12p-A20-1 第62回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集 (2015 東海大学 湘南キャンパス) 半導体ナノワイヤの変形ポテンシャル・弾性限界のその場顕微分光評価 Bandgap deformation potential and elasticity limit of semiconductor free-standing nanowires determined in-situ by SEM-CL nano-spectroscopy 物材機構 1,筑波大 2,ハンガリー科学アカデミー3, ○ 渡辺 健太郎 1,2,長田 貴弘 1, 若山 裕 1,関口 隆史 1,フォルク ヤノシュ 3 NIMS 1, Univ. of Tsukuba2, MFA 3, ○Kentaro Watanabe1,2, Takahiro Nagata 1, Yutaka Wakayama1, Takashi Sekiguchi1,2, János Volk3 E-mail: [email protected] 背景:半導体バンド端構造の歪変調は、トランジスタの高速化等、デバイス特性向上に有用であり、 歪変調幅は、破断歪と変形ポテンシャル(バンド端エネルギーの歪応答)の積で決まる。結晶成長技 術の進展により単結晶バルク破断歪(εzzF<10-3)やヘテロエピ膜の格子不整合歪(εxxF<10-2)より破断歪の 大きな(εzzF~10-1)Si や ZnO 等の単結晶ナノワイヤが得られ、ワイヤと表面酸化 Si 基板との吸着力を 用いた大きな1軸歪の保持技術も報告された。一方、1軸応力下のナノワイヤは、側面の表面格子歪 緩和、へテロ界面の弾性不連続、印加応力不均一から1軸歪が構造内で不均一であり、バンド端エネ ルギーや電流密度の不均一要因となる。故にナノワイヤは有望な歪利用デバイス材料であるが、その 設計・特性制御は難しい。実際、ZnO バンドギャップ(Eg)の変形ポテンシャルの文献値は、静水圧下 [aP=dEg/d(lnV)]と比べて、1軸(c 軸)応力下[acc=dEg/dεcc]では分散が大きく、1軸応力印加方法(引張・ 圧縮と曲げ)にも依存する。本問題の基礎検討には、単結晶ナノワイヤ自立構造に1軸応力を印加し、 1軸歪(εzz)・歪勾配(dεzz/dr)・評価表面深さ(RExc)を制御しながら、その場で破断歪(εzzF)と Eg 変形ポテン シャル(azz)を顕微評価する手法が必要である。本研究では、c 軸成長 ZnO ナノロッド自立構造(FS-NR) について1軸曲げ応力下の εccF と acc を評価し、acc に対する歪勾配や表面格子歪緩和の効果を検討した。 実験:選択的ホモエピ溶液成長法[1]により、ZnO(0001)基板上に ZnO FS-NR(直径 150nm・c 軸長 1.4μm) 配列構造を作製した。評価には、Nanoprobe-CL(Cathodoluminescence)装置[1]を用いた。プローブ圧子で 1軸曲げ応力を印加した時の、ロッド上の任意点 P での c 軸名目歪(εccN)・塑性歪(εcc P )・弾性歪 (εccE=εccN-εccP)は、応力印加/除去時のロッド曲げ変形の SEM 像その場観察から評価した。軸横断方向 の歪勾配(dεcc/dr=R-1)は、ロッド局所の曲率 R-1 から評価した。点 P での歪シフト δEg は、バンド端キャ リア再結合発光(CL) のピークエネルギーシフトから評価した。ロッド横断方向に並んだ複数点 Pi(i = 1,…,N)で電子線を点照射してプロット(εccN, δEg)を得、直線フィット勾配から acc を評価した。 結果・考察:ZnO FS-NR の弾性限界(εcc=0.04)を評価し、それ以上で破断・塑性変形 が見られた。acc は一般に定数だが、本評価では軸横断方向の1軸歪勾配に応じた acc の減衰がみられた。これは Eg(εcc)勾配下の励起子ドリフトに因る事が分かった。 また、無歪勾配の極限値 acc=-1.7 eV は、他の文献値(バルク acc=-4eV)に比べて有意 に小さいが、これらは各評価の表面深さ分解能と相関があり、NR 側表面での格子 歪緩和によると思われる。故に、Nanoprobe-CL 法は歪勾配・表面格子歪緩和が acc に与える影響を独立評価でき、得た知見はデバイス設計・特性制御を効率化する。 謝辞:本研究は科研費若手(B)[23760022, 26790046]の助成を受けた。 [1] 渡辺,他,2014 年春応物、18p-F11-4.,Watanabe et al.,, ACS Nano, Under review. © 2015年 応用物理学会 08-062
© Copyright 2024 Paperzz