~ 30 周年だよ、全員集合! KEEP for the Future ~ 未来のための「 未来のための「KEEP×○○ KEEP×○○」 ×○○」環境教育研究所 各研究室報告書 会 日 場: 時: 2014 年 1 月 18 日(土) 日(土)~ 19 日(日) 公益財団法人キープ協会清泉寮 、山梨県立八ヶ岳自然ふれあいセンター 1 KEEP×○○ 研究室 【18 日の部 14:00~16:30】 1.森って気持ち良いね 森って気持ち良いね… 森って気持ち良いね …から始まる可能性 実施者:竹越のり子 実施者: 竹越のり子× 竹越のり子 ×村田けい子(フリーランス) 2.見つけて伝える「魅力発見力!」 見つけて伝える「魅力発見力!」 実施者:石川千春 実施者: 石川千春× 石川千春× 古川絵里子(島ガール・フリーランス) 3.人は「作業」しないと生きていけない! 人は「作業」しないと生きていけない! 実施者:中山孝志 実施者: 中山孝志× 中山孝志× 中山由美(作業療法士) 4.暮らしの「手間」の楽しみ方 暮らしの「手間」の楽しみ方 実施者:石川昌稔 実施者: 石川昌稔× 石川昌稔× 田才泰斗(ぴたらファーム 5.日本人の自然観を宗教から読み解く 日本人の自然観を宗教から読み解く 実施者:村山敬洋 実施者: 村山敬洋× 村山敬洋× 島田征吾(日本聖公会 ファーム長) 横浜教区司祭) 【19 日の部 9:15~11:45】 6.みて!さわって!つくって!? みて!さわって!つくって!? 冬鳥集う清里高原で、野鳥に出会うひととき 実施者:佐藤陽介 実施者: 佐藤陽介× 佐藤陽介× 鈴木茂(八ヶ岳自然ふれあいセンター ボランティア) 7.やりたいことを見つける「すごい朝活」体験 やりたいことを見つける「すごい朝活」体験 実施者:本田晶× 実施者:本田晶 ×笠野大輔(やりたいこと研究家) 8.「森からの動物の声を聴く、冬の森で命を感じる」研究所 「森からの動物の声を聴く、冬の森で命を感じる」研究所 実施者:饗場葉留果× 実施者:饗場葉留果 ×小山泰弘(長野県林務部職員) 9.KEEP KEEP× KEEP×野外災害時救急法指導者 ウィルダネスファーストエイド~仲間を守るその技術 実施者:本杉美記野× 実施者:本杉美記野 ×豊田啓彰 10.獣害って何だろう? 獣害って何だろう? ~人間と野生動物の適正な距離を考える~ 実施者:小野明子× 実施者:小野明子 × 山本圭介(特定非営利活動法人 甲斐けもの社中専務理事) (実施者名、敬称略) ※両日とも乳幼児連れ参加できる坂上秋津による「森のようちえんスタッフとあそぼう」も実施 2 1.KEEP× 1.KEEP×元 OL インタープリター 森って気持ち良いね… 森って気持ち良いね…から始まる可能性 実施者:竹越のり子 実施者:竹越のり子× 竹越のり子×村田けい子(フリーランス) 【ゲストプロフィール】 ベネッセコーポレーション勤務後 JEEF 自然学校指導者養成講座(実習先:キープ協会)を経て、現在フリーランス。 環境教育(インタープリター)およびマーケティング関連の仕事に携わる。 人生のテーマは「くらし×学び」。教科書の世界で完結しがちな今の日本の教育に疑問を持ち、 生きるために必要な知識や経験を“くらし”の中から”学ぶ”ような、本質的な学びの機会を増 やし・広めていくことを目指している。 夫の仕事の都合で首都圏でのマンション生活を送りつつも、 自然に囲まれた田舎暮らしへのあこがれは捨てられず。 近所の田んぼの手伝いをしたり、家ではベランダ菜園を楽しみつつ、 梅干しやベーコンを手づくりしたりと、できるだけ手仕事を楽しむ暮らしを心がけている。 都会のサラリーマンに、環境教育の考えをどうやったら浸透させていけるか・・・ 夫を使って実験しながら?! 日々試行錯誤中♪ 【実施レポート】 私達は「森林療法」の可能性を探ることを目的に、まずは真っ白な雪に包まれた静寂の森へ出 かけました。テーマは“呼吸”。ネイティブアメリカンの思想“人は呼吸を通して身体の中の内 なる自然と、外に広がる自然とを一体化させることができる ”を紹介しました。森が生み出す新 鮮な空気を吸い、しっかり吐きだすことに意識を集中させながら歩くと 、呼吸リズムと歩くリズ ムが整っていき“今ここ”に集中していくのを体感しました。参加者も「歩みを進めるにつれ頭 で考えるのをやめたら自分の呼吸が深くなっていくのを感じた 」そうです。続いて森の中でヨガ の体験をしました。大地にしっかりと根をおろし、大空に向かって樹木が枝を広げるように伸び あがって深呼吸を味わいました。「森に包まれて心が開放され、とても穏やかな気持ちになれた」 そうです。森と身体と心がつながりあったところでソロを楽しみ 、最後は歌を聴いて頂きました。 「感情がわきあがり自然に涙が流れた …」という方も。自然の癒しへの感謝の祈りをわかちあい ました。 帰り道、モミの葉っぱを頂いて室内にてアロマクラフト “モミのエアフレッシュナー作り“を 体験。他にも、ゆず、レモン、アカマツでも作れることを紹介し香りを楽しんで頂きました 。そ してゲスト村田さんによる、モミの魅力についてのレクチャーでは 、モミは、葉の状態によって 香りや効果が違うこと、フィトンチッドを使って森とコミュニケーションをとっていること 、そ して、様々な場面で文化的に利用されていることを学びました 。また、森での感動をどう日常に つなげるかという投げかけがゲストからあり 、モミを通して新たな考え方を得られるというメッ セージも受け取りました。そして、残念ながらここで時間切れ…となり、タイトルのように可能 3 性を探るディスカッションまでは出来なかったのですが 、今回の体験を通して自然とのつながり を紡ぎ直したその感性で、参加者さん自身が想像して下さることに期待しています 。しっかりと 意識を持って自然とつながる機会を持つことの大切さを再確認することが出来ました。皆さん 、 また森でお会いましょうね~♪ (記:竹越) 4 2.KEEP× 2.KEEP×島ガール 見つけて伝える「魅力発見力!」 実施者:石川千春 実施者:石川千春× 石川千春×古川絵里子(島ガール・フリーランス) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 小豆島生まれ、小豆島育ち。 キープ協会、元実習生・職員を経て小豆島で環境教育にたずさわる。 小豆島の魅力を多くの人に伝えるため、団体「小豆島ガールプロジェクト」を設立。 女性ならではの目線とセンスで島の魅力を発信中。 【実施レポート】 ゲストに「小豆島ガールプロジェクト」を立ち上げた古川絵里子さんを迎え、地域の魅力の発見の仕 方、伝え方を考えよう!というワークショップを実施 。参加者+スタッフ総勢 12 名が 2 チームに分か れて絵地図を作成し紹介するという、緩やかな楽しい時間となりました。 「小豆島ガールプロジェクト」は、小豆島に住み、島のことが大好きな女性たちで立ち上げたもの 。 「きれいなものを、みつけに」をコンセプトに、観光スポット以外の魅力を自分たちの目線で綴り、 ホームページで発信。まずは自分たちが楽しむことを一番に、行きたいところに行って、会いたい人 に会って、感じたことをそのまま伝えている、そんな等身大の姿がメディアにも注目されているそう です。誰に、どんな人に「伝えたい」か、どう「伝える」かを意識しつつ歩くことで「新しい発見」 が生まれます。 その視点から作成したサンプルの絵地図を披露。長野県茅野市のとある一画を「引っ越してきたばか りの新人ママ」へ紹介するお散歩マップです。それを参考に絵地図作りにチャレンジ! 2 チームに分 かれ、会場周辺を歩きつつ、見つけた魅力をまずは既存の地図に落とし込んでいきます。魅力発見の ポイントは 5 つ。①自分が楽しむ②感じたことをありのまま伝える③いろんな人と歩いてみる④過ご し方のイメージを持つ⑤写真に自分たちを入れる。 2 チームそれぞれに散策を楽しんだ後、いよいよ作成開始。 「シカ婚はじめました!」 「2 人の心があっ たかツアー~ファーストコンタクト」という個性的な絵地図が出来上がりました。最後はお互いのチ ームの地図を手に散策し、なごやかな雰囲気で終了。 今回のワークショップは専門家を呼んでノウハウを教えてもらうというものではなく、実施者、ゲス ト、参加者が一緒に魅力を発見しようというスタンスで行いました。伝える対象と発信することを意 識することでいつも見ている場所も違って見える。清里在住スタッフにとっても、よい刺激となりま した。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました 。(記:2013 年度実習生 5 松尾) 6 3.KEEP× 3.KEEP×作業療法士 人は「作業」しないと生きていけない! 実施者:中山孝志 実施者:中山孝志× 中山孝志×中山由美(作業療法士) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 音楽短期大学を卒業後、社会人経験を積んだのち作業療法士になるべく 、リハビリテーション学校に 入学。卒業後、主に精神科医療や老年期/地域医療分野に従事する。また、音大の経験も活かし、現 在音楽療法にも関心を持っている。 【実施レポート】 自然体験プログラムを「作業療法士」と「インタープリター」の両方の視点からプログラム評価する ことで、これまでなかった視点を得ることを目的とし、また 参加される方々の日常でも仕事でも 普 段の活動が作業療法として、どのように見られるのか、探ってみたい。 参加者は3名。参加された方の動機を伺うと既にインタープリターとして活動されている方々で、 作業療法に興味があり、かつ日常の生活に活かしたい、子どもの成長過程としても活かせるのでは? という意識を持っていた。 まず、作業療法とはどういう療法なのかを理解していただくため、スライドを中心にゲストから説 明を行う。その中では治療方法の例を紹介したり、体を動かすことで体の機能を上げることができる ことを理解した。そして、「日常生活」の動き自体が既に作業療法であることを知った。 そのあと、実際にクラフト(作業)を行なった。クラフトはロクショウグサレキンの付着した木を 素材に、小刀ややすりを使って「手を動かして」クラフトを体験。手を動かしながら様々な話題で話 をし、和やかな時間を過ごした。そして、作業を通して感じたこと、どのような動きをしたか参加者 とふりかえりを行なった。 その後クラフトを通じて、まずインタープリターから「行為目標と成果目標:ねらい」を説明し、 次に作業療法士としての視点で「直接的効果」 「間接的効果」を説明した。作業療法を含むリハビリテ ーションの目指す最終的な目的は、QOL(Quality of life)であり、自分の生活にどれほど幸せを感じ ているか。つまり充実度を向上させること。このことについて事例を交えながら説明があった。 そのあと、フリーディスカッションとなったが、参加者からは以下のような意見がでた。 ・作業療法士とインタープリターの視点は似ているかもしれない。 ・非日常(OT→作業のひととき IP→自然体験)と日常(普段の生活)があり、二つが結びつくか どうかはその参加者次第である。 ・作業を行なって得られる結果というよりは、作業のプロセスや空間や意味が大切なんだ。 ・社会全体が効率化を求めており、例えば、子どもとかちょっと待ってあげれば出来ることも、待 7 てない感じになっている。ちょっと待ってあげることで、その子の成長にも効果あるのでは? ・作業一つとってもでも、深くて広い。 ・黙々とハンコ押しとか、草むしりとか行なって居る時に良いアイディアって浮かぶよね。 今回WSをやって気づいたことは参加者の一番声が自然と出ていたのは、フリーディスカッション タイムでも講義の中でもなく、作業(クラフト)を行なって入るときであった。まさしく、作業療法 の間接的効果の一つに位置づけられている「コミュニケーションの手段」であると感じた。 (記:中山) 8 4.KEEP× 4.KEEP×地域農業者 暮らしの「手間」の楽しみ方 実施者:石川昌稔 実施者:石川昌稔× 石川昌稔×田才泰斗(ぴたらファーム ファーム長) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 約40カ国に及ぶ海外放浪と3年間の木工職を経て30歳より農を志す。2011年9月、北杜市白州に自然 循環型農場、ぴたらファームを立ち上げる。個人宅配をメインに野菜やお米を販売する他、農体験の 受け入れ、暮らしを伝えるイベントを開催している。日々仲間たちと共に古民家に住み、ほぼ自給自 足の農的暮らしを実践する。ぴたらファームが一番大切に考えていることは、循環する暮らしの豊か さと楽しさを多くの人に伝えるということ。仲間と分かち合って暮らすことで、より暮らしは豊かに なり、ゆとりも生まれると考える。将来的には半農半 X の集合体となり、それが一つのビジネスモデ ルとしても確立できればと夢見る。 【実施レポート】 暮らしの中にある手間を考え、実際に“手間”を体験。また、手間を楽しむ方法を考えていきました。 ゲストの田才さんは山梨県白州で「ぴたらファーム」という自然循環型農場を営み、農作物の販売や 農体験などを通じて、循環する暮らしの豊かさと楽しさを伝えています。 まずは、今の自分の暮らし方、どの位置になりますか? その暮らしがすき ↑ 手間をかけている←―――――→手間をかけていない ↓ 変えてみたい 手間をかける暮らしに魅力を感じ、普段からやられている方、 手間をかけれていない…でも、その生活を変えていきたいなど、ほぼ二極化しました。 「手間」をかける時間では、ファームで育てた大豆からきな粉を作りました。 炒った大豆を砕き、粉末にする作業が一苦労! フードプロセッサーを使えばボタン一つですが、ここは手間を大切にしたいと、まずは、すり鉢・す りこ木で頑張ります。 「なかなか細かくならない。粉末にするにはどれだけ時間がかかるの!?」 文明の力とも上手に付き合いながら、出来上がったきな粉はお餅と一緒に頂きました。 みんなで作ったきな粉の味はいかがでしたか?最後まで手作業を貫いた歯ごたえのあるきな粉も手間 9 をかけた美味しさがありました。 最後は普段、手間と感じることに対して、上手く付き合う方法を考えました。食事や片づけなどに対 する手間が多く挙がり、それに対して講師参加者を交えて意見を交わしました。例えば掃除をする手 間を楽しむきっかけとして、お気に入りの道具を用意してみよう、など参加者の経験を基に、手間が 楽しくなる工夫について話合いました。 効率良く、便利さが求められる現代は、手間はやりたくても出来ないことの一つとなっているのかも しれません。参加者から、「今かけている手間をより深めていきたい」「生活の姿勢を見直したい」 など声が出ました。「暮らしの中で手間を大切にし、命や自然とつながることで豊かな気持ちや楽し さを見つけてもらいたい」と、田才さん。暮らしや物事のいとなみを大事にしたいと思える時間を過 ごすことが出来ました。 ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。(記:石川昌) 10 5.KEEP× 5.KEEP×聖アンデレ教会司祭 日本人の自然観を宗教から読み解く 実施者:村山敬洋 実施者:村山敬洋× 村山敬洋×島田征吾(日本聖公会 横浜教区司祭) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 日本聖公会 横浜教区 司祭 清里聖アンデレ教会牧師・キープ協会チャプレン 【実施レポート】 自然をどう感じているかをゆっくり意識することがない現代、参加者 7 人と自分たちが普段感じてい る「自然への魅力、気持ち」をフリップに書いてもらい自己紹介と共ともに共有したのち、自然観を 考えていく時間を過ごしました。 ゲストの島田司祭のお話は、日本人が感じている自然観を自然現象を通して、解きほぐしながら考え ていく内容でした。 日本は、ヨーロッパと異なり、地震、台風など甚大な被害をもたらす自然現象が多く発生しています 。 これらの自然現象は、いつ起こるか予想することができず、現代の科学をもってしても、コントロー ルできないもの、人智を超えるものです。こうした現象を、日本人は、自然そのものに対しての神を 肌で感じ、「天然の無常」「無我の境地」として受け入れています。「備える」「工夫する」「対策する」 という心持で、自然と向き合ってることからも、抗ったり、征服するものとは違う「受容」している というのが、日本人の自然観の中でポイントとなることが示されました。 質問の時間には、宗教観から見た自然、それぞれの自然の見方に関する白熱した議論がなされました 。 この議論の後、改めて自然と向き合う時間をとるために、野外に出て自然を各個人で考える時間をと りました。 室内に戻り、3 人で 1 グループとなり、この時間全体を振り返りながら自分たちの考えを、お互いに 話す時間をとりました。ディスカッションで話された中には、普段意識的に活動している「自我」の 生活の中で、 「無我の境地」をもって自然とどう向き合っていくのか、そのバランスのとりかたが現代 では難しくなっている、という声も聞かれました。 画一的な答えのない、 「自然観」という観念的、精神的なものについて考え続けることは、自然を伝え、 そして自然とともにある我々にとって、天然の無常とどう向き合うか、どうあるべきかを改めて見つ めなおす時間となりました。(記:村山) 11 12 6.KEEP× 6.KEEP×野鳥観察者/写真家 みて!さわって!つくって!? 冬鳥集う清里高原で、野鳥に出会うひととき 実施者:佐藤陽介 実施者:佐藤陽介× 佐藤陽介×鈴木茂(八ヶ岳自然ふれあいセンター ボランティア) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 企業勤めとともに、八ヶ岳自然ふれあいセンターでのボランティアを経験 。近年はやまね研究のボラ ンティア活動などにも参加。そのかたわら、ライフワークとして八ヶ岳周辺を中心に野鳥の観察・撮 影にも力を注ぐ。 【実施レポート】 野鳥観察と実際の野鳥から羽標本を作製しました。野鳥への興味、その気持ちを深めてもらいたいと 企画しました。ゲストは八ヶ岳自然ふれあいセンターのボランティアである鈴木茂さん。 野鳥の魅力に魅せられ、長年八ヶ岳のフクロウを中心に観察と撮影を続けていらっしゃいます。 最初に準備運動「私の鳥はだ~れ?」。背中に張られたカードが何の鳥か、お互いに特徴を推測しな がら質問し合います。鳥それぞれがもつ特徴を考える時間にもなりました。 その後は、美し森ファームに野鳥観察へ。 ここには野鳥の餌場があり、シジュウカラ、コガラ、ゴジュウカラ、冬鳥のカワラヒワとウソを観察 できました。 「鳥には性格があるんだよ」という茂さんの言葉を聞き、意識して見ていると 、体が大きいウソは餌 台で堂々と食事をしていたり、小柄なカラ類は餌をくわえるとすぐに飛び立ってしまったり。さらに ウソがいるとその動作が素早くなる・・・、鳥社会を垣間見たようで印象に残りました。 室内に戻り、今度は間近でじっくり観察。羽標本を作製しました。 バードストライク(鳥が人工物(今回は窓)に衝突して しまうこと)で死んでしまったものを使用し ました。 まずは、その鳥を図鑑と見比べ、ホオジロ、ツグミ、コサメビタキの3種と同定しました。 作製する羽標本は2種類。翼を広げたままの片翼と、翼から羽を1枚1枚抜いて並べたもの。後者は それぞれ翼の風切羽(飛ぶ時に風を切る長くて強い羽毛)と尾羽を使用。 羽を胴体から切り落とすときの息を呑む緊張感。風切羽や尾羽を並べているときに感じた洗練された 美しさ。じっくり見て触れながら、この鳥は空を飛び生きるためにこの翼で羽ばたいていたんだな、 という気持ちにもなりました。 参加者の皆さんには「実際に野鳥を間近で見て触れる貴重な体験ができた」と言っていただけました。 実はスタッフも同様です。失われてしまった命から学べることがたくさんあります。自然と鳥のこと 13 を伝えていくために形に残していくことも大切だと感じました。ありがとうございました。(記:佐 藤) 14 7.KEEP× 7.KEEP×やりたいこと研究家 やりたいことを見つける「すごい朝活」体験 実施者:本田晶× 実施者:本田晶×笠野大輔(やりたいこと研究家) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 1967 年生まれ。静岡県出身。 信州大学在学時より、清里フォーラムに参加することをきっかけに清里の森に入り込む 。大学終了後 に長野県職員となった後も、清里高原の植生や植物を題材に調査研究を続けてきた。特に、川俣渓谷 の斜面に生えているブナに興味を持ち、ブナの地理的変異を追いかける中で 2012 年に名古屋大学より 博士(農学)を授与された。 森林管理に関わる森林生態を専門分野としており 、清里では森林構造の 変化とヤマネの生息条件の変化に注目している。また、外来種であるニセアカシアの研究や江戸時代 の森林を推定する仕事なども研究対象としている。 【実施レポート】 静かで活力あふれる朝の時間を活用する「朝活」の提案。「朝はニガテ?得意?」「最近モヤモヤ してる?気分スッキリ?」などいくつかの質問でグループ分けゲームをしてアイスブレイク 。朝 活といっても内容もとらえ方も色々だが 、今回は、まずは自分を知ることから体験スタート 。 「自 分のいいところ」と「こうしたらもっとよくなる」ことを主観と他観から書き出す作業をし 、自 分のことを再認識。その後は、人生のふりかえりワークとして自分史グラフを作り 、今までの黄 金期と停滞期の波を書き込んだ。自分が黄金期と思えるための要素と、現状の整理をした。また、 人生の 10 大 Good ニュースと Bad ニュースを挙げてみた。Bad だと思っていたことが考え方によ っては Good だと思えてきたり、過去があるからこそ今があることに納得したという感想が出た 。 過去と現在を確認するこれらのワークに続き 、これからの人生に何を望んでいるかを整理するワ ークに進んだ。手に入れたいのものとそれを叶えるためのアイデア出しをし 、そのアイデアを実 行するために一日の計画を立てたりエネルギーチャージする時間を朝に取り入れる提案をした 。 ゲストや私の体験談を話したり、テーブル内でも自由に感想をシェアしてもらったり 、笑い声が 上がり明るい雰囲気で進んだ。体験ワークの最後に 、「何かを変えたいと思った時に行動する選 択をするのは苦しいが、その選択の後に成果がついてくる」というメッセージの動画を見てもら った。WSの締めくくりに、『夢は、口に出すと強い!』集英社の少年ジャンプの新聞広告を紹 介し、体験ワークを通して見えてきた夢や湧き上がってきた思いを 、テラスから牧草地に向かっ て全員で一斉に叫んだ。声に出すことで自分の意識にも落ちるという経験に 。自然の中に入ると、 心を開いて素直な気持ちになれることをあらためて感じた。ワクワクするような朝の時間を 、み なさんが自分に合ったやり方で取り入れるヒントになったら嬉しい 。(記:本田) 15 16 8.KEEP× 8.KEEP×森林農学博士 「森からの動物の声を聴く、冬の森で命を感じる」研究所 実施者:饗場葉留果× 実施者:饗場葉留果×小山泰弘(長野県林務部職員) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 1967年生まれ。静岡県出身。 信州大学在学時より、清里フォーラムに参加することをきっかけに清里の森に入り込む 。大学終了後 に長野県職員となった後も、清里高原の植生や植物を題材に調査研究を続けてきた。特に、川俣渓谷 の斜面に生えているブナに興味を持ち、ブナの地理的変異を追いかける中で 2012年に名古屋大学より 博士(農学)を授与された。 森林管理に関わる森林生態を専門分野としており 、清里では森林構造の 変化とヤマネの生息条件の変化に注目している。また、外来種であるニセアカシアの研究や江戸時代 の森林を推定する仕事なども研究対象としている。 【実施レポート】 本ワークショップは、樹木の専門家である小山氏とニホンヤマネ(以下、ヤマネ)の研究者である 実施者がコラボレーションした。今回は、冬の森で活動を停止している、冬の樹木とヤマネに焦点を 当てながら、森の中の命について学んでもらえるよう実施した。 最初に参加者さんも含めた簡単な自己紹介を行い、ヤマネについて、やまねミュージアムで紹介を した。ミュージアムでは、実際に冬眠している姿を見た。ヤマネは寒い冬を冬眠という形でぐっすり と眠って過ごす。ヤマネにとってのエサがとても少なくなる冬を過ごすため食餌をしないで済むよう 、 体温は 0℃位まで下げ、心拍数も活動期の約 1/10 のまで減らすため、ほとんど動かない。この様子を みんなで見た。また、ミュージアム内では、ヤマネという動物の基本情報についても説明を行った。 見学の後には深い雪の中歩き、実際にヤマネが冬眠をしていた場所を森に入って見た。この日の森の 中の積雪は約 25 ㎝。彼らが冬眠をしている冬の森を体感した。 続いて、ヤマネとは切っても切れない関係である、樹木について小山氏から木の生き方の紹介を行 った。木は冬、水を体に入れていないため、多くの木が葉っぱを落としている。そのため樹形がとて も見やすくなっており、そこから木の人生を見ることができる。木はなぜ枯れるのか?枝はなぜ今の ように伸びたのか?などを簡単なスケッチをしながら、木の人生の見方を学んだ。帰り道では、眠り から覚める木の話とヤマネの話をしながら、会場まで帰った。 最後には、 「ヤマネと樹木のすごいと思ったこと」を参加者にワークシートに記入してもらい 、更に、 可能な範囲で「自分自身をほめられる部分」 「ヤマネと木の生き方で自分に活かせそうな部分 」につい ても記入してもらった。参加者さんからは、樹木についての見方が変わったなどの意見などが出てき ており、冬の森で命について感じ、知ってもらうことが出来たワークショップとなった 。(記:饗場) 17 18 9.KEEP× 9.KEEP×野外災害時救急法指導者 ウィルダネスファーストエイド~仲間を守るその技術 実施者:本杉美記野× 実施者:本杉美記野×豊田啓彰 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 所属:一般社団法人ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン代表理事 http://www.wildmed.jp/ 【実施レポート】 ウィルダネスファーストエイド(WFA)とは、野外での事故や災害時など、救急車や医療機関への搬送 に時間がかかる状況下での救急法です。 参加者は 7 名。自身の働くフィールドに持ち帰りたい、現職の看護師としての視点、震災ボランティ アの経験から必要性を感じた、など参加動機は様々です。まずはゲストの豊田さんより WFA について の説明がありました。都市部の救急法との違いは何か、そして大きな特徴である「傷病者評価システ ム」について学びます。どんな状況下でも、どんな傷病者に対しても、現場で何をするべきか判断で きるのがこのシステムの特徴です。システムに沿って手順を踏むことで、混沌とした現場を客観的に 見て評価し秩序を作り出すことができます。 その後は実際に野外へ出て、傷病者役と救助者役に分かれての実習です。防寒着を着込んでザックを 背負いうつ伏せに倒れている人、斜面で頭を下にして倒れている人、脈も呼吸もありません。では胸 骨圧迫(心臓マッサージ)をするには・・・?、体の向きを変えていいのか、変えようと思ってもザック が邪魔だったり、斜面だったり。ほとんどの人がそこで「どうしよう」と考え込んでしまいます。都 市部の救急法で学ぶ理想に近い状況と、実際の野外での現実との大きな違いを身をもって体験しまし た。後半は意識のある傷病者から状況や症状などを聞き出す実習。慌てて判断を誤り、助かる命を逆 に落としまった事例などを聞き、手順を踏んで情報を得る重要さを知りました。 ふりかえりでは「野外の現場では評価力、判断力が問われることを実感し、自分に足りないことを痛 感した」という声が多く、評価する力をあげるには「体験から学ぶ」ことが有効であることも実感し ました。野外救急は医療を簡潔させるわけではなく命をつなぐリレーであること、都市部のものを否 定するのではなく、野外や災害時の新たな概念としてスタンダードになっていけばよいのではという 説明もあり、それぞれが「野外でいのちを守る」ことについて考え、新たな思いを持ち帰る時間とな りました。(記:2013 年度実習生 松尾) 19 20 10.KEEP× 10.KEEP×野生鳥獣アドバイザー 獣害って何だろう? ~人間と野生動物の適正な距離を考える~ 実施者:小野明子× 実施者:小野明子×山本圭介(特定非営利活動法人 甲斐けもの社中専務理事) 【 ゲストプロフィール】 ゲスト プロフィール】 ( 特定非営利活動法人 甲斐けもの社中専務理事/農林水産省野生鳥獣被害対策アドバイザー/ 山梨県鳥獣被害対策専門員 ) 学生時代より野生動物による農作物被害に関する調査研究を 行う。調査地であった山梨県南巨摩郡早 川町での研究発表時に、 地域の方から「調査をしてくれる人は大勢来るけれど、 実際にここに住ん で動いてくれる人はいない。」という言葉を 聞き、早川町に住み活動することを決意。 以来、「地域 にあわせた被害対策」を目指し、様々な獣害対策に従事する。2013 年には甲斐けもの社中(*)を立 ち上げ、南アルプス市を拠点に活動。 「獣害対策を地域医療の形へ。目指すのは予防。」の思いを胸に、獣害対策の専門家として、現場調査 と分析、自治体のコンサルティング・集落での講習会の開催など、その地域ごとの問題に応じた解決 策を提案・実施している。 *甲斐けもの社中 http://kai-kemono.org 【実施レポート】 はじめに、参加者の方に「自分と野生動物の関わり」について一言ずつ紹介してもらった。 「小さい頃 から動物好きで、いまも野生動物は可愛いく思うし好き」、 「自分の畑が被害にあっていて困っている」、 「都市に住んでいるため野生動物とはあまり関わりがない」等等。人それぞれの立場や状況、嗜好に より、その関わり方も抱く感情もまさに十人十色であった。 次に、スライドを見ながら、獣害問題の原因や対策の現状、今後の方向性など 、「甲斐けもの社中」が 実践してきた事例の紹介とともに、山本さんからお話を伺った。獣害問題は動物や自然環境だけの問 題ではなく、むしろ地域社会の問題であること、つまり「獣害対策=地域づくり」であることや、対 策を円滑に進めるためには住民や行政、専門家など様々な団体をつなぐハブ組織が必要なこと、また その対策を住民主体のものにする、また持続可能なものとするための仕組みづくりが必要なことなど を学んだ。 その後は、2チームに分かれてのグループワーク。それぞれが甲斐けもの社中の社員になったつもり で、現在の獣害の現況や住民感情など架空のデータをもとに、その地域への 2 年間の獣害対策プラン を作成し発表した。タイトな時間にも関わらず、皆さんそれぞれの意見を述べ合い、中身の濃いプラ ンが出来上がった。両チームともに「現状の正しい把握」と「地域住民の十分な理解を得る、住民を 巻き込む」ということに工夫をしたプランであったことがとても印象的だった。 参加者の方からは「獣をどうにかするのではなく、人側が変わることに獣害問題解決の糸口がある 」 「地域ごとに違うものなので、まずは地域の実情を正しく把握することが必要」などの感想をいただ 21 いた。 「今後対策するためのヒントをもらえた」など、これから行動していくことを述べてくださった 方が多くいた。この研究室が、獣害対策への一歩を踏み出すきっかけとなったら 、とても嬉しい。 (も ちろん自分自身も、シカの食害が目立つようになってしまった清里の森を今より元気にするための獣 害対策を実施できるよう、行動します!) (記:小野) 22
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