第6部 小児の一次ならびに二次救命処置

完 成 度 ( 3/5)
ILCOR-CoSTR
第6部
小児の一次ならびに二次救命処置
( Part 6 : Pediatric Basic and Advanced Life Support )
目次
■はじめに
■ CPR の 最 初 の ス テ ッ プ
■不整脈
■気道と換気
■血管確保と心停止に用いる薬剤
■蘇生後の管理
■はじめに
ILCOR 小 児 委 員 会 は 、 ア フ リ カ 、 ア ジ ア 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 ヨ ー ロ ッ パ 、 北 ア メ リ カ 、
そして南アメリカから参集した小児蘇生の専門家たちによって構成されている。これら専
門 家 た ち は 、 小 児 蘇 生 に 関 連 す る 45 の ト ピ ッ ク を 検 証 し た 。 今 回 の 検 証 対 象 と な っ た ト
ピ ッ ク は 、 過 去 の 勧 告 ( ECC ガ イ ド ラ イ ン 2000
1,2) 、 新 た な 科 学 的 知 見 、 最 近 に な っ て
見出された課題などから選択された。いくつかの既に確立されたトピックで議論の余地が
ないものや、新出のエビデンスがないものは(例えば上室性頻拍の治療に用いるアデノシ
ン)、ここでは扱わない。
いくつかのトピックについては、エビデンスに基づくワークシートが準備されたうえで
討議されたものの、エビデンスが十分でないこと(例えば心停止に対する線溶薬
児の気管チューブの確実な固定法
の使用
W2、 小 児 に 対 す る
impedance threshold device( ITD)
W 2 、蘇 生 処 置 が 長 引 い た 時 の 重 炭 酸 ナ ト リ ウ ム の 使 用
見つからないこと(例えば毛細血管再充満による臨床評価
補助
使用
W18、 外 傷 に 対 す る 待 機 的 輸 液 負 荷
W13、 小
W 3 4 )、新 し い エ ビ デ ン ス が
W10、 ナ ロ キ ソ ン 投 与 前 の 換 気
W17、 シ ョ ッ ク に 対 す る 高 浸 透 圧 生 理 的 食 塩 水 の
W16) を 理 由 に 、 今 回 の 報 告 に は 含 め な か っ た も の が あ る 。
小 児 蘇 生 に 関 す る 勧 告 に つ き 、ECC ガ イ ド ラ イ ン 2000
1,2
か ら の 変 更 点 の う ち 、重 要 な
ものを以下にまとめた。本報告には、これら勧告の科学的根拠を要約してある。
・ 心 肺 蘇 生 ( cardiopulmonary resuscitation; CPR) の 質 の 向 上 が さ ら に 重 視 さ れ た :
「(胸骨圧迫は)強く圧迫、早く圧迫、中断は最小限に、胸壁の戻りを充分に、過換気
を避ける」
推奨される圧迫・換気比:
一 般 市 民 の 救 護 者 や ヘ ル ス ケ ア プ ロ バ イ ダ ー が 一 人 法 の CPR を 行 う 場 合 :
ヘ ル ス ケ ア プ ロ バ イ ダ ー が 二 人 法 の CPR を 行 う 場 合 :
15:2
小児の胸骨圧迫を行う際には、両手でも片手でも、どちらでも良い。
除 細 動 は 3 連 続 シ ョ ッ ク で は な く 、 シ ョ ッ ク 1 回 実 施 後 は 直 ち に CPR を 行 う 。
‑ 1 ‑
30:2
・
自 動 体 外 式 除 細 動 器 ( AED) は 、 出 力 が 減 衰 さ れ た 二 相 性 シ ョ ッ ク を 用 い れ ば 、 1 歳
以上の小児にも使用できる。
・
高 用 量 ア ド レ ナ リ ン ( 訳 註 : 0.1 mg/kg) の 常 用 は 推 奨 さ れ な い 。
・
乳児と小児に用いる気管チューブは、カフ付き・カフ無しのどちらを用いても良い。
・
呼気炭酸ガスの検出を、気管挿管時と患者搬送中における気管チューブの適正位置の
確認手段として推奨する。
・
蘇生後に意識が回復しない昏睡患者においては、人為低体温療法の導入を検討する。
・
薬 剤 投 与 に 際 し て 、 血 管 経 路 ( 静 脈 内 [IV]、 骨 髄 内 [IO]) が 経 気 管 投 与 よ り 高 く 位 置
づけられた。
ILCOR 小 児 委 員 会 は 、新 生 児 、乳 児 、小 児 、そ し て 成 人 の 定 義 に つ い て 再 検 討 し た 。こ
れらを定義することは、いくらか恣意的な要素があるものの、重要なことである。なぜな
らば、推奨される治療方法が患者の体格や、最も考えられる心肺停止の病態によって異な
るからである。統一された圧迫・換気比と胸骨圧迫の方法を一般市民の救護者に対して推
奨することで、小児と成人の区別の重要性が低くなった。新生児と乳児、乳児と小児の間
には、推奨される治療方法に若干の相違点が残っているものの、そのほとんどは蘇生トレ
ーニングと訓練に関連したものであり、以下に記す。
小 児 蘇 生 領 域 で 、 さ ら な る 研 究 を 必 要 と す る 案 件 ( ”knowledge gaps”) は 下 記 の と お り
である。
・一般市民の救護者やヘルスケアプロバイダーが信頼しうる、感度・特異度共に高い心停
止の指標
・病態別と年齢別と、いずれの蘇生手順が有効か
・ CPR 中 の 圧 迫 ・ 換 気 比 の 理 想 的 な 割 合
・ 蘇 生 中 の CPR の 品 質 を 、 如 何 に モ ニ タ ー し て 適 正 化 す る か
・気管チューブの固定の最良の方法
・ 自 動 体 外 式 除 細 動 器 ( AED) の 安 全 性 と 効 果 に 関 す る 臨 床 デ ー タ
・ 心 停 止 に 際 し た ラ リ ン ゲ ア ル マ ス ク エ ア ウ エ イ( LMA)の 安 全 性 と 効 果 に 関 す る 臨 床 デ
ータ
・ CPR 中 や CPR 後 に お け る 酸 素 投 与 の 利 点 と 危 険 性
・心停止中の抗不整脈薬と昇圧薬に関する臨床データ
・小児の心停止の際の人為低体温療法に関するデータ
・心停止後の心筋機能障害の同定と治療
・心停止中の線溶薬と抗凝固薬の使用
・組織循環を評価するための新しい技術の出現
・心停止後の転帰予測のための指標
■ CPR の 最 初 の ス テ ッ プ
ECC ガ イ ド ラ イ ン 2000
1
においては、救護者が一人で成人の心停止傷病者に対応する
場 合 、 CPR 開 始 前 に 救 急 医 療 サ ー ビ ス ( EMS) シ ス テ ム に 電 話 を し て AED を 入 手 す る よ
‑ 2 ‑
う に 推 奨 さ れ た ( “ま ず 通 報 ”) 。 一 方 、 救 護 者 が 一 人 で 反 応 の な い 乳 児 や 小 児 の 傷 病 者 に
対 応 す る 場 合 は 、 最 初 に CPR を 短 時 間 で も 実 施 し て か ら 傷 病 者 の も と を 離 れ 、 専 門 の 救
助 と AED を 求 め る 通 報 を す る よ う に と 指 導 さ れ た( “急 い で 通 報 ”)。こ う し た 手 順 の 相 違
は 、成 人 の 心 停 止 は 心 室 細 動( VF)が 主 因 で あ る の に 対 し 、小 児 で は 低 酸 素 虚 血 性 の 機 序
がより一般的であるという推定に立脚していた。しかし、この単純化された対応が常に正
しいとは限らず、多くの心停止傷病者に対して必ずしも最善の救助手順を提供しない可能
性 が あ る 。 低 酸 素 虚 血 性 の 心 停 止 は 成 人 で も 起 こ り う る し 、 VF が 乳 児 や 小 児 の 心 停 止 の
原 因 の 7〜 15%に も な る 可 能 性 が あ る 。一 般 市 民 の 救 護 者 の CPR 開 始 手 順( す な わ ち 、専
門 の 救 助 要 請 、 AED 確 保 、 CPR 開 始 の 間 の 優 先 度 ) が 、 年 齢 別 よ り も 心 停 止 の 病 態 別 に
基づくようになれば、蘇生の結果が改善されるかもしれない。
前回の勧告において、脈拍の確認は一般市民の救護者が行う評価項目から除外された。
今回の討議においては、ヘルスケアプロバイダーにおいてすら脈拍の確認に時間をかけ過
ぎることがあり、さらに脈拍の有無を正しく判定できないこともある、というエビデンス
が 議 論 さ れ た 。 こ れ は 胸 骨 圧 迫 の 中 断 に つ な が り 、 CPR の 質 に も 影 響 す る 可 能 性 が あ る 。
乳児に対する人工呼吸の方法と、乳児に対する胸骨圧迫の方法としての胸郭包込み両母
指圧迫法と二本指胸骨圧迫法の比較について、専門家がデータを再評価した。
国 際 コ ン セ ン サ ス 2005 会 議 に お い て 討 論 さ れ た 最 も 挑 戦 的 な ト ピ ッ ク の 1 つ が 、圧 迫・
換気比であった。勧告の基盤となるべき科学的根拠は未だ希薄で、合意に至るまでは困難
な 道 程 で あ っ た 。 回 数 比 は 5:1 よ り も 高 く す べ き と の エ ビ デ ン ス が 示 さ れ た が 、 最 適 な 回
数 比 は 特 定 さ れ な か っ た 。圧 迫・換 気 比 を 15:2 よ り 高 く す る こ と に 差 し 向 け た 唯 一 の デ ー
タ は 、数 学 モ デ ル で あ っ た 。専 門 家 た ち は 、一 般 市 民 の 救 護 者( 特 に 一 人 法 の CPR)の ト
レーニングを単純化することによる教育上の利点を認め、乳児、小児、成人を通じてひと
つの回数比を用いる簡素化をすることにより、より多くの一般市民が心肺蘇生法を学び、
記 憶 に 留 め 、CPR を 実 践 す る バ イ ス タ ン ダ ー の 救 護 者 に な り う る こ と を 期 待 し た 。こ う し
た 基 本 的 認 識 の も と 専 門 家 た ち は 、 圧 迫 ・ 換 気 比 を 30:2 に 統 一 す る こ と で 合 意 に 至 っ た 。
ヘ ル ス ケ ア プ ロ バ イ ダ ー は 、 一 般 に CPR の 経 験 を 有 し 、 頻 回 に CPR を 実 施 す る 。 こ う し
た 経 験 の 多 い 救 護 者 は 二 人 法 の CPR を 学 ぶ こ と に な り 、 彼 ら に と っ て 推 奨 さ れ る 二 人 法
の CPR に お け る 圧 迫 ・ 換 気 比 は 、 15:2 で あ る ( 訳 註 : 乳 児 と 小 児 に 対 し て ) 。
一般市民の中には、口対口人工呼吸の開始を躊躇する。乳児や小児の心停止の治療とし
て 、 胸 骨 圧 迫 の み に よ る CPR は 、 何 も し な い 状 況 よ り も ま だ 良 い が 、 人 工 呼 吸 と 胸 骨 圧
迫 の 組 み 合 わ せ の CPR に は 及 ば な い 。
過 去 、 小 児 に 対 す る CPR に お い て は 、 片 手 に よ る 胸 骨 圧 迫 が 推 奨 さ れ て い た 。 こ の 推
奨の根拠となるエビデンスの再評価が行われた。教育上の観点から、小児と成人の胸骨圧
迫をひとつの方法にすることで、トレーニングが簡素化されると合意した。
救 急 医 療 サ ー ビ ス へ の 通 報 と AED の 取 り 寄 せ
W4
科学的コンセンサス
小 児 の 心 停 止 の ほ と ん ど が 、 呼 吸 原 性 で あ る ( LOE 4) 3 - 6 。 小 児 の VF に よ ら な い 心 停
止 の 観 察 研 究 ( observational study) か ら は 、 バ イ ス タ ン ダ ー に よ る CPR の 有 無 と 神 経
‑ 3 ‑
学 的 予 後 の 間 に 相 関 が 示 さ れ て い る ( LOE 4) 6 - 8 。 動 物 実 験 か ら は 、 呼 吸 原 性 心 停 止 で は
胸 骨 圧 迫 と 人 工 呼 吸 の 組 み 合 わ せ に よ る CPR の 方 が 、 胸 骨 圧 迫 だ け あ る い は 人 工 呼 吸 だ
け の CPR よ り も 優 れ て い る こ と が 報 告 さ れ て い る ( LOE 6) 9 。
VF と な っ た 小 児 の 観 察 研 究 か ら は 、早 期 除 細 動 に よ る 良 好 な 救 命 率( 17〜 20% )が 示
さ れ て い る ( LOE 4) 5 , 6 , 1 0 。 “ま ず 通 報 ”と “急 い で 通 報 ”の そ れ ぞ れ の CPR 開 始 手 順 の 利 点
に つ い て は 、 呼 吸 原 性 か VF の い ず れ か の 病 態 で 心 停 止 と な っ た 成 人 や 小 児 で 、 十 分 に は
研 究 さ れ て き て い な い 。 3 編 の 動 物 実 験 ( LOE 6)
9,11,12
か ら は 、 遷 延 す る VF で あ っ て
も CPR が 除 細 動 の 成 功 率 を 高 め る と 報 告 さ れ て い る 。7 編 の 成 人 の 臨 床 研 究( LOE 7)1 3 - 1 9
か ら は 、 胸 骨 圧 迫 の 中 断 を 最 小 限 に し た CPR と 早 期 除 細 動 と の 組 み 合 わ せ に よ る 生 存 率
改善が示されている。
推奨される治療
小児の心肺停止の多くが呼吸原性もしくは発生後の時間経過が長いと推定されるため、
最 初 に CPR を 一 定 時 間 行 っ て か ら 、救 急 医 療 サ ー ビ ス( EMS)に 通 報 し て AED を 取 り 寄
せ る ( “急 い で 通 報 ”) 。 目 撃 さ れ た 突 然 の 卒 倒 の 場 合 ( た と え ば 、 運 動 競 技 中 ) で は VF
が 原 因 で あ る 可 能 性 が 高 い た め 、 救 助 者 が 1 人 な ら ば CPR 開 始 前 に 、 専 門 的 な 救 助 要 請
の た め に 通 報 し て AED を 取 り 寄 せ( 入 手 可 能 で あ れ ば )、適 応 が あ れ ば AED を 使 用 す る 。
救 護 者 は 、 除 細 動 を 実 施 す る ま で 、 胸 骨 圧 迫 の 中 断 を 最 小 限 に し つ つ CPR を 実 施 す る べ
きである。
要約すると、
・目撃されていないか突然でない発症様式の、小児における蘇生手順の優先度は次の通り
である:
直 ち に CPR 開 始
EMS に 通 報 / AED を 取 り 寄 せ る
・目撃された突然の卒倒をした、小児における蘇生手順の優先度は次の通りである:
EMS に 通 報 / AED を 取 り 寄 せ る
CPR を 開 始
除細動を試みる
脈拍の確認
W5A,W5B
科学的コンセンサス
10 編 の 研 究 ( LOE 2
20,21;
LOE 4
22-26;
LOE 5
27;
LOE 6
28,29) か ら は 、 一 般 市 民 23,25,30
で も ヘ ル ス ケ ア プ ロ バ イ ダ ー 2 0 , 2 1 , 2 4 , 2 6 - 2 9 で も 、 脈 拍 の 有 無 を 10 秒 以 内 に 正 確 に 判 定 す る
ことは、多くの場合において不可能であることが示されている。乳児における 2 編の研究
( LOE 5)
31,32
か ら は 、胸 部 聴 診 に よ っ て 迅 速 に 心 臓 の 活 動 性 を 確 認 し 得 た と 報 告 さ れ て
いるが、被検者は対象乳児が健康であることを知っていたので、先入観に影響されていた
可能性がある。
推奨される治療法
一般市民の救護者は、乳児や小児が刺激に反応せず、体動や呼吸がなければ、胸骨圧迫
を開始すべきである。ヘルスケアプロバイダーでは加えて脈拍を確認することになるが、
‑ 4 ‑
10 秒 以 内 に 脈 拍 を 確 認 で き な い 場 合 や 、 脈 拍 が あ る か 確 信 が 持 て な い 場 合 は 、 CPR の 開
始に進むべきである。
乳児の換気
W7A,W7B
科学的コンセンサス
1 編 の LOE 5 の 研 究
33
と 10 編 の LOE 7 の 研 究
工 呼 吸 が 評 価 さ れ た 。LOE 5 の 研 究
33
において、乳児に対する口対鼻人
は 、口 対 鼻 人 工 呼 吸 が 実 施 さ れ た 乳 児 3 例 の 症 例 報
告 で あ る 。 LOE 7 の 研 究 は 、 死 後 の 解 剖 学 的 検 討
した呼吸に関する検討
34-43
34
や鼻呼吸の生理学的検討
38,39、 そ し て 成 人 の 口 と 乳 児 の 顔 面 の 比 較 計 測
40-43
35-37、 関 連
などである。
これらの測定値には大きなばらつきがあったが、それは計測が不正確であったか、定義が
一貫していなかったためであろう。
推奨される治療法
乳児への口対口鼻人工呼吸の勧告に対する変更を正当化するデータはない。ただし、救
護者の口で乳児の口と鼻を密着しておおうことが難しい場合は、口対口か口対鼻のどちら
か の 方 法 で 人 工 呼 吸 を 試 み て も よ い ( LEO 5) 3 3 。
胸郭包込み両母指圧迫法と二本指胸骨圧迫法の比較
科学的コンセンサス
2 編 の マ ネ キ ン を 用 い た 研 究 ( LEO 6) 4 4 , 4 5 と 2 編 の 動 物 実 験 ( LOE 6)
46,47
からは、
胸郭を両手で絞りこむように包み込んで二本の母指で胸骨を圧迫する方法は、いわゆる二
本指胸骨圧迫法よりも高い冠灌流圧をもたらし、胸骨圧迫の深さと力加減が一定になるこ
とが示されている。
血 行 動 態 モ ニ タ リ ン グ 中 の 乳 児 が 胸 骨 圧 迫 を さ れ た 症 例 報 告 ( LOE 5) 4 8 , 4 9 か ら は 、 胸
郭包込み両母指圧迫法の方が二本指胸骨圧迫法よりも、収縮期・拡張期ともにより高い動
脈圧が得られることが示されている。
推奨される治療法
乳 児 に 対 し て 二 人 法 の CPR を 行 う 場 合 は 、 胸 郭 包 込 み 両 母 指 圧 迫 法 が 、 よ り 良 い 。 乳
児 に 対 し て 一 人 法 の CPR を 行 う 場 合 は 、 胸 骨 圧 迫 の 中 断 を 最 小 限 に す る た め に 、 胸 骨 圧
迫と人工呼吸の移行が容易な二本指胸骨圧迫法が好ましい。二人法の場合でも、二本指胸
骨圧迫法を行うことは許容される。
片手と両手による胸骨圧迫の比較
科学的コンセンサス
小 児 に 対 す る 胸 骨 圧 迫 に 際 し て 、片 手 と 両 手 の ど ち ら で 行 う 方 が 良 い 予 後 を も た ら す か 、
の 比 較 研 究 は な い 。 あ る 研 究 ( LOE 6) 5 0 か ら は 、 小 児 の マ ネ キ ン で 胸 骨 下 半 分 を 胸 郭 前
後 径 の 約 1/3 の 深 さ ま で 圧 迫 し た と き に 、両 手 を 使 っ た 方 が よ り 高 い 圧 力 が 得 ら れ る こ と
が示されている。救護者からも、両手を用いた胸骨圧迫の方が容易に実施できるという感
想が得られている。
推奨される治療法
‑ 5 ‑
胸 骨 下 半 分 を 胸 郭 前 後 径 の 約 1/3 の 深 さ ま で 圧 迫 す る 際 に 、 小 児 に 対 す る 胸 骨 圧 迫 の 方
法は、片手でも両手でも良い。指導を簡素化するために、成人・小児を問わず、同じ方法
(すなわち、両手)で教えても良い。
圧迫・換気比
W3A,W3B,W3C
科学的コンセンサス
小 児 に 対 す る CPR に お い て 、 最 適 な 圧 迫 ・ 換 気 比 を 特 定 す る た め の 十 分 な デ ー タ は な
い 。 マ ネ キ ン を 用 い た 研 究 ( LOE 6) 5 1 - 5 4 に お い て 、 15:2 と 5:1 の 圧 迫 ・ 換 気 比 の 何 れ が
現 実 的 か 、 が 検 証 さ れ た 。 単 独 救 護 者 の 場 合 、 5:1 の 回 数 比 で は 、 1 分 間 あ た り に 望 ま れ
る 圧 迫 回 数 を 供 給 で き な い 。数 学 モ デ ル( LOE 7)
55
か ら は 、乳 児 と 小 児 に 対 す る 圧 迫 ・
換 気 比 を 5:1 よ り も 高 く す る こ と が 支 持 さ れ て い る 。
2 編 の 動 物 実 験 ( LOE 6) 5 6 , 5 7 か ら は 、 蘇 生 成 功 の 鍵 を 握 る 冠 灌 流 圧 が 、 胸 骨 圧 迫 の 中
断によって減弱することが示されている。加えて、いったん圧迫が中断されると、中断前
の冠灌流圧に戻るまでに数回の胸骨圧迫が必要となることも示された。頻回におよぶ胸骨
圧 迫 の 中 断 は ( 例 え ば 5:1 の 圧 迫 ・ 換 気 比 ) 、 低 い 冠 灌 流 圧 を 遷 延 さ せ る こ と に な る 。 長
い 胸 骨 圧 迫 の 中 断 は 、 マ ネ キ ン を 用 い た 研 究 ( LOE 6) 5 8 , 5 9 や 病 院 内 外 に お け る 成 人 CPR
の 臨 床 研 究 ( LOE 7) 6 0 , 6 1 で 報 告 さ れ て い る 。 こ う し た 現 象 は 、 心 拍 再 開 の 可 能 性 を 減 少
さ せ て し ま う ( LOE 7) 6 2 - 6 4 。
5 編 の 動 物 実 験 ( LOE 6) 9 , 5 6 , 5 7 , 6 5 , 6 6 と 1 編 の レ ビ ュ ー ( LOE 7)
67
か ら は 、 VF や 無 脈
性 心 室 頻 拍( VT)に よ る 心 停 止 傷 病 者 で は 、呼 吸 原 性 の 心 肺 停 止 傷 病 者 と 比 べ て 人 工 呼 吸
の 重 要 性 が や や 低 い こ と が 示 唆 さ れ て い る 。呼 吸 原 性 の 心 肺 停 止 で さ え も 、CPR 中 の 低 心
拍出量状態(必然的に、肺血流量も低下)においては、少ない人工呼吸でも換気血流比は
適切に維持される。
推奨される治療法
簡素化された教育によって記憶を促すためにも、単独救護者が乳児・小児・成人に対応
す る 際 に は 、30:2 に 統 一 さ れ た 圧 迫・換 気 比 が 推 奨 さ れ る( 新 生 児 に つ い て は 、第 7 部 “新
生 児 蘇 生 ”を 参 照 )。ヘ ル ス ケ ア プ ロ バ イ ダ ー が 二 人 法 の CPR を 行 う と き は 、15:2 の 圧 迫 ・
換気比が推奨される。二次エアウエイ(例えば気管チューブ、食道・気管コンビチューブ
[ コ ン ビ チ ュ ー ブ ]、ま た は ラ リ ン ゲ ア ル マ ス ク エ ア ウ エ イ[ LMA])が 確 保 さ れ た 際 に
は、胸骨圧迫を中断することなく人工呼吸を行う。
何 か を す る “Some CPR”と 、 何 も し な い ”No CPR”と の 比 較
W8
科学的コンセンサス
多 く の 報 告 ( LOE 5) 4 , 5 , 8 , 6 8 - 7 0 が 、 小 児 心 停 止 の 救 命 例 に お い て 、 バ イ ス タ ン ダ ー に よ
る CPR が 実 施 さ れ て い た こ と を 報 告 し て い る 。 こ れ ら 報 告 に あ る バ イ ス タ ン ダ ー に よ る
CPR と し て は 、人 工 呼 吸 の み 、胸 骨 圧 迫 の み 、あ る い は 胸 骨 圧 迫 と 人 工 呼 吸 の 両 方 の 場 合
が含まれている。
成 人 VF に お け る 1 編 の 前 向 き 研 究 と 3 編 の 後 ろ 向 き 研 究 ( LOE 7)
心 停 止 の 動 物 実 験 ( LOE 6)
56,57,66,75-79
71-74、 多 数 の
VF
か ら は 、 胸 骨 圧 迫 の み の CPR で も 、 胸 骨 圧 迫 に
‑ 6 ‑
人 工 呼 吸 を 加 え た CPR と 同 等 の 長 期 生 存 が 得 ら れ る こ と が 示 さ れ て い る 。 ま た 、 ど ち ら
の 方 法 も 、CPR を 全 く 行 わ な か っ た 群 よ り も 予 後 が 良 好 で あ っ た こ と が 示 さ れ た 。乳 児 や
小 児 の 心 停 止 の 機 序 と し て よ り 一 般 的 な 、 呼 吸 原 性 心 停 止 モ デ ル の 動 物 実 験 ( LOE 6) 9
で は 、 胸 骨 圧 迫 と 人 工 呼 吸 を 共 に 行 っ た CPR が 最 良 の 結 果 を も た ら し た 。 と は い え 、 蘇
生 行 為 を 何 も し な い “No CPR” よ り は 、 人 工 呼 吸 の み で も 胸 骨 圧 迫 の み で も 、 何 か を す
る ”Some CPR”の 方 が 良 い 結 果 で あ っ た 。
推奨される治療法
バ イ ス タ ン ダ ー に よ る CPR は 、 心 停 止 傷 病 者 の 救 命 に お い て 重 要 で あ る 。 ト レ ー ニ ン
グを受けた救護者ならば、人工呼吸と胸骨圧迫の両方を実施することが奨励される。ただ
し、救護者が人工呼吸を躊躇する場合には、胸骨圧迫のみを絶え間なく実施することが奨
励されるべきである。
■不整脈
循環動態が安定した不整脈の治療に関するエビデンス評価においては、迷走神経刺激操
作、アミオダロン、プロカインアミドに焦点があてられた。迷走神経刺激操作とプロカイ
ンアミドの適応に関する変更を支持する新しいデータはなかった。小児に対する安全性と
有効性を示す症例報告はあるものの、これらは限られた患者群(多くは術後不整脈)を対
象として統制された条件下に熟練者が使用したものであった。アミオダロンを小児の循環
動態が安定した不整脈における治療上の選択肢とする勧告に変更はないが、こうした薬物
治療を開始する前には、小児の不整脈の専門家に相談することが奨励される。
除細動に関しては、適切な波形、エネルギー量、プログラム(すなわち、エネルギー量
を固定するか増量するか、1 回ショックのみか 3 回連続ショックか)を特定するに十分な
エビデンスはなかった。小児除細動の手順に関する新しい勧告は、二相性除細動器を用い
た 成 人 の 臨 床 研 究 と 動 物 実 験 か ら 推 察 さ れ て い る 。 そ れ は 、 VF に 対 し て 二 相 性 波 形 を 用
いた初回ショックで高い成功率を示したデータや、胸骨圧迫の中断が冠灌流圧を減少させ
る と い う 知 見 で あ る 。 す な わ ち 、 ECC ガ イ ド ラ イ ン 2000 で 推 奨 さ れ た 3 回 連 続 シ ョ ッ ク
よりも、1 回だけのショックの戦略が望ましい可能性があることを示している。詳細につ
い て は 、 第 3 部 “除 細 動 ”を 参 照 の こ と 。
AED の 心 電 図 波 形 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム の 多 く は 、そ れ ら 全 て で は な い も の の 、小 児 の 除 細
動適応の不整脈を識別するにあたり、十分な感度と特異度があることが示された。標準的
な AED( 成 人 用 の 除 細 動 パ ッ ド と ケ ー ブ ル で 構 成 さ れ る
成人用
AED)は 、年 齢 8 歳 ・
体 重 25 kg を お お よ そ 超 え る 小 児 に 使 用 で き る 。 よ り 小 さ な 小 児 に も AED が 使 用 で き る
ように、多くのメーカーから除細動エネルギー量減衰のための手段が提供されている(例
えば除細動パッドとケーブルがエネルギー減衰装置を構成しているものや、小さいエネル
ギ ー 量 が 選 択 で き る キ ー や ス イ ッ チ が 付 い た AED) 。
上 室 性 頻 拍 ( SVT) の 管 理
SVT を 呈 す る 小 児 に お い て 、循 環 動 態 が 安 定 し て い る の で あ れ ば 、小 児 循 環 器 科 医 を は
‑ 7 ‑
じ め と す る 適 切 な 専 門 家 に 早 め に 相 談 す る こ と が 推 奨 さ れ る 。こ れ は 、SVT に 関 す る 以 下
の項目全てに共通する勧告である。
SVT に 対 す る 迷 走 神 経 刺 激 操 作
W36
科学的コンセンサス
1 編 の 前 向 き 研 究 ( LOE 3) 8 0 と 9 編 の 観 察 研 究 ( LOE 4
81;
LOE 5
82,83;
LOE 7
84-89)
か ら は 、迷 走 神 経 刺 激 操 作 は 小 児 の SVT を 停 止 さ せ る の に 、あ る 程 度 有 効 で あ る こ と が 示
された。頸動脈洞マッサージや氷で顔面を冷やす潜水反射誘発には合併症が報告されてい
る が ( LOE 5) 9 0 , 9 1 、 バ ル サ ル バ 法 に よ る 合 併 症 は 報 告 さ れ て い な い 。
推奨される治療
バ ル サ ル バ 法 と 顔 面 氷 冷 法 は 、循 環 動 態 が 安 定 し て い る 乳 児 や 小 児 の SVT の 治 療 と し て
用いられる。正しく行えば、これらの手技は素早く安全に始めることができ、たとえ効果
がなくても以後の治療に影響を与えることはない。
循 環 動 態 が 安 定 し た SVT に 対 す る ア ミ オ ダ ロ ン
W38
科学的コンセンサス
1 編 の 前 向 き 研 究 ( LOE 3) 9 2 と 10 編 の 観 察 研 究 ( LOE 5)
93-102
からは、アミオダロ
ン が 小 児 の SVT の 治 療 に 有 効 で あ る こ と が 示 さ れ て い る 。 こ れ ら の エ ビ デ ン ス の 限 界 は 、
研究対象のほとんどにおいて、小児の術後接合部異所性頻拍の治療を取り扱っていること
である。
推奨される治療
循 環 動 態 が 安 定 し て い て 、 迷 走 神 経 刺 激 操 作 や ア デ ノ シ ン に 不 応 性 の SVT の 治 療 に は 、
アミオダロンを考慮してもよい。まれであるが重篤な急性期副作用としては、徐脈、低血
圧 、 多 形 性 心 室 頻 拍 が あ る ( LOE 5) 1 0 3 - 1 0 5 。
血 行 動 態 が 安 定 し た SVT に 対 す る プ ロ カ イ ン ア ミ ド
W37
科学的コンセンサス
小 児 に お け る プ ロ カ イ ン ア ミ ド の 使 用 経 験 は 限 ら れ て い る 。 12 編 の LOE 5
究 と 4 編 の LOE 6
118-121
1 06 - 1 17
の研
の 観 察 研 究 に よ る と 、 他 剤 抵 抗 性 の SVT を プ ロ カ イ ン ア ミ ド で
停止させ得ることが示されている。これらの報告のほとんどは、対象として成人と小児が
混在している。プロカインアミド投与によって生じる低血圧は、心筋に対する陰性変力作
用 よ り も 、 そ の 血 管 拡 張 作 用 に 起 因 し て い る ( LOE 5
122,123;
LOE 6
124) 。
推奨される治療
循 環 動 態 が 安 定 し て い て 迷 走 神 経 刺 激 操 作 や ア デ ノ シ ン に 不 応 性 の SVT の 治 療 に は 、プ
ロカインアミドを考慮してもよい。
血 行 動 態 が 安 定 し た 広 い QRS 頻 拍 の 管 理
広 い QRS 頻 拍 を 呈 す る 小 児 に お い て 、 血 行 動 態 が 安 定 し て い る の で あ れ ば 、 小 児 循 環
器科医をはじめとする適切な専門家に早めに相談することが推奨される。一般に、アミオ
‑ 8 ‑
ダロンとプロカインアミドの併用は避けるべきである。なぜなら、両者の併用が低血圧と
心室性不整脈の危険性を増大させるからである。
アミオダロン
W39A、 W39B、 W40
科学的コンセンサス
1 編 の 症 例 検 討 ( LOE 5) 1 2 5 か ら は 、 小 児 の 広 い QRS 頻 拍 は 、 心 室 起 源 よ り も 上 室 性
起 源 の 可 能 性 が 高 い こ と が 示 さ れ て い る 。 2 編 の 前 向 き 研 究 ( LOE 3) 9 2 , 1 2 6 と 13 編 の 症
例 検 討 ( LOE 5) 9 3 - 1 0 2 , 1 2 7 - 1 2 9 か ら は 、 ア ミ オ ダ ロ ン が 多 様 な 小 児 の 頻 拍 性 不 整 脈 に 有 効 で
あることが示されている。しかしながら、いずれの報告も、循環動態が安定した起源不明
の 広 い QRS 頻 拍 、 と い う 状 況 に お け る ア ミ オ ダ ロ ン の 役 割 を 特 定 し て 評 価 し た も の で は
ない。
推奨される治療
循 環 動 態 が 安 定 し た 小 児 の 広 い QRS 頻 拍 は 、 SVT と 見 做 し て 治 療 し て よ い 。 心 室 頻 拍
の診断が確定すれば、アミオダロンを考慮すべきである。
循 環 動 態 が 安 定 し た 心 室 頻 拍 ( VT) に 対 す る プ ロ カ イ ン ア ミ ド
W35
科学的コンセンサス
研 究 対 象 の 主 体 は 成 人 で あ る が 小 児 も 含 ん だ 20 編 の LOE 5 1 0 6 , 1 1 5 , 1 2 3 , 1 3 0 - 1 4 6 と 2 編 の
LOE 6 1 1 8 , 1 2 4 の 観 察 研 究 に よ れ ば 、 循 環 動 態 が 安 定 し た VT の 治 療 に プ ロ カ イ ン ア ミ ド が
有効であることが示された。
推奨される治療
循 環 動 態 が 安 定 し た VT の 治 療 に は 、 プ ロ カ イ ン ア ミ ド を 考 慮 し て も よ い 。
循 環 動 態 が 不 安 定 で あ る VT の 管 理
アミオダロン
W39A、 W40
科学的コンセンサス
小 児 の 小 規 模 な 症 例 検 討( LOE 3
100;
LOE 5
9 3 , 9 5 , 9 7 , 9 9 , 1 4 7 - 1 4 9 )、動 物 実 験( LOE
6)1 5 0 , 1 5 1 、
成 人 の 臨 床 研 究( LOE 7) 1 5 2 - 1 6 5 か ら の 推 察 に よ る と 、小 児 の 循 環 動 態 が 不 安 定 で あ る VT
の治療において、アミオダロンは安全かつ有効であることが示された。
推奨される治療
同 期 カ ル ジ オ バ ー ジ ョ ン が 、 循 環 動 態 が 不 安 定 で あ る VT の 治 療 の 第 一 選 択 で あ る こ と
に 変 わ り は な い 。 循 環 動 態 が 不 安 定 で あ る VT の 治 療 に ア ミ オ ダ ロ ン を 考 慮 し て も よ い 。
小児に対する除細動
除 細 動 に 関 す る 科 学 的 コ ン セ ン サ ス と 推 奨 さ れ る 治 療 の 詳 細 な 解 説 に つ い て は 、第 3 部
除細動
を 参 照 の こ と( 例 え ば シ ョ ッ ク は 1 回 の み か 3 回 連 続 か 、CPR が 先 か シ ョ ッ ク
が先か)。
手 動 式 除 細 動 と 自 動 体 外 式 除 細 動 ( AED)
W41A, W41B
‑ 9 ‑
科学的コンセンサス
小児に対する除細動において、安全かつ有効な、理想的エネルギー量は不明である。成
人 の 臨 床 研 究 ( LOE 1
166,167;
LOE 2
1 6 8 - 1 7 0 ) と 幼 若 動 物 を 用 い た 実 験 ( LOE
6) 1 7 1 - 1 7 3 か
らの推察によると、二相性波形は単相性と同程度に有効で、除細動後の心筋障害がより少
な い こ と が 示 さ れ た 。 あ る 研 究 ( LOE 5) 1 7 4 と 、 ま た 別 の 研 究 ( LOE 6) 1 7 1 か ら は 、 単
相 性 で も 二 相 性 で も 2 J/kg の 初 回 エ ネ ル ギ ー 量 に よ っ て 、小 児 の VF を 通 常 は 停 止 さ せ う
る こ と が 示 さ れ た 。 2 編 の 小 児 の 症 例 検 討 ( LOE 5) 1 7 1 , 1 7 5 , 1 7 6 で は 、 4 J/kg を 超 え る エ ネ
ル ギ ー 量 ( 最 高 9 J/kg ま で ) が 12 歳 未 満 の 小 児 に 対 す る 除 細 動 に お い て 有 効 で 、 か つ 副
作用は無視できる程度であったことが報告されている。
5 編 の 動 物 実 験( LOE 6) 1 7 2 , 1 7 3 , 1 7 7 - 1 7 9 か ら は 、幼 若 動 物 の 心 臓 で は 成 体 の そ れ と 比 較 し
て、(体重当たり)多いエネルギー量でも心筋障害が少なくすむことが示されている。3
編 の 動 物 実 験( LOE 6) 1 7 3 , 1 7 9 , 1 8 0 と 1 編 の 小 規 模 な 小 児 の 症 例 検 討( LOE 5) 1 7 6 で は 、小
児 用 の( 除 細 動 パ ッ ド と ケ ー ブ ル の シ ス テ ム か ら な る )エ ネ ル ギ ー 減 衰 装 置 を 介 し た 50 J
の 二 相 性 エ ネ ル ギ ー 量 に よ っ て 、 VF を 停 止 さ せ て 生 存 に 至 っ た と 報 告 さ れ て い る 。 幼 若
豚 ( 13〜 26 kg) を 用 い た 研 究 ( LOE 6) 1 7 9 に よ る と 、 AED に よ る 小 児 の 二 相 性 エ ネ ル ギ
ー 量 ( 50/75/86 J) が VF を 停 止 さ せ 、 か つ 成 人 の 二 相 性 エ ネ ル ギ ー 量 ( 200/300/360 J)
よりも少ない心筋障害で、より良好な予後が得られたとされている。
推奨される治療
小 児 に お け る 適 切 な エ ネ ル ギ ー 量 は 不 明 で あ る が 、VF と 無 脈 性 VT の 治 療 の 第 一 選 択 は
迅 速 な 除 細 動 で あ る 。 手 動 式 除 細 動 器 に お い て は 、 2 J/kg( 二 相 性 も し く は 単 相 性 波 形 )
を 初 回 エ ネ ル ギ ー 量 と し て 推 奨 す る 。こ の エ ネ ル ギ ー 量 で VF を 停 止 さ せ ら れ な い 場 合 は 、
そ の 後 の エ ネ ル ギ ー 量 は 4 J/kg と す べ き で あ る 。
自 動 式 除 細 動 器 に お い て は 、1 歳 か ら 8 歳 、体 重 が 約 25 kg( 55 ポ ン ド )ま で 、身 長 が 127
cm( 50 イ ン チ ) ま で の 小 児 に 対 し て は 、 小 児 用 に 減 衰 さ れ た 初 回 エ ネ ル ギ ー 量 が 推 奨 さ
れ る 。 1 歳 未 満 の 乳 児 に 対 す る AED の 使 用 を 推 奨 ま た は 否 定 す る の に 十 分 な 情 報 は な い 。
エネルギー量を変更できる手動式除細動器か、小児における除細動適応の不整脈を識別で
き て エ ネ ル ギ ー 減 衰 装 置 を 備 え た AED が 望 ま し い ; そ の よ う な 除 細 動 器 が 使 え な い 場 合
は 、 標 準 的 な 電 極 パ ッ ド を 装 備 し た 標 準 的 AED を 使 用 し て も よ い 。 体 重 25 kg( 約 8 歳 )
以 上 の 小 児 や 青 年 、成 人 の 傷 病 者 に は 、標 準 的 AED( エ ネ ル ギ ー 減 衰 装 置 を 用 い な い )を
使用すべきである。
除 細 動 抵 抗 性 の VF/無 脈 性 VT の 管 理
アミオダロン
W20、 W21A、 W21B
科学的コンセンサス
3 編 の 成 人 の 臨 床 研 究 ( LOE 1) ( 小 児 と し て 適 用 す る な ら LOE 7) 1 5 4 , 1 5 9 , 1 8 1 か ら 推 察
されるエビデンスによると、プラセボやリドカインとの比較において、アミオダロンは除
細 動 抵 抗 性 の VF に 対 し て 生 存 入 院 率 を 改 善 し た が 、 生 存 退 院 率 は 改 善 し な か っ た こ と が
示 さ れ た 。 1 編 の 小 児 の 臨 床 研 究 ( LOE 3) 1 0 0 か ら は 、 致 死 的 心 室 性 不 整 脈 に 対 す る ア ミ
オダロンの有効性が示された。
‑ 10 ‑
推奨される治療
除 細 動 抵 抗 性 あ る い は 反 復 性 の VT/VF の 治 療 の 一 部 と し て 、ア ミ オ ダ ロ ン の 静 脈 内 投 与
を考慮してもよい。
■気道と換気
気 道 開 通 性 と 換 気 の 維 持 は 、蘇 生 の 基 本 で あ る 。CPR 中 の 成 人 の 臨 床 研 究 と 動 物 実 験 か
らは、過換気と胸骨圧迫の中断による有害作用が示された。病院外において短時間だけの
気 道 管 理 か 人 工 呼 吸 が 必 要 な 小 児 に 対 し て は 、バ ッ ク バ ル ブ マ ス ク( BVM)換 気 に よ っ て 、
気管挿管による換気と同等の救命率を得ることができる。
気管チューブ挿入の誤り、固定位置のずれ、および閉塞の危険性はよく知られている。
エビデンスに基づく再検討は、気管チューブが適切な位置に固定されて閉塞していないこ
とを、患者搬送中をつうじた呼気炭酸ガスのモニタリングによって確認すべきである、と
の勧告を出すに至った。また、乳児に対しても、カフ付き気管チューブが安全に使用可能
であることが結論づけられた。
心 停 止 か ら の 自 己 心 拍 再 開 に 引 き 続 き 、有 害 な 酸 素 副 産 物( 活 性 酸 素 、フ リ ー ラ ジ カ ル )
が 産 生 さ れ 、細 胞 膜 、蛋 白 、DNA の 損 傷 を 引 き 起 こ す 可 能 性 が あ る( 再 灌 流 障 害 )。新 生
児を除く小児においては、蘇生中や蘇生直後に用いる吸入酸素濃度の違いを比較した臨床
研究はなく、酸素療法が
十分
バッグバルブマスク換気
W6
なのか
過剰
なのかを区別することは困難である。
科学的コンセンサス
病 院 外 に お け る 小 児 を 対 象 と し た 、あ る EMS シ ス テ ム の 短 時 間 搬 送 に お け る 、1 編 の 前
向 き 無 作 為 試 験( LOE 1) 1 8 2 か ら は 、心 停 止 と 外 傷 を 含 む 気 道 管 理 を 必 要 と し た 小 児 に 対
し て 、 BVM 換 気 と 気 管 挿 管 と を 比 較 し た と こ ろ 、 同 等 の 生 存 退 院 率 と 神 経 学 的 予 後 が 得
ら れ る こ と が 示 さ れ て い る 。 1 編 の 小 児 心 停 止 に 関 す る 研 究 ( LOE 4) 1 8 3 と 4 編 の 小 児 外
傷 に 関 す る 研 究 ( LOE 3
184,185;
LOE 4
186,187) か ら は 、 気 管 挿 管 の
BVM 換 気 に 対 す る 優
位性を見出すことはできなかった。
推奨される治療
院 外 に お け る 短 時 間 搬 送 で は 、 補 助 換 気 を 必 要 と す る 小 児 に 対 し て は BVM 換 気 が 選 択
さ れ る べ き で あ る 。 搬 送 時 間 が 長 い 場 合 は 、 BVM 換 気 に 対 す る 気 管 挿 管 の 相 対 的 利 点 と
潜在的危険性の比較は簡単ではない。この判断は、ヘルスケアプロバイダーのトレーニン
グと経験の度合いや、気管挿管時と搬送中の呼気炭酸ガスモニタリングの可能性の如何に
よって影響される。
高度なエアウエイ
高 度 な エ ア ウ エ イ に は 、気 管 チ ュ ー ブ 、コ ン ビ チ ュ ー ブ 、LMA が 含 ま れ る 。国 際 コ ン セ
ン サ ス 2005 会 議 で は 、乳 児 と 小 児 に 対 す る 気 管 チ ュ ー ブ と LMA の 使 用 に つ き 、入 手 可 能
なエビデンスの再検討が専門家によって行われた。この年齢層におけるコンビチューブ使
用のデータはなかった。
‑ 11 ‑
W11A、 W11B
カフ付きとカフ無し気管チューブの比較
科学的コンセンサス
1 編 の 無 作 為 試 験( LOE 2) 1 8 8 、3 編 の 前 向 き コ ホ ー ト 研 究( LOE 3) 1 8 9 - 1 9 1 、1 編 の コ ホ
ー ト 研 究 ( LOE 4)
192
からは、手術室や集中治療室の環境下において 8 歳未満の小児に
カフ付き気管チューブを使用しても、カフ無し気管チューブに比較して合併症の危険性は
増加しないことが示されている。
1 編 の 無 作 為 試 験( LOE 2) 1 8 8 と 1 編 の 小 規 模 な 前 向 き 試 験( LOE 3) 1 9 3 の エ ビ デ ン ス
からは、小児麻酔と小児集中治療のそれぞれの場において、カフ付き気管チューブがカフ
無しチューブよりも多少有利な点があることが示された。
(訳註:本邦では小児麻酔と小児集中治療の専門家が圧倒的に少なく、上記諸研究におけ
るような理想的環境下での使用は期待できない。したがって、カフ付き気管チューブの上
記エビデンスの解釈には慎重を要する。)
推奨される治療
カフ付き気管チューブは、正しいチューブサイズを用いて(訳註:これはカフ付きチュ
ーブにとっての適切なサイズであって、カフ無しチューブのそれとは、また異なる)、正
しいカフ圧を用いて(訳註:カフ圧を測定するという意味)、気管チューブの正しい位置
を確認すれば、乳児(新生児を除く)や小児でも、カフ無し気管チューブと同程度に安全
である。特定の状況下においては(例えば肺コンプライアンスの悪化、気道抵抗上昇、声
門からの多量のエアリーク)、カフ付き気管チュー ブの方が好ましいこともある。
ラ リ ン ゲ ア ル マ ス ク エ ア ウ エ イ ( LMA)
W26A、 W26B
科学的コンセンサス
心 停 止 中 の 小 児 に 対 す る LMA の 使 用 に つ い て 検 討 し た 研 究 は な い 。 小 児 麻 酔 領 域 の エ
ビ デ ン ス か ら の 推 察 で は 、 成 人 の 経 験 と 比 較 す る と 、 よ り 小 さ な 小 児 で は LMA に よ る 合
併症発生率がより高いことが示されている。合併症発生率は、施行する者の経験が多くな
る に つ れ て 減 少 す る( LOE 7) 1 9 4 , 1 9 5 。気 道 確 保 困 難 な 症 例 に 対 し て LMA が 有 用 だ っ た こ
とが、症例報告として示されている。
推奨される治療
心 停 止 中 の 小 児 に 対 す る LMA の 常 用 を 推 奨 ま た は 否 定 す る の に 十 分 な デ ー タ は な い 。
気 道 確 保 困 難 な 小 児 の 心 停 止 に お い て 、 熟 練 者 が LMA を 気 管 チ ュ ー ブ の 代 替 と し て 使 用
することは許容される。
気管チューブの位置確認
呼 気 炭 酸 ガ ス ( CO2)
W25
科学的コンセンサス
気管チューブ挿入の誤り、固定位置のずれ、および閉塞は、死亡の高い危険性と直結し
て い る 。単 独 で 常 に 正 確 で 信 頼 で き る 気 管 チ ュ ー ブ の 位 置 確 認 方 法 は な い 。あ る 研 究( LOE
3) 1 9 6 か ら は 、 気 管 チ ュ ー ブ 位 置 の 臨 床 的 評 価 ( 胸 壁 挙 上 や 気 管 チ ュ ー ブ 内 の く も り の 観
‑ 12 ‑
察や、胸部聴診)は、気管挿管と食道挿管を区別するに際して必ずしも信頼できないこと
が示されている。
3 編 の 研 究( LOE 5)1 9 7 - 1 9 9 か ら は 、心 拍 出 が あ る 体 重 2 kg 以 上 の 乳 児 と 小 児 に お い て 、
カロリメトリック検出器やカプノグラフを用いた呼気炭酸ガス検出が、気管チューブの位
置 確 認 に 高 い 感 度 と 特 異 度 を 持 つ こ と が 示 さ れ て い る 。 心 停 止 時 の 研 究 ( LOE 5)
198
で
は 、 呼 気 炭 酸 ガ ス 検 出 に よ る 気 管 チ ュ ー ブ の 位 置 確 認 の 感 度 は 85%、 特 異 度 は 100% で あ
った。心拍出の有無にかかわらず、呼気炭酸ガスの存在は気管内への気管チューブ留置を
確かに示すが、心停止中に呼気炭酸ガスが認められないからといって気管チューブが気管
外にあることの確証にはならない。
推奨される治療
あらゆる状況において(病院前、救急部門、集中治療室、手術室)、心停止でない乳児
や小児の気管挿管に際しては、呼気炭酸ガス検出によって気管チューブの位置確認を行う
べ き で あ る 。こ れ は 、カ ロ リ メ ト リ ッ ク 検 出 器 や カ プ ノ グ ラ フ を 用 い て 行 う こ と が で き る 。
心停止中の気管挿管に際して、呼気炭酸ガスが検出されない場合は、喉頭展開して直視下
に気管チューブの位置確認を行うべきである。
食 道 挿 管 検 出 器 ( Esophageal Detector Device: EDD)
W23
科学的コンセンサス
手 術 室 に お け る 研 究( LOE 2) 2 0 0 に お い て 、心 停 止 で な い 体 重 20 kg 以 上 の 小 児 の 気 管
挿 管 の 際 に 、気 管 チ ュ ー ブ の 位 置 確 認 に 対 し て 食 道 挿 管 検 出 器( EDD)が 高 い 感 度 と 特 異
度 を 示 し た と 報 告 さ れ た 。 心 停 止 中 の 小 児 に EDD を 用 い た 研 究 は な い 。 幼 若 動 物 を 用 い
た 研 究 ( LOE 6) 2 0 1 で は 、 EDD に 際 立 っ た 結 果 は 認 め ら れ な か っ た が 、 大 き め の 注 射 器
を用いることで正確さが増した。同じ動物実験において、気管チューブのカフを膨らませ
ても膨らませなくても、食道挿管の検出に際して相違がないことも示された。
推奨される治療
20 kg 以 上 の 小 児 に お い て は 、気 管 チ ュ ー ブ の 位 置 確 認 に EDD の 使 用 を 考 慮 し て も よ い 。
搬送中の気管チューブの位置確認
W24
科学的コンセンサス
い く つ か の 研 究( LOE 1
202;
LOE 7
2 0 3 )か ら は 、病 院 前 搬 送 に お い て 偶 発 的 な 気 管 チ ュ
ーブの位置異常が高率に認められることが示されている。院内や病院間の搬送で同様な事
象の発生頻度を検討した研究はない。
2 編 の 研 究( LOE 5)2 0 4 , 2 0 5 か ら は 、心 停 止 で な け れ ば 、呼 気 炭 酸 ガ ス の 検 出 や 測 定 に よ
って、気管チューブの位置確認を搬送中も正確にできることが示されている。2 編の動物
実 験 ( LOE 6) 2 0 6 , 2 0 7 に よ る と 、 呼 気 炭 酸 ガ ス が 検 出 で き な く な る こ と が 、 パ ル ス オ キ シ
メ ー タ よ り も 早 期 に 気 管 チ ュ ー ブ の 位 置 異 常 を 示 す も の と さ れ た 。 1 編 の 症 例 検 討 ( LOE
5) 2 0 4 に よ る と 、搬 送 時 間 が 長 い 場 合( 30 分 以 上 )に お い て は 、カ ロ リ メ ト リ ッ ク 検 出 器
を持続使用することで信頼性が低下する可能性が示されている。
推奨される治療
‑ 13 ‑
心停止でない乳児や小児を病院前、院内、病院間で搬送する際には、呼気炭酸ガスの持
続的測定か頻回の間歇的検出を行って、気管チューブの位置と開存性を監視することが推
奨される。
酸素
蘇生中の酸素使用
W14A、 W14B
科学的コンセンサス
4 編 の 臨 床 研 究 の メ タ 分 析( LOE 1)2 0 8 , 2 0 9 か ら は 、新 生 児 蘇 生 に 際 し て 空 気 を 用 い る こ
と は 、 100% 酸 素 の 使 用 と 比 較 し て 死 亡 率 が 低 下 し 、 有 害 と す る エ ビ デ ン ス が な い こ と が
示 さ れ て い る( 第 7 部
新生児蘇生
参 照 )。し か し な が ら 、最 大 規 模 の 2 編 の 研 究
210,211
は 盲 検 化 さ れ て い な か っ た の で 、結 果 の 解 釈 に は 慎 重 を 要 す る 。2 編 の 動 物 実 験( LOE 6)
212,213
か ら は 、 心 停 止 か ら 蘇 生 す る 際 に 、 空 気 に よ る 換 気 が 100% 酸 素 よ り 優 れ て い る 可
能 性 が 示 さ れ た が 、 他 の 動 物 実 験 ( LOE 6) 2 1 4 で は 差 が 認 め ら れ な か っ た 。
推奨される治療
心停止の蘇生中や蘇生直後に、特定の吸入酸素濃度の使用を推奨または否定するのに十
分な情報はない。新たなエビデンスが報告されるまでは、ヘルスケアプロバイダーが蘇生
時 に 100% 酸 素 ( 利 用 で き る 場 合 ) を 用 い る こ と を 支 持 す る 。 い っ た ん 循 環 が 回 復 し た な
らば、酸素飽和度をモニターして、適切な酸素供給を確保しつつ吸入酸素濃度を下げてい
く必要がある。
■血管確保と心停止に用いる薬剤
小児の蘇生中の血管確保は困難である。エビデンスの検討では、骨髄内ルートの経験の
増加と、経気管投与ルートの位置づけの結果的低下が示された。蘇生に用いる薬剤のエビ
デ ン ス 評 価 は 、報 告 さ れ た 小 児 の 経 験 が な い た め に 限 界 が あ る 。バ ソ プ レ シ ン に 関 し て は 、
小児心停止に対する使用経験はほとんどなく、成人においても矛盾した結果しか得られて
いない。それとは対照的に、心停止に対する高用量アドレナリンが無益であり、むしろ有
害である可能性を示す優れた研究が、小児領域で報告された。
薬剤投与ルート
骨髄内ルート確保
W29
科学的なコンセンサス
成 人 と 小 児 で 行 わ れ た 2 編 の 前 向 き 無 作 為 試 験( LOE 3)
( LOE 4
217;
LOE 5
218-220;
LOE 7
215,216
と 、そ の 他 6 編 の 研 究
221,222) か ら は 、 骨 髄 内 ル ー ト 確 保 が 、 輸 液 負 荷 や 薬 剤
投与、検査用採血に安全かつ有効に用いられることが示されている。
推奨される治療
薬剤や輸液の静脈内投与が緊急に必要とされる全ての乳児や小児において、迅速な血管
確保ができない場合は、骨髄内ルート確保が推奨される。
‑ 14 ‑
気管チューブからの薬剤投与
科学的なコンセンサス
1 編 の 小 児 の 臨 床 研 究( LOE 2)2 2 3 、5 編 の 成 人 の 臨 床 研 究( LOE 2
224-226;
LOE 3
227,228)
、
さ ら に 複 数 の 動 物 実 験( LOE 6)2 2 9 - 2 3 1 か ら は 、ア ト ロ ピ ン 、ア ド レ ナ リ ン 、ナ ロ キ ソ ン 、
リドカイン、バソプレシンが気管から吸収されることが示されている。蘇生薬の経気管投
与では、同量を静脈内投与した場合と比較して、低い血中濃度しか得られない。さらに、
動 物 実 験 ( LOE 6) 2 3 2 - 2 3 5 に よ る と 、 経 気 管 投 与 に よ っ て 得 ら れ る 低 い ア ド レ ナ リ ン 濃 度
で は 、一 過 性 の β -ア ド レ ナ リ ン 作 用 し か 示 さ な い 可 能 性 も 示 さ れ た 。こ れ は 有 害 と な り う
る作用で、低血圧、冠潅流圧低下と冠血流量減少、自己心拍再開の可能性を低下させるも
のである。
推奨される治療
薬剤投与経路としては、骨髄内を含んだ血管内投与ルートの方が経気管投与ルートより
も望ましい。アトロピン、アドレナリン、リドカインの経気管投与の推奨量は、血管内投
与よりも多く、以下のとおりである。
・
アドレナリン
0.1 mg/kg( 複 数 の LOE 6 研 究 )
・
リドカイン
2〜 3 mg/kg( LOE 3) 2 2 8 と 複 数 の LOE 6 研 究
・
アトロピン
0.03 mg/kg( LOE 2) 2 2 4
ナロキソンとバソプレシンの経気管投与の至適量は特定されていない。
心停止に用いる薬剤
心停止の際のアドレナリン投与量
W31A,W31B
科学的なコンセンサス
4 編 の 小 児 の 臨 床 研 究 ( LOE 2
236,237;
LOE 4
238,239) か ら は 、 心 停 止 に 対 し て 高 用 量 ア
ドレナリンを投与することで生存率は改善せず、神経学的予後が悪化する傾向が示されて
い る 。 院 内 心 停 止 の 小 児 を 対 象 と し て 、 2 回 目 お よ び そ れ 以 後 ( "rescue”) の ア ド レ ナ リ
ン 投 与 量 を 高 用 量 と 標 準 用 量 と し て 比 較 し た 前 向 き 無 作 為 試 験( LOE 2) 2 3 6 は 、高 用 量 群
に お け る 24 時 間 生 存 率 の 悪 化 を 示 し た 。 高 用 量 群 を さ ら に 分 析 す る と 、 呼 吸 原 性 も し く
は敗血症による心停止に高用量アドレナリンを使用した症例群において、著しい生存率の
悪化を認めた。
推奨される治療
小児の心停止におけるアドレナリンの血管内投与量は、初回投与であっても追加投与で
あ っ て も 、 10 μ g/kg と す べ き で あ る 。 高 用 量 ア ド レ ナ リ ン ( 100 μ g/kg) の 血 管 内 投 与
の常用は推奨されず、特に呼吸原性心停止においては有害な可能性がある。例外的な状況
(β遮断薬過量など)では、高用量アドレナリンの使用を考慮してもよい。
心停止に対するバソプレシン
W19A,W19B
科学的なコンセンサス
小 児 に お け る 小 規 模 研 究( LOE 5) 2 4 0 に よ る と 、遷 延 す る 心 停 止 の 際 に ア ド レ ナ リ ン に
追加してバソプレシンを投与することで、自己心拍再開の可能性が示唆された。動物実験
‑ 15 ‑
( LOE 6) 2 4 1 , 2 4 2 か ら は 、 エ ピ ネ フ リ ン と バ ソ プ レ シ ン の 併 用 が 有 益 で あ る 可 能 性 が 示 さ
れた。成人においては矛盾した結果が示されている。成人心停止に対するバソプレシン投
与 は ( LOE 7) 2 4 3 - 2 4 7 、 短 期 的 予 後 を 改 善 し た が ( 自 己 心 拍 再 開 ま た は 入 院 生 存 率 ) 、 ア
ドレナリンと比較すると、神経学的後遺症のない退院率は改善しなかった。
推奨される治療
小児心停止に対するバソプレシンの常用を推奨または否定するのに十分な情報はない。
心停止に対するマグネシウム
W15
科学的なコンセンサス
2 編 の 成 人 の 臨 床 研 究( LOE 3
248;
LOE 4 2 4 9 )、1 編 の 動 物 実 験( LOE 6)2 5 0 に お い て 、
血 中 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 と CPR 後 の 予 後 の 関 連 性 が 調 査 さ れ て い る 。 成 人 を 対 象 と し た 最
初 の 2 つ の 研 究 で は 、正 常 な 血 中 マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 と 良 好 な 蘇 生 成 功 率 と に 相 関 を 示 し て
い た が 、 そ の 因 果 関 係 の 有 無 は 明 確 で は な い 。 6 編 の 成 人 の 臨 床 研 究 ( LOE 1
252-255;
LOE 3
2 5 6 ) と 成 体 を 用 い た 動 物 実 験 ( LOE
251;
LOE 2
6) 2 5 7 に よ る と 、 マ グ ネ シ ウ ム を CPR
前 、 CPR 中 、 CPR 後 に そ れ ぞ れ 投 与 し た 対 象 群 に お い て 、 ど の 生 存 指 標 を と っ て も 有 意
差は得られなかった。
推奨される治療
マ グ ネ シ ウ ム は 低 マ グ ネ シ ウ ム 血 症 や torsades de pointes 型 VT に 対 し て 投 与 す べ き で
あるが、心停止に対する常用を推奨または否定するのに十分な情報はない。
■蘇生後の管理
蘇生後管理は良好な転帰を得るためには極めて重要である。心停止の蘇生後における脳
機能保護と心筋機能に関する話題について、エビデンス評価が行われた。それによると、
脳機能保護に低体温療法が有益である可能性、高体温の予防と積極的是正の重要性、血糖
管理の重要性、そして循環動態の安定化を図るための血管作動薬の役割が示された。
換気
過換気
W27
科学的コンセンサス
1 編 の 心 停 止 症 例 の 臨 床 研 究 ( LOE 2) 2 5 8 と 、 他 の 12 編 の 研 究 ( LOE 6
LOE 3
2 6 1 - 2 6 7 ;LOE
4
268;
LOE 5
259;
LOE 2
260;
269,270) ( 訳 註 : こ れ ら は 非 心 停 止 症 例 、 主 に 頭 部 外 傷 症
例を対象とした臨床研究)からの推察によると、過換気は心臓への静脈潅流量減少や脳虚
血を惹起する可能性があり、心停止後に昏睡となっている患者には有害である可能性があ
る。
推奨される治療
心停止後の過換気は有害である可能性があり、避けるべきである。蘇生後管理における
換気のありかたの目標は、二酸化炭素レベルを正常範囲内に維持することである。脳ヘル
ニアの切迫徴候がある小児においては、一時的な処置として短時間であれば過換気を実施
してもよい。
‑ 16 ‑
体温管理
W22B,W22C
治療的低体温
科学的コンセンサス
心停止から蘇生された直後は、小児はしばしば低体温となり、その後は時間的経過とと
も に 高 体 温 と な る( LOE 5) 2 7 1 。低 体 温( 32〜 34℃ )は 損 傷 を 受 け た 脳 に 有 益 で あ る か も
しれない。小児心停止後の人為低体温療法に関する研究はないが、この治療を支持する根
拠は以下の研究から推察される。
・ 2 編 の 成 人 VF 心 停 止 の 前 向 き 無 作 為 試 験 ( LOE 1
272;
LOE 2
273)
・ 新 生 児 仮 死 に お け る 臨 床 研 究 ( LOE 2) 2 7 4
・ 呼 吸 原 性 心 停 止 や VF 心 停 止 モ デ ル を 用 い た 多 数 の 動 物 実 験 ( LOE 6)
・ 成 人 ( LOE 7) 2 7 2 , 2 7 3 と 新 生 児 ( LOE 7) 2 7 5 - 2 7 8 を 対 象 と し た 、 最 長 72 時 間 ま で の 人 為
的 な 低 体 温 療 法 ( 32〜 34℃ ) に お い て 、 安 全 性 が 許 容 で き た こ と
推奨される治療
心 停 止 後 に 昏 睡 と な っ て い る 小 児 に お い て は 、 12〜 24 時 間 の 人 為 低 体 温 療 法 ( 32℃ 〜
34℃ ) の 導 入 を 検 討 す べ き で あ る 。
W22A,W22D
高体温の治療
科学的コンセンサス
2 編 の 研 究( LOE 5)2 7 1 , 2 7 9 は 、心 停 止 か ら の 蘇 生 後 に 体 温 上 昇 が よ く み ら れ る こ と を 示
し 、3 編 の 研 究( LOE 7) 2 8 0 - 2 8 2 は 、体 温 上 昇 が 予 後 不 良 因 子 な っ て い る こ と を 示 し た 。動
物 実 験 か ら は 、 体 温 上 昇 が 転 帰 を 悪 化 さ せ る こ と が 示 さ れ て い る 。 あ る 研 究 ( LOE 6) 2 8 3
に よ る と 、 呼 吸 原 性 心 停 止 か ら 蘇 生 さ れ た ラ ッ ト に お い て 蘇 生 直 後 24 時 間 以 内 に 高 体 温
となった場合に、転帰が悪化することが示された。全脳虚血障害モデル(それ自体によっ
て 内 因 性 の 体 温 上 昇 が 惹 起 さ れ る ) の ラ ッ ト で は 、 非 ス テ ロ イ ド 性 消 炎 鎮 痛 剤 ( NSAID)
系 統 の 解 熱 剤 を 用 い た 体 温 上 昇 防 止 に よ っ て 、神 経 細 胞 障 害 を 軽 減 し え た( LOE 6)2 8 4 , 2 8 5 。
推奨される治療
心停止から蘇生された乳児や小児に対して、ヘルスケアプロバイダーは高体温を予防す
べきである。高体温になってしまった場合には、それを強力に治療すべきである。
循環管理
血管作動薬
W33A,W33B,W33C,W33D
科学的コンセンサス
2 編 の 小 児 の 臨 床 研 究 ( LOE 5) 2 8 6 , 2 8 7 、 多 数 の 成 人 の 臨 床 研 究 ( LOE 7) 2 8 8 - 2 9 0 や 動 物
実 験 ( LOE 6) 2 9 1 - 2 9 3 か ら は 、 心 停 止 の 蘇 生 後 に お け る 心 筋 機 能 障 害 が よ く 認 め ら れ る こ
と が 示 さ れ て い る 。 い く つ か の 動 物 実 験 ( LOE 6) 2 9 4 - 2 9 6 に よ る と 、 心 停 止 か ら の 蘇 生 後
に選ばれた血管作動薬を投与すれば確実に血行動態が改善することが示された。心臓血管
外 科 手 術 後 に 低 心 拍 出 量 状 態 に な っ た 成 人 と 小 児 を 対 象 と す る 多 数 の 臨 床 研 究 ( LOE 7)
297-302
のエビデンスからの推察によると、人工心肺離脱後に血管作動薬を滴定すると確実
‑ 17 ‑
に血行動態が改善することが示されている。
推奨される治療
心停止からの蘇生後の時期においては、血行動態改善のために血管作動薬の使用を考慮
す べ き で あ る 。薬 剤 選 択 、開 始 時 期 、個 々 の 血 管 作 動 薬 投 与 量 は 患 者 に よ っ て 異 な る た め 、
モニタリングされている利用可能なデータによって調整されなければならない。
血糖管理
低血糖と高血糖の治療
W30A,W30B,W30C
科学的コンセンサス
院外心停止の成人において、入院時血糖値が高い場合は、神経学的転帰と生存率が悪く
な る ( LOE 7) 3 0 3 - 3 0 8 。 重 篤 な 小 児 に お い て は 、 低 血 糖 ( LOE 5) 3 0 9 と 高 血 糖 ( LOE 5)
310
は 転 帰 不 良 に つ な が る 。高 血 糖 と 心 停 止 後 の 転 帰 不 良 の 間 に 因 果 関 係 が あ る の か 、単 に
ストレス反応に付随した現象を見ているのかは明確でない。
重 篤 な 術 後 成 人 患 者 に お い て は ( LOE 7) 3 1 1 、 厳 格 な 血 糖 管 理 が 転 帰 を 改 善 す る 。 し か
し、現時点において小児においては、血糖値を厳格にコントロールすることの利点が、偶
発的な低血糖の危険性を凌駕することを示す十分なデータがない。
い く つ か の 動 物 実 験 ( LOE 6) 3 1 2 - 3 1 6 と 成 人 の 臨 床 研 究 ( LOE 4) 3 1 7 か ら は 、 心 停 止 直
前や心停止中に糖を投与することで転帰が悪化することが示されている。心停止後の小児
に糖を含有した維持輸液製剤を投与することが有害なのかどうかは明らかでない。
低血糖が小児の蘇生に際して重要な案件である理由は
・重篤な小児は基礎代謝と比較して代謝亢進状態にあり、異化を防ぐための糖需要が増
加 し て い る ( 6〜 8 mg/kg/min) 。
・ 未 成 熟 な 脳( 動 物 新 生 仔 )に 対 す る 、低 血 糖 と 低 酸 素 /虚 血 の 組 み 合 わ せ の 影 響 は 、ど
ちらか一方だけによる障害以上に有害である
318。
・4 編の新生児仮死に関する後ろ向き臨床研究によると、低血糖とその後の脳障害の関
連 性 が 示 さ れ て い る ( LOE 4
319,320;
LOE 5 3 2 1 , 3 2 2 ) 。
推奨される治療
ヘルスケアプロバイダーは心停止中の血糖値を確認し、その後も注意深く血糖値をモニ
タ ー し て 正 常 血 糖 値 の 維 持 を 目 指 す べ き で あ る 。CPR 中 は 、低 血 糖 で な い 限 り 、糖 含 有 輸
液 製 剤 の 適 応 は な い ( LOE 7) 3 2 3 。
■転
帰
CPR に お け る 最 も 困 難 な 挑 戦 の ひ と つ は 、こ れ 以 上 の 蘇 生 努 力 の 継 続 が 無 益 で あ る と い
う線を判断することである。残念ながら簡明な指針は存在しない。蘇生を継続すべきと考
えられる状況がある(氷温下での溺水、目撃された心室細動による心停止)一方で、それ
以上の蘇生努力が無益であると考えられる状況(鈍的外傷や敗血症性ショックによる心停
止のほとんど)も存在する。
小児心停止の転帰の予測因子
W12B,W28
‑ 18 ‑
科学的コンセンサス
院内または院外心停止の転帰と、患者の状況や心停止の病態との関連性が、成人の多く
の研究から示されている。小児における経験は限られている。6 編の小児を対象とした臨
床 研 究( LOE 5) 3 , 3 2 4 - 3 2 8 か ら は 、蘇 生 時 間 が 長 く な る ほ ど 転 帰 不 良 で あ る こ と が 示 さ れ て
い る 。 CPR 施 行 時 間 が 短 く な る ほ ど 良 好 な 転 帰 が 期 待 さ れ そ う で あ る 。 し か し 、 2 編 の 小
児 を 対 象 と し た 臨 床 研 究 ( LOE 3) 3 2 8 , 3 2 9 に よ る と 、 院 内 心 停 止 が 目 撃 さ れ て そ の 直 後 か
ら 優 れ た CPR が 実 施 さ れ て い た と す れ ば 、 30〜 60 分 間 に お よ ぶ CPR で あ っ て も 良 好 な
転帰をもたらしたと報告された。偶発低体温や氷温下での溺水による小児心停止では、心
停 止 時 間 が 30 分 を 超 え て も 、 良 好 な 転 帰 を 得 る こ と が 可 能 で あ る こ と が 知 ら れ て い る
( LOE 5) 7 , 3 3 0 。
小 児 を 対 象 と し た 大 規 模 研 究 ( LOE 4) 3 3 1 や 、 い く つ か の 小 規 模 な 臨 床 研 究 ( LOE 5)
332-336
か ら は 、 院 内 心 停 止 症 例 で 標 準 的 CPR に 反 応 し な い 場 合 、 30〜 90 分 以 内 に 体 外 循
環 を 用 い た CPR( 訳 註 : ECMO-CPR) を 導 入 す れ ば 、 良 好 な 転 帰 が 得 ら れ る こ と が 示 さ
れ て い る 。こ こ で 、良 好 な 転 帰 が 得 ら れ た の は 心 疾 患 患 者 が 中 心 で あ っ た 。こ の デ ー タ は 、
15〜 30 分 間 の CPR 継 続 時 間 が 、 心 臓 と 脳 の 回 復 限 界 を 規 定 す る わ け で は な い こ と を 示 す
ものである。
成 人 の 蘇 生 に お い て 、 目 撃 さ れ た 心 停 止 で あ る こ と 、 バ イ ス タ ン ダ ー に よ る CPR が 実
施 さ れ て い る こ と 、 卒 倒 後 短 時 間 で EMS シ ス テ ム の 人 員 が 到 着 し て い る こ と 、 は 蘇 生 の
転帰を改善する重要な予後規定因子である。小児においても同様に適応することは理に適
っ て い る 。 少 な く と も 1 編 の 小 児 の 研 究 ( LOE 5) 3 2 8 に よ る と 、 卒 倒 か ら CPR 開 始 ま で
の時間が有意な予後規定因子であることが示されている。
小 児 に お い て 、鈍 的 外 傷
337
に よ る 院 外 心 停 止 や 、敗 血 症 性 シ ョ ッ ク
329
による院内心停
止の多くは救命されなかった。
推奨される治療
救 護 者 は 、 CPR 施 行 時 間 が 15〜 20 分 間 以 上 に 及 ん だ 際 に は 、 蘇 生 努 力 を 中 止 す べ き か
否かを検討し始めるべきである。関連する考察要件として、心停止の原因、心停止前の状
況 、 心 停 止 の 目 撃 の 有 無 、 無 処 置 の ま ま 経 過 し た 心 停 止 時 間(
性と継続時間(
低潅流
無潅流
) 、 可 逆 性 病 態 に 対 す る ECMO-CPR の 迅 速 な 対 応 体 制 、 そ し
て特別な状況の存在(氷温下での溺水、薬物中毒)などが含まれる。
文献
省略
翻訳担当
日本小児集中治療研究会(代表:宮坂勝之)
清水直樹(日本小児集中治療研究会)
監修
) 、 CPR の 有 効
日本小児集中治療研究会
(代表:宮坂勝之)
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