『新潟県内の農業者によるマーケティング事例 33連発!』 これまで3回にわたってマーケティングの基本について紹介してきましたが、 今回は県内の農業者が実際に取り組んでいるマーケティング実践事例について紹 介します。これから直接販売等に取り組む際等で参考にしてください。 商品(作目) マーケティングの内容 1 米 2 米 10 年間かけて地元米穀店と仲良くなり、販路を確保した。 3 米 大都市をターゲットとせず、地元の消費者にターゲット をしぼっている。農場名を覚えてもらうためにイベント用 に米粉クレープ移動販売車を所有しており会社PRに活用。 4 米 自社の米を知ってもらうためと消費量の拡大に向けて、 道の駅に農村レストランを兼ねたアンテナショップを出店。 5 米 消費者交流による口コミ宣伝を期待して、顧客を招いて の田植えや稲刈りをメインとした交流イベントを毎年開催。 また、友人への紹介用に精米2合入りのサンプルを活用。 6 米 都市部で農家直営の「おにぎりショップ」を開設し、試 食を兼ねて家庭用途の自社産米の購入拡大に繋げている。 7 米 海外向け商談会に参加したことで、たまたまそこに来て いた国内有名百貨店のバイヤーと仲良くなれ、東京都内の 店舗でも同社の「こだわり米」を取り扱ってもらえた。 8 米 自社精米の品質を担保するために新たに精米施設を整備 した。色彩選別機、金属探知器、成分分析計、穀粒判別機、 2.0mm の選別網目等を完備しているため JGAP 認証取得と 合わせて米の品質管理に取り組み、有利販売に繋げている。 9 新形質米 10 米 玄米紙袋の全てをバーコードで一元管理しており、栽培 履歴の把握を徹底。何か問題があった際に履歴を追求でき るため、取引先からの信頼を獲得できている。 市内のイタリアンレストランと結びつき、イタリア料理 に適したリゾット専用品種「和みリゾット」の契約栽培に 取り組んでいる。 ⇒特徴ある米を生産して販売先の要望に応えている例 海外の貿易会社に日本語で FAX を送付、うち返信があっ た相手先にサンプル米を持参し単身で訪問して商談を行い 継続的な取引関係を持つに至った。 ⇒生産者と栽培方法が明確な米が評価されたが、当該 農業者の行動力は参考になる。 -1- 商品(作目) マーケティングの内容 11 米 直接販売がメインのため、それぞれの顧客ニーズに応え られるよう米の作付品種を増やしていった結果、15 品種を 作るまでになった。手間は掛かるが顧客満足のほうを優先。 12 もち米 地元の和菓子屋が欲しがる特性を持つ昔の品種を復活作 付し、全量買取り制の契約栽培を行っている。 13 スイートコーン 早朝5時から収穫作業した鮮度をウリに販売。収穫物は 自社の直売所でその日に売り切る販売方式。糖度バツグン、 虫食い穴等の検品を徹底した結果、地元の認知度が高まり 直売所開店前から長蛇の行列ができる状況になっている。 14 高糖度トマト 食味コンテストに出品し日本一を受賞、トマトで商標登 録、生産品目も高糖度トマトのみに特化しプレミアム感を 追求している。また、ブログによる情報発信でブランディ ングを図りながら、直売所店舗をメインに販売。 15 雪下にんじん 人参が苦手な人を主なターゲットに減農薬栽培した秋ニ ンジンを雪の下で越冬させ、春に収穫して鮮度保持パッケ ージに入れることで、そのままスティックサラダなど生で 食べられる甘くて人参臭のない安全なニンジンとして出荷。 16 長いも・里芋 儲からない青果としての販売ではなく、お歳暮用途の高 級品を意識して生産~自社販売に取り組んでいる。 17 施設野菜 取引先が欲しい量は必ず出荷する条件で、価格決定権を 持った取引を行っている。 (余計に作っておき余り分は廃棄) ⇒安定供給力を武器にしながら有利な取引を実現 (先行者利益を確保できている品目のため、これが可能) 18 露地野菜 飲食店とコラボし、自社農産物を使ったオリジナルメニ ューづくりに取り組んでいる。市場出荷から地産地消の経 営に切り替えた。 19 露地野菜・米 スーパーのバイヤーと相談して、栽培品種を決めるなど、 需要者の要望に応える商品づくりを心掛けている。 契約栽培は、自社の直売所が7店舗あるような感じとい う感覚。また、自社で相手先店舗への納品まで行っている。 20 露地野菜 県外旅行客から新潟土産として買ってもらうため、直売 野菜や山菜等を鮮度保持フィルムに入れて保存性をうたっ て、自然あふれる地域のイメージが伝わるシールを貼って 販売している。 21 露地野菜 板前もゴボウの千切りを買ってくる時代。従って、カッ ト野菜の工場を作った。 -2- 商品(作目) マーケティングの内容 22 露地野菜 結束テープに農場の名前を入れている(返品やクレーム 覚悟でうまいものしか出さない意気込みを示す)。モノより 先に農場の名前を売ることを心掛けている。 23 露地野菜 ハウスやトンネルを活用しながら、旬を外して他人が出 荷しない時期に出荷するよう工夫している( 端境期ねらい)。 24 露地野菜 会費1口1万円の友の会方式で、年5回それぞれ季節の 野菜や切り花を、約 500 名いる会員宅に定期的に送付。 25 野菜・果実・米 5件の農業者が集まって共同販売のための法人を立ち上 げたことで、それまでの農家個々の労力では十分に取り組 めなかった営業活動にも力を注げるようになった。 26 包装切り餅 デパートの物産展に出店し、物産展での購入をきっかけ に注文を受け、その後の継続的な購入に結びつけている。 27 なす漬け 高級感のあるラベルシールへの変更、直売所における展 示方法の改善を行うとともに、事業所ロゴやチラシ等の販 売促進グッズを整備して営業活動を行った結果、販売額が 増えるとともに新たな販路確保に繋げている。 28 牛乳 地域の4戸の酪農家に限定した「生産者指定牛乳」を製 造し、学校給食と市内複数の直売所で販売している。 29 米+園芸の 複合営農 整理整頓された作業環境とスムーズな会社運営を、外部 の人が来社された際に見てもらえるよう JGAP 認証に取り組 んでいる。 30 米・切りもち 直接販売の顧客における①一定期間内における購買頻度 と購買金額、②直近購買日を分析しながら、優良顧客⇔離 れた顧客といった階層別に分けることでDM等の広告宣伝 費を効率的に使いながら顧客管理に取り組んでいる。 31 直売所 一級品を売ってこそ、お客様から一級の直売所と思って もらえる。従って、変な商品は売らせないようにしている。 32 直売所 直売所の利用頻度の高い優良顧客から消費者モニターに なってもらい、改善要望を調査した結果を受けて顧客満足 度を高める改善策に取り組んだ結果、客足が戻りつつある。 33 直売所 供給量が少なくなる冬場の品揃えの確保として、農家直 売イメージを崩さないよう市場仕入品でなく、県外の複数 の契約農家と提携して青果物を調達している。また他地域 の直売所と連携しながらお互いの商品を融通しあっている。 【 経営普及課農業革新支援担当(経営) -3- 高橋 一裕 】
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