- 38 - 7.表丹沢 仲尾根 → 書 策 新道 ~ マンガン鉱山跡

かいさく
7.表丹沢 仲 尾 根 → 書 策 新 道 ~ マンガン鉱山跡
【2015 年 4 月 18 日】
2 月に源次郎尾根で出会ったK氏からのリクエストで、書策新道のマンガン鉱山跡を見に
行くこととなります。それだけではつまらないので、K氏がまだ歩いていない烏尾山仲尾根経
由で行くことにしました。
渋沢駅で待ち合わせますが、明日の山開きを前にバス停は長い行列となっています。
マンガン鉱山跡
白竜の滝
書策新道
本谷横断
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せっかちな私はタクシーを提案し、大倉まで一足飛び。風の吊橋を渡ったベンチで準備し、
出発(08:00)。歩くのが速いK氏になるべく合わせるように、いつもより早足とします。1 時間
で作治小屋(09:00)。腹ごしらえをし、今季初めての蛭対策として防虫スプレーを靴と裾周り
に吹付けます。私は靴下を、3 枚重ねとしています。内側はウールの 5 本指、中間は膝まで
の女性用ナイロンストッキング、外側には混紡の厚手登山用靴下。蛭対策の武器は、中間
に履く目の詰んだ女性用ナイロンストッキングです。昔ヒマラヤ遠征の時、半月にわたるモン
スーン中の山麓キャラバンは、蛭との戦いでした。夏用テントの底は縫い付けて蛭の侵入を
防ぎ、歩く間は女性用パンストに半ズボン姿でした。頻繁に靴を脱ぎ、足元をチェックしなが
ら歩きましたので、蛭には喰われませんでした。現地のポーターたちは足に蛭をぶら下げな
がら、平気で歩いています。
(09:15)、作治小屋を出発。白に近いピ
ンクの花を咲かせた山桜と、濃いピンクのヤ
マツツジが散々に咲く仲尾根は、1 時間弱
で登ります(10:10)。烏尾山荘に入り、いつ
ものオニギリとドラヤキの昼食。山荘の主、
三木さんに淹れてもらうコーヒーで、食後の
余韻を味わいます。三木さんに鉱山跡の場
山 桜
所を聞きますと、「滝から 100m くらい登った
ところ」 と言われます。
(10:40)、烏尾山荘を出発し、表尾根の
登山者を追い越しながら書策小屋跡着。休
まずに、書策新道を下ります。(11:00)
(11:20)、セドノ沢左俣に下り立ちます。
ひと目で、マンガン鉱山跡がどこにあるのか、
わかりません。三木さんの 「100m 登る」 と
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ヤマツツジ
いう説明が頭に残り、沢の中を登ってみます。
洞穴方向
100m 以上登り、二手に別れる岩場の下を見
ても、それらしき洞穴は見当たりません。白竜
の滝まで戻ります。K氏は 「ブログを読むと、
滝の裏側だったような気がする」 と言う。滝を
右手から回り込み、流れに沿って左上すると、
洞穴が 2 つ見えてきました。
まず向かって右手の、大きな洞穴に登り
白竜の滝、上部から左上する
ます。入口に立つと奥行は浅く、左手にさら
なるトンネルが掘られ、小さい洞穴からの光
が射しています。
下部=白竜の滝
立って歩けるトンネルの中は暗く、K氏はス
マホを取り出してライトの代わりとします。肉眼
では暗いのですが、さほど広くはないので、
カメラのフラッシュだけで撮影はできました。
知識がないので、マンガン鉱石がどれか
右側、大きい方の洞穴入口から
洞穴方向
白竜の滝、上部の流れに沿って登る
鉱山跡、2つの洞穴
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もわからず、ただ眺めるだけです。
大きい洞穴のほうは、太陽光が直接当たる
からでしょうか、湿った底と壁面に緑の苔がよ
り多く張り付いています。
小さい洞穴の底には、岩から沁み、透きと
おった水がキラキラと流れ、小さな滝となって
落ちてゆきます。小さな洞穴の奥は手掘りの
跡なのでしょうか、不規則に削り取られた岩
大きい洞穴の岩石(マンガン鉱石?)
盤を露わにしています。
鉱山と言うには小規模すぎますが、資源の
ない日本がアメリカ相手に太平洋戦争を戦っ
た、塵も積もれば山となる・・・日本人のメンタ
ルと努力が透けて見えます。戦争なんて無い
方が良いことに決まっています。抑えきれな
い人間の欲望ドラマ(戦争←文化)を、洞穴
に対面する尾根の隙間に立ったカモシカは、
大きい洞穴から見る、小さい洞穴方向
動かずにジーっと見つめていました。
手掘り跡のような、小さい洞穴の奥
小さい洞穴から見る、大きい洞穴方向
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