小学校 2年2組 体育科 ゴールにけりこめ スーパーシュート −ボール蹴りゲーム− 指導者 1 舘岡 信也 子どもと単元 (1 )問 題 追 求 の 状 況 と 子 ど も へ の 願 い 1学期の「跳び箱を使った運動遊び」では,助走や踏み切り,体の投げだしを視点に,仲間の 動きを模倣したり,自分の動きを確かにしたりしながら動きを高め合う姿が見えてきた子どもた ちである。 本単元では,より多く得点するために,ボールや仲間の動きに対する見方や考え方,表し方と ともに,感じ方をもとにした動きのとらえを交流し,試技を繰り返す。その中で,仲間のよい動 きを模倣したり,自分の動きを確かにしたりしながら,動きを高め合う姿を目指す。 (2 )教 材 の 価 値 低学年のボール蹴りゲームでは,狙ったところへ蹴る技能と,ゴールを狙いやすい位置に移動 する技能を身に付けることが大切である。そこで,本単元では,壁に3つのゴールを設置する。 そ し て ,3 対 2 の ア ウ ト ナ ン バ ー ゲ ー ム に す る こ と に よ り ,ゴ ー ル が 一 つ 空 い て い る 状 況 に な る 。 この空いているゴールを巡って,蹴り方や攻め方を工夫することができる。また,攻守が近い場 所で分離されるために,3年生のラインサッカーなどにおける混在状況での動きの基礎を養うこ とができると考える。 本単元では,自分の蹴り方とボールや相手の動きに応じた移動の仕方を中心に,より多く得点 する方法を考えてくる。しかし,ゲームの中で,思うように得点することができず,得点が多い チームの動きに目が向いてくる。その状況で,得点の多いチームのモデルゲームをもとに話し合 う活動を組織する。このことにより,得点するためには,空いているゴールの方向にボールを蹴 ったり,ゴールを狙いやすい位置に移動したりすることに気付いてくる。その気付きをもとに仲 間と蹴り方や攻め方を考え,再び試技をすることで動きを高めていく。また,その中で,動きの 感じ方をもとにした交流の場を設定する。このことにより,仲間の状況に応じたアドバイスや賞 賛,励ましが生まれ,仲間とのつながりを深めていく姿を期待する。 そ こ で , 本 単 元 の 中 核 と な る 学 習 内 容 を ,「 ゴ ー ル を 狙 い や す い 位 置 に 素 早 く 動 い て , シ ュ ー トすること」とおさえた。 (3 )社 会 創 造 科 と の 関 連 本 単 元 で は ぐ く ま れ た 資 質 ・ 能 力 の 「模 倣 す る 力 」 が , 社 会 創 造 科 の 「 1 年 生 と 昔 の 遊 び ラ ン ド をつくろう」で,仲間の遊びをもとにより楽しい遊びをつくるときに発揮されるだろう。 2 カリキュラム上の位置付け 第3ステージ 小3「マット運動」(動きを比較する力) 回転の勢いを利用した転がり方のポイントを,動きを比較して見出す。 第2ステージ 「跳び箱を使った運動遊び」 (動きを模倣する力) 仲間の跳び方を見て気付いたことを もとに,よい動きを模倣したり自分 の動きを確かにしたりしながら動き を高める。 「ボール蹴り遊び」 (動きを模倣する力・動きを比較する力) 仲間の蹴り方や攻め方を見たり,比較し たりして気付いたことをもとに,動きを 模倣したり,自分の動きを確かにしたり しながら動きを高める。 「マットを使った運動遊び」 (動きを模倣する力・動きを比較する力) 仲間の転がり方を比較して見出した気付 きをもとに,動きのポイントを絞り込み, 動きを模倣したり,自分の動きを確かに したりしながら動きを高める。 小1「跳び箱を使った運動遊び」(動きを模倣する力) 仲間のよい跳び方そのものを模倣して動きを高める。 3 「協 働 型 学 習 」 (1 )手 立 て 5つの要素 1 場面・目的意識 2 交流相手 3 交流させるもの 4 交流相手 「協働」場面① 「協働」場面② 相手に止められない蹴り方や攻め方を明 空いているゴールを狙う蹴り方や攻め方を らかにしたいと願った場面。 明らかにしたいと願った場面。 ボールの蹴り方に違いのある子どもや,ボールや仲間の動きに応じた移動の仕方に差 がある子ども。 相手が止めにくいボールの蹴り方や蹴る 空 いてい るゴー ルを狙 うボー ルの蹴り方 位置についての考え。 や ,狙 い や す い 位 置 へ の 移 動 の 仕 方 の 考 え 。 モデルとなるチーム動きを提示して,相 モデルとなるゲームを提示して,空いてる 手が止めにくいシュートの仕方について ゴールを狙うシュートの仕方について話し 話し合う。その後,作戦を立て直してゲ 合う。その後,作戦を立て直してゲームを ームを行う。 行う。 5 ・ 得 点 の 変 容 が 分 か る 得 点 記 録 シ ー ト (個 人 シ ー ト と チ ー ム 全 体 を ま と め た シ ー ト )。 記録方法・形態 ・ 蹴 り 方 や 攻 め 方 を 検 討 す る 際 に 用 い る 作 戦 板 。 (2 )評 価 方 法 ○抽出児の動きの観察による模倣する力の評価 抽出児とそのグループの仲間を中心に,ゴールへの蹴り方について話し合ったり,練習した り,攻め方を考えたりした前後の動きの変容を見取り,模倣する力を評価する。 -1- 4 単元の目標 仲間の動きをもとにシュートの仕方について検討する中で,ボールを操作しやすい位置に移動 したり,狙って蹴ったりすることが大切なことに気付き,ゴールにボールを蹴り込む動きを高め ることができる。 5 単 元 計 画 ( 全 8時 間 本 時 6/ 8) 1次 キックシュートゲームでたくさん得点しよう <留意点> <抽出児Aさん> <抽出児Bさん> ・ゴールが一つで相手 動きの全体を構成している一つ一 力 強い動きや素 早い動きに 着目 が一 人 のシ ュ ート つの動きに着目し,丁寧に動きを し ,自分の考え にこだわり なが ゲームの提示 高めようとする子ども。 ら動きを高めようとする子ども。 ① ・キックシュートゲームステージⅠでたくさん得点しよう。 ○試しのゲームを行う ゴールに向かって蹴るけど,相手 強 く蹴るけど, ゴールに入 らな 場の設定 に止められてしまう。 かったり,止められたりする。 ② ◎相手に止められないようにシュートしよう。 ○モデルゲームをもと ゴールの端っこを狙って蹴ると, 斜 めから蹴ると ゴールに入 りや に相手が止めにくい ゴールに入りやすくなった。 すくなった。 シュートの仕方につ ③ ・考えたシュートの仕方で,得点を増やそう。 いて話し合う活動の 蹴る方向を,相手の動きに合わせ 斜 めに移動して 蹴ったり, 跳ね 組織 て変えると,たくさんゴールに入 返 ってきたボー ルをそのま ま蹴 <「協働」場面①> るようになった。 ったりすると入りやすい。 評:発言と動きの変容 相手が止めにくいボールの蹴り方や,蹴る位置が分かった。次は, から,思考力・判 ユーホーが3機と守りが二人のステージⅡでたくさん得点したい。 断力・表現力につ て評価する。 2次 スーパーシュート作戦を考えよう ④ ・キックシュートゲームステージⅡでたくさん得点しよう。 空いてるゴールを狙うけど,相手 斜 めから蹴るけ ど,相手が 二人 が二人いて止められてしまう。 いて,止められてしまう。 ⑤ ・点数が上がるように練習をしてスーパーシュート作戦を考えよう。 スピードキック作戦で,空いてる ぐ るぐる作戦で ,走り回り なが ゴールの色を教え合って,その方 ら いろいろな方 向から蹴る よう 向に素早く蹴るようにしよう。 にしよう。 ⑥ ◎転がってきたボールを空いているゴールに向かってシュートしよう。 本 場所決めて,散らばった方が,い 止 めないで蹴っ た方が,す ぐに 時 ろいろなゴールを狙える。場所決 シ ュートできる 。転がって きた め作戦をプラスしよう。 ボールを止めない連続キック作 戦をプラスしよう。 ⑦ ・パワーアップしたスーパーシュート作戦でゲームをしよう。 散らばると,自分の近くのゴール い ろいろな方向 から連続キ ック をすぐに狙えて,たくさんゴール で シュートした ら,たくさ んゴ できた。 ールできた。 シュートしやすい場所を考えて動いたり,蹴る方向を変えたりした ら空いているゴールを狙ってシュートできるようになってきた。 3次 201とキックシュートゲーム大会をしよう ⑧ ◎スーパーシュート作戦で相手のチームに勝とう ボールが転がってきそうなところ 強 く蹴るだけじ ゃなくて, だま に 動 い て ,ボ ー ル を す ぐ に 蹴 る と , し 作 戦 を 使 っ て 蹴 る 方 向 を 変 え 相手が来る前にシュートできた。 ると,もっと点数が増えた。 仲間と協力すると,いろいろな攻め方ができたり,動きが変わった りしておもしろいな。 -2- ・ゴールが3つで相手 が二 人 のシ ュ ート ゲームの提示 ○攻め方を考える場の 設定 ○モデルゲームをもと に,空いているゴー ルを狙うシュートの 仕方について話し合 う活動の組織 <「協働」場面②> □ パス を 使っ た 攻め 方の追求も認める。 (複線化) 評:発言や動きの変容 から,思考力・判断 力・表現力について 評価する。 ○身に付けた動きを試 す場の設定 評:対抗戦での動きや 振り 返 りの 記 述か ら, 獲 得し た 知識 や 技 能 を 評 価 す る。 2年2組 体育科 平成 23 年 10 月 20 日(木) 単元名 ゴールにけりこめ スーパーシュート −ボール蹴りゲーム− 指導者 本時の計画 1 舘岡 信也 6時間目/8時間 主眼 シュートの方向や攻めるときの位置をもとに検討していく中で,ボールを蹴る前に空いてるゴール を見付けてシュートしたり,跳ね返ってくるボールの動きを予想して素早く動いたりすることが大切 なことに気付き,得点する動きを高めることができる。 2 本時における「協働」型学習の手立て 「協働」場面② 1 空いているゴールにシュートできる蹴り方や攻め方を明らかにしたいと願った場 場面・目的意識 面。 2 ボールの蹴り方に差がある子や,ボールや仲間の動きに対する移動の仕方に差が 交流相手 ある子。 3 自分のスーパーシュート作戦。「空いているゴールを見つけて蹴る」「場所を決め 交流させるもの て跳ね返ってきたボールをすぐに蹴れるようにする」「ゴールの近くに移動して蹴 る」「ボールを止めないで蹴る」「ボールを止めて蹴る」「強く素早く蹴る」の考え。 4 モデルゲームを提示して,点数を上げるシュートの仕方について話し合う。その 交流方法・形態 後,自分のスーパーシュート作戦を交流し,ゲームを行う。 5 ・グループ得点記録シート・矢印付き作戦板 記録方法 3 評価方法 ○抽出児の動きの観察による模倣する力と表現力の評価 抽出児とそのグループの仲間を中心に,ゴールへの蹴り方について話し合ったり,練習したり,作 戦を立てたりした前後の動きの変容を見取り,模倣する力を評価する。 評価規準 動きを模倣する力 仲間の動きのよさを模 評価基準 A モデルゲームをもとに,空いてるゴール B(CはBにみたない) モデルゲームをもとに,空いているゴール 倣したり,不十分さから にシュートしやすい位置に移動したり,空 に蹴ることや移動することに気付く。この気 自分の動きを見直したり いているゴールを見付けて蹴る方向を変え 付きを言語や図,動きで仲間と伝え合い,動 しながら動きを高めるこ たりすることに気付く。これらの気付きを きとして表そうとしている。 とができる。 言語や図,動きで仲間と伝え合い,動きと して表そうとしている。 3 展開の大要 過程 学習活動 子どもの学びの広がり・深まり <抽出児Aさん> <抽出児Bさん> 留意点 ◎空いてるゴールにシュート 跳ね返って来たボールを止 連続シュート作戦で,自分 できるスーパーシュート作戦 めて蹴る作戦。 で攻めよう。 が蹴ったボールを仲間が蹴 る。 自分の作戦を試してみたいと意欲を高めている。 ①前もって考えてい T1 た作戦でゲーム① を行う。 自分のスーパーシュート作戦でゲームをしてみま ○チームで考えた方法で試技 しょう。 をする場の設定 止めて蹴っても,相手が二 仲間がボールを蹴っても, 人いて, 止められてしまう。なかなかゴールできなくて 動 点数が増えない。 き 考えた作戦がうまくいかず,点数を上げるためのシュ の ートの仕方を明らかにしたいと願ってくる。 高 ま り ・モデルゲームの提示 ②話し合ったことを T2 もとに,自分の作 戦を立て直す。 45 スーパーシュートのヒントをもとに自分の作戦を ○モデルゲームでの気付きを 考えよう。 もとに,自分の作戦を考え Cさんは,遠くても,空い Dさんは,空いてるゴール てるゴールに向かって蹴っ の近くで待ち伏せして,止 分 ている。 めないで蹴ってる。 る場の設定。 Aさん:空いていることが多 いゴールの色について 問いかける。 Bさん:ゴールしやすい場所 空いているゴールを見つけ 自分から,空いてるゴール について問いかける。 て,遠くても狙って蹴れば の近くに動いて,仲間が蹴 <「協働」場面②> 入る。狙ってシュート作戦 ったボールをそこに蹴る作 にしよう。 戦をしてみよう。 □パスを使った攻め方の追求 も認める。(複線化) 空いてるゴールにシュートする動きのイメージが明ら かになり,試してみたいと意欲を高めてくる。 ③新たな作戦を生か T3 新しく考えた作戦でゲームをしてみましょう。 ○グループで話し合ったこと してゲーム②を行 ボールのスピードが遅くて 空いてるゴールの近くで待 を動きとして表すために, う。 も,空いている遠いゴール ち伏せして,仲間が蹴った 試技を繰り返す場の設定 を狙うと,守りの人が取り ボールを素早く蹴ると,ゴ ・ノートに振り返りを記述す にくくて, ゴールが決まる。ールしやすくなった。 る場の設定。 空いているゴールへのシュートの仕方が身に付き始め,評:発言と動きの変容を検証 より動きを高めたいと願ってくる。 し,思考力・判断力・表 現力の高まりを評価。
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