(成否)の決定要因の、戦略経営の視点から

プロジェクト研究発表大会
グループワーク研究テーマ
「企業のパフォーマンス(成否)の決定要因の、
戦略経営の視点からの探索」
企業パフォーマンスの決定要因を、
内部成長による新規事業展開を実現する
企業戦略の策定・実行力から探る
ダイナミックな競争環境変化を前提とした
内部成長による新規事業参入戦略の
新たなフレームワークの可能性
2009年9月12日
・市川 良紀 0851101074D
・宮澤 公栄 0851101039H
・山本 壮一 0851101056G
企業パフォーマンスを決定する要因は様々なものがある。
中でも「新規事業への展開」を実現できるか否かが、
多くの企業の長期的なパフォーマンスに影響を与えるものと考えられる。
「新規事業への展開」の成否を決める大きな要因は何か?
成功企業と失敗企業を分かつ条件は何なのか?
1)要因の把握と 2)これ利用して、新規事業への展開の是非を決断するフ
レームワークが見いだせれば、失敗の尐ない戦略経営が行えるようになる。
ダイナミック戦略論を戦略経営に利用する際の補助ツールとして有用になる
今日における環境の変化
競争環境の激化
新製品の多発
PLCの短命化
技術力向上および
技術革新の速さ
競争優位の消失
需要構造の変化
・ポジショニング理論単独での適用困難性
・RBVによる持続的競争優位の確立困難性
競争の激化により新製品が多発しプロダクトライフサイクルが短命化が加速するな
か、企業は競争優位の消失や需要構造の変化への対応するために、新市場への
進出と撤退のコンビネーション能力が問われる時代に。
基礎戦略論の進化
1980
1990
選択と集中
ポジショニングスクール
By ポーター
RBV
By バーニー
2000
2010
ダイナミック戦略
(企業戦略)
By 河合
ダイナミック戦略
(競争戦略)
経営戦略論の基礎は競争戦略とRBVを中心に展開されてきたが、
社会変化がダイナミック化するにつれ、既存理論ではカバーしきれない
状況となり、「需要不確実性下でも適用可能な戦略」としてダイナミック戦略
が注目を集める。本研究は内部成長型ダイナミック戦略へのアプローチを
明確にするため、内部成長新規参入時におけるフレームワークを考察する
問題提起
ダイナミック戦略は有効な戦略理論されているが、現実社会において実行
する上では、新規事業における分類と傾向を抑えることが重要ではないだ
ろうか?有能な経営者が経験と勘でおこなっているかのごとく見える事業
参入デシジョンアプローチに法則があるのではないだろうか?
全ての事業戦略に対するパフォーマンスの要因となる指標は?
模倣困難度
差別化の要素となる資源
ニッチ度
企業体力に適した市場
ダイナミックな市場へのアプローチ
参入する業界(もしくは作る業界)は静止していることはなく、常に動いており
参入時に参入後の自社ポジションがどちらに流れるのか把握し、戦略を
立てることが重要となる。
事業はマップの中を動くが、自社で戦略的に移動するには・・・
ダイナミックケイパビリティ
(アイゼンハート2000)
新市場進出の意思決定について
実際の新市場進出の際の意思決定について
・全くの新市場の場合は市場を創造するだけの技術力
・他者に先行して市場進出できる場合
成功可能性が高いと判断し、進出への誘惑に駆られるケースが見られる。
確かに新市場への進出機会があるとはいえる。
しかし、その後の戦略が不在。
進出機会の検討
○
・ポジショニング理論単独
での適用困難性?
進出後の変化
×
・RBVによる持続的競争優
位の確立困難性?
参入後の競争環境の変化や競争優位性について、ある程度の予測を立てる
ことができないか?
ケース~パイオニアの薄型TV①
実現された戦略と結果
他者に先駆けた世界初の製品開発などプラズマディスプレイパネルに必要な
技術力を備えていた。当初は高画質のプラズマディスプレイで高シェアを獲得。
当時、業績のV字回復を目指し
ていたPanasonicが液晶パネル
事業との両立をやめプラズマ
ディスプレイパネルに一本化。2
002年以降大規模投資を繰り返
す。
2004年、NECプラズマディスプレイ社
を400億で買収。生産規模を拡張
2004年、業績の急激な悪化。
最終的にパイオニアは事業より撤退
ケース~パイオニアの薄型TV②
パイオニア
TV市場はブラウン管から薄型へシフトしている環境にあり
プラズマディスプレイも競争が激化することは予見できたはず。
技術力の優位性による競争力持続を狙う?
装置産業は、大規模投資により他社に先駆けて量産体制を整え一気にシェアを拡大しておく
必要がある。パイオニアはPanasonicと伍して戦う体力はなかった。
パイオニアにはプラズマディスプレイパネルにはパネルの薄型化に加え、デジタル化に必要な
高度半導体技術の獲得が不可欠。デジタル化に必要な技術を持ち合わせていなかったパイオ
ニアは、まだ技術力強化の余地は残されていた。
実際に行われたのは規模拡大に対する投資であった。
意
図
さ
れ
た
戦
略
【Panasonic中村社長】
プラズマディスプレイパネ
ルが儲かるには寡占化が
条件。圧倒的なトップに
ならないと儲からない。
【パイオニア伊藤社長】
トップシェアを狙っている
わけではない。身の程の
シェアを大事にしたい。
(2004.5.3.日経ビジネス)
(2005.11.26週刊東洋経済)
パイオニア ⇒ 参入後の変化予測・戦略の不在か?
新市場進出の意思決定に向けて
新市場進出の意思決定に貢献するため、以下のとおり検証をすすめる
①新市場進出の際には、「市場を創造するだけの自社の技術力がある」
という進出機会の検討のみでは不十分であった。
②そこで、対応策として「競合が参入が予見されるような市場かあるいはニッチ
な市場か」を採りあげる。
③ 上記2つの基準により2×2のマトリ
クスを作成し4つの戦略グループを設
定する。
高
TYPE A
TYPE C
コア度高い×対象範囲 広い
コア度高い×対象範囲 狭い
コ
ア
度
④ 4つの戦略グループ毎に参入後の
状況における傾向を確認
TYPE B
TYPE D
コア度低い×対象範囲 広い
コア度低い×対象範囲 狭い
低
広い
対象範囲
狭い
4つの市場参入戦略
事例は、事業参入時点での分類
模倣困難度 高い
TypeC
TypeA
薄型TV:パイオニア
Web販売PC:DELL
スターバックス
特保飲料:ヘルシア
ニッチ度 低い
ニッチ度 高い
飲料:伊衛門
機能性飲料:ポカリスエット
TypeB
TypeD
模倣困難度 低い
既存の戦略論
模倣困難度
高い
RBV
差別化
ニッチ度低い
集中化
コストリーダシップ
模倣困難度
低い
ニッチ度高い
事例研究:内部成長による新規事業参入
模倣困難度
高い
TypeA
TypeC
東京ディズニーランド
任天堂DS
iPod
TV-CM
差別要素説明
ブランド:バック
高級外食:**ホテル
DELL
レッツノート
薄型TV
楽天
ヤマト運輸
農産物:雪国まいたけ
Mixi
マクドナルド
スターバックス
機械警備
保健飲料:ヘルシア
セコム
ニッチ度低い
ニッチ度高い
菓子 エイワ/亀田製菓
佃煮 フジッコ
セブンイレブン
酒:発泡酒
ポカリスエット
飲料:伊衛門
金融サービス
TV-CM
イメージ訴求
赤ちゃん本舗
スタジオアリス
菓子:
TypeB
模倣困難度
低い
TypeD
地域産品:白い恋人
宮崎マンゴー
事例研究:内部成長による新規事業参入とその後の展開
模倣困難度
高い
TypeA
TypeC
東京ディズニーランド
任天堂DS
iPod
TV-CM
差別要素説明
ブランド:バック
高級外食:**ホテル
DELL
レッツノート
薄型TV
楽天
ヤマト運輸
農産物:雪国まいたけ
Mixi
マクドナルド
スターバックス
機械警備
保健飲料:ヘルシア
セコム
ニッチ度低い
ニッチ度高い
菓子 エイワ/亀田製菓
佃煮 フジッコ
セブンイレブン
酒:発泡酒
ポカリスエット
飲料:伊衛門
金融サービス
TV-CM
イメージ訴求
赤ちゃん本舗
スタジオアリス
菓子:
TypeB
模倣困難度
低い
TypeD
地域産品:白い恋人
宮崎マンゴー
時間の経過と市場環境の変化
ダイナミック戦略論 法則型
市場のコモディティ化
TypeA
模倣困難度
高い
薄型TV
TypeC
農産物:雪国まいたけ
楽天
Mixi
マクドナルド
スターバックス
機械警備
保健飲料:ヘルシア
セコム
ニッチ度低い
ニッチ度高い
①ニッチ度が低いと落下速度が速い
②模倣困難性が低いと落下速度が速い
高い
落下速度が
低い
TypeAエリア(模倣困難度高×ニッチ度低)へ進出した事業の分析
模倣困難度
高い
①
任天堂DS
東京ディズニーランド
iPod
マクドナルド 薄型TV
レッツノート
スターバックス
楽天
②
ニッチ度低い
③
従来の商品には無い模倣困難度の高い差別化要素を持っていれば、市
場より驚きをもって迎えられ、新規市場への参入は成功する可能性が高
い。
そして、参入後の事業の発展方法は3つのグループに分類される。
①模倣困難度を維持・強化して引き続きTypeAエリアにとどまる
②ニッチ市場TypeCエリアに移動(逃げ込む)ことで、競争優位を維持
③コモディティ化したTypeBエリアに移動(落下)していく(環境変化)
TypeAエリアに新規参入した事業の展開①
TypeAに残留 (RBV:バーニー)
模倣困難度
高い
任天堂DS
東京ディズニーランド
iPod
ニッチ度低い
高い模倣困難度(VRIO)の維持
事例:任天堂DS=模倣困難なビジネスモデル
任天堂DSのプラットフォーム上で様々なソフトメーカーが製品を競って出し合
うことにより、任天堂と各ソフトメーカーがWin-Winで発展していくというビジネ
スモデル。結果として、規模の経済×ネットワーク外部性も有することになり、
圧倒的な競争優位を持つ。ipod/iphoneも類似のモデルである
TypeAエリアに新規参入した事業の展開②
TypeCに退避
(集中戦略:ポーター)
模倣困難度
高い
レッツノート
ニッチ度低い
市場規模は小さくなるが、特定カテゴリーでの
勝者を目指す。(身の丈にあった競争に環境を移す)
事例:レッツノート=ビジネスマン用モバイルPCに集中
集中と選択
NEC、富士通などコンピュータ専業メーカーとの正面勝負では後発のパナソ
ニックが勝てる要素は乏しい。そこで、商品カテゴリーを絞り込み、その分野
に有効な技術の差別化を高めることにリソースを集中。これにより、市場が
コモディティ化(TypeB)することによる利益率の低下も回避。
TypeAエリアに新規参入した事業の展開③
多くの事業はTypeBに落下移動
模倣困難度
高い
薄型TV
マクドナルド
スターバックス
飲料:ヘルシア
楽天
セコム
機械警備
ニッチ度低い
新しい競争優位の獲得
落下中に先行者利得を活かした新たな競争優
位の獲得が必要=ダイナミックケイパビリティの
有無が事業の継続性に影響
事例
・負け組=スターバックス/パイニアのTV事業
・勝ち組=マクドナルド/楽天
TypeAエリアに新規参入する事業の競争戦略のフレーム
新規参入
TypeAエリアの打ち手
①TypeAに残留 (能力と意思)
Yes
TypeAエリアの
競争戦略へ
(戦略=RBV:バーニー)
No
②TypeCに退避 (意思と能力)
(戦略=集中戦略:ポーター
Yes
TypeCエリアの
競争戦略へ
+ケイパビリティ)
No
③多くの事業はTypeBに落下移動
(戦略=ダイナミック戦略
法則型:コモディティ化)
TypeBエリアの
競争戦略へ
先行者利得が効いているうちに
新たな競争優位獲得(ダイナミックケイパビリティ)
Yes
積極的に事業
撤退/売却
規模の経済/ネットワーク外部性/ブランド など
No
新たな競争優位獲得できず
(撤退戦略)
Yes
競争に負けて
事業撤退
TypeAエリアに新規参入した事業の展開 まとめ
①TypeAに残留 (RBV:バーニー)
②TypeCに退避 (集中戦略:ポーター)
③TypeBに落下移動(ダイナミック戦略 法則型:河合)
従来の戦略論では、競争環境が変化していく
③の戦略論が不十分である。
ダイナミック戦略論の法則型の適用が考えられる。
実際に③で成功した企業、失敗した企業の事例を観察すると、
多くの成功企業は、環境が変化する過程で
先行者利得が効いているうちに新たな競争優位獲得している。
規模の経済/ネットワーク外部性/ブランド など
コモディティ化という市場変化に対する
フレームワークの構築の可能性が示唆される
TypeAエリアに新規参入する際の事業戦略の仮説
事例から示唆される「新規事業成功の必要条件」の仮説は、
事業参入時点で、競争環境の変化(コモディティ化)の影響を受け
てTypeBのエリアに移動する予測が立つようであれば、
①その変化に対応できるダイナミックケイパビリティを
保有していることが参入時の条件となる。
②予想される競争環境の変化(コモディティ化)を見越して、
主体的に新たな競争優位の獲得行動を起こす計画を
参入時から持っていなければならない。
③もし、自社リソースで競争優位の獲得が困難であれば、
収益悪化前に以下の計画を実施することを参入時から予定。
・新たなリソースの獲得(例=M&A、資金調達、人材獲得)
・事業売却、事業撤退
TypeBエリア(模倣困難度低×ニッチ度低)へ進出した事業の分析
このブロックにて成功している事業は、他のブロックからの移行してきた
ものが多い。最初からこのブロックに新規参入し、成功を収めた事業は
ほとんど見られない。そうしたことからも、このブロックは新規参入して成
功を得ることが一番難しいブロックであると言える。
マーケティング戦略により方法が競争優位を獲得する方法が考えられる。
ニッチ度低い
酒:発泡酒
飲料:伊衛門
金融サービス
カルビー:菓子
模倣困難度
低い
TypeBエリアに新規参入する事業の競争戦略のフレーム
新規参入
TypeBエリアの打ち手
①TypeAに上昇
Yes
TypeAエリアの
競争戦略へ
(戦略=RBV:バーニー)
No
②TypeDに退避
Yes
TypeDエリアの
競争戦略へ
(戦略=集中戦略:ポーター)
No
③TypeBに残留
(戦略=マーケティング)
TypeBエリアの
競争戦略へ
新たな競争優位獲得(ダイナミックケイパビリティ)
規模の経済/ネットワーク外部性/ブランド など
プロセス改善/ /
Yes
積極的に事業
撤退/売却
No
新たな競争優位獲得できず
(撤退戦略)
Yes
競争に負けて
事業撤退
TypeCエリア(模倣困難度高×ニッチ度高)へ進出した事業の分析
模倣困難度
高い
ブランド:バック
高級外食:**ホテル
DELL
農産物:雪国まいたけ
Mixi
機械警備
保健飲料:ヘルシア
セコム
ニッチ度低い
ニッチ度高い
TypeCエリアに新規参入する事業の競争戦略のフレーム
新規参入
TypeCエリアの打ち手
①TypeAに進撃
(能力と意思)
(戦略=RBV:バーニー)
Yes
TypeAエリアの
競争戦略へ
No
②TypeCに残留 (意思と能力)
Yes
TypeCエリアの
競争戦略へ
(戦略=集中戦略:ポーター)
No
③ゆるやかにTypeDに落下移動
(戦略=ダイナミック戦略
法則型:コモディティ化)
TypeDエリアの
競争戦略へ
先行者利得が効いているうちに
新たな競争優位獲得(ダイナミックケイパビリティ)
Yes
積極的に事業
撤退/売却
ブランド など
No
新たな競争優位獲得できず
(撤退戦略)
Yes
競争に負けて
事業撤退
TypeDエリア(模倣困難度低×ニッチ度低)へ進出した事業の分析
模倣困難度
高い
参入は容易だが、事業を継続・発展させていくために、環境変化に適応
する内部能力が必要である。
ニッチ度低い
ニッチ度高い
セブンイレブン
菓子 エイワ/亀田製菓
佃煮 フジッコ
ポカリスエット
赤ちゃん本舗
スタジオアリス
模倣困難度
低い
地域産品:白い恋人
宮崎マンゴー
TypeDエリアに新規参入する事業の競争戦略のフレーム
新規参入
TypeDエリアの打ち手
①TypeCに上昇
Yes
TypeCエリアの
競争戦略へ
(戦略=RBV:バーニー)
No
②TypeBに進撃
Yes
TypeBエリアの
競争戦略へ
(戦略=マーケティング戦略)
No
③TypeDに残留
(戦略=?)
TypeDエリアの
競争戦略へ
新たな競争優位獲得
ブランド/プロセス改善/
Yes
積極的に事業
撤退/売却
No
競争優位の喪失
(撤退戦略)
Yes
競争に負けて
事業撤退
追加研究の余地
事業戦略は単体だけで考えるものではなく、展開する別の事業とのシナジー
及び、それまで歩んできた企業文化とも関連性があり(コリス1998)、
本フレームワークだけでは完全なデシジョンツールとはいえない。しかし、
現実において内部成長事業の新規参入時における有効なツールになりえる
ことは間違いないだろう
他事業とのシナジー
(範囲の経済)
ビジネスモデルと成果
(プラハラード2009)
事業参入デシジョンマップ
企業文化
(ラーニング)