3 保護者との連携

3
保護者との連携
保 護 者 と の 連 携 に お い て 重 要 な こ と は 、教 師 は 学 校 で の 様 子 を 家 庭 に 伝 え る こ と で あ り 、
保護者から家庭での情報を得ることである。そのことによって、家庭と学校という違う場
所でみせる子どもの姿を相互に知り合い、共通理解のもと子どもの指導方針を立てること
ができる。
保護者との情報交換を行う場面として、直接顔を見合わせながら行うものとしては、家
庭訪問や参観日に実施される学級懇談、学校に送迎した時の始業前や放課後の立ち話等が
ある。また、間接的に情報交換するものとしては、学級通信や連絡帳等がある。これらの
情報交換を実際場面でどのように進めていくのかについて具体的に説明していく。
(1)学級懇談会
学級懇談は、参観日の授業参観が終わった後に実施することが一般的である。学級単位
で行うことから、懇談のテーマは学級全体に関わるものがふさわしい。保護者と直接顔を
合わせて情報を交換できる場であることをふまえ、保護者が話やすい雰囲気を作ることが
ムをしたりして和やかな状況を作ることも一つの方法であ
る。
進級したての第1回目の懇談では、保護者も教師もまだ
十分うち解けていないため、それぞれの顔も名前もよく知
らない状態である。そこで、簡単な名札を用意し、顔と名
前が一致するような準備が必要である。図1に示した名札
画 用 紙 を 四 つ に 折 っ て 、ク
リップで留める。
大切である。そのために、会のはじめに歌を歌ったりゲー
な
ま
え
は、クリップをはずせば平面になる。学級懇談の度に活用
するために、かさばらず管理しやすく、また手軽に作れる
図1名札の作成例
ものが適当である。
表 1 は 、学 級 懇 談 で 扱 う テ ー マ 例 を
示 し た も の で あ る 。家 庭 生 活 を 営 む う
えで注意してほしい事柄や生活力を
高 め る 上 で 取 り 組 ん で ほ し い 事 柄 、家
庭での悩み等を懇談の柱として設定
表1
学級懇談で扱うテーマ例
懇談の柱(内容)
学級経営方針(年間の見通し,重点目標)
生活リズムの作り方
健 康 管 理 ( BMI, 保 健 室 , 栄 養 士 か ら )
家庭での学習
余暇の過ごし方
子どもとのかかわり方
手伝い
安全な登下校
お金の使い方(小遣い,お年玉)
長期休業の過ごし方,等
- 135 -
しながら、学級の保護者のいろいろな意見や教師の意見を出し合うことが大事である。こ
れらの意見を参考に、各家庭に持ち帰って実践に移すことが重要である。そのためには、
教師は多方面から情報を収集し提供できるよう準備しておく必要がある。会は概ね1時間
程度であるので、1回の懇談会にテーマとして設定するものは1つないし2つが適当であ
る。視点を絞った方が、会に深まりをもた
表2
せることができる。
第1回目の学級懇談は、年度のはじめに
開催することから、学級担任の考えや学校
内の学級の位置付けを保護者に伝えるため
に、表2に示すような資料を準備したい。
懇談用資料例
資料の内容
学校要覧の特別支援教育部分の抜粋
学級経営案・方針
主な時間割
年間の行事・事業予定
学習形態及びグループ編成
交流学級及びその担任
PTA分担
連絡網
学習によっては、習熟度別や興味関心等で
グループを編成することもある。また、交流教育の観点から、通常学級と合同で学習を進
めることもある。グループのメンバーや交流学級とその担任を保護者が把握し、学校での
学習の様子を保護者がイメージできるような情報を提供することは大事である。
懇談会がマンネリにならないようにするためには、外部の講師例えば、保健室の養護教
諭や給食の栄養士、保健婦さん、臨床心理士、等を招聘する方法もあり、会のメンバーが
異 な る こ と に よ っ て 違 う 視 点 で 会 を 進 め る こ と が で き 、内 容 を 深 め る こ と に つ な げ ら れ る 。
(2)個人面談
学級懇談が学級全体を対象としているのに対し、個人面談は個人の課題に踏み込める貴
重な情報交換の場である。集団の場では、個人が抱える問題等を検討することが難しいの
で、個人的な懸案事項を相談する際に有効である。個人面談を行う場合、大きく四通りの
実 施 の 仕 方 が あ る( 図 2 )。ま ず 、学 校 か ら 家 庭 に 働 き か け て 面 談 を 実 施 す る 方 法 で あ る 。
面談の期間を決めて、学級全体に投げかけて面談を実施する。このうち、学習の評価や進
路 指 導 に 関 す る 内 容 の 場 合 は 、全 員 を 対 象 に 一 人 ず つ 時 間 を 設 定 し て 実 施 す る( 図 の ① )。
希望者を対象に面談をすすめる場合もある(図の②)。学校側が必要と判断した際、保護
者に連絡して学校に出向いてもらう方法もある(図の③)。生徒指導上の問題が発生した
時や、健康上の問題を学校で把握した時等に実施する。次に、保護者からの申し入れを受
けて実施する方法である(図の④)。家庭内で何らかの問題が生じた場合に実施されるこ
とが多い。
- 136 -
個人面談では、個人の情報を扱うことになるので、慎重に行う必要がある。面談の際に
活用する資料を教室や職員室の机上に置きっぱなしにしないことをはじめ、面談内容を詳
細に記録・管理すること、面談に必要な情報を整理したうえで提示すること、場合によっ
ては担任と保護者以外の第三者を入れて実施することが必要になることもある。
期間を決めて
学校からの
働きかけ
全員を対象
①
希望者を対象
②
学校からの要請
③
臨
個人面談
時
家庭からの
要望
図2
④
個人面談の実施方法
いずれの場合においても、直面した問題を解決するために実施するのであるから、情報
提供だけで終始するのではなく、解決につながるようなやりとりが必要である。また、学
校に保護者が出向いて個人的な話題を扱うために、保護者の心中が穏やかでない場合も多
い 。感 情 的 に な ら な い よ う に 進 め る こ と や 結 論 を 急 ぎ す ぎ な い こ と も 配 慮 し た い 点 で あ る 。
(3)家庭訪問
学校において直接顔を合わせながら進めるのが学級懇談や個人面談であれば、家庭にお
いて顔を合わせ情報交換ができるのが家庭訪問である。学級懇談との大きな違いは、場所
が家庭であること、そして、個別の話題について情報交換できることである。
家庭訪問には大きく二通りの実施形態がある。第一は、学校の指導計画の中で全家庭を
対象に行うものである。これは、
表3
子どもを取り巻く家庭環境や地
域環境を把握することがねらい
で あ る 。家 庭 で の 子 ど も に 対 す る
向き合い方や教育に対する考え
方 等 を 、具 体 的 に 時 間 を か け て 聞
き 取 る こ と が 第 一 で あ る( 表 3 )。
聞き取る項目(例)
項
目
生活スタイル(風呂,テレビ,食事,手伝い,余暇)
学校に対する要望,子どもに対する期待
好きなこと・もの,こだわり
健康面の配慮事項
食行動の特徴
登下校の通路と危険箇所
放課後や休日の遊び場所
友達関係
- 137 -
また、子どもが地域で生活する上で活用できそうな教育資源を把握することも併せて行い
たい。買い物に使える店や散髪店、交通手段(バス停や路線)等を教師が知ることによっ
て、学校の学習で活用できるとともに、学習を生活に般化する際の練習場所として、家庭
で活用できることになる。社会参加の素地を作るうえでも重要である。そこで、家庭訪問
にはカメラを持参し、家族の顔や家、近くの店、バス停、公園等を撮影しておき、子ども
のプロフィールとともにファイルしておくことが望ましい。
第二は、臨時に特定の家庭を対象に行うものである。これは、直面する問題を解決する
ための指導を行うことがねらいである。登校を渋ったり、病気で長期に休んだりする時、
緊急に保護者と意思疎通が必要な時など、状況に応じてタイミングを逸することなく行う
ことが重要である。
問題解決のためには、学校と家庭とが同じ方向を向いて取り組んでいくことが重要であ
る。したがって、保護者と担任との間に良好な人間関係を構築することが最も重要なこと
である。しかし、問題が長引く場合もある。この場合は、保護者の方が疲弊してしまうこ
とが多い。そこで、担任は継続して家庭訪問を行い、問題解決にあたるとともに、保護者
の精神面でのサポートとして養護教諭の協力や管理職の働きかけなど、学校を挙げての対
応が必要となってくる。その際、頻繁すぎる家庭訪問を保護者は嫌うことがある。毎日連
絡を取り合うことは大事であるが、家庭を訪問し顔を見合わせるのは、週に二~三回程度
が適当である。
表4は、家庭訪問で教師が配慮す
べき事項を示したものである。家庭
訪問を意義あるものにするためには、
事前の準備が重要である。指導要録
や個別の指導計画等の引き継ぎ資料
にあらかじめ目をとおしておくこと
が望ましい。また、子どもの情報を
表4
家庭訪問での配慮事項
項 目
日程の調整(期日,時刻等)
引き継ぎ事項を事前にチェックする
必要以上メモを取らない
聞き手に徹する
専門用語を使わず分かりやすいことばで話す
和やかな雰囲気を作る
時間に余裕をもつ
他の子どもや前担任の話題を出さない
話の内容を他言しない
得るために実施するので、聞き手に
徹することが大事である。家庭での取組や保護者の悩み等聞き取る中に、学校での指導に
取り入れるべき内容が含まれているからである。家庭訪問は、情報収集であって取り調べ
ではない。忘備録等のノートを取り出して頻繁にメモを取るのではなく、訪問が終わった
後に記録に残すような配慮が必要である。また、他の子どもや前担任の話題を避けること
- 138 -
や話題となった内容を他言しないことは、肝に銘じて取り組むべきことである。
家庭と教師の連携が深まることは、学校と家庭とが両輪となって教育を行っていく上で
欠かすことができない要素である。家庭訪問において、好ましい人間関係を築き指導に活
かすことが重要である。
(4)連絡帳
連絡帳は、家庭と学校をつなぐ交換日記のようなものである。特に、障害がある子ども
の場合、学校や家庭で行ったことや学習したこと、ハプニングや称賛されたこと等をうま
く他者に伝えることが難しい。そのため、連絡帳が間接的に学校や家庭それぞれの状況を
伝えることになる。学校と家庭をつなぐ媒体として、重要な役目を果たしている。
図3は、連絡帳の形式例を示したものである。担任からの欄には、学校での子どもの様
子や友達とのやりとり、学習で発したことば等を家庭に伝えたり、学校から家庭に発送し
た文書や翌日についての必要な準備物や連絡事項を記入したりする。家庭からの問いかけ
に 対 し て 答 え た り 、家 庭 に 対 し て 学 校 の 考 え 方 を 伝 え た り す る こ と に 利 用 す る こ と も あ る 。
一方、家庭からの欄には、家庭での出来事やその日の朝の体調、家庭学習に対する疑問、
学 校 に 対 す る 要 望 等 を 記 入 す る 。間 接 的 な や り と り で あ る が 、毎 日 の や り と り に な る た め 、
子どもの成長の記録にできるとともに、その背景となる出来事の記録にもなる。また、子
月
日
(
)
<大事な持ち物>
家
庭
か
ら
<大事な持ち物>
学
校
か
ら
<お願い
図3
連絡帳の例
- 139 -
どもに対する指導方針や考え方のやりとりが行われることもあるため、担任と保護者の相
互理解にも役立つ。
連絡帳は、B4版の用紙に図3の形式を4つ分印刷し、これをマス刷りすることによっ
て、同じ形式のものを継続して使えるようにすることができる。それらをファイルにとじ
て活用する。毎日、家庭と学校を往復するため、学年の後半になるとファイルが分厚くな
る の で 、厚 さ が 増 え た 頃 に 、別 の フ ァ イ ル に 移 し 替 え て 、学 校 に 保 存 し て お く よ う に す る 。
そして、1年たった修了式の日に1年分の成長として子どもに返すのである。
連絡帳のファイルは、学校から配付され
る資料を持ち帰る際にも活用できるように、
図4のように、ファイル内側にポケットを
作成しておくと良い。家庭から提出される
文書や子どもの宿題プリント等もこのポケ
ットにはさむことによって、プリントを整
理することができる。
図4
連絡帳ファイルのポケット
(5)学級通信
学級通信は、連絡帳と同様、間接的に学校と保護者の連携をとるものである(図5の学
級通信の例参照)。学級通信には、主に3つの性格をもっている。第一は連絡事項を伝え
るものである。第二は学校生活の様子を伝えるものである。第三は、メッセージを伝える
ものでもある。連絡帳との大きな違いは、連絡帳は個人のことについてやりとりをするも
のであるのに対し、学級通信は学級のことに対してテーマを設定して家庭に伝えるもので
ある。ただし、通信の内容によっては、個人のことを報告することもあるので、連絡帳と
内容が重複することも出てくる。
月の初めには、季節のあいさつとともに、その月のテーマや季節柄配慮すべきこと、学
校生活や家庭生活で取り組ませたい事柄等を記述する。また、月行事を併せて載せること
によって、その月の学校の動きや保護者の動き等を分かりやすく整理することができる。
毎日、もしくは週末に発行する通信では、その日、その週に学校で取り組んだ学習やそ
の 時 見 せ た 表 情 等 を 取 り 上 げ て 家 庭 に 伝 え る 。そ の 際 、デ ジ タ ル カ メ ラ の 映 像 は 役 に 立 つ 。
学習の様子を記録するにとどまらず、その時の様子や感動を文章だけでなく映像として家
庭に伝えることができるからである。連絡帳だけでは、十分に伝えきれないところを学級
- 140 -
最後の水泳
本年度の最後の水泳学習を3日の1・2校時に行います。学習の
流れは,1学期行ってきた学習スタイルで行いますが,後半に一人
ずつ発表の時間も設ける予定にしております。また,この時間を学習参観の時間
として位置付け計画しています。都合をつけていただき,子どもの応援に足を運
んでください。
よろしくおねがいします。
宮崎大学教育文化学部附属小学校 いちょう学級 平成○年8月30日
1学期の後半がスタート
学校2学期制が導入され,夏休みが8月28日までとなりました。4 1日間もの長い期間の夏
休みもようやく終わり,いよいよ今日から1学期の後半が始まりました。
今年の夏は,例年に比べると比較的過ごしやすく,クーラーとビールの売れ行きが芳しくなか
っ た よ う で す 。そ れ で も ,日 中 外 に 出 て 体 を 動 か す と ,汗 び っ し ょ り ,や は り「 夏 は 夏 」で し た 。
さて,2 学期制が始まって初めての1学期後半。10月の1学期終了まで,後少し残っていま
す 。こ の 期 間 は ,残 暑 か ら 始 ま り ま す が ,学 期 が 終 わ る 頃 に は 一 番 過 ご し や す い 季 節 に な り ま す 。
そのような中で,いろいろな行事が多数行われる予定です。また,昨年度から研究として取り組
んでいます「趣味につながる活動」も佳境に入り,冬に行われます研究発表会を見越して,まと
めていく段階に入ってきます。学校での実践に加えて家庭での実践の積み重ねによって,子ども
に趣味が根付くかどうかもかかわってきます。1学期後半は,このような実践をするのにも,と
ても都合のよい時期です。
夏休みボケになりかけている身体に気を入れ,学校生活がスムーズに送れるように切り替えて
いきましょう。
9月行事
1日
2日
6日
7日
8日
12 日
13 日
日
曜
水泳納会(1・2校時)兼参観日
美術館へ校外学習
実習2開始,趣味の活動(事前)
趣味の活動
午後出張,6年生修学旅行事前説明
ひよこの会見学
学年のつどい,交流給食開始
26
月
行事
1
宮崎大学教育文化学部附属小学校 いちょう学級2組
学級通信 No.22
平成○年9月22日(木)
2
歯をきれいに
先週の日常の学習で歯の汚れのたまりやすいところやみがき方を勉強し
ま し た 。保 健 室 で 染 め 出 し を か り て 、自 分 の 歯 の み が き 残 し を チ ェ ッ ク し
ま し た 。色 の 違 い で 、自 分 で ど こ が み が け て い な か っ た の か が 視 覚 的 に 実
感できたと思います。その後は赤い部分をな
くすように、鏡を見ながらしっかりみがきました。
前歯や歯の裏等、場所に応じたみがき方もしっか
りできました。日常で習慣付けていきます。
3
4
給食
合同音楽
月の歌・合奏
合同体育
ボール運動
生 単
パソコンで
書こう
総 合
趣味(事前)
ごはん
5
おにぎりできた
第 2 回 目 の お に ぎ り 作 り で し た 。今 回 は サ ラ ン ラ ッ プ を 用 い て に ぎ っ て
み ま し た 。前 回 よ り も 、ぎ ゅ っ と に ぎ れ る よ う に な り 、形 も よ く な り ま し
た。2 人とも食べた後の感想は「おいしい~」
の一言でした。自分でおにぎりができるようにな
れば、お弁当を作るのも夢ではありません。
ご家庭でも時々挑戦してみるとよいですね。
下校
準備
家庭から
図5
27
火
一斉下校
小中合同
総合的な学習
の時間
趣味の活動
ショッピング
料
理
アウトドア
サイクリング
交流給食
バランス
14 : 30
連絡帳
体育着
タオル
エプロン
マスクコップ
歯ブラシ
替えシャツ
15 : 10
連絡帳
体育着
タオル
※趣味に必要
な物
15 日
16 日
20 日
22 日
27 日
28 日
読み聞かせ,クラブ活動
ケエバン〆切
表現集会,交流給食
大淀川学習
趣味の活動(小中合同)
実習2終了
28
水
29
木
30
金
実習生別れ式
趣味(予備)
集金日
行事
お別れ式
合同音楽
グループ国語
グループ国語
合同体育
グループ算数
図 工
自立活動
ローラーを
使って
図書館へ
行こう
パン
ごはん
日 常
はしの使い方
15 : 10
連絡帳
体育着
タオル
グループ算数
生 単
お金のかんり
ごはん
国 語
手紙を書こう
15 : 10
連絡帳
体育着
タオル
14 : 30
連絡帳
体育着
タオル
※お出かけ用
バッグ
※集金袋
学級通信例
通信で補うことができる。また、学校での子どもの様子を見て考えることや身に付けさせ
たいこと等、担任としての意見を家庭に伝えるものとして活用することも可能である。そ
の際、家庭からの返信の欄を設けることも一つの方法である。返信が届いた場合は、それ
を通信に載せることによって、意見交換ができる。また、子どもに保護者からのコメント
を伝えることもでき活用場面は拡がるからである。
学級通信には、連絡事項や通信だけではなく、時間割のコーナーも作っておく必要があ
- 141 -
る。学習計画を伝えることや行事予定を確認すること、準備物のお知らせをすること等、
見通しをもって学校生活を送ることにつながるからである。特に、下校時刻の欄は重要で
ある。この時刻が明記してあることによって、保護者は子どもが帰宅する大体の時刻を知
る こ と が で き る か ら で あ る 。バ ス 通 学 の 子 ど も の 場 合 は 乗 車 す る バ ス と の 関 係 も あ る た め 、
下校時刻については、配慮すべきところである。
通信に載せる情報は、子どもばかりではなく保護者にとっても必要な情報である。した
がって、提出物の締め切り日や参観日の日程、協力依頼の内容、校外学習の計画等もこま
めに載せていくことが重要である。
(6)個別の指導計画の作成
表5は、個別の指導計画の形式例を示したものである。様式1の児童プロフィールは、
家庭からの情報をもとに作成することになる。家庭環境及び健康管理等を中心に資料を作
成することによって、1枚で個人情報を網羅できるようにする。これは個人カルテとして
指導に活用するだけでなく、引き継ぎ資料としても活用することになる。様式2の個別の
表5
<様式1>児童プロフィール
ふりがな
児童名
○○
個別の指導計画の様式1の形式例
記入年月日(平成○年△月□日)
記入者氏名( ○○ ○○
)
性 別
生年月日
○○
ふりがな
保護者名
住
所
家族構成
連絡先
△月
□日生
〒 ○ ○ ○ -○ ○ ○ ○
(△△小校区)
父(○○)、母(△△)、本人、弟(□□)、祖母(▽▽)
療育手帳
B2
身体障害手帳
なし
登下校の
方法
平成○年
自 宅:
緊急時:
5人家族
障害種
登校時
バス(○○バス停;○時△分発~△△バス停;○時△分着)
下校時
バス(○○バス停;○時△分発~△△バス停;○時△分着)
か か り つ け の 病 院 ( TEL)
医療面での
配慮事項
相談歴
諸検査結果
備
考
知 能 検 査 IQ ○
(田 中 ・ビ ネ ー 式 / H ○ .△ .□ 実 施 )
WISC- Ⅲ 知 能 検 査 VIQ○ 、 PIQ○ 、 FIQ○ ( H ○ .△ .□ 実 施 )
SM 社 会 生 活 能 力 検 査 SQ ○ ( H ○ .△ .□ 実 施 )
下 校 先 : 祖 父 母 の 家 ( レ ス パ イ ト 事 業 の 活 用 あ り TEL○ ○ - △ △ △ △ )
言 語 訓 練 (毎 週 月 曜 15:30~ ): △ △ 病 院
作業訓練(1 回/月)○○センター
- 142 -
<様式2>
児童氏名
平成○○年度個別の指導計画
○○ ○○ (△年)
保護者の願い
国
語
算
数
趣
味
の
活
動
記入者
○○
○○
自分のことは自分で、自分から考えて行動できるようになってほしい。
文字を読む速さがもう少し速くなってほしい。
濁点や破裂音を正しく書けるようになってほしい。
数について、簡単なたし算ができるようになってほしい。
1 時間単位の時計の読みはできるので、日常生活で使えるようになってほしい。
お金について、十円、百円、五百円を理解できるようになってほしい。
実態
項目
日
常
生
活
の
指
導
○
○
○
○
○
○
手だて
目標
評価
10 月
2月
児童の変容
意思の伝達
登
下
校
金
銭
聞
話
読
書
こ
く
す
む
く
ば
と
数 と 計 算
量 と 測 定
図
形
数 量 関 係
○ 料
理
● ショッピング
○ サイクリング
○アウトドア
<特記事項>
興味のあるもの、
家庭での取組等
風呂掃除を独力でできるように練習する。
指導計画は、該当学年の1年間を見通した指導計画である。前年度の計画・実践・評価に
もとづいて、引き継ぎながら進められるような配慮が必要である。
個別の指導計画は、学校における指導計画であるが、保護者や子どもの思いも織り込め
るようにしたい。そのために、保護者や子どもに対し、聞き取りを行ったり紙面で調査し
たりしながら、教育的なニーズを明確にしていく必要がある。そして、計画ができあがっ
た 際 に は 、保 護 者 に 確 認 を 取 っ た う え で 、指 導 を 展 開 す る よ う な 手 順 を 踏 む よ う に し た い 。
なお、様式1は、学年が進級した時点で修正点があった場合は、随時書き込みをしてい
くようにする。様式2は、年度毎に新しい用紙に計画を作成し、計画書を重ねるようにし
ていく。そのことによって、継続した指導が展開できる。
(長曽我部博)
- 143 -