メレンダ の時間 - KEN OKUYAMA DESIGN

メレンダの 時間
奥山氏はご自身がプロデュースする車輌の製作に注力されているが、
常々、家具作りもライフワークにしたいと言われている。山形工房から今
年ドイツのレッドドットデザインアワードで"b e s t o f b e s t"を受賞した
"ORIZURU"、
そして新しい機能とデザインの調和を図った"TATAMI"に
もぜひ注目していただきたい。
また"Xair"はすべてを国内生産にこだわる
ため、
カラーリングなどバリエーションの広さを楽しむことができる。
こだわり
の逸品を選ぶときは、
環境と合わせた色のセレクトが何より重要だ。
[上左]
ORIZURU●10万2900円
(税込、
㈱天童木工 phone:023-653-3231)
[上右]
TATAMI●7万8750円
(税込、
多田木工製作所 phone:023-653-5625)
[上中央]
Xair
(エクセア)
●18万7950円
(フルオプション、
税込、
イナバインターナショナル㈱
phone:03-3461-1781)
イスとクルマの恋愛論
クルマ同様、
イスにこだわる男性は意外に多い。
その理由についての
生理学的あるいは心理学的考察は他に譲るとして、ここではカー・デザイナーが
作り上げたイスをご紹介しよう。あのクアトロポルテの
デザイナー、
ケン・オクヤマ氏が世界に提案する日本発のプロジェクトだ。
text:Shinichi EKKO(越湖信一)
editorial design:H.D.O.(堀口デザイン事務所)
みなさんの中で、エンツォ・フェラーリやマセラ
独立して高さや、向きをアジャストすることのできる
アームレストは長時間PCに向かったりするときにも、
姿勢に融通が効く。
「無駄なラインはいっさいありません」
と奥山氏が言
感銘し、そのプロデュースを行っている。せっかく世
うようにXシェイプのフレームは、クアトロポルテのフ
ティ・クアトロポルテなどをデザインした奥山清行さ
界に誇る技術がありながらも、地域の中から出ること
ロントを眺めているような感動をもたらしてくれる。そ
んの名前を知らない方はいないであろう。私はそのマ
ができない現状を打破するため山形にスタジオを設
して、そのアルミの質感も大変好みだ。伝統の日本に
セラティ・クアトロポルテをメインカーとして愛用して
けた。そこから地元山形のみならず、全国に様々なプ
あるアルミ鋳造技術と奥山さんのコンセプトのすてき
いるのだが、運転していると、人々のこのクルマを眺
ロダクトを提案しようというのだ。誰も真似するこので
なマリアージュである。
める"目"が違うことを感じる。わたしがどんな"奇抜"な
きない素晴らしい技術に、世界のマーケットを知る奥
クルマを運転していたとしても、ご高齢の方々などク
山氏のデザインとプロデュース力が加わるのだから、
ルマに興味の無い方は、見向きもされない。しかし、
それは魅力的でないわけがない。
このクアトロポルテについてはクルマに全く興味のな
Xシェイプのフレームを用いたデザイン・コンセプ
いような方々からの目線をも感じるのだ。それは、
「凄
トと、エア・ランバーサポートを装着したことが、モデ
い! かっこいい」
というより、
「なぜか、気になる」
という
ル名の由来となったこの"Xa ir"は、あなたの書斎に
ニュアンスか? 事実、そういった方々より、
「なんとも言
ぴったりだ。オフィス・チェアとカーデザインの融合と
えず美しいですね」
「いったいどこの国のクルマなの
いうセールスコピーが付くこのモデルだが、そんな限
ですか?」
というお言葉を運転中にまで頂く。そしてデ
定的なニーズでなく、置かれた環境に素直に溶け込
ザイナーが日本人だということをお話しすると、驚きつ
むところが凄いと思う。前述のクアトロポルテのよう
つもなぜか納得される。おそらく皆さんはこの車が巨
に無機質なイメージを感じさせない質感があり、オ
大な金属の塊でありながらも、周囲の環境と融合し
フィス・チェアを好まない私でも大いにくつろぐことが
たメッセージを感じるのではないか。
できる。もちろん、くつろぐことだけがこの椅子の目的
奥山氏は日本人が伝統的に培ってきた技術力に
でもない。私のようなラフな、言いかえれば姿勢の悪
※"メレンダ
(merenda)
"とはイタリア語で"おやつ"。
イタリアでは大人になっても必ず何か食べてい
る。小さいころからの夢やあこがれにいつまでもこだわっていられるのは、
このメレンダのおかげ?
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い人間にも自然な包容力で対応しているところがもう
ひとつの凄い点だ。エアのランバーサポートや、左右
ケン・オクヤマ・コレクション販売会&トークショー
(西武池袋本店)
西武池袋本店"イタリア・フェア"の一貫として、9月28日〜10月12日
の間、5階
(中央B6)
紳士雑貨売場でケンオクヤマデザインの商品を
紹介する。
10月13日〜10月26日の間は同じく西武池袋本店5階
(北B4)
紳士
服フロア特設会場にて小物から家具まで幅広い商品を展示。KO7な
どの製作ドキュメントフォトギャラリーなども開催予定。
なお10月16日
(土)
午後3時より奥山清行氏をお招きしてのトーク
ショーも開催予定。
場所:5階
(北B4)
=紳士服フロア特設会場
参加費:無料
イベント当日の午前10時から5階特設会場にて先着20名さまに着
席整理券を配布。
(問い合わせ:03-5949-2449/西武百貨店紳士
フロア・担当:細田・瀬戸山)