コンプライアンス・CSRレポート(2008年度)

2009年4月10日
コンプライアンス・CSRレポート
(2008年度)
関西テレビ放送株式会社
―
目
次
―
第1
はじめに
第2
2008年度の経過
第3
番組制作等について各部門の取り組み
(1)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
放送倫理部会の活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
(2) 「S-コンセプト」他、本社番組制作部門の取り組み
(3)
東京編成制作部門の取り組み
(4)
報道部門の取り組み
(5)
スポーツ部門の取り組み
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(14)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(18)
(6) CS放送等、クロスメディア部門の取り組み
・・・・・・・・・・(21)
(7)
技術部門の取り組み
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(25)
(8)
営業部門の取り組み
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(27)
(9)
イベント開催部門の取り組み
(10) 番組審議会の活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(28)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(28)
(11) (社) 日本民間放送連盟への完全復帰と活動への参画
第4
・・・・・(10)
視聴者の方々とのつながりやメディアリテラシー活動
(1)
活性化委員会の開催・審議状況
(2)
視聴者対応状況
(3)
ACAP等 外部団体との交流について
(4)
カンテレ感謝祭の開催について
・・・・(29)
・・・・・・・・・・・・・・(32)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(32)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(35)
・・・・・・・・・・・・・・・・(40)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(41)
(5) 「月刊カンテレ批評」と「テレビの木」
・・・・・・・・・・・・・・・・(42)
(6) メディアリテラシー活動の現状と計画
・・・・・・・・・・・・・・・・(44)
(7)
全社的なCSR活動について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(46)
(8)
会見等、企業情報開示の状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(48)
(9) ホームページの改善状況、掲載実績
i
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(49)
第5
コンプライアンス態勢の構築
(1) リスクマネジメント態勢等の確立について
・・・・・・・・・・・・(52)
(2) コンプライアンス・ラインの運用について
・・・・・・・・・・・・(53)
(3) インサイダー取引等、不正防止への取り組み
・・・・・・・・・・・・(53)
(4)
第6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(52)
社内弁護士の採用について
経営機構等について
・・・・・・・・・・・・・(54)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(55)
(1)
経営機構改革と経営陣の刷新について
・・・・・・・・・・・・・・・(55)
(2)
社内組織改革や中途採用等について
(3)
現社屋の購入について
(4)
経営陣と社員間のコミュニケーション改善について
(5)
関係会社の再構築とグループ政策について
・・・・・・・・・・・・・・・・・(57)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(58)
・・・・(58)
・・・・・・・・・・・・・(59)
(6) 中期経営計画等 将来に向けたビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・(60)
第7
放送人倫理の確立に向けた
教育・研修等
・・・・・・・・・・・・・・・・(61)
(1) 社内研修、啓発、放送倫理・コンプライアンス研修会
(2) 放送倫理セミナーへの参画について
第8
おわりに
・・・(61)
・・・・・・・・・・・・・・・・(62)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(64)
ii
第1
はじめに
視聴者の皆さまに対し、2008年4月から2009年3月にいたる一か年の当社の
活動についてご報告申し上げます。
当社は、2008年11月22日に開局50周年の節目を迎えました。当社は11月
22日・23日の両日、50年の歴史を支えていただいた視聴者の皆様への感謝をテー
マに、大阪市住之江区の「インテックス大阪」で「カンテーレ感謝祭」を開催し、2日
間でのべ4万人の方々にご来場いただきました。会場には23の参加型・体験型のブー
スを設け、番組の裏側や制作者の仕事について視聴者の皆様にいくらかご理解いただけ
たのではないかと考えています。また、運営には当社の役員・社員が多数参加し、視聴
者の皆様と直接触れ合う機会を得、感謝の念を多少なりとお伝えできたことは大きな財
産になったものと確信しております。
当社は2008年4月17日、会員活動停止という条件付きながら社団法人日本民間
放送連盟(民放連)に再入会を果たし、次いで10月27日に活動停止処分の解除が承
認されました。当社は2007年4月に同連盟の除名処分を受けておりましたが、今後
は民放連の場においても、放送倫理の向上のため微力を尽くしてまいる所存です。
当社では「発掘!あるある大事典」調査委員会からの提言 1 、関西テレビ再生委員会
の答申 2 に基づき、経営機構改革や内部統制システムの充実をはじめ倫理の向上、番組
制作体制の増強などさまざまな課題に、引き続き取り組んでまいりました。この1年は、
番組面以外では経営陣の刷新、メディアリテラシー推進部の設置、弁護士を含む中途採
用の実施、入居中の北区扇町土地信託事業(キッズパーク)の購入、CS放送からの撤
退の決断、そしてリスクマネジメントシステムの段階的構築など、経営資源の本業であ
る放送事業への集中と内部統制システムの整備を中心に取り組んでまいりました。
米国のサブプライムローン問題に端を発した「100年に一度」とも言われる景気後
退は、放送広告に特に大きな影響を与えており、年央から減退が目立ち始めた広告収入
は特に第4四半期に至って急減を示しております。当社は収入源の開拓や経費の節減に
さまざまな努力を重ねておりますが、業績の低落は避け難い状況になっております。そ
ういった環境下にありましても当社は、放送番組の質や視聴者の皆様へのサービスを低
下させることのないよう、心がけてまいります。
今回、ここ1年の活動状況についてご報告いたします。当レポートは視聴者の皆様方
にご覧いただくとともに、活性化委員会においてもご検討いただき、ご意見を頂戴いた
したいと考えます。
1
2
http://www.ktv.co.jp/info/grow/pdf/070323/chousahoukokusyo.pdf
http://www.ktv.co.jp/info/grow/pdf/070529/tousinsyo.pdf
1
第2
2008年度の経過
2008年
4月 1日(火)
新卒社員22名入社
グループ再編のためシンクタンク会社から1名 を出向受け入れ
4月 3日(木)
活性化委員と執行役員兼務取締役との懇談会
4月 4日(金)
局長会概要
4月 7日(月)
新入社員等23名に対し、2日間のコンプライアンス関連研修
4月 8日(火)
番組制作現場スタッフと阪大鈴木教授・上智大音教授の対話集会
4月11日(金)
関西テレビ活性化委員会
社内LANに掲載開始
活性化委員会特選賞
4月17日(木)
民放連
第5回会合
ドラマ「子ほめ」に決定
表彰
緊急対策委員会及び理事会で、当社の再入会を承認
但し、会員活動は当分の間停止
全面復帰は9月に検討
4月21日(月)
全局長・部長に対し、研修「リスクマネジャーとしての役割」を開催
5月 7日(水)
グループ再編のためコンサルティング会社から1名 を出向受け入れ
5月16日(金)
出馬会長が会見で退任を表明
5月19日(月)
関西テレビ活性化委員会、
「コンプライアンス・CSRレポート」
に対する見解を表明
5月21日(水)
第13回放送倫理・コンプライアンス研修会(松田
士朗 講師)
5月22日(木)
心でつながる PJ チーム
5月23日(金)
ホームページ上にメディアリテラシー関連サイトを開設
5月26日(月)
報道カメラマンが兵庫県立夢野台高校でメディアリテラシー
第5回会合
教育の出前授業
5月30日(金)
決算取締役会開催
決算取締役会の報告記者会見(発表資料をホームページで公開)
5月31日(土)
S-コンセプト
6月 2日(月)
民放連「インサイダー取引防止セミナー」に担当者参加
6月 3日(火)
第3回コンプライアンス委員会開催
6月11日(水)
スタジオカメラ講座開催
6月23日(月)
第67回定時株主総会
新年度第1回「ザ・プロフェッサーズ」放送
出馬会長、片岡社長ら退任
横田会長、福井社長、専務1名、常務3名他就任
機構改革
編成局、制作局、東京編成制作局を廃止統合し、
編成制作局を設置
ホームページ内容を大幅に刷新
7月 1日(火)
活性化委員と新役員との懇談会開催
2
7月 3日(木)
ACAP 自主研究会
当社見学及び意見交換
心でつながるPJチーム
7月 7日(月)
第6回会合
人事異動及び機構改革
総務局にメディアリテラシー推進部を設置
編成制作局内に、コンテンツ管理、制作、東京編成制作の
3センターを設置
制作センター内に情報番組部を設置
7月 9日(水)
第1回
常勤役員会開催
7月11日(金)
関西テレビ活性化委員会
第6回会合
7月25日(金)
近畿民放19社主催「第3回 放送倫理セミナー」開催
7月27日(日)
科学番組
S-コンセプト
ドーピング
2008年度第2回「北京直前SP!
衝撃の真実~メダリストが語る!極限の戦い~」 関
西地区で放送
7月29日(火)
取締役会
現社屋購入を決議
7月30日(水)
第14回放送倫理・コンプライアンス研修会
(講師
7月31日(木)
三山峻司
弁護士)
関西テレビ活性化委員会、
「コンプライアンス・CSRレポート」
に対する見解を表明
8月 1日(金)
第25回放送倫理部会開催
8月 4日(月)
第15回放送倫理・コンプライアンス研修会
(講師
三山峻司
弁護士) 第14回の続編
8月 5日(火)
現社屋の売買契約を住友信託銀行、りそな銀行と締結
8月 6日(水)
社長記者会見
8月12日(火)
中途採用
8月16日(土)
環境番組「リミット2℃ ~脱温暖化のために~」放送
8月20日(水)
常勤役員会「関西テレビ環境自主行動計画」(環テレ宣言)策定
8月22日(金)
本社にて「テレビ局へ行こう! 高校生のための課外授業」開催
8月24日(日)
科学番組
募集開始
S-コンセプト
2008年度第3回「オサカナの科学」
関西地区で放送
8月27日(水)
全体会議
開催
8月31日(日)
「アナウンサー朗読会」開催
9月 1日(月)
本社社屋、売買契約に基づき決済、引渡しを完了
9月 5日(金)
第26回放送倫理部会開催
9月 8日(月)
京都造形芸術大学のドキュメンタリー制作講座に1名講師派遣
9月 9日(火)
ホームページに「環テレ宣言」を掲載
9月11日(木)
番組契約担当者連絡会開催
3
9月16日(火)
リスクマネジメント態勢の段階的確立のため、シンクタンクと
協議開始
9月25日(木)
新任管理職研修
開催
10月
3日(金) 第27回放送倫理部会開催
10月
9日(木) 近畿民放社長会開催
当社の民放連全面復帰支持を表明
10月10日(水) 心でつながるPJチーム
第7回会合
大阪府立東住吉高校・芸能文化科の生徒 スタジオ見学
10月15日(水) 社内番組情報閲覧システム稼動
10月17日(金) 関西テレビ活性化委員会
第7回会合
10月18日(土) 「親子サイエンスフェア」を大阪ビジネスパークにて開催
イベント「はたらくくるま」に中継車とSNG車を展示
10月21日(火) (社)全日本テレビ番組製作者連盟主催
ATP賞テレビグラ
ンプリで、
「あしたの、喜多善男」がドラマ部門最優秀賞を受賞
10月27日(月) 民放連
緊急対策委員会及び理事会で、当社の活動停止処分の
解除を承認
10月28日(火) ホームページリニューアル
10月29日(水) 全体会議開催
11月
7日(金) 第28回放送倫理部会開催
11月10日(月) リスクマネジメント関連
責任者ヒアリング開始(12月迄)
11月14日(金) 関西テレビ活性化委員会、
「コンプライアンス・CSRレポート」
に対する見解を表明
開局50周年に向けた全社員集会開催
11月15日(土) 開局50周年記念スペシャルウイーク
(11月23日迄)
11月17日(月) 社長記者会見
11月18日(火) 中小企業庁主催、下請法講習会に担当者参加
11月22日(土) 2日間にわたり
開局50周年「カンテーレ感謝祭」をインテッ
クス大阪にて開催
入場者数
合計4万人
11月23日(日) 「テレビの木」開局50周年スペシャルに福井社長出演
12月
5日(金) 第29回放送倫理部会開催
12月
8日(月) 第16回放送倫理・コンプライアンス研修会
(講師
三山峻司
弁護士)
12月14日(金) 開局50周年記念番組「地球☆感じてミッション!」放送
12月18日(木) 心でつながるPJチーム
12月20日(土) 科学番組
第8回会合
S-コンセプト「お天気キャスターサミット」
関西地区で放送
4
2009年
1月 1日(水)
弁護士資格契約社員1名入社
1月 4日(日)
科学番組
S-コンセプト「食の雑学クイズ ニッポン人の食卓
20XX年」 関西地区で放送
1月 9日(金)
関西テレビ活性化委員会
第8回会合
1月15日(木)
第30回放送倫理部会開催
1月20日(火)
大阪市内の小学校でアナウンサーらの出前授業開催
1月28日(水)
関西テレビ活性化委員会 「コンプライアンス・CSRレポート」
に対する見解を表明
1月29日(木)
社長記者会見
1月30日(金)
近畿民放19社主催「第4回 放送倫理セミナー」を当社ホール
にて開催
2月13日(木)
心でつながるPJチーム
立命館大学 学生が共同研究を発表
2月13日(金)
第31回放送倫理部会開催
2月20日(金)
全体会議開催
民放連「メディア・リテラシー実践プロジェクト報告会」に
担当者参加
2月25日(水)
絵本の読み語り会開催
3月 1日(日)
中途採用による社員3名入社
3月 7日(土)
科学番組
S-コンセプト「緊急報告 4000万人の国民病
アレルギーのヒミツ」放送
3月11日(水)
情報セキュリティー基本方針 等を制定、講習会を開催
3月17日(火)
第32回放送倫理部会開催
3月24日(火)
公正取引委員会主催
3月25日(水)
3月26日(木)
下請法講習会に担当者参加
月刊カンテレ批評に、大阪府私立中高生出演
リスクマネジメント会議開催
5
リスク管理台帳修正版策定
第3
番組制作等について各部門の取り組み
(1)
放送倫理部会の活動
2008年度は
年度初めと年度末となる現在で、景況は激変しました。「恐慌」が
想起される経済の悪化が、放送番組の、とりわけ倫理面に負の影響を及ぼすことはない
か、及ぼすとすれば、どのようなリスクが現象するのか。放送倫理部会では放送倫理の
顕現にむけて、番組制作現場から的確に情報収集し、現場の現実を深く洞察する、緻密
で実践的な部会運営を心がけてまいりました。景況は、奇しくも10月の民放連への完
全復帰のころからさらに悪化し、営業収益の悪化、番組制作費の逼迫などの状況下で、
さらに揺るがぬ放送倫理の堅持に努めなければなりません。
1)日本民間放送連盟正式復帰と放送倫理部会
10月27日当社の日本民間放送連盟正式復帰が成り、連盟の放送倫理関係会議とし
ての「放送基準審議会」に専務取締役が、「連盟番組部考査専門部会」に考査部長が、
それぞれ委員委嘱を受け参画・復帰いたしました。折から民放連・放送基準審議会は「放
送基準解説書」大改訂の最終盤作業中でありました。
民間放送の「憲法」的規定である「民放連放送基準」。その実施要項でもある「解説
書」改訂における重要事項は、当社の放送倫理部会において討議され、専務取締役及び
考査部長から「民放連」討議にフィードバックされて成案となりました。「日本民間放
送連盟放送基準解説書2009」は、2009年4月発刊・施行されました。
2)「放送基準解説書2009」と当社
当社「放送基準」は連盟「放送基準」条文本文に従来より完全準拠しています。「放
送基準解説書2009」には新規掲載の 「事例」として当社関連事例、すなわち「発
掘!あるある大事典」捏造事案ならびに 「BRC第28号決定・勧告」について、復
帰した当社に2事例掲載の確認を求められました。当社「反省」の意味するところを放
送業界全体に共有いただくべく、以下のように掲載されることとなりました。
第1章
人
権
(3条)個人情報の取り扱いには十分注意し、プライバシーを侵すような取り扱いはし
ない。
<事例>
6
dトークバラエティー番組で、ゲストの女性タレントが自分の結婚生活等について赤
裸々に語り、後日、同じ番組で、出演者たちが先の番組での女性タレントの発言に基
づいてトークを繰り広げた。この番組ついてBPO・放送人権委員会は、
「当時の夫
(番組放送後に離婚)に対する名誉・プライバシー侵害にあたる」として再発防止の
ための体制整備を勧告した。
第6章
報道の責任
(32条)ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、
公正でなければならない。
<事例>
b情報系番組で特定の食材にダイエット効果があることを紹介したが、番組内で扱った
海外の研究者の証言は吹き替えによって内容が改ざんされ、各種実験データも虚偽の
ものであったことが判明。視聴者から厳しい批判を浴びるとともに社会問題となり、
虚偽放送を行った場合の行政処分規定を含む放送法改正論議に発展した。
3)放送倫理部会より
コンプライアンス推進室長を部会長とし、番組関連部局のライン局長・部長らとコン
プライアンス推進室で構成されたプロジェクト、放送倫理部会は概ね月一回ペースで開
催され、2009年3月末までに32回を数えました。
・2008年4-6月期の概要
BPO放送倫理検証委員会の第2号、第3号、第4号各決定の意見書およびBPO /
BRC判断基準2008などの解説・検討などを集中的に行いました。放送メディアの
自浄自律について、当社に関わる番組捏造事件の後、機能強化されたBPOとの連携が、
放送業界全体のコンセンサスとなったからでもあります。
当社においては、BPOとの連携は、コンプライアンス推進室―放送倫理部会を通じ
て、社内全体に周知される体制を構築しました。コンプライアンス推進室を民放連番組
部・BPOと緊密に連携するシンクタンク・スーパーバイザー部署として、機能をリサ
ーチと研究を軸に強化しました。その上で放送倫理部会に参加する番組制作現場の「原
局における自律自浄」をサポートする体制です。各現場における事例集積を放送倫理部
会で共同検討し、さらには視聴者の声、番組審議会審議内容も共有する部会運営が、こ
の期に確立しました。
特に2007年6月に制定しました「番組制作ガイドライン」の改訂・追補にむけて、
放送倫理部会が制定時と同様、改訂作業を担当することを確認し、事例集積、判例・法
7
令等のキャッチアップなど、放送倫理部会として怠りなく担務することを申し合わせま
した。
・2008年7-9月期の概要
人事異動を受けてのメンバー交替後の定例会では、番組考査を「原局考査と考査部考
査の強固で有機的な連携の中で強化すること」を、新メンバーとともに再度確認しまし
た。 具体的には、当社放送基準(日本民間放送連盟放送基準準拠)の第Ⅰ章「人権」
第一条は「人命を軽視するような取扱いはしない」であり、その解説文は「殺人あるい
は自殺、心中、安楽死などを番組で取り上げる必要があっても、これを肯定したり賛美
したり、あるいは興味本位に取り扱うことを避け、表現にも注意しなければならない」
と明示されている中、かつて、2006年8月放送のバラエティ番組で「自殺」を興味
本位で取り上げようとした事案があり、当時の考査部と制作局幹部の判断で放送前に全
面削除した事例がありました。放送倫理部会では、当該削除部分を視聴し、この措置の
意味合いを再確認するなど、過去の重要な事例をテーマに学習をしました。
また6月12日に公正取引委員会から、ある放送局に対して「景品表示法違反のおそ
れがある」として発せられた警告(優良誤認)がありましたが、それについても事例検
討を行いました。ショッピング通販番組が増加する流れの中で、「あるある」における
「ダイエット実験」の痛苦な誤りを猛省するものとして、通販番組の番組中で行われた
ダイエット機器の実験に「景表法4条の規定に違反するおそれがある」とする公的判断
が示されたことを極めて重大に受け止め、他山の石として詳細に検討しました。
さらに、ショッピング番組への世論動向を踏まえ、民放連放送基準解説書改訂の方向
性について討議しました。悪化する一方の景況下での「CMの業態審査」「持ち込み番
組のあり方」など制作番組以外の留意事項などについても、改めて認識を深めてゆくこ
とを放送倫理部会で確認しました。
・2008年10-12月期の概要
BPO放送倫理検証委員会第4号決定「光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送
についての意見」との関連で、番組(他社)を通じて被告弁護団に対する懲戒請求を呼
びかけた橋下徹氏(弁護士・現大阪府知事)が訴えられた裁判で、橋下氏が敗訴した問
題で、出演者の責任・番組の責任などについて討議を行いました。
さらに上述の「日本民間放送連盟放送基準解説書改訂」について、長きに渡った除名
と活動停止中の情報ブランクを取り戻すべく、民放連・考査専門部会に復帰した考査部
長より報告を受け集中討議しました。論議のひとつの焦点は、放送番組全般に占めるC
M広告の重要性、ならびに広告のコンプライアンスの重要性についてです。「CM」は
放送番組の重要な不可欠の構成要素であるが故に、「テレショップ番組」「持ち込み番
組のあり方」など多岐にわたる「民放連留意事項」などについても、この際改めて認識
を深めてゆくことも、放送倫理部会で確認しました。
8
・2009年1-3月期の概要
今次の民間放送連盟放送基準解説書改訂に際しては、「ショッピング番組に関する留
意事項」「ショッピングCMに関する留意事項」などに大幅な加筆がおこなわれ、さら
に、(98条)「権利関係や取り引きの実態が不明確なものは取り扱わない。」における
解説も、より明確化されたところです。
3月12日の番組審議会において、事業者側からの4月番組改編説明に対して委員か
らご質問があり、中で「ショッピング通販番組内に消費者啓発コーナーを組み込んだら
どうか」という具体的ご提言をいただきました。この番組審議委員ご提言に対し、放送
倫理部会を拡大し、各地の消費生活相談センターから消費生活相談員をお招きし学習会
を開催、番組制作者の啓発を行いました。番組審議会からのご指摘ご提言を、実りある
形で 現場周知する機構としても、放送倫理部会を意識的に位置付けてまいります。
4)CM考査の放送倫理
世界同時不況が懸念される景況の急激な逼迫の中で、CMテレビ出稿をめぐる営業活
動は「あるある」問題時のダメージとは異なり、新たな困難に際会していることは事実
です。
そのような状況下であればこそ、われわれのメディアの媒体価値を、公序良俗とコン
プライアンスの側に立ってより一層高めていく努力が必要です。企業市民として「企業
の品格」をともに高めて行く「局-スポンサー」の苦難の時代ならばこその関係を構築
しなければなりません。
CM考査は「CM表現考査」と「スポンサー業態考査」を、放送業務局CM部とコン
プライアンス推進室考査部で担当していますが、放送倫理部会においても報告審議事項
とすることを確認しました。2008年8月より、放送倫理上の問題が想定されるCM
案件については、経営判断を仰ぐなどのルール化を措置しました。
当社「番組制作ガイドライン」は、その中で「第7章 広告のガイドライン」を明示
し、狭義の「番組」のみならず、民間放送番組全般に占めるCM広告の重要性、ならび
に広告のコンプライアンスの重要性にも論及し、番組と同等のあるいは番組にも優るコ
ンプライアンスをスポンサーとともに実現しなくてはならないことを、事例を含め実践
的なガイドラインとして示したところです。
今回の民間放送連盟放送基準解説書改訂に際しても、「ショッピング番組に関する留
意事項」「ショッピングCMに関する留意事項」などに大幅な加筆がおこなわれ、さら
に、(98条)「権利関係や取り引きの実態が不明確なものは取り扱わない。」における
解説も、より明確化されたところです。
9
第14章
広告の取り扱い
(98)権利関係や取り引きの実態が不明確なものは取り扱わない。
<解説>
いわゆるマルチ商法(連鎖販売取引)やそれに類するもの、キャッチ商法(キャッチ
セールス)、SF(催眠)商法などの悪質商法、ならびに男女交際あっせん業は取り扱
わない。
通信販売、会員募集、代理店募集、チェーン店募集、各種互助会、特定継続的役務な
どの広告は、十分その実態を調査した上で取り扱うべきである。
*網掛け
(2)
は「民放連・放送基準解説書」における改訂箇所
「S-コンセプト」他、本社番組制作部門の取り組み
1)
「S-コンセプト」について
「S-コンセプト」2年目となりました2008年度は、番組のコンセプトをより広
げ「広く日常に関わる科学的要素を含んだ番組」として取り組みました。スポーツ部が
担当し多面的にドーピングの実態や問題点を扱った「北京直前!ドーピング
衝撃の真
実」、地球環境の変化、温暖化問題も視野に入れながら日本人にとって身近な食をテー
マに制作部が制作した「お魚の科学」、
「食の雑学クイズニッポン人の食卓20XX」な
ど6本を放送しました。
特に3月には、報道局が初めて担当しました「緊急報告!4000万人の国民病“ア
レルギー”のヒミツ」は、「S-コンセプト」中最高の視聴率8.1%と視聴者の方々
により身近な問題として、好評を得ました。
来年度もこれまで以上に良質な科学番組をお届けできるよう、「S-コンセプト」を
制作していきます。
2)開局50周年スペシャルウイーク
2008年11月、開局以来50年間お世話になった視聴者の皆さまに感謝の気持ち
を込め、インテックス大阪で「カンテーレ感謝祭」を開催しました。当社の名物番組を
より親しんでいただけるようブース展示し、社員が総出で来場者にご説明しました。
また放送では、「スペシャルウイーク」と銘打って、50年にわたり取材してきた映
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像と関係者の貴重な証言を織り交ぜた「映像と証言で綴る昭和の記録」、芸術祭などの
受賞作品を厳選した「名作ドキュメンタリーdeカンテーレ」を放送しました。
また、開局記念日の11月22、23日には、当社の歴代名物番組の紹介や出演者の
トークなどを通じて50年を振り返る「感謝!感激!カンテーレ!」を2日間にわたり
生放送でお届けしました。
3)本社番組制作部門の取り組み
2008年4月の番組改編では「関西発の地域番組の充実」をテーマに、自社制作番
組を大幅にリニューアルや、強化充実をはかりました。土曜朝にネット番組「にじいろ
ジーン」を立ち上げたほか、深夜帯では恋愛バラエティ「チュートリアルのチューし
て!」baseよしもとのメンバー総出演による「鉄筋base」を新たに編成しまし
た。
また、メディアリテラシーの取組みとして月に一回テレビにまつわる様々な話題を取
り上げ「テレビの木」と番組タイトルを刷新しました。
7月期には、平日午前にベルトで「よ~いドン!」の放送を開始しました。この番組
は「ゆったり、ほっこり、にっこり」をテーマに地域に根ざした人々の発する温かさを
毎日視聴者の皆様にお届けしています。スタート当初の視聴率は低調でしたが、その後
徐々に支持を広げ、現在では平日午前の顔として定着しました。
また、これまで深夜で放送してきました報道ドキュメンタリー枠の「ザ・ドキュメン
ト」を祝日などの午後に編成して、より多くの方々にご覧いただけるようにしました。
10月の番組改編は、4月以降に撒いた種を着実に育て「ローカル番組の強化充実」
を図ることを目指しました。新たな取り組みとしては上方落語の魅力をじっくりとご覧
頂く「扇町寄席」を日曜早朝に編成しました。また、11月には開局 50 周年を記念し
て、パミール高原で暮らす少数民族を長期間にわたって取材したドキュメンタリー「天
のゆりかご」や、貧困や病にあっても生き生きと暮らす世界の子供たちの姿を追った「地
球感じてミッション!」などの特別番組を放送しました。また、年末年始には生放送を
含め、多くの特別番組を制作しました。
2009年に入ってからは2月に、ローカル番組からスタートしたピン芸人 No1を
決める「R-1ぐらんぷり」を二度に亘り放送。日曜午後に敗者復活戦を、そして 2 日
後の決勝は初めてゴールデンタイムに全国ネット番組として生放送しました。
4)機構改革や人員配置について
7月の機構改革により、これまでの編成局と制作局、ならびに東京編成制作局が合体
し編成制作局に改組されました。そして局内に制作センターとコンテンツ管理センター、
東京編成制作センターを新設しました。
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これにより、これまで以上に迅速な意思決定を図り、番組制作力の強化とコンテンツ
のマルチユースに対応すべく体制を強化しました。また、3月には中途入社社員2名が
制作部に配属されました。
(3)東京編成制作部門の取り組み
1)編成部について
編成部は、フジテレビをはじめFNS系列各社との編成調整と番組企画・調整を主に、
番組販売、番組宣伝を担ってきました。7月の機構改革で、東京編成制作センターが設
けられ、編成部は編成調整と宣伝、番組販売の3部門を担当。それまで行っていた番組
企画は、同センター制作部に移管されました。したがって、現在は部長以下、編成・番
組販売は副部長1名、部員3名、派遣社員1名で、宣伝担当は副部長1名、部員3名、
派遣社員1名で業務に当たっています。
放送業界を取り巻く厳しい市況の中で、セールス状況も激変を続けており、また、視
聴者の多様なニーズに応えるため番組内容や番組尺の急な変更が行われるなどネット
番組の調整事項も多岐にわたっています。エリアの視聴者の不利益にならないよう、ま
た、当社の営業利益や制作権の確保、コンプライアンスを念頭に日々編成調整を行って
います。
「サキヨミLIVE」や「SMAP×SMAP」のレギュラー番組のほか、2008
年度は「R-1ぐらんぷり2009」などの単発においてもフジテレビとの共同制作に
取り組み、契約書や覚書などの締結も含めた番組調整も行いました。
番組販売では、各局が番組購入費を削減する中、レギュラー番組や単発番組のセール
ス状況は厳しさを増しています。しかしながら、繁忙期の年末年始には前年比を上回る
実績をあげることができました。また、需要の高いドラマの放送権更新作業などを積極
的に行いました。
番組宣伝では、50周年記念番組の宣伝を精力的に行いました。開局50周年記念ド
ラマ「ありがとう、オカン」では、放送に先立ちホテルで先行試写会を行い、同じく開
局50周年記念ドキュメンタリー「天のゆりかご」では、記者向け試写会を行うなどブ
ームアップに努めました。また、各クールともドラマの番組宣伝には特に注力しており、
新聞、雑誌などへの広告掲出のほか、交通広告や渋谷の大看板広告を年間契約するなど
して宣伝活動を行いました。
フジテレビは2008年11月、放送業界の先陣を切って番組の有料ネット配信を開
始し今後も様々な試みが行われる中、当社としても、新しい挑戦を行っていかなければ
なりません。今までのルールでは調整できないことにも対応し、円滑で新しい魅力に満
ちた放送の一翼を担いたいと考えています。
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2)制作部について
2008年4月の新番組では火曜22時のネット・ドラマ枠として「無理な恋愛」を
制作プロダクションに制作委託(放送権譲渡契約)し、当社からはプロデューサー1名
が参画しました。13年ぶりの民放連続ドラマ主演となる堺正章さんがおかしくかわい
く、そして切なく演じるハートウォーミングな作品となりました。
7月新番組では全国ネット・ドラマ枠を引き続き担当し、「モンスターペアレント」
(火曜22時)の制作を制作プロダクションに委託し(放送権譲渡契約)、当社はプロ
デューサー1名、アシスタントプロデューサー1名が参画しました。このドラマは社会
的にも話題になり、視聴者の方々に教育問題について考えてもらえる良き題材にもなり
ました。
また機構改革・人事異動のありました7月以降も、番組の強化及びコンプライアンス
の徹底を目的に、各番組に参画する社員を増員しました。
「グータンヌーボ」
(水曜23
時)については、従来、当社はプロデューサー1名のみの参画でしたが、さらにアシス
タントプロデューサー1名、アシスタントディレクター1名を増員しました。全国ネッ
トのドラマについても従来のプロデューサー1名のみの参画から、プロデューサー、も
しくはアシスタントプロデューサー1名を増員し、複数体制で制作に臨んでいます。
10月の全国ネット・ドラマは「チーム・バチスタの栄光」(火曜22時)の制作を
制作プロダクションに委託(放送権譲渡契約)し、当社はプロデューサー1名、アシス
タントプロデューサー1名が参画しました。
このドラマは現代の医療が抱える問題を題材にしたベストセラーを原作とする医療サ
スペンスで、この期間に放送された各局のドラマの中でも話題作になりました。また、
2008年1月放送のドラマ「あしたの、喜多善男」が、ATP賞テレビグランプリ2
008において「ドラマ部門」の最優秀賞を受賞しました。また、「ミュージャック」
(金曜深夜)から派生したイベント「LiveJack」が、11月に行われ2名がプ
ロデューサーとして参画、事業部と協力し大成功に導きました。
2009年1月新番組では、開局50周年の記念番組として全国ネットの連続ドラマ
「トライアングル」
(火曜22時)を制作しました。プロデューサー、演出のみならず、
カメラマンなどのメインの技術スタッフも当社の社員で制作し、主演クラスの豪華なキ
ャストが勢ぞろいする中、内容、視聴率ともに好評で、当社の制作能力を社外にアピー
ルするとともに、視聴者の方々にも喜んでいただけたことと存じます。
年始の特番におきましても、全国ネット番組3本、関西ローカル番組1本を制作し、
当社の社員が複数メインスタッフとして参画し、そこで得たノウハウを今後の番組作り
にも生かしていきます。
また、引き続きプロデューサー、ディレクターの能力アップを図るべく、制作部会で
コンプライアンスの問題などを情報交換し、共有の財産として蓄積しております。
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3)クロスメディア事業部の番組
関西ジャニーズJr.主演の4月新番組「DRAMATIC-J」(月曜深夜)につい
ては、収録が東京、大阪で行われるケースがありますので、担当プロデューサーを本社・
ライツ事業部から1名と東京・クロスメディア事業部から各1名配置し、様々な状況に
迅速に対応できるよう配慮して制作に当りました。またその際は、主演者の年齢等を勘
案し、特に労働時間を厳守して作業しました。
2008年10月には、エイベックス・グループのユニットAAA(トリプルエー)
主演の番組「未来世紀シェイクスピア」は、東京の制作部よりプロデューサー1名とク
ロスメディア事業部よりプロデューサーを1名配置し、様々な状況に迅速に対応できる
よう配慮して制作にあたりました。また3月31日放送の単発ドラマで関西ジャニーズ
Jr.主演の「サムライ転校生」は本社の制作部よりプロデューサー2名、ライツ事業部
から1名、東京クロスメディア事業部より1名、計4名のプロデューサーを配置し東
京・大阪の連携をしっかり取りつつ制作にあたりました。このドラマにおきましても主
演者の年齢を勘案し、特に労働時間を厳守して作業を進めました。
(4)報道部門の取り組み
秋以降の急激な不況到来、混迷する政治状況の中で、殺伐とした社会的事件も多発し、
この年度は、「あるある事件」を起因として注視されてきた放送の倫理性や報道の公正
性が、これまで以上に問われ続けた1年であったと思います。
そういった環境下、報道局は常に気を引き締めて、各人が放送人としての意識をより
高め、視聴者に対し公正で正確な報道を誠実に届けるべく、業務にあたってきました。
◆日常業務の中での問題把握・認識共有に向けて
2007年より進めてきた、日常の会議やミーティングをより実のあるものとする取
り組みについては、引き続き、現場事情に寄り添ったきめ細かい討議を通して問題の把
握・解決へと向かうべく、以下の通り外部制作スタッフも交え緊張感を持って行ってい
ます。
►「スーパーニュースアンカーⅠ部(=17時台)」
月~金の各日放送終了後、番組プロデューサーの主導による当日担当の全スタッフミ
ーティング。
毎週月曜、キャスター及び各コーナーのスタッフが参加して行う、今後の取材放送予
定についてのミーティング。
毎月1回、全スタッフの参加にて行う全体会議ミーティング。
►「スーパーニュースアンカーⅠ部・Ⅱ部(=17時台・18時台)全体」
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月~金の各日放送終了後、Ⅰ部・Ⅱ部スタッフ合同にて行う、編集長による番組の点
検・総括とミーティング。
►放送倫理部会への参加
毎月1回、コンプライアンス推進室主催により開催の、編成・制作・スポーツ・報道・
放送・コンプライアンス等、関連職場の担当責任者で構成される、番組制作や放送上の
倫理問題等を報告・協議する会議に、報道担当責任者として、報道局長及び報道スポー
ツコンプライアンス担当者が出席参加し、またここでの討議内容を現場にフィードバッ
ク。
►視聴者対応社内連絡会への参加
毎月1回、コンプライアンス推進室主催により開催の、編成・制作・スポーツ・報道・
放送・コンプライアンス等、関連職場の担当者で構成される、視聴者の意見や苦情につ
いての意見交換や対応策を協議する会議に、報道現場担当者として報道部及び報道番組
部の各副部長が出席参加し、またここでの討議内容を現場にフィードバック。
►「月刊カンテレ批評」制作委員会
毎月1回、コンプライアンス推進室主催により開催の、自社放送批評番組「月刊カン
テレ批評」の内容等に関する協議を行う会議に、報道部及び報道番組部の両部長が出席
参加。
►「スーパーニュースアンカー」情報デスクによる視聴者対応
「スーパーニュースアンカー」放送中における視聴者の問い合わせや苦情に迅速・的
確に対応し、状況に応じ番組への即時的反映などを含めた現場に対するフィードバック。
►外部スタッフの労働環境改善
イコールパートナーの精神を踏まえ、外部制作スタッフ、特にカメラマンやエディタ
ー、撮影助手、編集助手など番組制作上の補助業務を担って頂いている方々の労働条件
や実態を精査し、必要に応じて業務請負契約から派遣業務契約への切り替えなども含め、
当該企業との協議を行うなど環境改善の継続的な模索・実践。
◆番組制作活動について
この年度は、関西エリアにおいて全国ネットニュース規模の事件が頻発したこともあ
り、例年以上に緊張感を持った日常の中で番組制作活動にあたった1年でした。
またそういった日常的報道活動とともに、開局50周年を期しての大型企画を含めた
ドキュメンタリー番組制作や、報道情報をベースにした単発番組の制作などを行いまし
た。
►「スーパーニュースアンカー」
月~金の番組放送を通じ、日常様々なかたちで発生する事件・事象について、表面的
なもののみならずその根底に潜むものに心をめぐらし、かつ常に正確さ公正さを念頭に
報道活動をおこないました。
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8月に行われた北京オリンピックにおいては、当社スタッフチームを現地に派遣し、
単にスポーツ速報や周辺情報の紹介のみにとどまらず、関西独自の視点から中国の庶民
生活事情の実態にも迫り、連日、現地生中継レポートをお届けして、好評を得ました。
また秋以降の急激な景気悪化の中で、より露わになってきた社会不安や社会格差、と
りわけ医療福祉や農業、地方自治体の財政難や中小企業の窮状といった地方における社
会矛盾に注目し、継続的に問題提起しました。
►ドキュメンタリー番組
2008年度は、海外取材による開局50周年記念番組の全国ネット大型企画と、同
企画の別編集バージョンの2本を含め、下記のドキュメンタリー9作品を制作放送しま
した。
・4月28日放送「手さぐり-児童虐待の真実を見つめた18年」
・5月5日放送「ものつくる人々-生野から世界ブランドへの挑戦-」
・7月21日放送「路地裏のバレリーナ~天神橋筋・母と娘の二人歩き~」
・8月15日放送「戦世(いくさゆ)を生きて~関西ウチナーンチュ・最後の証言~」
・9月15日放送「自律への絆~地域療育の現場から~」
・11月16日放送「天のゆりかご~世界の屋根に暮らす家族の物語~」
・11月17日~21日放送「映像と証言で綴る昭和の記録」
・1月17日放送「天のゆりかご~世界の屋根パミールに生きる~」
・3月20日放送「市民感覚-大不況と駅前再開発・宝塚2009」
海外ドキュメンタリー「天のゆりかご」2作品は、中国の辺境パミール高原に暮らす
タジク族の生活をほぼ1年にわたり長期取材したもので、そこに住む家族の情愛などを
貴重な映像を通して視聴者にお届けしました。
また11月17日から5日間にわたっては連日、当社報道局が開局以来保存している
貴重なアーカイブ素材を「映像と証言で綴る昭和の記録」として、地元関西に密着した
社会的視線でまとめ、現代日本の様々な歩みを振り返ると共に、報道の原点を考察しま
した。
その他の作品についても、関西に根ざした報道機関として地に足のついた取材姿勢で、
様々なこの地の社会事象や問題を掘り下げることを意識しつつ視聴者に提示し、それぞ
れに評価を頂いてきましたが、そういった中で、外部プロダクションのインディーネッ
トワークとのコラボレーションで制作した「戦世(いくさゆ)を生きて」が、関西拠点
の優れた報道活動を顕彰する第16回坂田記念ジャーナリズム賞において「第1部門
(スクープ・企画報道)放送の部」正賞を受賞したことは、「あるある事件」の中で問
われた外部プロダクションとの新しい連携の模索の中で得たひとつの成果ではないか
と考えています。
►その他の単発番組
この2009年で14年が過ぎた阪神・淡路大震災。当社はその翌年から震災が発生
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したその日時に合わせ追悼番組を制作放送し、民放他局が経過10年を機に生番組を取
りやめて以降もその制作放送を継続してきましたが、経費削減の中でその存続が危ぶま
れる状況となりました。しかし社内各署からの強い後押しの声もあり、2009年も途
切れることなく1月17日早暁「この瞬間(とき)に祈る」として神戸の東遊園地から
生中継による特別番組放送を行うことができました。震災の記憶を風化させてはならな
いという当社全社員の強い想いがあってのことと認識しています。
また同じ1月17日午後帯では、これも毎年恒例となった防災番組「スーパーニュー
スアンカースペシャル巨大地震・空白の時間を生きる~阪神大震災から14年~」を放
送し、地震や津波といった大規模な災害への日常的な警戒意識の強化を視聴者に呼びか
けました。
「あるある事件」の反省と教訓から制作が始まった単発シリーズ企画「S-コンセプ
ト」。その第12作となる作品を報道局として初めて制作担当し3月7日に放送しまし
た。
「緊急報告!4000万人の国民病“アレルギー”のヒミツ」というこの作品は「ス
ーパーニュースアンカー」での日常取材をベースに、現在多くの人々の関心事となって
いる食アレルギーや花粉症などについて、より正確な情報をお届けするとの意図で制作
したものです。
また「スーパーニュースアンカー」の日常の放送をベースにした企画として3月29
日には、同番組のレギュラーコメンテーター3人が各政党の国会議員を交えて現在の混
迷する政治状況について討議するトーク番組「スーパーニュースアンカースペシャル緊
急討論!ニッポンの政治を刷新せよ」を制作放送し、視聴者に問題提起を行いました。
◆「コンプライアンス便り」~「編集長メモ」について
報道・スポーツ現場の社員・外部スタッフに対するコンプライアンス関連の情報提供、
及び情報開示を目的としてメール配信してきた「コンプライアンス便り」は本年度7月
以降、「編集長デスクメモ」というかたちとなり、ほぼ1~2週に1号のペースで年間
を通じコンスタントに届けられましたが、現場記者やカメラマン、編集部門といった制
作現場最前線のみならず、管理職、デスクを含めた全スタッフ間の問題意識共有、倫理
意識向上などに、引き続き有効に機能しています。
2009年度については特に、裁判員制度やそれに伴う事件報道に関する留意点、マ
スコミ各社の種々の不祥事からの教訓、或いは実名報道・匿名報道についての考え方な
どなど具体的な注意喚起や判断基準の提示を行い、現場での指標的役割を果たし続けて
います。
なお特に、裁判員制度をめぐる放送局の考え方については、民放連の中で報道委員会
などを中心に討議され、また最高裁や日本新聞協会などとの話し合いで確認されつつあ
る報道対応の状況を踏まえ、報道局において「裁判員制度と事件報道」という文書を3
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月にまとめました。5月の裁判員制度実施、またそれ以降も含めまだまだ流動的な状況
は続いていくものと思われますが、まずはこの文書を基に報道局はじめ各番組制作現場
の認識を共有するべく、社内討議・説明の場などを作っていきたいと考えています。
◆放送インフラ整備について
社会的使命を持った報道機関として、的確な防災情報提供という観点から、気象警報
表示の向上は常に意識すべきこととして、2008年度もその充実をはかりました。
2008年2月25日から運用が開始された「緊急地震速報」については、7月25
日からそれまでの文字のみの表示から、より判りやすい地図表示仕様に変更し、更にチ
ャイム音も、統一化の考え方に沿ってNHK使用のチャイム音と同じものに変更しまし
たが、幸いなことに、ここまで関西地区においては同速報を送出すべき事態は起こって
いません。
また、10月22日からは「土砂災害警戒情報」
「記録的短時間大雨情報」
「竜巻注意
情報」の各異常気象情報表示システムを新たに導入し、視聴者に対するよりきめの細か
い防災情報の提供に努める体制を整えています。
報道機関としては、迅速性、具体的映像性といった点で欠かすことのできない要因と
いっていいヘリコプター取材体制ですが、ここまで長く20年にわたってその運航部分
を担って頂いてきた阪急航空株式会社が、2009年3月末をもってヘリコプター事業
部門を閉じ、4月1日からは朝日航洋株式会社に同事業を譲渡することになりました。
年初早々から阪急航空、朝日航洋の両社と、安全面における万全の体制を維持すること
を何よりもまず第一義に、スムーズに運営移行が行われるよう綿密な調整・検証を行い、
更なる報道活動の充実を図るべく作業にあたっています。
(5)スポーツ部門の取り組み
スポーツ局では2008年度も視聴者の方々に楽しんでもらえる、より良質な番組の
制作、放送に精励しました。さらに一層視聴者の方々の信頼を取り戻すべく、スポーツ
の持つ華やかな面だけでなく、その裏に隠れた選手たちの努力、情熱、苦しみなどを伝
えていくことで視聴者の方々にスポーツ選手の真の姿、そして夢や楽しみを感じてもら
える番組制作を目指しました。
プロ野球中継は阪神タイガース、オリックスバファローズのホームゲームやアウェイ
の試合を放送し、ファンの方々に選手の活躍を伝えました。またG―Ⅰレースを中心と
した競馬中継のレギュラー番組に加えて、この1年間は特に将来の財産にするべく、新
しいコンテンツの開発を意識し、バスケットボールのBJリーグ、ラクロス、CSの活
性化を図った剣道などの種目を取り上げることができました。
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特筆すべきは8月の北京オリンピックの直前の7月20日に、毎回五輪では特に問題
となる「ドーピング」を扱った「S―コンセプト
北京直前スペシャル
ドーピング衝
撃の真実」を放送したことです。言葉では聞く「ドーピング」というものが一体どうい
ったものであるのか、どういう弊害をもたらすのかという点を重視し、スポーツの持つ
影の部分にスポットライトを当てて、オリンピック直前というタイムリーな時に問題点
を浮き彫りにすることができたのは、意義深い番組であったと自負するものです。
また、開局50周年記念として、2009年1月18日に全国ネットで「開拓者~古
田敦也が見たスポーツ界の革命児たち~」を放送。大リーグでも大活躍し、引退を決め
た野茂英雄氏を中心に、2007年に引退した古田敦也氏が案内人として、スポーツ界
のパイオニアと言うべき人や企業を取材することで、選手たちの努力や苦悩を描き、視
聴者の方々には普段見ることのない選手たちの陰の顔やがんばりを紹介することがで
き、また違ったスポーツの側面を理解してもらうことができたのではないかと考えます。
引退といえば、プロ野球界の大物・清原和博氏も2008年に引退しました。当社で
は10月1日に、清原選手の引退試合となった京セラドームでのオリックスーソフトバ
ンク戦を放送し、イチロー選手や歌手の長渕剛氏も駆けつけた清原選手の涙の引退セレ
モニーを伝えました。そして清原氏の球界や自分自身などに対する本音を引き出した
「清原和博
男の一升瓶~野球人生ぶっちゃけスペシャル~」を2009年1月2日に
放送。23時45分からの1時間という深夜の放送ではありましたが、お正月というこ
ともあり、11.6%という高視聴率をマーク、通常の野球中継では見聞きできないト
ークを引き出し、視聴者の方々がその興味を満足することができたのではと思います。
2009年1月25日には28回目を迎えた「大阪国際女子マラソン」を生中継。北
京五輪ではまったく精彩を欠いた日本のマラソン界でしたが、三井住友海上の渋井陽子
選手が2008年11月の東京国際女子マラソンの後、中2ヵ月というトップランナー
では異例とも言える短期間でのレースにチャレンジしました。そして後半でペースダウ
ンしてしまうこれまでのレース運びを一新して終盤のペースアップで独走、8年ぶりの
優勝を果たし、2009年8月のベルリンでの世界陸上選手権大会の出場権を確実なも
のにしました。番組では渋井選手のレースを克明に中継、2位に入った赤羽有紀子選手、
9位の脇田茜選手というマラソン初チャレンジの2人の健闘などもあり、視聴者の方々
に感動と女子マラソン界の新しい息吹を伝えることができたと思います。
時系列は前後しますが、2008年5月には例年の男子プロゴルフ・三菱ダイヤモン
ドカップゴルフトーナメントを全国ネット中継。現在はキー局主体で行われているプロ
野球のオールスター戦も、2008年7月31日には当社のソフトとして京セラドーム
大阪から生中継、また10月11、12日と2日連続でオリックスー日本ハムのパ・リ
ーグのクライマックスシリーズを生中継しました。
また日本民間放送連盟に再入会できたため、8月はキー局からの受け放送分の北京五
輪の番組を当社のエリアに放送することができました。
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2008年11月9日には北京五輪で金メダルをとり話題沸騰した女子ソフトボー
ルの日本リーグ決勝戦の放送権利を獲得。ルネサス高崎の上野由岐子投手のノーヒッ
ト・ノーランという大記録の達成に加えて、国内3大会(全日本総合、国体、日本リー
グ)全ての優勝を果たすという歴史的なシーンを伝えることができました。
11月16日には当社の50周年記念番組として、関西のプロ野球を中心に我社がこ
れまで収録した50年のスポーツの名シーンの映像をまとめて放送。スポーツファンの
視聴者の方々に懐かしの名シーンを喜んでいただける放送ができたのではないかと思
います。
2008年12月28日には競馬の有馬記念、29日には「さんま・清の夢競馬」、
31日には「阪神タイガース大みそか大感謝祭!&関西駅伝No.1決定戦」を放送。
年明け10日には18回目の「ボク達同級生!プロ野球昭和40年会VS48年会スペ
シャル」
、そして「G―1レース集
2008年完全版
新時代の胎動」を放送。年末・
年始に野球ファンや競馬ファンに存分に楽しんでもらえたのではないかと思います。
プロ野球のオープン戦は例年通り2009年2月28日に阪神―オリックス戦を安
芸市営球場から、また翌3月1日にはオリックス-阪神戦を高知市営球場から中継しま
した。
また2009年3月15日のスカイマークスタジアムでの阪神―巨人戦の中継権を
獲得し、録画中継しました。また2月には40回目を迎えた「春の高校バレー近畿地区
決勝」(大阪は準決勝の男女4試合)を放送。近畿2府4県の高校バレーボール選手た
ちの活躍を伝えました。3月1日にはフジ系列の「春の高校バレーコーチィングキャラ
バン」としてバレーボールの元全日本代表、現サントリー所属の佐々木太一コーチが京
都の花園高校の男子バレーボール部を指導しました。その6ヵ月以上にわたる指導と練
習の様子を取材し、花園高校が京都府の決勝戦に至るまでのがんばりを描き、3月1日
に放送しました。
さらに3月27日の深夜にはプロ野球開幕直前特番を制作・放送し、プロ野球解説者
や野球ファンの芸能人たちによる今期の順位予想や各チームの戦力分析などを面白く
展開し、視聴者の方々に興味を持ってもらい野球の開幕からシーズンの盛り上げを図っ
ていきたいと考えます。
以上のように2008年4月から2009年3月までの1年間もより良質でより親
しみを感じてもらえるように、またこれまでには馴染みがなかった種目にもスポットを
当てて、より広く視聴者の方々に楽しんでいただこうと努力してきました。
もちろん番組の制作のチェック体制もさらなる徹底を図ってきました。部員一人一人の
自覚、放送倫理に対する意識が大切であるという認識を徹底させていくために、毎週1
回のデスク会や月1回の局会を欠かさず行い、プロデューサーや管理職、また番組のス
タッフが意見・情報の交換を行い、番組制作の進行状況などを説明して、問題点がない
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かどうかのチェックとさらなる問題意識のレベルアップを目指すとともに、どうすれば
番組が良くなっていくかの議論を絶え間なく行っていくことととしました。
今後も、さらに細心の注意を払って、これらの意識を高めていこうと考えています。
(6)CS放送等、クロスメディア部門の取り組み
地上波放送と関連する様々な他媒体との相乗効果等をめざして、当社のクロスメディ
ア部門では、視聴者の皆様により充実したコンテンツを多様な方法でお届けしており、
2008年度も以下のような事業を行ってきました。
1)CS放送(関西テレビ☆京都チャンネル)
この1年間、CS放送ならではの番組編成を目指してまいりました。京都から全国に
向けて発信される放送局として、祇園祭生中継をはじめ、京都三大祭、五山送り火など
の行事、昼12時の生番組においての「京のキャンパス情報」など地域に密着した番組
を数多く放送いたしました。
また、関西テレビ再生委員会の提言を受けてスタートした「CS活用費」から生まれ
た、鉄道アイドルの番組「電車女」はシリーズ化され、DVDも好評発売中です。そし
て、視聴者の皆様と直接ふれ合う機会として、11月に開催された「ケーブルテレビシ
ョーIN
KANSAI」に出展。約46,000人の来場者に対し、マスコットキ
ャラクターによる PR 活動を行いました。
しかし、2009年1月の本レポートに記しましたように、4月30日をもちまして
CS放送「関西テレビ☆京都チャンネル」は、閉局することになりました。
CS放送では、1998年の開局以来、これまでに年間約350本の新作番組を制作
してまいりました。この間に生まれた制作者の熱い想いが注ぎ込まれた良質な作品が、
今後さまざまな形に姿を変え、優良コンテンツとなるよう、今後共努力していきます。
。
2)データ放送関連
データ放送事業においては、火曜10時のドラマを中心に固定・ワンセグ連動データ
放送を実施し、10月からのドラマ「チーム・バチスタの栄光」では、ワンセグ連動デ
ータ放送で、「バチスタ掲示板」を用意し、ドラマを見ながら視聴者同士が意見を交わ
せるようにしました。
また「第28回大阪国際女子マラソン」では、データ放送で「優勝タイム予想クイズ」
を行い、固定データ放送でFNS系列初となる「オーバーレイ」(本線映像にデータ放
送でスーパー)を実施しました。
3)WEB関連
2008年4月からWEBやデータ放送の制作体制を見直し、グループ会社の関西テ
レビソフトウェア㈱に業務委託しました。これにより、週末や祝日も社員・スタッフが
21
出勤し、災害発生時等の緊急番組情報や放送予定の変更、放送不体裁のお詫び等をホー
ムページを通じて迅速に伝える体制が整いました。
また、メディアリテラシー活動をお知らせするため、5月23日「心でつながるプロ
ジェクト」のページを新設しました。
7月には、土曜日午前の全国ネット番組「にじいろジーン」のWEBオフィシャルサ
イトを立ち上げ、メインコンテンツとしてユーザーが自由に絵を描いて投稿できる「に
じいろキャンパス」を開始しました。
10月22日には、ホームページのデザインを全面リニューアルしました。企業サイ
トと番組サイトをそれぞれ独立したサイトに分け、相互にリンクする形にしました。
このリニューアルにより、当社の会社概要、採用情報、各種リリースにアクセスした
いユーザーが迷うことなく必要な情報にたどり着ける導線を確保しました。
また同時期に、11月16日(日)放送の開局50周年記念ドキュメンタリー番組「天
のゆりかご~世界の屋根に暮らす家族の物語~」の番組サイトを立ち上げましたが、こ
のWEBデザインが「第4回WEBデザインアワード(日本WEBデザイナーズ協会主
催)」において、WEBサイトとして、グラフィックデザイン、インタラクションデザ
イン、インターフェイスデザインから審査し、美しい構成と仕上がりが優秀と認められ、
グランプリ、準グランプリに次ぐ特別賞を獲得しました。
4)その他
4月、チケッティングサービス会社と連携し、WEB・携帯サイトにてオンラインチ
ケットサービスを開始しました。これにより、事業イベント等のチケット販売について、
番組告知後の電話でのチケット受付の集中による混雑が緩和できました。
7回目の開催となりました学生クリエーターのコンテスト「BACA-JA
200
8」は、「映像コンテンツ部門」と「ネットワークアート部門」の2部門で、全国21
都道府県80校の大学・専門学校から過去最高の254作品が寄せられ、次代を担うク
リエーターの登龍門として定着してまいりました。そして、2008度の受賞作発表・
上映会は「クリエイティブビジネスフェア2008」との連携開催となり、会場も同イ
ベントの行われた「マイドームおおさか」に移動しました。「クリエイティブビジネス
フェア2008」の広報物には全て「BACA-JA2008」を掲載し、幅広い広報
活動を展開しました。
5)映画事業
„
フジテレビジョン及び、FNS系列出資作品として
・ 「容疑者Xの献身」(2008年10月4日公開)興行収入49億円を超え、
2008年公開された邦画の興行収入でもベスト3に入りました。
・ 「赤い糸」(2008年12月20日)は、テレビドラマの放送開始後すぐに
映画を公開するという、今までと全く違ったスキームで展開、一つのドラマを
違った角度で広く楽しんでいただく試みを行いました。
22
„
その他当社出資作品について
・ 「TOKYO!」
(2008年8月16日公開、10月15日ヨーロッパ公開)
この作品は世界的に有名な3人の監督によるオムニバス形式のフランス映画
で、国際映画市場を対象としたビジネスへ出資したものです。作品は5月のカ
ンヌ国際映画祭「ある視点」部門でノミネートされました。そして2009年
3月からアメリカで、4月からイギリスで公開されています。
・ 「ブタがいた教室」(2008年11月1日公開)大阪府北部の小学校での実
話の映画化です。ある新任教諭が「ブタを飼おう!大きくなったらみんなで食
べよう!!」と児童へ提案。ブタの飼育を通して教育を考え、人間が食べて生
きていることを考え、命を見直そうという実践教育を行いました。この感動ド
キュメントをエンタテイメントにした作品で、2008年10月に実施された
第21回東京国際映画祭のコンペティション部門・観客賞、TOYOTA
arth Grand
E
Prix・審査員賞を受賞しました。
・ 「ハンサム★スーツ」(2008年11月1日公開)心優しいブサイク男琢郎
は着るだけでハンサムになれるスーツを入手し、超人気モデルに変身、憧れの
女性の前に現れるが・・・。みんなの変身願望をかなえる、笑って泣ける心暖
まるエンタテイメント作品です。またテレビドラマ化した作品を2009年3
月31日に全国ネットで放送しました。
・ 「大阪ハムレット」(2009年1月17日公開)2006年の第10回文化
庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2007年第11回手塚治虫文化短編賞
を受賞した森下裕美氏の同タイトルコミックの映画化です。2008年10月
に実施された第21回東京国際映画祭において、ある視点部門の特別賞を受賞
しました。
6)DVD 関連
・ 「あしたの、喜多善男~世界一不運な男の、奇跡の11日間~」
、
「無理な恋愛」
、
「モンスターペアレント」、
「チーム・バチスタの栄光」という当社制作の火曜
連続ドラマや、開局50周年記念ドラマ「ありがとう、オカン」、そして単発
ドラマ「リアル・クローズ」をDVDとして発売しました。
・ 2008年4月から9月まで、関西ローカルで放送した「関西ジャニーズジュ
ニア」によるドラマシリーズ「DRAMATIC-J」を2009年1月から
DVDとして発売しています。
・ またエイベックス・エンタテインメント株式会社と、当初からドラマのDVD
化を想定した共同出資プロジェクトを実施しました。2008年10月から、
音楽ユニット「AAA(トリプルエー)」主演の連続ドラマ「未来世紀シェイ
クスピア」を1クール関西ローカルで放送。放送終了後、2009年からDV
Dとして発売を開始しています。
23
・ 趣味性の高いコンテンツのDVD化にも取り組みました。関西テレビ☆京都チ
ャンネルで放送した「電車女シリーズ」の春夏秋冬編の4作品を1年にわたり
DVDとして発売しました。また「スーパーニュースアンカー」の企画に新た
な撮影を付加したDVD「後世に残したい鉄道風景」
、
「余部鉄橋~最後の四季」
を2008年11月に発売しましたが、鉄道ファンを中心に高い評価をいただ
いております。
・ DVD事業においても開局50周年としての取り組みを行いました。
DVDキャンペーンとして、当社が過去に発売したDVDのカタログ(A5変
形、4C、16P)を制作し、2008年11月以降発売のDVDに封入しま
した。また、販売会社の協力の元、関西圏の代表的大型拠点店舗ではカタログ
の配布や、平台、棚での商品展開をもとにしたプレゼントキャンペーンを、W
EBでは「Amazon.co.jp」内に特設ページを設け、プレゼントキ
ャンペーンを実施しました。
・ 50周年を記念して、当社のキャラクター・ハチエモンの開局50周年記念C
Mも含むCM集や、子供たちに歌い継がれる歌を関西出身のアーティスト&映
像クリエーターがコラボレートした番組「こどものうた」をDVDとして発売
しました。
7)出版事業
・ 出版事業については番組だけでは伝えきれない番組の魅力や情報を書籍にし
て視聴者に提案いたしました。
・ 開局50周年記念ドラマ「トライアングル」関連としては、当社の企画原案に
基づき書き下ろしされた原作本「トライアングル」が2008年9月、ドラマ
に先立って角川書店より発売されました。また、パリのロケで撮影された「広
末涼子・イン・トライアングル~メイキング写真集」が2009年3月に扶桑
社から発売されました。
・ 全国ネット番組「にじいろジーン」の料理コーナーから選りすぐったBEST
100レシピを書籍化した「楽チン☆アイディア料理 BEST100」は200
9年3月18日に宝島社から発売されました。
・ スポーツ部制作の競馬予想番組「サタうま!」からは、「サタうま!700万
馬券GETの法則」が2009年3月講談社より発売されました。
8)グッズ事業
・ 劇団四季ミュージカル「美女と野獣」グッズを、広島公演、静岡公演、仙台公
演において販売しました。
・ 11月に実施された「カンテーレ感謝祭」を機に、ローカル番組「チュートリ
アルのチューして!」や「鉄筋base」から新たなグッズを制作し会場でも
販売しました。
24
これらクロスメディアの各分野でも、著作権やその他の権利関係を適切に処理し、契
約書など文書の作成には、担当者がメディア業務部、編成制作業務部、コンプライアン
ス推進部法務担当ならびに社内弁護士との緊密な協議を重ねて遺漏のないチェックを
おこなっております。
またWEB、携帯を通じて取得する個人情報の管理については、各番組の担当者が適
切に管理できるようなシステムを導入しております。
(7)技術部門の取り組み
1)デジタル化の取り組みについて
・本社マスター更新関係
放送局の心臓部であるマスター室送出設備の更新作業について、2009年7月切替
を目標に検討を進めていましたが、2008年8月にはシステムの発注メーカーが確定
し、システム構築の詳細検討に入りました。11月から、建屋関係の工事を開始し20
09年3月下旬から各機器の搬入・設置工事が始まっています。今後、4月からは新シ
ステムの単体調整を実施し、結合テストから並行運用を繰り返して、7月に切替えるべ
く、精力的に作業を進めてまいります。
新放送システムでは、HD番組バンクなどフルHD対応の放送システムであり、放送
の高品質化と柔軟編成への迅速で安全な対応が可能になります。また、アナログ放送へ
は、デジタル放送のダウンコンバートで対応します。このようにデジタル放送をメイン
としたシステムとなります。
・デジタル中継局関係
2008年度も、2011年のアナログ放送の終了に向けて、デジタル放送の放送エ
リア拡大のため中継局のデジタル化に全力を尽くしました。兵庫県では市島局、姫路西
局、篠山局、氷上局、八鹿局、日高局、和田山局、山崎局、相生局、赤穂局、一宮安積
局、神戸妙法寺局の12局を、京都府では亀岡局、野田川局、中舞鶴局、山科局の4局
を、大阪府では柏原局の1局、滋賀県では大津石山局の1局、奈良県では三郷立野局の
1局、和歌山県では田辺局、田辺北局の2局の合計21中継局をデジタル化しました。
これにより2008度までのデジタル中継局数は48局となり、近畿地区のデジタル
放送の受信可能世帯は約786万世帯となり、全世帯の約95.4%に達しました。2
009年度も引き続き、放送エリア拡大のため全力で取り組んでいきます。
2)災害情報送出設備の充実について
視聴者の皆様にいち早くお知らせしなければならない気象情報やニュース速報につ
いて、放送時間に関係なく送出できるシステムを導入しています。2008年度は、報
25
道と協力し、緊急地震速報の自動化対応や従来の台風情報に加え、記録的短時間大雨情
報や竜巻注意情報、土砂災害警戒情報にも対応しました。
3)アナログ放送終了告知に対する取組について
現在のマスターシステムにおいて、専用の機器を追加することなく、創意工夫で、ア
ナログロゴマーク表示や、放送終了後のお知らせ画面挿入などのアナログ放送終了告知
を行い視聴者の皆様にお知らせしています。
4)放送事故防止対策、安心安全対策への取組について
放送事故を防止するため、放送システムを二重化していることや重要なシステムにつ
いては24時間体制の保守契約を結び、確実な保守管理で対応しています。人為ミスを
防止するため、運用マニュアルの充実や複雑な放送運行が予想される場合、放送休止時
間にテストデータを作成して、シミュレーションを実施しています。しかし、不幸にも
放送事故が発生した場合、事故検証シートを作成して情報を共有し、確実な対策を検討
して、部員に周知徹底しています。また、社内にお知らせするための報告書も作成して
います。
衛星伝送中継する時のために2001年作成したSNG車載局運用マニュアルを、
最新のSNGシステム情報に合わせて編集、更新しました。名前も「SNG便利帳」
としてスタッフが操作する時の安全意識の徹底と、SNGシステム全般にわたり深い
知識が持てるような内容にしています。
2008年7月に大型中継車にAEDを常載し、野球場・競技場・ゴルフ場など中継
車が行く場所において、スタッフはもとより一般観客の不測の事態に対処できるように
しました。2008年8月には1サブ・2サブにもAEDを設置し、特に観客が入る番
組が多い2サブには、子供用器具も合わせて設置しました。また制作技術部員7名が消
防署による普通救命講習を受講。AED使用方法及び緊急時の対処方法について習得し
ました。
5)CM運行について
CM運行業務は、クライアントからのメッセージを正確に視聴者へ伝えることです。
クライアントの指示どおりの放送素材を放送事故のないように、 広告会社から送られ
るCM進行表を切り口を変えて重複確認しています。結果、進行表入力ミスによる放送
事故はありません。また、クライアント側のコンプライアンス対応のための緊急CM素
材変更や、自然災害、事件・事故で急に編成される報道番組のCMフォーマット変更の
対応が、放送事故なくスムーズに出来るように、指導しています。CM運行データ管理
は、全てのスタッフに管理できるスキルを持たせ、ルーティーンの進行表確認作業のマ
ンネリ化を防ぐために適宜、部内の担当替えを行いました。
26
CM表現考査は、視聴者が不利益を被らないように、放送されるCM素材が関係法令
に遵守した表現であるか否かを確認することや、視聴者目線で公序良俗に反していない
かを確認するものです。CM表現考査は、
「テレビ局の常識」が「一般常識」から外れ
ないように自主自律の精神を保持するために厳しく確認しています。
「CM運行の放送
事故」や「ゆるい考査」で媒体価値を下げないことが、CM部の大切なCSR(社会貢
献)だと考えています。
(8)営業部門の取り組み
2008年度は後半、サブプライム問題、リーマン・ショックに端を発した世界規模
の景気後退により、自動車関連や不動産関連といった業種をはじめ、大手クライアント
の広告費が大幅に減少したことに加え、企業のM&Aの増加によりクライアント数も減
少し、それらの影響を受けた当社も、放送収入について非常に厳しい状況に陥った1年
となりました。
このような状況の中で、当社は開局50周年の記念の年を迎えました。全国ネットの
番組では、10月に里親問題をテーマに大阪を舞台にしたドラマ「ありがとう、オカン」
、
11月にパミール高原に暮らす人々を通じて、家族の絆を描いたドキュメンタリー「天
のゆりかご」を、関西ローカル番組では11月に「関西テレビ開局50周年記念番組
謝!感激!カンテーレ!50周年だよ
感
おかげさまスペシャル」をセールスしました。
また事業イベントでは、お笑いのビッグイベント「LIVE
STAND」大阪公演
を大口協賛スポンサーのご協力により実施し、地元の文化に貢献することができました。
さらに、CSR活動の一環として、パリ商工会議所・日仏経済交流委員会、在日フラ
ンス商工会議所、日本経済新聞社との共催で、日仏の大使館の後援の下、日仏のビジネ
スマン、及び国際企業や政府機関での活躍を希望する大学・大学院生を対象とした経済
シンポジウムを3月2日にパリで、3月10日に東京で開催しました。
これは日仏交流150周年に、当社が主催・招聘・企画した2つの文化事業「パリ国
立オペラ初来日公演」、
「源氏物語千年紀公演・パリ公演」に関する文化貢献の役割や日
仏のメセナと企業協賛の仕組みの違いなどについて事例報告を行うと共に、こうしたイ
ベントに協賛していただいた企業に関する情報発信の機会創出を目的に実施しました。
2008年10月、当社は民放連へ完全復帰を果たすことができました。これは、視
聴者の皆様、クライアント、広告会社、系列各局や全民放局のご支援の賜物であること
に感謝するとともに、放送人としてのコンプライアンスや倫理観についての責任と意識
をより一層持たなければならないことであると認識しています。
2009年度は、さらに厳しい営業環境が予測されますが、引き続き「関西テレビ倫
理・行動憲章」の遵守を基本として、日々の営業活動に取り組んでいきます。
27
(9)イベント開催部門の取り組み
2008年度の事業局は、開局50周年記念イベントの「パリ国立オペラ
初来日公
演」を兵庫と東京で開催、恒例となりましたスーパーダンスエンタテイメント「フロア
プレイ」も大阪・東京で開催しました。
また、11月には深夜の音楽番組と連動して生まれた音楽ライブイベント「Live
jack」を「Livejack
Special」として大阪城ホールで開催、「カ
ンテーレ感謝際」と同時開催しました「LIVE STAND 08」、2月には次代の
歌舞伎界を担う若手歌舞伎役者を集めた「二月花形歌舞伎」を開催、演劇、コンサート、
演芸等様々な分野のイベントに取り組みました。
一方、メセナイベントとして、6月の「キンダーフェスティバル」や「3000人の
吹奏楽」、2009年1月の「アマチュアトップコンサート」等の開催にも力を注ぎ、
2月にはフジテレビ佐々木恭子アナウンサーを講師に迎え、FNSチャリティー講演会
を本社なんでもアリーナで開催し、多くの方に来場していただきました。
今後もこれまで継続して行ってきているメセナイベントだけにとどまらず、1994
年に産経新聞社と当社の提唱で設立された「みどり基金」の「木陰を増やそ」という地
域緑化活動やFNSチャリティキャンペーン「世界の子どもたちの笑顔のために」への
支援活動に積極的に取り組んで行きたいと考えています。
2009年度はシルク・ド・ソレイユ「コルテオ」を7月から大阪・中之島で開催す
るなど、今後も地域の皆様に喜んでいただけるよう、明るく、楽しく、元気の出るイベ
ントの開発に努めたいと思います。
コンプライアンス面につきましては、これまでのレポートに記しましたように、名義
使用申請許諾基準の改定を行いました。また、リスク分担興行催事契約書の締結や、イ
ベントのホームページ、印刷物をチェックする体制等も改善されてきました。
今後も、問題が発生した時は、できる限り速やかな対応ができるよう努力してまいり
ます。
(10)番組審議会の活動
放送法を典拠とする放送番組審議機関として、「関西テレビ放送番組審議会」の強化
について委員会運営改善の具体策を、番組捏造事件の反省と教訓にたち、2007年に
委員会提言として頂戴いたしました。当社番組審議会委員の任期は「7月―翌年6月」
となっていますが、ご提言頂きました改善策『番組審議会のあり方』を踏まえ、200
8年度も、以下の改善点を引き続き実践いたしました。
28
①審議対象番組の選定
・審議会(委員長)と審議会事務局が合同で行う
②討議を活性化する
・オブザーバー(制作担当者)をプロデューサー以外にも拡充する
・オブザーバーと委員との質疑応答を随時に(従来は議事の最後)
・担当責任役員も当事者性に基づき発言する
・委員の自由発言(当月議題以外でも)を拡充する
③諸情報の積極的開示と共有
・審議内容を社内外の従前以上に積極開示する
・審議内容への対応諸施策を次回審議会で報告
・視聴者の苦情・抗議、対応状況のより詳細な報告
とりわけ2008年度においては、③審議内容の社内各制作現場への周知について、
「放送倫理部会」においてご審議内容を速やかに伝達し、放送倫理部会においても情報
と認識と共有化を実践いたしました。事業者委員からの各々の局内示達に加え、放送倫
理部会でも周知することで
より確実に現場への周知が図られることになります。
審議内容の現場での共有につきまして一例を挙げますと、直近の3月12日の番組審
議会で、事業者側からの4月番組改編説明に対して委員からのご質問があり、その中で
『通販番組内に消費者啓発コーナーを組み込んだらどうか』という具体的な提言をいた
だきました。この番組審議委員の提言に対し、放送倫理部会を拡大し、各地の消費生活
相談センターから消費生活相談委員をお招きし学習会を開催、番組制作者自身の啓発を
行いました。
今後とも、番組審議会からの指摘や提言を、より実りある形で
現場周知することに
努力してまいります。
(11)
(社) 日本民間放送連盟への完全復帰と活動への参画
2007年1月に発生した「発掘!あるある大事典Ⅱ」問題により、
(社)日本民間
放送連盟(以下 民放連)は、同年2月15日に、当社の会員活動停止を決定、さらに
4月19日には除名処分を決定しました。
その後、当社は、社内外の調査結果や検証、それに基づく反省や提言等を踏まえ、再
生に向かっての様々な施策に、全社をあげて取り組みました。
「関西テレビモデル」の実現を目指した取り組みは、社内的にも徐々に浸透し、具体
的には、機構改革の実施や放送倫理部会の活発な活動、制作会社との新たな関係の構築、
29
制作部門の増強やチェック体制の強化、「あるある」からの信頼回復を期して科学と向
き合った番組「S-コンセプト」の制作などへと結実しました。
しかし、こうした取り組みの最中に、当社は、改めて再生への意識の不足、社員一人
一人への浸透の足りなさを露呈する事案が発生しました。2008年2月18日に発覚
した「五輪番組広報」配信問題です。当社・宣伝部から、当時、当社が民放連から除名
されており、北京オリンピックを放送できない状況であったにもかかわらず2月4日に
フジテレビジョンから送られてきた「北京オリンピックスペシャルキャスター決定」の
情報を、メディア各社に対して、当社がオリンピックを放送するかのように配信し、さ
らに、その事実を2月8日に、外部から指摘を受けたにもかかわらず適切に対応できな
かったというものでした。当該部署は、「発掘!あるある大事典Ⅱ」問題の発覚当時、
記者会見や取材の窓口として部員全員が長期間に渡って記者対応に携わってきた職場
であり、そのような経験をしている部署のスタッフが、同事案を発生させたことで、全
社が、再び当事者意識の不足を実感しました。
またこの事案は、当初の取り組みに対して温かい眼差しを向けていただいた関西民放
各社の期待をも裏切る結果となりました。
この後、当社では、再度、当該部署の業務の再点検をするとともに、再々出発の意識
を固め、気を取り直して、もう一度、再生に向けて力を傾注することを誓い合いました。
こうした状況において、社員一人一人の中から自発的に問題点を語り合う有志の会が立
ち上がり、また各部署から多くの決意表明文が提出されました。
全社一丸となってのさらなる意識改革が進められる中、2008年4月14日には、
近畿民放各社の社長により、同年8月に開催される北京オリンピックの関西での放送を、
いかにすべきかについて検討する近畿民放社長会が開催され、その席上、当社の片岡社
長(当時)が、「五輪番組広報」配信問題とその後の取り組み等について報告するとと
もに、近畿地区にオリンピック番組を放送し、放送事業者としての責務を果たしたい旨、
またこの決意を視聴者に示すため、収入の一部を放送倫理向上に資する活動に拠出する
旨を訴えました。
これに対して近畿民放社長会は、「近畿の視聴者本位の視点で考えた場合、フジテレ
ビ系列が放送する北京オリンピックの近畿地区での放送については、広域局である関西
テレビによることが最も望ましい」との考えを示し、その方法については会議で話し合
われた意見をそのまま添えて民放連に送付するという決定をしました。
こうした動きの中で4月17日、民放連は、北京オリンピックの放送において視聴者
に不都合がないようにするとの観点から、当分の間、会員活動を停止するとの条件付で
当社の再入会を認めました。
さらに10月には、近畿民放社長会が再度、会合を開き、4月以降の当社の取り組み
を評価するとして、当社が民放連に全面復帰することに賛成する意見書を提出、これを
30
受け民放連は10月27日、緊急対策委員会、並びに理事会を開催して、除名から1年
6カ月で、当社の全面復帰を決定しました。
その後、当社は、民放連の放送基準審議会等にも復帰し、民放連の活動にも参画して
います。
31
第4
視聴者の方々とのつながりやメディアリテラシー活動
(1)活性化委員会の開催・審議状況
「関西テレビ活性化委員会」は、2007年3月に外部調査委員会から設置を提言さ
れ、同年7月に正式に設置されたものです。「外部の有識者からなる委員会で、第三者
の視点で、番組だけにとどまらず、経営全般に至るまで、当社に対して、広く論評、注
意喚起、提言を行う組織」と位置づけられ、淺田敏一委員長以下6名の委員で構成され
ており、これまでに臨時開催を含めて8回の委員会が開かれました。
1)第5回委員会(2008年4月)
2008年4月の第5回委員会では、再生に向けたこの1年間の活動をまとめた「コ
ンプライアンス・CSRレポート(2007年度)」が社長より提出されました。
レポートには、社内全ての部署から寄せられた、これまでの取り組み等が様々な角度
から記されている他、経営機構改革については、執行役員制の導入を中心とした改革を
実行したことにより、会議の活発化など一連の取り組みによる成果があったとする一方
で、制度の浸透と効果的な運用について、さらに検討を重ね、2008年の機構改革に
反映させたいとの認識が示されていました。
そして、「内部統制システムの充実」や「視聴者とのつながり」そして「メディアリ
テラシー活動」などの項目についても1年間の状況が報告され、委員会では、このレポ
ートの内容について審議を行いました。
また、この回では「活性化委員会特選賞」の受賞作品が決定し、表彰も行われました。
「活性化委員会特選賞」は、活性化委員が前年(この回では2007年1月から12月)
に放送された当社制作の作品(番組、および番組内企画)について、当社の再生に対し
て寄与したものを表彰するもので、募集方法ならびに審査の経過は、以下の通りです。
1月上旬
全役員・社員に特選賞について告知、作品の応募受付を開始。
1月 末
応募〆切
2月上旬
社内LANを用いて、役員社員による第1次投票を開始
2月中旬
第1次投票〆切
全社で222票の投票
上位5作品を決定
第2次審査へ
応募作品数 24
3月
活性化委員会全委員が、5作品を審査
4月上旬
各委員の採点を集計
この結果特選賞には、ドラマ「子ほめ」
(2007年12月8日放送)が選ばれました。
委員からは、「関西テレビのスタッフがチームになり、制作された素晴らしい作品で、
関西発の番組としても良質な番組だ」や「完成度が高く、制作過程に投じられた熱量の
32
多さを、もっとも強く感じた。迂遠のようではあっても『より質の高いコンテンツの自
社制作能力』の向上こそが、再生への本道であろう」などの講評がありました。
さらに5月19日には、委員会から当社に「レポートに記されていたこの1年余りに
及ぶ再発防止や再生に向けた活動は、概ね評価できる。特に今回は、各部署からの報告
がなされており、それぞれの部署が現状の課題について考察し、今後のありように思い
を巡らす機会になったのではないかと思料される」などとする見解をいただきました。
また見解では、経営機構改革やメディアリテラシーについてのご意見をいただきまし
た。
当社では、この見解に対して、「随所に高い評価を頂きましたが、ご指摘をいただい
た部分については、早急に取り組み、実現させる所存です」などのコメントを発表しま
した。
2)第6回委員会(2008年7月)
7月の第6回の委員会では、大規模な取締役の刷新や執行役員制度総括など、一連の
改革の状況が記されたレポートを新社長が発表しました。
そしてレポートについて、7月31日に「前回の見解公表からの3ヵ月の間に、定時
株主総会を経て、経営機構や取締役の刷新など、この1年間に成し得なかった部分に踏
み込んだことは、評価されるべきものである」といった見解が出されました。
また、新体制について「この間に再生に向けて諸施策を実行してきた経験に基づき、
再生という目標を達成するための最善の体制として関西テレビ新経営陣によって自律
的に選択されたものである。当委員会も、新体制の発足にあたって、この判断を尊重し、
今後の改革努力を見守ることにしたい」としています。
この見解に対して当社は、「一連の経営機構改革についての評価に関しましては、新
経営陣一同が、今後ともこれらの改革を実りあるものにするために、鋭意努力を続ける
とともに、新しい企業風土作りに努めます」とコメントしました。
3)第7回委員会(2008年10月)
10月の第7回の委員会では、7月からの3ヵ月間の活動をまとめた「コンプライア
ンス・CSRレポート(2008年7月~9月)
」が社長より提出されました。
レポートには、社内全ての部署から寄せられた、これまでの取り組み等が様々な角度か
ら記されている他、「メディアリテラシー活動」や「コンプライアンス態勢の構築」そ
して「経営基盤の整備」などの項目について詳細に記載されています。
その報告が社長より行われ、委員会では、このレポートの内容について審議を行いまし
た。
そして委員会は、11月14日「環境自主行動計画を策定し、環境負荷の少ない社会
33
の実現に向けて努力していく姿勢を打ち出すなど、CSR活動により注力していること
が窺える。リスクマネジメントに関して、企業活動において非常に重要な事項であると
認識している。メディアリテラシー活動についても、継続的な活動を期待する。」とい
った見解を発表しました。
この見解に対して当社は「基本的にご評価を頂いたものと認識し、当社の新たなブラ
ンド構築に向け、役員、社員一同が今後とも鋭意努力を続けてまいります」などのコメ
ントを発表しました。
4)第8回委員会(2009年1月)
2009年1月の第8回の委員会でも、直近3ヵ月間の活動をまとめた「コンプライ
アンス・CSRレポート(2008年10月~12月)
」が社長より提出されました。
このレポートには、開局50周年を迎え視聴者の皆様への還元やつながりなど、過去
から未来に向けた各部門の取り組みなどが記されており、委員会では、その内容につい
て審議を行いました。
そして、1月28日に以下の委員会見解を公表しました。
関西テレビ放送株式会社(以下「関西テレビ」という)より2009年1月9日付で
公表された「コンプライアンス・CSRレポート(2008年10月~12月)」
(以下
「レポート」という)について、当委員会は記載内容を仔細に検討した。
前回の見解公表(2008年11月14日付)後に、関西テレビは、開局50周年を
迎え、記念の番組を各セクションで制作するとともに、全社員挙げて、視聴者の皆様へ
の感謝のためにイベントを行ったことは、地域に根ざした放送局に向け注力しているこ
とが窺え、これは評価されるものである。
また、編成・制作部門をはじめ、報道、スポーツ部門においても、番組の制作に真摯
に取り組む姿勢が見られる。民間放送局の経営環境がさらに厳しさを増す中にあっても、
視聴率偏重に陥ることのない、良質な番組作りを続けられることを期待する。なお、社
会不安の高まりの中、節度ある放送を心がけられたい。
委員会の席上において、CS放送「関西テレビ☆京都チャンネル」の放送終了につい
ての報告を受けた。経営資源の地上波への集中という経営方針は、「発掘!あるある大
事典」調査委員会の調査報告書、ならびに関西テレビ再生委員会答申書における提言の
本質的な趣旨と合致するものと考える。不採算部門の見極めや関係会社の再構築を進め
ていくことは重要な課題であると委員会では認識しており、ひとつの区切りとして後述
のレポートにおいて、中間報告をされたい。
なお、当委員会は、3カ月の間に視聴者から寄せられた抗議・苦情についても報告を
受け、これを検討したが、重大な人権侵害に該当するものは見受けられない。
委員会は、本年4月の委員会開催時に、本年度を総括するレポートが公表されること
34
と認識している。
以 上
この見解を受け、翌1月29日に当社は、以下のコメントを発表しました。
1月28日、関西テレビ活性化委員会より、2009年1月9日付当社「コンプライ
アンス・CSRレポート(2008年10月~12月)」に対する見解を頂戴致しまし
た。これは1月9日の委員会でのご審議を経てお纏め頂いたものです。
当社の現在の取り組みについて、活性化委員会の方々には、これまでの再発防止や再
生への諸施策に加え、(社)日本民間放送連盟への完全復帰や開局50周年を契機とし
た視聴者の皆様との新たなつながりをつくる取り組みにつきまして、基本的にご評価を
頂いたものと認識しております。
また、委員会見解において言及されておりますように、経営環境がさらに厳しさを増
す中にありましても、地上波放送が第一と認識し、視聴率偏重に陥ることなく、良質な
番組を制作するべく、役員、社員一同が今後とも鋭意努力を続けてまいります。
さらに、不採算事業の見直しなど、資源を地上波放送事業に集中させるための方策を、
グループ全体を対象として現在検討しておりますが、その進捗状況につきましては、年
度末にあたります次回のレポートにおきまして、中間的なご報告をさせていただきます。
今回のレポートもこれまでのように、企業としての関西テレビが、視聴者の皆様や広
く社会に向け発信して、つながりを作り上げ、ご理解を深めるものと捉えており、今後
もこのような活動報告を続ける所存です。
以 上
活性化委員会が設置され1年9ヵ月が経過しました。様々な知識・経験に基づく、第
三者の視点から当社の番組制作、放送を中心とした事業活動に忌憚の無いご意見をいた
だく場として、活動していただいております。
(2)視聴者対応状況
2008年度の視聴者対応件数(電話・メール・郵便)は、以下の通りです。
4月
総件数5977件(問合せ2659件
感想721件
5月
6月
情報提供232件
総件数5402件(問合せ2680件
感想424件
苦情1231件
苦情1036件
情報提供218件
総件数4629件(問合せ2916件
35
苦情1112件
要望908件
その他226件)
要望769件
その他275件)
要望797件
感想612件
7月
情報提供200件
総件数5943件(問合せ3082件
感想454件
8月
感想296件
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
苦情777件
情報提供165件
総件数5766件(問合せ3446件
感想359件
苦情720件
情報提供161件
総件数5848件(問合せ3888件
感想302件
苦情637件
情報提供156件
総件数5286件(問合せ3401件
感想310件
苦情938件
情報提供162件
総件数4824件(問合せ2996件
感想270件
苦情890件
情報提供182件
総件数5889件(問合せ3653件
感想303件
苦情881件
情報提供168件
総件数5984件(問合せ3538件
感想327件
苦情873件
情報提供136件
総件数5906件(問合せ3334件
感想321件
苦情1254件
情報提供205件
総件数4903件(問合せ2845件
その他282件)
苦情1008件
情報提供154件
要望723件
その他225件)
要望583件
その他170件)
要望1025件
その他177件)
要望827件
その他220件)
要望595件
その他238件)
要望599件
その他166件)
要望526件
その他168件)
要望543件
その他173件)
要望628件
その他171件)
寄せられたご意見の主な内容を記します。
【2008年4月】
4月5日(土)「ぶったま!」に僧侶が出演され、チベットでの暴動に対しての声明
文を読み上げたことに対する感想・ご意見が117件ありました。4月16日(水)
「ス
ーパーニュースアンカー」前大阪府知事の出演に苦情が60件ありました。4月24日
(木)「痛快!エブリデイ」で光市母子殺害事件の元少年の家庭環境について、女性ア
ナが涙ぐみながら読み上げたことに対する苦情が51件ありました。
【5月】
5月3日(土)「プロ野球中継
中日×阪神」の試合が最後まで放送されなかったこ
との苦情が33件ありました。5月7日(水)「スーパーニュースアンカー」でコメン
テーターが「天皇皇后両陛下がオリンピックの開会式に北京に行かれることを阻止すべ
きだ」と発言したことに対し、137件の感想・ご意見等がありました。5月23日(金)
「金曜プレステージ」最強ドクターの病院や書籍の問合せが89件ありました。5月2
5日(日)「お笑いワイドショー
マルコポロリ!」大食い企画と出演された「大食い
界の魔女」に対して苦情が25件ありました。5月27日(火)「痛快!エブリデイ」
司会者の「麻薬犬は麻薬中毒だ」の発言に苦情が32件ありました。
36
【6月】
15年続いた「痛快!エブリデイ」が6月一杯で終了することに対して、感想・要望
などが192件寄せられました。6月13日(金)「さんまのまんま」でタレントが、
ある県知事を「お前」と呼んだことに23件の苦情がありました。6月18日(水)
「ス
ーパーニュースアンカー」でコメンテーターの拉致問題についての発言に、ご意見・感
想が149件ありました。
【7月】
6月30日(月)より始まった新番組「よ~いドン!」に739件の反響がありまし
た。7月8日(火)「プロ野球中継2008
阪神×巨人」に試合有無の問合せや「最
後まで放送しろ」などの苦情が、合わせて220件ありました。ゴールデンタイムのド
ラマ「CHANGE」の最終回のブームアップのために夕方帯に再放送が編成されまし
たが、最終回の再放送がなかったことに、問合せと苦情が合わせて139件ありました。
7月23日(水)「スーパーニュ-スアンカー」にコメンテーターとして前大阪府知事
が出演されたことに対し、122件の苦情がありました。7月23日(水)の深夜に岩
手県沿岸北西部に地震があり、急遽報道特番が編成されたため、問合せなどが114件
ありました。7月26日(土)~27日(日)「FNS27時間テレビ!!みんな笑顔
のひょうきん夢列島!!」が放送され、問合せが52件と、車にペンキを塗りまくり、
潰したり、人に向かって突っ込んだりしたことへの苦情が29件ありました。
【8月】
8月1日(月)福田改造内閣の放送のため、「スーパーニュースアンカー」の放送が
繰り上がり「GTO(再)」が休止になったことへの苦情、放送日時問合せが52件あ
りました。8月8日(金)~24日(日)まで行われた「北京オリンピック2008」
に問合せが62件、スペシャルキャプテンのタレントの言動に対して苦情が50件あり
ました。8月23日(土)「ぶったま!」で、タレントのオリンピック出場選手に対す
る発言に苦情が30件ありました。8月23日(土)「北京オリンピック2008野球
3位決定戦」の放送延長のため、予定されていた「山村美沙サスペンス
1
赤い霊柩車2
灰色の容疑者(再)」が休止になり、問合せ・苦情が77件ありました。8月23
日(土)「クイズ!ヘキサゴンⅡ(再)放送中に起こった放送事故に対する問合せ・苦
情が72件ありました。
【9月】
9月1日(月)「太陽と海の教室」放送中に「福田首相辞意表明会見」がカットイン
されたことに対し、苦情や問合せが329件ありました。9月26日(火)「カスペ!
ギャル曽根世界を喰う2
アジア完食スペシャル」に苦情が18件ありました。9月1
5日(月)「ザ・ドキュメント
自立への絆~地域療育の現場から~」に障害児を持つ
家族や療育施設で働く方々などから、感想・要望が17件ありました。9月20日(土)
「土曜プレミアム
なでしこ隊~少女達だけが見た“特攻隊”封印された23日間~」
37
に感想・要望が40件ありました。9月24日(水)「スーパーニュースアンカー」の
コメンテーターに対して「確かな情報なのか、いい加減な話や」などの苦情が15件あ
りました。
【10月】
9月16日に放送された単発ドラマ「リアル・クローズ」に10月に入ってからも次
回放送予定の問合せが68件ありました。10月4日(土)「ぶったま!」に前大阪府
知事が出演し、苦情が31件ありました。10月7日(火)「関西テレビ放送開局50
周年記念ドラマ
ありがとう、オカン」に60件の感想・再放送希望・DVDの発売希
望を頂きました。10月15日(水)
「とくダネ」
“麗しのニッポン味覚遺産
さんま一
筋46年「絶品さんまの開き」”で紹介された水産業者の電話番号の問合せが126件
ありました。
【11月】
11月1日(土)「JリーグヤマザキナビスコカップFINAL
S清水エスパルス」の放送が延長となり、「松本清張スペシャル
大分トリニータV
殺人行おくのほそ道
(再)」が休止になったため、問合せや苦情が58件ありました。11月9日・16日
に「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のスペシャル版が放送され、「ワンピース」が2
週続けて休止となったため、問合せが189件ありました。11月17日~22日の深
夜に放送された「懐かしのドラマdeカンテーレ
仮面の忍者赤影
金目教篇(再)」
には、放送日時の問合せや続編の再放送希望が74件ありました。11月22日・23
日に放送された生ワイド番組「関西テレビ開局50周年記念番組
~レ!50年だよ
感謝!感激!カンテ
おかげさまスペシャル」ではプレゼントの応募方法、放送時間など
の問合せが多くあり、2日間で242件に上りました。11月23日(日)「ドリーム
競馬」“よしもと競馬名人SP”でアナログ放送の実況音が欠落したことに対する苦情
が45件ありました。11月24日(月)「ネプリーグ芸能界超常識王決定戦SP」が
短縮版で放送されたことに対する苦情が34件ありました。
【12月】
12月5日に猪名川中継局で、落雷による停波が発生し、問合せが25件ありました。
12月10日(水)「スーパーニュースアンカー」のキャスターの政治家に対する「ぼ
んくら」という発言に苦情がありました。12月12日(金)
「よ~いドン!」
“発見!
関西ワーカー(金) 料理の名脇役を搾り出す 高級ごま油職人”で紹介された製油メー
カーの電話番号などの問合せが90件ありました。12月15日(月)
「よ~いドン!」
“となりの人間国宝さん 神戸・王子公園”で紹介された親子2代でソースを追求して
いる 食品店の電話番号の問合せが112件ありました。12月15日(月)
「HEY!
HEY!HEY!2008年日本一早い年間ランキング大発表!倖田姉妹も初競演し
ちゃいましたSP」の短縮版に対する問合せや苦情が191件ありました。
38
【2009年1月】
1月12日(月)からテレビ画面右上の「アナログ」という表示がCMを除いて終日
送出される事への苦情、改善して欲しいとの要望が26件ありました。1月21日(水)
「スーパーニュースアンカー」で、コメンテーターの「口の曲がったあの人」という麻
生首相に対する発言に、苦情が24件ありました。1月23日(金)「よ~いドン!」
に出演のタレントに対して「子供っぽいコメント」や「声が大きい」などの苦情が16
件ありました。
【2月】
2月7日(土)
「土曜プレミアム 2009四大陸フィギュアスケート選手権大会女子
フリー」の放送日時の問合せ、他の種目の放送希望、女子フリーだけの放送に対しての
苦情などが71件ありました。2月9日(月)
「ネプリーグ 芸能界超常識王決定戦」が
短縮版で放送された事への苦情と「短縮版でないものを放送して欲しい」などの要望が
60件ありました。2月17日(火)「ピン芸人日本一決定戦!R-1ぐらんぷり20
09」の審査に関しての苦情が52件ありました。2月20日(金)「よ~いドン!」
“発見!関西ワーカー 手作りの石鹸職人”で紹介された石鹸の購入先などの問合せが、
236件ありました。2月16日(月)「スーパーニュースアンカー」G7後の中川財
務大臣の記者会見の映像ばかりを流すマスコミに対して、苦情がありました。2月27
日(金)
「よ~いドン!」のコーナー“発見!関西ワーカー 世界で1つだけの贈り物を
作る 絵本の製本職人”で紹介した専門店の問合せが91件ありました。
【3月】
3月4日(水)
「FNN報道特番」
“秘書逮捕で進退は?小沢代表緊急会見”が編成さ
れ「よ~いドン!」の放送が35分遅れたため、問合せが25件ありました。その当日
「スーパーニュースアンカー」でコメンテーターの小沢代表秘書逮捕に関する解説の中
で、
「検察からの情報は確かなのか」
「視聴者を誘導している」など苦情が40件ありま
した。3月7日(土)「ぶったま!」でもコメンテーターが「スーパーニュースアンカ
ー」と同様の解説をしたことに、苦情が30件寄せられました。3月11日の「スーパ
ーニュースアンカー」でも、コメンテーターの西松建設違法献金疑惑の話に40件のご
意見、感想がありました。
・番組専属の視聴者対応スタッフ業務について
視聴者情報部で受け付けた一般視聴者からの問い合わせ、要望、感想、苦情、情報提
供等のうち、「視聴者対応スタッフ」が担当した方が適切と思われる件につき、視聴者
情報部から電話を現場へ転送して対応するもので、以下の通りでした。
生放送番組「痛快!エブリデイ」(月~金 午前9時55分~午前11時10分
放送、2007年6月27日に番組終了)における4月から年6月の番組終了までの対
応件数は169件でした。その後番組として7月から始まった「よ~いドン!」でも同
39
様の対応態勢をとり、対応件数は、番組スタートの6月30日から3月31日までで、
171件でした。
夕方帯の報道番組「スーパーニュースアンカー」
「FNNスーパーニュースアンカー」
においても、「視聴者対応スタッフ」による対応を2008年3月17日から行ってお
ります。4月1日から3月31日の対応件数は「スーパーニュースアンカー」が580
件、
「FNNスーパーニュースアンカー」が223件でした。
「視聴者対応スタッフ」が、それぞれの現場で電話を受けることにより、より視聴者
の方からのご意見が迅速に現場に反映されていることを実感しております。また、「よ
~いドン!」においては、毎週行われているスタッフ会議にも出席し、一週間のまとめ
を報告するなど視聴者の声のフィードバックに務めています。
(3)ACAP等 外部団体との交流について
当社では2007年より、視聴者の皆様へのつながりを重視し、研究や情報を得るた
めに、業際団体のACAP(消費者関連専門家会議)に加盟し、以降様々な活動を行っ
ております。
2008年度の主な活動内容を以下に記します。
4月23日にACAPの年度通常総会が東京で開かれ、4月25日の西日本支部例会
で総会報告と活動方針の発表がありました。西日本支部例会では、当社のコンプライア
ンス推進室長が、「発掘!あるある大事典Ⅱ捏造問題~関西テレビ、再生に向けた取り
組み~」をテーマに講演しました。聴講されたACAPの会員の方から、「自社が不祥
事を起こした場合、どのように取材を受けたらいいのか」などの質問が寄せられました。
5月20日の例会では、元・農林水産消費安全技術センター主任調査官による「輸入
食品の安全性確保に向けて~中国における食品の実態と問題点」と、消費科学研究所
技術顧問による「輸入品(靴・玩具等の雑貨品、繊維製品、食品)の安全性への取り組
み~百貨店での取り組み状況~」の講演を拝聴しました。食の安全が叫ばれる今、非常
にタイムリ-な講演で、各企業の安全に対する様々な取り組みを学ぶことができました。
6月24日の例会では、サントリー株式会社品質保証本部
副本部長による「メーカ
ーの品質保証~お客様視点での品質保証、また品質保証を支える技術とは~」と、社団
法人 日本広告審査機構(JARO)関西事務所次長による「信頼され、共感を呼ぶ広
告を目指して~広告表現に対する消費者の反応~」の講演を拝聴し、広告表現について
の理解を深めました。
7月3日には、ACAPの自主研究会のメンバーによる見学会が、当社で行われまし
た。当日は社内見学及び、番組収録に参加をしていただき、その後当社の視聴者対応に
ついての意見交換会も行いました。
参加者の方々からは、テレビをご覧になられている視聴者として、最近のバラエティ
40
番組の質についてのご指摘や、視聴者の意見がどのように番組に反映されているのかな
どの質問がありました。
8月26日の例会では、京都女子大学現代社会学部准教授による「サービス・プロフ
ェッショナルの人材育成~京都花街の芸妓・舞妓の事例に学ぶ~」の講演を拝聴しまし
た。花街の復興のため芸妓さんや舞妓さんを育成したシステムは、興味深く、また後輩
指導の大切さなど、学ぶところが多くありました。
2009年2月24日の例会では、JBMコンサルタント
代表取締役による「メー
ルによる苦情対応の対応策」の講演を拝聴しました。当社も視聴者の方から様々なご意
見のメールをいただいており、ご意見に返信をする場合の効果的な文章の構成の仕方や
避けるべき表現などのお話は、今後に役立てていきたいと思います。
3月18日には、テレビショッピング番組の勉強会を当社で行い、近畿の消費生活セ
ンターにお勤めの消費相談員の方5名にご参加いただきました。当社からの参加者は、
番組制作担当者を始め各部署から28名の参加がありました。
実際に消費者から相談を受けていらっしゃるお立場から、テレビショッピング番組に
ついてテレビ局への質問・要望などをお話しいただき、当社の各部署との活発な意見交
換を行いました。このような試みは、当社では初めてでしたが、これからも外部の方々
のご意見を聞く場を作っていきたいと思っております。
今後も、いろいろな外部団体との交流を通して、テレビをどうご覧になっているのか、
また、テレビ番組に何を求めていらっしゃるのかなどをお聞きし、ともすればテレビ局
の人間だけで番組を作ってしまいがちな状況の改善に努めたいと思っております。
(4)カンテレ感謝祭の開催について
開局50周年を支えていただいた視聴者の皆様に感謝の気持ちを伝えたいという社
員からの提案で企画されたのが「カンテーレ感謝祭」です。
厳しい経営状況や多忙な業務の中での全社体制の構築など、実現には、幾多の困難が
ありましたが、「感謝の気持ち」と「全社員参加」で、手作りの心のこもったイベント
にしようという社員の熱意で実現されました。
開局記念行事が集中するスペシャルウィークの11月22日(土)、23日(日)の
両日、インテックス大阪(大阪市住之江区)において、吉本興業タレントによるエンタ
ーテインメント「ライブスタンド」と同時に開催された「感謝祭」は、2日間で延べ入
場者が4万人を数えました。
会場では、当社50年間の名物番組が一覧できる歴史コーナーや古いカメラ機材の展
示、番組ブースでは、「さんまのまんま」の本物セットや各担当者が企画したゲーム感
覚のおもしろい出し物などが展開されました。
41
また体験参加型ブースでは子供たちがニュースキャスターやカメラマン、スイッチャ
ーを体験できるコーナーやスピードガンコンテスト、投球フォームを超スローで再生で
きるコーナー、最新の映像技術を使ったバーチャルスタジオ、メディアアートによる3
次元の不思議な世界などのコーナーが登場し、メディアリテラシーにも資する楽しいイ
ベントとして終日にぎわいました。
一方、特設ステージでは、ニュースキャスターやアナウンサーによるトークショー、
関西テレビ検定クイズ、番組テーマの生演奏などのプログラムが展開され、当社のアナ
ウンサーが交代でステージを盛り上げました。
感謝祭の終了後の社員の感想には、直接、視聴者と会って話ができる良い機会だった
という内容が多く寄せられ、顔の見える距離で視聴者と交流し意見交換することの大切
さを感じさせました。
視聴者とともに歩むこれからの50年、最終日のステージでのフィナーレは「これか
らの50年も関西テレビをよろしく」という社員からのメッセージでした。2日間の会
場での社員参加はのべ340名、準備前日を加えると400名をかぞえました。本社で
の業務や記念特番のスタッフ数を考慮するとまさに全社態勢であり、当社社員から視聴
者の皆さんへの感謝の気持ちが伝わったのではないかと考えています。
(5)「月刊カンテレ批評」と「テレビの木」
1)
「月刊カンテレ批評」
自社検証番組「月刊カンテレ批評」(月1回、日曜朝6時30分)では、番組冒頭で
当社からの視聴者の皆様に対するお知らせを放送しております。
この中では、3ヵ月間の様々な活動をまとめた「コンプライアンス・CSRレポート」
の内容をお知らせしたり、活性化委員会からの見解などを詳細に報告しています。当社
の開局50周年を記念して11月22日と23日に行れた「カンテーレ感謝祭」につい
ての報告や民放連復帰に伴う社長記者会見などの内容についても報告しました。
また、この番組では毎回、視聴者の皆様からのご意見や当社の回答、番組審議会の内
容等を放送しております。ご意見・感想としては「痛快!エブリデイ」終了を惜しむ声
や新番組「よ~いドン!」への期待、またアナログ放送終了に伴う「アナログ」マーク
の字幕についてのご意見、再放送ドラマに対するラインナップ充実を望む声などを紹介
しました。番組演出に対しては、
「効果音がうるさくてナレーションが聞き取りにくい」
「VTRの中で小窓にスタジオの模様と音声が入っているが邪魔になる」「食品工場で
はマスクをしてほしい」などのご意見をご紹介し、回答しました。視聴者の方々のご意
見が現場の改善につながった例も多々あります。
さらに、番組制作現場の声をお伝えするコーナーでは、開局50周年記念番組ドラマ
42
「ありがとう、オカン」や、ドキュメンタリー「天のゆりかご」、またレギュラー番組
では「よーい
ドン!」やスポーツ番組「清原和博~男の一升瓶~」などを取り扱いま
した。
2)
「テレビの木」
番組「テレビの木」(月1回、日曜朝6時30分)は、メディアリテラシーをメイン
テーマとして制作・放送しております。2008年度は、以下のような内容で行いまし
た。
4月は「ドラマプロデューサーが語るココだけの話~ドラマ制作の舞台裏~」
現場のプロデューサーと編成の企画責任者がクロストークで当社が制作する火曜22
時枠のドラマについて現在、過去、未来を語りました。
5月は「プロ野球中継!」プロ野球中継の現場に密着し、どのようにして野球中継の番
組が放送されるのかに迫りました。
6月は「メディアリテラシー」。上智大学の音好宏教授、作家若一光司氏、女優・エッ
セイストのわかぎゑふ氏を招きメディアリテラシーをテーマにクロストーク。いかにテ
レビに対するリテラシー能力を高めるかを議論しました。
7月は「番組制作の舞台裏」、当番組「テレビの木」の“本番”を題材に、どんなスタ
ッフがどれくらいいて、その時何を考えているのか、番組の司会者である三倉茉奈・佳
奈がカメラとマイクを持って直撃インタビューしながら紹介しました。
8月は「テレビの裏方仕事~美術部編~」裏方代表格の美術部に注目。VTRでは舞台
装置を作る美術部員に密着して、彼らの仕事ぶりを紹介しました。
9月は「テレビの天気予報のしくみ」現在、テレビ・新聞など数々のメディアで、日々
必ず報道されている天気予報。当社の気象システムや天気予報の重要性、気象災害報道
の役割などを紹介しました。
10月は「よ~いドン!」を題材に番組のチーフディレクターに密着し「帯番組の仕事」
を紹介しました。
11月は「開局から半世紀、そしてこれからのテレビを語る」。テレビがこの50年で
いかに市民権を得て、放送文化を育んできたか。VTRで振り返るとともに、これから
のテレビはどうあるべきなのかを作家の若一光司さん、玉岡かおるさん、当社からは福
井澄郎社長が出演し、討論しました。
12月は「DREAM競馬~菊花賞~」を取り上げました。実況アナウンサーからディ
レクター、そして併走車を操るドライバーまで、その一瞬に懸ける彼らの準備から密着
し、競馬中継の裏側を紹介しました。
1月は「ニュース中継の仕事」
、
「スーパーニュースアンカー」月曜日の「走れ!コウケ
ン」のキャスター吉原アナに密着し、中継におけるアナウンサーの仕事ぶりを紹介しま
した。
43
2月のテーマは「ニュースカメラマンの仕事」、ニュース現場の最前線で映像を切り取
る報道カメラの仕事を研修中の新人カメラマンに密着。ニュース映像は如何にして作ら
れるか、実際の取材現場での報道カメラマンの仕事を紹介しました。
3月は「テレビコラム拡大版~裁判員制度と事件報道~」
、
「裁判員制度」とテレビ報道
のあり方について、法曹界をはじめとする識者の意見をうかがいながら、これからの「テ
レビにおける事件報道のあるべき姿」を考えました。
また各界の著名人が現在のテレビ番組やテレビ業界についてご意見をいただく「月刊
テレビコラム」では、女優・エッセイストのわかぎゑふさん、国際日本文化研究センタ
ー井上章一教授、作家の玉岡かおるさん元毎日新聞編集委員で奈良産業大学の亘栄太郎
教授、大阪学院大学の國定浩一教授、京都外国語大学のジェフ・バーグランド教授にご
出演いただき、演出論や関西の文化論、テレビ報道の在り方のほか、「在阪局としての
役割をもっと果たして欲しい」などのご意見をいただきました。
(6)メディアリテラシー活動の現状と計画
当社は、視聴者とテレビメディアの相互理解を深めるためのメディアリテラシー活動
に、全社をあげて積極的かつ継続的に取り組むこととし、2008年7月7日付で機構
改革を実施し、総務局に「メディアリテラシー推進部」を新設しました。この部は、取
締役総務局長が部長を務め、さらに局長級のゼネラルマネジャーをメディアリテラシー
担当として専従させる組織とし、費用については、活動の安定的な遂行等のため、「C
SR関連費用」として予算措置を行いました。
この部では、2007年度に発足させた全社的なメディアリテラシープロジェクトチ
ーム「心でつながるプロジェクトチーム」や毎月1回放送のメディアリテラシー番組「テ
レビの木」を制作するコンプライアンス推進室、や関西テレビ青少年育成事業団と緊密
な連携をとり、活発に活動を進めるとともに、社内LANを通じ「メディアリテラシー
通信」を発信し、全社のスタッフの意識向上にも取り組んでいます。
さらに、社会の皆様に活動の趣旨や内容を知っていただき理解を深めていただくため、
当社ホームページに「心でつながるプロジェクトWEBサイト」を設けて、進行中の情
報を順次掲載しています。
こうした状況のもとメディアリテラシー推進部、心でつながるプロジェクトチーム、
コンプライアンス推進室が連携し、当社は、2008年度、以下のようなメディアリテ
ラシー活動を行ってきました。
4月からは、立命館大学産業社会学部と共同で「関西の地域性」を研究する講座を始
めました。講座は1年間、全15回行われ、当社からは前期3回、後期3回の計6回に
わたり講師を派遣しました。前期には、番組プロデューサー、衛星放送担当者等、後期
44
もアナウンサー、撮影と編集の現場担当者、考査担当者が講義を行いました。一方、受
講生は、7月に、「テレビメディアから見た関西の地域性について」などについてグル
ープに分かれての前期プレゼンテーションを、年が明けて2月には、1人1人が、それ
ぞれ講義を通して考えた「関西らしい」番組の企画を提案する年間プレゼンテーション
を行い、当社の役員、社員と意見交換をし、1年間の講義を締めくくりました。
この講座は、今後さらに3年程度、継続して開講し、当社スタッフと学生とが協力し
て、様々な視点からテレビメディアに対してアプローチすることとしています。
その他の取り組みとしましては、5月に兵庫県下の高校の求めに応じて、報道映像部
カメラマンを派遣し、プロとアマチュアのカメラワークの違いを主なテーマとした講座
を行いました。高校生を対象とした取り組みとしては、この他8月に、「テレビ局へ行
こう! 高校生のための課外授業」と題して、自らの進路としてテレビメディアに興味
のある女子高校生を本社に招き、当社ニュース番組のお天気キャスターが、経験談を披
露するなどの催しを実施しました。
また、9月に入り、京都造形芸術大より、学生が京都・粟田神社「夜渡り神事」の大
燈籠(ねぶた)復活をテーマに取り組んでいるドキュメンタリー制作に対しての指導と
協力を求められたことから、当社は、報道、制作技術でカメラマンとして活躍した豊富
な経験を持つ社員を派遣しました。初回は、ドキュメンタリー制作に必要な知識や心構
えを説明し、具体的な撮影技術へのアプローチに駒を進めました。10月の上旬には、
実際に現場に同行し、撮影指導を行うほか、編集作業も含めて作品完成に協力しました。
技術部門でも、10月に兵庫県おもちゃ王国で開催されたイベント「はたらくくるま」
に衛星中継車SNG-Ⅱ型車を出展、単なる展示ではなく中継車の内部も公開しました。
また電源の入ったカメラで子供たちにカメラマンの疑似体験をしてもらいました。
そして、別項目にも記しましたように、当社の開局50周年記念「カンテーレ感謝祭」
を総合的なメディアリテラシー活動の場として位置付け、「テレビの木」のブースや、
「50年歴史コーナー」ブースにおいては「航空取材の現場」「取材カメラの歴史」な
どテレビ報道現場の歴史やその実際を機材展示し、一般の方々に理解してもらう活動を
行いました。
2009年に入ってからも、1月に社員が小学校での出前授業に赴きました。ニュー
ス番組を放送する仕組みをわかりやすく理解してもらうため、実際にテレビ機材を持ち
込んでミニスタジオをつくり、生徒たちにスイッチャー、カメラ操作の指導、説明を行
いました。いつも見ているテレビ番組を今回は作る側に立って取り組んでもらいました。
2月にも宝塚市の小学校で、報道番組部記者、報道映像部カメラマンによる撮影実演
なども交えた、講義などを行いました。
今後のメディアリテラシー活動についても、当社では近畿圏の高校の放送部等を対象
に、技術指導や撮影・編集機材の寄贈、提供等を計画しており、広告市況が低迷し、経
45
営環境が厳しくなる中にあっても、出来る限りの資金、人材を投入していくことにして
おります。
(7)全社的なCSR活動について
当社では、コンプライアンス態勢等の構築や積極的な企業情報の開示など、企業とし
てのCSRを常に認識して企業活動を行っております。
コンプライアンス態勢の構築に資する活動としては、2008年度、1年間を通して、
リスクマネジメント体制確立(詳細は別項)や情報セキュリティの再構築の作業を行い、
社内周知のための研修を実施するなど、リスク管理、個人情報を含む情報管理について
積極的に取り組みました。
また2008年8月には環境負荷の少ない社会の実現に向けて努力していく姿勢を
明確にするため「環テレ宣言」(後掲)の名のもと、環境自主行動計画を策定するとと
もに「環テレ宣言実施委員会」を組織しました。
この宣言は、CO2排出量削減目標設定やフロンガスの完全回収、クールビズの実施、
屋上緑化計画、身近な省エネキャンペーンなどからなる「エネルギー排出削減」や「リ
サイクルの徹底」さらには「環境情報の提供」などが盛り込まれております。
かん
関西テレビ環境自主行動計画(環 テレ宣言)
2008年8月20日
2005年2月に京都議定書が発効し、地球温暖化防止に向けた取り組みが全世界規
模で進められています。私たち関西テレビもこの趣旨に賛同し地球温暖化防止、そして
環境保護に関する様々な取り組みを通じて環境負荷の少ない社会の実現を目指します。
また、環境問題や環境保護等に関する様々な情報を視聴者に提供するなど地球温暖化防
止に向けた国民の関心を更に高めるための放送活動にも積極的に取り組み、環境を考え
るテレビ局を目指す=「環テレ宣言」を行います。
1.エネルギー排出削減
1)CO2排出量削減目標
地球温暖化対策に関する法律や大阪府温暖化防止条例等に従って2005年度よ
り2011年度までにCO2排出量を原単位で10%削減することを目標にしま
す。
2)フロンガスの完全回収
フロン回収・破壊法に従い主に空調用に使用される特定フロンガスの完全回収に努
めます。
46
3)クールビズの実施
2005年度より6月1日から9月30日までの期間、室温を27度に保つクール
ビズを実施しています。また、ウォームビズは行ってはおりませんが、本社屋内は
外気冷房を利用した室内温度22~23度となっており、同等の効果があると考え
ています。
4)屋上緑化計画
夏場のヒートアイランド現象を少しでも和らげ、事務室の空調の効率化を試すため
に2008年度から10階テラスの緑化を試験的に行います。
5)身近な省エネキャンペーン
すでに省エネ型の蛍光灯等を導入するなどしていますが、さらに使用後の会議室の
消灯、過剰な照明の見直し、帰宅時にPC電源を落とす等のこまめな省エネキャン
ペーンを行います。
2.リサイクルの徹底
1)オフィスから排出されるゴミの総量を削減します。
2)ゴミはOA紙、シュレッダー、新聞、雑誌、段ボール、パンフ類、一般ゴミ、
生ゴミ、ビン、カン、ペットボトル等に分別収集してリサイクルを更に進めるほ
か、蛍光灯、電池のリサイクル回収を行います。
3)雨水を回収し、中水として空調やトイレの洗浄用に使用しています。
4)身近なリサイクルキャンペーン
オフィスでの再生紙の使用をさらに進めるほか封筒、紙袋等の再利用、トイレに
乾燥機の導入、マイカップ、マイお箸運動を推進し、オフィスから紙のゴミを削
減するためのキャンペーンを行います。
3.環境情報の提供
1)社内で省エネルギー、リサイクル推進のキャンペーンを行うなどして社員さ
らに構内で働く方々への意識向上、情報提供を行います。
2)当社の夕方の2Hワイドニュース「スーパーニュースアンカー」の特集コー
ナーや情報番組、さらには単発の番組などでも環境問題を特集、放送していきま
す。
4.環テレ宣言に基づく社内キャンペーン
上記自主行動計画を具体化するために社内で省エネ、リサイクル推進キャンペー
ンを実施します。
具体的には、社内全体としての省エネキャンペーン(こまめな消灯等)、リサイ
クル推進(封筒、紙袋の再利用、マイカップ(マイお箸)運動、等)のほか各局
独自のキャンペーン案も設定していきます。
5.環テレ宣言を実践する組織
社内の管理部を中心に環テレ宣言を実践する組織(環テレ宣言実施委員会)を立
47
ち上げ全社的または、各部でのこまやかな環境にやさしい行動を実践していきま
す。
以上
この宣言を受け、技術セクションでは、番組CMダビング室及び放送機械室の照明を
間もなく蛍光灯からLED管に変更する予定です。これにより消費電力や発熱量が半減
し、長寿命、電気代の節約となります。また、資源のリサイクルを目的として機器の分
解・資源の抽出事業を始めた放送機器メーカーの主旨に賛同して、廃棄予定の機材を売
却するなどしています。
また社内各所に設置している飲料の自動販売機についても、これまで夜間のみ消灯し
ていた機器の照明を昼間も消灯し、省エネに努めています。
行動計画に掲げた「クールビズ」等についてですが、期間中のエネルギー使用量は、
9月が前年比93%と減少するなど、2007年に比べ、減少しました。
さらにヒートアイランド現象を和らげるため、10階テラスの緑化も試みましたが、
空調の効率化に成果があったほか、秋には、実った農作物の収穫ができるなど、その効
果の大きいことを改めて認識しました。
(8)会見等、企業情報開示の状況
1)放送事業者の責務としての企業情報の開示
放送事業者としての責務を果たすため、当社は社長会見をはじめ、報道リリースやホ
ームページ等で、業績、視聴率状況、番組改編情報等の開示に積極的に努めております。
また、当社の再生への過程を視聴者の皆さまに対し継続的に開示する必要もあると考え、
再発防止策の進捗状況を記した活性化委員会に対する報告書、活性化委員会の見解に対
するコメント等も公開しております。
事件・事故等、社会に与える影響が大きいと思われる事項の情報開示も、適時行って
おります。
2)社長定例記者会見
2008年5月30日の決算取締役会後、片岡社長(当時)が定例記者会見を行い、
2008年3月期の決算概要等を公表いたしました。また、この席上、片岡社長が退任
の意思を表明し、後任に福井上席執行役員が内定していることも明らかにいたしました。
8月6日、11月17日、そして2009年1月29日には、福井社長が定例記者会見
を行い、各四半期の業績を公表するとともに、再発防止策進捗状況や視聴率状況等を説
明いたしました。その他、開局50周年番組やイベント、地上デジタル放送への取り組
み状況、キッズパークの購入に関する説明も同時に行ってきました。
3)社会的重要事項に関する社長会見
48
定例社長記者会見以外にも、4月17日の、当社の(社)日本民間放送連盟への再加
盟決定の際、また10月27日には、同連盟から会員活動停止の解除の決定を受け、そ
れぞれ社長会見を開催いたしました。
4)その他の会見、ブリーフィング等
5月16日、出馬迪男会長(当時)が今期限りでの退任を表明、記者会見を行いまし
た。
また、4月、7月、10月、2009年1月の活性化委員会開催後、その内容をコン
プライアンス推進室長が記者ブリーフィングを行いました。
また、活性化委員会の見解、そしてその見解を受けての当社の考え等を、社長会見もし
くは、コンプライアンス推進室長の記者ブリーフィングで説明しました。
5)これからの企業情報開示
来期の社長定例会見も、今期同様、年4回開催する予定です。
また、企業広報部を事務局に、コンプライアンス推進室長、経営企画局長、総務局長、
経理局長、編成局長、秘書室長等で構成する「広報委員会」では、社長会見を始めとす
る様々な企業情報の開示に関する検討を続けてまいります。
活性化委員会に関する会見・ブリーフィング等も積極的に実施し、視聴者への説明責
任を果たすための努力も続けてまいります。
しかし、企業に透明性が求められる今、私たちにとって最も重要なことは、グループ
会社を含めた当社グループの役員・社員それぞれが、当事者意識、危機管理意識を強く
持ち続け、放送の公共性とそれに由来する高いレベルのアカウンタビリティの必要性を
胸に刻みながら、未来に向かって情報を発信していくことだと再認識しております。
(9)ホームページの状況と、掲載実績
当社は2007年に「ホームページ企業広報担当者」を選任し、「企業広報部」を中
心に社内各部門と常時密接な連携をとり更なる企業情報の開示に努めてきました。20
08年度に開示しました企業情報の件数は前年度の約1.5倍となっています。
また2008年度より土・日・祝日についても担当者のシフトを組み、災害発生時等
の緊急番組情報や放送予定の変更、放送不体裁のお詫び等をホームページを通じて迅速
に伝える体制を構築しました。
そして10月22日にホームページのデザインを全面リニューアルしました。企業サ
イト(http://www.ktv.co.jp/)と番組サイト(http://ktv.jp/)をそれぞれ独立した
別サイトとして構築し、相互にリンクする形としました。このリニューアルにより、当
社の会社概要、採用情報、各種リリースにアクセスするユーザーが、迷われることなく
必要な情報にたどり着ける導線を確保しました。
49
一方、当社のメディアリテラシー活動をお知らせする「心でつながるプロジェクト」
のサイトでは、延べ11の取り組みを紹介しました。このサイトを通じて、ご覧になら
れた方から出前授業の依頼が寄せられるなど、双方向のやりとりの窓口としても機能し
ています。
こうした「視聴者と心でつながるテレビ局」を目指す当社の姿勢につきましては、6
月の新経営陣発足にあたって掲示しました、
「代表取締役社長ご挨拶」に明示しました。
なお、2008年度に、当社ホームページで開示した企業情報は以下の通りです。
4月11日
関西テレビ活性化委員会
「コンプライアンス・CSRレポート(2007年度)」
4月11日
関西テレビ活性化委員会「活性化委員会特選賞決定について」
4月17日
日本民間放送連盟理事会の決定を受けて
4月18日
関西テレビ活性化委員会「第5回委員会概要」
4月25日
ドキュメンタリー「ボノボの棲む森で」第 41回・米国ヒューストン
国際映画祭ネイチャー&ワイルドライフ部門で金賞獲得
5月19日
関西テレビ活性化委員会
・コンプライアンス・CSRレポート(2007年度)に関する見解
・活性化委員会の見解を受けて
5月19日
出馬会長
記者会見
5月23日「心でつながるプロジェクト」サイトオープン
6月
2日
2008年3月期決算社長記者会見(5月30日)
6月23日
第67回定時株主総会及び「役員担務」について
7月11日
関西テレビ活性化委員会
・第6回委員会概要
・コンプライアンス・CSRレポート(2008年4月~6月)
7月31日
関西テレビ活性化委員会
・コンプライアンス・CSRレポート(2008年4月~6月)に
対する活性化委員会の見解
・活性化委員会の見解を受けて
8月
5日
現社屋の購入について
8月
6日
夏季社長記者会見
8月11日
中途採用について
8月24日
8月23日の放送事故に関して
9月
9日
関西テレビ環境自主行動計画(環テレ宣言)
10月
1日
2010年度採用ページ公開
10月10日
10月9日(木)の「近畿民放社長会」について
10月17日
関西テレビ活性化委員会
50
・コンプライアンス・CSRレポート(2008年7月~9月)
10月21日
関西テレビ活性化委員会
・第7回委員会概要
10月27日
(社)日本民間放送連盟理事会の決定について
11月17日
関西テレビ活性化委員会
・11月14日付 コンプライアンス・CSRレポート(2008年7月
~9月)に対する活性化委員会の見解
・活性化委員会の見解を受けて
11月18日
秋季社長記者会見(11月17日)
11月23日
競馬中継での放送不体裁に関して
12月15日
第75期 テレビモニター募集のお知らせ
2009年
1月
9日
CS放送「関西テレビ☆京都チャンネル」の閉局について
1月
9日
関西テレビ活性化委員会
・コンプライアンス・CSRレポート(2008年10月~12月)
1月13日
1月19日の「百識王」の放送日に関するお詫びとお知らせ
1月15日
関西テレビ活性化委員会
・第8回委員会概要
1月29日
関西テレビ活性化委員会
・1月9日付 コンプライアンス・CSRレポート(2008年10月
~12月)に対する活性化委員会の見解
・活性化委員会の見解を受けて
1月30日
新春社長記者会見(1月29日)
51
第5
コンプライアンス態勢の構築
(1)リスクマネジメント態勢等の確立について
当社では2008年2月の五輪番組情報配信問題を受けて、当該部署の業務フローを
見直すだけでは不十分と考え、同年3月26日の取締役会において、「リスクマネジメ
ント態勢の確立に着手すること」を盛り込んだ内部統制決議の修正を決議しました。当
社ではこれに基づいて、リスクの特定、評価、対処、PDCAサイクルの整備といった
一連のリスクマネジメントシステムの確立に取り組んでおります。
当社におけるリスクマネジメント態勢は、コンプライアンス委員会の下部組織として
各局のライン局長を中心に組織されたリスクマネジメント会議がリスクマネジメント
を統括し、コンプライアンス責任者(ライン部長)を各部におけるリスク管理者として
位置づけるというものです。また、番組内容に関するリスクにつきましては、同じくコ
ンプライアンス委員会の下部組織である放送倫理部会が統括しております。
まず2008年4月にコンサルティング会社による、リスクマネジメント会議メンバ
ー・コンプライアンス責任者を対象とした、リスクマネジャーとしての局長・部長の役
割に関する研修を実施しました。その後、各部署からのリスク管理台帳の提出を踏まえ、
9月からは外部のシンクタンクを交えて、先に各部で作成した「リスク管理台帳(ドラ
フト)」の記載を分析し、リスク分類やリスクランクを検討しました。次いで「リスク
管理台帳(ドラフト)」に基づき、2008年11月10日(月)から12月1日(月)
にかけ、シンクタンクを交えてライン部長50名からの聞き取りを行いました。その後、
聞き取り結果を検討しつつ「業務リスク」「番組リスク」への分類を行うとともに「経
営リスク」の抽出作業を行いました。
リスク管理台帳の検討結果についての各現場とのやりとりを経て、2009年3月2
6日(木)に開催したリスクマネジメント会議に、リスク管理台帳の完成と作成したリ
スクマップを報告しました。
現在はリスク管理のための組織体制の変更や規程類の整備、さらには具体的なPDC
Aサイクルのありようについて検討を進めています。具体的には、現在の「コンプライ
アンス委員会」
「リスクマネジメント会議」
「放送倫理部会」の役割の再定義と相互の関
係の整備、「リスク管理規程」の制定、リスク監査のあり方が検討項目であり、200
9年4月末には一定の成果を得る予定です。一方で、完成したリスク管理台帳に基づい
て、重要なリスクのうち、先行してリスク対応策を検討すべきリスク項目の抽出も行っ
ています。
さらに、リスクマネジメント態勢の確立の一環として、2005年に定めた情報セキ
ュリティ態勢をリニューアルし、
「情報資産台帳」を作成し直したほか、
「情報セキュリ
52
ティ管理規程」
「情報資産取扱要領」を新たに採択し、社内研修を行った上で 4 月1日
に施行しました。
(2)コンプライアンスラインの運用について
当社の業務に関し、社員等がコンプライアンス違反行為等を発見した場合の相談及び
通報窓口としてスタートしました「KTV・コンプライアンス・ライン」(内部通報制
度)も2009年3月末で、2年半になりました。
これまでに、簡単な相談やこの制度にそぐわないものを除くと、社内ルートに3件、
外部の弁護士事務所が窓口の社外ルートには5件と、合せて8件の通報が寄せられ、
結果3件がコンプライアンス違反と認定されました。
内容的には、パワーハラストメントや外部スタッフとの契約トラブル等で、悪質なも
のは社長以下で構成するコンプライアンス委員会から社内の賞罰委員会に送られ、然る
べき処分が下されて来ました。
ただし、2008年度だけを見ますと、2008年6月にグループ会社社員によるコ
ンプライアンス違反が認定されコンプライアンス委員会が開かれて以降は、開かれてお
らず、通報件数も減少しております。
この内部通報制度については、他社でも社外の弁護士事務所と提携して同様の制度を
設けている所がありますが、内閣府国民生活局の2007年の調査では、当社と同規模
の企業の半数近くが「通報件数ゼロ」と回答しており、当社の通報件数は比較的多いと
いえます。一つにはやはり「あるある問題」以降、わが社のコンプライアンス意識が向
上した結果といえるかも知れません。
(3)インサイダー取引等
不正防止への取り組み
2008年1月のNHKのインサイダー取引問題の発生を受け当社では、まず報道局
において、「インサイダー取引とは何か」、「情報管理がいかに重要か」について全局員
に周知するとともに、
「放送記者読本」にインサイダー取引防止に関する部分を追補し、
報道担当役員、報道局の社員および社外スタッフに配布しました。
また、2月5日にリスクマネジメント会議を開催して、インサイダー取引防止のため
の施策について検討しました。この会議は2月20日にも続いて開催され、「インサイ
ダー取引防止規程」の案を検討しました。翌2月21日には、証券会社の法務担当者を
招いて「インサイダー取引防止に関する勉強会」を開き、各局の幹部社員20人に対し
研修を行いました。
53
この問題はその後もリスクマネジメント会議で検討が続けられ、計3回の会議を経て
「インサイダー取引防止規程」が策定され、4月30日の取締役会で承認されました。
同規程では、インサイダー取引の防止が報道機関である当社にとって極めて重要であ
るとの認識をはっきり示した上で、何が「インサイダー取引」や「重要事実」等にあた
るのか類型を提示し、株式等の有価証券の3カ月以内の短期売買自粛や、就業時間中の
株取引禁止を定めています。また、規程に違反した場合の厳格な懲戒処分も定めていま
す。
また、6月2日には、民放連主催の「インサイダー取引防止セミナー」に当社から総
務、コンプライアンス担当者などが参加し、他社の事例や対策等を学び、理解を深めま
した。
(4)社内弁護士の採用について
当社は法務・コンプライアンス部門の充実のため、弁護士資格を有する契約社員を採
用することを2007年に決定し、7月から募集を開始いたしました。当初、対象を「新
60期司法修習生」と限定していたこともあり、対象となった修習生の就職期との兼ね
合いもあって反応が少なかったため、10月に「新60期、61期の司法修習生」と対
象を広げて募集しました結果、8人の応募があり、選考を行い、1名の採用を内定しま
した。
その後内定者は、司法修習を裁判所などで続け、2008年12月に司法修習の最終
試験に合格、2009年1月の大阪弁護士会への弁護士登録に伴い、当社のコンプライ
アンス推進部に配属されました。
そして早速、社内各部署における契約についてのチェックや、標準契約書の作成、下
請法遵守のための活動、さらには顧問弁護士と社員を結ぶ役割などの法務担当業務に従
事しています。
企業内弁護士の採用は、NHKやキー局、あるいは在名局ではこれまでも実績があり
ますが、在阪準キー局としては初めてと思われます。今後は、コンプライアンス関連業
務において幅広い活躍を期待しています。
54
第6
経営機構等について
(1)経営機構改革と経営陣の刷新について
1)2008年度
経営陣の交代
取締役会は、2007年6月の機構改革で、取締役の数が20名から11名へと減少
し、また社外取締役の中に公益の代表として、弁護士、研究者の立場からそれぞれ1名、
計2名を迎えたことから、議論が活発化し、また役員間の相互牽制の機能も強化されま
した。これにより当社の経営上の重要案件が、精査され、的確な判断のもと実施されて
います。
さらに2008年6月23日開催の株主総会・取締役会で再度、経営体制の見直しと
大幅な執行部の交代をつぎのようにおこないました。
代表取締役会長
横田
雅文
(新任)
代表取締役社長
福井
澄郎
(新任)
当社
専 務 取 締 役
下室
二郎
(新任)
(株)メディアプルポ代表取締役会長
常 務 取 締 役
安河内
茂
(新任)
(株)セントラルテレビジョン代表取締役社長
常 務 取 締 役
市橋
良一
(新任)
当社
執行役員
常 務 取 締 役
重松
芳文
(新任)
当社
執行役員
取
締
役
別本
恒夫
(新任)
(株)ビーエスフジ 常務取締役
取
締
役
宮前
周司
(新任)
当社
取
締
役
日枝
久
取
締
役
住田
良能
取
締
役
土肥
孝治 (重任) 弁護士 (土肥法律事務所)
(社外取締役)
取
締
役
高井
英幸
(重任) 東宝(株) 代表取締役社長
取
締
役
井潟
英司
(重任)
阪急電鉄(株) 常務取締役
取
締
役
嘉納
修治
(新任)
(株)フジテレビジョン常務取締役
(重任)
上席執行役員
総務局長
(株)フジテレビジョン代表取締役会長
(重任) (株)産業経済新聞社 代表取締役社長
常 勤 監 査 役
加藤 信夫
常 勤 監 査 役
藤本 吉徳
監
査
役
近藤
宏
(重任)
監
査
役
梅本
弘
(重任)
代表取締役会長
出馬
迪男
代表取締役社長
片岡
正志
常 務 取 締 役
志村
義奉
常 務 取 締 役
荒田
静彦
<退任取締役>
55
弁護士
常 務 取 締 役
平井
誠信
取
鈴木
秀美
締
役
また、新たな取締役の担当業務は以下のとおりです。
代表取締役会長
横田 雅文
代表取締役社長
福井 澄郎
総括
専 務 取 締 役
下室 二郎
社長補佐、コンプライアンス担当
報道局、スポーツ局担当
常 務 取 締 役
安河内 茂
営業局、事業局、東京支社担当
常 務 取 締 役
市橋 良一
経営企画局、経理局担当
常 務 取 締 役
重松 芳文
制作技術局、放送業務局担当
取
締
役
別本
恒夫
クロスメディア事業局、編成制作局担当
取
締
役
宮前
周司
秘書室、コンプライアンス推進室、
総務局担当
このように大幅な執行部の交代となりました。
2)執行役員制度の見直しについて
2007年6月の執行役員制度の導入で、常勤の役員会は、旧常務会と比較して論議
が活発化し、また業務執行レベルでの判断が迅速に行われるようになりました。今般、
当社では同制度のもとでの成果を踏まえて1年を総括し、再生委員会答申における「取
締役会のスリム化」、「経営と業務執行との密接な連携」、「緻密な戦略に基づく経営」
を一層推し進めるため、さらに取締役会での議論を活発化し、迅速な業務執行を可能と
するため、当社の業態、業容に最も適した経営体制への改善と見直しを行い結果として
2008年6月、スリム化し、若返らせた常勤取締役により、経営と密接に連携し、緻
密な戦略のもと、迅速な判断をもって業務執行を行いうる体制に移行するとの結論に至
りました。この新体制においては、当面、改めて執行役員を任命する必要性はないと判
断しております。
そしてこの度、当社の歴史始まって以来、初めて、常勤の取締役全員が退任して、新
しいメンバーと交代し、経営陣を一新いたしました。新たに就任した8名の常勤の取締
役の平均年齢は、これまでの執行部に比べ4歳以上も若返り、また常勤役員数も、これ
までの常勤取締役と執行役員あわせて10名からさらに2名減少し、スリム化が一層進
みました。
新たに就任した常勤取締役8名は、これまで以上に取締役会や新たに設置された常勤
役員会で闊達に意見を交わすことのできる人選がなされており、新たな体制のもと全員
が同じスタンスで密接な連携をとりつつ、立体的かつ多面的な視線をも確保して経営と
業務執行に当たり、緻密な戦略のもと、若返りによるフットワークの良さを利して、さ
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らに迅速に業務を執行することとしており、今回の見直しは、再生委員会答申の内容を
一層、推し進める発展的なものと考えております。
3)新経営体制発足後の状況について
新たな経営体制が発足し、経営トップである会長、社長は、全ての部署を対象に職場
毎のランチタイムミーティングなどを行い、積極的に社員との対話につとめました。
また広告市況全体が、世界同時不況の深刻な影響を受ける中、テレビメディアの過渡
期を全社一体となって乗り切るため、中核となる事業への経営資源の集中を迅速な経営
判断をもっておこないつつあります。これまで賃貸であった本社社屋を購入、また10
年間にわたって継続していたCS事業からの撤退を決定し、すぐさまCS放送の閉局作
業に着手するなど、選択と集中を着々と進めています。このほか連結決算開始を機に、
関係会社再編プロジェクトチームを設置し、より強固なグループ経営を構築するための
検討をすすめています。
(2)社内組織改革や中途採用等について
当社は「番組で失った信頼を番組で取り戻す」という考えに基づき、2008年7月
7日付で、番組編成・制作部門を中心とした組織改革を行いました。
これまでは、本社の編成局・制作局と東京編成制作局が並列の組織として存在してお
りましたが、責任の所在や決裁権が不分明になりがちであり、そのために決裁手続きに
手間取るといった弊害も出ていました。
そこで、前述の3つの組織を「編成制作局」として統合し、責任の所在や決裁権者を
明確化しました。しかしながら、新編成制作局は140人を超える巨大な組織であり、
番組編成・制作にかかわる様々な業務を有していることから、この局のもとに「制作セ
ンター」「コンテンツ管理センター」「東京編成制作センター」の3つのセンターを新
設し、意思疎通や個別の部の業務管理に遺漏のないよう配慮しました。
この結果、情報交換や職場環境が整備されるとともに、組織の風通しも良くなり、番
組制作環境が非常に改善されました。さらに、制作者の人材育成や若返り、風土の異な
る東京・大阪間の人事交流もできております。
また、制作部門等の増強をはかるために、以前より様々な観点から検討を重ねており
ました社員の中途採用につきましても、2008年8月中旬に募集を開始しました。
番組制作の経験者や、経理・経営企画に精通した経験者を中心に、当社ホームページ
等を中心に募りました結果、1551名の応募がありました。
そして選考を重ねた結果、3名の採用を決定し、2009年3月1日付で入社しまし
た。2名は編成制作局制作センター制作部に配属され、もう1名は経理局財務連結部に
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配属され、早速当社の業務にあたっております。
(3)現社屋の購入について
当社は2008年8月5日、入居中の北区扇町土地信託事業(キッズパーク)を大阪
市から受託する住友信託銀行㈱と㈱りそな銀行との間で、同事業の土地・建物の売買契
約を締結いたしました。
2007年5月、大阪市会は同事業の土地・建物の売却方針を議決しておりましたが、
第三者が取得するよりも当社が購入することで放送事業を安定化させることができる
と考え、鋭意折衝を進めて合意に至ったものであります。
その後の引き継ぎ作業を経て、9月1日には決済、引き渡しを終え、2009年1月
には、これまでテナントが離脱して空室状態であった地下1階部分のセキュリティを強
化するとともに全フロアを会議室に改装、それに伴い6階部分に出演者控室を増設する
など、円滑な業務遂行に、効果をあげています。またこれにより当社は、家賃支出がな
くなるとともに、現テナントである大阪市教育振興公社(キッズプラザ大阪)などから
の家賃収入が得られることとなりました。
その一方で、新たに有利子負債が発生いたしましたが、当社では、事業によるキャッ
シュの創出のほか、不要になった賃料支出の充当や保有資産を見直すことで返済に充て、
放送の安定的継続にいささかのリスクももたらさないよう、資源の放送事業への集中を
加速させていきます。
(4)経営陣と社員間のコミュニケーション改善について
2007年の再生委員会答申におきまして、経営陣と社員との間のコミュニケーショ
ン不足が当社内部の問題であると指摘されました。
さらに、2008年2月に発生いたしました五輪番組情報配信問題におきましても、
当社のコミュニケーション不足が大きな課題として再び浮かびあがりました。活性化委
員会が3月21日付で発表しました「活性化委員会の考え」においても、「円滑かつ迅
速な社内コミュニケーションスキルを役員・社員が身に付けていくためのシステム構築
も必要」と指摘・提言を受けました。
当社で開催されている主要な社内会議は、取締役会、執行役員会(2008年6月ま
で、7月より常勤役員会)、局長会等があり、それぞれの出席者を通じて、局長会報告
等の形で社員に情報を開示していました。
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しかし、この方法では局によって情報の粗密が発生することが否めないことから、適
切な議事録(乃至は議事要旨)の形で全社員にその内容が開示されるようにするため、担
当部局で検討を重ねました。
その結果、2008年4月の局長会を皮切りに、取締役会・執行役員会など重要会議
の情報について、経営上の秘密・個人情報に関するものなど、開示に適さないものを除
いて、社内LAN上での開示を始めました。
また、リスクマネジメント態勢構築の一環として、職場でのコミュニケーションスキ
ルの向上や部門の運営などについてのライン管理職の役割をテーマにした研修を局
長・部長に対して4月に開催しました。
今後も、社員にもさまざまな機会を利用して、上司・同僚・部下、先輩や後輩との部
署の垣根を越えた密なコミュニケーションを図るよう働きかけます。
(5)関係会社の再構築とグループ政策について
現在、関西テレビグループは、当社ならびに番組制作会社や映像制作の技術会社など、
10社の子会社からなる計11社のグループ会社として事業活動を行っています。この
グループ会社全体の経営管理を効率的に行うことを目的として、全てのグループ会社の
経理業務を一元的に処理するため、当社経理局に「連結業務」を所管する担当部署を設
置しています。
2008年度から連結決算を開始したことにともない、これに関する監査契約を会計
監査法人と締結するなど、2009年3月期の「連結計算書類」作成のための準備を整
えています。
2007年12月に設置しました「関係会社再編プロジェクトチーム」は、各関係会
社の課題を洗い出し、企業の成長性・効率性・貢献性を重視した詳細な経営分析を行い
ました。
経営資源を放送事業へ集中し、グループ全体の利益を最大化するための論点を整理し、
各社の経営責任者とも意見交換を行い、具体的な再編方針案も含んだ報告書を、常勤役
員会に提出しました。
CS「関西テレビ☆京都チャンネル」の閉局に伴う番組制作部門の再構築、スタジオ
運用コストの最適化、放送本業部門とのシナジー効果の薄い事業部門の再編などの問題
がありますが、痛みを伴う改革に対して、どのように合意形成をするかが課題です。
また、大阪地方裁判所で特別清算を行っている介護関連事業会社については、すべて
の法的な手続きが済み、近く清算終了となる見込みです。
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(6)中期経営計画等
将来に向けたビジョン
2008年度は、放送収入が大幅に下落して、諸経費の削減など下期予算の見直しを
行ったものの、想定を上回る市況の悪化で、開局以来の赤字決算となる見込みです。民
間放送連盟などは、今後、3年間は、放送収入の下落傾向は続き、その後も、すぐには
回復基調にもどらないと予測しています。
当社では、これまで3ヵ年の中期経営計画をたて、それを毎年、検証しながら更新し
てきました。しかし、これまでの経験則が、将来予測に役立たないという事態に、中期
経営計画を抜本的に見直さざるを得なくなっています。財務体質を強化するために、放
送本業収支を健全化し、キャッシュフローの安定的な確保を図ることが、急務になって
います。番組制作費や人件費などを含めた費用の見直しを始めとする収支構造の改革を
行います。
将来に向けたビジョンとしては、なによりエリアを最重視して、関西という風土や文
化に根差しつつ、このエリアで最も必要とされるコンテンツメーカーを目指してゆきま
す。放送本業に経営資源を集中させて、視聴者やクライアントに信頼されるメディアと
して、ライフラインとしての機能を、いっそう高めてゆきたいと思います。
また、放送関連事業にも、開局以来蓄積したノウハウを活かして、チャレンジしてゆ
きます。北梅田再開発事業のナレッジキャピタル構想にもメディアアートの分野で参画
する予定ですが、放送本業とのシナジーを図りつつ、ネクストメディアの研究開発に取
り組んで行きます。
60
第7
放送人倫理の確立に向けた
教育・研修等
(1)社内研修、啓発、放送倫理・コンプライアンス研修会
1)社内研修
当社では、2007年制定した「関西テレビ倫理・行動憲章」をベースに、全社員の
放送人としての倫理の確立に向けた様々な社内研修を行っているところです。
2007年度は、主として入社2年目までの社員や、新たに管理職に任命された社員
を対象として行いましたが、2008年度は、それらを更にグレードアップする形で、
4月に入社した社員に対し、2日間にわたるコンプライアンス研修を行いました。この
研修ではまず、当社が起こした捏造問題について、その経緯や調査委員会から指摘され
た事項、さらには再生の道筋などを時系列に沿って理解を深めさせました。
さらに識者の講演や、ケーススタディーをめぐるグループ討論なども行い、「関西テ
レビ倫理・行動憲章」が意味することを仕事で活かせるようにしました。このような研
修は、今後も引続き行う予定です。
一方、ライン管理職である局長・部長につきましては、先の「リスクマネジメント態
勢の確立」の部分でも触れておりますが、4月21日にコンサルティング会社によって
リスクマネジャーとしての局長・部長の役割についての研修を実施しました。
また9月25日には、7月の人事異動で管理職に昇格した社員を中心に25名を対象
とした「新任管理職研修」を行いました。この研修では、リスクマネジャーとしての役
割についての認識や理解を高めること、リスクマネジメントの必要性、プロフェッショ
ンとしての自覚などを中心に、講義を行いました。
2009年3月に入社した中途採用社員3名に対しましても、当社のコンプライアン
スに対する姿勢を中心に、
「倫理・行動憲章」の解説などの研修を行っています。
2)放送倫理・コンプライアンス研修会
2007年4月中旬から、前述の「放送倫理部会」が中心となり、外部講師を招聘し
講演と意見交換を行う「放送倫理・コンプライアンス研修会」と名づけた定期的な研修
を行っていますが、2008年度も引続き、各界から講師をお招きしてこの研修会を開
催しています。
5月21日には元BPO調査役の松田士朗氏による「BPOから見たメディアの環境
変化」と題する講演を行いました。この研修会により、役員・社員が、幅広い情報に触
れることができ、放送倫理意識を向上させたり、コンプライアンス確立への方向性を見
つけ出す手助けとなっています。
さらに組織改正・人事異動後の7月28日には、著作権等に関する諸問題や知識を持
ってもらうために、知的財産を専門とされている弁護士を講師にお招きし、「放送メデ
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ィアに関連する著作権と実務上の留意点」というテーマで研修会を行いました。この研
修会では、他人の著作物の利用の側面から見た取材・報道過程における問題などを実例
を示しながら詳しく解説していただきました。
そして続編として、著作財産権者としての著作権の諸問題を保護される内容の観点か
ら解説する研修会を同じ講師で8月4日に行いました。
さらに、12月8日に「小室事件から日本版フェアユースまで
最近の著作権関連問
題について」といったテーマの研修会を同じ講師で行いました。
いずれの回も参加者は、およそ50人で、業務等の都合で参加できない者のために、
社内のLANシステムに音声データや講演詳細を公開して、随時内容を確認できるよう
にするとともに、東京支社等に向けてDVDを作成しています。
研修会は、これまでの放送倫理意識を向上させるためだけではなく、コンプライアン
ス確立のための法律知識などを身につける場としての役割を果たしています。
2008年度の研修会は、これまでの放送倫理意識を向上させるためだけではなく、
コンプライアンス確立のため社員それぞれが必要な法律知識などを身につける場とし
ての役割を果たしており、今後も引続き行っていきます。
3)その他の研修
この他にも、2009年3月18日には編成制作局コンテンツ管理センター編成制作
業務部が主催して「著作権入門講座」を開催しました。
一方、外部で開催されるさまざまな研修会にも、当該部署を中心に積極的に参加して
おり、2009年3月に公正取引委員会が大阪で開催しました「コンテンツ取引に係る
下請法講習会」には当社やグループ会社社員などあわせて19名が参加し、下請法の基
礎知識やケーススタディーを学び、遵法意識を高めました。
(2)放送倫理セミナーへの参画について
「発掘!あるある大事典」捏造問題が発端となり、放送界全般において、倫理が大き
なテーマとなってきたことなどの状況を受け止め、毎日放送、朝日放送、読売テレビ、
テレビ大阪、びわ湖放送、京都放送、サンテレビ、奈良テレビ、テレビ和歌山、及び当
社の近畿民放テレビ10社は、よりよい放送のあり方を公開の場で模索討議することを
目的として、2007年度より「放送倫理セミナー」を不定期に開催することとしまし
た。
第1回、第2回の「放送倫理セミナー」は、2007年4月と11月に、前述の近畿
民放テレビ10社の主催、社団法人全日本テレビ番組製作社連盟の後援により催されま
した。
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第1回は、主に「発掘!あるある大事典」捏造問題の外部調査委員会報告書でも指摘
された、放送局と制作プロダクションのパートナーシップのあり方を中心に、在阪のい
くつかの放送局、あるいは制作プロダクションの各現場統括者によるパネルディスカッ
ションなどにより、様々な問題点が多面的に討議され、当社は前記の通り主催者の一員
として参加しました。
第2回は、当社が公の場で「発掘!あるある大事典」捏造問題について改めて報告し、
その報告を起点に放送界に関わる諸問題を討議するという趣旨で開催されたもので、当
社より編成局長が当社の再生への取り組みなどについて報告を行いました。また、放送
文化論研究者のコーディネートによる「放送人のメディアリテラシー向上のために」と
題したパネルディスカッションが行われ、パネリストとしてメディア産業論研究者、全
国紙記者とともに、当社よりコンプライアンス推進室長、編成局長が登壇し、放送にお
ける倫理面向上の実践や、関西の放送界における諸課題などについての討議に参加しま
した。
そして、2008年7月25日に行われた第3回からは、近畿地区のラジオ単営社9
社が主催者に加わりました。この回では「制作現場のモラルと苦悩」をテーマにしたパ
ネルディスカッションが行われ、当社からも東京編成制作センター編成部長がパネラー
として参加し、「発掘!あるある大事典Ⅱ」の問題を経た当社の番組制作現場の取組み
の現状について報告しました。
さらに2009年1月30日に同じく近畿民放19社の共同主催による第4回が開
催され、当社は幹事社として参画しました。この回は300人を超える参加者があり、
「いま、放送になにが可能か」をメインテーマに、第1部はテレビマンユニオンの今野
勉氏による講演「放送人の倫理~制作の現場から~」、そして第2部は「情報番組の現
在と未来~関西ローカルにできること~」をテーマに、当社を含めた在阪各局から報道、
情報番組の責任者がパネリストとして参加し、パネルディスカッションが行われました。
ここまで4回にわたる「放送倫理セミナー」は、当社の起こした「発掘!あるある大
事典」捏造問題がきっかけとなったものであり、この事件を風化させることなく放送界
全般の問題として捉え直そうという近畿民放各社の大きな視点に立った思いから展開
されたもので、当社にとりましても、再生への取り組みの中で極めて重要なものとなっ
ています。
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第8
おわりに
本レポートにおいては、2008年4月から2009年3月に至る1ヵ年の当社の活
動についてご報告申し上げました。また、本レポートは、社内の全ての部門が執筆を分
担しております。視聴者の皆さまには当社の役員・社員の決意ならびに活動をご理解い
ただき、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
冒頭に述べました通り、当社は社団法人日本民間放送連盟への完全復帰を果たし、ま
た開局50周年の節目を迎えることができました。当社はこの機会を、半世紀を支えて
いただいた視聴者の皆様に改めて感謝し、次の半世紀の間、二度と皆様の信頼を裏切ら
ぬことを誓う機会といたしました。
米国の金融危機に端を発した不況はとどまるところを知らず、放送業界におきまして
も広告出稿の減少は深刻です。公共サービスの継続的な提供には安定した財務基盤が求
められるため、放送事業者としても様々な構造転換を実施する必要に迫られている状況
です。売上増や新たな収入源を模索する一方で、資源配分を再検討し持てる力を放送に
集中して行かねばなりません。また、役員・社員の一人ひとりが放送人として高い志を
持ち、これまでにも増して高度な専門性を身につけることで、より信頼性の高い、社会
に不可欠な公共的役割を担い続けるべく努めてまいります。放送番組の質の維持向上、
視聴者の皆様に対するサービスの向上という命題は、いかに不況といえども等閑視でき
ないことを肝に銘じ、今後の事業運営にあたってまいります。
併せまして、関西テレビ活性化委員会におかれては、本報告書の内容を吟味され、十
分に審議されることをお願い申し上げます。
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