Moody`s Global Credit Policy

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Moody’s Global
クロス・セクター格付手法
Credit Policy
2010 年 9 月 30 日
イントロダクション
1
1. ムーディーズのデフォルトの定義は ?
2
2. ディストレスド・エクスチェンジの
発生頻度は ?
2
ディストレスド・エクスチェンジの
評価に対するムーディーズの
アプローチ
3
Moody's Approach to Evaluating Distressed
Exchanges
目次
3. どういった種類の債務交換が
ディストレスド・エクスチェンジと
みなされうるのか ?
4. デフォルト回避とは何を意味するのか ? 3
5. デフォルト回避とムーディーズが
みなす要因は ?
3
6. ムーディーズの格付けはデフォルト回避の
評価に用いられるか ?
4
7. 債権者に経済的損失が発生しているか
どうかをムーディーズはどのように
評価するのか ?
5
8. ディストレスド・エクスチェンジにおいて
強制はどのような役割を果たすか ?
5
9. ディストレスド・エクスチェンジは
事業会社以外の発行体にも適用されるか ? 5
10. ディストレスド・エクスチェンジは
ハイブリッド証券や債務以外の証券にも
適用されるか ?
5
11. ディストレスド・エクスチェンジは
ストラクチャード・ファイナンス証券にも
適用されるか ?
6
12. ディストレスド・エクスチェンジは
格付けにどのような影響を与えるか ?
6
関連リサーチ
6
付録 A:最近のディストレスド・
エクスチェンジの例
7
イントロダクション
最近、発行体か ら の債務交換お よ び額面を下回る 価格でのオ フ ァ ーの申 し
入れが増加 し てい る 。 多 く の場合、 こ う し た債務交換のオ フ ァ ーは、 財務
の健全な発行体が、魅力的な評価額で債務を軽減する 機会を得 よ う と い う
動機を反映 し た も のであ る 。 一方、 そ う し たオ フ ァ ーを財務が逼迫 し た発
行体が行 う こ と も あ り 、 その場合、 債務交換に よ っ て発行体が最終的にデ
フ ォ ル ト 事由 (破産法適用申請、 元本ま たは利息の支払い遅延) を回避す
る 効果を も つケース も あ る 。
財務が逼迫 し た発行体が額面以下の価格で債務交換を行い、破産法適用申
請ま たは支払い遅延を回避で き る 効果を も つ場合 ( 「デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ
ク ス チ ェ ン ジ」 ) は、 ムーデ ィ ーズのデフ ォ ル ト の定義上、 デフ ォ ル ト 事
由 と みな さ れ る 。 し か し 、 債務交換を行わなければ発行体がデフ ォ ル ト し
たか ど う かは観察不可能であ る ため、債務交換がデフ ォ ル ト 事由 と みな さ
れ る か ど う かは、 状況判断を伴 う こ と な る 。 そのため、 市場参加者は、 そ
の債務交換がデフ ォ ル ト 事由で あ る と ムーデ ィ ーズが判断す る 基準を理
解す る こ と が重要 と な る 。
本稿は、 質疑応答形式に よ り 、 ムーデ ィ ーズ がデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス
チ ェ ン ジ を評価す る アプ ロ ーチの概要を示す も のであ る 。
コンタクト先
東京 03.5408.4100
This Moody’
s Japan rating methodology is based on Moody’
s Investors Service’
s
rating methodology titled Moody's Approach to Evaluating Distressed
Exchanges, (March 24, 2009). The rating approach described in the Moody’
s
Investors Service report was adopted by Moody’
s Japan on September 30, 2010.
Moody’s Global Credit Policy
クロス・セクター格付手法
ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
1. ムーディーズのデフォルトの定義は ?
ムーデ ィ ーズは、 次の 3 種類の事由をデフ ォ ル ト と 定義 し てい る 。
a) 利払い も し く は元本返済の不履行ま たは遅延
b) 発行体に よ る 破産法の適用申請 も し く は管財人に よ る 管理
c) 1) 発行体が、 当初債務よ り 金融債務負担を軽減 し た新規の も し く は債務再編後の債務、 新たな
証券パ ッ ケージ、 キ ャ ッ シ ュ ま たは資産 と の交換を債権者に申 し 出て、 かつ 2) 交換が破産 も
し く は債務不履行を回避す る こ と につなが る 、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ
ムーデ ィ ーズのデフ ォ ル ト の定義は、発行体が当初の信用契約な ら びに イ ンデンチ ャ ーに規定 さ れて
いた債務履行義務を果たせず、 かつ債権者が経済的損失を被 る 事由を把握す る こ と を意図 し てい る 。
こ こ で重要なのは、 市況の変化や、 発行体の信用力の変化に伴 う 経済的損失は、 発行体が債務条項を
満た し てい る 限 り においては、ムーデ ィ ーズの定義上のデフ ォル ト 事由に該当し ない と い う 点であ る。
ムーデ ィ ーズは、 発行体が、 破産法の適用申請 も 、 元利払いの遅延 も 起 こ し てはいない も のの、 実質
的に債務履行が不可能 と な っ てい る 信用事由を把握する ために、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ を
デフ ォ ル ト の定義に含めてい る 。 こ う し たデフ ォ ル ト 事由は、 法廷外での任意の債務再編 と みなす こ
と がで き る 。
支払い不履行や破産法の適用申請は比較的単純に把握で き る が、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジは
主観的な要素があ り 把握が難 し い。 こ れは、 債務交換が発行体のデフ ォ ル ト を回避する 効果があ る か
ど う か を評価す る にあ た り 、債務交換が行われなかっ た な ら ばデフ ォ ル ト が発生 し たか ど う かを観察
す る こ と は通常では不可能なためであ る 。 ほ と ん ど の場合、 債務交換がデフ ォ ル ト 事由 と な る か ど う
かは、 債務交換が も し 行われていなか っ た な ら ば、 発行体が最終的に破産法の適用申請を行っ たか、
支払い遅延に陥っ たか と い う こ と について判断が求め ら れ る こ と にな る 。
2. ディストレスド・エクスチェンジの発生頻度は ?
従来、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジは、 発行体の最初のデフ ォ ル ト 事由のご く 小 さ な割合を占め
ていたに過ぎず、 1983-2007 年の最初のデフ ォ ル ト 件数合計の約 13% であ っ た。 その発生は比較的少
ないが、 発行体の財務上の問題を解決する 点ではかな り 成果を あげてい る 。 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス
チ ェ ン ジが最初のデフ ォ ル ト 事由 と な っ た発行体の3分の2は、その後、デフ ォ ル ト を起 こ し ていない。
し か し 、 過去 1 年間で、 今回の信用危機が深刻化す る につれて、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ
が、 最初のデフ ォ ル ト 事由に占め る 割合が大幅に高ま り 、 2008 年には最初のデフ ォ ル ト 件数合計の
約 25% に達 し た。 こ の よ う なデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジが増加 し てい る 背景には幾つかの理
由があ る 。 すなわち、 財務が逼迫 し た発行体に よ る 市場へのア ク セ ス が不可能であ る こ と 、 債務の価
格が低下 し たため交換が債務負担軽減の有効な方法であ る こ と 、破産法適用申請を検討する 発行体が
DIP フ ァ イ ナン ス を獲得す る のが困難であ る こ と 、 な ど であ る 。
2009 年には、 債務の価格が低水準で推移 し 、 市場へのア ク セ ス に制約があ る 中、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ
ク ス チ ェ ン ジが引 き 続 き 発行体の最初のデフ ォ ル ト 事由の 20-30% を占め る も の と ムーデ ィ ーズはみ
てい る 。
2
2010 年 9 月 ■ クロス・セクター格付手法 ■ ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
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クロス・セクター格付手法
ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
3. どういった種類の債務交換が
ディストレスド・エクスチェンジとみなされうるのか ?
全ての公式な債務交換お よ びテ ン ダーオ フ ァ ーが、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジの候補 と な る 。
ま た、 市場においてオープンに、 も し く は相対取引で債券を購入す る の も 、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス
チ ェ ン ジの候補 と な る 。 購入 と 交換は通常は任意の取引だが、 それに よ っ て発行体が破産法適用申請
あ る いは支払い不履行を回避する 効果があれば、 デフ ォ ル ト 事由 と 解釈 さ れ る 。
交換のオ フ ァ ーを評価す る 際、 ムーデ ィ ーズは、 「債務交換」 を非常に広 く 解釈す る 。 た と えば、 財
務が逼迫 し てい る 発行体が銀行借入契約を再編ま たは修正 し た場合に、それが破産法適用申請ま たは
支払い不履行を回避す る 効果があ る と 考え ら れ る のであれば、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と 分
類 さ れ る 1。
4. デフォルト回避とは何を意味するのか ?
額面以下での交換は、 それが発行体の破産法適用申請ま たは支払い不履行を回避す る効果があ る 場合
には、デ ィ ス ト レ ス ド ・エ ク スチ ェ ン ジ と 判断 さ れ る。デフ ォル ト 回避には幾つかの判断の目安があ る。
1) 債務交換が、 償還が期限を迎え る こ と 、 ま たは コ ベナン ツデフ ォ ル ト に よ り 早期償還につなが
る 可能性に伴 う 、 短期的な流動性圧力に対処す る ための も のであ る 場合。
2) 債務交換が、 ムーデ ィ ーズが中期的に維持 ・ 持続不可能 と みた資本構成を改善 さ せる 場合。 債
務交換が発行体の債務の相当部分を含み、 法定外の債務再編に相当す る こ と も あ り う る 。 その
他、 発行体が幾度かの債務交換を実行 し て最終的に同様の目的を達成 し た と さ れ る 場合、 ムー
デ ィ ーズはその最初の取引をデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と みなす こ と にな る 。
ムーデ ィ ーズがデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と 判断す る にあ た っ て、 その後に債務の償還期限が
く る こ と は必ず し も 求め ら れ る こ と ではない。 通常、 債務償還期限到来以外の多 く の要因 (流動性、
コ ベナン ツ、 キ ャ ッ シ ュ の維持ま たはその他の戦略目的のための任意破綻な ど) がデフ ォ ル ト につな
が り う る。
5. デフォルト回避とムーディーズがみなす要因は ?
債務交換の効果が、 発行体のデフ ォ ル ト 回避につなが る か ど う か を評価す る にあ た り 、 ムーデ ィ ーズ
は、 発行体の信用力 と 、 債務交換の構造の 2 つの点に関す る 要因を検討す る 。 ま た、 発行体の信用力
と 債務交換の構造は、 デフ ォ ル ト 回避の評価を行 う 際に併せて検討する 必要があ る 。
発行体の信用力
ムーデ ィ ーズは、 債務履行負担が維持可能か ど う か、 発行体が現在、 財務難に陥っ てい る か ど う かを
み る ために信用力を評価す る 。 通常検討 さ れ る 財務指標には、 レバレ ッ ジ、 流動性、 収益性、 キ ャ ッ
シ ュ フ ロ ー、 コ ベナン ツ の レベルを測る も のが含まれ る 。 債務償還期限お よ び利払いの予定 も 、 発行
体が今後の債務履行を行 う 能力を把握する と い う 観点か ら 検討する 。 信用力の主要指標は、 債務交換
発表時に格付け委員会が行っ た評価であ り 、 その内容は発行体に対す る ムーデ ィ ーズの格付け、 あ る
いは ス ト ラ ク チ ャ ー ド ・ フ ァ イ ナ ン ス 取引の場合は証券に対す る 格付けに表 さ れ る 。 こ の格付けが
Caa1 以下で、 債務交換が大幅に額面を下回っ てい る 場合、 取引がデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ
と みな さ れ る 可能性が高い。 一方、 格付けが B1 以上の場合、 任意の交換 と みな さ れ る 可能性が高い。
債務交換オ フ ァ ーの構造
債務交換オ フ ァ ーの構造には通常、 その目的お よ び意図が表れ、 特に発行体の現在の信用力 と 併せて
考慮す る と その点が明確にな る 。 そのため、 ムーデ ィ ーズは、 次の よ う な債務交換オ フ ァ ーの特徴を
詳 し く 検討す る 。
1. 元利払い遅延を認め る 契約 も 、 デフ ォ ル ト 事由が発生 し たか ど う か を検討す る 際には無視 さ れ る 。 一方、 発行体が、 当初の債
券契約書に含まれた PIK オプシ ョ ン を行使 し た と き には、 デフ ォ ル ト 事由 と はみな さ れない。
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2010 年 9 月 ■ クロス・セクター格付手法 ■ ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
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クロス・セクター格付手法
ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
・
発行体の債務総額対比での規模か ら 、 当該オ フ ァ ーの目的が推測 さ れ る こ と が多い。 通常、 規
模の小 さ い債務交換オ フ ァ ーは、それが少額の差 し 迫っ た債務償還の回避を強い目的 と する も
のであ る 場合以外は、 発行体の信用力向上にはほ と ん どつなが ら ない。 そのため、 他の条件が
同 じ な ら ば、 発行体の債務総額に対す る オ フ ァ ー額の比率が高ければ高いほ ど、 発行体に と っ
て大幅な債務削減 と な り 、 ムーデ ィ ーズがデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と 判断する 可能性
も 高ま る 。
・
債務交換に応 じ る 債権者に と っ ての損失の度合いは、債務交換が行われなかっ た場合にデフ ォ
ル ト す る 可能性を示唆す る 。市場価格ま たはフ ァ ン ダ メ ン タ ル分析に基づ く 額面を大幅に下回
る ほ ど、 発行体の債務履行能力が低い と 市場が考えてい る こ と を示す。 そのため、 交換 し よ う
と す る 債務が、 額面を大幅に下回 る 価格で取引 さ れてい る と い う こ と は、 他の条件が同 じ な ら
ば、 債務交換がデフ ォ ル ト を回避す る 効果があ る こ と を示唆す る 可能性が高い。
・
債務交換が劣後化、 ま たはその他の強制を伴 う 場合、 他の条件が同 じ な ら ば、 デ ィ ス ト レ ス
ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と みな さ れ る 可能性が高ま る 。 強制を伴 う と い う こ と は、 必ず し も 債権者
が損失を こ う む る 可能性が高い こ と を意味す る だけではな く 、発行体に財務上の代替選択肢が
ほ と ん ど な く 、 オ フ ァ ーがデフ ォ ル ト を回避す る 効果を も つ こ と を も 示唆 し う る 。
・
債務交換オ フ ァ ーに用い ら れ る キ ャ ッ シ ュ の源泉 も 、デフ ォ ル ト の回避が目的であ る こ と を示
唆す る 可能性があ る 。 新規のキ ャ ッ シ ュ が債券市場で外部か ら 調達 さ れてい る のであれば、 発
行体は債券市場へのア ク セ ス が可能で あ り 、 財務が困難な状況に陥っ てはいない と 考え ら れ
る 。 一方、 額面を下回 る オ フ ァ ーの資金に、 既存の回転信用枠が用い ら れてい る 場合、 すでに
厳 し い状況にあ る 流動性を さ ら に逼迫 さ せ る 可能性があ り 、ま た債務交換の対象 と な ら ない債
権者が、 発行体の債務構造において、 実質的に劣後する こ と にな る のであれば、 強制を意味 し
てい る こ と にに も な る 。
・
キ ャ ッ シ ュ のみに よ る 債務交換は、キ ャ ッ シ ュ の保有は発行体の流動性を表す一定の指標であ
る ため、 他の条件が同 じ であれば、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と みな さ れ る 可能性が少
な く な る 。 一方、 純粋なデ ッ ト と デ ッ ト の交換、 ま たはデ ッ ト と エ ク イ テ ィ の交換は、 他の条
件が同 じ であれば、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と みな さ れ る 可能性が高い。
6. ムーディーズの格付けはデフォルト回避の評価に用いられるか ?
ムーデ ィ ーズの格付けは、発行体の信用力 と デフ ォ ル ト 確率についての有力な情報を提供する も ので
あ る 。 し たがっ て、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジはデフ ォ ル ト 事由であ る ため、 通常は格付けの
低い発行体に よ っ て行われ る 。 た と えば、 2008 年には 25 件の企業発行体に よ る デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ
ク ス チ ェ ン ジがあ っ たが、 う ち 24 件はデフ ォ ル ト 日の 6 ヵ 月前の コ ーポ レー ト ・ フ ァ ミ リ ー ・ レー
テ ィ ン グが B3 ま たはそれ以下であ っ た。 ま た 17 件は、 デフ ォ ル ト 日の 6 ヵ 月前の コ ーポ レー ト ・
フ ァ ミ リ ー ・ レーテ ィ ン グが Caa1 ま たはそれ以下であ っ た。
その結果、 ムーデ ィ ーズの格付けは、 特定の発行体に よ る 債務交換にデフ ォ ル ト 回避の効果があ る か
ど う かについての明確な指針を提供 し てい る と いえ る 。 従来、 ムーデ ィ ーズは、 Caa1 ま たはそれ以
下の格付けの企業発行体の大半の債務交換を、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と 判断 し ていた。 一
方、 B1 ま たはそれ以上の格付けの企業発行体に よ る 債務交換オ フ ァ ーは通常、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ
ク ス チ ェ ン ジではな く 任意の リ フ ァ イ ナン ス と みな さ れていた。 し か し 、 B2 ま たは B3 の発行体は、
デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と みな さ れ る 可能性 と 、 任意の リ フ ァ イ ナン ス と みな さ れ る 可能性
がほぼ同等で、 発行体の信用力 と 債務交換オ フ ァ ーの構造に よ っ て判断 さ れていた。 ムーデ ィ ーズ
は、 格付け と デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジの関係は今後 も 同様であ る と 考えてい る 。
4
2010 年 9 月 ■ クロス・セクター格付手法 ■ ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
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ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
7. 債権者に経済的損失が発生しているかどうかを
ムーディーズはどのように評価するのか ?
債務交換オ フ ァ ーが、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と 判断 さ れ る 必要十分条件は、 1) 債務交換に
よ り 、 発行体のデフ ォ ル ト が回避 さ れ る 効果があ り 、 かつ 2) 債務交換の結果、 債権者は当初約束 さ
れていた支払い額 と 比較 し て、 経済的損失を被 る 、 と い う 2 点であ る 。 重要なのは、 デフ ォ ル ト の判
断は、 発行体が当初の契約通 り に債務を履行で き る か ど う かに よ る ため、 損失は額面 と の対比で評価
さ れ る のであ っ て、 時価 と の比較ではない と い う こ と であ る 。
市場取引価格が入手で き る 場合には、 ムーデ ィ ーズはその価格を用いて、 債権者が債務交換の結果、
損失を被 る か ど う か を検討す る 。 た と えば、 交換債務が、 債務交換日直前に大幅な額面割れで取引 さ
れていた と すれば、 債権者は多額の損失を被る こ と を通常は意味する 2 , 3。
時価に加え て、 ま た時価が入手で き ない場合、 ムーデ ィ ーズは、 フ ァ ン ダ メ ン タ ル分析を行 う こ と に
よ っ て、 交換債務が額面価値を提供で き てい る か ど う か を評価す る 。 こ の分析には、 企業の資産の推
定経済価値や、 負債に対す る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの比率、 交換が強制を伴 う も のか、 償還延長 と い っ た
条件提示に補償対価が提示 さ れてい る か と い っ た点を含む。
8. ディストレスド・エクスチェンジにおいて
強制はどのような役割を果たすか ?
デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジは通常、 発行体 と 債権者の双方の利益を最大化する ための任意の取
引であ る 4。 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジは、 発行体が債務負担を削減 し 、 債権者が損失を負担
す る と い う 、 法廷外の債務再編の一種 と も いえ る 。
し か し 、 明示的であれ非明示的であれ、 強制を伴 う と い う こ と は、 債権者は債務交換の結果、 損失を
被 る こ と を意味 し う る 。 ま た、 その強制が、 発行体の選択肢が限 ら れてい る こ と を反映す る と みれ
ば、 デフ ォ ル ト 回避を示唆す る と も いえ る 。
9. ディストレスド・エクスチェンジは事業会社以外の
発行体にも適用されるか ?
本稿で示 し たデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ の評価方法は、 事業会社、 ソ ブ リ ン、 パブ リ ッ ク ・
フ ァ イ ナン ス、 ス ト ラ ク チ ャ ー ド ・ フ ァ イ ナン ス、 プ ロ ジ ェ ク ト ・ フ ァ イ ナン ス な ど の発行体の全て
の債務に適用 さ れ る 。
10. ディストレスド・エクスチェンジは
ハイブリッド証券や債務以外の証券にも適用されるか ?
本稿で示 し たデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジの評価方法は、 優先株お よ びその他のハ イ ブ リ ッ ド 証
券な ど の非債務証券に も 適用 さ れ る 。 し か し 、 ハ イ ブ リ ッ ド 証券の交換を ムーデ ィ ーズがデ ィ ス ト レ
ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と 判断す る には、 交換に よ っ て、 発行体が証券の利払い繰 り 延べを回避で き
る 、 あ る いは証券の再編を回避で き る な ど の こ と に よ っ て、 新たに発行 さ れた証券の経済価値が低下
す る 効果があ る と みなす こ と が要件 と な る 。
2. 額面割れは必ず し も 財務が逼迫 し てい る こ と 、 ま たは予想信用損失を反映す る も のではない も のの、 債務の時価が現時点で額
面 (当初約束 さ れていた支払い額) を下回っ てい る こ と は意味 し てい る 。 た と えば、 組成後の金利上昇に よ っ て、 取引価格が
額面を下回 る 場合 も あ る 。
3. そのため、 交換債務が額面以下の価格であ る な ら 、 キ ャ ッ シ ュ 以外を対価 と す る 名目上の交換であ っ て も 、 債権者に損失が生
じ る 可能性があ る こ と を意味す る 。
4. ただ し 、 全てのデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジが任意 と い う わけではない。 た と えば、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と
判断 さ れた修正契約を考えてみ る と 、 修正を承認 し ていない債権者は実質的に交換に強制的に参加 さ せ ら れてい る わけであ る。
5
2010 年 9 月 ■ クロス・セクター格付手法 ■ ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
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クロス・セクター格付手法
ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
11. ディストレスド・エクスチェンジは
ストラクチャード・ファイナンス証券にも適用されるか ?
本稿で示 し たデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジの評価方法は、 ス ト ラ ク チ ャ ー ド ・ フ ァ イ ナン ス証券
に も 適用 さ れ る 。 し か し 、 ス ト ラ ク チ ャ ー ド ・ フ ァ イ ナン ス証券のデ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ
は、 契約修正、 あ る いは最近では直接の交換を通 じ た債務再編が一般的であ る 。 債務再編が、 当初約
束 さ れていた支払いに比 し て金融債務を減少 さ せ、 かつ SPV に支払い遅延ま たは支払い不能を回避
さ せ る 効果があ る と ムーデ ィ ーズが判断 し た場合、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジ と みな さ れ る 。
12. ディストレスド・エクスチェンジは格付けに
どのような影響を与えるか ?
デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジに よ る デフ ォ ル ト が格付けに与え る 影響は、 基本的に他のデフ ォ ル
ト 事由 と 変わ り はない。 ムーデ ィ ーズの フ ァ ン ダ メ ン タ ルな債務格付けお よ び発行体格付けは、 デ
フ ォ ル ト 確率 と デフ ォ ル ト 時損失を反映 し た期待信用損失を示 し た も のであ る 。 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ
ク ス チ ェ ン ジの発表に際 し 、 ムーデ ィ ーズのアナ リ ス ト は、 発行体の現在の格付けが、 債務の期待信
用損失を正確に表 し てい る か ど う か を検討する 。 発行体を担当す る ムーデ ィ ーズのアナ リ ス ト は、 債
務交換の発表に伴っ て格付けア ク シ ョ ンが必要 と 判断すれば、 格付け委員会が招集 さ れ、 当該発行体
に適用 さ れ る 格付け手法に沿っ た格付け ア ク シ ョ ン を検討す る 。 債務交換が行われ る 前においては、
交換対象 と な る 債務証券の格付けは、 オ フ ァ ー条件に基づ く 期待損失を反映 し た も の と な る 。 こ の損
失は、 当初約束 さ れていた支払い額 と 、 証券保有者が受け取 る 実際 (価格が入手で き れば) ま たは推
定の対価を比較 し て算定す る 。 多 く の場合、 債務のご く 一部のみが交換対象 と な り 、 大半の債務が残
存す る 。 交換の条件には、 残存債務の条件を変更す る 条項 (た と えばコ ベナン ツ条項を外すな ど) が
盛 り 込まれてい る こ と も あ る 。 交換終了後、 残存証券の期待損失を、 今後の展望 も 含めて反映する よ
う 、 その格付けが格付け委員会に よ っ て見直 さ れ る 。 大幅な額面割れ価格に よ る 債務削減に よ り 、 発
行体が債務を履行す る 能力が高ま る こ と が多いため、債務交換の終了後には残存債務の格上げが行わ
れ る こ と が多い。
タ イ ミ ン グに関 し ては、 デ ィ ス ト レ ス ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジに よ る デフ ォ ル ト 発生日は、 発表日ではな
く 、 交換の ク ロ ージ ン グ ま たは完了の日 と な る 。 他の種類のデフ ォ ル ト 種類 と 異な り 、 デ ィ ス ト レ ス
ド ・ エ ク ス チ ェ ン ジの ク ロ ージ ン グ日はデフ ォ ル ト 日、 お よ びデフ ォ ル ト 事由の解消日 と な る 。
関連リサーチ
スペシ ャル ・ コ メ ン ト
6
„
"Corporate Default and Recovery Rates, 1920-2008, February" (日本語版 「社債 ・ ロ ーンのデフ ォ ル ト
率 と 回収率 1920-2008 年」 2009 年 4 月)
„
"Guide to Moody's Default Research, November 2008"
2010 年 9 月 ■ クロス・セクター格付手法 ■ ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
Moody’s Global Credit Policy
クロス・セクター格付手法
ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
付録 A:最近のディストレスド・エクスチェンジの例
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発行体
日付
国
業種
Tembec Industries, Inc.
2008/2/29
債務
カナダ
紙木材
$1,200.00
Abitibi-Consolidated Company of Canada
2008/4/1
カナダ
紙木材
$138.15
Abitibi-Consolidated Inc.
2008/4/1
カナダ
紙木材
$317.08
French Lick Resorts & Casino, LLC
2008/4/25
米国
ホテル、ゲーム & レジャー
$127.86
Primus Telecommunications Holding, Inc.
2008/5/22
米国
通信
Residential Capital, LLC
2008/6/4
米国
FIRE: 不動産
IAP Worldwide Services, Inc.
2008/6/12
米国
航空防衛
$496.00
Six Flags, Inc
2008/6/12
米国
ホテル、ゲーム & レジャー
$530.70
Ainsworth Lumber Company Limited
2008/7/29
カナダ
紙木材
$823.54
Autocam Corporation
2008/9/5
米国
自動車
Petrozuata Finance Inc.
2008/9/16
ベネズエラ
エネルギー : 石油ガス
Viskase Companies, Inc.
2008/9/30
米国
コンテナ、包装、ガラス
Sirius Satellite Radio, Inc.
2008/10/20
米国
メディア : 放送、購読
3217920 Nova Scotia Company
2008/11/26
カナダ
メディア : 多角化、制作
$368.95
Finlay Fine Jewelry Corporation
2008/11/26
米国
小売り
$139.64
Metaldyne Corporation
2008/11/26
米国
自動車
$353.52
Neff Corp.
2008/12/16
米国
サービス : ビジネス
$196.00
Triad Financial Corporation
2008/12/16
米国
FIRE: 金融
Harrah's Entertainment, Inc.
2008/12/19
米国
ホテル、ゲーム & レジャー
$1,142.19
Harrah's Operating Company, Inc.
2008/12/19
米国
ホテル、ゲーム & レジャー
$1,082.26
Level 3 Communications, Inc.
2008/12/23
米国
通信
$327.99
General Motors Acceptance Corp. of Canada
Ltd
2008/12/31
カナダ
FIRE: 金融
$264.64
GMAC International Finance B.V.
2008/12/31
オランダ
FIRE: 金融
$51.06
GMAC LLC
2008/12/31
米国
FIRE: 金融
$17,189.60
Residential Capital, LLC
2008/12/31
米国
FIRE: 不動産
Muzak Holdings, LLC
2009/1/19
米国
サービス : ビジネス
$105.00
Intelsat, Ltd.
2009/2/12
米国
通信
$460.61
XM Satellite Radio Holdings Inc.
2009/2/13
米国
メディア : 放送、購読
$172.00
American Achievement Group Holding Corp.
2009/2/25
米国
消費財 : 非耐久
$104.00
$82.00
$8,617.77
$30.00
$755.19
$2.60
$50.00
$89.38
$3,697.71
2010 年 9 月 ■ クロス・セクター格付手法 ■ ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
クロス・セクター格付手法
Moody’s Global Credit Policy
ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ
ムーディーズ・ジャパン株式会社
〒 105-6220
東京都港区愛宕 2 丁目 5-1
愛宕グリーンヒルズMORIタワー 20F
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Copyright 2010 Moody’s Investors Service, Inc. 及び / 又は同社のライセンサー及び関連会社(以下「ムーディーズ」と総称します。)All rights reserved.
信用格付は、事業体、与信契約、債務又は債務類似証券の将来の相対的信用リスクについての、ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下「MJKK」と
いいます。)の現時点の意見です。MJKK は、信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期日に履行できないリスク及びデフォルト事由が発生
した場合に見込まれるあらゆる種類の財産的損失と定義しています。信用格付は、流動性リスク、市場価値リスク、価格変動性リスク及びその他の
リスクについて言及するものではありません。信用格付は、現在又は過去の事実を示すものではありません。信用格付は、投資又は財務に関する助
言を構成するものではなく、特定の証券の購入、売却、又は保有を推奨するものではありません。信用格付は、特定の投資家にとっての投資の適切
性について論評するものではありません。MJKK は、投資家が、購入、保有、又は売却を検討する各証券について投資家自身で研究・評価するという
期待及び理解の下で、信用格付を発行します。
ここに記載する情報はすべて、著作権法を含む法律により保護されており、いかなる者も、いかなる形式、方法、手段によっても、これらの情報(全
部か一部かを問いません。)を、ムーディーズの事前の書面による同意なく、複製その他の方法により再製、リパッケージ、転送、譲渡、頒布、配布、
転売することはできず、また、これらの目的で再使用するために保管することはできません。ここに記載する情報は、すべてムーディーズが正確か
つ信頼しうると考える情報源から入手したものです。しかし、人的及び機械的誤りが存在する可能性、並びにその他の事情により、ムーディーズは
これらの情報をいかなる種類の保証もつけることなく「現状有姿」で提供しています。ムーディーズは、信用格付を付与する際に用いる情報が十分
な品質を有し、またその情報源がムーディーズにとって信頼できると考えられるものであること(独立した第三者がこの情報源に該当する場合もあ
る。)を確保するため、全ての必要な措置を講じています。しかし、ムーディーズは監査を行う者ではなく、格付の過程で受領した情報の正確性及び
有効性について常に独自の検証を行うことはできません。ムーディーズはいかなる状況においても、またいかなる者又は法人に対しても、以下の (a)
及び (b) について一切責任を負いません。
(a) これらの情報の入手、収集、編纂、分析、解釈、伝達、公表又は配布に関する誤り(過失によるか、その他の原因によるかを問いません。)又はそ
の他の状況若しくは偶発事象(ムーディーズ、あるいはその取締役、役職員、従業員あるいは代理人の支配力が及ぶか及ばないかを問いません。
)に
(全部、一部を問わず)起因し、由来し、若しくは関係する損失又は損害。
(b) ムーディーズが事前に当該損害の可能性について助言を受けていた場合においても、これらの情報の使用により又は使用が不可能であることによ
り発生する、あらゆる種類の直接的、間接的、特別、二次的、補償的、又は付随的損害(逸失利益を含みますがこれに限定されるものではありません。)
。
ここに記載される情報の一部を構成する格付、財務報告分析、予測、及びその他の見解(もしあれば)は、ムーディーズの意見の表明であり、また
そのようなものとしてのみ解釈されるべきであり、これによって事実を表明し、又は証券の購入、売却若しくは保有を推奨するものではありません。
ここに記載する情報の各利用者は、購入、保有又は売却を検討する各証券について、自ら研究・評価しなければなりません。ムーディーズは、いか
なる形式又は方法によっても、これらの格付若しくはその他の意見又は情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性について、
(明示的、黙示的を問わず)いかなる保証も行っていません。
MJKK は、ムーディーズ・グループ・ジャパン合同会社の完全子会社であり、同社は、Moody’s Corporation ( 以下「MCO」といいます。) の完全子
会社である Moody’s Overseas Holdings Inc. の完全子会社です。
MJKK は、MJKK が格付を行っている債券(社債、地方債、債券、手形、CP を含みます。)及び優先株式の発行者の大部分が、MJKK が行う評価・格
付サービスに対して、MJKK による格付の付与に先立ち、20 万円から約 3 億 5,000 万円の手数料を MJKK に支払うことに同意していることを、ここ
に開示します。また、MCO 及び MJKK は、MJKK の格付及び格付過程の独立性を確保するための方針と手続きを整備しています。MCO の取締役と
格付対象会社との間の何らかの利害関係の存在、及び MJKK から格付を付与され、かつ MCO の株式の 5% 以上を保有していることを SEC に公式に
報告している会社間の何らかの利害関係の存在に関する情報は、ムーディーズのウェブサイト www.moodys.com 上に "Shareholder Relations-Corporate
Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy" という表題で毎年、掲載されます。
本書のオーストラリアでの公開は、オーストラリア金融サービス認可番号 336969 を有するムーディーズの関連会社である Moody’s Investors Service
Pty Limited ABN 61 003 399 657 によって行われます。本文書は(2001 年会社法 761G 条の定める意味における)「ホールセール顧客」のみへの提供
を意図したものです。オーストラリア国内から本文書に継続的にアクセスした場合、ムーディーズに対して、
「ホールセール顧客」であるか又は「ホー
ルセール顧客」の代表者として本文書にアクセスしていること、及び、貴殿又は貴殿が代表する法人が、直接又は間接に、本書又はその内容を(2001
年会社法 761G 条の定める意味における)「リテール顧客」に配布しないことを表明したことになります。
本信用格付は、発行者の信用力又は債務についての意見であり、発行者のエクイティ証券又はリテール投資家が取得可能なその他の形式の証券につ
いて意見を述べるものではありません。リテール投資家が、本信用格付に基づいて投資判断をするのは危険です。もし、疑問がある場合には、フィ
ナンシャル・アドバイザーその他の専門家に相談することを推奨します。
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2010 年 9 月 ■ クロス・セクター格付手法 ■ ディストレスド・エクスチェンジの評価に対するムーディーズのアプローチ