新型インフルエンザトピックス - 東京海上日動リスクコンサルティング株式

新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
新型インフルエンザトピックス
速報版(2009 年 5 月 5 号-その 1)
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
ERM 事業部
世界:人へのインフルエンザ A 型(H1N1)感染の拡大
目 次
1.各国の感染状況の概要 ............................................................................................................................ 2
2.日本における感染状況 ........................................................................................................................... 14
3.各国の対応状況に関する情報 ............................................................................................................ 15
4.今後の感染状況について...................................................................................................................... 20
5.企業としての対策 ...................................................................................................................................... 22
6.関連情報へのリンク等 ............................................................................................................................ 28
これまで、新型インフルエンザトピックス速報版で配信している通り、インフルエンザ A 型
(H1N1)*は、現在でも世界各国に感染が拡大しており、これまでに感染が確認された感染確認
国・地域は 21 ヶ国・地域に上っている。また、2009 年 5 月 1 日には香港で、5 月 2 日には韓国
で、それぞれ感染症例が確認され、アジアでも感染拡大が懸念されている。一方、日本において
も、これまで 4 例の疑い例が報告されたが、いずれも陰性との結果となった。現在、感染確認国・
地域は増加する傾向にあるが、推定感染症例及び疑い例の報告を行っている国は 18 ヶ国となっ
ており、推定感染症例及び疑い例の報告数は、頭打ちの状況となっている。そのため、今後、イ
ンフルエンザ A 型(H1N1)ウィルスが大幅な変異をしない場合には、収束に向かう可能性も指
摘されている。しかしながら、現状においても、WHO のパンデミックアラートのフェーズ 6 の
要件に達しており、いつフェーズ 6 に引き上げられてもおかしくない状況が続いている。下記は
現状での感染状況等を中心にまとめたものである。なお、下記記載内容のうち、赤字の部分は、
新型インフルエンザトピックス速報版(2009 年 5 月 3 日号-その 1)からの更新部分である。
1
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
1. 各国の感染状況の概要
下記は、各国における今次インフルエンザ A 型(H1N1)の感染状況について、感染症例(確
認症例・推定感染症例・疑い例)の最新状況を基にまとめたものである。現状で感染が確
認されているのは、メキシコ・米国・カナダ・スペイン・英国・ドイツ・ニュージーラン
ド・フランス・イタリア・イスラエル・エルサルバドル・コスタリカ・韓国・コロンビア・
スイス・香港・オーストリア・オランダ・デンマーク・アイルランド・ポルトガルの 21 ヶ
国(地域)であり、その他の 18 ヶ国*で推定感染又は疑い例が報告されている。
注:* 新型インフルエンザトピックス速報版(2009 年 5 月 3 日号-その 1)配信以降、リトアニ
ア・ノルウェー・ベリーズ・バルバドス・ウルグアイ・ボリビア・ロシアの 7 ヶ国で、疑い
例が検査の結果、全て陰性となったことから、推定感染又は疑い例が報告された国は 18 ヶ国
となった。
【図表 1:世界の感染状況(日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在)
】
国名
確認日
(確定感染者)
確定感染者数
メキシコ
2009 年 4 月 30 日
802
米国
2009 年 4 月 30 日
383
カナダ
2009 年 4 月 30 日
140
35
スペイン
2009 年 4 月 30 日
57
60
英国
2009 年 4 月 30 日
27
ドイツ
2009 年 4 月 29 日
9
ニュージーランド
2009 年 5 月 1 日
6
15
92
フランス
2009 年 5 月 1 日
4
3
33
イタリア
2009 年 5 月 2 日
4
13
イスラエル
2009 年 4 月 28 日
4
2
エルサルバドル
2009 年 5 月 3 日
2
2
3
コスタリカ
2009 年 4 月 28 日
1
3
64
韓国
2009 年 5 月 2 日
2
1
10
コロンビア
2009 年 5 月 3 日
1
108
スイス
2009 年 4 月 30 日
1
23
香港
2009 年 5 月 1 日
1
3
オーストリア
2009 年 4 月 29 日
1
2
オランダ
2009 年 4 月 30 日
1
0
推定感染者数
849
6
(内死者数)
疑い例
26
2,498
1
159
331
10
2
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
国名
確認日
(確定感染者)
確定感染者数
デンマーク
2009 年 5 月 1 日
1
0
アイルランド
2009 年 4 月 30 日
1
0
ポルトガル
2009 年 5 月 4 日
1
0
推定感染者数
(内死者数)
スウェーデン
0
ブラジル
0
61
オーストラリア
0
52
アルゼンチン
0
45
チェコ
0
21
台湾
0
16
バハマ
0
10
ホンジュラス
0
9
0
7
チリ
0
5
グアテマラ
0
5
ベネズエラ
0
3
シンガポール
0
3
インド
0
3
ポーランド
0
2
タイ
0
2
パナマ
0
2
ベニン
0
1
合計
1,449
ペルー
(4 月 30 日取消)
1
疑い例
880
3
27
3,696
注:* 確定感染者数の内数
① メキシコ
„ コルドバ(Jose Angel Cordova)連邦保健相は現地時間 2009 年 4 月 29 日夜(日本時
間 30 日午後)、記者会見を行い、連邦政府として、感染拡大のために、次の措置を採
ると発表した。
-
連邦政府機関は、5 月 1~5 日の間、行政サービスを停止する(注:当地では、5
3
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
月 1 日はメーデー、2 日および 3 日は週末、5 日はプエブラ戦勝記念日で祝日とな
っており、実質平日 1 日のみの停止)。
-
公共交通機関、港湾、空港、高速道路等は通常通り機能する。軍、メキシコ石油公
社(PEMEX)、厚生省、金融市場、墨中銀等は通常通り活動する。
-
食料品、医療品等国民に必要な部分以外の生産部門の操業を 5 月 1~5 日の間停止
することを推奨する。ただし、スーパー、薬局、レストラン、銀行、ガソリンスタ
ンド、ホテル、レストラン、ゴミ収集は通常通り稼働する。
„ エスピノサ(Patricia Espinosa Cantellano)外相は 5 月 2 日の会見で、
「不当な方法
でメキシコ人を隔離している」として、中国への渡航を控えるよう国民に勧告した。
また、同外相は「症状のないメキシコ人が受け入れがたい環境に隔離された。科学的
根拠もない人権侵害は正当化できない」と中国を強く非難*した。この背景には、メキ
シコ政府が、今後、国外の国民が人権侵害・人種差別的な扱いを受ける可能性を懸念
していることが挙げられる。
注:* 香港で 20009 年 5 月 1 日、メキシコ人男性が新型インフルエンザに感染していること
が判明し、この男性が中国・上海経由で香港入りしたため、中国政府はメキシコ発上
海行きの航空便受け入れを停止させた。また、在北京メキシコ大使館関係者によれば、
新型インフルエンザの症状がないにもかかわらず約 70 人のメキシコ人が中国で隔離
されているとのこと。このうち北京のホテルに 10 人が隔離されていることから、在
北京メキシコ大使が面会を求めたが、中国側に拒否されたとのこと。ちなみに、新型
インフルエンザの発生を受け、アルゼンチン・キューバ・エクアドル・ペルーが、メ
キシコ便の受け入れを停止していることについて、同外相は「衝撃を受けている」と
発言していた。一方、日本は来日するメキシコ人の査証免除を 4 月 29 日から一時的
に停止しているが、これに対してもメキシコ外務省は不快感を表明している。
„ コルドバ連邦保健相は現地時間 2009 年 5 月 4 日朝(日本時間同日夜)
、記者会見を行
い、下記を発表した。
-
これまで、2,164 件の検体検査が実施され、内 727 人から検体からインフルエンザ
A 型(H1N1)が検出され、内 701 人が生存、26 人について死亡が確認された。
-
これまで 26 州で感染例が確認され、他 6 州においては未だ確認されていない。
-
感染者の男女比はほぼ半々となっている。
-
厚生省による感染者への調査によれば、感染は、家族よりも学校・職場の同僚を通
じて広がっていったということが判明した。
-
新規の患者数は減少しつつあり状況は安定期に入っているとは言え、引き続き油断
はできない。
„ コルドバ連邦保健相は現地時間 2009 年 5 月 4 日午後(日本時間 5 日朝)に記者会見
を行い、これまでに、802 人からインフルエンザ A 型(H1N1)が検出されと発表し
た。
4
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
【図表 2:メキシコ国内の感染状況(日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在)
】
州市名
確認感染者数
死亡者数
アグアスカリエンテス
(Aguascalientes)
5
5
バハ・カリフォルニア
(Baja California
11
0
チアパス
(Chiapas)
6
0
チワワ
(Chihuahua)
4
0
コリマ
(Colima)
9
0
ドゥランゴ
(Durango
2
0
グアナフアト
(Guanajuato)
1
3
ゲレーロ
(Guerrero)
3
0
イダルゴ
(Hidalgo)
27
0
メキシコ市
(Mexico City)
288
7
メキシコ
(Mexico)
70
9
ミチョアカン
(Michoacan)
1
0
オアハカ
(Oaxaca)
1
1
プエブラ
(Puebla)
3
1
ケレタロ
(Queretaro)
2
0
キンタナ・ロー
(Quintana Roo)
1
0
サン・ルイス・ポトシ
(San Luis Potosi)
42
0
ソノラ
(Sonora)
1
0
タバスコ
(Tabasco)
4
0
タマウリパス
(Tamaulipas)
1
0
トラスカラ州
(Tlaxcala)
19
0
5
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
州市名
確認感染者数
死亡者数
ベラクルス
(Veracruz)
1
0
サカテカス
(Zacatecas)
4
0
その他
297
0
合計
803
26
② 米国
„ 米国疾病管理予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)の
ベッサー(Richard Besser)所長代行 4 月 29 日、テキサス州でインフルエンザ A 型
(H1N1)の感染によって 1 歳 11 ヶ月の幼児(同幼児はメキシコ人で 4 月 4 日に入国
して、テキサス州内の親戚を訪ね、4 日後に発病し、州内で治療を受けていたとのこ
と)が死亡したと語った。
(米国で死者が確認されたのは初めてであり、メキシコ以外
の国で初の死者となった)
„ CDC は現地時間(米国東部時間)2009 年 5 月 4 日午前 11 時(日本時間 5 日午前 0
時)、同国内の感染者が 279 人に達したことを公表した。なお、その後の報道等から、
同国における感染状況は、感染確認症例 383 人、推定感染症例 849 人、疑い例 159
人となっている。詳細は下記の通りであり、現在、50 州及び 1 連邦政府直轄地の内、
全米 38 州で感染が確認されている。
【図表 3:米国内の感染状況(日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在)
】
州名
確認
感染者数
推定
感染者数
アラバマ
4
9
0
アリゾナ
17
87
0
カリフォルニア
69
121
0
コロラド
7
コネチカット
2
11
0
デラウェア
20
16
0
フロリダ
5
15
0
ジョージア
2
3
17
ハワイ
0
0
3
アイダホ
1
0
50
イリノイ
9
90
0
(内死者数)
疑い例
3
6
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
州名
確認
感染者数
推定
感染者数
インディアナ
3
11
0
アイオワ
1
7
0
カンザス
2
1
0
ケンタッキー
1
5
0
ルイジアナ
7
23
0
メーン
1
6
0
メリーランド
4
15
0
マサチューセッツ
34
9
0
ミシガン
2
45
0
ミネソタ
1
6
0
ミズーリ
2
6
0
ネブラスカ
1
0
5
ネバダ
1
6
0
ニューハンプシャー
1
4
0
ニュージャージー
7
1
0
ニューメキシコ
1
14
0
ニューヨーク市
90
33
0
ノースカロライナ
1
7
0
オハイオ
3
3
37
オクラホマ
0
0
20
オレゴン
17
19
0
ペンシルバニア
1
9
0
プエルトルコ
0
1
0
ロードアイランド
1
7
0
サウスカロライナ
16
11
0
サウスダコタ
0
4
0
テネシー
1
8
0
テキサス
41
17
ユタ
1
17
(内死者数)
1
疑い例
12
0
7
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
州名
確認
感染者数
推定
感染者数
バージニア
3
1
0
ワシントン
0
45
0
ワシントン DC
0
2
0
ウェストバージニア
0
0
1
ウィスコンシン
3
102
0
その他
0
52
11
合計
383
849
(内死者数)
1
疑い例
159
③ カナダ
„ 下記は日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在のカナダでの感染状況であるが、確認
症例及び疑い例が報告されている州が 9 州*に及んでおり、カナダ全土に広がっている
ことが分かる。
注:* カナダの行政区分は 10 の州(Province)と 3 の準州(Territory)からなり、州において、
確認症例及び疑い例が報告されていないのは、ニューファンドランド・ラブラドール州
(Newfoundland and Labrador)のみである。
„ カナダ保健当局は 5 月 2 日、アルバータ(Alberta)の養豚場で人から豚への新型イ
ンフルエンザ感染が確認されたと発表した。(人から豚への感染確認は初めて)。同保
健当局によれば、メキシコから 4 月 12 日に帰国した作業員が同 14 日から養豚場で働
き、約 200 頭の豚に感染したとのこと。なお、作業員と豚は既に回復に向かっている
とのこと。また、ウィルスの遺伝子に変異はなかったとのこと。
【図表 4:カナダ国内の感染状況(日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在)
】
州名
確認感染者数
疑い例
アルバータ
(Alberta)
24
0
ブリティッシュ・コロンビア
(British Columbia)
39
0
マニトバ
(Manitoba)
1
0
ニューブランズウィック
(New Brunswick)
2
0
ノバ・スコシア
(Nova Scotia)
38
3
オンタリオ
(Ontario)
31
10
8
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
州名
確認感染者数
疑い例
ケベック
(Quebec)
3
3
プリンス・エドワード・アイランド
(Prince Edward Island)
2
5
サスカチュワン
(Saskatchewan)
0
14
合計
140
35
④ その他
„ スペイン
-
スペインでは 2009 年 5 月 1 日以降、57 人の確認が確認されており、その他、60
人の疑い例が報告されている。
【図表 5:スペイン国内の感染状況(日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在)
】
行政区画
確認感染者数
疑い例
カタルニア
(Catalonia)
14
13
マドリード
(Community of Madrid)
4
3
カスティーリャ・ラ・マンチャ
(Castile-La Mancha)
2
4
バチカン
(Valencian Community)
7
23
ムルシア
(Region of Murcia)
1
0
バスク
(Basque Country)
1
0
アンダルシア
(Andalusia)
11
21
カスティーリャ・イ・レオン
(Castile y León)
0
2
ガリシア
(Galicia)
1
0
アラゴン
(Aragon)
1
0
アストゥリアス
(Asturias)
0
0
9
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
行政区画
確認感染者数
疑い例
エストレマドゥーラ
(Extremadura)
0
2
カナリア諸島
(Canary Islands)
0
1
その他
15
0
合計
57
60
„ 英国
-
英国では 2009 年 5 月 3 日以降、イングランドのウェスト・ミッドランズ(West
Midlands)及びスコットランドのアイル(Ayr)の 2 州で新たに感染が確認されて
いる。また、これまでに疑い例の報告は 331 件となっている。
【図表 6:英国内の感染状況(日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在)
】
地域
州・市
確認感染者数
疑い例
0
4
フォルカーク
(Falkirk)
3
0
アイル
(Ayr)
1
0
その他
0
20
デボンシャー
(Devonshire)
1
0
ロンドン
(London)
13
0
マージーサイド
(Merseyside)
2
0
オックスフォードシャー
(Oxfordshire)
1
0
ウェスト・ミッドランズ
(West Midlands)
1
0
サウスグロスターシャー
(South Gloucestershire)
2
0
タインアンドウィア
(Tyne and Wear)
1
0
北アイルランド
(Northern Ireland)
スコットランド
(Scotland)
イングランド
(England)
10
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
地域
州・市
確認感染者数
疑い例
ウスターシャー
(Worcestershire)
1
0
その他
1
-
ウェールズ
(Wales)
0
7
その他
0
300
合計
27
331
„ ドイツ
-
ドイツでは、これまでに 9 人の感染が確認されており、他にも 10 人の疑い例が報
告されている。なお、ドイツでは、メキシコから帰国し、感染が確認された患者が
入院していた病院の医療関係者への感染も確認されている。
„ ニュージーランド
-
ニュージーランドでは、これまでに 6 人の感染が確認され、その他、推定感染例
15 人、疑い例 91 人が報告されている。
„ フランス
-
フランスでは、これまでに 4 人の感染が確認され、その他、推定感染例 3 人、疑い
例 33 人が報告されている。
„ イタリア
-
イタリアでは、これまでに 4 人の感染が確認され、その他、疑い例 13 人が報告さ
れている。
„ イスラエル
-
イスラエルでは、これまでに 4 人の感染が確認され、その他、疑い例 2 人が報告さ
れている。
„ エルサルバドル
-
マサ(Guillermo Maza)保健・社会福祉相は 2009 年 5 月 3 日、2 人の新型インフ
ルエンザ感染が確認されたと発表した。なお、2 人は軽症で、入院の必要はないと
のこと。なお、エルサルバドルでは、この他に、疑い例 3 人が報告されている。
„ コスタリカ
-
コスタリカでは、これまでに 1 人の感染が確認され、その他、推定感染例 3 人、疑
11
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
い例 64 人が報告されている。
„ 韓国
-
保健福祉家族部は 2009 年 5 月 5 日、1 人目の感染者である 51 歳の女性と同じ修
道院に所属する 44 歳の推定患者がインフルエンザ A 型(H1N1)に感染している
ことが確認されたと発表した。
-
韓国では、これまでに 2 人の感染が確認され、その他、推定感染例 1 人、疑い例
10 人が報告されている。
„ コロンビア
-
パラシオ(Diego Palacio)社会保障相は 2009 年 5 月 3 日、同国で最初の新型イン
フルエンザ感染者を確認したと発表した。感染者は、メキシコ旅行をしたばかりの
42 歳の男性とのこと。なお、コロンビアでは、この他に、疑い例 108 人が報告さ
れている。
„ スイス
-
スイスでは、これまでに 1 人の感染が確認され、その他、疑い例 23 人が報告され
ている。
„ 香港
-
香港政府は現地時間 2009 年 5 月 1 日夜、観光客のメキシコ人男性(25 歳:上海経
由で 4 月 30 日に空路香港到着*)がインフルエンザ A 型(H1N1)に感染している
ことを確認したと発表した。(アジアで初の感染確認となる)
注:* この男性は現地時間4月 30 日午前 6 時にアエロメヒコの AM98 便で上海の浦東国際
空港に到着し、その後空港を出ずに、同日 11 時 20 分発の中国東方航空 MU505 便で
香港に向かい、同日正午 12 時 49 分に香港に到着した。インフルエンザの自覚症状が
出たため、同日午後 8 時にルットンジー病院(Ruttonjee Hospital)を受診し、その
まま隔離された。翌 1 日午後に衛生署の検査で陽性反応を示し、香港大学による詳し
い検査で同日午後 8 時に新型インフル感染が確認された。その後、プリンセス・マー
ガレット病院(Princess Margaret Hospital)で隔離治療を受けている。
-
香港政府はこの感染確認を受け、この男性が滞在していた香港の香港島の中心部に
あるホテル「メトロパーク・ホテル・ワンチャイ」
(Metropark Hotel Wanchai Hong
Kong:香港灣仔軒尼詩道 41-49 号:41-49,Henessy Road,Wanchai,Hong Kong)
を閉鎖すると発表した。
-
この封鎖は 7 日間続き、宿泊客及び従業員の計約 300 人はホテルの外に出られな
い状況にある。なお、在香港日本総領事館によれば、この封鎖されたホテルには、
日本人観光客 8 人が滞在しているとのこと。
-
曽蔭権行政長官は 5 月 1 日夜、パンデミックに備えた対応レベルを厳重対応段階
(Serious Response Level から最高レベルの緊急対応段階(Emergency Response
Level)に引き上げると宣言した。なお、同長官は市民に対し、パニックに陥らな
12
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
いよう呼びかけると共に、学校・展示会・スポーツ等の社会活動及び経済活動を制
限せず、全て通常通り行うとの方針も明らかにした。
-
中国衛生部は 5 月 2 日、翌 3 日から新型インフルエンザの感染者と密に接した人に
関する調査・報告体制を強化すると発表した。(これまでの現地報道等によれば、
感染が確認されたメキシコ人男性と同じ航空機を利用したことで現在、隔離されて
いる人は江蘇省で 16 人、浙江省で 6 人等、広東省では 41 人の所在確認や検査を
行っているとのこと)
-
なお、中国政府は 5 月 2 日以降、新型インフルエンザの水際での侵入防止目的で、
中国国内の各空港での体温検査・問診票チェックを厳格化しており、体温が 38 度
を超えた場合、感染者が出ていない日本人でも必要に応じ、隔離施設に収容される
可能性もある。
-
なお、香港では、上記 1 人の感染確認の他、疑い例 3 人が報告されている。
„ オーストリア
-
スイスでは、これまでに 1 人の感染が確認され、その他、疑い例 2 人が報告されて
いる。
„ オランダ
-
オランダでは、これまでに 1 人の感染が確認されている。
„ デンマーク
-
デンマークでは、これまでに 1 人の感染が確認されている。
„ アイルランド
-
アイルランドでは、これまでに 1 人の感染が確認されている。
„ ポルトガル
-
保健当局は 2009 年 5 月 4 日、新型インフルの感染者 1 人を確認したと発表した。
13
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
2. 日本における感染状況
„ 2009 年 4 月 30 日午後、米国から成田空港へ帰国した 25 歳日本人女性が簡易検査で A
型インフルエンザウィルスに陽性反応が示されたことから、分析検査が行われた。その
結果、同女性が感染したウィルスは、季節性インフルエンザウィルスの A 香港型(H3N2
型)であったことが判明した。舛添要一厚生労働相は 2009 年 5 月 1 日未明、横浜市に住
む 17 歳男子高校生が A 型インフルエンザウィルスに陽性反応を示し、特定感染症指定医
療機関の横浜市立市民病院に入院したと発表した。その後、分析検査が行われ、5 月 1
日夕方、陰性であることが判明した。
„ 外務省は 5 月 1 日夜、同日朝に米国シアトル(Seattle)から在日米軍横田飛行場に到着
した米軍チャーター機の乗客で、在日米軍家族の 4 ヶ月の米国人乳児から簡易検査で A
型インフルエンザの陽性反応が出たと発表した。その後、分析検査が行われ、陰性であ
ることが判明した。
„ 横浜市は 5 月 3 日、米国カリフォルニア州から 4 月 28 日に帰国した東京都三鷹市の 40
代の日本人女性が簡易検査で A 型インフルエンザの陽性反応を示したと発表した。その
後、分析検査が行われ、陰性であることが判明した。
„ 厚生労働省は 5 月 4 日、米国ネバダ州から帰国した 40 代の日本人女性について、新型イ
ンフルエンザ感染の疑いがあると発表した。その後、厚生労働省は 5 月 5 日未明、分析
検査の結果、陰性であることが判明したと発表した。
14
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
3. 各国の対応状況に関する情報
① 米国
※2009 年 4 月 30 日までの対応状況については、これまでの弊新型インフルエンザトピ
ックスを参照頂きたい。
„ オバマ大統領は 5 月 2 日、週末の演説で政府の新型インフルエンザ対策を説明した。
概要は以下の通りである。
-
備蓄している約 5,000 万人分の抗インフルエンザ薬の内、既に 4 分の 1 を感染者の
発生した州等に配布した。
-
抗インフルエンザ薬 1,300 万人分を追加調達した。
-
発熱等の症状が出た場合には、学校・仕事を休むようにお願いする。また、企業経
営者には、従業員の病欠をできる限り容認するよう求める。
-
2009 年 2 月に成立した景気対策法には、ワクチン開発・配布に 3 億ドル、地域医
療センター増設等も盛り込まれている。
„ 米国連邦政府・関係省庁の日本時間 2009 年 5 月 3 日午前 11 時現在の対応状況は、以
下の通りである。
【図表 7:米国主要省庁の対応状況(日本時間 2009 年 5 月 5 日午後 6 時現在)
】
担当省庁
管轄業務
業務内容
国土安全保障省
入国管理
H1N1 情報全般
„ CBP による入国者の検疫
„ インフルエンザ A 型(H1N1)に関するプレス・ブ
リーフィング
CDC
医療
„ ホームページにて H1N1 に関する最新情報を更新
„ インフルエンザ A 型(H1N1)の背景情報・知識の
提供
„ 病原菌拡大防止のための健康維持習慣の推奨活動
農務省
家きん
食品
国務省
海外関連
教育省
学校
„ H1N1 ウィルスと食の安全に関連する情報提供
„ 渡航安全情報・在メキシコ米国大使館メッセージ・
渡航注意報等の発信
„ 学校関係者への H1N1 に関する情報提供・助言
„ 学校での感染調査(保健省と協力)
„ H1N1 に関わる学校運営相談・助言
② メキシコ
※2009 年 4 月 30 日までの対応状況については、これまでの弊新型インフルエンザトピ
ックスを参照頂きたい。
„ エブラール(Marcelo Luis Ebrard Casaubon)メキシコ市長は現地時間 2009 年 5 月
4 日朝(日本時間同日夜)
、記者会見を行い、下記を発表した。
-
昨日(5 月 3 日)には、インフルエンザ A 型(H1N1)による新たな死者は発生し
15
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
なかった。
-
現在、86 人が 28 の病院に入院している。
-
新たに入院した患者数は 12 人で、20 人は退院した。
-
メキシコ市では、当局と専門家による疫病・衛生警戒科学委員会を設置し、感染の
進行具合に応じて独自の警戒レベルを周知するシステムを設けた。同警戒レベルは
4 段階に分類され、緑・黄・オレンジ・赤の順で危険度が増すものであり、市政府
はそれぞれの段階に応じた対応をとることとなる。
-
先週は警戒レベルが赤であり、レストラン営業を含む様々な経済活動が制限されて
経済的損失も出はしたが、これは状況に応じた必要な措置であった。
-
現在は感染の進行状況が安定してきたため、オレンジへとレベルが下げられ、これ
に応じて以下の措置をとることを決定した。
・ 公共行政サービス:5 月 6 日に再開(行政窓口において人の行列ができないよ
う配慮するとともに、衛生基準を満たすよう最善の注意を払う)
・ 経済活動:レストランは 5 月 6 日に再開(博物館・図書館・宗教施設等は 5 月
7 日再開:その他深夜営業を伴うバー・クラブ・パーティー会場・映画・劇場等
については警戒レベルが黄色に下がるまで引き続き営業を制限)
・ 学校:連邦政府の権限であり、その権限に従う。
„ カルデロン(Felipe de Jesus Calderon Hinojosa)大統領は 5 月 4 日午後(日本時間
5 日朝)、演説を行い、下記内容を発表した。
-
4 月 23 日からメキシコ政府はインフルエンザ A 型(H1N1)に対応するべく多く
の措置をとってきたが、それらはどれも時宜を得た適切なものであった。
-
現在、状況は安定してきており、この感染症は治癒が可能であることがわかってい
る。
-
ウィルスをコントロールすることは困難であるが、感染の拡大を阻止すべく規律を
もって対処することは可能である。
-
しかしながら、油断は禁物である。重要なことはリスクを最大限軽減しつつ通常の
社会活動を最大限取り戻すということである。
-
今後も引き続き国民、民間セクター、労組、各種学校、公共機関当局の理解と協力
をお願いする。
-
学校の再開については、関係者が慌てず不安を感じないよう、段階的な措置をとる
ことが必要である。そのため、下記のように再開する。
・
高等学校及び大学をはじめとする高等教育機関:5 月 7 日再開
・
幼稚園・小学校・中学校をはじめとする初等教育機関:5 月 11 日再開
・
学校再開については全関係者が協力して万全の準備を整えるべきであり、親・
教師・地域社会が再開前に入念な清掃を行うなどして備えるべきである。
③ 日本
※2009 年 4 月 30 日までの対応状況については、これまでの弊新型インフルエンザトピ
ックスを参照頂きたい。
„ 厚生労働省は 5 月 2 日午前 10 時、症例定義*における「新型インフルエンザが蔓延し
16
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
注:* 厚生労働省は 2009 年 4 月 29 日、今次インフルエンザ A 型(H1N1)を感染症の予防及
び感染症の患者に対する医療に関する法律の第 6 条第 7 項における新型インフルエンザ等
感染症と認定した。
(厚生労働省は同日、健感発第 0429001 号厚生労働省健康局結核感症
課長通知「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ H1N1)に係る症例定義及び届出様式
について」を関係機関に通知)この症例定義にある疑似症患者の項における「新型インフ
ルエンザが蔓延している国又は地域」について、規定したものである。
„ 厚生労働省は 5 月 5 日、国内で患者が発生した場合、接触した人の調査方法・対処に
ついての指針を策定し、通達する予定とのこと。指針の概要は以下の通りである。
-
発症前日から発覚までの間に接触した人の調査を保健所が調査する。
-
接触者は患者と対面して会話を交わす等した家族・医療関係者を含む「高危険接触
者」及び電車・バスに乗り合わせた人等の「低危険接触者」に分類される。
-
高危険接触者は全員がリスト化され、予防のための抗インフルエンザ薬の服用と自
宅待機が求められる。
-
低危険接触者は可能なかぎり調査されるが、予防的投与は薬の在庫・ウィルスの強
さ等の状況を見て判断する。なお、感染者の移動経路等の詳細の公表は、市民への
影響を勘案し、公表しないこともあり得る。
-
接触者に対する調査は、新型インフルエンザがまん延した場合、追跡調査の意味が
なくなるので、終了する。
④ その他の国
上記以外の国における対応は下記の通りである。
【図表 8:各国の対応状況(まとめ)】
国名
英国
オーストラリア
ロシア
対応状況
パンデミックインフルエンザ行動計画に沿って、今後、検疫の強化や渡航制
限が実施される予定である。英国外務省はメキシコへの不要不急の渡航延期
を勧告しており、また、在メキシコシティ英国大使館については、しばらく
の間、通常のビザ発行業務等を停止している。また、抗インフルエンザウィ
ルス薬(タミフル・リレンザ)、抗生物質、看護スタッフのためのマスクを
追加。今後国内の各家庭には啓発のパンフレットが配布される。英国外務省
は、米国についてもスポット情報を出し、渡航時には最新の情報を収集し、
滞在中及び帰国後の体調のモニタリングを行うよう指示。
ロクソン厚生大臣は 4 月 27 日、北南米発同国着の航空便は同国に着陸する
前に、新型インフルエンザ様の症状を呈する搭乗者について報告しなければ
ならないとして、同国が入境管理の新たなフェーズを採用したことを発表し
た。また、空港(シドニー、メルボルン、ブリスベン、ゴールドコースト、
ケアンズ、アデレード、パース、ダーウィン)にサーモグラフィーを設置。
乗客は降機前に健康状態を問診表(Health Declaration Card)を記載する。
また、空港に啓発のポスター等を掲示。
メキシコ及び米国南部からの豚肉輸入を禁止した。また、両国からの渡航者
に対する検温等のモニタリングを実施する。感染が疑われる患者が乗った航
空機については、特別区画に停止させ、医師の診察を受けさせる。(米国か
らの到着便に搭乗していた客室乗務員に対し、感染の症状がないか乗客に確
認するよう指示。感染の疑いがある場合には、着陸後特定の場所に移動させ、
乗客と乗務員に対して検査を実施)
17
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
国名
フランス
イタリア
スペイン
ドイツ
中国
香港
台湾
マレーシア
フィリピン
インドネシア
シンガポール
タイ
韓国
対応状況
特にメキシコからの入国者について検疫の強化。メキシコへの不要不急の渡
航を自粛するよう勧告。危機緊急センターを設立し、インフルエンザ A 型
(H1N1)の感染状況等、情報提供を行うホットラインを開設。
メキシコ行き航空機を運行停止にするよう、欧州連合に依頼する予定との発
表。(なお、フランス航空会社エールフランスでは、感染を恐れた客室乗務
員らが相次いで、メキシコ便への搭乗拒否をしており、予備のチームが登場
する等の対応を迫られている。)
ローマの国際空港では旅客に注意喚起のパンフレットを配布。
メキシコからの入国者にはパンフレットを配布し、感染が疑われる症状を発
症した場合には健康センター(health centre)に報告するように依頼。メキ
シコ行きの航空機にはマスク及び手袋を搭載。メキシコ及び米国から到着す
る航空機については機内検疫を実施。
不要不急のメキシコへの渡航を延期するよう勧告。
感染疑いのある航空機については、隔離ゲートに移動させる。
国務院常務会議を招集し「感染の疑い例が報告された際に即時公表」するこ
と等 8 項目の重点施策を発表。感染が確認されている国々からの渡航者に対
し、感染の症状がある場合は入国の際に当局に通告するよう義務付ける緊急
指令を発動。また、ツアー旅行等のメキシコへの渡航延期を勧告。空港等で
の検温等の強化を実施。抗インフルエンザウィルス薬・医療器具等を追加。
メキシコ、テキサス州・カンザス州・カリフォルニア州からの豚肉及び豚肉
製品の輸入を禁止。更に、中国当局は 5 月 2 日、メキシコと上海を結ぶ航空
便の受け入れを停止した。(5 月 3 日にメキシコ発上海行きの便に搭乗予定
だった中国人乗客ら約 120 人は、中国南方航空によるチャーター機で、5
日午前に上海浦東空港に帰国する予定)
香港独自のインフルエンザ警戒レベルを上から 2 番目の「厳重」に引き上げ。
新型インフルエンザを「法定伝染病」に指定。国境でのモニタリングを強化。
インフルエンザ様の症状がある患者については検査のため病院へ搬送。(新
型インフルエンザの発生地域から香港に戻って 7 日以内に発熱等の症状が
出た場合、全て検査対象となる。空港ではサーモグラフィーだけでなく、体
温計による検温も実施)
衛生署に「中央疫病指揮センター」を設置。メキシコへの渡航自粛を呼び掛
けると共に米国・カナダへの渡航に対しても注意喚起。
全ての国境警備地点でメキシコからの入国者及び同国への出国者に対して
検査を開始。
メキシコ及び米国からの家畜豚並びに豚肉製品の国内持ち込みを阻止する
ため監視体制を強化するよう指示。また、空港にサーモグラフィーを配備、
医療スタッフを増員。感染国への渡航について注意喚起を実施。更に、3 ヶ
所の医療施設に隔離病室を設置。
空港でサーモグラフィーによる入国者の体温チェックを実施。
(10 ヶ所の空
港・港に導入された)また、全ての豚肉の輸入を停止。
メキシコ・米国等、感染が確認されている国々への渡航を制限するよう勧告。
米国カリフォルニア州・テキサス州、メキシコから帰国した旅行客に対し、
7 日以上経過してインフルエンザ A 型(H1N1)と思われる症状が出た場合、
即座に医療機関で受診するよう呼びかけ。シンガポール民間航空庁(CAAS)
はサーモグラフィーを使った体温測定カメラを全ターミナルに設置。
一部の米国産肉類や豚肉製品を禁止。バンコク、チェンマイ、プーケットの
国際空港にサーモグラフィーを設置。メキシコからの経由がある 8 ルート
(フランス、東京、ドバイ、フランクフルト、ロンドン、シカゴ、ロサンゼ
ルス、テキサス)からの便の乗客を主に検査対象とする。感染疑い者につい
ては 3~5 日間の健康状態の監視を実施。
米国及びメキシコからの渡航者及び輸入豚肉に対して検疫と安全性確認の
ための検査を強化。空港で緊急の検疫システムを導入し、感染の症状が見ら
れる人々に対し、簡単な検査を実施。北アメリカからの生きた豚の輸入を停
止。28 日、メキシコ全域を「旅行制限」地域に指定し、現地在留の韓国国
民に対して、緊急の要件がある場合を除き、早急に帰国するよう勧告した。
18
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
国名
対応状況
EU
米国及びメキシコへの渡航中止を勧告。
28 日、5 月 4 日までの間、メキシコからの航空便を一時的に停止することを
決めた。
自国内で感染者が出たことを受け、メキシコからのフライトを禁止すると明
らかにした。
アルゼンチン
ペルー
19
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
4. 今後の感染状況について
„ 米国疾病管理予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)のナ
ンシー・コックス(Nancy Cox)インフルエンザ予防部長は 2009 年 5 月 1 日の記者会見
で、限定的な塩基配列等の分析結果に基づき、
「(スペインインフルエンザの)1918 年の
ウィルスほどの毒性はないが、引き続き毒性を分析する」と語った。
„ 国立感染症研究所の田代眞人インフルエンザウィルス研究センター長は 5 月 1 日、スイ
ス・ジュネーブ(Geneva)市内で会見し、
「強毒性を示唆するような遺伝子変化はない」
と語った。また、
「米国で重症になっている患者のほとんどが糖尿病・エイズ等の基礎的
な疾患を持っている。新型インフルエンザの全体像は依然として不明な点が多いものの、
こうした傾向は、通常のインフルエンザでも同様に見られており、持病を持つ人への感
染が拡大しないよう注意する必要がある」と語った。
„ CDC のアン・シュケット(Anne Schuchat)は 5 月 3 日、下記の通り発言した。
-
米国内の新型インフルエンザの状況については、患者が重症化する傾向がなく「明る
い兆し」が見えてきた。
-
死亡例はメキシコから入国した幼児 1 人で、入院した患者は 30 人であるが、それ以
外のほとんどは回復している。
-
50 歳以上の感染者は極めて少なく、感染が確認された人の中間値は 17 歳である。
-
ウィルスの解析については、1918 年のスペインインフルエンザのウィルスの病原性に
関連する要素は持っておらず、感染力は強いが、毒性はさほど強くない。
-
メキシコの状況についても安定してきた。
„ CDC のベッサー(Richard Besser)所長代行は 5 月 4 日、米国内での新型インフルエン
ザについて、症状が季節性インフルエンザとほとんど同じとの認識を明らかにした。
„ WHO フクダ(Keiji Fukuda)事務局長補代行は 5 月 4 日の記者会見で、下記の通り発
言した。
-
我々は南半球への感染拡大に注目している。南半球は、これから冬に向かい、季節性
インフルエンザの流行時期となる。
-
今後フェーズ 5 から 6 に引き上げられても、これは、症例の重症化を意味するもので
はない。北米大陸以外への共同体内の感染拡大を意味する。
-
新型インフルエンザの特徴について、潜伏期間が季節性のインフルエンザより数日長
く、6~8 日程度となっている。(通常の季節性インフルエンザでは 2~5 日間)
-
感染者の 40~50%に下痢の症状が出ている。これは、通常の季節性インフルエンザよ
りも高い比率である。
-
全体的に症状は軽いものの、若い人や健康な人に重い肺炎を引き起こすケースが出て
いる。
„ 既述の通り、これまでに感染が確認された感染確認国・地域は 21 ヶ国・地域に上ってお
り、感染確認国・地域は増加する傾向にある。一方、推定感染症例及び疑い例の報告を
行っている国は 18 ヶ国となっており、推定感染症例及び疑い例の報告数は、頭打ちの状
況となっている。そのため、今後、インフルエンザ A 型(H1N1)ウィルスが大幅な変
異をしない場合には、上記の指摘のように毒性も低いことから、収束に向かう可能性も
20
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
指摘されている。
„ しかしながら、WHO のパンデミックアラーと(Pandemic Alert)のフェーズ分類では、
フェーズの 6 の定義は、
「複数の地域で複数の国の共同体レベルでの感染が拡大する状況
であり、世界的なパンデミックが進行中である状況」とされており、現状における感染
状況を勘案した場合、今後いつでもフェーズ 6 に引き上げられてもおかしくない状況で
あると言える。また、インフルエンザウィルスの特徴として、常に変異を繰り返すこと
が知られおり、20 世紀に発生した 3 回の新型インフルエンザの感染においても、約 2 年
間にわたり、3 回の感染の山(感染の急激な拡大・増加)が発生している。そのため、一
旦収束したとしても、再度感染が広がる可能性が高いことに留意が必要である。
„ ちなみに、下記図表は、これまでの新型インフルエンザ・SARAS・鳥インフルエンザ・
季節性インフルエンザ等における感染率・致死率等をまとめたものである。
【図表 9:歴史的インフルエンザ等の感染率・致死率】
発生年
終息年
ウィルス型
感染者数
感染率
(%)
死者数
致死率
(%)
スペイン
インフルエンザ
1918 年
1919 年
H1N1
60,000 万人
31.58%
4,000 万人
6.67%
アジア
インフルエンザ
1957 年
1958 年
H2N2
29,000 万人
10.00%
200 万人
0.69%
香港
インフルエンザ
1968 年
1969 年
H3N2
30,000 万人
8.57%
100 万人
0.33%
今次インフルエンザ
(A 型(H1N1))
2009 年
H1N1
1,448 人
27 人
1.87%
季節性
インフルエンザ
米国
年間
3.60 万人
0.07%
鳥インフルエンザ
2003 年
現在
421 人
257 人
61.05%
SARS
2002 年
2003 年
8,096 人
774 人
9.56%
5,000 万人
H5N1
15.89%
21
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
5. 企業としての対策
企業としての対策としては、新型インフルエンザトピックス速報版(2009 年 4 月 30 日号
-その 3)にも記載しているが、4 月 28 日および 30 日に発出された外務省「感染症危険情
報」及び国内での感染例の可能性を踏まえ、下記の通り、まとめたので、参照頂きたい。
① 駐在員・帯同家族・出張者に関する規制
„ WHO はフェーズ 5 を宣言したものの、国境の封鎖・国家間の移動への規制等につい
ての勧告は行っていない。しかしながら、28 日に外務省より発出された感染症危険情
報において、メキシコについては、
「今後、出国制限が行われる可能性又は現地で十分
な医療が受けられなくなる可能性がありますので、メキシコからの退避が可能な方は、
早めの退避を検討してください」とされた。また、30 日午前、舛添厚生労働相は、メ
キシコへの渡航自粛勧告について、「厳しく注意喚起したい」としている。このため、
メキシコ国内に出張者・駐在員・帯同家族等がいる場合には、一時的な出国を早めに
検討することが望まれる。
(ただし、日本政府は、現在、メキシコ、米国、カナダの 3
ヶ国からの航空便に対してだけ検疫強化が行われているが、
「必要に応じて対象を広げ
る可能性もある」としており、日本の空港等で滞留措置がとられる可能性がある点に
留意)
„ また、今後の状況によっては、メキシコ等の感染国について、WHO が「重大な感染
地域」として指定する場合も想定される。その場合、メキシコへの航空便が運航停止
になることも想定されることから、現状においては、少なくとも帯同家族・出張者に
ついては、一時的な出国の勧奨を検討することも望まれる。
(日本人学校も休校となっ
ていることから、帯同家族の出国については極力望まれるところである)
„ 更に、28 日に発出された感染症危険情報において、「不要不急の渡航は延期してくだ
さい。」としていることから、本勧告等に従い、不要不急の渡航は延期することが望ま
れるが、今後のメキシコへの渡航・滞在については禁止することも検討する必要があ
る。(既述の通り、メキシコに対する「重大な感染地域」の指定等となった場合には、
当分の間出国出来ない状況となる)
„ また、それ以外の海外出張については、フェーズ 5 が宣言された現時点においても、
WHO は、渡航制限や国境閉鎖を勧告していない。しかしながら、日本外務省は 4 月
30 日、感染症危険情報を発出し、「メキシコ以外で新型インフルエンザの感染が確認
されている国に渡航を検討されている方は、渡航先の感染状況及び WHO の情報等最
新情報を入手し、十分注意してください」と勧告した。また、日本政府は発生地との
間の旅客機・船舶の運航自粛要請等の措置は当面見送る見通しであるが、舛添厚生労
「米
働相は 4 月 30 日午前の記者会見において、航空機の運航規制についても言及し、
国・カナダ便については検討課題としている。渡航の自由や経済等とのバランスを考
え、状況の推移に応じて柔軟に対応したい」としている。そのため、今後は国際航空
便に大きな影響が発生する可能性があるだけでなく、渡航先等において、感染が拡大
する可能性もあることから、不要不急の海外出張は自粛する等の検討が必要である。
„ 日系企業の間には、海外出張の制限、もしくは一部に家族の帰国決定等の動きが広ま
22
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
っている。下表は日系企業の対応をまとめたものである。なお、下記図表 10 は一般
のメディアを通じ報じられたものをまとめたものであり、弊社がコンサルティング等
の過程で入手した情報は一切含まれていないことに留意願いたい
【図表 10:日系企業の対応状況(各種報道資料からのまとめ)
】
対応
メキシコから駐在員帰国
メキシコから家族の帰国
全面的な出張自粛
メキシコへの出張自粛
企業名
コマツ
三菱商事
丸紅
ヤマハ
スズキ
日本郵船
三井化学
日立製作所(4 月 28 日に撤回)
TOTO
マキタ
ヤクルト
デンソー(帰国の方向で検討中)
ホンダ(帰国の方向で検討中)
三菱化学
シャープ
JVC・ケンウッド・HD
ホンダ(4 月 28 日~5 月 6 日までの間)
三井化学
日本ペイント
中部電力
日立
パナソニック(米国への私的旅行も自粛)
ソニー
富士通テン
ブリヂストン(米国も)
三洋電機(他国も最大限の自粛)
ダイキン工業
京セラ
オムロン
村田製作所
トヨタ自動車
みずほコーポレート銀行(米国・カナダも)
花王(原則)
住友商事
双日
NEC
リョービ
シャープ(発症が確認された国も含む)
スズキ
キャノン
三菱化学
日産自動車
江崎グリコ
富士フィルム HD
日本ハム
ソフトバンク
KDDI
日立造船
東京海上日動火災保険
23
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
対応
2009 年 5 月 5 日 18:24
企業名
信越ポリマー
資生堂
大阪ガス
NTT コミュニケーションズ
竹中工務店
大林組
清水建設
野村 HD
関西電力
„ なお、メキシコ他の感染が確認された国に出張者・駐在員・帯同家族がいる場合、又
はやむを得ず今後、渡航・滞在する場合には、現地において、下記③のような対策の
検討・実施が望まれる。
② 風評(デマ・噂等)対策
„ 通常、感染症の感染拡大等に際しては、デマ・噂等が数多く発生することが一般的で
ある。特に、現地国政府による情報開示が限定的である場合等は、この傾向が加速す
ることとなり、現地国内で事実に基づかないデマ・噂等が更に増加することとなる。
„ 今般のメキシコ政府の対応においては、1 ヶ月以上前に状況を把握しておきながら、
公表に長い時間を要したことについて、国民から非難の声が数多く上がっている。そ
のため、メキシコ国内では極めて、デマ・噂等が発生・拡大し易い状況となっている
ことに留意する必要がある。また、その他の国においても、デマ・噂等が発生・拡大
する可能性があることに留意する必要がある。
„ そのため、疑わしい情報を収集した場合には、日本本社・公的機関等に照会し、情報
の確認を取ることが肝要である。また、現地における関連情報の収集においては、な
るべく、現地政府の発表・日本大使館情報等、確実な情報源からの入手を心がけると
共に、できる限りその情報の裏付けを取ることが肝要である。
③ 感染国へ渡航・滞在する出張者・駐在員・帯同家族に関する対策
„ 日常生活上の健康管理・行動に関する指導
-
必要な場合を除いて、人混み、集会等を避ける。(不要不急の外出は控え、不特定
多数の人が多く集まる場所は避ける)
-
屋台料理等での外食は控える。(タコスは豚肉・豚脂を使用していることから、万
が一を想定)
-
インフルエンザの流行が見られる地域の養豚場・鶏舎への立ち寄りを避ける。
-
インフルエンザの流行が見られる地域において、生きた鳥・豚への接触、また、生
きた鳥・豚を扱う市場への不用意、無警戒な立ち寄りを避ける。
-
自宅で肉を調理する場合は十分に加熱調理する。(インフルエンザウィルスは加熱
(75 度で 1 分間)により死滅する)
-
呼吸器系疾患に感染している人に近づかない。
-
外出から戻った後、手洗い・うがいを頻繁に行なう。(液体せっけん等で手・手首
の細部まで時間をかけて入念に洗う。できる限り使い捨てペーパーの使用、ドライ
24
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
乾燥、蛇口まわりの洗浄等を心がける。なお、病院・人混みからの帰宅時には、手
洗い・うがいを更に入念に行なう)
-
手洗いをしない手で、口、鼻、目、その周囲に触れない。
-
あいさつの際には接吻・握手を控える。
-
食べもの・食器・フォーク・スプーン等を他人と共有しない。
-
住居・事務所・その他の仕切られた空間の風通しを良くし、日光を入れる。(換気
を心がける等、室内及び室内の空気を清潔に保つ)
-
調理場・風呂場の表面、取手、手すり、遊具、電話機、共有のその他の物品を清潔
に保つ。
-
繰り返す高熱、咳・頭・筋肉・関節の痛みという症状が出た場合は、直ちに医師の
診察を受ける。
-
発病した場合は他人への感染を防ぎ、診断と処方を得るために直ちに医師の診察を
受け、絶対に自己診断をしない。その後、症状がなくなるまで家で安静にして休む。
-
咳・くしゃみをする際は、口・鼻を覆う。
-
マスクを着用し、鼻紙はビニール袋にまとめて捨て、くしゃみの際は(手のひらで
はなく)ひじの内側で口や鼻を覆う。(出来れば、N95 等のマスクの着用を励行す
る(粉塵防御用のマスクを準備することも有効である。また、職業によっては、キ
ャップ、ゴーグル、ガウン、長靴等も準備しておく必要がある))
-
休息、規則正しい生活を心がけ、抵抗力をつける。
-
以上の点を現地人スタッフや家事補助者等にも徹底する。
等
„ 予防接種
-
今後、メキシコ他感染が確認された国へ渡航・滞在する出張者・駐在員・帯同家族
等に対しては、ワクチン接種等を実施する。WHO は世界的にインフルエンザ予防
のため、通常ワクチン接種を強化し、特に老人、体の弱い人、慢性疾患のある人や
これらの人に頻繁に接触する医療関係者が率先してインフルエンザワクチンを接
種することを薦めている。これは、SARS・鳥インフルエンザ等の初期症状がイン
フルエンザと似ているため、感染初期の段階では、インフルエンザと誤診される場
合が多いためである。そのため、インフルエンザワクチンを接種することで、感染
症に感染した場合でも、初期の段階でインフルエンザの可能性を排除することによ
り、SARS・鳥インフルエンザ等の感染症治療の効果を上げるために有効であると
の理由によるものである。また、感染時に通常のインフルエンザと同時に感染して
重症化することを避ける意味でも重要である。
④ メキシコ他感染が確認された国に滞在する駐在員・帯同家族に関する対策(下記対策の
勧奨等)
„ 旅券(パスポート)・滞在査証(ビザ)等の有効期限等を確認しておく。
„ 近隣国又は日本までの全員分のノーマル航空券を手配・保管する。
„ 急遽出国する場合のため、米ドル・日本円等の外貨の現金を準備しておく。
„ 物資等の流通が制限されることを想定し、水・食料・予防品(マスク・うがい薬等)
等の住居内の備蓄を行う。
25
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
„ 現地日本大使館と頻繁に連絡を取り、大使館に備蓄しているタミフル等を配布する場
合の手順等について、確認しておく。
⑤ メキシコ他感染が確認された国の現地拠点での対策
„ 現地拠点での衛生管理
-
拠点内清掃の徹底
-
入構時の検温
-
従業員の健康チェック
等
„ 従業員全員に対する指導
-
上記③「感染国へ渡航・滞在する出張者・駐在員・帯同家族に関する対策」の「日
常生活上の健康管理・行動に関する指導」に基づき、同様に徹底する。
⑥ 感染が確認された国以外への渡航・滞在についての留意点
„ 現状においても、一部の海外の国の空港等において、厳重な検疫・予防を実施してい
るところもある。そのため、海外に渡航・出張する場合には、メキシコ等の感染地域
以外においても、出入国検査・検疫・通関等において、非常に長い時間を要する場合
もある。また、乗り換え等においても、これまで以上に時間を要する場合もあること
から、十分留意することが肝要である。
„ ちなみに、米国の空港においては、高熱又はインフルエンザの症状がある場合には、
当該者は一時的に隔離され、医療機関での受診が義務付けられる。
„ また、2003 年春のSARS問題での対応が批判された香港の香港国際空港(Kong
International Airport)でも同様に、一時的に隔離されることとなっている。更に、
同じくSARS問題で批判された台湾の台北にある桃園国際空港でも、海外から台湾に
到着した全ての旅客に対し、発熱を感知するサーモグラフィー検査等を実施し、体温
が 38℃以上ある旅客の他、台湾到着前にメキシコへ立ち寄った全旅客は強制的に医療
施設に隔離される等の措置がとられる予定となっている。
⑦ 日本国内における留意点
„ WHOによりフェーズ 5 が発出されたことから、
国内においても以下の対策を実施し、
自社における感染者の発生・増加を防ぐとともに、今後の感染拡大期においても事業
活動の継続を行えるように準備する必要がある。
„ 情報収集・分析・伝達
-
国内においては自治体や保健所からの、海外においては日本大使館等の公館、現地
日本人会等からの情報収集を確実に行うことが重要である。また、こうして収集し
た情報に加え、WHO 等の国際機関、厚生労働省等の官庁から発信される情報も加
味し、総合的に情勢判断を行うことが不可欠である。
„ 社内での水際対策の実施準備
-
従業員の健康チェック体制確認
-
入構・出構時の検温体制の整備
-
事業所内の衛生管理徹底
26
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
-
2009 年 5 月 5 日 18:24
感染地域への出張や感染地域勤務者の扱いの検討
„ 業務継続に向けた体制整備
-
流行時における勤務体勢の変更の検討
-
在宅勤務を含む、出勤・勤務方法の確認
-
オフィス内での業務スタイル変更検討
-
バックアップ体制(生産・物流・IT 等)の確認
⑧ 既述の通り、今次新型インフルエンザについては、感染率はある程度高いものの、症状
は軽微であり、今後、インフルエンザ A 型(H1N1)ウィルスが大幅な変異をしない場
合には、上記の指摘のように毒性も低いことから、収束に向かう可能性も指摘されてい
る。しかしながら、今後いつでもフェーズ 6 に引き上げられてもおかしくない状況であ
ること、インフルエンザウィルスの特徴として常に変異を繰り返すことが知られている
ことから、一旦収束したとしても、再度感染が広がる可能性が高い状況である。そのた
め、今後も予防策等を継続することが肝要である。
27
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009
新型インフルエンザトピックス速報版(20090505)
2009 年 5 月 5 日 18:24
6. 関連情報へのリンク等
„ 世界保健機構(WHO:World Health Organization)
http://www.who.int/en/
http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html(インフルエンザA型(H1N1))
„ 米国疾病管理予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)
http://www.cdc.gov/
-
CDC インフルエンザ A 型(H1N1)
http://www.cdc.gov/swineflu/
-
パンデミックインフルエンザ情報
http://www.pandemicflu.gov/
„ 米国国務省渡航情報
http://travel.state.gov/
„ 日本厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
注:厚生労働省は 2009 年 4 月 25 日、電話相談窓口を設置し、今回のインフルエンザ A 型(H1N1)
に関する相談を受け付けている。この窓口の電話番号は 03-3501-9031 である。
„ 日本厚生労働省(新型インフルエンザ対策関連情報)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
„ 日本厚生労働省検疫所
http://www.forth.go.jp
„ 日本国立感染症研究所感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
„ 日本外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/
-
海外安全ホームページ(感染症(SARS・鳥インフルエンザ等)関連情報)
http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/sars.asp
„ メキシコ・米国の日本大使館・領事館
-
在メキシコ大使館
http://www.mx.emb-japan.go.jp/index-jp.htm
-
在米国日本大使館
http://www.us.emb-japan.go.jp/j/html/file/index.html
-
在サンフランシスコ総領事館
http://www.sf.us.emb-japan.go.jp/
-
在ロサンゼルス総領事館
http://www.la.us.emb-japan.go.jp/web/home.htm
-
在ヒューストン総領事館
http://www.houston.us.emb-japan.go.jp/index_j.htm
„ 独立行政法人国際協力機構(JICA)の SARS 情報
http://www.jica.go.jp/press/archives/jica/sars/ 等
以 上
28
©東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 2009