拡大 した
MAPCA に対するコイル塞栓術,肺出血の原因となって
いる側副血行に対するコイル塞栓術等である.
22 番染色体微細欠失を有する症例では,欠失のない
成人先天性心疾患診療ガイドライン
症 例 に 比 し て 主 要 大 動 脈 肺 動 脈 側 副 動 脈(MAPCA;
major aotro-pulmonary collateral arteries)の合併,中心
肺動脈の欠如,肺動脈の低形成と異常分岐が多く,機能
的根治手術がより困難な傾向がある 1094),1095).また,成
3
検査所見
①胸部X線
人期の精神障害等の合併症を考慮した管理が必要であ
肺動脈閉鎖では左第 2 弓の陥凹,肺血管陰影の減少を
る.
認める.
6
手術
②心電図
労作時呼吸困難やチアノーゼの増強を認める場合,修
復術を考慮するが,肺動脈の発達の程度と心機能が保た
れていることが,修復術の適応決定上重要な条件である.
右軸偏位,右室肥大を認める.
③心エコー法
条件を満たさない場合,Blalock-Taussig 吻合術や右室肺
心機能と房室弁閉鎖不全,大動脈弁下狭窄,肺動脈主
動脈導管吻合等の姑息術も考慮されるが,成人での経験
幹部の評価には有用であるが,末梢肺動脈の評価は難し
は少ない.
い.
単心室血行動態,肺動脈閉鎖・狭窄
④ CT・MRI
1
肺動脈の描出に有用であり,特に 3 次元構築により立
解剖学的特徴と病態生理
体的に血管走行を把握でき,得られる情報は大きい.拡
心房が房室弁を介して,単一心室に連絡する.心室は
左室形態(前方に痕跡的右室),右室形態(後方の痕跡
的左室),未分化型に分かれるが,80%は左室形態をと
る 1096).心室形態や心機能,房室弁閉鎖不全の程度,肺
血管の狭窄や閉塞性病変の有無,大動脈弁下狭窄の合併
等により,臨床症状が異なる.
2
張した大動脈の評価にも有用である.
⑤心臓カテーテル検査
肺動脈形態,肺動脈圧,血管抵抗の評価に有用である.
4
予後
左室性単心室では,5 年生存率は,肺動脈効扼術施行
臨床所見
後 68 %,体肺短絡術後 72 %,右室性単心室体肺短絡術
後 54%である 1099).未手術の場合は,さらに予後は不良
①症状
であるため,従来,未手術より姑息術,さらに Fontan
単心室の未修復例では,房室弁閉鎖不全の合併,チア
術が推奨されていた.しかし,左室性単心室では,肺血流
ノーゼの増悪,心不全の進行のため,約半数は小児期に
量が適度であると長期生存できる例が少なくない 1098).
死亡する 102).成人後も,経年的に,心不全,頻拍型不
また,肺動脈低形成,心機能低下等の理由で Fontan 術
整 脈( 上 室 性 頻 拍, 心 室 頻 拍 ) を 認 め る. し か し,
に到達しない場合でも,Fontan 術後の生存率と大差がな
Glenn 術後では,体肺短絡術後に比べ,心室容量負荷が
く,むしろ不整脈発生頻度が低く,蛋白漏出性腸症等の
少ないため,房室弁逆流が軽減され,心不全や心室性不
合併症も認められない 1097).このため,特に成人では,
整脈は少ない 1097).未修復の単心室では,NYHA 機能分
Fontan 手術の適応決定は慎重に行うことが望ましい 1098).
類 Ⅱ~Ⅲ度の場合が多いが,左室性単心室では,さら
体肺短絡術後と比べ,Glenn 術後は,心機能,不整脈
に QOL が良好に保たれることも少なくない
1098)
.
②身体所見
大動脈弁閉鎖不全の合併では,脈圧が広い.前方に偏
位した大動脈拍動を触知する.聴診上,Ⅰ音は単一,Ⅱ
音は単一で亢進する.大動脈駆出音を聴取する.肺動脈
発生頻度,突然死の点で,予後は良好である 1097).主要
死 亡 原 因 は, 突 然 死, 心 不 全, 不 整 脈 で あ る 1100).
Glenn 術後長期経過すると,肺動静脈瘻が合併すること
が多く 1101),致命的な合併症となることもある.
5
治療・管理
狭窄による駆出性収縮期雑音,房室弁閉鎖不全による収
妊娠,出産は,母体のみならず,胎児リスクが非常に
縮期雑音を聴取する.肺体動脈吻合術後は連続性雑音を
高い(特に酸素飽和度< 85%,肺高血圧を認める場合).
聴取する.
カテーテル治療の適応となる場合は少ない.Glenn 術後
97
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)
の側副血行・肺動静脈瘻に対するコイル塞栓術を行う場
肺血管抵抗値と心機能が保たれていることが,修復術の
合があるが,大きな側副血管や肺動静脈瘻を治療するこ
適応決定上重要な条件であるが,小児期に既に条件から
とは困難である.
外れていることが多い.条件を満たさない場合,Glenn
6
98
手術
手術や Blalock-Taussig 吻合術等の姑息術も考慮される.
心機能悪化例では,心室頻拍の合併も多く,予後が悪い,
労作時呼吸困難やチアノーゼの増強を認める場合,
特に肺体短絡術後では,Glenn 手術への変更や,将来的
Fontan 術を考慮する場合がある.肺動脈の発達の程度,
に心移植も考慮される.
成人先天性心疾患診療ガイドライン
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