スマート電化 - エネルギー効率向上への鍵

エネルギー問題への対応
IEC の役割
「スマート電化 - エネルギー効率向上への鍵」
要旨
国際電気標準会議(IEC)は「電気工学」と総称されているすべての電気・電子技術とその関連技
術の分野における国際標準を作成し発行している世界トップレベルの機関である。
IEC 国際標準は発電、送電、配電から、家庭用電気製品や事務機器、半導体、光ファイバー、バ
ッテリー、ナノ技術、太陽エネルギー、海洋エネルギーコンバーターまで広範囲の技術を対象と
しており、列記したものはその一部にすぎない。IEC は、電気・電子に関連するものすべにおい
て、安全性と性能、環境への配慮、電気エネルギー効率向上、再生可能エネルギーの利用を支援
している。IEC はまた、適合性評価制度を管理しており、装置やシステムまたはコンポーネント
が IEC 国際標準に遵守していることを認証している。
エネルギーに対する需要が急速に高まる中で、電気への需要がさらに加速している。 現行のエネ
ルギー生産方法は資源および環境上の両方の理由で持続することができない。IEC は、主要なエ
ネルギー源として電気を知的および経済的に使用するスマート電化が、エネルギー問題に対処す
る上でもっとも重要な要素の一つであると考えている。電気はもっとも用途が広くかつ制御しや
すいエネルギーの形態であるとともに、配電に関しても極めて容易で効率が良い。消費場所にお
いては実質的に損失がなく本質的に無公害のエネルギーであり、また公害を発生させることなく
発電できる。
IEC は、経済発展を阻害することなく大幅な排出削減および効率向上が達成できる主要な分野を
明らかにした。これには効率よい発電と消費節約の両方が必要である。消費節約は、個別の製品
単位でなく、システム全体を考えるときに達成できる効率が重要な決定要素となる。従って、IEC
はその方向性を変え、全体の効率を達成するのに必要な標準に重点を置くとともに、スマート電
気グリッドの運営に関して、許容できる最低限の遂行ルールやオプションを記載した仕様一式を
特に開発する予定である。
将来の主要な戦略の一環として、IEC はさまざまな関連国際機関や政府機関との関係を強化し、
スマート電化を促進するために政策と技術の結集を目指して、このような機関に協力を要請する
予定である。IEC の技術的能力や関連するすべての利害関係者を関与させる力を利用することは、
国際社会がより良い未来を築くことを可能にする一要素にすぎない。
1.
高まる需要を満足させる高効率のクリーンエネルギー
エネルギーを必要とする活動の種類と量は毎日増加している。現在、世界人口のうち 16 億の人々
が電気を利用することができない状態にあるにもかかわらず、2030 年までにはさらに 17 億人の
増加が見込まれるので、エネルギーのニーズもこれに対応して高まる。この難題に加えて、地球
の資源を枯渇するか、気候を乱すような今日のエネルギー生産および使用方法の多くは持続する
ことができないという事実がある。容認できない資源や気候への影響は、エネルギー使用者数と
使用量の増加に伴って激しくなる一方である。このため、エネルギーニーズを満たす効率の高い
方法が必要である。
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エネルギーの需要が全体的に高まる中で電気の要求はより急速に高まり、2050 年までには 3 倍の
増加が見込まれている。このことは、以下で明らかなように、悪いニュースとは限らない。しか
しながら、容認できない環境への影響なく電気を生産することおよび生産された電気をできる限
り十分に利用することの重要性を強調している。
本書では、このために必要とされる新たな手法のいくつかについて IEC がパートナーとともに貢
献できる方法を説明している。
2.
電気の戦略的重要性
電気はもっとも用途が広くかつ制御しやすいエネルギーの形態である。消費場所においては実質
的に損失がなく、本質的に無公害のエネルギーである。発電場所においては風力、水力、太陽光
などの完全に再生可能なエネルギーを用いた方法が利用でき、さらにこのような方法は、資源を
比較的経済的に使用し、ほとんど公害を発生させることなく生産できる技術と設備投資で完成さ
せることが可能である。電気はもっとも簡単で効率よく配電できるエネルギー形態であるととも
に、消費者が生産者でもありえる「双方向」配電に適した唯一の主要エネルギーである。概して
電気エネルギーは極めて柔軟性に富んでおり、エネルギー問題の解決策は電気の役割を無視して
は考えられない。
電化 – 別のエネルギー形態から電気に変換 – は中核となるツールである。特に輸送車両の電化に
おいては、現在電気エネルギーが使用されているのはわずかな割合を占めるにすぎないが、「ク
リーン」発電の好機を逃がさず巧みに利用すれば、温室効果ガス排出の大幅な削減が期待できる。
また、電化により加熱・冷却のような他の主要な使用においても改善が期待できる。これは主に
消費するエネルギーのタイミングと量を知的に制御することができ、さらに廃棄物を削減するか
らである。
エネルギー問題に対応するためにもっとも重要な戦略の一つは、発電と使用に焦点を当てること
である。このためには長期に渡る二つの取り組みが必要である。
•
第一に、電気を生産する上でもっとも効率が良く1、もっとも被害が少ない方法を開発し適
用する。これは、再生可能なエネルギーを用いた発電、化石燃料発電の大幅な効率向上(炭
素回収を含む)、先進的な原子力および電気供給チェーンの最適化に基づいたものであろう。
•
第二に、供給された電気エネルギーを可能な限り十分に利用する;つまり電気エネルギーの
すべてを高効率2および極めて効果的に使用する。現実的には一つの作業を遂行するために
必要なエネルギーを 30 パーセント削減することを短期間の目標とし、長期的にはさらに大
きな改善を目標とする。後者に関しては、今日すでに計画できる方向に沿った研究開発がも
たらす技術進歩と結びつけて作業自体を再考することであろう。
3.
システム全体思考
世界で今日使われている製品とアプリケーションの多くは、必要性と技術が明らかになったとき
に一つずつ開発されてきた。しかしながら今日ではそれを使うたびにほとんどの場合システム全
体にかかわる問題が発生し、このような問題は複合体のすべての部品を一緒に考慮することが必
要となる。インターネット;電気グリッド;産業インフラ;知的企業;さらに電化製品や電子機
器が効果的に機能することがますます必要となってきたホームなどがその例である。
____________________________
1
発電において、「効率」は一次エネルギーの投入によって生成される最大電気量を意味するアウトプット
の生産性および副作用の温室効果ガスや他の汚染物質排出の最小限化の両方に適用される。
2
電気の使用において、効率は二つの相補的な側面を持っている:ある任務を遂行するために必要な動力の
最小限化と、必要とみなされる作業の変更または低減によるエネルギーの削減化である。
スマート電化に関する IEC の見解
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その結果生じるシステム全体思考は、電化と効率向上の主要なてこの一つとなる。個別のコンポ
ーネント単位ではなくシステム全体として考えると、手法はエネルギーに対する総合的必要性を
削減することができることを示す。その良い例は、知的ソフトウェアを使い、部屋の使用期間や
他の部屋の使用度に応じて、ビル内のどの部屋に暖房(や冷房)がどれほどの時間必要かを制御
する。このシステム全体としてのアプローチは、一部屋の暖房・冷房の最適化するアプローチと
対照的なものである。
効率性とシステムについて再考する大きな機会があるのはエネルギーの最終用途であろう。車両
システムの電化は、個人の自動車であろうと、公共交通・輸送機関であろうと、排出においても
恐らく純エネルギー使用量においても大幅な節約ができると思われる。特に「高度」道理交通と
組み合わせると効果は顕著である。電気自動車(および他の多くのシステム最適化に関しても)
を効果的に使用するために不可欠な前提条件は、電気エネルギーの貯留設備の進歩と投資である。
新しいバッテリー技術は車両の種類を拡大するとともに充電時間を短縮し、多くの場合至る所で
電気の需要と供給のバランスを保つことに役立つ。電気エネルギーが余剰に発電されたときには、
それを貯留施設や使用されていない個々の自動車のバッテリーにさえも貯留することが可能とな
る。その結果、使用ピーク時において、貯留されていたエネルギーを放出することができる。こ
うして、適切なインフラとともに、発電電気やピーク容量への総合的必要性を低下させる。もっ
とも再生可能なエネルギーを利用するためにも、発電容量が間欠性のため、大型貯留システムは
不可欠な要素である(例:風力と太陽光線)。
4.
エネルギー効率向上のさらなる可能性
発電から最終消費場所までの電気エネルギーチェーンは極めて重要なシステムで、システムすべ
ての面において効率をさらに向上できる機会を提供している。化石燃料と核燃料を使用した大型
集中発電は電気の生産において今後も続けて大きな役割を果たすことになるであろう。しかし、
燃料の理論的エネルギーのうち、3 分の 2 は発電中に、9 パーセントは送電/配電中に損失される
ので、消費された一次エネルギーうち約 30 パーセントのみが最終消費場所で電気として供給され
ているのが現状である(図 1 を参照)。既存の技術を発展させて火力発電の効率を少なくとも 10
パーセントポイント向上させると同時に、化石燃料発電所からの排出を大幅に削減することが可
能である(今後可能となる大規模炭素回収と貯留とともに)。高容量の集中型発電は、再生可能
資源の発電所も含んで、多数の低容量の分散型発電と共存することになる。
電気用一次エネル
ギー
60 000 TWh
変換-発電
損失係数 = 3,
損失= 40 000 TWh
発電された電気
20 000 TWh
送・配電 損失 =9 %
損失 = 1 800 TWh
配電された電気
18 200 TWh
図 1: 現在のエネルギーチェーンにおける損失
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再生可能エネルギー発電は純温室効果ガスをほとんど発生させないので、可能な限り最大まで開
発することが必要である。図 2 で電気関連の二酸化炭素排出3の三つの主要なシナリオを示す:
1)
何も手を打たない(「現状維持」):これは容認できない気候温暖化を意味する。
2) 現在の技術を応用し、製品や自動車を効率よく生産するおよび現行型の再生可能エネルギー発
電を拡大する:これは排出量にわずかな増加が見られるが、それでも増加は容認できない。
3)
計画されているが十分に準備が整っていない技術を応用する。これはスマートグリッド(以
下を参照)、炭素回収、高効率を組み入れた製造システムなどの革新技術を用い、気候変動
を制限するのに十分な排出量の削減をもたらす可能性がある。
CO2 排出レベル
29 Gt
3
現状維持(すなわち「トレン
ド」)シナリオにおける電気によ
る排出レベル は約3倍の増加
成熟技術の全面的応用は増加を制
限するのみ
2
16.1 Gt
1
8.9 Gt
排出レベルを削減するためには革
新技術の迅速かつ全面的な応用が
必須
2050
2010
図 2:異なった技術レベルでの効果図
送電に関して、2 または 3 パーセントポイントの損失を低減するために戦略を適用することができ
よう。発電場所から消費場所までの距離がますます遠く離れていく可能性があるため、これは絶
対的に重要である。超高圧送電線や超電導線のような技術を使用すればこの損失を低減できるか
もしれない。配電においては、分散型の小規模な電力生産者- 個別の消費者さえも-の寄与は、
発電源としてだけでなく複雑な「スマート」電気グリッド(セクション 5 を参照)におけるプレ
ーヤーとしても重要である。
すでに、家庭電化製品や産業設備などの個々の機器で電気の消費量をおよそ 30 パーセント削減で
きる技術が存在している。完全に除去できる作業は除去し、除去できない作業は世界的に最適化
するような組織だったアプローチが必要である。産業界で消費する電気量の約 70 パーセントにも
相当する電気を使用する電動機は、この両方の良い例である。周知の技術への投資は個々の電動
機の性能を改善し、工場や他の施設におけるエネルギーの最適化は大きなシステム再設計をもた
らし、省エネとよりクリーンな形態のエネルギー使用を促進する。ヒートポンプシステムは別の
優れた例であり、ポンプは少量の電気量で、ビル内の暖房・冷房を効率よく制御する。要するに、
何を何時行う必要があるか再考すること – そして特に電気の制御性や柔軟性を巧みに利用してよ
り多くの機能の電化を促進すること– は、総合的な節約をもたらすことになる。
______________________________
3
何も手を打たない現状維持のシナリオは国際エネルギー機関(IEA)が発行したエネルギー技術展望 2008
における予想およびエネルギーミックスにおける適正予測電気比率に基づいている;現行技術のシナリオ
は 30 パーセントの効率向上および IEA による再生可能なエネルギーの予測による;革新技術のオプショ
ンは IEA の 450 政策シナリオおよび IEC による今後の技術力の予想を使用している。
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5.
参照アーキテクチャーとスマートグリッド
図 2 の三つの温室効果ガス排出シナリオは、現行のアプローチ以上のことをする必要があり、開
発中の技術を積極的に応用することの必要性を明らかにしている。これは、最終消費と発電との
間における多くの相互作用のみならず、エネルギーチェーンの設計全体の大幅な変更に依存する。
複雑な設計作業に常に見られるように、エネルギーチェーンの再設計と各種の下位設計には適切
な計画が必要とされるので、ビルの設計に例えて「アーキテクチャー」と呼んでいる。有用な最
終結果を達成するために、アーキテクチャーを現実世界での実施とマッピングさせる必要があり、
「参照アーキテクチャー」という用語は、設計の各部分と、それに関連して実施される当該実施
ステップのリンクを表わしている。参照アーキテクチャーを使用するアプローチは、システム全
体的思考を実現していると理解できる。
電力網の参照アーキテクチャーは、分散型発電(太陽光、風力、小水力などの再生可能エネルギ
ー発電)をベースとした小規模な電力網を統合することが必要となる。これは、集中型発電所間
を接続した大規模電力網の中で行う。大ネットワーク間にも、大ネットワークと小ネットワーク
間にも、高性能で柔軟性に富んだ相互接続が必要となる。その結果生じる最適電力グリッドは、
広範な情報通信技術を取り込んでシステムを知的に制御することから、スマートグリッドと呼ば
れている – 例えばスマートメータリング、供給状態と価格の情報を消費者が供給する一方、利用
することもでき、また変動する状態において、高度制御・保護システムで供給の安定性を確保す
ることができる。参照アーキテクチャーはエネルギーおよび電気の最終使用にも必要とされる:
ビル用、業務用およびホーム用(エネルギーを消耗または場合によっては貯留する電気自動車や
家庭用電気製品だけでなく、エネルギー発電装置も含む)。
未来エネルギーチェーンにより提起された問題で、アーキテクチャーや革新技術を介して解決し
なければならない問題には次のようなものがある:需要と発電のバランス、集中化と分散化;電
力品質、例えば電力変動;大規模な故障を引き起こすことがある過負荷状態の防止;動力グリッ
ドと分散型発電との間の制御システムの調整。
参照アーキテクチャーを構築し、それを適用してスマートグリッドを実現し必要な効率向上を達
成するために必要なものは何か?明らかに研究開発と多額の投資が必要となる。しかしながら、
巨大な投資と展開を行うための必要な前提条件は、「何を、どこで、いつ、なぜ」に関する実質
的な世界規模の合意である。システムの全体的アプローチは、世界的な一致団結したアプローチ
がある場合にのみ効果がある – 総合目標は世界的なものである。つまり、多くのシステムは数カ
国の参入が必要である;必要な革新技術の開発はリスクと事前経費を正当化するためには世界的
な市場スケールが求められることが多い;システム全体的アプローチにはまず第一にコンポーネ
ントが相互に作用できる技術が必要である。
ここで標準の登場となる。
6.
標準の役割
標準、ひいては IEC の標準は、ある特定の問題について技術推進者としての役割と集合知を表明
するルートの役割を果たしている。必要な具体的対策が事実講じられたこと、またエネルギー問
題が効果的に対処されることを保証するものではない – 実際これは IEC の役割ではない。しかし
ながら、標準が十分なものでないとしても、直面している問題に対処するプロセスのために、標
準を絶対に必要なものと位置付けることができる。これは、重要な技術問題についてすべての利
害関係者が世界中で合意に達するための良いメカニズムが今のところ他にないからである。
参照アーキテクチャーが必要な各分野において、関連した世界的専門家を集めてそれを開発し、
その結果を国際標準として発行する。こうすることで可能な限り幅の広い合意と、製造業、公共
事業、最終消費市場、研究者、監督機関のいずれであろうと利害関係者側の協力を確保すること
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ができる。多額の投資がエンジニアリングコミュニティから必要となるであろう。産業、ビル、
ホーム、そしてもちろん電力グリッド自体にアーキテクチャーが必要であることは明らかである。
その他の重要な恩恵は、標準化プロセス自体がアーキテクチャーの境界を確定するのに非常に適
していることと、電力グリッドが一つの全体設計か、またはいくつかのより詳細なアーキテクチ
ャーを必要としているかを明らかにすることである。優れたアーキテクチャーには、特にビルや
産業用において、世界的最適化を達成するために電気以外の他のエネルギーが含まれていること
にも注目するべきである。
アーキテクチャーが設置された時点で、標準に関する作業が完了したのではない。アーキテクチ
ャーを適用して解決策をもたらすことを目的とするならば、電気・電子製品や小システムに関す
る多くの既存の標準の域を越えた、大きな革新が必要となる。アーキテクチャーと製品とのギャ
ップは、図 3 で示すようにアプリケーションを用いたアプローチの領域である。アーキテクチャ
ーはサブシステムに関する主要な相互依存関係と設計配慮を提供するが、その中に含まれる製品
やサブシステムの将来的な機能すべてに関して具体的な結論を明記していない。これは、機能を
提供する上で必要とされる解決策またはアプリケーションを記述することで明らかにされている
が、さまざまなサービス、技術、製品でも多分に実施されうる。標準書の世界においてこれは以
下のように新しい試みとなる:
•
現在、複合システムは一回限りの解決策として開発されている。
•
設計と開発は公共事業か、または産業界ではシステムインテグレーター会社など、システム
の最終使用者によって行われることが多い;多くの場合 IT マルチナショナルやコンサルタ
ント会社が大きな役割を果たしている。
•
その結果、市場では今までのところ複合システムの標準化の必要性が見られない。
•
現在、このようなシステムのいくつかは標準化して最適エネルギー効率を達成することが求
められている。
少なくともアーキテクチャーが示すエネルギーの使用に影響を及ぼす特徴に関しては、前のセク
ションで述べた世界的合意をとることが必然的である。
製品
製品
技術
製品
技術
製品
技術
製品
サービス
製品
サービス
製品
サービス
製品
製品
アプリケーション (解決策)
図 3:アプリケーションを用いたアプローチ
補足
アプリケーションを用いたアプローチの例として、統合生産会社やインテリジェントビル
を挙げることができる。一番目の統合生産会社の例は、加熱・冷却およびその他のエネル
ギーの消費形態;電気を含むエネルギー源;エネルギー貯留の要素などについて、エネル
ギー観点から「デジタル工場」を説明するために参照アーキテクチャーが必要である。自
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動製造工程や部品の輸送など主要な機能に対応するアプリケーションまたは解決策と、参
照アーキテクチャーに関連するそのようなアプリケーションごとの特徴を標準で記述する
(冷却が必要である場合、または他の場所で使用できる余剰の熱生産など)。その時点で
ようやく各アプリケーションに必要とされるサービスやそれを実施するための最良技術を
選択し標準化することができる。二番目のインテリジェントビルの例は、アーキテクチャ
ーがビルのエネルギーネットワークを提示する;ビルのさまざまな空間の最低と最高の室
温用にアプリケーションが必要となる;そしてエネルギー効率向上のためにアーキテクチ
ャーの要件に応じてサービス(加熱・冷却)、技術、製品を標準化することが可能である。
7.
次の段階
本書で説明した問題に対処するために、IEC は基本的方向性の変更を計画している。
•
従来、IEC は安全性と適合性に集中して取り組んできた。
•
今後は共通したアプローチが必要とされる新しい分野において先導的な役割を果たす:
エネルギー効率向上
生産性向上
環境保全
•
従来、IEC は主として製品の標準を開発してきた。
•
今後は世界的解決策のベースとしてシステムや参照アーキテクチャーの構築を目指し、理解
を深めて活動を広げる。
本書のメッセージは、今日行われているように個々の製品からシステムへ進むより、まずシステ
ムから考えてその後部品を考えることである。システムの新しい標準が作成されたら、必要に応
じて既存の製品標準を再考することも必要である。
解決策は市場のニーズによって明らかになり、必ずしも IEC の専門分野に限定されることはない。
IEC の任務はまず聴取し市場に質問を投げて、市場が求める解決策(システム)を理解して記述
し、解決策のどの側面が IEC の領域に属するかを判断する。その後 IEC は関連機関を招き、協力
して解決策を考え出し、解決策が必要とするサービスと製品に関して、IEC の領域で最終的な標
準化要求事項を明確にする予定である。
特に送電、配電、使用の中心課題について、IEC はグリッドの運営に関する許容できる最低限の
遂行ルールやオプションを記載した完全で詳細な仕様一式を早急に開発する予定である。これは
スマートグリッドが必要とする標準一式の一部と考えられる。仕様は異なった国々におけるアプ
ローチや選択の相違を考慮に入れることになる;この結果、出版物には IEC の標準以外のものが
存在する可能性がある。そこで、上記の実践を促進するために、IEC と協力機関が公開シンポジ
ウムを開き、スマート電気グリッドに含むべき必要仕様や IEC 出版物に関して検討することを提
案する。
電気エネルギー効率と炭素除去に必要な新興技術に関するすべての研究開発プロジェクトにおい
て進展が求められている。技術的な実践者、政策決定、資金提供のいずれの領域であろうと、全
員が参加してこれを達成するとことが求められていると IEC は考える。
IEC のエネルギー効率向上の解決策が、実行可能でかつ技術的に健全なアプローチであることを
説明することで、政治課題および公的インセンティブ計画に有益に貢献できると思われる。監督
機関および政治上の権力と協力することは、電気エネルギー効率向上の解決策を公共の利益のた
めタイムリーに実施する上で明らかに重要である。この目的のために、IEC はさまざまな関連国
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際機関や政府機関との関係を強化し、スマート電化を促進するために政策と技術の結集を目指し
て、このような機関に協力を要請する予定である。IEC の技術的能力や関連するすべての利害関
係者を関与させる力を利用することは、国際社会がより良い未来を築くことを可能にする一要素
にすぎない。
スマート電化に関する IEC の見解を説明した文書の公式翻訳-
スマート電化に関する IEC の見解
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2010 年 9 月
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