【巻末資料】 動植物調査手法の解説表

【巻末資料】
動植物調査手法の解説表
【目次】
概要説明----------------------------------------------------------------- 1
動植物調査 259 手法リスト ------------------------------------------------ 5
(1)植物相(フロラ):5 手法 ----------------------------------------------- 13
(2)植生:12 手法 -------------------------------------------------------- 16
(3)森林:34 手法 -------------------------------------------------------- 22
(4)哺乳類:38 手法 ------------------------------------------------------ 39
(5)鳥類:32 手法 -------------------------------------------------------- 58
(6)猛禽類:24 手法 ------------------------------------------------------ 74
(7)両生類:10 手法 ------------------------------------------------------ 86
(8)爬虫類:9 手法 ------------------------------------------------------- 91
(9)昆虫類:39 手法 ------------------------------------------------------ 96
(10)土壌動物:10 手法 -------------------------------------------------- 116
(11)魚類:22 手法 ------------------------------------------------------ 121
(12)底生動物:8 手法 --------------------------------------------------- 132
(13)付着藻類:6 手法 --------------------------------------------------- 136
(14)プランクトン:10 手法 ---------------------------------------------- 139
出典・事例報告書------------------------------------------------------- 144
動植物調査手法の解説表
概要説明
本資料は、既存の調査マニュアル等の文献資料や事例報告書などをもとに、森林整備(治山、林道
含む)の実施に際して、接点のありそうな動植物の調査手法について分類整理し、それぞれについて
解説表の形式にて整理したものである(259 手法)
。
調査には、
「事業を進めるための調査」と「環境影響を軽減するための調査」があるが、ここで対象
としたのは、後者である。
<分類整理:リスト表と解説表>
分野区分としては、植物相・植生・森林・哺乳類・鳥類・猛禽類・両生類・爬虫類・昆虫類・土壌
動物・魚類・底生動物・付着藻類・プランクトン の 14 分野である。それぞれの分野ごとに、調査の
手段(文献・聞き取り・現地・室内分析等)に分類すると、下表のようになる。
生物関係の 259 調査手法
手段
文献
聞取
現地
室内
調査
調査
調査
分析
植物相
1
1
3
5
植生
2
1
9
12
森林
5
3
20
5
1(文献+現地)
34
哺乳類
2
2
31
2
1(聞取+現地)
38
鳥類
2
1
28
1
32
猛禽類
2
2
15
5
24
両生類
1
1
8
10
爬虫類
1
1
7
9
昆虫類
2
1
35
1
39
土壌動物
1
1
3
5
10
魚類
1
1
19
底生動物
1
1
5
1
8
付着藻類
1
1
2
2
6
プランクトン
1
1
4
4
10
23
18
189
26
分野
計
その他複合
1(文献+聞取)
3
計
22
259
これらの手法をリスト化し、事業段階別の調査時期、対象範囲、専門的技術力、経費の情報を加え
たものを 5~12 ページに示す。また、これら 259 手法について、個々の解説表の形式で、整理したも
のを 13~143 ページに示す。
<活用上の留意点、出典元のマニュアルの概要>
本資料は、解説表の形式で整理しているため、紙面の都合で概略的な手法解説にとどまっているも
のがある。そのような場合は、出典元の図書や関連文献を参照いただきたい。
また、既往の文献資料に基づいて作成しているため、出典元の各種調査の目的や対象が、必ずしも
森林地域での調査に合致しないケースもあり得ると思われる。参照いただくにあたっては、その点を
十分留意いただきたい。
以下に、主な出典元のマニュアルの概要(目的、調査対象)を整理して示しておく(記述内容は、
極力、出典元に記載された表現をそのまま引用するようにした)
。
・保護林モニタリング調査マニュアル(林野庁、2007、web サイトにて公表)
【目的】 保護林の状況を的確に把握し、保護林の設定目的に照らして保護林を評価する観点から、
保護林モニタリング調査を実施し、調査結果を蓄積することにより、個々の保護林の現状に応じたき
め細やかな保全・管理の推進に資するものとする。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 保護林モニタリング調査は地域管理経営計画等樹立作業の前年度にあたる計画区
内に位置する保護林を対象に順次実施するものとする(5 年間で全国の保護林を一巡)
。
〔本文中より〕
・国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル(林野庁、2003、web サイトにて公表)
【目的】 原則として、緑の回廊における森林の状態とそこに生息する野生動植物の生息・生育実態
の正確なデータの蓄積により、その関係を把握し、緑の回廊の有効性の検証を行うことを目的とする。
- 資・1 -
また、検証結果については、今後の緑の回廊の設定及び取扱いに反映させる。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 調査区域:原則として、緑の回廊で連結されている2つの保護林と当該緑の回廊
とでもって調査の1つの単位とする。調査地の選定:調査区域には、原則として、様々な森林の状態
と野生鳥獣の生息実態の関係を把握するための調査地と経時的変化を把握するための対照区としての
定点を設ける。定点:緑の回廊で連結されている保護林の区域内で、当該保護林の特徴的な森林生態
系を有する箇所を定点として選定する。なお、定点は、施業による経時変化が見込まれる回廊内の調
査地に対し、現状が維持される保護林内に対照区として設けるものである。 調査地:調査地は、森
林の状態と野生鳥獣の生息実態の関係を把握するため、調査区域内の緑の回廊をⅡの第1(略)の森
林調査における林分の発達段階の判断基準に応じた区分ごとに選定する。調査地点の選定は、道路事
情等の地利的条件、調査の作業効率、これまでの他機関も含めた調査実績の有無などの諸条件を考慮
して行う。なお、調査は、モニタリング実施年の特殊事情による例外的なデータの影響を考慮し、原
則として連続して同一地で実施する。
〔本文中より〕
・平成 18 年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル 河川版 (国土交通省、2006、web サイ
トにて公表)
【目的】 基本調査は、河川環境の整備と保全を適切に推進するため、河川の自然環境に関する基礎
情報の定期的、継続的、統一的な収集整備を図るものである。本調査の結果は、河川環境情報図等各
種環境基礎資料の作成、河川に関する各種計画の策定、事業の実施、河川環境の評価とモニタリング、
その他河川管理の様々な局面における基本情報として活用されるとともに、河川環境及び河川におけ
る生物の生態の解明等のための各種調査研究の推進にも資するものである。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 本マニュアルは、1 級河川及び 2 級河川の区間(ダム区間を除く)を対象とする。
〔本文中より〕
・モニタリングサイト 1000 森林コアサイト設定、調査マニュアル Ver.1 2004 年(環境省、2004、web
サイトにて公表)
【目的】 毎木調査によって、その森林の種組成や構造、バイオマスがわかります。これらのデータ
は、炭素蓄積量の把握だけでなく、森林の状態と水源かん養力との関係や、森林に依存する生物との
関係などを科学的に明らかにする上でとても重要です。調査を継続することによって、それらの経年
変動も明らかになります。さらに、個々の樹種について、幹や株の生死や成長を追跡することで、構
成樹種の個体群動態を推測する重要なデータが得られます。リタートラップによって、落葉落枝量や
種子生産量が推定できます。落葉落枝量は、森林の一次生産力の推定には必須です。また、樹種別に
種子生産の量や数を測定することで、様々な樹種の豊凶特性などがわかります。これらのデータは、
樹木の更新特性を明らかにする上で興味深いものとなります。さらに、種子を餌資源にしている動物
の動態や生活史特性を説明するバックグラウンドデータとしても期待できます。
〔本文中より〕 日本
列島の多様な生態系のそれぞれについて、環境省では全国にわたって 1000 か所程度のモニタリングサ
イトを設置し、基礎的な環境情報の収集を長期にわたって継続して、日本の自然環境の質的・量的な
劣化を早期に把握します。
〔モニタリングサイト 1000Website より〕
【調査対象地等】 変化の動向を全国規模で把握するため、各種の地域区分を用いて、国土全体にわ
たってモニタリングサイトを配置します。環境省では、日本の陸域における自然環境を気象や地形の
違いにより 10 区域に区分し、それぞれの特徴を整理しています(生物多様性保全のための国土区分)
。
モニタリングサイト 1000 では、このような区分を考慮しながら、全国にわたってバランス良くモニタ
リングサイトを配置します。
〔モニタリングサイト 1000Website より〕
・保全生態学の技法 調査・研究・実践マニュアル(鷲谷いずみ・宮下直・西廣淳・角谷拓、2010、
財団法人東京大学出版会発行)
【目的】 雪崩のようにすさまじい勢いで進行しつつある地球規模および地域規模の自然環境の劣化
を食い止めるための社会的な条件整備は、国際的にも国内でも着実に進展しつつある。しかし、問題
解決には程遠く、それに近づいていくためには、科学的に解明すべき課題が数多く存在する。事業や
実践の成功にも保全生態学の発想や研究が欠かせない。本書では、そのような社会的な重要性を増し
てきた保全生態学を技法の面から解説した。研究課題に具体的にどのようにしてアプローチするのか
を理解することは、保全生態学を知っていただく近道と考えるからである。保全生態学、生態学が築
いてきた知的遺産のなかから、社会的な要請に応える研究目的にとって利用価値の高い技法を選んで
紹介した。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 特定せず。
・平成 6 年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案) ダム湖版(生物調査編)
(建設省、1995、財
団法人ダム水源地環境整備センター発行)
【目的】 全国の直轄・公団管理ダムを中心に、河川事業、河川管理を適切に推進するため、ダム湖
およびダム周辺を環境という観点からとらえた定期的、継続的、統一的なダムに関する基礎情報の収
- 資・2 -
集整備を図ることとし、
「河川水辺の国勢調査[ダム湖版]
」の一環として、ダム湖およびその周辺地
域における生物の生息・生育実態の把握を目的として、本調査を実施するものである。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 本調査は、建設省所管のダムを調査対象とする。
〔本文中より〕
・平成 9 年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)
(建設省、1998、財団法人リ
バーフロント整備センター発行)
【目的】 『河川水辺の国勢調査』は、河川事業、河川管理等を適切に推進するため、河川を環境と
いう観点からとらえた定期的、継続的、統一的な河川に関する基礎情報の収集整備を図るものである。
本調査の成果は、河川に関する各種計画の策定、事業の実施、河川環境の評価とモニタリング、その
他河川管理の様々な局面における基本的情報として活用されるとともに、河川及び河川における生物
の生態の解明等のための各種調査研究の推進にも資するものである。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 本マニュアルは1級河川及び2級河川の区間(ダムの区間を除く)を対象とする。
〔本文中より〕
・森林野生動物の調査-生息数推定法と環境解析-(森林野生動物研究会、1997、共立出版株式会社
発行)
【目的】 森林野生動物の生態に関することが注目されている。この基本となるのがその生息数であ
る。
(略)このように生息数(密度)
・その動態を知ることが大事であるにもかかわらず、科学的に精
度を評価できるような方法が知られていないのである。
(略)このことに鑑み、現時点で、汎用性のあ
るものを使いやすい形にまとめてみることは意義あるものと考え、本書を刊行することにした。
〔本文
中より〕
【調査対象地等】 特定せず。
・砂防における「自然環境調査マニュアル(案)
」
(建設省、1992、河川局砂防部砂防課事務連絡)
【目的】 砂防事業の主たる実施場所である渓流及びその隣接地には、極めて多種多様の生物が生息
している。そして、それらは相互に密接な関連を持ち生態系を形成している。従来から砂防事業は自
然との調和を考慮しながら、地域の自然にとけこむ事業として実施してきたが、今後、より自然環境
に配慮した事業を実施するべく、特に渓流における生態環境の現況を把握し、自然と地域になじんだ
水と緑の渓流づくりに資するものである。
〔平成 3 年 2 月「自然と地域になじんだ水と緑の渓流づくり
調査について」建設省河川局砂防部砂防課より〕
【調査対象地等】 A)魚類調査編:①調査対象河川・渓流は、砂防事業対象河川・渓流で砂防施設
が既に設置されている河川・渓流及び概ね 10 カ年程度内に着手を予定している河川・渓流とする。②
調査地点選定については、事前調査の結果、河川・渓流の上流、下流部等のバランス、滝、堰等流水の
分断状況、河川形態(瀬と淵の分布)等を考慮し、河川の魚類相を把握するのに十分効果のあがるよ
うな設定を行う。常時水のない河川・渓流については除外する。砂防基準点・補助基準点の位置を考
慮に入れ設定する。調査を行う地点の最下流端は砂防基準点とする。③事前調査で貴重な種類、地域
にとって重要な種類等が確認された河川・渓流についてはその重要度に応じ調査ポイントを増やすこ
ととする。
〔本文中より〕
B)植生、鳥類、小型動物、両生類、は虫類、昆虫調査編:①調査対象河川・渓流は、砂防事業対象
河川・渓流で砂防施設が既に設置されている河川・渓流及び概ね 10 カ年程度内に着手を予定している
河川・渓流及び河畔林等の存在する河川・渓流の周辺とする。②調査地点選定については、川・渓流の
上流、下流部等のバランス、滝、事前調査の結果等を考慮する。③事前調査で重要な種類、地域にと
って重要な種類等が確認された河川・渓流についてはその重要度に応じ調査ポイントを増やすことと
する。
」
〔本文中より〕
・平成 18 年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版(国土交通省、2006、web サイト
にて公表)
【目的】 『河川水辺の国勢調査【ダム湖版】
(基本調査)
』
(以下、基本調査とする)は、ダム湖及び
その周辺に特有な環境における生物の生息・生育状況を把握することにより、生物の良好な生息・生
育環境の保全を念頭においた適切なダム管理に資することを目的としている。また、ダム湖及びその
周辺における生物の生息・生育環境を把握することにより、ダム湖内の水質障害や周辺環境の変化等
をいち早く発見することができ、利水障害やダム湖周辺山地の変化によるダム湖の水質や流入水質の
長期的な変化の傾向も把握できる。さらに、ダムからの放流水が下流の河川生態系に実際に影響を与
えているのか等も、長期的に継続把握していくことで、変化や影響が生じた際の適切な保全対策の検
討にもつなげることができる。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 ダム湖、ダム湖周辺、流入河川及び下流河川を含む範囲を基本調査における調査
区域とする。その他に、ダム建設に伴い改変された原石採取跡地や建設発生土処分場、大規模な法面
等の地形改変箇所や生物の生息・生育環境を創出する目的で整備されたビオトープ、湿地、池等の環
境創出箇所がある場合は、必要に応じて調査区域に含める。
〔本文中より〕
- 資・3 -
・野生動物調査法ハンドブック(財団法人自然環境研究センター、1996、財団法人自然環境研究セン
ター発行)
【目的】 本書はおもに、都道府県や市町村の野生動物保護管理業務担当者に参照されることを想定
したものであり(以下略)
〔本文中より〕
【調査対象地等】 特定せず。
・ダム事業におけるイヌワシ・クマタカの調査方法 改訂版(財団法人ダム水源地環境整備センター、
2009、信山社発行)
【目的】 本書は、1996 年に環境庁から発刊された「猛禽類保護の進め方」に示された方向性をもと
に、ダム事業における具体的な調査方法として初版が平成 13 年に発刊された。初版での記載内容は、
事業による影響を評価するのに必要な調査内容についてまとめたものである。このため、初版ではダ
ムの工事期間中及び完成後における調査方法については示していなかったことから、本改訂版では工
事期間中及び完成後のダムにおける調査方法を追加するとともに、平成 13 年当時の原稿についても最
新の情報を含めて追加・修正した。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 本書は、ダム事業における調査を前提にしたものであり、その意味からも学術的
な生態調査とは異なる点がある。
〔本文中より〕
・猛禽類保護の進め方(特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて)
(環境庁、1996、財団法人日本
鳥類保護連盟発行)
【目的】 本報告は、猛禽類の保護の現状と保護対策の基本方向を示すとともに、特にイヌワシ、ク
マタカ、オオタカについては、その生息地周辺に各種開発行為等が及ぶおそれがある場合に、これら 3
種を保護するうえでの必要な事項を示している。また、本報告は都道府県等において自然保護、鳥獣
保護行政に携わる方々に、猛禽類の生態をはじめとして基礎的な知識を深めていただくことと、事案
の処理にあたって問題点の早期把握等実際面で役立てていただくことを主眼に置いて取りまとめたも
のである。さらに、行政に携わる方のみならず多くの方々にも利用していただければ幸いである。
もとより本報告は猛禽類の保護という観点からまとめたものであり、そのうえで開発に際しての考え
方を示している。本報告を活用するうえで注意しなくてはならないことは、本報告に示された各種の
距離をはじめとする数字やその他の基準はあくまで試案であって、それのみで猛禽類の保護のあり方
を判断することはできないということである。
(略)
〔本文中より〕
【調査対象地等】 特定せず。
・猛禽類保護の進め方(改訂版)-特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて-(環境省、2012、
web サイトにて公表)
【目的】 本指針は、開発事業との摩擦が依然として危惧され、かつ生息状況や生態について情報が
蓄積しつつあるイヌワシ、クマタカ、オオタカの 3 種を中心に、各種開発行為に際しての保全措置の
検討のための考え方を明らかにするものである。さらに、環境影響評価法等に基づく環境アセスメン
ト手続の各段階において猛禽類の調査等を実施する際に参考となる情報を盛り込んでおり、環境アセ
スメント等における活用が期待される。なお、本指針で対象とする 3 種以外の種についても 本指針や
海外の事例を参考にしつつ、適切な手法で保全措置の検討を行う必要がある。
【調査対象地等】 特定せず。
・田んぼの生き物調査2009 調査マニュアル(農林水産省、2009、web にて公表)
【目的】 ①水田やその水田周辺における「魚・水生昆虫(タガメ・ゲンゴロウ等)
」
、
「カエル」等を
対象とした生物相の現状を把握する。
〔本文中より〕 ②生態系保全型の農業農村整備事業推進のため、
生物生息状況とその生息環境との関係を把握する。
〔本文中より〕 ③調査を通じ、農業土木技術者等
が水田生態系やその保全に関する知識・意識を向上させるとともに、地域住民等に対し、農業農村の
持つ生態系保全機能等への理解を推進する。
〔本文中より〕
【調査対象地等】 水田やその水田周辺における「魚・水生昆虫(タガメ・ゲンゴロウ等)
」
、
「カエル」
等を対象とした生物相(略)
〔本文中より〕 魚・水生昆虫編:水路、ため池、水田〔本文中より〕
カエル編:農道、渓畔等〔本文中より〕 外来生物編:水路、ため池等〔本文中より〕
- 資・4 -
- 資・5 -
- 資・6 -
- 資・7 -
- 資・8 -
- 資・9 -
- 資・10 -
- 資・11 -
- 資・12 -
- 資・13 -
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生育
状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑧その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生育
状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
植物相(フロラ)
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
調査手法
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の植物相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を整
理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、各種愛好会・同好会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
分類1
動植物
フ-2
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の植物相、重要種、
外来種及び特筆すべき種の生育状況、確認しやすい時期等についての情報を中心に整理
する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係る文献を可能な
限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
No.
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
分類2
植物相(フロラ)
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
フ-1
No.
調査手法解説表(植物相)
- 資・14 -
調査手法
分類3
現地調査
植物相調査(河川水辺)
分類2
植物相(フロラ)
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑤現地での同定が困難な植物については、標本を作製し、後日詳細に同定する。
ただし、重要種についてはできるだけ標本を作製せず、写真を撮影し、後日確認でき
るように確認位置を記録する。
④事前調査及び既往の河川水辺の国勢調査の結果より、当該調査地区において過去に重
要種が確認されていた場合は、それらの生育の可能性を念頭において調査を行う。
③河川においては、水分条件、冠水頻度等に応じて生育する種が横断方向に変化するこ
とから、水際から堤防表法肩までを確認する。また、水際部に生育する種についても十
分確認する。
②既往の植生図や空中写真等を持参して、調査地区内の植物群落の位置を確認しながら
歩くようにする。
①調査地区内に存在する植物群落を出来るだけ網羅するように調査ルートを設定する。
[調査方法]
現地調査は、調査地区内を歩きながら、生育する種を目視(木本については必要に応
じて双眼鏡を使う)により確認し、和名を記録するとともに、調査ルートを河川環境基
図等背景図に記録する。
重要種や特定外来生物が確認された場合には、確認された位置と生育状況等を記録す
る。
調査努力量は、1調査地区あたり2人で3~4時間とし、調査地区の規模や状況に応
じて調整する。
調査にあたっては、以下の点に留意する。
分類1
動植物
フ-4
[調査方法]
植物相調査は、対象保護林に生育する植物種の出現状況を記録し、植物リストを作成
する。また、ツル類を含めて生育する全種を確認するためには、全域くまなく踏査し、
かつ早春から晩秋にかけ複数回の調査を必要とする。
No.
[調査時期]
現地調査は、春から初夏と秋を含む2回以上実施する。
分類3
現地調査
植物相調査(保護林)
分類2
植物相(フロラ)
調査手法
[調査時期]
早春から晩秋にかけ複数回の調査を必要とする。
分類1
動植物
フ-3
No.
調査手法解説表(植物相)
- 資・15 -
分類1
動植物
フ-5
調査手法
分類2
植物相(フロラ)
分類3
現地調査
植物相調査
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)(一部改変)
[調査方法]
植物相の把握を目的とした調査においては、植物が、立地や地形、土壌条件等の各環
境要素に適応して生育していることから、対象区域内の様々な環境を網羅するように踏
査する必要がある。
なお、植物の種類は非常に多いため、名前のわからない植物を目にすることもしばし
ばである。このような場合、名前のわからない植物を押し葉にして標本(さく葉標本)
として持ち帰り、図鑑で同定するか、専門家に同定依頼する。標本作製時の注意点とし
ては、草本やシダの場合は、できる限り根や根茎まで含めて採集すると、後の同定に役
立つことがある。
また、木本の場合は、枝をできるだけ大きくとる方がよい。また、花や実がついてい
る場合は、標本にした際、色が変化してしまうことが多いため、その場で記録しておく
方が望ましい。標本には、忘れずに採集日、採集場所、採集者を記録すると共に、生育
環境等もていねいに記録しておくと同定が楽になる。
植物相調査では、調査対象区域に生育する全植物をリストアップすることが基本であ
る。したがって、可能な限り踏査ルートを設定し、調査区域内を面的に調査していくこ
とが理想的である。例えば、調査区域が下流の河川区域内等の堤防で囲まれた範囲であ
れば、河川の縦断方向に沿って踏査し、高水敷や河原、中州等の植生のある場所を集中
的に調査していけば、ある程度調査区域を面的にカバーすることが可能である。
しかしながら、調査区域が河川の周辺にまで及ぶ場合等調査面積が広くなればなるほ
ど、このようなルート設定は困難になる。このような時は、植生タイプや土地利用の状
況、土壌の乾湿等の立地条件、尾根、谷等の地形を考慮して、調査区域内の異なった植
物の生育環境を網羅するように複数の踏査ルートを設定することで、より正確な植物相
の把握が可能となる。
[調査時期]
植物相調査においては、通年にわたる調査が望ましい。しかしながら、限られた時間
の中で調査を実施する場合は、地域の特性を考慮して、効率的な調査計画を策定する必
要がある。暖温帯域、冷温帯域にかかわらず植物相調査においては、夏緑性の植物が葉
を展開させ、生育が活発になる初夏から夏にかけて調査を実施すれば、対象とした地域
に生育する植物の多くを把握することが可能となる。
冷温帯域を中心として、夏緑樹林が生育する地域においては、早春、林床に短い生活
環で生育するアマナ、カタクリ、イチリンソウ、スミレサイシン等の「春植物」が生活し
ている。これらの地域においては、早春に調査を実施がすることが望ましい。また、春
季は、河原に特徴的なヤナギ類の開花期に当たるため、これらの同定が比較的容易にな
る。さらに、夏から秋にかけて草地等の開けた環境に、ノコンギク、ヨメナ、アザミ類
等のキク科の植物やキキョウ、ツリガネニンジン等のキキョウ科の植物、リンドウ等の
リンドウ科の植物、ハギ類等のマメ科の植物等が開花するため、この時期に調査を設定
することが望ましい。
No.
調査手法解説表(植物相)
- 資・16 -
分類1
動植物
植-2
調査手法
分類3
文献調査
植生図作成調査法(判読素図作成)(河川水辺)
分類2
植生
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要な群落、外来種群落、特筆すべき群落に関する情報
植生の状況や現地調査に際して留意する必要のある重要な群落、外来種群落、特筆す
べき群落について、生育状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
①空中写真の電子化
スキャナー等を用いて、空中写真を300dpi程度の解像度で入力し、空中写真の電子化を行う。
この際、空中写真を基図と同じように扱えるようにするため、写真上に座標の明らかな点を数
点設け、平面図と合うように電子化した写真を作成する。電子化した空中写真は拡大、縮小が
可能であり、植生図作成工程や現地調査の工程に活用する。
②判読キーの整理
まとまりの大きく安定した群落等は、一般には急速に大きく変化することはない。このよう
な視点から、これらの群落について判読キーを作成し、植生図を作成するのが効率的である。
既存の植生図で整理されている群落の凡例及び位置を、判読に用いる空中写真と対比すること
によって、判読のみで分布が特定できる群落とその判読キーを整理する。
なお、調査対象河川区間の植物群落や群落分布に関する学術調査、環境調査例、都道府県・
市町村による調査例、郷土史誌等が入手できる場合には、これらの調査結果も参考にする。
③判読素図の区分の決定
"②判読キーの整理"で、空中写真の判読のみで分布が特定できる群落として判読キーが整理
できたものは、この群落単位を判読素図の区分とする。空中写真の判読のみでは群落名や分布
が特定できない群落については、高木林、低木林等の植生タイプごとに以下のような特徴をも
とに、空中写真上の色、きめ、高さ、密度等の判読キーを整理する。植生図の作成の際には、
この判読キーが多いほど現地での特定作業が減少し、植生図作成のための作業が効率的となる
が、おおむね基本分類程度を判読キー作成の目安とする。
なお、判読において空中写真から抽出する群落境界の最小単位は、作業の精度を鑑みて、図
面上で約0.5×0.5cm程度とするが、既往資料等から重要な群落等が判読により特定できるよう
な場合にはできるだけ詳細な単位としておく。
④判読素図の作成
設定した判読素図の区分に基づいて空中写真を実体視し、判読素図を作成する。判読素図の
区分の境界は、空中写真上にオーバーレイしたマイラーや透明フィルム等に記録し、平面図に
移写して判読素図とする。
通常の空中写真判読では、判読した内容を平面図等の基図に移写して図面化を行う。地形が
単純でこの移写作業を精度高く行うことが可能な場合には、このような通常の移写作業によっ
て判読素図を作成する。一方、河川の地形が複雑で単純に移写できない場合には、細かく判読
区分した境界線を基図に移写することが困難な場合も多い。このような場合、空中写真と地形
図の対比から写真上に座標の特定できる地物を見いだし、これを基準として判読したオーバー
レイの縮尺や歪みを補正して判読図の境界線素データとする。
また、縮尺が均一で平面図と同様の扱いができる射投影写真(オルソフォト)が得られる場合
には、判読したオーバーレイ上の境界線を写真を見比べながら正射投影写真上のオーバーレイ
に移写する。正射投影写真ではこのオーバーレイを基図に重ねることで判読素図が完成する。
判読素図作成の手順について
[調査方法]
植生図作成調査では、現地調査を有効かつ効率的に実施するため、判読素図を以下の
手順で作成する。
(1) 空中写真の電子化
(2) 判読キーの整理
(3) 判読素図の区分の決定
(4) 判読素図の作成
No.
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の植生の状況につ
いての情報を中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系
全体に係る文献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
[調査時期]
現地調査は、基本的に植物の色調に変化の出やすい秋に1回以上実施する。
分類2
植生
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
植-1
No.
調査手法解説表(植生)
- 資・17 -
調査手法
分類2
植生
分類3
現地調査
調査プロットによる植生(種組成)調査(保護林)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
⑧その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑦重要な群落、外来種群落、特筆すべき群落に関する情報
植生の状況や現地調査に際して留意する必要のある重要な群落、外来種群落、特筆す
べき群落について、生育状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査時期の設定等に対する助言の内容を記録する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
調査プロットの半径、辺長(傾斜のない場合)
調査プロットのイメージ
植生調査表の例
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
植生調査は、小円部において階層別の
植被率及び出現する全ての種名と優占度、
中円部で初めて出現する種の種名、大円
部で初めて出現する種の種名を記録する。
調査野帳には、小円部の階層別植被率、
林床植生の出現植物名及び優占度を記録
するほか、中、大円部で初めて出現した
植物名を記入する。
[調査方法]
植生調査は、以下の調査プロットを設定し、実施する。
調査プロットは、1保護林あたり2箇所以上の調査プロットを設定する。
設定場所は、地形や標高等を考慮し、代表的な森林状況を示す場所を選ぶ。また、特
定樹種や植物種の指定のある場合には、それらを含む場所を選定する。調査プロットは
円形プロットを基本とするが、地形条件、小径木が密生するなど円形プロットの設定が
困難な場合は方形プロットの設定を行う。プロット設定位置は将来的な継続調査の実施
も視野に入れ、その位置を GPSで計測し、座標値を記録する。
調査プロットの面積は0.10haとし、大円部、中円部、小円部に細分する。林地の傾斜
がない場合の調査プロットの半径又は水平辺長は下表のとおりである。傾斜がある場合
は、森林資源モニタリング調査実施マニュアルに沿って、半径や辺長を補正する。傾斜
28°~32°の場合の地表面のプロットのイメージを下図に示す。
分類1
動植物
植-4
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の植生、重要な
群落及び外来種群落の分布状況等についての情報に加え、既往調査文献の有無、調査地
区、調査時期、調査方法等に対する助言等を整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、各種愛好会・同好会)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査時期]
適期に1回実施する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
植生
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
植-3
No.
調査手法解説表(植生)
- 資・18 -
調査手法
分類2
植生
分類3
現地調査
植生断面調査法(河川水辺)
階層別の高さの目安
群度階級の模式図
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
④断面模式図の作成
コドラート内の群落の断面模式図を作成する。群落を構成するおもな植物の特徴(高
さ、形態等)がわかるように、スケッチ等により作成する。
被度階級の模式図
③構成種及び被度・群度の把握
コドラート内に生育するすべての構成種を把握し、被度・群度を調査する。
被度・群度については、ブロン-ブランケの被度・群度により調査を行う。
同定が困難な種については、標本の作製を確実に行う。ただし、重要種の可能性があ
る場合には、できるだけ写真撮影のみにとどめることが望ましい。
②階層構造の把握
各階層(高木層、亜高木層、低木層、草本
層)の平均的な高さ、優占種、植被率及び胸
高直径(木本の場合のみ)を測定し、記録す
る。なお、木本類の階層別の目安は、おおむ
ね右のとおりである。
群落の種類とコドラート面積
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
②断面の位置の記録
「植生断面調査」を実施した場所の位置を調査横断面ごとに記録する。
記録内容は以下のとおりである。
ア.調査地区の概要
植生断面調査を実施した断面の概要を記録する。
・調査年月日: 現地調査を実施した年月日(年号は西暦)を記録する。
・河川名: 河川名を記録する。
・地区番号: 地区番号を記録する。
・地区名: 最寄りの橋や堰等をもとに、地区の特徴を示す名称を記録する。
イ.調査平面図
調査した植生断面の調査対象範囲内での位置がわかるように、河川環境基図等
背景図に記録する。また、スケール、方位及び流れの方向(→)を記録する。
ウ.調査実施状況
植生断面調査の実施状況を記録する。
・植生断面調査を実施した位置がわかるように、踏査ルートを実線で記録する。
・その他、調査時に気づいたことを随時記録する(例:植生の状態等)。
①植生断面調査結果の記録
植生断面調査の結果を、調査断面ごとに記録する。
記録内容は以下のとおりである。
ア.調査地区の概要
植生断面調査を実施した断面の概要を記録する。
・調査年月日:調査年月日(年号は西暦)を記録する。
・河川名: 河川名を記録する。
・地区番号: 地区番号を記録する。
・地区名: 最寄りの橋や堰等をもとに、地区の特徴を示す名称を記録する。
イ.調査実施状況
植生断面調査の実施状況を記録する。
・定期横断測量等による横断面図をもとに、植生横断面図を作成する。
植生横断面図には、各群落の特徴がわかるような植物の模式図を記録する。
・各群落に範囲を区分し、群落名を記録する。また各群落を高木層、亜高木層、
低木層、草本層の4層に区分し、確認された植物種を記録する。
[調査方法]
植生断面調査は、総合調査地区の代表的な群落を含む水際(水中植物がある場合は水
域を含む)から堤防表法肩までの横断方向の踏査ルート付近の植生断面図をスケッチす
る等により作成し、各群落に出現した植物種を記録する。
踏査ルートはできるだけ定期横断測量が実施されている場所が望ましいが、植生が単
調な場合や測量のための除草が行われているような場合には、必要に応じて踏査ルート
をずらす。調査時の記録は以下のとおりである。
分類1
動植物
植-6
[調査方法]
①コドラートの設置
コドラートは、植生が典型的に発達して
いる群落の中の、できるだけ均質な場所を
選定し、コドラートを設置する。
なお、適切なコドラートの面積は、対象
とする群落の構造により異なる。本調査に
おいては、右に示す基準を目安にして、コ
ドラート面積を決定する。
No.
[調査時期]
現地調査は、基本的に植物の色調に変化の出やすい秋に1回以上実施する。
分類3
現地調査
群落組成調査(コドラート調査法)(河川水辺)
分類2
植生
調査手法
[調査時期]
現地調査は、基本的に植物の色調に変化の出やすい秋に1回以上実施する。
分類1
動植物
植-5
No.
調査手法解説表(植生)
- 資・19 -
No.
分類1
動植物
植-8
調査手法
分類3
現地調査
植生調査(相観による群落区分法)
分類2
植生
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
③空中写真の再判読
現地調査の結果をもとに、判読
キーを再整理し、空中写真の再判
読を実施する。再判読後、植生境
界が不明確な場所があった場合は、
現地補足調査により、植物群落の
分布状況の再確認を行い、植生境
界と群落名を決定する。
なお、判読キーは各群落別に整
理しておくと、次回以降に行う植
生図の修正・更新の際、空中写真
の判読が効率化でき、判読レベル
の統一、向上をはかることができ
る。
②現地調査の実施
現地調査は基本的に植物の色調に変化が出やすい秋季に行う。なお、判読を行った空中写真
の撮影時期と同時期であると現地調査はより実施しやすい。
現地調査には作成した判読素図、空中写真(必要に応じて電子化した写真の拡大写真)を携
帯し、判読素図の区分と植物群落の対応を整理する。また、必要に応じて、現地で群落の分布
境界を記録する。群落の区分は、原則として国土交通省河川局水情報国土データ管理センター
のホームページ(http://www3.river.go.jp/IDC/)で公開されている「河川水辺の国勢調査植
物調査(河川版)植物群落・コード一覧表」に準拠する。なお、植物群落・コード一覧表に記載
されていない群落や当該河川で前回までの河川水辺の国勢調査で記録されていない群落が確認
された場合は、その群落を対象とした群落組成調査を実施する。
①現地調査を実施する箇所の選定
作成した判読素図及び判読キーをもとに、以下の視点で現地調査箇所を選定する。
※1
ア.判読キーの検証ができる箇所
(判読のみで群落名が特定できるもの。)
イ.判読キーの群落名が特定できない箇所※1
(判読により抽出は可能であるが、群落名が特定できないもの。)
ウ.河川環境を指標する群落が分布する箇所※2
(判読では抽出できないが、河川環境の指標という面から重要な群落。)
エ.空中写真上に特徴がない群落が分布する箇所※2
(判読キーを作ることができず、現地で確認が必要な群落。)
※1:各判読素図の区分の代表的な特徴を示す箇所(1つの判読素図の区分に対して10箇所程
度)とする。
※2:水際等といった不安定な環境に成立する植物群落であることが多い。このため、地形的
に河川水の影響を受けやすい箇所は必ず現地調査を実施する箇所として抽出する。
植生図作成の手順について
[調査方法]
現地調査は、判読素図及び判読キーをもとに、以下の手順で行う。
(1) 現地調査を実施する箇所の選定
(2) 現地調査の実施
(3) 空中写真の再判読
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)(一部改変)
相観による群落区分とは、群落の外観に着目して群落を区分していく方法であり、群
落内に優占的に生育している種に着目したり、群落を構成する植物の生活型(常緑広葉
樹林、落葉広葉樹林、常緑針葉樹林、多年生草本群落、一年生草本群落等)によって植
生を区割りしていくものである。したがって、その調査方法は、調査区域内を踏査して
区分するための基準(優占種による区分、生活型による区分等)に従って地図上に記録
していく。
また、踏査の前に空中写真を用いると、調査区域内に分布する群落の概要が事前に把
握でき、現地踏査時に大変役に立つ。この方法の利点は調査が簡便な点であり、また目
的によってはその効果が十分に期待できる。
例えば、オオヨシキリの生息環境把握のためにヨシ原の広がりを知りたいのであれば、
外観上のヨシ原をヨシ群落としてとらえ、その分布状況を調査することで目的は達成さ
れる。
[調査方法]
植生を把握することは、調査区域に『どんな群落』が『どのように分布』しているの
かを知ることである。すなわち、まず群落を区分し、次に区分された群落がどのように
分布しているのかを把握することであり、これが植生調査の基本といえる。
以下に、群落区分とその分布状況把握のための調査方法として、相観による群落区分
法について記述する。
[調査時期]
相観によって群落を区分し、その分布の状況を把握するにしろ、植物社会学的な手法
によって群落調査を実施するにせよ、調査時期の設定においては植物の生育が活発で、
群落構成種のほとんどが出揃う夏から秋にかけて調査を行うのが一般的である。
しかし、調査目的、調査対象群落によって最適時期が異なることも留意しておく必要
がある。例えば、相観によって群落を区分し、その地域における常緑広葉樹林の分布だ
けを把握したいのであれば、冬季においても調査が可能であり、むしろ効率的に調査が
進められる。林床に春植物が生育する群落の組成調査を実施するのであれば、春植物の
上部が枯れる前の初夏までに調査を設定することが望ましい。
また、水田雑草群落を対象とするのであれば、春と秋によって群落が変わるため調査
時期を春と秋に設定すると季節に応じた群落の把握が可能となる。河川においてもしば
しば一年生の植物群落が分布しており、季節ごとに調査時期を設定すれば、より詳細な
植生の状況が把握可能となる。
分類3
現地調査
植生図作成調査法(現地調査)(河川水辺)
分類2
植生
調査手法
[調査時期]
現地調査は、基本的に植物の色調に変化の出やすい秋に1回以上実施する。
分類1
動植物
植-7
No.
調査手法解説表(植生)
- 資・20 -
No.
分類1
動植物
植-10
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)(一部改変)
調査区の取り方
植物社会学による群落区分とは、群落を構成する植物種の組合せによって群落を区分
する方法である。したがって、調査区域内の群落についてその組成(群落構成種)に関
して調査をしなければならない。具体的には、まず空中写真や現地において、高所や向
かいの尾根等の調査対象区域が見渡せる場所から植分(スタンド)を決定する。植分と
は、立地条件や相観が視覚的に均質とみなされる場所を意味する。次に各植分ごとに調
査区を設定する(標本区の設定、標本抽出)。この際、調査区を2つの植分にまたがっ
たり、隣接する植分の移行部に設定しないように注意しなければならない。
なお、調査対象区域が広い場合等、全植分に調査区を設定することが困難な場合は、
類似する植分について2~3の調査区を設定することとしてもよい。調査区が設定され
れば、調査区ごとにコドラート(方形区)法を用いて、群落内に出現する植物を階層ご
と(高木層、亜高木層、低木層、草本層)に記録する。この際、植物ごとに被度、群度
も併せて記録する(Braun-Blanquetの全層推定法:植-4参照)。
コドラートは必ずしも正方形や長方形にする必要はなく、均質な群落を選べるように
設定すればよい。調査区ごとに種組成に
関するデータが得られれば、室内におい
て組成表に整理し、群落を特徴づける種
群(区分種、または標徴種)をみつけ出
し、これらの種によって群落を区分する。
[調査方法]
植生を把握することは、調査区域に『どんな群落』が『どのように分布』しているの
かを知ることである。すなわち、まず群落を区分し、次に区分された群落がどのように
分布しているのかを把握することであり、これが植生調査の基本といえる。
以下に、群落区分とその分布状況把握のための調査方法として、植物社会学による群
落区分法について記述する。
調査手法
分類3
現地調査
ライン・トランセクト法(線状トランセクト法)
分類2
植生
出典:植物生態学論考 (沼田眞、1987)(一部改変)
[調査方法]
植生の漸次的な変化を追跡するため長いラインにおいて、これに接触する植物を記録
していく方法である。このラインを適当な長さに区切って(汀線から内陸へ30mごとな
ど)まとめる方法もある。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類3
現地調査
植生調査(植物社会学による群落区分法)
分類2
植生
調査手法
[調査時期]
相観によって群落を区分し、その分布の状況を把握するにしろ、植物社会学的な手法
によって群落調査を実施するにせよ、調査時期の設定においては、植物の生育が活発
で、群落構成種のほとんどが出揃う夏から秋にかけて調査を行うのが一般的である。
しかし、調査目的、調査対象群落によって最適時期が異なることも留意しておく必要
がある。例えば、相観によって群落を区分し、その地域における常緑広葉樹林の分布だ
けを把握したいのであれば、冬季においても調査が可能であり、むしろ効率的に調査が
進められる。林床に春植物が生育する群落の組成調査を実施するのであれば、春植物の
上部が枯れる前の初夏までに調査を設定することが望ましい。
また、水田雑草群落を対象とするのであれば、春と秋によって群落が変わるため調査
時期を春と秋に設定すると季節に応じた群落の把握が可能となる。河川においてもしば
しば一年生の植物群落が分布しており、季節ごとに調査時期を設定すれば、より詳細な
植生の状況が把握可能となる。
分類1
動植物
植-9
No.
調査手法解説表(植生)
- 資・21 -
No.
分類1
動植物
植-12
出典:植物生態学論考 (沼田眞、1987)(一部改変)
ルト内の植物を記録していく方法である。このベルトを適当な長さに区切って(汀線か
ら内陸へ30mごとなど)まとめる方法もある。
植生の漸次的な変化を追跡するためベルト(長い幅をもたせたライン)において、ベ
[調査方法]
調査手法
分類2
植生
分類3
現地調査
線状被度法
出典:植物生態学論考 (沼田眞、1987)(一部改変)
冠部被度について
線状被度法によるはかり方
[調査方法]
はかり方には、2種類あり、草本類はその線によってカットされた基底被度、灌木類
では同じくカットされた冠部被度の長さとなっている。
これを国内の草地に適用してみると、短草型では全部冠部被度に統一し、線の長さ10
~15mのものを最小限10本とる。ランダム点を基点として線をはり、その片側に10mmの
幅をもたせ、この線にひっかかっている各種植物の被覆の長さを順次記載する。線を横
切った各植物の位置は必要ではない。
この方法で重量をはかる時は、基点から線にそって、その片側に0.5 ×4mの区画を
つくり、この長方形のプロットを刈りとって調査する。
なお、長草型の草地ではライン法は一般的に不向きで、測定を冠部被度に統一するこ
とが困難である。イネ科やカヤツリグサ科など束状のものは基底被度がよく、ワラビ、
ハギなどは冠部被度がよい。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類3
現地調査
ベルト・トランセクト法(帯状トランセクト法)
分類2
植生
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
植-11
No.
調査手法解説表(植生)
- 資・22 -
分類2
森林
分類3
文献調査
資料整理(保護林情報図)
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
調査手法
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
分類1
動植物
森-2
[調査方法]
保護林情報図の作成においては、林地を天然生林、育成天然林、人工林1人工林のう
ち林齢21年生以上のもの)、人工林2人工林のうち林齢20年生以下、または無立木地)
の4区分にする。
保護林情報図の作成範囲は、大面積の保護林(森林生態系保護地域、森林生物遺伝資
源保存林、その他面積が1,000ha 以上の保護林)においては、保護林内が全て含まれる
ように作成する。
小面積(面積1,000ha 未満)の保護林については、保護林の中心から2kmの範囲の国
有林が最低限含まれるよう作成する。
小面積の保護林で周辺が民有地になっている場合、民有地の土地利用の変化が保護林
に影響を及ぼすことも想定され、周辺の状況も含めて把握することが望ましい。
民有地部分については森林管理局内部の情報では把握が難しいため、空中写真、地形
図、都道府県の情報や、現存植生図(環境省)、自然環境情報GIS データ(環境省生物
多様性センター)等を活用して周辺の状況の把握に努め、保護林情報図整理表にその概
況を記載する。公有林及び私有林に係る森林簿、森林計画図の提供については、都道府
県に協力を依頼する。
なお、収集にあたっては、個人情報の保護に配慮することが必要であり、都道府県に
よっては個人情報の保護の観点から、情報提供ができないケースもあることに留意が必
要である。民有林の情報が入手できた場合、特に公有林については、森林の取扱いにつ
いて連携の余地が大きいことから、公有林が確認できるよう保護林情報図にその配置を
書き込む。
保護林情報図は、施業実施計画図・森林調査簿の情報を基に林種や林齢を区分して作
成することを基本とする。現在作成されている施業実施計画図及び森林調査簿を用いる
ことで、効率的に林分構成の配分や広がりを把握することが可能である。
ただし、天然生林区域の国有林は、小班単位でも相当の大面積を擁している場合があ
り、同じ小班内でも大きく森林の相観が異なる可能性もあるので、現地調査予定地点の
周辺や、特に必要がある箇所については、空中写真を利用し、より詳細に把握しておく
必要がある。
No.
[調査方法]
資料調査は、当該保護林の概要を把握するため、対象保護林に関連する各種資料を収
集・整理するものである。
収集資料は、関係図面、 GISデータ、動植物に関する文献資料、法規制等に関する資
料、社会環境等に関する資料、保護林関係資料、既存モニタリング調査に関する資料等
に分類される。
対象保護林が小面積の場合(1,000ha 未満)、該当保護林自体に関連する文献や資料
が見つからないことも想定されることから、対象保護林の中心から外側へ概ね2km拡げ
た範囲についての資料を収集するものとする。この場合、対象を拡げた部分に民有林が
存在する場合、保護林周辺の公有林の配置状況を把握するため、都道府県、市町村に問
い合わせるなど、民有林を公有林と私有林に区分した図面(公有林の位置図)の有無を
確認し、ある場合は、その図面を収集する。
調査対象保護林の現況を把握するためには、最新の資料を収集する必要がある。
一方、古い資料も過去との比較分析に役立つ。特に古い資料は散逸しやすいため、モ
ニタリング調査の機会に出来る限り収集して整理しておくことが望ましい。
文献の収集は、施業実施計画図の情報を基に、林野庁、森林管理局、森林管理署等内
部で揃うであろうもの、存在する可能性の高いものなどに該当しそうな資料を中心に収
集するのが効率的である。
森林生態系保護地域においては、設定時に設定委員会を開き、報告書が作成されてい
るので、これら報告書、資料、議事録等を収集し確認する。また森林管理局が独自に該
当保護林で調査したものがないか収集し確認する。
更に、学術参考林時代の調査資料、林業試験係等の調査報告等、及び森林計画編成時
の現地調査の結果等が、管轄の森林管理署等に存在する可能性もある。研究機関等が保
護林内で実施した調査については、試験地契約((独)森林総合研究所)、入林許可証や
調査計画書等手続き書類が森林管理署に提示されていることから、森林管理署とも連絡
をとり、保護林や保護林周辺での既存調査の情報や文献の収集に努める。
他省庁については、環境省の調査として保護林内での調査が想定される。特に、自然
環境保全基礎調査の特定植物群落調査は保護林において実施されていることが多いため、
重複関係の確認に努める。
研究機関等での調査の文献については、必要に応じて、地元の動植物に詳しい学識経
験者や、当該地域の野生動植物に関心の高い団体・個人等の協力や助言を得て資料の収
集作業を行うのが望ましい。
また、都道府県や市町村でも動植物について独自の調査を行っている場合があり、貴
重な資料となるので、担当部署に問い合わせをするなど情報や資料の収集に努める。
分類3
文献調査
資料整理(保護林)
[調査時期]
現地調査の前に実施し、調査対象保護林の概要の把握および現地調査手法の検討を行
う。
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施し、調査対象保護林の概要の把握および現地調査手法の検討を行
う。
分類1
動植物
森-1
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・23 -
調査手法
分類2
森林
分類3
文献調査
リモートセンシング法
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
①当該保護林の位置、法的規制等の把握
森林管理局が管理する調査対象保護林関連図面類を収集する。位置情報や法的規制等
の情報から、既存資料が存在する可能性を把握することが可能となる。
森林管理局が管理する図面等のうち、調査を実施する上で必要なものは以下のとおり
である。
・基本図(1/5,000) ・森林管理局管内図
・施業実施計画図(1/20,000) ・空中写真
・森林位置図(1/50,000)
まず、調査対象保護林に関する基本的な情報を把握するため、施業実施計画図で調査
対象保護林の位置を確認する。施業実施計画図においては、小面積の保護林でも位置が
記入されており、また小班ごとの林齢・林種の他、保護林周辺における緑の回廊の設定
状況、他省庁の法的規制等多くの情報が記入されている。
調査対象保護林が大面積で複数の施業実施計画図にまたがっている場合は、該当する
複数の施業実施計画図を揃える。調査対象保護林が小面積の場合(1,000ha 未満の場
合)、これらの図面は保護林の中心から概ね半径2kmをカバーできるよう収集する。
②対象保護林へのアクセス状況や周辺の状況の把握
施業実施計画図で確認した調査対象保護林の位置を基に、森林位置図、必要な場合は
管内図で対象保護林へのアクセス状況や周辺の状況を把握する。
③空中写真と基本図を揃える際の配慮事項
空中写真と基本図を収集するにあたっては、調査対象保護林の面積によって次のよう
な配慮が必要である。
・調査対象保護林が小面積の場合
対象保護林が小面積で、現地調査地が限定されている場合、施業実施計画図で
位置を確認した段階で空中写真と基本図を揃える。
・調査対象保護林が大面積の場合
調査対象保護林が大面積で、施業実施計画図の大部分を占める、あるいは、複
数の施業実施計画図にまたがる場合は、現地調査項目及びおおよその現地調査
地が決定してから、空中写真・基本図の必要な部分について入手する。
④既存モニタリング調査のプロットの確認
これらの図面の収集段階で、森林に関する既存モニタリング調査のプロットが対象保
護林内あるいは対象保護林周辺にないか確認する。存在する場合は、その位置を施業実
施計画図上で確認する。
なお、森林に関する既存モニタリング調査には、森林管理局及び都道府県が行う森林
資源モニタリング調査、緑の回廊モニタリング調査、環境省が行うモニタリングサイト
1000、(独)森林総合研究所林木育種センターが行う林木遺伝資源モニタリング調査があ
る。
出典:平成8年度 森林被害に強い森林づくりのための基礎調査報告書(No.539)
なお、詳細は、出典「平成8年度 森林被害に強い森林づくりのための基礎調査報告書」を
参照。
①幾何補正
②画像の切り出し
③植生比演算の算出
④非植生部マスキング
⑤クラスター分類
⑥分類後の整理・統合(適正タイプ)
⑦タイプ別活力分級値の決定
⑧現地調査結果との適合性の検討
ラントサットTMデータを解析し、森林の活力画像を作成する手順は、以下のようになる。
ランドサットを利用した森林活力画像の解析手順について
森林被害に強い森林づくりのための調査とリモートセンシングの利用について
事例No.539では、リモートセンシングによる「災害の状況の把握」および「森林の生育環境の
把握」を軸に各種の森林被害を具体的に取り扱っている。
森林被害に強い森林づくりのための調査とリモートセンシングの利用については、以下のよう
な考えが示されている。
[調査方法]
分類1
動植物
森-4
[調査方法]
森林管理局の各種図面資料の収集法について、以下に記述する。
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.539では、画像データは、5月、8月を使用してい
る)。
分類3
文献調査
資料整理(森林管理局の各種図面資料の収集)
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施し、調査対象保護林の概要の把握および現地調査手法の検討を行
う。
分類1
動植物
森-3
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・24 -
分類1
動植物
森-6
調査手法
分類2
森林
分類3
文献調査/現地調査
林分配置図の作成法
出典:国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル 平成15年(一部改変)
2.判読作業
判読は、以下のような手順で段階ごとに進めるのが望ましい。
①判読区域の記入
連続する2枚の空中写真を平らな場所に並べ、反射式実体鏡を用いて立体視しながら、
緑の回廊及び保護林地域の境界を左右どちらかの空中写真上に記入していく。
②森林地域の区分
①と同様に立体視しながら、緑の回廊及び保護林地域の境界線内において、森林地域
と森林外地域(草原・草地、大規模な露岩地、河川・湖沼、農用地、道路等)を区分す
る。
③林種、林分の発達段階の区分
林分の発達段階の判読基準
森林地域内において、基本図
及び森林調査簿を参考としなが
ら、空中写真を立体視して、森
林地域の林種、林分の発達段階
(区分の基準については右表、
を参照)を区分(最小面積は、
ある程度の林分のまとまりを考
慮して基本的に1ha以上)する。
林分の発達段階を判読する際
は、林冠の閉鎖度合、樹冠の大
きさ、隣接木との樹冠の重なり
具合に着目して判読していく。
右表に判読の基準を示す。
空中写真の判読に必要な器材(例)
・反射式実体鏡(倍率3倍)
・筆記具(ピグマグラフィックペン、消しゴム)
器材:空中写真の判読及び林分配置図作成に必要な器材を準備する。
・空中写真
・基本図(1/5,000)、国有林野施業実施計画図(1/20,000標準)
・森林調査簿、コード表
・地形図(1/25,000)
出典:国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル 平成15年(一部改変)
林分配置図作成手順のフローチャート
⑥色分け及び整飾
・林分の発達段階ごとに色分けを行い、凡例、縮尺及び方位記号を記入。
⑤修 正
・照合結果を(3)で作成した基本図上に反映させる。
④現地確認
・空中写真判読の結果を現地にて照合。
③移 写
・空中写真判読により、空中写真に描かれた区分線を森林基本図上へ移写。
②空中写真判読
・実体鏡を用いて、林分の発達段階の空中写真判読を行う。
①作業準備
・資料収集(空中写真、1/25,000地形図及び基本図)
[調査方法]
林分配置図は、林分の発達段階に応じて森林を区分したものであり、空中写真(森-5
参照)を基に区分し、可能な限り現地調査を加えて作成することとする。
以下に、林分配置図を作成する手順を下図に示す。
No.
[調査方法]
1.作業準備
資料収集:空中写真の判読に必要な資料収集を行う。
林分配置図の作成に必要な資料(例)
分類3
文献調査
空中写真判読法(緑の回廊)
[調査時期]
現地調査の前に実施する。
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施する。
分類1
動植物
森-5
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・25 -
分類1
動植物
森-8
調査手法
分類2
森林
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(緑の回廊)
(シイナ率が80%以上)
(シイナ率が50%前後)
(シイナ率が20%以下)
出典:国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル 平成15年(一部改変)
・不 良 :
・ 良 :
・ 優 :
ウ.種子の内容
林床に落下している種子を集め切断し、次の基準により、種子の内容を把
握する。種子は、中身がないものをシイナとし、シイナ率は、10個を3回ほ
ど拾い、その平均により判断する。
(基準)
(基準)
・非結実 : (まったく種子がならない:凶作)
・一 部 : (ごくわずかな種子が着いている:一部結実)
・部 分 : (樹冠の上部に多くの種子が着いている:並作)
・全 体 : (樹冠の全体にたくさんの種子が着いている:豊作)
イ.結実状況
双眼鏡を使用し、樹冠を観察し、結実状態を把握、次の基準により、単木
毎の結実の程度を把握する。アンケート実施時期に既に種子の落下が見られ
る場合は、林床の落下種子の量等から類推する。
(基準)
・な し : (同一小班内で、結実している木が全くみられない)
・ 少 : ( 〃 わずかな木だけが結実している)
・ 中 : ( 〃 大径木を中心に約半数の木が結実している)
・ 多 : ( 〃 ほとんどの木が結実している)
出典:国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル 平成15年(一部改変)
[調査方法]
聞き取り調査は、保護林及び緑の回廊部周辺の野生動植物に詳しい行政機関、団体等
を対象にして行い、必要に応じて、当該地域の野生動植物に関心の高い団体・個人等の
協力を得ることとする。
No.
[調査方法]
結実状況アンケート法の手順を以下に示す。
①調査地の設定
緑の回廊、保護林、周辺地域のそれぞれを所管している各森林事務所の管轄区域ごと
に、各調査対象樹種が優占もしくは混交し、結実の観察が可能な小班をそれぞれ1箇所
選定し、調査地とする。
※この調査手法は次のような特徴がある。
・アンケート書き込み方式で行う
・種子生産量の定性的把握を行う
・広域的な結実把握が可能
・短時間で簡単にできる
・調査者によって測定誤差が生じる
<必要なもの>
森林管理局管内図、森林位置図、国有林野事業施業実施計画図、現存植生図(環境庁
作成)。
②観察と記録方法
下記の基準により、結実割合と結実状況(可能であれば種子の内容)を判定し、調査
票等に記入する。
ア.結実割合
双眼鏡を使用し、樹冠を観察し、結実状態を把握、次の基準により、林内
で実している木の割合の程度を把握する。アンケート実施時期に既に種子の
落下が見られる場合は、林床の落下種子の量等から類推する。
分類3
聞き取り調査
結実状況アンケート法
[調査時期]
現地調査の前に実施する。
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
結実状況アンケート法は、秋季(9月~10月)に設定。少なくとも10年間程度、継続
して行うことが望ましい。
分類1
動植物
森-7
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・26 -
分類3
聞き取り調査
山菜聞き取り調査
No.
分類1
動植物
森-10
調査手法
分類2
森林
分類3
現地調査
概況調査(保護林)
出典:平成19 年度朝日山地森林生態系保護地域モニタリング調査報告書(No.61)
[調査方法]
事例No.61 では、山菜聞き取り調査を周辺住民による山菜利用の実態を把握すること
を目的として、調査対象地域周辺の市町村を対象として、ヒアリング調査を実施してい
る。
ヒアリングでは、採取する山菜名、利用実態、山菜採取に関する近年の動向、問題点
や課題について聞き取りを行っている。
対象市町村は、各年度別に合計6市町村で実施している。
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
[調査方法]
保護林の概況調査にあたっては、保護林の設定時に作成している森林生態系保護地域
計画や設定方針(森林生態系保護地域及び森林生物遺伝資源保存林の場合)、保護林台
帳、既存の資料、作成した森林情報図から、概況、当該保護林の課題、注目すべき生態
系(動植物種やそれらの生息、生育環境等)を把握・想定した上で、概況調査を行うも
のとする。
森林生態系保護地域や森林生物遺伝資源保存林のような大面積の保護林については、
概況調査実施前に、あらかじめ既存資料で十分概況を把握し、概況調査の実施箇所等に
ついて検討しておく必要がある。また、概況調査についても必要に応じて複数の地点で
実施する。
アクセス確認については、基本図、施業実施計画図、地形図等を持参し、実際の現地
調査を行うに際しての駐車位置、保護林までの歩行ルート、到達までの所要時間等の確
認を行う。ルートの要所では、標識テープ等の設置、遠景、近景、林内等の写真撮影、
GPS での測位を行い、写真撮影位置や分岐点等は図面に記載する。
保護林内に到達したら、保護林の設定目的に照らして、林内や周辺の概況等を観察し、
想定される現地調査項目の調査予定地点を概ね決定する。図面、 GPS等で位置の確認を
行い、標識テープ、杭等を設置する。
調査予定地点の林分状況について、階層ごとの樹種、樹高、胸高直径、斜面方位、傾
斜等の概要を把握・記載し、林内状況、樹冠状況、下層植生状況、周辺の状況等の写真
を撮影する。
保護林内やその周辺に病虫獣害等がある場合には、その状況を確認し、写真を撮影す
る。
概況調査終了後、これらの情報を保護林の概況調査整理表としてまとめ、その他の基
礎調査整理表とともに整理する(出典参照)。
[調査時期]
現地調査の前に実施し、調査対象保護林の概要の把握および現地調査手法の検討を行
う。
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-9
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・27 -
分類3
現地調査
毎木調査(保護林)
No.
分類1
動植物
森-12
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
毎木調査表の例
調査プロット内に生育する樹木のうち、小・中円部の胸高直径(DBH)5cm 以上のも
の、大円部の18cm以上のものには、個体識別の観点から必ずナンバーテープを付ける。
なお、株立ちの個体では、5cm以上のすべての幹を対象とする。
胸高直径の計測は、スチール製の直径巻き尺を用いて、地表からの高さ 1.2m(北海
道においては1.3m、幹が傾斜している場合は、樹幹長で1.2m)の直径をmm単位で測定
する(スチール巻尺で、胸高の周囲をmm単位で測定してもよい)。モニタリング調査で
は、継続と再現性が重要であるため、次回調査時にも同じ位置で胸高直径を測定できる
ように山側の測定位置にスプレーペイントで目印をつける。個体識別用のナンバーテー
プをスプレーペイントによる目印の代用としてもよい。
胸高直径の計測対象は、小円部及び中円部では直径5cm以上、大円部では直径18cm以
上の樹木を対象とする。ただし、林木遺伝資源保存林及び特定の樹種の指定のある保護
林に限り、小円部に出現する対象樹種は、直径1cm以上について全て測定する。
樹高は樹高測定器(できれば、超音波等を利用した樹高測定装置(バーテックス等)、
なければブルーメライス)をもちいて 0.1mの精度で測定する。
ただし、樹高の測定は、森林資源モニタリ
ング調査同様、1プロットに付き20本程度、
細いものから太いものまで均一に選んで測定
する。
調査結果から樹種・直径別の本数を集計す
るとともに、胸高直径から各樹種の胸高断面
2
積合計(m /ha)を求める。
毎木調査の結果は、毎木調査表に、種名、
胸高直径(1mm単位)、樹高(0.1m 単位)
、樹洞、剥皮、空洞等その状況を記入する。
[調査方法]
毎木調査は、森林資源モニタリング調査のマニュアルに準拠するが、小円部及び中円
部では直径5cm以上、大円部では直径18cm以上の樹木を対象に測定する。ただし、林木
遺伝資源保存林の小円部では、対象樹種について直径1cm以上の樹木を測定する。
以下に、調査方法の詳細を記述する。
調査手法
分類3
現地調査
毎木調査(モニタリングサイト1000)
分類2
森林
出典:平成19年度 重要生態系監視地域モニタリング推進事業(モニタリングサイト1000)森林
調査業務報告書(一部改変)
1)純一次生産量として計上されるべき被食量、当年に作られ枯死した枝量、Biogenetic volatile
organiccompoundsは、測定が難しいため、ここでの純一次生産量には含めておらず、過少評価の可能性があ
る。
①樹木の多様性
出現種数を求める。胸高断面積あるいは幹数で優占している上位3種の優占度を求める。
②森林の炭素の蓄積・吸収機能
森林の炭素蓄積量を評価するため、調査対象木の胸高(高さ1.3m )での幹の胸高断面積を
求め、それを合計した胸高断面積合計(m2・ha-1) を求める。この値は森林の面積あたりどれ
くらいの幹が占めているかの指標である。また、幹の直径からアロメトリー式を用いて、地上
部の現存量(幹・枝・葉の乾燥重量の和)を推定する。さらに、地上部現存量の2004年~2007
年の変化量を求める。また、森林の炭素の吸収源としての役割を評価するため、調査期間中生
存していた個体について、1年間の幹・枝の肥大生長量とリター量(落莫量と繁殖器官量)1)
を足して、地上部純一次生産量を求める。この値は、光合成によって作られた物質量から樹木
の呼吸によって失われた量を引いた物質量、つまり樹木が1年間に新たに作り出した物質量の
指標である。純一次生産量から樹木の死亡によって減少する量を差し引いた値が、上述した地
上部現存量の変化量となる。純一次生産量および現存量の変化量は最低二回の調査が必要なた
め、毎年計測している調査区のみで求める。また蓄積量の森林間の違いを検討するために、幹
-1
密度(本・ha ) 、小径木(胸高周園長が15cm以上30cm未満の樹木)の割合、平均胸高周囲長、
大径木の平均胸高周囲長(上位25%の樹木の平均胸高周囲長)を求める。
③森林動態
死亡率(前回の調査時から今回までに死亡した個体の割合)と、新規加入率(今回までに成
長して調査対象木となった新規加入個体の割合)を以下の式で求めた。
死亡率(%・年-1)=ln(No/Ns )×100/t
-1
新規加入率(%・年 )=ln(Nf/Ns )×100/t
No :前回の調査時の個体数、 Ns:今回調査時に生存していた個体数、 Nf:今回調査時の個体
数(生存した個体数と新しく胸高周囲長が15cm以上になった個体数の和)、t :前回から今回
までの経過年数(本報告書ではt =1である)。
各調査サイトにおいては、1ha(100m×1OOm)の調査区(プロット)を設け、調査区内に
生育している樹木のうち、幹の胸高(高さ1.3m )周囲長が15cm以上のものを対象とし、サイズ
の指標として胸高周囲長を計測する。また、樹種名を記録する。長期にわたる調査のために、
測定した幹には個体識別ができるようアルミタグ(樹木番号)を付ける。一個体が複数の幹に
分かれているものについては、各幹で計測を行う。調査間隔は、コアサイトの一部の調査区で
は毎年行い、その他のコアサイトの調査区と準コアサイトの調査区では5年ごとに計測してい
る。
毎木調査は、樹木種の多様性の変化と炭素蓄積・吸収量等の機能の変化を捉えるために行っ
ている。樹木は寿命が長いため、多様性の変化は短期的には現れにくい。しかし樹木は移動で
きないため、その場所の環境や生物間相互作用の変化が、樹木の成長量、生死を変化させると
予想される。これらの森林の動態は、炭素蓄積・吸収量を左右し、森林の更新、そして樹木の
種の多様性を変化させる。そこで、①樹木の多様性、②森林の炭素の蓄積・吸収機能、③森林
動態に着目して解析する。
モニタリングサイト1000における毎木調査について
[調査方法]
モニタリングサイト1000において実施している毎木調査について、以下に示す。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-11
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・28 -
分類3
現地調査
No.
分類1
動植物
森-14
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)(一部改変)
樹木活力指標の評価基準(科学技術庁資源調査会、1972)
スギおよびケヤキの衰退度評価基準(山家、1978)
[調査方法]
一般に衰退度や活力度と言われる指標である。樹冠の着葉状態は、スギとケヤキを対
象にした山家(1978)の5段階評価(下図参照)や科学技術庁資源調査会(1972)の段
階評価(下表参照)がよく用いられる。
他樹種についてもこれに準じて着葉量をランク付けすることができるが、枝葉の枯れ
かた(梢端から枯れるか下枝から枯れるか、黄化がみられるかなど)は樹種や衰退原因
により異なるので、数値のみでなく観察記録と写真を残すことが必要である。着花量な
ども同様にしてランク付けできる。衰退度の指標として、目視のみによらず成長量、葉
面積、葉色などを測定することも有効である。
調査手法
分類2
森林
分類3
現地調査
樹木位置図の作成法(区画法)
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
[調査方法]
区画法では、まず、対象とする範囲をあらかじめ水平距離で一定サイズの枠に分割し
てビニールテープなどを張る。枠の交点は、トランシットなどを使って測量することが
望ましいが、コンパス測量であっても実用上は問題ない。
斜面の傾斜が緩く調査範囲が狭い場合には、枠の交点の直角は測量用巻き尺などを
使って3:4:5の比の直角三角形でつくることもできる。
野帳は方眼紙などにあらかじめ枠を書き込んだものを使う。近くの2本の枠ラインか
ら直角に樹木までの距離を測り、この野帳に直接樹木位置を確認しながら書き込んでい
くか、または、枠の任意の2交点から樹木までの距離を測り、輿図用コンパスで野帳上
に位置を書き込んでもよい。
区画法は、現地で直接図化をするので、測量上の極端な間違いを発見しやすい。
一方で、この方法は距離を測る回数が多いので、対象とする森林の傾斜が全体に小さ
くかつ区画しやすいことが前提となる。
大面積の調査地にすべての枠の交点を設けたり、枠ラインにロープをはる場合にはか
なりの時間を費やすが、調査林分の中を等面積の方形枠で区分でき、研究の目的によっ
てはその後の調査が容易に行える。
また、ロープをはらずに交点に識別記号を記したクイを打ったり、交点の近くにある
低木などにテープを下げて、そこから以下に記すコンパス測量によって樹木位置を測量
することもできる。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
森林
衰退度測定法・活力度測定法(外観による方法)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-13
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・29 -
調査手法
分類2
森林
分類3
現地調査
樹冠投影図の作成法(直接作図法)
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
(A:大面積の例、B:樹木位置から樹冠辺縁部まで
8方位の距離を測り、ドロー系ソフトを使って自由
曲線で樹冠投影図を描いた例)
樹冠投影図の例
[調査方法]
直接作図法は、現場で樹冠の広がりを測りながら樹木位置図に直接書き込んで作成す
る方法である。
樹冠の広がりは、樹木の根元位置から4方位以上について樹冠辺縁の鉛直下までの水
平距離を測る。広葉樹の場合には樹冠が著しく偏奇することがあるので、作図をする際
には周囲の樹冠との関係に注意を払い、調整しながら曲線で結んでいく。
樹冠が重なっている場合には、上下関係がわかるように、被圧された樹冠を点線で措
くなどの工夫が必要である。樹冠が込み入ったり偏奇している場合には、個々の樹木位
置と投影樹冠の縁とを直線で結ぶとその対応がわかりやすい。樹木位置が区画法(森-14
参照)で作られていれば、枠のラインを有効に利用できる。
なお、簡便な方法としては、樹木から樹冠の縁まで4方位以上についての水平距離を
記録しておき、データを持ち帰ってから作図することもできる。
この場合には、樹木位置図に樹冠辺縁部までの位置を印しておき、イメージスキャ
ナーでドロー系の作画ソフトに読み込み辺縁部の点を曲線近似させながら連結するとき
れいに描ける(下図参照)。
分類1
動植物
森-16
[調査方法]
コンパス測量法では、見通しの良い任意の位置に三脚付きのポケットコンパス(S32
牛方商会:以下、コンパス)を設置し、樹木を順次測量することによって位置をもとめ
る。この方法では、あらかじめ調査対象範囲を確定させる必要がなく(周囲測量によっ
て確定させておくこともできる)、調査範囲の拡大はコンパスの設置位置を任意の場所
に移動させることによって行う。コンパスから樹木までの距離を20m以内に押さえ、方
位角と高低角の読みを0.5 度単位とすれば、実用的な精度での位置が得られる。
ただし、一定の精度で数ha規模の位置図を作成するためには、コンパスの設置位置を
あらかじめトランシットなどの高精度の機器で基線測量しておき、樹木位置の測量はコ
ンパスで行うなどの工夫が必要である。
調査面積が大きく、急傾斜地を含み、低木の密度が高いなど、区画法では困難な場合
でもコンパス測量法は有効である。見通しの良い林で樹木位置の測量のみであれば、超
音波距離測定器(ピッキョリ75フジコロナ精機)を使えば2人で1日400 本程度の測量
も可能である。作図した位置図をもとに毎木調査を行えば、測量の誤りを発見すること
ができる。測量に使う機器はコンパスに限定する必要はない。低木が少なく見通しの良
い森林ならレーザーレンジファインダー(三共インターナショナル)で測量すれば格段
に作業効率が良くなる。
測量データは表計算ソフトに入力し、三角関数によってⅩ(東西)・Y(南北)・Z
(高低)の3方向の値に変換すると後の作図が容易にできるだけではなく、位置データ
を用いた各種の解析にも使いやすい。この場合には調査区の任意の位置を原点に定め、
コンパスの設置位置はこの原点からの3方向の値を順次加えることによって求める。樹
木の位置も同様に、コンパス位置からのX-Y-Zの値に変換し、これらの値にその樹木
を測量したコンパスの設置位置の値を加算することによって原点からの位置を求める。
作図は表計算ソフトの散布図を利用すれば容易に行える。散布図にラベル添付機能があ
れば、自動的に樹木番号や樹種名を書き込める。また、Z方向の値を添付して作図すれ
ば、あとで等高線を引くこともできる。なお、表計算ソフトを使わない場合には、測量
データから直接図化をすることになる。
分類3
現地調査
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
森林
樹木位置図の作成法(コンパス測量法)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-15
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・30 -
調査手法
分類2
森林
分類3
現地調査
成長量測定法(成長バンド法)
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
成長バンド
[調査方法]
耐候性のあるステンレスやアルミニウム製のバンドを、バネによって一定の力で常に
幹に沿うように巻き付ける(下図参照)。
肥大成長に伴う周囲長の変化量をバンドの端に付けた目盛で読みとる。測定期間中に
樹皮が脱落しないように予め表面を削り、平滑にしてから装着する。バネが強すぎると
肥大成長に影響する。
また、樹皮とバンドの滑りが悪いと周囲長の変化にバンドが追従しないので、ワセリ
ンを塗布するなどの工夫を要する。装着後しばらく幹とバンドとがなじむまでは誤差が
出やすい。
分類1
動植物
森-18
[調査方法]
樹冠が良好に識別できる空中写真が得られる場合には、目的とする範囲が実体視でき
る2枚の空中写真をもとに正射写真図(オルソフォト)の制作を航空測量会社に依頼す
る。この正射写真図と樹木位置図の縮尺を同じにして、正射写真図上の樹冠をトレース
し樹木位置図に移写することで樹冠投影図をつくることができる。
分類3
現地調査
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
森林
樹冠投影図の作成法(空中写真法)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-17
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・31 -
分類3
現地調査
No.
分類1
動植物
森-20
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
[調査方法]
形成層内側の既に成長の止まった材に達するように釘を打ち込み不動点とし、この釘
にダイヤルゲージ本体を固定する。ゲージの可動部先端が樹皮に食い込まないようにア
クリル板などを樹皮に接着する。幹が肥大成長してアクリル板が外に移動してくる量を
ゲージで読みとる。
移動量を連続的に自動記録するためには、移動量から電気信号への変換器をダイヤル
ゲージの代わりに装着し、データロガーなどに接続する。変換器には、移動量を電気抵
抗値の変化として検出するポテンショメータや、鉄芯の位置を誘導電圧で検出する差動
変圧器などが用いられる
調査手法
分類2
森林
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
年輪の読み取り
⑥樹幹解析図から、樹高の成長量が求められる。
材積成長量は、年輪の平均半径をフーバー式や
スマリアン式などの求積式に代入して算出する。
樹幹解析図
⑤樹幹解析図を描くと、成長の様子が分かりやすくなる(下図参照)。縦軸に円板の地上高、横
軸にその円板に表れた年輪の平均半径をプロットし、同齢の年輪の点を線で結ぶ。過去の梢端
については、一つ外側(翌年)の年輪を結んだ線に平行な線を引くことによって推定する。
④材は乾燥すると収縮し割れるので、伐倒後なるべく早い内に円板を持ち帰り年輪幅を読みと
る。形成層より内側が伐倒までに成長した材である。形成層の内側1本目の年輪より内側が前
年の成長休止期までに作られた材である。つまり年輪から年輪までの幅を測ることによって、
過去の径の成長量が推定できる。まず、円板上に、髄を通って直交する2つの直線を鉛筆で引
く。直線に沿って定規をあて、髄の中心から形成層までの距離(半径)を記録する(下図参
照)。次に形成層の内側の年輪までの半径を記録する。さらに髄に向かって内側の年輪の半径を
順次記録していく。例えば5年間隔の成長量を知りたいのであれば、外側から5本目、10本目
の半径を測る。直交する4方向について測定し平均値を求める。鋭利なナイフなどで断面を平
滑に削ると年輪が見やすくなることがある。成長の遅い樹では年輪幅が狭くなるので虫眼鏡や
実体顕微鏡を適宜用いる。移動量を記録できる微動ステージと実体顕微鏡からなる年輪解析器
を用いることもある。
③切り株の地際からも同様に円板を採取して、地上部の樹幹全体を調査する場合もあるが、根
張りがあって形状が複雑なので精確な成長量は得にくい。
②伐倒後、樹幹に沿って巻尺で、0.3m の印から頂端までの長さを測り0.3m を足した値を樹
幹の長さとして記録する。同時に0.3m の切断面から1mおきに頂端に向かって印を付けてい
く。もしその点が枝の付け根や癌に当たった場合は、なるべく断面が円に近い位置にずらす。
樹幹が通直で凹凸が少ないようであれば、間を飛ばして2mおき、3mおきでもよい。断面が
樹幹に垂直になるように留意しながら印の位置で切断する。さらに切断面の2~3cm上方を切
断して円板を採取する。直ちに円板の上面に、供試木番号や地上高を油性ペンで記入する。も
し、切断面に節が多く表れた場合には、切る位置をずらして円板を取り直す。
①地上0.3m 位置で樹幹を水平に鋸断して伐倒する。
切断面がちょうど地上0.3m となるように、予め白墨等で0.3m の位置に線を引いておき、そ
の印のわずかに下を切る。
分類3
現地調査
成長量測定法(樹幹解析法 )
樹幹解析法の手順について
[調査方法]
樹幹解析法の手順を以下に示す。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
森林
成長量測定法(ダイヤルゲージ法等)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-19
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・32 -
分類1
動植物
森-21
調査手法
分類2
森林
分類3
現地調査
バイオマス推定方法(現地調査)
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
[調査手順]
1.調査地の設定
①密度や優勢木の樹高などが均質な場所に樹高よりも一辺の長さが長くなるように方形の調査
区を設定する
②コンパス測量によって調査区の水平面積を測定する。
2.毎木調査
調査区内のすべての木の樹高と胸高直径を測定する。
3.供試木の選定
大きな木から小さな木まで含まれるように供試木を
5本以上選び、番号をつける。
枝と葉の区分け作業
4.伐木調査
①供試木を伐倒し、巻き尺で樹高を測定する(立っているときよりも精度よく計れる)。
②枝葉をつけたまま、林分高を10等分できる程度の間隔で幹を切り分ける。たとえば林分高20
mの調査地では、地際(0m)、地上0.3m、1.3m、それ以上は2m間隔で幹を切り分ける。
③幹を区分した階層(0~0.3m、0.3~1.3m、1.3~3.3m、・・・)に枝条を分ける。この時の
階層は、枝条のついている幹の階層ではなく、実際に葉や枝が位置する階層とする。
④切り分けられた個々の幹試料の重量を測定する。幹が太く、区分された幹試料の重さを一度
に測れない場合には、さらにいくつかに切り分けて測る。材を利用するためにさらに区分でき
ない場合には、幹試料の長さと両端の直径から材積を求め、それに比重を乗じて重量を推定す
る。
⑤根元に近い側(1.3~3.3mの幹試料の場合は1.3m の部位)の幹試料の一部を、乾重率測定
用試料として円板状(厚さ3~5cm)に切り取る。この円板試料に供試木番号と地上高(たと
えばNo.1、1.3m)をマジックで書き込む。木によっては心材部が黒く変色し、読みとりにくく
なる場合があるので、辺材部に書いた方が安全である。円板試料の重さを測る(1g単位)。
⑥各階層に分けられた枝条を、枝と葉に分ける。
⑦葉と枝それぞれについて、各階層に含まれる採取時全重量を測定する。
⑧各階層から、葉と枝の一部(300~500g)を乾重率測定用試料として採取し、それぞれ紙袋
に入れて重さを測る(1g単位)。紙袋には、葉と枝の区別、供試木番号、階層を記載する。
⑨根につもっては、掘りあげて付着している土を落とし、太さごとに区分して重量を測り、そ
の一部(300~500g)を乾重率測定用試料として紙袋につめて重量を測る(1g単位)。細根
(直径2mm以下)については、供試木ごとに掘りとることが困難なので、別に小区画(50cm×
50cm程度)を3~5箇所設置し、土を掘りあげてその中に含まれる細根をあつめ、紙袋に入れ
る。根の測定は、多くの労力がかかることや、試験地の掘り起こしが撹乱を引き起こすことか
らあまり行われない。
⑩幹と葉、枝、根の乾重率測定用試料及び細根試料は、実験室に持ち帰り、乾燥機(85℃)で
十分に乾燥させた後(重量減少がなくなるまで、乾燥日数は葉や小枝で1~2日、幹や大枝で
4~6日が目安)、重量を測る。
調査区の面積測定:コンパス、三脚、巻き尺、ポール、測量杭。
樹高・直径測定:測桿またはブルーメライス、輪尺または直径巻き尺。
伐木調査:ノコギリ、ナタ、チェンソー、巻き尺、剪定バサミ、秤(最大秤量が50kg(100~500単位)、25kg(50~
100単位)、5kg (1g単位)などを用意し、広いレンジの重さを一定の精度で計れるようにする)、ビニールシー
ト(3m×3m程度、その上で枝条の葉と枝を区分する)、ビニール袋(1m×1m程度、重量測定時の風袋)、紙
袋(20cm×40cm程度(マチ付き)、乾重率(採取時の重量に対する乾燥後の重量の比率)を求めるための試料用風
袋)、木材チョーク、マジック、ひも。
[調査用具]
相対成長関係を用いたバイオマス推定方法の手順について
[調査方法]
相対成長関係を用いたバイオマス推定方法の手順を以下に示す(森-30参照)。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
No.
分類1
動植物
森-22
調査手法
分類2
森林
分類3
文献調査
種子トラップ法
種子トラップの例
出典:国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル 平成15年(一部改変)
<必要なもの>
種子図鑑(勝田柾・森徳典・横山敏孝1998)、バットまたは新聞紙、ピンセット、調査用紙
⑤種子の選別、計測
風乾した紙袋の内容物をバット(もしくは広げた新聞紙の上)に開け、種子と殻とを類別す
る。種子はさらに、①見かけ上健全、②しいな、③未熟、④虫害、⑤獣害に区分し、それぞれ
の数を調査用紙に記入する。
<必要なもの>
紙袋、マジックインキ、大きなビニール袋(採取した紙袋をまとめて入れる)
④種子トラップ内容物の回収と乾燥
回収は、設置時から8月までは月末に1回、9月以降は可能な限り15日前後と月末の2回行う。
最後は種子落下終了時(豪多雪地帯では積雪のため調査が不可能になった時点)まで行う。
トラップ識別番号をあらかじめ書いた紙袋に、各トラップ内容物を残らず入れる。1袋で入
りきらない場合は複数に分ける。回収し持ち帰った内容物は雨などで濡れている場合もあるの
で、袋を開いて並べ、数日間室内で陰干しする。
<必要な資材例>
種子トラップ(網枠付き)、塩ビ製脚3本,ビニールコート付針金3本(30cm)、ゴルフボール
1個(風による飛散防止用)、トラップ識別用番号札1枚(プラスチック製で針金で1本の脚の
上部に固定)、クレモナロープ(トラップ固定用)、巻尺(10mスチール製,50m)
③種子トラップの設置
各調査林分ごとに少なくとも5本の調査木を指定し、その樹冠直下に種子トラップを1個設置
する(5樹種×5調査木=計25本)。落下した種子を定期的に回収し、調査木ごとに種子数、種
子の状態を記録し、これに基づいて単位面積あたりの種子生産量を推定する。
各調査地で、対象樹種(ブナ、イヌブナ、ミズナラ、コナラ)ごとに林冠形成層から5本を
対象木として指定し、胸高直径(cm)、樹高(m)、樹冠投影面積を測定、算出する。
種子トラップは、対象木の樹冠直下に1個づつ地上1mの高さに設置する。トラップ設置時期
は開葉・開花時前の4月中下旬~5月上旬とする。
12mm・外径16mm/長さ15~20cm、内径9mm・外径12mm)
・脚3本:塩ビ(PCV)パイプ(VP16)、長さ150cm、
地面側は尖らせる、網固定用に上から5cm、15cmの位
置に穴をあける(斜面の場合は下側の穴を利用)。
①調査地の設定
緑の回廊、保護林、周辺区域のそれぞれについて、調査対象樹種(ブナ、イヌブナ、ミズナ
ラ、コナラ、クリ)が優占もしくは混交し、その区域の林相を比較的よく表している代表的な
森林を樹種別に選定し、調査地を1箇所ずつ設定する。調査地の面積は1ha/箇所以内とする。
※この調査手法は次のような特徴がある。
<調査地の設定に当たり、必要な資料>
・種子生産量の定量的把握ができる
森林管理局管内図、森林位置図、
・調査者による誤差が少ない
管理計画図、現存植生図(環境省作成)
・時間、手間を要する
・広域的な結実の把握が難しい
<トラップの作成に当たり必要な器材例>
②調査用具の準備
種子トラップを作製する(下図参照)。・網1個:開口部0.5㎡、養殖用資材網28~18メッシュ。
・網枠一組:ポリエチレンチューブ(長さ250cm、内径
[調査方法]
種子トラップ法の手順を以下に示す。
種子トラップ法の手順について
[調査時期]
種子トラップ法は毎年春季(4月)から秋季(11月)までに設定。少なくとも10年間
程度、継続して行うことが望ましい。
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・33 -
No.
分類1
動植物
森-24
調査手法
リタートラップ
出典:モニタリングサイト1000森林コアサイト設定、調査マニュアルVer.1 2004年
リタートラップの位置の例
①配置
円形のリタートラップ(受け取り面積:0.5 平方メートル)は、下図のように1ha(100m×
100m)の試験地内に20m置きに25個設置する。20m方形区に1個のトラップが基本の密度。
②設置
3本の塩ビパイプを土、土壌に挿し、銅線を使ってトラップを固定します。トラップには表
と裏があります。縫い代がめくれている方が裏ですのでこれが外側(塩ビパイプ側)に来るよ
うにする。塩ビパイプには高さの違う2カ所の穴があります。斜面ではどちらかの穴を利用し
てトラップの受け取り面が水平になるよう調整して設置する。
③回収方法
トラップの内容物は、最低でも月に1回、回収します。花や種子の落下時期を押さえるため
に月2回ないし、2週間おきに回収してもかまいません。積雪期間はトラップが壊れますので、
トラップの設置日と最終の回収日(トラップの撤収目)は各試験地の判断に任せる。いずれに
せよトラップの設置日、回収日、最終の回収日(トラップの撤収日)は忘れずに記録しておく。
内容物の回収は、紙袋(大昭和製紙サミットバッグ No.14を使います)。紙袋に試験地名、
日付、トラップ番号を必ず黒マジックで(赤や青のマジックは耐候性がないので不可)書いて、
内容物を回収します。風よけに入れたゴルフボール以外、すべて回収します。ミズメの種子な
ど細かな種子があるので、できるだけきれいに回収します。枝も基本的に回収します。トラッ
プにまたがった大枝はトラップの面積にかかるぶんだけ回収します。のこぎりが必要な大枝、
持ち帰れないような大枝は回収の対象としません。回収した紙袋は大きなビニール袋に入れて
持ち運びます。持ち帰った紙袋はすぐに廊下や棚に広げて風乾しておくとサンプルの腐敗を防
ぐことができます。サンプルが雨で濡れている場合は、紙袋のふたをあけるか中身を棚などに
広げ、ある程度水分が蒸発した時点で、送風乾燥機(30~40℃以下、一昼夜くらい)で乾燥す
るとよい。
④分別・乾燥・秤量方法
乾燥した内容物の風乾重を、一袋分(1トラップ分)ずつ測定します(面倒ですが、作業中
サンプルが紛失した場合の保険となります) 。その後、白い紙の上に広げ、手で分別します。
必ず葉を一枚一枚チェックしながら分別します。分別項目は最低でも葉、枝、繁殖器官(花や
種子とその付随器官)、その他(樹皮やこけ、昆虫の糞など)の4項目に分けます。まずこの
4項目の乾燥重量を測定します。分別した4分画は、試験地名、日付、トラップ番号を必ず鉛
筆か黒マジックで書いた茶封筒や回収用紙袋に入れ、送風乾燥機で乾燥(70℃、72時間)し、
乾燥重量を量ります。
繁殖器官のうち種子は、さらに樹種別に分けます。花や種子をさらに細かな項目(充実、虫
害の状態など)に分けるかどうかは各試験地にお任せします。データシートの例は以下のもの
です。その他とは、虫食い、しいな、未熟など、健全種子以外を指しています。
⑤メタデータの記載
調査記録を確実に残すために
データの元情報の記載をする。
リタートラップ法の手順について
[調査方法]
リタートラップは、落葉落枝量や種子生産量が推定できます。落葉落枝量は、森林の
一次生産力の推定には必須です。また、樹種別に種子生産の量や数を測定することで、
様々な樹種の豊凶特性などがわかる。これらのデータは、樹木の更新特性を明らかにす
る上で興味深いものとなる。さらに、種子を餌資源にしている動物の動態や生活史特性
を説明するバックグラウンドデータとしても期待できる。
[調査方法]
出典:平成21年度 近畿中国森林管理局 保護林モニタリング調査入谷林木遺伝資源保存林
調査報告書(No.5)(一部改変)
ベルトトランセクト法調査結果の例
①林分概況調査
調査地林分の概況及び地況の記録を行う。記録項目はハンディーGPS(Garmin、コロラド
300)、クリノメーターを用いて、緯度経度・標高・方位・傾斜・表層地質・土壌型分類・局所
地形・土壌浸食度・遷移の状態である。
②毎木調査(森-11参照)
調査プロット内に生育する樹木のうち、小円部については胸高直径5cm以上(ただし対象樹
種は1cm以上)、中円部については胸高直径5cm以上、大円部については胸高直径18cm以上の
樹木の胸高直径を測定し、山側 1.2mの位置にナンバーテープを貼り付ける。胸高直径は直径
メジャー等により 0.1cm単位で測定する。
また、太さの異なる樹木20本以上を対象に、測高器を用いて樹高を 0.1m単位で測定する。
③定点写真撮影(森-28参照)
調査プロットの中心から東西南北方向と真上の写真をデジタルカメラで撮影する。
④林床植生調査
各階層における植生の植被率、及び下層植生の出現種を記録する。小円部については出現し
た全ての種名と優占度を、中円部・大円部についてはそれぞれ初めて出現した種名を記録す
る。
⑤ベルトトランセクト法調査(植生断面図の作成)(植-11参照)
谷~尾根付近で幅10m、延長 200mの区域を1本設定し、調査項目及び調査方法は、毎木調
査、林床植生調査に準じて行い、併せて植生断面図を作成する。
森林調査(プロット調査法)の方法について
を選定して調査を実施するが、設定場所は地形や標高等を考慮し、代表的な森林状況を
示す場所を選定している。調査プロットの面積は0.10haとし、大円部、中円部、小円部
に細分する。
円形調査プロットの面積について
林地の傾斜が無い場合の調査プロットの半径は
右表に示す通りであるが、プロット設定箇所の傾
斜と「保護林モニタリング調査マニュアル」に従
い調査プロットの半径を増加する。
以下に、各調査項目について記述する。
事例No.6では、調査プロットの設置には、1保護林あたり2箇所以上の調査プロット
分類3
現地調査
森林調査(プロット調査法)(保護林)
分類2
森林
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.6では、7月~10月に実施)。
分類3
現地調査
リタートラップ法(モニタリングサイト1000)
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
無雪期間にできるだけリタ-トラップを設置し、最低毎月1回はリターを回収する。
分類1
動植物
森-23
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・34 -
分類1
動植物
森-26
調査手法
分類3
現地調査
実験区設定法(シカ採食圧のモニタリング調査)
分類2
森林
出典:平成19年度「オホーツクの森自然再生モデル事業」実施に伴うモニタリング調査報告書
(No.28)
プロット調査の設置状況
①固定調査プロットの設定
固定調査プロットを4箇所設定する(下図参照)。
②林分構造調査
林分構造については30m×30mの方形プロットを設定し、単木ごとに通し番号を付し樹
種・直径・樹高・材積の調査を行う。
③樹冠粗密度調査
固定プロット内に定点を設け、デジタルカメラを使用して撮影した画像をパソコン処
理し箇所ごとの樹冠粗密度を測定する。
④定点写真撮影
固定プロットの原点及び第2点から、それぞれ対角線の方向で林分内容を撮影する。
この場合、下層植生も同時に撮影することとし、現地の実態から撮影が難しい場所につ
いては下層植生の単独撮影を行う。
⑤稚幼樹及び下層植生調査
固定プロットの中にの矩形区2.0m×2.5m(コドラート)をベルト状に15個2列を設定
し、帯状トランセクト法により調査を行う。草本類、蔓茎類はブラウン・ブランケの優
占度法によって、そこに生育する種の調査を行う。また、帯状トランセクトの中より代
表的な箇所の植生写真の撮影も行う。
⑥その他(動物調査)
事業地の区域林道及び作業道約2kmを利用して調査を行う。
・鳥類調査:ラインセンサス法による調査を行う。
・哺乳類調査:目視及び足跡ならびに糞観察を行う。
小区画の取り方の例
出典:平成17年度 知床における森林生態系保全・再生対策事業報告書(No.32)
調査区の取り方の例
[調査方法]
実験区設定法のうち、シカ採食圧のモニタリング調査において、事例No.32 では広混
交林内に実験区と対象区を設定し、実施している。
実験区は高さ3.0m の金属製の防鹿柵で囲ってシカの侵入を排除し、開放したままの
対照区とともに、設定する。両区はともに面積1ha(100m×100m)であり、四隅を金
属パイプで固定する。実験区の防鹿柵は、1ha区画の各辺の数m外側を被うように配
置、両区それぞれで各辺を10m間隔で区画して、さらに両区を10m×10mの区画100 箇
所に区画する。各小区画を区分する線分がそれぞれ交わる96箇所の交点には、プラス
チック杭を打って固定する。
両区での調査は、以下の調査方法で実施している。
①毎木調査
両調査区において、樹高2m以上の全個体を対象に、毎木調査を実施する。すなわち、
各個体の位置を10cm精度で測定した後、個別の番号を打刻したアルミ製のタグを釘で固
定して標識するとともに、胸高部位(地上1.3m )にペンキで印を付ける。その後、種
を同定し、胸高直径と樹高を測定する。
②林床植生調査
林床植生は、実験区、対照区とも、下図に示した10m×10mの小区画5箇所で記載す
る。林床植生の記載に際しては、種ごとに被度を測定するとともに最大高を測定する。
被度は、10%未満の場合は1%刻みで、また10%を超える場合は5%刻みで判読する。
さらに、各小区画の左手前4分の1の部分(5m×5m)においては、樹高 0.3m を超
える樹木稚樹が生育していた場合には、その種と高さを記録する。
No.
[調査方法]
森林遷移のモニタリング調査として、事例No.28では、以下の調査項目を実施してい
る。
分類3
現地調査
森林遷移のモニタリング調査法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.32では、7月に実施)。
分類2
森林
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.28では、8月、9月に実施)。
分類1
動植物
森-25
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・35 -
分類3
現地調査
No.
分類1
動植物
植-28
植栽木被害調査野帳の例
出典:平成18年度 日高南部地域等における森林生態系保全・再生対策事業調査報告書(No.6)
エゾジカ被害状況等調査の模式図
①毎本調査(樹皮食い調査)
100mの固定ラインの両側5m以内に出現した、全樹種の木本(胸高(1.3m)に達したもの
)の毎木調査を実施する。項目は、樹種、胸高直径、採食面積、最高採食高、全周食いかどう
か、枝食いの有無について調査する。樹皮食いに関するものは新旧があれば新旧に分けて記載
する。「新」とは当年の樹皮食い、「旧」とはそれ以上前を指す。面積は長方形に近似させて
長辺短辺を記載する。
②ササ食い調査
100m の固定ラインプロット上に20m間隔で1m×1mのコドラートを設常し、コドラート
内のササの平均高、密度(本数)、被度(%)を記録する。この場合、枯死のササはカウント
しない。また、エゾシカが食べないハンゴンソウ、フツキソクも記載する。
③枝食い調査
100m の固定ラインプロット上に20m間隔で、半径3m、高さ2m以内にある枝につい
て、出現した全種の被度と被食率を5(0~10)、30(10~50)、75(50~ 100)の3つのラン
クで評価する。
④エゾシカ糞塊密度調査
100m のラインの両側1m以内に出現した糞塊数を調査する。この場合、10mごとに区切っ
て調査し、1糞塊あたりの素数とその状態も記載する。
⑤萌芽状況等調査
各供試木について、萌芽状況として萌芽本数(当年生萌芽とそれ以前の萌芽に区別)、萌芽
長を調査する。
⑥既設置防除資材状況調査
各防除資材について、その設置状況を調査する。
⑦実生稚樹調査
ア.林床に稚樹が発生している地点を対象に、1地点に2プロットずつ(受光伐処理及び無処
理、各2m×2m)、計6個のプロットを設定する。各プロットの4隅に標識杭を設置する。
イ.各プロットにおいて稚樹の本数と高さを調査する。
⑧植栽木調査
人工林内の3調査区(ネット内1、ネット内2及びネット外)において、根元径、樹高、被
害状況等を次表に示す項目について調査する。
ラインサンプリングの調査項目及び調査方法について
エゾジカによる林分被害状況等の調査として、事例No.6では、以下の調査項目を実施してい
る。この調査では、調査地に100mのラインを引いて、ラインサンプリングを行う(下図参照)。
以下に、各調査項目について記述する。
[調査方法]
調査手法
分類2
森林
分類3
現地調査
天空撮影調査(定点写真撮影調査)
(林分構造の変化を見るための簡易手法)(保護林)
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
定点写真台帳の例
[調査方法]
定点写真の撮影には、調査プロットの中心にある杭の真上(地上1.5m の高さ)で、
東西南北にむかって水平にカメラを構えてそれぞれ1枚ずつ、またカメラを鉛直方向上
側にむけて1枚、それぞれ撮影する(1箇所について合計5枚)。カメラの焦点は35mm
とする(あるいは、測定したカメラの焦点距離を記録)。
これは、林分構造の変化を見るための簡便手法とするものであり、毎回同じ場所で撮
影する。
撮影した写真は、定点写真台帳へ整理する。その際は、プロットの中心点で東西南北
と真上の写真を撮影した現地写真を添付する。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
森林
ラインサンプリング法
(エゾジカによる林分被害状況等の調査法)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.6では、11月に実施)。
分類1
動植物
森-27
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・36 -
分類3
現地調査
No.
分類1
動植物
森-30
出典:平成19年度朝日山地森林生態系保護地域モニタリング調査報告書(No.61)
下層植生調査位置の例
[調査方法]
事例No.61 では、山菜利用種を主とした下層植生について植生調査を行っている。調
査は、優占度及び山菜利用種の確認種数、個体数等について、現地で確認する。優占度
の調査は、植物社会学的調査方法(Braun-Blanquet(ブラウン-ブランケ)、1964)に
基づいて実施している。
また、調査プロットは、1m×1mサイズのプロットを、各調査区に30個づつ設置し
ている(下図参照)。
調査手法
分類2
森林
分類3
室内分析
バイオマス推定方法(データ処理)
相対成長関係を用いたバイオマス推定方法のデータ処理の手順について
出典:森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)(一部改変)
胸高直径と各器官乾重量の関係
(20年スギ人工林)
[●:幹、▲:枝、○:葉]
各階層の幹乾重量は、採取時幹重量に乾重率を乗じることで求まり、すべての階層の幹乾重
量を合計して供試木全体の幹乾重量が求まる。
供試木全体の葉や枝、根の乾重量についても同様にして求まる。
相対成長式Y=aXbの両辺を対数にとると、 logY=blogX+logaと一次式で表せる。
供試木のDもしくはD2H をⅩとし、各器官重や個体重をYとして、一次回帰し相対成長式
を得る(下図参照)。
この式に、調査区の全個体のDもしくはD2H を代入して各器官重を推定し、それらの積算
から個体重を推定する。
全個体について、各器官ごとの乾重量を合計した値が、調査区あたりの各器官のバイオマス
であり、個体重の積算値が調査区あたりのバイオマスとなる。
調査区あたりのバイオマスを調査区面積で割ると、単位面積あたりのバイオマスが求まる。
ただし、根については、細根を採取した小区画の平均細根乾重量を面積で割って求まる単位
面積あたりの細根のバイオマスを加える。
炭素量に換算する場合は、おおよその炭素比率を0.5 としてバイオマスに乗じる。
[調査方法]
相対成長関係を用いたバイオマス推定方法のデータ処理の手順を以下に示す(森-21参
照)。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
森林
山菜関連の調査法(林床植生モニタリング調査)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-29
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・37 -
分類3
室内分析
No.
分類1
動植物
森-32
調査手法
分類2
森林
分類3
室内分析
リタートラップ法(繁殖器官の分別作業)
(モニタリング1000)
出典:モニタリング1000森林部門リター処理簡易マニュアルVer.1 2006年
リター処理の流れ
【必要な物】電子ばかり、バット、封筒、マジック、ピンセット、記録用紙。
トラップ別・内容物の4項目分別の例
補足1)ちなみに小川では、10gから20gを数セット作りオーブンで乾燥させて、換算式を作っている。
補足2)風乾で作業をするのは、絶乾だと花や未熟種子が著しく変色したり、くっついたり、変形したり
で、ソーティング作業が大変になるからである。
①分別項目は、a.葉、b.枝、c.繁殖器官(花や種子とその付随器官)、d.その他(樹皮やこけ、
昆虫の糞など)の4項目に分ける。必ず葉を一枚一枚チェックしながら分別する。トラップ毎
に分別項目、採集西暦年月日、サイト名、トラップ番号を必ず黒マジックで記入して封筒に入
れる。
②各分別項目の風乾重を測定する(0.01g単位)。風乾重は一袋分(1トラップ分)ずつ測定
する。面倒だが、作業サンプルが紛失した場合の保険となる。
③絶乾重の換算式を作るため、トラップ全てのサンプルを混ぜたのち、一部をサンプリングし
て送風乾燥機(70℃、72時間)で乾燥させて絶乾重を測る(0.01g単位)。換算式の努力は各
サイトで負担にならない程度(補足1)。季節によって植物の持っている水分含量が違うので、
換算式の作成はリター回収日ごとに行なう。ただし、繁殖器官はすぐには絶乾させない(補足
2)、(森-23 参照)。
④全体風乾重と換算式で計算した各分別項目の絶乾重は下表のように記入する。
リタートラップ法(内容物の分別作業)について
出典:モニタリング1000森林部門リター処理簡易マニュアルVer.1 2006年
リター処理の流れ
①繁殖器官のうち種子に関しては、できるだけレベル2まで処理する。
主要樹種または毎木出現樹種を対象に樹種別に種子を分ける。
②種子をさらに細かな項目(充実、虫害の状態など)に分けるかは各試験地に任せる。最低限、
健全種子とそれ以外種子に分けるだけでもよい。
③各樹種の種子数をカウント、送風乾燥機(70℃、72時間)で乾燥させて絶乾重を測り(0.01
g単位)、下表のように記入する。
④繁殖器官の換算式を作るため、一部をサンプリングして送風乾燥機(70℃、72時間)で乾燥
させ絶乾重を測る。換算式を用いて各トラップの繁殖器官の絶乾重を算出し、記入する。
⑤すでに種子情報の蓄積のあるサイトでは、レベル3まで種子を分別してもらい、種子数と絶
乾重を測る。
トラップ別・樹木別の健全種子とその他種子の例
リタートラップ法(繁殖器官の分別作業)について
[調査方法]
リタートラップ法により回収された内容物のうち、繁殖器官は以下のとおり分別する。
分類2
森林
リタートラップ法(内容物の分別作業)
(モニタリング1000)
[調査方法]
リタートラップ法により回収された内容物については、以下のとおり分別する。
調査手法
[調査時期]
無雪期間にできるだけリタートラップを設置し、最低毎月1回は、リターを回収する。
分類1
動植物
森-31
[調査時期]
無雪期間にできるだけリタートラップを設置し、最低毎月1回は、リターを回収する。
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・38 -
分類3
室内分析
No.
分類1
動植物
森-34
調査手法
分類2
森林
分類3
室内分析
実生発生法による土壌シードバンク調査
(実生発生の調査方法)
出典:保全生態学の技法 調査・研究・実践マニュアル
(鷲谷いずみ・宮下直・西廣淳・角谷拓、2010)(一部改変)
①保管
調査用に採集した土壌は速やかに実験条件にまきだす必要がある。やむをえず短期間保管する必要があ
る場合は、遮光性のあるシートで覆うとともに、日陰におくなど温度が上がらないように配慮する必要が
ある。温度が上がりすぎるとト2日で発芽を開始する種や逆に発芽力を失う種がある。また、種子の生存
を維持させるためには採集した土壌を不自然に乾燥させないことも重要である。
②前処理
土壌シードバンクを調べる土壌に地下茎など再生可能な植物断片が含まれている場合、それらは実験前
に除去しておいたほうがよい。種子からの実生とは異なり大きな植物体が出現して光・水分などの実験条
件を変えてしまったり、除去しようとしたときに実験条件を撹乱してしまったりするからである。
なお、地下茎などの大型の植物断片を除去しても、土壌サンプル中に無性芽や胞子などの種子以外の散布
体からの出芽が認められる場合がある。これらの散布体のなかには種子のように長期にわたって土壌中で
生存しているものもあり、植生再生の資源としては土壌シードバンクに近い価値をもつため、評価対象に
含める場合がある。種子だけでなく無性芽や胞子など多様な散布体を含む場合は、シードバンクではな
く、散布体バンク(propagulebank)とよぶほうが適切である。
③圃場の条件
多量のサンプルを対象にして行う実生発生調査はたいてい野外で行われる。その場合、完全な開放条件
で行う場合もあるが、風散布による種子の混入を防ぐため温室や網室内で行われることが多い。温室で行
う場合は温度が不自然になり、冬季に十分に低温にならずに種子の休眠が解除されなかったり、夏季に高
温になりすぎて発芽が阻害されたりする可能性があるため、白色寒冷紗を張った網室で行うほうが望まし
い。網室がなければ、土壌をまきだした容器の上を直接白色寒冷紗で覆い、種子の混入を防ぐ。植物の発
芽には土壌の温度条件が強く影響するため、実験を行った条件の土壌温度を記録しておくことが望まし
い。土壌表面から0.5cm の深さの場所(表面は日射の影響を受けるため不適)に最高最低温度計あるいは
データロガーを接続した熱電対線などを設置し、温度条件を継続的に記録する。
④土壌の厚さ
土壌サンプル中の種子をなるべく多く発芽させるため、土壌はなるべく薄くまきだすことが望ましい。
深い場所の種子は発芽する可能性が低くなるからである。0、5~10cmの厚さにまきだすのが理想的であ
る。土壌を薄くまきだす場合、水分の維持や発芽した植物の根の維持のため、基質となる土壌の上に土壌
サンプルを広げるようにする。基質となる土壌は、種子が含まれていない必要があるため、熱処理した砂
やバーミキュライトなどの焼成土を用いる。
⑤水分条件
植物は、種ごとに発芽に適した水分条件が異なっているため、土壌をまきだす場所の水分条件によっ
て、発生する実生の種組成が異なる可能性がある。多様な植物を発芽させるためには、水中から陸上まで
連続的に変化する条件を設ける方法がよい。ただし、この場合には同じ水分条件の場所のまきだし面積が
限られてしまうという問題があるため、「実験用の池を造成する」ような大きな規模で行う必要がある。
限られた土壌量で分析する場合には、土壌サンプルに与えられる水分条件は限定される。その場合でも、
湿地の土壌シードバンクを調べる場合には、つねに冠水する条件と、つねに湿潤状態を保ちつつも冠水は
しない条件の2通りの条件を設けることで、多くの種を把握することができる。このとき、湿潤条件では
土壌表面付近が飽和水分条件を保てるように地下水位を5~10cmに保つことが望ましい。冠水条件でも、
水深が変動すると結果の解釈が困難になるため、水位を一定に保つ工夫が重要である。水位の維持では、
マリオットサイフォンを利用した装置を活用する方法や、水位感知器と電磁弁を用いた給水装置を活用す
ることで、管理の手間を軽減することができる。土壌サンプルをまきだす容器としては、左官工事用の大
型のプラスチック容器(通称トロブネ)が頑丈で便利である。
⑥混入種子の評価
網室で実験を行う場合でも、風散布による種子の混入を完全に防ぐことはできない。そのため、混入の
可能性のある種を別途調査し、解析段階でそれらの種を除外する必要がある。シードバンクを調べる土壌
サンプルと同じ条件に種子を含まない土壌(バーミキュライト等の焼成土など)をまきだす条件を設け、
そこで発芽した種についてはサンプルに含まれていなかった可能性がある種として解析から除外する。
[調査方法]
自然再生事業の一環として植生を再生させる材料として、土壌シードバンクを調査す
ることを想定し、その標準的な手法と配慮すべき事項について以下に示す。
土壌のまきだしの方法の手順について
出典:保全生態学の技法 調査・研究・実践マニュアル
(鷲谷いずみ・宮下直・西廣淳・角谷拓、2010)(一部改変)
実生発生法による湿地の土壌シードバンク調査の様子
(左:網室内での実験風景、右:タグをつけた実生)
実生が確認されたら個体ごとにタグをつける。実生の同定は本葉が1~2枚展開するまではむずかしい
ので、それまでの期間育成するが、実生発生時期がわかるように個体を識別する必要があるからである。
ハリガネとビニールテープでタグを作成し、ビニールテープに書いた番号で個体を識別する(下図参
考)。
同定された実生は、記録したあとに抜き取る。抜き取らずにそのまま成長させてしまうと、その後の新
たな実生発生に影響するため、なるべく早く同定して除去するか、プランターなどに移植して同定できる
サイズまで育成したほうがよい。
実生の形態形質や写真が記載された文献もあるが、実際に同定するのはかなり困難である。そこで、確
認される可能性のある種についてはあらかじめ植物体から種子を採集して発芽させ、実生標本を作成して
おくと役に立つ。実生標本は通常の 葉標本でもよいが、厚手の紙に実生をおき、上から図書カバー用の
透明フイルムを貼りつけて標本カードを作成し、実験圃場でみくらべながら同定作業を行う。植物種にも
よるが、少なくとも半年程度は色も失われずに活用することができる。
また、種皮・果皮が実生に付着して残存している場合は、それらが同定の手がかりとなる場合もある。
実生発生の調査方法の手順について
[調査方法]
自然再生事業の一環として植生を再生させる材料として、土壌シードバンクを調査す
ることを想定し、その標準的な手法と配慮すべき事項について以下に示す。
[調査時期]
調査頻度と期間は、まきだした土壌から発生する実生を定期的に観察して記録する。
観察は高頻度に行うほど個体数を正確に把握できるが、目安として、実生の発生が多い
季節には1週間以内に一度、少ない季節は2週間以内に一度は行うとよい。
調査は、種ごとに発芽季節が異なることを考慮し、1年間は継続することが望まし
い。
分類2
森林
実生発生法による土壌シードバンク調査
(土壌のまきだし)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
森-33
No.
調査手法解説表(森林)
- 資・39 -
分類3
文献調査
資料整理(保護林)
No.
分類1
動植物
哺-2
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
[調査方法]
資料調査は、当該保護林の概要を把握するため、対象保護林に関連する各種資料を収
集・整理するものである。
収集資料は、関係図面、GIS データ、動植物に関する文献資料、法規制等に関する資
料、社会環境等に関する資料、保護林関係資料、既存モニタリング調査に関する資料等
に分類される。
対象保護林が小面積の場合(1,000ha 未満)、該当保護林自体に関連する文献や資料
が見つからないことも想定されることから、対象保護林の中心から外側へ概ね2km 拡げ
た範囲についての資料を収集するものとする。この場合、対象を拡げた部分に民有林が
存在する場合、保護林周辺の公有林の配置状況を把握するため、都道府県、市町村に問
い合わせるなど、民有林を公有林と私有林に区分した図面(公有林の位置図)の有無を
確認し、ある場合は、その図面を収集する。
調査対象保護林の現況を把握するためには、最新の資料を収集する必要がある。
一方、古い資料も過去との比較分析に役立つ。特に古い資料は散逸しやすいため、モ
ニタリング調査の機会に出来る限り収集して整理しておくことが望ましい。
文献の収集は、施業実施計画図の情報を基に、林野庁、森林管理局、森林管理署等内
部で揃うであろうもの、存在する可能性の高いものなどに該当しそうな資料を中心に収
集するのが効率的である。
森林生態系保護地域においては、設定時に設定委員会を開き、報告書が作成されてい
るので、これら報告書、資料、議事録等を収集し確認する。また森林管理局が独自に該
当保護林で調査したものがないか収集し確認する。
更に、学術参考林時代の調査資料、林業試験係等の調査報告等、及び森林計画編成時
の現地調査の結果等が、管轄の森林管理署等に存在する可能性もある。研究機関等が保
護林内で実施した調査については、試験地契約((独)森林総合研究所)、入林許可証や
調査計画書等手続き書類が森林管理署に提示されていることから、森林管理署とも連絡
をとり、保護林や保護林周辺での既存調査の情報や文献の収集に努める。
他省庁については、環境省の調査として保護林内での調査が想定される。特に、自然
環境保全基礎調査の特定植物群落調査は、保護林において実施されていることが多いた
め、重複関係の確認に努める。
研究機関等での調査の文献については、必要に応じて、地元の動植物に詳しい学識経
験者や、当該地域の野生動植物に関心の高い団体・個人等の協力や助言を得て資料の収
集作業を行うのが望ましい。
また、都道府県や市町村でも、動植物について独自の調査を行っている場合があり、
貴重な資料となるので担当部署に問い合わせをするなど情報や資料の収集に努める。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の哺乳類相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報を中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係
る文献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施し、調査対象保護林の概要の把握および現地調査手法の検討を行
う。
分類1
動植物
哺-1
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・40 -
分類1
動植物
哺-4
調査手法
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
哺乳類
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
⑧その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の哺乳類相、重
要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての
情報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を
整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、該当地域の猟友会の会員等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
各行政機関から狩猟獣や有害鳥獣駆除の対象となっている種について、捕獲した種や
捕獲数及び捕獲場所等の情報を収集する。
分類3
聞き取り調査
捕獲記録収集
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
哺-3
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・41 -
分類3
聞き取り調査/現地調査
生息情報収集
No.
分類1
動植物
哺-6
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
目撃法(目視観察法)
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
[調査方法]
主に、希少種や中・大型種について、調査地へ移動の際に観察した個体の情報を収集
し記録する。また、地域住民や登山者からも、これらの情報を積極的に収集する。調査
期間外の時期と、より広い地域からの情報を収集できる利点がある。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)
[調査方法]
調査中に哺乳類の姿を見かけたら、双眼鏡等を用いて種類を識別し、目撃した場所の
状況と合わせて記録する。また、まとまった樹林地等が分布する場合は、樹上性の哺乳
類の生息にも注意して調査する。
[調査時期]
現地調査は、早春から初夏に2回、秋に1回を含む計3回以上実施する。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査時に生息情報の収集に努める。
分類1
動植物
哺-5
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・42 -
分類1
動植物
哺-8
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
直接観察/痕跡調査法
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)
・キツネ、テン、イタチ等の糞は、林道上や石や切り株の上等目立つ場所で確認
されることが多い。
・果樹の結実期には、果樹周辺に集まる場合があるため、フィールドサインを確
認しやすい。
・橋梁の下のコンクリートや石等の上にある糞は、長期間残るため、確認される
ことが多い。
・水際や砂地、泥地、湿地、干潟は足跡が残りやすいため、確認しやすい。
・積雪地域においては、足跡によるトラッキングが有効である。
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
①調査地の選定
林道等既存道に沿って行う場合と等高線に沿って設定する場合とがあるが、地形の複
雑な日本の山地では既存の道を利用するほうが効果的である。
②調査用具・機材
・ノギス等の計測器
・種同定用の図鑑等の資料
・目撃及び痕跡発見地点の位置情報を記入する地図
・双眼鏡
・採集用具(ビニール袋・ピンセット等)
③設置方法
・3~4km程度の調査ルートを設定する。
・調査ルートには、始点から一定距離ごとに目印を付けるなどして、発見時の
位置の記録精度を高めるようにする。
・位置情報を記入するため、調査ルートの概略図や調査ルートが含まれる地形
図を用意する。
・複数の異なる林分を通過する調査ルートの場合、各林分ごとの調査ルート距
離を測定する。
④作業手順
・設定した調査ルートを時速2km程度で歩き、直接観察あるいは鳴き声等によ
って生息種を確認する。開けた地域や草原では、動物を直接観察する機会が
多いので、十分に注意する。同時に、糞・足跡・食痕等の生活痕跡も調査す
る。特に、湿地周辺、ぬかるみ地では足跡が残りやすい。また、林道周辺の
石の上、法面のコンクリート等には糞が落とされていることが多い。
・確認できた個体の種名と痕跡の種類、位置情報等を記録する。
・同定できなかった生活痕跡(死体・糞・食痕等)は採集し保存する。
⑤調査結果の記録
・調査結果は、記録用紙等へ記入すると同時に、情報を得た地点を地図に記入
する。
・地図上に記した各地点には、通し番号を付ける。
・確認方法の欄には、目撃・死体・鳴き声・痕跡の種類等の情報を記入する。
・その他、目撃した個体の数や特徴、痕跡の新旧等備考欄に記入する。
⑥注意事項
調査には必要な資料を携帯し、その場で種を特定し記録する。現場で種の特定が
困難な場合、写真撮影または採集し、専門家に見せるなどして種を特定する。
[調査方法]
目視あるいは双眼鏡等を用いて個体を観察し、生息密度を測る。同時に、足跡やフ
ン・食痕の発見に努め、それらの痕跡から種を同定して生息を確認する。定量的なデー
タを得るためには、一定ルートの調査(ラインセンサス法)が適しており、あらかじめ
設定した調査ルートを踏査し、ルート上とその周辺部において個体及び痕跡を確認す
る。
No.
[調査方法]
草本類が繁茂する前の春季、枯れた後の秋季、雪の積もる地域では積雪時にはフィー
ルドサインが確認しやすい。
調査地区内の干潟、水際(砂地、泥地、湿地等)、小径、土壌のやわらかい場所、草
むら、樹林等の生息及び出没の予想される場所を踏査し、足跡、糞、食痕、巣、爪痕、
抜毛、掘り返し等のフィールドサインを観察する。
フィールドサインを確認した場合、必要に応じて写真の撮影を行う。なお、撮影に際
しては、フィールドサインの大きさがわかるようにスケールを入れる。また、巣穴につ
いては、生息種の推定の資料として、穴の入口の大きさを測定しておく。
その他、主な留意事項を以下に示す。
分類3
現地調査
フィールドサイン法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、早春から初夏に2回、秋に1回を含む計3回以上実施する。
分類1
動植物
哺-7
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・43 -
分類1
動植物
哺-10
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
無人撮影法(河川水辺)
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)、写真(No.198)。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)
無人撮影装置による撮影
[調査方法]
夜行性の哺乳類の確認には、無人撮影法が有効である。無人撮影装置は、哺乳類が頻
繁に往来しているような「けもの道」あるいは小径に設置し、カメラの視野内にさつま
あげや魚肉ソーセージ等の餌を置く。なお、原則として、1調査地区あたり2台程度の
無人撮影装置を2晩設置する。
No.
[調査方法]
①設置の場所と設置台数
沢や獣道を目安に、対象動物がよく利用すると想定される場所を複数選び、それぞれ
装置を設置する。設置台数を複数とする理由は、より多くの撮影機会を得るため、装置
の不調や盗難による欠測を防ぐためである。この際、センサーの感知域や撮影範囲に障
害物のないところを選ぶ。
②調査用具及び機材
・自動撮影カメラ(なるべくデジタルカメラを使用する)
・カメラ用乾電池
・フィルム(なるべく高感度フィルムを使用すると良い)
・装置固定用の三脚、杭、ひも、ロープ等
③設置方法
・撮影の障害となる草等を除去し、撮影しやすいようにする。
自動撮影カメラ
・カメラの年月日を合わせる。
・三脚等を用いるなどして装置を固定する。装置が動かないよう杭や木の幹等に
しっかり固定させる。
・センサーの感知域と写真撮影範囲を確認する。
・試し撮りを行い、装置が正しく作動することを確認する。
④作業手順
・周囲の痕跡の有無等を確認し記入する。
・カメラの電池寿命はセンサーの反応回数やカメラの撮影枚数等によって異なる
ので、装置の点検の際には必ず電池残量を確認する。
・撮影された写真を現像し、撮影された動物を同定して撮影年月日を記録する。
⑤調査結果の記録
・調査結果は記録用紙等に記入する。
・フィルム1本あるいはメモリーカード1枚につき、1枚の記録用紙を用いる。
・周囲の状況等で気がついたことがあれば記入する。
⑥注意事項
・冬季には、フィルムとともに電池の予備も常に携帯しておく。
・写真を確認する際、ネズミ類等が小さく写っていたり、身体の一部が撮影され
ている場合もあるので、必要に応じてルーペ等を使用して確認する。
・カメラとセンサーがコードによって接続されている場合、コードをケーブル
ホース等で保護することが必要である(ネズミ類にかじられることがある)。
・自動撮影カメラは、なるべく長期に渡って設置することが望ましい。
・餌等の誘因物質を利用すると動物の撮影される可能性は高まるが、誘因を行わ
なかった場合との比較が難しく、誘因によって本来の生態を乱すおそれもある
ため、よく検討する必要がある。なお、誘引には、ビスケット、ピーナッツ、
キャットフード、ドッグフード等がよい。
⑦自動撮影カメラの選定について
センサーには、赤外線センサーと熱感知式センサーがあるが、動物撮影には雨粒や落
ち葉に反応しない点で、熱感知式センサーが適している。ただし、熱感知式センサーを
使用する場合は、誤作動を防ぐため、特に装置に直射日光が当たらない箇所に設置する
必要がある。
分類3
現地調査
自動撮影法(保護林)
[調査時期]
現地調査は、早春から初夏に2回、秋に1回を含む計3回以上実施する。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
哺-9
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・44 -
分類3
現地調査
ナイトスコープ法
No.
分類1
動植物
哺-12
調査手法
分類3
現地調査
ライトセンサス法(ビームライトセンサス法)
分類2
哺乳類
出典:平成6年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案)ダム湖版(生物調査編)(一部改変)
ナイトスコープ
[調査方法]
哺乳類は、薄明薄暮型など夜行性の種が多く、目視確認が難しいことが多い。このた
め、新しいフィールドサイン(足跡、糞)などが確認でき、頻繁に往来しているような
「けもの道」あるいは小径があり、人の出入りがないような場所において、夜間、ナイ
トスコープによって確認する方法である。
15.6
9
10.3
森林コース
林縁コース
農地コース
ライトセンサスの様子
出典:平成19年度雷別地区エゾシカライトセンサス調査業務報告書(No.22)
尚、エゾジカを発見した場合は、時刻、GPS による位置、目撃方向、個体数を記録
し、可能な限りオス成獣、オス1歳、メス成獣、仔(0歳)の識別を行う。
調査の開始は、日没後1時間程度経過した後に、ルート上を時速10km以下で走行する
ことで調査を実施する。調査は運転手1名、調査員2名(観察者1名、記録者1名)と
し、スポットライトはBRINKMAN社製のQ-BEAM(Model800 2500-0 )を使用して、地上150
~180cmの位置から照射する。
[調査方法]
事例No.22によれば、夜間に走行する車からスポットライトを左右に照射することで、
光を反射する野生動物の目や、照らし出される野生動物の姿を元に、個体数や群構成を
記録している。
距離(km)
ルート名
ルート区分と走行距離(例)
[調査時期]
事例No.22によれば、現地調査は、エゾジカを対象として、平成19年12月11日から平成
19年12月14日までの期間に、各コースにつきライトセンサスを2回実施している。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、早春から初夏に2回、秋に1回を含む計3回以上実施する。
分類1
動植物
哺-11
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・45 -
分類1
動植物
哺-14
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
ライブトラップ法
墜落かん
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)
なお、墜落かんの回収率が悪い場合は、再設置する等して適切な結果が得られるよう
にする。
ジネズミ、ヒミズ等のジャンプ力の弱いものを対象とする場合には、比較的小さな墜
落かん(プラスチックコップ等)でも捕獲できる。原則として、1調査地区あたり30個
程度の墜落かんを2晩設置し、設置日の翌日にも捕獲状況の確認を行う。
シャーマン型トラップ
進入口
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
餌
なお、トラップの回収率が悪い場合は、再設置する等して、適切な結果が得られるよ
うにする。
[調査方法]
ヒミズ類やネズミ類の確認は、トラップ法による捕獲を基本とする。トラップには、
シャーマン型トラップ等のライブトラップを用いる。ピーナッツ、ソーセージ、サツマ
イモ等を餌として、1調査地区あたり30個程度設置する。設置期間は原則として2晩と
し、設置日の翌日にも捕獲状況の確認を行う。
トラップの設置場所は、巣穴の近く、草むら、低木のやぶ、倒木の下等ネズミ類が行
動するような場所を選定する。また、土壌がよく発達してやわらかい所や薄暗い樹林地
の中、湿った草地等も含めるようにする。
No.
[調査方法]
トガリネズミ類、ジネズミ、ヒミズ等の捕獲には、墜落かんを用いたトラップ法が有
効である。墜落かんは、落葉が厚く積もった場所や土壌のやわらかい場所で、斜面の法
尻や構造物の土台の壁際、草に覆われた溝等の小型哺乳類が通り道にする可能性の高い
ところに設置する。
分類3
現地調査
墜落かん法
[調査時期]
現地調査は、春から初夏に1回、秋に1回の計2回以上実施する。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から初夏に1回、秋に1回の計2回以上実施する。
分類1
動植物
哺-13
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・46 -
分類1
動植物
哺-16
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
モグラトラップ法
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
モールトラップ
出典:平成9年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
[調査方法]
モグラ類は、冬眠することがないため、基本的には一年中活動しているが、比較的モ
グラ塚がよく見られる季節は、繁殖時期である春及び坑道の拡張を行う晩秋から初冬で
ある。
文献調査や聞き取り調査の結果、調査対象河川区間に生息するヒミズ類以外のモグラ
類が1種類であると判明している場合には、フィールドサインによる確認を基本とし、
必ずしも捕獲する必要はない。
調査対象河川区間に生息するヒミズ類以外のモグラ類が2種類以上であると判明して
いる場合には、トラップ法によりモグラ類を捕獲して種を確認することが望ましい。
トラップには、モールトラップ等を用いる。トラップの設置場所は、確実にモグラが
行動している場所(モグラ塚が密に分布し、かつ新しいモグラ塚が多く分布する場所)
を選ぶように努める。また、モグラが頻繁に利用しているトンネルは、壊すと後日修復
されている場合が多いので、そのような場所にトラップを設置するとよい。
No.
[調査方法]
①調査地の選定
代表的な森林を対象に調査地の選定を行う。各森林での小型哺乳類相を把握するため
に、調査地は林縁部には設定しないようにする。
②調査用具・機材
・生け捕り用ワナ(シャーマン型トラップ)
・標識テープ、ワナを固定するもの(杭やひも)
・餌(生ピーナッツや乾燥カボチャ種子)
・ノギス、バネ秤
・綿(箱ワナを用いる場合、冬季の凍死を防ぐ)
・記録用紙
シャーマン型トラップ
・標本保存用アルコール及び保存ビン
③設置方法
・調査地に10m間隔で40個のワナを設置する。
・ワナが移動しないように、ひも等で固定する。
・ワナの近くの樹木等に標識テープを取り付ける。
④作業手順
・ワナに餌を入れ、捕獲できる状態にする。
ワナの設置模式図
・翌日、ワナを見回り、捕獲された個体の種名、
ワナの状況を記録する。
全長
・捕獲された個体は、体重、全長、尾長、後足長
等の計測値をもとに同定を行う。
・ワナに餌が入っていることを確認し再設置する。
・この調査を連続3晩行い、合計の捕獲数を求める。 尾長
⑤調査結果の記録
後足長
調査結果は記録用紙等に記入する。
⑥注意事項
ア.捕獲許可
身体の計測部位と計測方法
・森林防疫上の捕獲でないので、「鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律」に
基づき、前もって都道府県知事等に「学術捕獲申請」を行い、捕獲許可を受け
る必要がある。
イ.調査の実施時期
・同定の困難な若齢個体の捕獲を避けるため、繁殖期や若齢個体の分散期を避け
て実施する。
・繁殖期は地域によって異なるので、地域の状況によって決定する。
・なるべく夕方にワナを設置し、翌朝早い時間帯に見回りを行う。
ウ.相対密度の比較
・相対密度の比較を行う場合は、ワナの種類や大きさによって捕獲効率の差が生
じないように同じタイプのワナを使用する。また、捕獲した個体を放逐した際
には、同じ個体を再捕獲することによって、結果に誤差が生じる。そのため、
放逐したことを必ず記入し、できれば放逐個体にマーキングすることが望まし
い。
分類3
現地調査
小型哺乳類ワナかけ調査法
[調査時期]
現地調査は、春から初夏に1回、秋に1回の計2回以上実施する。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から初夏に1回、秋に1回の計2回以上実施する。
尚、真夏には捕獲効率が落ちるため避けた方がよい。
分類1
動植物
哺-15
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・47 -
分類1
動植物
哺-18
調査手法
分類2
哺乳類
足跡法
分類3
現地調査
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
巣箱のサイズ
ヤマネ用巣箱の例
足跡法
出典:平成9年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
[調査方法]
利用頻度が高いと判断される「けもの道」に、タンニン酸を塗布し乾燥した紙を敷い
て、墨汁などで足跡をつけさせる方法である。
No.
[調査方法]
①調査地及び架設木の選定
代表的な森林を対象に調査地の選定を行う。架設木は、胸高直径20cm以上の生木から
選定する。
②調査用具・機材
・巣箱:板材を使用した巣箱(下記⑥のウを参照)
・巣箱を固定するもの:架設木を傷つけないようなスプリングワイヤー等
・はしご
・鏡:巣箱の穴から鏡等を用いて生息の有無を確認
③設置方法
・調査地に10m程度の間隔で20個程度の巣箱を設置する。
・巣箱を設置する高さは、作業効率を考えて地上3~5mとする。
④作業手順
・巣箱を作製する。
・巣箱を設置する(架設木及び高さ等を記録する)。
・2週間に1回見回りをする。
・巣箱の利用状況を確認する(糞・巣材搬入の有無・入り口の爪痕等)。
・見回りの実施時期と回数は、春先4月から5月に2回、晩秋11月頃に2回、
年間4回以上を目安として、対象種や地域の状況に応じて実施する。
⑤調査結果の記録
・調査結果は記録用紙に記入する。
・地図上に記した各地点には、通し番号を付けて地点番号とする。
・確認方法の欄には、目撃・死体・鳴き声・痕跡の種類等の情報を記入する。
・その他、目撃した個体の数や特徴、痕跡の新旧等は、備考欄に記入する。
⑥注意事項
ア.調査の実施時期
繁殖期に巣箱の利用状況を確認するときは、細心の注意をする。
樹上性齧歯類の出産回数は年に1~2回で、繁殖期は春から秋ま
でと幅がある。また、同一種であっても地域によって繁殖期が異な
るため、地域ごとに専門家や文献を通じて調べる必要がある。
イ.架設木への配慮
巣箱を設置する場合は、木を傷つけたり、木の生長を阻害
しないよう注意する。
ウ.巣箱のサイズ
巣箱のサイズは、調査対象とする種によって異なる。
以下に、主な樹上性哺乳類の例を示す。
分類3
現地調査
巣箱かけ調査法
[調査時期]
現地調査は、春から初夏に1回、秋に1回の計2回以上実施する。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、一般的に秋季から春季に実施するのがよい。
分類1
動植物
哺-17
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・48 -
分類1
動植物
哺-20
調査手法
分類3
現地調査
ヘアートラップ法(+自動・無人撮影法+DNA解析)
分類2
哺乳類
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
ニオイステーションの設置状況
大型哺乳類が利用していると思われるけもの道上に、設置場所を検討する。
有刺鉄線を用いて地面から25cmと50cmの高さで2m四方の囲みを作り、二重
ヘアートラップを設置する。囲みには立木を利用する。
立木に有刺鉄線を巻く際には、枯れ枝などを用いて保護する。
ヘアートラップの中心点に、地面から150cm ほどの高さで誘引餌を設置する。
安全対策としてヘアートラップ周辺に2箇所以上、注意喚起の見出し票を備
え付ける。
出典:平成19年度 四国山地緑の回廊モニタリング調査報告書(No.198)
ヘアートラップの設置状況
尚、体毛が付着していた場合には、有刺鉄線の1箇所を1サンプルとし、写真を撮っ
た後、ピンセットを用いてサンプル袋に移し、乾燥・常温保存して、DNA 解析を行う
(哺-38参照)。
以上の作業を行った後、調査地点ごとに自動カメラ(自動撮影法、無人撮影法:哺9、哺-10参照)を併用して1 箇所に設置し、自動カメラの見回りと同時に、体毛の付着
の有無を確認する。
①
②
③
④
⑤
[調査方法]
有刺鉄線を利用して、クマ類などを対象に野外での捕獲を伴わずに体毛を採取する手
法である。採取した体毛の毛根部の組織からDNA を抽出し、遺伝的解析を行うことで、
個体識別や雌雄判定が可能となり、個体数推定や行動などの生態研究に用いられている。
ヘアートラップを設置する地域は、以下の4条件に留意して決定する。
・けもの道など野生鳥獣の移動ルートであること。
・地形が緩やかであること。
・自然林もしくは天然林が優占していること。
・調査のアプローチが容易であること。
現地調査での機材は、有刺鉄線(20m)×12個、体毛採取用サンプル袋、ピンセット
等を使用。設置手順は以下のとおりである。
No.
[調査方法]
①調査地の選定
沢や獣道及び林道終点等を目安に、対象動物がよく利用すると想定される場所にス
テーションを設置する。この際、ある程度開けたところを選ぶ。
②調査用具及び機材
・ふるい
・スコップ
・餌
・ノギス等の計測機器
③設置方法
・調査地を直径1m程度の円(ステーション)状に整地する。
・円内の土を地表から深さ3cmぐらいまで掘り起こし、ふるいで土をふるう
か、砂・泥をまくなどして足跡が付きやすいようにする。
・餌を円の中心に置く。
④作業手順
・1回の調査あたり連続5日以上の調査を行う。
・ステーションの点検は、1日1回行う。
・足跡や糞があればその形状・長さ・幅・間隔等から種を判別し記録する。
・尿を残していることもあるので、確認できた場合には記録する。
・足跡や痕跡があった場合、それを取り除き整地する。
⑤調査記録の結果
・調査結果は記録用紙等に記入する。
・種の同定ができない場合は、それをスケッチするなどし、調査後に同定を行
う。
・その他気づいたことなどがあれば記入しておく。
⑥注意事項
誘引する餌はさまざまなものでよい。代表的なものでは、缶詰の魚、鶏がら(あるい
は手羽先等)、キャットフード、ドッグフード等である。
分類3
現地調査
ニオイステーション法
[調査時期]
現地調査は、気温が低く乾燥しており、DNA解析が容易な冬季が最もよいが、高温多雨
の時期には設置数を多くし、見回り間隔を10日以内に短縮する必要がある。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
哺-19
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・49 -
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
バットディテクター法
バットディテクターによる調査状況
バットディテクターによる入感状況調査の際の注意点
出典:平成19年度 「十勝川源流部更生プロジェクト」推進支援業務報告書(No.230)、
コウモリ類の手引き(案)(平成18年、国土交通省)。
①非常に音圧の低い種が飛翔していた場合
②超音波を出さないで飛翔していた場合
③バットディテクターの周波数とコウモリ類の出す周波数がずれていた場合
実際、かすみ網調査の時に網のすぐ近くにバットディテクターを構えていても、全く入感が
しなかったのにコウモリ類が網にかかっているということがしばしばある。
バットディテクターによる予備調査では、”コウモリ類が生息している”ことはわかる
が、”コウモリ類が生息していない”という判断はできない。
誤った判断が導き出されないよう、この点についてよく理解した上で調査を実施する必要が
ある。
バットディテクターにコウモリ類の超音波の受信がない場合でも、その調査地にコウモリ類が
いないことにはならない。理由は以下のとおりである。
文献調査でコウモリ類の捕獲記録、死体拾得情報が得られなかった場合は、地形図、
地質図、林齢図等をもとにコウモリ類が採餌のために利用しそうな場所、特に河川やダ
ム、湖沼上空や林道上などでバットディテクターによる入感状況を調べる。入感状況の
結果からコウモリ類の捕獲が可能な場所を拾い上げ、かすみ網等による捕獲調査の対象
場所とする。
但し、バットディテクター法では種の判別が困難であることから、以下のような予備
調査の位置付けとして実施されることが多い。
出典:平成18年度 大雪・日高緑の回廊の整備に関するモニタリング調査報告書(No.144)
パルスタイプについて
ヘテロダイン式のバットディテクター
[調査方法]
調査方法は、夜間定点調査により、コウモリの発する超音波を聴覚音に変化するヘテ
ロダイン(heterodyne)方式を採用するバットディテクター(Ultra sound advice社
Mini-3 Bat Detector)により、生息種と数を予測する。
生息種と数の予測は、コウモリが飛翔中に発する超音波をバットディテクターで探知
して、探知された周波数帯と音声から種または属を特定記録する方法である。その際、
バットディテクターの周波数ダイヤルを、35或いは50kHz付近にして調査し、反応がな
かった場合、60、80~110kHzに変えて反応を調査する。
調査記録は、出現予測数、数、出現場所、確認時間、確認状況の記録とする。
尚、コウモリは周囲の状況などの変化によって発するパルスタイプや周波数帯を換え
ることが知られているため、必ずしも一定ではない。
分類1
動植物
哺-22
[調査方法]
バットディテクターを使用して、コウモリ類の発する超音波を受信し、そのパルスに
より生息の有無や種の同定を試みる。
No.
[調査時期]
調査適期は、活発な行動がみられる初夏から晩夏である。
調査時間は、最も活発に活動する日没1時間前から開始し、日没後2時間程度を目安に
実施。
分類3
現地調査
バットディテクター法(予備調査)
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
春季(6~7月:繁殖期直後)と秋季(9~10月:移動もしくは冬眠準備期)の2回実施。
分類1
動植物
哺-21
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・50 -
分類1
動植物
哺-24
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
ねぐら調査法
林道上での設置例
かすみ網等を用いた捕獲調査の流れ
出典:コウモリ類の手引き(案)(平成18年、国土交通省)
河川上での設置例
出典:コウモリ類の手引き(案)(平成18年、国土交通省)
洞窟等のねぐらへ入る際の注意点
ねぐらの例
[調査方法]
コウモリ類の多くは、洞穴や洞窟、家屋、樹洞で群居性のねぐらをもつ。樹洞棲コウモリの一部
では家屋の屋根裏、樹皮の隙間や葉の裏などもねぐらとして利用する。洞窟棲コウモリのねぐら
の探し方としては、調査対象範囲内においてコウモリ類が昼間にねぐらとして利用しそうな洞窟、
墜洞、トンネル、用水路、廃屋などを事前調査ですべて調べ上げて入洞する。入洞時にコウモリ
が利用していた場合、施工前では一つ一つのねぐらについて周年的な調査を実施し、ねぐらを
利用する種、個体数、性別、齢の構成が季節を通じてどのように推移していくのか、そして、調査
対象とするねぐらが出産・保育場所として利用させれいるのか、冬眠場所として利用されているの
か、またはその過渡期に利用される場所なのかを知る。そして、その結果、調査対象とするねぐら
が調査地域に生息するコウモリにとってどのような位置づけをなすのかを把握する。
No.
[調査方法]
かすみ網を用いた調査では、かすみ網等の設置場所の良し悪しがコウモリの捕獲効率に大い
に影響を及ぼすことが知られている。一般的には設置場所として良い場所は餌となる水生昆虫が
発生する河川上や移動通路として利用される林道上である。かすみ網の設置場所がコウモリの
採餌場所である場合、エコロケーション(超音波による反響定位)によりかすみ網を認知し、網の
前で反転する回避行動をとることが多い。コウモリは出洞後、採餌しながら移動していくようだが、
このような日常的な通路では障害物の位置を記憶しているために慣れがあるためか、エコロケー
ションをしないで飛翔する場合がある。従って、採餌場所よりも、むしろ採餌場所へ移動する通路
に設置したほうが捕獲されやすいと思われる。
なお、バットディテクターは、かすみ網設置場所の候補地を決めるのにとても有効な機械であ
る。そのため、良好な設置場所をみつけだすためには、バットディテクターによる予備調査に充分
に時間をかける必要がある(哺-21参照)。
分類3
現地調査
かすみ網法
[調査時期]
調査時期の規定なし。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
コウモリ類の活動が活発な時期(本州では5月~10月頃)に実施する。但し、調査地
により適期が異なることから、専門家の助言を得た方が良い。
調査回数は、活動期中には毎月1回以上の頻度で実施することが望ましい。
分類1
動植物
哺-23
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・51 -
分類1
動植物
哺-26
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
ねぐら出入り口での捕獲法
出典:コウモリ類の手引き(案)(平成18年、国土交通省)
ねぐら内での捕獲時の注意点
ハンドネットを利用した捕獲調査
出典:コウモリ類の手引き(案)(平成18年、国土交通省)
ねぐら出入り口での捕獲時の注意点
ねぐら出入り口でのハープトラップによる捕獲調査
(薄明のコウモリ帰洞時)
[調査方法]
コウモリ類は、活動期には昼間でも覚醒しやすいため、人間が接近すると逃げてしま
い手網で捕獲できない場合がある。また、洞窟などの場合、規模が大きく、内部構造が
複雑で調査者が発見できない場所にコウモリが潜んでいる場合もある。このような時は、
あらかじめ薄明薄暮時に出入り口にてコウモリの出入洞があるかどうかを観察し、別の
日にその場所でハープトラップ、かすみ網(哺-23)を用いて捕獲してもよい。
但し、出入り口において、これらの捕獲器具を用いた調査は細心の注意を払わない
と、多大な生息妨害を及ぼし、ねぐら放棄に至る場合もあるため、十分に注意する必要
がある。
No.
[調査方法]
調査時には、安全管理上の理由から、ねぐら内に調査員と補助員の2名以上、ねぐら
入り口に非常時の連絡役1名以上の最低1パーティ3名以上で実施する。
調査は、昼間にコウモリを騒がせないようにねぐらに近づき、ハンドネット(手網)
をコウモリに損傷を与えないように下から被せる。天井が低く、コウモリがトーパー
(休眠)状態で、手で捕獲できる場合は、噛まれないように手袋を装着し、手でコウモ
リの体全体を包み込むようにして天井面から爪をとりはずす。その後、捕獲個体から、
必要最小限のデータ(種の同定、雌雄、成長段階、外部計測値など)を収集し、休眠し
ていた場所にもどす。但し、冬眠期と考えられる時期には捕獲しない。
分類3
現地調査
ねぐら内での捕獲法
[調査時期]
コウモリが利用するねぐらは、季節毎にその場所を利用する種や個体数が変化するこ
とから、コウモリ相を正確に把握するためには四季を通じて調査する必要がある。よっ
て、個体数が推移する時期を推定して実施していくのが望ましい。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
コウモリが利用するねぐらは、季節毎にその場所を利用する種や個体数が変化するこ
とから、コウモリ相を正確に把握するためには四季を通じて調査する必要がある。よっ
て、個体数が推移する時期を推定して実施していくのが望ましい。
分類1
動植物
哺-25
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・52 -
分類1
動植物
哺-28
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
GPSテレメトリー法
出典:コウモリ類の手引き(案)(平成18年、国土交通省)(一部改変)
軒下をナイトルーストとして利用する例
出典:平成19年度 四国森林管理局委託事業滑床山・黒尊山国有林のニホンジカによる
森林被害に関する調査報告書(No.327)
GPSテレメトリー首輪
GPS首輪脱落装置
[調査方法]
GPS テレメトリー法のうち、事例No.327の調査対象種ニホンジカの例を以下に示す。
調査地において、ニホンジカ個体を生体捕獲し、野生動物調査用のGPS テレメトリー
首輪を装着する。GPS テレメトリーは、従来のVHF ビーコンをアマチュア無線用受信機
等で追跡する、いわゆるハンディ・テレメトリー法に比べ、装置は高価であるが、精度
の高い衛星データを自動で測定・蓄積することができ、調査効率を飛躍的に向上させる
ことができる。
使用するGPS テレメトリー首輪は、カナダLotek Wireless 社製GPS3300S に、首輪回収
時の脱落を確実にするための脱落装置を追加して装着する。
なお、麻酔銃による生体捕獲及び首輪装着の作業は高度に専門的な技術を要するもの
であり、また学術研究目的の捕獲および麻酔薬の使用等にあたっては法令に基づく許可
手続きが必要であることから、これらの業務を遂行するに足る技術と経験および必要な
免許等を有する事業者に業務委託を行う。
GPS 首輪を装着して放獣した後、首輪から補助的に発信されるVHF ビーコンを随時受
信することにより、個体の位置をおおよそ把握することができる。また首輪には、個体
が一定時間以上動かなくなったことを検出するモータリティ・センサーが組み込まれて
おり、これが作動した場合にはVHF ビーコンのパルス間隔が短くなって、個体の異常を
知ることができる。
GPS 首輪は、正常に動作していれば、装着前に入力してあるスケジュールに従って測
位を行い、データを蓄積する。
No.
[調査方法]
コウモリは種によって、ある特定の場所を夜間の一時的な休息場(night-roost)とし
て利用することがある。このような一時的な休息場でコウモリ類の捕獲を試みる。
ナイトルーストでは、休息のほか、排泄やグルーミング、待ち伏せして飛翔昆虫を探
査し、近づいてきた昆虫を捕獲するといった採餌行動も確認されている。また、数頭が
利用する場合は、小群塊の形成や他個体への誘引飛行などの社会的な行動も観察されて
いる。
このようなことからコウモリにとって、ナイトルーストの存在は大きな意味を持つも
のと考えられる。ねぐら調査時の状況をみて、ナイトルーストとなりそうな場所がある
場合は調査を実施し、ナイトルーストの事業の実施との関連性も分析する。
分類3
現地調査
ナイトルースト調査法
[調査時期]
調査時期に規定なし(以下の事例No.327では最長約1年間を予定)。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
調査適期は、活発な行動がみられる初夏から晩夏である。
調査時間は、最も活発に活動する日没1時間前から開始し、日没後2時間程度を目安
に実施。
分類1
動植物
哺-27
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・53 -
分類1
動植物
哺-30
調査手法
分類2
哺乳類
糞粒法
分類3
現地調査
よって、推定生息数は約41個体と推定される。
N=23×37÷21=37×1.11=41.07
(累積記号個体数を1割増しにした数値に近い)
ここで、リンカーン指数0.9に近い第4日目に適用する
と、
出典:森林野生動物の調査-生息数推定法と環境解析-(森林野生動物研究会、1997)、
平成10年度ツシマヤマネコ稀少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.349)。
個体番号の付け方の例
罠設置のための方形区
記号放逐法による推定の例
出典:森林野生動物の調査-生息数推定法と環境解析-(森林野生動物研究会、1997)
サンプルの糞数の整理
サンプリングの例
推定生息密度の求め方
上式の原理に基づき推定密度を出すが、糞の見分け方、数え方等に要領がいる。
単位面積(ha)当たりの糞粒数をかぞえる方法はサンプリング(標本抽出法)の要領
で行えばよい。
例えば、サンプリング・プロットの大きさ2m×2mとする。このプロット(区画)
を無作為にいくつかとる。調査の結果を整理し、まとめ、次に平均と標準偏差を求め
る。調査サンプルからサンプル当たりの糞粒数の平均を出し、ha当たりの糞粒数に換算
する。これを1日1匹の排糞粒数で割り、推定生息密度を求める。ここではトウホクノ
ウサギの排糞粒数を用いた例を下図に示す。
[調査方法]
ノウサギのようにかぞえやすい糞を排泄する動物で、その排泄箇所が機会的に分布し
ている動物に適用できる。1匹の動物の1日に排泄する糞粒数に個体群としてみると正
規分布をしており、平均値、標準偏差で表すことができる。したがって、野外において
単位面積(ha)当たりの糞粒数を測定できれば、その糞粒数を1日の平均排泄糞粒数で
割ることによって生息密度が推定できる。
No.
[調査方法]
生け捕り罠(シャーマン型トラップなど)を一定間隔に配置して、捕獲を行い、捕獲
個体に記号をつけ、その捕獲地点で放す。これを数日繰り返していくと次第に記号個体
が増え、そこに生息する全個体に記号をつけることになる。調査期間中に全個体のうち
どの程度までに記号がつけらているか判断するのに、記号個体と未記入個体との割合を
示すリンカーン指数(Lincoln index) を用いる。これによって生息数を推定する方法
が考えられている。
この方法は、捕獲個体に記号をつけ、放し、再度捕獲できることから、生息数を調べ
る他に、各個体の齢、性、繁殖状況、行動圏の大きさ、また個体群の移動、分散、社会
構造などの生態的研究法としても用いられている。
調査対象をネズミとすると、生け捕り罠(シャーマン型トラップ)を方形区状に配置
する。罠の間隔はおおよそ10mがよい。これはネズミの行動距離などを考慮した経験的
なものである。通常1日に1回の捕獲を3、4日間行う。捕獲個体には番号をつけ、捕
獲地点で放逐する。
捕獲個体を新個体(未記入個体)、記号個体にわけ、整理する。
リンカーン指数が1になれば全個体に記号をつけたことになる。生息数が多いとき、
調査数3、4日目では、この指数がなかなか1に近づかない。このときに指数と累積記
号個体数の関係から、指数1の場合の累積記号個体数(生息数)を推定することになる。
リンカーン指数(Y)と累積記号個体数(X)をプロットすると両者は二次曲線を描く
が、実際では不規則なのが普通である。経験的にリンカーン指数0.9辺りの累積記号個体
数を1割増しにした数値が生息数に近いと考えられ、この方法が実際よく用いられる。
分類3
現地調査
記号放逐法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.349では10月と12月に連続して各3晩設置)。
分類1
動植物
哺-29
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・54 -
調査手法
分類3
現地調査
航空機によるセンサス法(単純直接観察法)
分類2
哺乳類
エゾユキウサギの密度推定の例
*但し、全地域の生息数の算定にあたっては、重複する数の補正が必要となる
が、ここでは省略する(出典参照)。
(下表参照).
ビュッフォン法による密度の推定
出典:森林野生動物の調査-生息数推定法と環境解析-(森林野生動物研究会、1997)
飛行調査線の例
ヘリコプターによる撮影写真
中央線
日本の複雑な地形、植生条件での航空機調査では観察幅を
一定に設定することが実際には困難である。このため調査結
果は、調査距離当たりの観察数としてあらわすことも多い。
但し、航空機センサスでは発見率は通常100%にならない。
特に、森林帯の調査では発見率は低下する。このため、発見
率が検定できる場合は、観察個体数の補正を行う。
N=n/p、D=N/A
N:補正された生息数
n:観察個体数
p:発見率
A:調査面積(飛行距離と調査幅から求める。)
出典:野生動物調査法ハンドブック(自然環境研究センター,1996)
地形区分に対応した飛行方法
飛行機センサスと調査幅
とする。このとき、調査面積(A)と生息密度(D)はm観
察幅を考慮して以下のように推定する。
A=W×L、D=n/A
A:調査地面積
W:観察幅
L:飛行距離
n:最小観察数(飛行距離当たり観察数)
最小観察個体数法では、観察数を調査地の最小推定生息数
単純直接観察法による生息密度の推定
①調査機材
調査用の軽飛行機あるいはヘリコプターの借り上げ、双眼鏡、地図スケール、調査表、
テープレコーダー(音声による記録)。
②飛行方法
ライントランセクト飛行と旋回飛行が基本となる。地形区分に対応して、ライントラ
ンセクト飛行では平坦な地形のところで、旋回飛行は山地・丘陵地で行うのが一般的で
ある。
③作業量
観察条件により異なるが、1日当たり4時間から最大8時間ぐらいの飛行調査が可能
である。しかし、長時間飛行観察を行うと後半には疲労により発見率が低下する。
④調査幅
航空機センサスの調査計画では、観察幅を考慮する必要がある。軽飛行機を利用した
場合は、地上高度1000フィート(約330m)程度を標準として、調査幅が設定される。但
し、調査幅は地形や植生、積雪状況によって変化するため、調査地状況に対応した設定
が必要である。
[調査方法]
調査地域全域について航空機(軽飛行機あるいはヘリコプター)による動物の直接観
察を行う。これにより、生息数の推定(調査地(生息地)面積で割れば生息密度とな
る)、個体群の構成(性別、年齢構成)、生息地選択性などが調べられる。
分類1
動植物
哺-32
[調査方法]
本調査は、エゾユキウサギの生息数をビュッフォン法に基づいて行われた調査により
示す。調査地は、札幌近郊の長さ88km、幅6km、面積52,800ha を対象とし、ベル206B
型ヘリコプターを用いて、平均時速120km、平均高度50.4m、調査線の間隔1.5kmの線上
を飛行し、飛行直下の足跡を撮影する。この撮影には、ミノルタα9000(レンズ50mm)
35mmカメラ2台を交互に使用し、インターバロメーターによって11秒(約366m)に1枚
の割合で撮影する。これに使用したフィルムはフジカラープリント用ディライトタイプ
(ASA100、36枚撮り)である。
足跡本数の測定は、直接フィルムによらず、85mm×116mm のサイズに拡大された写真
によって行う。
測定の対象となる足跡は、写真の中央線(写真の長辺に平行して当てた、真ん中の直
線)と交差する新しい足跡のみとし、その他のものはすべて除くものとする。
No.
[調査時期]
航空機センサスでは、対象動物の発見率が調査成果を左右する。このため、森林地帯
では落葉期で積雪のある時など発見率が最も高い時期に調査を設定する。
分類3
現地調査
ヘリコプターセンサス法(ビュッフォン法)
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、積雪後の冬季に実施する。
分類1
動植物
哺-31
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・55 -
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
野外でのDNAサンプルの採取法
(生体からのサンプリング)
出典:平成17年度 自然再生推進モデル事業報告書(No.72)
①サンプリング
調査対象地域内の調査ルートを踏査し、中型動物類の糞を目視にて確認し、ビニール
袋に回収する。ただし、糞に決して素手でさわらないように注意する(人獣共通感染症
などの問題があり)。この際、サンプリング場所を地図上に記録したり、糞の分散状況
や雨による洗脱状況などを記録し、さらに写真撮影を行う。
②分析
サンプリング後の糞サンプルは冷凍庫で保管され、数量が一定程度集まった段階で冷
凍状態で発送され、解凍・乾燥処理された後に乾式方法で内容物の同定作業を実施する。
③データ整理
内容物のデータ整理を行い、分析・解析作業を行う。
出典:保全遺伝学(小池裕子・松井正文、2003)
[調査方法]
捕獲動物を生きたまま再放逐する場合には、できるだけ動物に影響を与えないように
最少量の試料採取にとどめる必要がある。個体を生かしたまま採取することができるサ
ンプル組織としては、血液・粘膜組織および体毛などがよく用いられる。
動物にもっとも安全な方法は、口内粘膜や直腸粘膜を採取する方法である。口内粘膜
の場合には、唾液ではなく頬の内面を綿棒で擦り取るように採取する。直腸粘膜も直腸
内面を擦り取るようにする。その綿棒の先だけを切断して、あらかじめRSB 緩衝液
(lOmM Tris-HCl pH7.4、lOmM NaCl、25mM EDTA)400μ を入れたマイクロチューブに
入れる。このRSB 緩衝液は、常温でも試料の保有が可能で、野外での試料採取に適して
いる。口内粘膜試料には食物残渣が、直腸粘膜には便が多少混入するが、種特異的なプ
ライマーを用いることによって目的DNA のみを増幅することができるので、DNA 分析に
はさしつかえない。
良質なDNA を採取するためには血液がもっとも適している。ただし、赤血球に核をも
たない哺乳類では核DNA の量がやや制限される。PCR 法を利用する場合、必要なDNA 量
はそれほど多くないので、毛細血管から採取することもできる。エタノールなどで局部
を消毒した後、滅菌済のメスで傷をつけ、毛細血管からしみ出た血液を綿棒などで少量
(通常30~100μ 程度)採取する。口内粘膜の場合と同様に、あらかじめRSB 緩衝液を
入れたマイクロチューブにその綿棒の先を切断し保管する。
核DNA の分析や保存用サンプルとして大量の血液を採取する場合には、注射器を用い
て静脈から採血する。採血量は体重の1%以下にとどめるのがよいとされている。哺乳
類の場合には上腕静脈か大腿静脈が採血しやすい。鳥類の場合には、翼の根元にある上
腕静脈から比較的容易に採血できる。ウミガメのように体部が甲羅などで覆われている
動物の場合には、やや危険であるが頚静脈から採血する方法がとられている。なお、血
液凝固防止剤のヘパリンはPCR によるDNA 増幅を阻害するので、DNA 分析には使用でき
ない。かわりに最終濃度10mMに調整したEDTAを加えるか、あるいは高純度エタノール
(99.5%)中に血液を保存してもよい。
体毛・羽毛・卵などを採取するのも動物への影響が少ない方法である。これらのサンプ
ル採取は、しっかり体内に着装しているやや大型のものを1本ずつ抜き取る。
体毛は毛根細胞がついていることを確認し、毛根部のみを切断して、合計数本を
RSB 緩衝液入りのマイクロチューブに保管する。羽毛も同様に、羽軸の根元のみを切断
してマイクロチューブに保管する。
分類1
動植物
哺-34
[調査方法]
本調査は、現地でのフィールド調査でサンプリングされた糞の内容物を分析し、内容
物から食性傾向を明らかにすると同時に、各環境の利用頻度、対象種から見た地域的特
徴、同一ニッチ利用の他動物との関係、調査展開のための基礎データの蓄積などの解明
や実施に努め、対象種の自然環境の現状を把握することを目的としている。
分類3
現地調査
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
哺乳類
糞採集
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.72では1年間におけるサンプリングを実施)。
分類1
動植物
哺-33
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・56 -
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
現地調査
野外でのDNAサンプルの採取法
(死体からのサンプリング)
出典:保全遺伝学(小池裕子・松井正文、2003)
フィールドにおけるDNAサンプルの採取例
出典:保全遺伝学(小池裕子・松井正文、2003)
[調査方法]
サンプリングの対象が死体の場合には、大量かつ確実に試料を採取できる利点があり、
保存用 DNA試料として、あるいは研究開発に必要な特殊な分析に用いることもである。
ただし、腐敗が進むとDNA分解酵素(DNase)の作用でDNAが分解される場合もある。
とくに傷口ではDNA分解酵素が多く、DNAの回収率が下がることがあるので注意する。
対象となる組織としては、筋肉や心筋、あるいは肝臓組織が標準的に用いられる。それ
らを冷凍保存する場合には、必要量を切り出し、ポリ袋にサンプル名を明記して速やか
に収納する。常温で保管する場合には、これらの組織をエタノールが内部にまで浸透す
るように1cm角程度に切り出し、十分量の70%以上のエタノールに入れる。実験室内に
おいて、速やかに内部まで浸透するように、さらに細断して保管する。
病理組織は、病原体DNA/RNA検査のために、DNase/RNaseを不活性化するよう冷凍液あ
るいは液体窒素中に保管し、速やかに分析するのが望ましい。
分類1
動植物
哺-36
[調査方法]
絶滅危倶種や危急種の場合には、その動物を発見することや捕獲すること自体が困難
をともなう。大型哺乳類に対しては、バイオプシー(biopsy)とよばれる採取器を打ち
込んで生体組織の一部を採取する方法があるが、正確に標的に打ち込むには専門的な技
術が必要である。DNA 用のサンプルとしては、フィールドで発見される対象動物の糞や
食痕も利用できる。陸上哺乳類の糞のサンプリングは、糞全体をもち帰るのではなく、
新鮮なものは、綿棒を用いて糞表面の黒い粘性の膜(腸粘膜残渣)のみを擦り取り、RSB
緩衝液入りのマイクロチューブに保管する。時間が経過し乾燥したものでも、糞表面に
黒い粘性の膜が認められれば、分析試料として使える。ゾウなど大型晴乳類の乾燥糞の
場合は、糞表面約3cm径をナイフなどで削り取りホイルに包んで保管し、実験室で黒い
粘性の膜部分のみを約3~5mgくらいていねいに採取し、抽出に用いる。ただし、DNA
は紫外線に弱いので、日のあたらない陰の部分から採取したほうがDNA の収率がよい。
食痕からの試料採取も同様に、動物の口内粘膜を含む部分を綿棒で擦り取り、 RSB 緩
衝液入りのマイクロチューブに保管する。このような糞や食痕のサンプルの場合には、
個体の特定ができないという欠点があり、対象動物の生態的特徴をよくふまえたうえで
サンプリングするのが肝要である。対象種によっては、糞の大きさから幼獣か成獣か、
糞の分布状況から単独行動個体か群れ個体かがわかる場合があるし、また、特有のマー
キング行動をする動物もいる。これらの場合には、発見状況の特徴などをできるだけ記
録しておくのがよい。
その他、フィールドでは、対象動物の脱落体毛や羽毛が発見されるが、生体から採取
される生きた細胞を含む試料とは異なるので、DNA 抽出もより高度な技術が要求され
る。ウミガメや鳥などの卵もDNA サンプルとして利用できる。孵化中に死亡した個体の
場合には、組織試料の一部をハサミなどを用いて切り出し、70%エタノールに保存す
る。また、未受精卵の場合には、卵殻の内側にある卵膜のみを取り出し、十分な量の
70%エタノールに液浸し保存する。これは主として卵膜の表面に付着している残渣を用
いるもので、母親由来であるがミトコンドリアDNA の分析にはさしつかえない。孵化後
の卵殻も表面が腐敗していなければ、孵化個体由来のDNA 残渣が付着していることが多
いので、試料として使用できる。
卵殻をそのままアルミホイルに包み保管しておき、実験室内で卵殻の外表面を70
%エタノールなどを用いてよく洗浄し、付着物のついている卵殻内側を削り取るか、
あるいは卵殻片約5mgを細断し、抽出用試料とする。
分類3
現地調査
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
哺乳類
野外でのDNAサンプルの採取法
(フィールドでのサンプリング)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
哺-35
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・57 -
分類1
動植物
哺-38
調査手法
分類2
哺乳類
DNA解析法
分類3
室内分析
出典:平成9年度 ツシマヤマネコ稀少野生動植物保護管理対策調査報告書(No.348)
ツシマヤマネコの糞内容物(60サンプル)の例
各分類群の餌動物の出現頻度(%)
各分類群の餌動物の出現頻度
用語説明
出典:平成19年度 四国山地緑の回廊モニタリング調査報告書(No.198)
【複対立遺伝子】
人の血液型(ABO 型)のように、ある一つの遺伝子座に3種類以上の対立遺伝子
が存在する遺伝子をいう。マイクロサテライト領域にはこの複対立遺伝子が多く認
められることから、個体識別などを効率よく行うことができる。
【マイクロサテライトDNA】
細胞内の核にあるDNA 領域で、1-5 塩基からなる短い配列が繰り返して構成され
る部位を示す。進化速度が速いため、複数のマイクロサテライト領域を分析するこ
とで、個体ごとに異なる遺伝情報を得ることができ、個体識別の判定に使われる。
【核ゲノム】
生物の細胞を構成する細胞小器官の核に含まれる遺伝情報(ゲノム)をいう。
⑤さらに、雌雄判別を行うために性染色体DNA 解析を行う。
④ツキノワグマと判定された場合は、核ゲノムにおけるマイクロサテライトDNA
解析を行い、個体識別のデータベース作成を試みる。
③得られた塩基配列をDNA データベースと相同性検索を行い、各配列の動物種
を特定する。
②体毛の動物種を特定するため、チトクロームb遺伝子領域(一部)のPCR 増
幅を行い、遺伝子配列を決定した後、遺伝情報処理ソフトを用いて配列解析
を行う。
①体毛を1サンプルから1本または数本を取り出し、毛根側から0.5cm 部分を
切り取り、DNAエキストラクターFMキット(和光純薬)を用いてDNA抽出を行
う。
[調査方法]
調査対象をツキノワグマとした調査方法のうち、体毛によるDNA 解析法を示す。
採取した体毛について、以下の手順でDNA 解析を行う(詳細は出典参照)。
No.
[調査方法]
現地調査時に採集された糞を水またはアルコールで洗浄し、未消化の内容物を取り出
し、同定する。哺乳類については、各骨から個体数を算出する。
分析結果は、糞から確認された内容物の出現頻度を百分率(%)で示す。この出現頻
度とは、分析した糞のうち、何個の糞から各々の分類群の内容物が確認されたかと言う
ことを示す数値である。したがって、1個の糞からいくつかの餌動物が出現した場合に
は、それぞれ1と数える。
分類3
室内分析
糞分析(食性分析)
[調査時期]
体毛の採集のための現地調査は、気温が低く乾燥しており、DNA 解析が容易な冬季が
最もよいが、高温多雨の時期には設置数を多くし、見回り間隔を10日以内に短縮する必
要がある(哺-20参照)。
分類2
哺乳類
調査手法
[調査時期]
調査時期の規定なし(事例No.348では12月~翌年7月までのサンプリングを実施)。
分類1
動植物
哺-37
No.
調査手法解説表(哺乳類)
- 資・58 -
分類1
動植物
鳥-2
調査手法
分類2
哺乳類
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
また、調査区域周辺における狩猟対象鳥類、狩猟期間、猟区、(特別)鳥獣保護区、
銃猟禁止区域等についても文献(都道府県等による鳥獣保護区等位置図等)をもとに整
理する。近年、狩猟のよく行われている場所の情報が文献に有った場合も整理する。
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の鳥類相、重要種、
外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情報を
中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係る文
献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
資料調査は、当該保護林の概要を把握するため、対象保護林に関連する各種資料を収
集・整理するものである。
収集資料は、関係図面、GIS データ、動植物に関する文献資料、法規制等に関する資
料、社会環境等に関する資料、保護林関係資料、既存モニタリング調査に関する資料等
に分類される。
対象保護林が小面積の場合(1,000ha 未満)、該当保護林自体に関連する文献や資料
が見つからないことも想定されることから、対象保護林の中心から外側へ概ね2km 拡げ
た範囲についての資料を収集するものとする。この場合、対象を拡げた部分に民有林が
存在する場合、保護林周辺の公有林の配置状況を把握するため、都道府県、市町村に問
い合わせるなど、民有林を公有林と私有林に区分した図面(公有林の位置図)の有無を
確認しある場合は、その図面を収集する。
調査対象保護林の現況を把握するためには、最新の資料を収集する必要がある。
一方、古い資料も過去との比較分析に役立つ。特に古い資料は散逸しやすいため、モ
ニタリング調査の機会に出来る限り収集して整理しておくことが望ましい。
文献の収集は、施業実施計画図の情報を基に、林野庁、森林管理局、森林管理署等、
内部で揃うであろうもの、存在する可能性の高い資料を中心に収集するのが効率的であ
る。
森林生態系保護地域においては、設定時に設定委員会を開き、報告書が作成されてい
るので、これら報告書、資料、議事録等を収集し確認する。また森林管理局が独自に該
当保護林で調査したものがないか収集し確認する。
更に、学術参考林時代の調査資料、林業試験係等の調査報告等、及び森林計画編成時
の現地調査の結果等が、管轄の森林管理署等に存在する可能性もある。研究機関等が保
護林内で実施した調査については、試験地契約((独)森林総合研究所)、入林許可証や
調査計画書等手続き書類が森林管理署に提示されていることから、森林管理署とも連絡
をとり、保護林や保護林周辺での既存調査の情報や文献の収集に努める。
他省庁については、環境省の調査として保護林内での調査が想定される。特に、自然
環境保全基礎調査の特定植物群落調査は、保護林において実施されていることが多いた
め、重複関係の確認に努める。
研究機関等での調査の文献については、必要に応じて、地元の動植物に詳しい学識経
験者や、当該地域の野生動植物に関心の高い団体・個人等の協力や助言を得て資料の収
集作業を行うのが望ましい。
また、都道府県や市町村でも動植物について独自の調査を行っている場合があり、
貴重な資料となるので、担当部署に問い合わせをするなど情報や資料の収集に努める。
分類3
文献調査
資料整理(保護林)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施し、調査対象保護林の概要の把握および現地調査手法の検討を行
う。
分類1
動植物
鳥-1
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・59 -
No.
分類1
動植物
鳥-4
調査手法
分類2
鳥類
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑧その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の鳥類相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を整
理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、該当地域の猟友会の会員等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案)ダム湖版(生物調査編)(一部改変)
ラインセンサス法の実施状況
[調査方法]
ラインセンサス法は、歩きながら調査定線(センサスライン)周辺に出現する鳥類の
姿または鳴き声によって種、個体数及び位置を確認する方法である。調査定線は地形、
植生等を考慮し、調査地区内を把握できるよう1調査地区あたり1kmのラインを設定す
る。
設定した調査定線上を、ゆっくりした速さ(時速1.5~2.5km程度)で歩きながら、約
7~10倍の双眼鏡を用いて観察を行う。観察幅は片側25m(計50m)を基本とする。見
通しがよい箇所については観察幅を調査地区の範囲内で適宜広げてもよいが、記録する
際はデータを区別しておく。
なお、樹林内の調査地区では、基本的にラインセンサス法を実施することするが、流
入河川、下流河川で実施されるスポットセンサス法とのデータ比較を念頭におき、1km
の調査定線の途中3箇所(およそ250m・500m・750m 地点)において、スポットセン
サス法を実施する(鳥-11 参照)。
ただし、調査地区が狭く、1kmの調査定線がとれない場合は、3箇所のスポットセン
サス法のみ実施する。また、観察した範囲を1/2,500 平面図等に図示しておく。
各地方における調査時期の目安
分類3
現地調査
ラインセンサス法
[調査時期]
現地調査は、繁殖期と越冬期の年2回以上実施する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
鳥-3
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・60 -
分類3
現地調査
線センサス(帯センサス)
No.
分類1
動植物
鳥-6
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
ラインセンサス法/定点法
出典:砂防における「自然環境調査マニュアル(案)」平成3年 建設省
[調査方法]
調査地内にあらかじめ調査定線(1km以上5kmぐらいまで、直線でなくてよい)を設
け、その両側の定められた幅内に出現する鳥類を記録する。その幅は、林内では40~50
m、見通しの良い土地は適宜増大する。密度を求めるには、その観測幅と定線距離をか
けてセンサス面積を算出する。
線センサスは、地理的位置や標高の違いを考慮し、予備調査により十分に検討して、
対象ルートとする。
調査手順の例
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
③調査範囲外でも範囲内で記録さ
れていない種が記録された場合
については、範囲内と同様に調
査野帳へ記録し「範囲外」の欄
にチェックマークを付ける。
②記録は、調査野帳に従い個体数、
観察形態(姿、地鳴き、さえず
り)、行動(繁殖の有無等)を
調査野帳に記録する。
2.定点調査
①ラインセンサスの起点及び終点
に定点観察地点を設定し、各30
分間の観察を行うとともに、出
現した鳥類を記録する。繁殖期
の日没後に実施する夜間調査で
は、各地点15分間の観察とする。
[調査方法]
1.ラインセンサス調査
①あらかじめ設定したコースを時速1.5~2.0kmで歩き、コースの両側100m (片側
50m)及び上空50mの範囲内に出現した鳥類を双眼鏡もしくは目視、声等によっ
て同定し調査野帳に記録する。
②出現した鳥類について、種、個体数、観察形態(姿、地鳴き、さえずり)、行動
(繁殖の有無等)を調査野帳に従い記録する。
③調査範囲外でも範囲内で記録されていない種が記録された場合については、範囲
内と同様に調査野帳へ記録し、チェックマークを付ける。
地域ごとの調査時間の目安
[調査時期]
調査時期は、繁殖期及び越冬期の2回を基本とする。各地域の調査実施期間および調
査時間は、下の表を参考に設定する。
地域ごとの調査期間の目安
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期の規制なし。
分類1
動植物
鳥-5
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・61 -
No.
分類1
動植物
鳥-8
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案)ダム湖版(生物調査編)(一部改変)
定点法の実施状況
[調査方法]
定点センサス法は調査定点にとどまり周辺の鳥類を確認する方法である。警戒心が強
く、調査者がしばらくじっとしていないと観察できないような種や展望が広い場合に適
している。
エコトーンやその他(地形改変箇所・環境創出箇所)の調査地区においては、基本的
に定点センサス法で調査を行う。調査地区の主要な環境を観察できるように1~3箇所
の調査箇所を設置する。調査地区の主要な環境を観察できる展望箇所があれば、調査箇
所を必ずしも調査地区内に設定する必要はないが、観察半径は50mを基本とするため、
あまり離れた場所に設定しないようにする。
また、観察道具は約7~10倍の双眼鏡及び約20~30倍の望遠鏡(スポッティングス
コープ)を用いて観察する。個体数の多い場合には数取器(カウンター)も併用する。
調査時間は、1調査箇所につき30分とする(ただし、流入河川、下流河川で実施され
るスポットセンサス法とのデータ比較を念頭におき、10分以内と10分以降で記録を区別
しておく)。
なお、広い範囲を行動圏とする大型の種(オオタカ、クマタカ等の希少な猛禽類やコ
ウノトリ等)について重点的に把握したい場合は、必要に応じて「広域定点における調
査」(鳥-9参照)等を実施する。
各地方における調査時期の目安
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
定点法(水と緑)
出典:砂防における「自然環境調査マニュアル(案)」平成3年 建設省
[調査方法]
見通しの良い場所に一定時間(10分程度)とどまり、出現する全ての種及び個体数を
確認・記録する。固有な環境の利用状況を観察する場合に有効と思われる。
[調査時期]
調査時期の規制なし。
分類3
現地調査
定点法(ポイントセンサス法)(河川水辺)
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、繁殖期と越冬期の年2回以上実施する。
分類1
動植物
鳥-7
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・62 -
分類3
現地調査
広域定点における調査法
No.
分類1
動植物
鳥-10
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
鳴き声録音法
出典:国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル 平成15年(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案)ダム湖版(生物調査編)(一部改変)
・記録係は、必ずイヤホンを付け、録音状況を確認しながら録音を行う。また、録音前
に、どの程度の録音状況であれば再生時に聞き取りが可能かどうかを確認しておく。
・録音には、指向性の高いマイクを使用し、マイクを音源に向けて、最も感度のよい方
向で録音するようにする。
なお、以下に録音時の注意を示す。
・録音は、専門家が後で作業をし易いように、テープレコーダーの場合には一定時間の
空白を入れて、必要な箇所を検索できるようにしておく。MDレコーダーの場合は、1種
の録音を終了したら必ず一度停止させてトラックを変え、再度録音を行うようにする。
[調査方法]
①繁殖期のラインセンサス及び定点観察の各調査において鳥の声を録音する。
②定点調査では、調査時間内に出現した鳥類について、識別した場合・できなかった場
合にかかわらず、可能な限り1種につき1回の録音を行う。
③ラインセンサスでは、識別できなかった種について、可能な限り録音を行う。
④専門家もしくは鳥類識別の熟練者が調査に参加する場合には、録音する必要はない。
⑤録音の前には、記録した場所、日時等が後で判るよう、鳥の声を録音する前に以下の
項目を録音する。
ア.録音の日時
イ.調査内容(ラインセンサス、定点観察、繁殖期の夜間定点)
ウ.調査地、場所(調査地名、往路・復路もしくは起点・終点)
・鳥の声は、それが連続して発声されている場合には、1種につき30秒程度録音する。
また、同じフレーズ(一連の発声、例えばホーホケキョなど)を何度も繰り返している
場合は、2フレーズ以上録音するようにする。
地域ごとの調査時間の目安
1.定点の配置
観察するための定点は、基本的に見晴らしの良い(視野の広い)場所に設定する。そ
の際に、過去の猛禽類調査の定点等があればそれを参考とする。重点的に把握したい種
やつがいに合わせて地点を設定する。さらに以下の様な観察目的にあわせて、定点を設
定、変更する。
・つがい(または個体)の行動圏や行動圏内部構造の把握
・隣接つがいとの境界の把握
・既知の巣のある営巣林の観察による営巣中か否かの把握
・幼鳥の発見による繁殖成否の把握
また、近日の出現状況により発見しやすい場所に適宜変更する。既存の定点で目的と
する地域が観察しづらい場合は、定点探しの踏査を実施して、より良い定点があった場
合は定点を変更する。
2.観察方法
調査員は各自無線機(トランシーバー等)を携帯し、各定点には1~2人の調査員を
配置し、出現している尾根や谷の位置や飛翔高度などの出現情報を連絡し合いながら、
同一個体の追跡(連続観察)がスムーズにできるよう心がける。
①観察時間
観察時間は、重点的に把握したい種が活発に活動する時間帯(多くのタカ目では日
中)とし、数時間~8時間程度の定点観察とする。
なお、登山等で長時間の徒歩が必要な定点やダムサイトからかなり遠い定点は、安全
上あまりにも早朝や夕暮れ時の移動は危険のため、他の定点より観察時間を短くする。
また、出現状況等によっては、定点観察の代わりに一部の調査員により踏査を実施し、
新たな定点候補探しや、繁殖に関する情報(巣の発見や巣の状況、雛の状況等の確認)
を調査してもよい。ただし巣に近ずく場合は親鳥が警戒して営巣を放棄しない様に細心
の注意を払う。
②調査機材
観察には約7~12倍程度の双眼鏡と約20~30倍程度の望遠鏡(スポッティングスコー
プ)を併用する。
③記録項目
重点的に把握したい種が出現した場合は、種名、出現位置(とまり地点、飛行軌跡)、
出現時刻、行動(餌運び、巣材運び、ディスプレイ、探餌、とまり等)等を調査票(形
式は任意)に記録する。また、個体識別に有効な外部形態の特徴(羽根の欠損や個体と
しての特徴的な模様)や性、年齢が観察された場合はこれらも記録する。
[調査方法]
広い範囲を行動圏とする大型の種(オオタカ、クマタカ等の希少なタカ目やコウノト
リ等)について重点的に把握したい場合は、必要に応じて実施する。
地域ごとの調査期間の目安
[調査時期]
調査時期は、繁殖期及び越冬期の2回を基本とする。各地域の調査実施期間および調
査時間は、下の表を参考に設定する。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査対象となる大型の種(オオタカ、クマタカ等の希少なタカ目やコウノトリ等)に
ついて、各生活史を考慮し、必要に応じて実施する。
分類1
動植物
鳥-9
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・63 -
No.
分類1
動植物
鳥-12
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
集団分布地調査法
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
スポットセンサスの調査範囲
[調査方法]
スポットセンサス法とは、決められた移動ルート(道路等)にて、一定間隔ごとの定
点において短時間の個体数記録(センサス)を繰り返す手法である。すなわち定点での
短時間の個体数記録の後、再び一定間隔だけ移動し、次の調査定点で同様の個体数記録
を行い、これを連続して行う方法である。スポットセンサス法により比較的短時間で多
くの調査地域を観察できるため、下流から上流までの広い地域において、河川の縦断方
向におおむね連続して、どの地域にどのような種類(鳥類相)がどの位(定量)いるか
について把握することができる。さらに各調査箇所(観察範囲)の植生等の環境をその
鳥類の生息する場としてとらえ、場と鳥類の関係を把握することができる。
①現地調査にあたっての体制
調査は、なるべく2名1組とし、一人が識別し一人が識別の補助と記録とし、調査箇
所間の移動手段は、調査効率のよいものとする。
②記録範囲
ア.観察半径
スポットセンサス法の調査対象範囲は、河川の堤外地側の法肩間とする。
ただし無堤区間、山付き区間は、河川区域までを調査対象範囲とする。
さらに 、その中で、観察定点から河川内の半径200m までを主に記録し、200
m超については同定できた場合に記録する。
イ.ダブルカウントの防止
同一個体を重複して記録しないように以下の点に留意する。
ウ.水際が対岸からのみ観察できる場合
観察者からの死角に鳥類がいて対岸の調査員から観察できる場合は、対岸か
ら観察し記録する。その際、調査票には「右(又は左)岸側を代理記録した」等
の旨を記録し、両岸でのダブルカウントにならないように留意する。現地調査
票の電子入力やとりまとめの際には、調査員の立っている側ではなく鳥類が確
認された側で種・個体数等を作表、集計する。
エ.観察時間
観察時間は10分間とする。記録終了後、調査票に記録漏れがないかを確認し
次の調査箇所に移動する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案)ダム湖版(生物調査編)(一部改変)
②調査方法
調査区域全域を対象に、鳥類の集団分布地の位置と状況(種名、個体数、年齢、巣の
数、利用樹種等)を記録する。該当分布地が見える1~数点の観察定点からの観察など
が有効である。
ただし、定点から見えにくい場所がある場合は適宜調査員を移動させ、個体数等を把
握する。繁殖地・営巣地については、むやみに立ち入ると営巣放棄の原因となるため、
警戒心の強い種では離れた場所から確認する等、注意して調査する。
ただし、何羽以上ならば集団分布地であるという定義はない。作業効率の向上と全国
で調査レベルを統一するため、本調査で記録対象とする集団とその確認個体数(1集団
あたり)の目安については、出典を参照。
なお、特定の場所への依存度が低い(場所の選択性が低い)または集団性が低い(分
散しやすい)集団は本調査からは除く。
・特定の利用形態(繁殖地、ねぐら、採餌等)で特定の場所(木、岩場、干潟、湿地、
水面、砂礫地、構造物等)を利用している。
・同じ群が同じ場所を一定期間、ほぼ毎日、集団で利用していると思われる。
①調査対象
鳥類の集団分布地の内、本調査で対象とする集団分布地は以下の条件を満たす場合と
する。
[調査方法]
集団分布地調査は、調査区域内の鳥類の集団分布地の分布とその鳥類の生息状況をお
おまかに把握する調査である。調査にあたっては、調査自体の影響による営巣放棄や分
布地の撹乱等を防ぐため、できるだけ鳥類を驚かさないように努める。調査内容は下記
のとおりである。
[調査時期]
①調査時期
集団分布地は種毎・利用形態毎に確認しやすい時期が違い、場所や時期の年変動もあ
るので、他の調査の調査時期だけでは分布状況が把握できないことがある。このような
場合は、集団分布地の調査に適した時期、日数、地区等を予め設定し、調査を実施する。
他の調査時期に併せて把握できる集団分布地があれば同じ時期に調査を実施する。
②調査時間帯
調査時間帯については調査対象の種類と利用形態(繁殖地、ねぐら、越冬地、中継地
など)を考慮し、観察しやすい時間帯を設定する。例えば、ねぐらであれば、日の出頃
や、日没頃に調査するのが望ましい。干潟で採餌するシギ・チドリ類ならば干出時に調
査する。また、終日その場所を利用または営巣が観察可能な集団分布地(コアジサシの
集団繁殖地等)では、記録さえ取れれば、時間帯はいつでも良い。
分類3
現地調査
スポットセンサス法
各地方における調査時期の目安
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、繁殖期と
越冬期の年2回以上実施
する。
分類1
動植物
鳥-11
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・64 -
分類3
現地調査
プレイバック法
No.
分類1
動植物
鳥-14
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
ドラミング定点調査法
出典:平成19年度 やんばる地域稀少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.127)
[調査方法]
事例No.127のヤンバルクイナを対象とした調査では、一回の調査につき、ヤンバルク
イナ2羽によるさえずり(キョキョキョと聞こえる甲高い鳴き声:デュエット)の音源
を約10分間に5回再生し、反応を記録する。記録は各プレイバックの試行ごとに行い、
反応があった場合はその調査実施地点からの方角と距離、個体数を記録する。音源の再
生には防水スピーカーとMP3プレイヤーを用いる。
なお、調査を夜間に実施することから、安全確保のために調査実施地点は農道や県道
などの道路脇に設定する。
出典:平成19年度 やんばる地域稀少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.127)
複数のドラミングの区別について
[調査方法]
事例No.127の調査対象種ノグチゲラの例を以下に示す。
調査地域の地形図を参照し、なるべく見晴らしのよい地点(尾根肩、頂上など)で、
各地点からの見晴らしを合わせるとほぼ調査対象全体がくまなく見渡せるように、定点
観察地点を選び、現地へ行って地図上で選んだ地点の付近で梢端近く、あるいは周囲の
樹冠の上からの視野を得ることが可能な高木を探し、樹上まで登れることを確認する。
必要ならば、ロープ、あぶみ、縄梯子等を設置し、調査開始時の夜明け前の暗いうちに
安全かつ容易に樹上へ登るための補助手段とした。樹上での観察、記録作業を容易にす
るために、必要に応じて踏み板や、体を固定確保するためのザイル、ハーネスを用い
る。見晴らしが確保できる地点や適切な観察用樹木がない場合や、樹上に登って調査で
きる調査員の確保ができない場合には、樹上等の定点の補足観察が得られると考えられ
た林内の歩道及び調査地内の林道上を、地点定点とする。
調査員は、事前に調査定点の下見及び必要な場合には、調査のための準備をし、調査
当日は夜明け前の暗いうちに調査定点まで到達して、ノグチゲラのドラミングの聞こえ
た位置、あるいは定点からの方角とおよその距離を地図上に記し、同時にドラミングの
音質と回数、記録時間を記録用紙に記す。必要に応じて、無線機、携帯電話、ヘルメッ
ト、安全ベルト類を用いる。ドラミングの音質としては、高低及び「鈍い」、「乾い
た」や「ゴトゴトゴト」、「カララララ」、「ココココ」など調査員の印象に基づく擬
音の文字での記録を併用する。
各調査員の時計は事前に正確に合わせ、複数の調査員によるドラミングの記録を時間
と位置とドラミングの音質で照合できるようにする。
調査終了直後に、調査員全員が集まり、時間経過に従って全員の記録を照合し、複数
の調査員が重複して記録したドラミングの時間と位置を推定し、整理する。そのことに
よって、調査地域で確認されたドラミング個体(あるいはつがい)の最低数を推定す
る。
なお、複数のドラミング記録地点及びドラミング記録を、同一のつがい、または同一
の個体によって行われたドラミングと考えるか、別のものと判断するかは、以下の基準
に従って区別する。
[調査時期]
事例No.127の調査対象種ノグチゲラでは、繁殖期に盛んにドラミングを行うことが知
られており、その中心的な時期である3~4月に調査を実施するのが適当。
なお、調査時間は、夜明けから2時間~3時間半実施する。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.127では、冬季に2地点で、12月14日19時16分~20時27
分と20時58分~22時23分に実施している)。
分類1
動植物
鳥-13
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・65 -
分類3
現地調査
長時間録音調査法
No.
分類1
動植物
鳥-16
調査手法
分類2
鳥類
出典:平成18年度 やんばる地域稀少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.124)
(一部改変)
長時間録音用Hi-MDを密閉容器にセットした状態
[調査方法]
長時間録音調査法のうち、事例No.124の調査対象種ヤンバルクイナの例を以下に示す。
調査は、1日以上の長時間にわたって録音を行い、ヤンバルクイナの鳴き声が録音さ
れていないかを確認する。長時間(24時間超)録音可能な録音装置を昼間に適切な場所
に設置し、設置後すぐに録音を開始し、24時間以上が経過した翌日以降の昼間に回収す
る。
録音時間は、ヤンバルクイナが最も良く鳴くと思われる夕刻と早朝に録音されている
ことが望まれる。将来的には、ヤンバルクイナの鳴く頻度の高い時間帯のみを調査する
ことも考えられるが、調査方法を確立できていない現状においては、24時間以上の時間
について録音することが必要と思われる。
夕方の午後4時に録音を開始した場合でも、翌朝までには14時間ほどあるため、長時
間の録音が可能な録音装置が必要である。SONYのHi-MDであれば、1GBのディスクで最
高録音時間が約2,040 分(34時間)が録音可能であることから、これを利用する。ただ
し、内臓電池だけでは稼働時間が約9時間程であるため、外部電源も併用(オキシライ
ド乾電池単3×4本)する。なお、録音装置としては、野外に設置することから故障や
盗難が想定されるため、より安価であることが望ましく、その点からも、当該録音機を
選定。
設置場所は、録音の音質を確保するため、風が当たりにくく、比較的広い範囲を見渡
すことができ、渓流の音などが入りにくい場所が適しており、こうした条件に合った場
所を選定する。
出典:平成17年度 雷別地区鳥類調査報告書(No.19)
夜間鳥類調査の調査状況
[調査方法]
夜行性の鳥類を対象とし、日没直後から2時間一定箇所にとどまり、主に鳴声による
種の確認を行う。調査地点は環境を勘案し、地点を設定する。
分類3
現地調査
夜間鳥類調査(定点観察法)
[調査時期]
調査時期に規定はなし(事例No.19では、10月に実施)。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.124によれば、長時間録音調査は12月から延べ5回実
施)。
分類1
動植物
鳥-15
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・66 -
分類3
現地調査
直接観察法
No.
分類1
動植物
鳥-18
出典:道路環境影響評価の技術手法 第3巻 2007 改訂版 [調査方法]
調査地域内を踏査して、目視または鳴き声等で確認された種をすべて記録する方法で
ある。
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
巣箱調査法(シマフクロウ)
出典:平成6年度 シマフクロウ稀少野生動植物種保護管理事業のあり方に関する調査報告書
(No.211)
シマフクロウの巣箱の例
[調査方法]
巣箱調査法のうち、事例No.211の調査対象種シマフクロウの例を以下に示す。
①巣箱の設置箇所及び位置の条件
シマフクロウが生息している地域、または今後移動分散してシマフクロウが生息可能
な地域、これらの地域でシマフクロウが営巣可能な大きさを持った樹洞の有無を調査し、
その地域がシマフクロウの生息に適地と判断され、営巣可能な樹洞が複数ない場合に
限って巣箱を設置する。
②巣箱の設置場所
河川、湖沼の近くに設置することが重要である。しかし、いくら河川等に面していて
も、魚影の薄いところでは利用は低くなる。また、地形もかなり影響し、河畔に近い氾
濫原よりも河畔段丘上、または段丘斜面が適地である。
巣箱を設置する場所の環境は、広葉樹林帯の林中が最も適しているが、針広混交林、
または針葉樹林であっても広葉樹林帯との接点付近であれば、可能となる。
巣箱を設置する樹種は、針葉樹、広葉樹どちらでもよいが、広葉樹林帯がシマフクロ
ウの生活圏であるため、広葉樹に設置する方が好ましい。
巣箱を設置する高さは、樹幹部の鬱閉度、周辺部の直径20cm以上の樹間距離によって
多少変わってくるが、地上高5mから10m位がよいと思われる。また、巣箱はかなり重く、
そして風を受けやすいため胸高直径50cm以上の木に設置する。
③巣箱の形状
・巣箱の材料
木材、紙、強化プラスチック、天然樹洞の輪切り。
・形状
サイコロ型、四角柱から十角柱、円筒型。
・大きさ
内径を600mmから700mm位にする。側面の断熱材の厚さを20mmから30mm位にする。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
鳥-17
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・67 -
分類1
動植物
鳥-20
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
自動車センサス法
出典:平成10年度 オガサワラカワラヒワ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.256)
水場で水飲みと水浴するオガサワラカワラヒワ
この式によって、水場を訪れた総個体数Xを推定する。
ただし、X:推定総個体数
A:訪れた延べ個体数
m:標識個体数
M:標識個体が訪れた延べ回数
X/A=m/M
X=mA/M
出典:平成9年度 アマミヤマシギ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.333)
[調査方法]
自動車センサス法のうち、事例No.257の調査対象種アマミヤマシギの例を以下に示す。
アマミヤマシギの生息密度を調べる方法として、夜間の自動車センサスが主に用いら
れている。広い地域を調べる必要あることや、ハブに噛まれる危険があることのほか、
何より、人が歩いて行くとアマミヤマシギはずっと遠くで逃げてしまうが、自動車だと
ライトを当てたまま割合近くまで近づいて観察(確認)できる利点がある。
調査は、時速10km程度でゆっくりと走りながら、会った個体を数え、逃げるまでの間、
各個体の特徴や行動を記録する。また、林道上で番や幼鳥、ディスプレイ(つがい形成
や繁殖活動に関連した誇示行動)、個体間の外見の変異などが観察され、そうした記録
から社会性や生活史の一部を推測することができる。
No.
[調査方法]
再捕獲法(足輪)のうち、事例No.257の調査対象種オガサワラカワラヒワの例を以下
に示す。
オガサワラカワラヒワが水場を訪れた個体数の推定を行うため、捕獲した個体に足輪
をつけて標識し、放鳥する。この時標識して放鳥した個体のうち、水場を訪れる標識個
体と未標識個体で、水場を訪れる回数に差はないと仮定すると、この標識した個体が一
日に何回訪れているかによって、以下の式により、その日に訪れた総個体数を推定でき
る。
分類3
現地調査
再捕獲法(足輪)
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.333では、3月と6月の2回、日没後から夜明けまで、
3月は計228.7km、6月は計317.9kmの区間で実施)。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.257では、経年的に4月に標識し、観察を実施)。
分類1
動植物
鳥-19
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・68 -
分類1
動植物
鳥-22
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
夜間調査法
出典:平成9年度 アマミヤマシギ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.333)
発信機を装着したアマミヤマシギ
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)、
平成19年度「にしんの森再生プロジェクト」推進支援業務報告書(No.233)
[調査方法]
夜間に調査範囲内を踏査し、夜間の鳥類の行動を調査する。
例えば、夜行性のフクロウ類の生息を確認したいのであれば、フクロウの生息環境を
踏査し、鳴き声等により生息を確認する。
また、調査範囲や記録すべき項目は、調査目的に合わせ適宜設定する。
なお、夜間に人家周辺を踏査する場合には、住民に迷惑がかからないように注意する
必要がある。
No.
[調査方法]
ラジオ・テレメトリー法のうち、事例No.333の調査対象種アマミヤマシギの例を以下
に示す。
林道上を自動車でゆっくりと走り、道の上に降りているアマミヤマシギをタモ網で捕
獲し、受信機を装着する。なお、捕獲には、環境庁長官(当時)から「国内希少野生動
植物種捕獲等許可証」及び「鳥獣捕獲許可証」を取得する。
発信機は、カナダのホロヒル社製のRI-2B型で、重さは13.5g。厚い貨幣状の本体に
ネックレス式の装着紐が着いており、首に掛けて装着し、ダグロン製の紐が一定期間の
間に摩耗して切れるようになっている。電池寿命が22ヶ月あり、冷温帯地方においてそ
の程度の期間に脱着するように作られているが、亜熱帯で温度の高い奄美大島ではより
短期間に脱落する恐れもある。
電波の受信は、無指向性の車載ロッドアンテナと指向性の3素子の八木アンテナを用
いて行う。ロッドアンテナでは、車で移動しながら広い範囲から受信可能な位置を推定
することができる。
また、八木アンテナでは、受信機の感度(スケルチ)を絞りながら、電波がやってく
る方向を15~30度程度の方位の範囲で特定できる。地形の条件がよければ、調査者から
みた発信機装着個体のいる方向が判明する。受信位置を変えて、この方向探知を繰り返
すことによって、受信方法の交叉する範囲として個体の位置を推定する。地形によって
は反射波が受信されることがあり、適切な判断には地形の判読と経験が必要になる。し
かし、条件がよければ、受信機の強度の変化や受信方向の変化によって個体の活動状態
もある程度推定できる。
分類3
現地調査
ラジオ・テレメトリー法
[調査時期]
調査目的に合わせ適宜設定する(事例No.233では、6月と10月の2回実施)。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定はなし(事例No.333では、発信機装着のための捕獲作業を兼ねて、冬
季に12月と1月末~2月初めの2回、12月は計240.2km、1月末~2月初めは計119.5km
の区間で実施)。
分類1
動植物
鳥-21
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・69 -
分類3
現地調査
羽毛および足跡痕跡調査法
出典:昭和61年度 知床国有林の動物に関する調査報告書(No.226)
分類2
鳥類
出典:昭和61年度 知床国有林の動物に関する調査報告書(No.226)
調査手法
[調査方法]
羽毛および足跡痕跡調査法のうち、事例No.561の調査対象種シマフクロウの例を以下
に示す。
シマフクロウの生態を調査するために、羽毛および足跡痕跡により調査を実施する。
シマフクロウは、特徴的な羽毛および足跡痕跡を残す。一般的に生息地では換羽期の6
~8月は羽毛が落下するため、羽毛の確認は生息の直接的な証拠となりえる。また、足
跡については生息地域では川べりの砂地や泥地、雪の上に確認されることが多く、これ
も生息の直接的な証拠になる。ただし、羽毛の確認は生息状況があまりわかっていない
地域では難しく、また、調査地が川岸のほとんどが礫主体であると、足跡の確認は難し
い。
分類1
動植物
鳥-24
[調査方法]
ランダムセンサス法(任意線状調査法)は、全域にわたり踏査する必要のある調査に
有効である。
事例No.226では、天然林内を時速1km内外で進行しながら、調査路の両側およそ各30
m、計60mの幅と上空等に出現する鳥類を姿、または声によって確認し、種と個体数を
記録する。
なお、近接日による調査路の重複は避ける。
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.561では、5月から翌3月にわたり延べ22日間実施)。
分類3
現地調査
ランダムセンサス法(任意線状調査法)
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.226では、1月から3月にわたり延べ13日間実施)。
分類1
動植物
鳥-23
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・70 -
分類3
現地調査
テリトリー・マッピング法(観察マッピング法)
分類2
鳥類
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)
調査手法
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)
分類1
動植物
鳥-26
[調査方法]
主にテリトリー数やその位置の概要を調査する場合に用いられる。タイム・マッピン
グ法が特定の時間間隔で確認地点を記録するのに対し、本調査方法は、調査対象種の行
動や移動地点について随時記録していく違いがある。タイム・マッピング法(鳥-25 参
照)の簡易的手法と考えられる。
調査は、囀っていた地点、その個体がその後に移動した経路、なわばり争いをした地
点とその地点とその勝敗等について、確認された地点を随時地図上に記録していく。こ
れを数時間続けた後、確認地点等を整理し、別個体・同一個体はそれとわかるように整
理すると、各個体の行動圏、テリトリーが把握できる。
調査地点は、調査対象種の生息環境を考慮し、設定する。
記録すべき項目は、特に大切なのは、囀りの位置、なわばり争いとその勝敗、および
別個体・同一個体がそれとわかるように記録することである。このほか、行動、移動経
路等を詳細に記録する。
なお、ラインセンサス法(鳥-4参照)やタイム・マッピング法(鳥-25 参照)と併用
すると有効である。
No.
[調査方法]
主に行動圏やテリトリーを調査する場合に用いられる。この方法を用いると正確な行
動圏やテリトリーの数・広さ・位置等が把握できる。また、時間を等間隔にとっている
ため、行動圏内のどこをどの位利用しているかの評価や、どのような行動がどのくらい
ずつ行われているのかを評価できる利点がある。
調査は、調査対象種について一定の単位時間(例えば、2.5 分や5分)ごとに、確認
した個体の位置を地図上に記録していく。これを数時間続ける。この際、その時の行動
(囀っていたのか、移動していたのか等)を合わせて記録するほか、複数の個体が確認
された場合には、どの個体とどの個体が異なる個体なのかも明記しておく。
調査地点は、調査対象種の生息環境を考慮し、設定する。
記録すべき項目は、特に大切なのものとして、囀りの位置、なわばり争いとその勝
敗、および別個体・同一個体がそれとわかるように記録することである。このほか、行
動、移動経路等を詳細に記録する。
なお、テリトリー・マッピング法(鳥-26 参照)と併用することにより、個体の移動
経路やなわばり争いの位置等が記録されれば、さらに詳細な結果が得られる。
分類3
現地調査
タイム・マッピング法
[調査時期]
この方法は普通、繁殖期の行動圏・テリトリーを調査する場合に用いられることが多
い。この場合、囀り行動の活発な繁殖期前半に行うことが望ましい。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
この方法は普通、繁殖期の行動圏・テリトリーを調査する場合に用いられることが多
い。この場合、囀り行動の活発な繁殖期前半に行うことが望ましい。
分類1
動植物
鳥-25
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・71 -
分類3
現地調査
定点法(河川水辺)
No.
分類1
動植物
鳥-28
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
バンディング調査法
出典:平成5年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案) (生物調査編)
地区センサス法の例
[調査方法]
この方法は、ヨシ原や草原など、一様な環境の所の調査に適している。
ヨシ原や草原などに一定面積の区画を設定し、その区画の中を方眼に再分割して、そ
の升目の周囲を巡るか、中に踏み込むか、地形によってどちらかの方法で順次調査して
いく。
中に踏み込む場合は、鳥類の繁殖の妨害となることがあるので、繁殖期は避けるよう
にする。
再分割した升目ごとに、種類と出現個体数を記録する。古巣や巣立ちビナを確認した
場合は、その位置を記録する。
出典:野生動物調査法ハンドブック((財)自然環境研究センター、1996)
渡り鳥調査では、渡り鳥集結地で多数個体の捕獲作業が必要となり、かすみ網による
捕獲作業効率は調査員の熟練度に依存する。
[調査方法]
鳥類調査では、標識調査はバンディング調査法(足輪装着法)として広く使われてい
る。鳥類バンディング調査は、足輪をつけ個体識別することからおもに以下の目的に利
用される。
・渡りルートの調査
・渡り鳥の毎年の回帰数・率などの調査
・個体識別による行動圏、行動習性などの観察および生息数推定
調査機材は、かすみ網(哺-28 参照)、キャノンネット(火薬、その他を使い投げ網
式ネットで捕獲する(大型鳥用)、足輪(種類、個体の大きさに対応した足輪を用意す
る)、双眼鏡(行動圏観察の場合など)を用意する。
[調査時期]
行動圏調査では、繁殖期に最低1週間から数週間の調査が必要となる。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
現地調査は原則として春夏秋冬の4回行う。
現地調査の時期については、調査対象河川ごとに学識経験者の助言や過去の調査結果
を参考に、あらかじめその地域における鳥類の渡り、繁殖等の実情に応じた季節移動型
別の鳥類の生息状況を盤理し、多様な鳥類相を確認するのに通した時期に設定する。
また、河川における鳥類の繁殖の有無を把握しておくことは重要となるので、それぞ
れの地域で繁殖を確認するのに適した時期を外さないようにとくに注意する。
原則的には、夏季に現地調査を行うことによってその地域で繁殖する鳥類を把握し、
冬季の現地調査によりその地域で越冬する鳥類を、春・秋の現地調査で調査対象河川を
訪れる渡り鳥を把握する。調査時期によっては確認できない渡り鳥があり、必要に応じ
て調査回数を追加することが望ましい。
調査時間は、区画の大きさによって異なるが、おおむね30分程度を目安とする。
分類1
動植物
鳥-27
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・72 -
分類3
現地調査
かすみ網法
No.
分類1
動植物
鳥-30
調査手法
分類2
鳥類
分類3
現地調査
繁殖種確認のための調査法
出典:野生動物調査法ハンドブック((財)自然環境研究センター、1996)
カスミ網の編み目サイズと適用できる鳥類
[調査方法]
小~中形鳥類の捕獲調査に用いる。およそハトより小さい鳥類を効率よく捕獲するこ
とができるため、バンディング調査(鳥-27参照)には広く使用されている。ただし、現
在は販売、所持、使用とも環境省長官の許可が必要である。カスミ網は長さ6mまたは
12mのものがよく用いられ、捕獲対象の大きさにより編み目にいくつかの種類がある。
小鳥の捕獲には、36mmのものが最もよく使われる。
出典:野生動物調査法ハンドブック((財)自然環境研究センター、1996)、
種の多様性調査 鳥類繁殖分布調査報告書(環境省、2004)。
第6回自然環境保全基礎調査の繁殖に関わる基準
観察事項の判定基準
繁殖可能性の基準
[調査方法]
調査地域における繁殖種を調査する。
例えば、ラインセンサス(鳥-4参照)等の調査の際に必要な項目を記録することによ
り、他の調査で兼ねることができる。
調査範囲は、基本的には調査範囲全域とし、記載すべき繁殖行動の内容は以下の第6
回自然環境保全基礎調査における繁殖可能性の基準及び観察事項の判定基準を参考にす
るとよい。
[調査時期]
主な繁殖期である春季及び夏季に実施する。しかし、一部の猛禽類のように冬季に繁
殖行動が確認される場合もあるため、適宜実施する。
分類2
鳥類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
鳥-29
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・73 -
分類3
現地調査
No.
分類1
動植物
鳥-32
出典:平成7年度 オオタカ保護管理対策に関する調査研究報告書(No.279)
アオゲラ・アオゲラによるものと思われる生活痕の概要の例
[調査方法]
生活痕(食痕、巣穴もしくはねぐら穴)による調査法のうち、事例No.279の調査対象
種アカゲラ、アオゲラの例を以下に示す。
事例No.279では、生活痕の調査は、アカゲラ、アオゲラの営巣に利用されることの多
いサクラ類を中心とする広葉樹と枯損木を対象に、センサスルート沿いの左右それぞれ
50m程度の範囲を調査する。
現地調査は、アカゲラによるものかアオゲラによるものかは判別できないが、アカゲ
ラ大のキツツキによると思われる生活痕(食痕、巣穴もしくはねぐら穴)のある立木の
状態を記録していくものである。
調査時期等の例
調査手法
分類2
鳥類
分類3
室内分析
食性分析法(ペリット分析法)
出典:野生動物調査法ハンドブック((財)自然環境研究センター、1996)
トラフズクによる捕食餌個体数
[調査方法]
鳥類の食性分析では、よくペリットが材料として用いられる。ペリットはワシタカ
類、フクロウ類、サギ類、モズ類、カラス類などの鳥類が不消化物を胃から吐き出した
ものである。採集は巣内や巣の周辺、止まり木などで行う。採集の際、似たペリットを
出す種や哺乳類の糞との混同に注意を払うことが必要である。ペリットほど一般的では
ないが、昆虫食の種ではカワガラス、果実や種子を食べるカラス類、ヒヨドリ、ムクド
リ、キツツキ類などで糞に残る未消化物を利用した食性調査ができる。決まった場所で
餌を食べる種は、残し餌でも食性を知ることができる。フクロウ類やワシタカ類では残
し餌(食跡)も食性調査のよい材料となる。
例えばトラフズクの巣からペリットを採集し、トラフズクの繁殖期における食性分析
を行う場合、ペリットは1個ずつ小さなビニール袋に入れ持ち帰える。その後、乾燥機
により、40~50℃で乾燥し、シャーレ上で70%メチルアルコールをかけ骨質部と毛に分
離する。餌動物の同定はおもに頭骨によって行う。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
鳥類
生活痕(食痕、巣穴もしくはねぐら穴)による調査法
(キツツキ類)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.279では、調査時期は11月に1回実施している)。
分類1
動植物
鳥-31
No.
調査手法解説表(鳥類)
- 資・74 -
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
文献調査
文献調査(森林施業)
出典:ダム事業におけるイヌワシ・クマタカの調査方法 改訂版
(財団法人ダム水源地環境整備センター、2009)
④生息環境の状況
森林の状況や餌動物の状況等を確認する。
③分布域、生息密度、繁殖状況の長期的変動傾向
②当該地域の個体群分布状況
当該地域が個体群の主要な分布域内にあるのか、辺縁部にあるのか、孤立した分布城
内にあるのかを確認する。
①当該地域に生息するワシタカ類の種類
ここではイヌワシ・クマタカ等に限らず確認する。
出典:オオタカ等の保護と人工林施業等との共生に関する調査研究(前橋営林局、1997)
①各種保護区の設定状況の確認を行う。
②環境省、研究機関、県、市町村、NGO 等の報告書、各種資料。
[調査方法]
間伐に限らず除伐、主伐、択伐、造林、枝打ち、下刈り等の施業、及び林業、作業道、
治山施設等の設置、修復工事に際して、事業予定地及びその周辺における、オオタカ等
猛禽類の生息情報を把握しておく必要がある。
既往情報の収集においては、以下のとおりである。
分類1
動植物
猛-2
[調査方法]
ワシタカ類の生息状況の概要を把握するために、文献調査を行う。把握しておくこと
が望ましい内容としては、以下のようなものがあげられる。ただし、文献の記述は、調
査目的、範囲、季節、手法、年代などが様々であり、調査地城に直接関わるものが少な
い場合や現状とはすでに異なっている場合も予想されるため、可能な範囲で整理してお
くものとする。
No.
[調査時期]
現地踏査の前に実施する。
分類3
文献調査
文献調査(イヌワシ、クマタカ)
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施する。
分類1
動植物
猛-1
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・75 -
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(森林施業)
聞き取り調査項目の例
聞き取り調査項目の例
出典:ダム事業におけるイヌワシ・クマタカの調査方法 改訂版
(財団法人ダム水源地環境整備センター、2009)
④生息環境の状況
③過去の生息状況(過去の営巣地点等)
②よく確認される地域や営巣地点等の位置情報
出典:オオタカ等の保護と人工林施業等との共生に関する調査研究(前橋営林局、1997)
①関係団体、住民、猟師からの聞き込みを行う。
②その際、識別ガイドを携行し生息する猛禽類の種名をできるだけ正確に確認する。
分類2
猛禽類
①生息するワシタカ類の種類
調査手法
[調査方法]
間伐に限らず除伐、主伐、択伐、造林、枝打ち、下刈り等の施業、及び林業、作業道、
治山施設等の設置、修復工事に際して、事業予定地及びその周辺における、オオタカ等
猛禽類の生息情報を把握しておく必要がある。
既往情報の収集においては、以下のとおりである。
分類1
動植物
猛-4
[調査方法]
当該地域におけるワシタカ類のより詳細な生息状況を把握するため、地元の関係者・
研究者から聞き取り調査を行う。
聞き取り項目と調査票の例については下表に示す。なお、この表の一例であり、聞き
取り対象に応じて工夫する。
No.
[調査時期]
現地踏査の前に実施する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(イヌワシ、クマタカ)
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施する。
分類1
動植物
猛-3
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・76 -
分類1
動植物
猛-6
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
現地調査
自然環境調査法(イヌワシ)
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
③行動圏
見通しのよい調査定点を複数設け、個体の飛行軌跡等の積み重ねにより明らかにする。定点
は、一般に観察できる視野は狭いが個体を発見しやすい谷の中と、発見しにくいが一度みつけ
ると長距離の追跡が可能となる稜線上におく。定点の間隔は地形等により異なるが定点で相互
に個体を十分に追跡できる距離とし、最大でも5km以内とする。定点問ではトランシーバーに
より連絡をとり、行動を継続して追跡できるようにする。
調査は月1~数回の頻度で継続して行い、特に11~12月頃と営巣期は個体を発見しやすく、
各種の重要な行動(ディスプレイ飛行、巣材運搬等)がみられるので、必要に応じて回数を増
やす。調査時刻はイヌワシの飛行に必要な風や上昇気流が発生しやすい日中、例えば9~16時
等、正午を中心に6時間以上とするのが適当である。なお、調査開始前に調査者全員の時計を
正確に合わせておくべきで、デジタル時計が都合が良い。
また、羽根の欠損状態や色(若鳥は翼に白部がある)、大きさ(雌の方が大きい)等をもと
に個体識別をしたうえで、行動を区別(旋回、滑空、採餌、止まり等)して、1/25,000等の地
形図に記録する。その際、複数の定点での調査結果を照合する等して、できるだけ正確に地図
に記録することが大切である。その場所のつがい以外の個体が侵入してくることもあるので、
この区別をするためにも可能な限り個体を識別したい。また、平面だけの記録ではなく、でき
れば大まかな飛行高度が判るような三次元での記録もとりたい。これは特に巣への出入りコー
ス等、巣の周辺で必要である。
②繁殖状況
巣の周辺では、イヌワシの行動を妨げないために、観察定点は1km以上の距離をおきたい。
望遠鏡等で繁殖の進行状況を確認できれば一番良いが、遠くからでは巣の中が見えない場合で
調査の必要があるなら、より巣に近づくこともやむを得ないが、その場合はブラインドを繁殖
期以前に設けたうえでイヌワシに見つからないよう出入りに配慮するなど、細心の注意を払い
ながら調査を行う。確認できればすぐに立ち去るようにする。決して無理に接近して繁殖に影
響がでるような事をしてはならない。親鳥の巣材や餌運び等の行動から繁殖の状況を判断する
ようにする。営巣期は親鳥が敏感になっているので、巣の周辺では月2回程度の調査とする。
この場合も、営巣中心域での調査は原則として行わないことが望ましいため、観察は十分な距
離をとる。
①営巣場所
巣の発見は容易でないことが多いので、行動圏の調査の中でイヌワシの行動を追跡すること
により見つけるようにするのが良い。この場合、対象の個体がその場所での繁殖個体なのか、
あるいは移動個体なのかを把握し、さらに個体の識別を行う必要がある。時期としては、12~
2月の造巣期や4~5月の育雛期の巣材や餌を巣へ運ぶ回数の多い時に発見できる可能性が高
い。運んで行く方向や、その時期の飛行頻度の高さ等から場所を絞っていく。その際、急傾斜
地の岩場や高木のある環境が目安となる。
なお、巣は複数あることが多いので、注意を要する。
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
えられる8~9月頃に現地調査を行う。
営巣中心域については、巣の状態や周辺の地形、植生等をより詳しく調べたい。また、判明
した行動圏全体の自然環境については、地形図や植生図等を参考に現地調査で補いながら明ら
かにする。
巣が見つかっていない場合は、営巣地となり得る急傾斜地の分布と冬期の採餌場所や餌動物
の供給源となる落葉広葉樹林等の分布状況を調べる。また、行動圏は主要な稜線で囲まれた大
きな谷であることが多いので、主要な稜線と谷の位置も把握する。
営巣環境については、イヌワシへの影響の多い営巣期を避け、比較的巣への関心が低いと考
イヌワシの自然環境調査について
[調査方法]
イヌワシの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは自然環境調査について、以下に示す。
No.
[調査方法]
イヌワシの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは生態調査について、以下に示す。
イヌワシの生態調査について
分類3
現地調査
生態調査法(イヌワシ)
[調査時期]
イヌワシの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
イヌワシの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類1
動植物
猛-5
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・77 -
分類1
動植物
猛-8
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
現地調査
生態調査法(クマタカ)
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
を調べる。また、土地利用図等で農林用地(農地、人工林)等の分布や面積を調べる。
なお、調査地への人の入り込み状況については、イヌワシの現地調査の際に、可能な範囲で
チェックする。
地形図等をもとに現地調査で補いながら、道路、集落、各種施設、送電線等、人工物の配置
イヌワシの社会環境調査について
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)(一部改変)
①営巣場所
対象の個体が移動個体なのか、繁殖個体なのかを把握する必要がある。このため、対象個体
が上空を飛行する頻度を確認するとともに、繁殖期前半(12~3月)に、求愛ディスプレイ、
巣材運搬等に注目して観察を行う。その結果、対象個体が頻繁に上空を旋回飛行する場合やこ
れらの繁殖行動が観察されれば繁殖の可能性が高いので、その後営巣地を特定するための調査
を行う。営巣地を特定するための調査では、大きな谷ごとに行動圏を持つことが多く、また巣
はその谷の斜面に生える大径木に造られているので、その谷を広く見通せる位置に調査定点を
確保する必要がある。1箇所で全体が見通せない場合には数か所の定点を確保する。それぞれ
の場所に人を配し、トランシーバー等で連絡を取り合う必要がある。波状飛行のディスプレイ
を行うのは11~12月頃が多く、また造巣期に上空を飛行することが多いので、ll~3月頃に調
査を行うのが効率的である。その後は、雛に餌を運ぶ時期に調査を行うのも効率的である。し
かし、一般に営巣木の発見は容易でないことが多い。したがって、営巣木を特定するために営
巣の可能性が高い地域内を踏査する場合には、繁殖中断の危険性を排除するため非繁殖期に行
うことが望ましい。
②繁殖状況
造巣中及び使用中の巣が見つかったら、月2回程度、繁殖の進行状況を把握するために観察
を行う。通常は、少なくとも巣から500m 以上離れた地上から望遠鏡を使い、30分程度の観察
で繁殖状況を確認し立ち去る。望遠鏡等で繁殖の進行状況を確認できれば一番良いが、遠くか
らでは巣の中が見えない場合で調査の必要があるなら、より巣に近づくこともやむを得ない
が、その場合は確認できればすぐに立ち去るようにする。決して無理に接近して繁殖に影響が
でるようなことをしてはならない。育雛行動等詳しい観察を行う場合は、前年使用した巣に対
し、秋頃に張っておいたブラインド等(少なくとも数百m以上離れた所で、谷の対岸になる)
に潜み観察を行う。この場合は造巣期抱卵期は避け、育雛期から行うこととする。ただし、巣
を発見したからといって造巣期以降に新たにブラインドを設置することはしてはならない。ま
た、事前に張っておいたブラインド等であっても、親鳥が執拗に警戒する場合や30分以上たっ
ても帰巣しない場合は、速やかに観察を終了する。食物や給餌物の調査が必要な場合は、営巣
確認を目的とした踏査の際に食痕を記録する他、採餌行動を目撃した場合にそれを記録する。
③行動圏
行動圏の把握には、見通しのよい複数の調査地点に調査員を配置し、トランシーバーで交信
しながら、双眼鏡、望遠鏡等で個体の追跡を行う(定点調査) 。クマタカを発見した際に
は、 1/25,000~1/10,000程度の地形図を使用し、飛行している個体の飛跡や確認地点を記入
する。それらを集めて書き写し、調査を何度か繰り返すことで行動圏が特定される。この場
合、個体の識別(雌雄別、成鳥幼鳥別)を行ったうえで行動を区別(ディスプレイ、採餌、止
まり、旋回、滑空等)して記録する。早朝と日没前後はクマタカが活発に活動することから、
終日の調査ができれば望ましい。頻度は月に1~数回は必要である。繁殖期(求愛期を含む)
には回数を増やすと良い。これらの調査の折には、無意識であっても生息しているクマタカに
圧力をかけている可能性もあるので、そのことを十分に配慮する必要がある。なお、巣外育
離・家族期における幼鳥は白く目立つ上、目立つ場所に止まっていることが多いため観察も容
易であり、巣立ちから独立・分散するまでの幼鳥の行動域の追跡調査を行うことも効率的であ
り、営巣中心域等の算出のための参考データとして利用できると思われる。
クマタカの生態調査について
[調査方法]
クマタカの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは生態調査について、以下に示す
No.
[調査方法]
イヌワシの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは社会環境調査について、以下に示す。
分類3
現地調査(/文献調査)
社会環境調査法(イヌワシ)
[調査時期]
クマタカの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
イヌワシの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類1
動植物
猛-7
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・78 -
分類2
猛禽類
分類3
現地調査(/文献調査)
社会環境調査法(クマタカ)
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
行動圏が知られていれば、その全域について、あるいは営巣地が特定できている場合には、
営巣地から半径1.5km 程度の範囲について、1/25,000~1/10,000程度の地形図、植生図、気象
に関するデータ等を入手して自然環境を調べる。
営巣地が確認されていない場合は、林相等から生息の可能性も検討する。
その際、現地調査も併用し、伐採の有無を含む林相の変化、樹高やまとまった樹林の分布状
況、傾斜などをチェックし、営巣地の特定や採餌場所等を知る手がかりを得る。
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
設、道路、送電線、鉄道の面積や現状等)、農業的土地利用状況(農耕地の面積や現状等)、
林業的土地利用状況(人工林・天然林の面積や現状等) 、法的規制、開発計画等を、現地調査
も併用して把握する。
なお、山菜採りや野外レクリェーション等の調査地への人の入り込み状況については、クマ
タカの現地調査の際に可能な範囲でチェックする。
地形図・土地利用図・航空写真等を入手し、各種の施設的状況(市街地、集落、レジャー施
クマタカの社会環境調査について
調査手法
クマタカの自然環境調査について
分類1
動植物
猛-10
[調査方法]
クマタカの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは社会環境調査について、以下に記述する。
No.
[調査方法]
クマタカの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは自然環境調査について、以下に記述する。
分類3
現地調査
自然環境調査法(クマタカ)
[調査時期]
クマタカの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
クマタカの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類1
動植物
猛-9
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・79 -
分類3
現地調査
生態調査法(オオタカ)
No.
分類1
動植物
猛-12
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
現地調査
自然環境調査法(オオタカ)
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)(一部改変)
①営巣場所
対象の個体が、越冬、漂行・移動個体なのか、あるいは繁殖個体なのかを把握する必要があ
る。このため、対象個体が上空を飛行する頻度を確認するとともに、繁殖期前半(1月)の定
点調査の際、雌雄の鳴き交わし、求愛・誇示ディスプレイ、交尾行動、巣材の運搬等に注目し
て観察を行う。その結果、これらの繁殖行動や対象個体が頻繁に上空を旋回飛行する場合が観
察されれば繁殖の可能性が高いので、その後踏査調査を行い営巣を確認する。巣を発見するに
は、造巣~産卵期の3~4月と巣立ち直後の6月下旬~7月が適している。特に3~4月は、
葉が十分伸び切っていないため林内の見通しも良く最適である。定点調査から、交尾行動が見
られた場所、雌雄の鳴き交わしが聞こえる場所、ディスプレイが見られた場所、出現頻度が高
い場所等に狙いをつけて林内を歩き、巣の発見に努める。その際、食痕、警戒声(ケッケッ
ケッとけたたましく鳴く)、古巣等に注意して、探索する。ただし、この時期は造巣~産卵・
抱卵期にあたるため、親鳥は大変神経質になっており、繁殖中断の危険性も高いので十分注意
する必要がある。したがって、調査頻度は月2回前後、調査時間は1回あたり3時間以内にお
さえるべきである。なお、親が警戒声を発しながら、上空を飛び回る時は、直ちに調査を中断
し、その場を離れるべきである。6月下旬~7月は、巣立ち雛が巣の周辺に留まり親に餌ねだ
りをするため大声で、けたたましく鳴くので、その周辺を探索する。この場合の注意点は上記
の場合と同様である。なお、平坦な歩きやすい地形であれば、最初から営巣確認を目的とした
踏査調査を行う方が効率的な場合もある。営巣環境については、非繁殖期に巣を中心に10~20
m程度の範囲内の高木及び亜高木の樹種、樹高、胸高直径、枝下高を記録する。草本層及び低
木層については平均的高さと主要種を記録する。草本層、低木層、亜高木層、高木層の被度を
例えば各25%の4段階で表示する。また、植生断面模式図を描く。
②繁殖状況
造巣中及び使用中の巣が見つかったら、月2回程度、繁殖状況を把接するための観察を行
う。通常は、巣から100m 程度離れた地上から望遠鏡を使い、数分の観察で繁殖状況を確認し
立ち去る。また、抱卵や育雛行動等詳しい観察が必要な場合は、事前に張っておいたブライン
ド等に潜んで観察を行う。ただし、親鳥が執勘に警戒する場合や抱卵期に30分以上たっても帰
巣しない場合は速やかに観察を終了する。
③行動圏
行動圏の把握には、見通しのよい複数の調査地点に調査員を配置し、トランシーバーで交信
しながら、双眼鏡、望遠鏡等で個体の追跡を行う(定点調査)。オオタカを発見した際には、
1/25,000-1/10,000程度の地形図を使用し、飛行している個体の飛跡や確認地点を記入する。
それらを集めて書き写し、調査を何度か繰り返すことで行動圏が特定される。この場合、個体
の識別(雌雄別、成鳥幼鳥別)を行ったうえで行動を区別(ディスプレイ、採餌、止まり、旋
回、滑空等)して記録する。早朝と日没前後はオオタカが活発に活動することから、終日の調
査ができれば望ましい。頻度は月に1~数回は必要である。繁殖期(求愛期を含む)には回数
を増やすと良い。これらの調査の折には、無意識であっても生息しているオオタカに圧力をか
けている可能性もあるので、そのことを十分に配慮する必要がある。なお、巣外育離・家族期
における幼鳥は白く目立つ上、目立つ場所に止まっていることが多いため観察も容易であり、
巣立ちから独立・分散するまでの幼鳥の行動域の追跡調査を行うことも効率的であり、営巣中
心域等の算出のための参考データとして利用できると思われる。
オオタカの生態調査について
[調査方法]
オオタカの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは生態調査について、以下に示す。
オオタカの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくとも繁殖が
成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含む1.5 年以上の調
査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛行軌跡等
のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討すべきである。
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
明らかになった行動圏、営巣木あるいは営巣木群の中心から半径1.5km の範囲について、
1/10,000~1/5,000程度の地形図、植生図、気象データ等を入手・検討し、自然環境を調べる
ことが効果的である。その際、現地調査も併用し、伐採の有無を含む林相の変化、樹高の変化
といったことをチェックし、採餌場所を知る手がかりを得る。
また、営巣木を中心におよそ200~400m程度の範囲内(なお、営巣木(古巣を含む)が複数
ある場合は、各々およそ200~400m程度の範囲すべてを含む地域)で、針葉樹林、広葉樹林を
問わず営巣適地である40年生以上(あるいは樹高15m、胸高直径25cm以上)の林の分布を把握
する。
オオタカの自然環境調査について
[調査方法]
オオタカの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは自然環境調査について、以下に示す。
[調査時期]
オオタカの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
分類1
動植物
猛-11
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・80 -
分類3
現地調査(/文献調査)
社会環境調査法(オオタカ)
No.
分類1
動植物
猛-14
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
地形図、土地利用図、航空写真等を入手し、都市あるいは各種の施設的状況(市街地、集
落、レジャー施設、道路、送電線、鉄道の現状等)、農業的土地利用状況(農耕地の面積や現
状等)、林業的土地利用状況(人工林・天然林の面積や現状等)、法的規制、開発計画等を現
地調査を併用して把握する。
なお、山菜採りや野外レクリェーション等の調査地への人の入り込み状況については、オオ
タカの現地調査の際に可能な範囲でチェックする。
オオタカの社会環境調査について
[調査方法]
オオタカの保護方策検討のための調査の実施には、生態調査、自然環境調査、社会環
境調査を実施する必要がある。ここでは社会環境調査について、以下に示す。
調査手法
分類3
現地調査
生息分布調査(イヌワシ、クマタカ)
分類2
猛禽類
出典:稀少猛禽類保護の現状と新しい調査法(阿部学、2001)
[調査方法]
調査は、定点観察により、複数の地点からの同時観察を行う。現地踏査により設定し
た各地点に調査1~2名を配置し、朝から夕刻まで観察を行う。ワシタカ類が確認され
た場合には、位置を図面に記録するとともに、種類、個体数、行動、観察時間、雌雄の
別、年齢、個体の特徴などを観察可能な限り記録する。特に、生態特性を念頭に置き、
行動の意味を意識しながら観察を行い観察記録を作成する。体色、模様の特徴、翼の欠
損部位など個体の特徴をできる限り把握し、個体識別に努める。また、探餌行動が確認
された場合には、探餌していた箇所の植生等についても記録する。観察には倍率8倍程
度の双眼鏡と倍率20~60倍程度の望遠鏡を併用する。調査時には、全員無線機を携帯す
る。ワシタカ類が発見された場合には、観察の妨げにならない範囲で、速やかに他の調
査員に種、個体数、確認地点等を連絡し、できるだけ複数の調査員が同時に個体を観察
するように努める。
①調査範囲の設定
調査範囲は改変地周辺だけでなく、地域個体群との関係についても、概要が把握でき
る程度の十分な調査範囲を設定する。具体的には、ダム湖では湛水区域を中心に隣接つ
がいを考慮して調査範囲を設定する。行動圏の境界は、尾根等で区分されることが多い
ため、調査範囲の設定の際には尾根の位置を考慮し設定するとよい。1つがいあたり、
2
2
イヌワシで数10~100km 、クマタカで12~13km 程度を想定する。
②観察定点の設定
観察定点の設定にあたっては、現地踏査を十分行った上で、観察地点からの視野図を
作成する。この際、観察地点は広範囲を見渡せる地点だけでなく、各谷部をチェックで
きる地点を含むこととし、できる限り多数の地点を設定する。各地点で作成した視野図
を重ね合わせていくことにより、最も効率的に調査が可能となる地点配置を選定する。
観察定点には、広範囲が見渡せる地点と各谷部をチェックできる地点を適宜組み合わせ
るとよい。ワシタカ類の調査の観察定点はその出現状況に応じて、適宜変更する必要が
ある。ただし、生息分布調査は、内部構造調査(猛-15 参照)とは異なり、どこにつが
いがいるかといった基礎データを収集することが重要であるため、観察定点はあまり変
更しない方が結果的によいデータが得られることが多い。生息分布調査では、分布して
いない範囲を把握することも重要である。
③調査日数
ワシタカ類を観察できる回数は少なく、調査時期、天候、繁殖の成否等の条件によっ
て観察頻度は大きく左右される。また、イヌワシは、3日に1日は盛んに行動すること
が知られていること、クマタカは、丸1日林内で動かないことがいわれていることを
考慮すると、1回の調査において最低でも3日以上の調査が必要であると考えられる。
④調査人数
1地点に1名でもよいが、広大な視野をもつ定点や複数個体が同時に出現することが
多い場所を観察する定点には、複数の調査員を配置するとよい。
生息分布調査は、飛翔の確認が比較的しやすく、最終的な繁殖の成否に関わらず繁殖に関する
行動が捉えやすい求愛期から造巣期にかけて実施することが望ましい。実施に際し、種、地域に
より生活サイクルが異なることに留意する必要がある。調査回数は、求愛期から造巣期にかけ2
回程度実施するか、同等のデータが得られる時期と回数を設定する。つがいの分布位置等のデー
タが十分得られなかった場合には、1繁殖シーズン以上にわたることもある。イヌワシ、クマタ
カの調査時間は最も観察しやすい10時~15時の前後1時間を加えた9時~16時頃を中心に、必要
に応じて早朝時間帯の調査を組み合わせる。
[調査時期]
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
オオタカの行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくと
も繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含
む1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類1
動植物
猛-13
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・81 -
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
現地調査
採餌環境調査
出典:稀少猛禽類保護の現状と新しい調査法(阿部学、2001)
③調査人数
1地点に1名でもよいが、広大な視野をもつ定点や複数個体が同時に出現することが
多い場所を観察する定点には、複数の調査員を配置するとよい。
②調査日数
ワシタカ類を観察できる回数は少なく、調査時期、天候、繁殖の成否等の条件によっ
て観察頻度は大きく左右される。また、イヌワシは、3日に1日は盛んに行動すること
が知られていること、クマタカは、丸1日林内で動かないことがいわれていることを考
慮すると、1回の調査において最低でも3日以上の調査が必要であると考えられる。
①観察定点の設定
観察定点は、生息分布調査結果に基づき、事業に関係すると考えられるつがいの行動
圏の内部構造が把握できるような地点とする。また、より詳細な行動を調査する必要が
あるため、観察定点は出現状況等により、適宜変更していくことが重要である。
出典:稀少猛禽類保護の現状と新しい調査法(阿部学、2001)(一部改変)
[調査方法]
採餌対象となる鳥類の現存量を把握するため、営巣林周辺の環境類型別にセンサス
ルートを設け、鳥類相を調査するとともに、センサスルートおよび周辺の林縁部等で猛
禽類の食痕の分布とその内容を調査する。
分類1
動植物
猛-16
[調査方法]
基本的な調査方法は、生息分布調査と同じであるが、生息分布調査では観察定点をあ
まり移動させないのに対し、内部構造調査ではより詳細な行動を調査するために、必要
に応じて観察定点を移動させる。
内部構造の調査においては、観察位置、頻度等の基本的なデータの他、場の持つ意味
の推定が可能となる指標行動の記録が重要となる。
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし(出典によれば、オオタカでは3月、5月、7月、9月に各2回
実施)。
分類3
現地調査
内部構造調査(イヌワシ、クマタカ)
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
ワシタカ頬は、繁殖ステージ毎に土地の利用パターンが変わる。このため、内部構造調
査では、繁殖ステ-ジを考慮し、必要に応じたデータをとる。
各繁殖ステージ(求愛期、造巣期、抱卵期、巣内育雛期、巣外育雛期・家族期)に1
回以上の調査が必要と考える。また、多雪地域では、造巣期、抱卵期の調査が困難とな
る場合があるため、求愛期や巣内育雛期の調査を増やすなど適宜対応する。
分類1
動植物
猛-15
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・82 -
分類1
動植物
猛-18
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
現地調査
巣内モニター装置設置調査法
出典:稀少猛禽類保護の現状と新しい調査法(阿部学、2001)(一部改変)
営巣地・非営巣地の森林構造のパターン区分の例
巣内モニター装置の設置の例
巣内モニター装置設置調査の手順について
出典:稀少猛禽類保護の現状と新しい調査法(阿部学、2001)(一部改変)
①調査機材
巣に設置するカメラは、 CCD超小型カメラ(スーパーマイクロカラーカメラ)である。巣につ
けるカメラヘッド(カメラレンズ)の他、カメラ制御器、カメラケーブルが必要である。ビデオ
デッキは、バッテリー駆動監視記録用ビデオデッキを使用する。映像を現地で見るためにモニ
ターテレビも必要である。巣には、カメラヘッドの他に防滴防風用のマイクを設置する。
ビデオデッキを置く場所は、テープ交換とバッテリー交換のためたびたび訪れるので、少な
くとも巣から2000m以上離れた場所が望ましい。距離に応じて、電源ケーブル、カメラケーブ
ル、マイク延長ケーブルが必要となる。小屋を作りその中にビデオデッキ等を入れるのがよい
が、防水性の大型プラスチックケースの中でも短期間の場合であったら可能である。車の入る
場所であったら草の中も考えられる。AC電源が使用できる場合には、これよりもはるかに便利
である。バッテリー交換の必要がないからである。また、家庭用の安価なビデオデッキでも録
画可能となる(ただし、3倍速まで)。AC電源の場合には、ACアダプターが必要となる。
②設置場所
設置にあたりまず重要なのは、カメラをどの位置に設置するかである。設置場所は、1)巣直
上の営巣木の幹、2)巣を斜め上から見下ろせる営巣木の枝、3)隣の木、さらに4)傾斜地の場合
には地上に台を設置しその上からといった4つの方法がある。
理想的なカメラの設置は、営巣木に直接設置し、巣のすぐ近くから撮影する1)と2)というこ
とになる。しかし、1)と2)がだめなら3)あるいは4)というように、実際には現場の状況等個々
のケースに応じてどの方法を採用するかを判断するのがよい。
③営巣木へのカメラの設置方法
巣の近くにカメラを設置するには、一度木に登る必要がある。猛禽の巣は、低くても5m、
高い場合には20mの高さがあるので、木登りのできる人を確保し、その人に設置してもらうこ
とになる。木登りには、日本の伝統的な道具であるブイ縄を使う方法、電柱に登るのに使われ
ている最近市販されている道具や岩登り用の道具も
ある。
④撮影法
ビデオ横影の仕方は、 VHSビデオデッキを使
用する場合と1秒、5秒、8秒おきといった一
定間隔毎にコマ撮影するタイムラプスデジタル
レコーダー(HSR-1)使用の2つの方式がある。
前者のVHSビデオデッキ、松下AG-1070DCを使用
した場合には、標準(2h). 2倍速(6h 、6倍
速(12h)、12倍速(24h)での撮影が可能である。
[調査方法]
猛禽の巣に小型カメラを設置する目的は、猛禽の繁殖生態を明らかにすることであ
り、それによって具体的な保護に役立てるためである。また、設置した後、長期間にわ
たってそのシステムを維持し観察や撮影を続けるには、テープの交換や機器のトラブル
への対応、撮影されたビデオの解析等多くの人手と費用を必要とする。それらの人手と
費用の見通しが得られた上で実施すべき調査である。
No.
[調査方法]
出典によれば、オオタカでは、架巣環境を把握するため、営巣地4箇所、非営巣地8
箇所を選定して森林構造の調査を実施している。
営巣地、非営巣地の森林構造のパターン区分の例を下表に示す。
分類3
現地調査
架巣環境調査
[調査時期]
設置時期は、猛禽が巣を使っていない非繁殖期である。
猛禽は一般に、ヒナが巣立ってしまった後は、次の繁殖を開始する時期まで巣を訪れ
ない。しかし、巣立ち後しばらく(数ヶ月から1年間)は、ヒナが十分飛びまわり、自分
で餌を捕れるようになるまで巣の付近で生活しているので、この時期に設置するのは好
ましくない。そのため、設置に適した時期は、いずれの猛禽の場合も1年間のうち限ら
れた時期である。
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
猛-17
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・83 -
分類3
現地調査
テレメトリー法
No.
分類1
動植物
猛-20
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
室内分析
利用区域の判定手法(行動圏)
テレメトリーの調査手順について
出典:平成17年度 クマタカ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.52)
発信機
[調査方法]
テレメトリー調査とは、発信機(トランスミッター)を対象個体に装着し、そこから
発信される電波を受信し、位置を把握する手法である。
事例No.52では、クマタカの好適生息環境を構成すると考えられる林相、森林構造、齢
級などを明らかにするために、ラジオテレメトリー調査による行動圏の把握を行ってい
る。
発信機の装着方法にはハーネスを用いて背中に発信機を背負わせるバックパック方式
と尾羽に装着するテイルマウント方式がある。クマタカでは森林内を移動するため、
バックパック方式の場合、ハーネスが枝等に絡まる危険性性が高いため、尾羽に発信機
を装着するテイルマウント方式を採用した。なお、使用した発信機の重量は約35gで体
重(2,850g)の2%以下である。発信機の電池寿命はメーカー保証期間が450 日間と
なっている。
受信機は、アマチュア無線機を受信専用に改造したテレメトリー調査専用機を使用。
アンテナは360 度全方位からの電波を入感する無指向性のホイップアンテナと特定方向
からのみの電波を入感する指向性アンテナ(ビームアンテナ)である八木アンテナを使
用。まず、沢沿いのつがいのテリトリーを車でゆっくりと移動しながら、車外にとりつ
けた無指向性のホイップアンテナにより受信状況を確認し、おおよそのクマタカの位置
を推定する。この段階では、尾根により発信機からの電波が遮られる特性を利用し、電
波の強弱によってクマタカの現在位置の絞込みを行う。次に、指向性のある八木アンテ
ナを用いて、複数箇所から方向探索を行い、クマタカ位置の定位を行う。定位は個体が
移動するたびに繰り返す。また、クマタカの行動に影響を与えない範囲で、目視に努
め、直接観察できた場合はその位置や飛翔トレースを記録する。発信機は飛翔時とパー
チ(とまり)時の姿勢の違いにより、発信間隔(パルス)が変化するアクトグラム型を
使用。この発信機では、飛翔時のパルス(飛行パルス)は発信間隔が短く、パーチ時の
パルス(パーチパルス)は発信間隔が長い。よって、この発信機を使用することによ
り、姿が見えなくても、パーチから飛翔による移動の開始を知ることが可能となり、独
立したデータを取得することができる。
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
れている。また、年間を通じて行動圏は一定であるわけではなく、通常営巣期の行動圏は狭く
なると定義されている。
判定手法では、つがいの全ての飛行軌跡やとまり場所を地図上に記入する。凹部がないよう
に最外郭を囲んだ範囲が最大行動圏であり、非利用部分も含まれる。できれば繁殖ステ-ジ別
行動圏の利用区域の判定手法について
に解析することが望ましい。
また、出現記録のあったメッシュを囲んで最大行動圏を求める手法もあり、その方が後の解
析にも便利である。
行動圏とは、つがいが通常の生活を行うために飛行して回る範囲で、非利用部分も多く含ま
行動圏の利用区域の判定手法について
[調査方法]
国内で繁殖するイヌワシ、クマタカ、オオタカの3種の猛禽類は、季節によって繁殖
つがいの行動形態が異なっており、それに連動して利用する区域の利用頻度も異なって
くる。つまり、繁殖つがいの年間における全体の大きな行動圏の中でも、季節によって
主に利用する区域は異なっており、このことは保護方策を考えるに当たって重要なこと
である。また、鳥類の外部からの刺激に対する反応の敏感さは、時期(季節、繁殖ス
テージ)と場所(利用する区域)によって大きく異なる。さらに、種によって敏感度や
反応も異なる。一般には、繁殖期が敏感な時期で、その中でも抱卵期が最も敏感な時期
といわれているが、場所(巣やその他の重要な場所からの距離)や外部からの刺激の内
容との関係でその度合いは変わってくる。
また、繁殖ステージの各々の時期は地域間でかなり差があること、同一個体でも生活
サイクルや場所(利用する区域)が年によってずれること等から、画一的な対応は避け
るべきで、十分な生態調査やモニタリングの重要性が問われてくる。いずれの場合も、
猛禽類の生態を把握したうえで、営巣地の放棄等深刻な事態につながらないような適切
な配慮が必要となってくる。
このため、各利用区域の把握は重要である。ここでは行動圏について、以下に示す。
[調査時期]
猛禽類の行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくとも
繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含む
1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
調査対象の猛禽類により、適宜実施する事例No.52 では、7月から翌年1月まで実
施)。
分類1
動植物
猛-19
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・84 -
分類1
動植物
猛-22
調査手法
分類3
室内分析
利用区域の判定手法(営巣期高利用域)
分類2
猛禽類
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
処理場所等を含む区域である。特に営巣・繁殖期には、この区域内での敏感度が高いため、広
義の営巣地として一体的かつ慎重に取扱われるべき区域であると定義されている。
判定手法では、まず、営巣木あるいは営巣崖地を確認する。さらに、営巣期に巣を監視する
ためのとまり場所、営巣期の巣に近接したねぐら、餌処理場所及び巣に対する防衛行動が頻繁
に見られる区域を明らかにする。
また、営巣期のみならず、巣立ち後しばらくの間、幼鳥が滞在し給餌を受ける区域もできれ
ば明らかにした方がよい。
営巣中心域は、これらの区域を包含する範囲を指す。
営巣中心域とは、営巣地、営巣木及びそこに近接する監視やねぐらのためのとまり場所、餌
営巣中心域の利用区域の判定手法について
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
営巣期高利用域とは、営巣期の採餌場所、主要な飛行ルート、主要な旋回場所等を含む営巣
期に主として利用する区域と定義されている。
営巣期の行動圏全域をカバーできる観察定点を設けて観察を行い、巣内行動以外の飛行軌跡
やとまり場所などをすべてメッシュ図(例えばイヌワシ、クマタカでは250~500m四方、オオ
タカでは200~250m四方のメッシュ)に落とす。メッシュ当たりの出現回数をメッシュごとの
観察日数(あるいは観察時間)で除し、相対的な出現値を求める。このうち相対的に出現値の
高い地域を高利用域とする(猛-20参照) 。
このようにして求めた高利用域は、巣周辺の大きな団塊を形成するメッシュ群と周辺に飛び
地的に分布するメッシュで構成されることが多いが、後者(飛び地)の評価は、メッシュ数の
他、地形、植生や土地利用の状況から判断する。調査が2繁殖期以上にまたがった場合は、営
巣場所を変更したかしないかにかかわらずそれらをまとめて解析してもよい。
以上、ここでは、全出現記録を一括して扱う手法について示しているが、採餌場所、主要な
飛行ルート、主要な旋回上昇場所等、個別に分析した結果を合わせて総合判断してもよい。ま
た、できれば繁殖ステージ別に解析することが望ましい。
営巣期高利用域の利用区域の判定手法について
[調査方法]
国内で繁殖するイヌワシ、クマタカ、オオタカの3種の猛禽類は、季節によって繁殖
つがいの行動形態が異なっており、それに連動して利用する区域の利用頻度も異なって
くる。つまり、繁殖つがいの年間における全体の大きな行動圏の中でも、季節によって
主に利用する区域は異なっており、このことは保護方策を考えるに当たって重要なこと
である。また、鳥類の外部からの刺激に対する反応の敏感さは、時期(季節、繁殖ス
テージ)と場所(利用する区域)によって大きく異なる。さらに、種によって敏感度や
反応も異なる。一般には、繁殖期が敏感な時期で、その中でも抱卵期が最も敏感な時期
といわれているが、場所(巣やその他の重要な場所からの距離)や外部からの刺激の内
容との関係でその度合いは変わってくる。
また、繁殖ステージの各々の時期は地域間でかなり差があること、同一個体でも生活
サイクルや場所(利用する区域)が年によってずれること等から、画一的な対応は避け
るべきで、十分な生態調査やモニタリングの重要性が問われてくる。いずれの場合も、
猛禽類の生態を把握したうえで、営巣地の放棄等深刻な事態につながらないような適切
な配慮が必要となってくる。
このため、各利用区域の把握は重要である。ここでは営巣期高利用域ついて、以下に
示す。
No.
[調査方法]
国内で繁殖するイヌワシ、クマタカ、オオタカの3種の猛禽類は、季節によって繁殖
つがいの行動形態が異なっており、それに連動して利用する区域の利用頻度も異なって
くる。つまり、繁殖つがいの年間における全体の大きな行動圏の中でも、季節によって
主に利用する区域は異なっており、このことは保護方策を考えるに当たって重要なこと
である。また、鳥類の外部からの刺激に対する反応の敏感さは、時期(季節、繁殖ス
テージ)と場所(利用する区域)によって大きく異なる。さらに、種によって敏感度や
反応も異なる。一般には、繁殖期が敏感な時期で、その中でも抱卵期が最も敏感な時期
といわれているが、場所(巣やその他の重要な場所からの距離)や外部からの刺激の内
容との関係でその度合いは変わってくる。
また、繁殖ステージの各々の時期は地域間でかなり差があること、同一個体でも生活
サイクルや場所(利用する区域)が年によってずれること等から、画一的な対応は避け
るべきで、十分な生態調査やモニタリングの重要性が問われてくる。いずれの場合も、
猛禽類の生態を把握したうえで、営巣地の放棄等深刻な事態につながらないような適切
な配慮が必要となってくる。
このため、各利用区域の把握は重要である。ここでは営巣中心域について、以下に示
す。
分類3
室内分析
営巣中心域の判定手法
[調査時期]
猛禽類の行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくとも
繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含む
1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
猛禽類の行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくとも
繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含む
1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類1
動植物
猛-21
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・85 -
調査手法
分類2
猛禽類
分類3
室内分析
高利用域の解析手法
非営巣期高利用域の利用区域の判定手法について
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
非営巣期高利用域とは、非営巣期の採餌場所、主要な飛行ルート、主要な旋回場所等を含む
非営巣期に主として利用する区域と定義されている。
判定手法では、営巣期と同様の手法で、非営巣期の高利用域を求める。
非営巣期は、営巣期と比較すると利用頻度の高いメッシュが飛び地的に分布することが多い
が、その中には自然植生以外にも採餌に利用される伐採地や人工草地等が採餌地として含まれ
る場合がある。
出典:猛禽類保護の進め方(環境庁、1996)、同 改訂版(環境省、2012)
(一部改変)
高利用域の解析手法の例
[調査方法]
高利用域の解析にはいくつかの手法があるが、ここでは最も簡略な方法をひとつの例
として説明する。仮に1つがいの猛禽のメッシュ別相対的出現値調査結果が下図のよう
だとすると、全ての出現メッシュをつなげるように囲んだ範囲を最大行動圏とし、図で
は23メッシュになる(説明を簡略にするために最大行動圏内の相対的出現値の合計は100
になっている)。このうち、巣(n)から遠方に位置し、しかも相対的出現値が低いも
のから5%を削除すると網かけ部が除外され、残りの17メッシュが95%行動圏になる。
95%行動圏の平均出現値は95/17-5.6なので、これより高い出現値を示すメッシュを囲む
と、図の二重線内の部分の7メッシュになる。これが高利用域に該当する。
なお、基本的な解析手法を説明したわけだが、より詳細な調査結果の解析のために
は、猛禽類の専門家のアドバイスを受けながら、地形や植生等の調査結果も含め、具体
的に各利用域を明らかにしていくことが望ましい。
分類1
動植物
猛-24
[調査方法]
国内で繁殖するイヌワシ、クマタカ、オオタカの3種の猛禽類は、季節によって繁殖
つがいの行動形態が異なっており、それに連動して利用する区域の利用頻度も異なって
くる。つまり、繁殖つがいの年間における全体の大きな行動圏の中でも、季節によって
主に利用する区域は異なっており、このことは保護方策を考えるに当たって重要なこと
である。また、鳥類の外部からの刺激に対する反応の敏感さは、時期(季節、繁殖ス
テージ)と場所(利用する区域)によって大きく異なる。さらに、種によって敏感度や
反応も異なる。一般には、繁殖期が敏感な時期で、その中でも抱卵期が最も敏感な時期
といわれているが、場所(巣やその他の重要な場所からの距離)や外部からの刺激の内
容との関係でその度合いは変わってくる。
また、繁殖ステージの各々の時期は地域間でかなり差があること、同一個体でも生活
サイクルや場所(利用する区域)が年によってずれること等から、画一的な対応は避け
るべきで、十分な生態調査やモニタリングの重要性が問われてくる。いずれの場合も、
猛禽類の生態を把握したうえで、営巣地の放棄等深刻な事態につながらないような適切
な配慮が必要となってくる。
このため、各利用区域の把握は重要である。ここでは非営巣期高利用域ついて、以下
に示す。
No.
[調査時期]
猛禽類の行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくとも
繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含む
1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類3
室内分析
利用区域の判定手法(非営巣期高利用域)
分類2
猛禽類
調査手法
[調査時期]
猛禽類の行動を明らかにし、保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくとも
繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。つまり、2営巣期を含む
1.5 年以上の調査期間とする。
なお、この期間に繁殖しなかった場合、あるいは繁殖を途中で放棄した場合には、飛
行軌跡等のデータ量と具体的な内容を基に、専門家の意見を聞いてその後の対応を検討
すべきである。
分類1
動植物
猛-23
No.
調査手法解説表(猛禽類)
- 資・86 -
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
両生類
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
調査手法
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
分類1
動植物
両-2
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の両生類相、重
要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての
情報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を
整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、各種愛好会・同好会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の両生類相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報を中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係
る文献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
両生類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
両-1
No.
調査手法解説表(両生類)
- 資・87 -
分類3
現地調査
直接観察法
No.
分類1
動植物
両-4
調査手法
分類3
現地調査
踏査法(目視、捕獲および鳴き声確認)
分類2
両生類
出典:道路環境影響評価の技術手法 第3巻 2007 改訂版 [調査方法]
調査地域内を踏査して、目視または鳴き声等で確認された種をすべて記録する方法で
ある。
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)(一部改変)
[調査方法]
両生類の調査は、踏査によって個体を目視ないし捕獲確認するか、鳴き声で種を確認
する方法が基本である。一般に確認率の低い種をどう探し出すかという面が強く、得ら
れるデータは確認種相と確認位置の把握が基本的な目的となる。
踏査は、設定したルート付近の沢、池沼、湿地、草地、林道等を踏査して、卵塊、幼
生、幼体、成体あるいは死体等を探すものである。カエル類の場合には鳴き声でも種が
確認できるので、鳴き声にも注意する必要がある。調査者は、生息が予想される種とそ
の生息場所を想定しながら、詳しく調べるべきポイントを現地で選定し、要所をおさえ
ていく必要がある。
調査機材は、発見した個体を捕獲して行う方が正確であり、踏査時は手網等を携行す
る。また、遠くにみえる個体の確認のため、双眼鏡を携行することが望ましい。
なお、現地で同定できないものは、サンプルを持ち帰り室内で同定する。カエル類の
幼生等で同定できない場合は、飼育して同定することも必要である。鳴き声による種の
同定は、近縁種が同所的に生息する地域では注意が必要である。
[調査時期]
調査時期は、生息予想種の一般的生態を考慮して設定する。冬は冬眠している時期な
ので除外するのが一般的である。
両生類相の調査時期としては、雪どけ頃の早春から梅雨明け頃までの繁殖期および幼
生がみられる時期が適すると思われる。ただし、産卵期はその年の気象状況により変わ
ることもある。
山間部では、年3回調査するのであれば、春、夏、秋よりも、4月、5月、6月と春
から初夏にかけて3回調査する方が成果が得られる場合もある。
一方、夏から秋にかけては幼生が上陸する時期であり、幼生での同定が難しい種もあ
る程度同定がしやすくなっているので、この時期も調査に適している。しかし、夏の暑
い時期の日中は他の時期より個体を発見することが少ないので、夜間踏査(爬-5、6参
照)を補足的に行う必要があると思われる。
なお、調査日の天候により成果が左右されることもあるので、事前に週間天気予報な
どで天候を確認した上で具体的な調査日を設定することが望ましい。
分類2
両生類
調査手法
[調査時期]
調査時期は、適宜実施する。
分類1
動植物
両-3
No.
調査手法解説表(両生類)
- 資・88 -
分類3
現地調査
夜間踏査法(目視、捕獲確認)
No.
分類1
動植物
両-6
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)
[調査方法]
両生類には夜行性(薄暮薄明型)の種がおり、主にこうした種を確認する目的で夜間
踏査を行う。また、特に夜行性ではないが、昼間には確認されなかった種が夜間あちこ
ちで確認される場合があるので、昼間踏査の補足的な意味もある。盛夏の晴れた日中に
は多くの種が物陰に隠れて確認しにくいので、夜間を主体に調査する方が成果が得られ
る場合もある。
調査は、ルートは昼間に定めておき、ハンドライトで動物を探しながら歩く。また、
鳴き声にも注意する。
なお、目視確認の場合は、ハンドライトの光だけで目視することになるので正確に同
定できない場合がある。
調査手法
分類2
両生類
分類3
現地調査
ナイトセンサス法
出典:平成12年度 イリオモテヤマネコ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.365)
[調査方法]
ナイトセンサス法は、事例No.365では、センサスルートを昼間に歩道・沢沿いなどを
計測してマークを付けて設定し、夜間にライトを使用してゆっくり(時速1.5km 程度)
ルートを歩きながら、夜行性の動物を記録している。目撃したものは、種名・個体数を
野帳に、また目撃地点を地図に記録し、種名等が不明のものは標本を採集する。カエル
類は、目撃ばかりでなく、声も記録する。
[調査時期]
調査時期の規定なし。
分類2
両生類
調査手法
[調査時期]
調査時期は、生息予想種の一般的生態を考慮して設定する。冬は冬眠している時期な
ので除外するのが一般的である。
両生類相の調査時期としては、雪どけ頃の早春から梅雨明け頃までの繁殖期および幼
生がみられる時期が適すると思われる。ただし、産卵期はその年の気象状況により変わ
ることもある。
山間部では、年3回調査するのであれば、春、夏、秋よりも、4月、5月、6月と春
から初夏にかけて3回調査する方が成果が得られる場合もある。
一方、夏から秋にかけては幼生が上陸する時期であり、幼生での同定が難しい種もあ
る程度同定がしやすくなっているので、この時期も調査に適している。特に、夏の暑い
時期の日中では、他の時期より個体を発見することが少ないので、夜間踏査を補足的に
行う必要があると思われる。また、夜間とはいっても日没頃から実施する方がよい。
なお、調査日の天候により成果が左右されることもあるので、事前に週間天気予報な
どで天候を確認した上で具体的な調査日を設定することが望ましい。
分類1
動植物
両-5
No.
調査手法解説表(両生類)
- 資・89 -
No.
分類1
動植物
両-8
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)
[調査方法]
両生類の調査は、目撃法(鳴き声による確認を含む)、捕獲法により行う。主な対象
生物ごとの調査における留意点を以下に示す。
①カエル類
カエル類は、春先から初夏にかけて繁殖する。繁殖期には、水溜まりに集まってくる
ため確認しやすい。種により繁殖期は限られているが、卵塊や幼生によっても種の同定
が可能である(不明の場合は同定が可能なステージまで飼育してもよい)。また、雨天
時の夜間は、カエル類の活動が活発となるため確認に適している。
調査地区内の池、沼、水溜まり、湿地、湧水箇所、側溝、樋門・樋管、水田、草むら等
の生息が予想される環境を踏査し、卵塊、幼生、幼体、成体及び死体を確認する。カジ
カガエルは、上流域の石の上や水中に、タゴガエルは渓流域の石の下や穴の奥等にいる
ことが多く、いずれも繁殖期の春から初夏に鳴き声によって確認しやすい。
種の同定は、原則として捕獲して行うが、捕獲できなかった場合には、目視確認とし
て記録する。また、カエル類は、鳴き声によっても種の同定が可能なので、鳴き声を聞
いた場合には、和名とおおよその位置及び個体数を記録する。繁殖期の夜間には、鳴き
声が活発になるため、調査を行う時間帯として有効である。
ただし、複数の種類が同時に鳴いている場合が多く同定が難しい場合が多いため、カ
エルの鳴き声による同定能力の高い者が種の同定を行うようにする。なお、鳴き声を録
音し、後日同定してもよい。
②小型のサンショウウオ類
小型のサンショウウオ類の多くは、早春から春にかけて繁殖する。繁殖期には、水辺
に集まってくるため確認しやすい。繁殖期は比較的短いが、卵嚢、幼生によっても同定
が可能な場合がある(不明の場合は同定が可能なステージまで飼育してもよい)。ただ
し、幼生による同定は難しい場合があるため、必要に応じて標本を作製し、専門家等に
助言を得るようにする。なお、複数の種が混生している場合もあるため十分留意する。
幼生は、山地や山地周辺の渓流的な沢、池、水溜まり、湿地、湧水箇所、側溝等の石や
落ち葉の下に生息していることが多い。成体は、森林の落ち葉、倒木、岩等の下に生息
していることがある。
③オオサンショウウオ
事前調査でオオサンショウオの生息が確認されている河川においては、繁殖期である
8月から9月の夜間に(場合によっては昼間に観察することも可能)、事前調査におけ
る確認場所を参考に目視確認を行う。
なお、オオサンショウウオは、国指定の天然記念物であるので、捕獲するためには文
化庁の許可が必要であり、捕獲することはできないため、写真を撮影したうえで、おお
よその大きさと行動等を記録するにとどめる。また、夜間に河川内を踏査するため、
必要に応じて事前に地元の漁業協同組合等と調整しておくとよい。
④イモリ類
イモリ類は、流れの緩やかなところ、池、水溜まり、湿地、湧水箇所、側溝、樋門・
樋管等の止水域に生息していることが多い。石の下に生息していることがあるため、注
意して確認する。
調査手法
分類2
両生類
分類3
現地調査
方形区調査法
出典:平成12年度 イリオモテヤマネコ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.365)
[調査方法]
事例No.365では、方形区調査は、10m×10mの方形区(以下「小方形区」という)の
中を踏査する。小方形区は、動物の逃亡と侵入を防ぐため、高さ30cmのビニール及び幅
50cmのネットで周囲を囲う。調査員は、小方形区内に踏査係5名、周囲には木を伝って
逃げる動物を探す係2名、時計・記録係1名を配置する。
踏査では、5人が横一列に並び、それぞれ2mの幅を6分間で調査し、合計30分間行
う。踏査係は、地表、植物、石の下、枯れ枝、落葉等に見られる動物を全て採集する。
採集した個体は、ネット袋又はポリ袋に入れる。捕獲できなかった個体は、動物名と
数を記録する。
なお、採集した動物は、種を同定した後に放逐し、種名が不明のものは持ち帰って同
定する。また、爬虫類の調査も同時に実施している。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類3
現地調査
目撃法(鳴き声による確認を含む)/捕獲法
分類2
両生類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、早春から初夏に2回、秋に1回を含む計3回以上実施する。
分類1
動植物
両-7
No.
調査手法解説表(両生類)
- 資・90 -
No.
分類1
動植物
両-10
調査手法
分類3
現地調査
タモ網法(田んぼ調査:カエル類)
分類2
両生類
出典:平成19年度 夜叉ヶ池水生昆虫生息地保護林におけるヤシャゲンゴロウ希少野生動植物
(政令指定)種保護管理事業に関する調査(その2)(夜叉ヶ池水生生物調査)
報告書(No.372)
出典:田んぼの生き物調査2009 調査マニュアル(農林水産省、2009)(一部改変)
カエル類の調査状況
②経路をたどりながらタモ網でカエル類を採捕する。
各経路とも採捕を1時間行う(1時間という調査時間を厳守)。また、調査はできる
だけ午前中に行う(12~14時は調査しない)。
①調査経路を1本以上決める。
経路は一度歩いた場所は歩かないよう注意して設定する。
調査手順を以下に示す。
[調査方法]
カエル類の採捕には、タモ網を用いる。素手で採捕してもよいが、強く握ると弱るた
め、必ず手を濡らすか、濡れた軍手などを使う。調査にはふたつきバケツを携行し、採
捕したカエル類を入れる。バケツにはカエル類の衰弱を防ぐため、草と少量の水を入れ
る(大量の水だけだとおぼれてしまう)。
分類3
現地調査
[調査方法]
事例No.372では、タモ網を用いて、池沿岸部の水深1.5m 程度までに生息する両生類
を任意に採集し、種名と個体数を記録後、速やかに放流することとしている。
なお、調査地で種名の判別が困難であった種については、その1~2個体を持ち帰り、
室内にて詳細な同定を行っている。
タモ網法
[調査時期]
調査時期は、主に6月、7月、8月に実施する。
分類2
両生類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.372では、9 月4 日(10:30~14:30)に実施)。
分類1
動植物
両-9
No.
調査手法解説表(両生類)
- 資・91 -
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
爬虫類
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
調査手法
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
分類1
動植物
爬-2
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の爬虫類相、重
要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての
情報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を
整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、各種愛好会・同好会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の爬虫類相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報を中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係
る文献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
爬虫類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
爬-1
No.
調査手法解説表(爬虫類)
- 資・92 -
分類3
現地調査
直接観察法
No.
分類1
動植物
爬-4
調査手法
分類2
爬虫類
分類3
現地調査
踏査法(目視、捕獲確認)
出典:道路環境影響評価の技術手法 第3巻 2007 改訂版 [調査方法]
調査地域内を踏査して、目視等で確認された種をすべて記録する方法である。
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)(一部改変)
[調査方法]
爬虫類の調査は、踏査によって個体を目視ないし捕獲確認する方法が基本である。一
般に確認率の低い種をどう探し出すかという面が強く、得られるデータは確認種相と確
認位置の把握が基本的な目的となる。
踏査は、設定したルート付近の沢、池沼、湿地、草地、林道等を踏査して、卵、幼生、
幼体、成体あるいは死体、脱皮殻等を探すものである。調査者は、生息が予想される種
とその生息場所を想定しながら、詳しく調べるべきポイントを現地で選定し、要所をお
さえていく必要がある。
調査機材は、発見した個体を捕獲して行う方が正確であり、踏査時は手網等を携行す
る。また、遠くにみえる個体の確認のため、双眼鏡を携行することが望ましい。
なお、現地で同定できないものは、サンプルを持ち帰り室内で同定する。ヘビ類の脱
皮殻は、保存状態によっては鱗条数で種まで同定できる場合がある。
[調査時期]
爬虫類の調査で特に適する季節ないが、冬は冬眠している時期なので除外するのが一
般的である。夏の暑い時期の日中は他の時期より個体を発見することが少ないので、夜
間踏査(爬-5、6 参照)を補足的に行う必要があると思われる。あるいは、むしろ夜間
踏査を中心に調査することも考えられる。
また、夏には植物が繁茂しており、植物の丈の低い春よりは個体の発見率が低くなる
と思われるので、調査時期は春、初夏、秋が適すると考えられる。秋には、幼蛇やカナ
ヘビの子どもが確認されるので比較的調査に適する。
なお、計画的に実施するのは難しいが、雨後の気温上昇時を狙って調査を行うとよく
確認されるようである。したがって、調査日の天候により成果が左右されることもある
ので、事前に週間天気予報などで天候を確認した上で具体的な調査日を設定することが
望ましい。
分類2
爬虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期は、適宜実施する。
分類1
動植物
爬-3
No.
調査手法解説表(爬虫類)
- 資・93 -
分類3
現地調査
夜間踏査法(目視、捕獲確認)
No.
分類1
動植物
爬-6
出典:水辺の環境調査((財)ダム水源地環境整備センター、1994)
[調査方法]
爬虫類には夜行性のヘビ類(タカチホヘビ、シロマダラ等)の種がおり、主にこうし
た種を確認する目的で夜間踏査を行う。また、特に夜行性ではないが、昼間には確認さ
れなかった種が夜間あちこちで確認される場合があるので、昼間踏査の補足的な意味も
ある。盛夏の晴れた日中には多くの種が物陰に隠れて確認しにくいので、夜間を主体に
調査する方が成果が得られる場合もある。
調査は、ルートは昼間に定めておき、ハンドライトで動物を探しながら歩く。また、
鳴き声にも注意する。
なお、目視確認の場合は、ハンドライトの光だけで目視することになるので正確に同
定できない場合がある。
調査手法
分類2
爬虫類
分類3
現地調査
ナイトセンサス法
出典:平成12年度 イリオモテヤマネコ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.365)
[調査方法]
事例No.365では、ナイトセンサス法は、センサスルートを昼間に歩道・沢沿いなどを
計測してマークを付けて設定し、夜間にライトを使用してゆっくり(時速1.5km 程度)
ルートを歩きながら、夜行性の動物を記録する。目撃したものは、種名・個体数を野帳
に、また目撃地点を地図に記録し、種名等が不明のものは標本を採集する。
[調査時期]
調査時期の規定なし。
分類2
爬虫類
調査手法
[調査時期]
爬虫類の調査で特に適する季節ないが、冬は冬眠している時期なので除外するのが一
般的である。夏の暑い時期の日中は他の時期より個体を発見することが少ないので、夜
間踏査(両-5、6 参照)を補足的に行う必要があると思われる。あるいは、むしろ夜間
踏査を中心に調査することも考えられる。
また、夏には植物が繁茂しており、植物の丈の低い春よりは個体の発見率が低くなる
と思われるので、調査時期は春、初夏、秋が適すると考えられる。秋には、幼蛇やカナ
ヘビの子どもが確認されるので比較的調査に適する。
なお、計画的に実施するのは難しいが、雨後の気温上昇時を狙って調査を行うとよく
確認されるようである。したがって、調査日の天候により成果が左右されることもある
ので、事前に週間天気予報などで天候を確認した上で具体的な調査日を設定することが
望ましい。
分類1
動植物
爬-5
No.
調査手法解説表(爬虫類)
- 資・94 -
分類1
動植物
爬-8
調査手法
分類2
爬虫類
分類3
現地調査
カメトラップ法
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)
③カメ類
前日に雨が降って天候が回復した日の午前中等には、岩や倒木の上で日光浴をしてい
ることが多い。流れの緩やかな場所、ワンド・たまり、樋門・樋管等の内水の流入点、
水路、細流等を中心に調査する。いずれの立地でも水が干上がることが少なく、隠れ家
となる岩や水際の湿生草地があり、産卵場となる適度な固さの土手があるようなところ
を重点的に探す。
②ヤモリ類
春から秋にかけては、夜間に橋等の照明があるところに集まる虫等を捕食するため、
橋脚等に張りついていることがある。
①ヘビ・トカゲ類
ヘビ・トカゲ類は、日中は、草むらの中の開けている場所、道路や石の上で日光浴を
していることが多い。水田や池の周辺等、餌となるカエル類が多く見られる所を探す。
また、ガレ場やトタン板、廃材等の遮蔽物の下等に潜んでいることがあるため、このよ
うな場所では石や遮蔽物を引っくり返す等して探す。また、道路上の轢死体の確認も有
効な方法である。また、ぬけがらにより種類を判定できる場合がある。
なお、マムシやヤマカガシには毒があるので、安全に十分留意し、目視による確認が
できれば捕獲しなくてもよい。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)
カメトラップ
[調査方法]
カメ類は嗅覚が鋭いため、魚肉等の餌をいれたカメトラップやカニ籠を用いたトラッ
プ法が有効である。
設置場所は、流れの緩やかな場所、ワンド・たまり、水路、細流等カメ類の生息に適
した環境がある場合には、1調査地区あたり1個以上のトラップを1晩設置する。
トラップは捕獲されたカメが呼吸できるように浮かせて設置する。
なお、捕獲にあたって許可が必要な場合は、事前に捕獲のための措置を講じる。
No.
[調査方法]
爬虫類の調査は、目撃法、捕獲法を基本とし、ぬけがらによるヘビ類の確認をする。
主な対象生物ごとの調査における留意点を以下に示す。
分類3
現地調査
目撃法/捕獲法
[調査時期]
現地調査は、早春から初夏に2回、秋に1回を含む計3回以上実施する。
分類2
爬虫類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、早春から初夏に2回、秋に1回を含む計3回以上実施する。
分類1
動植物
爬-7
No.
調査手法解説表(爬虫類)
- 資・95 -
分類1
動植物
爬-9
調査手法
分類2
爬虫類
分類3
現地調査
方形区調査法
出典:平成12年度 イリオモテヤマネコ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.365)
[調査方法]
事例No.365では、方形区調査は、10m×10mの方形区(以下「小方形区」という)の
中を踏査する。小方形区は、動物の逃亡と侵入を防ぐため、高さ30cmのビニール及び幅
50cmのネットで周囲を囲う。調査員は、小方形区内に踏査係5名、周囲には木を伝って
逃げる動物を探す係2名、時計・記録係1名を配置する。
踏査は、5人が横一列に並び、それぞれ2mの幅を6分間で調査し、合計30分間行う。
踏査係は、地表、植物、石の下、枯れ枝、落葉などに見られる動物を全て採集する。
採集した個体は、ネット袋又はポリ袋に入れる。捕獲できなかった個体は、動物名と
数を記録する。
なお、採集した動物は、種を同定した後に放逐し、種名が不明のものは持ち帰って同
定する。また、両生類の調査も同時に実施している。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
No.
調査手法解説表(爬虫類)
- 資・96 -
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
分類2
昆虫類
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
調査手法
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
分類1
動植物
昆-2
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の昆虫類相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報を中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係
る文献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
資料調査は、当該保護林の概要を把握するため、対象保護林に関連する各種資料を
収集・整理するものである。
収集資料は、関係図面、GIS データ、動植物に関する文献資料、法規制等に関する資
料、社会環境等に関する資料、保護林関係資料、既存モニタリング調査に関する資料等
に分類される。
対象保護林が小面積の場合(1,OOOha 未満)、該当保護林自体に関連する文献や資料
が見つからないことも想定されることから、対象保護林の中心から外側へ概ね2km拡げ
た範囲についての資料を収集するものとする。この場合、対象を拡げた部分に民有林が
存在する場合、保護林周辺の公有林の配置状況を把握するため、都道府県、市町村に問
い合わせるなど、民有林を公有林と私有林に区分した図面(公有林の位置図)の有無を
確認し、ある場合は、その図面を収集する。
調査対象保護林の現況を把握するためには、最新の資料を収集する必要がある。
一方、古い資料も過去との比較分析に役立つ。特に古い資料は散逸しやすいため、モ
ニタリング調査の機会に出来る限り収集して整理しておくことが望ましい。
文献の収集は、施業実施計画図の情報を基に、林野庁、森林管理局、森林管理署等内
部で揃うであろうもの、存在する可能性の高いもの、後述するチェックリストの項目
(特に必須項目)に該当しそうな資料を中心に収集するのが効率的である。
森林生態系保護地域においては、設定時に設定委員会を開き、報告書が作成されてい
るので、これら報告書、資料、議事録等を収集し確認する。また森林管理局が独自に該
当保護林で調査したものがないか収集し確認する。
更に、学術参考林時代の調査資料、林業試験係等の調査報告等、及び森林計画編成時
の現地調査の結果等が、管轄の森林管理署等に存在する可能性もある。研究機関等が保
護林内で実施した調査については、試験地契約((独)森林総合研究所)、大林許可証や
調査計画書等手続き書類が森林管理署に提示されていることから、森林管理署とも連絡
をとり、保護林や保護林周辺での既存調査の情報や文献の収集に努める。
他省庁については、環境省の調査として保護林内での調査が想定される。
特に、自然環境保全基礎調査の特定植物群落調査は保護林において実施されているこ
とが多いため、重複関係の確認に努める。
研究機関等での調査の文献については、必要に応じて、地元の動植物に詳しい学識経
験者や、当該地域の野生動植物に関心の高い団体・個人等の協力や助言を得て資料の収
集作業を行うのが望ましい。
また、都道府県や市町村でも動植物について独自の調査を行っている場合があり、
貴重な資料となるので、担当部署に問い合わせをするなど情報や資料の収集に努める。
分類3
文献調査
資料整理(保護林)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
現地調査の前に実施し、調査対象保護林の概要の把握および現地調査手法の検討を行
う。
分類1
動植物
昆-1
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・97 -
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
直接観察法(保護林)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
[調査方法]
直接観察法では、大型のチョウ類やトンボ類等、採集するまでもなく外観で種名の判
別が可能な種群について、直接目視観察によって確認する。また、バッタ目の種やセミ
類等のように種の判別に鳴き声を適用しうる種では、声による確認が極めて有効であ
る。用具としては特に必要なものはないが、双眼鏡等を併用することは極めて有効であ
る。
また、用具や機材の関係から、以下のスウィ-ピング法やビーティング法と併用して行
うケースもあり、目視、鳴き声による"確認"等が容易にできる。
分類1
動植物
昆-4
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の昆虫類相、重
要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての
情報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を
整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、各種愛好会・同好会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査時期]
調査時期の規定なし。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
昆-3
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・98 -
分類1
動植物
昆-6
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
見つけ採り法(河川水辺)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
[調査方法]
見つけ採りは、陸上昆虫類等を肉眼で見つけて捕まえる方法で、見つけた陸上昆虫類
やクモ類を捕虫網を用いたり、手で直接採集したりする方法である。
様々な種類を対象に用いることができる。トンボ類、大型のチョウ類、バッタ類等、
飛ぶ力が強い種では、追跡あるいは待ち伏せによって採集する。また、多くの種類が集
まっている水際(特に砂浜の水際)や落葉のある所等で採集する。
水溜まり等の止水域においては、タモ網等を用いて、コオイムシ類、ゲンゴロウ類等
の水生昆虫類を採集する。
努力量の目安としては、調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区
あたり2人×2時間程度を目安とし、調査地区の状況に応じて必要に応じて増減するよ
うにする。調査を行った時間を記録する。
No.
[調査方法]
トンボ類、チョウ類、ハチ類、セミ類、バッタ類等の大型で目立つ種や鳴き声を出す
種は、採集することができなくても、目撃あるいは鳴き声により種の識別ができる場合
がある。
特に、捕虫ネットの届かない高い所を飛んでいるチョウ類や、高い木の幹に止まって
いるセミ類は、双眼鏡等を用いて確認するとよい。
努力量の目安としては、調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区
あたり2人×2時間程度を目安とし、調査地区の状況に応じて必要に応じて増減するよ
うにする。また、調査を行った時間を記録する。
分類3
現地調査
目撃法(河川水辺)
[調査時期]
現地調査は、春、夏、秋の3回以上実施する。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春、夏、秋の3回以上実施する。
分類1
動植物
昆-5
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・99 -
No.
分類1
動植物
昆-8
調査手法
分類2
昆虫類
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
[調査方法]
スウィープとは、“払う”とか“掃く”という意味であり、昆虫採集法では、草や葉
上にいる虫を捕虫網ですくうことをスウィープと呼んでいる。このスウィーピング法
(掬いどり法)は、特定の種類をねらった採集法というよりは、むしろ群生する草や葉
や花等の上に静止しているすべての昆虫を対象としているものであり、昆虫採集の中で
最も基本的な方法である。
①採集用具
採集用具としては、スウィープネットやエアネットを用いる。柄は、スウィープする
草や木の高さによって異なるが、草地や林床のスウィープでは、木製の1本竿(60~
120cm )を用い、樹上や花上のスウィープでは、カーボンロッド、グラスロッドの高所
用つなぎ竿(繰り出し竿:300~900cm)を用いる。
②採集方法
スウィープする場合は、その対象となる植物体の比較的表面部分を右から左に、なる
べく早く振り抜くようにする。場合によっては、捕虫網を180 度反転させて左から右へ
ネットを振り戻す。スウィーピング法は、捕虫網を振る作業と捕虫網の中から昆虫を採
集する作業の2つに分けられる。一定回数だけ捕虫網を振り捕虫網の中の昆虫を採集す
るようにする。回数が多すぎると捕虫網の中に木の葉等が貯まって捕虫網自体が重くな
り、捕虫網が振りにくくなるばかりか、その中から昆虫を採集するのも困難になるので
注意が必要である。
③採集場所
スウィーピング法は、木や草さえがあれば、どこでも可能な採集法であるが、場所、
時期、天候等によって採集できる種類や個体数は異なる。山道では、下草や低木をス
ウィープしていくのが最も普通のやり方である。比較的開けた林床のスウィープで、キ
ノコバエ、ノミバエ等の双翅目、ヒメバチ、コマユバチ等の膜翅目のほか小甲等が採集
できる。スギ林等の林床に生えたシダ類では、エグリタマムシ類やハバチ類が採集でき
る。
下りの山道では、格好の路面スウィープの場所となる。
④注意事項
採集の場所にもよるが、長時間スウィープする場合は、ツツガムシ、ヒル等に吸血さ
れないよう長袖シャツ、長ズボンの着用だけでなく、虫さされの予防薬や軍手の使用が
必要である。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
スウィーピング法
[調査方法]
樹林地、低木林、草原で用いられる方法で、捕虫ネットを強く振り、草や木の枝の先
端や、花をなぎ払うようにしてすくいとることで、木や草、花の上に静止している陸上
昆虫類等を捕まえることができる。
主に、小型のハエ類、ハチ類、ガ類、コウチュウ類、カメムシ類、ヨコバイ類等の陸
上昆虫類等の採集に適している。
採集においては、同じ場所で連続して捕虫ネットを振るのではなく、植生等の目的と
する環境を決め、その中を移動しながら捕虫ネットを振るようにする。
努力量の目安としては、調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区
あたり2人×2時間程度を目安とし、調査地区の状況に応じて必要に応じて増減するよ
うにする。また、調査を行った時間を記録する。
分類3
現地調査
スウィーピング法(河川水辺)
[調査時期]
現地調査は、春、夏、秋の3回以上実施する。
分類3
現地調査
スウィーピング採集法(保護林)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
ただし、スウィーピングは、朝、昼、夕方のうち何時行っても採集される昆虫の種類
はあまり変わらない。早朝は朝露が葉上に残っていて、捕虫網をぬらしてしまうので注
意を要する。また、早朝では、日陰の方が遅くまで残っているので、日光の当たってい
る葉を中心に行う。さらに、スウィーピング採集法は、晴れ、曇りの日は支障なく行え
るが、風の強い日や雨天、または雨上がりには実行できない。
分類1
動植物
昆-7
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・100 -
分類3
現地調査
ビーティング採集法(保護林)
No.
分類1
動植物
昆-10
調査手法
分類2
昆虫類
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
ビーティング採集法
[調査方法]
ビーティングとは、“続けざまに打つ、叩く”ことを意味する。
昆虫採集で、ビーティング法または叩き網法というのは、特別のネットの上で、木の
枝、草、花、茸、まき、わらの束等を叩き、落下した昆虫を見つけて採集する方法であ
る。実際には、叩き網を用いた採集全般であって、捕らえる方法というよりは、むしろ
見つけ出す方法である。ビーティングを連続的に行う場合、専用の叩き棒を用いるのが
普通である。ビーティングは、ほとんどの昆虫に対して有効な方法である。よく飛ぶも
の、強く枝に固着するもの、しがみつくもの、地上や地中に棲息するものなどが対象外
となるにすぎない。
この方法の利点は、直接、目で探すのが困難な昆虫でも効率よく見いだせる点であ
る。
①採集用具
採集用具としては、採集用具取扱店から購入できる。天竺さらし等の一辺70cmほどの
布とその対角線にはめ込む竹等でつくられた90cm竿からなっている。叩き網という場合
は、この形式を指す。このような専用のビーティングネットの他、明るい色の雨傘でも
代用できる。雨傘は、直翅目等の跳躍力のある昆虫の採集には有効である。
②採集方法
採集方法は、林道等を歩きながら路側にある叩けるものを叩いてみる。これだけで極
めて多くの昆虫が採集できる。春に咲くガマズミ、6月頃咲くサワフタギやクロキの花
にはカミキリムシや小型の甲虫が多い。山地帯であれば、温度がまだ高くないので、昆
虫たちの動きも鈍く、ビーティング法は効果的である。
分類3
現地調査
ビーティング法(河川水辺)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
ビーティング法
[調査方法]
木の枝、草等を叩き棒で叩いて、下に落ちた陸上昆虫類等を白いネット(雨傘でもよ
い)等で受けとって採集する方法である。木の枝、草等についている種類を効率よく採
集することができる。
努力量の目安としては、調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区
あたり2人×2時間程度を目安とし、調査地区の状況に応じて必要に応じて増減するよ
うにする。また、調査を行った時間を記録する。
[調査時期]
現地調査は、春、夏、秋の3回以上実施する。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
ただし、ビーティング法で採集できる昆虫の種類は、昼と夜で異なる。夜には、夜行
性の昆虫が活動するからである。倒木に光を当てると同時にネットを木の横にあてがい
採集できる。このような夜間ビーティングの際には、懐中電灯、ヘッドライトが必要で
ある。また、雨の日にもビーティング法は有効である。雨や台風の後などは、樹上性の
昆虫が路傍の草等にとまっていることもあり、注意しながら採集する。草の上に珍種が
とまっていたりセミが落ちていたりすることもある。
分類1
動植物
昆-9
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・101 -
分類1
動植物
昆-12
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
石起こし採集法
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
石起こし採集法
[調査方法]
石、倒木やゴミを起こして、そこに生息している陸上昆虫類等を採集する方法である。
特に、河原においてゴミムシ類、コメツキムシ類、ハサミムシ類等を採集するのに有効
な方法である。
努力量の目安としては、調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区
あたり2人×2時間程度を目安とし、調査地区の状況に応じて必要に応じて増減するよ
うにする。また、調査を行った時間を記録する。
No.
[調査方法]
石の下には、適度な湿度が保たれていて、外敵から身を守りやすいために、多くの昆
虫のすみかになっている。ただし、それらの昆虫は通常、夜行性で昼間はあまり見るこ
とができない。
この採集法は、石を起こしてそこに棲む昆虫を採集するという単純なものであるが、
石を起こしたとき、昆虫の種類によって反応が異なるので、慣れるまでは意外に難し
い。起こした瞬間素早く走り回るもの、ガレ場であれば石の奥の方、起こしたとたん飛
び立つもの、河原であれば近くの石の下に逃げるので、虫を見つけたら素早く捕虫する
ことが重要である。なお、石起こしの際の怪我や昆虫によっては、刺したり噛みつくも
のもいないとは限らないので、軍手や革手袋等の装着が必要である。
また、昆虫の隠れ場所は石の下以外にも、倒木の下、伐採期の運び残し、積み上げた
薪の下、枯れ枝の堆積の下など様々であるので、これらの場所を捜索することが必要で
ある。
石を掘り起こして昆虫を採集した後は、元の位置に石を戻すように心がける。石を戻
すことにより、同じ場所で再び昆虫を採集できる。
分類3
現地調査
石起こし・倒木起こし法
[調査時期]
現地調査は、春、夏、秋の3回以上実施する。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-11
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・102 -
No.
分類1
動植物
昆-14
調査手法
分類3
現地調査
ライトトラップ法(ボックス法)
分類2
昆虫類
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
ライトトラップ法
[調査方法]
昆虫は、昼間に活動する昼行性と夜間に活動する夜行性がいるが、夜間に活動する昆
虫を採集する常識的な方法は光に頼ることである。より多くの採集が見込める方法とし
ては、灯火採集法(ライトトラップ法)が一般的である。灯火採集法(以下、ライトト
ラップ法という)で基本的に必要なものは、光源とスクリーンである。なお、採集後の
帰路の安全性を踏まえ、懐中電灯、携帯電話等は携帯しておくことが必要である。
①採集用具
ライトトラップ法で使用する機材は、光源、小型発電機、来襲する昆虫を受けとめる
スクリーン等である。光源については、現在、使用されているものの主流は、蛍光灯、
ブラックライト、水銀灯(電球)である。普通は、青色蛍光灯とブラックライトを併用
することが多い。スクリーンは、光源の背後に設置する白幕で、スクリーンは光を反射
させてできるだけ遠くへ届くようにするためのものである。それと同時に、飛んできた
昆虫に止まる場所を与えることにより、採集がしやすくなる利点がある。スクリーンの
素材は、入手の容易さから敷き布団用のシーツが利用される。スクリーンは風に揺れな
いようしっかりと固定する。
②採集方法
採集方法は、小型発電機等を稼働させ光源を発光させてスクリーンに飛来しとまる昆
虫を捕獲する。その際、ガ類等鱗粉が剥がれると種の同定が難しくなるので注意する。
③採集場所
光源をどこに設置するかで集まる昆虫の種類が異なってくる。一般的には、光源は林
を見下ろす視界の開けたところがよいといわれている。いわゆる光が遠くまで届くとこ
ろで、その周辺に採集目的とする昆虫の生息環境がある場所がライトトラップ法にとっ
て最適である。川や滝、渓流では、カゲロウ、カワゲラ、ヘビトンボ、ユスリカ等の水
生昆虫が飛来する。
④注意事項
灯火採集は、夜間に行われることから、採集場周
辺の状況等(林道、歩道、目印、構造物等)を日中
の間十分把握した上で行うことが重要である。また、
灯火に集まる昆虫の中にも刺したり、咬みつくもの
もいるので(ヘビトンボ等は、咬まれると血が出る
ほどである)注意する必要がある。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
ライトトラップ法(ボックス法)
[調査方法]
夜間に灯火に集まる陸上昆虫類の習性を利用して採集する方法で、可能な限り河川環
境に依存性の高い種類が採集されるように、ボックス法を採用し、カーテン法は用いな
い。調査地区内の陸上昆虫類等の生息状況を的確に把握できるよう、設置する場所等に
十分配慮する。
調査は、光源の下に、大型ロート部及び昆虫収納用ボックス部からなる捕虫器を設置
し、光源をめがけて集まった陸上昆虫類が大型ロート部に落ちたものを、捕虫器に収納
し採集する。
光源は、紫外線灯(ブラックライト蛍光ランプ)を用いる。
トラップは、樹林内では林床が見渡せる場所に置くようにし、草地ではできるだけ開
けた場所に置くようにする。夕方、日没前までに設置を完了し、翌日早めに回収する。
ボックスの中には、ステンレス容器等に殺虫剤等を100cc (翌朝まで残る程度)ほど
入れる。なお殺虫剤等は、劇薬が多いので取扱いに際しては十分注意する。
基本的に同一調査対象河川区間内はできるだけ同一調査日にトラップを設置する。
ただし、大規模な河川等で調査対象河川区間内の調査日が異なる場合は、極力同じ様
な気象条件のもとで調査するようにする。
努力量の目安としては、4~6W程度のブラックライト(FL4BLB、FL6BLB)、ボック
ス部口径45cm程度を目安とし、トラップは1調査地区について1台は設置する。
[調査時期]
現地調査は、春、夏、秋の3回以上実施する。
実施にあたっては、満月の夜、風の強い日、大雨の日等は避けるようにする。また、
できるだけ付近に照明がない場所で調査するのが望ましい。
分類3
現地調査
灯火採集法(ライトトラップ法)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
灯火に集まる昆虫の種類と個体数は、初夏から夏にかけて最大となる。ただし、季節
によって飛来する構成種が異なるため、春季から秋季にかけて複数回実施することが望
ましい。
1日の中で、午後8時から午前2時くらいが採集に最適な時間帯である。天候は、晴
れより曇り、雨の方がよく、また、新月の夜のように月が出ていない方がよい。要する
に、空が暗ければ暗いほど灯火に飛来する昆虫の種、個体数は多くなる。
なお、強風時は確認効率が低下するので避けた方がよい。
分類1
動植物
昆-13
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・103 -
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
ピットフォールトラップ法
出典:保護林モニタリング調査マニュアル 平成19年(一部改変)
②採集方法等
ベイトトラップの種類
トラップは、通常登山道や林縁等に容器の縁が地面と同じ高さになるように埋め込む。
トラップは、1~2m間隔で、それを設置する地形に応じて円上あるいは直線上に配列
して埋める。トラップを回収する場合見つけやすいという利点がある。ベイトの種類に
よって集まる昆虫の種類が異なることはいうまでもない。ベイトとして、獣肉、魚肉、
鳥の羽毛、獣皮獣骨、獣糞や糖蜜等をすりつぶしたものを原料として、それらを混ぜ合
わせて用いる。ハム等は、入手しやすく携行にも便利で、日を経て腐敗するにつれて集
まる昆虫の種が変わるという多様性もある。ベイトトラップは、通常設置した日の翌朝
トラップ自体を回収するか、長時間にわたって採集場所に滞在する場合は、毎朝容器の
中から昆虫を拾い上げるよう心がける。ベイトトラップの蜜や底に落ち込んだ虫体は、
キツネ、タヌキ、ネズミ等の餌となるので、トラップごと掘り返されてしまうことがあ
る。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
ピットフォールトラップ法
[調査方法]
ピットフォールトラップ法は、地上を歩きまわる陸上昆虫類等を採集する方法である。
誘引のために餌(ベイト)を用いると、餌の種類によって採集される種が異なってくる
ため、全国一律の調査を実施するという視点から、餌を入れたベイトトラップ法は行わ
ない。
調査は、地面と同じレベルに口がくるように、プラスチックコップ等を埋め、一晩程
度放置した後に落下した陸上昆虫類等を回収する。
努力量の目安としては、調査地区にみられる調査対象環境区分のうち、優占する3区
分で調査を実施するようにする。なお、面積が狭くても特徴的な環境がみられる場合に
は、調査箇所を増やして構わない。トラップは215m 、高さ9cmの市販のプラスチック
コップとし、1調査地区におけるトラップ数は、1箇所あたり10個、1調査地区合計で
30個を目安とする。
なお、冠水等でトラップの回収率が悪い場合は、トラップをかけ直す等、適切な成果
が得られるようにするするとともに、トラップに用いたプラスチックコップは必ず回収
する。
分類1
動植物
昆-16
[調査方法]
ベイトトラップ法は昆虫の餌あるいは餌と同じ匂いがするものをトラップの中に入れ
て、昆虫をおびき寄せ採集する方法をいう。地表徘徊性昆虫用ベイトトラップは、落と
し穴トラップ、いわゆる、ピットフォールトラップを用いて採集する。
①採集用具
一般に、高さ9cm、内径6.4cm 程度のポリエチレン製あるいは紙製コップをトラップ
として用いる。これらのコップは、安価な上に多量のものを重ね容易に持ち運ぶことが
でき、しかも使い捨てることもできるので非常に便利である。下図のAタイプのものは、
最も単純なトラップで、容器の中にベイトを入れただけのものである。Bタイプは、容
器の途中に目の粗い金網を張り、その上にベイトをおき虫を下方へ落とし込むものであ
る。Cタイプは、目の細かい網を用いたもので、捕虫する場所とベイトを置く位置がB
タイプと逆になったものである。Dタイプは、Aのタイプの上にベイトをつり下げた目
の粗い金網をかぶせたものである。これらの4つのタイプの中で、構造上、AとCは、
ベイトとして固形物、液体の両方を用いることが可能であるが、BとDは、ベイトは固
形物に限られる。さらに、これらのトラップの上に日よけあるいは雨よけの屋根を付け
たり、側壁に排水溝を開けたりする場合がある。Eタイプは、空き缶の中にベイトを入
れ、口を8の字に踏みつぶしたものである。面に横たえておくという方法で、回収の際、
大型の毒ビンの上で口を下方に向けて振るだけで昆虫が落下するので、手を汚さずに捕
虫できるという利点がある。
No.
[調査時期]
現地調査は、春、夏、秋の3回以上実施する。
分類3
現地調査
地表徘徊性昆虫用ベイトトラップ法
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
多くの種の確認には、夏季から初秋季が有効である。季節によって種構成が若干異な
るため、春季~秋季のうちに複数回実施することが望ましい。また、降雨時や低温時期
は、昆虫類の活動が低下するため避ける方がよい。
分類1
動植物
昆-15
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・104 -
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
樹冠昆虫採集法
(キャノピータワー・ウォークウェイ法)
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
ロープ・ネットワーク法
ウォークウェイ
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
キャノピータワー
上面
側面
[調査方法]
長期の調査や採集に適している方法としては、キャノピータワー・ウォークウェイ法
がある。この方法は、大きな突出木を囲むように階段を作ってタワーとし、いくつかの
タワーの間を、いわばつり橋ともいえるウォークウェイでつないだものである。
例えば、2つのタワーの間を全長300m のウォークウェイでつなぎ、造りはつり橋と
同じであるが、足場はアルミの梯子を使い、それをワイヤーで吊り下げて軽量化を図る。
ウォークウェイでつながれた木はそれぞれに踊り場があり、昆虫や植物の観察が出来る
ようになっている。
また、それぞれの木の樹冠はさらに高い位置にあるので、ウォークウェイの踊り場か
ら樹幹沿いにアルミ梯子が沿わせてあり、樹冠での観察や採集が出来るようになってい
る。この方法の長所は、誰でも気軽に樹冠に到達できることであろう。
分類1
動植物
昆-18
[調査方法]
この方法は、高木に弓やボウガンを用いて登山用ザイルを通し、2本のザイルを滑車
で交互に上下させることで樹冠に到達するものである。しかし、高木の葉や花は、木の
てっぺんからさらに横に張り出した枝先についているため、単に木に高く上がっただけ
では調査はできない。そこで、木と木の間を登山用のザイルを張りめぐらして、その間
を滑車で移動する方法が1974年にアメリカのD.R.ペリーによって考案された。この
方法により、限られた範囲ではあるが、樹冠の先端部分の調査が可能になる。
ただし、他の方法に比べて安上がりに出来る分、かなりの体力を要し、危険の伴う方
法である。
分類3
現地調査
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
昆虫類
樹冠昆虫採集法
(ロープ・ネットワーク法)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-17
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・105 -
分類1
動植物
昆-20
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
パントラップ法
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
パントラップ
[調査方法]
平たい容器(pan )に水を張っただけの装置をパントラップと呼んでいるが、それを
野外に放置しておくと、様々な昆虫がその中に落ち込む。それらの昆虫は偶然落ち込ん
だもの、水面反射や水の匂いに引かれて飛び込んだものなどいろいろである。容器が黄
色などの着色物、あるいは明るい色にペイントしたものである場合は、色に引き寄せら
れて飛び込んだ個体も多いと考えられる。着色容器を用いた場合は、パントラップは色
彩トラップの一種とも考えられる。
パントラップはアブラムシ類をはじめ、アザミウマ科、ヨコバイ科、ウンカ科、ハム
シ科、タマバエ科などの農業害虫の生態調査に広く用いられている。一方、特定地域の
昆虫相を調べるためにも、このトラップが利用されている。クロバチ科の研究者の間で
はこのトラップが世界的に流行している。
パントラップの本体としては通常ポリエチレン製容器(32×23×5cm)あるいはアル
ミニウムバット(23×23×4cm)を用いる。容器の内側には黄色など明るい色のラッ
カーを塗った方が捕虫効率が上がる。雨に備えて、容器の側壁上部に横長い5×1cm程
度の排水口を開けておく。ポリエチレン製の場合はハンダごてで熱処理によって、アル
ミニウム製の場合は強力接着剤を用いてテトロンゴースなどの目の細かい網でその排水
口を覆う。
No.
[調査方法]
比較的新しく採用されてきたのが、林冠クレーン法である。これは、高層ビルの建設
用によく用いられている巨大なクレーンを林に設置し、クレーンのゴンドラが届く範囲
であれば自由に採集が出来る方法である。
この方法は、クレーンを搬入する際に森林を傷めることなどの欠点はあるが、3次元
的に好きな所に行くことが出来ることや、工事用のクレーンを用いるために大量生産さ
れていることなどから、主流の方法となりつつある。
分類3
現地調査
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
昆虫類
樹冠昆虫採集法
(林冠クレーン法)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-19
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・106 -
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
浮遊パントラップ法
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
イエロー・パントラップ
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
浮遊パントラップ
[調査方法]
浮遊パントラップは、カリフォルニア州の稲の重要害虫イネミギワバエHydrellia
griseolaの成虫密度の調査のために考案されたものであるが、水田のみならず、湖畔な
どでの昆虫採集にも応用できると思われる。
このトラップは、直径約20cm、深さ約3cmのアルミニウム製の円形の皿を約30cm四方
で厚さ約4cmの板に埋め込んだものである。皿に水を張り、中性洗剤を数滴落とすこと
は通常のパントラップと同じ。 2本の支柱は水の増減による皿の上下を調節する。この
トラップでは、イネミギワハエの他に、トビムシ、カゲロウ、バッタ、トンボ、ウンカ、
ヨコバイ、カメムシ、アザミウマ、甲虫、ハチ、ハエ、チョウやガなど、夥しい昆虫が
採集されたという。
一般に、パントラップには各種の目の網を被せておくと、必要以外の昆虫を排除する
ことができる。
分類1
動植物
昆-22
[調査方法]
イエロー・パントラップ(黄色水盤トラップ)は、従来は黄色の洗面器などのやや大
型の水盤を使用していたが、近年、カナダの寄生蜂研究の大家マスナー博士によって全
く異なるタイプが導入された。
それは、米国Solo社製の深皿で、直径15cm、深さ4cmの丸型である。材料は極めて薄
いプラスチック製なので非常に軽く、持ち運びに便利である。昆虫の捕獲効率の点では
従来型よりもはるかに優れている。設置方法も異なり、防腐剤(食塩)を使わず、設置
期間をわずか1日に限定している。また、1箇所に何十枚も設置できるので、様々な微
環境に対応できる。1mも離れるだけで飛び込んでくる昆虫の種類がかなり違うことは
よく経験することである。
設置には、天気予報をにらみあわせ、雨が降り続かない日を選ぶこと。目的の地点に
は、トラップ100枚以上、10 程度のポリタンクと中性洗剤を持参する。ポリタンクには
あらかじめ水と少量の洗剤を入れておく。靴の踵で作った窪みにセットしたトラップに
1cmほど水を張る。これで準備完了である。
林床にセットする場合は、トラップの間隔は1mも開けば十分で、落ち葉の上、切り
株の上、苔の上など、いろいろな微環境に対応して配置する。草原では、トラップが風
で飛ばされないように繋留すること。湿地や水際では、水につかる位のところにセット
する。
回収は、朝セットしたものはその日の夕方でもよいが、普通は翌日に行う。網の目の
細かな小型のネット数枚を持参し、その中にトラップの中身をザーツと空ける。使用し
たトラップはよく水洗いをする。
回収した虫は、とりあえずネットごとビニール袋に入れて研究室に持ち帰るが、処理
に時間がかかる場合はアルコールを振りかけておく。
研究室では、水を張った白い皿に虫をあけ、ごみや鱗粉の多い虫を取り除く。虫を目
の細かいネットにうつし、ガラス瓶に入れる70%エタノールで流し込み、ラベルを投入
し、そのまま保存する。長期保存には70%エタノールで冷凍庫で保存すれば、脱色を防
ぐことが出来る。
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類3
現地調査
イエロー・パントラップ法(黄色水盤トラップ)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-21
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・107 -
分類1
動植物
昆-24
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
フェロモントラップ法
バタフライトラップ
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
飛翔昆虫用ベイトトラップ
開口部が二カ所のトラップ
開口部が一カ所のトラップ
E
D
F
乾式フェロモントラップ
衝突板トラップを用いたフェロモントラップ
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
フェロモントラップの例
粘着板を用いたフェロモントラップ
C
(A:ゴムキャップ型、B:プラスチックカプセル型)
A
フェロモントラップ製剤の担体
B
[調査方法]
性フェロモンを誘引源としたトラップ、いわゆるフェロモントラップは、一般的な調
査をはじめ、広域移動性昆虫の研究、個体群動態の研究、害虫個体群のモニタリングや
大量捕殺などに利用されている。また、トラップではないが、害虫が発生している場所
に多数のフェロモン発生源を設置すれば、雄は本当の雌が出すフェロモンに定位できな
くなる。このように、雌雄個体間の交信攪乱を利用して害虫防除を行う方法も考案され
ている。
フェロモントラップは誘引源となるものと捕虫器の2つからなる。誘引源としては、
生きた処女雌か、合成性フェロモンを利用したフェロモン製剤を用いる。処女雌は多く
の昆虫の種について入手不可能ではないので、大型蛾などの珍種であれば、この方法で
雄をおびき寄せて採集可能かも知れない。合成性フェロモンの利用が可能な害虫は、日
本では14種であると言われる。これらの昆虫用のフェロモン製剤の担体としてはゴム
キャップ式のものとプラスチックカプセルの2種類がある。
トラップ捕虫器には1)粘着式、2)生け捕り式、3)水盤式、4)殺虫剤式、5)電気ショッ
ク式などがある。粘着式トラップには屋根付きのものと1枚板状のものがある。屋根があ
ると誘引源や粘着剤は雨や日光から保護されるのでトラップ自体を長期間にわたり野外
に放置することが可能である。蛾類を対象としたトラップでは、捕虫器内の粘着板に鱗
粉がついて、粘性を失ってしまうので、大型の蛾には不向きである。大型の1枚板式のト
ラップは捕虫効率は高いが、回収の時に粘着板に人の髪や皮膚が張り付いたり、対象昆
虫の他、鳥、コウモリ、多足類などが付着するという難点がある。生け捕り式には国内
で開発されたものに二重円筒状トラップ、箱型トラップなどがある。これらはフェロモ
ン源を容器の中央もしくは天井に置き、開口部には”返し板”あるいは”弁”を取り付
けて、一度容器の中に入った雄個体が外に逃げ出せないように工夫してある。
No.
[調査方法]
飛翔昆虫用ベイトトラップとしては、通常エビ採りポット(lobsterpot)を用いる。
エビ採りポットとは、円筒形で、筒の上面もしくは上下面に漏斗状開口部が取り付けて
あり、一度中に入った昆虫は再び外に出にくいような構造になっている。
下図のAとBのタイプは、漏斗状開口部を下向けにして、ベイトは開口部の真下に置
く。Cのタイプは開口部が2つあるもので横向けにして用い、ベイトはポットの中に入
れる。どのタイプのトラップも対象昆虫の生息環境で、地面に直接置くか、台にのせて
約1mの高さに設置する。ベイトには発酵した果物や腐肉などを用いる。
チョウ採集用のベイトトラップは、黄色や青色のテトロンゴースを素材として、径30
~40cm、高さ70~80cm程度の捕虫ネット形の袋を作る(Dのタイプ)、そして、それを
太めの針金でたるまないように枠を設け、籠状のトラップとする。開口部を下に向け、
プラスチック製あるいはベニヤ板製の円盤をネット部と約10cmの隙間が開くように、そ
の下方に取り付ける。ベイトは円板の中央に置くが、その種類としては発酵したバナナ
やパイナップル、アンモニアを用いる。ネットと円板の隙間から入ったチョウは上方に
登り、なかなか逃げられない。
分類3
現地調査
飛翔昆虫用ベイトトラップ法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-23
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・108 -
分類1
動植物
昆-26
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
マレーズトラップ法
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
国産の動力吸引機の例
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
マレーズトラップの調査状況
マレーズトラップの例
本構造は、以下の4つから成り立っている。
①昆虫をトラップの中に導くための1つあるいは複数の開口部
②垂直にたらした壁部(昆虫の直進飛翔を妨げるもの)
③垂直な壁から斜め下に垂れ下がった屋根部(一度トラップの中入った昆虫を逃が
さないようにするためのもの)
④屋根部の先端に取り付ける捕虫管
[調査方法]
マレーズトラップ法は、飛翔中の昆虫が平板、壁や網などの障害物に当たると上へ上
へ上がり,逃げ道を捜すという昆虫の性質にヒントを得て作成された、テント型捕虫ト
ラップのことである。
マレーズトラップの長所は、原動力を必要とせず、定性的・定量的いずれのやり方でも
捕虫でき、しかも比較的安価に自作できるという点である。また、天候に左右されず成
果が見込まれ、吸血ハエなどが多くて採集者が長期間留まることができないような地域
でも、多くの収穫を上げることが可能という点もあげられる。
No.
[調査方法]
近年、日本でも動力吸引機すなわち超大型吸引管が製造販売されるようになった(エ
ンジンブロアという名で市販されている)。国産のものは、ノズルまでの長さが約1m、
重さが5kg未満という手頃なサイズのために使い易い。燃料タンクの容量は約0.5 で、
満タンにすれば連続4時間は運転できる。エンジンの回転数は取っ手についたアクセル
による可変式で、採集場所に応じて吸引力を調節できる。ノズル(直径約10cm)の先端
には深さ20~30cmのナイロン袋をつけ、吸引された昆虫はこの袋の中に集まる。
湿原、渓流沿いなど、スゲ類、ススキ、ヨシなどの草本類が密生している所ではとく
に効果的で、捕虫網による採集では到底不可能な昆虫でも多数を捕獲できる。地表性の
小型昆虫や地表近くにいる昆虫、特にウンカ類の採集には威力を発揮する。
分類3
現地調査
動力吸引機を用いた採集法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-25
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・109 -
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
水生昆虫用羽化トラップ法
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
ウィンドートラップの例
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
水生昆虫用羽化トラップの例
[調査方法]
水面あるいは水際で羽化する昆虫も上述の陸生昆虫と同様に上方に舞い上がろうとす
る習性を持つ。したがって、ユスリカ、カ、カゲロウなどの水生昆虫の個体も羽化ト
ラップを用いて採集できる。
水生昆虫用の羽化トラップは水中用と水面用の2タイプがあり、水面用トラップはさ
らに、止水用と流水用の2タイプに分けられる。
水中用の羽化トラップは、水深が比較的深い湖や池で用いる。このトラップは通常円
錐形あるいは四角錐形をしており、その上にエビ採りポット式捕虫器を取り付けたもの
である。トラップの素材として通常しんちゅう網が用いられるが、網の目の大きさは
0.25~0.60mmと様々である。一方、トラップの下方の広い部分に透明なパースペックス
ガラスを、捕虫器の真下にしんちゅう網を素材として用いる。このトラップは紐に吊し
て水深1~6mあたりに沈める。そのとき、水が下方から捕虫器の中に1/4 程度までは
入って来るが、その上部は狭いながらも閉鎖空間を形成し、水生昆虫をだます見せかけ
の羽化場所となる。調査する水域の深さによって水中に吊す場合と水底に沈める場合が
ある。ただし、捕虫器の中の空間部の水圧が高くなりすぎるので、6mより深い場所で
は、このトラップを使用することはできない。
渓流の浅瀬など水の流れが速い場所で用いる羽化トラップは、構造が頑丈な鋼鉄から
なる三角錐形をしている。三辺を形成する鋼鉄枠の下方が川底に突き刺さり、トラップ
を固定するようになっている。
トラップの一辺を上流方向に向けて設置し、上流からの水の流れを斜めに受ける2面
にはパースペック板をはめ、下流方向の面には鋼鉄板をはめる。水流が非常に激しい場
所では、水底に突き刺した鋼鉄部にさらにワイヤーを取り付け、岸辺にある石や木の根
に結び固定する。このトラップはしっかり固定されているので、突然の大雨により水中
に沈むようなことになっても流されることはなく、また、いったん捕虫器に入った昆虫
も流出しないという点では優れている。
分類1
動植物
昆-28
[調査方法]
甲虫や飛翔力の弱い虫は障害物にぶつかったとき下に落ちる、この原理を利用したも
のがウィンドートラップである、フライトトラップともいわれる。
このトラップの基本構造は透明なガラスやプラスチック平板1枚(1m×1m)の下
方に置いたバットからなる。平板の左右は溝付きの木製の支持棒で固定し、垂直に自立
できるようにする。バットの中にはホルマリン(あるいはエチレングリコール)を水で
薄めたものを入れて置く。つまり、透明板にぶつかった昆虫をバットの中に落し込んで
採集するわけである。透明板は地上1m程度の高さに設置する場合と、地面上に置く場
合がある。透明板を設置する高さによって支持棒の長さが異なるので、設計の段階でこ
の事は考慮に入れる。
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類3
現地調査
ウィンドートラップ法(フライトトラップ法)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-27
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・110 -
No.
分類1
動植物
昆-30
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
個体群強度法
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
[調査方法]
個体群強度法は、昆虫が樹木の葉や枝、果実に生息するような場合、昆虫が利用する
餌当り個体数(個体群強度と言われる)を調べるのが一般的である。樹の密度と樹当り
餌数を別に調べておけば、昆虫個体数を密度に換算できる。
作物害虫の密度調査、例えばイネ株当りのウンカ個体数、キャベツ株当りモンシロ
チョウ幼虫個体数なども個体群強度に相当する。樹木のように立体構造をもち、その中
で分布の偏りがある場合には、東西南北や上、中、下段など層別に、枝やシュートのサ
ンプル単位を決める必要がある。落葉樹の場合には、冬季に調査樹の写真を撮って、枝
数を数えておくと、樹当り密度が推定できる。調査対象の枝などに印をつけておき、継
続的に調査するか、枝などの切り取りサンプルの個体数を調べる。
分類3
現地調査
[調査方法]
枠法は、枠生息場所に一定の大きさの枠を設定して、その中の個体数を調べる方法で
ある。草地、砂地、水面、作物圃場など、昆虫の生息場所の状態が比較的均一で、草丈
の低い植生の場所に適している。一つの枠をサンプル単位、設定する枠数をサンプルサ
イズと言う。設置する枠数は、平均密度や生息場所内の個体の分布の偏りによって異な
る。平均密度が低く、分布の偏りが大きいほど枠数を増やさなければならない。専門的
には、一定精度の調査データを得るためのサンプルサイズの決め方が示されている、し
かし、現実的には労力や時間の制約で枠数を決めざるを得ない。ほぼどの枠にも個体が
見いだされる密度なら20から50枠位を労力に応じて、可能な限りランダムに設定すると
良い。枠ごとの個体数が記録されておれば、得られたデータの推定精度を知ることがで
きる。
枠内の調査法には、直接観察法、寄主植物を刈り取り個体数を調べる、吸引式の捕虫
機(サクションキャッチャーなど)の利用などがある。
枠法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-29
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・111 -
分類1
動植物
昆-32
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
時間単位調査法
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
[調査方法]
時間単位調査法は、調査の単位を時間におき、一定時間に観察された個体数で示す方
法であり、野外調査に便利である。単位は時間・人で示される。あらかじめ1人1時間
の調査可能面積を調べておくと密度に換算できる。
No.
[調査方法]
密度指数調査は、個体数を数えるのではなく、昆虫の食痕、巣、脱皮殻、糞などを数
えて、密度の代用にする場合がある。これらを密度指数という。
分類3
現地調査
密度指数調査法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-31
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・112 -
No.
分類1
動植物
昆-34
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
で推定される。これがLincoln (リンカン)法、またはPetersen法と言われる方法であ
る。この推定が成りたつためには、マーク虫の放飼と再捕の間に個体の移出入や出生、
死亡が起こらないこと、マーク虫がランダムに入り混ざること、再捕獲がランダムにな
されることが必要である。しかし、一般に野外の個体群では出生、死亡や移出入が生じ
る。
個体数(N)は、
[調査方法]
標識再捕法は、個体にマークをつけて放し、再捕した個体のマーク虫の割合から個体数
を推定する方法で、面積を決めて行うと密度が推定できる。マークの方法には、
放飼時ごとに同じマークをつける方法と個体識別を施す方法がある。
標識再捕法による個体数推定の原理は、次のようなものである。 N個の豆が入ってい
る容器中からM個とり出しマークして戻し、再びn個とり出した内のm個にマークがつ
いていたとすると、次の比例関係が成り立ち、
調査手法
分類3
現地調査
生物多様性の調査法(群集調査法)
分類2
昆虫類
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
で示す方が良い。この場合、E は0と1の間の数値をとり、大きい方が多様度が高い。
となり、指数は総種数の影響を受ける。そこで種数の異なるいくつかの群集間の多様度を
比較する時には、H' maxとH' の比(E )
で示される。但し、pi はni /N 、すなわちi 番目の種の個体数を全種の総個体数で割った
値である。H' の値が大きい程多様度が高くなる。2を底とする対数値を用いる理由は、
もともとシャノン・ウィバー関数が、有る、無しの2つで決まる情報量の単位、ビット
をもとにしているためで、面倒な場合、断わっておけば常用対数で計算しても差しつか
えない。なお、最も多様度が高い場合(H' max)、すなわち種数S のそれぞれが全く同じ
個体数になる場合は、
となる。D は1と0の間の数値をとり、大きいほど多様度が高い。
一方、マッカーサー多様度指数(H' )は、
この直線回帰の勾配bの値は、多様度が高い程小さくなる。この他にも多様度を示す
指数は数多く提案されているが、中でも比較的良く用いられるものにシンプソン指数や
シャノン・ウィバー関数を用いた指数(マッカーサー多様度指数とも言われる)がある。
シンプソン指数は以下のように計算される。i 番目の種の個体数をni 、採集された全種
の総個体数をN とすると、多様度(D )は、
[調査方法]
ある場所が別の場所に比べて生物多様性が高いか、低いかを比較するには、多様度と
いう尺度を用いる。調査法はどのようなものでも良いが、採集される種数と個体数は、
そこに生息している状態をできるだけ正確に反映していることが望まれる。
多様性の直感的理解は次のようなものである。熱帯雨林の林緑部でチョウを採集する
と、採集される個体の殆どが別種である。この場合多様度は高い。一方、キャベツ畑付
近でチョウを採集すると殆どモンシロチョウしか採れない。すなわち多様度は低い。こ
の直感を種数(S )とそれぞれの種の個体数(n )の関係から数値化したものが多様度であ
る。最も古典的な解析法は元村の等比級数則によるものである。種別に採集されたデー
タを個体数の多い順に並べる。 i 番目に多い種の個体数をni とすると順位i とni の対数
値の間には、一般に以下のような負の直線関係が成立する。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類3
現地調査
標識再捕法(Lincoln法またはPetersen法)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-33
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・113 -
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
アスピレイト法(吸虫管法)
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
C λ は0から1の間の値をとり、値が大きいほど類似度は高い。
しかしながらこの係数は、単に種数のみを扱うために、個体数の多い種も、極めて稀
にしか出現しない種も同じ重みを持ってしまう。群集の類似性には、当然構成種の個体
数の多少も考慮されるべきである。種ごとの個体数も含めて群集の類似度を示す方法に
C λ 指数がある。
A群集のそれぞれの種(i 番目の種)の個体数をn Ai 、総個体数をN A 、B群集のi 番目の種
の個体数をn Bi 、総個体数をN B とすると、
B
C
D
出典:新版 昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)(一部改変)
吸虫管の例
A:二重式(コルク栓を1つ用いたタイプ)
B:直列式(コルク栓を2つ用いたタイプ)
C,D:クロロホルム麻酔式、E:シンガー式
A
E
[調査方法]
吸虫管による採集は、非常に有用な採集道具であり、網に入れた昆虫を毒瓶で殺す前
に拾い集める方法、花の上の昆虫、キノコについている昆虫など地面や樹皮上を歩いて
いる昆虫などを直接吸い上げる時にも有用である。
吸虫管は、ゴム管(ビニール管)の片方を口にくわえ、反対側の管から虫をガラス管
に吸い込むのであるが、いろいろなタイプのものが考案されている。最も普通なものは
直列式と二重式があり、どちらも使い易く、優劣はない。
分類1
動植物
昆-36
[調査方法]
二つの群集が良く似ているか、大きく異なるかを知る最も単純な方法は、両群集を構
成している種の中で共通種がどの位の割合を占めるかを数値で示すことである。
A群集、B群集のそれぞれにしかいない種数をa 、b 、共通してみられる種数をC とする
と、群集類似係数CC は、
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類3
現地調査
群集間の類似性の調査法(群集調査法)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
昆-35
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・114 -
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
現地調査
幼虫観察調査法
出典:平成19年度 九州中央山地希少野生動植物保護管理対策調査報告書(No.116)
出典:平成19年度 九州中央山地希少野生動植物保護管理対策調査報告書(No.116)
[調査方法]
事例No.116におけるゴイシツバメシジミの幼虫の個体数調査では、主に目視によるも
のであるが、幼虫はシシンラン(食草)の蕾内部に食い込んでいるため、高所に着生し
ているシシンランの外部から幼虫の姿を確認することは不可能である。しかし、幼虫の
食い込んだ蕾は、蕾の落下防止のために幼虫の吐く糸で基部を粗くかがり止めて蕾が下
垂した状態になる。そこでこの習性により、シシンランの枝から不自然に下垂している
蕾を幼虫の入った蕾であると推定して、双眼鏡やフィールドスコープを用いて着生木の
周囲から下垂した蕾や幼虫の観察を行う。
分類1
動植物
昆-38
[調査方法]
成虫ルートセンサス法とは、ある地域のチョウ類の生息数あるいは生息数指標を得る
ために、あるかじめ定められたルートを一定の速度で歩きながら、その左右一定幅内に
目撃されたチョウについて種類別に個体数を記録していく調査方法である。
事例No.116では、ゴイシツバメシジミのルートセンサス調査を実施している。
調査者は、双眼鏡などを用いて高所を飛翔、静止しているチョウがゴイシツバメシジ
ミであることが同定できる能力を有する者である必要がある。
観察方法は、巡回ルートから観察可能なシシンラン(産卵場所、幼虫の食草)の着生
木について、それぞれの木の近くで観察しやすい場所を選び、一定の時間着生木とその
周囲の空間を観察し、飛翔または静止している個体の有無をチェックする。一定時間経
過して確認できなければ、次のポイントに移動する。個体の確認ができた場合には、確
認地点、確認時間(始まりと終わり)、個体数、雌雄の区別、行動の種類(飛翔、産卵
等)、その他に気付いた点を野帳に記載する。雌雄の区別はそれぞれの個体の行動様式
で判断するが、不明の場合もある。
なお、巡回ルート以外の場所で確認できた場合、そのポイントをルート上にマッピン
グし、野帳へ記載する。
No.
[調査時期]
事例No.116におけるゴイシツバメシジミの幼虫観察調査では、7月24日~26日に実施
している。
分類3
現地調査
成虫ルートセンサス調査法(チョウ類)
分類2
昆虫類
調査手法
[調査時期]
チョウ類のモニタリング法は、成虫の目視確認が基本であるので、対象種の出現最盛
期を見計らって、観察しやすい場所を選定しておき、これを定期的に巡回するルートで
個体数を調査する。
分類1
動植物
昆-37
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・115 -
分類1
動植物
昆-39
調査手法
分類2
昆虫類
分類3
室内分析
飼育観察法
出典:平成8年度 ヤシャゲンゴロウ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書(No.88)
小型飼育場の例(主として幼虫の脱皮や成長の観察用)
⑤羽化の記録
羽化の頃に、飼育箱内の池には水を用意し、
羽化した個体が容易に入れるようにする。
④蛹室作りの観察
終齢幼虫が餌を殆ど捕らなくなり、飼育ケースの周辺部を頭をもたげ遊泳し、ケース
壁を攀じ登る様子を示す時期に小石の少ない水田の耕作土を入れたプラスチック衣装箱
(60×40×20cm)を設置し、その中に幼虫を移し飼育観察を行う。ケースの片方には水
を蓄えた池を設置する。ケース内の土には水分を充分加える。また、羽化が行われるま
で、日陰の場所で土が乾燥しないようにする。
③幼虫の成長記録
1ケースに1個体を入れ、脱皮期や死亡等各個体の様子を正確に観察記録する。個体
の形態の正確な測定は、双眼顕微鏡・ミクロメータを使用する。また、脱皮の状態は、
ビデオを用いて観察記録する。
なお、水管理は止水状態で4~5日に換水を行う。飼育ケース内に緑藻類の繁殖が盛
んな場合は3~4日で換水を行っている。
幼虫に与える餌は、人工飼育したタマミジンコを朝夕の2回(各50mg)を与える。ま
た、常に餌の不足状態にならないように飼育する。
②ミジンコの飼育
幼虫の餌として、タマミジンコを飼育し、幼虫の餌が不足しないよう準備する。
①卵の管理
調査地より成虫を採集し、飼育場で産卵された卵の管理は、小型ケース(プラスチッ
クケース 15×20×深さ12cm)の中に1~3匹づつ入れ、止水状態で4~5日目に換水
を行う。
卵の発生の仔細な観察は、双眼顕微鏡(20~80倍)で行う。
[調査方法]
事例No.88の調査対象種ヤシャゲンロウの飼育観察では、以下に示す。
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.88の調査対象種ヤシャゲンゴロウの飼育観察調査では、
5月~7月に実施している)。
No.
調査手法解説表(昆虫類)
- 資・116 -
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)」の陸上昆虫類等の調査項目に準
拠している。
なお、以上は、土壌動物の主要構成種となる昆虫類、クモ類等が調査対象となる「平成18年度
版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)」の陸上昆虫類等の調査項目に準
拠している。
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
なお、以上は、土壌動物の主要構成種となる昆虫類、クモ類等が調査対象となる「平成18年度
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
土壌動物
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
調査手法
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
分類1
動植物
土-2
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の土壌動物相、
重要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等について
の情報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等
を整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、各種愛好会・同好会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の土壌動物相、重
要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての
情報を中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に
係る文献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
土壌動物
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
土-1
No.
調査手法解説表(土壌動物)
- 資・117 -
調査手法
分類2
土壌動物
分類3
現地調査
中形土壌動物の調査法(現地採集法)
(ツルグレン装置による乾式の抽出法)
大型土壌動物の調査手順について
出典:土壌動物学(青木淳一、1980)(一部改変)
大形土壌動物の採取に必要な道具
E
F
B
C
採集の手順(A→F)
D
A
①調査地点の選定
調査の目的によっていろいろ違ってくるが、まず森林内でふつうの調査を行なう場合を例にとると、次のような点
に注意しなければならない。目的とする林内に入ったら、高木屑や林床植生に注意して、その林の一般的様相がもっ
とも典型的に現われている場所を探す。そして、なるべくなら傾斜地・窪地・塚のようなところを避け、平坦な場所を
選ぶ。岩石・倒木のそばや、樹の根元附近も避ける。枠を設定する予定地点の上は歩かないように注意し、決して踏み
荒してしまってはならない。
②野帳に記入する事項
調査地点が決ったら、その場所の植生を調べて書き留めておく。高木層・低木層・草木層(林床植生)の種類組成や密
度など、できるだけ詳しく記入する。調査時の天候・気温、調査開始の時刻なども記入しておくとよい。植物の名称
がその場で判定しかねる場合には、葉などを持ち帰ってから調べる。
③枠の設定と土壌の採取
割箸のついたひもをピンと張って、地面の上の正方形(50×50cm)をつくる。割箸を1本ずつ地中にさしこんでゆ
き、最後の1本が最初の1本と同じ位置に重ねて挿入されることになる。落葉層が厚い場合には、その枠に沿って果
物ナイフなどで切れ目をつけ、その後に根掘りを用いて枠内の土壌をすべて掘りとり、ポリ袋の中に投入してゆく。
どのくらいの深さまで掘るかは、調査の目的によっても異なるが、ふつうは20cm程度でとどめることが多い。できれ
ば落葉層を主体とする表層部と、下層の"土"の部分とを別々の袋に入れておいたほうが、あとの作業が行ないやす
い。地面の下の様子は上からみただけでは判らないが、掘りはじめて大きな石が埋没していたり太い根が横切ってい
たりしたら、その場所は捨てたほうがよい。
④物の拾いとり作業
まず、林内でなるべく明るく、下草などがなくて落ち着いて座って作業ができるような場所を探し、採取した土や
道具を持ってそこに移動する。林内が暗ければ、近くの空地や道路まで出てしまってもよい。さて、いよいよ土や落
葉の中の動物を拾い取る作業にかかるが、その前にピンセットや吸虫管を手元に置き、アルコール入りの瓶の蓋を
取っておく。瓶は底を少し土に埋めこむなり、板切れの上に置くなりして安定をよくし、ひっくり返ってこぼれない
ようにする。写真用バットを地面に置き、ポリ袋の中の土や落葉を少しずつ取り出して、ふるいの中に入れ、バット
の上でふるう。まず、バットの上に落ちた細かい土や落葉のかけらを丹念に調べて肉眼で目につく範囲の動物をピン
セットや吸虫管で採集し、アルコール瓶の中に入れてゆく。見終った土は捨て、次いでふるいの中に残った粗い土く
れや落葉をバットにあけて、その中の動物も探しだす。このような作業を何回も繰り返してゆく。ポリ袋の中の土や
落葉を全部見終るには、ふつう1時間以上かかり、たいへんに根気の要る仕事であるが、努めて同じ精度で最後まで
やり通すよう心掛ける。拾い採り作業が終了したら、動物の入ったアルコール瓶の中に、データを鉛筆書きした紙の
小片を入れて蓋をする。これで一つの枠内の作業が終ったわけであるが、信頼できるデータを出すためには、調査枠
1個だけでは不十分で、少なくとも同じような場所で2~3個の枠を設定して調査する必要がある。
D
出典:土壌動物学(青木淳一、1980)(一部改変)
中形土壌動物の採取に必要な道具
A
C
E
F
採集の手順(A→F)
B
①穴掘り
調査地点の選定後(土-3参照)、まず地表面を踏み荒さないようにしながら、邪魔になる下草やササなどを剪定ば
さみで静かに刈り取って除去する。そして1mほどの直線(仮にA線と呼ぶ)を地面に仮定し、それに沿って大形ス
コップでザクザクと切れ目を入れる。そのA線の向う側は絶対に踏んだり、掻き乱したり物を置いたりしないように
注意し。A線のこちら側に穴を掘ってゆく。穴の大きさは目的にもよるが、ふつうは幅50cm×奥行き40cm×深さ30cm
くらいでよい(地表下20cmまで土壌を採取するとして)。
②抜き缶の打ちこみ
ここでは地表下20cmまで5cmごとに土壌を採取する場合を想定して話を進める。最上層(0~5cm)用の缶はA線
の向う側で、あまりA線から離れない場所に、上から木槌で打ちこむ。下層(5cm以下)用の缶は土壌断面に横から
缶を当てがって横から打ちこむ。最上層用の缶は、横から打ちこんだのでは軟かい落葉層などのためにうまくゆかな
い。これだけを上から打ちこむというのが、この方法のみそである。ただし、上から打ちこむ場合でも、あらかじめ
伏せ置いた缶の四辺に沿って果物ナイフで落葉層に切れ目を入れておかないと、うまく缶が打ちこめない。木槌の用い
かたは、2~3回で強く思いきりたたいた方が落葉の抵抗が少なく、缶の中にうまく土壌表層が納まってくれる。ど
こまで缶を打ち込むかは、眼の位置を地表面近くまで下げて、横からすかして見て缶の上面が地表面すれすれになる
ようにする。下層用の缶は、まず5~10cmの層に横から打ちこむ。10~15cm層の缶も同様にして、5~10cmの缶のす
ぐ下に打ちこむ。下層用の缶の底は5×5cmに作ってあるから、深さを測らずとも、5~10cmの缶の位置さえ正確に
決めておけば、あとはその下に密着するように打ちこんでゆけばよい。こうして、0~5、5~10、10~15、15~
2
20cmまでのすべての層に缶の打ちこみが終るが、打ちこむ方向に拘らず、どの層に打ちこんだ缶も表面積5×4cm 、
深さ5cm、計100ccの土壌を納めていることになる。
③打ちこむ缶の数について
1地点で何個の缶を打ちこんだらよいか、ということはたいへんむつかしい問題である。本当をいえば、各層にた
くさんの缶を打ちこんで予備調査を行ない、動物を抽出した結果、各層の缶同志の間で動物の種や個体数の間にどの
程度ばらつきがあるかを前もって調べ、何個ぐらい打ちこめば満足のゆく値が得られるかを統計的に検定しなければ
ならない。したがって、打ちこむ缶の数は、調査場所により、対象とする動物群により、それぞれに異なってくる。
また、もっと多く打ちこむべきことが判ったとしても、ツルグレン装置の数に限度があり、一時に処理できるサンプ
ル数に制限があれば、少ない数でがまんしなければならないこともある。
④缶の掘り取り
すべての缶の打ちこみが終了したら、次は缶を土壌から掘り取る作業に移る。どの缶から掘りとってもよいが、根
掘り(または小形スコップ)を注意深く深めにさしこみ、缶をつかんだ左手と根掘を握る右手とを同時に平行に持ち
上げるようにして引きぬく。この時に缶の中の土壌が缶から外に出てしまわないように、また、あまりにそのことを
気づかって、缶の中に余分な土壌を根掘りで押しこんでしまわないように注意する。掘り取った缶には土が盛り上っ
ているから、果物ナイフを用いて缶にすり切り一杯になるよう、余分な土壌をこそぎ取って捨てる。この時に根や枯
枝がはみだしていたら、それを引き抜いたりせずに、剪定ばさみで切断する。缶の外側に付着した土をこそぎとった
ら、缶に入ったままの土壌試料を1個づつ別々のポリエチレン袋に納め、どの地点の第何層の資料であるかを示す記
号を鉛筆書きした紙片(ラベル)を入れて、袋の口を閉じる。採取した土壌資料は、なるべく振動を与えないよう、
陽に当ててあたたまらないよう、しかもなるべく短時間のうちに持ち帰って、ツルグレン装置にかけなければならな
い。
中形土壌動物(ツルグレン装置用)の調査手順
[調査方法]
中形土壌動物の乾式による調査は、現地では土壌試料の採取だけを行ない、動物の分
離抽出は帰ってから室内でツルグレン装置(土-5参照)を用いて行なう。
分類1
動植物
土-4
[調査方法]
大形土壌動物(マクロファウナ)の範囲については、要するに肉眼でも採集の容易な
大きさをもった動物である。たとえば、ミミズ・ムカデ・ヤスデ・ワラジムシ・ゴミム
シ・昆虫幼虫・クモなどはその代表的なものである。
以下に、調査手順を示す。
分類3
現地調査
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
土壌動物
大形土壌動物の調査法
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
土-3
No.
調査手法解説表(土壌動物)
- 資・118 -
分類3
現地調査
No.
分類1
動植物
土-6
④
⑥
③
⑤
⑩
⑫
⑪
⑧
⑨
⑦
出典:土壌動物を用いた環境診断 (青木淳一、1995)自然環境への影響予測
結果と調査法マニュアル 沼田 眞編 千葉県環境部環境調整課 別刷(一部改変)
ふるい法による土壌動物採集の道具
ふるい法による土壌動物採集の手順(①→⑫)
「自然の豊かさ」の診断のために用いる32の土壌動物群と各グループ区分
②
①
①準備する道具
必要な道具類は下図に示したとおりである。ほとんどのものが一般に市販されており、また手製で作ることもでき
る。見慣れないものは吸虫管だけであろう。これは理科器具や昆虫用具を扱っている店で求めることができる。これが
あると、小さい虫の採集が極めて能率的になる。途中に細かい金網が張ってあるので、吸い込んだ虫が口の中にまで
入る心配はない。
②作業の手順
2~3人が一組になって作業するのがよい。日当たりのよい場所で行うほうが、虫もよく動くし、明るくて見付け
やすい。雨が降出したり、風が強くなったり、日が暮れてきたら、作業を中止し、建物の中へ土壌試料を持ち帰り、
電灯の光の下で行うのがよい。土壌を採取した当日か、せめて翌日には作業を終了するようにしたい。
③土壌試料の数
土壌の表層部はその微地形や堆積物のちがいによって、かなり場所的に異なっている。わずか1~2m離れただけ
で、生息する動物に差がでることも多い。したがって、できればたくさんのサンプルを取りたいのであるが、労力的に
限度もあり、またあまり多くのサンプルを取ると自然の破壊にも繋がる。そこで、きわめて妥協的な数であるが、1
調査地点で3個のサンプル(土壌試料)を取ることにしておきたい。つまり、50cmx50cmの枠を三つ地面に設定する。
枠と枠の間隔は1~2m離す。1サンプルは土壌の上層と下層に別けて取るので、1調査地点でゴミ袋は6枚用意す
る必要があることになる。
ふるい法による野外の作業手順について
[調査方法]
土壌動物の中には、わずかな人為的環境変化によって直ぐに姿を消してしまったり、
減少したりする動物群(弱い動物群)から、相当の変化にも耐えてしぶとく生き残る動
物群(強い動物群)まで、さまざまな段階のものがある。弱い動物群がたくさん生き
残っているようなところは自然が豊かな環境と考えられるし、逆に強い動物群ばかりが
生息しているところは自然が豊かでない環境といえよう。このような観点から、主要な
土壌動物の各群に、強さ弱さに応じてあらかじめ点数を与えておき、出現した動物の評
点を総合して環境評価を試みようというのが、この方法の考え方である。本法の特色と
して、専門家でなくとも小中学生にもできるように考えてある。
調査手法
分類2
土壌動物
分類3
室内分析
中形土壌動物の調査法(ツルグレン装置)
(乾式の抽出法)
B
B・C:中形装置(青木式)
出典:土壌動物学(青木淳一、1980)(一部改変)
A:携帯用ツルグレン装置
A
C
D:小形装置(新島式)
E:大形装置(吉井式)
D
E
ツルグレン装置は動物の行動を利用して 動物を土壌から分離抽出するための装置であるから、動物が死んでし
まったり、弱ってしまってはいけない。土壌資料を持ち帰ったらできるかぎり早く処理しなければならない。どのく
らい時間を置いても大丈夫かということは一概にはいえない。たしかに、1週間以上放置した土壌資料を用いても動
物は抽出されてくるが、それは一部の強い種類であって、温湿度の変化や圧力に対して弱い種や軟弱な幼体はすでに
死滅してしまって出てこない。また、放置している間に早いものは発育段階が進んだりすることもあるし、捕食され
てしまうものもある。
①土壌の投入
持ち帰った資料は少なくとも数時間以内にはツルグレン装置に入れるようにする。特に個体数や種類組成などを研
究対象にする場合は急がなければならない。まず、ナイフや竹べらを用いて、土壌中の動物を傷つけないよう細心の
注意を払いながら、缶の中の土壌をツルグレン装置の金網の上にあける。この時に、土壌の細かい粒が漏斗を通って
多少落下するので、あらかじめ紙などを下に敷いておき、落下した土を網の上に戻すようにする。なるべく落葉層が
下になるように土壌を網の上に置き、小形装置の場合はそのまま、大形装置の場合は指先で土壌を静かにほぐし、な
るべく薄く拡げるようにする。鉱質土壌や砂が多く、下に土が落下しやすい場合には、あらかじめ金網の上に紙の細
片を敷いておくとよい。
②下受け瓶
土壌試料を入れた部分をツルグレン装置にセットしたら、下受けにアルコールの入った瓶を置く。アルコールの濃
度はふつう75%~85%くらいのものを用いる。浅いシャーレなどを用いると、すぐにアルコールが蒸発してしまうの
で、なるべく深めのものがよい。漏斗の下端が瓶の入口に少し入っている程度が望ましいが、下端がアルコールに
漬ってしまってはいけない。瓶の中には採取データを示す記号を鉛筆書きしたラベルを入れるのを忘れないよう。ア
ルコールの代りに水を入れておけば、落下した動物がかなりの間、水面や水底で生きて動いているので、目的によっ
ては水が用いられる。ただし、時間がたつとカビが生えたり、動物が腐ったりするので注意する。また、飼育用に生
きた材料をほしい場合には、下受け瓶や腰高シャーレの中に湿った櫨紙を敷いたもの、あるいは瓶の中に土をつき固
めて入れたものなどを用いるとよい。
③点灯
土壌試料のセットが済んだら、いよいよ点灯である。点灯した時刻は必ず明記しておくようにする。あとは黙って
いても動物が自動的に分離抽出され、徐々に下受け瓶の中に落ちこんでくるはずであるが、どのくらいの時間点灯し
ておくかが問題である。点灯後30分もすると、活動力の大きいトビムシや、資料の下の方にいた動物が早くも落下し
てアルコール表面に浮んでいるのがみえる。しかし、行動の遅鈍なものや、乾燥に対して強いものや鈍感なものはな
かなか落ちてこない。点灯後の時間を横軸にとり、各動物ごとの落下個体数を縦軸にとってグラフを画いてみると、
動物ごとに異なったカーブが得られるはずである。あらかじめそのような実験をしておけば、特定な動物群を対象と
する場合でも、あるいはすべての中形土壌動物を対象とする場合でも、もうこれ以上点灯しても無意味だという時間
がわかるはずである。その時間は、動物群により、ツルグレン装置の種類や大きさにより、投入する土壌の量や性質
や水分含量により、ツルグレン装置を置く室内の温度などにより、大いに異なってくる。およその見当をつけるため
には、適当な頃合いを見計って下受け瓶を新しいものと交換してみるとよい。そして、新しい瓶の中になおかつ動物
が落下してくるようであったら、点灯を続けなければならないし、しばらく経っても新しい瓶の中にもう動物が落下
しないようであったら、点灯抽出作業を終了してもよいということになる。実例をあげれば、吉井式の大形装置に落
葉を厚さ3cm以内に薄く拡げた場合には、およそ2時間の点灯で十分であるし、新島式の小形装置の場合には100ccの
土壌を投入して、42時間点灯することにしている。
ツルグレン装置の分析手順について
[調査方法]
中形土壌動物の調査では、現地では土壌試料の採取だけを行ない、動物の分離抽出は
帰ってから室内でツルグレン装置を用いて行なう。
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
土壌動物
大形土壌動物による「自然の豊かさ」の評価法
(ふるい法)(現地調査)
調査手法
[調査時期]
地上の動物に比べれば、土壌動物の種類や数の季節的変化は小さいのであるが、やは
り多くの動物群が出揃っている時期に調査することが望ましい。晩秋から早春にかけて
は、昆虫のあるものは卵や幼虫であったり、ミミズが土壌の深い層に潜ってしまったり
する。また、寒い時期にはふるいの目を通って落下した虫が動かず、見付けにくい。例
として、千葉県下で調査を行うには、5月~9月の間がよい。また、大雨が降って地面
がいちじるしく濡れている時は避けたほうがよい。
分類1
動植物
土-5
No.
調査手法解説表(土壌動物)
- 資・119 -
分類1
動植物
土-8
調査手法
分類2
土壌動物
分類3
室内分析
直接検鏡算定法
出典:土壌動物学(青木淳一、1980)(一部改変)
ベールマン装置
この装置もツルグレン装置と同様、その構造は簡単なもので、十分手製でもこしらえることができるものである。
その本体は、ただのガラス漏斗であり、上部の直径7cmくらいのものが用いられている。漏斗の下端には12~13cmほ
どの長さのゴム管がはめこんであり、その中途2箇所がピンチコックではさんで止めてある。これを木製の台に穴を
あけたものに何個かさしこんで配列し、上方の蝶番で開閉する蓋の中央には電球が取りつけられている。蓋の裏側は
電球の熱でこげやすいので、アルミ箔かブリキ板がはりつけてある。台の下部は前方があいており、そこから手をさ
し入れてピンチコックの操作ができるようになっている。
ベールマン装置に入れるための土壌資料の採取方法は、原則的にツルグレン装置を用いる場合と同様である(土-4
参照)。ただし、この装置のガラス漏斗1個の中に収容できる土壌の量は少なく、ほぼ25ccくらいが適当であるので、
前述した土壌打抜き缶を用いる場合は、1缶の資料を5分しなければならない。また、別に小形の打抜き缶を用意し
てもよいが、缶が小さいと打ちこむときの抵抗が大きく、切れ味が悪くなる。例としては、2.5×2.5×4cmの打ち抜
き缶などである。
抽出を開始するに当っては、ナイロン・ストッキングの古いものを用意する。これを12~13cm四方くらいの大きさ
に切り、これに採取した土壌を包む。これをガラス漏斗の中に入れ、土壌が完全に水びたしになるまで水を注ぎ入れ
る。こうして、漏斗の下方のゴム管の上方のピンチコックのところから、漏斗の上線近くまで水が満たされたことに
なる。他のガラス漏斗にも同様な操作を行なったら、電球のついた蓋部を閉じ、点灯する。点灯を継続する時間につ
いては、例として40W の電球1個を用いて48時間点灯する。
抽出を終了したら、まずガラス漏斗下方のゴム管につけられた二つのピンチコックのうち、上方のピンチコックを
いったんゆるめて、再び締める。そうすると上方のピンチコックのあたりに落下沈澱していた線虫などの集合は下方
のピンチコックのところまで水とともに降りてくる。次いでシャーレなり、小形のビンなりをゴム管の下に受け、下
方のピンチコックをゆるめれば、わずかの水の中に線虫などが濃縮して集められた液がシャーレの中に注ぎ落とされ
てくる。シャーレにあらかじめ格子をつけておけば、そのまますぐに実体顕微鏡下で算定することができる。
この方法で抽出される動物の中で、一番多いのは線虫類(ネマト-ダ)である。水の中に抽出され濃縮された線虫がう
ようよと動きまわる様は、実体顕微鏡下でみていても壮観である。ヒメミミズもこの方法でかなりよく抽出される
し、クマムシ・模脚類(ハルバクチクス目)・土壌性の渦虫など、あまり馴みの深くない珍らしい動物にも比較的容易
に出合うことができる。
ベールマン装置の分析手順について
出典:土壌動物学(青木淳一、1980)(一部改変)
[調査方法]
ふつうは抽出装置を用いなければならないような大きさの動物(主としてダニ・トビム
シ・線虫などの中形土壌動物)を、抽出装置を用いることなく、採取した土壌を直接検鏡
して算定する方法である。これはツルグレン装置やベールマン装置によって、果して実
際に土壌資料の中に含まれている動物の何%くらいが抽出されているのだろうかという
疑問から、その抽出効率を検定するために行なわれはじめたものである。
やり方は、一定体積あるいは一定重量の土壌を少量ずつ格子シャーレにとり、アル
コールを注いで溶解し、双眼実体顕微鏡の下で、先の鋭いピンセットや柄付針で土塊や
植物遺体をほぐしながら、拾いだせる限りのあらゆる動物の種類と個体数を算定してゆ
く。
顕微鏡の倍率は10~20倍くらいがよい。また、同定をあとまわしにする場合は、見出
した動物をすべて拾い上げて小瓶の中に移していく。その際に透過照明でみてもよい
が、シャーレの下に青色か線色の紙を敷き、落射照明でみると見落としが少なく、眼の
疲労も少ない。
アルコールの代りに水を使えば動物体が生きていて動くため、発見ははるかに容易に
なるが、その場合には全て拾いとる方式にしないと二重算定の原因になる。
いずれにせよ、この作業は非常な注意力と忍耐力を必要とする。
No.
[調査方法]
中形土壌動物の大部分のものは、ツルグレン装置によって抽分分離されるのである
が、一部のものは土壌資料が乾燥してくると、縮ぢこまってしまったり、シストになっ
てしまったり、あるいは移動が不可能になってしまう。それらは土壌水動物あるいは湿
生動物に属するもので、線虫・ヒメミミズ類・渦虫・模脚類・クマムシなどが例として
あげられる。これらの動物を土壌から抽するには乾式の装置ではだめで、湿式の抽出装
置が考案された。それはベールマン装置と呼ばれるもので、土壌資料を水びたしの状態
にしたまま、上方から電球で照射し、熱によって動物を下方へ追出す仕掛けになってい
る。
分類3
室内分析
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
土壌動物
中形土壌動物の調査法(ベールマン装置)
(湿式の抽出法)
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
土-7
No.
調査手法解説表(土壌動物)
- 資・120 -
分類3
室内分析
No.
分類1
動植物
土-10
調査手法
分類2
土壌動物
分類3
室内分析
大形土壌動物による「自然の豊かさ」の評価法
(ふるい法)(室内分析)
出典:土壌動物学(青木淳一、1980)(一部改変)
[調査方法]
土壌動物の中で水に漬けた場合に浮びやすいものは、浮遊法によって、かなり能率的
に採集することができる。
トビムシ類の大部分・ケダニ類・微小甲虫(ハネカクシなど)・クモなどは、バケツ
やたらいに土壌を入れて水を注ぎ攪拌すると、水面に浮び上ってくる。しかし、土壌中
の有機物で比重の軽いものはすべて同時に浮上してくるので、落葉やその分解過程のも
のが多い土壌では、この方法の能率はひどく落ちる。逆に砂質の土壌などの場合にはた
いへん具合がよい。調査現場に布製あるいはビニール製のバケツなどを持参し、川の水
を汲んできて利用し、ある種の動物群をきわめて能率よく採集している人もある。しか
し、この方法はなんといっても得られる動物が限定されるので、多くの動物群にわたっ
て量的な調査をするのには不向きである。
しかし、少量の土壌を遠心分離式の浮遊法によって処理する場合には、トビムシやダ
ニなどがツルグレン装置よりも効率よく分離されるという。その他、浮遊法はさまざま
に改良され、量的調査に十分使える装置が開発されている。
出典:土壌動物を用いた環境診断 (青木淳一、1995)自然環境への影響予測
結果と調査法マニュアル 沼田 眞編 千葉県環境部環境調整課 別刷(一部改変)
「自然の豊かさ」の診断のために用いる32の土壌動物群と各グループ区分
①土壌動物の類別
得られた土壌動物は先にも述べたように種名まで調べる必要はない。ただ、何の仲間か、どのグループに属するか
だけを調べる必要がある。このような大まかな分類を「類別」といい、類別されたものを「動物群」と呼ぶことにする。
たとえば、たくさんの種類を含むが「ミミズ」や「アリ」や「ジムカデ」は一つの動物群である。この調査のために必要な
動物群は全部で32だけである(下図参照)。それ以外の動物群が出てきても、それは無視して使わないことにする。
この32の動物群の類別法は下図に示してある。これにはむずかしい形態用語は一切使っていないので、図の左側から
該当する項を選択して辿っていけば、だれでも動物群名を知ることができるようになっている。動物群によっては、
表中の2箇所以上にまたがって出てくるものもあるので注意してほしい。この類別表のはかに、各動物群の写真集を
末尾に収録し、簡単な解説を付けてある。
動物の形態を観察するには、アルコールぴんの中の動物をシャーレ(浅いガラス皿)にあけて、アルコールを足
し、ピンセットで動物をつまんでアルコール中でゆすって泥やごみを落とし、アルコールを入れた別のシャーレに移
していく。それから、明るい電灯の下でルーペ(20~25倍のもの)を用いて特徴を調べる。このとき実体顕微鏡がある
と、はるかに観察が楽にできる。動物はアルコールに漬けたままの状態で観察するほうが見やすい。
②出現した動物による評価計算
評価に用いる32の動物群のうち、Aグループの動物群は人為による環境の変化(劣化)に最も敏感で、すぐに消滅し
たり減少したりするものであり、これらについては各動物群に5点ずつを与えてある。Bグループの動物群は環境変
化にやや敏感なもので、これらには3点ずつを与え、Cグループのものはもっとも鈍感であるので1点ずつを与えて
ある(計算表や計算例等は、出典参照)。
そして、”各グループの動物群の数×各点数”とする計算をし、その合計点が「自然の豊かさ」を示す評点となる。32
の動物群がすべて出現すれば(そのようなことは、滅多にないが)丁度100 点になるようにしてある。つまり、この
点数が100 点に近いほど、その場所の環境はその場所本来の森林である極相林に近く、自然が豊かで、人為的干渉の
度合いが低いことを示している。
大形土壌動物による「自然の豊かさ」の評価法
[調査方法]
エチルアルコールに漬けて持ち帰った土壌動物の標本は、そのまま放置しておいても
1~2年はどうということはない。しかし、すぐに調べる時間がない時は、汚れたアル
コールを少し吸い出して、新しいアルコールを入れておいたほうがよい。
[調査時期]
地上の動物に比べれば、土壌動物の種類や数の季節的変化は小さいのであるが、やは
り多くの動物群が出揃っている時期に調査することが望ましい。晩秋から早春にかけて
は、昆虫のあるものは卵や幼虫であったり、ミミズが土壌の深い層に潜ってしまったり
する。また、寒い時期にはふるいの目を通って落下した虫が動かず、見付けにくい。例
として、千葉県下で調査を行うには、5月~9月の間がよい。また、大雨が降って地面
がいちじるしく濡れている時は避けたほうがよい。
分類2
土壌動物
浮遊法
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
土-9
No.
調査手法解説表(土壌動物)
- 資・121 -
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
No.
分類1
動植物
魚-2
調査手法
分類2
魚類
分類3
文献調査/聞き取り調査
漁業実態等の整理(河川水辺)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の魚類相、重要種、
外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情報を
中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係る文
献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
④放流場所・産卵場所・禁漁区間等の整理
調査対象河川における調査実施当該年度の魚類の放流場所、産卵場所、禁漁区間等に
いて、右の項目を整理する。
③漁業実態の整理
調査対象河川における漁業権、最近の5 年間程度の漁獲量、放流量等について、右の
項目を整理する。
②へい死事例の整理
調査対象河川における最近の5年間程度の魚類のへい死事例について、右の項目を整理
する。
[調査方法]
文献調査の結果、聞き取り調査の結果及び水産統計資料より、回遊性魚類の遡上・降
河に関する情報、へい死事例、漁業実態、放流場所、産卵場所、禁漁区間等について整
理する。なお、主な水産統計資料として、以下のものがある。
・漁業協同組合の事業報告書等の資料
・都道府県「統計年鑑」
・都道府県水産関連部局の放流・漁獲等に関する資料
・農林水産省「漁業養殖生産統計年報」
①回遊性魚類の遡上・降河に関する情報の整理
調査対象河川における回遊性
の魚類の遡上・降河に関する情
報について、右の項目を整理す
る。
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査、聞き取り調査を
現地調査実施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
魚-1
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・122 -
分類3
現地調査
投網による捕獲法
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
投網による捕獲
④対象魚種
・アユ、ウグイ、オイカワ等の遊泳魚全般
・底生魚のうち、カマツカ、マハゼ等の大型の魚種
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
③努力量の目安
投網の打ち数は、各調査対象環境区分でそれぞれ5回程度を目安とする。ただし、小
さなワンド等においては、初回の打ち網で十分な成果が得られ、2回目の打ち網でほと
んど成果が得られない場合等は、それ以上実施しなくてよい。
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
②捕獲方法
打ち網は、川岸や流れの中を歩きながら網を打つ「徒打ち」を基本とするが、水深が
深い場所や水面幅の広い場所では、船を用いる必要がある。また、警戒心の強い魚類で
は、1投すると散ってしまうことが多いため、時間をあけて網を打つ等の配慮が必要で
ある。また、なるべく同じ場所に打ち網が集中しないように、各調査対象環境区分にお
いてできるだけ多くの場所で網を打つ。
分類2
魚類
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
調査手法
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
投網は、水深の浅い場所や平瀬等の開けた場所にいる魚の捕獲に有効である。ただし、
水深の深い場所等では網が沈む間に魚が逃げてしまい、捕獲効率が低下する。また、障
害物が多く投網が引っかかりやすい場所や投網を打つ十分な広さがない場所等では、他
の方法(刺網による捕獲、潜水による捕獲等)を実施することが望ましい。
12mm及び18mm程度の2種類の目合を用いることを基本とするが、捕獲対象とする。魚
種や水深等の状況に合わせて適切な目合を選ぶようにする。
投網は、個人の技量により結果に差が生じやすいため、熟練した技術を持った者が調
査を行う。
分類1
動植物
魚-4
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の魚類相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を整
理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、学、水産試験場等研究機関、専門家、漁業協同組合、学校の教員、各種愛好会・
同好会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
魚-3
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・123 -
分類1
動植物
魚-6
調査手法
分類2
魚類
分類3
現地調査
定置網による捕獲法
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
タモ網による捕獲
④対象魚種
・ヤツメウナギ科、コイ科、ドジョウ科、ハゼ科等の小型魚種
・幼稚魚全般
③努力量の目安
調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区あたり1人×1時間程度
を目安とする。
定置網の設置
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
定置網の構造
④対象魚種
・魚類全般(特にナマズ、ウナギ等の夜行性底生魚)
③努力量の目安
設置期間は、一晩とする。
・袖網を張る位置は、流速の遅い場所を選ぶようにする。
・ゴミ等が大量に流下する場所では、袖網にゴミ等が引っ掛かることがあるため
配慮する。
②捕獲方法
使用する定置網は、河川の特性や対象とする魚種によって袋網の径や袖網の網丈、長
さ、目合の異なるものを適宜使い分ける。設置場所は、定置網を固定できる水深とし、
重しや杭等で固定できる場所を選定する。
袖網は、必ず川底と隙間がないように設置し、河床材料の粒径が大きく隙間ができや
すいような場合には、石等で丁寧に袖網を押さえて隙間をふさぐようにする。また、川
の流れや澪筋の位置、水深変化等を勘案し、魚類の通り道となるような場所を設置場所
として選ぶ。流入する細流やワンド・たまりがあるような場合には、ふさぐように設置
してもよい。
順流区間では、上流側に袋網を置き、袖網の片方を河岸につけるようにするとよい。
ただし、都道府県の漁業調整規則等によって、漁具で一定以上の川幅をふさぐことが禁
止されている場合があるため、使用にあたっては事前に十分確認しておく。
なお、定置網の使用にあたっては、以下の点に留意する。
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
定置網は、投網やタモ網に比べて個人の技量による差が小さく、遊泳魚、底生魚、夜
行性魚類の稚魚から成魚に至るまでの幅広い魚種の捕獲が可能である。
No.
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
タモ網は河岸植物帯、沈水植物帯、河床の石の下での捕獲や、砂・泥に潜っている比
較的小さな魚類の捕獲に有効である。一般に、タモ網では多くの魚種を捕獲することが
可能である。また、稚魚の捕獲にも適している。タモ網は、簡便な手法ではあるが、魚
類の生態等を熟知していないと十分な結果が得られないため、熟練した技術を持った者
が調査を行う。
袋網は、網目1mm程度、長さがタモ網の口径の約1.5~2倍程度のものを基本とし、口
径、柄の長さ等の違う種類のものを各種取りそろえて、現地の状況に応じて使い分ける
ようにする。河床及び河岸に対し隙間なく固定できるように先端が直線状のものを使用
する。
②捕獲方法
使用にあたっては、タモ網を河床及び河岸に対して隙間がないように固定して、上流
側から足で踏みながら追い込むようにする。河岸部では植物帯のあるところを中心に行
い、オーバーハングしている場所では、できるだけ奥までタモ網を入れるようにする。
また、河床部では、浮き石河床の下流側にセットし浮き石をどかしながら魚を追い込ん
だり、泥や砂を表面から数センチの厚さで剥ぎ取り、泥や砂の中の魚をよく探すように
するとよい。また、干潟では、干潮時の澪筋をタモ網で曳くように使用するとよい。な
お、タモ網の使用にあたっては、以下の点に留意する。
・投網と併用する場合は、魚類を散らさないように投網による捕獲が終了してか
ら使用する。
・下流から上流へ向かって捕獲することを基本とする。
・湿地・溜りの貴重な環境にできるだけ影響を与えないように十分配慮する。
分類3
現地調査
タモ網による捕獲法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類1
動植物
魚-5
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・124 -
分類1
動植物
魚-8
調査手法
分類2
魚類
分類3
現地調査
サデ網による捕獲法
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
刺網
④対象魚種
・魚類全般(特にサクラマス、サツキマス、コノシロ、サッパ、ボラ、ワカサギ等
の回遊性魚類、ナマズ等の夜行性魚類)
③努力量の目安
捕獲対象とする魚種や水深等の状況に合わせて、2種類以上(例えば15mmと50mm程
度)の異なる目合を用いる。設置期間は、一晩とする。河口域から感潮区間で潮汐の干
満があるときには、魚類の特性に合わせて設置時間を考慮する。また、刺網によって捕
獲された魚類は、死亡しやすく、カニやカメ等による食害を受けやすいため、適切な設
置時間にとどめることが望ましい。
②捕獲方法
使用する刺網は、調査地区及び調査対象環境区分の特性や対象とする魚種によって目
合や網丈、長さの異なるものを適宜使い分ける。設置場所は、通常流れの緩やかな場所
を選定する。流速の変化、植物の茂みや捨て石等の障害物の位置を考慮し、魚類の通り
道となるような場所を選定する。対象とする魚種によって設置に適した場所や水深、時
間帯が異なるため留意する。
流入する細流やワンド・たまりがあるような場合には、他の調査方法を実施する前に
これらをふさぐように設置し、投網やタモ網による捕獲によって魚類を追い込むように
使用しても効果的である。
また、他の調査方法とあわせて使用する場合には、他の調査方法の終了後にひきあげ
ると効果的である。ただし、都道府県の漁業調整規則等によって、漁具で一定以上の川
幅をふさぐことが禁止されている場合があるため、使用にあたっては、事前に十分確認
しておく。
サデ網による捕獲
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
④対象魚種
・ヤツメウナギ科、コイ科、
ドジョウ科、ハゼ科等の小型魚種
・ナマズ、フナ属、カジカ等
・幼稚魚全般
③努力量の目安
調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区あたり1人×1時間程度
を目安とする。ただし、タモ網を併用する場合には、同様な捕獲方法となるため努力量
を調整する。
②捕獲方法
使用にあたっては、サデ網を河床及び河岸に対して隙間がないように固定して、上流
側から足で踏みながら追い込むようにする。河岸部では植物帯のあるところを中心に行
い、オーバーハングしている場所では、できるだけ奥までサデ網を入れるようにする。
また、河床部では、浮き石河床の下流側にセットし浮き石をどかしながら魚を追い込ん
だり、泥や砂を表面から数センチの厚さで剥ぎ取り、泥や砂の中の魚をよく探すように
するとよい。
なお、サデ網の使用にあたっては、以下の点に留意する。
・投網と併用する場合は、魚類を散らさないために投網による捕獲が終了してか
ら使用する。
・下流から上流へ向かって捕獲することを基本とする。
・細流等をふさぐようにしてサデ網を構え、数人で追い込むようにして使用する
と効果的である。
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
サデ網は、タモ網と同様に河岸植物帯、沈水植物帯、河床の石の下での捕獲や、砂・
泥に潜っている比較的小さな魚類の捕獲に有効である。サデ網は、タモ網より口径が大
きく袋網の深さが十分にあるため、河岸植生帯がオーバーハングしている場所での捕獲
に適し、より大型の魚類を捕獲することができる。
なお、調査には、以下の条件に合うようなサデ網を使用するとよい。
・河床及び河岸に対し隙間なく固定できるように先端が直線状のものを使用する。
・河床材料の粒径が大きい場合には、先端がヒモ状のものを使用すると隙間をふ
さぎやすい。
・口径、網目等の違う種類のものを各種取りそろえて、現地の状況に応じて使い
分けるようにする。
No.
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
刺網は、目合や水深、時間等を考慮することにより、遊泳魚、底生魚、夜行性魚類ま
で幅広い魚種の捕獲が可能である。また、目合の異なる複数の網からなる二枚網あるい
は三枚網は、魚類の捕獲に有効であるため、状況に応じて使用するとよい。
分類3
現地調査
刺網による捕獲法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類1
動植物
魚-7
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・125 -
分類2
魚類
分類3
現地調査
どうによる捕獲法
はえなわの設置
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
④対象魚種
・ウナギ、ナマズ等の夜行性肉食魚
・イワナ属、ヤマメ等のサケ科魚類
・その他の肉食魚
③努力量の目安
設置期間は、一晩とする。1調査地区あたり1~2張程度を目安として設置する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
どうの設置
④対象魚種
・ウナギ、ナマズ等の夜行性肉食魚
③努力量の目安
設置期間は、一晩とする。1調査地区あたり3~5統程度を目安として設置する。
②捕獲方法
設置場所は、魚類が潜んでいそうな障害物の近辺や水深の深い場所等を選定する。ど
うを設置する際には、仕掛けが浮き上がらないようにあらかじめおもりをつけておくか
石等を重しにして固定しておく。一般に、流れに対して下流側に入り口がくるように設
置する。
なお、使用する餌や設置場所については、事前に地元の漁業者等に聞き取りを行い、
適切なものを使用することが望ましい。
調査手法
②捕獲方法
使用するはえなわは、調査地区及び調査対象環境区分の特性や対象とする魚種によっ
て針の大きさ、餌、構造が異なるものを適宜使い分ける。設置場所は、魚類が潜んでい
そうな障害物の近辺や水深の深い場所等を選定する。開けた場所で使用する場合には5
~10本程度の枝針をつけるが、魚巣ブロックの内部等で使用する場合には1本ずつ仕掛
けるようにする。
はえなわは、かかった魚によって仕掛けが流されないよう河岸のしっかりした枝や石
等に結びつけるようにする。ウナギやナマズを対象とする場合には、餌が浮かないよう
に間におもりをつける等するとよい。イワナ属、ヤマメ等を対象とする場合には、餌が
水流でゆらめくように設置するのも有効である。
なお、使用する餌や設置場所については、事前に地元の漁業者等に聞き取りを行い、
適切なものを使用することが望ましい。
分類1
動植物
魚-10
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
どうは、他の漁具・漁法が使用できないような水深の深い場所や障害物の多い場所で
有効である。
No.
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
はえなわは、他の漁具・漁法が使用できないような水深の深い場所や障害物の多い場
所で有効である。
分類3
現地調査
はえなわによる捕獲法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類1
動植物
魚-9
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・126 -
分類1
動植物
魚-12
調査手法
分類2
魚類
分類3
現地調査
カゴ網による捕獲法
玉網による捕獲
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
④対象魚種
・小型の底生魚全般
③努力量の目安
調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区あたり1人×1時間程度
を目安とする。
②捕獲方法
確認された魚類の上方から網をかぶせるようにして捕獲する。浮き石がある場所で
は、下流側からそっと石をどけると、ヨシノボリ類やカジカ等がその場でじっとしてい
る場合がある。シマドジョウ等砂の中に隠れた魚類を捕獲する場合には、軽く指で砂を
さすり、飛び出した魚類が再び隠れた場所を目視で確認するとよい。
捕獲に際しては、アカザ等の危険な魚類やガラスの破片等でけがをする場合があるた
め、必ず手袋を着用する。
なお、潜水による捕獲時に実施すると効果的である。
・直径が5~10cm程度で、玉石の間のヨシノボリ属魚類等にかぶせる時に適度な
大きさのものを使用する。
・網地の色は、白色を避け、黒又は褐色のものを使用する。
・網地は、柔らかすぎず、袋網が自立するものを使用する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
カゴ網の設置
④対象魚種
・タナゴ亜科、ウグイ、アブラハヤ等
・幼稚魚全般
③努力量の目安
設置時間は、1時間程度を目安とするが、魚類の活性に合わせて適宜設定するとよい。
1調査地区あたり3~5個程度を目安として設置する。あまり長時間設置すると集魚効
果が薄れ、魚の入りが悪くなるだけでなく、カゴ網に入った魚が抜け出してしまうこと
がある。
②捕獲方法
他の調査方法を実施している間に、餌として市販のさなぎ粉等のねり餌をピンポン玉
程度の大きさにしたものを入れて1時間程度水中に沈める。出入り口が上下流方向に向
くように川底に固定させる。
設置するときには、水底から浮かび上がらないようにおもりをつけて固定する。
また、物陰や日陰に半分隠れた状態にするとよい。
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
カゴ網は、流れの緩やかな場所での小型魚の捕獲に適している。特に、異形ブロック
の隙間等の投網やタモ網での捕獲が難しい場所で用いると効果的である。
No.
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
玉網は、透明度の高い水域での捕獲に適している。また、潜水によって捕獲すると効
果的である。
なお、調査には、以下の条件に合うような玉網を使用するとよい。
分類3
現地調査
玉網による捕獲法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類1
動植物
魚-11
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・127 -
分類2
魚類
分類3
現地調査
潜水による捕獲法
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
セルびんの設置
④対象魚種
・タナゴ亜科、ウグイ、アブラハヤ等
・幼稚魚全般
②捕獲方法
他の調査方法を実施している間に、餌として市販のさなぎ粉等のねり餌をピンポン玉
程度の大きさにしたものを入れて1時間程度水中に沈める。入り口が下流側に向くよう
川底に固定させる。
使用するセルびんは、汚れがなく、透明なものほど魚の入りがよい。
潜水による捕獲
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
④対象魚種
・魚類全般
③努力量の目安
調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区あたり2人×30分程度を
目安とする。
②捕獲方法
潜水による魚類調査の経験が豊富な者が、水中メガネ、シュノーケル、ウエットスー
ツ等を着用して行う。遊泳魚には、口径20cm程度、底生魚には口径10cm程度の玉網等を
用いると効果的である。
調査手法
③努力量の目安
設置時間は、1時間程度を目安とするが、魚類の活性に合わせて適宜設定するとよい。
1調査地区あたり3~5個程度を目安として設置する。あまり長時間設置すると、集魚
効果が薄れ、魚の入りが悪くなるだけでなく、セルびんに入った魚が抜け出してしまう
ことがある。
分類1
動植物
魚-14
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
潜水による捕獲は、透明度の高い場所での調査に適している。また、岩が多い場所や
水深の深い場所等で投網が使用できない場合に有効な方法である。ただし、流れが速い
場所や水深の深い場所では、危険を伴うため、調査経験を積んだ者が実施するようにす
る。
なお、スクーバ潜水等潜水器を用いる潜水作業には、「労働安全基準法」による「潜
水士」免許が必要である。シュノーケリング等吸気を受けない潜水は、労働安全基準法
における「潜水作業」にはあたらないが、安全管理上「潜水士」免許を持つ者が調査に
従事することが望ましい。
No.
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
セルびんは、流れの緩やかな場所での小型魚の捕獲に適している。特に異形ブロック
の隙間等の投網やタモ網での捕獲が難しい場所で用いると効果的である。
分類3
現地調査
セルびんによる捕獲法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類1
動植物
魚-13
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・128 -
分類1
動植物
魚-16
調査手法
分類2
魚類
分類3
現地調査
潜水観察法
電撃捕獲器(エレクトロフィッシャー)による捕獲
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
④対象魚種
・魚類全般(特に大型魚以外)
③努力量の目安
調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区あたり1組×1時間程度
を目安とする。
②捕獲方法
一般的に河川の上流方向に遡りながら使用し、痙攣・気絶した魚をタモ網等で捕獲す
る。そのため、捕獲効率を考えると複数人で行うことが望ましい。また、魚類は痙攣・
気絶しながら流下するため、下流側でサデ網等を構え、上流から追い込むように捕獲す
ると効率的である。
・魚類を長時間電気にさらさないように速やかにタモ網等で回収する。
・卵の発育期間中は、使用を避ける。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
④対象魚種
・魚類全般
③努力量の目安
調査対象環境区分の規模や数によって異なるが、1調査地区あたり2人×30分程度を
目安とする。
②観察方法
潜水による魚類調査の経験が豊富な者が、水中メガネ、シュノーケル、ウェットスー
ツ等を着用して行う。観察した魚類は、できるだけ水中カメラ等により記録を残すよう
にする。なお、誤同定を避けるため、無理な同定は行わないようにする。
[調査方法]
①調査方法の特性
潜水観察は、透明度の高い場所での調査に適している。また、岩が多い場所や水深の
深い場所等で投網が使用できない場合に有効な方法である。ただし、流れが速い場所や
水深の深い場所では、危険を伴うため、調査経験を積んだ者が実施するようにする。
なお、スクーバ潜水等潜水器を用いる潜水作業には、「労働安全基準法」による「潜
水士」免許が必要である。シュノーケリング等吸気を受けない潜水は、労働安全基準法
における「潜水作業」にはあたらないが、安全管理上「潜水士」免許を持つ者が調査に
従事することが望ましい。
No.
[調査方法]
①漁具・漁法の特性
電撃捕漁器(エレクトロフィッシャー)を用いることにより、特に中小河川等の渡河
できる河川において、生息する魚類をまんべんなく捕獲することができる。また、使用
者による捕獲効率の差が少ない。日本では、背中にバッテリーを背負うバックパック式
を使用する場合が多い。ただし、魚体に様々な影響をもたらすことが報告されており、
その使用には注意を要する。また、地方の条例等によって使用が許可されない場合もあ
るため、使用にあたっては、事前に十分確認しておく。
使用できる電流のタイプとして、交流、直流、パルス直流等があるが、交流での使用
は、魚にダメージを与える場合が多い。そのため、できるだけ低電圧、低パルスに設定
して、交流での使用は避ける。
人体に対しても危険を及ぼすため、調査者は、必ず絶縁性の手袋、着衣を使用し、周
辺の人にも十分注意を払う。
なお、使用にあたっては、以下の点に留意する。
分類3
現地調査
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類2
魚類
電撃捕漁器(エレクトロフィッシャー)による捕獲法
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類1
動植物
魚-15
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・129 -
分類1
動植物
魚-18
調査手法
分類3
現地調査
遡上個体確認調査法(サケ科魚類)
分類2
魚類
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
水中観察による調査状況
出典:平成20年度 世界遺産保全緊急対策事業(河川工作物改良の効果検証)報告書(No.562)
目視による調査状況
ただし、調査対象の個体数が少ない事が予想される場合や産卵行動前の個体は目視に
よる確認が困難なことなどの理由がある場合には、潜水による水中観察を多用する。調
査にあたり天候、気温、水温なども記録し、そのほか調査中に観察されたヒグマ、猛禽
類などの野生動物の生息状況についても記録し、写真撮影を行う。河川内を歩行する場
合は産卵床(オショロコマも含む)を踏み付けないよう注意を払う。
なお、調査実施人員体制は、各調査回ともにヒグマへの警戒や事故防止のため調査員
は3名1組で実施した。
※1 本調査は縦断的な遡上分布把握を目的としており、死魚は上流から流れ着いた可能性や
ヒグマにより移動されている可能性があるため、遡上個体として数量に含めない。
個体数のカウントは確実に魚影として認識できるもののみを対象とする。
流速の速い早瀬や水深の深い渕など陸上からの観察が困難な場所では水中眼鏡
の使用や潜水による水中観察も併用する。
調査回ごとの調査精度のばらつきを極力無くするため、同一の調査員がカウン
トを担当すること。
調査では産卵を終えて死亡した個体やヒグマによる捕食により陸上に残された
残骸なども1尾として特定出来るものは“死魚”としてカウントし予備データ
※1
として記録する。(死体の損傷の程度なども出来るだけ記録する)
[調査方法]
事例No.562では、北海道におけるサケ科魚類の遡上個体数の調査は陸上からの目視に
より行っている。
調査は、偏光グラスを着用し、不用意な接近によりパニックを起こさないよう注意し
観察を行う。
遡上個体数のカウントの際は、以下の基準に沿って調査を実施する。
なお、調査回ごとの調査精度のばらつきを少なくするため同一調査員が全調査回に参
加するものとする。
No.
[調査方法]
魚類調査は、捕獲による確認を基本とするが、調査中に目視によって明らかに種が判
別できたもの(大型のシロザケやコイ等)については、記録してもよい。
ただし、捕獲による調査で確認されている種については、記録する必要はない。
分類3
現地調査
目視確認法
[調査時期]
事例No.562では、サケ科魚類の遡上個体確認調査は8月から翌年1月までの期間内に
10回、調査実施間隔は2 週間を基本として実施している。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施する。
分類1
動植物
魚-17
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・130 -
調査手法
分類2
魚類
分類3
現地調査
標識再捕獲法
出典:平成20年度 世界遺産保全緊急対策事業(河川工作物改良の効果検証)報告書(No.562)
産卵床が密集し河床全体が掘り返されている場所では、産卵床として形状が確
認出来る物のみカウントし、面積などからの推定数でカウントは行わない。
また、調査に際しては観察中に河川内の産卵床(オショロコマも含む)を踏み
付けないよう注意を払う。
なお、調査実施人員体制は、各調査回ともにヒグマへの警戒や事故防止のため調査員
は3名1組で実施した。
③礫に付着している底生動物(水生昆虫)の量
→ 新しい産卵床では礫に付着する底生動物(水生昆虫)が少ない。
②産卵床の堆積礫の柔らかさ
→ 棒などで堆積している礫のしまり具合を確認する。
①産卵床の礫の色と周辺の河床材の色の差
→ 礫に付着している藻類の有無により産卵床の新しさを判断する。
産卵床の大きさと形状、礫の状況などから産卵が完了していると特定出来るも
ののみカウントの対象とする。
産卵床の造成中に何らかの原因により途中で中止されたと思われるものはカウ
ントしない。(試し掘りで終わったものや造成中にヒグマに捕食されてしまっ
た可能性のものなど)
調査時に産卵床を造成中で既に産卵床として十分な大きさに形成されているも
のをカウントの対象とする。(調査時に産卵行動中のものも含む)
産卵床は前回の調査時以降(約2週間前以降)に造成されたと思われる産卵床
のみカウント対象とする。見分け方は以下の点について確認し総合的に判断す
る。
出典:平成16年度 朝日山地森林生態系保護地域におけるモニタリング調査報告書(No.252)
サイズ分布は、1cmないし2cmの階級で横軸にサイズを、縦軸には個体数の頻度を
とったヒストグラムを作成する。6月と9月の両方で捕獲された個体については、
生長量を解析する。
[調査方法]
事例No.252では、森林生態系保護地域内の保存地区に禁漁区を保全利用地区に遊漁区
を設定して、渓流魚の生息実態を毎年調査し比較することによって、漁獲圧が棲息する
渓流魚の密度に及ぼす影響を評価し、生態系保護地域内の魚類の取り扱いに対して指針
を与えることを目的として、禁漁区と遊漁区において密度推定調査を行っている。
試験区は禁漁区(A)、遊魚区(B)それぞれ長さ300m の区間を、50mのプロット6箇
所に区切り、それぞれ下流側から1~6の番号をつける。
渓流魚の捕獲には、電撃捕獲機(Smith-Root 社製, Backpack Electro Fisher Model
12B)を使用。捕獲作業は基本的に4人で行う。1人は電撃捕獲機を操作し、2人は電撃
捕獲により気絶した渓流魚をたも網で捕獲する。1人は押し網を電極の下流側に設置し
て、たも網で捕獲できずに下流方向に流された渓流魚を捕獲する。捕獲に使用した電圧
は400~600V を、水流や水深によって使い分ける。一般的に、水流が早く、水深が深い
ほど電圧を高くする。
捕獲した個体は約0.5% のフェノキシアルコールで麻酔し、個体識別が可能なタグを
つける。タグは、衣料品に商品札を取り付けるプラスチックタグに番号を焼印したもの
である。このタグを渓流魚の背びれの胴体部に取り付ける。プラスチックタグが行動や
死亡に影響を与えることがないように、約10㎝以上の個体にのみ取り付ける。捕獲個体
は、生体重(1g単位)と尾叉長(1㎜単位)を計測する。計測と個体標識を行った個
体は、麻酔から覚醒し、十分に回復したことを確認したのち、捕獲したプロットの中心
付近に再放流する。
電撃捕獲機の捕獲効率は100% ではないため、各調査プロットの生息個体数は、1回
の調査における各2回の捕獲結果にしたがい、標識再捕獲法に基づくPetersen 法の
Chapmanの修正式(以下本文では、単にPetersen法とする)により密度推定を行う。
1回目の捕獲数はn1とし、
これらにはすべて標識を付け
て再放流する。
2回目の捕獲総数n2のうち、
m2の個体が1回目にも捕獲さ
れた個体であったとすると、個
体数N*とその標準偏差SDは、右
の式で計算することができる。
分類1
動植物
魚-20
[調査方法]
事例No.562では、北海道におけるサケ科魚類の産卵床数は以下の基準に基づいて判断
しカウントを行っている。
No.
[調査時期]
融雪後の6月と繁殖期の前に当たる9月の年2回、それぞれの調査で2回の捕獲を行
う。1回目の捕獲の影響を排除する目的から、最低2日間(中1日)の間隔を置いてか
ら2回目の調査を行う。
分類3
現地調査
産卵床確認調査法(サケ科魚類)
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
事例No.562では、サケ科魚類の遡上個体確認調査は8月から翌年1月までの期間内に
10回、調査実施間隔は2週間を基本として実施している。
分類1
動植物
魚-19
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・131 -
No.
分類1
動植物
魚-22
調査手法
分類2
魚類
分類3
現地調査
潜水目視観察法
最後に、調査区間全ての淵に生息する魚類の個体数を以下の式で求める。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 となり、単位努力量当たりの捕獲数がその時点の累積捕獲数の一次式として表される。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 次に、潜水観察を行ったnp 個の淵のカウントにRを乗じて各淵の個体数を推定する。
nt/ft=qN0-qKt
式(1)、(2)から
Nt=N0-Kt ・・・・・・(2)
また、Ntは元々の個体数Noからt 回目の採捕までに系から取り除かれた累積個体数を
差し引いた値に等しい。
nt/ft=qNt ・・・・・(1)
単位努力量当たりの捕獲数は、その時点での生息個体数Ntに比例すると仮定すると、
式(1)の通りとなる。
N0:採捕を行う時点での魚類個体数
Nt:t 回目の採捕を行う直前に系に残存する魚類個体数
nt:t 回目の採捕で捕獲される個体数
Kt:t 回目の採捕までに捕獲されている累積個体数
ft:t 回目の採捕における努力量(採捕に参加した人数、使用網数、電気ショッカー
数、採捕時間等)
[調査方法]
潜水目視観察は、熟練した調査者が行うことにより、漁具では捕獲しにくい種類や大
型の個体を確認できる利点がある。また、潜水目視観察により、魚類の密度を推定する
こともできる。この場合、調査者は魚の個体数を種類別、体長別に数え、水中での観察
と同時に、目視観察を行った面積(目視幅×距離)を記録する。これを現地の河床型な
どに応じて適宜繰り返すことにより、平均的な密度が推定できる。
目視観察範囲の設定方法としては、河床にコドラートを設置する方法、川を横断する
ように調査測線を設置し、測線に沿って一定距離毎に観察する方法(ベルトトランセク
ト法)、などがある。また、複数名の調査者を横断方向に配置し、同時に泳ぎ下りなが
ら観察を行うと、広い範囲を効率的に調査することが可能である。
なお、調査結果を現地調査票に記録する場合は、1回の調査毎にデータを分けて記録
する。
このように、潜水観察による目視確認が最も一般的であるが、コドラート法やベルト
トランセクト法に加えて、2ステージ・サンプリング法がある。
この方法は、第一段階で潜水観察を実行するハビタットと地点を選択する。
例えば淵というハビタットの魚類個体数を推定する場合は、調査区間にある全ての淵
Np個から潜水観察を行う淵np個をランダムに選出する。第二段階では、ダイバーが選択
されたNp個の淵で下流から上流に向かって発見された魚をカウントし(di)、淵毎に記
録する。過小評価ぎみのdiを補正するために、np個の淵からシステマチックにmp個の淵
を選択し、その淵にいる魚を電気フィッシャーなどで捕獲し、除去法によって個体数を
推定する。
この除去法(魚-21参照)による推定個体数をPeiを真の個体数と見なし、diを補正する
係数を以下のように求める。
分類3
現地調査
[調査方法]
除去法とは、設定した調査区内で、同一の調査努力量で複数回の捕獲調査を行い(捕
獲した魚類は再放流しない)、調査毎の累積捕獲個体数の変化から調査区内の総個体数
を推定する方法である。個体数推定のためのデータが、同一調査地区で、一定の時間を
空けて複数回の捕獲調査をすることで得られ、標識など特別な処置をしなくて良いため、
最近よく使われる手法である。なお、除去法などで個体数推定を行うときは、魚が逃げ
ないように調査区をあらかじめ網などで覆っておくと精度の高い結果が得られる。ま
た、調査結果を現地調査票に記録する場合は、1回の採集毎にデータを分けて記録す
る。
以下に、除去法のうち、よく使われるレズリー法についてに示す。
除去法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類2
魚類
調査手法
[調査時期]
調査時期に規定なし。
分類1
動植物
魚-21
No.
調査手法解説表(魚類)
- 資・132 -
分類1
動植物
底-2
調査手法
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
底生動物
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生息
状況、繁殖状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の底生動物相、
重要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等について
の情報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等
を整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、水産試験場等研究機関、専門家、漁業協同組合、学校の教員、その地域の水生昆
虫研究会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の底生動物相、重
要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての
情報を中心に整理する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に
係る文献を可能な限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
底生動物
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
底-1
No.
調査手法解説表(底生動物)
- 資・133 -
分類1
動植物
底-4
調査手法
分類3
現地調査
定性採集法(Dフレームネット、サデ網等)
分類2
底生動物
出典:道路環境影響評価の技術手法 第3巻 2007 改訂版 出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
サデ網による捕獲
Dフレームネットによる捕獲
[調査方法]
定性採集では、多くの環境に生息する底生動物を採集することを目的とし、淡水域で
は以下のような調査箇所を設定して採集を行う。基本的には目合0.493mm(NGG38)のDフ
レームネット、サデ網等を用いるが、必要に応じて様々な採集用具を用いて調査を行う。
また、調査箇所ごとに得られた試料は、調査対象環境区分ごとにまとめる。その際、
調査対象環境区分の設定をし、①早瀬、②淵、③湧水、④ワンド・たまり、⑤湛水域、
⑥その他(沈水植物)、⑦その他(水際の植物)、⑧その他(植物のない河岸部)、⑨その他、
に大きく分けて、最多でも9サンプルとする。
努力量の目安としては、調査箇所全体の底生動物の生息状況を把握できるよう、主に
2
総面積0.5m 程度を対象とする(詳細は出典参照)。
No.
[調査方法]
調査地域内の水域において、個体の目視又は採取によって確認された種を全て記録す
る方法。通常はサーバーネット等で採取する。
分類3
現地調査
直接観察及び採取法
[調査時期]
現地調査は、初夏から夏と冬から早春の2回以上実施する。
分類2
底生動物
調査手法
[調査時期]
調査時期の規定なし。
分類1
動植物
底-3
No.
調査手法解説表(底生動物)
- 資・134 -
分類1
動植物
底-6
調査手法
分類3
現地調査
定量採集法(コドラート付きサーバーネット)
分類2
底生動物
出典:道路環境影響評価の技術手法 第3巻 2007 改訂版 出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
コドラート付きサーバーネットによる調査状況
[調査方法]
定量採集は、流速が速く、膝程度までの水深の瀬で実施する。このような場所がない
調査地区では、できるだけ流れのあるところで実施する。
採集用具としてはサーバーネット(25cm×25cm目合0.493mm(NGG38))を使用する。
また、サーバーネットのネット丈は入口における水の逆流を防ぐため、口径の2倍以上
のものを使用する。
採集は、同様の環境で3回行い、各コドラートを別々のサンプルとする(3つのサン
プルをひとつにまとめない)。また、採集に際しては、逆流防止とネットやサンプルの
破損防止のため、石等はネットに入れずにバケツに直接入れるようにする。
No.
[調査方法]
調査地域内の水域に方形枠を設定し、枠内の泥等をすべて採取して、方形枠内に生息
する種を記録する方法である。
分類3
現地調査
コドラート法
[調査時期]
現地調査は、初夏から夏と冬から早春の2回以上実施する。
分類2
底生動物
調査手法
[調査時期]
調査時期の規定なし。
分類1
動植物
底-5
No.
調査手法解説表(底生動物)
- 資・135 -
調査手法
分類3
室内分析
ソーティング法(生物の拾い出し)
分類2
底生動物
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
エクマン・バージ型採泥器による調査状況
ソーティングから分析までの流れ
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版(生物調査編)(一部改変)
[調査方法]
室内において、現地調査で採集されたサンプルからソーティング(生物の拾い出し)
を行う。ソーティングは、十分に経験を積んだ者が行うことが望ましい。
ポリ瓶内のサンプルを目合2.8mmと0.5mm(JIS 規格:JIS Z 8801)を組み合わせたフ
ルイに移す。その他の目合(4.75mm等)のフルイと組み合わせるとサンプルが大きさ別
におおむね揃い、その後のソーティングがしやすくなる。その後よく洗い、ホルマリン
や細かな泥等を除く。次にフルイの目合別にバットに入れて、生物が見やすくなるよう
に、サンプルを広げ適量の水をはる。大きなごみや礫は生物が付着していないことを確
認してから取り除き、バットの中をよく見て底生動物をピンセット等で選別してシャー
レに移す。このとき砂礫や植物片で巣を作るものや、ごみや貝殻の破片等の塊の中にい
るものがあるので注意して選別する。
採集された生物がおおむね500 個体以上の場合は、以下に示す手順に従って分割(サ
ブサンプリング)を行ってもよい。
①目合2.8mm のフルイに残る大きな種類や、個体数の少ない種類(希な種類)は
全量ソーティングする。
②目合2.8mm を通過し、目合0.5mm に残ったサンプルは、個体数の少ない種類(
希な種類)を全量ソーティングした後、分割後の総個体数が200 個体以上とな
るよう分割を行い、再度ソーティングする。分割を行う際には、プランクトン
サブサンプラーやカートン式サブサンプラー等、均等に分割を行える機器を用
いて分割し、目分量等による曖昧な分割
は行わない。
なお、小さい生物のソーティングには、
実体顕微鏡や2~5倍のルーペ等を用いる。
注意してソーティングを行ったサンプルに
も必ず拾い残しがあるので、いったんソー
ティングの済んだ残渣はもう一度バット上
で生物の有無を確認する。確認はソーティ
ングを行った者とは別の者が行うことが望
ましい。この段階で大きなグループ(目レ
ベル、科レベル等)を区別しておくと、後
の同定作業がスムーズになる。
ソーティング作業の際に出るホルマリン
は、バットやタライ等で回収し適切な廃棄
を行う。特に、最初にポリ瓶からサンプル
を目合2.8mmと0.5mmを組み合わせたフル
イに移す際や、フルイに移した後にサンプ
ルを水道水等で洗う際に出る高濃度のホル
マリン廃液は、適切な廃棄を行う。
分類1
動植物
底-8
[調査方法]
水深が深い場合には、橋あるいはボート上より、エクマン・バージ型採泥器(15cm×
15cm)を用いて、4回採泥し、0.5mm 目のフルイで濾して残った生物を1つのサンプルと
する。
なお、河床材料が礫、岩盤、コンクリート等で採泥器により採集ができないような場
合は、採集位置をずらす。
No.
[調査時期]
現地調査は、初夏から夏と冬から早春の2回以上実施する。
分類3
現地調査
定量採集法(エクマン・バージ型採泥器)
分類2
底生動物
調査手法
[調査時期]
現地調査は、初夏から夏と冬から早春の2回以上実施する。
分類1
動植物
底-7
No.
調査手法解説表(底生動物)
- 資・136 -
③当方
助言を得た者又は聞き取り調査実施者の氏名、所属機関を記録する。
④日時
年月日(年は西暦)及び開始時刻及び終了時刻(24時間表示)を記録する。
⑤場所
聞き取り調査等を実施した場所を記録する。メール、電話等により実施した場合はそ
の旨を記録する。
④発行年
文献、報告書等が発行・作成された年(西暦)を記録する。
⑤発行元
出版社名、事務所等名等を記録する。
⑥入手先
文献、報告書等の入手先を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
の植物の調査項目に準拠している。
なお、以上は、「平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)」
⑨その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑧重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要がある重要種、外来種、特筆すべき種について、生育
状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑦文献の概要
記載内容の概要を記録する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)(一部改変)
なお、以上は、「平成18年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版 (生物調査編)」
の植物の調査項目に準拠している。
⑧その他
その他特筆すべき情報があれば記録する。
⑦重要種、外来種、特筆すべき種に関する情報
現地調査に際して留意する必要のある重要種、外来種、特筆すべき種について、生育
状況、確認しやすい時期等を記録する。
⑥助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
②相手
助言者又は聞き取り調査対象者の氏名、所属機関を記録する。
①収集文献
文献ごとに発行年順に付番する。
③著者名
著者、編者、調査者等の氏名を記録する。
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
付着藻類
①聞き取り
助言を得た順又は聞き取り調査を行った順に付番する。
調査手法
②文献名
文献、報告書等のタイトルを記録する。
分類1
動植物
付-2
[調査方法]
聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺の植物相、重要
種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等についての情
報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する助言等を整
理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、各種愛好会・同好会等)を対象にする。
学識経験者等の助言から得られた情報・知見については、以下の項目を整理する。
No.
[調査方法]
文献調査では、既往調査の文献、報告書等を収集し、調査区域周辺の植物相、重要種、
外来種及び特筆すべき種の生育状況、確認しやすい時期等についての情報を中心に整理
する。文献、報告書等は、調査対象地域に限定せず、当該水系全体に係る文献を可能な
限り原典で収集しておくことが望ましい。
文献調査を実施した文献、報告書等については、以下の項目を整理する。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
付着藻類
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
付-1
No.
調査手法解説表(付着藻類)
- 資・137 -
分類1
動植物
付-4
分類3
現地調査
湖岸の水生植物体上の付着藻類の採取法
分類2
付着藻類
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 礫上の付着藻類のサンプリング方法
付着藻類のサンプリング用具
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 水深が大きい水域での付着藻類調査のための付着版とその設置方法(例)
調査目的に応じた調査時期の目安
調査手法
[調査方法]
湖岸の水生植物体上の付着藻類の採取にあたっては、次のことをあらかじめ検討して
おく必要がある。それは最終結果の表現を以下のどちらにするかということである。
①付着面積当たり
②水生植物帯の単位面積当たり
①の場合には、付着藻類を採取した茎の長さ、直径、葉の面積、植物体における採取
位置等の記載が必要であり、②の場合には、①に加えて水生植物の生育密度が必要であ
る。付着藻類のこすり落とし方や保存方法は、礫の場合と同様である(付-3参照)。
また、必要に応じて湖沼等の沿岸域以外の水深が深い水域での付着藻類の調査を実施
する場合には、付着版をあらかじめ設置し、一定期間後に引き上げて採取することに
よって調査することができる。引き上げは、夏期では2週間経過後、冬期では1か月経
過後程度が目安である。
付着藻類の固定には、一般にホルマリンを用いる。ホルマリンによって固定する場合
には、その添加量は試料が約5%の濃度になるようにする(市販のホルマリンは約35%
のホルムアルデヒド溶液である)。なお、炭酸水素ナトリウムの濃溶液で中和し中性の
ものを使用するとよい(この場合、下部に沈澱したものは使用しない)。アルコールは
植物性検体の色素を抽出して無色にしてしまうことがあり、またスチロールに害を与え
破損することがあるので避けたほうがよい。
No.
[調査方法]
河川域においては、まず、河床の礫のなるべく平面的な部分(上面)に5cm×5cmの
方形枠(コドラート)をあて、赤鉛筆を用いて5cm×5cmの印をつける。そして、枠外
の部分を歯ブラシまたはカネブラシできれいに取り去る。その後、枠内の付着物を全量
こすり落とし、水道水でバットの中に移し試料とする。なお、現地の河川水には藻類が
含まれる可能性があるため、使用しない方がよい。
付着藻類の固定には、一般にホルマリンを用いる。ホルマリンによって固定する場合
には、その添加量は試料が約5%の濃度になるようにする(市販のホルマリンは約35%
のホルムアルデヒド溶液である)。なお、炭酸水素ナトリウムの濃溶液で中和し、中性
のものを使用するとよい(この場合、下部に沈澱したものは使用しない)。アルコール
は植物性検体の色素を抽出して無色にしてしまうことがあり、またスチロールに害を与
え破損することがあるので避けたほうがよい。
調査目的に応じた調査時期の目安
分類3
現地調査
[調査時期]
調査時期の設定にあたっては、調査の目的により異なるため、調査目的に応じた調査時
期を設定する。
分類2
付着藻類
礫上の付着藻類のサンプリング方法(河川・渓流)
調査手法
[調査時期]
調査時期の設定にあたっては、調査の目的により異なるため、調査目的に応じた調査時
期を設定する。
分類1
動植物
付-3
No.
調査手法解説表(付着藻類)
- 資・138 -
分類1
動植物
付-6
分類2
付着藻類
分類3
室内分析
計数の手法
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 ②遠心沈殿法
遠心分離器にかけても細胞が破壊されないものについて用いる。
放置沈殿法に比べて、短時間で濃縮できるメリットがある。
容量50~250m の沈殿管を備えた電動式遠心分離器を用いて3000rpm 、15分間遠心す
る(ただし、100m 以上の沈殿管を用いる時には、沈殿管相互のバランスに細心の注意
をしないと停止後沈殿したものが巻きあがる恐れがある)。完全に停止した後、上澄み
液をピペットで静かに取り去る。このような作業を数回繰り返し、母試料を段階的に濃
縮していく。
①放置沈殿法
採取した試料をメスシリンダ、あるいは円錐形容器に入れ、試料100m あたり1m の
割合で市販ホルマリンを添加し(ルゴール液5滴/試料100m を加えてもよい)、一昼
夜放置後、上澄み液を取り去り、最後の5~10m を検鏡試料とする。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 調査目的に応じた調査時期の目安
調査手法
[調査方法]
採取した試料または調整した試料をよく混合した後、その適量を取って顕微鏡下で種
ごとに細胞数・群体数を計数する。
計数は400 細胞以上を目安とし(400 細胞カウントした時点で終わりではなく、上記の
方法でカウントした結果が400 細胞以上であればよい)、状況に応じて上記の計数を繰
り返す(貧栄養湖等では400 細胞に満たない場合もある)。計数値は単位面積当たりに
換算する。
また、計数のための顕微鏡の倍率は200 倍~400 倍が適当であるが、種類や状況に応
じて適切な倍率で計数する。
なお、藍藻のうち群体を形成する種( Chroococcus属、Synechcocystis属、
Synecoccus属等以外)については、糸状体ないし群体数を計数する。緑藻のVolvox属に
ついても群体数を計数する。
No.
[調査方法]
採取した試料は、試料中の生物量に応じて希釈または濃縮を行う。
付着藻類の試料は生物量が多い場合がほとんどであるため、蒸留水等で適度に希釈す
る。
ただし、生物量が少ない場合や採取する際にブラシの洗浄等で希釈されすぎた場合に
は、以下に示す方法により濃縮を行う。
調査目的に応じた調査時期の目安
分類3
室内分析
試料の調整手法
[調査時期]
調査時期の設定にあたっては、調査の目的により異なるため、調査目的に応じた調査
時期を設定する。
分類2
付着藻類
調査手法
[調査時期]
調査時期の設定にあたっては、調査の目的により異なるため、調査目的に応じた調査
時期を設定する。
分類1
動植物
付-5
No.
調査手法解説表(付着藻類)
- 資・139 -
分類1
動植物
プ-2
調査手法
分類3
聞き取り調査
聞き取り調査(専門家や関係者)
分類2
プランクトン
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 ②文献の概要として、調査実施状況(現地調査の時期、場所、回数等、文献調査の場合
は整理の対象とした文献等)、調査結果の概要(優占種の出現状況、環境指標生物とし
て注目されてきたアオコや淡水赤潮などの分布状況など)を整理する。
①収集した文献の文献名、著者名、発行年、発行元、入手先(絶版等により書店等で購
入できなかった場合)を整理する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 ②プランクトンの生息・生育状況
優占種、アオコや淡水赤潮などの分布状況、汚濁発生源等の流域の状況などを記録す
る。聞き取り調査では、学識経験者等に聞き取り等を行い、調査区域周辺のプランクト
ン相、重要種、外来種及び特筆すべき種の生息状況、繁殖状況、確認しやすい時期等に
ついての情報に加え、既往調査文献の有無、調査地区、調査時期、調査方法等に対する
助言等を整理する。
なお、聞き取り相手の選定にあたっては、学識経験者等の助言を得るようにし、調査
区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動物園、水族館、大学、専門家、学校の
教員、該当地域の猟友会の会員等)を対象にする。
①調査に対する助言の内容
既往調査文献の有無、調査地区・時期の設定、調査方法等に対する助言の内容を記録
する。
[調査方法]
現地調査を行う前に、聞き取り調査を実施することにより、調査対象ダム湖における
動植物プランクトンの生息・生育状況を中心とした諸情報をとりまとめる。
聞き取り調査では、学識経験者等専門家に聞き取りを行い、調査対象の動植物プラン
クトンの生息・生育状況、優占種の出現状況などについての情報を中心に整理する。
聞き取り先は、調査区域周辺の実態に詳しい機関や個人(博物館、動植物園、大学、
研究機関、専門家、学校の教員等)を対象とし、河川水辺の国勢調査アドバイザー等の
助言を得ながら聞き取り先を選定する。
また、学識経験者等専門家からの助言内容や聞き取り調査で得られた情報・知見につ
いて、下記の項目を整理する。
No.
[調査方法]
現地調査を行う前に、既往文献を整理することにより、調査対象ダム湖における動植
物プランクトンの生息・生育状況を中心とした諸情報をとりまとめる。
文献調査では、既往の報告書、出版・発行された文献等を収集し、調査対象の動植物
プランクトンの生息・生育状況についての情報を中心に整理する。
なお、文献の収集にあたっては、学識経験者の助言を得るようにし、可能な限り原典
(コピーでも可)を収集する。収集した文献及び報告書については、下記の項目を整理
する。
分類3
文献調査
文献調査(河川水辺)
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として聞き取り調査を現地調査実
施の前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類2
プランクトン
調査手法
[調査時期]
現地調査を年度初めに実施する場合には、事前調査として文献調査を現地調査実施の
前年度に行っておくと、現地調査を円滑に実施しやすい。
分類1
動植物
プ-1
No.
調査手法解説表(プランクトン)
- 資・140 -
No.
分類1
動植物
プ-4
調査手法
分類3
現地調査
動物プランクトン採取法(バンドーン式採水器)
分類2
プランクトン
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 バンドーン式採水器
[調査方法]
試料は、ダム湖(湖心部)において、水質調査と同時に採水法により採取することと
し、水質とあわせた解析に利用しやすいデータを取得する。
採水に用いる採水器としては、バンドーン式採水器を使用し、2 の試料をとる。
採水は、水質基準点等において、水質調査時にあわせて実施する。採水層は表層(水
深0.5m)及び中層(1/2水深)の2層の深度で行い、採取した試料はポリ瓶(2 広口
瓶等)に入れて固定する。
また、クリプト藻などは、生細胞の色彩や泳ぎ方などにより同定が容易になることか
ら採取した試料のうち、最低50m 程度は固定せずにとっておく。
この固定しない試料は、試料中の大型甲殻類等に植物プランクトンが摂食されてしま
うのを防ぐために、氷等で保冷して持ち帰る。
なお、現地で採集した植物プランクトンの試料は、基本的にルゴールで固定を行う。
ただし、固定しないで持ち帰った植物プランクトン試料について同定の参考用に固定し
たい場合、ホルマリンを用いると固定力が強すぎて、鞭毛藻類などで細胞が破壊されて
しまう種類があり、また、ルゴールを用いると細胞が茶色に染まって色調の観察ができ
なくなるため、グルタールアルデヒドなどを用いるのが望ましい。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 バンドーン式採水器
[調査方法]
試料は、ダム湖(湖心部)において水質調査と同時に採水法(ネットにより濾過した
ものを試料とする)により採取することとし、水質とあわせた解析に利用しやすいデー
タを取得する。
動物プランクトンは、バンドーン式採水器で10 採水し、採取した試水10 を網地
NXXX25 (約40μm)のこし網で濾過し、こし網に残ったものを動物プランクトン試料と
する。
採水は、水質基準点等において、水質調査時にあわせて実施する。
採水層は、表層(水深0.5m)及び中層(1/2水深)の2層の深度で行い、採取試料
は、ポリ瓶(500m 程度)に入れて固定する。
なお、現地で採集した動物プランクトンの試料は、ホルマリンで固定を行う。
[調査時期]
動物プランクトンについては、原則として四季に調査を実施することとし、最低でも
春の循環期と夏の停滞期に入って水温躍層が形成された時期の年2回は実施するものと
する。ただし、流入・流出の状況や取水口の位置により成層しないダム湖等もあるため、
当該ダムの特性・運用状況にも配慮し、季節変動が把握できるような時期に調査時期を
設定する。
なお、動物プランクトンの現地調査においても、水質調査結果のデータと比較解析が
可能なように「ダム水質調査要領」に基づく水質調査と同時に実施し、サンプルを採取
するものとする。
分類3
現地調査
植物プランクトン採取法(バンドーン式採水器)
分類2
プランクトン
調査手法
[調査時期]
植物プランクトンについては、ダム水質調査要領に基づく定期調査における水質調査
結果のデータと比較可能なように、水質調査と同時にサンプルを採取するものとし、原
則として1回/月とする。
分類1
動植物
プ-3
No.
調査手法解説表(プランクトン)
- 資・141 -
調査手法
分類2
プランクトン
分類3
現地調査
動物プランクトン採取法
(ネット法:水平曳き(表面))(池)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 ネット法による調査状況
出典:平成19年度 夜叉ヶ池水生昆虫生息地保護林におけるヤシャゲンゴロウ希少野生動植物
(政令指定)種保護管理事業に関する調査(その2)(夜叉ヶ池水生生物調査)報告書
(No.372)
プランクトンネットによる調査状況
曳網距離による各濾水量
[調査方法]
事例No.372では、動物プランクトン試料は池の沿岸部において、プランクトンネット
を用いて採集し(目合い100μm、口径30cm)、曳網距離の異なる2試料(3mと12m)
としている。
なお、採集した試料は、5%中性ホルマリン溶液中に保存し、持ち帰った後、種査
定・計数を行っている。
分類1
動植物
プ-6
[調査方法]
試料は、ダム湖(湖心部)において水質調査と同時にネット法により採取することと
し、水質とあわせた解析に利用しやすいデータを取得する。
採水を実施した水質基準点等と同じ地点において、規格統一のため丸川式定量ネット
(NXX 13:日本標準規格)または同等なプランクトンネット(口径30cm、側長1m程度)
を用いることとし、全層鉛直方向に曳いて動物プランクトンを採集する。
採取した試料は、ポリ瓶(500m 程度)に入れて固定する。
なお、現地で採集した動物プランクトンの試料は、ホルマリンで固定を行う。
ネットを使用する場合には、濾過水量を明確に把握し得るような配慮が必要である
(例えば小型の濾水計をつける)。また、ネットを曳く速度は0.5m/s程度が適当であり、
できるだけ一定にする。
さらに、沿岸部の動物プランクトン相について、把握する必要がある場合は、5~20
mの長さのロープがついたネットを使用し、岸から3方向に3回ずつ投げ、たぐり寄せ
て試料を採取してもよい。
分類3
現地調査
No.
[調査時期]
調査時期に規定なし(事例No.372では、9月4日(10:30~14:30)に実施)。
分類2
プランクトン
動物プランクトン採取法
(ネット法:全層鉛直方向)(ダム湖)
調査手法
[調査時期]
動物プランクトンについては、原則として四季に調査を実施することとし、最低でも
春の循環期と夏の停滞期に入って水温躍層が形成された時期の年2回は実施するものと
する。ただし、流入・流出の状況や取水口の位置により成層しないダム湖等もあるため、
当該ダムの特性・運用状況にも配慮し、季節変動が把握できるような時期に調査時期を
設定する。
なお、動物プランクトンの現地調査においても、水質調査結果のデータと比較解析が
可能なように「ダム水質調査要領」に基づく水質調査と同時に実施し、サンプルを採取
するものとする。
分類1
動植物
プ-5
No.
調査手法解説表(プランクトン)
- 資・142 -
No.
分類1
動植物
プ-8
調査手法
分類3
室内分析
試料の調整手法(動物プランクトン)
分類2
付着藻類
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 セディメントチャンバーのユニット
③ディメントチャンバー
倒立顕微鏡で検鏡する手法を用いる場合は、セディメントチャンバー(円柱状)で沈
降させる。貧栄養湖の場合は100m 、中栄養湖の場合は10m か50m の筒をベースユニッ
トに載せ、中に採取した試料を空隙ができないように入れ、蓋をして24時間静置後、上
澄み液を捨てる。また、富栄養湖の場合は筒を使用する必要がなく、ベースユニットの
穴に採取した試料を入れ、蓋をして3~4時間静置する。過栄養湖では希釈が必要な場
合もある。
この方法は、①または②の方法と比較して、作業手順が少なくて済むことから、濃縮
から同定・計数作業において発生する誤差が少なくなると考えられる。したがって、よ
り正確に細胞数を計数するためには、可能な限りセディメントチャンバーによって沈降
させたサンプルを倒立顕微鏡で検鏡することが望ましい。
[調査方法]
①静置沈殿法
固定した試料(2 )のうち、1 をメスシリンダあるいは円錐形容器に入れ、試料を
24時間以上静置し、上澄みをサイホンで取り除く。
この作業を、容器を小さくしながら数回繰り返し(容器を移す場合、容器の内壁は洗い
流し、試料に加える)、最終的に10m 程度まで濃縮する。
②遠心沈殿法
遠心分離器にかけても細胞が破壊されないものについて用いる。放置沈殿法に比べて
短時間で濃縮できるメリットがある。
固定した試料(2 )のうち、1 を容量50~250m の沈殿管に入れ、電動式遠心分離
器を用いて、3000rpm で15分間、遠心分離した後、上澄み液をピペットで静かに取り去
る。このような作業を数回繰り返し、最終的に10m 程度まで濃縮する。
100m 以上の沈殿管を用いる場合には、遠心分離器が停止した後沈殿していたものが
巻き上がるおそれがあるので、沈殿管相互のバランスに細心の注意を払う必要がある。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 ②遠心沈殿法
遠心分離器にかけても細胞が破壊されないものについて用いる。放置沈殿法に比べて短
時間で濃縮できるメリットがある。
容量50~250m の沈殿管を備えた電動式遠心分離器を用いて、3000rpmで15分間遠心分
離した後、上澄み液をピペットで静かに取り去る。このような作業を数回繰り返し、最
終的に10m 程度まで濃縮する。
100m 以上の沈殿管を用いる場合には、遠心分離器が停止した後沈殿していたものが
巻き上がるおそれがあるので、沈殿管相互のバランスに細心の注意を払う必要がある。
①静置沈殿法
固定した試料を、メスシリンダあるいは円錐形容器に入れ、試料を24時間以上静置し、
上澄みをサイホンで取り除く。この作業を、容器を小さくしながら数回繰り返し(容器
を移す場合、容器の内壁は洗い流し、試料に加える)、最終的に10m 程度まで濃縮する。
[調査方法]
動物プランクトンについては、通常採取した試料の濃縮処理を行う。ただし、富栄養
化が進んでいるダム湖などで動物プランクトンの現存量が多い場合には、採取した試料
の一定量を分取し同定することも可能である。試料の濃縮方法としては、放置沈殿法と
遠心沈殿法とがある。
[調査時期]
動物プランクトンについては、原則として四季に調査を実施することとし、最低でも
春の循環期と夏の停滞期に入って水温躍層が形成された時期の年2回は実施するものと
する。ただし、流入・流出の状況や取水口の位置により、成層しないダム湖等もあるた
め、当該ダムの特性・運用状況にも配慮し、季節変動が把握できるような時期に調査時
期を設定する。
なお、動物プランクトンの現地調査においても、水質調査結果のデータと比較解析が
可能なように「ダム水質調査要領」に基づく水質調査と同時に実施し、サンプルを採取
するものとする。
分類3
室内分析
試料の調整手法(植物プランクトン)
分類2
付着藻類
調査手法
[調査時期]
植物プランクトンについては、ダム水質調査要領に基づく定期調査における水質調査
結果のデータと比較可能なように、水質調査と同時にサンプルを採取するものとし、原
則として1回/月とする。
分類1
動植物
プ-7
No.
調査手法解説表(プランクトン)
- 資・143 -
分類3
室内分析
計測の手法(植物プランクトン)
No.
分類1
動植物
プ-10
調査手法
分類2
付着藻類
分類3
室内分析
計測の手法(動物プランクトン)
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 セディメントチャンバーの計測面
②倒立顕微鏡を用いた計数
植物プランクトンについては、下図のとおりセディメントチャンバーで沈降させた
後、倒立顕微鏡で細胞数、群体数を計数する。計数のための顕微鏡の倍率は200 倍~400
倍程度が適当であり、種類により適切な倍率で計数する。その際、底面の直径を含む線
上に沿って数列行い、以下の式により密度を求め、単位体積(1 )当たりに換算する。
この方法では濃縮や微量なサンプルの採取などの作業が少ないため、①に比べて、誤
差が小さくなると考えられる。したがって、より正確に細胞数を計数するためには、セ
ディメントチャンバーによって沈降させたサンプルを倒立顕微鏡で検鏡することが望ま
しい。
界線入りスライドグラス(植物プランクトン用)
[調査方法]
①正立顕微鏡を用いた計数
濃縮した試料を容量が25m になるように調整し、よく撹拌後、0.5mm 目の界線入りス
ライドグラス上にマイクロピペット等を使用して0.05m を分取する。分取した試料に
18mm×18mmカバーグラスをかけ、界線に沿って顕微鏡下で種毎に細胞数、群体数を計数
する。計数はカバーグラスのかかった範囲の1/2 (界線18列分)について行うが、偏り
がないように1 列おきに計数する。この方法をとると、1カウントが1細胞/m に相当
することになる。
計数は400 細胞以上を目安とし(400 細胞カウントした時点で終わりではなく、上記
の方法でカウントした結果が400 細胞以上であればよい)、状況に応じて上記の計数を
繰り返す(貧栄養湖等では400 細胞に満たない場合もある)。計数値は単位体積当たり
(1 )に換算する。
計数のための顕微鏡の倍率は200 倍~400 倍が適当であるが、種類や状況に応じて適
切な倍率で計数する。
なお、藍藻のうち群体を形成する種( Chroococcus属、Synechcocystis属、
Synecoccus属以外)については、糸状体ないし群体数を計数する。緑藻のVolvox属につ
いても群体数を計数する。
出典:平成18年度版 河川水辺の国勢調査基本調査マニュアル ダム湖版 界線入りスライドグラス(動物プランクトン用)
[調査方法]
濃縮した試料をよく撹拌後、Sedgewick-Rafterチャンバー等の界線入りスライドグラ
スにマイクロピペット等を使用して正確に分取する。ピペットの先は径を大きくし、ミ
ジンコ等大型のプランクトンの通過に支障のないようにしておく。分取した試料を界線
に沿って顕微鏡下で種毎に個体数を計数する。
1回の計数で分取する量は1m (チャンバー容量に合わせる)で、基本的にはその全
量を計数する。1回当たりの計数は、総個体数が400 個体以上を目安として行う(400
個体カウントした時点で終わりではなく、上記の方法でカウントした結果が400 個体以
上であればよいが、貧栄養湖等では400 個体に満たない場合もある)。
3
計数した結果を、単位体積(1m )当たりに換算する。
なお、計数のための顕微鏡の倍率は、50~100 倍程度が適当であり、種類により適切
な倍率で計数する。
[調査時期]
動物プランクトンについては、原則として四季に調査を実施することとし、最低でも
春の循環期と夏の停滞期に入って水温躍層が形成された時期の年2回は実施するものと
する。ただし、流入・流出の状況や取水口の位置により成層しないダム湖等もあるため、
当該ダムの特性・運用状況にも配慮し、季節変動が把握できるような時期に調査時期を
設定する。
なお、動物プランクトンの現地調査においても、水質調査結果のデータと比較解析が
可能なように「ダム水質調査要領」に基づく水質調査と同時に実施し、サンプルを採取
するものとする。
分類2
付着藻類
調査手法
[調査時期]
植物プランクトンについては、ダム水質調査要領に基づく定期調査における水質調査
結果のデータと比較可能なように、水質調査と同時にサンプルを採取するものとし、原
則として1回/月とする。
分類1
動植物
プ-9
No.
調査手法解説表(プランクトン)
出典・事例報告書
【出典】
・保護林モニタリング調査マニュアル(林野庁、2007)
・国有林野における緑の回廊のモニタリング調査マニュアル(林野庁、2003)
・平成 18 年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル 河川版
(生物調査編)
(国土交通省、2006)
・水辺の環境調査(
(財)ダム水源地環境整備センター、1994)
・植物生態学論考 (沼田眞、1987)
・平成 19 年度 重要生態系監視地域モニタリング推進事業(モニタリングサイト 1000)森林調査業務
報告書(環境省、2008)
・森林立地調査法(森林立地調査法編集委員会編、1999)
・モニタリングサイト 1000 森林コアサイト設定、調査マニュアル Ver.1 2004 年(環境省、2004)
・保全生態学の技法
調査・研究・実践マニュアル(鷲谷いずみ・宮下直・西廣淳・角谷拓、2010)
・平成6年度版
河川水辺の国勢調査マニュアル(案)
・平成9年度版
河川水辺の国勢調査マニュアル
・コウモリ類の手引き(案)
ダム湖版(生物調査編)
(建設省、1995)
河川版(生物調査編)
(建設省、1998)
(国土交通省、2006)
・森林野生動物の調査-生息数推定法と環境解析-(森林野生動物研究会、1997)
・保全遺伝学(小池裕子・松井正文、2003)
・砂防における「自然環境調査マニュアル(案)
」
(建設省、1992)
・平成 18 年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案)ダム湖版(生物調査編)
(国土交通省、2006)
・道路環境影響評価の技術手法 第3巻
・平成5年度版
2007
改訂版(財団法人
道路環境研究所、2007)
河川水辺の国勢調査マニュアル(案) (生物調査編)(建設省、1994)
・野生動物調査法ハンドブック(
(財)自然環境研究センター、1996)
・種の多様性調査 鳥類繁殖分布調査報告書(環境省、2004)
・ダム事業におけるイヌワシ・クマタカの調査方法 改訂版 (財団法人
ー、2009)
ダム水源地環境整備センタ
・オオタカ等の保護と人工林施業等との共生に関する調査研究(前橋営林局、1997)
・猛禽類保護の進め方(特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて)
(環境庁、1996)
・稀少猛禽類保護の現状と新しい調査法(阿部学、2001)
・田んぼの生き物調査2009 調査マニュアル(農林水産省、2009)
・新版
昆虫採集学(馬場金太郎・平嶋義宏、2000)
・土壌動物学(青木淳一、1980)
・土壌動物を用いた環境診断 (青木淳一、1995)自然環境への影響予測
ル 沼田 眞編 千葉県環境部環境調整課 別刷
結果と調査法マニュア
【事例報告書】
・No.5 :平成 21 年度 近畿中国森林管理局 保護林モニタリング調査入谷林木遺伝資源保存林調査
報告書
・No.6
:平成 18 年度 日高南部地域等における森林生態系保全・再生対策事業調査報告書
・No.19 :平成 17 年度 雷別地区鳥類調査報告書
・No.22 :平成 19 年度 雷別地区エゾシカライトセンサス調査業務報告書
- 資・144 -
・No.28 :平成 19 年度 「オホーツクの森自然再生モデル事業」実施に伴うモニタリング調査報告書
・No.32 :平成 17 年度 知床における森林生態系保全・再生対策事業報告書
・No.52 :平成 17 年度 クマタカ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.61 :平成 19 年度 朝日山地森林生態系保護地域モニタリング調査報告書
・No.72 :平成 17 年度 自然再生推進モデル事業報告書
・No.88 :平成8年度
ヤシャゲンゴロウ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.116:平成 19 年度 九州中央山地希少野生動植物保護管理対策調査報告書
・No.124:平成 18 年度 やんばる地域稀少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.127:平成 19 年度 やんばる地域稀少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.144:平成 18 年度 大雪・日高緑の回廊の整備に関するモニタリング調査報告書
・No.198:平成 19 年度 四国山地緑の回廊モニタリング調査報告書
・No.211:平成6年度
シマフクロウ稀少野生動植物種保護管理事業のあり方に関する調査報告書
・No.226:昭和 61 年度 知床国有林の動物に関する調査報告書
・No.230:平成 19 年度 「十勝川源流部更生プロジェクト」推進支援業務報告書
・No.233:平成 19 年度 「にしんの森再生プロジェクト」推進支援業務報告書
・No.252:平成 16 年度 朝日山地森林生態系保護地域におけるモニタリング調査報告書
・No.256:平成 10 年度 オガサワラカワラヒワ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.279:平成7年度
オオタカ保護管理対策に関する調査研究報告書
・No.327:平成19 年度 四国森林管理局委託事業滑床山・黒尊山国有林のニホンジカによる森林被害
に関する調査報告書
・No.333:平成9年度
アマミヤマシギ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.348:平成9年度
ツシマヤマネコ稀少野生動植物保護管理対策調査報告書
・No.349:平成 10 年度 ツシマヤマネコ稀少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.365:平成 12 年度 イリオモテヤマネコ希少野生動植物種保護管理対策調査報告書
・No.372:平成 19 年度 夜叉ヶ池水生昆虫生息地保護林におけるヤシャゲンゴロウ希少野生動植物(政
令指定)種保護管理事業に関する調査(その2)
(夜叉ヶ池水生生物調査)報告書
・No.539:平成8年度
森林被害に強い森林づくりのための基礎調査報告書
・No.562:平成 20 年度 世界遺産保全緊急対策事業(河川工作物改良の効果検証)報告書
- 資・145 -