SEMI News | Vol. 22, No. 6

Vol.22 No.6 November – December 2006
Contents
ii
SEMIの最近の活動から
P.1 巻頭言:SEMIの活動に関与できたことに感謝!
P.2 ISTF(Industry Strategy and Technology Forum)2006報告
P.4 FPD International 2006 報告
P.5 SEMICON Taiwan報告/SEMI Expo CIS 2006 報告
P.6 30周年記念開催 セミコン・ジャパン2006
P.8 米国通信:ハイブリッド・コーポレートカル
チャーを築く
P.9 私のMEMS研究史
P.12 次世代搬送システム
P.14 SEMI マーケット・レポート
P.16 世界をリードする狭ピッチ・高密度接合技術
で技術者交流会を開催
P.18 重要性を増す火災リスク軽減のための評価
P.20 未来に広がる太陽光発電産業
P.22 物作りの心こそが日本を輝かせる
−液晶の進化を支えた材料技術−
P.24 開発秘話:液晶用レジスト塗布装置
P.26 スマートマイクロチップ:センサ・MEMSとIC
の融合
P.28 SEMI新会員企業のご紹介
iii
SEMI News コラム:ゴルフ談義
SEMIの最近の活動から
2006年もあと少しになりました。
「師走」
には最大のイベントであるセミコン・ジャパンが控えて
おり、SEMIジャパン一同身の引き締まる思いで準備に邁進しております。
最近の大きな活動として、10月には SEAJと共催の ISTF( Industry Strategy and Technology
Forum)
というイベントが横浜で開催され、多数のご参加により大きな盛り上がりを見せまし
た。東芝、Intel、SamsungというLSIのトップメーカーや会員各社からの講演者、パネリストをお
迎えし、大変興味深い話をご披露いただけました。また、パネルディスカッションでは会場か
らの質問を多数取り上げ、活発な論議が展開されました。このイベントは、SEAJとSEMIの両団
体のノウハウやネットワークを存分に生かした企画と運営を実現することができ、内容的にも
会員各社や参加者にとって大変意味のあるものだったように思います。来年以降は、
本年の
教訓を生かし、
さらに充実したものにしていきたいと考えております。
またISTFの翌週には、同じ横浜でFPD Internationalが開催されました。こちらは日経BP社と
共催の、ディスプレイ関係の展示会です。こちらも出展はほぼ会場のキャパシティいっぱいに
近づき、来場者数も昨年を上回りました。大型の新製品の展示に加え、SEDおよびシャープ
亀山工場の特別展示が人気を呼んだのは記憶に新しいところです。また、期間中に外国の委
の委員会を開催し、来年4月の長崎ハ
員も含めたGFPC(Global FPD Partners Conference)
ウステンボスでの開催に向け充実した論議ができました。
さて冒頭にも述べましたとおり、12月にはいよいよセミコン・ジャパン30周年、STS 25周年を
迎えます。既にさまざまな媒体で具体的なご案内を始めておりますし、
このSEMI Newsでも
ページを改めて詳細を紹介させていただきます。ぜひ当日は会場に足を運んでください。SEMI
ジャパンのこれまでの活動の総決算として、素晴らしいイベントを提供できるものと確信して
おります。
セミコン・ジャパン2006でお会いしましょう!
SEMIジャパン 代表
SEMI FORUM JAPAN 会場に
「ハイテク・ユニバーシティ」
プレス発表会にて
て
2006, 11-12
Contribution Article
SEMIの活動に関与できたことに感謝!
株式会社堀場製作所 代表取締役社長 堀場 厚
SEMIの役員に任命していただいて早八年が過ぎました。半導体
な環境の中で、次々とグローバ
分野は必ずしも私が長年経験してきた分野ではなく、当初は戸
ルレベルの優秀な若い人材が、
惑うことも多くありましたが、他の業界では見られない、世界中
SEMIの活動で大いに活躍する
の半導体企業トップの皆さんと、オープンでフレンドリーなコ
ことを心より願っています。
ミュニケーションができる環境が整っており、このような素晴
らしい雰囲気の中で皆さんに支えてもらい、私自身のできる範
国内に目を向けてみると、この2006年10月、SEMIとSEAJの共
囲の中でそれなりの役割を果たさせていただいたことに心から
催でISTF 2006が開催されましたが、SEMIとSEAJの強みを発
感謝しています。
揮して、国際的でありながら、焦点が明確で興味のあるマーケッ
トトレンドやアプリケーション動向、技術・製品傾向、そして環境
2006年のSEMIのグローバルなイベント活動は、米国でのISSに始
問題に関連する最新の情報等の討論が、活発に行われました。
まり、11月のITPCなど18種の主要なイベントの最終として、12月
SEMIが関連団体とこのように積極的に協力をすれば、ますます
に記念すべき30周年のセミコン・ジャパンが開催されます。とこ
有効で意義のある成果を生み出していくことができると確信し
ろで、第一回のセミコン・ジャパンでは、百数十社の出展社の2/3
ています。
が米国メーカー、日本では縮小投影のステッパの開発がようや
く始まったころで、業界では米国各社が日本でも圧倒的優位性
また、分析・計測の断面では、今後の半導体デバイスの微細化プ
を保っていた時代でした。日本は、その1976年から1980年までの
ロセスやFPDの大型化が進みつつある中、ウェーハの歩留りと
「超LSI技術研究組合」という産官学一体の国家プロジェクトの
装置の稼働率の向上がさらに重要となり、昨今話題になってい
成功で、半導体産業での国際競争力を着実なものとし、
「栄光の
る安全な環境維持のために監視や計測そして分析の技術の追求
日本半導体産業」を築きました。しかし1980年代後半、日米半導
がさらに厳しく、そして非常に重要になってきていると感じて
体協定がスタート、その後バブル経済から1990年代の「失われた
おります。私は日本分析機器工業会の副会長も務めております
10年」を経て、日本半導体産業界も大規模な構造改革、企業間再
が、両業界の親密な連携からまた新たな付加価値や有効な技術
編による「選択と集中」で、
ビジネスの統廃合など勝てる分野に注
を生み出し、社会がますます豊かに、効率よく、環境との共存を
しながら構築し、復活・
力するビジネスモデルを「Try and Error」
実現することが可能となり、それをより早く具現化することが、
再生を図ってきています。技術的には「スケーリング則限界」を
私たちの使命だと思っています。
をめざして、数多くの新技術によ
言われながらも、
“More Moore”
り常に技術障壁を越えてきています。他の産業に比べて常に活
新技術や新しい機能、効率的なシステムを日々追求するこの半
性化するこのようなエネルギーは、大変魅力的でもあります。
導体産業は、今後とも世の中を大きくリードする産業であり、こ
の分野に積極的に関与できたことに私自身大いに感謝します。
常にグローバルなスケールで動く半導体ビジネスを支えるのは、
しかしながら、比較的若い産業であるために、人材の流動性や企
各国にあるこの産業の発展を支える団体です。例えば日本では、
業人としてのモラルや価値観や商習慣に多様性を秘めており、
SELETE、MIRAI、SEAJ等、米国ではSIA、SEMATECH、韓国では
時には他の産業から異端児的に見られるのは少々残念ではあり
KSIA等、それぞれの目的を持って存在しています。
ます。私自身愕然とする事実に直面したことがあり、責任ある立
その中にあってSEMIは、その趣旨から「製造装置や材料」の唯
場にありながら唯我独尊的な経営者や責任者がいるのも事実で
一の真のグローバルな組織であるばかりでなく、役員を含め各
す。一方で、幅広い見識やグローバルな経験をもった、若く素晴
委員が真剣に業界のための国際的な展示会、セミナー、スタンダ
らしい人材の層がこれほど厚く、恵まれている業界も他にあり
ード、EHSの推進などに献身的に協力している素晴らしい組織
ません。次なる健全な成長のために、業界の連携や信頼の醸成に
です。特に、日本のメンバーが多くの場において、指導的役割や
努力を惜しむことなく、少しでもお役に立てるよう、今後とも対
重責を担っていることを大変誇らしく思っています。国際的な
応をしていきたいと考えています。優秀でバランス感覚のある
活動において、これほど日本サイドが指導権を握っている団体
リーダーが多く輩出され、日本から世界に発信し続けられる業
は他に類を見ないと言ってもよいでしょう。今後ともこのよう
界に成長することを、心から願っています。
11-12, 2006
1
ISTF Report
ISTF(Industry Strategy and Technology Forum)
2006
躍進する半導体産業 −変わることから始まる成長−
伯東株式会社 顧問/ SEMI ISTFプログラム委員会 委員長 山根 正熙 ほか
日本半導体製造装置協会
(SEAJ)
とSEMIの初めての共同主催に
“躍進する半導体産業―変わることか
よるイベントISTF 2006が、
(火)
と11日
ら始まる成長―”のテーマのもとに、去る10月10日
(水)
、パシフィコ横浜会議センターで行われました。
SEMIジャパンでは、過去 19回にわたりISS( Industry Strategy
Japanとして、毎年世界の著名な半導体産業に関係す
Symposium)
る方々を招聘して、経営者、事業のリーダー、技術・製造部門の責
任者およびマーケティング部門の人々を対象に、講演やパネル
ディスカッションを行ってきました。より広い視野から半導体
日産自動車 大久保宣夫 氏
Intel Jai K. Hakhu 氏
産業の現在と将来を語っていただき、半導体産業界と各企業の
減を目的に世界の最先端技術を導入し、クイック・フィードバッ
発展に寄与できるフォーラムとして開催してきました。
クによる不良率の改善プロセスを組み入れて、高歩留りをめざ
また、日本半導体製造装置協会においても、毎年日本半導体装
す製造に取り組んでいる」と説明され、地味な仕事に厳しく立ち
置産業および会員各企業のさらなる発展に役立つように、SEAJ
向かっている様子に感銘を受けました。
フォーラムが行われてきました。
午後からは、まず“飛躍する半導体産業―変わることから始まる
今回、SEMIのマーケット指向のインターナショナルなフォーラ
成長−”
と題して、ビジネスストラテジーセッションが行われま
ムと、SEAJの技術指向の会員相互のコミュニティーのフォーラ
した。
(株)
東芝セミコンダクター社 斉藤昇三副社長が、
“東芝メ
ムという、お互いに補完関係にある2つのフォーラムを一つにし
モリビジネス DRAMから NANDへ”と題して講 演され、
て、重複部分を調整して効率よくし、日本における半導体産業界
DRAMビジネスから撤退してフラッシュメモリNANDビジネ
にとってシンボリックな最高のフォーラムを開催することをめ
スへ打って出た経緯について説明をされました。成功の裏にあ
ざして、両者が協力し、このISTF 2006の企画を進めてきました。
る妥協を許さない客観的な分析と計画、そして強靭なやる気の
SEAJのフォーラム企画委員会およびフォーラム実行委員会のメ
ある人間集団の努力を知ることができました。
ンバーと、SEMIジャパンのプログラム委員会のメンバー約60
続いて、三星電子
(株)
メモリ事業部 李元成専務の
“サムソンのメ
名の努力により、すばらしいプログラムを作ることができました。
(株)
戦略企業本
モリビジネス”
、日本テキサス・インスツルメンツ
その結果、第1日目の講演会には518人、第2日目の講演会とセミ
、JSR
(株)小
部 岡野明一執行役員本部長の
“TIのビジネス戦略”
ナーには延べ1,522人、合計2,040人という大変多くの方々が出席
の講演が行
柴満信常務取締役の
“JSR Evolution and Revolution”
され、大成功となりました。御同慶の至りであります。
われました。
(株)常石哲男取締
その後、上記4人の講演者に東京エレクトロン
1日目の午前中の基調講演と午後のビジネスストラテージセッ
役副会長とアプライドマテリアルズ(株)
のトーマス・デニス副
ションは、追加の椅子も入らないほど満員でした。日本半導体製
社長が加わり、ゴールドマンサックス証券会社投資調査部 堀江
(株)
東哲郎氏の
造装置協会会長でSEMI役員の東京エレクトロン
伸マネージングディレクターの司会で“
、敢えて技術以外に目を
開会挨拶のあと、経済産業省製造産業局産業機械課 高橋泰三課
向けて成功企業のベストプラクティスを学ぶ”
と題して、パネル
長がご来賓の挨拶を述べられ、ISTF 2006はスタートしました。
ディスカッションが行われました。
基調講演会では、日産自動車
(株)
元副社長で現最高技術顧問であ
東芝はNANDフラッシュメモリに成功し、サムスンはDRAM、
り、かつ社団法人自動車技術会会長の大久保宣夫氏が「カーエレ
NANDフラッシュメモリに成功して世界No.2の半導体の地位を
クトロニクス動向」と題してお話をされ、自動車のこれからの重
基きました。コングロマリットのTIは、防衛事業、コンピュータ
「環境」
「居住性」を追求していく
要な3つのテーマ「安全性」
事業、計測事業を売却して半導体事業に絞り込み、その中でも
要は、電子技術と半導体であると熱っぽく語られ、非常に希望の
DSP分野に絞り込んで今日の成功を手に入れました。また、JSR
持てる明るい気持ちになった講演でした。
は、石油化学の合成ゴムを製造する国策会社からファイルケミ
、イ
続いて、インテル社の製造技術担当副社長Jai K. Hakhu氏が“
カルの半導体レジストの大手メーカーに変身して成功し、世界
ンテルの半導体ビジネス戦略”
と題して講演されました。Hakhu
No.1となったアプライドマテリアルは半導体装置メーカーとし
氏は、
「インテルが次々と最先端の新製品を開発して市場へ提
て揺ぎない地位を築き、そして東京エレクトロンは専門商社か
供していく方針には変わりなく、製造面においても厳しい原価低
らスタートして世界に冠たる半導体装置メーカーとして成功し
2
2006, 11-12
ISTF Report
ました。これら成功した企業の成功のポイントは何であったか
を、堀江伸氏は司会者として、鋭い追求で浮き彫りにしました。
会場を埋め尽くした出席者全員が、固唾を飲んで耳を傾けたす
ばらしいパネルディスカッションでした。
次に2日目の主なセッションを紹介します。
■ マーケットトレンド セッション:
2010年以降の半導体産業の牽引力は何か
(株)日立ハイテクノロジーズ 井上文雄
本セッションは、半導体産業が現在と比較してどのように構造
変化していくのか、2010年以降における事業戦略のビジネスヒ
ントを、参加者とともに見出そうとしたものです。
日米の調査会社および証券会社より、世界でも著名な方々5名を
半導体市場は、今後の安定成長が期待されています“
。半導体の
パネリストとして招きました。調査会社よりアイサプライ ジャ
成長を支えるアプリケーションの変革/イノベーション”をテー
(株)
パン
(株)
のTim Wang社長、IC Insight社のBill McClean社長、
マに、牽引する分野であるカーエレクトロニクス、デジタル家電、
データガレージの南川代表取締役、日経BPコンサルティングの
携帯電話および今後期待されるロボットについて、各分野の著
菊池 日経マーケットアクセス編集、証券会社よりUBS証券会社
名な講師陣により最新動向が明らかにされました。
の進マネージングダイレクター
(後半は後藤エグゼクティブダ
カーエレクトロニクス動向:
(株)
デンソー 白崎慎二 氏
イレクター)
の5名。そして司会役は、証券業界におけるトップ
車は安全で快適な方向にどんどん進化して、運転支援や利便・快
アナリストから機関投資家に変わられたフィノウエイブ・イン
適分野でカーエレクトロニクスも進展していく。高機能化・複雑
ベスメンツ
(株)若林代表取締役社長でした。
化するシステムと、ますます厳しくなる搭載環境で、コア技術と
議論へのアプローチ
しての半導体には、高信頼度、省電力が求められ、超高集積アナ・
司会役の若林氏より4つのガイドラインが示されました。
デジ混載IC、超低損失化パワーデバイス、超低コストのデバイス
①アプリケーションが2010年以降どのように変化するのか、ま
が必要になる。
た何が生まれるのか。
②そのアプリケーションには、どのような機能や半導体が必要
デジタル・スチル・カメラ用ASIC開発の立場から:
キヤノン(株)
栄木裕二 氏
DSC用システムLSIの映像エンジンDIGICで、DSC全機種で、高
なのか。
③前提としてどのようなことを考えているのか。
画質・高速・高機能および量産効果によるコストダウン効果を得
④予測の可能性
(精度)
に対する考察。
ている。また、セット側のASIC開発現場からの立場でLSIベン
パネリストの展望
ダーに対して、アナログLSIの中にあるデジタル部分等のASIC
パネリストの方々からは次のようなことが述べられました。
の設計・開発力が低下してきているのではないかとの懸念がある。
①歴史的に、半導体産業はある時間的サイクルで動いている。
②一人当たりのIC需要が先進国では大きく、富裕層の拡大によ
ロボットのエレクトロニクスと情報処理:
(独)
産業技術総合研究所 松井俊浩 氏
り個人向け半導体需要が増大する。また、BRICs 経済が半導
ヒューマノイドロボットの研究は進みつつあるが、現段階では、
体需要を底上げする。
人間のセンサー、インテリジェンス、パワー効率等に比べると、
③携帯電話を含めたMobile通信市場が他の市場とConvergence
し、今後とも進化、増大を継続する。
まだまだ到達レベルにはない。人間並みのロボットは必ずでき
ると考えるが、2040から2050年ごろと予想する。集中制御から
④車載向け半導体需要が今後とも進化、増大を継続する。
分散制御への変更および実時間計算・通信の実現で、実時間分散
⑤ロボット向け半導体は、直近では半導体産業における牽引力
処理技術の確立により、今後応用範囲が拡大していく。
とならないが、2015年以降における牽引力の可能性を持つ。
auケータイの進化とそれらを支える技術・
トレンド:
⑥医療分野向け半導体も今後発展の可能性を持つ。
KDDI(株)中村公彦 氏
パネリストの方々がさまざまなアングルで、2010年以降の半導
auケータイの通信速度、カメラ画素数等の主要な機能が、約4年
体産業における進化、増大に対する考察と意見を述べられ、ビジ
間で10倍程度に向上したが、これはCPU、液晶等のデバイスの
ネスヒントを得ることができました。
進化による。今後も、高機能化、小型・軽量化で、ケータイは進化
■ アプリケーショントレンド セッション:
するが、ハード・部品およびソフトのモジュール化、パフォーマ
半導体の成長を支えるアプリケーションの変革/イノベーション
(株)
日立超LSIテクノロジーズ 周藤仁吉
11-12, 2006
ンス・性能の向上、バッテリーの進化等、各種の技術課題の解決
が必要である。
3
FPD International Report
FPD International 2006 報告
SEMIが共催するフラットパネルディスプレイ、製造装置、部品・材料の総合展示会
去る10月18日
(水)
∼20日
(金)
の3日間にわたって、パシフィコ横
浜 で FPD International 2006
( 主 催 :日 経 BP社 共 催 :SEMI)
が開催された。今年は日経BP社とSEMIが展示会を統合して2
回目の開催であり、その相乗効果により366社921小間(昨年:
355社878小間)の参加を得、過去最大の出展規模となった。来
場者も展示会とフォーラム合わせて69,951名(昨年:69,098名)
を数え、また海外出展社も78社に上り国際色豊かなイベントと
なった。併催されたフォーラムでは、基調講演、特別講演4を含
む45セッションが行われた。
開会式では、主催者、共催者代表の挨拶に続き、前SEMI会長で日
本半導体製造装置協会
(SEAJ)
会長を務める東京エレクトロン
取締役会長の東哲郎氏が、
「北京五輪や地上波デジタル放送への
移行の追い風を受けて、カラーテレビの市場が拡大しており、
FPDの需要はボーダーレスに拡大していく。また、2006年度の
FPD関連製造装置の世界販売額6,062億円は、ピークの2004年
度を上回って過去最高となり、今後数年間で年平均9.9%の高度
成長となる」と述べた。
フォーラムでは、初日に、日韓台トップの液晶、プラズマメーカ
ー参加のFPDサミットが開催され、2日目は中国TVのトップで
あるTCL総裁、3日目には携帯トップのNokia副社長が講演を行
った。
大画面薄型テレビが普及期に入り、第8世代ラインの稼働開始等、
引き続きライン投資が拡大されつつあることを反映して、会場
等々、新技術材料の展示が増加した。台湾からの出展も多く、韓
では、103型PDPや100型液晶をはじめ、フルHDディスプレイ、
国、台湾からの参加者が非常に目立った。対応したフォーラムで
その4倍画素のQuadフルHD液晶などの大型TVパネル、さら
は、8世代以降を見据えた製造装置関連、バックライトを含む部
には液晶の高速動画技術やLEDバックライト液晶、25型の有機
品材料新技術、戦略等の6つの製造関連のセッションが、多くの
ELパネル等、世界各国の最先端FPDが展示された。注目のSED
参加者を得た。
も、アネックス会場にて55型が特別公開された。
併催フォーラムの他、SEMIスタンダード会議/ワークショップ、
一方で今年は、小型超高精細、高視野角パネル、超薄型パネル、
ノ
VIPパーティーも行われ、活発な情報交換・交流が行われた。
ート用半透過型、医療用高精細白黒、インパネ用高コントラスト
SEMIワークショップでは、
「FPD Factory Automationワークショ
など、中小型液晶ディスプレイの多様な新技術、新開発パネルが
ップ:超大型基板対応のFPD生産に向けて」が開催され、近年と
多数展示されたことも大きな特徴である。これは、中小型ディス
みに著しいガラス基板の大型化により急務となってきた枚葉搬
プレイも多種多様なアプリケーションへの応用が急速に拡大し
送対応の標準化への取組みが、半日にわたって発表された。
ていることを示している。
製造設備、部品材料ゾーンでは、8世代以降までの超大型基板対
来年のFPD International は、10月24日
(水)
∼26日
(金)
の3日間に同
応の装置関係ならびに実物部材が展示された。多様なパネル開
会場で開催の予定であり、すでに出展募集も開始している。
発に対応して、特に材料のゾーンでは、拡散板、光学フィルム、関
お問合せ先: 展示会/プログラム部 加藤
連樹脂、テープ等のフィルム材、ターゲット材、蛍光体、有機EL材
Email: [email protected]
4
2006, 11-12
SEMICON Taiwan / SEMI Expo CIS Report
SEMICON Taiwan 2006 報告
−業界の投資や台湾メーカーの勢いを反映−
今年のSEMICON Taiwanは、去る9月11日
(月)
から13日
(水)
にか
けて、台北市の世界貿易センターで開催された。今年は1,390小
間の出展により、3日間で約2万名の来場者を集め、出展小間数、
来場者数とも昨年を上回った。
今年の特徴としては、メインの1ホールから少し離れた3ホール
のいちばん奥に、ステージのほかにSEMIカフェとSEMIブース
を設け、プレゼンテーションのステージ、無料ドリンクコーナー、
福引コーナーを集中し、1ホールから3ホールの突き当たりに向
かう来場者の流れを際立たせたことが上げられる。1ホールの全
体的な賑わいに加え、3ホールの人の流れが強い印象を与えた。
い話題を提供した。
初日の開会式に続いてステージではパネルディスカッションを
ちょうどこの時期、台北市内では反総統の市民集会が開かれ、連
開催し、話題性の高いトピックで聴衆を惹きつけた。
日テレビで報道もされていたが、セミコン会場付近では混乱も
また、併催のイベントとしては、初日にCTOフォーラムが開催
なく、全体としては、この業界の投資や台湾メーカーの勢いを反
され、TSMCや主な装置メーカーのCTOが、技術的にも興味深
映した、大変活気にあふれた展示会となった。
SEMI Expo CIS 2006 報告
−好調なロシア経済を背景に最大規模で開催−
BRICsの一国として注目されるロシアであるが、SEMIは1991年
のトレードミッション派遣を契機に、1995年以降、毎年展示会と
プログラムを開催している。ロシアは原油価格の高騰によるブ
ームに沸いており、経済が集中するモスクワでは、個人消費が景
気を牽引し、バブルともいえる状況である。しかし、一方で、半導
体を含む製造業全体の衰退が大きな課題となっている。
こうした状況の中、モスクワ中心部で10月3日・4日に開催され
たSEMI Expo CISは、19ヵ国157社の出展を集め、過去最大規模
。
となった
(開催報告書、出展社リスト等はwww.semi.orgに掲載中)
出展社は海外が8割を超えており、スコットランドのサプライヤ
企業代表団の参加も見られた。日本からもJEITAのロシア調査
団が参加されており、ロシア半導体産業関連の国際イベントと
して海外からの注目が高まっている。
展示会と平行して、Semiconductor Executive Market Conference、PV
Conferenceでは、ロシア企業からも、
「製造技術格差を短期間で埋
Conference、Design for Manufacturing Conference等のプログラムも
めることは難しく、むしろ特殊用途などのアプリケーションで
開催され、盛況であった。特にMarket Conferenceは、政府高官、ロ
対抗できるものを見つけるべきだ」との声が聞かれた。その点
シア半導体メーカー、海外半導体メーカー/サプライヤ、市場アナ
で、R&Dの人材資源としての評価は欧米で高いようだ。この国
リスト、投資コンサルタント等からの報告が終日行われ、111名
の識字率は100%に近く、市中で買物をすると釣銭が暗算です
の参加があった。
ぐに出るなど、基本的な教育レベルは高い。ITなどのソフトウェ
ミンスクにある旧ソ連最大規模の半導体工場で
翌10月5日には、
ア開発分野では競争力も高く、Intel社もソフトウェア開発で成
あるIntegral社への訪問ツアーが組まれ、JEITA代表団にもご参加
功しているという。
いただいた。ロシア半導体産業の状況は厳しく、ここでも中心
石油税収が潤沢な間に、製造産業復興への道筋を見つけられる
となるテクノロジーは1から0.8ミクロンである。前日のMarket
かが、今後のロシア半導体の行方を左右するだろう。
11-12, 2006
5
SEMICON Japan 30th Anniversary
30 周年記念開催 セミコン・ジャパン 2006
Sharing Expertise, Making Innovation −協働によるイノベーションの創出−
セミコン・ジャパン 2006
各ブースでは、製品・技術の説明のために、エキスパートがお待
12月6日
(水)
∼8日
(金)10:00-17:00
ちしています。
幕張メッセ全館
(1-11ホール、イベントホール、国際会議場)
メリット 5 インターナショナルな展示と来場者
いよいよ開催です。
ドイツパビリオン、韓国パビリオンはじめ、世界約25の国と地域
からの展示で賑わいます。出展社・来場者ともにインターナショ
■ 史上最大規模での開催
ナルです。
(海外出展社約30%、海外来場者約8%)
今年もセミコン・ジャパンに多くのご出展申込みをいただき有
メリット 6 出展社セミナーで最新情報を入手できます り難うございます。皆様の温かいご支援のもと、今年、セミコン・
出展社セミナーでは、出展企業が最新の製品・技術をセミナー形
ジャパンは第30回開催という記念すべき節目を迎えます。
式で発表します。注目企業の動向とソリューション、イノベーシ
開催規模におきましても、セミコン・ジャパン30年の歴史の中で、
ョンの発見にお役立てください。
(聴講無料)
最大規模での開催となりました。
(出展企業:約1,600社 出展小
メリット 7 見学しやすいカテゴリー展示です 間数:約4,500小間 2006年10月25日現在)
セミコン・ジャパンでは、製品別カテゴリーによる展示を行って
テーマ
“Sharing Expertise, Making Innovation −協働によるイノベ
います。
ーションの創出−”にありますとおり、期間中の3日間は、新技
・前工程・関連装置・部品関連ゾーン
(ホール1-7)
術・新製品、実機・実物によるデモンストレーションを中心に、出
・前工程施設材料関連ゾーン
(ホール7-8)
展各社の英知、高い専門性が結集され、業界の皆様とともにイノ
・総合ゾーン
(ホール9)
ベーションを創出する場となります。
総合ゾーンには、前工程と後工程双方の出展分野を取り扱
今やセミコン・ジャパンは、世界最大のSEMICONショーに成長
う出展社が出展しています。
しました。出展社側からは「各社最新鋭の装置・技術の発表を、
・後工程関連装置・設備・部品・材料ゾーン
(ホール9-11)
このセミコン・ジャパンにぶつける」という声が多く聞かれます。
・特設イノベーションホール
(イベントホール)
世界が注目する半導体業界の史上最高の祭典になると思います。
※会場には、目的とするブースを検索できるブースナビゲーシ
一人でも多くの皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
ョンシステムが設置されています。
メリット 8 エマージングテクノロジーにアクセスできます
■ セミコン・ジャパンにご来場のメリット
特設イノベーションホールでは、MEMS、ナノテクノロジー、太
メリット 1 ベンチマークの場を体感できます
陽光など、話題のエマージングの展示、特別講演も行われます。
半導体製造に関連する装置・材料メーカーが勢ぞろいします。製
メリット 9 豊富な併催イベントに参加できます
品の比較検討ができるまさにベンチマークの場です。
SEMIテクノロジーシンポジウム(STS)
をはじめとする多彩な
メリット 2 新製品・新技術を目のあたりにできます
併催プログラムが開催され、半導体業界のトータルディスカッ
各出展企業は、新製品・新技術をセミコン・ジャパンで開陳する
ションを喚起します。また交流の場としてレセプションも開催さ
ことを第一として競い合っています。
れます。
メリット 3 実機展示・デモンストレーション展示を楽しめます
メリット 10 業界のスタンダードが議論される場です 各出展企業は実機・実物展示中心の展示を行っています。デモン
SEMI スタンダード会議、イベントなどを通じ、半導体業界の装
ストレーションも豊富です。
置・材料の標準化の動向がつかめ、議論にも参加できます。
セミコン・ジャパン2006 WEBサイトの「新製品・新技術実機紹介
メリット 11 半導体業界がわかりやすく紹介されています
コーナー」では、事前に出展各社の新製品を写真入りでご紹介し
半導体製造装置業界や半導体の作り方などのご案内を、展示会
ています。また、出展各社の新製品・新技術およびデモンストレ
場各所で映像により紹介します。
ーションをすぐ探し出せるよう、会場で配布される出展案内に
メリット 12 ブースツアー/学生向けガイダンス等で半導体プロセス
「NEW」「DEMO」のマークを表示します。
メリット 4 エキスパートの説明が聞ける
6
業界を体感できます
今年は展示会に新たな風を起こします。昨年好評だったプロセ
2006, 11-12
SEMICON Japan 30th Anniversary
スツアーに学生専門コースを設けるほか、工学部などを中心に
ンジニアが集い、新局面を迎えた半導体の今後の方向性につい
約200名の学生に来場いただき、この業界についての理解を深
て議論するSEMI最大規模のシンポジウムです。
めていただく予定です。
テクニカル/ビジネスプログラム
時代のニーズに応じたタイムリーな情報と、半導体生産のテク
■ 特設イノベーションホール
ノロジー・ビジネストレンドについて、ディスカッションする場
MEMSやナノテクノロジーをはじめ、半導体関連技術のフロン
を提供します。
ティア領域であるエマージングテクノロジーにフォーカスした
スタンダード関連プログラム
展示企画「イノベーションホール」が特設されます。パビリオン
最新のSEMIスタンダードについての紹介と解説を行うSTEP、
展示企画、セミナー、シンポジウムとの連携、プレゼンテーシ
SEMIのスタンダード活動について最新状況を紹介し、積極的か
ョンと魅力いっぱいのホールです。
つ幅広い意見交換の場を提供するワークショップ、関連セミナ
MEMSパビリオン ー、SEMIスタンダード会議が開催されます。
今年で10回目を迎えるMEMSパビリオン。MEMS製造の最先
端を集中展示します。
■ 30周年特別企画
ナノテクノロジー・パビリオン
特別映像企画「半導体産業の歩みとセミコン・ジャパン」
DVD
最先端のナノ材料、装置、システム、設備を集中展示します。
SEMI歴代役員へのインタビューや半導体業界をわかりやすく
太陽光発電パビリオン
紹介した、30周年記念特別映像を会場内にて放映します。この
クリーンテクノロジーの観点からも最近注目される太陽光発電
DVDは、出展社ならびにSEMI会員企業各社に贈呈させていた
は、半導体加工技術とも関連が深く、今後年率30∼40%で成長し、
だきます。
2010年には3兆円規模に達するとの予測もあります。関連の材
特別出版企画「日本の装置・材料技術の軌跡」
料・装置・製品の展示で新しい可能性を探ります。
日本の半導体製造装置・材料の開発の歴史は、セミコン・ジャパ
ベンチャー・パビリオン
ンの歩みと密接にかかわっています。SEMI Newsに過去3年半
新たな産業創出のモデルとも言われる大学発のベンチャーや、
にわたって掲載されてきた「開発秘話」を一冊の本にまとめま
アカデミア関連の展示などを中心に集中展示を行います。
した。各社それぞれに苦心、失敗を重ねながら、製品開発に取り
製造エンジニアリング・パビリオン
組まれてきた様子がこの「開発秘話集」ではリアルに語られて
半導体の生産設備をシステム化するプラットフォーム、アプリ
います。お読みいただいて参考になる深い内容となっています。
ケーションに関する展示パビリオンです。300mmプライムを視
ご出展社、SEMI会員企業に、またご来場の皆様には抽選のうえ
野に、DFMをはじめEDAなど、次世代生産技術を展示します。
贈呈させていただきます。
展示内容: MES、APC、CIM、EES、FDC、DFM、歩留まり解析、搬
特別企画「エポックメーキング技術30年」
送監視、装置接続、ホスト通信システムなど。
今日の半導体の発展に欠くことのできない技術を、特別選考委
員の方々に選んでいただきました。30年の時代背景とともに、5
■ 多彩な併催イベント
ホール中央モールにパネル展示されています。
セミコン・ジャパン 2006の開催に併せて、技術、マーケット、教
育などの各種セミナーをはじめ、スタンダード会議、レセプショ
■ 展示会入場登録ならびに併催イベント申込みについて
ンなど、さまざまなイベントを同時開催いたします。これらの多
セミコン・ジャパンでは、
「入場事前登録」へのご協力をお願い
岐にわたるイベントは、最新かつ豊富な情報を提供します。
しています。当日登録は大変混雑するため、お客様をお待たせす
セミコン・ジャパン 30周年記念ガーラ
(祝祭)
る場合がございます。
30周年を記念し、エレクトロニクス技術の進化、半導体産業の発
WEBサイトからお申込みください>>> www.semi.org/sj06
展を、業界を挙げて祝うイベントです。記念講演会には、京セラ
11月30日までに展示会入場事前登録いただいた方には、入場バ
株式会社名誉会長 稲盛和夫氏、2001年ノーベル化学賞受賞者の
ッジと展示会リーフレットをお送りいたします。12月1日以降
理化学研究所理事長 野依良治氏をお招きします。
に登録された方には、登録確認メールをお送りいたしますので、
SEMIテクノロジーシンポジウム
(STS)
2006 25周年
プリントアウトしてご持参ください。併催イベントにつきまし
半導体技術動向、技術課題、またその実用化技術について、第一
てもWEBサイトよりお申込みください。
線の技術者の方々より語っていただきます。1,500名を超えるエ
多くの皆様のご来場を会場にてお待ち申し上げます。
11-12, 2006
7
US Report
米国通信:ハイブリッド・コーポレートカルチャーを築く
パシフィック・ドリームス・インク 代表取締役 酒井 謙吉
弊社で異文化セミナーを開催したり、お客様の会社に行って、
を期待され、要求されます。仕事でいうところの職務内容記述
社内トレーニングを提供したりしている中で、日米双方におけ
書(ジョブ・ディスクリプション)が初めから決められ、その
る強みのあるところを取り入れたハイブリッド・コーポレート
通りに仕事をしていかなければなりません。
カルチャーの育成という大きな命題について、いつも考えさせ
それに対して、日本のチームワークというのは、強力なリーダ
られます。それは、頭でどう考えようとも、日本とアメリカと
ーシップの人間がチーム内にいて、明確な指示を常に出してい
の間では、仕事のやり方、考え方、組織の運営の仕方や意志決
るというよりは、各自が平均的なレベルにあることが多いので、
定の仕組みに大きな違いが存在するからです。それはまた当然
仕事の分担も、それぞれが助けの必要なところやマンパワーの
のことですが、どちらが良くて、どちらが悪いという白黒を付
より要求される部分に柔軟に手を差し伸べることができるよう
けられるような類のものでもありません。これは、アメリカ式、
な体制になっています。役割分担が初めからはっきりと決まっ
これは日本式という枠組みで物事を見たり、考えたりしていま
ているわけでもないのに、支障をきたすことなく、各自が自分の
すと、どうしても片方が良い悪いの優劣をつける論理に偏って
役割の落とし所を他者との関係や仕事ぶりを観察しながら見つ
しまいがちになります。
け出して、自律的に仕事が進められてまいります。そこには強
アメリカにある会社、仮にそこが日系企業、あるいは日米の合
力なリーダーシップなどは存在していないことの方が普通です。
弁企業であろうとも、会社で働いているアメリカ人の仕事のや
チームワークとは呼んでいても、ある意味では集団活動と呼ん
り方は、日本にいる日本人のそれとはどうしても異なります。
だ方がより適切であるのかもしれません。
アメリカに赴任されて、最初は仕事のやり方の違いに驚き、眼に
ここでアメリカと日本でのチームワークの違いに関して、それ
見える現象としてだけ捉えるのであれば、アメリカ人の仕事ぶ
ぞれにキーワードを挙げるとしたら、アメリカは、
“強力なリー
りはその程度のものかと感じたり、逆に彼ら彼女らのタフな部
ダーシップ”であり、日本は、
“自律性のあるフレキシビリティ”
分を知らしめされたりと、表面上では、仕事のやり方や手の内
という言葉にでもなるのでしょうか。これらのキーワードに象
が徐々に見えてまいります。それでも、仮に数ヵ月あるいは数
徴される部分でお互いの持っているものが補完しあうことがで
年を過ごしていった中で、何とも説明しかねる“もやもや”
した
きたら、お互いが理想的な関係を築けることでしょう。
フラストレーションが、知らず知らずのうちに日本人にもアメリ
チームワークを事例として用いてみましたが、このようなコン
カ人にも蓄積してしまいます。では、それはいったい何なのでし
セプトの違いが日米間で存在する中において、それらの違いに
ょうか。
ついて深く理解した上で、できれば、双方の持つ強みのある特
ひとつ例として取り上げてみたいのが、
「チームワーク」という
徴の中から、
「良いとこ取り」をしたいものです。そして弱みの
事例です。アメリカの日系企業は、皆異口同音に、採用時の面
ある特徴は、できるだけ排除したいわけです。経営マネージメ
接で「あなたはチームプレーヤーですか?」と尋ねます。この
ントの創始者である碩学、故ピーター・F・ドラッガー博士は、
質問は、別に何も日系企業だけの専売特許ではありません。多
著書の中で「強みこそが機会である。人間の強みを生かすこと
くのアメリカ企業の面接でも使われている質問です。しかしな
が、組織の特有の目的である」ときわめて明快に「強み」の重
がら、この「チームワーク」というもともとのコンセプトが、日
要性を喝破されています(
『経営者の條件』上田惇生・新訳・ダ
本人の持つものとアメリカ人の持つものと微妙に違うというこ
イヤモンド社刊より)
。
とに、時間の経過とともに気づいてまいります。実は、日米の間
日米双方の人間が持つそれぞれ異なった仕事や組織への価値観
にある「チームワーク」のコンセプトには、かなりの違いがあ
の違いを、まずは徹底的に観察するところからお互いが持つ強
るのです。
みと弱みが見えてまいります。ハイブリッド・コーポレートカ
アメリカ人の持つチームワークのコンセプトというのは、例え
ルチャーを築いていくためには、自身を知り、他者を知りなが
ればアメリカンフットボールのチームのようなものです。それ
ら、では互いの強みを融合し合うためにはどうしたらよいのか
は、チームに強力なリーダーシップを持つコーチ(監督)
が存
という議論や検討からスタートするのが最初の第一歩であり
在していて、彼の明確な指示のもとに、チームメンバーが作戦
ましょう。社内におけるハイブリッド・コーポレートカルチャー
通りに動きます。そこではあいまいな指示は許されず、目標(タ
の育成は、日系企業にとりましては永遠の課題ではないかと思
ッチダウン)
に向かって各自が決められた仕事をこなしていき
います。永遠の課題だから、今すぐ始めなくてもよいとか、会
ます。クウォターバックは、クウォターバックの決められた仕
社が利益を出したら考えてもよいというようなスタンスでは、
事を、ラインバックはラインバックの仕事を確実にこなすこと
スタートラインにも永遠につけないかもしれません。
8
2006, 11-12
MEMS
私のMEMS研究史
東北大学大学院工学研究科付属 マイクロ・ナノマシニング研究教育センター 教授 江刺 正喜
本稿は、2回に分けての掲載となります。本誌では、以下の1∼3
の雑音が話題になりました。従来の金属電極では金属表面での
を、次号では4・5を掲載します。
電気化学反応によって電気が流れ、その反応の不安定性によっ
1. はじめに
て雑音が発生するので、電気化学反応を使わない絶縁物によ
2.「マイクロマシニング」
との出会い
(学生・修士課程の大学院生時代)
る電極はできないかという議論がありました。なお他の話は、当
3. 試作設備の整備
(博士課程大学院生時代)
時素人の私にはほとんど理解できませんでした。研究室では先
以下次号掲載
輩が金属電極を始めており、それを引き継いで絶縁物を用いた
4. 実用化に向けた企業との協力、集積回路設計・試作の経験
(助
電極を卒業研究のテーマとして行うことになりました。これは、
手・助教授時代)
5. オープンな知識、スリムな設備
(教授時代)
(Ion Sensitive Field Effect Transistor: イオン選択性電界
後でISFET
効果トランジスタ)
とよばれた、マイクロプロセッサなどに使われ
ているMOSFETのゲート絶縁膜を電解液に露出した構造のもの
1. はじめに
で、その製作は、
(株)
日立製作所の武蔵工場におられた先輩の
とよばれる技術を
私は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)
野宮紘靖氏にお願いしました。
中心にした研究・教育を大学で行っておりますが、多くの方々と
このISFETができてくるまで、別の絶縁物の電極として「チタン
の関わりの中でやってきた半生記のようなものをお伝えし、何
酸バリウム磁器を用いた生体用誘導電極」の研究を行いました。
らかのお役に立てればと思います。
これは、セラミックコンデンサに用いる高誘電率のチタン酸バ
MEMSは半導体集積回路を製作する微細加工を応用した「マイ
リウムによる薄板を体表に貼り付けて、静電容量を介して脳波
クロマシニング」とよばれる技術によって、シリコンチップ上な
や心電図を検出するものです。この試料は
(株)
村田製作所の脇野
どに、回路だけでなくセンサや微細構造体さらには機械的に動
喜久男氏にお願いし、セラミックコンデンサの片側だけに電極
くアクチュエータなどを形成して付加価値の高いデバイスを作
を形成したものを作っていただきました。これで心電図や脳波
り、システムの鍵を握る重要な要素を供給する技術です。マイク
などを実際に導出できたのですが、電極を動かすと雑音が入る
ロエレクトロニクスの発展の中で、それを機械・光・材料などの
ことが分かりました。印加する直流電圧と雑音電圧の関係を調
技術と組み合わせ、いろいろな分野に展開してきました。
べて、この原因がチタン酸バリウム材料の圧電現象であり、この
以下では、学生・院生時代から、助手・助教授時代、さらに現在の
種の電極には実用上限界があることを明らかにしました。
教授としての活動について述べたいと思います。
この結果を日本ME学会誌に論文として投稿したところ、これは
後で日本ME学会論文賞に選ばれましたが、この経験から、否定
2.「マイクロマシニング」
との出会い
(学生・修士課程の大学院生時代)
的な結果が得られても研究成果は整理して発表することを私は
2-1. 日本ME学会論文賞:学部時代
勧めています。なお、卒業研究では、助教授の飯沼一浩先生にご
いわゆる団塊の世代にあたる私が大学を卒業したのは1971年、
指導いただきました。飯沼先生はその年に東芝に移りましたが、
インテルから初めてのマイクロプロセッサ4004が発売された年
電子スキャンによる超音波診断装置を世に出したいという夢を
です。
実現するために企業に移った気骨ある方で、その情熱を持ち続
東北大学工学部で4年生になり、1970年に電子回路工学講座とい
けて、東芝の超音波診断装置を当時世界トップにされました。
う研究室に所属することになりました。教授は故 松尾正之先生
2-2. 異分野にまたがる研究を:大学院修士課程時代
で、若いころに真空管による心電計や脳波計などを開発され、医
大学院の修士課程に進学したころ、日立に製作を依頼していた
)
の世界で活躍
用電子工学(メディカルエレクトロニクス
(ME)
ISFETが届き、その測定を始めました。顕微鏡の下で爪楊枝を使
しておられました。研究室に入ってすぐに仙台で日本ME学会
ってワックスを塗り配線部分を覆い、ゲート部だけを電解液にさ
の全国大会が開催され、その時私は、他の4年生と一緒にスライ
らしてその電位をトランジスタの電流変化として検出し、これを
ド係としてアルバイトをさせていただきました。最近は発表の
1971年夏に電気関係学会東北支部連合大会で発表しました。
時にパソコンを使いますが、当時はスライドを使い、アルバイト
そのころ研究室の松尾先生は、スタンフォード大学の電気工学
係がそれを一枚ずつ動かしていたわけです。その時に担当して
科に1年行くことになりました。スタンフォード大学電気工学科
いたシンポジウムで、心電図をとるため体表に貼り付ける電極
では、半導体技術を応用したマイクロマシニングの研究を世
11-12, 2006
9
MEMS
界に先駆けて行っており、松尾先生を通して多くの最新情報に
接することができたことは、私の研究人生にとって大変幸運な
ことでした。
松尾先生が行かれたのはJames D. Meindl 教授の研究室でしたが、
Meindl先生にはシンガポールにあるIME(Institute of Micro
という国立研究所でアドバイザをさせていただいた
Electronics)
時、30年後に直接お目にかかりましたが、大変的確で勇気づけ
られるアドバイスをされるので感心しました。Meindl先生は米
国のジョージア工科大学で活躍中ですが、スタンフォード大学の
時代から低消費電力あるいは配線や実装の問題に着目され、先
導的な集積回路研究教育を行ってこられました。
松尾先生
(右)
と筆者
の委託
スタンフォード大学では、当時米国航空宇宙局
(NASA)
により、宇宙船にガス分析装置を搭載する目的で、シリコン基板
博士課程の学生であった小柳光正氏
(現東北大学教授)
の測定
上にガスクロマトグラフ装置を集積化する研究なども行われて
装置の製作を手伝っていたこともあって、西澤先生も私の名前
いました。現在ミシガン大学のKensall D.Wise教授が、当時スタ
をご存知だったのだと思います。
ンフォード大学でResearch Associateをされておられ、松尾先生を
博士課程に進学し、半導体研究所で指導していただき、ISFETを
手伝いISFETを製作し、私はそれを送っていただき測定しました。
製作することができましたが、当時日本の大学で半導体デバイ
このISFETは表面に窒化シリコン膜を用いたものですが、純水で
スを実際に試作できる環境は、西澤研究室以外にはなかったと
測定していたところ、出力電圧が時間とともに一方向に変化し
思います。したがって、私はその点でも大変幸運であり、松尾先
ていくことが分かりました。これを調べていく中で、室内の炭酸
生や西澤先生には感謝しています。
(水素イオン濃度)
が変化していること
ガスを吸収して水のpH
ところで、半導体研究所で始めた研究は、ISFETを実用的な形に
がその原因と考え、電解液のpHを変えながら測定したところ、
製作することでした。上で述べたように、普通のシリコンチップ
理論どおりの電位変化が得られました。
に爪楊枝を使ってワックスを塗り配線部分を覆うのでは、手間
このようにして、ISFETがpHセンサとして使えることが明らか
がかかり特性も不安定でしたので、シリコンをマイクロマシニ
になりました。これには電気化学の知識が必要でしたので、応
ング技術で立体的に加工して櫛歯のような形にし、その先の部
用化学専攻の内田勇助教授
(当時)
に教えを請いに伺っており
分にISFETを製作するようにしました。櫛歯の部分は絶縁され
ましたが、それ以来、異分野にまたがる研究も比較的抵抗なく
ているのでワックスで覆う必要がなく、根元の配線部分だけを
できるようになりました。
チューブの中で樹脂封止すればよいようにしたわけです。
半導体研究所では手作りの小さな装置でトランジスタの試作を
3. 試作設備の整備
(博士課程大学院生時代)
行っており、私は真似させていただいて同じような設備を松尾
研究成果が得られ始め、修士課程修了後もこの研究を続けたい
研究室の方に作りました。このため、博士課程時代は装置作りに
と希望しておりましたが、研究室はISFETを実際に試作できる環
多くの時間を費やし、研究発表も固体素子コンファレンスとい
境にはありませんでしたので、卒業研究で指導を受けた飯沼一
う学会に発表したものがJJAPという雑誌に掲載されたものだけ
浩氏の誘いで東芝に行ってみました。なお、その時に東芝の半導
でしたが、この学生時代に整備した2cm角のシリコン基板を8枚
体研究施設を案内していただいたのは西義雄氏でしたが、同氏
ずつ処理する自作の半導体製造設備は、現在でも研究室の中心
は現在スタンフォード大学の教授として、米国のナノテク技術
設備であり、装置作りを学生時代に行ったことが大変役に立っ
の指導的な役割をされておられます。
ています。なぜなら、市販の半導体製造装置は大きすぎて大学の
しかし、東芝ではこのようなマイクロセンサの研究を進められ
研究室で維持するのは難しく、我々の研究には自作の自由度の
そうにはなかったので、スタンフォード大学におられた松尾先
ある設備の方が適しているからです。この研究は一人だけで行
生に相談したところ、先生は東北大学の西澤潤一教授
(前東北大
いましたが、研究費の申請書や報告書などを書く中で苦手な文
学総長、現在首都大学東京学長)
に手紙を書いて、私の指導を頼
章作りなどにも次第に慣れ、貴重な大学院生時代を送ることが
んでくださいました。その結果、西澤先生の厚意で同教授の半導
できたと思っています。
体研究所
(財団法人 半導体研究振興会)
で勉強させていただく
ことになり、博士課程に進学しました。当時西澤研究室の大学院
10
次号SEMI News Vol. 23 No. 1 2007年1-2月号に続く
2006, 11-12
MEMS
付録 研究の流れ
11-12, 2006
11
SEMI Standards
次世代搬送システム
村田機械株式会社 L&A事業部 犬山事業所 L&A事業部技術企画部 部長 山本 眞
1. まえがき
半導体の製造工程の変化、製造する集積回路により、お客様の工
場からのウェーハ搬送システムに期待されることは大きく変化
してきている。
今日では、デザインルールの微細化に伴う工程数の増加等によ
り、700 を超える処理工程が必要な半導体もあり、ITRS
(International Technology Roadmap for Semiconductor)
によれ
ば、将来的にも処理工程が増加する傾向が続くとしている。
300mmプライム、450mmについて議論され始めているが、これ
らは小ロット生産を含む工場の生産性を上げる活動の一環であ
り、それらを考慮して次世代搬送システムの役割および可能性
図1 最近の工場レイアウト例
について述べ、新しいSEMI標準の必要性についても述べる。
2. 半導体メーカーのAMHSへの期待
ベイ台車搬送システムが独立していた初期のシステムより、ス
半導体メーカーは、工場の生産システムをできるだけ柔軟に運
トッカーの経由回数が半分になり、搬送能力は向上したが、FAB
用、生産コスト低減のため工場内の装置稼働率を上げ、待ち時間
の要求には十分応えられない。
をできるだけ短くするために、AMHSに大きな期待をしている。
処理が終了した装置のあるベイから、次の処理のベイにある装
置に直接搬送する確率は10%を切り、効率のよい搬送が実現でき
2-1. 半導体メーカーからの課題
ない。
近年、半導体を生産する工場では小生産ロット化が進んできて
いるが、エンドユーザーが抱える短納期の問題に対応するため
2-3. 搬送課題の解決方向
にさらに生産ロットを小さくするようになっており、一つのFOUP
2-3-1. OHB(Over Head Buffer)
の活用
で運べるウェーハ数25枚に満たない生産ロットが主流になって
OHBを活用し、ストッカーを主たる搬送に使用しないことで、搬
いる工場もある。生産ロット=搬送ロットである限り、生産ロッ
送能力が上がることが分かっているので、OHTのレール下に棚
トが半分になれば搬送量が倍になる。今後さらに生産ロットが
を準備、OHTの台車から直接OHBに移載することで、
(OHB)
小さくなると、ロットが運べないために、生産が予定通りできな
従来ストッカーが使用されていた一時バッファの代わりとして
くなってしまうことが予測される。
工場全体で活用することが可能となった。OHB主体に搬送を行
1)
ITRSの搬送のロードマップ でも、2006年以降搬送システムが
うと、ストッカーの入出力ポート付近で発生していた渋滞が解
運べない搬送要求になることを予測している。
消され、ストッカーを経由しない分だけ搬送時間が短くなり、搬
半導体工場が必要とする搬送量を達成する方策を、緊急に立て
送能力は飛躍的に伸びる。従来の搬送に重要な役割を果たして
る必要がある。
いたストッカーの役割は補助的、または長期的なFOUP保管に
変わる。
2-2. 搬送メ−カ−の立場からの課題
初期はインターベイとイントラベイの搬送は分離されていた。
2-3-2. 搬送システム用スペースの確保
双方のベイの結合がストッカーを介して行われたので、ストッ
搬送能力は搬送機器ばかりでなく、工場の搬送レイアウト、装置
カーのクレーン速度が搬送能力に大きく影響した。その後、OHT
のレイアウトにも大きく依存し、一概に工場内の搬送がITRSロ
(Overhead Hoist Transfer)
システムで、台車がレール下で分岐、合
)
ードマップ のように4,600搬送/時を超えると搬送できなくなる
流できるようになり、工場全体を一つのOHTシステムで繋げる
ことはない。搬送台車システムに必要な車線数が取れるように
ことができるようになった。いわゆるダイレクト搬送が可能と
すればよい。図1にあるように、従来はFAB中央部にしかなかっ
。インターベイ、イントラ
なる搬送システムとなった
(図1参照)
たインターベイループをFABの周辺にも設け、全体で3つのイン
12
1
2006, 11-12
SEMI Standards
ターベイループを持ったりすることにより、搬送能力は飛躍的
3-1. 生産システムと搬送システムの協調
に向上する。
と
工場の生産管理システムMES(Manufacturing Execute System)
(Material Control System)
の情報共用化も効果
搬送システムMCS
2-3-3. 複数搬送システムの活用
的である。MESは、製品に使用する装置群、プロセス等について
工場で渋滞が発生するのは、狭いエリアでかつ搬送システムに
はデータを持っているが、工場レイアウトについての詳細な情
割り当てられているスペースが限られている条件下で、多くの
報を持っていない。
搬送を必要とするためである。特に、インターベイからイントラ
MESとMCSがお互いの情報を共有することで、搬送の効率化、
ベイへ、イントラベイからインターベイへ、台車が移動するとき
生産の効率化を図ることができる。例えば、次工程の装置群が予
に発生しやすい。
めわかれば、該当ベイのOHBに予めFOUPを運んでおき、必要
特定のベイ、エリアの搬送量が極端に多い場合には、複数の搬送
な時に搬送指示を行うと、短時間に目的装置へ搬送ができる。
システムを組み合わせることで大きく改善できる
(走行系統の
2
)
(Rail Guided Vehicle)
、コ
異なるOHTシステム 、OHT+RGV
3-2. ベイ
(エリア)
特化した搬送機器レイアウト
ンベア+装置前バッファ、等々)
。
特に搬送要求が厳しいベイでは、図3のような構成が検討、実施
3)
されている 。前述したように、OHTとOHBを組み合わせたレ
2-4. 装置の状態を見た搬送システムへ
(Tool Front
イアウト、OHT、OHB、さらに装置前バッファTFB
以上、工場全体の搬送
(マクロ搬送)
について述べたが、各装置
を組み合わせたレイアウト等で、搬送要求によって最適な
Buffer)
については別途議論が必要であ
へのFOUP供給(ミクロ搬送)
レイアウトを活用することができる。
る。すなわちFOUPの入替え時間を設定し、それに間に合うよう
にすることである。
2-4-1. FOUP 入替え時間をさらに短く
入替え時間を短期間に行うには、たとえば図2のようにOHTと
装置前バッファを組み合わせること等で実現できる。OHTの台
車が右から左へFOUPを持って到着し、FOUPをポートへ降ろし、
処理が終了したFOUPを受け取り、次のベイもしくは装置へ搬
送する仕組みになっている。
図3 複数搬送機器を組み合わせたレイアウト例
4. 次世代搬送システムとSEMI標準
300mm第一世代の搬送システムで使用されてきた機器とスタン
ダードは機能してきた。その後、FABでの搬送要求の急増に対応
するために開発された機器を取り込んだ搬送システムに対応す
るスタンダードには、IBSEM、StockerSEM等があるが、OHB、TFB、
図2 装置前バッファとOHTとの組合せイメージ
3
)
コンベア等の機器を活用するには十分でない 。
今後のSEMIスタンダード活動を通じて、業界で活用できる新し
3. 今後の展望
い機器を含めたスタンダードを開発していくつもりである。
搬送システムは、すでに工場設備と同じく工場運用の基盤とな
っているので、工場設計の当初から搬送モデルを検討しておく
<参考文献>
(Over Head
必要がある。現在稼働している搬送機器OHT、OHS
1)2005年度版ITRSロードマップ
、RGV、ストッカー等、各機器の性能はほぼ限界にきてい
Shuttle)
2)Chun Soo Han、他: ISSM 2006, FD196 ”High Throughput
て、
これ以上の機器単体性能の大幅な改善は考えられない。次世
代の搬送システムには、台車単体性能以外で搬送能力向上に貢
献する機器を加えたシステムを、構築する必要がある。
11-12, 2006
AMHS Design with Dual Unified OHT System”
3)山本:ISTF 2006, 次世代ファブリケーション「小ロット製造向
けの課題とその対応策」
13
Market Statistics
SEMIマーケット・レポート
2006年半導体製造装置市場は2000年市場に迫るか?
グローバルネット株式会社 代表取締役 武野 泰彦
■ 半導体産業はいよいよ45nm以下の世代に突入
した。地域別に見ると、2006年も日本市場がトップを堅持してい
45nm以下に対応する液浸露光装置の市場がいよいよ形成され
。日本市場は6月まで上昇を続けたが、7月から若干下
る
(図2)
てきた。まだ、開発・試作ラインへの導入ではあるが、65nm以下
降局面に入り8月も微減している。台湾市場も7月から下降局面
のクリティカルなプロセスへの応用も試みられているようである。
に入り減少している。一方、米国は6月、7月のシェアが、台湾、韓
微細化は限界だと言われながら、ブレイクスルーする装置が登
国より下回って4位であったが、8月には2位となり上昇局面に
場してくる。
入ったと思われる。韓国市場は8月減少したものの横ばいの状
しかし、マスク技術の負担が増しており、デザインと折り合いを
況となっている。
(design for manufacturability)
が重要になっている。
つけるDFM
2006年
(1∼8月)
受注額は2004年の同期受注額を超える
米国市場が上昇傾向に?
世界半導体製造装置市場の1∼8月期の受注/販売合計を年別に
8月までの世界半導体製造装置市場統計(SEMS)
のデータが発
比較した。2000年同期の受注額は379億200万ドル、販売額は299
表されたので報告する。2006年7月の受注額が40億ドル、前年
億9,400万ドルでB/Bレシオは1.26であった
(図3)
。しかし、2001
(図1)
。2006年8月の
同月比65.4%増、前月比1.1%減であった
年同期受注額は前年同期比57%減の163億4,700万ドルとなり、
受注額が前年同月比27%減、前月比1.5%減の39億ドルであった。
B/Bレシオは0.74となり、シリコンサイクルの下降局面に入った。
2004年 6月をピークに下降局面に入った半導体製造装置市場は、
その結果、2002年受注額が前年同期比16%減の137億5,700万ド
2005年6月を底に上向きに転じたが、8月は若干ではあるが減少
ル、 B/Bレシオが1.14。2003年の同期受注額は9%減の125億
1.80
4,500
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
3,500
40,000
1.60
1.40
Booking(受注額)
Billings (販売額)
B/Bレシオ
35,000
1.00
1.20
3,000
2,500
1.00
2,000
0.80
1,500
0.60
1,000
0.40
500
0.20
25,000
0.80
100万ドル
20,000
0.60
15,000
0.40
10,000
0.20
5,000
0.00
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
12
12
11
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11
1 2 3 4 5 6 7 8
月 月 月 月月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月
2004年
2005年
0
0.00
2000年
2006年
図1 世界半導体製造装置市場の月別推移(SEMI/SEAJ)
2001年
2002年
2003年
2005年
2006年
図3 世界半導体製造装置市場年別
(1∼8月)
合計推移(SEMI/SEAJ)
1.40
8,000
1,200
Booking(受注額)
Billings (販売額)
B/Bレシオ
7,000
1,000
台湾
1.00
5,000
100万ドル
北米
600
韓国
ROW
400
1.20
6,000
日本
800
100万ドル
2004年
0.80
4,000
0.60
3,000
0.40
欧州
2,000
中国
200
0.20
1,000
0.00
0
0
1月
2月
B/Bレシオ
100万ドル
30,000
3月
4月
5月
6月
7月
8月
図2 2006年世界半導体製造装置月別地域別受注推移
(SEMI/SEAJ)
14
1.20
1.40
B/Bレシオ
4,000
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
図4 日本の半導体製造装置市場年別
(1∼8月)
合計推移(SEMI/SEAJ)
2006, 11-12
Market Statistics
3,500万ドルとなった。2004年の同期受注額は大幅に上昇し、前
の2006年同期市場は好調に推移し、2006年の同期受注額は前年
年比117%増の272億2,200万ドル、販売額も前年同期比66%増の
(図8)
。販売額も前年比48.7%増の
比94.3%増と大幅に増加した
220億3,100万ドル、B/Bレシオも1.24となった。しかし、2005年
39億4,300万ドルとなった。欧州の2006年同期受注額は前年比
の受注額は下降局面に入り、前年同期比29%減の193億200万ド
29.5%増の25億6,500万ドル、販売額が12.4%増とB/Bレシオも
ル、販売額は1.5%減の217億400万ドルでB/Bレシオは0.89と
1.07となった
(図9)
。韓国は2000年、2004年同期の受注額を追
なった。2006年の受注額は前年比50%増の289億6,600万円と世
い越している。日本や米国の2006年同期受注額も2004年を上回
界的な好景気に牽引され、今後も多少の減少はあるものの、北京
っており、今後下降局面が続かない限り、2004年市場を上回る可
オリンピックの2008年まで上昇局面が続くと予想される。
能性がでてきた。
微減堅調
日本の半導体製造装置市場は前年同期比
(1∼8月)
4,500
。2006年同期
前年ピーク時のわずかな減少となっている
(図4)
3,500
売額は前年比23%増の47億1,800万ドルのB/Bレシオ1.07とな
。台湾市場の2006年同期受注額は前年同期比
っている
(図5)
2,500
0.40
0.20
500
0.00
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
図7 韓国の半導体製造装置市場年別
(1∼8月)
合計推移(SEMI/SEAJ)
1.60
1.60
6,000
Booking(受注額)
Billings (販売額)
B/Bレシオ
1.40
5,000
1.20
1.20
8,000
4,000
100万ドル
0.80
B/Bレシオ
100万ドル
1.00
6,000
1.40
1.00
0.80
3,000
B/Bレシオ
10,000
0.60
2,000
注額は前年比63.5%増の47億2,800万ドル、販売額が22.3%増の
Booking(受注額)
Billings (販売額)
B/Bレシオ
Booking(受注額)
Billings (販売額)
B/Bレシオ
1,000
(図6)
。韓国の2006年の同期受
ルでB/Bレシオ1.13となった
12,000
0.80
3,000
1,500
56.3%増の51億8,900万ドル、販売額が22%増の45億9,400万ド
46億600万ドル、B/Bレシオ1.03であった
(図7)
。ROWと中国
1.00
B/Bレシオ
4,000
100万ドル
売額も前年比15.1%増の58億7,500万ドル、B/Bレシオも1.07と
の米国受注額は前年同期比60.5%増の50億6,300万ドル、同期販
1.20
5,000
2006日本の同期受注額は前年比24.5%増の68億1,700万ドル、販
0.60
0.60
4,000
2,000
0.40
0.40
2,000
1,000
0.20
0.00
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2000年
図5 米国の半導体製造装置市場年別
(1∼8月)
合計推移(SEMI/SEAJ)
7,000
6,000
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
図8 ROWと中国の半導体製造装置市場年別
(1∼8月)
合計推移(SEMI/SEAJ)
1.40
Booking(受注額)
Billings (販売額)
B/Bレシオ
0.00
0
2006年
8,000
0.20
1.40
6,000
1.20
Booking(受注額)
Billings (販売額)
B/Bレシオ
5,000
1.00
1.20
1.00
4,000
0.80
3,000
0.60
B/Bレシオ
0.60
3,000
100万ドル
0.80
4,000
B/Bレシオ
100万ドル
5,000
2,000
0.40
0.40
2,000
0.20
1,000
0
0.00
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
図6 台湾の半導体製造装置市場年別
(1∼8月)
合計推移(SEMI/SEAJ)
11-12, 2006
1,000
0.20
0.00
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
図9 欧州の半導体製造装置市場年別
(1∼8月)
合計推移(SEMI/SEAJ)
15
Semiconductor Design
世界をリードする狭ピッチ・高密度接合技術で技術者交流会を開催
半導体新技術研究会 代表 村上 元
小型情報機器を支える実装技術で、半導体素子をプリント基板
することで、プリント基板材料と無粗化銅箔の密着度が劇的に
上に接合して、高密度化を実現する狭ピッチ接合技術の関係技
向上することを説明され、L/S=10/10ミクロンのファインピッ
術の方向付けを目的に、第19回半導体新技術研究会シンポジウ
チ化と表面粗度の平滑化により、高周波対応が可能な技術を開
ムを、去る9月28・29日の2日間、東京飯田橋の私学会館別館で開
。銅配線上の無電界Niめっきの上に、Pdめっきを
発した
(図5)
催した。
施し、Auめっきを行うことではんだ層の粒界成長を抑制し、はん
を
だ接合信頼性寿命が飛躍的に改善する技術
(ニッパラキン®)
1.(株)
東芝 蛭田陽一氏による基調講演
「微細接合の現状と今後の展望」
紹介された。
蛭田氏は、半導体パッケージの役割と接合技術の重要性につい
5.(株)
日本スペリア 太田正美氏、パナソニック ファクトリーソリーショ
・フリップチップ
て説明された後、ワイヤーボンディング(WB)
ンズ
(株)酒見省二氏による
「非鉛はんだ材料の狭ピッチ接合技術」
・チップオンチップ(CoC)
などの各技術の現状と課題を
(FC)
太田氏は、非鉛はんだ材料(Sn-3Ag-0.5Cu)の問題点として、Ag
詳細に説明された。今後のシステムLSDIの設計では、回路モジ
価格高騰による材料費高や、銅材料とはんだ接合部の銅食われ
ュール間を接続するグローバル配線の高速伝送化に伴い、配線
による銅配線破断などの接合信頼性問題を説明され、これら問
ピッチが逆スケーリングになる問題点などを指摘され、狭ピッ
題に対処するために、新規の材料(Sn-0.7Cu+Ni,Ge)を開発し
チ接合技術がその解決法になることなどを説明された。
た。この新規材料は、Niが粒界の成長を抑制するので、はんだ接
2.(株)
日本マイクロニクス 江口光一氏による
「狭ピッチプローブ技術」
。
合品質が飛躍的に向上すると説明された(図6)
江口氏は、SiPの設計では、各LSI素子のテストが行えるように設
酒見氏は、狭ピッチはんだボール接合の課題を説明され、狭ピッ
(Design for Test)
手法が重要性になっていると語ら
計していくDFT
チ接合により金属部での接合面積少による接合強度を補強する、
れた。最近のプローブカードの狭ピッチ化は、LCDドライバICの
はんだ接合部の樹脂補強の必要性について触れ、はんだ入りセ
バンプピッチが20ミクロンになっており、これに対応するプロ
ルフアライメント接着材料とその適用例、CSPのコーナー樹脂強
ーブカードのコンタクト部に、MEMS技術製法を取り入れたプ
度補強方法、ACF代替の異方性はんだペースト材料と製法事例
ローブカードや、大容量メモリのテスト時間削減のために、300
。
などを説明された
(図7)
ミリウェーハを一括でプローブカードテストを行う、最新プロー
6. アイコスビジョンシステム
(株)桜井靖史氏による
。
ブカード技術などを紹介された
(図1)
3.(株)
新川 新井一弘氏、田中電子工業
(株)花田信一氏による
「金線狭ピッチワイヤボンデインング技術」
「狭ピッチボール・バンプ3次元検査技術」
...
桜井氏は、歩留りの良いFC接続を行うために、バンプやはんだ
ボールの形状検査が重要であり、共焦点顕微鏡の手法を用いて
新井氏は、世界で最もファイン化ボンディングができるボンデ
レーザーダイオードの波長を使い、外観形状を高速度で立体的
の開発経緯な
ィングピッチ35ミクロン対応の装置(UTC2000)
(COSSAP: Confocal
に検査する、生産性の高い3次元形状検査機
どを説明された。
Sensor Small Aperture)
を開発したとして、その開発経緯や特徴など
花田氏は、35ミクロン対応の金線材料や、接合部の金属間化合物
。
を説明された
(図8)
層の信頼性評価方向などについて説明された。層間金属との密
着性が弱いとされるポーラスなLowK膜を採用したLSIのWB
半導体パッケージの狭ピッチ接続技術は、電子機器の小型・高
接合技術は、課題が多いことを示唆され、両社はさらなるファイ
速・多機能化と低価格化を実現する有力な手段として、日本のパ
ン化WB接合技術の開発をめざし、協調開発を進めていることな
ッケージ技術者を中心に育まれてきた技術である。日本技術者
。
どを説明された
(図2、図3)
の英知を融合させ、さらなる高機能化システムLSIとその応用製
4.(有)
ウェイスティー 福岡義孝氏、イビデン
(株)塚田輝代隆氏による
品を今後も世に送り出していくために、半導体新技術研究会が
「狭ピッチ接合インターポーザ配線基板技術」
側面支援をさせていただけたら望外の喜びである。関係者の自
福岡氏は、大日本印刷
(株)
と共同開発中のシリコン
(Si)
インター
己研鑽とさらなる技術開発努力による、日本半導体産業の復活
ポーザの新しい製法を説明され、シリコン基盤にめっきスルー
に期待したい。
ホールを形成する技術、BCBの多層膜を形成する技術など説明
され、開発技術によるBPF試作品の電気特性評価結果などを紹
<参考文献>
。
介された
(図4)
「狭ピッチ接合パッケー
第19回半導体新技術研究会シンポジウム
塚田氏は、無粗化銅箔の表面にプライマー樹脂をコーティング
ジ技術2006」
16
2006, 11-12
Semiconductor Design
図1 日本マイクロ二クス社 新型プローブカード開発への取組み
図5 Weisti社 シリコンインターポーザ技術開発への取組み
図6 日本スペリア社 新非鉛半田材料開発への取組み
図2 田中電子工業社 ファインピッチボンディング技術開発への取組み
図7 パナソニック ファクトリーソリューションズ社 新はんだ接合技術開発への取組例
図3 新川社Low-Kデバイスのボンデング条件最適化への取組み
図4 イビデン社 インターポーザ基板の無粗化銅箔密着強度向上策への取組み
11-12, 2006
図8 アイコス社 3次元形状部品の新外観検査手法への取組み
17
EHS
重要性を増す火災リスク軽減のための評価
大日本スクリーン製造株式会社 半導体機器カンパニー 品質統轄部 EHSソリューション部 今宮 良祐
先頃、SEMI S2「半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイ
SEMI S3-0306「プロセス用液体の加熱システムに関する安全ガイ
ドライン」が3年ぶりに改訂され、SEMI S2-0706として発行され
ドライン」と名称を変更し、発行されています。SEMI S3の内容
ました。SEMI S2は作業者保護に重点が置かれていますが、火
は、プロセス薬液の加熱システムを対象とした火災リスク軽減
災リスクの評価と軽減についても要求があります。
を目的としており、プロセス薬液の燃焼性の分類と、加熱システ
今回は火災リスク軽減の観点で、装置メーカーに要求される事
ムの分類による詳細な設計基準を提示しています。 他にも「13
柄を紹介したいと思います。
章 電気設計」
「22章 排気換気」
「23章 化学物質」は、作業者保
護の観点が強いのですが、火災リスク軽減にも重要な章となっ
■ 背景
ています。
海外では、過去10年間で5回程度の半導体工場の工場火災を起こ
しており、火災リスクの軽減が注目されています。半導体工場で
■ SEMI S2 サードパーティー評価レポート
は、工場全体に樹脂材料でできた排気ダクトが張り巡らされてい
海外のユーザーは、安全の要求仕様として、業界標準である
るために、装置の火災が排気ダクトを伝わって、工場全体の火災
SEMI S2への適合を謳い、SEMI S2適合の証明として、サードパー
にまで及ぶリスクがあると言われています。また、装置火災の段
ティーによる評価レポートの提出までを必要としています。こ
階においてスプリンクラーで消火できたとしても、消火の際に発
のサードパーティーの評価レポートは、装置モデル単位として
生する煙がクリーンルームに広がり、被害は甚大なものになると
の評価で受け入れられることが多く、SEMI S2のサポートスタン
見込まれるそうです。そのため、装置に対して厳しい火災リスク
ダードであるSEMI S8「半導体製造装置の人間工学エンジニアリ
軽減の要求があります。
ングに関する安全ガイドライン」と、前述の「SEMI S14火災リス
クアセスメント」の評価レポートを、合わせて提出することを一
■ SEMI S2の火災リスク軽減要求
般的に要求されます。SEMI S2には「第14章 防火」があります
SEMIスタンダードの安全ガイドラインには、SEMI S1からSEMI
が、この章の評価レポートに加えて、SEMI S14 に基づいた火災
S24までありますが、その中で基本となるSEMI S2では「第14章
リスクアセスメントの要約レポートの提出を必要とします。
防火」で、防火設計および火災の制御手段についてまでを言及し
ています。この章では、火災のリスク評価にSEMI S14「半導体製
■ SEMI S2-0706 サードパーティー評価に使用される章
造装置に対する火災リスクアセスメントと軽減のための安全ガ
9. ユーザに提出する文書類
イドライン」を使用することを規定しています。また「第15章 加
10. 危険警告ラベル
熱化学槽」が参照しているSEMI S3は、15年ぶりに改訂され、
11. 安全インタロックシステム
12. 緊急シャットダウン
13. 電気設計
14. 防火
15. 加熱化学槽
16. 人間工学および人的要因
17. 危険エネルギーの切離し
18. 機械設計
19. 地震保護
20. 自動材料搬送機
21. 環境への配慮
22. 排気換気
23. 化学物質
図1
18
24. 電離放射線
2006, 11-12
EHS
25. 非電離放射線およびフィールド
■ FM7701スタンダードの影響
26. レーザー
昨年 12 月には、半導体製造装置の FM 認証であるFM7701
27. 音圧レベル
「Assessment Standard / Tools Used in the Semiconductor Industry」が
新たに発行されました。このスタンダードは、FM7-7から半導体
■ FMスタンダード
製造装置に関する記述を抜き出したような内容で、半導体製造
SEMIスタンダードやIECスタンダード以外にも、火災リスク軽
装置のFM認証と言えます。FM7701が発行される以前は、半導
減を目的としたスタンダードがあります。米国の保険会社FM
体製造装置としてのFM認証はありませんでしたが、FM7701の
Globalが発行しているFMスタンダード「FM Approvals Standards」
発行により、装置としてのFM認証が可能になったことになりま
は、海外ユーザーには一般的に参照されています。洗浄装置に関
す。SEMI S2のサードパーティー評価で、防火にかかわる部分に
連のあるFMスタンダードとしては、不燃性樹脂材料のスタンダー
関しても、設計の詳細に至るまでを審査していますが、FM7701認
ドであるFM4910「Cleanroom Materials Flammability Test Protocol」
証も防火にかかわる部分の詳細な審査が必要になっています。さ
が有名で、装置の構造材料として使用する樹脂材料は、FM4910
らに、FM7701認証は工場の品質管理までを含めた定期的な監
認証品を使用することが一般的になっています。FM4910認証品
査も要求があり、装置メーカーにとって負荷が重いものとなっ
は、SEMI S2、S14の評価の際には不燃性材料を使用していると見
ています。火災リスク軽減のための外部評価として、SEMI S2の
なされます。FM4922「Fume Exhaust Dusts or Fume and Smoke
サードパーティー評価とFM7701認証審査の2回の安全審査を受
Exhaust Dusts」も不燃性樹脂材料のスタンダードですが、こちらは
けることは、装置メーカーにとって、従来よりも負担が増し歓迎
半導体工場の排気ダクトに使用するためにFM4910よりも基準が
されるものではありませんが、今後FM GlobalがFM7701の運用
厳しく、燃えても形が崩れないことが要求されます。そのほかに
を強化することで、装置メーカーは火災リスク軽減の評価とし
は、FM7-7「Property Loss Prevention Data Sheets / Semiconductor
て、SEMI S2審査に加えて、FM7701認証取得という課題に取
Fabrication Facilities」が多く引用されます。これは半導体工場の
り組むことになるかも知れません。
火災リスク低減の基準ですが、装置カテゴリーごとの基準も記載
されており、海外ユーザーの多くは安全仕様にFM7-7への適合
FM規格は以下のFM Approvals のウエブサイトに掲載されています。
を謳っています。
http://www.fmglobal.com/approvals/resources/standards.asp
セミコン・ジャパン 2006 期間中のEHS関連セミナー、会議のご案内
SEMIは、半導体産業の環境安全を推し進めるため、さまざまな情報の発信やスタンダードの開発を行っています。
セミコン・ジャパン 2006においても、以下の日程で関連セミナーおよび会議を開催いたします。皆様の会社の戦略策定や情報収集に
お役立てください。セミコン・ジャパンWEBサイトにてお申込みいただけます。www.semi.org/sj06
●
STEP/ S2-0706 −半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイドライン−
日時: 12月5日
(火)10:00-17:15 場所: 幕張メッセ国際会議場 2F 201会議室
参加費用: 24,000円(消費税込、テキスト、昼食付、通訳なし)
●
第7回 SEMI地球環境シンポジウム −半導体製造の省エネルギー−
日時: 12月5日
(火)13:30-17:15 場所: 幕張メッセ国際会議場 3F 302会議室
参加費用: 24,000円(消費税込、テキスト、通訳付)
●
STEP/ リスクアセスメントに基づく装置の安全設計
日時: 12月6日
(水)13:00-18:00 場所: 幕張メッセ国際会議場 3F 303会議室
参加費用: 24,000円(消費税込、テキスト、通訳付)
●
国際EHS規制適合セミナー −EU RoHS指令とアジア諸国RoHS−
日時: 12月7日
(木)13:30-17:00 場所: 幕張メッセ国際会議場 3F 302会議室
参加費用: 24,000円(消費税込、テキスト、通訳付)
●
SEMIスタンダード会議 EHS委員会
(参加無料)
日時: 12月8日
(金)13:30-17:00 場所: 幕張メッセ国際会議場 3F 301-B会議室
11-12, 2006
19
Solar Cell
未来に広がる太陽光発電産業
独立行政法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 近藤 道雄
1. はじめに
投資すると発表したが、これはこのような危機感の表れといっ
アインシュタインが相対性理論と光量子仮説を発表したのは今
ていいだろう。電気エネルギーは最も利便性が高く安全なエネ
からおよそ100年前、1905年ごろのことである。太陽光発電はこ
ルギーであり、二酸化炭素排出を伴わない太陽光発電の重要性
の二つの偉大な発見の組合せ、すなわち、1億5,000万kmかなた
は今後ますます高まっていくであろうし、産業としても急速な
に輝く核融合炉から発せられた光を、光電効果で電気エネルギ
伸びを示している。太陽電池の年間生産量は年30%以上の伸び
ーに変換することによって成り立っている、革命的なエネルギ
、企業の展示会も活況を呈している
(図2)
。
を示しており
(図1)
ー源と言えるのである。
2. 太陽光発電の課題
化石燃料の大量消費による二酸化炭素排出とそれに伴う地球温
太陽光発発電システムを製造するのに必要な全エネルギーを、
暖化が、最近の異常気象とそれによる経済的被害の増加をもた
発電エネルギーで取り戻すのに必要な年数を、エネルギーペイ
らしていることは、誰の眼にも明らかであろう。最近では、その
という。太陽光発電に対するよくある批判
バックタイム
(EPT)
経済損失は4兆円を超えると試算されている。中国、インドをは
というのは、太陽電池には多大なエネルギーが必要で、これを発
じめとする新興国におけるエネルギー消費の増加は、この傾向
電で取り返せないだろうというものである。シリコンの原料の
をますます加速していくであろう。
石英を掘り出すところから必要なエネルギーを計算しても、架
したがって、クリーンでかつ持続性のあるエネルギー源を開発
台や周辺機器すべて含めてもEPTは2∼3年である。太陽電池の
することは、人類の将来を左右する重要なテーマである。英ヴァ
寿命は20年程度といわれているので、エネルギー収支的には製
ージングループは、今後10年間にバイオ燃料の開発に30億ドル
造エネルギーはほとんど無視しうる。
太陽光発電の最大の課題は発電コストである。発電コストは、そ
の耐用年数とその間に発電された電力量に逆比例する。発電電
1800
1600
1400
多結晶シリコンであるが、その効率はセルレベルで最高18%程
US
1200
(MW)
力量は変換効率で主に決まる。今、最もよく使われている材料は
+40%
Rest
1000
度、モジュールレベルで13∼14%程度である。高効率が必要な場
+60%
EU
合は単結晶シリコンが用いられる。単結晶シリコンではセル効
Japan
800
率は最高で21%程度、モジュール効率で18%であるが、市販のモ
600
ジュールの中には多結晶シリコンモジュールとあまり変わらな
400
いものもあり、千差万別である。
200
太陽光発電の発電コストを他の再生可能エネルギーと比較する
0
と、飛び抜けて高い。現在では、発電コストは日本で約46円/kWh
05
04
20
03
20
02
20
01
20
00
20
99
20
98
19
97
19
96
19
95
19
94
19
19
(年次)
図1 太陽電池の地域別年間生産量
(PV NEWS 2006年3月、4月号)
程度と試算されている。したがって、まず第一の試金石は、発電
コストを現在の半分の家庭電力料金並みに引き下げることであ
るが、近い将来にはそれを既存電力の発電コスト並み、つまり7
円/kWhまで引き下げる必要がある。そのためには、モジュール
製造コストを50円/Wに下げる必要があるが、これは容易にでき
るものではない。それはたとえば、平米あたりの単価で考えれば
明らかである。太陽電池の場合、1平米当たりの出力は高々200
ワットであるから、50円/Wというのは平米1万円にしかならな
い。これはフラットパネルディスプレイの平米単価と比べると、
1/10∼1/20以下である。
3. 解決へのポートフォリオ
太陽電池の大幅なコストダウンを実現するには、どのような方
策があるのだろうか?
現在主流である結晶シリコンを用いた太陽光発電システムのコ
スト構成を見ると、モジュールコストが全体の60%を占め、その
図2 再生可能エネルギー世界会議 RE2006(2006年10月9∼13日 幕張メッセ)
20
中でもウェーハがモジュールの50%を占めていると言われてい
2006, 11-12
Solar Cell
る。さらに、近年の急速な太陽電池生産に原料の高純度シリコン
一であるが、このようにさまざまな次世代の太陽電池に対する
の供給が追いつかず、原料の不足と価格の高騰を招いている。
研究開発が行われている。
最近ではキロ当たり100ドルとも200ドルとも言われている。この
4. 諸外国の動向
原料不足は、あと2年程度は続きそうである。
ヨーロッパでは、太陽光発電で得られた電力を全量、補助金で高
そこで結晶シリコンでは、原料シリコンの量を減らしてコストダ
額に買い取るという制度により、市場が急速に拡大している。現
ウンする方向に向かいつつある。現在のところ、ウェーハの厚
在は日本からの輸入がかなりの割合を占めているが、活発な市
さは200ミクロンと言われているが、これを100ミクロン程度ま
場を背景に、国内産業も急速に成長している。研究開発に対する
で薄くしようとしている。薄型化は裏面再結合の抑制やそりの
意欲も旺盛で、CRYSTAL CLEARとよばれる包括的な結晶シリ
防止など、新たなプロセス工程を必要とするので、プロセスコス
コンプロジェクトが進行中である。研究レベルでは、既に50ミク
トの上昇と歩留まりの低下が、原料削減によるコストメリットと
ロン前後の薄型ウエーハを使って太陽電池を試作しており、20%
どのようにバランスするかが今後の課題であろう。
を超える変換効率が報告されている。これらは、日本を標的に次
このような背景のもと、薄膜太陽電池に対する期待が急速に高
世代で巻き返しを図ろうという戦略の表れと見える。日本では
まりつつある。しかし、これは一時的な結晶シリコンの原料不足
宇宙用太陽電池として薄型太陽電池は作られているが、民生用
によるものでなく、太陽光発電産業を大幅に拡大しようとした
としての研究開発はヨーロッパに比べると遅れているといわざ
ときに導き出される自然な帰結であろうと考える。つまり、薄膜
るを得ない。
系の最大のメリットである量産性と、それによるコストダウン
中国や台湾では、
ドイツから結晶シリコン太陽電池のフルター
に期待されているということである。しかし、薄膜系太陽電池、
ンキーを購入して、太陽電池の製造を拡大している。主力は結
特にシリコン系太陽電池では、プラズマCVDのような高価な真
晶シリコンで、効率は日本メーカーと比べてまだまだ低いが、高効
の向上が
空装置を多用するため、効率を含めた生産性
(MW/年)
率太陽電池への進出も計画されている。中国のSun Techは、今
必須であるが、大面積化とともに初期の設備投資も大型化する
年度中に300MWまで増産する計画という。これが実現すると、
一方である。健全な競争を損わない範囲での装置および部材の
世界のトップ3に躍り出ることになる。
共通化、標準化は、薄膜全体のコスト競争力の向上に不可欠なア
5. さらなる普及のために
クションであると考える。そうでなければ、太陽光発電そのもの
太陽光発電は、システムの寿命の間に、どれだけ安いコストで沢
が、他の再生可能エネルギーと比べてコスト競争力を身につけ
山のエネルギー
(kWh)を生み出したかが問われる。薄膜太陽
ることができなくなる危険性がある。
電池のように、やや効率が低くても大幅に製造コストが下げら
薄膜シリコンではアモルファスシリコンが商品の主流であるが、
れる可能性のある太陽電池は、敷地に余裕のある大電力用に適
モジュール効率は6∼7%程度と多結晶の半分であるため、設置面
している。一方、結晶シリコンは、これは敷地に制約のある家庭
積に制約が多い日本ではあまり普及しておらず、
ドイツなどへ
用など、効率を要求されるハイエンドマーケットに適している。
の輸出が中心である。現在NEDO技術開発の成果を受けて、次
このように太陽電池においては、設置形態に応じた多様なニー
世代の薄膜シリコン、アモルファスシリコン/微結晶シリコンの
ズに応える製品が必要であり、どれか一種類ですべてを賄うこ
タンデム型モジュールが、カネカ、三菱重工、シャープによって
とはおそらく不可能であろうと考える。
実用化されようとしている。これらはモジュール変換効率とし
消費者サイドに立って言うと、エネルギーとして信頼を得るこ
て10%以上が見込めるので、設置制約が緩和されると同時に発
とが重要であろう。家庭電化製品と違い、20年以上にわたって使
電コストも低減できると期待されている。2∼3年後には、日本だ
用されるものであるから、アフターケアを含めたサービス、長寿
けで数百メガワットの生産規模に拡大されるであろう。
命化への取組みなど、地道な努力が要求される。また、環境という
シリコンを使わない太陽電池も実用化が始まっている。銅、イン
点からは、モジュールの寿命がきてもシリコンウェーハなどの部
ジウム、セレンからなるカルコパイライト型化合物CuInSe2は、
材を有効に活用するリユース、リサイクルの研究も必要である。
結晶シリコンに近いバンドギャップを持つ直接遷移型半導体で、
6. おわりに
InやSeをGa、Sなどと置換することでバンドギャップを制御す
日本は資源を持たない技術で生きる国である。しかし、太陽光発
ることができるため、太陽電池には大変適した材料である。小面
電は、技術によってエネルギーを生み出すことができる打出の
積では20%近い効率も達成されているため、将来の薄膜高効率
小槌である。それゆえ、日本で太陽光発電を推進してきた意義が
太陽電池として期待されている。日本では、昭和シェル石油とホ
あると言えるし、これからもそうするべきであろう。特に、アジ
ンダが、効率10∼11%を有するモジュールの量産化を開始して
アの経済成長が地球環境に及ぼす影響を考えると、太陽光発電
いる。さらに、将来の実用化をめざして、色素増感型太陽電池
(最
をはじめとするクリーンエネルギーでアジアのリーダーシップ
、C60などの有機半導体を用いた有機薄膜太
高セル効率11.1%)
を取り、温暖化の抑制に国を挙げて取り組むことが必要である。
も開発が進められている。
陽電池
(セル効率5%程度)
それがひいては、太陽光発電関連産業を次世代の基幹産業に育
日本は、現在主流である結晶シリコン太陽電池の生産量で世界
て、経済を活性化していくことになると期待したい。
11-12, 2006
21
FPD Industry
物作りの心こそが日本を輝かせる −液晶の進化を支えた材料技術−
バリュー株式会社 代表取締役社長 横山 清一郎
■ はじめに
この夏、少々驚いた記憶の余韻が頭をめぐり、これは困ったなと
苦悩しております。実は、私の長男は今年中学生になり、初めて
の夏休みを迎えました。この夏、工作と調査研究の二者択一の宿
題が出たのですが、夏休みが終わり学校が始まると、工作に取り
組んだ者がたったの二人だけだというのです。愕然としました。
インターネットとパソコンの普及で調査はお手軽になったのでし
ょうが、
「物作り」が面倒くさいものに格下げされているのです。
私の家の食卓にはマニアックなことに周期律表を貼っておりま
すが、それを眺めてつい「面白い」と口ずさむと、家族からは「変
わった人ね」と言われながも、我が家の小中学生は「水兵りーべ
僕の船・
・
・」といつの間にか覚えたようです。元素記号のすばら
しさは、世の中の物をすべて透視したような気分になるところ
にあるのですが、さらに、あくまで自己中心的ではあるものの、
原子団の性格をグループ化できるようになると、部屋にあるい
ては要求物性が180度転換するといった劇的な開発課題を突き
ろいろな物の性質がわかったような気になるのが不思議なとこ
付けられ、それを乗り越えてきたのです。
ろであります。この段階を過ぎると「それとこれを組み合わせ
■ ブラックマトリックスの悲劇
ると、こんなことが起きるのではないか」という気持ちがこみ上
。BMは当初クロム薄膜が主
例えば、ブラックマトリックス
(BM)
げてくるのです。私は、この想像力こそが物作りの原点であり、
流でありましたが、絶縁性が必要なため、フォトリソグラフィに
絶やしてはならない心のように感じております。それが面倒く
よるパターニング技術の結晶ともいえる「レジスト」に色素を
さいというのでしょうか。
「うむ・
・
・」と唸らざるを得ないところ
分散させた、樹脂ブラック材料が開発されました。しかし、遮光
が現実なのかもしれません。
性を考慮するとカーボンブラックに勝るものはありません。カ
当時、中央理研という機械メーカーがロールコータやデベロッ
ーボンブラックの濃度を上げて遮光性を高めていくと、ある濃
パのラインを開発し、その開発工場をこの目で見た瞬間、日本の
度から急激に導電性が発現します。そこで、いったんは有機顔料
技術を支えているのは、これら中小企業の匠の技なのだと身震
を分散したBMなども開発されましたが、コントラスト比100:1
いしたのを覚えています。一枚のガラス板が洗浄され、くるくる
が限界と報告され、カーボンを用いる方向に追いやられること
と回るローラーの上を走る光景は、正にFPD時代の幕開けだと
になるのです。このように、カーボンを用いて遮光と絶縁という
感動せずにはいられませんでした。あれから20年の歳月が流れ、
二律背反を実現することにしか解はありませんでした。そのう
白黒10インチがやっとだったSTN液晶パネルが、65型のカラー
え、パターニングはレジストの露光により行うため、遮光性を持
TFT液晶パネルを作るまでに成長したさまは、我が子の成長を
ちつつ、透過性を要求するという、明らかに矛盾した現実が待ち
見るようでもありました。1980年代にカラーTFT液晶テレビが
受けていたのです。
誕生した時、
ドキドキしてエレクトロニクスショーに足を向けた
これを解決したのが、ナノテクならぬ超微粒子高分散化技術と
ものです。その日本のFPD技術を支えたのは、中小企業の装置
ラジカル発生メカニズムの革新でした。微粒子化したカーボン
開発と材料開発に対する至高のスピリットに尽きるのでしょう。
をレジストに高分散化させることにより導電性を押さえつつ、
そうです。こうした物作りに対するスピリットこそが、日本を輝
光散乱により遮光度を上げることのできる技術へと進化してい
かせている原動力のひとつなのです。
ったのです。また、ラジカル発生剤は、光ではなくラジカルその
■ 液晶パネルの進化
ものがラジカル開始剤となり、光がなくとも深さ方向だけに進
液晶パネルの表示性能向上については、ブラック挿入などのド
むといったラジカル発生剤へと進化しました。このラジカル発
ライビング技術の進化、IPSやVA等の液晶材料やモードの革命、
生剤の発明により、光は表面だけにしか露光できなくても、垂直
アセンブリ材料の改良など、さまざまな要素がそれぞれ桁違い
でシャープなレジストパターンが描けるBMへと、劇的な変貌を
の性能向上を遂げたことにより実現されています。ドライビン
遂げたのです。このように材料開発の課題は、時代とともに悪魔
グ技術や液晶モードの進化については、半導体開発のように着
のようにその要求性能を変えてしまうのです。それを乗り越え
実に一歩一歩進むという開発ステップに対し、材料開発につい
たという事実は、開発スピリッツなしには語れないのです。
22
2006, 11-12
FPD Industry
■ 液晶材料の開発は
「数独」
並みの難しさ
温度範囲
(相の安定性)
、駆動電圧
(誘電率異方性、弾性定数)
、
液晶材料の性能改良研究は、主に液晶分子の誘電率異方性
(Δ
表示速度(粘度、弾性定数)
、コントラスト、色調(位相差、複屈
、粘度(η)
の三つの物性を適合させるこ
ε)
、複屈折性(Δn)
折性)
、階調、視野角などを満たす必要があります。一種類の液
とから始まります。歴史的には、シアノ基+ビフェニル基+アルキ
晶分子でこれらをすべて満たすことはできないので、ブレンド
ル基の三つのパーツを換えたり修飾したりして分子設計が行わ
によりこの課題を解決しています。ブレンドする場合、誘電率を
れ、各種の新規液晶が合成されました。それでも不足している物
変えれば、弾性係数がはずれる。そんなチェーンパラメータをコ
性は、液晶の混合設計により解決されたのです。ビフェニルをフ
ントロールすることは並大抵の調整ではないのです。そのうえ、
ェニルシクロヘキサン、ジシクロヘキサンと交換すると、π電子
ちょっとでも人の塩分や有機物が混入しようものなら、何を調
が不足し、屈折率と粘度の低下現象が現れます。アルキル鎖を長
整しているのかわからなくなってしまうのです。このブレンド技
の出現領域が高温側へ
くするとネマティック相(炭素数4∼6)
術こそが、各パラメーターの要求を満足させるために、
「数独」を
も出現しやす
シフトしますし、スメクティック相(炭素数7∼9)
解くような思考を必要とする難問へのチャレンジだったのです。
くなります。化学的安定性を増加させるために、ビフェニル基の
■ 位相差フィルムから視野角拡大フィルムへの展開
間にエチレン、アセチレン、エステル結合分子をベンゼン環とベ
位相差フィルムの開発の歴史にも物語があります。スタートは、
ンゼン環の間に挿入する試みも行われました。逆に、ベンゼン環
D-STN液晶の軽量化のためのF-STN液晶の開発から始まった
の数を増やし透明化温度を高くする検討も行われました。また、
技術です。ところが、よくよく研究してみると、リタデーションを
STN用液晶では必須である捩れ角に対する安定性を確保するた
比較的容易に調整できるため、カラー液晶の宿命ともいえる
めに、アルケニル基の導入により弾性定数比を上げています。
波長依存性の問題をみごとに解決しました。
低粘度化のためには、シアノ基の代わりにフッ素を使い液晶の
さらに、二軸延伸や高分子液晶を利用し、当時は目を疑いたくな
低粘度化を実現し、さらに複数のフッ素やフルオロメトキシ基
るような三次元位相差フィルムが試作されると、視野角拡大に
の導入により、低粘度化を実現しながら高い屈折率異方性を兼
応用できるという、考えもつかなかった革命が起きたのです。そ
ね備える耐環境性に優れた液晶が開発され、TN-TFT液晶用と
れが進化し、今ではディスコティク液晶を厚み方向に異なる角
してブレンドされています。STN、IPS、OCB用液晶についても、
度に配向させたハイブリッド配向が開発され、VA、TN、OCBモ
この低粘度高速型のTN用液晶がベースとなっています。
ードに適合する視野角拡大フィルムの開発が、急ピッチで進め
さらに、VAモードの登場により、負の誘電率異方性を持つ液晶が
られました。こうして、それまでは位相差を微調整する程度の役
開発されました。簡単に言うならば、分子の長軸方向にシアノ基
割が、VAモードをはじめとする各モードにおいて、なくてはな
を延ばしてきた設計を短軸方向にフッ素を結合させるという方
らないものへ進化したのです。このフィルムは、液晶パネル以上
向によって、実用化に耐え得る液晶が開発されたのです。
に液晶テレビの表示品質を左右するものであり、視野角拡大フ
VAモードはECBモードから発展したのですが、フッ素系の液晶
ィルムの装着がプラズマテレビやCRTテレビを凌ぐ市場を構
の開発により現実になったのです。
成したのです。十数層もの機能性フィルムの積層技術により完
液晶は、TFT液晶ディスプレイとしての諸要求特性である動作
成した視野角拡大フィルムこそが、大型液晶テレビの主役なの
かもしれません。
■ 物作りはブラックボックスの蓋を開けることから
このように材料開発の歴史は、悪魔のように急変する要求物性
との戦いであり、時代とともに開発をしてきた研究者にとって
は、その変わり身は日常茶飯事のことでした。しかし、次世代の
研究者は、自分の手で液晶パネルを組んだこともなく、
ドライバ
ーの設計もしたことがないということになり、この部分をブラ
ックボックスにしてしまう可能性があります。
物作りが複雑になり進化し続けると、ブラックボックスが増え
ます。その結果、ブラックボックスは与えられるものに代わり、
そのパーツが作れなくなることが文明を滅ぼしていくのかもし
れません。幸いなことに、液晶パネルはコンピュータほど複雑で
はなく、目で確認できる技術です。この技術のブラックボックス
を解放することで、社会における若手研究者の生き甲斐とFPD
の展望が得られるのではないでしょうか。物作りの心、まさに研
究者が、経営者が、日本が輝く原動力なのです。
より引用
※図面は
「共立出版:カラーTFT液晶ディスプレイ改訂版」
11-12, 2006
23
Topics
開発秘話:液晶用レジスト塗布装置
東京応化工業株式会社 プロセス機器事業本部 開発部長 佐合 宏仁
■ 背景
■ 片手間仕事
昭和の時代もわずかとなった1980年代後半、シリコンサイクル
既に商社への義理立ては果たしたと思っている。ただ、先の無謀
の大きな谷にみまわれた。半導体の設備投資はことごとく凍結
と思える不合理と、
しゃくに触った不快感が引っかかっていた。
され、化学製品を生業とする社内では、売上比率がいかに低くと
くどいようだが、実は忙しくしていた。それに、開発部署ではな
も、私が身をおく半導体製造用装置事業の落ち込みは目立った。
いために開発予算はない。抱いてしまった不合理と不快感を解
経費節減が叫ばれ、若干名ではあるが他事業への人事異動も実
消するために採れる方法は、暇を見つけて、手作り品での簡単な
施された。入社5年目にして、初めて体感した不況である。液晶
実験を試していくことぐらいしかない。仕方なく、問題を具体的
とのかかわりをもったのは、こんな時期であった。
に確認する作業から始めてみた。想像したとおりのことがあら
暇に任せたわけではない。入社以来、装置事業の中でもさらにマ
わになると、先のものが見たくなる。他人が既に試したと思える
イナーなSOGスピンコータを手がけており、何とかメジャーに
ような比較的安易なアイデアも、暇を見つけては、いい加減な手
したいとの思いから忙しくしていたのである。このころは、本格
作りツールで試していった。いい加減なのでスピードだけは速
的なSOGプロセスの認知とともに、スピンコータがヒット商品
い。しかし、糸口さえも、なかなか見つからない。この段階にく
として世界的な広がりをみせていく、一歩手前の時期にもあた
ると、先の不合理と不快感が推進力ではなく、自らの興味本位で
っていた。
大型角基板上のレジストの挙動を考えるようになっていた。睡
眠時間を多少削ることにはなるが、嫌ならば止めればいい。そん
■ お付合い
な気楽さの中で始めたつもりが、いつしか積極的に時間を作る
カラーTFT液晶の研究開発が盛んであった関西方面の中堅商社
ようになり、夜な夜な、実験場と加工場を徘徊していたように記
「レジストコータが使いものになら
から、1本の電話が入った。
憶している。今から思えば、その試行錯誤の中で、無意識のうち
ず液晶エンジニアが困っている。一緒に話を聞きに云々」いつ
にイメージができつつあったのかもしれない。
もの人一倍のお喋りに、つい引き込まれそうになる。
今でこそ液晶テレビが当り前となっているが、当時は、それを本
■ ひらめき
気で唱える人の客観性を疑いたくなるほど、液晶は安かろう悪
2ヶ月ほど過ぎたある昼下がり、出張帰りの新幹線で遅い昼飯の
かろうのイメージでしかなかった。半導体の“産業の米”に対
弁当を平らげ、うつらうつらし始めていた時である。突然、イメ
して
“産業の顔”
と言われ始めるはるか前のことである。
ージが意識の中に現れた。自分ではそう感じた。途中の停車駅
このような代物にかかわる時間はないと思った。しかし、商社か
から発車して時速200km以上に加速していく、車内空間にハッ
らの執拗な誘いにも閉口した。結局、大阪方面の液晶メーカーに
とした。
向かうことになるが、全くのお付合いのつもりであった。
ハッとした瞬間から、頭の中でできあがった突飛なものをすぐ
高名らしいエンジニアの方々と接見した。何せ液晶業界を知ら
に試したい衝動に駆られた。その足で急ぎ退社時刻直前の会社
ないし、あまり深くも考えていない。それでも、小一時間のお話
に戻り、女性社員の多い総務へ直行した。果たして、おあつらえ
の中でほぼ様相がつかめた。印象に残ったのは、問題を象徴す
どおりの物がそこから出てきた。珍しく真顔をした私に、蓋が付
る『風きり』という言い回しと、私に向けられた『どうせ駄目だ
いたクッキーの丸缶を手渡した女性社員の怪訝そうな顔は、今
ろう』と言いたげなエンジニアの目であった。どこの馬の骨か
も忘れられない。その夜、半導体用スピンコータのスピンヘッド
わからぬ者に期待するはずもないが、それでも少々しゃくに触
に取り付けられたクッキーの丸缶は、無造作に直角や鋭角に割
った。
った異形Siウェーハ上のレジストを見事に均一に拡げてみせた。
当時のTFT液晶は、半導体製造で用いられるのと同様のスピン
あまりにも呆気ない、回転カップの基礎のできあがりである。
コータで、既に、一片が300mmを超える四角形のガラス基板にレ
おそらく、この方法しかないのであろうと直感的に思った。しか
ジストを塗布していた。その基板の内接円外の領域は、回転によ
し、装置化の難易度の高さは並ではない。多くの問題が次々と浮
る乱流とレジストの表面張力から、どんなことになるかは容易
かび上がり、装置化へ向かうことを躊躇させる。
に想像がつく。風きりと表現されていたものである。レジスト
正直、この先の苦労を考えだすと、せっかくの嬉しさも半減する
を綺麗に塗りたいのはわかるが、無謀と思えた。
思いであった。
24
2006, 11-12
Topics
■ 回転カップの具現化
準装置となるとの顧客評価も、たちまちのうちに社内に広まっ
ほどなくして、勤務先に近い神奈川県内に研究所を構えるユー
た。このころから、社内においても液晶装置事業が現実的な話題
ザから、TFTパネル開発目的のレジスト塗布装置の要求が舞い
となり、中途採用の要求に応えてもらえるようになる。これを機
込んできた。悩んだが、反応見たさから回転カップの概念を紹介
に、平成の時代から始まるカラー液晶生産の創成期より、社内の
してみた。予想以上のインパクトがあったのか、気がつけば捕ま
液晶装置事業が興っていった。1990年末にTFT用、翌1991年に
ってしまっていた。小型の手作り実験機から、いきなり製品化を
はCF用レジスト塗布装置の出荷を開始した。いずれも関西方面
目指すリスクをも負うというのである。人・物・金に極貧の身と
からのスタートとなり、前述の中堅商社には恩返しする形とな
しては、背中を強烈に押されるようなものであった。
った。以後、さまざまなサイズのガラス基板を流品するCF業界
数ヵ月後、大変な苦労の末、1987年末にTFTアレー用、続いて年
を中心に、なくてはならないシステムとして認知されていった。
明けの1988年初頭にCF用の回転カップ式塗布装置を無事に納
時は21世紀となり、ノンスピン方式が台頭するまで、回転カップ
入することができた。400mmのガラス基板に対応する回転カッ
を核とした塗布3点セットが、液晶業界のデファクトスタンダー
プとホットプレートベークのみの簡単なものであったが、同研
ドとして活躍することになる。なお、減圧乾燥については、
ノンス
究所は早々と成果をあげた。同年開催のハノーバーメッセに、当
ピンの時代となった現在においても、いまだに活用されている。
時世界最大となる14インチTFTパネルを参考出展したのである。
これ以後、カラー液晶の本格生産に向かう大きな流れに巻き込
■ 本装置による塗布結果
■ 従来型塗布方式
まれていく。
■ 塗布3点セットの開発と事業展開
短い期間ながらもこの研究所に出入りしたことが、本格生産用
装置開発の動機づけとなっている。半導体製造装置の経験も手
伝い、生産装置に欠如している問題が見えてしまっていたので
ある。回転カップの欠点をいかに補い、生産用装置に適合させる
機能をいかに実現するかであった。実験を再開することにした。
例によって、時間を見つけながらの手作り品での実験である。
回転カップ→減圧乾燥→基板周縁洗浄
(→ベーク)
の、いわゆる
回転カップ技術を核とする塗布3点セットの概念を確立したの
塗布液:当社製顔料分散型カラーレジストCFPR(ブルー)
膜 厚:1.5μm
回転カップと従来スピンコータの比較写真
は、1988年末のことである。回転カップはもとより、減圧乾燥も
突飛である。顧客が実際の大型ガラス基板で確認できる試作・デ
■ おわりに
モ機がなければ、販売に繋がらないと悟った。前述したように、
液晶進展の大きな流れに巻き込まれていく過程で、社内外のさ
開発予算は0であるが、一握りの応援者のためにも、後には退け
まざまな方々との出会いを得た。顧みれば、そのタイミングの妙
なかった。社内に開発予算の捻出を申請し、なんとか予算外で承
が非常に意味深く、感慨深くもある。人生の中でも得がたい体験
認された。
をさせていただいたと思えてくる。
試作機が体を成してきた1989年6月ごろ、設置スペースの問題が
それらの方々の中に、本稿の依頼主でもある当社の開発本部長
発覚した。このころは半導体も忙しさを取り戻し、出荷前装置が
がいる。クッキーの缶について書いたが、彼にとってはダンボー
並んだクリーンルームに、大きな液晶装置を設置するスペース
ルということになっている。さすがにダンボールは回せない。
が暫く確保できなくなっていた。急遽目をつけたのが、改装した
この話になるたびにクッキーの缶と訂正するのだが、次に会う
ばかりの材料事業部の開発用クリーンルームであった。車で5
とダンボールに戻っている。彼は以前、当社の将来を決定付ける
分程度の距離である。すぐには研究設備の搬入計画はない。担
重要な商品を開発しているが、当時の環境はお世辞にもよいと
当役員に無心し了解を取り付けたまではよかったが、搬入が厄
はいえなかったと聞いている。施設の高額化が当り前になった
介であった。鉄製の大扉と枠を外し、剥き出しになった壁にも手
現在の開発環境だからこそ、若い開発者に伝えていきたいこと
をつけたのである。怒られないわけはない。しかし、怪我の功名
があるはず。その伝えたいことの一つに、例えとしてダンボール
があった。試作機の見学と実験のために、液晶業界重鎮の多くが
の方が都合よく、インパクトのある話となるのであろうと邪推
当社主力の材料事業部を訪れた。材料事業部の担当役員も接客
してしまう。仮にそうだとすると、まさに嘘も方便であり、光栄と
にあたるため、社内中枢への理解度がより深まり、液晶業界の標
思うべきなのだろう。
11-12, 2006
25
Topics
スマートマイクロチップ:センサ・MEMSとICの融合
豊橋技術科学大学 電気・電子工学系 教授
インテリジェントセンシングリサーチセンタ長/ベンチャービジネスラボラトリー長/インキュベーション施設長 石田 誠
集積回路
(LSI)
技術をもとに、センサ・MEMS技術は派生してき
構築について触れておきます。26年前になりますが、当時日本の
たのですが、センサ・MEMSとLSIを一つのチップに作製するこ
大学で集積回路を、設計からマスク作製、そして実際にICを作製
とはそう容易ではありません。LSIがnmの微細加工まで発展し
し、教育・研究に本格的に取り組んでいるところは大変少ない状
たことにより、その融合の壁は高いといえます。LSIは超精密技
況でした。88番目の国立大学として豊橋に技術科学大学が設立
術、それに対してセンサ・MEMSは精密技術といえるからです。
され、半導体関係大講座が一体となって、教育・研究に本格的に
超精密のLSIは、完成されたプロセス
(加工工程)
以外は、基本的
集積回路の作製を一貫して行える環境を構築しようと、現学長
に受け入れない。一方、センサ・MEMSはできるだけ多くの可能
の西永頌先生、亡くなられた中村哲郎先生
(NECから)
、現高知
性を持つ材料、構造、加工法を要求します。この矛盾する要求を
工科大学の安田幸夫先生(東芝から)
らを筆頭にスタートしま
いかに満たすかが融合のキーの一つとなります。一つの方法は、
した。主な装置一式はNECの玉川工場の2インチラインを導入
LSI作製後にセンサ・MEMSを作製する
(ポストCMOSプロセス)
。
することで始まり、4年生の学生実験(大実験と称する3ヵ月間
もう一つは、LSIプロセスの可能な範囲でセンサ・MEMSを作製
の実験)
として1979年の秋、npnバイポーラトランジスタ単体の
することです。しかし、どちらも場合も、最高の性能を持つセン
作製に成功したときは、クリーンルーム内で大歓声がわき起こ
サ・MEMSを作製するには困難で、どこかで妥協することになり
りました。これがすべての始まりでありました。このトランジス
ます。本学で行っているセンサ・MEMSと集積回路の融合もその
タ6個で作製したラジオは、今もVBLの展示室で鳴っています。
ような葛藤はありますが、できるだけ互いに満足できるように
LSIはいかに複雑になろうとも、基本的にはトランジスタができ
プロセスも融合する努力をしています。
ればできると乱暴に言い切ることができます。
ここでは、本学での集積回路とセンサ・MEMSとの融合をめざし
そして、当時の名古屋大学環境医学研究所の御手洗玄洋先生か
た研究開発環境の構築に至るまでを説明し、スマートチップ開
ら、宇宙実験の宇宙酔いの解明に用いる鯉の小脳の脳波計測用
発の一例を紹介します。これらのチップは、現在進行している本
ICチップの開発依頼があり、修士の研究テーマとして開発を進
学の21世紀COE プログラム「インテリジェントヒューマンセ
めました。このチップは、平成4年のエンデバーでの実験で使用
ンシング」
、JST-CREST「社会の安全・安心に貢献するユビキタ
され、毛利衛先生と宇宙を飛ぶことになりましたが、このチップ
ス集積化マイクロセンサの開発」の重要なスマートマイクロチ
が世に出た初めてのものです。また、これまで開発してきた各種
ップとなっています。図1は、CRESTで最終的にめざしている
チップの一部を図2に示します。
スマートマイクロチップの概念図です。1チ
ップ上に各種センサ、信号処理回路、信号無
線伝送回路、無線電力受信回路を融合するも
ので、世界にはまだこのようなチップは存在
しませんが、いち早く日本で開発できるよう
に、日夜研究開発を進めているところです。
この開発には、タイトルに掲げたセンサ・
MEMSとICの融合が不可欠になるのです。
まず、本学のIC・センサ・MEMS研究環境の
図1 スマートマイクロチップの概念図
26
図2 本学で開発してきたチップの例
2006, 11-12
Topics
本年度、本学も開学30周年記念式典を行ったところですが、この
の構想と最初の実験結果を国際会議1)で発表したときは、発表が
間に、26回
(26年間)
の講習会
(4年生向けの大実験と同じ内容)
終わっても質問攻めに遭いました。この分野で求められている
を夏休み1週間続けて行ってきました。
(延べ400名以上の方が
理想的チップなのですが、できない理由を挙げれば限りなく出
参加)
これは、半導体関係講座
(電子デバイス大講座)
の教員全
てくるからです。実際に実験を行う学生は、半導体講義で教えら
員が参加し、学生(延べ40名)
と暑い夏を過ごすハードなもの
れることを覆さないといけないからです。
(例えば、写真の数ミ
となりましたが、装置を維持・運営する上で大変良いチェック期
クロン径のシリコンプローブは
(111)基板上にのみ垂直に成長
間となりました。大講座で技官1名でありながら、いつでも
“動
するので、同一基板内のCMOS回路は、やはり
(111)
ウェーハ
くIC”
を、初めての学生でも設計から試作までできる環境に施設
上に作製、その後シリコンのVLS結晶成長、しかもAu-Si合金領
を維持してこられた要因の一つだと思います。
域をMOSトランジスタ内に作るなどなど)
そのようななかで、
現在ステッパを用いた4インチCMOS、1ミクロンプロセスが可
結晶成長と集積回路プロセスの両方を手がけているグループだ
能となっています。また、建物も創設時の建物から、平成6年に
ったので、それぞれのプロセスの問題点、限界を把握できていた
固体機能デバイス施設にまとめ、平成14年にはVBL
(ベンチャ
ことと、各グループで知恵を出し合い問題解決策を模索する体
ービジネスラボラトリー)施設との一体化を行い、マイクロ・ナ
制ができたといえます。その結果、一昨年、当初の念願であった
ノ加工ができるクリーンルームをVBLの1階に設置して、MEMS
生体細胞からの信号を検出するまでに発展させることができま
プロセスの増強を行いました。これまで多種類のセンサ・MEMS
した。2)図4は、鯉の網膜細胞に光を照射し、その反応から出てき
と集積回路を融合したスマートチップの作製を行ってきたので
た電位を計測した波形です。鯉も人と同じように可視光領域が
すが、MEMS加工にはCMOSプロセス以外に特殊なプロセスが
見られ、緑色に強く反応することがわかります。
した。これをいかに整理、管理するかが難しいところで、お互い
の利害を調整できるかが成功のポイントとなります。これはお
互いが可能な限り歩み寄れる関係が必要です。また、これまでに
ないプロセスを考案し、どのような装置を用いて
(他に迷惑をか
けずに)
いかに作り上げるかを実現することも必要となります。
図3に示す私が提案した、ICチップ上に数ミクロン径の単結晶
シリコンのマイクロプローブをVLS
(Vapor-Liquid-Solid)
結晶成
長で形成した神経電位計測スマートチップは、まさにそのよう
なものの一例です。できないことずくめと思われるこのチップ
Potential [μγ]
-80 0 80 -80 0 80 -80 0 80
必要で、装置もまた分けて使うことが必要な場合が多くなりま
Probe channel 1
Probe channel 2
Probe channel 3
480nm 520nm 560nm 600nm 640nm 680nm 720nm
0
2
4
は、非常識に挑戦した研究テーマと私は思っているのですが、
研究室内外でも異論が多くあったと思います。また、このチップ
6
8
10 12
Time [s]
14
16
Wavelength
18
Time[sec]
図4 鯉の網膜細胞からの光反応電位
(光波長依存性)
このようにして、これまでセンサ・MEMSとICを一体化する数々
のスマートマイクロチップを試作、提案してきましたが、理想的
チップをめざしてさらにチップの完成度を上げるべく、LSIとセ
ンサ・MEMS融合のための問題点を議論しながら進んでいます。
<参考資料>
1)M. Ishida, K. Sogawa, A. Ishikawa and M. Fujii, "Selective growth of Si
wires for intelligent nerve potential sensors using vapor-liquid-solid
growth," in Proc. 10th Int. Conf. Solid-State Sensors and Actuators
(Transducers'99)
, 1999, pp. 866-869.
図3 微小電極アレイと信号処理回路を集積化した神経電位センサの
概念図と試作チップ
写真
(MOS トランジスタのドレイン領域に2ミクロン径、60ミクロン
長のシリコン単結晶プローブが選択的に成長させられている)
11-12, 2006
2)T. Kawano et.al "Three-dimensional multichannel Si microprobe
electrode array chip for analysis of the nervous system", IEDM 2004,
pp.1013-1016.
27
SEMI Membership
SEMI新会員企業のご紹介
−日本で入会された会員企業をご紹介します−
■会社名 1)
所在地、連絡先 2)
代表者 3)
設立年度 4)
取扱製品
5)
半導体/FPD製造装置・材料関連売上高
ポリッシングパッド、テンプレート、DLCキャリア
5)−
■ 株式会社アルファー精工
■ 株式会社進和
1)〒193-0801 東京都八王子市川口町1495
1)〒463-0046 愛知県名古屋市守山区苗代2-9-3
1)Tel: 042-654-7715 Email: [email protected]
1)Tel: 052-796-2532 URL: http://www.shinwa-jpn.co.jp/
1)URL: http://www.alphaseiko.jp/
2)代表取締役社長 下川 浩平
2)代表取締役社長 植竹 操
3)1951年
3)1995年
4)超精密ディスペンサー装置
4)フォトファブリケーションとウエットエッチングを使った、
5)−
金属部品や蒸着用、印刷用メタルマスク等。
■ 瀬戸技研工業株式会社
5)−
1)〒277-0034 千葉県柏市藤心上人塚前962番地
■ オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社
1)Tel: 04-7174-2331 Email: [email protected]
1)〒135-004 7東京都江東区富岡2-11-6 長谷萬ビル
1)URL: http://www.seto-eng.co.jp
1)Tel: 03-5245-3251 Email: [email protected]
2)代表取締役 福田 和市
1)URL: http://www.oxford-instrument.jp/
3)1976年
2)代表取締役社長 北浦 二郎
4)半導体製造装置、MEMS製造装置、FPD製造装置、TAB/COF
製造装置、研究/開発用設備、公害処理設備
3)1991年
4)科学研究機器、半導体プロセス装置、分析機器の輸入販売お
5)−
よび保守管理
■ 株式会社日栄電機
5)−
1)〒335-0026 埼玉県戸田市新曽南2-3-4
■ 財団法人 京都高度技術研究所
1)Tel: 048-447-1333 Email: [email protected]/
1)〒600-8813 京都府京都市下京区中堂寺南町134番地
1)URL: http://www.nichiei-dk.com
1)Tel:075-315-3625(代) Email: [email protected]
2)代表取締役社長 寺井 省一
1)URL: http://www.astem.or.jp
3)1970年
2)理事長
4)半導体およびFPD製造用装置向け基板加熱用自動温度制御
木 壽一
3)1988年
4)産学公連携によるソフトウェア、メカトロ、環境、バイオ、ナノ
機器、および関連制御機器
5)−
テク等に関する研究開発、技術支援、新事業創出支援
5)−
■ ハック・ウルトラ・アナリティクス・ジャパン株式会社
1)〒105-0014 東京都港区芝3-12-17 オーシャン・ターフビル3F
■ ケメット・ジャパン株式会社
1)Tel:03-5232-1621 Email: [email protected]
1)〒261-7121 千葉県千葉市美浜区中瀬2-6 WBGマリブウエス
1)URL: http://www.orbisphere.co.jp
ト21階2103 Tel: 043-213-9911 Email: [email protected]
2)代表取締役 猿渡 道浩
1)URL: http//www.kemet.jp
3)2006年
2)代表取締役社長 滝川 聡
4)日本における超純水や機能水、有機溶剤中等の酸素・水素・
3)2002年
4)半導体基板欠陥測定装置、CMP用ダイヤモンドドレッサー、
28
オゾン・窒素・炭酸ガス分析計販売とメンテナンス
5)−
2006, 11-12
Column
SEMI Newsコラム:ゴルフ談義
水野 修
この欄でゴルフについて書けという要望があった。
先般、新ドライバーを購入した。使ってみると予想通り前のドラ
その瞬間、筆者はわが耳を疑った。筆者がシングルプレーヤー
イバーと飛距離は変わらない。せいぜい210ヤードである。その
でゴルフの道をある程度極めた達人ならばわかる。ところが筆
筆おろしの時のパートナーは上手な人で、
ドライバーの飛距離
者はアマゴルファーとしては『中の下』か『下の上』ぐらいであ
も250ヤード超である。その彼に筆者の新ドライバーを試しても
る。ゴルフの薀蓄など語る資格はない。理由を尋ねると、
らうと、なんと270ヤード飛ぶではないか。彼は言った。
「ゴルフ上達の秘訣を披露してもらいたい」
というイヤミな答えが返ってきた。どうやら、ヘタな筆者にうま
「いいドライバーですねぇ」
「………」
くならない悩みを書かせて優越感にひたりたいらしい。
何とも複雑な心境だった。
ゴルフは個人プレーである。結果はすべて自分だけの責任であ
ゴルフコースを一度行っただけでよく覚えている人がいる。
る。個人プレーではあるが通常は2∼4人一組で行う。パートナ
言うまでもないことだが、ヘタクソにはそういう芸当は不可能
ーの実力が拮抗していると、どうしてもお互いに対抗意識が出
である。これは記憶力の問題ではなく、コースマネジメントがで
る。よくある例はドライバーの飛距離争いである。筆者も以前
きるかどうかの差であろう。上手な人はホールごとにどう攻め
はそれなりに飛ばした。しかし、ある手術をし、さらに一度腰を
るかを考える。結果が思惑と違えばなぜかとその理由を考え、次
痛めてからはトンと飛ばなくなった。同時に、人がどれだけ飛ば
の攻略の参考とする。そういう眼でコースを見るから自ずと記
そうと気にならなくなった。人は人、自分は自分で、恬淡として
憶によく残る。棋士が初手から投了まですべて記憶しているの
いる。所詮はレジャーゴルフである。飛ばそうと飛ぶまいと、あ
と同じであろう。ヘタクソは攻め方など考えるだけ無駄である。
がってみれば飛ばないほうが勝っていることはよくある。
ある時は右の山斜面、ある時は左の崖下ではコースを覚えるヒ
「飛べばいい、というもんじゃない」
と筆者が言うと、飛ばし屋が言った。
「飛ばないよりは飛んだほうがいい」
マなどない。4∼5回行っても、こんなホールあったっけ? とい
うことはザラである。しかし悩むことはない。あらためて新鮮
な気持ちでプレーすればよいだけの話である。
これには返す言葉がなかった。
ただ、あるレベル以上の腕となるにはやはり飛ばないと無理が
筆者は練習ぎらいである。過去10年以上、練習場に行ったことが
あろう。飛ばなくてもいい、というものでもない。
ない。すべてぶっつけ本番である。コースに出るのは月にせい
ゴルフの勝負では、自分の調子が良くて勝つことはマレで、相手
ぜい2回。それでも前夜に深酒をしていなければ90台で回る。
が崩れて勝つことのほうが多い。筆者は勝負している時もそう
これで練習したら相当うまくなる、というのが負け惜しみの持
でない時も、淡々と自分のペースでプレーをする。飛ばないかわ
論である。
りに大きなミスも少ない。すると相手は次第にイライラしてく
練習しない理由はただ一つ。実は練習してもうまくならないか
ることがあるらしい。筆者と一緒に回るとよく調子をくずす人
らである。
がいる。その人が言った。
昔はよく練習場に通った。運動不足解消とゴルフの悩み解消のた
「あんたは俺の天敵だ」
めだった。練習していて、ある時あることがうまくゆくようになる。
「これだ! わかった!」
ゴルフの道具は昔に比べて随分と進歩しているそうである。そ
という気になる。シロウトはこういう時に、開眼した、という。
うである、というのは筆者にその実感がないからである。新ドラ
ところが翌日の本番では元の木阿弥、ということが多い。こうい
イバーは旧モデルに比べて飛距離が何ヤード違います、と言わ
うことが重なって、練習はムダという結論に至った。筆者の練習
れてもそれは実力が相当にある人の場合であろう。筆者には差
嫌いはそれだけの意味である。
など感じられるはずもない。新旧モデルの差よりも一打一打の
そういえば、第一生命が毎年募集している「平成サラリーマン川
バラツキのほうがよほど大きい。だから最新モデルなど筆者に
柳」で次のようなのがあった。
は猫に小判、豚に真珠である。
とはいうものの、いつまでも古い道具ではコケンにかかわると、
11-12, 2006
開眼しグリーンに出れば眼をつむる
ヘタほどよく開眼するのである。
29
2006年
12月6日(水)∼8日(金)
セミコン・ジャパン
幕張メッセ
2007年
1月31日(水)∼2月2日(金)
SEMICON Korea
ソウル
3月13日(火)∼3月15日(木)
FPD China
上海
3月21日(水)∼3月23日(金)
FPD関連産業の国際経営者会議 GFPC 2007
SEMICON China
2007年4月11日(水)∼4月14日(土)
上海
ハウステンボス(長崎県佐世保市)にて開催
4月11日(水)∼4月14日(土)
Global FPD Partners Conference
Global FPD Partners Conference(GFPC)は、世界のFPD産業のエグゼク
ハウステンボス 長崎
FPD産業全体の健全
ティブが自由な雰囲気の中で語り合い、
交流を深め、
5月8日(火)∼10日(木)
な発展を展望する国際会議です。
広い視野からのスピーチや多彩なパネ
ルディスカッションに加え、
ご参加者同士の親睦を深めていただくイベン
SEMICON Singapore
シンガポール
6月18日(月)
・19日(火)
トを豊富にご用意いたします。
SEMI FORUM JAPAN
花と海のリゾート
“ハウステンボス”
で、
新たなネットワークとFPD産業の
グランキューブ大阪
未来が育まれるこの機会にぜひご参加ください。
7月4日(水)∼6日(金)
お問い合わせはSEMIジャパン展示会/プログラム部まで。
Tel: 03.3222.6020 Email: [email protected]
FPD Expo Taiwan
台北
7月17日(火)∼19日(木)
SEMICON West
サンフランシスコ
セミコン・ジャパン 30周年記念
SEMI Newsに掲載の開発秘話が一冊の本になりました
ー 開発秘話集「日本の装置・材料技術の軌跡」−
開発秘話の掲載は、2003年5-6月号から始まり、現在も連載が続いていま
一冊の本
す。
今回、セミコン・ジャパン 30周年記念イベントの一つとして、
にまとめられました。
掲載された22篇には、一話ごとに開発者のチャレン
ジ精神と苦労、そして各社の発展過程や開発姿勢が述べられ、お読みい
ただいて参考になる内容となっています。
セミコン・ジャパン 2006の出展社ならびにSEMI会員企業各社に、またセ
ミコン・ジャパンにご来場の皆様には抽選のうえ贈呈させていただきます。
9月12日(水)∼14日(金)
SEMICON Taiwan
台北
10月9日(火)∼11日(木)
SEMICON Europa
シュツッツガルト
調整中
SEMI Expo CIS
モスクワ
9月4日(火)
・5日(水)
Industry Strategy and Technology Forum(ISTF)2007
パシフィコ横浜
(SEAJとの共同主催)
10月24日(水)∼26日(金)
FPD International
パシフィコ横浜
(主催:日経BP社 共催:SEMI)
調整中
SEMI Nano Forum 2007
サンノゼ
11月4日(日)∼9日(金)
International Trade Partners Conference
最近のニュースリリース
www.semi.org/news
セミコン・ジャパン
2006年
*予定は変更される場合があります。
12月5日(水)∼7日(金)
幕張メッセ
11月 8日 第8回ボブ・グラハム賞受賞者発表
10月17日 世界MEMSシステム市場が2010年に950億ドルに成長の見通し
10月16日 セミコン・ジャパン30周年記念ガーラ(祝祭)について
SEMI ジャパン
10月23日 シリコンウェーハ出荷面積のコンセンサス予測を発表
〒102-0074
東京都千代田区九段南4-7-15
Tel: 03.3222.5755
Fax: 03.3222.5757
10月 2日 「SEMIテクノロジーシンポジウム(STS)2006」開催概要
10月 2日 「セミコン・ジャパン 2006」開催概要 -入場登録受付開始
9月 5日 第13回 STS Award 受賞者発表
SEMI OnLine:www.semi.org
Email:[email protected]
©2006 SEMI ジャパン
発行人:熊谷多賀史 編集人:浦田玉恵
11月14日 2006年第3四半期のシリコンウェーハ出荷面積発表
SEMI News 11-12月号 2006年11月17日発行(隔月刊)
マウイ島、ハワイ
SEMI News
November - December 2006
SEMIイベント・カレンダー