「画像処理技術」でIT分野に進出 ‐世界初の画像処理技術でオンリーワンを目指す

「画像処理技術」でIT分野に進出 ―世界初の画像処理技術でオンリーワンを目指す― 会津土建株式会社(福島県会津若松市追手町) 取締役社長 菅家 洋一 大正15年11月創業 役職員数68人(うち社員数63人) 資本金50百万円 直近年度の売上高3500 百万円(17年度) 株式会社 エマキ(福島県会津若松市東栄町) 平成12年7月創業 役職員数18人(うち社員数15人) 資本金45百万円 直近年度の売上高300 百万円(17年度) 1.事業着手のきっかけ 建設業界の革新のため、さらなる挑戦を目指し模索していた時期に、ある幼馴染の友
人から1枚の連続写真を見せられた。災害復旧現場をはじめ建設分野への適用を直感し、
画像処理技術への取り組みが始まった。 2.事業実施の経緯 イスラエル・ヘブライ大学が開発した画像処理技術を、実用的なものにするところか
ら着手。 平成11年4月より会津土建株式会社内に世界中より研究者を集めて、画像処理のプロ
ジェクトチームを結成し研究を開始した。 研究開発を重ね、画像処理ソフトウェア「Mofix」を完成させ、平成12年7月
に画像処理専門会社「株式会社 エマキ」を設立し、モザイキング技術基本特許を世界
で使用する権利を獲得した。 「Mofix」技術はビデオカメラで撮影した動画映像(1秒間に約30枚の静止画)
から、それぞれの画像の一致する点を次々に追跡し、つなぎ合わせていくことで、連続
的な高解像度の静止画像を自動作成することができる。 しかし、開発した技術がそのまま現場で実用可能なものとはなりにくい。そこで、実
際にできあがった画像を社長自らパソコンを抱えて全国の官公庁や電力会社等に持っ
て行き、意見を聞く活動を行った。ここで得られた意見・ニーズを収集し商品開発に反
映させる努力を行い、ユーザーの基本ニーズを満たし、かつ使いやすいシステムにする
ことができた。 平成14年2月には国土交通省新技術情報提供システム「NETIS」に登録し、同
年7月には、建設産業における優れた新技術を対象に表彰される「第4回国土技術開発
賞」にもIT分野で初めて入賞することができた。 ITといえば華やかなイメージがつきまとうが、このような、足を使った草の根的活
動によって、「Mofix」をここまで完成度の高いシステムに仕上げたのではないか
と思う。 こうした活動の結果、現在では国土交通省や地方自治体に対するエマキ技術の認知度
が高まり、平常時における河川や道路の維持管理システムから、新潟県中越地震時の被
災画像作成といった緊急調査まで依頼されるようになった。 又、建設業においてもIT技術を取り入れており、画像による品質保証、施工履歴の
システム管理を行っている。これにより施工記録の客観性が向上し、今後の維持・管理
データに役立てることができる。実際に優良工事受賞にも繋がっており、新分野進出に
よる相乗効果が生まれている。 3.苦労した点 画像処理技術自体はイスラエル・ヘブライ大学のシュメル・ペレグ教授が開発したも
のであるが、当時の技術は論文レベルの技術であり、現場で実用的に使えるものではな
かった。また、実際の現場で簡単に使えるようなシステム開発が実用化の不可欠な条件
だった。しかし、技術開発を行うにも、日本には静止画像処理の研究者がほとんどいな
い状況であった。そこで、世界各国に向けてインターネットで技術者の募集をかけた結
果、2000名もの応募があり、その中からペレグ博士をはじめ、画像処理の精鋭技術
メンバーが集まりプロジェクトチームを立ち上げることが可能になった。その後、コン
ピュータサイエンスの専門大学として有名な会津大学のアドバイスも交え研究を重ね、
実用化までにわずか1年程度で画像処理ソフトウェア「Mofix」を完成させること
ができた。ボーダレスな視野とスピードが成功の要因となった。 4.主な販売先 ・地方自治体:福島県、茨城県 等 ・国:国土交通省各地方整備局 ・建設コンサルタント会社 5.差別化のポイント ・「高精細画像」を「早く」「安く」提供する。 ・誰でも簡単に使えるシステムの提供。ライセンス費用不要、導入時及び改良時の負担
を軽減したシステムの提供。 ・災害時等早急に被災画像を提供できる。 6.新分野進出のメリットと成果 ・IT分野では、技術さえあれば中小企業でも道は拓けることがわかった。 ・日本全国へ技術が認知され、各地から受注できるようになった。 ・建設業へのIT技術導入により、施工管理における顧客評価が向上した。 ・建設だけではなく、医療といった異業種へも参入できた。 7.今後の課題 ・新技術についての認知度、理解度は近年高まってきているのは事実であるが、まだま
だ発注者側では既存のシステムに頼っているところが多い。既存システムのいい部分と
新技術のいい 部分を組み合わせて、より使いやすく役立つシステムを構築及び提案
していく必要がある。 ・近年、大手コンサルタント会社やIT企業との競合が激しくなってきている。発注者
の要望を踏まえ、より使いやすい商品開発を進め、他社との差別化を図っていく必要が
ある。 問い合わせ先 会社名 株式会社エマキ 担当者氏名(役職) 後藤 良平 (営業企画室マネージャー) 所在地 福島県会津若松市東栄町2‐8 Eメール [email protected] 電 話 0242-29-1910 URL http://www.emaki.com