低周波防振装置SASのTAMA300への導入

低周波防振装置SASのTAMA300への導入
我妻一博 ,高橋竜太郎A ,荒瀬勇太B ,福嶋美津広A ,山崎利孝A ,石崎秀晴A, 新井宏二A ,辰巳大輔A ,和泉究B , 高森昭光D ,A. BertoliniF,
R. DeSalvoG , 佐藤修一A ,麻生洋一K ,阿久津智忠B ,常定芳基C,長野重夫L ,安東正樹E ,三代木伸二 , 森脇成典H ,神田展行I ,武者満J,
藤本眞克A ,川村静児A ,三尾典克H ,大橋正健 ,黒田和明 , 坪野公夫E ,TAMA CollaborationM
東大宇宙線研,国立天文台 A ,東大天文 B , 東工大 C , 東大地震研 D , 東大理 E ,ピサ大 F,カリフォルニア工科大 G,東大新領域 H ,阪市大 I ,
電通大 J , コロンビア大 K , 情報通研 L , TAMA Collaboration M
IP制御の設計
一般相対性理論から予言され、物質との相互作用が極めて弱いため未だ直接観測され
ていない。
Servo Design for Near Mirror (NM1) in the Inline Arm
Fabry-Perot cavity
Laser
Displacement noise level of TAMA300
-7
0.001
0.01
Power Recycling
Mirror
Phase
Beam
Splitter
300m
観測帯域での感度向上のためには、鏡を吊る
防振装置の改良が必要
-9
dL- displacement
Alignment noise
Phase2 Theoretical limit
-11
10
-12
10
-13
10
-14
10
SASの導入
-15
10
2
3
4 5 6 7
2
0.1
3
4 5
1
Frequency [Hz]
180
150
120
90
60
30
0
-30
-60
-90
-120
-150
-180
2
3
4 5 6 7
2
3
4 5 6 7
2
0.1
3
4 5
2
3
0.1
4 5 6 7
2
3
4 5 6 7
2
3
2
3
4 5
1
4 5 6 7
2
3
4 5 6 7
2
0.1
3
ACC
0.001
0.01
Frequency [Hz]
0.01
è direction
0.01
0.1
180
150
120
90
60
30
0
-30
-60
-90
-120
-150
-180
1
2
4 5
4 5 6 7
2
3
4 5 6 7
0.1
2
3
4 5
2
3
4 5
1
Frequency [Hz]
180
150
120
90
60
30
0
-30
-60
-90
-120
-150
-180
1
3
2
3
4 5 6 7
0.01
2
3
4 5 6 7
0.1
Frequency [Hz]
1
Frequency [Hz]
-16
-18
10
-19
10
-20
10
1
10
2
10
3
4
10
10
5
-3
-3
10
Frequency [Hz]
IP(倒立振り子):
水平方向の初段の防振装置
Flex Joint の復元力と重力によ
る反バネ力によって実効的に低
い(~100mHz以下)共振周波数
を生み出す。
Standard Filter
Monolithic GAS
MGAS:
Passive Damper
垂直方向の防振装置
Recoil Mass
板バネの復元力と湾曲バネの幾何配置
Mirror
による反バネ力によって実効的に低い
(~500mHz)共振周波数を生み出す。
Mirror Suspension:
mini-MGASによる垂直防振
磁石によって中段マスをeddy current damping
リコイルマスを用いた鏡のActuation機構
Inverted Pendulum
Mirror Suspension
1/2
Displacement [m/Hz ]
水平方向5段、垂直方向3段の防振構造
X
-5
10
-6
10
-7
10
-8
10
10
ACC X
Inertial damping off
Inertial damping on
-6
10
-7
10
-8
10
2
3
4
5 6 78
0.01
2
3
4
5 6 78
0.1
2
3
4
10
5
1
-
IP
LVDT (Linear Variable
Differential Transformer)
変位センサー
(フレームとIPの相対変位を測る)
-4
Pitch
4
5 6 78
2
3
4
5 6 78
0.1
2
3
4
5
10
1
ACC è
Inertial damping off
Inertial damping on
2
0.01
3
4
5 6 78
2
3
4
5 6 78
0.1
2
3
4
-6
10
Inertial damping によるIP揺
れの改善に対応する領域(マイクロ
サイズミック領域(0.1~0.4Hz)
と寄生共振 (0.7Hz &
1.1Hz) )で、鏡の角度揺れの改
善も確認できた。
-7
10
-8
10
Pitch
( Optical Lever measurement )
Inertial damping off
Inertial damping on
-5
10
-6
10
-7
10
-8
( Optical Lever measurement )
Inertial damping off
Inertial damping on
-9
10
Yaw
10
-9
2
3
4
5 6 78
0.01
2
3
4
5 6 78
0.1
2
3
4
10
5
1
2
3
4
0.01
5 6 78
2
3
4
5 6 78
0.1
Frequency [Hz]
2
3
4
5
1
Frequency [Hz]
Length Fluctuation of 300m Cavity with SAS Pair
SASのペアからなる300m Fabry-Perot cavity をレー
ザーで共振状態に保つためのFeed back 信号から算出した、
cavity長のdisplacementである。
角度揺れ同様に、IPでの改善領域に対応する周波数でcavity
length 揺れの改善も確認できた。
-5
10
-6
10
-7
10
-8
10
m
m
2
3
4
5 6 7 89
2
3
4
レーザー周波数ノイズ
5 6 7 89
0.1
2
3
4
5
1
⇒ SASのパフォーマンスの向上
SAS導入による改善が見え始めた
Test Mass角度制御帯域の改善
Pitch
ACC (Accelerometer)
加速度センサー
(慣性系に対する加速度を測る)
Yaw
1Hz以上で、旧サスペンションよりも
揺れが小さく、鏡の角度揺れ制御の
帯域を2~3Hzまで下げても干渉計の
動作に支障が出ない程、角度揺れを
抑えることができた。
(以前の制御帯域は10Hz)
⇒ アラインメントノイズの低減
感度の改善
0.1Hz~150Hzで
SAS導入による改
善が見えた。
さらなる調整は進
行中。
まとめ
光てこ
5
1
Frequency [Hz]
10
旧サスペンションとの比較
干渉計が干渉状態を安定に保つために
鏡(Test mass)の角度揺れを制御する
・「光てこ」を用いた制御 (広レンジ)
↓
・Wave Front Sensor を用いた制御
(狭レンジ、低雑音)
-8
10
-4
-5
10
0.01
センサーとアクチュ
エータをIPの固有
モード(X,Y,θ)の方
向に対角化し、それら
固有モードを独立に
制御することで制御
の簡易化を図る
Yaw
3
-9
FACC
FLVDT
Digital Filter
(LabVIEW)
+
-7
10
Frequency [Hz]
10
10
ACC
HACC
A
Test Mass制御
2
0.01
Frequency [Hz]
+
-ω2
Coil-Magnet
Actuator
LVDT
HLVDT
-6
10
Angular Fluctuation of the Mirror (光てこによる測定)
1/2
Inertial Dampingによる共振のダンプ、
変位センサーによるドリフト制御
-5
10
Inertial dampingによって、マイクロサイズミック領域(0.1~0.4Hz) と寄生共振 (0.7Hz & 1.1Hz)
でのダンピングがIPの並進方向(X, Y)で確認できた。また、回転方向(θ) (0.5Hz)もダンプできた。
Length Fluctuation [m/Hz ] or RMS [m]
IP制御
θ
-4
10
-9
Frequency [Hz]
-4
SASの共振をダンプし、鏡の揺れも能動防振する
ACC Y
Inertial damping off
Inertial damping on
-9
10
SASの制御
Y
-5
10
-9
10
10
-4
1/2
Filter Zero
Vertical Pre-Isolator
多段振り子を利用した防振装置
Angular Fluctuation [rad/Hz ]
低周波防振装置SAS
-3
10
-4
10
1/2
10
IPの揺れと、鏡の揺れの改善が確認できた
Displacement [m/Hz ]
0
IP制御の結果
Displacement of IP (in-loop evaluation)
1/2
10
次世代干渉計用に開発が進められていた
SASを組み込むことによって感度を改善し、
その安定運用の研究を進めるのが狙い。
1/2
-17
10
Displacement [rad/Hz ]
10
Angular Fluctuation [rad/Hz ]
1/2
Displacement noise [m/Hz ]
10
4 5 6 7
0.001
0.01
1
ACC ループ (Inertial Damping ) :
LVDT ループ :
●低周波のドリフトを防ぐ
● マイクロサイズミック領域(0.1~0.4Hz)のダンプ
● 下に吊られた多段振り子からのリアクションの共振
⇒ ACC制御なしでも安定な制御
(寄生共振)(0.7Hz, 1.1Hz)をダンプ
地面との相対変位を測るので、
● IPのθモード(0.5Hz)をダンプ
制御によって地面振動を導入してしまう
⇒ 地面振動の混入を防ぐため1Hz周りでゲインを下げた
-8
-10
3
Y direction
LVDT
ACC
Total
Frequency [Hz]
10
10
2
0.1
θ
10
1
0.01
0.01
(2003/11/04)
10
X direction
LVDT
ACC
Total
0.1
0.01
Y
10
1
Openloop Gain
Openloop Gain
@三鷹市 国立天文台
重力波は垂直な2方向に
対して距離の差動変動を
生じさせる
⇒ 鏡間の距離の変化に
よるレーザーの干渉縞の
変化として検出を目指す
X
10
レーザー干渉計を用いた重力波検出器
Openloop Gain
TAMA300
SASの機械共振とドリフトを防ぎ、防振性能を上げる制御
Phase
時空の歪みが空間を伝播する現象
Phase
重力波
TAMA300においてIP制御とTest mass の角度制御の設計および測定をメインで行った。
IP制御によってSASのパフォーマンスの向上に貢献し、 Test mass 制御によってアラインメントノ
イズの低減、低周波での感度向上に貢献した。