【注目有望技術市場】 (3)リチウム空気電池(LAB) 1.製品概要 リチウムイオン電池の性能の限界が明らかになる中で空気電池や全固体電池への取り組みが盛んになっている。リ チウム空気電池(金属リチウム空気電池)は空気中の酸素を使用し、ニッケル水素電池や現在、広く用いられている リチウムイオン電池よりも長時間使用が可能な次世代電池と言われている。 他の電池より圧倒的に高エネルギー密度(Wh/kg や Wh/cm3)を有し、実用化されれば、携帯端末の長時間駆動や 充電回数の減少、通信ビルなどの長時間バックアップ、電気自動車の航続距離の飛躍的な増大等が期待されてい る。 しかし、現在ではまだ製品化のめどは立っておらず、水面下での開発が進められており、クリアーすべき技術的 課題も多く、むしろ「全固体型リチウム電池」の製品化が先行、主流になるとする見方も強い。 2.開発動向 <IBM の動向> IBM はリチウムイオン電池(LIB)ではファミリータイプの電気自動車(EV)は約 160km しか走行できない。LIB が 1 回 の充電で 800km 走行できる程軽量化し、一般的な低価格になる可能性はほとんどなく、その事が電気自動車(EV) の普及を妨げる大きなネックになっていると考え 2009 年に「バッテリー500 プロジェクト」をスタートさせた。 ※IBM Lithium/Air Battery Project (Battery 500) 2012 年 4 月にはこのプロジェクトに旭化成(膜技術―リチウム電池用セパレータに強み)とセントラル硝子(リチウム イオン電池向け電解液に強み)が参加し、IBM アルマデン研究所(米国カリフォルニア州サンノゼ)で開発が進んでお り 2020 年代に量産品上市、2025 年以降量産 EV への採用を目標としている。 ※Asahi Kasei and Central Glass join IBM Li-air Battery 500 project; membranes and electrolytes <トヨタの動向> トヨタは 2013 年 1 月に BMW(Bayerische Motoren Werke AG)と次世代環境技術における提携の一環として、リチウ ム空気電池の共同研究を明らかにした。 ※BMW グループとトヨタ、協業に関する正式契約を締結 <その他> 三重大学、京都大学、東京工業大学、NTT 環境エネルギー研究所、産業技術総合研究所、その他でも開発が行わ れている。 3.技術的特色 リチウムイオン電池のセルはカーボン負極、リチウム化合物正極を均等に充填し、電解質で埋めるが、コバルト系の 希少金属を使用するのでコストや環境負荷が問題となる。 それに対し、空気電池はセル内に金属リチウム負極を満たし空気中の酸素を正極とする。材料は亜鉛でコスト、環 境負荷共に軽減される。 ※Lithium-Air Battery Promise and Challenges---ACS ※Physical Chemistry Letters 4.特記事項 ※Lithium Air Battery Gives IBM Hope of Power Without Fires ※中国金属空気電池 IPO <備考> ・調査時期:2014.11 ・調査方法:関連企業への直接面接取材 お問い合わせ先 日本プランニング総研
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