11/30/2004 第 13 章 第 13 章:グローバル・ロジスティクス グローバル・ロジスティクス Ⅰグローバル・ビジネス・ロジスティクス 1) グローバル・ロジスティクス活動の規模 2) 世界市場とグローバル企業 3) グローバル競争戦略 4) グローバル市場における顧客サービス戦略 Ⅱ 決定的要因と重要なトレンド 1) 競争環境の重要性 2) ロジスティクスと輸送における決定的な変化 a)米国海運産業の規制緩和 b)複合主義 c)出荷管理 d)貿易政策 Ⅲ 政治的・法的環境の変化 1) 単一欧州市場 2) 東欧 3) 北米自由貿易協定(NAFTA) 4) マキーラドーラ(保税加工場)の運用 5) アジアの台頭 6) 新しい方向 Ⅳ グローバル輸送オプション 1) 海上 a) 外航海運の構造 2) 航空 3) トラック 4) 鉄道 Ⅴ 戦略的チャネル仲介者 1) 外国のフレートフォワーダ a) 航空貨物フォワーダ b) NVOCC 3) 輸出管理会社 4) 輸出貿易会社 5) 通関ブローカー 6) 船舶ブローカー 7) 船舶代理店 8) 輸出梱包業者 9) 港湾 Ⅵ 保管施設と梱包 1) 保管施設 2) 梱包 Ⅶ 政府の影響 1) 関税規制 2) その他の関税機能 3) 外国貿易ゾーン 学修の目的 以下の課題に応えられるよう、本章を読み進めてもらいたい: − グローバルなビジネス活動が増加した理由を論じなさい。 − グローバル企業を定義しなさい。 (1) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス − グローバルな競争優位に関するポーターのダイナミック・ダイヤモンド理論を説明しな さい。 − グローバル・ロジスティクスに影響する決定的な変化について述べなさい。 − 欧州、アジア、北・南米における法律的・政治的な環境変化がもつ効果について説明し なさい。 − 北米自由貿易協定とそれがロジスティクスに及ぼす効果について討議しなさい。 − 保税加工場の性質と便益を定義しなさい。 − グローバル・ロジスティクスに利用できる主要な輸送システムについて説明しなさい。 − グローバル・ロジスティクス仲介者を区別しなさい:フレートフォワーダ、通関ブロー カー、NVOCC、輸出管理会社。 − 国際輸送における港湾選択に使用される基準を説明しなさい。 − 国際輸送における保管と包装の必要条件について討議しなさい。 − 関税と自由貿易ゾーンの役割を定義しなさい。 ロジスティクスの横顔:トヨタのグローバル・コンベヤー・ベルト トヨタ自動車は、ジャストインタイム(JIT)の製造方法を多少とも世界中に広げた。JIT システムは概して地域限定的なものである。すなわち、サプライヤは部品組立工場に近接 する地域に立地して、必要とされた時に部品を生産し、納品する。工場の製造予定表にし たがって部品を納入するために、比較的小ロットかつ頻繁に輸送が行われる。 トヨタは日米間で JIT 方式を採用している。同社は、日本で生産した部品をジョージタ ウン(ケンタッキー州)とフリーモント(カリフォルニア州)の組立工場に供給する JIT サプライ・チェーン・システムを導入している。日本からの部品は、週 5 日毎日かっきり の時間に工場に納入される。比較的小ロットでの頻繁な混載輸送は米国工場の製造予定表 と同期しており、その予定表は実際の売上げデータと予測に基づいている。 トヨタをはじめとする日本の自動車メーカー各社は国内工場で多くの自動車を生産して いるが、販売面では輸出にそれほど頼っているわけではない。日本製品を割高にするとと もに、貿易不均衡の結果として保護貿易の圧力を招く強い円は、外国に工場を設立するこ と(海外移転)の主たる要因である。トヨタは、日本以外に世界 25 カ国に 85 の生産工場 をもっている。 国外に進出した工場は、進出先から部品の大部分を調達している。しかしながら、品質 を確保するとともに日本国内の部品工場で行った巨額投資を回収するために、日本からも 多くの自動車部品を調達している。北米工場は現在、日本の組立工場で使用するために若 干の部品とコンポーネントを日本へ送っている。 JIT 生産方式のもとで数千個におよぶ部品とコンポーネントをグローバルに動かすには、 (2) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ロジスティクス部門を大幅に見直す必要がある。多くの運送業者間で貨物を受け渡すこと に代えて、運送業者は長距離一貫輸送サービスをタイムリーに提供することを要求される。 加えて、輸送サービスは、長いサプライチェーンを正当化するのに十分経済的でなければ ならない。 グローバル JIT システムを効果的に機能させるための一つの重要な戦略は、生産の均一 化である。安定した生産の流れは、ロジスティクス・プロセスの山を削り、谷を埋めて平 坦にするので、運送業者は輸送力を変動の少ない安定した数量に合わせて最適化する。ト ヨタは大きな量的変動をきたさないよう、将来の傾向を見通し、予測するために必要な情 報を常に共有する。 生産予定表は需要の月次予測を発展させたものである。各月の日平均販売量を近似的に 計算し、毎日の生産量をそれに合わせて調節する。したがってコンポーネントのスケジュ ール出荷が可能になる。 トヨタは部品輸送にあたって、北米向けに日次サービスを提供している海運4社(アメ リカン・プレジデント・ライン、シーランド、日本郵船、川崎汽船)を利用している。米 国の各工場で1日に使用するコンポーネントは、日本から米国西岸まで毎日航海する船舶 で供給される。日次発注と日次船積みシステムによる発注から受け取りまでのリードタイ ムは、5 週間である。 日本とジョージタウン工場間を結ぶシーランドのサプライチェーンは、グローバルなコ ンベヤー・ベルトがどのように働いているかを示している。部品を詰めたコンテナはタコ マ(ワシントン州)に向けて名古屋で船積みされる。太平洋を 10 日間で横断し、日曜夜に はタコマに到着する。タコマに到達した後、コンテナは DST(ダブルスタックトレーン) にリレーされ、水曜遅くにシカゴに到着する。DST はさらにノーフォーク南に向かい、金 曜の朝午前 12:30(?)にコンテナはジョージタウン工場に納品される。 カムリを1日 1,000 台の生産するジョージタウン工場を維持するためには、ほとんどゆ とりのないスケジュールになる。工場の生産効率を高めるために、コンポーネントは、組 立工場のニーズとかみ合った形で順序良く荷降ろしされるよう、コンテナのバンニングが 行われる。 情報流はサプライチェーンをタイトにするための鍵である。生産の均一化は、受注から 生産と輸送にいたるあらゆるプロセスを統合することによってのみ可能である。 出所:Joseph Bonney, "Toyota's Global Conveyor Belts" American Shipper (1994 年9月) : 50-58. 利用許可済み Ⅰ グローバル・ビジネス・ロジスティクス (3) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 近年、市場領域が米国内だけでなく世界全体に広がるようになったと感ずる企業が増え てきた。言い換えれば、米国の多くの企業は資材の調達先を海外に求める場合、機能的な ロジスティクスと資材管理部門が不可欠であると認識するようになった。他面で、輸出市 場を開拓する場合、効果的なロジスティクス・システムと世界を網羅するネットワークの 必要性に関心を集中するようになった。反対に、外国に立地する企業も、資材調達先とマ ーケティングの対象を地理的に広げた;効率、効果、差別化を通して競争優位を得るため に、米国内にある企業と同じように、グローバル・ロジスティクスの戦略と運用に期待し ている。 実際問題として、ロジスティクス管理者は、グローバル的に効果のある独創的ロジステ ィクスの概念を明確にしてシステムをデザインし、実行するという観点から業務に当たる 必要があることを認識しつつある。この理由から、本章ではビジネス・ロジスティクスの グローバルな局面に不可欠な重要な問題について述べる。論理的に考えて、グローバル・ ロジスティクスの手法が発展するには、個々の企業のロジスティクス・グループとマーケ ティング、および調達グループの間で意見を十分調整する必要がある。 本章は、最初にグローバル・ビジネスとグローバル・ロジスティクスの性質について述 べる。続く二つの節では、グローバル・ロジスティクスに見られる重要な傾向と政治的・ 法的な環境の変化について論ずる。本章の最後に、輸送、チャネル戦略、保管・梱包、政 府の影響について述べる。 1) グローバル・ロジスティクス活動の規模 世界貿易と世界ロジスティクス支出は急速に増大している。世界貿易は世界産出の約 2 倍の早さで成長している。 世界貿易はロジスティクス企業による世界規模のプランニングによって増大する。米国 のみならず世界のほとんどの国で、国際貿易は数量・金額両面で成長してきた。ロジステ ィクスの発展により、国と国の間の距離はますます短くなると同時に、世界がますます競 争的になってきた。企業はうまくいきそうであれば世界のどの地ででも生産し、A 国∼B 国 の輸送をロジスティクス専門家に委ねる。 [world trade] 世界貿易 図 13-1 は、世界貿易における成長率の実績値と予測値をエリア別に示したものである。 貿易エリア(例えば北米∼極東間、北米∼極東間等々)に関係なく、年平均成長率の近年 における実績値と予測値がすべて正であることは興味深い。これにより、主要な貿易エリ アのほとんどで貿易は成長し続けると見られる。 (4) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス [logistics expenditure] ロジスティクス支出 もう一つの興味深い傾向は世界的なロジスティクス支出(図 13-2 参照)に見られる。世 界のロジスティクス支出は、1999 年に世界 GNP のおよそ 16 %に相当する約 2 兆 1000 億 ドルに増加すると見込まれる。 図 13-3 と 13-4 は、米国全体の輸出入量に占める割合を主な業種別にあらわしたもので ある。例えば図 13-3 を見ると、全輸入量に占める業種別の平均割合は 1995 年に 16.0%に なると予想される。図 13-4 は、同じく輸出量に関して 1995 年に 15.7%になることを示し (5) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ている。 アウトソーシングや外国サプライヤからの資材調達は、企業のロジスティクス・サプラ イチェーンを形成する際に決定的な要素である。調達をめぐる環境によっては、アウトソ (6) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ーシングの決定が複雑になる。 表 13-1 はアウトソース先がどのように分布しているかを表したものである。欧州と極東 は資材と製品のアウトソース先として魅惑的な地域のように見える、その反面、南米は部 品や小組立品のアウトソース先として人気があるようである。部品のアウトソース先は、 資材や製品のアウトソース先より地理的にはるかに広く分散しているようである。別の調 査によると、調査企業のほぼ 65∼70%が業務委託の動機として費用削減をあげている。こ のほかの動機として 20∼30%の企業が入手可能性を、5∼20%の企業が品質をあげている【1。 表 13-1 貨物輸入国 資材 部品 製品 欧州 42% -% 33% 南米 5 40 4 極東 29 18 35 アフリカ 15 インド亞大陸 15 1 中東 1 12 1 その他 23 26 出所:Temple, Barker, & Sloane, Inc., International Logistics: Meeting the Challenges of Global Distribution Channels (Lexngton, MA: Temple, Barker, & Sloane, 1987): 2. アウトソーシングの主たる理由は費用削減である。発展途上国の安い人件費は資材価格 も安いことを意味している。費用優位にあれば世界のどんな地域にもアウトソースし、ア ウトソース先の工場で生産したアイテムをグローバル・ロジスティクス・サプライチェー ンを通してどんな目的地にも輸送することが今日の傾向になっている。 2) 世界市場とグローバル企業 [global trade] グローバル取引 グローバル・ビジネスの環境を見ると、過去 10 年間に多くの貿易障壁が取り除かれてき た。この事実は、米国を含む諸国間の貿易が容易になり、グローバルなビジネス活動が加 速度的に活発化してきたことを物語っている。海上と航空の両面でコンテナ輸送が発展し た結果として、国家横断的な国際市場は真のグローバル・ビジネスの場になった。 グローバル市場は、ニーズと欲求がグローバルに均質化し、そのことが認識された結果 として生まれたものである【2。広い範囲をカバーする新しい通信技術を通して、同じ製品を 世界中の人々が知るようになり、その多くを購入したいと思うようになる。その結果、人々 は著しく標準化した高品質・低価格の製品を求めて、伝統的な製品選好を犠牲にした。こ 1 Temple, Barker, & Sloane, Inc., International Logistics: Meeting the Challenges of Global Distribution Channels (Lexington, MA: Temple, Barker, & Sloane, 1987) : 1-6. 2 David L. Anderson, "Logistics Strategies for Competing in Global Markets," in 1985 Council of Logistics Management Annual Conference Proceedings (Oak Brook, IL: CLM, 1985) : 414. (7) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス うした非伝統的製品の選好は経済的・文化的な要因が作用している。その場所に応じて合 理的な価格水準で高品質の商品が入手できることは、世界中の人々にとって魅力的なこと である。それに加えて、外国で使われている製品を自国で所有し利用することを通して、 人々は繁栄した国の生活水準と比較できるほどの生活水準を自国でも享受していると感ず るかもしれない。 [global product strategy] グローバル製品戦略 一般に、メーカーが製品を世界各地のバイヤーに売ろうとする時、販売促進の方法と製 品自体に違いをつける【3。キャノンが 35 mm自動焦点の新型カメラで採用したマーケティ ング手法はそのよい例である。世界市場で実施された大規模な顧客調査の結果、キャノン は、多種多様な購入者の総体的な好みを取り込んだ「ワールドカメラ」をつくることに決 めた。しかしながら、個々の国の買い手に適した販促活動を行うために、キャノンは同じ カメラであっても市場エリアによってその位置づけを異にした。キャノンは操作が簡単な カメラを強調すると同時に、アマチュア写真家を対象とした市場の成長を重視した。彼ら はアマチュアであるにもかかわらず理に適った性能を持つ製品を望んでいた。これと対照 的に、日本では写真分野の最新技術をふんだんに取り込んだカメラを消費者にアピールし た。日本の消費者の多くが先進電子設備を強く望んでいることを考慮すれば、この位置づ けは非常に効果的だったといってよい。 3) グローバル競争戦略 [definition] 定義 グローバル企業とたんに業務を多国展開している(=multidomestic)にすぎない企業を 区別することは興味深い。本質的に、グローバル企業は世界を視野に入れて戦略を策定し、 市場を拡大する【4。かかる企業は当該産業の競争均衡に影響を与えることに努め、グローバ ル戦略を効果的かつ能率的に実行する。比較すると、multidomestic企業は個別市場の枠内 で業務を展開する状態を世界的に拡大しているにすぎず、統一的なグローバル戦略と個々 の戦略を調整することを強調しない。 グローバル企業は、ビジネス目的を世界各地で同時に実現するのに役立つ戦略をうまく 策定しているようである。こうした企業は資材と部品を世界各地から戦略的に調達し、拠 点となる物流センターをグローバルに選定・配置する。新製品を外注し流通させる場合、 既存のロジスティクス技術を新市場に移転させ、既存のロジスティクス・ネットワークを 利用する。米国に本拠とするグローバル企業の例としては、ゼロックス、IBM、デュポン、 コダック、フィリップス家電、メルク(訳者注:ドイツの医薬品・化成品メーカー)、コカ・ 3 4 David L. Anderson, "Logistics Strategies for Competing in Global Markets," 415. David L. Anderson, "Logistics Strategies for Competing in Global Markets," 415. (8) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス コーラ、フィリップ・モリス、マクドナルドがある。 グローバル展開を成功させる一つの鍵はビジネスの大きさを確保することである。十分 な取引量があれば、新製品を導入して世界の多くの地域で市場に参入できるのみならず、 大きな費用支出を回収することもできる。 [global operating strategies] グローバル展開の戦略 グローバル企業は技術、マーケティング、製造、ロジスティクスという四つの要素を柱 として事業戦略を設定する【5。四つの要素はすべて同期をとって機能させるべきであるが、 ロジスティクス・システムは他のシステムが稼働するためのグローバルなインフラとして の役割をもっている。また、グローバル・ロジスティクス・システム自体が競争優位の源 泉であるかもしれないことも企業は認識するようになった。 例えば、本章冒頭のロジスティクス・プロフィールで述べたように、トヨタはグローバ ル展開に適応する JIT 方式を開発した。トヨタは、情報システムと計画システムを精緻化 することによって、世界 25 カ国にある工場に必要な部品とコンポーネントを多くの国にア ウトソースすることができるとしている。世界市場に輸出するために日本国内だけで自動 車を生産するのではなく、トヨタの戦略は、国内市場でより多くの自動車を生産し、日本 やその他の国に部品とコンポーネントの生産をアウトソースすることである。この戦略は、 ロジスティクス・システムによって効果的に機能させることができる。 4) Customer Service Strategies for Global Markets グローバル市場における顧客サービス戦略 「グローバル」、「国際」 、「多国籍」という三つの表現には興味深い意味の違いある: チョークとチーズはまったく違うものであるのと同じように、グローバル・マーケティ ングは国際マーケティングや多国籍マーケティングと異なる。アパレル製品で強調されて いる多国籍マーケティングのマーケティング戦略は地域限定ニーズへの対応を重視するも のであるのに対して、グローバル・マーケティングでは、世界的に共通した需要を満足さ せることが原点にある。ボゴタの顧客はバーミンガムの顧客と少しも異ならないという時 代遅れの認識があった【6。 [global competition] グローバル競争 グローバル競争には四つの大きな特徴がある。第一に、グローバル競争下にある企業は 標準化されかつカスタマイズ化されたマーケティングを追及している。第二に、製品ライ フ・サイクルは短くなっており、1 年も続かないことがしばしばある。その代表的なアイテ 5 David L. Anderson, "Logistics Strategies for Competing in Global Markets," 416. Martin Christopher, "Customer Service Strategies for International Markets," in 1989 Council of Logistics Management Annual Conference Proceedings (Oak Brook, IL: CLM, 1989) : 327. 6 (9) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ムはコンピュータと周辺機器、写真アイテム、視聴覚設備のような先端技術製品である。 第三に、アウトソーシングと海外生産を利用する企業が多くなりつつある。第四に、マー ケティング活動と製造活動およびそれらの戦略は収斂し、グローバル展開する企業でよく 調整されたものになっている傾向がある【7。 企業がグローバル市場への関わりを強めるにつれて、ロジスティクス・ネットワークは 拡大し、複雑化する傾向がある。その結果、リードタイムが長くなり、在庫水準が高くな る。時間をめぐる競争環境の中で企業がうまく機能するには、一システムとしてロジステ ィクスを管理し、可能ならリードタイムを短縮し、特定地域に対して限られた製品ライン を供給する「地域限定 focused」工場の考え方が重要である。欧州では、ユニリーバ、エレ クトロラックス、SKF のような企業が後者の戦略をうまく実行している。 [customer needs] 顧客のニーズ グローバル・ロジスティクス戦略の設計・実行で最も重要な段階は、おそらく世界各地 に分散している顧客のニーズを理解することである。これは、グローバル市場のニーズを 満足する効果的な製造・マーケティング・ロジスティクス戦略を開発するための前提条件 である。あらゆるロジスティクス業務は顧客のニーズに立脚すべきである。 Ⅱ 決定的要因と重要なトレンド 本節ではまず、世界的なビジネス環境における企業の競争上の地位に影響を及ぼしてき た重要な要因を明らかにする。その後に、米国に拠点を置く企業のグローバル・ビジネス 活動と米国内で事業展開する外国企業の活動に大きな影響を及ぼしたロジスティクスと輸 送に関するいくつかの重要な傾向を簡単に述べる。 1) 競争環境の重要性 マイケル・ポーターは、4 年間にわたる 10 カ国の研究に基づいて、「現行の優位をもっと 高い技術水準と生産性に繋げる能力がその国にあるかどうかは国際的(グローバル)な成 功を収めるための鍵である」と結論づけた【8。ポーターは、輸送と技術のような先端分野で グローバル市場のシェアを失ったことが、国際貿易における最近の米国の落ち込みの原因 であると感じている。 [Porter's "dynamic diamond"] 7 8 ポーターの動態ダイヤモンド Martin Christopher, "Customer Service Strategies," 327-28. Michael Porter, "Why Nations Triumph," Fortune (12 March 1990): 54-60. (10) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ポーターの理論によれば、グローバル・ビジネス環境において何が競争優位をうむのか という問題は「動態ダイヤモンド」によって説明される。そこでは、次に掲げる四つの要 素がお互いに補強し合って競争優位を高めている。 ・要素条件:基本的要素(例えば資源、教育、インフラ)を競争優位につなげる国の能力 ・需要条件:市場規模、買い手の高度な知識、メディアを通じた入手可能製品の広告宣伝 等 ・関連産業:サプライチェーンのパートナー、協力梱包企業や協力メーカー、マーケティ ングと物流面の仲介企業 ・企業戦略、構造、競争関係:国内競争における市場構造と性質 各要素は国内市場とグローバル市場で成功するのに必要であり、国内市場が競争的であ れば、それは個々の企業に生産性の高いマーケティング、製造、ロジスティクス戦略を追 求させる動機を与える。競争的なビジネス環境をつくること、革新的な新製品への需要を 刺激すること(例えば租税減免措置を通して) 、研究開発を重視すること、真に不公正な補 助金と貿易障壁という点で貿易政策に着目することは、グローバル市場で成功するための 戦略である。 2) ロジスティクスと輸送における決定的な変化 本節では、米国定期船業の規制緩和、出荷管理、貿易政策と通貨変動という五つの主要 な変化領域について簡単に述べる。 a) 米国海運産業の規制緩和 [market structure] 市場構造 1984 年海運法でもっとも注目すべき改正点は、米国定期船社が賃率決定、サービス設定、 輸送活動の共有という点で大きな自由裁量権が与えられたことであった。この法律は同時 に、外国船社の不公平な慣行から米国船社を防御する諸措置を含んでいた。 市場規制のこのような変更は、サービス・コントラクト、船社が賃率とサービスに関し て独立した行動にとる権利、および鉄道やトラックのような陸運業者と結合した複合輸送 をもたらした。第 9 章ではこれと関連した問題について充分に述べた。 b) Intermodalism, 複合主義 [intermodal transportation] 複合輸送 第9章で述べたように、複合一貫輸送は最近ますます利用が増えて一般化してきた決定 的な領域の一つである。複合一貫輸送は複数の輸送モードを結合させて利用するものであ (11) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス る;ハイウェイ・トレーラーやコンテナを鉄道平台型貨車とコンテナ船で連続的に運ぶこ とは、その一例である。図 13-5 は国際輸送で利用可能ないくつかのルートと方法を示して いる。これらには、海上通しサービス、ミニ・ランドブリッジ、ランドブリッジ、マイク ロブリッジがある。 ロジスティクス・プロフィールで見たように、トヨタは部品と小組立品を日本から米国 の二つの工場まで輸送する場合に、ミニ・ランドブリッジを使っている。ケンタッキー州 ジョージタウンにいたるミニ・ランドブリッジは、東岸諸港やメキシコ湾岸諸港まで海上 輸送し、それからジョージタウンまでトラックや鉄道で陸上輸送するよりもコストが安い。 しかし、コストより重要なのは、ミニ・ランドブリッジによってサイクル時間が大幅に短 くなることである。 インターモダル輸送は、グローバル・ロジスティクスの分野で最も発展の著しいものの 一つである。複数の輸送手段を結合することによって、ロジスティクス・サービスの供給 者は、製品輸送に多数の複雑な業務があるにもかかわらず、荷主-顧客にとってシームレス に見えるサービスを提供することができる。総合ロジスティクス・サービスと輸送サービ スを提供できる数多くの企業の中で、CSX 社は優良企業の一つである(図 13-6 参照)。 (12) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 国際輸送では、三つの基本的な概念を理解しなければならない:「港から港へ」 、「港から 地点へ」、 「地点から地点へ」。 「港から港へ」は 2 港(例えばニューヨークとロッテルダム) 間の貨物輸送である。 「地点から港へ」は港と内陸にある最終目的地(例えば神戸とシカゴ) の間の貨物輸送である。最後に、「地点から地点へ」の輸送は、荷主のドアから顧客のドア までの輸送を意味する。 「地点から地点へ」は複合一貫輸送に固有のものである。 c) 出荷管理 [communications and control] 通信と管理 効果的な通信・管理システムは、グローバル・ロジスティクスを競争力あるものにする ために不可欠である。書類作成、輸出入管理および貨物個々の輸送に関する問題は、今日 の顧客にとって決定的に重要である。こうした顧客要求に応ずることができるサプライヤ が選好される。 ほとんどの主要な国際輸送企業(特に航空会社)は、輸送貨物を追跡する先端技術通信 システムを持っている。フェデラル・エクスプレスの追跡システムは、国際輸送貨物の所 在地を瞬時に見つけ出し、納品予定時間と受領者を明らかにする。Burlington Air 社は、 サービス地域にある国の税関規則を記した印刷物を荷主に提供し、運送書類に関する荷主 (13) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス の疑問に答えている。 d) 貿易政策 [free trade agreements] 自由貿易協定 第二次世界大戦後から 1975 年頃までの間一貫して、貿易障壁を撤廃する動きが世界的に 見られたけれども、一部の国では最近貿易政策を部分的に転換した。地理的に近接する国々 は自由貿易協定の締結に向けた話し合いをはじめた。欧州の目標は、 「欧州 1992」をガイド ラインとしたヨーロッパ経済共同体の創設である。米国、カナダ、メキシコの三か国は、 自由貿易ゾーンの設定を意図する北米自由貿易協定(NAFTA)の締結に動いた。(ヨーロ ッパ経済共同体と NAFTA については本章後段でもっと詳細に述べる。 )歴史的に保護的障 壁を設定して製品輸入を制限してきたアジア太平洋諸国でも、障壁を撤廃しつつある。オ ーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、カナダ、米国はアジア太平洋経済協力(APEC) の創設に加わった。 しかしながら、製品供給や物流の目から見れば、公式の貿易障壁と通関遅延のような非 公式の障壁が、ロジスティクス・システムの機能を損ねる場合があることを心に留めてお かねばならない。 記憶すべきもう一つの重要な点は文化や関税、ビジネス慣行が国によって異なることで ある。文化的な違いを理解しなければ、輸送遅延がおこりうる。例えば、発展途上国にお いて税関職員の給与は十分でなく、運送業者や荷主から金品をもらって、文書を手早く処 理することなどはまったく普通に見られる。そのような贈り物の提供は米国では賄賂であ り、法の裁きを覚悟しなければならない。 北米自由貿易協定は米国、カナダ、メキシコの三か国をまたいで移動する多くの製品の 貿易障壁(例:輸入税)を一部撤廃した。しかし、特にメキシコ向け貨物の物理的な障壁 は今もなお残っている。メキシコ政府は、そのような物理的な障壁の一つとして米国のト ラックとドライバーがメキシコ国内で輸送業務にあたることを禁じている。あらゆる貨物 は国境でメキシコのトラック輸送会社とドライバーに引き渡す必要がある。 e) 通貨変動 他国通貨と比較したドル価値変動の長短期的傾向は、ロジスティクスの決定に影響を及 ぼすことがある。1980 年代のほとんどがそうであったように、ドルが強いとき、米国は商 品の純輸入国になる傾向がある。ドル価値が上昇しているとき、米国企業にとって他国製 品は国産品より安価になることを考えると、この傾向は論理的である。反対に、1980 年代 末と 1990 年代初期にそうであったように、ドル価値が低下しているとき、米国の輸出は増 大し、輸入は減少する傾向がある。 輸出の増加と輸入の減少は海上輸送に直接影響する。輸出が増加すれば、米国発の輸送 は増加する。市場の需給状態が価格を決定するから、米国発貨物の増加は往航貨物運賃を (14) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 上げる。それと同時に、弱いドルは米国の輸入量を少なくする。復航貨物は少なくなり、 運賃も輸送需要減退のために下落する。このことは、米国向け貨物の運賃交渉において荷 主の力が強くなることを意味する。 国際通貨価値の変動は、在庫配置、工場・物流センターの立地といったロジスティクス・ システムの決定、輸送手段と運送業者の選択に非常に大きく影響する。ロジスティクス・ サービスの買い手と売り手は時として通貨調整要因の導入に同意する。それは、相対的な 通貨価値の短期的変動による影響を均一化するのに一役買う。通貨調整は通常基本価格の 1%である。 Ⅲ 政治的・法的環境の変化 [trading partners] 貿易相手国 上述したように、貿易政策の世界的な変動はグローバル・ロジスティクスの活動に大き く影響する。本節では、政治的環境と法律的環境の変化により、貿易活動とロジスティク ス活動に好機が訪れたいくつかの事例について述べる。 グローバル・ロジスティクス問題の事例を論ずる前に、米国の貿易相手国上位5か国が カナダ、日本、メキシコ、英国、ドイツであることに留意しよう。表 13-2 は、米国とこれ らの国々の間の貿易額を 10 億ドル単位で示したものである。 表 13-2 米国の貿易相手国 国名 貿易額(10 億㌦) カナダ 211.6 日本 155.1 メキシコ 81.5 英国 48.1 ドイツ 47.5 出所:U.S. Foreign Trade Highlights 1993(米国商務省、1994 年7月): 29. 〔データ更新〕第 7 版より 表 5-1 米国の主要貿易相手国 貿易金額(10 億ドル) 国 1999 年 1998 年 カナダ 362 329 メキシコ 196 173 日本 188 179 中国 94 85 ドイツ 81 76 英国 77 73 韓国 54 40 台湾 54 51 フランス 44 41 (15) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス シンガポール 34 34 合計 1,184 1,081 出所:米国センサス局『外国貿易統計:"Top Ten Countries with which the U.S. Trades," 2000』 1) 単一欧州市場 世界がこれまでに見てきた地理的に最も広い範囲の通商努力の一つとして、前身を共通 市場(Common Market)とする欧州経済体(EEC)の加盟 12か国は、単一の統一欧州市 場の形成に同意した。EEC は一般に欧州連合(EU)と呼ばれている。この計画は、ベルギ ー、デンマーク、フランス、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オラ ンダ、ポルトガル、スペイン、英国、ドイツの 12 か国の部分市場に変えて、3 億 2000 万 人以上の労働人口を有する一つの統合市場を生み出すものである。図 13-7 に示した地図は EU 加盟国を示している。 単一欧州法 1987 年は EU 加盟国間の貿易障壁を撤廃し、加盟国間における財、サービス、 資本、人の移動をより自由にするものであった。この法律は移動の自由を実現するために (16) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 撤廃すべき三つの障壁を認定した。 ・物理的な障壁(複雑な関税管理と通関手続き) ・技術的な障壁(異なる衛生・安全基準) ・財政的な障壁(付加価値税賃率と物品税率) 当初において、「単一欧州法」に付随する一連の法律からもっとも多くの恩恵を受けたの は、近隣の欧州連合国とだけ競争する中企業であった。国境における貨物検査が廃止され、 貨物の自由な移動が確保されたので、輸送時間が短くなった。 書類作成、関税手続き、内的貿易障壁、ナショナル・ブランドと市場、欧州連合として の外的貿易障壁のような分野でも、その他の重要な変更が加えられた。特許権保護の分野 も共通市場に組み込まれた。 欧州企業は特許権の保護を望んでいるが、それは目下各国ごとに個別に申請・登録しな ければならない。知的権利を保護するプロセスを単純化するために、EU の下でコミュニテ ィ・トレード・マーク(CTM)制度が設けられた。CTM 制度では、EU 域内で商標保護を 受けるために、CTM 事務所に 1 枚の商標登録申請書を提出するだけでよい。Allocate(ス ペイン)にある事務所が 1996 年に完全に機能するようになり、それを使って時間と費用の 大幅に節約できるようになった。 [logistics effects] ロジスティクス効果 単一欧州市場の創設にともなう変化の中で、ロジスティクスに強い影響をあたえたもの が三つある【9。その第一は、特に国境通過時間を減らすために単一行政書類(SAD)によ って国際輸送手続きを簡易化したことである。第二は、経由国を通過して他国に輸送する 貨物に対して、税関手続きを簡略化したことである。これによって、例えば欧州の海の玄 関であるロッテルダム港(オランダ)におけるベルギー向けコンテナの通関時間が短縮さ れた。第三は、共通国境標柱(ポスト)ないし「バナリゼーション(banalization=平凡化)」 の導入である。この概念は、例えばスペインからフランスへの国境通過をフランスの通関 ではなく、欧州の通関とするものである。 一般に、国際的な移動を容易にすると、生産と物流に関する欧州ロジスティクス・ネッ トワークは少数の施設からなる簡潔なネットワークに転換することになる。 これを推し進めれば、EU 加盟国間における貿易が容易になり、いっそう競争的なビジネ ス環境が生まれる。こうした市場では、欧州やその他の地域から新しい競争者が参入して くる。例えば、多くの米国企業は、重要な意義を持つこの変化が起こりつつあったまさに その時、欧州市場をターゲットにした戦略を練り、実行に移してきた。同様に、一つの欧 州という市場概念が成長し成熟するにつれて、EU 加盟国は世界の他の地域でも競争力を高 めることになろう。 一般的に言って、このような市場のオープン化は確かに貿易を促進し、取引費用を減ら 9 Richard R. Young, "Europe 1992: The Logistics Perspective of a European-Based Multinational," Proceedings of the R. Hadly Waters Logistics and Transportation Symposium (University Park, PA: (17) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス す。もう一度繰り返せば、この取引費用の低下は海上輸送、鉄道輸送、トラック輸送を主 とするロジスティクス業務の効率改善によるところが大きい。 2) 東欧 東欧とバルト海沿岸諸国は共産主義政府の支配に別れを告げ、資本主義システムに基づ いて経済を再構成するという骨の折れる戦いに入っている。現在、これらの国の需要はそ の生産能力を上回っている。特に道路と電気通信の分野では、構築しなおす必要がある古 いインフラがこれらほとんどの国で残されたままである。 バルト海沿岸諸国は懸命にリストラと取り組んでいる。サービスに対する彼らの信頼度 は最近 80%まで増加したが、依然として米国の標準に達していない。ロシアはバルト海沿 岸諸国より問題が深刻であるように思われる。1992 年以降 16 億ドルの外国資本がロシア に投資されたが、それでも企業資産の取り扱いや資産保全のためのルールが依然として整 備されていない。その他の東欧諸国政府は経済民営化に移行する過程で国有資産を売却し た。現在当該地域の中で経済が最も安定しているのはチェコ共和国である。 資本主義東欧の出現は欧州連合の拡張がありうることを意味している。東欧の一部の国 は加盟を求めたが、貧しい経済のために否定された。もし東欧諸国が EU に加わるならば、 世界で最も大きい自由貿易圏が生まれることになろう。 3) 北米自由貿易協定(NAFTA) 1994 年 1 月 1 日に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)は米国、カナダ、メキシコが 参加する世界最大の貿易ブロックを創出した(将来はおそらく中南米諸国が加盟すること になろう)。NAFTA は 3 億 6000 万人の域内人口を有する総額 6 兆 6000 億ドルの市場であ る。今後 10∼15 年間に 1 万点以上にのぼる商品の段階的な関税撤廃が予定されている。す でに米国とカナダのメキシコ向け輸出品のほぼ半分は関税が撤廃されている。 こうした貿易障壁の撤廃がもつ主たるメリットは、三か国の企業が国境通過ビジネスに もっと深く関わるようになるという点にある。表 13-2 が示すように、米国にとってカナダ は最大の貿易相手国であり、メキシコは第三の貿易相手国である。三か国間貿易における 関税撤廃の最終局面では、一般に排他的・保護的なビジネス環境をともなうサプライヤと 製品の差別が解消される方向に向かう。 1989 年以降、米国とカナダの間には保護規定と関税の撤廃によって両国間の国境を開放 する事実上の自由貿易協定があった。その結果、工場や加工施設向けの資材とコンポーネ Penn State University, 1990) : 13-26. (18) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ントの流れが増加し、米加貿易のロジスティクスもよく発展した。 米加自由貿易協定が長期にわたって効果的に機能してきたけれども、一部の貿易障壁が まだ残されている。例えば、多くの米国企業は包装と成分ラベル貼付に関する英国とフラ ンスの要求に応じねばならない。もう一つの敏感な問題は、両国間の自由貿易の結果とし て特にカナダで工場閉鎖が相次いだことである。経済効率が上がってこの種の変化を正当 化するとしても、工場閉鎖は両国の安寧に重大な意味をもつ労働問題に影響する。 メキシコとの貿易では、NAFTA が撤廃しなかった多くの貿易障壁が存在する。ロジステ ィクス障壁としては、貧弱な輸送インフラ、外資を制約する諸規則、関税規則がある。米 国やカナダと比較すると、メキシコのハイウェイ・システムは貧弱である。鉄道はメキシ コ政府が所有・運営する 1 社だけである。メキシコ全土をカバーする積合せ(LTL)トラ ック輸送企業はなく、航空輸送も少数の空港間だけに限られている。 メキシコの法律は自国のトラック輸送会社を保護している。現在、米国とカナダのトラ ック輸送会社はメキシコ国内での営業を禁じられている。1997 年までに、メキシコは、米 国と隣接する六つの州で米国とカナダのトラック輸送会社が営業することを許可するだろ う。NAFTA 調印から 10 年以内に、米国とカナダの企業は、国際輸送を専業とするメキシ コのトラック輸送会社に 100 %出資できるようになる。3か国以外のトラック輸送会社は、 3か国すべての国内貨物輸送を制限される(カボタージュ)。 図 13-8 は、貨物を米国からメキシコにトラック輸送するのに必要な手続きを示している。 米国のトラック輸送会社は貨物を国境まで輸送し、メキシコの荷車運送 cartage 業者が国境 を越えてメキシコの税関に運び、そこで通関手続を行った後メキシコの運送業者まで運ぶ。 米国の国内フレートフォワーダは、運送書類をメキシコの通関貨物取扱人(乙仲)に委ね、 この取扱人がメキシコの税関に提出する。メキシコ税関は運送書類を検査し、関税を徴収 し、商品を検査して、輸入許可を出す。メキシコの荷車運送業者は貨物をメキシコのトラ ック輸送会社に引渡し、後者が荷受人に引渡す。 (19) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ロジスティクスと関連したもう一つの問題はメキシコのラベル貼付関連法規である。ラ ベル貼付要件は荷主に事前通告することなく変更される。例えば、1995 年初頭すべての輸 入雑貨は、荷主と買い手の課税識別番号を個々にラベル貼付するよう要求されていた。つ まり、ワイン 3 万本を積むトラック 1 台に対して、通関に先立ち 3 万本のボトル各々にラ ベルを添付しなければならなかった。 NAFTA は経験を重ねながら、最終的にかかるロジスティクス障壁を撤廃するであろう。 米国とカナダではコンピュータ化された通関情報システムが運用されており、メキシコは 2 ∼3 年遅れている。NAFTA におけるメキシコ向け貨物の電子的情報伝達は、国境通過時間 を短縮してロジスティクス・サービスを改善する。 NAFTA の長期的目標は貿易環境の改善である。しかし、短期的に、製品の原産地を証明 して、関税上の取り扱いを有利に運ぶのに必要な記録保管をめぐって、NAFTA たびたび混 乱した。北米におけるボーダーレスなロジスティクス・ネットワークの運用に必要な構造 変化を促したことも、ロジスティクスにおける NAFTA の影響のひとつである。情報シス テム、手続き、言語、ラベル、書類が再設計されつつある。新しい市場と供給ソースが成 長するにつれて、仲介業者と同じく新しい輸送施設と貯蔵施設が必要になる。 (20) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 4) マキーラドーラ(保税加工場)の運用 (訳者注)マキーラドーラ:1965 年、外貨獲得と雇用促進を目的として、米国国境に近い メキシコに設立された米国向け組立て工場 米国に本拠を置く企業の間で一般に普及するようになった一つの方法は、小組立品や部 品の製造、あるいは電子機器やテレビセットをメキシコの製造/生産施設で最終的に組み 立てることである。この方法はしばらく採用されてきたけれども、米国企業は最近になっ て、製造工程とロジスティクス戦略を正式に担うものとして、マキーラドーラ Maquiladora (この表現は保税加工場の多くが立地するメキシコの地域に由来する)の運用を始めた。 本質的に、米国のメーカーは保税加工場を運用する際、製造、加工処理、組立て作業を メキシコで行ったり、下請に出したりする。メキシコの生産費と人件費は米国より小さく、 そこで生産すれば現地調達率の問題も生じない。例えば、米国企業は最終組立てのために メキシコに半製品を送り、そこで製品にして米国に出荷する。この方式は多くの企業が好 んで使っている:米国のメーカーはメキシコの 1,900 か所以上で保税加工場施設を運用し ている。 こうした方式の魅力を高める一つの特徴は商品の輸入、保管、製造、輸出に関して、関 税や輸入課徴金を事実上支払わなくてもよい課税方式にある。課税対象はメキシコから戻 される商品の付加価値部分(主に労働賃金)に限られている。実際上、これは保税加工場 の運用といったロジスティクス代替案の経済効率を高めるのに役立つ。 [Central America and South America] 中南米 メキシコにおける保税加工場の成功は、中南米諸国にもこの方式を広めていくための、 役割モデル(ロール・モデル)として役に立った。これらの代替案は、米墨貿易関係の緊 密化にともなって、企業に大きな競争優位を提供する。 5) アジアの台頭 過去 25 年で最も重大な傾向は、環太平洋諸国がグローバルなビジネス環境に重要なプレ イヤーとして登場してきたことであろう。日本がグローバルな金融市場で支配的な地位を 確立した一方、他のアジア諸国は全体としてグローバルな貿易成長の重大な部分を担うよ うになった。香港、韓国、シンガポール、台湾はどこも、一部の市場と製品に関してリー ダーシップをとることが期待される。この傾向は今後いっそう顕著になりそうである。 1993 年現在米国に製品を供給しているトップ 20 か国のうち 8 か国はアジアの国であっ た。日本は米国が輸入する製品の主要な供給国であり、対日製品輸入額は計 1,065 億ドル にのぼる。中国は第 4 位、台湾第 6 位、韓国第 8 位、シンガポール第 10 位、マレーシア第 12 位、香港第 13 位、タイ第 14 位である。 (21) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 多くのアジア諸国は多数の資材とコンポーネントの好ましい供給源になってきた。これ らの国々はアパレル製品、家具、家電製品、自動車といった製品の信頼できるサプライヤ になった。その優位の源は安い人件費と高い品質にある。 6) 新しい方向 製品の調達先を他国に求めることはさておき、外国企業は工場と重要なロジスティクス 施設を、その製品の消費国に立地させ始めている。例えば、トヨタのような日本企業は米 国に工場進出している(ロジスティクス・プロフィール参照)。フォードやゼネラル・モー ターズといった米国自動車メーカーも同様に外国に工場を設けている。 グローバル展開する多くのメーカーは、ひとつの工場が企業全体の製品ラインのうちの 1∼2のアイテムだけを生産するという集中生産(focus production)として知られる戦略 をとっている。工場はさまざまな国に立地するのであるが、そのため集中工場をさまざま な国の顧客と結びつけるためのグローバル・ロジスティクス・システムを要する。 南米経済は 1990 年代に入って復活しつつあるが、激しいインフレ、不安定な政府、堕落 した指導者という古くからある問題と戦っている。自由市場政策への転換により、インフ レが鎮静化し、地域全体の GNP は 1991 年の水準を越えるまでに増大した。南米経済が新 たな繁栄局面を迎えたことは、米国の商品とサービスに対して巨大な需要が発生し、米国 企業にとって多くの調達先が新たに生まれたことを意味する。 プロクター・アンド・ギャンブル社(家庭清掃・健康製品のメーカー)は、1950 年代に 南米展開を始めた。今日、南米における P&G 社の売上げは 20 億ドルに達し、メキシコ以 南において 11,000 人以上の営業社員を雇用している。製品の大部分を米国から送り込んで いるが、南米諸国で製造工場を数多く建設あるいは買収することによって、現地生産を実 現して、近隣諸国にも配給しつつある。 米国企業やグローバル企業は、伝統的に深い関係をもってきた国以外の国々も考慮して、 調達戦略と物流戦略を検討することが必要である。プエルトリコ、カリブ海沿岸諸国、オ ーストラリア、アフリカ諸国で新しいビジネス機会が生まれる可能性がある。対ロシア・ 東欧貿易の拡大は、肥沃な新しい販売市場というだけでなく、資材と部品の供給する源が 新たに生まれることを意味している。 ベネトンのグローバル・ロジスティクス イタリアは Ponzano に本社を置くベネトンの作り出すアパレル製品は、新たな流行を生 (22) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス むと言われる。同社の製品は、10 年以上にわたってアパレル・ロジスティクスと、サプラ イチェーン・マネージメントのグローバルスタンダードになってきた。ベネトンは年間 8000 万個のアイテムを 100 か国 7,000 店に直接出荷している。こうしたアイテムの大部分は 1 週間の発注サイクルで、本部近くにある1か所の自動化倉庫から出荷される。 輸送と通関の全プロセスがペーパーレスになっている。ベネトンのサプライヤ 200 社と その下請け 850 社は、同社の主要な運送業者と社内ファワーダと同様に、同社のロジステ ィクス・製造情報システムと結ばれている。このシステムは、顧客サービスをほぼ完全な 水準に高めており、サイクル時間の短さはこの業界で最高水準をいく。流通プロセスまた は流通パイプラインに過剰な在庫はなく、清算すべき最終在庫もない。 販売機会の逸失が招く大きな費用は、ベネトンが最新技術のロジスティクス・システム を構築するに至った理由である。2 つの年間ファッションシーズン各々が始まる 10 ヵ月前 からプラニングは始まる。その時点で、各店はシーズン発注の少なくとも 80%を発注して しまう。追加注文に対して、航空輸送により 8 日以内に店舗に納品する。 ベネトンは、輸送途中の商品すべてに対して再利用可能な包装を使用するほか、国際輸 送においてユニークな製品識別子、バーコード、EDI を使っている。その結果、総費用は 30%減り、顧客サービスは大きく改善された。ベネトンは将来、発展途上国における成長と 中国、トルコ、エジプト、インド、メキシコに生産拠点を移すことによって、現在は 20 億 ドルである売上げの倍増を期待している。 出所:Thomas A. Foster, "Global Logistics Benetton Style," Distribution (1993 年 10 月): 62-66. Distribution Magazine 社の許諾を得て掲載. Ⅳ グローバル輸送オプション* * For an in-depth discussion of global transportation, see Chapters 9 and 10. *グローバル輸送の詳細については、第 9・10 章を参照のこと。 グローバル輸送は国内輸送よりはるかに複雑である。輸送距離は長く、関係者の数も多 い。海が大きく広がり、世界のほとんどの地域を隔てているため、グローバル輸送の主た るルートは海と空になる。特に陸上ルートが短いヨーロッパで隣接諸国間を貨物運送する 場合、陸上輸送手段も重要である。これらのモード夫々は、世界的な物流ネットワークに おけるニッチを埋めている。 1) 海上 [ocean shipping] 外航海運 (23) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 海上輸送はひじょうに重要で最も普及しているグローバル輸送方法であり、その輸送量 は国際輸送全体の 3 分の 2 を占める。表 13-3 は、外航貨物輸送の成長を興味深く示してい る。総輸送量は、1974 年から 1989 年にかけて 850 万から 3620 万 TEU へと 400%以上増 加した。今日の定期船貿易の 90%がコンテナ化されており、コンテナ船で最大のものは約 5,000TEU を積むことができ、1974 年に比べてほぼ2倍に大型化している。現在、米国鉄 道とのインターモダル輸送の 16%は国際複合一貫輸送である。表 13-4 は、1993 年におけ る米国関係航路の輸送量(TEU)に基づく船社のランキングである。 表 13-3 国際海運の傾向 1974 年 1989 年 国際コンテナの取扱量(100 万 TEU) 8.5 36.2 コンテナ化航路の割合 (%) 40.50 90 最大のコンテナ船 (TEU) 2,600 4,600 コンテナのサイズ (feet) 20/35/40 20/40/45/48/53 米国における鉄道複合輸送率 (%) 6 16 出所:Data from Temple, Barker, & Sloane, Inc., 1991. 表 13-4 米国諸港湾に配船する主要コンテナ船社 順位 船社 順位 船社 1 Sea-Land Service 6 日本郵船 2 Evergreen Line 7 現代商船 3 Maersk Line 8 川崎汽船 4 American President Line 9 Orient Overseas Container 5 Hanjin Shipping Co. 10 商船三井 出所:Data from Peter Buxbaum, "Conference Controversies," Distribution (1994 年 7 月): 64. 〔補足データ〕第 7 版より 表 5-3 外航海運上位 10 社 船社 1999 年収入(百万米ドル) 日本郵船 $10,386 商船三井 8,307 A. P. モラー 5,886 川崎汽船 4,576 NOL/APL 4,277 現代商船 4,250 韓進海運 4,181 シーランド 3,809 P&O Nedlloyd Container Line 3,661 OOIL (parent of OOCL) 2,139 出所:Philip Damas, "Who's Making Money?" American Shipper (2000 年 7 月): 51. a) 外航海運の構造 海上輸送には主要なカテゴリーが三つある。一つは、決まった航路上をスケジュールに したがって輸送する定期船サービスである。第二は、荷主企業が契約に基づいて船舶ない し船腹を賃借りし、特にルートにこだわらないで輸送に当たる用船である。第三は、荷主 (24) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 企業自身のロジスティクス・システムの一部となる自己運送である。 [liner services] 定期船サービス 定期船会社は特定の海上ルートを固定したスケジュールで航海するコモンキャリア・サ ービスを提供する。運賃表は固定され、一定限度の責任を負っている。定期船は1船に満 たない数量の混載貨物を輸送する。コンテナ船や RO-RO(ロールオン・ロールオフ)船の ほぼすべてが定期船である。 定期船は、その多くが海運同盟に所属する大規模な海運会社が保有する資産である。同 盟は航路を同じくし、共通の料金表を使用する海運会社同士の任意組織である。同盟は一 体となって荷主を引き寄せ、できるだけ効率的に同盟船を利用するよう協働する。 同盟は一般に頻度が高く信頼できる運航スケジュールをもつ優れたサービスを提供する。 そのスケジュールは Journal of Commerce 紙に毎日発表される。同盟はさらに安定した運 賃と均一の契約賃率を提供することにより、多くのルートで海上輸送を標準化するのに貢 献している。 [charters] 用船 荷主企業は、特定の航海または指定期間について用船契約する。航海用船は 1 航海を単 位とする運送契約である。船社は積出港から仕向港までの貨物運送契約を結ぶ。船社が設 定する価格は航海経費のすべてを含む。定期用船は期間を限って船舶をオペレータもしく は荷主に提供するものであり、船社は通常乗組員も契約の一部として提供する。用船者は、 契約で禁じていない貨物を運ぶために船舶を排他的に使用し、用船期間中の船舶運航に関 わるあらゆる経費を負担する。裸用船は、船舶の管理権を用船者に完全譲渡するものであ る。用船者は船舶そのものに責任をもち、乗組員の雇用を含む船舶運用に必要なあらゆる 経費を負担しなければならない。 用船は通常、用船先を求めている船舶の所在地と状態を追跡する船舶ブローカーを通し て行われる。荷主は運送契約または船舶賃貸借契約を結ぶ必要ができたとき、船主との価 格交渉にあたるブローカーと連絡をとる。船主は、用船費用に上乗せされる手数料をブロ ーカーに支払う。 [private] 自己 ロジスティクス・システムにおいて、民間の海運会社は自己運送と同じ役割をもってい る。言い換えると、荷主企業は、全体的な費用を引き下げ、輸送サービスの統制を強める ために、自己の保有する船舶を利用する。自己運送の場合の内航と外航の主たる違いは投 資規模、規則の複雑さ、危険の大きさにある。外航海運において、用船はしばしば自己運 送の非常に活気のある代替手段になる。 2) Air 航空 (25) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス [low transit times] 短い輸送時間 航空輸送における短い輸送時間は国際物流に劇的な影響を及ぼした。航空機の素晴らし い高速性は高い輸送頻度のもとで、輸送時間を 30 日から 1∼2 日程度に短縮した。短い輸 送時間は最近国際宅配サービスの発展を促した。国際宅配便は、米国の大都市のほとんど と増加しつつある海外拠点間において、書類と小包のドア・ツー・ドア輸送、翌日配送サ ービスを提供するものである。 しかしながら、世界の航空会社の大部分は旅客サービスに集中してきた。航空貨物は現 在、重量で見て国際貨物輸送量の 1%未満でしかない。しかし、この非常に小さい数字は誤 解をまねく。航空貨物の大部分は高価で低密度のアイテムであるので、価値で見ると全体 のほぼ 20%になる。代表的な航空貨物には、コンピュータや電子機器のような高価品、切 花や鮮魚のように腐りやすいもの、時間に敏感な文書と予備部品、種牛などがある。表 13-5 は国際貨物航空会社を示したものである。 表 13-5 国際貨物航空会社 [航空貨物専門会社] [航空会社] Airborne Express 英国航空 Burlington Air Express 日本航空 DHL Worldwide Express KLM ロイヤルダッチ航空 Emery Worldwide ルフトハンザ Federal Express スカンジナビア航空 TNT Express Worldwide シンガポール航空 United Parcel Service サウスイースト航空 出所:Data from Distribution (August 1994 年 8 月): 56, 58. 〔補足データ〕第 7 版より 表 5-4 主要な国際航空貨物会社 Airborne Express British Airways Emery Worldwide Federal Express Japan Airlines KLM Royal Dutch Airlines Lufthansa Singapore Airlines DHL Worldwide Express BAX Global United Airlines United Parcel Service 航空会社は伝統的に旅客輸送に集中してきたので、貨物輸送は副次的なものでしかなか った。ほとんどの航空貨物は定期旅客便の手荷物室に積み込まれるベリーカーゴとして輸 送され、主要な航空会社で貨物専用機を保有するものはほんのわずかである。 [packaging] 包装 航空輸送は輸送時間が短いことに加えて、包装に関する利点もある。航空輸送は港湾荷 (26) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 役で粗雑な扱いを受けたり、航行中に船舶が大きく動揺したり、悪天候にさらされること はないので、海上輸送ほど厳重な包装を必要としない。航空輸送を利用している企業は、 国内輸送と同じ包装を国際輸送にも使うことができる。加えて、荷主は航空輸送用特殊コ ンテナを開発した。特殊コンテナは荷役費用を減らし内容物を保護するが、インターモダ ル輸送を難しくする。その奇抜な形状から、別のモードで輸送するにあたって、荷主は再 包装を余儀なくされる。最近のコンテナ荷役革新により、20 フィート標準コンテナを貨物 機に搭載することができるようになった。例えば、ボーイング 747 は現在ベリー貨物のほ かに最高 13 個の TEU コンテナを積むことができる。 航空輸送の不利な点は貨物運賃率が高いことであり、それが国際貨物を航空輸送する荷 主の増加にブレーキをかけている。一般に、高い価値をもち、腐敗しやすく、緊急性の高 い商品だけが高い航空輸送費用を負担することができる。 3) Motor トラック 例えばアメリカ∼メキシコ・カナダ間のように、隣接する国に商品を輸送するとき、ト ラック輸送が頻繁に使われる。輸送距離が比較的短いヨーロッパでトラック輸送が一般的 である。トラックはインターモダル輸送でも大きい役割を担っている。 国際トラック輸送の利点は基本的に国内トラック輸送と同じである:高速性、安全性、 信頼性、引渡し場所への高いアクセスビリティ。しかし、複数の国を通過するトラック輸 送には種々の輸入規則がある。書類作成業務を最小化するために、この輸送はしばしば証 書を介して行われる;運送業者はトレーラーのコンテナを出発地で封印し、行き先国に到 着するまで開封することはない。 4) Rail 鉄道 国際鉄道の使用は国内鉄道の使用に非常に似ている。しかし、国境通過地点が少ないの で、鉄道のアクセスビリティは国際的に非常に限られている。種々の国における軌道ゲー ジの違いも長距離輸送を妨げている。 [land bridge] ランドブリッジ 鉄道が存在価値を発揮しているところでは複合一貫コンテナ輸送が行われている。海上 ブリッジ方式には、大陸横断鉄道輸送、内陸地点向け/内陸地点発の鉄道輸送が含まれて いる。例えば、ランドブリッジを利用する荷主は海上輸送の一部を陸上輸送に代替し、輸 送時間を数日間短縮し、輸送中在庫費用を節約する。ランドブリッジの主な事例は日本∼ 欧州間で見られる。そこではすべてが海上ルートの場合は 28∼31 日間を要する。日本から (27) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス シアトル(10 日)まで海上輸送し、それからニューヨークまで鉄道(5 日)、ニューヨーク から欧州まで海上(7 日)輸送する場合、総輸送時間がおよそ 22 日になる。 Ⅴ 戦略的チャネル仲介者 上述したように、仲介業者は国内におけるよりもグローバルなロジスティクス業務にお いて非常に大きい役割を果たしている。グローバル・ロジスティクスに初めて取り組むも のにとって、仲介業者が提供するサービスは範囲がとても広い。しかし、以下で述べるよ うに、仲介業者の真に戦略的役割は、企業がグローバルな舞台に乗り出すことをサポート するところにある。あらゆる企業は、外国からの調達と輸出に絡む複雑な業務をサポート することに感謝しすぎている。 1) Foreign Freight Forwarders 国際フレートフォワーダ 国際海運の専門知識がほとんどない企業にとって、国際フレートファワーダは非常に重 宝な存在である。社員が国際海運のあらゆる面の専門知識をもつ国際フレートファワーダ は、国際取引を行う小規模荷主に専門知識を提供する。小規模荷主にとって、かかる専門 家を抱えることは不経済である。国際フレートファワーダは連邦海事委員会の規制を受け ている。 [forwarder functions] フォワーダの機能 国際フレートフォワーダは、国内フォワーダと同様に、小ロット貨物をより大きな経済 的サイズにまとめあげる。そのサイズは国際輸送の場合コンテナ 1 個から船1隻までさま ざまである。国際フレートフォワーダは貨物に必要な日々の活動にもたずさわる。彼らの 活動は以下のとおりである。 ・内陸水運と外航海運の相場形成 ・用船または船腹スペースの予約 ・あらゆる書類の入手、作成、提示 ・貨物保険の契約 ・貨物運賃の支払い ・運賃の徴収と支払い ・貨物の追跡と輸送の督促 ・言語翻訳 ・内陸輸送サービスの手配 (28) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 二つの国際販売は必ずしも似ておらず、荷主の国際輸送能力はさまざまなので、フォワ ーダは荷主が取り扱うことができない輸出業務を遂行する。ロジスティクス管理者は、フ ォワーダの費用と、同じ業務を遂行するために自ら社員を雇う費用を比較考量しなければ ならない。 [income sources] 収入源 フォワーダの収入源はさまざまである。一つの収入源は輸出書類作成の対価としての料 金である。その他に運送業者から受け取る手数料がある。これらの手数料は、フォワーダ が運送業者にもたらした収益額を基に算定される。第三の収入源は、フォワーダが荷主か ら徴収する運賃率と運送業者に支払う混載貨物運賃率の差額である。後者は前者よりも賃 率が低く、この賃率格差が収入源になる。最後の二つの収入源は、内陸輸送と保管倉庫を 手配する対価として受け取る収入である。 a) Airfreight Forwarders. 航空貨物フォワーダ 航空フレートフォワーダは航空貨物を取り扱うことを除けば国際フレートフォワーダと 同じ機能をもっている。国際フレートフォワーダと同じく、連邦政府の免許を必要としな い。航空フレートフォワーダは小口貨物を大口の混載貨物に仕立て、目的地までの輸送を 航空会社に委ねる。その他に以下のような機能を担っている。 ・書類の入手、作成、提示 ・陸上輸送と保管の調整 ・貨物の追跡と輸送促進 ・料金表を発行と航空貨物運送状の発行 ・貨物損害責任 航空フレートフォワーダには混載業者と代理店という二つのタイプがある。混載業者と してのフォワーダは特定の航空会社と提携せず、最も低い賃率の航空会社を使う。代理店 は特定の航空会社や運送業者と提携し、運送業者の代理として貨物スペースを販売する。 国際フレートフォワーダと同様に、航空フレートフォワーダは、提供するサービスの対 価としての料金と荷主から徴収する賃率と航空会社に支払う賃率の差額を収入源とする。 航空フレートフォワーダの主な競争相手は荷主と直接接触して、フォワーダを排除する航 空会社である。小口貨物をめぐって、フェデラル・エクスプレス、Emery、UPS Air、DHL のような航空エクスプレス運送業者はフォワーダと直接競合している。 b) NVOCC NVOCC は内陸地点を起点もしくは終点とする貨物をコンテナに混載したり、デバンニ ングしたりする。NVOCC に対するニーズは、荷主がコンテナを受け取りデバンニングし た後の空コンテナの戻り荷を確保できないことから生ずる。鉄道とトラック運送業者は、 (29) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 実入りコンテナか空コンテナかに関係なく、コンテナの移送に対して同じ賃率を課すこと がしばしばある。NVOCC 賃率は連邦海事委員会の規制を受けている。 こうした費用を減らすために、NVOCC は流入コンテナを分散して、分散した個々のコ ンテナに詰め込む流出貨物を捜す。NVOCC は多くのコンテナを一まとめにして、輸出港 に戻る複合ピギーバック列車を編成して元の輸出港に戻す。それはまた、外国を仕向地と する定期コンテナ・サービスを提供する。 国際貨物の荷主と荷受人は NVOCC がもつ海運の専門知識と輸出入機会の単純な拡大か ら利益をえる。海運業者は NVOCC の懇願サービスにより可能となる市場拡大から利益を える。 3) 輸出管理会社 企業はしばしば国外市場でも自社製品を販売しようとするが、外国とビジネスするため の諸資源を欠いている。輸出管理会社(EMC)は、そのような企業が国外という環境の中 で事業を営むのに必要な専門知識を提供することができる。 [obtain orders] 受注 EMC は国際的な舞台で国内企業の代理店として活動する。その主たる機能は適切な市場 や流通チャネルを選定して、販売促進キャンペーンを行うことによって、顧客から製品を 発注してもらうことである。EMC は外国顧客の信用データを収集して分析し、決済条件を 輸出企業に助言する。また、外国の顧客から決済代金を徴収する。EMC は書類を作成して、 輸送の手はずを整え、保管施設を提供し、外国で在庫を維持し、送り先別に仕分けするこ ともある。 [exclusive agent] 排他的代理店 輸出企業は通常EMCと契約して、特定地域での排他的な代理権を提供する。EMCは委託 商品を購入したり、販売したりする。輸入企業に完全な製品ラインを提示するために、EMC は特別なタイプの製品ないし補完的な製品に特化するのが普通である【10。 輸出企業にとって EMC にはいくつかの利点がある。第一に、EMC は特殊な市場を専門 的に扱っているから、どの領域で何が要求されるかということについて詳細に理解してい る。彼らは消費者選好に関する最新の情報を持ち、輸出企業がその製品の売上げ目標を最 も効果的に達成することに協力する。第二は、EMC は輸入国政府と良好な関係を維持する ことに努めることと関連する。これにより、新製品を導入した際に有利な関税措置の適用 を受けることができる。EMC はまた必要書類に関する最新情報も持ち合わせている。これ は商品を滞留することなく輸入するのに役立つ。 10 John D. Daniels and Lee H. Radebaugh, International Business (Reading, MA: Addison- Wesley, 1986) : 465-99. (30) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 4) 輸出貿易会社 輸出貿易会社(ETC)は商品とサービスを輸出する。ETCは海外の買い手を捜し出し、 書類、内陸・国際輸送、外国政府が要求する条件を整える。ETCは商品に対する法的権利 をもつことも、もたないこともある【11。 輸出貿易会社は外国貿易の他の局面を引き受けることもある。その場合輸出貿易会社は 一般的な貿易商社になる。日本が国際貿易で成功した一つの理由は総合商社にある。海外 貿易のすべての局面を 1 つの実体に整理統合するこうした企業は銀行、海運会社、保管施 設、保険会社、販売力と通信ネットワークを備えているといえる。 [advantages] 利点 自前の諸資源をもたない中小企業は貿易会社の存在によってはじめて国際貿易に行うこ とができる。貿易会社は中間段階のすべてに注意を払いながら国際市場で商品を購入し、 販売する。あらゆる機能領域を統一的管理下におくことにより、市場が変動する時に調整 を容易にし、短い時間で対応する。 5) 通関ブローカー 通関ブローカーは通関商品の移動を監督し、商品の国内搬入にあたり運送書類が完全か つ正確であることを保証するものである。米国の通関ブローカーは財務省の認可が必要で ある。 通関ブローカーは荷主の代理人として貨物の輸入税を支払う。租税が未納であれば輸入 会社がその最終的責任をもつ。ブローカーは、最新の輸入規制と個別製品の特殊な要件に 精通している。 今日、通関ブローカーは、輸入貨物の通関処理に必要な情報を伝達するためにコンピュ ータを使う。米国では自動ブローカー・インタフェース・システムが使われており、カナ ダでは PARS システム(到着前レビューシステム)が使われている。コンピュータの使用 により、通関手続に要する時間と国際貨物の総輸送時間が大幅に短縮された。 6) 船舶ブローカー 11 Evelyn A. Thomchick and Lisa Rosenbaum, "The Role of U.S. Export Trading Companies in International Logistics," Journal of Business Logistics 5, no. 2: 86. (31) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 船舶ブローカーは船舶を用船したい荷主に対して仲介者の役割をはたす。船舶ブローカ ーは船主から見れば販売・マーケティング代理人であり、荷主から見れば用船代理人であ る。船舶ブローカーは船舶がいつ港に入るかを知っており、入港時間と荷主のニーズを調 整する。 7) 船舶代理店 船舶代理店は入港中船舶に対して船舶オペレータのローカルな代理人になる。船舶代理 店は船舶の到着、停泊、通関手続、船積み、陸揚げ、入港中船舶にかかるあらゆる料金支 払いの手はずを整える。荷主は船舶代理店に船舶の到着、使用埠頭、貨物の積取りと引渡 しに関する情報を求めることができる。 8) 輸出梱包業者 [rationale] 原理的説明 輸出企業に専門知識や専門施設がないとき、輸出梱包業者は輸出貨物の梱包サービスを 提供する。輸出梱包を専門家に委ねることには二つの利点がある。第一に通関に際して商 品の移動を容易にする。多くの国では内容物でなく梱包全体の重量で課税される。種々の 国の要件に精通している輸出梱包会社は、木枠やコンテナをもっとも経済的にするための 材料と方法を知っている。 輸出梱包会社を使用する第二の理由は、商品に十分な保護を与えることである。国際貨 物は気象条件の変化だけでなく過酷な荷役作業にも耐えなければならない。時間を短縮し 損害を減らすことによって得られる節約は、輸出梱包会社を使用した場合に支払う費用を より大きい。 9) Ports 港湾 グローバル・ロジスティクスで最も重要な意思決定の一つに港湾の選択がある。荷主企 業がグローバル輸送で利用する港湾の選択を誤れば、貨物の総費用を増やしてしまうこと になる。個々の貨物にもっとも適した港湾を選択するとき、ロジスティクス管理者は多く の要因を同時に考慮しなければならない。 [port authority] 港庁 「港庁」という用語は岸壁、埠頭、港湾地域にあるその他のターミナル施設を所有・運 (32) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 営している政府機関または政府当局をあらわす。開発に必要な資本と施設運用資金を提供 するこうした機関は、一般海運企業やその他のグローバル・ロジスティクス仲介業者に港 湾施設を有償で提供する。 [port evaluation study] 港湾評価研究 図 13-9 港湾評価要因 要 因 重要度 利用可能施設がある 1 貨物の喪失・損害の頻度が低い 2 便利な引取り・引渡し時間 3 大量出荷ができる 4 特殊な荷役ニーズへの対応 5 荷役費用が安い 6 船積み情報の提供 7 大量貨物/半端サイズ貨物の船積み・陸揚げ施設 8 荷役クレームのサポート 9 出 所 : Paul Murphy, James Daley, and Douglas Dalenberg, "Some Ports Lack Shipper Focus," Transportation & Distribution (1991 年 2 月): 48. 港湾選択におけるもう一つの重要な局面は、内陸地点と港湾施設の間でどのような国内 輸送手段が利用できるかという点である。国内貨物に関して言えば、荷主企業が使用すべ き輸送手段は、貨物の重量や数量、価値、特殊な荷役要件のような要因に依存する。グロ ーバル貨物では、製品をコンテナ詰めすべきかどうか決めなければならない。 ロジスティクス管理者は輸送モードを選んだ後、荷役費用と輸送費用を最小化するため に、内陸運送業者と海外にある船舶が十分に連携していることを確認しなければならない。 管理者は、仕向地港湾についても同様にこうした要因について考慮しなければならない。 このような配慮は、特に近代的な陸揚げ設備がなかったり、不足していたりする発展途上 地域と関わる場合に重要である。 積出港と望ましい仕向港に配船する特定の海運業者の識別も重要である。論理的に言え ば、ロジスティクス管理者は荷主に最大の利益をもたらす OD ペアに配船する船社を選択 する。 委託貨物が目的の港に到達すると、荷主はできるだけ迅速かつ安価に船積みすべきであ る。適切な設備と十分な労働力が利用できれば、それは顧客の有利に働くであろう。コン テナ貨物は専用施設を要する。特大サイズの貨物には重量クレーンが必要になる場合もあ る。これらの特殊設備は一部の港湾でしか利用できないかもしれない。 最後に、港湾選択意思決定者は「ドア・ツー・ドア」総輸送時間とその可変性に対する 施設の潜在的な効果を検討すべきである。輸送の開始地点から最終目的地までの輸送時間 と定義されるこのドア・ツー・ドア輸送時間は、大洋横断時間やポート・ツー・ポートの 輸送時間より確かに長い。ドア・ツー・ドアのロジスティクス・サービス時間と可変性を 最小化する港湾は、包括的なロジスティクスを好む荷主にとって魅力がある。 表 13-6 は、1993 年時点における取扱いコンテナの個数、総トン数、貿易金額を基準にし (33) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス た米国港湾のランキングである。西岸諸港は環太平洋貿易で利用されることから、コンテ ナの取扱い個数と貿易金額の面で高いランクにある。ガルフと大西洋岸諸港は取扱い総ト ン数で高いランクにある。 表 13-6 米国港湾のランキング コンテナ取扱個数 トン ロサンゼルス サウス・ルイジアナ ロングビーチ ヒューストン ニューヨーク/ニュージャージ ハンプトンローズ サンジュアン ニューオリンズ オークランド ニューヨーク/ニュージャージ シアトル バトン・ルージュ タコマ Corpus Christi 出所:Data from U.S. Public Port Facts (Alexandria, VA: 金額 ロサンゼルス ロングビーチ ニューヨーク/ニュージャージ シアトル オークランド ヒューストン タコマ 米国港庁協会、1994 年 9 月). 〔補足データ〕第 7 版より 表 5-5 米国主要港湾のランキング コンテナ取扱い個数 数量 金額 Long Beach Houston Long Beach Los Angeles New Orleans Los Angeles New York/New Jersey South Louisiana New York/New Jersey San Juan New York/New Jersey Houston Oakland Corpus Christi Seattle Seattle Hampton Roads Charleston Charleston Beaumont Hampton Roads Hampton Roads Long Beach Oakland Tacoma Philadelphia New Orleans Houston Morgan City Baltimore 出所:"Port Facts and Statistics," 米国港庁協会(2000). http://www.aapa-ports.org/portjfactsj3ody.html より入手可能 Ⅵ 保管施設と梱包 1) 保管施設 [containers] コンテナ 商品が国際輸送されている途中の数箇所で、貨物を保管することが必要になる場合があ る。貨物が仕向港に到着し次の輸送を待っている間、あるいは通関手続きの手配をする間、 一時保管の必要が出てくることがある。商品はコンテナ化で悪天候、盗難と抜き取りを免 れる。したがって、運送業者や荷主は、内容物にほとんど影響を与えることなしにコンテ ナを屋外に保管することができる。 [other options] その他の選択 (34) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 他方、非コンテナ化貨物はよい状態で到着させたいならば、保護が必要である。このニ ーズを対応するために、港湾はいくつかのタイプの保管施設を提供する。桟橋・埠頭・空港 付近に設けた屋根付きの保管所である積換え上屋(transit shed:桟橋上屋=pier shed と埠 頭上屋=wharf shed がある)が一時的な保管場所になる。港湾使用料金には普通一定の無 料保管日数が含まれている。この期間が過ぎたあとは、利用者が毎日の料金を支払うこと になる。この一時保管中、積込み前の貨物に対して荷主は必要な業務を行うことができる。 その業務として、運送業者との交渉、書類作成、梱包、木枠詰め、ラベル貼付などがある。 運送業者は次の出航日までの間甲板上で保管することを認めており(無料)、その間荷主は 商品を混載したりして、保管費用を節約することができる。 長期的な保管が必要であれば、荷主は倉庫を使用する。保管期間が長ければ営業倉庫を 利用できる。これらの施設が提供するサービスと料金は国内の営業倉庫と似ている。税関 の監督下にある保税倉庫は、「(1)倉庫保管される予定の輸入商品や税関の収税官が押収し た輸入商品を一時保管する、(2)商品の製造を管理する、(3)再梱包や仕分けする、(4)輸入商 品を通関する目的のために、」米国財務省が指定するものである【12。保税運送業者だけが商 品を保税倉庫から搬出入する。 [purpose] 目的 保税倉庫の目的の一つは、輸入した商品を米国から再び船積みするために一時的に保有 することである。商品所有者は保税倉庫で最長 3 年間保管することができ、輸入税等を支 払うことなく商品の最終処理を決めることができる。所有者が 3 年経過しても商品を再輸 出しなければ、それは輸入品とみなされ、該当する租税すべてを支払わねばならない。 2) 梱包 [importance] 重要性 海上輸出貨物は通常の国内貨物より厳重な梱包を要する。輸出貨物には多くの荷役が行 われる:それはまず出発点で荷積みされ、埠頭で荷卸される。さらに港で船積みされ、仕 向港で荷揚げされる。そこで次の輸送手段に引渡されて荷積みされ、最終目的地で荷卸し される。この荷役は例えば厳しい天候のもとで行われたり、旧式の荷役設備を使って行わ れたりする。保管施設が不適切であれば、商品は自然の力に長期間さらされることになる かもしれない。 [protection] 保護 荷主にとって輸出商品の損害賠償を求めることが非常に難しい場合がある。通常、貨物 の荷役はさまざまな国に立地する多くの企業を巻き込む。厳重な梱包は輸出貨物の損害賠 12 Paul S. Bender, "The International Dimension of Physical Distribution Management," in The Distribution Handbook, ed. James F. Robeson (New York: The Free Press, 1985) : 801. (35) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 償請求を避けるためにも重要である。 [higher cost] 高いコスト 品切れ費用は、輸出貨物に対する保護的色彩の濃い梱包を正当化する(梱包費用の増大)。 輸出距離は一般に非常に長く、追加発注した貨物を受け取るのに要する時間も長い(2∼4 ヵ月)ので、買い手と売り手は非常に大きな品切れ費用を負担しなければならない。買い 手は調達先を変更し、売り手はビジネス機会を失うこともある。 梱包の重量、長さ、幅、高さは顧客の指示に従わなければならない。梱包の諸次元は通 常輸入国における物理的な輸送制約に従う。例えば米国で一般的な 40 x 8 x 8 フィートコン テナは、外国の一部で輸送できないことがある。コンテナは一部の国の既存輸送施設と互 換性がないかもしれないし、幹線道路や橋、陸橋の高さと横幅を越えるかもしれない。梱 包した商品が輸送できなければ、荷主は梱包をやり直さねばならない。この追加的荷役の ために、費用が新たに発生したり、遅延がおきたり、商品が散逸したり損傷したりする危 険が高まる。 [containers] コンテナ 売り手はしばしば海上コンテナを使用する。コンテナ貨物の荷役はかなり簡単である。 荷役作業の軽減は他モードへの積替え時間を短縮すると同時に、危険と損害も減少させる。 コンテナを使用するか否かの決定は、コンテナの追加費用、返却輸送費用と追加的荷役・ 保管費用という費用増大要因とともに、上述した節約を考慮しなければならない。 [marking] マーキング 国際貨物の梱包マーキング要件も国内貨物の場合と異なる。国内貨物の梱包マーキング は内容物と荷受人のようなものの詳細を示す。輸出貨物の梱包は貨物の情報をほとんど提 供しない。大きな幾何学記号、番号、文字と種々のコード(図 13-10 参照)を通して、英 語が理解できない外国の荷役業者に荷役方法等を指示する。コードの使用は荷主、荷受人、 商品の正体を隠すのに役立ち、抜き取り被害を蒙る可能性を小さくする。 (36) 11/30/2004 Ⅶ 第 13 章:グローバル・ロジスティクス GOVERNMENTAL INFLUENCES 政府の影響 図 13-11 が示すように、輸出入のプロセスは関係するさまざまな仲介者から見て、とて も複雑である。加えて、輸出入書類は国内貨物よりはるかに複雑である。書類の問題につ いては、第 10 章でいくらか詳細に述べた。 [role of government] 政府の役割 本節では、国際貿易における政府の役割と関連した問題について述べる。上述したよう に、国際貿易を単純化して取引の流れを円滑化しようと試みる政府の数は増加している。 政府が国際貿易の流れを規制する方法がいくつかある。その一つは輸入税によるもので ある。政府は地場企業を競争から保護するために、しばしば高い税率を設定してきた。も う一つは、特定商品に関して輸入割当制を導入することである。輸入割当制は特定の時間 (通常1年)に輸入される製品の数量に制限を加えるものである。危険なアイテムの輸入 を防ぐために国が法的規制に乗り出すこともある。例えば、多くの国は、病気の蔓延を防 ぐために動植物の輸入を制限する国は多い。安全性の見地から、その他の輸入制限を設け ることもある。 企業は商品を国際的に動かす前に、あらゆる制限について配慮しなければならない。最 新の規制についての知識が不十分であれば、顧客遅延や余分な輸入料金という形で、時間 とマネーの大きな損失を招いてしまう。 (37) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 1) 関税規制 [protection and revenue] 保護と歳入 国の関税政策は商品の国際移動に最も大きく影響する。関税規制は国内産業を保護し、 国家歳入を確保するという二つの基本的な目的をもっている。 関税規制は高率の輸入税、輸入割当制、輸入可能アイテムの制限を通して自国産業を保 護する。荷主企業が販売契約を締結する前にこれらの要因すべてを調査しておくならば、 実際の入国時間にほとんど影響なく納品することができる。 [import duties] 輸入税 規制は輸入税の徴税を通して国家歳入を増やす。輸入税は国の法律によって設定される ものであり、三つの課税基準がある。 従価税は輸入税で最も一般的なものである。それは輸入アイテムの価値の一定割合とし て算出される。例えばあるアイテムの価格が 1,000 ドルで、輸入税率を 15%とすれば、輸 入税は 150 ドル($1000×0.15=150 ドル)になる。輸入税の計算に使われる価値はアイテ ムの取引価値、すなわちアイテムに支払われる総価格ないし支払可能な総価格である。そ の中には、積み地でのアイテム価格、買い手負担の梱包費用、販売手数料、ロイヤリティ ないしライセンス料、輸入許可を得るのに必要な修正に要する費用が含まれる。 輸入税の課税基準で次に主要なものは重量もしくはアイテム単位あたり費用である。例 えば1ポンドあたり 5 ドルまたはアイテム単位あたり 100 ドルという税率である。アイテ ムの重さや数がわかっていれば、この重量税は計算が簡単である。 第三のものは複合税率である。これは従価税と重量税を結合したものである。200 ドルの 価値をもつアイテムを 100 個輸入する場合、この貨物に適用する税率をアイテム価値の 12% およびアイテム単位あたり 25 ドルであると仮定しよう。このとき、総輸入税は次のように 計算される: Ad valorem rate 従価税: 100×$200×0.12 = $2,400 Unit rate: 単位税 100 個×$25 = $2,500 Compound rate 複合税: $2,400 + $2,500 = $4,900 アイテムの所有者が再輸出を前提に輸入した場合、いったん関税を納付した後、関税還 付を申請することがある。関税還付は、輸入時に払われた関税の 99%を返還するものであ る。1%は税関サービスの管理料として留保される。関税還付を受けるには、3 年以内に再 輸出して申請書を提出しなければならない。 2) その他の関税機能 税関は輸入税の徴収以外に輸入商品の検査にもあたる。商品を国内に搬入する前に実施 (38) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス されるこれらの検査には、以下のものがある。 ・アイテムの価額が船積書類の記載と一致していることを確認する。この価額は輸入税の 算定に使われる。 ・アイテムが正しくマーキングされているかどうかを確認する。それは、積み地国が明記 されていなければならないほか、安全であることを示す適切なラベル、指示マークまたは 特殊マークが記されていなければならない。 ・輸入禁止アイテムを発見する。そのようなものとしては違法な麻薬・武器、国内標準に 合わないアイテムなどがある。 ・荷送状が正しく作成されているかどうか、特に数量が正しく記載されているかどうかを 確認する。 ・輸入割当量を統制する。 [entry procedures] 輸入手続き 税関は関税を徴収し、輸入審査を行う。輸入審査(エントリ)は、輸入商品の所有権を 確保するためのあらゆる法的手続きを含んでいる。輸入審査手続きは、貨物が到着した日 から 5 営業日以内に始めねばならない。税関は輸入審査においてすべての輸入要件を満た していることを確認し、税額を算定するために船積書類を精査し、アイテムを検査する。 通関ブローカーは通関をスムーズにする上で非常に重要な仲介者である。 荷主企業が出荷に先立ち適切に調査しなければ、通関手続きに多くの時間がかかり、費 用も高くなる。最善なのは通関要件をあらかじめ承知していることである。米国の Customs Service は輸入審査をわかりやすくしようと努力している。電子データ伝送の普及は輸入審 査を迅速化して時間を短縮し、通関手続きの全体的な効率を改善するものである。 3) Foreign Trade Zones 外国貿易ゾーン 国際貿易ゾーン(FTZ)とは輸入税等を課税されることなく荷主が商品を陸揚げして保管 し、加工することもできる国内の特定地域を言う。FTZ は国際貿易関係者にとって多くの 利点がある。その主なものは次のとおりである。 ①税関の形式的手続き経ないで課税されることなく商品を陸揚げ・保管することができ る。FTZ は税関の管理下にあるので、商品はことのほか安全である。 ②実際に輸入手続きに入る前に、荷主は商品を送り先別に仕分けすることができる。状 況にもよるが、こうした事前の仕分けは関税と輸送費を節約する。 ③輸入品は局地的な必要条件に見合うよう、輸入の前に加工処理、再マーキングまたは 再梱包することができる。これによる、マークが不適切な商品の輸入に対して課され る罰金を回避できる。 ④FTZ は、次の輸入割当期間まで待たなくとも、割当て以上に商品を保持することがで (39) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス きる。 ⑤買い手は商品を輸入する前にサンプルをとってテストすることができる。これによっ て、買い手は商品を受け入れて輸入税を支払う前段階で、当該商品があらゆる契約条 件を満たしていることを確認することができる。 ⑥所有者は、FTZ にある商品を FTZ 所在国に輸入税を支払わないまま、再輸出するこ とができる。 ⑦期間をあいまいにしたまま商品を FTZ で保管することができる。 FTZ がもつ一つの非常に重要な側面は、製造のために FTZ を使うことができる点である。 メーカーは最も安い価格で生産加工資材を世界市場から購入し、FTZ に持ち込むことがで きる。第二に、最終製品を再輸出することができるし、部品と最終製品のどちらか輸入者 にとって利益が多いほうに輸入税を納めて輸入できる。加えて、生産プロセスから出た廃 棄物や副産物には課税されず、メーカーの節約は大きい。 まとめ ◎グローバルなビジネス活動とロジスティクス活動は拡大を続けている。現代のビジネス では、資材調達先と製品販売市場を外国に求める場合がますます多くなっている。ロジス ティクスはこれらの地理的に遠く離れた調達先と販売市場を結びつける。 ◎貿易障壁が低くなるにつれて、グローバルな競争は激しくなる。競争激化のために、グ ローバル企業が世界的基準で戦略を策定するにいたった。 ◎グローバル企業は世界に共通した需要を満たそうとする。 ◎ポーターの「動態ダイヤモンド」理論は、国としてのグローバルな競争優位が四つの要 素と関係することを示している:要素条件、需要条件、関連(支援)産業、企業の戦略、 市場構造と競争相手の有無。 ◎グローバル・ロジスティクスは、米国外航海運業の規制撤廃、複合一貫輸送の進展、輸 送管理の徹底、貿易政策の変更と通貨変動の結果として重大な変化を見せた。 ◎米国の主たる貿易相手国はカナダ、日本、メキシコ、英国、ドイツである。 ◎欧州連合(EU)は 12 か国 3 億 2000 万人の消費者を有する地域を単一貿易ブロックに統 合するものである。ロジスティクス面における EU 成立の影響は、書類の削減、通関続き の単純化、共通国境ポストである。 ◎東欧諸国特にかつてソ連邦を構成していた国々は、グローバル企業にとって大きな成長 ポテンシャルをもつ市場である。 ◎米国、カナダ、メキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)を通して世界で最も豊かな貿易 ブロックを形成している。カナダを出入りする製品のロジスティクスにはほとんど問題が (40) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス ない。しかし、対メキシコ貿易のロジスティクスは書類、税関、輸送インフラ、ラベリン グの点で困難な課題に直面している。 ◎米墨国境沿いのメキシコ国内に生産・組立拠点をもつ米国企業は保税加工場 =Maquiladora を運用している。保税加工場は生産(労働)費を低く抑えるほか、米国の 輸入税はメキシコで生産・組み立てられた製品の付加価値部分にのみ課税される。 ◎アジアと南米の国々は商品のかなり大きい販売市場であると同時に資材・部品の調達源 である。 ◎グローバル輸送システムの主たるルートは海路と空路である。隣接国間の輸送には鉄道 とトラックが使われる。 ◎グローバル・ロジスティクス・システムは仲介業者に大きく依存している。その主なも のは国際フレートフォワーダ、航空フレートフォワーダ、NVOCC、通関ブローカー、輸 出管理会社である。 ◎外国貿易に使用される港湾は総ロジスティクス費用とサービスに直接影響する。港庁と は、港湾設備を所有し運用する政府当局である。諸施設の利用可能性は、最も重要な港湾 選択要因である。 ◎保税倉庫とは、販売または消費のために貨物を移送するまで課税が猶予される輸入貨物 の保管施設である。 ◎グローバル貨物の梱包は国内貨物の場合よりも厳重である。 ◎関税規制は輸入国に税収をもたらし、国内産業を保護する目的で行われる。 ◎国際貿易ゾーンとは、輸入会社が輸入税や国内税を課税されることなく商品を陸揚げ、 保管、加工処理することができる地区である。 研究のための質問 1.世界貿易とグローバル・ロジスティクスの意義にはどんな傾向が見られるか? 2.グローバル企業に関して、技術・マーケティング・製造の部門におけるロジスティクス戦 略とその他の企業戦略の関係について述べなさい。 3.個々の荷主企業と米国全体の視点からグローバル・ロジスティクスの重要性について論じ なさい。 4.マイケル・ポーターの「動態ダイヤモンド」の主要な要素は何か?グローバル企業の成功 にとって、何が最も重要であると考えるか? 5.政治環境、法的環境、輸送環境はグローバル・ビジネスとグローバル・ロジスティクスに どのように影響してきたか? 6.NAFTA とは何か? それは欧米の輸出企業のグローバル・ロジスティクス・システムに (41) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス どんな影響があるか? 7.グローバル・ロジスティクス・システムにおいて仲介業者がはたす役割について述べなさ い。国内ロジスティクス・システムではなぜ仲介業者が必要とされないのか? 8.グローバル・ロジスティクスとの関連で港湾選択する際、どんな要因を考慮すべきか? 9.国際貿易ゾーンとは何か?グローバル・ロジスティクスとの関連でそれはどのような意味 があるか? 10.関税規制の役割は何か?それはグローバル・ロジスティクスにどのように影響するか? Case 13-1 1) SPORT SHOES, INC. Sport Shoes 社(SS)は確たる基礎をもつ米国のスポーツシューズ小売企業である。同 社は最高級品スポーツシューズだけでなくテニスシューズの全ラインを販売している。そ の製品は若いプロ選手が使用して、ファッションになった シューズはすべて環太平洋地域で製造され、海上コンテナで米国へ輸送される。コンテ ナはロングビーチ港に到着し、そこからインディアナ州インディアナポリスの物流センタ ーまで DST で輸送される。インディアナポリスの物流センターから、米国内 250 店とメキ シコの 60 店に直接出荷される。環太平洋地域のメーカーから米国の店舗にいたるまでの総 サイクル時間は 4 週間、メキシコの店舗までは 7 週間である。 SS 社は 1990 年以後メキシコにも店舗展開を図ってきた。まず 3 店舗から始まり、現在 メキシコの「黄金の三角地帯」で合計 60 店まで増えた。 「黄金の三角地帯」とはメキシコ シティー、グアダラハラ、モンテレーに囲まれた地域を言う。そこにはメキシコ全人口の 半分以上が住んでいる。 メキシコにおける靴のロジスティクスは 1993∼1994 年に重大な段階に達した。メキシコ 経済における高い成長が米国商品の輸入増加と結びついて、SS スポーツシューズの需要が 爆発的に増加したのである。SS 社はメキシコで小売店舗の数を増やすにつれて、インディ アナポリス物流センターからこれらの店舗への供給量も増えていった。米国からメキシコ に流れる商品が増加するにともない、国境通過地点が混雑してサイクル時間が長くなり、 品切れが多くなった。 ロジスティクス・インフラの整備はメキシコ経済の成長に追いついていかなかった。国 境通過地点は非常に混雑するようになり、ピーク時には標準的な通関時間が 2∼3 日にもな った。主要道路は大部分が未舗装道路(約 55%)と二級道路(約 25%)である。トラック 輸送は多数の小規模地場会社によって支配力されている。メキシコの法律は国内のトラッ ク会社を外国人が所有することを禁じているので、米国トラック輸送会社はメキシコで営 (42) 11/30/2004 第 13 章:グローバル・ロジスティクス 業していない。米国の一部トラック輸送会社はメキシコのトラック輸送企業と戦略的同盟 を結んでおり、これが役立っている。今後 10 年間のうちに、NAFTA は外国投資家が外国 貨物を輸送するメキシコのトラック輸送会社の 100%所有を許すことになろう。 メキシコにおける SS シューズの需要増大を前提に、トップマネジメントは戦略的にメキ シコにとどまる旨発言してきた。トップマネジメントはまた、メキシコ店向けシューズの 長いサイクル時間を解決することが非常に重要であるとしてきた。 2) Case Questions ケースの質問 1.米国とメキシコで流通するシューズのロジスティクス・サプライチェーンについて述べ なさい。主な類似点と相違点はどこにあるか? 2.メキシコ市場を支えるロジスティクス・システムに対してどんな変更を勧告しますか? 3.メキシコの政府は 1995 年に、米ドルに対してペソの価値を 50%引き下げた。この切下 げはメキシコにおける米国商品の需要にきわめて否定的な影響を与えた。この金融措置 は、あなたが推奨するメキシコ向けショーズのロジスティクス・システムにいかなる影 響を与えるか? 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