《研 究》 スマートフォンのバリュー・チェーンの 先行研究の一考察 A Study in Previous Studies of Smartphone’s Value Chain 程 培佳 Ⅰはじめに Ⅱスマートフォンのバリュー・チェーンの先行研究について 1フィーチャーフォンからスマートフォンへ 2スマートフォンのバリュー・チェーンの先行研究について Ⅲスマートフォンのバリュー・チェーン分析の展望 1先行研究に残された課題をめぐって 2スマートフォンのバリュー・チェーン分析の展望 Ⅳむすびにかえて Ⅰはじめに スマートフォンの時代に入り、携帯電話に関する研究は時代の変遷とと もに、フィーチャーフォンからスマートフォンに発展していく。しかし、 長年にわたって、フィーチャーフォンは携帯市場に圧倒的な地位を持ち、 また、これまではハードウェアに対する研究が多く、初期のスマートフォ ンの研究はハードウェアに偏った特徴がある。スマートフォンは、従来の 1 携 帯 電 話 と 比 べ 、 優 れ た 操 作 シ ス テ ム 以 外 に 、 ア プ リ ( App アプリケー ション)実装によって、多くの機能を持つようになった。さらに、アプリ を通して、他産業(自動車産業、住宅産業、デジタルウォッチ)とスマー トフォン産業とが連動し、産業間の間では収斂現象が起きる。スマートフ ォンはもはや従来の単一の通話機能を持つ携帯電話ではない。 本研究では、上述した背景のもとで、これまでスマートフォンの先行研 究の特徴・限界をバリュー・チェーンという視点からⅡで考察する。Ⅲで は、先行研究に残された課題および今後のスマートフォンのバリュー・チ ェーン分析の展望を議論する。 Ⅱスマートフォンのバリュー・チェーンの先行研究 1フィーチャーフォンからスマートフォンへ 2002 年 に 発 売 さ れ た ノ キ ア の 9200 シ リ ー ズ は 最 初 の ス マ ー ト フ ォ ン で あると言われている(福田 2 0 11 : 3 5 )。 し か し 当 時 、 ス マ ー ト フ ォ ン の 応 用 は ビ ジ ネ ス に 限 ら れ て い た 。 2007 年 、 iPhone の 発 売 に よ り 、 ス マ ー ト フ ォ ン ブ ー ム が 巻 き 起 こ り 、 さ ら に ア ン ド ロ イ ド ( Android) を 搭 載 し たスマートフォンが登場し、世界的にスマートフォンの普及が広がった。 それまでは、フィーチャーフォンは携帯電話市場を支配してきた。そのた め、フィーチャーフォンを中心にした研究が大半であった。特に、フィー チ ャ ー フ ォ ン 業 界 に お け る 構 造 や 競 争 政 策 ( Funk 八田 2 0 1 0; 玉 田 2 0 1 0; 丸 川 2 0 1 0; 安 本 2002; 大 橋 2 0 1 0 a; 木 村 2010; 2010)に 関 する議論が多く占めた。 し か し 、2 0 0 7 年 か ら ス マ ー ト フ ォ ン の 普 及 に よ り 、フ ィ ー チ ャ ー フ ォ ン が 続 々 と 代 替 さ れ 、従 来 の 音 声 通 話 や メ ー ル と い う 機 能 に イ ン タ ー ネ ッ ト 、 ソーシャルアプリケーション、ショッピングなどの機能が加えられ、携帯 電話市場では、新しい状況が生まれた。つまり、ソフトウェアが、携帯電 2 話市場における重要な役割を果たし始めた。従来のフィーチャーフォンと 比 べ 、ス マ ー ト フ ォ ン に は 斬 新 な O S( o p e r a t i n g s y s t e m )、A p p ( a p p l i c a t i o n ア プ リ ケ ー シ ョ ン )が 搭 載 さ れ 、 さ ら に OS&App が 急 成 長 を 遂 げ る こ と に よって、携帯電話のあり方を変えた。 こ の 背 景 の も と 、携 帯 電 話 に 関 す る 研 究 に O S お よ び A p p を 考 察 さ れ な い限り、不十分であると考えられる。さらに、通信サービスを提供するキ ャリアも、携帯電話にとって不可欠な一環であるため、通信サービスをも 考察対象に入れるべきである。フィーチャーフォンがスマートフォンに代 替されつつ中で、ハートウェアとソフトウェアという特徴を両方持つスマ ートフォンを包括的に分析する手法が求められる。 バリュー・チェーンは、製品やサービスのコンセプトから、生産、マー ケ テ ィ ン グ 、消 費 & 回 収 お よ び 廃 棄 ま で の す べ て の 活 動 で あ る( K a p l i n s k y and Morris 2001:4-5)と 定 義 さ れ 、さ ら に 、付 加 価 値 の 分 配 に 着 目 す る と いう視点から、スマートフォンのハードウェアおよびソフトウェアにおけ る各活動の付加価値の割合を分析することができるという新しい分析手法 である。 本研究では、バリュー・チェーンという分析手法を用いながら、付加価 値の分配という視点から、スマートフォンのバリュー・チェーンの先行研 究をまとめたうえで、その限界および今後の課題と展望を示す。 2スマートフォンのバリュー・チェーンの先行研究について これまでのスマートフォンのバリュー・チェーンの先行研究は、大きく 4 種類に大別することができる。①スマートフォンのハードウェアのみを 研究対象とされた研究である ②スマートフォンのハードウェアと通信業 者を研究対象にとされた研究である ③通信業者のみを研究対象とされた 研究である ④スマートフォンのソフトウェアのみを研究対象とされた研 3 究である。 まず、①スマートフォンのハードウェアのみを研究対象とされた先行研 究は、従来のモノづくりを重視するという伝統的な考え方に深く影響され た研究であると考えられる。 K r a e m e r( 2 0 11 )の 論 文 で は 、i P h o n e 4 の 主 要 部 品 の コ ス ト が 算 出 さ れ 、 ハートウェアの分析が行われた。その結果、アップル社が獲得した付加価 値 1は iPhone4 の 総 価 値 の 58.5%を 占 め る 。 日 本 と 台 湾 の サ プ ラ イ ヤ ー が 獲 得 し た 付 加 価 値 は 、 そ れ ぞ れ iPhone4 の 総 価 値 の 0.5%に 過 ぎ な い 。 韓 国 の サ プ ラ イ ヤ ー が i P h o n e の C P U を 提 供 し て い る た め 、獲 得 し た 付 加 価 値 は 、i P h o n e 4 の 総 価 値 の 4 . 7 % で あ る 。各 活 動 が 獲 得 し た 付 加 価 値 は 明 ら か に さ れ た こ と に よ っ て 、i P h o n e の バ リ ュ ー ・チ ェ ー ン に お け る 優 位 性 を 持つ活動と持たない活動が一目瞭然である。 しかし、前述したように、ハードウェア、ソフトウェアおよび通信サー ビ ス は ス マ ー ト フ ォ ン の バ リ ュ ー・チ ェ ー ン の 中 で 主 要 な 活 動 で あ る た め 、 ハードウェアのみの分析は、不十分である。スマートフォンのハードウェ アに通信業者を加えた議論は②で行う。 ②スマートフォンのハードウェアと通信業者を研究対象とされた先行 研究 は じ め て 通 信 業 者 を 加 え て 研 究 が 行 わ れ た の は 、 D e d r i c k ( 2 0 11 ) で あ る。彼は、ハートウェアの面はもちろん、スマートフォン(ハイエンドの 携帯電話)のバリュー・チェーンにおいて、研究対象は通信サービスを提 供するキャリアが獲得した価値まで拡大して議論すべきであると指摘した。 彼 は 、モ ト ロ ー ラ V 3 を 取 り 上 げ 、キ ャ リ ア( AT & T )と の 2 年 契 約 を ベ ー ス に 、 サ プ ラ イ ヤ ー 、 モ ト ロ ー ラ お よ び キ ャ リ ア ( AT & T ) が そ れ ぞ れ 獲 1 製品レベルでは、製品の卸売価格から製品コストを引き、付加価値の試 算ができるので、本研究では、付加価値はそのように捉えられている。 4 得した価値を明らかにした。その中、付加価値を最も獲得したのはキャリ ア ( AT & T ) で あ り 、 そ の 次 は モ ト ロ ー ラ で あ り 、 サ プ ラ イ ヤ ー が 獲 得 し た付加価値は最も少ない。しかし、膨大な初期費用および全国範囲でのメ ンテナンス費を抱えているキャリアは、それを獲得した価値の中から控除 すれば、獲得した価値がモトローラより低い。 そこから、サプライヤー、メーカーおよびキャリアを含めたスマートフ ォンのバリュー・チェーンの構造は初めて示された。そして、各活動がそ れぞれの獲得した価値を明らかにされたことによって、各活動の力関係、 すなわち、キャリアのメーカー支配という関係が明白となった。これは第 2 種類の先行研究である。 ③通信業者のみを研究対象とされた先行研究 通 信 業 者 に 関 す る 先 行 研 究 で は 、販 売 体 制 & 料 金( 安 本 の 議 論( 丸 川 2 0 1 0 b )、 構 造 2 0 1 0;O l l a a n d P a t e l 2 0 0 2 )、技 術 の 変 化( S t e i n b o c k 2003) について多く議論されてきた。 販 売 体 制 &料 金 に つ い て 、 安 本 ( 2010b) で は 、 NTT ド コ モ 、 KDDI お よ び ソ フ ト バ ン ク( S B )3 社 の 2 0 0 3 年 か ら 2 0 0 8 年 ま で の 平 均 月 額 料 金( 通 話 料 金 と デ ー タ 通 信 料 金 : 表 1) が 低 下 傾 向 に あ る と い う こ と が 明 ら か に され、バンドル販売体制に下がり続く通話料金の下で、その他サービスに よる収入を増やさない限り、通信事業者の経営は成り立たなくなる可能性 が 高 い と い う 結 論 が 出 さ れ た 。し か し 、平 均 月 額 料 金 の 内 訳 を 見 る( 表 1 ) と、3 社とも、通話料金は減少しているに対して、データ通信料金は毎年 順調に増加している。つまり、携帯電話における通話機能の利用が減少し ていることと携帯電話におけるソフトウェアの利用が増加していることが 反映される。すなわち、バンドル販売体制自体に問題があるというわけで はなく、ソフトウェアの出現による携帯電話のあり方の変化および携帯電 話におけるソフトウェアの重要性を示し始めたことを示唆する。 5 表 1 N T T ド コ モ 、K D D I お よ び S B 3 社 の 平 均 月 額 料 金( 単 位:円 ) 年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 NTT 通 話 料 金 6,380 5,330 5,028 4,695 4,160 3,330 NTT デ ー タ 通 信 料 金 1,750 1,870 1,882 2,005 2,200 2,380 NTT 平 均 月 額 料 金 8,130 7,200 6,910 6,700 6,360 5,710 KDDI 通 話 料 金 6,280 5,430 5,150 4,590 4,130 3,590 KDDI デ ー タ 通 信 料 金 1,290 1,740 1,890 2,020 2,130 2,210 KDDI 平 均 月 額 料 金 7,570 7,170 7,040 6,610 6,260 5,800 SB 通 話 料 金 5,785 4,760 4,460 4,150 3,150 2,320 SB デ ー タ 通 信 料 金 1,475 1,320 1,350 1,360 1,490 1,740 SB 平 均 月 額 料 金 7,260 6,080 5,810 5,510 4,640 4,060 出 所 : 安 本 ( 2010b) よ り 、 筆 者 作 成 構造について、日本では、通信事業主導の産業構造の下で、携帯電話の 技 術 、製 品 、ア プ リ ケ ー シ ョ ン / サ ー ビ ス が 一 体 と な っ て 生 み 出 さ れ 、端 末 と ア プ リ ケ ー シ ョ ン / サ ー ビ ス が 歩 調 を 合 わ せ て 開 発 、提 供 さ れ て き た( 安 本 2 0 1 0 b : 5 0 )。 し か し 、 中 国 で は 、 通 信 事 業 者 、 携 帯 電 話 メ ー カ ー 、 I C メ ー カ ー な ど 様 々 な 段 階 の 企 業 が 分 裂 し て お り 、共 通 の 目 標 を 追 求 す る こ と は な く 、め い め い が 自 社 の 利 益 の た め に 動 い て い る( 丸 川 2 0 1 0:9 )。 また、通信事業者の収入構造の変化は、従来の音声電話から発生した膨 大な料金から、モバイルデータ通信によって発生した料金へ移行する傾向 に あ る 。 Olla and Patel(2002)の 論 文 で は 、 世 界 的 に 具 体 的 に 通 信 事 業 者 の 2 0 0 2 年 か ら 2 0 0 7 年 ま で の 収 入 源 を 提 示 さ れ 、収 入 構 造 の 変 化( 単 一 の 音声電話から多種類のサービスへの変化 2 2) に対する分析が行われた。そ モバイルインターネット、マルチメディアなど。 6 のような変化は日本だけではなく 3、 世界中で起きている。それに踏まえ て 、通 信 事 業 者 の 構 造 変 化 を さ ら に 進 め た の は J o e a n d A n n a ( 2 0 0 6 ) で あ る 。 彼らの論文では、モバイルデータ通信を具体的に取り上げ、付加価値の共 同 創 出 の エ コ シ ス テ ム ( Joe and Anna 2006:139) と い う 関 係 性 ま で 踏 み 込んだ。 最 後 に 、 技 術 の 変 化 を 中 心 に 議 論 さ れ た 先 行 研 究 で あ る 。 Steinbock ( 2003) で は 、 通 信 技 術 は 、 Marconi、 Pre-Cellular、 1G、 2G、 3G、 4G 4 という順で整理されたうえで、通信事業者は通信技術の進化に沿って、寡 占時代から競争時代までの経緯をまとめられた。そして、通信技術の視点 から、通信事業者の収入構造に関する分析が行われた 5。 ④スマートフォンのソフトウェアのみを研究対象とされた研究 ソフトウェアに関する研究はシステムとアプリケーションの研究に大別 される。 システムは、スマートフォンにとって最も重要な構成の一部である。ス マートフォンの先行研究の中で、システムのみを分析対象とされた研究は 少 な く な い 。 現 在 、 ス マ ー ト フ ォ ン 市 場 で は 主 要 な シ ス テ ム は S y m b i a n 6 , A n d r o i d , Wi n d o w s , i O S , R i m ( 表 2 ) の 5 つ あ る 。 従 来 の 研 究 で は 、シ ス テ ム に つ い て 、主 に オ ー プ ン ソ ー ス( O p e n ソ ー ス ( Close S o u r c e )と ク ロ ー ズ Source) 7を め ぐ っ て 議 論 さ れ て き た 。 日本の変化は表 1 を参考ください 1G、 2G、 3G、 4G に 関 す る 説 明 は 山 本 ( 2010) に 詳 し い 。 5 詳 細 は Steinbock( 2003) pp208-217 ま で 参 考 さ れ た い 。 6 2 0 0 8 年 か ら オ ー プ ン 化 す る 方 針 を 発 表 し た が 、A n d r o i d の よ う に 完 全 に オープンするのではなく、自社と関係のあるビジネス相手のみにオープン する。 h t t p : / / s y m b i a n . n o k i a . c o m / b l o g / 2 0 11 / 0 4 / 0 4 / n o t - o p e n - s o u r c e - j u s t - o p e n - f o r- b u s i n e s s / ( 2 0 1 6 年 7 月 2 日 閲 覧 ) 7 オ ー プ ン ソ ー ス( O p e n S o u r c e )は 、プ ロ グ ラ ム の ソ ー ス コ ー ド に ア ク セスすることができるのを意味するが、必ずしも無償提供というわけでも 3 4 7 表 2 OS ス マ ー ト フ ォ ン 業 界 に お け る 主 要 な OS 会社名 ソースモデル アプリケーション ストア Symbian ノキア クローズ 1 Ovi Store Store (フィンランド) Android グーグル(米国) オープン Play Wi n d o w s マイクロソフト クローズ Skymarket Store (米国) iOS アップル クローズ App Store クローズ BlackBerry (米国) BlackBerry RIM( カ ナ ダ ) Wo r l d 注1:自社と関係のあるビジネス相手のみにオープンする 出 所 : 各 HP に よ り 、 筆 者 作 成 表 2 が 示 す よ う に 、 Android 以 外 の シ ス テ ム は す べ て ク ロ ー ズ ソ ー ス で あ る 。A n d r o i d と い う シ ス テ ム は 、2 0 0 5 年 に グ ー グ ル が 買 収 し た A n d r o i d 社の技術を基に開発されたシステムである。本来、スマートフォン業界に 競 争 力 の な い グ ー グ ル は A n d r o i d の 無 償 提 供 と い う 方 針 で 、技 術 力 の 弱 い スマートフォンメーカー、特に優れたソフトウェア技術が持たないアジア のメーカーに提供することによって、スマートフォン業界の参入を可能に した。それによって、スマートフォンシステムをマイクロソフトやノキア から購入せざるを得ない構造を破壊し、唯一のオープンソースである ない。 ク ロ ー ズ ソ ー ス ( Close Source) は 、 プ ロ グ ラ ム の ソ ー ス コ ー ド に ア ク セスすることができないのを意味する。 8 Android は ス マ ー ト フ ォ ン OS 市 場 に お け る 大 き な シ ェ ア を 手 に 入 れ た 。 IDC が リ リ ー ス し た 2014 年 に お け る OS 別 の 市 場 シ ェ ア の デ ー タ に よ る ( 図 1) と 、 市 場 全 体 に 圧 倒 的 な シ ェ ア を 獲 得 し た の は ク ロ ー ズ ソ ー ス で は な く 、オ ー プ ン ソ ー ス で あ る 。オ ー プ ン ソ ー ス で あ る Android は 全 体 の 81.5%を 占 め て 圧 倒 的 な シ ェ ア を 獲 得 し た 8。 それに対して、クローズ ソ ー ス で あ る i O S , Wi n d o w s , B l a c k B e r r y の 市 場 シ ェ ア は そ れ ぞ れ 、1 4 . 8 % 、 2 . 7 % お よ び 0 . 4 % で あ る 。 K e n n e y a n d P o n ( 2 0 11 ) で は 、 ク ロ ー ズ ソ ー ス で あ る i O S と オ ー プ ン ソ ー ス で あ る A n d r o i d を 取 り 上 げ ら れ 、ア ッ プ ル 社 は iOS に よ る 自 社 な ら で は の 優 れ た 操 作 経 験 を 提 供 す る こ と に よ っ て シ ェ ア の 拡 大 を 狙 っ て い る こ と 、お よ び グ ー グ ル は A n d r o i d を 各 ス マ ー ト フ ォ ン メーカーに導入させることによってスマートフォン業界のプラットフォー ム を 狙 っ て い る こ と を 明 ら か に さ れ た 。し か し 、無 償 で 提 供 さ れ る A n d r o i d は マ イ ク ロ ソ フ ト の 特 許 と の 関 係 で 、 Android を 搭 載 す る す べ て の デ バ イ スに 1 台あたり 8 ドルのライセンス料を各スマートフォンメーカーがマイ クソフトに支払いを行っている 9。 す な わ ち 、 Android の 普 及 に よ り 、 グ ーグルだけではなく、マイクロソフトも恩恵を受けている。 し か し 、 Android を 利 用 し て い る メ ー カ ー で あ る Samsung は 、 グ ー グ ルへの依存を減らすために、自社オリジナルシステムの開発・推進を進め て い る 。S a m s u n g は 自 社 シ ス テ ム Ti z e n を 開 発 し 、続 々 と 自 社 の 商 品 に 普 及している。 ソフ ト ウ ェア に 関 する 研 究 で、も う 1 つよ く 議論 さ れ たの は ア プリ ケ ー IDC は 2015 年 2 月 24 日 に リ リ ー ス し た デ ー タ で あ る 。 h t t p : / / w w w. i d c . c o m / g e t d o c . j s p ? c o n t a i n e r I d = p r U S 2 5 4 5 0 6 1 5 ( 2 0 1 6 年 7 月 3 日閲覧) 9 ZDnet 2 0 1 3 年 5 月 8 日 記 事 ( 2 0 1 3 年 6 月 8 日 閲 覧 )。 Android は Linux ベ ー ス で プ ロ グ ラ ミ ン グ さ れ た シ ス テ ム で あ る 。 Linux にマイクロソフトの特許となるものがあるから、マイクロソフトは Android を 搭 載 し て い る ス マ ー ト フ ォ ン メ ー カ ー に 特 許 料 を 請 求 し て い る 。 8 9 図1 ス マ ー ト フ ォ ン 業 界 に お け る シ ス テ ム の 市 場 シ ェ ア ( 2014 年 ) Windows 2.7% BlackBerry Others 0.4% 0.6% iOS 14.8% Android 81.5% 注 : Symbian が 占 め た 市 場 シ ェ ア は IDC の 2013 年 の デ ー タ で は 0.2%以 下 の た め 、 2014 年 の デ ー タ の Others に 含 ま れ る 。 出 所 : IDC の デ ー タ よ り 、 筆 者 作 成 シ ョ ン で あ る 。 2010 年 の 第 4 四 半 期 に 、 ス マ ー ト フ ォ ン の 出 荷 量 は 1 億 90 万 台 で 、 9200 万 台 に と ど ま っ た パ ソ コ ン の 出 荷 量 を は じ め て 上 回 っ た 10。 それのきっかけで、スマートフォンに向けるアプリケーションの数は 週 15,000 個 の ペ ー ス で 大 幅 に 増 え て き た 11。 アプリケーションに関する 研究も、アプリケーションの重要性および注目度の向上によって盛んにな った。 H o l z e r a n d O n d r u s ( 2 0 11 ) は 、 ア プ リ ケ ー シ ョ ン ス ト ア ( A p p l i c a t i o n Wi r e l e s s w i r e 「 ス マ ー ト フ ォ ン が 1 億 台 突 破 、 P C を は じ め て 上 回 る 2 0 1 0 年 Q 4 出 荷 台 数 」 2 0 11 年 2 月 8 日 記 事 ( 2 0 1 3 年 11 月 1 2 日 閲 覧 ) h t t p s : / / w i r e l e s s w i r e . j p / Wa t c h i n g _ Wo r l d / 2 0 11 0 2 0 8 0 9 4 9 . h t m l 1 1 T h e N e w Yo r k Ti m e s「 O n e m i l l i o n m o b i l e a p p s , a n d c o u n t i n g a t a f a s t p a c e 」 1 2 D e c e m b e r 2 0 11 ( 2 0 1 3 年 1 2 月 1 2 日 閲 覧 ) h t t p : / / w w w. n y t i m e s . c o m / 2 0 11 / 1 2 / 1 2 / t e c h n o l o g y / o n e - m i l l i o n - a p p s - a n d - c ounting.html?_r=0 10 10 Store) 12を 研究対象とし、各システムのアプリケーションストアの特徴 および特徴の変化を明らかにした。2 つある特徴のうちの 1 つは非集中的 な ポ ー タ ル ( Decentralized portal) で あ る 。 つ ま り 、 新 し い ア プ リ ケ ー ションをダウンロードする場合、システムにアプリストアが存在しないた め、ネット上検索しダウンロードすることを意味する。それに対して、も う 1 つ の 特 徴 は 集 中 的 な ポ ー タ ル ( Centralized portal) で あ る ( Holzer 2 0 11 : 2 5 )。 す な わ ち 、 新 し い ア プ リ ケ ー シ ョ ン を ダ ウ ン ロ ー ド す る 場 合 、 システムが提供したアプリストアからダウンロードすることを意味する。 従 来 の Wi n d o w s 、 S y m b i a n 、 B l a c k B e r r y は 非 集 中 的 な ポ ー タ ル ( Decentralized portal) で あ っ た が 、 現 在 は iOS と Android の よ う に 集 中 的 な ポ ー タ ル ( Centralized portal) と な っ た 。 アプリケーションストアにある様々なアプリケーションは、すべてのス マートフォンメーカー、システムの提供者および通信業者に開発されたと いうわけではない。アプリケーションストアにある様々なアプリケーショ ンは、ほぼ開発者たちが開発し、アプリケーションストアに提供している ものである。 Thomas, Eunni and Kasuganti(2013) は 、 Play Store 、 App Store 、 Amazon store、 Facebook store、 Blackberry store お よ び other store の 位置付けを含め、アプリケーションの販売仕組み、アプリケーション業界 の現状および安全問題についての分析を行った。 Play Store は オ ー プ ン 的 な 仕 組 み で 、 ア プ リ の 開 発 者 に 強 く 支 持 さ れ て い る 。 そ れ に 対 し て 、 App Store は す べ て の ア プ リ が 審 査 を 受 け な け れ ば な ら な い と い う 仕 組 み を 持 ち 、ア プ リ の 開 発 者 か ら P l a y S t o r e ほ ど 支 持 さ れ て い る わ け で は な い 。 ア プ リ ケ ー シ ョ ン 業 界 に お い て 、 Play Store は ア ア プ リ ケ ー シ ョ ン ス ト ア( A p p l i c a t i o n S t o r e )は 、ア プ リ ケ ー シ ョ ン を ダウンロードするサービスである 12 11 プ リ ケ ー シ ョ ン 発 展 の 牽 引 力 で あ る と Thomas, Eunni and Kasuganti は 位置づけた。 App Store は Play Store に 次 ぐ 2 番 目 の ア プ リ ケ ー シ ョ ン ス ト ア で あ る 。 アップルは他の競合相手と差別化するために、ユーザのニーズにマッチン グしているとは限らないランキング順で表示されるアプリストアの検索機 能を見直し、ユーザのニーズにマッチングする検索システムを開発してい る。よりすぐれた体験をユーザに提供することによって、市場シェアの拡 大を図っている。 Amazon Store は 、 主 に Amazon Kindle の た め の 存 在 で あ り 、 ア プ リ ケ ー シ ョ ン に 対 す る 厳 し い 条 件 を 設 け て い る 。 Amazon Store に あ る ア プ リ ケ ー シ ョ ン は Amazon に 自 由 に 修 正 す る 権 利 が あ る 。 さ ら に 、 他 の ア プ リ ケーションストアより、更新やリリースなどにおいて優先的に行わなけれ ばならない。 Facebook store は 、 ア プ リ セ ン タ ー を 立 ち 上 げ る こ と に よ っ て 、 ス マ ー ト フ ォ ン 業 界 に お け る 存 在 感 を 高 め よ う と し て い る 。Facebook store は ゲ ームを中心に特化する方針である。 Blackberry Store は 、 自 社 製 の プ ロ グ ラ ム で 作 ら れ た た め 、 他 社 と の 互 換 性 が 低 い 。 2 0 11 年 、 A n d r o i d に あ る ア プ リ ケ ー シ ョ ン の 数 は 2 5 万 個 に 対 し て 、B l a c k b e r r y S t o r e に あ る ア プ リ ケ ー シ ョ ン の 数 は 2 万 個 に 過 ぎ な か っ た 。 互 換 性 の 低 い 点 は Blackberry Store の 成 長 に 妨 げ る 。 Other store は 、 主 流 の ア プ リ ス ト ア と 異 な り 、 特 殊 な ニ ー ズ ・ 市 場 に しか対応しないストアである。 しかし、アプリケーションに関する先行研究では、アプリケーションの 重要性が高まっているにもかかわらず、アプリケーションがスマートフォ ンの補完品という認識は特に変わっていない。 ①②③④で述べたことを踏まえると、スマートフォンのバリュー・チェ 12 ー ン の 先 行 研 究 は 、最 初 の ハ ー ド ウ ェ ア の 研 究 か ら 、通 信 サ ー ビ ス の 研 究 、 そ し て 、ソ フ ト ウ ェ ア の 研 究 と い う 変 遷 を 遂 げ た こ と が 分 か っ た 1 3 。し か し、スマートフォンは従来の電話と異なり、よりすぐれた機能および増加 し続けるアプリケーションという特徴を持つため、ハードウェア、通信サ ービスあるいはソフトウェアを分けて分析が行われてきた従来の研究には、 ス マ ー ト フ ォ ン の バ リ ュ ー・チ ェ ー ン の 全 体 像 が 捉 え ら れ な い 限 界 が あ る 。 ま た 、 ハ ー ト ウ ェ ア を 重 視 し て き た 従 来 の 研 究 に は 、 ソ フ ト ウ ェ ア ( OS と App) を 軽 視 す る た め 、 ス マ ー ト フ ォ ン の バ リ ュ ー ・ チ ェ ー ン に お け る ソフトウェアのウエイトと位置付けが不適切であるという不足な点もある。 最後に、ソフトウェアの軽視によって、従来の研究では、知的財産権に関 する議論はハートウェアに偏り、ソフトウェアに関する知的財産権の議論 はあまりなかった。それを踏まえて、スマートフォンのバリュー・チェー ン分析に残された課題および展望をⅢで行う。 Ⅲスマートフォンのバリュー・チェーン分析の展望 1先行研究に残された課題をめぐって 従 来 の 携 帯 電 話 に ス マ ー ト フ ォ ン の よ う な 操 作 便 利 な OS と 種 類 豊 富 な App が な い 。 そ の た め 、 こ れ ま で の 先 行 研 究 に 、 残 さ れ た 課 題 は ① ソ フ ト ウェアに対する位置付け、②スマートフォンのバリュー・チェーンの全体 像の議論および③知的財産権の議論が3つあると考えられる。 ①ソフトウェアに対する位置付け ス マ ー ト フ ォ ン の 普 及 に よ り 、 ソ フ ト ウ ェ ア の 重 要 性 は 2015 年 509 億 ドルの規模から反映される 1 4 。2 0 2 0 年 に は 1 0 11 億 ド ル の 規 模 ま で 伸 び る 13 本研究では、スマートフォンのバリュー・チェーンを対象にしたため、 スマートフォン以外の携帯電話に関する先行研究およびそれに関する経営 戦略、ビジネスモデルを考察しない。 1 4 Ya h o o 2016 年 2 月 13 日 記 事 ( 2016 年 2 月 23 日 閲 覧 ) 13 と予測されている。 ま た 、ソ フ ト ウ ェ ア に よ る ス マ ー ト フ ォ ン 機 能 の 増 加 を 加 え 、た と え ば 、 ソ ー シ ャ ル ア プ リ ケ ー シ ョ ン ( F a c e b o o k , L i n e , We c h a t )、 旅 行 & 交 通 ( A i r b n b , U b e r )、ヘ ル シ ー 、モ バ イ ル 決 済 、ゲ ー ム な ど の ソ フ ト ウ ェ ア で 、 ソフトウェアの重要性が増えていき、ソフトウェアはスマートフォンにと って、重要な存在である。ソフトウェアはスマートフォンのメインになっ ていると言っても過言ではない。 ②スマートフォンのバリュー・チェーンの全体像の議論 前述したように、従来の研究では、従来の携帯の影響を受け、ハードウ ェアに偏り、ソフトウェアを無視・軽視されてきた。さらに、通信業者を 1 つテーマとして研究が多く行われてきた。しかし、スマートフォンのバ リュー・チェーン分析において、ハードウェア、ソフトウェアおよび通信 業者を同時に考察しなければ、全体像をつかめない以上、各活動優位性お よびその変化をも捉えることができない。 スマートフォンの全体像をつかめることは、よりスマートフォンのバリ ュー・チェーンにおける付加価値の分配やそれに与える影響、そして、ス マートフォンのバリュー・チェーンの特徴を理解することに大きな役を果 たす。 ③知的財産権の議論 従来の研究の大半は、知的財産権に関する議論はハードウェアにとどめ た。また、ハートウェアにおける知的財産権は携帯電話市場に排他的な手 段として最も有効であると考えられてきた。しかし、スマートフォンの発 展 に よ り 、ソ フ ト ウ ェ ア に 特 化 し た 会 社( ア ッ プ ル 社 )が 現 れ た こ と か ら 、 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160213-35077797-cnetj-sci 14 ソフトウェアの知的財産権に関する議論を行うべきである。なぜなら、ソ フトウェアを通して、スマートフォン産業と他産業(自動車、住宅、デジ タルウォッチなど)と連動することができるからである。それにより、ス マートフォンは他の産業に浸透することによって、より多機能、欠かせな い存在になる。スマートフォンのソフトウェアは、スマートフォンだけの ソフトウェアではなく、業界間の共通ソフトウェアになるため、ソフトウ ェアの知的財産権は議論しなければならない。 ア ッ プ ル 社 か ら S a m s u n g へ の 特 許 侵 害 訴 訟 を 見 て み る( 表 2 )と 、ソ フ ト ウ ェ ア に お け る 侵 害 訴 訟 は 16 件 あ る 。 そ の 中 で 、 商 標 は 6 件 あ る 。 そ れに対して、ハードウェアにおける侵害訴訟は 4 件ある。ソフトウェアと ハードウェアにおける侵害訴訟の割合はそれぞれ、8 割と 2 割になる。ソ フトウェアにおける知的財産権の割合はハードウェアにおける知的財産権 の割合が圧倒的に大きい。アップル社とサムスンの知的財産権における訴 表2 ア ッ プ ル 社 か ら S a m s u n g へ の 特 許 侵 害 訴 訟 一 覧 ( 2 0 11 年 ) 1 登録番号 詳細 種類 その他 7,812,828 号 マルチタッチ面のための楕円当てはめ ( Ellipse fitting for multi-touch surfaces) 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 6,493,002 号 7,469,381 号 7,844,915 号 7,853,891 号 7,663,607 号 7,864,163 号 コ ン ピ ュ ー タ ー シ ス テ ム に お い て 、制 御 お よ び 状態情報を表示および接近するための方法と 装 置 ( Method and apparatus for displaying and accessing control and status information in a computer system) タ ッ チ ス ク リ ー ン 画 面 の 上 で の 、リ ス ト の ス ク ロ ー ル 、文 書 の 翻 訳 、拡 大 / 縮 小 お よ び 回 転( L i s t scrolling and document translation, scaling, and rotation on a touch-screen display) 拡 大 /縮 小 の 操 作 の た め の ア プ リ ケ ー シ ョ ン プ ロ グ ラ ミ ン グ イ ン タ ー フ ェ イ ス ( API) ( Application programming interfaces for scrolling operations) ユーザーインタフェースのためのウインドー を 表 示 す る 方 法 と 装 置( M e t h o d a n d a p p a r a t u s for displaying a window for a user interface) 多 点 式 の タ ッ チ ス ク リ ー ン ( Multipoint To u c h s c r e e n ) 構造化電子文書を表示するための携帯用電子 機 器 、方 法 お よ び グ ラ フ ィ カ ル ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス ( G U I )( P o r t a b l e e l e c t r o n i c d e v i c e , 15 593,087 号 method, and graphical user interface for displaying structured electronic documents) シールドとドライブ結合レイヤをもっている、 両 面 の タ ッ チ 感 応 式 パ ネ ル ( Double-Sided To u c h - S e n s i t i v e P a n e l w i t h S h i e l d a n d D r i v e Combined Layer) グ ラ フ ィ カ ル ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス ( GUI) ま た は そ の 一 部 ( Graphical user interface for a display screen or portion thereof) グ ラ フ ィ カ ル ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス ( GUI) ま た は そ の 一 部 ( Graphical user interface for a display screen or portion thereof) グ ラ フ ィ カ ル ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス ( GUI) ま た は そ の 一 部 ( Graphical user interface for a display screen or portion thereof) 電 子 装 置 の 装 飾 用 の デ ザ イ ン ( Electronic device) 618,677 号 電 子 装 置 の 装 飾 用 の デ ザ イ ン ( Electronic device) 特許 ハードウェア 622,270 号 電 子 装 置 の 装 飾 用 の デ ザ イ ン ( Electronic device) 特許 ハードウェア 3,886,196 号 商標 ソフトウェア 3,889,642 号 商標 ソフトウェア 3,866,200 号 商標 ソフトウェア 3,889,685 号 商標 ソフトウェア 3,886,169 号 商標 ソフトウェア 3,886,197 号 商標 ソフトウェア 7,920,129 号 627,790 号 617,334 号 604,305 号 特許 ハードウェア 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 特許 ソフトウェア 特許 ハードウェア 注 1:詳 細 に あ る 英 語 の 和 訳 は J e t r o「 ア ッ プ ル と サ ム ス ン 電 子 と の 侵 害 訴 訟状況調査」から引用した。 ま た 、ト レ ー ド ド レ ス( Tr a d e D r e s s )1 5 へ の 侵 害( 3 4 7 0 9 8 3 号 、3 4 5 7 2 1 8 号 、 3475317 号 ) は 本 研 究 で は 深 く 議 論 し な い た め 、 表 5 で 示 さ れ ていない。 出 所 : U N I T E D S TAT E S D I S T R I C T C O U R T N O R T H E R N D I S T R I C T O F C A L I F O R N I A( 米 国 カ リ フ ォ ル ニ ア 北 部 連 邦 地 方 裁 判 所 )H P, J e t r o 1 6 を 参 照、筆者作成 ト レ ー ド ・ ド レ ス ( 英 : trade dress) と は 、 一 般 に 、 消 費 者 に そ の 製 品 の出所を表示する、製品あるいはその包装(建物のデザインすらも該当 しうる)の視覚的な外観の特徴を指す法律用語である。 16 U N I T E D S TAT E S D I S T R I C T C O U R T N O R T H E R N D I S T R I C T O F C A L I F O R N I A H P ( 米 国 カ リ フ ォ ル ニ ア 北 部 連 邦 地 方 裁 判 所 )( 2 0 1 5 年 1 2 月 2 5 日 閲 覧 ) Vi a : h t t p : / / c a n d . u s c o u r t s . g o v / l h k / a p p l e v s a m s u n g J e t r o 「 ア ッ プ ル と サ ム ス ン 電 子 と の 侵 害 訴 訟 状 況 調 査 」、 2 0 1 2 年 3 ( 2015 年 12 月 25 日 閲 覧 ) Vi a : h t t p : / / w w w. j e t r o - i p r. o r. k r / s e c _ a d m i n / f i l e s / a p p l e - s a m s u n g . p d f 15 16 訟はほぼ、システムに関わる訴訟になる。しかし、これから、アプリケー ションの数が増加していく中で、アップル社とサムスンのようにシステム における知的財産権をめぐって訴訟を起こすだけではなく、アプリケーシ ョンを開発した各開発者の間でも、プログラミングをめぐって訴訟は発生 するだろう。 2スマートフォンのバリュー・チェーン分析の展望 スマートフォンのバリュー・チェーン分析はスマートフォンの発展に深 く関わっている。今後のスマートフォンのバリュー・チェーン分析につい ては、次の点を重視すべきである。 ソフトウェアの発展により、スマートフォンにおける新しい機能が次々 と 開 発 さ れ る 。さ ら に 、ソ フ ト ウ ェ ア を 通 し て 、産 業 間 の 収 斂 が 起 き る( 図 2 )。 す な わ ち 、 ス マ ー ト フ ォ ン の ソ フ ト ウ ェ ア を 通 し て 、 ス マ ー ト フ ォ ン 産業とデジタルウォッチ産業、住宅産業、自動車産業、医療産業などとの 連動することである。収斂効果による産業間で生まれた付加価値、産業 図2ソフトウェアによる収斂現象(スマートフォンとデジタルウォッチ) ①スマートフォン デザイン サプライ やー ブランド企 業 組立 顧客 キャリア OS&App ②デジタルウォッチ デザイン サプライやー 組立 出所:筆者作成 17 ブランド企業 顧客 間の連動性からスマートフォンのバリュー・チェーンへの影響に関する研 究はまたまだ少ない。ソフトウェアによる産業間の収斂効果はスマートフ ォンのバリュー・チェーンの特徴として、今後深く議論の方向の 1 つであ ろう。 Ⅳむすびにかえて 本研究では、これまでスマートフォンのバリュー・チェーンの先行研究 を①スマートフォンのハードウェアのみを研究対象とされた研究である; ②スマートフォンのハードウェアと通信業者を研究対象にとされた研究で ある;③通信業者のみを研究対象とされた研究である;④スマートフォン のソフトウェアのみを研究対象とされた研究であると大別したうえで、こ れまでの先行研究において、スマートフォンの全体像より、各活動の分析 が多いという特徴を明らかにした。また、従来の研究では、付加価値の分 配という視点より、競争および技術の革新の視点から行われてきたという 点をも明らかにした。 よって、スマートフォンのソフトウェアの重要性が高まっている中で、 ソフトウェアにおける知的財産権に関する議論は、従来の研究の中では、 あまりなかった。産業間の間で、ソフトウェアを通して収斂現象が起きる にもかかわらず、ソフトウェアによる産業間の収斂現象に関する議論も従 来の研究の中では、ほぼ行われていなかった。 本研究では、バリュー・チェーンの視点を用いて、これまでのスマート フォンの先行研究において、①全体像をつかめない、②ソフトウェアに関 する重要性を無視・軽視する限界を考察した。また、先行研究に残された ソフトウェアにおける知的財産権と収斂現象という課題を提示した。 だが、収斂現象はどの産業に関わっているのか、どれほどかかっている のか、そして、スマートフォンのバリュー・チェーンにとって何の影響を 18 与えるのかということが本研究では深く触れず、それを今後の課題として 深く検討していく必要がある。 参考文献 D e d r i c k , J . , K . 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