IPTV業界について FA C T BOOK ■IPTVとは IPTV(Internet Protocol TV) は、光ファイバーなど通信専用であったブロードバンド回線で、 テレビ サービス (CS多チャンネル放送) やビデオ・オン・デマンド (VOD)等を配信するサービスです。 IPTV最大の特長は、利用するまでの手続きがスムーズだということ。衛星放送やケーブルテレビで番 組を視聴するには、 まずはアンテナの取り付けや壁に穴を開けてケーブルを引き込む工事が必要です が、IPTVでは、 ブロードバンド回線に専用のSTBを接続し、 そのSTBとテレビを接続すれば視聴できる という手軽さが魅力です。 放送とVODサービスを提供している代表的なプラットフォームは、NTTグループの 「ひかりTV」、KDDI の 「auひかり テレビサービス」 です。 ■ 「ひかりTV」 について ▼サービス内容と視聴方法 では、IPTVプラットフォームの中で最も契約者数の多い 「ひかりTV」 のサービスについて紹介します。 ひかりTVは、NTT東日本/西日本が提供する光回線を介し、多チャンネル放送やVODなどを提供す るテレビ向け映像配信サービスです。一般家庭で光回線の普及率が高くなっていること、 また、各メー カーからひかりTVチューナーを内蔵したテレビ/PCが発売されていることから、契約者数は比較的伸 びています (2013年9月末で263万会員に到達) 。 ひかりTVの2013年9月末現在のコンテンツ数は、 テレビ94チャンネルでうちHD化率は85%。 チャン ネル拡充とHD画質への対応も積極的に進めています。 「日本映画専門チャンネル (HD)」「時代劇専門 チャンネル (HD)」もひかりTVで放送中です。 また、2011年末より、 「ひかりTV」 が提供する作品を、 スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末 で視聴できるサービスを展開しています。 ■携帯向けサービスが続々スタート さて、 日本の多チャンネルサービスはケーブルテレビ、衛星放送と共に市場が拡大し、一般家庭に浸透 していきました。 そして、時代の移り変わりに対応し、新たにIPTVが加わったのは先述した通りです。 さらに2010年以降、携帯端末向けサービスがスタート。 スマートフォンが爆発的に普及した2011年 からは、携帯向け動画配信サービスが本格化していきました。 その代表が、携帯3キャリア自身が運営 する―― NTTドコモ 「dビデオ powered by Bee TV」 や 「dアニメストア」、au「ビデオパス」、 ソフトバ ンク 「UULA」 などです。 なお、NTTドコモは2014年4月1日、dビデオをキャリアフリーでの提供を開始 しました。 2013年に入ると、NTTドコモ、KDDI、 ソフトバンクモバイルの各社とも、 スティック型の小型端末を HDMI対応テレビや外部ディスプレイのHDMI端子に接続することで、 スマホやタブレットのコンテンツ をテレビの大画面で楽しめる スマートテレビ サービスを発表しました。 携帯3キャリアがテレビへのアプローチを開始したように、 テレビ向けに多チャンネルサービスを提供 「スカパー ! オンデマンド」 してきたスカパー!がスマートフォンやタブレット端末向けにVODサービス を開始。 また、 ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム (J:COM) もマルチデバイス向けサービスの 強化を進めているほか、J:COM以外のケーブル局もマルチデバイス向けIP-VODサービスを徐々に開 始しています。 これにより、映画やドラマ、 アニメ、 そしてスポーツなどのさまざまなコンテンツが、 いつでもどこでも楽 しめるようになる世界が実現しました。端末の多様化、 テレビとモバイル端末との連携も相まって、 テレ ビの機器としての在り方は、今後もっと大きく変わっていくことでしょう。 国内IPTVサービスの市場規模は、今後ますます拡大していくでしょう。 ネットユーザーとの親和性も高 く、DTHやケーブルテレビがフォローしにくい若年層にアピールできる点は、CS放送事業者にとっても 大きなメリットです。 もちろん、CS放送事業者も多様化する視聴環境に応えるべく、IPTVをはじめ、 あらゆる伝送路でサー ビス提供していくことを目指しています。 21 ※1 地上デジタル放送をIP化して再送信する技術を用いることで、NTT東日本/ NTT西日本が提供する 「フレッツ 光ネクスト」 の光回線を利用して 地上デジタル放送を視聴できる。
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