ITS Japanニュース№120(2005年2月号)

2005 年
ITS Japan NEWS
2 月号
No.120
ITS Japan
◆『ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004』
報告会
◆産学連携特集:
産官学連携・ITSに向けて
◆地域 ITS フオ-ラム報告
◆「第 11 回 ITS 世界会議 愛知・名古屋
2004」報告会
◆第 3 回 ITS シンポジウム報告
◆幹事会報告
1.新しい潮流「市民参加」「体験型」
地域・地元・大学の盛り上がり
日本組織委員会
事務局長
石 太郎
2. ショーケース・テクニカルツアー総括
日本組織委員会
野口 好一氏
3.ITS ワールド実施結果
日本組織委員会
小野 哲彦氏
4. 展示会報告
ITS Japan 世界会議委員会 平本 賀一氏
5.会議のポイント
・全体報告
前 ITS 世界会議 BOD 議長 池内 克史氏
・Plenary&Executive Session での安全関連の発表概
「ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004」報告会(写真上)
が 2 月 1 日(火)、日本消防会館 ニッショーホール(東
京都港区虎ノ門)で 423 名が参加して行なわれました。
ITS Japan と『ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004』日本組
織委員会が主催し、7 団体(財団法人日本自動車研究所、
社団法人電波産業会、財団法人道路新産業開発機構、社
団法人新交通管理システム協会、社団法人日本自動車連
盟、技術研究組合 走行支援道路システム開発機構、イン
ターネット ITS 協議会)が後援して行なわれた報告会は、
世界会議の振り返りとセカンドステージへ向けて、第 1
部が『ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004』の報告、第 2
部は、
「ITS セカンドステージへ向けて」と題したパネル
デイスカッション・・の二部構成で実施されました。
「ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004」のハイライト映像シ
ーンが 13 分放映された後、ITS Japan 専務理事・寺島事
要+α
ITS Japan 常務理事 菅 雅明
・欧米の ITS 動向
ITS Japan 国際部 部長 玖野 峰也
6. ITS 関係 4 省庁 5 局の取り組み
・警察における路車協調システムの現状と将来
警察庁長官官房参事官 室城
信之氏
・電波メディアの高度化と ITS セカンドステージ
総務省総合通信基盤局 室長
藤本 昌彦氏
・DSRC とインターネット ITS
経済産業省製造産業局 室長
渡邉 誠氏
・How many units do you need?
国土交通省道路局
室長 宮地
淳夫氏
・自動車交通分野における ITS
国土交通省自動車交通局 室長
坂野 公治氏
務局長が開会挨拶し、下記スケジュールで行なわれまし
◆第 2 部 ITS セカンドステージへ向けて
た。
1.日本 ITS 推進会議とセカンドステージへ入った ITS
国立情報学研究所 副所長、ITS Japan 副会長
◆第 1 部 「ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004」の報告
坂内
正夫氏
ITS Japan NEWS No.120 <1>
第1部の登壇者②:関係 4 省庁の代表
2.パネルディスカッション
「実用化フェーズに於ける具体的取り組みについて」
モデレータ:
坂内
正夫氏(国立情報学研究所 副所長、
ITS Japan 副会長)
室城信之氏
パネリスト:
辻
藤本昌彦氏
渡邉
誠氏
英夫氏(財団法人道路新産業開発機構
常務理事 「ITS の展開 DSRC の応用等」)
藤井
治樹氏(財団法人日本自動車研究所
ITS センター長 「JARI の取り組み」)
小林
哲氏(社団法人電波産業会
常務理事
「ARIB における ITS 情報通信システムに関する取
り組み」)
田島
昭幸氏(社団法人新交通管理システム協会
専務理事 「UTMS のこれから」)
天野
肇氏(社団法人日本自動車工業会
ITS 企画部会長
「豊かなクルマ社会の実現に向けて
安全と環境
への取り組み」)
岩越 和紀氏(株式会社 JAFMATE 社 社長
「ITS の実用化とユーザーの期待 JAFMATE 誌のア
ンケート調査 WHAT’S ITS より」)
◆閉会挨拶 ITS Japan 事務局次長
田中 浩二
●第1部 下記 12 名の登壇者から報告がありました。
第1部の登壇者①:日本組織委員会、ITS Japan 関係代表
宮地淳夫氏
坂野公治氏
●第 2 部
第 2 部 「ITS セカンドステージへ向けて」では、まず
坂内
正夫国立情報学研究所 副所長(ITS Japan 副会長)
から、「日本 ITS 推進会議とセカンドステージへ入った
ITS」について、
『セカンドステージへのポイントは、①創
る価値の明確化と重点化(「安全・安心」「環境・効率」「快
適・利便」)②3 つの連携(水平連携、垂直連携、国際連
携)・・が大事だ。水平連携とは、よりフオーカスされた
ターゲットを共有する政府・自治体・産業界・民間など
の連携のことであり、昨年 9 月の日本 ITS 推進会議の設
立はその代表例だ。同会議はユーザー、4 省 5 局長、経
団連、自動車・電子・情報・道路など関連団体、学会な
どの代表で構成され、昨年 10 月に「ITS 推進の指針」を提
言すると共に、ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004 にて世
界発信した。垂直連携とは研究開発からシステム・製品
の誕生、そして運用、ユーザーまでのシームレスな連携
(産官学民連携)のことをいい、特に研究開発ではター
石
太郎
野口
好一氏
ゲット実現のためのブレークスルーが必要であり、シス
テムは社会制度やユーザーに受容されなければいけない。
市民参加の意義と発展が大事だ。一方、国際連携は国内
で培われた価値を常に世界発信するという視点に立ち、
国際普及のための戦略・戦術を持ち、国際的関連コミュ
小野
哲彦氏
平本
賀一氏
ニテイーとの連携強化を図ることだ。ITS Japan は 2005
年 6 月から法人化する予定であり、自らの企画力、機動
力、体制の強化に努め、3 つの連携強化の重要な柱を担
う決意である』との説明がありました。
続いて 6 人のパネラーから各々の所属団体の ITS 取り
組み報告(DSRC 応用、プローブ情報システムなどに関す
池内
克史氏
菅
雅明
玖野 峰也
る標準化、共通プラットフオーム化、安全と環境への取り
組み、ユーザーアンケートの分析報告など)が行なわれ
ITS Japan NEWS No.120 <2>
た後、パネルデイスカッションに入りました。
◆産学連携特集:
主な意見は下記の通りでした。
・ビジョン作りが大事だ。安全に向けた通信網の整備
産官学連携 ITSに向けて
についてビジョンが描ききれていないと思う。
・シンポジウムで、例えばプローブをスペシャルセッ
-Public-Private-Academia Partnership in ITS
ションで採り上げ、ITS 推進関係団体が方策を発表
するようにしたら突破口が開けるかもしれない。
東京大学 駒場リサーチキャンパス
・車メーカとインフラ側が協力して推進してほしい。
戦略情報融合国際研究センター
・ユーザーの生活シーンに立脚したシステム開発が大
国際・産学共同研究センター
事だ。
東京大学では、様々な部局において ITS の研究を行っ
・ユーザーニーズを技術開発の早い段階から取り入れ
ていく仕組み作りが大切だ。
ています。メインキャンパスの本郷キャンパスは、工学
研究科(工学部)を擁し、土木系、機械系、電子情報系
・ユーザー、市民に ITS をわかりやすく正しく知って
いただく地道な広報努力が必要だ。
の各分野で ITS の研究が行われています。例えば土木系
の研究室では TDM(交通需要制御)等都市工学の観点か
最後に、坂内モデレータが『これまでの関係者の努力
らのアプローチ、機械系の研究室では車両の運動や制御
で ITS が実りあるもになってきたことが理解できた。今
からのアプローチ、電子情報系では、電気鉄道やロボッ
後は個々の特徴は活かしつつ、さらに日本の ITS を世界
トに関するアプローチ等があります。本郷キャンパス以
に誇れるものに高めていくには、最も効果的になし得る
外にも駒場地区にある駒場リサーチキャンパスには、生
コラボレーションが必須だ。常時、より高い広い議論が
産技術研究所や空間情報センターをはじめ、戦略情報融
できる場作りが肝要だ。』と、結ばれました。
合国際研究センター、国際・産学共同研究センターとい
第 2 部の登壇者:
った部局があり、各部局の中に様々な ITS に関する研究
室があります。生産技術研究所では、ロボットや電気自
動車、空間情報センターでは、GIS に関する研究を行っ
ているところがあります。一般に大学では異なる学科間
での横のつながりが少ない傾向がありますが、駒場リサ
ーチキャンパスにある生産技術研究所には、工学系の
坂内
正夫氏
辻
様々な分野の研究室がまとまっていることが幸いして、
英夫氏
ここを拠点としてこれら多くの部局間での連携がとられ
ています。
今回は東京大学における ITS 活動の中から 2 つの部局
で行われている産学連携に関係の深いものを紹介します。
最初に活動を紹介するのは、戦略情報融合国際研究セ
藤井
治樹氏
小林
ンターの坂内教授・上條助教授のグループです。坂内教
哲氏
授は、国立情報学研究所副所長、ITS Japan の副会長も
つとめています。このグループは千葉工業大学赤羽先生
とも連携をとりながら研究を進めています。
田島
昭幸氏
天野
肇氏
岩越
和紀氏
(担当:広報・会員サービス部
下之薗)
研究テーマは次のようになります。
1.交通事故削減
●リアルタイム交通監視システム
●事故要因解析
2.技術応用研究事例交通統計量自動取得システム歩行者
/セキュリテイ
ITS Japan NEWS No.120 <3>
3. S-T MRF (Spatio-Temporal Markov Random Field)3.
ています:警察庁、経済産業省、国土交通省、日本道路
の S-T MRF モデルを用いて開発したシステムを利用し
公団、首都高速道路公団、トヨタ自動車株式会社、日産
て高精度に車両を追跡し、さまざまな交通事象の検出を
自動車株式会社。
行っています。特に、2 車線道路の交通映像を用いた事
本研究プロジェクトでいう「サステイナブルITS」とは、
故検出実験において 90%以上の交通事故検出率を達成
通常の持続可能性の他にも、次の2つの意味を含んでいま
しており、交通事故削減の研究のために利用されていま
す:1)利用者に受け入れられビジネスとして成立するITS、
す。また、このシステムの応用として、得られた結果を
2)持続可能な交通社会に貢献するITS。
データベース化する統計量自動取得や、対象を歩行者に
も広げて追跡を行う研究も行なっています。
こうした理念の下、具体的には次のようにプロジェク
トが進められています:現実の交通空間とバーチャル空
これらの研究の核となる S-T MRF (Spatio-Temporal
間を複合した「複合現実感交通実験スペース」を構築し、
Markov Random Field) モデルとは、従来の MRF モデルを
そこでヒューマン・ファクター特性(利用者の交通選択
時間軸方向に拡張したモデルです。MRF モデルは二次元
行動、運転挙動、情報レスポンス)を観測・解析し、最
静止画像の領域分割に対する有用性が示されていますが、
後にその結果に基づいて、サステイナブルなITSの設計・
当モデルは画像フレーム間の時間軸方向の相関関係にも
評価を行います。
着目し領域分割を行っています。各領域の時間方向の動
この中でも、「複合現実感交通実験スペース」の構築が
きを考慮に入れるため、動画像に対してオクルージョン
本プロジェクトのポイントになります。この実験スペー
や照度の変化にロバストな領域分割を行うことが可能と
スは、実際の交通量データを取得しデータベース化する
なりました。このシステムに関しては、コンソーシアム
実環境実験室と、これらの実際のデータに基づいて再現
を作り、会員企業との共同研究という形で産学連携を図
した交通流の中を運転者が模擬走行できる仮想実験室と
っています。次図に S-T MRF システムが動作している様
からなります。ここでは後者について簡単に紹介したい
子を示します。詳細は HP (http://kmj.iis.u-tokyo.ac.jp/)
と思います。
仮想実験室は、一言でいえば、交通工学の世界で使わ
を御参照下さい。
れている交通流シミュレータ(以下 TS)と機械の世界
で使われているドライビングシミュレータ(以下 DS)
とを融合することで、実際の交通状況の中を運転者が走
行することができる環境のことです。TS や DS について
は以下でも説明しますが、TS が秒や分単位の世界なの
もうひとつの活動は、国際・産学共同研究センターで
に対して、DS は人間の動作・反応、車両の応答といっ
2003 年 4 月から始まった「サステイナブル ITS プロジェ
た 1/30 - 1/60 秒の世界になります。両者のギャップは
クト」です。このプロジェクトは、交通工学・制御機械
あまりにも大きいので、両者の中間の細かさを有する交
工学・電子情報工学といった異技術分野間の融合を縦糸、
通流ミクロシミュレータ(以下 KAKUMO)が必要にな
産・官・学の連携と協力を横糸とする共同研究を推進し、
ります。また、TS の世界では運転者席からの表示にこ
真に役に立つ ITS 技術を開発/提供、豊かな社会の形成、
だわる必要はありませんが、DS の世界ではこの表示系
新しい ITS 産業の創出、研究開発を通しての人材育成に
(以下 IMG)が重要となります。そして、これら 4 者の
寄与したいと考えて、大学 3 研究室と民間企業 8 社でス
背景には種々のデータベース(DB)が存在します(下
タートしました。大学 3 研究室とは、交通工学から桑原
図)。
研究室、制御機械工学から須田研究室、電子情報工学か
ら池内研究室であり、民間企業 8 社とは、アイシン・エ
イ・ダブリュ株式会社、株式会社社会システム研究所、
株式会社長大、株式会社東芝、松下電器産業株式会社、
三菱重工業株式会社、三菱プレシジョン株式会社、日本
気象協会です。この他に、以下の機関からの支援も受け
ITS Japan NEWS No.120 <4>
以下では、TS、DS、KAKUMO、IMGの4つの要素に
(下図左。右は表示画像例)。
ついてもう少し説明します。
1. 交通流シミュレータTS
主に桑原研究室が開発している TS は、仮想現実感交
通実験スペース内の道路ネットワーク全体の交通状況を
管理し、交通量の発生・集中、渋滞などの交通現象、ド
ライバの経路選択行動などを再現します。扱う道路ネッ
トワークに応じて、時間・空間分解能を調整する必要が
更に、レイアウトフリーな運転席は、自動車のみならず
あります。本プロジェクトで適用する TS は、交通工学
鉄道車両の快適性評価などの様々な研究用途で使用する
の分野で使われるものをベースとしており、次の条件を
ことも可能です。
満たすものとしています。
●車両を 1 台 1 台区別できるミクロ型交通シミュレーシ
ョンであり、個々の車両の経路を動的に決定する機能を
3.画像表示装置IMG
主に池内研究室が開発しているIMGは、従来、DS付属
内包している。
のIMGに代表されるように、3次元の街並みをCGで再現
●タイムスキャン方式を採用し、
その周期は 1 秒である。
する必要がありました。
●信号を含む一般的な交通制御を扱える。
しかし、今回新規開発したIMGは、近景である道路、
●必要に応じて一部のリンク(または区域)を他のモデ
車両に従来のIMGからの映像を使い、背景である街並み
ルへ置き換えることができ、かつ車両情報を交換し合う
の画像に実写映像ベースの簡易幾何モデルを採用した新
ことでお互いの交通状況を共有できる。
規IMGからの映像を使い、両者をハードウェア的に合成
●都市内レベル(東京都でいえば首都高速道路全線程度)
することで提示映像を生成するようにしました。実写映
のネットワークシミュレーションを実行できる。
像取得の際必要なのは、車両にビデオカメラを搭載して
●交通シミュレーションクリアリングハウス
一度だけ走行することだけです。これだけで、何車線道
(http://www.jste.or.jp/sim/index.html) で 公 開 さ れ て い
路であっても任意視点からの映像を生成することができ
る交通シミュレーション検証マニュアルに沿って、実用
ます。その結果、従来に比べて非常に低コストかつ短時
検証を行っている。
間で街並み映像の生成ができるようになりました。
TS では、DS や KAKUMO との相互作用の結果得ら
れる交通量や旅行時間などの分析を行うことにより、道
下図に、CGベースと実写映像ベースの提示画像を示し
ます。左が実写映像ベース、右がCGベースの画像です。
路ネットワーク全体のパフォーマンスを評価することも
目的としています。
4.ミクロシミュレータ KAKUMO
各社民間企業と合同で開発している KAKUMO は TS
と DS の仕様の違いを吸収し、両者の整合をとることを
2.ドライビングシミュレータ DS
目的としています。基本機能は以下の通りです。
主に須田研究室が開発している DS はバーチャルプル
ービンググラウンドによる走行環境やマルチボディダイ
ナミクスによる車両運動の高度な模擬を行い、360 度模
擬視界表示装置、高解像度映像発生装置及び 6 自由度動
●TS と DS の結合を仲介
TS から得られる車両密度、平均速度等の「群」の情
報を、「個」の情報に分解し(流入台数、速度等)に分解
し、ドライバモデル・車両モデルを使って各車両の挙動
揺装置が運転者に高い没入感を与えることができます
ITS Japan NEWS No.120 <5>
を生成して DS に伝える。逆に、被験者車両の状態を DS
から受信し、シミュレーションに反映させた結果を TS
に興味深いでした。
また、フォーラム終了後、講師および関係者による意
に伝える役もこなします。
見交換会が行なわれ、地域間の自由な意見交換・交流が
●車両挙動の詳細表現
活発に行なわれました。
従来の DS と同程度の精密さで車両の位置、姿勢を模
(1)概要
擬します。
■日時:2005 年 1 月 21 日(金)13:00~17:40
●高速高頻度通信
■場所:名古屋大学 野依記念学術交流館
DS 周期 1/60 秒に応じて、KAKUMO の動作周期を
1/20 秒としました。一方、TS と KAKUMO 間は、1 秒
■主催:ITS Japan 地域 ITS 推進委員会
■進行:
・開会挨拶 ITS Japan 小口常務理事
周期で動作させます。
・発表 モデレータ ITS Japan 地域 ITS 推進委員
会副委員長 清水
これらから作られる仮想交通実験室において、現在仮想
行晴氏
首都高速道路や仮想東名高速道路(いずれも一部)が実
・第一部
5 団体(自治体)から報告
現されています。こうした環境を構築する際には、アド
・第二部
4 団体から報告
バイザリからも助言を受けることが可能など、産官学の
・ITS Japan からのお知らせ
連携を十分に活用しています。
・ITS Japan の取り組み紹介(ITS Japan 地域
今後は、これらの装置を使って、情報提供方法の評価
ITS 推進委員会
や車載装置の運転者への影響、あるいは事故時における
・「ITS 推進の指針」紹介(ITS Japan 大竹企画
運転者の振舞といった民間各社が興味のあるテーマにつ
部長)
いて掘り下げていく予定です。
・地域 ITS ガイドの紹介(ITS 情報通信システ
(詳細は http://its.ccr.u-tokyo.ac.jp/ でご覧になれます)。
以上、東京大学における ITS 活動の一部を紹介しまし
た。
周藤 浩司氏)
ム推進会議 西島
勝氏)
・名古屋世界会議に関しての挨拶(
『ITS 世界会議 愛
(担当:東京大学からの寄稿)
知・名古屋 2004』日本組織委員会 石事務局長)
・閉会挨拶 ITS Japan 寺島専務理事
(2)発表内容
◆「地域 ITS フオーラム」報告
モデレータの司会により以下の順で発表が行なわれま
した。
◆第一部
①北海道における ITS の取り組み
北海道 ITS 推進フォーラム 幹事長 加治屋 安彦氏
(独立行政法人北海道開発土木研究所 道路部防災雪
氷研究室 室長)
昨年 8 月開催された寒地 ITS ワークショップの紹介、
北海道における ITS の特色の説明があり、事例として
地域 ITS 推進者による初の全国レベルの報告会として
道路総合情報提供および道の駅情報提供端末の整備、
「地域 ITS フォーラム」(写真上)が 1 月 21 日(金)名
特に寒冷地のため冬期道路の情報提供、また観光情報
古屋大学の 野依記念学術交流館で開催され、全国各地
を含む地域情報提供、公共交通情報提供などが紹介さ
から約 150 名の方がたの参加を得て盛況でした。9 つの
れました。
地域からそれぞれの ITS 推進団体組織の紹介、ITS への
②青森県における ITS の取り組み
取り組み方針や取り組み事例が報告され、共通的なもの
-NPO が拓く地域の ITS 社会-
もありましたが、各地域の事情・条件の違いからそれぞ
れの異なる課題に対する ITS の適用事例が紹介され非常
NPO 法人青森 ITS クラブ 理事長 阿部 一能氏
全国初の ITS 関連 NPO 法人である当組織の活動状況、
ITS Japan NEWS No.120 <6>
取り組み方針
(バスロケ、観光 ITS などの青森県版 ITS)
流促進、交通事故削減)に対する ITS 適用の紹介と今
の紹介、さらに最近サービス開始された「わがまちか
後の市町村合併における山村 ITS(観光や中山間部の
ど情報」の紹介がありました。また、NPO としして期
公共交通支援)、TDM への適用などが紹介されました。
待される ITS 推進の役割・特徴(行政と民間のパート
-関西 ITS 推進協議会(KIPA)の取り組み-
ナーシップ)が報告されました。
関西 ITS 推進協議会 事務局次長 河前 康夫氏
③岐阜県における ITS の取り組み
関西 ITS 推進協議会の部会活動が報告され、社会実
-地域コミュニティー情報共有サイトの構築-
財団法人岐阜県建設研究センター
ター
⑦関西地区における ITS の取り組み
岐阜県 ITS セン
験取り組みの例として「けいはんな融合公共交通シス
テム社会実験」(路線バス、タクシー、デマンドバス、
上谷 禎之氏
道路・交通だけでなく地域情報も含め全ての動く情報
(動
カーシェアリングの融合)
、
「飛鳥歩行者・自転車ナビ
態情報)が ITS であると捉え、動態情報の双方向または
社会実験」が紹介されました。
相互の情報提供を行なう仕組み(ぎふポータル「電子コ
⑧岡山県における ITS の取り組み
ミュニティ」を活用)や携帯電話を使っての道路状況な
岡山県 ITS 推進協議会 委員 青野 正志氏
どの情報登録システムおよび「日本昭和村」情報集配信
(国土交通省中国地方整備局
岡山国道事務所調査設
サービスが紹介されました。
計課
④愛知県における ITS の取り組み
2005 年度が岡山の ITS 短中期取り組みの最終年度に
愛知県 ITS 推進協議会
事務局次長
前田
好隆氏
課長)
あたり、これまでの成果が報告されました。地域連携・
協働による総合的な情報提供(公共交通情報、バリア
(愛知県企画振興部情報企画課 主幹)
全国一のクルマ社会である愛知県の ITS 取り組み方
フリー情報、
目的地・観光地情報、
道路交通情報など)、
針が紹介され、ITS 実証実験、中部国際空港、万博な
情報提供サービスによるまちづくり計画との連携が紹
どの大プロジェクトの中での事例として、県道でのリ
介されました。今年は岡山国体が開催され、移動支援
アルタイム信号制御実証実験、インターネット ITS 実
に活用されます。
証実験、空港施設での ITS 適用例、万博での ITS 適用
⑨高知県における ITS の取り組み
例が紹介されました。さらに愛知県 ITS 推進協議会の
高知県 ITS 推進協議会 会長 見波 潔氏(高知県土
組織・活動について報告されました。
木部
部長)
草 の 根 ITS の 展 開 と し て 高 知 県 地 域 ITS 計 画
⑤三重県における ITS の取り組み
三重県県土整備部高速道・道路企画室
室長
小川
「KoCoRo21」が紹介され、その中の具体例として、高
知県新情報スーパーハイウェイによる道路情報の収
悟氏
二年間の期限で設立され昨年度解散した三重県 ITS
集・提供、対向車接近表示装置、ノーガード電停対策、
推進協議会の活動成果とアクションプラン、その中か
歩行者 ITS の整備、PTPS 導入、情報プラットホーム
ら抽出した短期、中期メニューが紹介されました。実
“KoCoRo”
、スマートモビリティ高知が紹介されました。
施中の短期メニュー事例の中から特徴的なものとして、
東海地震など災害時の情報提供、伊勢神宮周辺のパー
クアンドライドについての報告がされました。
(3)ITS Japan の取り組み紹介
ITS Japan 地域 ITS 推進委員会の活動として「地域
ITS 展開への取り組み」が報告された。ITS スマートタ
◆第二部
ウンショーケースや既存システムなどから抽出した地
⑥豊田地域における ITS の取り組み
域 ITS 構成ユニットを組合せ、地域の種々の課題を解
豊田市 ITS 推進会議
幹事
菊地
春海氏(豊田市
決する方法が紹介されました。
助役)
種々の調査データに基づき抽出された課題と具体的
数値目標に対し、ITS をどう適用していくかの施策が
紹介されました。事例としてまちづくり(具体的には
渋滞解消、公共交通利用促進、中心市街地活性化、交
ITS Japan NEWS No.120 <7>
(担当:事業促進部 長谷川)
●論文セッション
◆ 「第3回 ITS シンポジウム」報告
論文セッションは、
「事故・安全Ⅰ」「交通計画・道路
管理」
「事故・安全Ⅱ」「交通管制」の 4 つのセッション
に分けて、16 篇の論文発表が行なわれました。
野依記念学術交流館
第 3 回 ITS シンポジウムが、2005 年 1 月 22 日(土)
〔論文セッション発表〕
に名古屋大学内の野依記念学術交流館で開かれ、172 名
の参加を得て大変盛況のうちに終了しました。
ITS シンポジウムは過去に、第 1 回が東京(一ツ橋記
念講堂)、第 2 回を京都(京都リサーチパーク)で開催し
ており、
第 3 回目の今回は ITS 世界会議と同じ名古屋(野
依記念学術交流館)で開催しました。
本シンポジウムでは ITS を総合融合工学と位置づけ、
電気・機械・交通工学に加え、政策・経済・心理学とい
った様々な分野の研究者・技術者が単一トラックに集い、
論文セッション・質疑応答
目的型のセッションテーマに基づいた密な議論を行なう
ことを目的としています。
ITS という言葉が生まれ 10 年余りですが、10 年間で
●ポスターセッション
種々の試みがなされ、多くの知見が生まれ、これらの知
ポスターセッションは、セッションの最初に全員が論
見に基づき、ITS はまさに大きく変化しながら第 2 ステ
文の概要紹介を行なった後、1 階ホールのポスター発表
ージに力強く羽ばたこうとしています。この歴史的転換
会場にて 58 篇の論文発表が行なわれました。セッション
点を迎え、第 3 回 ITS シンポジウムが開催され、未来の
終了後に参加者による投票の結果、
下記 3 篇の論文が
『ポ
交通と人間、社会のかかわりについて幅広く本質的な議
スターセッション優秀対話講演論文賞』に選定されまし
論を行ない、交通に関連する困難な問題の解決に向けて
た。
討論がなされました。
・東京理科大学
野中康弘氏、葛西誠氏、内山久雄氏
論文名:都市間高速道路単路部を対象とした車両挙
●開会式
動観測システムの開発
開会式は、寺島実行委員長の司会で始まりました。続
いて、中村プログラム委員長(写真下)より開会のご挨
拶をいただき、併せて International Journal of ITS
Research vol.2 発刊のご紹介をいただきました。
・国土技術政策総合研究所
国土交通省
関本義秀氏、上坂克巳氏
都鳥健一氏、奥谷正氏
論文名:位置特定機器とインフラ情報を組み合わせ
たハイブリッドな高精度位置特定
・金沢大学 松井俊樹氏、菅沼直樹氏、藤原直史氏
論文名:ステレオビジョンシステムによる横すべり
角の計測
ITS Japan NEWS No.120 <8>
当日は、英文ジャーナル International
Journal of ITS Research Vol.2 を参加者全員に配布い
たしましたが、ITS の研究分野での質の高さを国内、海
外にもアピールしていくのが目的であり、特に東南アジ
ア諸国に対し重点的に今後アピールしていく予定です。
次回の『第 4 回 ITS シンポジウム』は、本年 12 月 1
日・2 日、東京大学内での開催を予定しています。
ポスターセッション発表風景
写真上、下2枚
最後に会場を提供していただいた名古屋大学殿のご協力
に感謝いたします。
(担当:企画部
丹野)
◆幹事会報告
1 月度幹事会
■開催日時:1 月 26 日(水)10:00~12:00
■場所
:西新橋立川ビル ITS Japan 会議室
■出席会社・団体:理事会社 18 社、理事団体 5 団体
1.平成 17 年度 ITS Japan 事業計画策定へ向けて
ITS Japan 寺島専務理事から、
平成 17 年度 ITS Japan
事業計画策定の指針として、昨年の主な活動、ITS を
めぐる本年の環境を踏まえ ITS Japan の本年の課題は、
①今後の発展に向けた貢献 ②NPO 法人化推進上の課
●閉会式
題・・である旨を説明しました。
閉会式では、『ポスターセッション優秀対話講演論文
2.平成 16 年度 ITS Japan 第 1~第 3 四半期収支について
賞』に選ばれた優秀論文3篇に対し、中村プログラム委
ITS Japan 第 1~第 3 四半期収支実績について下記内
員長から表彰状授与が行なわれました。次に池内実行委
容が報告されました。
員長にご挨拶をいただきました。次回の第 4 回プログラ
・経常収入 149 百万円(予算比 18 百万円の収入減)、
ム委員長に選任された長谷川プログラム委員長からご挨
・経常支出 104 百万円(予算比 14 百万円の支出減)
拶をいただき、閉幕となりました。
・経常収支は 45 百万円(予算比 3 百万円減)
その後、1階ホールに場所を変え、小出実行委員の司
会のもと 1 時間程の懇親会(写真下)が盛況に行なわれ
ました。
・特別支出 9 百万円(予算比 5 百万円減)
3.立川物産破産に伴う不動産売却について
ITS Japan が入居している立川ビルの売却先が決ま
った(購入先は、(株)菱和ライフクリエイト)ので、
今後、ITS Japan は新オーナーの(株)菱和ライフク
リエイトと交渉していくことが報告されました。
4.ITS 世界会議報告会の概要について
2月1日、東京都港区虎ノ門の日本消防会館
ニッショーホールで行なわれる「ITS 世界会議 愛知・
ITS Japan NEWS No.120 <9>
名古屋 2004」報告会について、概要(プログラム、参
・愛知県 ITS 推進協議会
加申し込み者数など)説明がおこなわれました。
・三重県県土整備部
・豊田市 ITS 推進会議
5.法人申請手続きの推進経過報告
・関西 ITS 推進協議会
特定非営利活動法人格(NPO 化)取得の準備状況に
ついて、下記の報告が行なわれました。
・岡山県 ITS 推進協議会
・1 月 6 日に東京都に申請書類を提出した際、東京都
・高知県 ITS 推進協議会
の指導を受け、その修正内容について特定非営利活動
9.第 3 回 ITS シンポジウムの報告
法人設立総会の代理人 36 法人に対する書面審議を行
1月 22 日、名古屋大学
野依記念学術交流館で行
い全員の了承が得られた。今後の進め方として、2005
なわれた「第 3 回 ITS シンポジウム」の概要について、
年 1 月 25 日に法人申請し、認証決定通知は 2005 年 5
下記の報告がありました。
月末予定、法務局での法人設立登記は 2005 年 5 月末予
1)参加者:172 名
定。これらの流れと併行して、NPO 法人 ITS Japan へ
2)論文セッション 16 篇
の移行内容(組織体制、名義変更など)の検討を行な
内訳
う。
・事故・安全Ⅰ・・・・・4 篇
6.ITS 世界会議サンフランシスコ 2005 の状況について
・交通計画・道路管理・・4 篇
1 月 12 日の国際プログラム委員会で討議されたエグ
・事故・安全Ⅱ・・・・・4 篇
ゼクテイブセッションの概要と論文受付け(サイエンテ
・交通管制・・・・・・・4 篇
イフイックセッション、テクニカルセッション)状況、
3)ポスターセッション 58 篇
展示会への日本および AP 地域からの出展申し込み状
うち、ポスターセッション優秀対話講演論文賞
況が報告されました。
には下記 3 篇が選ばれました。
・東京理科大学
7.第 9 回会員交流会の報告
1 月 14 日、ITS Japan 大会議室で行なわれた第 9 回
「都市間高速道路単路部を対象とした車両挙動
会員交流会について、下記内容の報告がありました。
観測システムの開発」
・参加者:40 名
・国土技術政策総合研究所
講演 1:スマート IC への期待と課題
清水
関本義秀氏他 3 名
「位置特定機器とインフラ情報を組み合わせた
新太郎氏(株式会社三菱総合研究所 社会シス
ハイブリッドな高精度位置特定」
テム事業研究部研究員)
・金沢大学 菅沼直樹氏他 2 名
講演 2:DSRC マルチ化への期待と課題
池田
葛西 誠氏他 2 名
「ステレオビジョンシステムによる横すべり角
朋広氏(株式会社三菱総合研究所 社会システ
の計測」
ム事業研究部主任研究員)
8.地域 ITS フォーラムの報告
編集後記
1月 21 日、名古屋大学 野依記念学術交流館で行な
産学連携特集として、今回は東京大学より寄稿をいた
われた「地域 ITS フオーラム」の概要について、下記の報
だきました。
告がありました。
『ITS 世界会議 愛知・名古屋 2004』で大学関連の有意
1)参加者:約 150 名
義な発表や展示がたくさんあり、ニュースで特集を組む
2)9 団体から、ITS の取り組み方針・事例が紹介され
ことにいたしました。次回は、九州大学・九州産業大学
た。
を予定していますのでどうぞご期待ください。(T.S)
・北海道 ITS 推進フォーラム
・青森 ITS クラブ
・岐阜県建設研究センタ― 岐阜県 ITS センター
ITS Japan NEWS No.120 < 10 >
編集・発行
ITS Japan
〒105-0003 東京都港区西新橋 2-11-4 西新橋立川ビル 6 階
TEL:03-3519-2181 FAX:03-3592-0091
ホームページ http://www.its-jp.org
2005 年 2 月 15 日発行