特集 タキロングループの「モノづくりDNA」 プラスチックで もっと豊かな未来へ タキロングループは、 お客様に満足していただける品質と価格を提供することを追求してきました。 それを 支えているのは、 それぞれの部門で自らの仕事に情熱と創意をもって打ち込む従業員たちです。 その一人 ひとりの仕事への取り組みを通して、 グループに脈々と流れる 「モノづくり」 への想いを紹介します。 魅力的な製品づくりをグループ全社で推進 タキロングループはプラスチックの成形加工をコアテク ノロジーとして、さまざまな分野に向けて多様な商品を製 造しています。お客様と社会の要望に応え、今後とも高品 質、高機能な製品を提供し続けていくために、製造業の原 点である 「モノづくり」をさらに強化していくことが重要と考 えています。 そのためタキロンでは、開発部が中心となり、 「モノづく り」の基本となる技術の向上に向けて、原料となる素材・配 合の研究、成形加工、設備技術および製品化のための設計 技術の研究を全社・全グループ横断的に実施しています。 さらに、培った研究および技術の成果を全グループで応用 展開し、時代に先駆けた、魅力ある製品づくりを推進してい ます。 ■業務の流れ 9 開発 生産技術 商品化技術、加工・施工技術の 開発や、成形加工、材料・素材の 研究および分析評価を行う 「製 品開発」に加え、中・長期を見据 えた基礎的「研究開発」 も行う 品質を落とすことなく、効率的 かつ低コストで製造ができるよ う工程、設備・治具等を改善 製造 製造機械を操作して、求められ る品質、量、 コスト、納期を守り、 安全かつ安定的に生産する 営業 製品の販売に加えて、お客様や 市場の声を企画・開発部門へ フィードバックして新製品の開 発に活かす 製品という新しい価値の創出を目指して が、生命に直接かかわる医療製品ですから、正確さは欠か せません」 と開発者としての責任と自覚を語ります。 タキロングループ開発部門の業務には、中・長期スパン 一方、同じメディカル研究所で、 「製品開発」に携わってい で革新的技術や、新製品・新事業につながる技術を研究す るのが久保洋平です。当社製品の生体内 る「研究開発」 と、既存製品の改良のために研究を行う 「製 分解性骨接合材「スーパーフィクソーブ」 品開発」の2つがあります。 このうち、 メディカル事業製品に について、ユーザーであるお医者様から おける 「研究開発」に携わっているのが入社2年目の豊田直 営業担当が聞き出した「こういう性能があ 香です。 ればもっと使いやすい」といったニーズ 「今はまだ、製品化に向けた長いスパンの中の、本当の基 や、世の中の流れ、また、久保が学会等で 礎の段階です。キャリアが浅いため、先輩のアドバイスも得 仕入れた情報などをもとに、形状、材料の ながら、試作品の作製や、その性能評価を中心に行ってい 組成等の改良に取り組んでいます。 ます」 と語る豊田ですが、日々心掛けてい 「研究でこういうものを作りましたとい ることがあります。 「正確にデータを出すこ うだけだと、自己満足に終わってしまいま と、 それを正確に報告すること、 そしてデー す」 と語る久保が、仕事で最も重視してい タを取ったときの条件を細かく記録して、 るのは「他部署との連携」です。研究が一 再現できるようにしておくこと」 という研究 定段階まで進むと、各部担当者を集め「デ 者としての基本姿勢です。また、医療分野 ザインレビュー」 という社内審査が行われ の専門知識や研究の動向について情報を ます。 「この性能は強化できたが、ほかが劣化した」 「この部 得るため、学会やセミナーにも足繁く通う 分は、薬事的には申請がむずかしい」 「製法の技術的ハード ほか、 「市場ニーズや、性能評価の新しい ルは高いが、納期は大幅に短縮できる」など、 この席で他部 方法についても、もっともっと知りたいで 署からさまざまな意見がぶつけられます。 これを受けてさ メディカル研究所 開発部 メディカル研究グループ 久保 洋平 メディカル研究所 開発部 メディカル研究グループ すね」 と知識欲も旺盛です。 「ニーズに応え らに議論と検証を重ね、完成度を高めていく。 「そんないく る製品をいかにスピードを持って市場に つもの困難や課題を解決し、商品化する仕事だからこそ、 豊田 直香 提供していくか、もちろんそれが大切です やりがいが実感できるのです」 と久保は力強く頷きます。 要求品質に応え、生産ラインへとつなぐ、責任ある仕事です 開発部 技術開発グループ 松川 聖子 床材の製品開発をやっています。汚れにくい床、ある特定の汚れに強い床、 また、永遠の テーマである滑らない床、 こんな性能、模様やデザインが欲しい…などなど、企画部門から 届くさまざまな要求品質に応え、一つひとつ、材料を処方し、設計 し、試作し、製品化していく仕事です。最も重要なのは、実際の生産ラインに流したとき、製 造上や品質面の問題を起こさないということです。そのため問題となる条件を一つひとつ 探し出して解決し、開発製品として次の「生産技術」部門に渡すよう神経を使っています。 当社は「これがやりたい」 といえば、やらせてもらえて、頭ごなしに否定はされない社風で す。2児の母として家庭との両立は楽ではありませんが、お客樣が求めている、 これまでに ない製品を開発することはとても楽しいし、私自身リフレッシュされるので、 これからも頑 張りたいと思っています。 10 特集 タキロングループの「モノづくりDNA」 開発、製造、営業をつなぐ 「潤滑油」 可能性は十分に高いと感じるので、生産技術を通しグルー プのモノづくりを支えて行きたい」 と岸は想いを語ります。 タキロングループの「モノづくり」を支えているのが、生産 また、ポリカーボネート樹脂による採光材やスマートフォ 技術部門です。製品開発部門から上がってきた設計を実際の ン面板等の機能材を主に製造しているタキロン揖保川事業 生産ラインに載せるためのさまざまな条件出しを行い、一つ 所で、生産技術に携わっているのは入社3年目の橋爪未来で ひとつ検証し、問題を解決して、製品化を実 す。 「より歩留まりの良い、 より品質の高い製品を求めて製造 現させることを職務としています。主に床材 条件を確立していくのは、 とても重要な仕事だと感じていま を製造しているタキロン安富工場で、入社 す」 と橋爪はいいます。 以来7年間、その業務に携わってきた岸直 製品は、お客様の期待を十分に満たすものでなくてはな 人は、 「生産技術で最も重要なポイントは、 りません。例えばその強度、形状、色など、お客様は製品にき 品質、価格、納期です。最近では、BCPの観 わめて高度な品質を求められます。それぞれの要求に的確 点から供給責任を特に重視しています」 と にお応えするため、生産技術部門では、実 いいます。 際の機械で製造する場合の温度や速度、 生産技術の仕事は、開発、製造、営業と 材料の配合など数多くの標準条件をもと いう3部門の要求を調整し、最適解を見付 に検査や試作を繰り返し、調整を重ねなが けていく仕事でもあります。 そのため、開発 ら、最適条件を絞り込んでいきます。 「価 安富工場 技術グループ は「この設計でいきたい」 といい、製造は 格、納期という要件も守りながら、開発、製 岸 直人 「安定した条件で生産したい」、営業は「納 造、営業それぞれの意見を聞き、逐次、判 期を早めたい」 というなど、3部門の要求が 断や見極めをしていくのは、厳しいけれど ぶつかり合うことも珍しくありません。 それでも、落としどころ 面白い仕事です。さらに能力を磨き、将来 を見付け、製造条件を確立していくという自らの業務につい は身の回りのガラス製品を全てポリカー て、 「いわば自分が潤滑油となって、製品化というゴールに到 ボネート製品に置き替えることができるよ 達したとき、大きな達成感があります」 と岸は語ります。 う、新しいことにチャレンジしていきます」 揖保川事業所 技術グループ と橋爪は抱負を語ります。 橋爪 未来 「タキロングループは『プラスチック』 という括りの中で、 き わめて幅の広い製品づくりをしています。それを広げていく まずは次工程を 「お客様」 と考える 大限に引き出していく ことが欠かせません」 床材を主要製品とするタキロン安富工場で、班長として と稗 田 は 語ります。ま 製造オペレーター18名を率いるのは、25年間、製造現場一 た、生産ラインを預か 筋で歩んできた稗田和洋です。 「製造部門 る稗田が求め続けるのは「作業のしやすさ」です。専用工具 で大切なのは、製品ごとに性能、価格、納 を作る、時間短縮や省力化を図るなど、作業改善にも余念 期の条件を満たす製造技術を確立し、標 がありません。 「私はもう一つ、 『次工程がお客様』」 という考 準化していくこと。ただし、オペレーターと え方を大切にしています。ラインから出来上がってきた製 いう 『人間』が関わる仕事ですから、一人 品を次に扱うのは、製品を加工したり、梱包や出荷したりす ひとりの個性を活かし、ポテンシャルを最 る部門です。製造部門のお客様はその部門であると考え、 安富工場 製造グループ 班長 1 11 稗田 和洋 まずそこの人が納得する製品をつくることが、その先のお 客様やユーザーの満足につながるのです」 と稗田は熱く語 ります。 万全の設備と資材調達で製造を支える 製造部門と一体となってタキロングルー 嗣です。工務部門とは扱う品が異なりますが、 自分のミスが プのモノづくりを支えているのが、工務部 生産ラインの停止を招くという責務の大きさは共通してい 門と資材調達部門です。 ます。 「資材を切らさないこと」が大前提となります。 「ここで タキロン揖保川事業所で工務を担う吉 製造しているポリカーボネート製ナミイタは、カーポートの 田和彦は、同事業所創設以来15年間にわ 屋根をはじめ、全国で幅広く使われており、台風や大雪等 たり製造機械の導入、修理、改善、改造等 の自然災害により需要が急増することがあります。そんなと に取り組んできました。 「機械は次々と新し きは、 どことどこのメーカー いものが出てきますし、電気的な面、ITの から、それぞれどれだけ原 面も、 どんどん進歩しています。生産ライン 料を調達するのか、それを が進化しないと製品も進化しませんから、 素早く的確に判断し、生産 揖保川事業所 製造グループ 工務チーム 常にそういう情報を吸収し、対応できるよ ラインを止めることなく、供 うにしています」 と吉田はいいます。24時 給責任を果たしていかな 吉田 和彦 間稼働の生産体制をとる同事業所では、設 ければなりません。それに 備のトラブルは製造に重大な影響を与え は 、普 段 からの 原 料メー ます。 「補修部品の在庫管理も含め、夜中はもちろん、いつ カーさんとのコミュニケー でも、あらゆる事態に最速で対応し、製造現場の停滞を最 ションが重要です」 と濱地 小限に抑える体制をとっています」 と吉田は語ります。 は語ります。 揖保川事業所 製造グループ 濱地 晃嗣(写真左) また、同事業所で製造用原材料の調達を担うのが濱地晃 お客様の生の声を製品づくりに活かす しています。 もちろん、住民の方からも情 報をもらいます」 と語る牧田がこだわっ タキロン製床材は、 タキロンマテックスが一手に販売して ているのが、現場で得た良い情報を製 います。同社で営業チーム長を務める牧田利文が扱うのは、 品づくりに活かすことです。 こんなところ 床材の中でも、マンション大規模改修工事で廊下等の共通 が使いにくい、 こんな製品があるといい スペースに使用されるものが中心です。マンション共通ス …という生の声をタキロン技術陣へ進 ペースに床材を張ることは今では珍しくありませんが、約25 んで伝え、新製品や改良品の開発につ 年前に同社がいち早く提案 なげようとするほか、 グループ内で毎年 し、やがて市場として確立し 実施される 「新製品・新事業コンテスト」 ました。現在、同社が約8割 にも提案し、2年続けて優秀賞を受賞し 程度のシェアを握ります。 ました。 「熱い想いと信念さえあれば、開 「営業先はリフォーム業 発・生産技術・製造部門を巻き込むこと 者さん、設計士さんですが、 ができます。そして必ず、市場が求める とにかく工事現場へ通い、 より良い製品を生み出すことができる 生の声を取りに行くことに のです」 と牧田は力強く語ります。 タキロンマテックス株式会社 東京支店 営業第1グループ チーム長 牧田 利文 12
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