第46号 平成23年11月 03-6265-1555 「モバイル」からスマートフォンや SNS へ 新生「IT 研究会」がスタート 今年度からスタートの「IT研究会」第1回研究会が、7月22日、日管協本部 会議室(東京都中央区)で行なわれ、約70名の会員が参加しました。前年ま で2年間にわたり開催してきた「モバイル入居者管理研究会」をベースに、研 究対象範囲を「携帯電話での入居者管理」から、 「ITを使ったコミュニケーシ ョン」へと拡大。スマートフォンやiPad、SNS、クラウドコンピューティング といった最新トレンドを取り入れながら、IT分野の最新トレンドのツールを 賃貸管理実務の現場で活用する方法について、 研究活動を行なっていきます。 研究会開始にあたって挨拶した榎 和志研究会長(アミコム代表取締役)は 「モバイル入居者管理研究会の活動は、2年間の間にものすごく幅が広がり、 収拾がつかなくなっていました。ITの世界は、来年どんなトレンドが巻き起 こるか予測もつかない。ですから、さまざまな情報の中から、今が旬と思え るようなものにスポットを当て、みなさんと勉強していければと、心機一転 しました。専門的な知識にこだわらず、初心者にもわかりやすいテーマでい ろいろな研究テーマを考えていきたい。今期は特にSNSを集中的に研究して いきたい」 などと抱負を述べました。 これまで、自社サイトにユーザーを す」 (同氏) 。 報をどんどん拡散するのです。 人と人をつなげるSNSは 不動産業界にとって ベストマッチのツール 誘導するには、検索サイトからトップ では、このFacebookをどう活用し 「いまは、スマートフォンという便 ページに入り、ページ内を辿ってもら ていくべきなのでしょうか?まず、気 利なツールがあります。このスマー う必要がありました。しかし、SNSで をつけなければいけないのが、個人 トフォンを使って、社員が1日1物件 あればさまざまなキーワードが直接物 のFacebookページでは、商業行為が ずつFacebookページに物件情報を登 テーマ:不 動産会社向け「フェイスブック」 活用術 講 師:中野忠氏(アメリカンドリーム代表 取締役) 件情報や検索結果へ誘導してくれるた 認められていないという点。そのた 録していくのです。あとは、その物 め、自社サイトのすべてのページが入 め、Facebookは、個人ページ以外に 件情報を読者に評価(いいね)しても 口となります。また、SNSは無料のブ もう一つ、企業などが商業行為に使え らうこと。これからは、社員全員が ログサイト各種ともリンクしているた るページを持つことができます。この Facebookで営業する時代。数年後に 第1回研究会で講師を務めた中野氏 め、両者を合わせ20を超えるサイトを ページを舞台に、物件情報を公開し、 生き残るためにも、いち早く取り組ま は、不動産業界におけるIT活用の伝 通じた物件情 社員のFacebookページを介して、情 れることをお勧めします」 (同氏) 。 道師といってもいい方。分譲マンショ 報の拡散が可 ン賃貸仲介をメインに展開する傍ら、 能。 もちろん、 不動産会社向けのIT営業支援システ 物件数が増え ムや売買集客システムを販売。地場不 れば増えるほ 動産会社のネット営業を支援し続けて ど、その拡散 講演 います。そんな同氏が、現在もっとも 注目しているのがSNS、特にいま一番 図1 これまでの検索 検索サイトから物件までの道のりが一本道。トップがヒットすることが最重要だった。 効果も大きく 中野氏 なります。つ 自社サイトトップページ のブームと化しているFacebookです。 まり、業界各社が躍起になっていた 「10年前の営業ツールを、現在のIT 「SEO対策」も不要になるのです。 「ラ ツールに照らして考えてみますと、チ ンチェスターは、局地戦や接近戦、一 ラシにあたるのが “自社サイト” 、情報 騎打ちでは兵力の多いほうが勝つと言 誌にあたるのが “ポータルサイト” 、そ いました。Facebookはまさにこのラ してポスティングにあたるのがSNS。 ンチェスター戦略に則ったツールとい 人と人とが “つながる” ことで、不動産 えます」 (同氏) 。 情報がクチコミでつながっていくこと その証拠を、同氏が示します。 「当 が、最大の特徴。人と情報をつなぐと 社は、Facebookページ開設1 ヵ月に いう不動産業界にベストマッチする情 して、Facebookからホームページへ 報源なのです」 (同氏) 。 のアクセス数が、他の検索サイトか SNSは、自社サイトやポータルサイ らのそれを抜いてトップに躍り出ま トと違い無料で簡単に使うことがで した。Facebookに掲載されることで、 き、全国・世界規模の利用者に、一気 自社サイト内の物件情報がどんどん独 に情報を拡散できるという長所があり り歩きして、直接クリックされるよう ます。 「このSNSを自社サイトと検索 になる。まさにFacebookページは自 サイトとの “仲介役” に利用しない手は 社サイト誘導のための“第2のホーム ありません」 と同氏は力説します。 ページ” “サテライトページ”といえま 項目一覧 図2 SNSを使用すると 様々なキーワードがヒットし、実質自社サイトの全てのページが入り口となる。 自社サイト トップページ 項目一覧 〈1〉 平成23年11月 第46号 用するなど、賃貸管理業界も将来顧客 がファンのファンへと伝わります。こ になりそうな若いユーザーに向けた情 うして、自分が発信した情報が次から 報発信ツールとして注目しています。 次へと 「バケツリレー」 されていくので SEOにも強い性質を利用して、自社 す。 サイトの入口に活用できるのは、第1 また、Facebookには、イベントの 回講師の中野氏も指摘したとおり。 告知機能やアンケート機能があり、友 「これまで企業からの情報は、マス 達に一斉に送信することができます。 メディアを介して、個人に届けられて そこでの反応も友達の友達までシェア きました。SNSやFacebookは、これ されていきます。 「つまり、Facebook 第2回IT研究会は、9月22日、日管 らの情報に興味を持った個人が別の を集客ツールとして見た場合、ファン “行列効果” を狙うべく、名刺やパンフ 協本部会議室 (東京都中央区) で行なわ 個人に流していくという、 “バケツリ を増やすこと、情報を発信すること、 レット、ホームページでの告知はもと れ、約50名の会員が参加しました。 レー”のような情報の流れを生んだの そして交流することがもっとも重要な より、アルバイト・パート・取引先と 研究会で です」と山田氏。つまり、SNS自体は のです」 (山田氏) 。 その家族、インターネットをまったく は、IT&イン 広告宣伝媒体ではなく、情報を介した では、このファンをどうやって、効 やらない知人に至るまで、ありとあら ターネットを活 ユーザーの交流を広告宣伝につなげて 率的に増やせばいいのでしょうか? ゆるコネクションにFacebookページ 用した 集 客・ いくための補完ツール、信頼醸成ツー 「ユーザーが、いいね!をしたくなる をアピールすることも重要だといいま 接客・販売促 ルであると、山田氏は言います。 ような、ページや画像の動線に工夫が す。 進支援とコン この特性を生かすために、何が必要 必要となります。よくあるのが、本 「Facebookの運用は、大手に学ぶべ サル ティング になるのでしょうか?「一番の基本 ページに行く前にウェルカムページを きですね。彼らは、これからの欠か サービスを手 となるのは、 “ファン” (友達)を増や 設け、ユニークなキャラクターを登場 せない業務としてFacebookに取り組 がける㈲サーブ代表取締役の山田雅彦 すことですね」と山田氏。 “ファン”に させるなどして、 興味を惹かせるもの。 んでいますから。ただ、中小事業者 氏が「Facebook活用の裏側・裏技」を は、自分がウォールに書き込んだこと また、ファンにならないとページ全体 はFacebookに費やせる時間や労力も テーマに講演を行ないました。 やニュースのリンクが伝えられ、その を閲覧できないようにすることも効果 限られるので、HPコンテンツの再利 日本国内でも利用者が500万人を突 書き込みに対し、ファンが「いいね」 があります。いいね!をすることで、 用や日常業務とのリンクなど、効率的 破したといわれているFacebook。就 やシェアをしてくれたり、コメントを ノベルティなどのファンサービスを提 な運営をめざすべきだと思います」 (同 職活動をしている大学生の75%が利 してくれたりすれば、今度はその反応 供する会社も増えてきました」 (同氏) 。 氏) 。 第 2 回講演 決め手は“ファン” を増やすこと “いいね!”獲得に向け 情報発信、ユーザーと交流を テーマ:賃 貸 管 理 業 で も 応 用 で き る Face book 活用の裏側、裏技、可能性 講 師:山田雅彦氏(サーブ代表取締役) 山田氏 業務効率化と戦略の広告ノウハウを共有 第2回 賃貸管理実務カンファレンス 「第2回賃貸管理実務カンファレン 居者の見極め方として、運転免許証の ス」が、7月5・6日の両日にわたり、 末尾番号をチェックする(末尾番号は 南房総富浦ロイヤルホテル(千葉県南 再発行の回数を示しているため、ルー 房総市) で行なわれ、塩見紀昭支部長、 ズさの見極めとなる)など、さまざま 黒崎修副支部長 (業務研究部会長) のほ な実務ノウハウを共有しました。 か、当支部理事、会員企業の実務担当 一方 「広告戦略」 の分科会では、募集 者など31名が参加しました。昨年に引 図面、 ソーシャルメディア、 ホームペー き続き2回目の開催となったカンファ ジなどの広告媒体(または広告効果の レンスでは、賃貸管理実務をテーマに ある媒体)を1つずつ分析していきま した参加者同士のディスカッション した。募集図面については、床材や家 (分科会) と、その成果を全員で共有す 賃保証会社名を明記すること、スマー 業務効率化の分科会にて、 意見を交わす参加者たち るための発表が行なわれました。 トフォンなどのデジタルデバイスで地 カンファレンス初日は、まず参加者 図を見るユーザーが増えているため、 全員が自己紹介を行なった後、分科 募集図面物件の地図は極めてシンプル 会を開催しました。参加者は「業務効 で良いこと、掲載写真のレベルと掲載 率化(A・Bの2グループ) 」 、 「広告戦 枚数の多さが反響に比例していること 略」 の3つのグループに分かれ、フリー などを確認しました。 トーキング形式で、途中で休憩を挟み mixi、 Facebook、 Twitterなどのソー ながら約4時間のディスカッションを シャルメディアについては、狭い分野 行ないました。 で人と人を繋げるツールとして企業 「業務効率化」 の分科会では、家賃滞 PRや自社のブランド戦略には有効だ 納者への効果的な督促方法、オーナー が、物件PRについては効果が薄いと との信頼関係の構築方法、複雑化する いう結論に。また、ホームページに 契約業務の簡素化など、賃貸管理実務 ついては、現在、空室ではない物件情 者にとって不変の課題はもちろん、賃 報についても、現在満室と表示したま 貸仲介を手がける参加者に「仲介業者 ま削除せずにおくことで、お気に入り にとって、 (入居者を決めてあげたい) の物件としてユーザーがブックマーク 良い管理会社とは」というテーマで本 し、空室が出た際に問合せをしてくる の成果を、2日目の全体発表を通じて ました。参加者アンケートやコメント 音を話してもらい、入居率アップのヒ 可能性があることなど、さまざまなア 参加者全員で共有しました。 でも、プログラムや懇親会を通じたさ ントを得ました。また、テナントリテ イディアが挙げられました。 なお、初日プログラム終了後には、 まざまな情報交換に優れた評価を得て ンションの一環として、契約更新時、 このほかにも、仲介業者との上手な 浴衣姿での夕食会・懇親会も行なわ おり、今年も満足度の高い宿泊研修に 同じ物件の他の部屋の募集賃料に合わ 付合い方、長期入居者の特徴などの れ、普段とは違うリラックスした雰囲 なりました。支部では、来年も引き続 せて賃料を減額する、あるいは不良入 テーマで情報交換を行ない、各分科会 気で、参加者同士が大いに懇親を深め き開催を検討していきます。 最後は参加者全員で記念撮影 〈〉
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