医療科学系大学院ガイド - がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン

医療科学系大学院ガイド ver.5.3
医療科学系大学院ガイド
慶應義塾大学大学院医学研究科は、平成 21 年度より従来の基礎的研究を主体とした専攻系
「医学研究系」
(定員 60 名)に加えて、臨床各分野の専門医療人、即ちプロフェッショナ
ルを養成する専攻系「医療科学系」
(定員 8 名)を新設致しました。本ガイドでは、医療科
学系設立の経緯と意義、入学を志願するための要件、4 年間の教育課程の概要、学位取得の
条件などについて解説いたします。
【1】 医療科学系専攻設立の経緯とその意義
慶應義塾大学は、北里大学、聖マリアンナ
医科大学、東海大学、山梨大学、首都大学東
京、聖路加看護大学、共立薬科大学との共同
申請により、平成 19 年度がんプロフェッショ
ナル養成プランに採択されました(信州大学、
東京歯科大学ものちに参加)。このプログラム
は、大学及び大学院における教育の活性化を
促進し、将来のがん医療を担う医療人の養成推
進を図ることを目的として文部科学省より提
案のあった事業です。本プログラムの採択に
伴い、平成 20 年度より大学院医学研究科にがん治療専門医療人養成のための枠を設置いた
しました。更に、私達医学研究科は独自のアイデアとして、がん医療に限定せず、臨床分
野における質の高い医療の提供と疾患の根治を目指した本格的な臨床試験を計画・実施できる
人材の育成、更には医師以外の医療関連人材の育成をこの大学院のコースに組み込み(臨床
研究プロ育成プログラム)
、新たに医療科学系専攻として立ち上げることに致しました。本
専攻の卒業生が、将来国内外において各種疾患の最先端治療を担うリーダーになることを
確信しています。
【2】 各種プロフェッショナル養成コースと入学志願要件
現時点での医療科学系専攻のプログラムは、がんの専門医療人を育成するためのプログラム
と臨床研究のプロを育成するプログラムの二つに大別することができます。
がんプロフェッショナル育成プログラムとしては、
① 内科系臨床腫瘍医養成コース
② 外科系臨床腫瘍医養成コース
③ 放射線治療専門医養成コース
④ 緩和医療専門医養成コース
⑤ リハビリ専門医養成コース
⑥ 臨床医学物理研修研究コース(医学物理士養成コース)
の 6 つのコースが設定されており、志願者は入学後それぞれの指導を担当する予定となる教
官と、どのコースを選択するかを志願書提出前に慎重に相談していただくことになります。
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医療科学系大学院ガイド ver.5.3
以下にそれぞれのコースの入学要件について記します。
① 内科系臨床腫瘍医養成コースを希望する内科系医師:一般内科学の研修(初期研修 2 年
と内科学での最低 1 年間の後期研修)を修了していること。
② 外科系臨床腫瘍医養成コースを希望する外科系医師:初期臨床研修 2 年間、後期臨床研
修 2 年間(2 年間とも関連教育施設での研修)を修了したあとの入学を基本とするが、
専門領域によっては 1 年早く入学できる場合もある。
③ 放射線治療専門医養成コース:初期研修 2 年修了後(または修了予定)ならば受験可能。
④ 緩和医療専門医養成コース:精神科の場合は初期研修 2 年間,後期研修 3 年間を修了し
ていること、麻酔科の場合は初期研修 2 年間、後期研修 4 年間を修了し麻酔科専門医の
資格を有することが望ましい。
⑤ リハビリ専門医養成コース:初期研修 2 年修了後(または修了予定)ならば受験可能。
⑥ 臨床医学物理研修研究コース(医学物理士養成コース):理工系大学および大学院修士課
程修了していること。
臨床研究プロ育成プログラムは、質の高い臨床研究を自ら立案・実施できる臨床研究専
門家養成コース(医師向け)のほか、臨床医学分野、予防医学分野、国際保健医学分野等
における臨床研究、疫学・生物統計学研究、医療技術評価研究の専門家養成コース(医療・
保健専門職向け)の設定を予定しており、同様に、志願者は入学後それぞれの指導を担当
する予定となる教官と、どのコースを選択するかを志願書提出前に慎重に相談していただ
くことになります。
【3】 4 年間の教育課程の概要と学位取得
1)がんプロフェッショナル育成プログラム
本プログラムを選択した大学院生は、初年度にがん医療の基盤的知識及び幅広いがん治療
に関する講義を受講するとともに,2∼3 年次には複数の診療科やがんプロ連携施設(静岡
がんセンター、駒込病院など)をローテートし、多様な がんに対する化学療法、分子標的
療法、放射線療法、低侵襲外科、緩和医療などを実地で経験することになります。4 年次に
はがん患者の治療計画をリーダーとして立案遂行する訓練を受け、専門的知識と技術を磨
くとともに種々学会等の癌治療関連の専門医の受験資格を得ることを目標とします。また
この間、MD アンダーソンがんセンター医療エキスパート育成コース(20 年度は 8 月 8 日
∼9 日)、がん薬物療法 update をはじめとする多くの短期インテンシブコースにも積極的
に参加し、がん診療のトランスレーショナル研究に関して常に最新の情報を取得するとと
もに、チーム医療についての実践的能力を身につける事を目指します。さらに、一年次か
ら教官の指導のもとで臨床研究のテーマを選び実施し、英文論文を作成することにより学位取
得を目指します。
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医療科学系大学院ガイド ver.5.3
平成 20 年度入学者の教育課程
1 年次:
4 月 18 日∼28 日
集中講義I(副科目「基礎腫瘍学」15 コマ、
「臨床腫瘍学総論」9 コマ)
12 月 1 日∼1 月 16 日
集中講義 II(副科目「臨床腫瘍学各論」9 コマ、
「緩和医療学」5 コマ)
12 月までに臨床研究テーマを選択し、内容について個別面談
11・12 月開講の「臨床研究入門」(クリニカルリサーチセンター主催)受講
(副科目「臨床研究方法論」)
2∼3 年次:
4月
集中講義Ⅲ(主科目「臨床疫学」副科目「医療統計学」計 30 コマ)
[H21 年度は主科目「臨床疫学」「医学統計学」「医学統計学実習」計 30 コマ.]
4 月下旬
臨床研究テーマの検討会
5 月∼
がん診療科ローテーション
血液内科、腫瘍外科手技、緩和医療、放射線治療などを必修のローテンションと
する、二年間の研修プログラムを個別に立案、実施する。
3年次はがんプロ連携施設での研修も可能
2年次 10 月、3 年次 4 月、10 月にフォローアップ・ミーティングを開催し、研修
プログラムならびに臨床研究の進捗について確認を行う
4 年次
4 月 臨床研究テーマの中間報告会(履修内容審査に相当)
その後、随時学位論文の提出、審査
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