ギャンブル業界における健全化戦略

ギャンブル業界における健全化戦略
~実証・分析によるマイナスイメージ回復~
目次
ていない、ともすれば後ろめたいイメージを持つ
人も多く存在するのではないだろうか。何故この
① ―――はじめに
・序文・研究動機
ような業界を我々は選択したのか、説明していく。
2010 年度の 10 ゼミテーマは「日本活性化」であ
・要約
り、現在構造的な不振に陥っている業界にこそ新
・研究目的
たな提案の余地があると考え、我々はギャンブル
② ―――現状分析
業界を選択した。若者のギャンブル離れという言
・日本におけるギャンブル・賭博
葉が一般化しつつある中、実は日本におけるギャ
・現状分析
ンブル支出額はアメリカのそれに比べても大きく、
③ ―――仮設
低迷している現在においても、潜在的なニーズが
・仮設・設定の理由
存在しているのではないかと考えられるため、今
・仮説
後の戦略次第では、戦後のようなギャンブルによ
④ ―――検証
る日本活性化も十分可能性はある。
・調査手法
だが現状ギャンブル業界の大いなる発展が、な
・分析結果
んの問題もなく歓迎されるとは考え難い。ギャン
⑤ ―――考察
ブル業界の拡大は、一般的に中毒者の増加や若者
・まとめ・考察
への悪影響等、様々な社会的問題を生み出すと言
・提案・ギャンブル業界の健全化に向けて
われている。しかし果たしてそれらの全てが事実
・今後の展望-米国との比較-
に基づくものだろうか。多くの不安要素が声高に
・終わりに
叫ばれるが、例えば米国の犯罪率に関するある研
・参考文献
究(木曽、2009)においては、ディズニーランド
がある州、カジノがある州での犯罪率を比較した
江間薫 恵西菜穂
寺田祐也 松村美恵
杵多圭太
村上辰彰
ところ、両者に差は無いどころか、カジノ側の方
が低いという分析結果が出ている。また本研究で
早稲田大学商学部 久保克行ゼミ
述べるギャンブラーの性格に対するマイナスイメ
無形財班
ージも同様に、いくつかの想像される不安要素は
実証的に否定することが可能である。本研究を通
① ―――はじめに
じて、こうした既存のギャンブル業界に対する一
般的意見とされるような、印象論に捉われない新
序文・研究動機
今回我々が扱う「ギャンブル業界」また「ギャ
ンブラー」とは、日本においてあまり日の目を見
しい視点を持つことが出来たのは、非常に貴重な
経験であり有意義であったと思う。
要約
この調査の背景として日本における公営ギャン
本研究は、対象者を「ギャンブルへのはまり度」
ブル・民営ギャンブルともに売り上げの低下が顕
によって分類することで、固有の性格的な特徴が
著であり、
「若者のギャンブル離れ」が叫ばれてい
現れるのではないか、という見通しに基づき調査
る。これは余暇のニーズの多様化や景気の低迷に
を行った。ギャンブルへのはまり度をアンケート
よる消費量の低下、若者の心理的状況の変化など
調査によって未経験ギャンブラー・軽度ギャンブ
が理由としてあげられるほか、これらに対し業界
ラー・重度ギャンブラー(以後、未経験・軽度・
が法制度などにより柔軟に対応できていないのも
重度とする)の 3 段階に分類し、同時に調査した
一因として考えられる。1997 年にはサッカーくじ
性格的要素と比較し、はまり度の段階別にどのよ
導入など、ギャンブル業界の活性化に向けた活動
うな性格差があるか検証したものである。調査対
もみられるが、大きく消費を伸ばせていないのが
象は大学生 118 名であり、調査は早稲田大学内の
現状である。
喫煙所と 2010 年度 10 ゼミ討論会会場において行
これらの要因はどこにあるのか考えたところ、
った。また調査対象の内 55 名がギャンブルを経験
多くの、特に日常的にギャンブルをしない人が「金
していた。
や時間の無駄」
「ギャンブルをしているのは非生産
検証の結果、全体のサンプルで重度よりも未経
的・馬鹿馬鹿しい」などのマイナスなイメージ・
験者は勝負性向が低いことが分かった。さらに未
意見を持っていることが分かった。ここから我々
経験者の方が軽度より危険回避能力が高いという
はギャンブルとそれらを嗜むギャンブラーに対す
結果が示された。また男は女よりも懐疑性が高い
るマイナスなイメージを実証的に否定し、ギャン
ことが分かった。喫煙所における調査サンプルは
ブル産業のイメージ改善、ひいては活性化にもつ
未経験が重度よりも勝負性が低く、重度が軽度よ
ながるのではないかと考え、調査を行った。
りも危険回避度、規律性が高いことが分かった。
また 10 ゼミ会場における調査サンプルは、未経験
② ―――現状分析
が重度よりも勝負性が低く危機回避度、規律性が
高いことが分かった。また喫煙所と 10 ゼミ両者の
日本におけるギャンブル・賭博
重度サンプルを比較すると、喫煙所サンプルの方
まず日本におけるギャンブル・賭博について説
が 10 ゼミサンプルよりも危機回避度、規律性が高
明する。ギャンブル・賭博とは刑法において「金
いことが分かった。
品を賭け、偶然性の要素を含む勝負を行い、結果
によって賭けた物品の再分配を行うもの」と定義
研究目的
されている。こうした定義の下、日本におけるギ
この論文の目的は、ギャンブラーに対する曖昧
ャンブルは、地方自治体をはじめとする公共団体
なマイナスなイメージが事実に基づくものか、実
が運営する公営ギャンブル、また民間企業の運営
証的な調査によって性格的固有の特徴を浮かび上
する民営ギャンブルが存在し、ギャンブル的要素
がらせ、明らかにすることである。実際に予備的
を含む各種遊戯が法の許可を得て行われている。
調査の段階ではギャンブラー・ギャンブルに関し
また認可されていないギャンブルは「刑法 第 2 編
て、多くの人はマイナスなイメージを抱いている
第 23 章
ことが分かった。
て扱われ、罰せられる。刑法以外にも日本におい
賭博及び富くじに関する罪」で賭博とし
ては、各種ギャンブルについてそれぞれ適用され
商品を交換し、パチンコ店外に設置されている景
る法律が存在しており、公営競技は 20 歳以上、民
品買取所によって売却することで、現金を得るこ
営ギャンブルのパチンコは 18 歳以上が遊戯可能と
とができる。これは「三店方式」と呼ばれ、パチ
なっている。では公営ギャンブルと民営ギャンブ
ンコがギャンブルではないという建前を通すこと
ルの違いについて説明する。
ができる理由となっている。しばしばこの運営形
<公営ギャンブル>
態について合法性が問われるが、パチンコ営業が
日本における公営ギャンブルは大きくわけて二
賭博罪として最高裁で起訴されたことはない
つに分類することができる。公営競技は競馬・競
輪・競艇・オートレースがあり、競馬なら農林水
現状分析
産省、競艇なら国土交通省といったようにそれぞ
まず調査をするにあたっての日本におけるギャ
れ監督省庁が存在し、売り上げが税収の一部とな
ンブル業界を含む、余暇・レジャー市場の現状を
っている。適用される法律もまた、競馬法・モー
説明する。
ターボート競争法といったように個別に存在する。
平成 18 年の日本における余暇市場規模は 78 兆
公営競技は第二次世界大戦からの復興を目的とし
9210 億円であり、平成 2 年以来 16 年ぶりに 80 兆
て開催され、長年にわたり地方自治体の財源とし
円台を割り込んでいる。スポーツ市場は前年比横
て大きな割合を占めていたが、近年の不採算化の
ばいで、用品市場は抒情に改善に向かいつつある。
流れで事業廃止する自治体も現れ始めている。
またフィットネスクラブ市場は過去最高益を更新
また公営くじも公営ギャンブルの一種である。
し、観光・行楽部門は前年比 0.5%増となっている。
その中でも宝くじとスポーツ振興くじの2つに分
市場縮小の要因としては、市場規模の大きいパチ
類することができる。適用される法律は当選金付
ンコの減尐をはじめギャンブル系の減尐によるこ
証票法とスポーツ振興投票法である。宝くじは他
とが大きいとされている。
(図表 1)
の公営ギャンブルと違い、くじの購入・当選金の
さらに平成21年には、余暇市場規模が69兆5,520
受け取りに関して年齢制限はない。スポーツ振興
億円と前年比4.3%の減尐、また景気低迷に新型イ
くじは 2001 年より J リーグを対象として日本で行
ンフルエンザ流行が重なり、平成元年以来の70兆
われ始めたものである。
円割れとなった。消費者の節約志向は依然強く、
<民営ギャンブル>
多くの業界で客単価の低下傾向が見られる。
民営ギャンブルとしてはパチンコ・パチスロが
広く知られている。これらは一見刑法における賭
博として扱われるように思われるが、
「風俗営業等
の規制及び業務の適正化等に関する法律」によっ
て認可された「設備を設けて客に射幸心をそそる
おそれのある遊技をさせる営業」つまりは、「風
俗営業」と定められている。一般的に誤解されが
ちだが、パチンコ店で客がパチンコをして得た玉
を現金に直接交換することは風営法によって禁じ
られている。しかし玉と「特殊景品」と呼ばれる
■図表1
レジャー産業の市場規模推移
(社団法人中央調査社「レジャー白書2010」に見
るわが国の余暇の現状より)
■図表2
公営ギャンブルの売上推移
娯楽部門においては前年比-3.4%であり、全業
単位:億円
種中最大の市場規模を誇るパチンコが 6 年連続の
45000
減尐となり、公営ギャンブル、宝くじ市場も縮小
が続くなど、ギャンブル系レジャーはいずれも厳
しい状況であった。次に公営ギャンブルと民間ギ
40000
35000
ャンブルに分類して分析してみる。
30000
<公営ギャンブル>
25000
次に公営ギャンブルの中でも戦後復興の切り札
として登場した公営競技には多くの地方自治体が
参入した。以後順調な発展を遂げ、多くの自治体
20000
15000
10000
が実施する競輪の売り上げが成長し、次いで競艇
の売り上げがそれを追い越した。しかし1990年代
に入ると、一転して売り上げ減尐となっていった。
5000
0
地方競馬、競輪、オートレース、競艇の売り上げ
は図表のとおりである。1991年に売上高は過去最
競輪
中央競馬
高額の8兆9320億円を記録したが、2005年には5兆
地方競馬
競艇
2440億円、2006年には5兆1330億円、2007年には5
兆0973億円、2008年には4兆9628億円と16年連続で
オートレース
(宇都宮市公営競技運営調査専門委員会より)
減尐し続けている。このうち、中央競馬も1977年
また、宝くじの売り上げを見てみると、平成6年
をピークに減尐し続け、売上はピーク時の69%であ
から平成10年まではほぼ横ばいで平成10年にミニ
るが、他競技の売上はすべてピーク時の50%以下に
ロト、平成11年にロト6が発売されたことによって
まで減尐している。オートレース(31%)、地方競馬
売り上げを伸ばしたものの、平成13年以降はほぼ
(39%)、競輪(42%)、競艇(45%)、の順に減尐が激し
横ばいで、平成17年を境に過去4年間売り上げが減
い。(図表2)
尐している。
(図表3)
ることが分かる。
■図表3
宝くじ売上推移
■図表5
パチンコ・パチスロ店の売上推移
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
(社団法人
0
日本遊技関連事業協 HP より)
これらのことから、民間ギャンブルは平成 15 年
を境に売上を下げ続け、苦戦しているということ
が分かる。この理由として考えられるのはパチン
(社団法人中央調査社より)
コの遊技規則の改正の影響を受け、改正以前に保
<民間ギャンブル>
安電子通信技術協会の検定を通過したパチンコ遊
民間ギャンブルにおけるパチンコ・パチスロの店
技機やその他の遊技機は、遅くとも 3 年後までに
数の推移のグラフは以下の通りである。
(図表 4)
全て撤去することが義務付けられたことである。
■図表4
また大当たりが連続するのが人気だった 4 号機パ
パチンコ・パチスロ店数の推移
チスロ機と呼ばれる機種も同時に撤去対象となり、
これに伴ってパチンコホールは入替のために多額
の費用負担を強いられた。加えて射幸心をあおる
遊技機の規制によって、大幅な客離れが見込まれ
たことを受けて、各種金融機関はパチンコ業界へ
の融資に対し非常に慎重にならざるを得ないとい
う状況の変化から、翌年平成 19 年には業界第 6 位
のダイエーが東京地方裁判所に民事再生法の適用
を申請する事態にもなった。この件に代表される
ように、平成 19 年度のパチンコ店倒産件数は大幅
に増加した。
(社団法人 日本遊技関連事業協 HP より)
平成 7 年では合計で 18,244 店舗あったパチン
以上のことより、日本のギャンブル業界の現状
は芳しくなく、売上の減尐が顕著であると言える。
コ・パチスロ店であるが、平成 21 年には 12,652
さらに、このギャンブル不況は所得増加に伴うレ
店舗まで減尐している。
ジャーの多様化、若者の心理的志向の変化に依る
また、下図はパチンコ・パチスロ店の売上であ
ギャンブル離れなどを背景とした構造的なものと
る。
(図表 5)平成 15 年から一貫して減尐傾向にあ
されている。ファンの高齢化に悩む競馬、競輪、
競艇などの公営ギャンブルはニューファミリーや
まっているのだ。
新人類などの新しいファン開拓に懸命である。各
しかし、それらいくつかは実証的に否定するこ
団体が経営難の理由の第一にあげているのが若者
とができる。例えばギャンブルが盛況している地
のギャンブルへの姿勢の変化、それによるギャン
域で犯罪増加が見られたとする。しかしその因果
ブル離れであり、最近のファンの中心は、どの競
関係の裏には、ギャンブルが盛況することによる
技にしても40代半ばである。
周辺人口の増加という単純な要因が考えられ、犯
罪率の増加をギャンブルが主たる原因とするのは
③ ―――仮設
論理の飛躍である。また先行研究によりギャンブ
仮説・設定の理由
ルは多くの暴力事件とは無関係であるとする先行
ギャンブル・ギャンブラー、それぞれのイメー
研究もあり(Garry Smith,2005)
、それらに強い相
ジについて予備的なアンケート調査を行ったとこ
関があるのは間違いないが、因果関係としてギャ
ろ、ギャンブルについては「怖い」「危ない」「損
ンブルが必ずしも原因となっているわけではない。
をしそう」などのマイナスのイメージが多く存在
またギャンブル業界が、自身に端を発する問題
した。また特にこのようなマイナスのイメージは、
に対する解決策を用意していることはあまり知ら
ギャンブル未経験者に多く抱かれていることが分
れていない。例えば米国においては、明らかにギ
かった。また、中でもマイナス要素となっている
ャンブルが原因となって起こる、着服・不正・マ
のは、ギャンブルの「社会悪」的な負の側面に対
ネーロンダリングなどの犯罪(いわゆるホワイト
するイメージであった。
クライム)は、厳しいゲーミング協会という第三
これはギャンブルが犯罪を始めとする社会的問
者機関による管理体制の中、犯罪の危険性が最小
題を誘因するという一般的な通説によるものであ
化されるよう努力が行われている。またこの業界
ろう。近年日本においてもマスコミなどで頻繁に
の避けがたい事実としてギャンブル中毒者・依存
扱われるような事件で、パチンコ遊戯中と思われ
症の問題が挙げられる。しかしこれに対しても顧
る親のネグレクトなどの事故・事件がセンセーシ
客 に 対 す る 責 任 を 取 る た め 「 self exclusion
ョナルに報道され、ギャンブルに強いマイナスイ
program」というものが存在する。これはカジノ依
メージを持たせている。しかし、はたしてそれは
存症者が自発的に自分自身をカジノから締め出す
本当にパチンコを原因とするものなのだろうか。
べく、プログラムに登録し、依存症と判断された
パチンコをすることが度を超えた際に事件・事
登録者はいかなる理由でもゲーミングエリア内へ
故を起こすケースがあることは否定できない、だ
の入場をすることができなくなるというものであ
が犯罪行為の要因として強い相関が挙げられる環
る。また Gambler Anonymous などのギャンブル中
境要因、個人の属性、他の犯罪歴、喫煙・飲酒な
毒自助回復団体の活動が、セーフティネットとし
どギャンブル以外の習慣的行動などはしばしば無
て機能している。
視され、事件・事故の際、全てが「ギャンブルを
つまりギャンブル業界のマイナスイメージとひ
していたから」
「ギャンブル中毒者だったから」と
とくくりにいっても、2 種類が存在し、それぞれに
いう言葉に帰結されがちである。このようにギャ
対応する必要がある。そのためマイナスイメージ
ンブルという言葉のもつイメージが、既にマイナ
の回復には、真にギャンブルが原因となっている
スイメージを想起させる代名詞として定着してし
部分に対する解決策の準備と、原因であると誤解
されている部分への否定、その認知が不可欠であ
ギャンブラーに対して誤解している事実を明らか
ると考えられる。
(図表 6)
にし、ギャンブル自体のイメージ向上につなげる。
■図表6
ギャンブル問題の分類
④ ―――検証
調査手法
アンケート概要
仮説を検討するためアンケート調査を行った。
アンケート日時
被験者
2010 年 11 月 3 日及び 11 月 6 日
19 歳から 26 歳の関東圏内の大学生 118 人
(男性 77 人
女性 41 人)
アンケート内容
①
ギャンブルをしている人としていない人の性
格の違いを 6 つの要素(危険回避度、勝負性
そこで本研究ではギャンブル自身が原因ではな
向、規律性、懐疑性、時間選好、コミュニケ
いが、一般的に誤解されている部分について、実
ーション力)別に調査した。
証的に否定し、マイナスイメージを払しょくする
危険回避度:危険を回避しようと認知してい
ことを目的とした。
るか否かの値。低ければ低いほど危険に対し
予備的調査において、ギャンブルを普段から嗜
て認知が低い
む者とそうでない者との間でイメージの乖離が見
勝負性向:勝負性を示す値。高ければハイリ
られ、
「ギャンブラー」についての得られたイメー
スク・ハイリターン、低ければローリスク・
ジは「ダメ人間」「廃人」「はまるのは馬鹿馬鹿し
ローリターンを求める。
い」といったように、マイナスのイメージが多数
規律性:規律やマナーを測る値。高ければ高
存在していた。同様にギャンブル自体にもマイナ
いほど規律やマナーを守ることを重視してい
スなイメージを持っていることがわかった。つま
る。
り、ギャンブルに普段から親しんでいない者がギ
懐疑性:懐疑的な姿勢を示す値。高ければ疑
ャンブルやギャンブラーに抱く漠然としたマイナ
い深く、低ければだまされやすいとも言える。
スのイメージを実証研究によって否定することで、
時間選好率:時間選好を測る値。高ければ目
マイナスイメージの回復を狙い、以下の仮設を設
先の利益を求める傾向があり、低いと長期的
定した。
な利益を求める傾向がある。
コミュニケーション力:コミュニケーション
仮説
「ギャンブラーをはまり度別に 3 段階に分類し
に対する姿勢を測る値。高いほどコミュニケ
ーション能力に長けている傾向にある
た際、重度のギャンブラーは軽度・未経験ギャン
各々の要素に 4、5 つの質問を設け、
「当て
ブラーと比べて、設定した性格的要素において劣
はまる」「わりと当てはまる」「どちらとも言
らない」
えない」「あまり当てはまらない」「当てはま
これを実証的に証明することで、一般的見地が
らない」の 5 段階で回答を求めた。
② ギャンブル経験者を軽度ギャンブラー、重度
2.90、
重度ギャンブラーの平均値は 3.32 であった。
ギャンブラーに分類し、未経験を含め 3 つの
このデータに対してt値は-2.33 となり、5%有意水
分類で特徴を比較した。
準でギャンブル未経験者と重度ギャンブラーの勝
ギャンブル経験者の分類方法は先行研究(安
負性向の平均には差があるという結果を得た。つ
藤,2001)に習って「Gamblers Anonymous の
まり、ギャンブル未経験者の方が重度ギャンブラ
20 の質問」にて分類(Yes と答えた数が 5 以
ーより勝負性向が低いという結果が示された。
上で重度ギャンブラー、4 以下で軽度ギャンブ
さらに危険回避について、ギャンブル未経験者の
ラーと分類した)。この分類方法において重
平均値は 3.34、軽度ギャンブラーの平均値は 3.03
度・軽度の判断基準は、ギャンブルをやる頻
となった。
このデータに対してt値は 2.07 となり、
度ではなく、どの程度ギャンブルにのめり込
5%有意水準でギャンブル未経験者と重度ギャンブ
んでいるかというギャンブルへのはまり度を
ラーの危険回避の平均には差があるという結果を
判断基準としている。
得た。つまり、ギャンブル未経験者の方が軽度ギ
詳しくは補録のアンケートを参照。
ャンブラーより危険回避能力が高いという結果が
これらを大学キャンパス内及び参加した関東 10 ゼ
示された。
ミ討論会を利用して、無記名方式により実施した。
<男女比較>
分析結果
アンケートで得られた各データを、t 検定を用いて
を分析した。
<全体について>
3.6
3.4
3.2
3
2.8
2.6
女子
男子
4
3.5
女子×男子
3
未経験者
2.5
軽度
2
重度
懐疑性
t値
-3.04
P値
0
補足的ではあるがこのような結果も得られた。
6つの要素についてギャンブルの経験・未経験に
関係なく女子と男子それぞれの平均値を求め、平
未経験×重度ギャンブラー
勝負性向
均値の差の検定を行った。懐疑性に関して女子の
t値
-2.33
平均値は 3.00、男子の平均値は 3.44 であった。こ
P値
0.02
のデータに対してt値は-3.04 となり、1%有意水準
で女子と男子の懐疑性の平均には差があるという
未経験×軽度ギャンブラー
結果を得た。つまり、男子の方が女子より懐疑性
危険回避度
t値
2.07
P値
0.04
勝負性向に関してギャンブル未経験者の平均値は
が高いという結果が示された。
<喫煙所>
ャンブラーは勝負性向が高く、重度ギャンブラー
4
の方が軽度ギャンブラーより危険回避能力と規律
性が高いことが示された。
3.5
3
未経験
<10 ゼミ会場>
2.5
軽度
4
2
重度
3.5
3
未経験者×重度ギャンブラー
勝負性向
t値
-2.08
P値
0.05
未経験
2.5
軽度
2
重度
未経験者×
危険
勝負
規 律
軽度×重度ギャンブラー
危険回避
規律性
重度ギャンブラー
回避
性向
性
t値
-2.64
-2.31
t値
2.28
-2.22
2.47
P値
0.01
0.02
P値
0.05
0.05
0.03
早稲田大学学生会館喫煙所において得られたデ
関東 10 ゼミ討論会プレ発表において行った調査
ータを基に、6つの要素についてギャンブル未経
から得られたデータについて、6つの要素につい
験者、軽度ギャンブラー、重度ギャンブラーにつ
てギャンブル未経験者、軽度、重度についてそれ
いて平均値を求めた。そして平均値の差の検定を
ぞれ平均値を求め、差の検定を行った。危険回避
行った。勝負性向の平均値が、ギャンブル未経験
において、ギャンブル未経験者の平均値は 3.41、
者は 2.68、重度ギャンブラーは 3.35 であった。こ
重度ギャンブラーの平均値は 2.83 となり、このデ
のデータに対して、t値が-2.08 となり、5%の有
ータに対してt値は 2.28 となり、5%有意水準でギ
意水準で勝負性向においてギャンブル未経験者と
ャンブル未経験者と重度ギャンブラーの危険回避
重度ギャンブラーの平均には差があるという結果
能力に差があるという結果を得た。また、勝負性
を得た。
向において、ギャンブル未経験者の平均値は 2.89、
また、危険回避に関して、軽度ギャンブラー2.86、
重度ギャンブラーの平均値は 3.36 となり、このデ
重度ギャンブラーは 3.58 という平均値をとった。
ータに対してt値は-2.22 となり、5%有意水準でギ
このデータに対して、t値は-2.64 となり、1%有意
ャンブル未経験者と重度ギャンブラーの勝負性向
水準で危険回避能力に関して軽度ギャンブラーと
に差があるという結果を得た。また、規律性にお
重度ギャンブラーの平均には差があるこという結
いて、ギャンブル未経験者の平均値は 3.13、重度
果を得た。また、規律性に関して、軽度ギャンブ
ギャンブラーの平均値は 2.56 となり、このデータ
ラー3.05、重度ギャンブラー3.60 という平均値を
に対してt値は 2.47 となり、5%有意水準でギャン
とった。このデータに対して、t値が-2.31 となり、
ブル未経験者と重度ギャンブラーの規律性の平均
5%水準で規律性においてギャンブル未経験者と重
には差があるという結果を得た。つまり、ギャン
度ギャンブラーの平均には差があるという結果を
ブラー未経験者は重度ギャンブラーより、危険回
得た。つまり、ギャンブル未経験者とより重度ギ
避能力が高く、勝負性向が低く、また規律性が高
いという結果が示された。
<男子未経験者×男子重度ギャンブラー>
<喫煙所と10ゼミ比較>
4
4
3.5
3.5
3
3
喫煙所
2.5
喫煙所重度×10ゼミ
2.5
軽度
2
重度
10ゼミ
2
危険回避
規律性
重度ギャンブラー
t値
2.27
3.29
P値
0.04
0.00
未経験
男子未経験者×重度ギャンブラー
勝負性向
t値
-2.42
P値
0.02
男子のみのデータについて6つの要素について
喫煙所と 10 ゼミ討論会プレ発表にて得られたそ
ギャンブル未経験者、軽度、重度についてそれぞ
れぞれのデータについて、6つの要素についてギ
れ平均値を求め、差の検定を行った。勝負性向に
ャンブル未経験者、軽度、重度についてそれぞれ
ついて、ギャンブル未経験者の平均値は 2.80、男
平均値を求め、差の検定を行い、喫煙所と 10 ゼミ
子重度ギャンブラーの平均値は 3.32 となり、この
討論会プレ発表との比較を行った。危険回避にお
データに対してt値は-2.42 となり、5%有意水準で
いて、喫煙所重度ギャンブラーの平均値は 3.52、
男子ギャンブル未経験者と男子重度ギャンブラー
10 ゼミ重度ギャンブラーの平均値 2.83 となった。
の勝負性向の平均には差があるという結果を得た。
このデータに対してt値は 2.27 となり、5%有意水
つまり、男子重度ギャンブラーは男子ギャンブル
準で喫煙所と 10 ゼミの重度ギャンブラーの危険回
未経験者に比べ勝負性向が高いという結果が示さ
避の平均には差があるという結果を得た。規律性
れた。
において、喫煙所重度ギャンブラーの平均値は
3.48、10 ゼミ重度ギャンブラーの平均値 2.56 とな
⑤ ―――考察
った。このデータに対してt値は 3.29 となり、1%
まとめ・考察
有意水準で喫煙所と 10 ゼミの重度ギャンブラーの
以上のデータ分析から得られた結果をまとめる
規律性の平均には差があるという結果を得た。つ
と次のようになる。大学生におけるギャンブル未
まり、喫煙所重度ギャンブラーの方が 10 ゼミ重度
経験者と経験者、軽度ギャンブラー、重度ギャン
ギャンブラーに比べ規律回避能力と規律性が高い
ブラーを比較してみると、我々が設定した危険回
という結果が示された。
避度・規律性・懐疑性・時間選好率・コミュニケ
ーション力の5つの要素においては劣っていると
は言えなかった。また全体を通して明らかになっ
たのはギャンブル未経験者よりも重度ギャンブラ
ーの方がより勝負性を求めるということが言える。
この結果はギャンブル自体がリスクを取るもので
あるため、当たり前とも言える結果となった。ま
ている可能性がある。ギャンブルに深くはまって
たギャンブルとは別に補足的な結果ではあるが、
いる人の中でも、更に喫煙をしている人の方がリ
女性よりも男性は懐疑性が高いという結果も得ら
スクに対する警戒心が強まっているのではないか
れた。
と考えられる。つまり社会的にリスクのある行動
更にこのサンプルを、アンケートを取った場所
と考えられる喫煙とギャンブルをする人は、その
で分けて分析すると、次のようなことが言える。
リスクを十分に認知したうえでそれらの行動をと
早稲田大学の喫煙所で調査したサンプルにおいて
っていると言えるのではないかと考えられる。先
は、総合したデータと同様にギャンブル未経験者
行研究では喫煙とギャンブルの習慣的行動の間に
よりも重度ギャンブラーの方が、勝負性向が高い
は強い相関があるという先行研究も存在するが
という結果に加え、軽度ギャンブラーよりも重度
(依田、2006)
、両者が影響・因果関係にあるかは、
ギャンブラーの方が危険回避度と規律性が高いと
我々が考えるリスクと一般的に考えられるリスク
いうことが分かった。また10ゼミ討論会の場で
の定義に違いが生じている可能性があるため、結
調査したサンプルにおいては、先ほどと同様にギ
論付けるには更なる研究が必要であろう。また調
ャンブル未経験者よりも重度ギャンブラーは勝負
査場所の違いがあり、喫煙サンプルは早稲田大学
性向が高いという結果に加え、重度ギャンブラー
内敷地で取ったため全員がおそらく早稲田生、10
よりもギャンブル未経験は危険回避度、規律性と
ゼミ会場での調査は早稲田以外の 10 ゼミ参加大学
もに高いという結果が得られた。これは喫煙所サ
生と、対象の違いが結果に影響を与えている可能
ンプルとは全く逆の結果であった。
性も存在するが、因果関係を明らかにすることは
この結果について更に両者のサンプルを比較す
現時点では出来ない
ると、喫煙所の重度ギャンブラーが10ゼミの重
度ギャンブラーよりも危険回避度、規律性が高い
ことが分かった。
提案・ギャンブル業界の健全化に向けて
本研究では誤ったマイナスイメージを実証的に
2つのサンプルにおいて真逆の分析結果が得ら
否定することで、イメージの回復を図った。しか
れた原因としてはいくつかの違いが影響している
しこれだけではギャンブル業界の健全化に対して
と考えられる。それは各サンプル内の男女比の違
は不十分である。以下にギャンブル健全化、ひい
い、喫煙行動の影響の有無、調査場所の違いであ
ては活性化までのプロセスモデルを示す。
(図表 7)
る。男女比については 10 ゼミサンプルでは約 1:1
であったのに対し、喫煙所サンプルには女性が非
常に尐なかった。女子の割合により数値が変動す
る可能性があると考え、女子を抜いたデータで分
析したところ差はなかったため、結果を左右して
いるとは考えにくい。また 10 ゼミサンプルでは喫
煙習慣を聞いていないので、仮に 10 ゼミサンプル
での喫煙率を平均的な数値と仮定すると、現在考
えられる原因としては、喫煙率の上昇がサンプル
全体の危険回避能力や規律性の数値に影響を与え
■図表7
健全化プロセスモデル
■図表8
健全化のジレンマ
つまり全体における協調をとれば、全体にとって
最大の利潤が得られるが、個別の利潤を各企業が
優先すれば、全体としては業界の不良化という最
マイナスイメージの回復については、本研究で述
悪の事態を招く。つまり業界全体の健全化を図る
べてきたことや先行研究にもあるように、ギャン
ためには、全ての企業が協調戦略をとることが望
ブル自身が原因ではない問題に対する誤解を実証
ましい。
(図表 8)そしてそのためには企業の上位
によって否定していくことについては提示してき
存在として、公的な規制が米国のように必要であ
た。それに加え、前述した不可避の問題に対して
ると考える。
日本における「self exclusion program」やギャ
こうしたいくつかの活動を行い、イメージ回復
ンブル自助回復団体の活動などのセーフティネッ
について務めることに加え、
「一般大衆に対する周
トを準備することが不可欠である。また社会貢献
知」が重要である。なぜならマイナスイメージの
のための CSR 活動や財務状況の開示によって信頼
定着で、ギャンブル業界におけるイメージとは一
を得るための株式公開などの、プラスイメージの
般的認識と直結しており、業界健全化を行うだけ
創出も合わせて行うことで、総合的なギャンブル
ではなく、その認知を十分に上げる必要があると
業界のイメージ回復・健全化の達成を図る。
いえる。
しかしこれは一見ギャンブル業界の利潤最大化に
今後の展望-米国との比較-
反するように見える。例えば個別の企業が顧客の
本研究によってギャンブラーの性格的要素は、
安全を顧みず、中毒者にしてしまうことで短期的
一般的に抱かれているイメージとは違い、決定的
な利潤最大化を狙って競争・裏切り戦略を採用し、
に悪いとは言えないことが分かった。しかし今後
抜け駆けをすれば、他の企業の収益性は下がり、
日本にカジノ参入が決定し、いくつかのカジノが
結局は撤退を免れるために他の企業もその戦略に
設立され一般化されたとすると、この状況は大き
追随するしかなくなり、長期的に見れば顧客の総
く変わる可能性がある。そこで既にギャンブルが
中毒化傾向を招き、ゆくゆくは業界全体の不良化
国民的娯楽になっている米国の状況と比較した上
へと陥ってしまう。ギャンブル業界はこうした利
で、今後の日本のギャンブル業界の展望を検討し
益最大化と健全化のジレンマを抱えているといえ
ていく。
る。
先行研究では、次のような結果が示されている。
(Henry R. Lesieur,1991)米国では 1974 年以降多数
般的な大衆調査においても同様に、家庭崩壊や仕
の州が様々な形式のギャンブルを合法化しており、
事における失敗、財政的困難などに関連している
カジノも数多く存在している。世論調査によると
ということが明らかになっている。ギャンブル行
米国人口の約 81%がギャンブルを経験していて、
動とその他の逸脱行為との因果関係については実
約 31%が日常的に週に一度以上ギャンブルをして
証されてはいないが、カジノが日本において国民
いる。ギャンブルをすること自体は悪いことでは
的娯楽として広まった場合、それらの社会的諸問
ないが、社会的に問題があると考えられる病的ギ
題が増加することは容易に予測できる。日本にお
ャンブラーの割合は憂慮すべき事項である。現在
いても、もし米国と同じように合法化の末、カジ
の米国では、若者のギャンブルに関する問題が頻
ノがいくつも創設されるなどすれば、反社会的問
繁に現れていることや、成人期で日常生活に支障
題が増加し社会的コストも増加する可能性がある
をきたすような病的ギャンブラーの大多数が 10 代
ため、そのような将来的危険を回避するためにも、
にギャンブルを始めているという研究結果から、
前述した活動に備えることにより、カジノも含め
若者のギャンブル問題に対する社会的政策の必要
たギャンブル業界を健全化することが必要だと考
性や解決策の早期発見が叫ばれている。一方日本
えられる。
の大学生のギャンブル状況において、一番接触頻
度の高い麻雀には 10%以上の男子大学生が常習傾
終わりに
向を示しているという研究内で(安藤、2010)さ
本研究の結果により、一般的に抱かれるギャン
らに接触頻度の高い問題ギャンブラーの発生につ
ブラーへの悪いイメージは一部ながらも実証的に
いては、パチンコと麻雀に対して、男子の約3%
否定できると考えられる。この研究のようなギャ
が当てはまったと示されている。また米国では若
ンブルに対するイメージ改善を続けていくことで、
者の2割以上が常習ギャンブラー、15%がギャ
ギャンブル業界の健全化、若者のギャンブル離れ
ンブルに関する何らかの問題を経験する問題ギャ
の抑制、ひいては日本の活性化にもつながると考
ンブラー、5.6%がさらに重度の病的ギャンブ
えられる。
ラーであることが報告されている。問題・病的ギ
本研究の改善点としては、
「サンプルの数の増加」
ャンブラーの発生率において現在の日本の大学生
「設定した性格要素の見直し」
「検証場所の見直し」
の値は、アメリカの数値よりも、低いレベルにと
「喫煙、飲酒等の外部要因からの影響の考慮」が
どまっていると言えるが、カジノ参入が実現化し
考えられる。まず一番目にサンプル数の増加だが、
た際は上昇することも考えられる。
ギャンブルに日常的に接する人数が中々確保しづ
米国ではこういった状況の中で、いくつもの調
らいため、あまり多くの重度ギャンブラーを見つ
査において、病的にはまっている人のギャンブル
けることができなかった。これによって有意な差
行動と薬物乱用や違反行為、授業のカットなどそ
として現れない、潜在的な差を見逃している可能
の他逸脱行為との間には、強い相関が示されてい
性があるので改善の余地があると考えられる。次
る。それらの相関は、特に周囲にカジノなどのギ
に性格要素の見直しであるが、設定した 5 つの要
ャンブル場が存在しない地域よりも存在する地域
素で、分類別に調査しても全く差が見られないも
のほうが、病的ギャンブラーの発生確率が高いと
のもあった。これらを設定しなおすことで、さら
されている。また大学生のみならず、あらゆる一
なる別の固有の性格的特徴を挙げることが本研究
を推し進めることになると考えられる。また検証
住友信託銀行調査月報[2009]『産業界の動き~アミュー
場所の見直しであるが、競馬場・宝くじ売り場、
ズメント業界の拡大の背景』
雀荘など「ギャンブルをする場そのもの」で行う
上野健一[2006]『新日本のカジノ産業 : 超高齢化社会だ
ことにより、よりギャンブルにコミットしている
からこそ期待される! 地域復興への画期的提言!』しのの
対象者について調査し、更なる特徴を検証するこ
め出版
とが出来ると考えらえる。最後に喫煙・飲酒等の
岡田和生,スティーブ・ウィン[2003]『ラスベガスカジノ
外部要因がギャンブラーに対して何かしらの性格
ホテル : 最も新しい挑戦』集英社インターナショナル
的影響が考えられることは、先ほどの考察で述べ
木曽 崇[2010]『カジノ vs. ディズニー:究極の観光資
た。何故ギャンブルと他要素が影響し合って性格
源対決』
に影響を与えるかが実証的に示すことができれば、
地方自治体カジノ研究会[2002] 地方自治体カジノ研究
ギャンブルのイメージ改善等にも他の要素の力を
会研究報告書
借りることができると考えられる。これらを今後
博報堂 カジノビジネス研究会
の研究の課題として、新たなギャンブル業界活性
広報室[2003] カジノビジネス生活者調査 第一回速報
化に結び付けていきたい。
Henry R. Lesieur, John Cross, Michael Frank, Michael
Welch, Carolyn M. White, Garry Rubenstein, Karen
参考文献
Moseley, Marie Mark[1991],GAMBLING AND PATHOLOGICAL
池田陽[2008]『パチンコ業界の現状と将来について』
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地方経済面(近畿B)10ページ[2006] 日本経済新聞
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000825.html
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上野健一[2006]『新日本のカジノ産業』
宇都宮市公営競技運営調査専門委員会
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koueikyougisiryou12_030710.pdf
石川義憲[2010]『日本の公営競技と地方自治体』
http://www.clair.or.jp/j/forum/honyaku/hikaku/pdf/
BunyabetsuNo16jp.pdf
補録
<アンケート>
大学生に関するギャンブル行動調査
早稲田大学商学部久保克行ゼミ
江間班
このアンケートは、より充実した研究をするために実施するものです。匿名式となっており、あなたのプ
ライバシーを特定するような項目はありません。いただいた回答はアンケートの目的以外には一切使用い
たしませんので、率直なご感想をお聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします。
以下の質問にお答え下さい
選択肢がある際には、選択肢に丸を付けてください。空欄には回答を書き込んでください
性別(男・女)
年齢(
歳)
≪性格について≫
自分の性格についてあてはまるものを答えてください。
<1.あてはまる 2.わりとあてはまる
3.どちらとも言えない 4.あまりあてはまらない 5.あてはまらない>
1. スケジュール管理はしっかりする
2. 直観は鋭いほうだと思う
<
3. 宿題は早めに済ませる方だ
1
・
2
・
3
・
4
・
・
2
・
3
・
4
・
5
>
1
<
<
4. 嫌なことは後回しにしてしまう
5
>
1
・
2
・
3
・
4
・
5
>
<
1
・
2
・
3
・
4
・
5
>
4
・
5. 降水確率が割と高くても、外出時に降っていなければ持っていかない
6. 決まった店によく行く
7
<
1
テストでヤマを張りがちである
<
1
・
2
・
3
・
・
2
・
3
・
4
・
5
>
<
1
・
2
・
3
・
4
・
5
>
5
>
8. 新製品(飲み物・お菓子等)が出たらとりあえず買ってしまう
<
1
・
2
・
3
・
4
・
5
>
・
2
・
3
・
4
・
5
>
9. 保守的な考え方より、革新的な考え方の方が好きだ
<
1
10.
他人と競い合う、順位をつけるのに抵抗はない
11.
人が見ていなくても、マナーは守る
<
1
・
2
・
3
・
4
・
5
>
12.
疲れていても、お年寄りに席を譲る
<
1
・
2
・
3
・
4
・
5
>
13.
待ち合わせ時間は絶対に守る
14.
テスト勉強は早めにやっておく方だ
<
1
・
<
<
2
1
1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5
・
・
3
2
・
・
4
3
・
・
5
4
>
・
5
>
>
15.
バレなければうそや浮気は許されると思う
<
16.
性善説よりも、性悪説の方が納得できる
17.
付き合ってすぐに、腹を割った話が出来る方だ
18.
著名な人の言葉でも、間違っていると思うことが多い
<
1
<
<
1
・
・
<
1
1
2
・
2
太ると分かっていても、おなかが減っていたらいつでも我慢しない
1
・
・
21.
支出の計算をしっかりしている
22.
割引があっても分割払いはめんどくさいのでしない
<
23.
よく衝動買いをすることがある
<
24.
目先の小さな問題に目がいってしまう
25.
異性としゃべるのが得意なほうだ
26.
初対面の人とすぐ仲良くなれる
27.
友人の数は多いほうだと思う
28.
人を説得するのは得意なほうだ
3
2
2
・
3
4
3
4
5
・
5
4
4
5
・
・
5
5
3
・
4
・
5
1
・
2
・
3
・
4
・
5
>
・
1
2
・
・
・
3
2
3
・
・
・
4
3
4
・
・
5
・
4
>
5
1. ギャンブルは日常的にしますか?
1「したことはない」2「年に数回」3「月に 1 回」4「週に 1 回」5「それ以上」
2. 年に数回以上と答えた方にお伺いします。
ギャンブルをして後悔していますか?
Yes / no
≪カジノについて≫
1. カジノ法案が日本でも準備されていることはご存知ですか?
Yes / no
2. カジノができたら行ってみたいですか?またその理由をお答えください。
>
5
・
>
>
>
・
2
>
>
2
・
>
>
>
・
・
・
5
5
4
4
3
・
・
・
・
・
・
・
≪ギャンブル(パチンコ、麻雀、競馬 etc)について≫
Yes / no
・
5
・
1
<
4
・
1
1
<
・
4
<
<
<
・
・
・
・
3
2
2
1
1
・
3
20.
<
2
・
人の話を鵜呑みにはできない方だ
1
・
3
19.
<
3
1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5
・
・
2
・
>
>
>
※ここからはギャンブルをしたことがある人にのみお伺いします。
≪ギャンブルについての 20 の質問≫
ギャンブルのために仕事や学業がおろそかになることがありましたか?
Yes / no
ギャンブルのために家庭が不幸になることがありましたか?
ギャンブルのために評判が悪くなることがありましたか?
Yes / no
Yes / no
ギャンブルをした後で自責の念を感じることがありましたか?
Yes / no
借金を払うためのお金を工面するためや、お金に困っている時に何とかしようとしてギャンブルをするこ
とがありましたか?
Yes / no
ギャンブルのために意欲や能率が落ちることがありましたか?
Yes / no
負けた後で、すぐにまたやって、負けを取り戻さなければと思うことがありましたか?
Yes / no
勝った後ですぐにまたやって、もっと勝ちたいという強い欲求を感じることがありましたか?
Yes / no
一文無しになるまでギャンブルをすることがよくありましたか? Yes / no
ギャンブルの資金を作るために借金をすることがありましたか? Yes / no
ギャンブルの資金を作るために、自分や家族のものを売ることがありましたか?
正常な支払いのために「ギャンブルの元手」を使うのを渋ることがありましたか?
ギャンブルのために家族の幸せをかえりみないようになることがありましたか?
予定していたよりも長くギャンブルをしてしまうことがありましたか?
Yes / no
Yes / no
Yes / no
Yes / no
悩みやトラブルから逃げようとしてギャンブルをすることがありましたか?
Yes / no
ギャンブルの資金を工面するために法律に触れることをしたとか、しようと考えることがありましたか?
Yes / no
ギャンブルのために不眠になることがありましたか?
Yes / no
口論や失望や欲求不満のためギャンブルをしたいという衝動にかられたことがありましたか?
良いことがあると2・3時間ギャンブルをして祝おうという欲求がおきることがありましたか?
Yes / no
Yes / no
ギャンブルが原因で自殺しようと考えることがありましたか?Yes / no
ご多用の中、アンケートへの回答につきましてご協力を賜り、まことにありがとうございました。
皆様のおかげで、貴重な意見がたくさんあつまりましたこと、重ねてお礼を申し上げます。今回のアンケ
ートの結果を、今後の研究に生かしてまいります。なお、まことに勝手ながら、ご回答につきまして、担
当者が編集いたしますことをご了承いただけますれば幸甚に存じます。
早稲田大学 久保ゼミ
江間班
<アンケートデータ
総数
基本統計量>
危険回避
勝負性向
規律度
懐疑性
時間選好
コミュ度
平均
3.23
2.99
3.14
3.29
3.45
3.18
標準誤差
0.06
0.06
0.06
0.07
0.06
0.08
中央値
3.20
3.00
3.20
3.25
3.45
3.25
標準偏差
0.70
0.70
0.71
0.74
0.63
0.92
分散
0.49
0.49
0.50
0.55
0.39
0.84
範囲
3.60
3.80
3.00
3.75
2.80
4.00
最小値
1.40
1.20
1.60
1.25
2.00
1.00
最大値
5.00
5.00
4.60
5.00
4.80
5.00
381.30
352.40
370.80
388.50
406.63
374.67
118
118
118
118
118
118
合計
標本数
喫煙所
危険回避
勝負性向
規律度
懐疑性
時間選好
コミュ度
平均
3.12
2.97
3.27
3.35
3.47
3.26
標準誤差
0.11
0.11
0.10
0.09
0.09
0.13
中央値
3.20
2.80
3.50
3.50
3.45
3.25
標準偏差
0.77
0.78
0.73
0.68
0.65
0.93
分散
0.60
0.60
0.53
0.47
0.43
0.87
範囲
3.60
3.80
2.60
3.75
2.80
3.33
最小値
1.40
1.20
1.80
1.25
2.00
1.67
最大値
5.00
5.00
4.40
5.00
4.80
5.00
162.10
154.20
170.00
174.00
180.43
169.50
52
52
52
52
52
52
合計
標本数
10ゼミ
危険回避
勝負性向
規律度
懐疑性
時間選好
コミュ度
平均
3.32
3.00
3.04
3.25
3.43
3.11
標準誤差
0.08
0.08
0.08
0.10
0.07
0.11
中央値
3.20
3.00
3.20
3.25
3.50
3.00
標準偏差
0.63
0.64
0.68
0.78
0.61
0.91
分散
0.40
0.41
0.46
0.62
0.37
0.83
範囲
3.00
3.00
3.00
3.25
2.60
4.00
最小値
1.80
1.40
1.60
1.50
2.20
1.00
最大値
4.80
4.40
4.60
4.75
4.80
5.00