1コニャック( Cognac) ボルドー地方の北側に位置するコニャック地方でつくられるブランデーで正式には、 オー・ド・ヴィ・ド・ヴァン・ド・コニャックという。1935 年の A.O.C 法の規定によ ると、コニャックと名乗ることができるのは「フランス共和国、シャラント県およびシ ャラントマルティム県にわたるコニャック地方において、この特定地域に属する、特定 品種のぶどうを原料としてつくられたワインを、同じく法に定める特定の方法によって、 蒸留、貯蔵、熟成したもの」となっている。 この地方の土壌は特殊な白亜質で、 1938 年の法律で 6 つの生産地区に分けられた。 ① グランドシャンパーニュ(GrandChampagne ) 石灰質の土壌で、ブランデーは熟成に年月がかかるが、香り高く繊細で、上品な香 味をもっている。 ②プティシャンパーニュ(PetieChampagne ) やや個性には乏しいがグランドシャンパーニュに次ぐ優れたブランデーを生む。比較 的熟成は早 い。 ③ボルドリ(Borderies) 腰が強く豊かなボディのブランデーができる。①の約半分のカルシウムを含む土壌。 ④ファンボア(FinsBois)若々しく、軽快なブランデー ⑤ボンボア(BonsBois) ブランデーの香味はやや痩せている。 ⑥ボアゾルディネール(BoisOrdinaires) やや荒い風味のブランデー グランドシャンパーニュ地区産のぶどうでつくられたコニャックはグランドシャン パーニュまたはグランドフィーヌシャンパーニュという表示が許され、最高級品である。 プティシャンパーニュは次に高級品である。グランドシャンパーニュ地区産コニャック 50%以上にプティシャンパーニュを加えたものはフィーヌシャンパーニュという名称 の表示が許される。 製造法 ブランデー用のぶどうは、ワインをつくるぶどうに比べ、糖分が少なく、酸味の強い 品種が選ばれる。主体がサンテミリオン(ユニブラン)で、あとはコロンバールとフォ ルブランシュである。10 月始めに収穫、 3∼4 週間で発酵するとすぐに蒸留にかかる。 規定では翌年の 3 月 31 日までに蒸留を完了しなければならない。蒸留はアランビック シャランテという単式蒸留器(シャラント型)で続けて 2 回行われる。1 回目の粗留液 で 27∼30 度のアルコールがえられ、 2 回目の精留液で 69∼72 度のアルコールが得ら れる。精留で得たアルコールのうち、初留部分と後留部分は取り除かれて、中ほどのよ 300l) いところだけが、リムーザン地方かトロンセの森で採れたホワイトオークの樽( に詰められ熟成される。 熟成はシェーと呼ばれる地上庫で行われるが、素晴らしいコニャックに育つには 20∼ 30 年という長い期間が必要で、その間に樽内のブランデーは蒸発する。この蒸発によ る目減りは一年間で1樽 300lのうち 9∼12lといわれる。 コニャックの製造上、熟成に次いで重要な作業はブレンド(調合)である。樽で何十年 と熟成されたものと、若いブランデーをブレンドすることで、生き生きとした味わい深 いものになる。したがって、コニャックにはヴィンテージというものは存在しない。ブ レンドは熟成年数の差だけではなく、原料ぶどうの生産地区の違いにも求められる。コ ニャックのメーカー各社にはメートル・ド・シェと呼ばれるブレンドの最高責任者がい て、各社独自の特徴を持つコニャックに仕上がる。最後の段階で ,40 度に度数を下げる ために蒸留水を加えて,瓶詰めされる。 コニャックでは 熟成年数を表す単位として ,コントが用いられる。すべての蒸留が終 了した 4 月 1 日(ぶどう収穫から約半年後)から起算し、翌年の 3 月 31 日までがコン ト 0、翌々年の 3 月 31 日がコント 1 になり、以降 1 年ごとに数が繰り上がっていく。 そして、フランス国立コニャック協会では、コニャックとして製品化する場合,コント 2 以下の若い原酒を使ってはならないと規制している。
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