リオ・オリンピックでIOC が初めて取材制限への苦情受付を設置

IFJ 短信
2016 年 8 月 20 日
リオ・オリンピックで
IOC が初めて取材制限への苦情受付を設置
ブラジルのリオデジャネイロで開催されているオリンピックの取材に関して、
国際オリンピック委員会(IOC)は、はじめて取材に関する苦情受付けを制度化
し、ジャーナリスト保護委員会(CPI:本部ニューヨーク)は 2016 年 8 月 3 日、
これを歓迎する声明を発表した。
CPI によれば、すべてのジャーナリストは、フリーであれ、スタッフであれ、
スポーツニュース報道に携わっていることが証明されれば、現地に設けられた
IOC の苦情受付機関に、取材上の不満を申し出ることができると言う。申し出
があれば、IOC は適切な解決策を提示しなければならない。ただし、申し出る
場合の言語は英語とフランス語に限られる。
オリンピックの取材では、2008 年の北京大会、2014 年のソチの冬季大会など
で取材制限が行われ、CPI などが IOC に改善を求めていた。
アメリカ国防総省
戦時に敵側との接触もジャーナリストの使命
ジャーナリスト保護委員会(CPI)によると、アメリカ国防総省は 2016 年 7
月、戦争時の指揮官向け対応マニュアルの改訂にあたって、戦場で許可なく取材
活動をしたり、敵側の関係者と接触したりすることは、ジャーナリストの役割で
あることを認めることにした。
これまでの指揮官向け対応マニュアルでは、戦場取材のジャーナリストを場
合によっては、戦闘員あるいはスパイと看做してもよいことになっており、メデ
ィア側からの批判が強かった。
国防総省は、改訂マニュアルのなかで、
① ジャーナリストは民間人であり、戦時法で保護される
② ジャーナリストは武力紛争の情報を提供する重要な役割を担う
③ ただし、ジャーナリストが非国家の武装勢力に属し、その宣伝活動などを行
った場合は、法的保護のない戦闘員と看做される
としている。
ルクセンブルグ・脱税調査報道
無罪判決の記者を検察側が控訴
内部告発によって 340 社の脱税報道をした記者が 2016 年 6 月の判決で無罪
となったのを不服として、ルクセンブルグの検察当局が控訴したことに対し、ヨ
ーロッパ・ジャーナリスト連盟は 2016 年 8 月 11 日、抗議声明を発表した。
この事件は IFJ 短信 7 月 20 日号でお伝えしたが、ルクセンブルグで内部告発
があり、340 社が合計で年間 500 億~700 億ユーロを脱税していることが明る
みに出た問題。2016 年 6 月の判決で、内部告発者 2 人は執行猶予付きながら 12
か月と 9 か月の有罪判決が出たが、報道したジャーナリストは報道の自由の原
則から無罪となった。
今回、ルクセンブルグの検察当局は、この判決を不服として、無罪となったジ
ャーナリストを含め 3 人を控訴した。
ヨーロッパ・ジャーナリスト連盟は、
「内部告発者を守ることは EU のルール
である。2 人の有罪判決でさえ、EU の精神に反していると考えているのに、無
罪のジャーナリストを控訴するとは信じられない。記者のさらなる報道を抑え
るための措置としか考えられない」として、抗議声明を発表した。
友人として情報を提供してほしい!
断ると拘束して拷問、トルコで弾圧続く
国内の反大統領派への弾圧が続くトルコで、2016 年 8 月 15 日に 4 人のジャ
ーナリストが釈放された。4 人については、IFJ や国境なき記者団など国際的な
ジャーナリスト団体や人権団体が、メディア関係者の人権を守るようトルコ政
府に呼びかけ、釈放を求めていた。
釈放された 4 人の話によると、3 日間拘束されたが、その間に拷問と脅迫が行
われたという。
4 人は、たまたま 8 月 10 日にトルコ南西部のディヤルバルク県アナトリアン
で起きた爆弾テロの現場近くにいたため、これを取材し、映像をデスクに送った
後、現場を離れようとしたときに、拘束された。
テレビ局の特派員フィラット・トパル氏の話によると、現場周辺では数か所で
検問が行われていた。記者証などを出して身分を明らかにし、2 か所の検問所で
は問題なく通行を許可されたが、3 つ目の検問所で、車から降ろされ、地面にう
つ伏せにされて 1 時間半待たされた。その後、取り調べ室に連れて行かれ、
「友
人として、情報を提供してほしい」と誘われ、そうすれば 4 人とも釈放すると言
われたという。私たちはジャーナリストであるから、そんなことはできないと断
ったところ、息が詰まるような小さな部屋に監禁され、脅迫され、拷問されたと
いう。
IFJ のレルス会長は「彼らはジャーナリストとしての仕事をしていたに過ぎな
い。拷問や脅迫はとんでもない話で、トルコ政府は事実を説明すべきだ」との声
明を発表した。
イエメンで今年 7 人目の犠牲者
IFJ によると 15 人が拘束されたまま
IFJ によると内戦が続く中東のイエメンで 2016 年 8 月 5 日、アルシャハフ州
のテレビ局の記者ムバラク・アル・アバディ氏が死亡した。
アバディ記者は、アルシャハフ州で政権派と武装勢力ホーシ派の武力衝突を
取材していて、ホーシ派に殺害された。イエメンではことし 7 人目の犠牲者で
ある。
IFJ に加盟する地元のジャーナリスト連盟によると、イエメンでは 14 人のジ
ャーナリストがホーシ派に拘束されている。そのほか、アルカイダに拘束されて
いるジャーナリストが 1 人いるという。
イラク、クルド自治区でクルド人ジャーナリスト殺される
IFJ、遺族の救援へ
イラクのクルド自治区のドホーク県ドホーク市で 2016 年 8 月 13 日、通信社
に勤務するクルド人記者のハッサン・アリ氏が、誘拐され、数時間後に遺体とな
って発見された。
通信社によると、遺体には拷問されたあとがあったという。
殺害された理由は明らかになっていない。
IFJ は 2016 年 8 月 16 日、クルド自治政府のベルサニ大統領に犯人の捜査を
徹底して行うよう要請した。また、遺族に哀悼の意を表するとともに、遺族を救
援することを検討している。
以上