新建築住宅特集 ☆媒体概要 雑誌名 二二一㎜︶ 毎月一九日発売 月刊誌 創刊 一九八六年 刊行形態 三万五千部 体裁 A4変型判︵二九七㎜ 本体一︑ 九〇五円+税 発行部数 定価 株式会社 新建築社 所在地 〒一〇〇 六 - 〇一七 東京都千代田区霞が関三丁目二番五号 霞が関ビルディング一七階 電話番号 〇三 六 - 二〇五 四 - 三八〇︵代表︶ ●広告部 電話番号 〇三 六 - 二〇五 四 - 三八二 FAX番号 〇三 六 - 二〇五 四 - 三八七 E-mail [email protected] URL http://www.japan-architect.co.jp ☆媒体データ 読者の多くが第一線 で 住 宅 設 計 を 手 掛 け る 設 計 者 で す ︒ エンドユーザーの読 者 比 率 が 近 年 高 ま り つ つ あ り ま す ︒ 定期購読者が七割を 占 め ︑ 全 国 に 広 く 読 者 が 分 布 し ま す ︒ 媒体資料 455 1,365 していて︑初めは家をつくるのではな た︒なんとなくイメージがないまま数 ハウスメーカーなどに相談してみまし 不 動 産 や さ ん の 知 り 合 い や 僕 の 友 達︑ らなくて戸惑ったこともありましたが︑ ここでずっと住み続けることを考える マ ン シ ョ ン を 探 す の も 大 変 で し た が︑ 由利香さん 今までたくさんの家のプランを見てき 安心になりましたし︑谷尻さんがいら これは僕たちにとってはとても大きな 本 当 に レ ス ポ ン ス が よ か っ た ん で す︒ ぐに敷地を見にやって来てくれました︒ た中で︑谷尻さんの案は私たちの思い をくんでくださったものであることが 00 2,1 んなこともあって︑鉄の和室や︑家具 などの造作等々︑多くを手づくりでつ くっていただいていて︑それもとても 気に入っています︒ もちろん︑家を建てる方々がみなさん そうであるように︑いろんなところで コストの調整はありました︒その時に︑ 私たちは﹃住宅特集﹄を見て︑使用す る同じ素材を使ってある住宅を見つけ ては確認し︑どんな素材がよいかも本 に付箋をたくさん貼って話をしたんで すよ︒たいへんなことが多かったこと は 確 か で す が︑ 今 思 う と と て も 楽 し 谷尻さんは︑ご自分が設 ことはありますか? 家 を 建 て た こ と で︑ 生 活 の 中 で 何 か 変 わ っ た かったです︒ 由利香さん 計された住宅ができると︑今までの建 らに人の輪が広がった気がしています︒ つながりができて︑家を建ててからさ お話しました︒そんな風に︑人と人の ちもいくつか拝見し︑そこに住む方と 主さんにも連絡をしてくれます︒私た 谷尻さんご自身も︑名古屋に来たとき は気軽に寄ってくれます︒これからも︑ 近所の人や子供たち︑遠い街から訪れ てくれる人たちに︑お花と建築のある 空間を楽しんでもらえたら嬉しいです ね︒ 文責 本誌編集部︶ ︵二〇〇八年十一月九日︑名古屋の住宅にて︒ 08 1,5 1,5 08 く︑マンションの購入を考えました︒ カ月ほどして︑基本設計ができ上がっ 13 二 宮 由 利 香 さ ん︵ 以 下︑ 由 利 香 さ ん ︶ ていたと思うのですが︑何か︑どうし 6,1 何軒もマンションのモデルルームを見 ても納得ができない感じがあって︑妻 土地は︑お店の条件も満たす場所はな して︑お話をして︑その場でお願いし 72 に行きましたね︒だけど︑なかなか住 ともあります︒ とも話して︑一度計画を白紙にしたこ かなか見つかりませんでした︒ ようと思うことができました︒ 一目で分かり︑伝わるものがあったの で︑計画案もすぐに決まりました︒私 9 62 1,6 2,0 25 96 2,8 910 4,095 6 ,22 12 910 1,1 24 455 1,590 10,465 13 6,1 910 4,550 月刊﹃新建築住宅特集﹄は︑一九八六年に創刊しました︒全国の住宅建築を取材し︑さまざまな作品を美しい写真や︑ 4,550 2,050 1,820 86 4,1 図面とテキストを編集した誌面で紹介しています︒ 1,820 319 1,820 319 1,820 982 ▽ 600 600 うな世界なのか。 ※「朝日新聞」2009.5.1 家づくり・設計に必要な情報と資料を建築家と密に連携して発信します。 周辺に頼れない風景 テキストと写真で語る家の魅力 10,465 者の資 格を定めて、その業 務の適正をはか 術館からデンマークを代表する画家である 910 り、もって建築物の質の向上に寄与させるこ ﹁ 住 宅 ﹂の 魅 力 は ど こ に あ る の か? 写 真 と テ キ ス ト︑ 両 方 の コ ン テ ン ツ で 伝 え る 誌 面構成︒ ﹁見る﹂ことだけではなく︑ ﹁見て 読み込める﹂作品紹介︒ 詳細な 図面 455 折しも時を窺っていたかのように、上野の とを目的とする」 。では、 建築家の使命とは? は、小さ 内観、既製品箱金物で浮き上がった柱脚が 練 馬の家 1,365 違いがあるのは周知の事 実です。現時点も 細な時間の中から「新しさ以上に大切なこと 本誌 月号に掲載された特別記事「求め続け を問い直すよい機会になりました。 と「自然の 考えるべきだろう。 とても新鮮。考えてみれば独立柱で浮き上 4,095 含め新しい構 造 体の可 能 性は、いままでに 山の大いなる賑わいとは対照的に、西洋 美 築主の理解なくしてはなし得ないはずで、は も増しての時間と資 金と労力と、そして建 くのか。申 請手続きの混乱はしばらくの間 たしてこの先の状況はどのように展開してい 信していました。静かなる詩 情だけでは語 ヴェルヘルム・ハンマースホイ展が静寂を発 作品、鉄筋コンクリート造302作品、鉄骨 1、 600作品 うか。本誌一九九九年一月号から二〇〇八年 何を根 拠に構 造体を決定しているのでしょ ものがあります。 れない多くの問いかけがあり、目を見 張る 中割合の多い順に列記すると、木造が510 情熱から新たな構法が生み出されることを 世紀初頭 全性と品質をプライオリティの上位に据え 期 待したい。また建 築 物をつくるとき、安 は続くであろうが、信 念をもって粘 り 強い れることになりました。決してノスタルジッ 欠落を、くしくもデンマークの画家に知らさ の豊かさから醸し出される清らかな精神の 間と忘れてしまった日本の静けさ。つまり心 識するがあまり騒々しく過ぎ去っていく時 きました。静 寂の時間が止まる。世界を意 のような作品群に新しさを感じることがで い室内。何気ない日常の一瞬を切り取ったか に描かれた、室内の女性の後 姿と誰もいな 世紀末から 作 造210作品。混構造では、鉄筋コンクリー 品、鉄筋コンクリート造+鉄骨 造+木 造 造+鉄骨造210作品、鉄骨造+木造 ト造+木造は239作品、鉄筋コンクリート こうぞう クな後ろ向きの思考ではありません。大 げ さな方法論を生み出さなくとも、日常の些 は何か」を、改めて自らの新しさの再 定 義 然との共存を求めて」 たうえで豊かな意匠があることを忘れてし 豊かな傾斜地に住む」 作品。またレアケースとして、鉄板造4作品 ます。圧巻です。 大いなる希 望と反省を浮き彫りにされてい 的でかつ警鐘を打ち続けているかに聞こえ、 日の日本の状況を暗示するかのように示唆 なエリアに対する指 摘ではありますが、今 た自然との共存」の中で、石井修先生の「自 は、建築物の設計、工事監理等を行う技術 この法律 する。そして建築士法第一条 民の生命、健康及び財産の保護を図り、もっ 及び用途に関する最低の基準を定めて、国 この法律は、建築物の敷地、構造、設備 ら。あえて明記します。 「建築基準法第一条 まっては元の木阿弥になりかねません。それ が昨年の法改正の目的でもあるわけですか て公共の福祉の増進に資することを目的と 成一九 年六月二〇日以 前と以降では大きな 全という原理原則があるとするならば、平 要件に、少なからずとも地震大国ゆえの安 結果なのでしょう。しかし、この構法の決定 プライオリティの最上位により決定された 択 肢から、意匠・予算・工期 等を検 証して ブロック造7作品があります。住宅を設 計 やアルミ造3作品、木造+型枠コンクリート する目的を果たすうえで、数ある構法の選 しかし多くのメーカー・設計者は「他者に特 十 分な接 合部なのでこのような処理でまっ がり もないし、もともと三角 プレートでも これだけの処理で平 面の連続感が大きく変 設 計 者 や︑ 家 を つ く る 人 に と っ て 重 要 な 情 報 と な る 詳 細 な 図 面 の 掲 載︒ 家 を 構 成 す る 製 品 機 器 や 家 具 と い っ た 細 か い 部 分 ま で も︑ 空 間 を つ く る 要 素 として示しています︒ 1,365 速すぎず、遅すぎずのこの場所が今はと ミュニケーションがあります。スピードが ても気に入っているんです。 多くの雑誌に溢れている。これだけ 「手の内」 互作用(プログラミングでいえば、他者によ 動と違うのは、建築コミュニティではやや相 許を先取りされる事態を防がんために」労 の 新構造・新工法 を払って特 許 申 請をしているようにも見え たく問 題ないことはすぐ 合点がいく。ただ る。その意味で、須永さんの「この工法はす 一方、図 面の配 布 方法などには非 常に神 経 チは、きわめて「あり」だと感じた。 トをもって特 許 問 題を封じ込めるアプロー でに公知の事実である」というステートメン ク 白いと思う) 。しかし住宅の世界でそのよう 肉ではなく、本 当に日 本のマーケットは面 な微 分を繰 り 返していくことにはいささか わることに感心した。 とはまた違うアプローチで、何らかの構造・ を使われている様子で、 「広く使ってほしい」 8 ,39 25 2,0 12 l= みたいと思うものには巡り会えません 910 年 幌でもドイツでも、家に人が呼べる場所を 探したかったこと、それから、ドイツでは、 なぜこんなに引っ越したのかというと、札 ともあったと思います。僕は、家だけでは り着くまでにも特にこだわっていたことだ 家から足をのばせばいろんな場所やお店 なと思っていて、ドイツから東京へ戻って からと思って、神宮前に住むことにしたん きた時、せっかく東京にはじめて住むのだ です。神宮前は一歩入ると住宅街だったり、 に行けて、とても便利な場所でした。でも、 だから、日常の暮らしの中で、そういう生 音の源になっているんですね。それを遮断 活や自然の音を聞けること自体が時分の あって、だから家では遊ばないんです。い 頃の家は、外に出るための家だったのだと 思います。その後、この仕事を始めて札幌 十二月号までに掲載された 住まい ︵住宅︶ 空間の価値を伝えていきます ︒ 回引っ越ししま した。それから、たまたま仕事でドイツの 着き先を見つけるまで ハンブルグへ行きました。その時も もその近くに住みたかったんです。それは、 アルスター湖という湖があって、どうして なので、そこで製作と衣食住が一緒にあり をするのは僕の場合は無理で、家が基本 間で 回引っ越しをしました。 仕事場と普段の生活が常に同じ場所にあ 僕にとって家は、ベースキャンプというイ メージが常にあります。というのは、僕は ることがとても大切だからです。たとえば スタジオやオフィスだけあってそこで仕事 ながら、その時間の中で曲を思いついた瞬 距離感が生まれ故郷の環境に近かったこ 間に仕事ができる環境でありたいと思って 識的になるみたいです。それはこの家に辿 なく、その周辺環 境に対して、とても意 ひとつの行為なので、家でやらないとでき います。作曲をするというのは、家の中の 時とい 時〜 ないタイプなんです。会社で仕事をする う勤務時間帯が決っていますよね。作曲 ということは、たとえば はそういう決まった時間の中でする仕事で ま ざ ま な 日 常 の 音 を 取 り 入 れていま す。 はないんです。それに、僕は曲の中に、さ してこの駒沢公園近くに引っ越しました。 近くで大規模な工事が始まって少し騒が ここは緑もあるし、建物は道路に面してい しかったこともあり、いろいろな場所を探 家について意識していることを改めて考え ありましたが、全然創作活動につながり ませんでした。 したスタジオの中で一度仕事をしたことが ずだし、あとはこの周辺の商 店街の方と 東京の中心地への距離も近すぎず遠すぎ るので、常に都市の音が聞こえてきます。 野球場があって、道路を挟んで湖があった 頃は、家のすぐ近くにグラウンドがあって、 も日に日に仲 良 くなって、温かい人のコ まででいちばん小さな場所でした。子供の の方ですが、その時に住んでいた場所が今 てみると、僕が生まれたのは北海道の北 ので、そこまでが自 分の家という意識 が つも外に出て遊んでいました。だからその へ出て下宿生活しましたが、最 後の落ち )を 活 用 する www.creativecommons.jp/ などして(学会や告示による一律定義ではな から、そんなことを考えさせられた。 建築界でもクリエイティブ・コモンズ ( http:// 利用と権利保護のバランスを決めるシステム く各設計者の主体的判断として)配布・再 コンピュータソフトウェアの世界では、オー 最 終 的にはオープンソース的 思想につなが されている以上、新工法がなるべく「一発芸」 るような気がしたのだ。 が必要ではないか。これだけの「建築家によ 合、自分も含め「特許」というのはあまり馴 こと建 築スケールのアイデアが生まれた場 文化はあるように思う。 (もちろん図面化で る住宅」が日本の都 市ストックとして生産 プンソースによる開発方法が以前から一般的 染まない手段かも、と考える人は多いよう なものになっている。世界中の大勢の目にさ だ。特 定のデバイスならいざ知ら ず、既 知 らされると、あっという間にバグフィックス きる情 報がすべてではないが)材 料があれ の素 材と力学 現 象の組み合わせ方について が提 案されていくのだという。建 築の世界 にも、昔からちょっとした「オープンソース」 ば す ぐ 真 似で きる だ けの 設 計 ノ ウハウ が、 「発明」と呼ぶことにやや抵抗を覚えるのだ。 や「一企業の新商品」に留まらない仕組みを ちょっとほかにはないかもしれない。 を 進 ん で 公 開 す る 文 化 を も っ た 産 業 は、 ただ、現在オープンソースと呼ばれている活 るバグフィックスの提供や拡張機能の追加) に欠ける点。 「自身の方法論を公開して認知 される」ところまではいくが、それに対する フィードバックの回路が(ないとはいわない 誰も他人のアイデアをコピーしたくて設 計 が)相対的に細いというか。 をしているわけではないし、常に差別化すべ しという強迫観 念もあるから、毎月のよう に新構造・新工法が誌面を賑わしている。 (皮 ローズド工法としてフランチャイズ化するの (観る方も)疲れているのではないか? 利を守る」ことの難しさが理解できる。 という気持ちと「設計者・表現者としての権 キ ッ デ でした︒私は昔からすごく建築が好き 僕たちも設計が進むという過程が分か で︑ 年ぐらい前に書店で﹃住宅特集﹄ を見つけてから︑毎月チェックして気 に入った号を購入していました︒雑誌 で見ていた住宅への憧れもあって︑家 いうのが︑最後の最後で気になってし を建てようかという話になったんです︒ と︑どうしても納得ができない部分と まったんですね︒ それで︑妻と一緒にもう一度﹃住宅特 日常の生活として︑僕は会 集﹄を見直して︑こんな住宅に住んで 拓也さん みたいと思った谷尻誠さんにメールを 社で働いていますが︑妻はもともと浜 送ったんです︒ その後に︑別の設計者の方にお願いを 驚いたことに︑谷尻さんからは次の日 松ですごく素敵なお花屋さんで働いて に連絡をいただきました︒そして︑す したりもしたのですが︑お忙しい方で なので︑アートと接することができる 何カ月かご連絡がいただけなかったり ギャラリーがあって︑妻のお花屋さん い て︑ 浜 松 に ふ た り が お 気 に 入 り の も一緒にある家で生活をすることが僕 ギャラリーがあったので︑そこで気に たちの夢にもなっていたので︑実現し して︑それもすごく不安になりました︒ ようと思ったんです︒ 入ったアートを少しずつ購入すること を楽しんでいました︒ この土地にめぐり合ったのは︑本当に 由利香さん が昔からすごく鉄の素材が好きで︑そ クリ うがよいかもしれない。 3 64 8 ,88 11 w= 25 2,0 96 2,8 階がフローリストギャラ という花とアートと建築が一体となっ 偶然で︑名古屋方面から車で家に帰る だ さ っ た 住 宅 の 案 は た っ た ひ と つ で︑ 谷尻さんがもってきてく 途中︑裏の小学校の桜がきれいで見と それからは土地探しです︒ れ て い る と︑ ﹁売り地﹂の看板が目に いいえ︑決めていませんで ていましたか? そ の と き︑ 家 を 建 て る 設 計 者 の 方 な ど は 決 め 拓也さん 455 須永豪さんの杉シェルター 枚重 等の珠玖案はさりげない 43 3,5 シ ッ サ リー 名 古 屋 の 住 宅 は︑ 供 た ち が 放 課 後 遊 び に き た り︑ 道 路 に 対 し て た 空 間 に な っ て い る︒ 裏 手 が 学 校 の た め︑ 子 くはない場所でも街行く人が立ち寄って行く︒ 全 面 が 開 く 店 構 え の た め︑ 決 し て 人 通 り が 多 家 を 建 て る こ と で︑ た く さ ん の 人 に 出 会 う こ さん︑由利香さんご夫婦に話しを聞いた︒ ︵編︶ 寸法やディテールを読み込める詳細図 工法を「育てる」ことを真剣に考えてみたほ 資材置き場に囲まれて 争った。 さもあって対案として最後まで票を もしれないという小俣案も、写真のよ イロニカルな屋上の楽園となる……か 憶の一部が光に晒されて、いささかア えない別世界で、過ぎ去った生活の追 字) だったのかもしれない。( 400 一方、廃屋の屋根を取り払えばしか見 あ れ も ひ と つ の 立 派 な「 屋 上 の 楽 園 」 空や遠くを眺めていたことを思い出す。 の上の物干し台に登って兄弟や家族と モア感覚がよかった。子供の頃、屋根 案の「キリン」はすっきりとしたユー て審査委員の支持を得た。井出・桝田 中にそこはかとない詩情をたたえてい ある。特に 屋上の楽園を現出させようとした案で 干の視点の変化をつくる形で、小さな 工夫を加えることで、日常の連続に若 いうふうにいつもの風景にささやかな て先に小さなプレートを置いたり、と ねたり、屋根から梯子を高く突き出し 一戸建住宅の屋根にプレートを いの中で上位になったのは、住宅街の 深く多彩な提案が集まった。力作ぞろ まな想像をかきたてる。おかげで興味 屋上の楽園」という課題は実にさまざ 長野県北佐久郡軽井沢町 大石・田中・篠崎案の、空や雲の中に 25 2,0 24 貝島桃代 折ー 頁/ 月号 『住宅特集』 2009 年 折ー 頁/ 月号 『住宅特集』 2009 年 都会で働いて、自然の懐に帰る。 ランダムさから広がる可能性/神奈 工房 川工科大学 KAIT コラム ﹁家﹂のこと︑暮らしについて今一度 それぞれの心の中にある住まいを見 直し︑住宅の価値について再考しま す︒ エッセイ 近作を建築家が実際に訪ねて綴った エッセイや︑﹁住宅﹂周辺に起きて いる時事について建築家の立場でさ まざまに発言する場︒ 連載 若手建築家の思考を探る連載﹁今︑ 住宅をつくるときに考えること﹂ ︵青 木淳氏と若手建築家対談︶︑日本全 国のまちづくりの取組みを巡る﹁ま ち居住 2009 ﹂ ︵太田浩史︑西田司︑ 真野洋介ほか三氏︶︑住まいの現在 を物語とイラストで紹介する﹁住宅 物語﹂︵塚本ゆり執筆︑寺田晶子イ ラスト︶︑建築家の自邸から学ぶ試 みや︑構造について等々︑﹁住宅﹂ を取り巻くさまざまな観点を伝えて いきます︒ 大きな吹抜け空間と側面の小さな居住スペース 給気口 ふたつの環境をもっていることが、 らずいたる所にテーブルやら椅子やらソファ 少し前までここに住んでいたけれど、相変わ 旦那と一緒に、姉の家を訪ねた。休日の午後。 が置いてあって、庭がリビングみたい。地面 4,550 折ー 頁/ 月号 『住宅特集』 2009 年 折ー 頁/ 月号 『住宅特集』 2009 年 気持ちを切り替えてくれます。 ﹁森と別荘のある家﹂ 文・塚本ゆり めしているようで、すごく贅沢だなと思う。 棟 住人の妹 う……。 だけの映画鑑賞。 これもまた贅沢だ。 見終わっ 庭の木に洗濯物を干すのだが、あるとき気が 住人たちの生活が少しずつ外にしみ出してき 1 エ ッ セ イ : 住 宅 を 読 む アトリエ・ワン 家とは 何かを知る 場所をつくる/﹁ t project ﹂ あたたかな気配 夜は3階や離れで、冷えたビールを飲むのが おいしい。大きな窓から月明かりと周りの家 照 明はいらない。ほかの家はみんな 重たい の明かりが入って来て、ほんのり明るいので、 森山さん 庭で歯磨きをすること。私の毎朝の日課。地 カーテンを閉めてしまうから、夜景を独り占 下の寝室から階段を上る。最初に目にするの かけた。もう外に出たような気分だ。シンノ は家の前の道路。今日は散歩している人を見 を観ること。壁に大きく映してひとり 夜といえば、もうひとつの楽しみは、離れで に明かりがついていて、住人たちが帰って来 て、さて寝ようかなと外に出ると、ほかの棟 小鳥が鳴いている。今日は晴れるかな。空を スケおはよう。一緒に歯を磨こう。ピチピチ 起き出してくるだろう。私だけの、静かで穏 若い住人たちは、貴重な休日の朝、ゆっくり たのに気づく。いつの間に帰って来たんだろ 見ながらぼんやり考える。 隣の住人の シャツが風に揺れている。彼は やかな時間。 となくいい感じだから、それがそのまま日常 になっていった。素っ裸で窓を開けたまま寝 96 ナラ 機械室 GL+750 2,8 外部テラス ている外人もいるし、ここでは、そんな風に 2009 01 116 25 2,0 D て、混ざり合っている。いちばんはみ出して 13 6,1 C のみ写真提供:シリウスライティングオフィス 本棚 ディテールの写真や家具の図面などの情報が 多数入ります. 1,1 suppose design office て遥か彼方まで視界が広がり、今度は眼下に木々のつく ついたら干してあった。でもその風景がなん 17 3,2 屋根・外壁/ガルバリウム鋼板 t=0.35mm 収納 St=75╳75╳4.5mm角 平葺き がるのではないかと考えた。 外部仕上げ C B ベンチ +380 (若松) の存在が、単なるピロティ形式とその下の地面との関係 る勾配が見えてくる。大きな水平面をつくったとしても、 オーブン付薪ストーブ は相変わらず雑木林の中なのである。ところが、たとえ 工事期間 2006 年 12 月~ 2007 年 8 月 GL+750 St=75╳75╳4.5mm角 ダイニング C 暖炉: 珪藻土 t=2mm コテ仕上げ 下地モルタル t=20mm ラス網 を産み出してしまうが、どこまでも続くカラマツの斜面 ば木に登り頭ひとつ高いところに出れば、状況は一変し 数の「垂直線」である。 ケール」のある「傾斜面」、そしてカラマツがつくる無 道路幅員 西 8.4m 水平な床は、一旦は地面と縁が切れ、建築/自然の対比 立しているので、木々のトップを結ぶラインと地面の傾 に留まらずに、変化に富んだ環境をつくり出すことに繋 注目したのは、場所の広さも然ることながら広大な「ス 第一種低層住居専用地域 22 条指定地域 木々のつくる傾斜が絶えず斜面を意識させる関係になる 斜とは平行線を辿る。いくらただ単に山を登っても風景 見えない。敷地境界は分からないほど森が続く。 敷地条件 ことに気がついた。 まっすぐに細い幹の針葉樹が地面からほぼ同じ高さで林 D 地下 1 階 50.2m2 昔会社で、ふたり暮らしなのにそれぞれの部 延床面積 308.8m2 降りる傾斜面。辺り一面は木々に囲まれ、周囲に建物は 設計期間 2006 年 1 月~ 2006 年 11 月 広がるカラマツ林の斜面 森のツリーハウス周辺 (建蔽率 8.72%許容 20%) 屋はなくて、かつ扉もないと同僚に話したら、 建築面積 255.2m2 びっくりされた。家の中と外がものすごく近 軒高 5,850mm 最高高さ 8,890mm ごろ置いてある。なんだか、樹が大きくなっ 敷地面積 2970.5m2 だか中なんだか、よく分からない。住んでい 地下 1 階 地上 2 階 給気口 (容積率 10.4%許容 20%) モミジ 規模 の短冊状敷地である。短辺の両側が接道していて登って 外部収納 GL+180 外部収納 GL+180 基礎 杭基礎 た気がする。 給排水 給水方式/上水道直結 に植わった木もあれば、鉢植えも結構ごろ 天井/スギ縁甲板 t=12mm OS いし、家と家の距離も近いから、庭が外なん 給湯 柿の木などの樹々を植えた庭と、そこから見 板 t=4mmOS える景色が気に入っている。車が入って来れ 壁/スギ縁甲板 t=12 OS オーク人工柾合 DI NOI ……B ない路地みたいな場所。外の道路からひょい リビングソファー/アルフレックス UNO 木製建具 キマド 担当/池典夫 木製 PS ……C 洗面室・乾燥室 マーク 2 ネクター LG) 鋼製建具 カンテック 担当/渡辺敏 鋼製 空調 を飲んだり、お客さんと話しこむ。みかんや 設備システム と敷地に入ると、時間の流れがゆっくりにな これからのすまい テーマ: 水栓金物(GROHE 3232200J) 畳室 配置図 縮尺 1:1,000 撮影/本誌写真部 中山保寛 壁/アッシュフローリング t=12mm オーク人工柾合板 オーク人工柾合 t=4mm OS 主体構造・構法 鉄筋コンクリート造+木造 第5回 ダイワハウス コンペティション 論文募集 今年で 年目を迎える「ダイワハウスコンペティション」では、住宅をテーマとした論文を募集します。課題は 疎化、エコロジー、安心・安全、教育、快適性、……。これらの社会的背景に対して建築は何ができるのでしょ うか。 今回のコンペティションでは、 課題のディテールを明快に設けていません。各審査委員から 「これからのすまい」 という課題に対してメッセージをいただいていまが、これはあくまでヒントであり、各審査員からのメッセー ピボットヒンジ(ベスト NO153-PC) B A 電気 千曲電業 担当/島田重美 洗濯室 N 給湯方式/石油給湯器 GL+700 水栓金物(TOTO TBC20) (GROHE 3362400) 950 GL+750 ヒーター 薪ストーブ(中山産業 バスルーム ガラス用ドア丁番(スガツネ DG-CS1000) パウダールーム 食器洗器(AEG 85060Vi) ツマミ(MK W-35 150) 玄関 建築金物/ トイレ 暖房方式/温水式床暖房・温水式 レバーハンドル(堀商店 LBR-L) アウトセット折戸レール(アトム OFD-3N) 床/畳 t=50mm GL+720 GL+690 天井/窯業系サイディング t=12mm 撥水材 照明/ SOL-S(NIPPO) キッチン 天井/ PB t=9.5mm EP この場所は、いわゆる別荘地ではなく、小高い山の一部 1 階 186.7m2 ピボットヒンジ(ベスト NO153-PC) St φ=80mm 構造・構法 せ、部屋の中心に光源だけが浮いている。電線は丸パ イプ内に仕込む。 資料提供:若松均建築設計事務所 寄せ棟の頂点から極細のワイヤーで吊り下げる。根元 A 寄せ棟の 2 階 71.8m2 ツマミ(MK W-35 150) 南側外観:エントランスは山を登りきった北側車寄せからアプローチする。 下:地下 1 階の内階段 A 越しにピロティ駐車スペースを見る。 外構造・造園 アジア工芸 担当/小林真 C 細い丸パイプを方形の天井面に対し垂直に片持ちさ は仕上げ材の中にあり隠れて見えない。 は仕上げ 工程 床/ウォールナットフローリング リビング 特集のテーマごとにさまざまなテキストや 図面・写真を入れます。 ジをそのまま解答していただく必要はありません。また、社会学、経済学、民俗学など、さまざまま視点を加 天井/窯業系サイディング t=12mm 撥水材 450 バスタブ(TOTO PVZ1640)……D 設備 アサマ設備 担当/塩川昭則 屋根板金 藤巻板金 担当/藤巻忠男 2 階居室 床・壁/フォルマスレート t=15mm 撥水材 床/アッシュフローリング t=12mm OS 排水方式/浄化槽 照明/ニッポ電機(SAL-S)ペンダント制作 床/アッシュフローリング t=12mm OS 担当/土屋智弘 担 「これからのすまい」 。 壁/フォルマスレート t=15mm 撥水材 照明/モデュラージャパン(10880109) 975 ガラス引戸金物(スガツネ GM100) IH ヒーター(パナソニック KZ-VSWC) 木工事 川西 担当/小林文昭 家具 システムプランドゥー A コンクリー 外壁/スギ縁甲板 t=12 mmOS えていただいても結構ですが、最終的に「建築」として何ができるのかを論じて下さい。 建築は社会を変える力を持っています。さまざまな事象を踏まえて、建築の可能性を語って下さい。 提出内容 結果発表 ﹃新建築住宅特集﹄二〇一〇年一月号およびウェブサイト上で発表 床/サイザルマット t=9mm ラーチ合板 t=12mm 梁現し OS 外構/自然石アスファルト舗装 芝貼り 千 GL+750 オーブンレンジ(AEG B5701) 建築金物/ 施工 厨房機器/ 照明)MAXRAY(MS10051-81) 担当/戸恒浩人 浴場 水栓金物(GROHE 32358) t=12mmOS MS10051-81(MAXRAY) 照 明 / SAL-S(NIPPO) DE-2599( 山 田 照明計画 シリウスライティングオフィス 洗面カウンター(制作) 天井/スギ縁甲板 t=12mm OS PB 横濱久美子 *(* 元所員) 照明/ SAL-S(NIPPO) し OS 担当/金箱温春 望月泰宏 壁/ 100 角タイル t=5mm 建築 若松均建築設計事務所 ラ ー チ 合 板 t=12mm 梁 現 t=9.5mm EP 構造 金箱構造設計事務所 アウトセット折戸レール(アトム OFD-3N) 柾合板 t=4mm OS 担当/若松均 白子秀隆 * レバーハンドル(堀商店 LBR-L) 2,730 1,820 910 910 GL+100 キッチン 壁/スギ縁甲板 t=12mm OS オーク人工 設計 「すまい」をめぐる問題はさままざにあります。たとえば、少子・高齢化、核家族化、医療・福祉、密集化と過 山本理顕 ︵横浜国立大学大学院教授、建築家︶ 西村達志 ︵大和ハウス工業代表取締役専務執行役員︶ 千葉学 ︵東京大学大学院准教授、建築家︶ 藤森照信 ︵東京大学教授︶ 審査委員 審査委員長 賞金 審査委員 最優秀賞: 点/ 万円 山本理顕賞、藤森照信賞、千葉学賞、西村達志賞:各 点/各 万円 提出内容はふたつあります。 論文:文字数四〇〇〇~八〇〇〇字︵タイトルや注書き含める︶ ※論文コンペティションのため、文章のみ文章のみ提出してください。ビジュアルは不可 サマリー:論文を要約したもの。四〇〇以字内︵タイトルや注書き含める︶ 提出データはテキスト形式︵ .txt ︶でご用意ください︵改行は維持して保存してください︶ 。 応募方法 本コンペに応募される方は、事前に下記ウェブサイトから登録を行ってください。 課題、応募規定の詳細についてもウェブサイトをご覧ください。 ※応募登録はこのウェブサイト以外からはできません。 登録・作品提出締切 二〇〇九年一〇月一三日︵火︶ 若松均建築設計事務所 ダブル・チムニー 1 折ー 外壁: 唐松縁甲板横羽目張り w=120mm t=12mm (脱脂乾燥材) ノンロット2度塗り ピボットヒンジ(ベスト NO153-PC) 1 階居室 GL+200 天井/アッシュフローリング t=12mm OS 開口部/木製サッシ(キマド) 所在地/長野県北佐久郡 モミジ アプローチ階段:浅間石積 φ=200mm 455 1,820 1,820 700 1,575 ナラ 4,095 4,095 4,550 600 撮影:本誌編集部 クリ 1960 年東京都生まれ/ 1985 年東京工業大学工学部建築学科卒業/ 1989 年奥山信一と DESK5 設計を共同設立/ 1999 年~若松均建築設計事務所/ 2004 年~武蔵野美術大学非常勤講師 キッチンの横のテーブルで、晴れた日はお茶 システムに応用したものなので、転がりの精 号館にも免震シ 度も高く、免震性能も大変優れています。 こちらの日本大学理工学部 ステムが使われているそうですね。 この建物は約五〇年前に建てられました。今 後も使い続けるため、免震レトロフィット構 法で免震化しています。 古い耐震基準で設計されている建物は、積層 ゴムだけでは十分な免震性能を発揮できない ことがありま す。新しい建物を建て る場合、 免震に適した全体の構造計画を立てることが できるので、積層ゴムを適切に配置すること が可能になります。しかし、レトロフィット の対象となる建物は免震用の構造計画がなさ れていないため、柱数が多かったり、柱一本 一本にかかる自重が軽かったりして、積層ゴ ムだけでは適切な免震性能が出せない場合が あります。積層ゴムと転がり支承などを組み 合わせることで、高い効果が期待できます。 今後、免震システムの普及に向けて、何が必 要でしょうか。 現在の日本のように、約三〇年で住宅を建て 替える状況は地球環境のためにも非効率的で す。ヨーロッパのように一〇〇年、二〇〇年 と住宅を使い続けていくことが必要になって くるでしょう。長期的な視点で考えると、日 本では必ず地震について考慮しなくてはなり ません。病院など社会基盤を担う施設では早 い時期から免震等の地震に対する計画があり いません。設計者には免震を含む地震の被害 どのようなすまいなのか。 「これからのすまい」のその外側はどのよ るのは、私かもしれないけど。 THK の 免 震 シ ス テ ム の 特 徴 は ど の よ う な 108 109 家はどんな場所ですか? るような。少し静かになるような。 ものでしょうか。 主催 大和ハウス工業株式会社 後援 株式会社新建築社 係のない商品として開発される。周辺環境と無関係だからこそ ‘ パッ きに タイアップ を用いた免震システムは、自重の軽い住宅に THK の 免 震 シ ス テ ム は フ ル オ ー ダ ー メ イ た免震システムの場合、設計に時間がかから ない代わりに、建物の形などが制限されます。 ましたが、住宅ではまだほとんど導入されて 一 方、THK の も の は 建 物 に 合 わ せ て 免 震 を防ぐ技術への意識をより高めていってほし いと思います。それが結果として、都市と環 境をよくしていくことに繋がるのですから。 住人とはどのような関係なのか。 「これからのすまい」は都市の中の れぞれに問題を提起し、これからのすまいを考えてください。 エッセイ 企業の世界観や製品の魅力などを﹃新建築住宅特集﹄の読 者に的確に届けます︒ 新建築社ならではの情報ネットワークを活用した提案を含 め︑クライアントのご要望に合わせて︑さまざまなメニュー を用意しています︒ また︑コンペティション企画や挟み込み特別冊子などのご 要望にも対応します︒ ず、安全に避難できることに主眼が置かれて います。大地震が起きた際の、建物の機能や その他の財産の保護については考慮されてい ません。何度かの改正を経て一九八一年に施 行された新耐震が現在の基準になっています が、 あ く ま で も「 最 低 の 基 準 」と い う 考 え 方 はそのままです。多くの人は国の基準を満た していれば、大地震がきても家が大きな被害 を受けないと誤解しているのではないでしょ うか。それでは建物の機能や大切な財産を守 ることができません。 積層ゴムや転がり支承など、免震にもいろい ろありますが、その違いについて教えてくだ さい。 免震が現在のように普及したのは積層ゴムの 開発がきっかけです。これは大規模な建築に は適していますが、住宅のような軽い建物で は、ゴムが適切に動かず、だからといってゴ ムの径を小さくすると、建物の自重によって 座屈してしまいます。積層ゴムは建物にある 程度の重さがないと効果が出ないため、住宅 大きな地震が起きた時、安全に避難するだけ も適しています。 には単体で使えません。その点、転がり支承 でなく、住宅の機能や大切な財産を守りたい テムを紹介するシリーズ、第四回目の今回は と 考 え る 人 は 多 い だ ろ う。THK 免 震 シ ス 免震技術を研究している日本大学理工学部建 ド的なものといえます。たとえば規格化され 築 学 科・ 「 対 震 」構 造 研 究 室 の 古 橋 剛 准 教 授 にお話を伺った。 設計を行うので、形などは自由に決められま まず、どうして免震が必要なのか、教えてく ださい。 す。そのため設計を制約することはなく、戸 建ての軽いものから超高層ビルまで幅広く使 年に制定された建築基準法の考え えます。もともと半導体製造装置や医療用機 現在建っている建物のほとんどは一九五〇 方に則って設計されています。第一条に書い 何か、またその中での家族や住まいのあり方はどうなっていくのか、そ 4 て あ る 通 り、 こ れ は「 最 低 の 基 準 」を 定 め た つのパッケージとして商品化されている。この住宅は周辺環境とは関 もし皆さんが絶海の孤島に流れついたらどうするか。幸いロビンソンと メディスンボックス: シナフラッシュ t=25mm 鏡 t=5mm 建築金物/ 建主/ Villa La Luce 「これからのすまい」に住む住人はどのような住人なのか。その隣の するのか、住まいはどうするのか。今という時間の中で絶海の孤島とは 20 78 37 4 ガ イ ド 」を 免 震 マンションにしても戸建て住宅にしても、 「1住宅=1家族」がひと いる。 品として開発される。周辺環境と無関係だからこそ‘パッケージ ’ なので 9 器 の た め に つ く ら れ た「 なのだろうか? うに、家族や住まいを取り巻くたくさんの問題に遭遇する曲面が溢れて ケージとして商品化されている。この住宅は周辺環境とは関係のない商 外壁: 唐松縁甲板横羽目張り w=120mm t=12mm (脱脂乾燥材) ノンロット2度塗り した︒初めは︑何のイメージもなくて︑ 屋市千種区鏡池通 3-5-1 現代社会には、この絶海の孤島に流されてしまう男が直面する体験のよ マンションにしても戸建て住宅にしても、 「1住宅=1家族」が一つのパッ されます。そういった新しい価値による明るい未来、楽しい夢を描きだ 庭 GL+100 入ったのです︒ tel. &fax.052-781-0081 とができていることが嬉しいと語る二宮拓也 二 宮 拓 也 さ ん︵ 以 下︑ 拓 也 さ ん ︶ 僕 (木曜休み) か? それに呼応するように新しいサービスや社会システムが出てくると想定 GL+600 照明/ SAL-S(NIPPO) レバーハンドル(堀商店 LBR-L) 曲石敷き ナラ 12:00 ~ 20:00 OPEN 仕事の関係で数年浜松へ行き︑その後 名古屋へ戻ってきました︒家を建てる までは︑近くの賃貸マンションで暮ら florist_gallery N 子高齢化、他)も数々ありますが、近い将来もっと根本的な価値の連 鎖および価値観の変化に伴い、新しい家族観やライフスタイルが生れ、 クリ 森のツリーハウス ト打放し撥水材 455 D 1家族」を想定した今の住宅の供給の仕方はそれでも依然として有効 ダブル・チムニー た ち 夫 婦 は︑ 豊 田 の 出 身 な の で す が︑ C 愛 知県 名古 〒 464-0816 7 る。都営団地の高齢化率(全住民の内 65 歳以上高齢者の占める割合) PS 図面に表記された記号をたどると、データシート内で詳細なデータを知ることができます。ま た、ビジュアルや図面でより詳しく紹介します。 ディテールやモノを、住空間をつくり上げる全体の構成の中と、個々の情報というふたつの側 面から取り上げています。 B 1 は 55%※、こういう愕然とする数字を見て誰だって思う。 「1住宅= どんな時代にもその時代にふさわしい人間像がある。 頁/ 写真や 図面とリンクしたデータ A という解釈があるのは知っているか。 17,290 600 建築のデータを誌面上で見ていただくだけで家をつくる素材 の詳細までが分かるように掲載しています︒ 名古屋の住宅 これで全体の 67.2%! だが、あの物語は、近代の資本主義社会にふさわしい人間像を描いた、 アプローチ: ランドケミック土質改良剤舗装 浅間石積 φ=300mm 建築金物/ 企画 東京組 内部仕上げ・使用機器 主要用途/保養所 Hitoshi Wakamatsu 若松均 寝台 +380 2009 01 117 空間とモノ、それぞれの側面から見る。 N 074 075 Kenji Nawa 名和研二 人)である。一人世帯が全世帯の 42.5%、二人世帯は 24.7%である。 やがてフライデーという子供を得て、家族を構成し、というストーリー データシートに特記のある機器や 場所に記号が付いています。 1970 年長野県生まれ/ 1994 年東京理科大学理工学部建築学科卒業/ 1998 ~ 2002 年 EDH 遠藤設計室/ 1999 ~ 2002 年池 田昌弘建築研究所/ 2002 年なわけんジム(すわ製作所)設立 今、東京の一世帯あたりの世帯人員は 2.13 人(23 区内に限ると 2.05 された男が、自分の手足と知恵を使い、食料を獲得し、住まいをつくり、 月号 『住宅特集』 2009 年 折ー 頁/ 月号 『住宅特集』 2009 年 ケージ ’ なのである。 食料のことはとりあえずなんとかなるとして、家族というまとまりはどう 当然この中には多くの高齢者が含まれてい ロビンソン・クルーソーの話しは知っているでしょう。絶海の孤島に流 塚本由晴 上部カーテンレール埋込 TOKYO OFFICE 〒 151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷 1-21-8-403 tel.&fax. 03-6416-8581 e-mail [email protected] URL http://www.suppose.jp HEAD OFFICE 〒 730-0812 広島県広島市中区加古町 13-2-3 階 tel.082-247-1152 fax.082-298-5551 インタビュー:二宮拓也・二宮由利香さんご夫妻 1974 年 広島生まれ/ 1994 年穴吹デザイン専門学校卒業/ 1994 ~ 99 年本兼建築設計事務所/ 1999 ~ 2000 年 HAL 建築工 房/ 2000 年建築設計事務所 Suppose design office 設立/現在、穴吹デザイン専門学校非常勤講師 審査委員より 3,600 ダイニングペンダント制作……A 建築 新津組 担当/磯部伸介 設計者や施工者などのクレジッ ト、敷地条件から、設計、施 工期間、内外装の仕上げや設 備、時には工事費用等。 家を読み込む大切な情報を掲 載。 〒 158-0081 東京都世田谷区深沢 7-16-3 fw bldg.101 tel.03-5706-0531 fax.03-5706-0537 e-mail [email protected] URL http://www.hwaa.jp/ プロフィールの写真は、リアル タイムを重視して、作品ごとに 撮影しています。 8 山本理顕 藤森照信 千葉学 西村逹志 5 建築家の設計する住宅はそのパッケージ商品とどこが違うのか。 は違い、家族は自分を含め 4人いたし、道具もひとつもっていた。 建築家の設計する住宅はそのパッケージ商品とどこが違うのか。 貢献できるのか、またどのような手段で有効なビジネスモデルとして成 ある。 していただきたい。皆さんの提案がどれだけエンドユーザーや社会に とはどのような関係なのか。 「これからのすまい」は都市の中のどのよう コラム ∗、こういう愕然とする数字を見て誰だって思う。 「1住宅=1家族」を 環境エネルギー事業を一本化し、本格的な活動を開始しています。 で全体の 67.2%!当然このなかには多くの高齢者が含まれている。都営 葉で、安全・安心、スピード、福祉、環境、健康、通信というキーワー 団地の高齢化率 (全住民の内65歳以上高齢者の占める割合)は55% ドを意識付け、社会に貢献できるよう努めています。中でも今年度は、 今、東京の一世帯あたりの世帯人員は 2.13人 (23区内に限ると2.05人) て事業を展開しています。また、 「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ」という合言 である。一人世帯が全世帯の 42.5%、二人世帯は 24.7%である。これ 当社は 「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、様々な領域に跨っ 想定した今の住宅の供給の仕方はそれでも依然として有効なのだろう 「これからの住まい」を考える上で、既存のテーマ (環境・ストック・少 なすまいなのか。 「これからのすまい」のその外側はどのような世界なの 12 A 折ー 16 16 頁/ 『住宅特集』 2009 年 1 月号 B 折ー 1 17 頁/ 1 月号 『住宅特集』 2009 年 5 もので、大きな地震があっても建物が倒壊せ 003 石上純也 008 19 http://www.japan-architect.co.jp/daiwa/ 第 5 回ダイワハウスコンペティション HP 「これからのすまい」に住む住人はどのような住人なのか。その隣の住人 立させるのかを期待したい。 住宅物語:森山邸 、 いま 2 Space of House & Daily Life STORY つくると 住宅を D V D 中村勇大 1 データシートに設備機器や家具の メーカー名、商品名、品番まで明記. 出力見本 折ー 頁/ 月号 『住宅特集』 2009 年 R e p o r t 記事 家を建てることが人の輪を広げる Makoto Tanijiri 谷尻誠 出力見本 折ー 頁/ 月号 THK 免震システム -4 佐々木仁 1 GL+720 今、家を建てた方々がどんなことを考えたのか、建築家とのやり 取りなど、お施主様の声を取り上げます。 『住宅特集』 2009 年 古橋剛氏に聞く 免震システムの特徴とメリット 連載「今、住宅をつくるときに考えること」 連載「住宅物語」 5 コ ラ ム : 家 の 記 憶 FOCUS-IN:THK 株式会社 純広告+編集記事で読者への訴求力を アップ 情報発信者であるクライアントのメッ セージと編集部からのメッセージを組 み合わせることで、読者に伝えたい重 要なポイントを、より的確に届けるこ とができます。(2009 年 7 月号) 35 コンペティション: 大和ハウス工業株式会社 コンペティションの企画運営と誌面掲載 空間性を求めたコンペティションを企 画運営し『新建築住宅特集』で掲載し ます。企業のアイデンティティ表明の 場としても使われています。また、学 生を対象に行う場合にはリクルーティ ングの効果もあります。 (2009 年 1 月号) U P N E W S キキ L M 考えること 青木淳 F T A 折ー 12 12 頁/ 1 月号 『住宅特集』 2009 年 A 折ー 13s 13 頁/ 1 月号 『住宅特集』 2009 年 I 折ー 8 136 頁/ 1 月号 『住宅特集』 2009 年 I 折ー 9 137 頁/ 1 月号 『住宅特集』 2009 年
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