新たなセグメントとしての三輪バイクの提案

卒業研究区分:論作
新たなセグメントとしての三輪バイクの提案
―トライクデザインの可能性―
キーワード:トライク、パッケージ、都市型
製品デザイン教育研究分野 05T0158H 中津留 弘騎
■研究背景(トライクというモビリティーの台頭)
近年,「トライク」という乗り物が注目されている(図1)。三輪の
両であること。
2) 天候(特に雨)による負荷の低減
オートバイのことである。元々、アメリカなどで広く普及していた
3) 転倒しにくく曲がりやすいスイング機構の採用
トライクだが、日本に入ってきて急速な広がりを見せており、今
4) 疲れない乗車姿勢のパッケージ
では全国各地にトライク専門店がオープンするなど、身近な存
5) 十分な積載量
在になってきている。トライクは「道路交通法」と「道路運送車
この5つの要件のもとデザインを提案する。
両法」という 2 つの法律で解釈が異なるという特徴を持っており、
車やオートバイとは違った新たな価値を提供するモビリティー
また、「 ニューセグメント ニューモビリティー −都市型モビ
リティーとしてのトライク− 」をコンセプトにデザインを行なう。
としての可能性が期待される。しかし、現在見られるトライクの
ほとんどがメーカーの純正品でなく既存の二輪車を「改造」し
■提案
たものである。
■目的(トライクの秘める可能性)
本研究ではこのトライクに着目し、そのデザイン要件を明らか
にするとともに、それが持つ可能性を研究・提案することを目
的とする。
■方法
まず市場の文献調査をし、トライクの現状とその人気の要因、
問題点を調べた。その考察からトライクは四輪車と二輪車、両
方の特性を合わせ持つ二つの中間に位置するモビリティー、
自動車やオートバイとは異なるセグメントとしての可能性が感
じられた。(図2)それに基づき、さらに二輪車ユーザーとノン
ユーザー、四輪者ユーザーとノンユーザーの意識調査をし、
パッケージ図とイメージレンダリング
自動車とオートバイの間を担うモビリティーとして必要な要件を
探った。その結果を基にデザインを提案、及び1/5モデルの
制作を行なった。
■展望
トライクがもつ可能性を探るという意味では実現性の高い一
つの方向性を示せたと思う。提案物としては生産性や安全性
など問題点が多く、このような提案が実現するにはまだまだ課
題が多いが、トライクが新しいセグメントとして確立されるという
可能性は十分感じられた。近い将来その課題を乗り越え、本
研究で提案したようなモビ
図1
図2
リティーに よって、 私たち
生活者がより充実したモビ
■デザイン要件・コンセプト
調査からデザイン要件を以下のように決定した。
リティー社会を歩んでいけ
ることを期待したい。
1) トライクとしての法的要件
「またがり式の座席、バーハンドル方式のかじ取り装置及び
3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が開放された」車
利用シーン