THE NEWS LETTER 2015年10・11月 (1) ニュースレター № ◆ニュースレター◆№ 62 コンビニ交付は税金のムダ遣い !! 9月1日から 17 日の会期で第3回定例会が開催されました。一番大きな議題は「平成 26 年度決算」でした。その他に「水道料金の統一」に伴う条例改正や、小学校統合によ る学童保育施設の拡充・岩間工業団地内テニスコートの大規模改修などを含む各会計の補正予算など、上 程された全ての議案は可決しました。今回は多くの請願が出されました。「道祖神峠トンネル整備促進に 関する請願」・「教育予算の拡充を求める請願」(茨教組)・「笠間市民球場スコアボードの電光掲示板化を 求める請願」・「TPP交渉に関する請願」(農協)などは、全会一致で採択されましたが、「安全保障関連 法案を廃案とする請願」は石松としおを含む7人の賛成少数で否決となりました。 石松としおの一般質問から 制度の善し悪しはあっても国の法律が成立してしまったので、マイナンバーが導入されてしまいます。 セキュリティ対策など笠間市の準備体制は整っているのかどうか一般質問で取り上げ、「1,600 万円以上 もかけて、コンビニ交付やマルチコピー機を導入することは、税金のムダ遣いである」ことを明らかにし ました。また「(仮称)地域医療センターかさま」の基本設計が公開されたので、市立病院の財政運営と 今後の経営形態の在り方について質問し、「地方公営企業法全部適用」を提案しました。 もっと市の主体性を発揮してマイナンバー制度導入の準備を マイナンバーとは、国民ひとりひとりに 12 桁の番号を振り分けることです。さまざまな個人情報をマ イナンバーと紐づけることによって、一括して管理できるようになります。全国のあらゆる公的組織が同 じ番号を使って個人情報を管理するので、データの共有や連携がスムーズになり、役所での手続きにかか る時間を大幅に短縮できます。しかし個人情報を一括で管理できるということは、情報をまとめて手に入 れることもできるということであり、管理担当が悪質な人物だったりすると、本来の業務では必要ないは ずの情報にまでアクセスされてしまうかも知れません。当面は税金関係や社会保障手続きに限定されます が、将来的には銀行口座や犯罪歴などにも関連づけることも考えられていますから、人為的な情報漏えい 対策も含めた、高度なセキュリティ対策が求められます。 そこで、笠間市のマイナンバー導入体制はどうなっているのか、大きく三つについて質問しました。 一つは、セキュリティ体制についてです。笠間市では平成 25 年に情報セキュリティポリシーを見直し ており、その際に「マイナンバー制度という言葉はないが、そのことを重んじて改正した」(市長公室長) と言われました。しかし「なりすまし対策」と「サイバー攻撃対策」の強化が求められていますから、マ イナンバー制度導入に伴って改めて情報セキュリティポリシーを見直すことを求めました。 なりすましとは、インターネットのセキュリティの4大脅威のひとつ。他人の名前や盗用した ID やパスワードを利用し、 その人のふりをしてネット上で悪意ある行為をすること。 サイバー攻撃とは、コンピューターシステムやネットワークを対象に、破壊活動やデータの窃取、改ざんなどを行うこと。 特定の組織や企業、個人を標的にする場合や、不特定多数を無差別に攻撃する場合がある。 (2) 2015年10・11月 THE NEWS LETTER 二つ目は、市内の中小企業や個人事業主への対策です。この制度導入で、従業員を雇う事業主は「個人 番号関係事務実施者」として運用の義務を負うことになります。マイナンバーが目的外使用や外部流出し ないように今まで以上の管理が必要になり、ウィルス感染や不正侵入の対策などセキュリティ強化やマイ ナンバーに対応したソフトの切り替えが必要になります。そのための経費は、国の試算によると従業員数 「5人以下」「6∼ 20 人」で 40 万円台、 「21∼ 50 人」で 66 万円台、 「51 ∼ 100 人」で 99 万円台です。 ところが中小企業・個人事業主に対するマイナンバー制度の影響について笠間市は、「パート・アルバイ トを含む従業員のマイナンバーを取り扱うことになる。源泉徴収票や支払証明書、健康保険組合などに提 出する書類にマイナンバーの記入欄が設けられるので、導入時には業務量の増加になるだろう」という程 度の認識しかありませんでした。「県や商工会、青色申告会などと中小企業に対するセミナー等をやって きた」(市長公室長)とは言うものの、「こうした経費負担増による経営への圧迫の可能性については、説 明も議論もないではないか」と企業経営している議員からヤジが飛びました。マイナンバー制度導入で中 小企業が倒産するようなことになれば元も子もありません。しっかりとした市の対策が必要です。 三つ目は、コンビニ交付とマルチコピー機(コンビニあるようなコピー機)導入についてです。導入費 用 1,030 万円、さらに 620 万円の運営経費が毎年かかります。「朝6時半から夜 11 時まで全国どこのコ ンビニでも証明書(住民票・印鑑証明・税証明等)が発行できるので大変便利。マルチコピー機の導入に よって、窓口での業務が簡素化され人員削減できるので、その分別の部分に人を回して専門性の高い相談 業務等の充実をはかれる」、しかも「3年間費用の半額は国が負担(特別交付税措置)してくれる」ので「こ んなにいいことはないでしょう」と言わんばかりです。前述しているように、そもそもマイナンバー制度 とは「個人情報をマイナンバーと紐づけて一括管理できるようになり、各組織間で個人情報をやりとりす る際にデータの共有や連携がスムーズになる」ということです。つまり「いろいろな手続きをする時に、 住民票や印鑑証明などの添付が必要なくなる」ということです。コンビニ交付が始まるのは平成 28 年7 月からの予定です。翌年の 29 年7月からは、自治体間だけでなく自治体と国の間でもマイナンバーが使 えるようになります。「次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチーム中間報告書」(首相官邸・ 政策会議)によると、戸籍謄(抄)本、住民票、所得証明書といった添付書類の発行元と提出先の割合は 「国から国が 7.5%、自治体から国が 17.5%、自治体から自治体が 24.5%」ですから、添付書類の半分は 行政側の情報共有で減らすことができます。コンビニ交付開始1年後には、証明書交付業務自体が半分に 減ることがわかっているのに、わざわざコンビニ交付を導入する意味はありません。 THE NEWS LETTER 2015年10・11月 (3) それでも「平成 29 年7月以降も、住民票や印鑑証明は、車両登録の際や勤務先への提出、相続や契約 の際に必要なので、しばらくはコンビニ交付の意味はある」(市長公室長)と言いますが、マイナンバー の活用範囲を広げていかなければ制度を導入した意味がありません。コンビニ交付で証明書の発行場所を 増やせば増やすほど、返ってマイナンバー導入を遅らせることになってしまうのではないでしょうか。ま た、コンビ交付を利用するためには、自宅に送られてくる「通知カード」ではなく、ICチップの入った「個 人番号カード」を市役所に行って発行(初回は無料)してもらわなければなりません。導入1年目の発行 見込みは 10%です。10%のうちの何人が車両登録のためにコンビニ交付を利用するのでしょうか。その わずかの人のために 1,050 万円かけて設備を導入し、毎年 650 万円もの管理運営費用を税金から出そう というのです。それから、毎年払う費用 650 万円のうち 300 万円が「地方公共団体情報システム機構」 といういわゆる「総務省の天下り機関」に払われるのです。こんなことにお金を使うのではなく、もっと 市のIT人材育成や中小企業・個人事業主対策にお金を割くべきです。答弁の中の「総務省の指導もあっ て…」とか「全国の市町村が導入すれば、もっとコンビニ交付を利用する人が増えるのではないかと思う」 などの言葉を聞くにつけ、笠間市として主体性をもってこの事業にあたっているのではないということが よくわかりました。 「(仮称)地域医療センターかさま」は地方公営企業法の全部適用を 医療費は、 「医療に消費の概念はなじまない」という理由で、消費税導入当初から非課税になっています。 一方で医療機関は、医療機器や医薬品、医療材料などを購入する際には消費税を払わなければなりません。 簡単に言うと「本来消費税は消費者が負担し事業者が納める税金であるが、医療機関の場合は診療報酬が 非課税なので、消費者である患者から受け取れるはずの消費税を受け取れない。したがって医療機器や医 薬品の仕入れ価格の消費税分は、医療機関が負担しなければならない」ということです。これを「損税負担」 といいますが、平成 26 年度決算では、笠間市立病院の損税負担は 2,137 万 4,671 円に上っています。ま た公立病院を持っている自治体には、その病院の稼働病床数に応じた金額が、地方交付税を算出する際の 「基準財政需要額」に算入されます。笠間市で言うと市立病院の稼働病床に対し合計で年間約 1,900 万円 の地方交付税交付金が、他自治体に比べて余計に国から降りてきています。地方交付税交付金は交付され た自治体が何に使ってもよいので、必ずしも病院に使う必要はないのですが、市立病院がなければ算入さ れない額ですから、笠間市としては市立病院運営に使っても妥当と言えるのではないでしょうか。 ところが、監査委員会の決算審査意見書には「前年度と比べて、入院 1,778 人増、外来 989 人増…、 成果であると考え評価したい」 と書かれている一方で、「純利 益が生じた主な要因としては、 一般会計からの運営補助であ り、依然として厳しい経営状況 であるので一層の経営努力を期 待する」と書かれていました。 簡単に言えば「もっともっと経 営努力して、一般会計からの運 営補助を減らせ」ということで す。しかし「損税負担」は制度 的問題であり、経営努力で解消 できるものではありません。交 (4) 2015年10・11月 THE NEWS LETTER 付税算入されている 1,900 万円を加えた約 4,000 万円は、一般会 7月1日 会派会議 2日 PCサークル 9日 笠間市地方自治研究講演会 13日 議会運営委員会 14日 健康診断 15日 認知症研修 16日 社民党2区支部連合会議 17日 戦争法反対茨城総がかり行動 18日 自治労県本部衛生医療評議会総会 21日 教育福祉委員会 全員協議会 22日 反核平和の火リレー出発式 社民党県連常任幹事会 23日 PCサークル 社民党笠間支部会議 24日 病院局労組学習会 26日 連合茨城戦後70年平和を求める集会 JP労組水戸支部大会 29日 国保運営協議会 茨教組東西支部推薦議員交流会 30日 PCサークル 8月3日 社民党戦後70年集会 6日 農協労連大会 17日 社民党県連三役会議 18日 会派会議 教育福祉委員会 20日 PCサークル 21日 全員協議会 25日 議会運営委員会 社民党県連常任幹事会 27日 PCサークル 30日 戦争法反対茨城総がかり行動 9月1日 本会議 3日 本会議 議会運営委員会 4日 教育福祉委員会 5日 友二中体育祭 13日 茨教組書記の会夏季学習会 14日 本会議 15日 本会議 16日 本会議 17日 本会議 全員協議会 19日 友二小運動会 20日 社民党県連三役会議 24日 PCサークル 28日 社民党県連常任幹事会 29~30日 議会運営委員会視察研修 計から運営補助として病院会計に繰り入れしても妥当な額であり、 むしろこれが無くなると市立病院の医療事業に支障を来すことに なってしまいますので、 「来年度以降も一般会計から病院会計への 運営補助の繰入金を確保すべきである」ことを指摘しました。 医業収益(外来及び入院などの医業事業によって得た収入)と人 件費率(医業収益に対する人件費の割合)の平成 22 ∼ 26 年度の 推移(グラフ参照)をみると、この5年間で笠間市立病院の収益状 況が大きく改善していることがわかります。これは笠間市民に必要 な地域医療は何かということを踏まえた医療サービスが提供できて いること、 効率的な病院の財政運営が図られているということです。 そして「笠間市の地域医療の充実に向けて、市立病院のマネジメ ント(経営と管理)能力をさらに向上していくには、地方公営企業 法の全部適用化が必要ではないか」 ということを提案しました。 「地 方公営企業法」は、 地方自治体が経営する企業(病院や水道事業など) の組織、財務及び職員の身分の取扱い、その他の経営の根本基準を 定めた法律です。現在の笠間市立病院は、この法律の全ての規定で はなく財務に関する規定のみを適用し、その他は「地方自治法」 (地 方自治体の組織や運営に関して定めている法律)や国などの規定を 適用する「一部適用」という経営形態になっています。これを地方 公営企業法の全規定の適用を受ける「全部適用」にした方がよいの ではないかという提案です。病院の事業管理者を置かなければなり ませんが、その管理者には予算調整や決算審査などを除く、多くの 権限(組織、人事、給与、契約など)が与えられるので、今よりも 自立的な経営が可能となります。 この「地方公企業法全部適用」の可能性については、市立病院事 務局長から「公立病院改革ガイドライン(総務省)でも、 『税財政 や医療ニーズにあった病院経営の柔軟性・自立性・持続性を確保し、 より効率的に病院運営を行っていくこと』とされているので、今年 度中に目標を決め、関係機関や病院職員と検討を進めていく」と答 弁されました。 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