病理診断科 後期研修プログラム Ⅰ 研修目標 (1)一般目標 総合病院の病理診断部門で行われている業務を実際に経験することによって、 疾病の成り立ちを理解し、鑑別診断や予後を考慮したより高度な診断技術を身に つける。 (2)行動目標 #病理解剖(剖検)の目的を理解し、なるべく多くの症例を執刀して解剖方法 を習得する。 #臨床各科から提出された検体について肉眼診断、組織・細胞診断、術中迅速 診断などをおこなう。その際、画像所見・検査データ・既往病理標本などを 可能な限り参照する。 #各科とのカンファランスを通して臨床科から病理に求められている事柄を 理解し、日常の診断の中で常にそれに応えていくことを学ぶ。 #臨床検査技師・臨床医・初期研修医・クラークと良好な関係を築き、チーム 医療の一員という意識を高める。 #研修の結果を学会等で発表する。 Ⅱ 研修方略(カリキュラム) (1)研修期間 1年以上 *当院の剖検数は年 20 例前後、組織診断約 9,000 件、細胞診断約 9,000 件。 *20 例の剖検執刀で厚生労働省死体解剖資格を取得することができる。日本 病理学会専門医試験を受験するには、3 年以上の学会員歴、4 年以上の人 体病理研修、40 例の剖検症例が必要。 *日本臨床細胞学会専門医試験を受験するには、3 年以上の学会員歴が必要。 (2)方 法 A:病理解剖(地下解剖室、討論と実地、主治医) #準備から後始末に至るまで、病理解剖の基本的な流れを習得する。 #解剖の前に主治医と討論することにより臨床経過・問題点を理解し、臓器 固定方法・培養・切り出し方など、それに応じた方法を適宜選択する。 #感染や汚染を防ぐための知識を有している。 #各臓器の肉眼的な正常像と異常像を理解する。 #肉眼的な解剖診断の記載方法を学ぶ。 #固定完了後に各臓器の切り出しを行い、肉眼所見と組織所見を総合した上 で「病理学的診断」としてまとめ、障害臓器だけでなく全身的な病態生理を 含めて死因を考察する。 #Brain cutting 見学(開頭症例のみ) B:組織診断(病理鏡検室・切り出し室、討論と実地、担当医) #検体の受付から診断報告までの流れを理解する。 #摘出された各臓器の切り出し方法と、肉眼所見の記載の仕方を学ぶ。 #代表的な染色方法とその目的を理解し、結果を判定できる。 Hematoxylin-Eosin、PAS、d-PAS、Alcian-Blue、Grocott、PTAH、EVG、 Azan-Mallory、Masson-Trichrome、Grimelius、Congo-Red、Ziehl-Neelsen、 抗酸菌蛍光染色など #免疫組織化学的染色(酵素抗体法)の目的と解釈の仕方を学ぶ。 #術中迅速診断の目的と適応、限界を学ぶ。 #各臓器の代表的な疾患の組織像を知る。 #組織像から考えられる疾患をいくつかあげ、それらを鑑別するために特殊 染色を含めてどのような手法をとるべきかを考える。 #検体採取の方法、疾患の予後、経過観察などについて臨床医に適切な助言 を与えることができる。 #電子カルテ病理サブシステム端末で病理組織報告書を作成する。悪性腫瘍 の場合には各臓器の「癌取扱い規約」に準拠する。 #難解な症例は文献を検索したり専門家にコンサルトすることにより、最終 診断をつける。 C:細胞診断(病理鏡検室、討論、担当医、臨床検査技師) #検体の受付から診断報告までの流れを理解する。 #代表的な染色方法。 Papanicolaou、Giemsa、PAS、Grocott #穿刺細胞診検体採取の見学(乳腺:乳腺外科外来、甲状腺:内分泌内科外 来、頭頚部腫瘍:耳鼻科外来) #細胞診断の特性と限界を知る。 #疑陽性・陽性症例を鏡検し、組織診断との相間を学ぶ。 (3)スケジュール A:剖検 随時。brain cutting は金曜日夜。 B:組織診断 午前中は顕微鏡観察、報告書の作成と討論。午後は切除標本の肉眼診 断・切り出しなど。術中迅速診断は随時。 C:細胞診断 午後に疑陽性・陽性症例の鏡検と討議。検体採取見学は随時。 (4)カンファランス #呼吸器病理カンファランス(肺・胸膜生検、手術標本): 病理鏡検室、毎週水曜日午後 5 時 30 分 #腎生検カンファランス:病理鏡検室、第 3 金曜日午後 5 時 30 分 #脳腫瘍カンファランス:病理鏡検室、隔月第 2 火曜日午後 5 時 #C.P.C.(剖検症例) :管理棟 3 階 AV 講義室、年 6 回、最終火曜日午後 6 時 Ⅲ 研修指導医 病理診断科 部長 角田幸雄 (1984 年卒、臨床研修指導医、日本病理学会病理専門医・専門医 研修指導医、日本臨床細胞学会専門医) 顎口腔病理診断科 副部長 長谷川直樹 (1990 年卒、歯科医師臨床研修指導歯科医、口腔病理専門医・専門 医研修指導医) Ⅳ 評価 別表による。 【病理診断科 医師評価表】 評 価 項 目 1.診断力A 最も頻度の高い疾患に対して誤りのない安定し た診断を確実に下すことができる。 2.診断力B 頻度のやや低い疾患に対して特殊染色などによ り適切な診断を下すことができる。 3.診断力C 稀な症例や難解症例に対してコンサルトや文献 検索をおこない、最終診断に至ることができる。 4.協調性 他科医師・臨床検査技師・クラークとチームを 組み、円滑に業務をこなしていくことができる。 5.積極性 学会参加や文献検索等によって新しい知識を身 につけていくことができる。 6.確実性 依頼された仕事を期限内に確実にこなすことが できる。 7.独創性 余人の思いつかない見方や解釈をすることがで きる。 8.表現力 カンファランス・学会等で適切な症例呈示・討 論をおこなうことができる。 9.指導力 研修医・臨床検査技師を丁寧に指導できる。 Dr. A Dr. B Dr. C Dr. D
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