熊谷組グループ CSR報告書2007 CONTENTS 2008年1月、熊谷組は創業110周年を迎えます 目次 事業概要 トップメッセージ 1 2 事業概要 1898年 1938年 1940年 1946年 1956年 熊谷組会社概要(2007年3月31日現在) 1957年 1958年 社 名 株式会社 熊谷組 創 業 1898年1月(明治31年) 1961年 1962年 1963年 設 立 1938年1月(昭和13年) ハイライト2006 - 2007 災害復旧 技術 4 6 熊谷組のCSR これが熊谷組のCSR! 企業統治―信頼される企業であるために 企業倫理―コンプライアンスの徹底 「誠実なものづくり」企業として 8 10 11 14 ステークホルダーとのコミュニケーション お客様の視点から 株主・投資家の視点から 地域社会の視点から 協力会社の視点から 16 17 18 21 活き活き職場 従業員の視点から 熊谷組の仕事 22 26 安全・品質・環境No.1 安全衛生管理の取り組み 品質No.1を目指して 30 32 環境No.1を目指して 基本理念/事業活動のマテリアルバランス 環境マネジメントシステム 環境に配慮した独自の技術開発 企画・設計時の環境配慮 施工時の環境配慮 環境会計 34 36 38 39 40 42 代 表 者 代表取締役社長 大田 弘 資 本 金 133億円 1964年 1966年 売 上 高 3,269億円(連結) 、2,635億円(単体) 従業員数 3,790名(連結) 、2,549名(単体) 1967年 1969年 事業内容 主要な営業所など 1. 建設工事の調査、測量、企画、設計、施工、監理、 本 店 福井県福井市中央2丁目6番8号 技術指導その他総合的エンジニアリング、マネジメ 東京本社 東京都新宿区津久戸町2番1号 ントおよびコンサルティングならびに請負 北海道支店、東北支店、首都圏支店、名古屋支店、北陸 2. 建設用資材、建設用および運搬用機械、車輌、船舶、 その他これらに附帯または関連する機械、器具の設 および鑑定 その他 1980年 1981年 1985年 1988年 支店、福井支店、関西支店、広島支店、四国支店、九州 支店、国際支店(東京都) 、技術研究所(つくば市) 計、制作、販売、賃貸ならびに関係工事の請負 3. 住宅事業ならびに不動産の売買、賃貸、仲介、管理 1970年 1975年 1977年 1978年 海外拠点 1989年 1990年 1991年 中国(上海、香港)、台湾、タイ、フィリピン、ベトナ ム、スリランカ、パプアニューギニア 1992年 1993年 財務データ 特別寄稿「山古志トンネルの開通に想う」 第三者意見 43 44 45 グループ会社 (株)ガイアートT・K (株)エコテクノ 舗装、土木工事をメインに、土木工事全般の調査、設計から施工、 土壌・地下水汚染調査から汚染修復まで一連の提案をする土壌汚 維持まで幅広く対応しています。建設資材の製造販売、騒音対策 染対策事業、廃棄物の種類・状況に応じた最適な処理方法などの 編集方針 型特許工法である「延長床版工法」をはじめとした各種環境対策工 提案および処分先の斡旋などをする廃棄物対策事業を展開してい ●本報告書は、熊谷組グループの環境面の活動だけではなく、CSR*活 動をステークホルダー**ごとに紹介しています。 法の展開をしています。品質マネジメントシステム「ISO9001」 ます。その他、アスベスト調査・対策、建物診断などのデュー・ *CSR:Corporate Social Responsibilityの略。企業の社会的責任。 **ステークホルダー:顧客、株主様、地域社会はもちろんのこと、熊谷組 の事業活動に関わりを持つすべての関係者。 ●制作にあたっては、以下に示したガイドラインを参考にしています。 「環境報告書ガイドライン(2007年度版)」 (環境省) GRI「サステナビリティ・リポーティング・ガイドライン第3版」 ●本報告書は、WEB上でも公開しています。 http://www.kumagaigumi.co.jp/csr/kankyo/ga2007/csr2007.html ●環境報告(p34〜42)については、本報告書に記載できなかった詳 細な内容も含めて別途「環境報告書」としてWEB上で公開しています。 http://www.kumagaigumi.co.jp/csr/kankyo/gae2007/csre2007.html [対象期間] 2006年度(2006年4月1日〜2007年3月31日) ただし、活動事例などについては、必要に応じ2007年4月以降の事例 も紹介しています。 [対象範囲] 熊谷組(本社および国内支店)およびグループ会社(国内) :数値データと 活動事例の紹介 熊谷組(海外) :活動事例などの紹介 ※環境保全活動数値データの対象工事:熊谷組単独工事と熊谷組が幹事会社で あるJV工事 を全支店にて認証取得しています。また、環境マネジメントシス テム「ISO14001」を本社を中心に関東支店、北関東支店、横 デリジェンスによるリスク評価を行います。 (株)ファテック 浜支店、技術研究所で認証取得し、さらに全国への展開活動を開 優れた技術を商品化して広く一般社会に提供する「技術商社」で 始しました。 す。ネッコチップ工法、サイレントボイド、破砕技術のPAB工法、 ケーアンドイー(株) 高性能モルタルのマックスAZ、床暖房のフジホット、自立歩行 建築、電気・衛生・空調設備のリニューアル&アフターケア専門 支援のフローラなどグループが開発した最新の技術商品を取り扱 会社として、ストック・循環型社会に貢献する企業を目指してい ます。建物調査・点検、耐震診断・耐震補強設計、長期修繕計画 っています。 企業活動のさまざまな分野にスペシャリストを提供する人材派 的にプロデュースしています。 遣・人材紹介事業と、給与計算・総務・経理事務などの事務代行 テクノス(株) 事業によるビジネスサポートを展開しています。 建設用機械、資機材、鉄鋼品の設計・製造販売を担当する建機事 シーイーエヌソリューションズ(株) 業部と連続地中壁・基礎工事・のり面緑化工事などの施工を担当 熊谷組の豊富な建設業ノウハウと、NECおよびCACの最先端 ITノ する建設事業部ならびに環境関連の工事・プラント設備据付など ウハウを融合し、3社共同出資で設立された建設業界向け情報シ の環境事業部を併せ持った技術立社。建築鉄骨建方治具の ステム会社です。建設事業者に対して情報システム、ネットワー エース(S、B、SRC) のリース事業も展開しています。 クシステムの構築、運用などの ITソリューションを提供していま テクノスペース・クリエイツ(株) す。 CADと情報システムを活用した建築施工図、 施工計画図作成など、 施工段階でのソフトサービスを中心に事業展開を行っています。 熊谷組および大学などでの施工図教育事業も展開しています。 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 (株)テクニカルサポート 策定など、企画・設計から施工まで、大規模修繕工事を含み総合 建方 1994年 1996年 2003年 2004年 2005年 2006年 1月1日、熊谷組創業 1月6日、株式会社熊谷組設立(資本金40万円)、代表取締役熊谷三太郎 社長に熊谷太三郎、会長に熊谷三太郎が就任 社訓制定 我国初のルーフシールド工事・ 関門国道下関口トンネル竣工 第28回都市対抗野球大会に初優勝 豊川工場開設 黒四ダム大町トンネル貫通 我国初の長大吊橋・若戸大橋竣工 技術研究所開設 我国初の円形シールド工事・ 名古屋市高速鉄道覚王山トンネル竣工 副社長牧田甚一が会長に就任 我国初の商業ベースの海外工事・ 香港プロバーコーブ導水路トンネル工事竣工 世界アマチュア野球大会に初優勝(ハワイ) 会長牧田甚一が社長に就任 我国初のメガネ型シールド地下鉄駅・ 千代田線新御茶ノ水駅竣工 株式公開 台湾・達見ダム竣工 我国初のNATMを採用した上越新幹線中山トンネル貫通 副社長熊谷太一郎が社長に、社長牧田甚一が会長に就任 超高層・新宿野村ビル竣工 香港地下鉄1期工事完成 ニューシティ東戸塚開発事業を開始 青函トンネル貫通(1972年着工) 創立50周年 筑波技術研究所開所 MFシールド初採用の京葉都心線京橋トンネルが貫通 香港・EHCプロジェクト(PFI事業)開通 香港・中国銀行香港支店ビル竣工 新東京都庁舎議会棟竣工 我国最大規模のロックフィルダム・奈良俣ダム竣工 バスケットボール部日本リーグ初優勝 オーストラリア・メルボルンセントラル竣工 オーストラリア・シドニー・ハーバー・トンネル(PFI事業)開通 バスケットボール部第67回全日本総合選手権で初優勝 アメリカ・アメリカズタワー竣工 経営理念制定 幕張プリンスホテル竣工 台湾・新光人壽摩天大楼竣工 インターネット・ホームページ開設 東京支店がISO9001認証取得 東京湾横断道路川崎トンネル浮島北貫通 香港西部海底トンネル開通 仙台空港新旅客ターミナルビル完成 常務松本良夫が社長、社長熊谷太一郎が会長にそれぞれ就任 横浜支店がJAB認定では業界初のISO14001の認証を取得 創業100周年 熊谷組行動指針制定 全支店がISO9001の認証取得 労働安全衛生マネジメントシステム導入・展開 全支店がISO14001の認証取得 副社長鳥飼一俊が社長に就任 都営地下鉄大江戸線飯田橋駅竣工 上越市市民プラザがオープン (我社国内初PFI事業) せんだいメディアテーク竣工 第二東名高速道路浜松トンネル西 工事、TBMの月進日本記録樹立 (809.5m) 経営構造改革3ヵ年計画を策定 箕面有料道路箕面トンネル貫通 TAIPEI 101(高さ508m・世界一) がグランドオープン 常務大田弘が社長に、社長鳥飼一俊 が会長に就任 石川県涌波トンネル貫通 東北新幹線三本木原トンネル貫通 国道291号山古志トンネル開通 TAIPEI 101 熊谷組グループ CSR報告書 2007 1 トップメッセージ 昔も今も変わらない、建設業において大事なこと ──誠実な営業、誠実な施工、誠実なフォロー 新たなステージを迎えて 再建を完了し新たなステージへ移行して1年、当社は、 熊谷組の目指す「ものづくり」 法の完全遵守 私たちの仕事は工事が完成したときに評価が始まりま 法令の遵守は企業活動を行う上での大前提であるとの 2007年7月に10年ぶりの配当を実施することができま す。50年後、100年後、工事に携わった社員が会社を 認識のもと、機会を捉えて私自ら直接社員に意識喚起を した。1993年に経営再建への取り組みをスタートさせ 卒業した後のはるか先に本当の評価が待っています。そ 行うとともに、研修会を定期的に実施するなど、社員へ てから、足かけ15年に及ぶ長い道のりでしたが、企業と れ故に、私たち建設に携わる者には、「高い倫理観」と の徹底を図ってまいりました。しかしながら、今年5月 しての責務の一つを果たすところまでまいりました。こ れもひとえに熊谷組を支え続けていただいたみなさまの ご支援、ご鞭撻の賜物と、心から感謝申し上げます。 時代に翻弄されない価値観 「高い志」が求められます。 に当社社員が、2004年度の和歌山県発注工事に関する 安全・品質を極めること、誠実な営業、誠実な施工、 競売入札妨害 (談合)罪で有罪となり、国土交通省から営 誠実なフォローを日々続けること。建設業において大事 業停止の処分を受けましたこと、また今年6月には2005 なことは、昔も今も何も変わっておりません。 年度の防衛施設庁発注工事に関し公正取引委員会より排 1898年(明治31年)の創業から40年、1938年(昭和 除措置命令ならびに課徴金納付命令を受けましたこと 今、日本の産業界に目を向けますと政府発表の経済成 13年)に株式会社を設立した熊谷組のセールストーク は、誠に遺憾であり、心より深くお詫び申し上げます。 長指標とは裏腹に、閉塞感・不透明感が依然払拭されて は「人の嫌がる仕事をください」でありました。人の嫌 二度とこのような不祥事を発生させないために、従来 おりません。 「勝ち組・負け組」といった一面的な区分に がる仕事、難工事こそ技術を磨く機会、自らが成長する から取り組んでまいりました監査体制の強化、役員なら 煽られ、今さえ良ければという風潮となっているためか、 機会と捉えての言葉でした。今、改めてこの原点に立ち びに社員全員に対する研修の実施、法令遵守に関する誓 安全・品質問題や経済犯罪など企業活動の前提・根幹に 返り、よりいっそうお客様に安心していただける、堂々 約書の提出に加え、社員の行動指針の見直し、役員なら 関わる事件が多くの業界において発生しております。 とした「ものづくり」をこれからも追求してまいります。 びに従業員の処分に関する社内規程の見直しなど再発防 あお 止策を強化し、法令遵守の徹底を図っております。 このような環境下において企業経営で大切なことは、 「普遍性のある価値観、時代にいたずらに翻弄されない 代表取締役社長 熊谷組のCSR 不正・不法行為からの完全決別を改めて誓い、社会か ら信頼される企業を目指してまいりますので、引き続き、 価値観を持ちうるか」 、 「いかにしてその価値観を全員が 当社ではCSRを、「当社に期待されている社会的責任 共有し信じて向かっていくか」にあると思います。「企 を果たすことにより、当社に対する評価の向上、さらに 業の成長とは何か」「真の成長とは何か」ということを は当社の存在価値の向上につながる重要な取り組み」と 改めて問い直すべき時ではないでしょうか。 位置付けております。 その考え方は、「コンプライアンスの徹底をベースと 方々のご支援をいただきました。なかでも、前山古志村 歴史を振り返って し、活き活きとした社員が、お客様とのコミュニケーシ 村長の長島忠美衆議院議員には特別寄稿をいただき、ま 当社のここ20年間を振り返ってみますと、経済指標 ョン(対話)を深めながら、安全・品質・環境に優れた た、NPO法人ネットワーク『地球村』高木善之代表に が大きく飛躍したバブル経済期には業績が拡大しまし 施工を行い、建造物を提供する。その結果として、お客 は、昨年に引き続き、「CSR報告書」に対し貴重なご意 た。しかし、それは熊谷組の成長であったのでしょうか。 様から評価され、信頼を得る」というものです。 見をいただきました。ありがとうございました。 仕事の進め方、質が改善されていないにもかかわらず、 ご理解、ご指導を賜りたいと存じます。 最後に、今回のCSR報告書の発行に際して、数多くの これからも、熊谷組の事業、すなわち「堂々とした誠 バブルというフォローの風を受けて業績は伸びました 実なものづくり」を通じて、お客様、利用者の方々、地 が、それは「真の成長」とはほど遠い「質のともなわない 域社会、株主、協力会社、社員などステークホルダーの 拡大」 、いわば「単なる膨張」ではなかったのかと……。 期待に応えてまいります。 2007年10月 逆に、バブル崩壊後、死闘の繰り返しであった再建の 過程は、熊谷組の衰退だったのでしょうか。15年近くの 長い年月と多くの方々のご支援という「お陰様」によっ て、今、熊谷組はようやく復活の入り口まで来たところ でありますが、品質・安全はかつての絶頂期より、はる かに成長し改善したと確信しております。熊谷組らしい 施工がようやく戻ってきたとの言葉をいただくまでにな りました。再建の経験を生かし、 「新たな成長の指標」 「普 遍性のある価値観」を追求してまいりたいと思います。 2 第二京阪交野作業所(大阪)の安全朝礼での訓示 上北トンネル作業所(青森)の視察 ハウスコート横須賀中央新築工事(神奈川)の視察 熊谷組グループ CSR報告書 2007 3 HIGHLIGHT ハイライト2006-2007 災害復旧 広島送水トンネル緊急復旧に全社を挙げて取り組みました 2006年8月25日(金)昼頃、広島県において、送水用 トンネルで岩盤が崩落する事故が発生し、呉市や江田島 岩盤崩落 トンネル閉塞 覆工 コンクリート 市および安芸灘諸島の約33,000世帯への水道水が断水 中越地震復興の要「山古志トンネル」が開通しました 新潟県中越地方で震度6強の地 岡市、堀之内町(現:魚沼市)などでは大きな揺れや地 震が起き、その後もたびたび規模の大きな余震が続きま すべり、斜面崩壊が起き、住宅・鉄道・河川などに大き した。小千谷市、山古志村(現:長岡市)、川口町、長 な災害をもたらしました。 2004年10月23日 するとともに、呉地区への工業用水供給が停止する事態 となりました。 1日でも1時間でも早い復旧を 広島県の見解では、事故現場の地質状況は、亀裂の多 い非常にもろい構造の花崗岩が分布しており、この岩盤 が、長年の地下水位の変動によって劣化、浸食され、ト ンネル上部の隙間が拡大し、隙間上部の岩盤が崩落し、 覆工コンクリート上部とともに全面崩落したと結論付け ています。 溜水 崩落個所 本トンネルは、熊谷組が1965年に施工したもので、 県からの復旧要請を受け、当社では本社各本部や他支店 山古志トンネル掘削ルート 作業用トンネルにつながる仮橋(左)と、本線トンネルにつながる神沢川橋 と連携を取りながら、全社を挙げての臨戦態勢で緊急復 工期短縮への創意工夫 旧工事に取り組みました。大田社長は、「トンネルの熊 雪との戦い、そして開通へ 谷の底力を見せてもらいたい。1日でも1時間でも早く 山古志トンネルは国道291号の代替えルート内に建設 復旧し、市民の期待に応えよう!」と社員、作業員の され、復興の要となるトンネルでした。全長772mで、 と語ります。工事が始まった2005年は地元の人も驚く 方々を激励しました。 当社は小千谷市側の418mを担当しました。 ほどの積雪が観測され、積雪量は4mを超えました。除 生きつづける「トンネルの熊谷」のDNA にも、工事は工期短縮との戦いでした。着工時には十分 うように配置できず、多くの変更が余儀なくされました。 な設計図もないままにスタート。どうすれば工期を短縮 また、降り初め、根雪となる時期も予想より早く、雪で できるかを考えながら常に工程の見直しを行い、現場事 埋まった資材を掘り起こしたり、また骨材を供給するプ 務所内に貼られた工程表は何度も貼り直されました。 ラントが動かなくなったりと、雪との戦いは極めて厳し 被災した人たちに早く元の生活に戻っていただくため 県の緊急状況調査の要請を受け、熊谷組の幹部3名、 協力会社幹部2名自らが水の残るトンネルの中に入り、 崩落個所掘削の様子 9時間かけて崩落場所や状況を特定、宮川工務店などの 当時の小林啓治作業所長は、 「雪が一番の難敵でした」 雪機を配したり、一般道の除雪を優先したりと人員が思 協力会社を緊急招集して速やかなる応急処置を実施、本 通常の工事の場合、トンネルの坑口手前の橋(神沢川 いものでした。 支店のトンネル技術者が現地に集結し復旧計画を策定す 橋)を築造し、引き続きトンネルを掘削します。しかし、 るなど、まさに「トンネルの熊谷」のDNA健在を示す この工事では工期を短縮するために先ず仮橋を架け、こ そして9月3日に開通式が行われました。地元の方たち 機動力を発揮。1日でも1時間でも早い復旧を目指し24 れに続く作業用トンネルを掘削し、この作業用トンネル からは、「こんなに早く、土を踏んで帰れるようになる 時間体制での作業を進め、当初は約3週間の期間を要す から本線トンネルを掘り進めました。平行して神沢川橋 とは思わなかった。あんたらが雪の中でがんばってくれ ると見られていましたが、作業所での不断の努力によっ の施工も行われました。他にも工期短縮のための創意工 たから、復興にも弾みがついた。ありがとう。」など感 て予定より数日早く復旧することができました。 夫はいたるところに見られます。 謝の言葉をいただきました。 地震から1年半を経て、2006年3月16日に貫通式、 地域住民の方々からの期待という大きな重圧の中、迅 また、インフォメーションセンターを設置して、一般 旧山古志村に戻る人々も多くなり、地元の人々のライ 速かつ慎重に工事を進めた結果、二次災害に見舞われる の方々に最新の国道291号復旧工事の進捗状況などを公 フラインとして国道291号は活躍しています。山古志ト ことなく無事復旧工事を終え、17日ぶりの送水再開と 開し、地元の方々を招いた見学会も行いました。 ンネルの完成が復興への大きな一歩となることを、社員 一同願っています。 なりました。断水が続いていた水道水および工業用水は、 9月11日午後には断水前と同じ送水状態に戻りました。 復旧工事完了後のトンネル内部 左/大積雪の中での工事 中/災害復旧事業に際し、旺盛なる責任感を もって工事を完成させたとして、国土交通省から感謝状をいただきまし た(写真は感謝状を授与される小林所長) 右/完成したトンネルから ※被災時の山古志村村長であった長島忠美衆議院議員よりメッセージを いただき、P44に掲載しています。 ■陣頭指揮に立つ大田社長 2006.8.31 4 2006.9.9 熊谷組グループ CSR報告書 2007 5 HIGHLIGHT ハイライト2006-2007 SENS──NATMとシールドを融合した新しいトンネル工法 技術 Future Factory──レイアウトの自由度を高めた大空間 SENS(センス)は、シールド(S)により「切羽保 生産工場や物流倉庫では、レイアウトの自由度と作業 持」と「掘削」を行い、場所打ちコンクリート (Extruded 効率を高めるため、スパンを大きくして柱を減らすこと Concrete)を一次支保材として利用し、NATM(N)と同 が求められますが、一般には高度な構造検討が要求され 様に化粧巻きとして二次覆工コンクリートを打設してト ます。当社が開発したFuture Factory(フューチャー・ ンネルを完成させるという、それぞれの工法の利点を取 ファクトリー)は、均一なスパンと高さで部材を標準化 り入れ開発したシステム(S)です。未固結の帯水砂質土 し、従来通りの建設コストと工期で、建物の価値を大幅 層からなる東北新幹線三本木原トンネル工事において開 に向上させることが可能な構造です。また屋根の明かり 発され、その威力を遺憾なく発揮しました。この工事の 取りと構造体を一体化しているため、耐震性に優れると 成果により、SENSがNATMとシールド工法の境界領域 ともに、昼間の自然光を極力多く取り入れ、明るく快適 の地盤に対する工法として定着し、さらに大深度開発に な作業空間を提供することができます。 めざましい活躍をすることが期待されます。 シールドマシン全景 新しいトンネル工法 SENSは、2006年度「土木学会 技術賞*」を受賞。2005年度 Future Factoryイメージ の箕面有料道路・箕面ト ンネルに続いて2年連続の受賞となりました。 ロック機構付き免震建物── 最新の免震技術による快適な居住空間 *土木学会技術賞 具体的なプロジェクトに関連して、土木技術の発展 に顕著な貢献をなし、社会の発展に寄与したと認められる計画・設 計・施工または維持管理などの画期的な個別技術(情報技術、マネジ メント技術を含む)に与えられる。 スレンダーな超高層住宅は地震時に大きな転倒力が働 きます。このため、一般に地震時の入力を減らす目的で 水平方向に極めて柔らかい免震装置で支えていますが、 逆に強風時には建物が横揺れし移動しやすいという弱点 があります。当社が初めて採用した「風揺れ対策ロック PSS-Arch工法── 先行アーチ支保による地山補強工法 機構付きオイルダンパー」は、風速計に連動してオイル ダンパーが建物の横揺れを自動的にロックする機構を有 しているため、快適な居住空間を提供しています。 石川県の金沢外環状道路涌波トンネル工事で開発され 最新の免震技術を採用した 「ビオール大阪 大手前タワー」 たPSS-Arch工法は、先行アーチ支保による(掘削前に 曲がり鋼管支保工により地山を支保する)地山補強工法 です。新たに開発した「先端に取り付けた刃口とウォー タージェットおよび圧縮空気の併用で、刃口を圧入させ じゅうてん マックスAZ── 水中でも分離しない充填用モルタル ながら掘削を行う非回転式掘削方法」により、従来の補 助工法と同等の経済性で、飛躍的な品質向上と工期短縮 を実現しました。 PSS-Arch工法は、さらに都市部へと適用範囲を広げ、 東京地下鉄「13号線高田A線工区土木工事」の中間ポ ンプ室でも採用されました。この工事は、地下鉄の単線 PSS-Arch工法のイメージ トンネル最深部に中間ポンプ室を非開削で施工するもの 近年、既存構造物のリニューアル工事や耐震補強工事 構の増粘剤を用いることにより、①水中打設時に強度の など建設市場の多様化に応じて、土木、建築における充 低下が少なく、水の濁りが少ない、②水中不分離性を有 填材の需要が大幅に増えています。こうしたニーズに応 していながら流動性が高いなどの性能を有するモルタル えるため、プレミックスタイプの水中でも分離しない充 です。既設トンネルの補修など、水が存在する状況にお 填用モルタル「マックスAZ」を開発しました。新しい機 ける充填に大きな威力を発揮しています。 ■マックスAZの水中分離性と充填性の状況 ■適用対象例 です。工事場所は都市の交差点直下(土被り30m)に 位置し、真上にはNTTや東京電力の埋設物があり、しか マックスAZ も土質に粘性土が含まれているため、工法の改良を進め 既設トンネルの補修 他社製品 ました。大きな改良点としては、鋼管の断面性能と施工 性の向上のため、これまでの円形断面を変更して矩形断 面の曲がり鋼管を採用したことです。また、ウォーター ジェットの噴射ノズルも固定式からスイング式に替えて 粘性土での掘削性能を向上させています。 水の濁りも少なく、打設したモル タルもセルフレベリング性を有し ている 水の濁りは少ないものの、打設し たモルタルはセルフレベリング性 を有していない 耐震補強工事の充填材 地下鉄の中間ポンプ室施工イメージ 6 熊谷組グループ CSR報告書 2007 7 熊谷組のCSR 2006年度の反省に立ったCSR啓発活動 2006年度は基本方針と実施事項を策定してCSR活動 を行いました。本報告書にも記載しているとおり、良好 事例も多数出てきていますが、一方では、CSR活動に対 熊 谷 組 の C S R として、全国で19回の説明会を開催。管理職、作業所 長など約1,200名が参加しました。 *「熊谷組のCSR」リーフレットでは、 お客様 =「熊谷組を取り巻く ステークホルダーのみなさま」と定義しています。 これが熊谷組のCSR! する認識が社員に浸透していないという課題が明確にな 2006年度、CSR活動の基本方針と実施事項を策定しました。 社員のCSR活動に対する意識向上を最優先のテーマと定め、 CSRについてのリーフレットを作成、全国で説明会を開催してCSR啓発活動を推進しています。 を作成して全社員に配付し、全支店で説明会を行い、 さらなるCSR活動の推進に向けて CSR活動に対する認識を徹底することとしました。 1. 社内への浸透、協力会社への浸透の促進 りました。そこで、簡単なリーフレット「熊谷組のCSR」 今回の説明会に社員の約半数が参加しましたが、引き 「熊谷組のCSR」説明会のねらい 続き全社員への徹底に努めます。また、各作業所におい 説明会では、CSR活動の必要性、 「熊谷組のCSR」の 「社訓」、 「経営理念」そして「熊谷組行動指針」のもとに 当社では、企業・社会・環境の調和を図るべく、企業 活動の基本的精神・指針として「社訓」 「経営理念」 「熊 谷組行動指針」を制定しており、この実践を通じて社会 考え方、熊谷組を評価する お客様* などについて解 説。その認識の上に立って、具体的には日常の業務にお てCSR活動を実践するには、協力会社への説明と理解が 必要であり、今後展開を図っていきます。 2. 本業における活動の促進 全社的、全員参加の活動として「堂々とした誠実なも いて「堂々とした誠実なものづくり」を実践することで のづくり」の実践を図 あることを伝えました。 「堂々とした誠実なものづくり」とは、ものづくりの るため、今後も繰り返 に貢献し、みなさまから信頼される企業集団の確立を目 過程において、 お客様(ステークホルダー) に評価さ し情報提供を行い、理 指しています。 れ、信頼される公正な態度で臨みながら、お客様に満足 解度の向上と意識の徹 していただける品質・サービスを真心を込めて提供する 底を図っていきます。 社訓 ―― 受け継がれる創業の精神 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の ことです(詳細はP14〜15参照) 。 2007年5月から、本社、支店、グループ会社を対象 「熊谷組のCSR」説明会 熊谷組の社訓は、会社設立の1年後、1939年に創業 者である熊谷三太郎が社員の心得三箇条を書いた「社則」 「熊谷組のCSR」概念図 熊谷組を取り巻く お客様 の期待・関心 がその始まりです。その後1946年に「社訓」となり現 社 会 に 評 価 さ れ る 企 業 集 団 を 目 指 す ︒ 品 位 を 重 ん じ た 行 動 に よ り ︑ 一 企 業 市 民 と し て の 自 覚 と 責 任 を 持 ち ︑ 活 力 あ る 企 業 集 団 を 目 指 す ︒ 多 様 な 自 己 実 現 の 場 を 提 供 す る 一 意 欲 と 誇 り ︑ 自 信 に 満 ち た 社 員 に ︑ 創 造 的 な 企 業 集 団 を 目 指 す ︒ 社 会 に 豊 か さ を 提 供 す る ︑ 企 業 環 境 と の 調 和 を 図 り ︑ 一 一 貫 し た 高 品 質 な 顧 客 サ ー ビ ス と 社 会 に 貢 献 す る 企 業 集 団 を 目 指 す ︒ 優 れ た 総 合 力 を 発 揮 し て 人 間 活 動 の 場 を 構 築 し ︑ 国 内 外 に お い て 自 然 と の 調 和 の と れ た 一 建 設 を 核 と し た 事 業 活 動 を 通 し て ︑ 経 営 理 念 在にいたりますが、「信用の昂揚」「親切」「共存共栄」 活 き 活 き 職 場 の精神は、今日まで変わることなく受け継がれています。 経営理念 ―― 熊谷組が目指すもの 経営理念は1993年に制定しました。 社訓制定当時から飛躍的に発展し、規模も大幅に拡大 リーフレット 「熊谷組のCSR」より した当社が、改めて価値尺度を統一し、自らが目指すべ き方向を定めたものです。当社は、この経営理念の実践 を通じて、「社会に貢献する」「創造的な」「活力ある」 「社会に評価される」企業集団を目指しています。 熊谷組行動指針(序文) 私たちは、「経営理念」に「企業市民としての自覚と責 任を持ち、品位を重んじた行動により社会に評価される 企業集団」を掲げ、真に存在意義を評価いただける企業 を目指しております。 このためには、個々人に求められる以上に企業として の厳しい自己規制、徹底した倫理の追及が不可欠であり ます。お客様、株主、地域社会は勿論のこと、私たちの 企業活動に係わりを持つ全ての関係者にとって存在価値 の高い企業でありたい、これを常に行動の基本において 参ります。 ここに、「企業市民」としての熊谷組行動指針を制定す るとともに、その実現こそが経営者自らの最も重要な責 務であると認識し、全社一丸となって永続的に最大限の 努力を行うことを宣言いたします。 8 熊谷組行動指針 ―― 企業市民としての自覚と責任 理解できた 熊谷組行動指針は、熊谷組が創業100年を迎えた CSRについて知っていたか CSRの考え方、取り組みが理解できたか 少し理解できた 理解できなかった 1998年に制定しました。 企業市民として高い存在価値を確保することをすべて 知っていた の行動の基本とするもので、左記の序文に続き、行動理 念と行動基準について、「法と社会的規範の遵守」や 43.1% 少し知っていた 「社会との調和」などの基本原則を宣言するという形で 45.5% 知らなかった 定めています。当社ではこの行動指針の実践を前提とし た企業活動を展開しています。 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 ■説明会の理解度(参加者へのアンケート集計結果) 0 10 20 30 11.4% 40 50 全体 81.4% 17.8% 0.7% 67.1% 31.7% 1.2% 43.0% 54.2% 2.8% 70.6% 28.3% 1.2% (%) 熊谷組グループ CSR報告書 2007 9 熊谷組のCSR 企業統治──信頼される企業であるために 企業倫理──コンプライアンスの徹底 2006年5月、内部統制システム構築の基本方針を策定し、具体的仕組みの整備を推進。 透明で実効性の高い経営を実現し、顧客をはじめとするステークホルダーの信頼をいただくために、 コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。 自律・支援・監査という3つの内部機能を中心とする体制の整備、 「法遵守監査委員会」 の設置、 さらにはトップが先頭に立っての強化策推進などにより、コンプライアンスの徹底を図っています。 2006年度は、 コンプライアンス・トップ研修会、 全国各地でのコンプライアンス研修会を実施しました。 コーポレート・ガバナンス 企業倫理の確立と法令遵守経営の推進 達成状況の確認および工事リスクの管理のための支店業 経営理念の実現に向けて 熊谷組では、「企業市民としての自覚と責任を持ち、 績検討会議、ならびにCSRの推進に関わる事項の決定の 品位を重んじた行動により、社会に評価される企業集団 熊谷組では、「建設を核とした事業活動を通して、社 ためのCSR推進会議を設置しています。経営会議、支店 を目指す」ことを経営理念として掲げています。これに 会に貢献する企業集団を目指す」という経営理念の実現 業績検討会議、CSR推進会議には下部委員会として情報 基づき、企業倫理を確立し、法令遵守経営を強く推進す のために、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の実 戦略委員会、技術強化戦略委員会、受注案件審査委員会 ることを広く内外に宣言しており、 「企業市民」として、 効性を高めていくことが、最も重要な経営課題の一つで など、部門横断的なメンバーによって構成される課題別 顧客、株主様、地域社会はもちろんのこと、当社の事業 あると位置付けています。 委員会を設置し随時開催しています。 活動に関わりを持つすべての関係者(ステークホルダー) にとって存在価値の高い企業であり続けるよう努めてい コーポレート・ガバナンス体制 内部統制システム構築に向けて 当社では、取締役会、監査役会、会計監査人からなる ます。 締役会において、内部統制システム構築の基本方針を決 取締役については、経営責任を明確にし、経営環境の 議し、この基本方針に基づいて、内部統制の具体的仕組 変化に対して最適な経営体制を構築するため、任期を1 みの整備を進めています。 新井 克人 ここ数年来の社会環境の変化、とりわけ、建設業界を 取り巻く環境は大きく変わりつつあります。そして、そ ど、建設業界に関係したさまざまな法令違反事件の頻発 コンプライアンス体制 が関係しており、これらにより、建設業界に対する信頼 当社のコンプライアンス体制は、本社・支店各部署に は大きく損なわれました。 建設業界に対する信頼を回復するため、現在、法律改 よる自律機能、管理本部その他の専門部署による支援機 正などさまざまな取り組みがなされておりますが、企業 能、監査室による監査機能、以上3つの内部機能を中心 においても、今後、社会の急激な変化に対応していくた に成り立っています。 めには、それまでの既成概念にとらわれない確実な意識 2007年3月1日に内部統制推進室を設置し、部門横断 行われるよう、執行役員制度を採用しています。監査役 的なプロジェクトチームを指揮しながら全社的な内部統 については、社外監査役に弁護士、公認会計士を選任し、 制整備を推進しています。また、同4月1日には内部統 具体的には、本社・支店の各部署が、事前判断を徹底 法律ならびに会計・税務の知識に基づく監査機能の強化 制推進委員会(委員長:管理本部長)を経営会議の下部 のうえ、自律機能として法令その他諸規則を遵守し、こ るため、社内研修会やその他のさまざまな施策に積極的 を図っています。会計監査については、仰星監査法人よ 組織として設置し、体制整備に向けた基本的な方針など れを、管理本部その他の専門部署が支援機能として法務 に取り組むことはもとより、役員自らが「コンプライア り公正な監査を受けています。 を検討するとともに、プロジェクトの進捗管理を行って 支援を行い、そして、これらの状況を監査室が監査機能 ンスには一切の例外がない」ということを、グループ会 います。 として事後的に監査を実施することにより、法令等違反 社社員を含む当社役職員とのコミュニケーションを通 改革が必要となっております。 じ、周知徹底させています。 また、金融商品取引法に基づき2009年3月期からス 点を明確にした上で取締役会において決定しています。 タートする「財務報告に係る信頼性の評価及び監査」に えて、経営からの独立組織としての法遵守監査委員会が、 に対して勧告するという体制をとり、コンプライアンス 対しても体制の整備を進めています。 社外の観点で定期的に評価を行い、不具合があれば経営 の徹底を図っています。 ■コーポレート・ ガバナンス体制図 ■コンプライアンス 体制図 株主総会 選任 選任 取締役会 取締役8名 監査役会 監査 監査役5名 (うち社外監査役3名) 業務執行 外部評価機能 法遵守監査委員会 監査 (取締役兼務8名) 指示 監査室 (内部監査機能) 勧告 経営 指示 事業部門 体 制 整 全社的な法遵守体制 備 の整備と法務支援 と 法 務 支 援 本支店各部署 事前判断の徹底 指示 指示 監査 支援機能 管理本部ほか 自律機能 社外の目で評価 執行役員 29名 監査 指示 選任 監督 経営会議 の早期発見・未然防止に努めています。また、それに加 監査機能 指導 管理部門 法務コンプライアンス部 (牽制機能) 活 き 活 き 職 場 当社では、企業倫理を確立し、法令遵守経営を実践す を加えた9名からなる経営会議において論点および問題 その他に、社長を議長とする会議体として、業績計画 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 綱紀担当役員 常務取締役 年としています。また、取締役の職務の執行が効率的に 重要な経営課題については、取締役8名に執行役員1名 10 「コンプライアンスには 一切の例外がない」 の背景には、入札談合事件および構造計算書偽造事件な 当社は、会社法に基づき、2006年5月15日開催の取 コーポレート・ガバナンス体制を採用しています。 会 計 監 査 人 熊 谷 組 の C S R 監査室 厳正な監査 監査結果報告 監 査 の 実 施 と 是 正 勧 告 法遵守システム の維持整備、業 務遂行部門の法 務支援 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 業務遂行過程の 法遵守チェック は、部門長指揮 下、各部署の責 任で実施 業務全般にわた る監査実施なら びに監査結果の 経営への報告、 是正勧告 熊谷組グループ CSR報告書 2007 11 熊谷組のCSR 不祥事(行政機関からの勧告・命令・処分) 環境法規制遵守の状況 和歌山県が2004年11月に入札を執行した「紀の川中 流流域下水道(那賀処理区)那賀幹線管渠(シールド) ■法規制遵守の取り組み 工事」に関し、2006年12月、当社社員が刑法の談合罪 により在宅起訴され、2007年5月に有罪判決を受けま 高 巌教授講演(2007.3.20) した。これにより、国土交通省より2007年9月6日から 10月5日まで、国土交通省近畿地方整備局管内において、 建設業法に基づく営業停止処分を受けました。 自主基準を定めて 法規制遵守を徹底 事業活動の推進にあたっては、環 [コンプライアンス研修会] 2006年度、当社では、教育・研修を通じた意識改革、 また、2004年9月以降、公正取引委員会にて審判手 法令遵守風土の醸成のため、検事経験を有する弁護士や 続を行っていた新潟市発注工事に関する独占禁止法違反 刑事事件に精通する弁護士を講師として、当社の全社員 事件については、2007年1月、同意審決を受けたこと およびグループ会社の社員を対象とするコンプライアン にともない、国土交通省より、2007年6月12日から6 ス研修会を開催しました(本社:計7回、支店:計21回、 月26日までの15日間、新潟県の区域において建設業法 グループ会社:計3回開催) 。 境関連法規制の遵守はもとより、厳 格な自主基準を定めて、適正な作業 当社では、談合を含む一切の不正・不法行為との完全 び建築一式工事)に関し、当社は、独占禁止法違反によ 決別を図っており、社員一人ひとりが徹底した法令遵守 り、公正取引委員会から排除措置命令ならびに課徴金納 意識に基づく行動を実践するため、役員を含む当社社員 およびグループ会社社員は、2006年度より年1回、 「法令遵守に関する誓約書」を提出しています。 不祥事への対応 [トップメッセージの発信] 当社では、どのような状況においても法令遵守が最優 先であることを、社員はもとより、その他の関係先(グ あらゆる機会をとらえて、法令遵守に関するメッセージ を発信しています。 建設副産物管理 システム ・支店にて必要事項を印字したマニフ ェストを、着工前に作業所に配付 ・独自のマニフェスト管理システムを 開発し運用(1997年度より) 電子マニフェス トの導入 ・2007年度より全支店にて導入 土壌汚染 対応要領 ・当社はもとより発注者、近隣住民等 への影響を踏まえ、営業・施工部門、 作業所等の役割を定め総合的に対応 土壌汚染、埋設廃棄物 問題への対応 電子マニフェストの導入 2005年度より首都圏支店で電子マニフェスト*を試 行運用してきましたが、2007年度より、全支店に導入 【2006年度】 ● 関東の福祉施設の改修工事において、既存のボイラー 止法の概要説明など談合防止に向けた社内研修会を実施 よび支店において、電子マニフェストと紙マニフェスト た。なお、再発防止策として、イントラネットに事故 しています。 の一元管理が可能となります。 等に関する情報を掲載する「環境事故ニュース」を新 *マニフェスト:産業廃棄物管理票 設し、リアルタイムに全社員に注意を促すようにしま 個人情報の保護 企業の重要な責務として、個人情報保護のための社内 した。 建設副産物管理システムに 石綿含有産業廃棄物を追加 ● 山陰の1作業所において、条例に定める「県外廃棄物 法令改正により「石綿含有産業廃棄物」である旨をマ の事前協議」に漏れが一部生じたため、直ちに報告し 人情報保護規程など)を制定するとともに、同法の定め ニフェストに記載することが義務付けられたため、建設 搬入承認通知書を受領しました。対応として、建設副 副産物管理システムを改訂し、追加しました。 産物管理システムに「支店管理用メモ機能」を新たに よび監査責任者を選任・配置し、株主、社員その他当社 追加しました。 ■建設副産物管理システム入力画面 ● に関係するすべての方々の個人情報の適切な取り扱いお 山陰の処理業者の廃業により、マニフェストの一部に 未回収が生じたため、県所管部局と協議して、「措置 よび保護に対する取り組みを行っています。 また、個人情報保護法対応マニュアルを策定・導入し、 内容等報告書」を提出しました。 ● 中部の不適正処理をした処理業者との取引はありませ 影響を与えることを再認識してもらうためのもので、顧 これを全社員に展開するなどして個人情報の保護に努め んが、1作業所において、この業者と関係した業者と 問弁護士などを講師とし、毎回異なったテーマを取り上 ています。 少量の取引があったため、市所管部局にマニフェスト なお、2005年4月の個人情報保護法全面施行以来、 ■2006年度コンプライアンス・トップ研修会概要 ※上記事故においても再発防止処置を実施しています。 法違反による罰金、訴訟などの状況 講師 テーマ 2006.6.23 御堂筋法律事務所 本井 文夫弁護士 会社ぐるみ、 組織ぐるみ犯罪とその防止 訴訟の状況 全国6地裁で訴訟係属中の「トンネルじん肺損害賠償 2006年度、法違反による罰金、科料はなく、訴訟も 加藤法律事務所 加藤 義樹弁護士 新会社法における 取締役の責任 請求事件」を除き、2007年3月末時点で当社が抱える 受けていません。また、県市所管部局による建設リサイ 御堂筋法律事務所 桑山 斉弁護士 建設業における法的リスク 訴訟事件数は合計11件となっています。 クル法遵守状況パトロールなどにおいても、特に指摘な 麗澤大学 高 巌教授 持続可能な社会と 企業経営に求められる誠実さ 12.15 2007.3.20 そのうち当社が原告となっている訴訟事件は合計3件 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 の管理状況等を報告しました。 当社では個人情報漏洩事故は1件も発生していません。 日程 9.22 活 き 活 き 職 場 【過去5年以内】 各種の基本ルール(基本理念、個人情報保護方針、個 トップ研修会を開催しました。 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 過去5年以内の主な事故、行政報告と対応 工事の作業員と地区の消防隊により直ちに回収しまし 織として、個人情報管理責任者、個人情報管理担当者お げて、計4回実施しました。 12 適切なマニフェストの 管理 副産物管理システムに自動的に取り込むため、作業所お る法定公表事項を当社のホームページ上に掲載。社内組 や言動が、部下の法令遵守に対する意識や言動に大きな ・支店指定業者制度の展開 ・処理委託契約の支店による締結 している状況に鑑み、営業系社員を対象に、改正独占禁 2006年度、当社ではトップマネジメント研修の一環 大前提となること、また役員・支店長の日頃の経営姿勢 建設副産物 取扱要領 用オイルタンクの重油が排水路に流出したため、当該 として、役員・支店長を対象とするコンプライアンス・ この研修会は、すべての経営判断において法令遵守が 優良な産廃処理業者の 選定 しています。電子マニフェストのデータを、当社の建設 体制整備を進めています。 [コンプライアンス・トップ研修会] 取り組み内容 また、2007年度は、全国各地で入札談合事件が頻発 ループ会社など)にも周知徹底させるため、社長を含む 役員自らが、さまざまな会議や期首・期末の訓示など、 自主基準 [談合防止に向けた主な取り組み状況] (平成16年度および同17年度発注の土木一式工事およ 付命令を受けました。 項目 所運営に努めています。 に基づく営業停止処分を受けました。 2007年6月には、防衛施設庁が発注する建設工事 熊 谷 組 の C S R どを受けていません。 であり、残り8件は当社が被告となっているものです。 熊谷組グループ CSR報告書 2007 13 熊谷組のCSR 「誠実なものづくり」企業として 営業からアフターケアに至る全プロセスで、総力を挙げて「堂々とした誠実なものづくり」にまい進。 特に施工プロセスは、お客様や地域のみなさまに積極的に公開しています。 また、お客様とのコミュニケーションと社会問題に対する真摯で迅速な対応に努めています。 施工プロセスをお客様や地域のみなさまに積極的に公開 発注者のみならず、地域のみなさまやエンドユーザー 熊 谷 組 の C S R GEOMARK」、建築工事では「K-TOPS」と呼び、それ の方々に工事現場を積極的に公開してご覧いただいてい ぞれ特徴のある現場公開を行っています。 ます。この活動を熊谷組は、土木工事では「Voice of Voice of GEOMARK ボイス・オブ・ジオマーク Voice of GEOMARKは、これまで高い塀で囲まれて ■第二東名高速道路・引佐インターチェンジでの現場見学会 きた工事現場の中を、広く一般の方々に開放しよう 「堂々とした誠実なものづくり」にまい進 りました。毎年、全国の多くの工事現場で見学会を 熊谷組の「堂々とした誠実なものづくり」とは、もの づくりの過程において、お客様に評価され、信頼される という土木事業本部の活動で、1997年度から始ま 実施しています。現場見学では、一般の方々に公共 各プロセスにおける取り組み 事業の大切さをわかりやすくご説明するよう心掛け 公正な態度で臨みながら、お客様に満足していただける ています。 品質・サービスを真心を込めて提供することであると考 営業プロセス えています。 お客様のニーズや関心事を的確に把握し、最適なソリ ※「ジオマーク」は地球を示す接頭語 geo(ジオ) に、目印を 示す mark(マーク) を加えた造語で、巨大な土木構造物を イメージして作られました。 「堂々とした誠実なものづくり」の実現のために、高 り「お客様のご安心・ご納得をとことん追求する」こと 設計プロセス より良い建造物とサービスの提供を通じ、「機能性」 K-TOPS だけない施工途中のプロセスを、お客様やその関係者の 本姿勢として、営業・設計・購買・施工・アフターケア 検討し、何がお客様にとって最善かを追求しています。 みなさまに公開して直接見ていただく K-TOPS(Kumagai Total Open Process System) を推進しています。 購買プロセス 建設工事は多くの協力会社の力を合わせて進められま 事例 モバイル事業における取り組み モバイル事業(携帯電話等の無線基地局建設工事、通信施 設建設工事を行う事業)において、通信施設の建設は、送受 信可能な個所を速やかに拡大しユーザーの利便性を高めるこ とを目的としており、この仕事を請負う熊谷組の「堂々とし た誠実なものづくり」は、お客様にご満足いただくために、 より安く、より早く、より安全に、より良い物を提供するこ とであると考えています。 【営業プロセス】 発注者の建設計画策定の一助となれるよう、ビル、ゴルフ 場、リゾートなどの送受信不良の情報を収集し、事前に資料 を提出。また、発注者からの協力要請に対して速やかに対応。 【設計プロセス】 当社の持つ経験と技術で鉄塔局・ビル局の計画を行い、安 全かつ精度の高い基地局を設計。 【購買プロセス】 発注者による集中購買が徹底しているため、資機材を使用 する場合は、サービス開始の日から逆算し、確実な発注を実 施。 【施工プロセス】 発注者が一番重要なポイントとして位置付けている携帯電 話基地局のための借地権交渉業務に重点を置き、社員が先頭 に立って地権者・近隣のみなさまへの対応を行い、ご安心い ただける契約条件のとりまとめを行う。 【アフターケアプロセス】 基地局の特殊性もあり、竣工引渡し後は簡単に立ち入るこ とができないため、定期的に発注者と連絡を取り合い、必要 な対応を行うとともに、災害などの発生による緊急事態に際 しては、当該施設の公共性を重視し、要請に応じて速やかな 対応を実施。新潟県中越地震の際にはau山古志村局の早期 復旧を支援。 福祉施設の新築工事で、職長会と連 携して現場の月刊誌を作成し、工事 進捗状況などを地域に公開。さらに 付近を散歩している犬の写真を仮囲 いに掲示したところ好評で、合計 100匹以上の写真を掲示しました。 「熊谷組の現場は近隣とのコミュニ ケーションを進んで行っているね」 と高い評価をいただきました 熊谷組の建築作業所では、工事中でなければ確認いた 「社会環境性」 「事業性・経済性」 「安全性」などを総合的に ています。 重機の体験乗車は子どもたちに大人気 ケートップス と、「建造物の生涯をとことんサポートする」ことを基 のすべてのプロセスにおいてさまざまな取り組みを進め コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 防水シートの落書きコーナーも設置 ューションの提供に努めています。 い倫理観を持って、お客様に対する丁寧な対応を心掛け るとともに、確かな品質の建造物をご提供することによ みんなで記念撮影 また K-TOPS では、発注者だけでなく、教育施設で あれば教師や学生、医療施設では医師や看護師、共同住 宅ではエンドユーザーなど、完成後の建物を利用される す。私たちは協力会社をパートナーとして、当社の技 みなさまをはじめ、地域住民のみなさまや学生も対象と 術・ノウハウと協力会社の力を融合させ、最善の調達を した現場見学会や説明会も積極的に開催しています。 目指しています。また、グリーン購入を進めるなど環境 ■現場見学会と地域コミュニケーション 活 き 活 き 職 場 への配慮にも努めています。 小学校の校舎建て替え工事で は、全校児童800名を対象にし た現場見学会を開催。日頃は仮 囲いの外側からしか見ることの できない工事現場の見学に、児 童らは興味津々でした 施工プロセス 引渡しする建造物の確かな品質を実現するために、品 質マネジメントシステムに定めたプロセス管理を徹底す 駅前再開発プロジェクトのタワ ークレーンのブーム先端にカメ ラを設置し、仮囲いに設置した モニターで現場の画像をリアル タイムに公開。駅を利用する通 勤通学の方々や地域のみなさま から好評でした 当社が設計施工した病院建て替 え工事で、看護師やスタッフの 方々向けに見学会を開催。実際 に使用される立場からのご意見 やご要望を工事に反映させるこ とができ、大変喜んでいただき ました るとともに、安全・環境に配慮した管理も徹底していま す。 さらに、お客様にいっそうご安心・ご納得いただける よう、施工プロセスをオープン化する取り組み(Voice of GEOMARK、K-TOPS) などを進めています (P15参照) 。 アフターケアプロセス 社会問題への真摯で迅速な対応 アスベスト問題 お客様にとっては工事が完成し引渡しを受けてからが 2005年7月以降、社会的な問題となったアスベスト 対して迅速かつ丁寧な説明をするという基本方針のも スタートです。私たちは建造物の使用段階でいかにお役 (石綿)問題に対して、熊谷組では本社・支店の各部門 と、構造設計部門を中心に全社をあげて対応に努め、設 に立てるかが重要だと考えています。24時間・365日 が合同で問題の対応にあたっています。 対応のお客さま相談室を中心に、建築部門では「建物カ 特に2006年9月には「石綿障害予防規則」が改正さ ルテ」で建物の基盤情報を整備するとともに、熊谷組グ れ規制が強化されたために、解体工事・改修では関連法 ループのケーアンドイー (株)と連携して、お客様からの 規に則った適正な施工管理に努めています。 ご依頼やお問い合わせにスピーディかつ確実にお応えし ています。 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 熊谷組では本件に関するお客様からのお問い合わせに 計・施工した物件の安全性について確認しています。 エレベーター問題 最近ではエレベーターのワイヤーロープの破断事故 や、使用材料の強度不足などが報道されました。 耐震偽装問題 2005年秋の「耐震偽装問題」は、世間に大きな衝撃 熊谷組ではその都度過去の施工実績を調査して、該当 物件への迅速な対応に努めています。 を与えました。 14 熊谷組グループ CSR報告書 2007 15 ステークホルダーとのコミュニケーション を調査して再発防止に向けた取り組みを進めるなど、ア 【お客様の声アンケート】 ンケート結果を有効に活用しています。 建物をお客様に引き渡してから3年経過した時点で、 熊 谷 組 の C S R 「お客様の声アンケート」を実施しています。 CS活動の成果と今後の課題 このアンケートでは3年経過して気付いた建物の使い 勝手の良さ・悪さ、そして不具合を感じているときには 「お客様の声アンケート」における、 アフターケア全 その内容などをお客様に評価していただいています。 お客様の視点から──コミュニケーションへのこだわり 「お客様に感動を」これが熊谷組の掲げるスローガンです。 あらゆるシーンでお客様とのコミュニケーションを深めながら、 お客様にご満足いただき、さらには感動していただける「誠実なものづくり」を目指しています。 お客様とのコミュニケーションを大切にしています 般 についての評価の推移を見ると、この5年間、お客 また、建物関連以外にも、営業活動中や施工中、そし 様からの評価が、少しずつ高まってきました。従来進め てアフターケア段階での、担当社員のお客様への対応の てきた、アフターケア体制の充実を軸とする活動の成果 様子についてもご意見をうかがっています。 が現れてきているといえます。 アンケート結果については、お客様から回答をいただ 今後はアフターケアの充実とともに、「誠実な営業、 くたびに内容を確認し、社内への展開を図っています。 誠実な施工」の実践を徹底して、お客様からよりいっそ また、不具合の内容が記載されている時は技術的な原因 う信頼されるCS活動を目指していきます。 ■ アフターケア全般 についての (年度) お客様の評価 2002 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の ( 「お客様の声アンケート」結果より) 2003 【24時間対応の建物相談窓口】 「お客様に感動を」 2004 お客さま相談室発足と同時に設置した建物相談窓口 熊谷組では、2002年から毎年「お客様に感動を」の ポスターを作成し全職場に掲示しています。 2007年度のポスターには、「お客様に感動を」の言 葉とともに「私たち熊谷組は、総力を挙げて誠実な営業、 誠実な施工を実践してまいります」という大田社長のメ は、建物についての不具合が発生した時や建物の改修工 期待以上 事などの相談を受け付けています。通常の業務時間内だ 期待通り けでなく夜間・休日も応対できるように、フリーダイヤ ルの24時間受け付け体制を確立しています。 2005 ほぼ期待通り やや期待外れ 2006 0 期待以下 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) また建物相談の受け付けだけではなく、建物の不具合 の内容、状況によっては、お客様のところへ直ちに伺っ ッセージを掲載しました。 このメッセージは、現在熊谷組が目指しているCS て不具合是正を行う緊急出動体制も兼ね備えています。 (Customer Satisfaction:顧客満足) 活動の具体的な取 最近では、建物相談以外のさまざまなお問い合わせな り組みを示しているといえます。 ども多数いただくようになり、「建物相談窓口」から 「お客様相談窓口」の役割に進化しつつある状況です。 【CSヒアリング】 お客様の熊谷組に対するご意見やご不満を直接おうか 株主・投資家の視点から──永続的な企業活動のために 活 き 活 き 職 場 10年ぶりの配当を行いました。株主のみなさまのご支援に深く感謝申し上げるとともに、 今後も事業基盤強化、企業力向上により、安定した収益の確保、利益の還元に努めてまいります。 がいすることを目的として、本社や支店の経営幹部が、 全国のお客様を訪問して「CSヒアリング」を実施して います。建物の出来栄えや使い勝手、建物を引き渡した 2006年度版 2007年度版 熊谷組のCS活動 後のアフターケアなどについてのご意見とともに、建物 10年ぶりに配当を行いました 以外の内容、例えば熊谷組との関わりの中で感じた仕事 熊谷組は、10年余りにおよんだ再建過程から脱し、 ただきました。株主総会後にお送りした冊子「株主通信」 の進め方とか、お客様への社員の対応の状況についても 新たなステージへ移行した2006年度において、全社の においては、当社の施工した建物やトピックスについて うかがうようにしています。 総力を挙げて利益の確保に努めてまいりました。そして、 写真を用いて紹介しています。 この活動は、本社や支店の経営幹部が、お客様の意見 将来に向け一定の利益を確保できる体制が整ったことか また、ホームページにおいて決算情報(決算短信、中 を直接入手できる取り組みとして、熊谷組のCS活動の ら、10年ぶりに配当を行いました。これもひとえに、 間決算短信など)や適時開示資料を迅速に開示するなど、 中でも重要な活動として位置付けています。 株主様、取引金融機関様をはじめとする関係者のみなさ 株主様に業務の内容や取り組みを知っていただき、当社 まのご支援、ご協力の賜物と深く感謝申し上げます。 についてよりいっそうご理解 【全社員へのメールマガジンの発行】 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 かたく お客様から信頼される企業を目指すCS活動を推進し CS関連のメールマガジン「お客様に感動をNews!」 今後も「ものづくり」を頑なに追求していくこと、併 ていくため、1998年、本社にCS推進室を設置しました。 を月2回発行しています。社員のCS活動を啓発する内容 せて技術力や財務および人的資源の充実を図りながら企 翌年4月には、全支店に24時間対応の建物相談窓口をも のほかに、お客様に関連した情報を積極的に掲載。特に 業力を向上させることで、安定した収益を確保し、 長期的 つ「お客さま相談室」を配置し、お客様からの相談や苦 お客様から直接寄せられた苦情、お褒めについては、時 な視点から株主様への利益の還元に努めてまいります。 情をいつでも受けられるように、そして迅速にお客様に 間をおかずになるべく早く取り上げて、全社員へ展開す 対応していくことを軸としてCS活動を進めてきました。 るようにしています。 その後さらに、お客様からの声を積極的に取り入れる 活動を強化し、現在は以下の活動に取り組んでいます。 また、社員からのCS活動についての意見や感想、体 験談なども紹介しています。 てまいります。 もっと熊谷組を知っていただけるよう努めています 第70期定時株主総会にご出席いただいた株主様には、 東京本社2階屋上に設置した、都市部のヒートアイラン ド対策としての屋上緑化・屋上ビオトープを見学してい 16 を深めていただけるよう努め 「株主通信」 第70期株主総会(2007.6.28) 熊谷組グループ CSR報告書 2007 17 ステークホルダーとのコミュニケーション お父さん、お母さんがこの病院で一所懸命働いてくれて 地域社会の視点から──地元に愛される熊谷組として のです。 2007年4月22日には第2回大会を開催。工事発注者 いることに感謝しています」というあいさつの後、子ど 地域で長期にわたって土木・建築工事を行う熊谷組にとって、地域のみなさまとの交流は なによりも大切にしたいものです。地域貢献活動、環境保全活動、現場公開やイベント出展など、 コミュニケーション活動に積極的に取り組んでいます。 である立命館大学からも、隣接する草津養護学校との交 もたちは5班に分かれて見学をスタート。X線室、MRI 流を進め、相互理解を深めたいと、アメリカンフットボ 室、手術室、回復室を回り、最後にフエの市街地や世界 ールクラブのメンバーが参加しました。 遺産である王宮が見える地上40mの屋上で記念撮影を お昼には草津養護学校チーム・立命館大学の方々・当 熊 谷 組 の C S R しました。 作業所内を 見学する子どもたち 社社員を含め交流会が行われ、総勢100名以上が集って、 和やかで明るい雰囲気の中、昼食を楽しみました。 社員と作業員に「暑い中、大変な工事お疲れさま」と振 能登半島地震の被災地支援 「うるうるパック」 る舞ってくださいました。 きのこ汁、ありが とうございました 2007年3月25日に発生した 能登半島地震 におい て、門前町や穴水地区の小中学校では校舎が損壊など大 きな被害を受けました。日本経団連の1%クラブでは被 大会終了後、養護学校の生徒から、 楽しかったソフトボール大会の思 い出と、一緒にプレーした熊谷組 への感謝の気持ちが詰まった盾を いただきました コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 災した子どもたちの始業式を応援するため、文房具やお 菓子、ボランティア参加者からの手書きの応援メッセー 毎年恒例のホタル観賞会 ジなどが詰まった「うるうるパック」1,000 セットを 2007年7月11・12日の2日間、本社1階ロビーの 小学生に配布することになり、熊谷組グループとして、 熊谷組から5名、ケーアンドイーから2名、合計7名のボ ホタルビオトープで恒例となったホタル観賞会を行いま [一般者現場視察会] ランティアが参加しま 工事現場の状況を知っていただこうと、関係者以外は した。当日はあいにくの雨の中でしたが、本社隣りの津 した。「うるうるパッ 立ち入りが規制されていた地元の方と一般の方を対象に 久戸小学校・津久戸幼稚園の児童・園児や保護者、近隣 ク」を受け取った小学 した視察会を開催しました。開催回数は9回、延べ540 住民の方などが2日間で約300人訪れ、ホタルを観賞し 生のお母さんから、う 名に参加いただきました。 ました。 現場見学会 れしいお礼状をいただ 王宮を背に記念撮影 きました。 ボランティアによる 袋詰め作業 建築系学生を対象に 世界一高いビルTAIPEI 101の講演会 世界一の高さを誇るTAIPEI 101の作業所長を務めた 建築事業本部・青垣英夫技術推進部長が、2006年10月 参加者はヘイケボタル・ゲンジボタルの幼虫や成虫を より全国の大学を訪問し、建築系学生を対象とした 見ながら、ホタルに必要な環境や成長過程などについて TAIPEI 101に関する講演を行っています。建設業への 技術研究所・門倉伸行部長から講義を受け、その後、ビ 就職を希望する建築系学生が減少している昨今の状況か オトープを囲む暗幕内でホタルを観賞。暗幕内ではたく ら、建設業への理解を深めてもらうための活動の一環と さんのホタルが瞬いており、子どもたちからは「流れ星 して開催しているものです。 みたいできれい!」「クリスマスツリーみたい」と感嘆 活 き 活 き 職 場 講演では、TAIPEI 101の建設工事において、設計・ 施工上の課題を解決するために採用されたさまざまな先 の声が上がっていました。 会場には多くの人が 集まりました 端技術や設備、竣工までの工事過程、文化の異なる海外 での建設プロジェクトの推進などについて紹介。講義終 了後のアンケートには、「いつか自分もこうした現場に 養護学校生徒とのソフトボール大会 加わることができるように、しっかり勉強していきたい」 「 ものづくり ってスゴイ、と爽快な気持ちになった」 プレイボール! 「今回の講義で建築の勉強への意欲がさらにわいた」な どの感想が寄せられています。 2007年8月末までに25の大学で延べ 31回の講演を 真剣にホタルに見入る 子どもたち 旧山古志村での温かいお付き合い 2004年10月に起きた新潟県中越地震の復旧工事とし 2006年10月22日、立命館大学びわこ・くさつキャ て、当社が山古志トンネルを施工したことは「ハイライ ンパス作業所の社員が滋賀県立草津養護学校の生徒・職 ト2006-2007」 (P5)でもご紹介していますが、工事 員とソフトボール大会を行いました。草津養護学校は当 中にはさまざまな交流が生まれました。 作業所の工事現場に隣接する身体障がい者の方々の教育 2006年8月12日、ベトナム フエ中央病院作業所に [お疲れさま、感謝を込め きのこ汁 ] 施設で、作業所の山城謙一所長が工事の説明などにうか 当現場で働く作業員の子どもたち62名を招き、見学会 がった際、ソフトボールのチームがあるという話を聞き、 を開催しました。 旧山古志村内にある梶金集落の藤井チセさんがボラン ティアと協力して100食分のきのこ汁をつくり、現場の 18 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 行い、聴講者数は、延べ2,500人を超えました。 お母さんからのお礼状 「ぜひ親善試合を!」と申し込んで、実現にいたったも ベトナムで 現場作業員の子どもたちを招いた見学会 TAIPEI101講演会 青垣部長 増渕祐二・フエ中央病院作業所副所長の「みなさんの 熊谷組グループ CSR報告書 2007 19 ステークホルダーとのコミュニケーション 北新幹線のうち、六戸町大字折茂字沖山から十和田市大 「エコプロダクツ2006」に ゼネコンで唯一の出展 沢田字鍋久保までの長さ4,280mのトンネルです。 工事は2001年7月に着工しましたが、想定以上に地 2006年12月14日〜16日にかけて東京ビッグサイト 層が複雑であったため、1,265mまでしか掘り進むこと で開催された「エコプロダクツ2006」(国内最大規模 ができませんでした。そこで、鉄道・運輸機構が主体と の環境展、総入場者数約15万人)に、ゼネコンとして なってSENSを開発し、掘進スピードの安定性を確保し 唯一、熊谷組が出展しました。 て、残り約3,000mを掘り進めました。 期間中には約1,500名の方々に当社ブースを訪れてい 協力会社の視点から──ともに歩むパートナーとして 熊 谷 組 の C S R 協力会社との良好なパートナーシップは、熊谷組の事業の礎です。 ともに行うパトロール、作業員教育、情報の共有化推進などにより、 協力会社と一体となって、より良い「ものづくり」に取り組んでいます。 ※ 「土木学会技術賞」 および 「SENS」 については、P6をご参照ください。 ただき、ホタルビオトープ、軽量屋上緑化など当社の環 境に対する取り組みを紹介することができました。 熊谷組ブース 「せんだいメディアテーク」が 第10回公共建築賞受賞 世界的な建築家・伊東豊雄が設計し、当社が施工した 「せんだいメディアテーク」が、第10回公共建築賞(国土 交通大臣表彰) を受賞しました。 協力会社と一体となって「安全・品質・環境No.1」を目指す 協力会社との強いパートナーシップのもとに、熊谷組 ■熊谷組と熊土会・熊建会組織図 熊土会・熊建会 熊谷組 の事業は成り立っています。 熊谷組の主要な協力会社で構成されている「熊土会」 公共建築賞は竣工後 (土木)、「熊建会」(建築)とは、それぞれの本社(本 3年以上を経過した公 部)・支店(支部)相互に連携して、コミュニケーショ 共 建 築 を 対 象 に 、設 ンを深め、一体となって「誠実なものづくり」を目指して 計・施工や地域への貢 います。 土木事業本部土木部 熊土会本部 熊建会本部 支店土木部 熊土会支部 熊建会支部 本社 建築事業本部建築部 支店 支店建築部 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 献など幅広い視点から ど かい ゆう けん かい 熊土会 熊建会 1999年までは、土木および建築の合同組織の新熊栄 熊建会は1999年に全国の躯体関連の協力会社を中心 会として協力会社活動が行われてきましたが、より実 に発足し、熊谷組の真のパートナー企業群として、活 回は全国から167点の 状に即し、機能的かつ効果的な活動を行うために組織 動をスタートしました。2006年には新たに仕上げ・ 応募があり、審査員会 の見直しを行い、同年7月に、熊土会が発足しました。 設備を加えた会として、全国約350の会員が当社との (委員長・鈴木博之東 現在、会員会社は40社で、会員自ら自己革新の意識を コミュニケーションを深めつつ、より良い「ものづく 京大学大学院教授)が 持って、高い生産性と自主管理能力を身につけ、熊谷 り」を目指しています。 2段階で審査を行いま 組のパートナーとしてともに厳しい競争に勝ちうるべ 活動の範囲は多岐にわたり、品質確保、原価低減、生 く、現場パトロール・現場での事例の展開などさまざ 産性向上、安全・環境保全、技術力向上、作業員教育 まな活動に取り組んでいます。 など熊谷組と緊密に連携・協力して活動に取り組んで ゆう 優れた建築物を表彰す 環境学習の一環として、幼 稚園から高校までたくさん の児童・生徒が来場 るもので、2 年に 1 度 実施されています。今 「土木学会技術賞」 2005年度、2006年度連続受賞 [箕面有料道路・箕面トンネルの業績により、2005年 度「土木学会技術賞」を受賞] 箕面トンネルは、一般国道423号のバイパスの一部と した。 せんだいメディアテーク して、標高200m〜600mの北摂山地を貫く延長5.6km の山岳トンネルであり、将来的には第二名神高速道路と 大阪都心部を直結し、広域ネットワークを形成する幹線 当社施工のミーソン遺跡保存環境整備計画およびフエ 砂で、このような不良地山において、日本一の大きさと 中央病院改善計画新築工事が、ベトナム建設業界の最高 2 なる最大掘削断面積313mにも及ぶ巨大なトンネルを、 の栄誉である金メダルを受賞しました。また当社のベト 側壁導坑先進工法を採用し、また各種の新技術を駆使し ナムにおける建設工事の高い品質が評価され、会社とし ながら完成させました。 ても表彰を受けました。この賞はベトナムの建設業界の 箕面トンネル 品質向上を図るために設立されたもので、外国企業とし ては初の受賞となります。 [東北新幹線三本木原トンネルで開発された「NATMと シールドを融合した 新しいトンネル工法 SENSの開発」 鉄道建設本部 東北新幹線建設局が建設を進めている東 20 主な活動 事例を取り入れた品質向上パトロール 熊谷組と一緒になって行うパトロールは、他現場の事例教 全国の品質、環境の取り組みや教育資料をホームページに 掲載し、リアルタイムでの情報の って説明しています。指摘事 共有化を図っています。互いの活 項の自社への展開、フィード 動を知り、その相乗効果によって バックなど従来のパトロール レベルアップするなど、より積極 を進化させた積極的な手法に 的な取り組みを推進します。 より、効果を上げています。 http://www.yuken.gr.jp/ 作業員の品質意識向上活動 独自に作成した教育資料による作業員教育 品質確保のための「日々の 現場の職長や作業 自主検査」は、特定の作業員 員が品質、環境の本 が行うのではなく、すべての 当の意味を理解する 作業員が工種の枠を超え一致 よう独自に教育資料 協力して実施し、不具合をな を作成し、作業員教 め、作業員の品質意識向上を メダルを手にするベトナム営業事務所の高橋峻所長(左から2番目)と グェン・マン・トアン副所長(右端) ホームページにて活動情報を展開 育や現場の指摘を、映像を使 くす必要があります。そのた が2006年度「土木学会技術賞」を受賞] 三本木原トンネルは鉄道建設・運輸施設整備支援機構 います。 ベトナムにおける2事業が 外国企業初の金メダルを受賞 道路となるものです。この区間の地質は未固結地山の土 活 き 活 き 職 場 目的に、各作業所にてさまざ 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 育の普及に努めてい 現場に掲げられた各作業員の「品 質の誓い」 まな取り組みを行っています。 ます。 独自に作成した教育資料 熊谷組グループ CSR報告書 2007 21 活き活き職場 安心して働ける職場環境の提供 熊 谷 組 の C S R 【安否情報連絡システムの導入】 不測の事態に備えた支援・補償制度 危機管理マニュアルの策定とともに、災害時などに社 員とその家族の安否を瞬時に確認できる、安否情報連絡 【業務上の災害の場合】 従業員の視点から 業務上の災害によって、負傷、死亡したり、疾病、障 害が生じた場合には、災害補償規程に基づき、法定補償 従業員が活き活きと元気に、その能力を十分に発揮できる職場環境の整備は、 熊谷組の発展の基盤となります。教育・人事制度の整備、意欲向上を図る表彰制度、 心身の健康のサポート、福利厚生の充実、公正で公平な雇用などに力を注いでいます。 のほか、法定外の会社補償として、死亡・障害見舞金、 システムを導入し、被災した社員に対する支援体制を整 えています。 【その他の諸制度】 上記の支援・補償のほかにも、各種の規程・制度を導 休業補償などを行っています。 入しています。 【業務外の傷病(私傷病)の場合】 業務外での傷病により、仕事を休まざるを得ない場合 慶弔および災害見舞金規程 についても支援を行っています。 「ものづくり」に愛着と執念を持つ、活き活きとした人材育成への取り組み 会社の規程としての慶弔金、災害見舞金の規程 有給休暇:2年前の未消化分を使える 社員を会員として、その会員相互の親睦扶助を目的とす 欠勤・休職期間の優遇:欠勤期間6か月、 1.階層別研修の実施 人材育成 企業は「人」である、と熊谷組は考えています。華々 あり方」のイメージを共有し、熊谷組社員としての基礎 しさはなくとも、「ものづくりに愛着と執念を持ち、誠 力の向上を図ります。 実さをもって仕事に取り組む人」、そんな人こそが、熊 ■2006年度に実施した 主な階層別研修 谷組の求める人材です。 このような人材の育成を目指して、さまざまな取り組 みを実施しています。 ■熊谷組の人材育成体系 研修区分 O J T ・ 目 標 設 定 人材育成 求める人材像 基本給、地域手当、家族手当を支給(勤続10年以上) 財産形成支援 社員の長期的な財産形成支援を目的として、熊谷組持株 会(社員の持株制度) 、財形貯蓄制度を導入しています。 (勤続10年以上) 入社時研修 68 若手フォローアップ研修 44 59 103 個性ある多様な人材とともに 中堅社員研修風景(2006.10.16) 新入社員にとって、今の時期(入社半年後)は方向性が不安定 な時でもあったので、参加した意義が大きかった。(若手フォロ ーアップ研修受講者) ● 今まで感じていなかったことや、わかっていたができていなか ったことが認識できてよかった。今後は、この研修で得たもの を活かして仕事を進めていきたい。(中堅社員研修受講者) ● 業務を行うにあたり、その部署をまとめ、導くためのリーダー シップの重要性を学ぶことができた。(初級管理者研修受講者) ● 雇用の現状 高齢化社会に向けて 年度 社員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 2002 4,043 39.9 16.6 2003 2,726 41.1 17.9 2004 2,550 42.0 18.7 2005 2,543 42.8 19.4 高齢者の技術力、営業力を途切れることなく次世代に 19.8 継承し、社員および組織の活性化を図ることを目的とし 2006 2,549 43.3 キャリアや幹部の育成を視野に入れ、適正かつ計画的 前提とした制度の運用を継続しています。 ています。 ※社員数は就業人員数(役員、正社員、短期契約社員その他) 1 な人員配置を実施しています。 人(相手)を思いや る気持ちのある人 2 3 ぼくとつ お世話になった方々への「恩 義」を忘れず、「信義」を何よ りも大切にして、「堂々とし た誠実なものづくり」 の 「大義」 に生き、それを喜びとし、明 るく果敢に挑戦していく人 朴訥で一所懸命、 愚直なまでに誠実 に仕事をする人 2007年4月現在、19名の定年退職者をシニア社員と 役員 して雇用しており、2007年度においては今後約30名の 1% 雇用を予定しています。 短期契約社員 また、当社は厚生労働大臣の許可を得て、高齢者派遣 3% 社員一人ひとりの専門性を高めるため、土木・建築・ 4 社およびグループ会社に派遣しています。 正社員 93% 営業などの各部門別の研修を実施しています。 4.OJT*・目標設定の実施 標設定」 「達成度確認」の面談を実施しています。 *On-the-Job Training:職場内訓練。職場において、実際の具体的な 作業を通じて、仕事に必要なトレーニング教育を受けること。 5.公的資格取得奨励の実施 社員のスキルアップのための自己啓発を支援し、技術 士、一級建築士など公的資格の取得を奨励しています。 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 をグループ内で展開しており、現在15名の高齢者を当 障がい者雇用の促進 日常業務を通じた着実な育成を図るため、OJTと「目 映画「黒部の太陽」に表さ れている「抜けないトンネ ルはない」という心がわか り、仲間とともに、辛い時 でも踏ん張れる人 22 3.専門分野別研修の実施 その他 3% への対応も踏まえた新制度として、2006年4月より 「シニア社員制度」を制定し、将来の65歳までの雇用を ■人員の構成(2007年3月31日現在) 2.計画的な配置の実施 活 き 活 き 職 場 改正された「高年齢者等の雇用の安定に関する法律」 ■社員数、年齢、勤続年数の平均推移 専門分野別研修 ■熊谷組の求める人材像 を行う制度。 受講者数(名) 初級管理者研修 階層別研修 (社員基礎力の向上) 会社の規程によるもので、生活資金の不足に対する貸付 [欠勤時] 基本給の75%、地域手当、家族手当支給 階層別研修受講者の声 公 的 資 格 取 得 奨 励 生活資金特別貸付制度 欠勤・休職時の給与の優遇: [休職時] 中堅社員研修 計画的な配置 る会で、慶弔事業、保険事業、貸付事業を行っています。 休職期間1年6か月を認める(勤続10年以上) 時間、場をともにすることで、「熊谷組の姿、社員の コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 熊谷組互助会 障がい者の雇用は、企業の社会的責任と考え、雇用の ■役員、正社員全体の男女別割合(2007年3月31日現在) 男性 100%(33人) 役員 7%(170人) 93%(2,369人) 正社員 0 女性 促進を図っています。2007年6月現在の障がい者雇用 率は1.46%と年々向上しています。今後も障がい者の 方々が働きやすい環境整備や職域の開発などを進め、ま ずは法定雇用率(1.8%)の達成を目指します。 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%) 熊谷組グループ CSR報告書 2007 23 活き活き職場 元気に、活き活きと働けるよう、心身の健康をサポートしています ていねいな健康指導を通して、 生活習慣病の予防に 力を注いでいます 健康管理体制の充実 社員の健康管理、健康増進を図るため、本社に「医務 室」を設置しています。医務室には、内科を専門とする 各種の医療相談や、健康診断結果を受けての健康管理指 るようにしています。 メンタル面でのサポートとして、医務室を通して契約 している精神科医への相談・受診ができます。また、全 国土木建築国民健康保険組合の制度により、電話による 【定期表彰】 ● ● らの健康指導に力を入れています。高血圧、高脂血症、 糖尿病などのいわゆる生活習慣病を予防するには、本人 の自覚と日常のセルフケアがなによりも大切ですが、そ こを理解してもらうのがなかなか難しく、知恵をしぼっ ています。 精密検査などが必要な場合には、専門医への紹介も行 っています。 専門医へのメンタルヘルス相談および健康相談も利用で また、できるだけストレスをためずに日々を過ごすた きます。各支店においても、委託の産業医により、医療 めに、同僚、家族、友達などどこか愚痴をこぼせる場所 相談や健康管理指導などを実施しています。 を確保してほしい。医務室もそのひとつの場所になれれ ばと思っています。 ● 野は、「模範社員」「発明考案」「業務改善」「営業」「設 計」 「施工」 「技術論文」 「安全衛生」 「災害防止等」 「CS」 【特別表彰】 よりタイムリーな表彰を目的として行われる、社長・ 本部長・支店長による表彰です。対象は、「地域貢献、 社会貢献、技術貢献などによって社名の高揚、業績向上 に大きく貢献したと判断されるもの」としています。 【特別表彰】 ● 新しい工事契約・工事運営方式であるパートナリ ング・ターゲットコスト方式の試行による好成果 (宇佐山トンネルパートナリングワークショップ メンバー) ● 17年を要した竣工まで、地元と良好な関係を維 持しながら円滑な事業を推進し、国土交通省から (%) 合の制度を利用して、本人およびその家族の人間ドック 100 出産・育児や介護に関する制度 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 災害、事故の防止や作業環境の整備など安全衛生 管理が顕著であった(安芸府中トンネル作業所) 2006年度は61件の表彰を行いました。 家族への感謝 ■定期健康診断受診率推移(本社) 回実施しています。また、全国土木建築国民健康保険組 の費用補助や、家族の健康診断も実施しています。 条件の厳しい工事にもかかわらず、顧客と粘り強 く交渉を重ねて受注に至った(営業グループ) ● 定期健康診断の実施 本社や支店ごとに、全社員を対象に健康診断を毎年1 水中不分離性を持ち、実用範囲の広い充填材であ るマックスAZの開発(技術研究所) ● 「環境」など多岐にわたっています。2006年度は社長 表彰53件を含む206件の表彰を行いました。 施主や設計者、来場者から高評価を得て、感謝状 を授与された(三井土佐堀作業所) る期間に優れた成果を上げたものを表彰しています。分 一般診療のほかに、定期健康診断の結果を確認しなが 環境面や技術面で社外表彰を受け、無災害で竣工 (九谷ダム工事所) 規程に基づき定期的に実施する表彰制度で、対象とな 別所 博子 導、労働時間の多い社員に対する面談指導、急患の対応 動体外式除細動器)を設置し、不測の事態にも対応でき 優れた仕事を正しく評価し、社員の意欲向上と職場の 【定期表彰】 産業医 熊 谷 組 の C S R 2006年度表彰受賞例 2つの表彰制度 活性化を図るため、2つの表彰制度を定めています。 産業医2名と看護師が週4日勤務しています。ここでは、 などを実施しています。また、医務室の前にはAED(自 社員の意欲に応える表彰制度 90 93.0 90.2 96.8 88.9 87.8 出産・育児や介護を支援するための制度を導入してい ます。育児休業制度や育児短時間勤務制度、子の看護休 60 ● 広島県水道送水トンネルの崩落において、迅速な るから」という思いのもと、表彰を受けた社員のご家族 調査を行い、予定より早く復旧させて地元住民の へ、社長のメッセージとともに記念品を贈呈しています。 方々の期待に応えた(協力業社含む全工事関係者) ご家族からは、 「家族も大切にしてくれて嬉しい」 「社 80 70 感謝状を授与された(大滝ダム工事所) 「社員が毎日頑張れるのは、ご家族の支援・協力があ 長から直接メッセージをもらい感動した」「息子の頑張 活 き 活 き 職 場 りを改めて見直した」などお礼の手紙が届いています。 暇制度は性別に関係なく利用することが可能です。育児 休業制度については、出産した女性社員の100%が利用 0 しています。 2002 2003 2004 2005 2006(年度) また、「次世代育成支援対策推進法」による「行動計 画」に則り、出産・育児と仕事をより両立させやすい環 ■育児休業制度利用者数推移 境の実現に向け検討・改善を進めています。その取り組 年 度 利用者(人) うち男性(人) みの一つとして、社員からの要望を反映させ、育児短時 2002 9 0 2003 5 0 2004 7 0 2005 8 0 2006 7 0 間勤務制度の利用期間を育児介護休業法に定める基準の 「子が3歳に達するまで」からさらに一歩進めて「子が 小学校に入学するまで」に延長し、より社員が安心でき る制度に改善しました。 2006年度下期社長表彰 受賞者(2007.3.20) 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 ※女性の利用率は各年度とも100% 社長特別表彰 表彰式 喫煙ルールの徹底 受賞者の声 社内は所定の喫煙場所以外を禁煙とし、その徹底を図 っています。 発注者と熊谷組の信頼、そして熊谷組の底力により、栄 誉ある賞をいただきました。ありがとうございます。この リフレッシュ休暇制度 勤続20年に達した社員の功労をねぎらい、心身のリ フレッシュを図ってもらうため、有給休暇と旅行券を付 与する制度を設けています。 24 受賞者ご家族からのお礼の手紙 栄誉をさらなる糧として、努力を惜しまず、熊谷組のDNA を継承し、業務にまい進していく所存であります。 広島支店 送水隧道緊急復旧作業所 所長 多田 正樹 (送水隧道緊急復旧工事にて社長特別表彰受賞) 熊谷組グループ CSR報告書 2007 25 活き活き職場 熊谷組の仕事 土 木 の 現 場 か ら 先を読んだ的確な段取りで、 スムーズな施工へ 安全の確保を、最重要の 課題としています 首都圏支店 城山八王子トンネル作業所 関西支店 関電舞鶴作業所 青木 宏一(2005年入社) 東川 優(2006年入社) 圏央道(首都圏中央連絡自動 車道)の完成は、首都圏の道路 交通の円滑化、環境改善、災害時 の代替路としての機能など多くの 役割を担うこととなり、当トンネル 工事の重大さを感じます。現場管理業務では、諸先輩を お手本にコミュニケーションを密にとりながら、スムー ズな施工が行えるように、先の工程まで予測した段取り ができるように努めています。将来は、発注者や協力会 社から信頼される技術者になりたいと思っています。 舞鶴発電所内に、電力の安定 供給のための発電設備を新設し ています。主な仕事は測量や出来 形写真の撮影、さまざまな提出書 類の作成ですが、工事開始時から在 籍しているので、工事の流れ、必要な段取りをしっかり 学べていると感じます。施工ヤードが狭く、たくさんの 重機が稼動しているため、安全の確保は最重要事項。安 全パトロールも徹底して行われていますが、無事に1日 の作業が終わるとうれしく、ほっとします。 建築作業所の1日(株式会社マキタ 本社事務棟・開発試験棟 建設工事) 8:00 8:15 ラジオ体操・朝礼 作業打ち合わせ・指示 安全掲示板の前に集合。協力会社 ごとに作業内容、スタッフ人員、資 材の搬出入の予定などを確認。こ の日は「安全当番」として安全注意 事項などを全体に連絡。保護具の 確認と「ケガのない1日を!」の挨 拶とともにそれぞれの作業場へ。 協力会社の職長と今日の作業予定 を打ち合わせ。社員からは、品質 や安全、工程上の注意事項を指示。 8:30 地域環境保護への取り組み ●現場は住宅街と隣接しているため騒音に配慮し、遅くと も午後7時には音の出る作業を終了。 ●近隣のみなさまにご迷惑がかからないよう、資材などを 搬出入する大型トラックの出入りを統括管理し、長時間 待機の場合はトラックステーションにて待機。 ●「今週の予定」や工事の進捗状況を近隣のみなさまにお 伝えするパネルを掲示。 ●毎週金曜日には、周辺環境美化のため、現場付近一斉清 掃を実施。 ●作業場内に分別ステーションを設け、ゴミや廃棄物を効 率的に分別・リサイクルすることでゼロエミッションを 目指しています。 10:30 熊 谷 組 の C S R コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 11:30 現場内巡回 安全パトロール 作業打ち合わせ(昼礼) 施工状況の確認と進捗管理。仕上 がってしまうと見えなくなってし まう部分の品質を確認し記録のた め写真を撮影。 隅々まで作業現場を回り、危険な 箇所はないか点検。手すりの不備 がある作業台、安全帯の未使用な ど見つけると、その場で是正を指 示。 作業打ち合わせでは、各協力会社 が工事の進捗状況や翌日の作業予 定を報告し、作業間の調整を計る。 安全パトロールでチェックした箇 所をデジカメ映像で確認。 12:00 建 築 の 現 場 か ら 13:00 15:00 地元の夢である空港建設に やりがいを感じます 大学の勉強と現場業務の 大きな違いを痛感 四国支店 徳島空港作業所 名古屋支店 徳山ダム作業所 丸山 英男(2006年入社) 植本 安彦(2007年入社) 増え続ける旅客需要への対応 や将来的な大型機就航を見据え た徳島空港の拡張は、県民の大き な願いです。徳島県出身の自分が その工事に関わることができ、喜び を感じています。ただ、初めて現場を見たときは、こん な広大な現場を所長以下たった6人で見るのかと、正直 びっくりしました。仕事でなによりも心がけているのは 「確認すること」。1日も早く一人前の技術者になって、 そして人生最後の現場は、ぜひ地元でやりたいですね。 26 完成すれば貯水量日本一とい う徳山ダムで、右岸天端の整備 工事を担当しています。入社前は 「現場監督」と軽く考えていました が、実は体力プラス強い精神力のい る仕事でした。現場で交わされる用語も、天候に左右さ れる工程の管理も難しく、大学の勉強と現場の違いを痛 感する日々。 それでも、ダムの完成が人々の生活に役立つ ことを大きな励みとし、また、社長をはじめトップの 方々がよく来所されることにも勇気づけられています。 昼食 協力会社との打ち合わせ リフレッシュする時間。先輩社員 とコミュニケーションを図った り、現場での疑問点を質問して、ア ドバイスを受けています。 工事の施工方法や納まりについ て、協力会社の職長と打ち合わせ。 一緒に建物を造る協力会社とのコ ミュニケーションも重要です。 中学生以来の夢がかない、 充実した日々を送っています 活 き 活 き 職 場 施工計画の検討 施工計画は建築技術者の重要な仕 事の一つ。まだまだ勉強中ですが、 外部足場やクレーンなどの仮設物 の施工計画を検討しています。 18:00 名古屋支店 愛知工事部 マキタ安城作業所 浅田 茂文(2006年入社) 熊谷組で働くことは、中学生のとき、名古屋に 熊谷組が施工した「ナディアパーク」を見て以来 の夢でした。その夢がかない、今、建築現場の品 質・安全・工程を総合的に管理する施工管理を担 当しています。それぞれの分野のスペシャリスト である職人さんをまとめていくという、コミュニ ケーション・マネジメント能力が問われる仕事で す。毎日変化していく現場で、まだ目の前の仕事 をこなすのがやっとですが、先輩たちに助けられ、 忙しいながらも充実した毎日です。 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 打ち合わせ・翌日準備 事務所に戻り、作業所職員打ち合 わせの後、翌日の準備。 熊谷組グループ CSR報告書 2007 27 活き活き職場──熊谷組の仕事 設 計 の 仕 事 首 佐設 計都 藤第 圏 3 支 正部 店 設 彦計 建 ︵ 2 0 0 6 年 入 社 ︶ グ築 ル事 ー業 プ部 設 計 統 括 部 設将 計来 をの 目社 指会 しに た必 い要 と さ れ る 首 高第 2 都 橋営 圏 業支 秀部 店 行 建 総合的に建築に関わるゼネコンの魅力 建築が本当に好きで、企画・設計から、施工、アフタ ーケアと、総合的に建築に関わっていくゼネコンに魅力 を感じ、熊谷組に入りました。入社後1年間の現場経験 というのも、ゼネコンならではのもの。体力的には辛い こともあったけれど、施工について実地で学んだ知識、 さらには職人さんた ちとのコミュニケー ションで鍛えられ た、人の気持ちをつ かみながら楽しく話 をする力などは、今 の仕事にとても役立 っていると感じてい ます。 ︵ 1 9 9 7 年 入 社 ︶ 築 事 業 部 営 業 統 括 部 熊誠 谷心 組誠 フ意 ァの ン営 を業 増で や し て い ま す お客様の要望にしっかりと応える設計を 1年間の現場経験で多くを学んで 入社後すぐに商業系施設の現場に入り、今年4月に設 計部に配属となりました。1年間現場を見てきて、また、 今設計部で仕事をしていて、自由に図面を描いていた学 生時代との大きなギャップを感じています。法律、工 期、コスト、お客様の要望など、さまざまな制約のある中 で仕事をしていくことの難しさを痛感する日々です。 現場では、たくさんの得がたい体験をしてきました。 まずは、 図面に描かれていることが目の前で、1/1スケー ルで起きているという現実に感動。自分の知らないディ テールを、 先輩や職人さんたちから教わり、 必死に覚えて いく中で、視野も広 がりました。竣工し た時には、大きな喜 びの一方で、自分は まだまだだという、 ちょっと悔しいよう な、奮い立つような 気持ちでしたね。 強い思いがあれば、道筋は開けていく 熊谷組は、就職活動の時から、親身になってそれぞれ の要望をできるだけかなえようとしてくれる会社だと思 いました。今も、強い思いを持っていれば、いろいろな 道筋が開けていくと感じています。設計をやる以上は、 将来の社会に必要とされる設計を目指したい。私は大学 時代、環境学を通し、建築の可能性(環境の創造)につい て学んできました。例えば、環境に配慮した設計が評価 されて、環境を意識 した建築をするんだ ったら熊谷組にと、 そんな形で会社に貢 献することができた らうれしいですね。 28 現場から設計部に配属されて1年を経て、学生時代の イメージと大きく違っていたのは、意匠設計というのは 設計だけしているのかと思ったら、意外にも、お客様と 他の部署、メーカーさんとのコミュニケーション係とい うか、みんなをうまくまとめていく役割も担っているん ですね。図面だけ引いてればいいというわけじゃない。 まとめて引っ張っていく力が要求される。また、私の担 当する住宅・マンションの設計は、人が生活する場であ るだけに繊細で奥深く、いろいろなことについて幅広く 考える力も必要です。 「妥協なく、品質的な価値の高い、お客様の要望にしっ かりと応える設計」 を志していますが、 今は一人前になるこ とを目標に、なにご ともしっかりとやっ て、知識と経験を積 み重ねていきたいと 思っています。 首 吉設 計都 岡第 圏 2 支 芽部 店 衣住 宅建 ︵ 2 0 0 5 年 入 社 ︶ 第築 一事 グ業 ル部 ー設 プ計 統 括 部 奥住 深宅 さ設 を計 実の 感繊 し細 てさ いと ま す フレキシビリティとスピードを大切に 私が担当する「作業所支援」は、現場から上がってく る書類を整理・精査して関係部署に周知させたり、作業 所を立ち上げるときの近隣への説明や事務所設置の段取 りなど、現場と内勤部門の間に立って現場の業務を支援 する仕事です。現場を一つの会社と考えると、事務の立 場から作業所へ助言や忠告を行えるのは私しかいませ ん。人事・総務・経理・財務など培った知識を活かし て、作業所の業務が円滑に進むよう、時には大先輩であ る作業所長に対しても助言を行っていきます。 難しいのは、作業所によって規模も内容も大きく違う ので、それぞれに上手く合わせ込んでサポートしていく ことです。自分のやり方を通しているだけでは通用しな い。常にタイミング を計りながら仕事を 進めていきます。ま た、上がってきた書 類を滞留させず、ス ピードをもって仕事 をするように心がけ ています。 営 業 ・ 事 務 系 の 仕 事 熊 谷 組 の C S R コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 社内各部門をまとめての提案・交渉 内勤の管理部門から営業に移って5年目になります。 日々最前線で、熊谷組の看板を背負って仕事をしている という充実感があります。 いかに多くのお客様に、熊谷組、もしくは私のファン になっていただけるか──そこが勝負ですね。私はあま り口が上手い方ではありませんが、熊谷組の社風ともい える、地道に、泥臭く、誠心誠意の営業に努めています。 また、社内各部門との連携も重要です。ある案件では、 大手を含めた8社による競争で当社が1番札でしたが、 それでも発注者の予算を満たすに至ってはいませんでし た。そこで上位3社によるVE・CD提案となったのです が、作業所長・積算 担当者・技術推進部 長・営業の意見をま とめて提案・交渉を 行い、コスト、内容 とも一番高い評価を いただき、受注につ なげることができま した。 お客様の喜びをなによりも大切に ゼネコンなので、さまざまな規模のプロジェクトがあ りますが、規模の大小にかかわらず、お客様とのコミュ ニケーションを積み重ねて信頼関係を築き、いいものが できて喜んでいただけると、本当にうれしい。 私は、街中で現場に立つ熊谷組の旗を見ると、自分が 取った仕事でなくと もワクワクしてくる んです。たくさん仕 事を取り、たくさん のプロジェクトに関 わって、熊谷組の旗 を東京中に立てたい と思っています。 現場のスタートから最後までを見つめる 事務の仕事の中でも作業所に近い業務なので、現場そ のものを見る機会が多い。技術系社員たちの熟練した技 を目にしたり、建物が立ち上がっていく様をつぶさに見 られるのが、この仕事の楽しさですね。 チームの裏方的存在ですが、建物が完成して、最後に 精算業務のとりまと めを行い、それも滞 りなく終わったとき には、ああ、無事終 了! と大きな達成 感を感じます。 山首 都 名圏 支 大店 介管 ︵ 1 9 9 8 年 入 社 ︶ 理 部 管 理 グ ル ー プ 活 き 活 き 職 場 し現 っ場 かを り︑ と事 支務 えの て立 い場 まか すら 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 熊谷組グループ CSR報告書 2007 29 安全・品質・環境No.1 安全成績はトップクラスを維持 当社はOSHMS導入 ■度数率・経審点数の推移 以来、安全成績におい 熊谷組・経審工事安全成績 て常に業界のトップを 安全衛生管理の取り組み 全建設業・度数率 また、建設業経営事 1.6 項審査(経審)におけ 度 数 率 る工事の安全成績にお いても、トップクラス 1.32 1.2 0.8 の25点を継続してい 信頼の基本を築きます。」 当社の安全衛生管理は、人命の尊重を最優先とし、労 0.0 経営トップが先頭に立って 1.25 10 ● ● 15 0.92 10 1998 1999 2000 25 20 1.61 1.55 20 経 審 15 15 点 数 1.04 0.97 10 0.55 5 0.29 0.32 0.27 0.23 2001 2002 2003 2004 0.29 2005 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 0 (年度) 2006 熊谷組度数率は年度集計(4月〜3月)、全建設業は年集計(1月〜12月) 全建設業数値は、厚生労働省「労働災害調査」の資料による 度数率とは、労働時間百万時間あたりの災害発生率 度数率=労働災害による死傷者数÷延労働時間×1,000,000 営トップ自ら作業所を精力的に巡回しました。朝礼など 実践し、安全・品質・環境No.1を追求して信頼の基本を で「誠実なものづくり」のため規律を守り、仕事に誇りを 築くことを基本方針としています。全作業所に「安全・ 持ち、明るく元気に挑戦するよう呼びかけて、現場の士 安全衛生大会の開催 品質・環境 気を高めています。 労働災害撲滅に向けて、年度の安全衛生管理計画を周 知し、熊谷組・安全衛生協力会・専門工事業者が一致団 ■経営トップの安全朝礼における訓示 1.61 熊谷組・度数率 画)・D(実施)・C(評価)・A(改善)サイクルを着実に 示し、全社体制で取り組みを推進しています。 25 0.66 「安全・品質・環境No.1」を目指し、2006年度も経 信頼の基本を築きます。」のポスターを掲 25 30 1.77 1.1 働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)のP(計 ● 25 1.44 0.4 ます。 「安全・品質・環境 25 2.0 維持しています。 災害・事故のない安全な現場の確保は、熊谷組の最優先の課題です。 労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の実効性の高い運用により、安全成績は良好ですが、 さらなる向上を目指し、システムの徹底を図っています。 熊 谷 組 の C S R 専門工事業者の表彰者のほか、新入社員全員も参加し、 いち早く安全の重要性への認識を深めました。 結を確認し合うため、熊谷組・安全衛生協力会の共催で 本社安全衛生大会で挨拶 する大田社長 安全衛生大会を開催しています。 2007年も、早期に年度計画の周知を図るため、4月 初めに本社安全衛生大会を開催し、それを受けて全国の 支店でも4月中に安全衛生大会を開催しました。 活 き 活 き 職 場 本社安全衛生大会には、大田社長以下幹部社員、安全 衛生協力会幹部、安全活動に顕著な功績のあった社員・ 安全衛生協力会の天谷知昭会長 大田社長(兵庫県武庫川市) 本社開催の安全衛生教育を開始 全事業所に掲示している「安全・品質・ 環境 信頼の基本を築きます。」ポスタ ー(2007年版) 佐塚和夫建築事業本部長・安全担当役員(石川県金沢市) 安全衛生教育は、労働災害防止のための重要な対策の 一つです。当社では従来、 社員および専門工事業者に対す る教育を支店ごとに毎年実施していますが、さらに効果 安全に関する社外活動への取り組み 当社では、企業の社会的責任(CSR)を積極的に果た すため、OSHMS導入による専門工事業者の安全管理活 を上げるため、2007年度より一定年次の社員を本社に 築き上げた安全の確保などについて、社外にも広く紹介 集め、2〜3日間の集中的な安全衛生教育を始めました。 しています。 5年次教育 関係法規・社内基準の基礎知識の修得 9年次教育 OSHMSの再確認と責任者のための基礎知識の修得 21年次教育 OSHMSの再確認と責任者としての知識の修得 動向上の指導内容や、安全衛生マネジメントシステムで 発注者主催の安全大会 全国建設業労働災害防止大会 本社安全衛生教育研修で 講義する野中格安全環境 統括部長 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 専門工事業者に対するOSHMS監査 安全衛生協力会の活動 工事を行う専門工事業者の管理の向上を図るため、安 全衛生協力会は本部で策定した実施事項を各支部で実行 しています。中でも「作業員基本教育」(基本的な安全 について繰り返し教育すること)を最重要取り組み事項 とし、100%実施を専門工事業者に指導しています。 業界に先駆けてOSHMSを導入し、推進してき た豊富な活動実績を活かし、その運用にあたっ ての注意点、改善点などを紹介 30 当社が推し進めている専門工事業者のOSHMS 活動について紹介 専門工事業者に対する安全管理向上を推進する ため、OSHMS導入促進とその運用のための指 導を安全衛生協力会とともに実施 左: 「作業員基本教育」啓 発ポスター。同教育の有効 性は業界誌にも紹介される など、注目を集めています 右:会報「礎」では、会員 相互の情報交換を図り、特 に作業所で活躍している職 長会の紹介に力を入れてい ます 熊谷組グループ CSR報告書 2007 31 安全・品質・環境No.1 善のための指示が出されます。これら支店長および社長 品質No.1を目指して QMS体制 熊谷組独自の、7つのプロセスによる全社統合の品質マネジメントシステムを確立。 企画・営業からアフターケアにいたる各ステージで、お客様の要求品質を的確に把握し、 お客様にご満足いただける建造物とサービスの提供に努めています。 MRを通じてQMSの継続的な改善に努めています。 る指示命令系統を軸とした組織体制をとっています。 熊谷組品質方針 堂々とした誠実なものづくり 法令・規制要求事項を遵守することはもと より、全社員が一丸となって徹底したお客様 当社の内部監査は、 支店内で計画・実施する支店内部監 品質管理責任者を、支店においては支店長が品質管理責 査と本部および支店間で行う全社監査で構成しています。 志向によりお客様の要求品質を的確に把握し、 前年度の活動によって、土木・建築両事業本部長の年度 満足していただける建造物とサービスを提供 品質方針は達成に向けて着実に推移しています。個々の活 することでお客様の信頼を高める。 動において、今後さらにプロセス管理を充実させ、品質の また、効果的な品質マネジメントシステム の運用を図るため、継続的な改善を推進する。 支店内部監査は、支店内におけるシステム運用状況と QMSの整備や運用レベルの向上のための協議などを 基準との適合性、運用の有効性を主に見ています。全社 目的とした会議体として、全社においては、品質保証委 監査では、主に支店間の運用のばらつきや運用の有効性 員会を、支店においては品質保証部会を設置しています。 を見ています。良好事例・改善提案も収集し、全社的に ■熊谷組QMS体制図 フィードバックしています。 社長 今年度の社長年度品質方針は、前年度の「堂々とした誠 実なものづくり」を継続します。 統括品質管理責任者 全社品質監査チーム 品質保証委員会 本社QMS事務局 本部 一層の向上を図ります。 全社員がそれぞれの役割と責任を果たし、全員参加の総力 を受審して、認証付与されました。 第二者監査の結果は、重大な不適合はありませんでし て「7.6監視機器及び 支店長 測定機器の管理」など 品質管理責任者 に関する指摘がありま 支店品質監査チーム したが、速やかに是正 品質保証部会 支店QMS事務局 を行い、2004年からは、熊谷組独自の7つのプロセス 1 を軸とした全社統合の品質マネジメントシステム体制を 確立し、運用しています。 2 ■熊谷組のQMS 当社の品質マネジメントシステム(QMS)は、 品質の国際規格であるISO9001:2000(JIS Q 9001:2000)に適合し、建築物の設計、 工事監理および施工、土木構造物の設計および 施工に適用、全社的に運用しています アフターケア プロセス 品質方針 プロセス 施工 プロセス 資材購入・ 工事発注 プロセス 32 3 4 お客様への 提案・ ご要望把握 プロセス 設計 プロセス ISO9001審査(第三者監査) 5 6 プロジェクト開始 全体計画の策定 (設計図書検討、 総合施工計画書作成) 施工管理 社内検査 引渡し プロジェクト総括 ・受注工事引継会の開催 ・施工方針検討会の開催 ・作業所品質方針書の設定 ・設計図書検討会の開催 ・施工検討会の開催 ・受入検査、工程内検査の実施 ・品質パトロールの実施 ・工事月報による報告 ・社内中間検査の実施 ・社内竣工検査の実施 活 き 活 き 職 場 当社は、ISO9001審査を毎年受審し、認証登録を維 ■作業所における施工プロセスフロー図 << << << << << りISO9001に基づく支店単位の品質保証活動の見直し わたしたちは 7つのプロセスで お客様に 確かな安心を お約束します お客様による監査 部署長、作業所長 熊谷組は、「全社品質保証規程」のもと、1996年よ QMS改善 プロセス しています。 部門長 7つのプロセスを軸として コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の た。軽微な不適合とし 支店 戦により、一歩、一歩着実に前進していきます。 独自の品質マネジメントシステム(QMS)を運用 当社は2006年度にモバイル工事の発注者である よりアンテナ・空中線等の設置施工に関する第二者監査 本部長 部署長 のプロセスを一つひとつ積み重ねることにより、 お客様か お客様による監査(第二者監査) KDDI株式会社の無線機を取り扱うモトローラ株式会社 企画・営業からアフターケアまで、お客様の目線で、日々 ら評価される 「ものづくり」を目指します。 内部監査(第一者監査) QMSの責任者として、全社においては、社長が統括 任者を選任しています。 2007年度 社長年度品質方針 熊 谷 組 の C S R 当社は、社長を最高経営者、支店長を地域経営者とす マネジメント・レビュー(MR) 持しています。2006年度の審査の結果、重大な不適合 QMSの有効性に関する経営者による見直しとして、 はありませんでした。軽微な不適合として「7.5.1製造 支店長によるMRと社長によるMRを2段階で行ってい 及びサービス提供の管 ます。支店長MRにおいては、各プロセスの実施状況や 理」などに関する指摘 成果とともに課題および対応の方向性を抽出し、改善の がありましたが、速や ための情報として社長に報告しています。社長MRにお かに是正しています。 いては、支店長MRの結果および各本部長による分析、 報告を踏まえ、社長が全社のQMSの状況を総括し、改 ISO9001審査 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 内部監査員の育成 当社は、QMSの有効性の確保は、いかに内部 ・お客様検査の受検 ・アフターケア体制の説明 ・満足度調査の依頼 監査員を育成し、監査員の能力アップを図って いくかにかかっていると考えています。新規の 内部監査員養成を目的に毎年全国の支店に対し て実施している研修に加え、2007年度には、活 ・工事反省会/工事総括会議の 開催 動中の内部監査員の中からリーダーとしての資 質を有する者を人選し、全社的にスキルアップ 研修を実施するなど、より監査能力の高い監査 員の育成に努めています。 内部監査員スキルアップ研修 熊谷組グループ CSR報告書 2007 33 安全・品質・環境No.1 環境No.1を目指して 基本理念/事業活動のマテリアルバランス 熊谷組 環境理念・環境方針のもと、 「熊谷組グループ Eアクションプラン(第3版) 」を策定。 豊かで美しい地球を次世代に継承することを企業市民としての責務と認識し、 重要な経営課題の一つとして、総力を挙げて環境保全活動に取り組んでいます。 我々は 環境理念 環境理念 に至る業務に携わる企業として、今や地球的規模に及んでいる環 人間と地球を知り、 境への負荷を低減するとともに汚染の予防を図る必要がある。そ 過去と現在と未来を見つめ、 れは豊かで美しい地球を子孫に継承することが企業市民としての 美しい自然との 役割であり義務だからである。 境への影響に対して、持てる技術を最大限に発揮し、努力し、環 調和を図りつつ、 Eアクションプラン(第3版・骨子) の精神を自身のものとし、 環境方針 熊 谷 組 の C S R 我社は、土木並びに建築分野の設計から施工、またアフターケア ※環境報告については、詳細な「環境報告書」をWEB上で公開しています。 http://www.kumagaigumi.co.jp/csr/kankyo/gae2007/csre2007.html 熊谷組グループ 環境方針 ゆとりと潤いのある 以下に重点的に取り組む活動を示すとともに、それらについては 環境を創造する。 を達成するための行動を共通認識のもとで日々実行するこ 目的および目標を設定し、実情に即すべく見直しを行う等、継続 的改善に努める。 とにより、地球環境を保全し、更にはお客様に感動いただける企業形成を早急に実施する。 これが、熊谷組グループが目指す「環境ナンバー1」の姿である。 この実現に向け3つのプランを実行する。 プランⅠ 2007年4月1日 環境経営の確立 プランⅡ (1)熊谷組グループにおける環境マネジメント体制の確立 社員の環境モラルの向上 1−1 全体的な取組み ●二酸化炭素排出の低減 :地球温暖化の防止 ●グリーン購入の推進 :天然資源の保護 ●3Rの推進 :廃棄物の削減 ●環境に配慮した技術提案 :環境保全、自然再生、環境創造を考慮 ●環境に配慮した設計 :建造物のライフサイクルを考慮 ●環境社会貢献活動の推進 :地域に密着した活動 1−2 本社固有の取組み ●環境配慮技術の開発 1−3 支店固有の取組み 支店固有の取組みは、 「環境行動計画表(支店共通)」に示す 2 環境法規制等の遵守 環境に関わる法規制および同意するその他の要求事項の遵守 (1)環境教育の徹底/工夫による全社員の環境モラルの向 1 グループ会社個々のEMSの構築 上 2 グループ全体を包含したEMS体制の確立 (2)経営層自ら環境保全/社会貢献に向けた行動の徹底 3 リスク管理体制の確立 (3)環境に関する社内制度の充実 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 重点実施事項 (2)長期ビジョンの策定(2015年度までの計画) 1 地球温暖化防止対策(CO2排出量) プランⅢ 2 循環型社会の構築(混合廃棄物排出量) 3 グリーン購入の推進(グリーン購入率) (1)お客様に喜ばれる/低コストで環境配慮が実現できる 4 環境製品の提供 技術の開発 (環境技術開発・環境配慮設計・環境配慮技術提案) :持続可能な発展への寄与 独自の環境技術の保有 (2)お客様に喜ばれる環境配慮設計の推進 2007年4月1日 5 生活環境の形成 事業活動のマテリアルバランス(熊谷組単体(国内)。数値は2006年度実績。( )内は2005年度実績) 土木、建築の工事は、大量の資材、エネルギーを投入して行います。その結果、CO2、廃棄物な どが大量に排出されます。熊谷組はこれらの排出量の削減、リサイクルの向上に努めています。 INPUT 施工部門 OUTPUT 事業活動 オフィス部門 主要投入資材 鉄筋 セメント 8.7 万t (8.9 万t) 電力 6,000 千kwh (6,200 千kwh) 3.8 万t 用紙 65,000 kg (4.3 万t) 生コンクリート 投入エネルギー 電力 軽油 182 万t (172 万t) 61,000 千kwh (79,000 千kwh) 19,000 千R (22,000 千R) 灯油 940 千R (900 千R) (67,000 kg) 水 21,000 m 土木工事 (完成工事高 723億円) 施工部門 ダム 7.6 万t-CO2 (8.5 万t-CO2) NOx 68 t (75 t) SOx 42 t (54 t) 3 3 (20,000 m) オフィス部門 CO2 トンネル CO2 2,000 t-CO2 (2,000 t-CO2) 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 造成地 など 建築工事 (完成工事高 1,738億円) (単位:万 t ) 廃棄物 場内利用量他 集合住宅 事務所 発生量 委託処理量 病院 43.5 42.0 学校 など (60.6) (44.6) 1.5(16.0) 中間処理施設 への委託量 41.7 (44.3) 最終処分場への委託量 0.3(0.3) 34 活 き 活 き 職 場 中間処理施設の 再資源化・縮減量 37.2 (39.3) 再資源化・ 縮減量 38.7 (55.3) 中間処理施設の最終処分量 最終処分量 4.5(5.0) 4.8(5.3) 熊谷組グループ CSR報告書 2007 35 安全・品質・環境No.1 環境No.1を目指して 環境負荷低減活動の総括(目標・計画・実績) 環境マネジメントシステム 熊谷組の環境マネジメントシステム(EMS)に加え、グループ共通の簡易EMSを導入。 グループ全体で環境保全活動を推進しています。 EMSの運用により、活動は年々、着実な成果を上げています。 実施項目 環境保全活動の目標 環境配慮設計の 推進 (土木設計) ※自社設計案件が少ないため、対 象案件が生じた時に実施するよう 維持管理活動に切り替える 該当案件なし 環境配慮設計の 推進 設 (建築設計) CASBEE対象物件の評価の実施: 実施率100% CASBEE評価 実施率100% その他物件の環境DRチェックシ ートによる評価の実施 2004年度実績比1P向上 自然エネルギー・資源の利用: 3.56P エネルギーの有効利用:5.47P 建物の長寿命化:4.96P 自然エネルギー・ 資源の利用: 4.17P エネルギーの有効 利用:5.72P 建物の長寿命化: 5.45P 計 全社環境マネジメントシステム 体制の確立 ■熊谷組グループEMS体制図 熊谷組 グループ会社 社長 社長 熊谷組は1997年度より、各支店単位に 環境マネジメントシステム(EMS)を構 全社環境監査チーム 統括環境管理責任者 築し、ISO14001審査登録を行ってきま したが、2004年度より本社と全支店を包 P=ポイント 評価の凡例/○:目標達成、×:目標未達成、ー:該当せず 2006年度実績 環境パトロールチーム 本社EMS事務局 環境保全委員会 軽油使用量*1 の低減 CO2排出の削減 環境担当 責任者 EMS事務局 本部 含した全社環境マネジメントシステムを 本部長 構築し、運用しています。 本社 部署長 支店 土木 13,030R/億円以下 (一般土木現場) 2004年度実績(第3四半期まで) 13,577R/億円の4%減 実績値 評価 − 土木 一般土木現場 12,943R/億円 特定土木現場 47,601R/億円 ○ 部署長 支店長 支店環境監査チーム 環境管理責任者 支店EMS事務局 環境保全部会 支店/事務所 部門長 支店長/事務所長 部署長、作業所長 部門長、部署長、作業所長等 熊谷組は2005年より毎年6月を「環境月間」、10月 また、各グループ会社の環境保全活動の取り組み状況 を「3R推進月間」と定め、さまざまな取り組みを行っ を把握するため、熊谷組本体と各グループ会社合同で相 ています。 互の環境パトロールを実施するなど、グループ全体の環 ● 環境講演会 2005年度はオフィスのパトロ 講師:山本 良一教授 ールを実施、さらに2006年度 より、現場・工場にも環境パト (東京大学 生産技術研究所) ロールを実施しています。 テーマ:「環境経営〜企業 の課題と取り組み〜」 「環境月間」講演会 ● アイドリング・ストップ運動の強化 ● 全支店・熊谷組グループ会社のオフィス部門での環 境パトロールの実施 「3R推進月間」 の主な取り組み ● 全作業所における3Rの計画と実施 ● 取り組み事例の全作業所への展開 ● 作業所の3Rパトロール また熊谷組として2005年に「チーム・マイナス6%」 、 暖化防止のための活動を実施しています。 土木 86%以上 2003年度実績83%の3P増 土木 88.3% ○ 混合廃棄物発生の削減/ゼロエミッションの推進 土木 全社目標:全支店目標達成 支店目標:支店別に目標値を設定 建築 61%以上 2003年度実績55%の6P増 建築 66.8% ○ 混合廃棄物発生の削減/ゼロエミッションの推進 建築 全社目標:全支店目標達成 支店目標:支店別に目標値を設定 土木 9%以上 2004年度実績(第3四半期まで) 7.1%の2P増 土木 9.1% 建築 6%以上 2004年度実績(第3四半期まで) 4.1%の2P増 建築 5.8% 2004年度社員1人あたり 文房具購入額の5%減(95%) 文房具購入費 2004年度実績比 81.1% ○ グリーン購入率の向上 土木 9.5%以上 2006年度目標9.0%の0.5P増 ■熊谷組グループ会社の環境保全活動の範囲 会社名 オフィス 現場 工場 (株)ガイアートT・K ○ ○ ○ ケーアンドイー(株) ○ ○ テクノス(株) ○ ○ テクノスペース・クリエイツ(株) ○ (株)エコテクノ ○ (株)ファテック ○ (株)テクニカルサポート ○ シーイーエヌソリューションズ(株) ○ ○ 環 環境配慮設計の徹 境 製 底 品 の 提 供 出来高あたりの CO2排出量20% 削減(1990年度 比) コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 地 球 温 暖 化 防 止 対 策 オ フ ィ ス 文房具の 購入低減 廃棄物発生の 低減: 事務用備品など × グリーン購入率の向上 建築 6.5%以上 2006年度目標6.0%の0.5P増 グリーン購入の推進 グリーン・エコマーク商品(文房具)の購入率*7 85%以上 ○ 環境社会貢献活動の推進 ①事業所周辺の清掃活動:半期に1回以上 ②環境社会貢献活動(環境教育、河川の清掃、山林間 伐伐採作業など)の実施・参加:年に1回以上 循 環 型 社 会 の 構 築 企 業 活 動 の グ リ ー ン 化 混合廃棄物排出量 土木 0.5t /億円(出来 高)未満 活 き 活 き 職 場 混合廃棄物排出量 建築 10kg/m2 (延べ床)未満 グリーン購入率 土木 15%以上 グリーン購入率 建築 11%以上 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 企 グリーン購入率 業 オフィス 活 動 90%以上 の グ リ ー ン 化 協力会社にも地球温暖化防止を呼びかけ 熊谷組の主要な協力会社で構成されている熊建会で グループ会社とともに グリーン 購入率*3の 向上 グリーン購入の 推進:資機材 グループ会社の環境パトロ ール 2006年に「我が家の環境大臣」に参加登録し、地球温 36 分別率*2の 向上 廃棄物発生の 低減 境意識の向上に努めています。 「環境月間」の主な取り組み 環境配慮型技術開 発の推進 新技術30件以上 (2003年度比) CO2排出の削減 土木/建築作業所 作業所目標 ・必須項目:100%実施 ・選択項目および作業所固有の項目: 各四半期で合計3項目以上実施 施 工 を開始しています。 熊 谷 組 の C S R × EMS外部審査 「環境月間」などの取り組み CO2排出の削減 土木 本社・支店目標*5 2006年度までの3年間の工種別実績の4%減 ・トンネル工事:73t-CO2/億円以下 ・シールド工事:51t-CO2/億円以下 ・構造物工事:45t-CO2/億円以下 ・造成工事:75t-CO2/億円以下 ・その他工事:66t-CO2/億円以下 CO2排出の削減 建築 本社・支店目標 2006年度までの3年間の工種別実績の4%減 ・捨てCONまで*6:38t-CO2/億円以下 ・躯体工事以降:5.3t-CO2/億円以下 建築 建築 3,080 R/億円以下 3,220R/億円 2004年度実績(第3四半期まで) 3,215R/億円の4%減 2015年度目標 環境技術評価点*4 の向上(土木技術部門) 上半期:現状把握 下半期:上半期評価点の10%向上 評価性のある環境配慮設計の推進 (建築設計部門) 1)CASBEE評価の実施:実施率100% 2)CASBEE-DRの実施:実施率100% 3)Aランク評価:対象物件の30%以上(全社) ○ 4)B+ランク以上評価:対象物件の85%以上 64,300R/億円以下 (特定土木現場) 部門長 2007年度目標 は、協力会社の方々にも地球温暖化防止への理解を深め 熊谷組や熊谷組グループ会社が個々に行っていた環境 ていただくために、パンフレット「熊建会は地球環境を 保全活動を、2005年3月より共通に運用できる簡易な 守ります!」(P21参照)を作成配付し、啓発活動を行 環境マネジメントシステムを構築し、同年4月より運用 っています。 *1 軽油使用量 軽油使用量(R/億円)=軽油使用量(R)/出来高(億円) *2 建設副産物の分別率 (当社独自の指標)分別率(%)=(B+C)/(A+C)×100 A:マニフェストを交付した全排出量(m3)B:マニフェスト単品排出量(m3)C:マニフェストの交 付を必要としないダンボール、鉄くずなどの専ら物(もっぱら物)の排出量、石膏ボードなどの広域認定制度に基づく排出量、現場内再生利用量、現場内減量化量 ※建設副産物には建設発生土と汚泥は含みません。 *3 グリーン購入率 グリーン購入率(%)=グリーン調達品目購入費(億円)/出来高(億円) *4 環境技術評価点 入札時の技術提案において、環境に関する評価項目の平均得点率(100点満点換算) *5 ダム工事については個別に検討する。 *6 捨てCONまでとは、山留/杭工事〜根切、床付・捨てCONまでをいう。躯体工事以降とは基礎躯体工事以降をいう。 (一般的には埋め戻しを含む) *7 グリーン・エコマーク商品(文房具)の購入率=グリーン品目購入費(千円)/文房具の購入金額(千円) 熊谷組グループ CSR報告書 2007 37 安全・品質・環境No.1 環境No.1を目指して 環境No.1を目指して 環境に配慮した独自の技術開発 企画・設計時の環境配慮──CASBEE評価の推進 環境配慮型の技術開発は、建設事業を営む熊谷組の使命と認識し、積極的な取り組みを進めています。 リサイクル、植生復元、屋上緑化、騒音・振動低減、汚染土壌修復など、 環境配慮のジャンルは多岐にわたっています。 企画・設計段階における環境配慮は、ライフサイクル全般にわたっての環境負荷低減に直結します。 2007年度より、環境配慮設計への評価と取り組みをより明確にするため、 すべての設計物件にCASBEE評価を導入しました。 環境配慮の ジャンル リサイクル技 術・環境汚染 防止技術・自 然再生技術 技術の名称 技術の内容 ネッコチップ工法 伐採木と現地発生表土をリサイクルし、表土の利用による在 来植生や、生態系の保全を可能にした緑化工法です。 エコサウンドパネル 吸音板(家庭などから回収されるガラスのリサイクル材料を使 用)と金属枠とを組み合わせた吸遮音パネルで環境にやさし いパネルです。 スーパーパフォーマンス コンクリート 水中不分離性・フレッシュ保持性・早強性・高流動性・セル フレベリング性など、さまざまな特徴を兼ね備えた高性能多 機能なコンクリートです。 屋上ビオトープ 種々の生物が生息できるような生態系を考慮した屋上緑化技 術であり、軽量・簡易施工・低コスト型の緑化工法です。 ホタルビオトープ 失われた清涼な自然の象徴であるホタルの成育を可能とした 環境創造技術です。 環境修復技術 汚染土壌の調査計画・実施、土壌修復施工に加えてリスクコ ミュニケーションなどを含めた総合的な事業展開を行ってい ます。 すべての設計物件にCASBEE評価を導入 熊谷組設計部門は、2005年から導入したCASBEE評 価(建築物総合環境性能評価システム)について、 ネッコチップ工法 とを目的としています。 また、CASBEE評価認証制度による評価員の数も業界 2006年度の実績*を踏まえ、2007年度からは、すべて トップクラスまで伸ばしており、環境負荷の低減という の設計物件にCASBEE評価を導入しました。第三者的な 社会的な命題に、今後も組織的に取り組んでいきます。 評価軸を持ったCASBEE評価を全面的に行うことで、環 *2006年度の実績 評価件数17件、うちAランク 3件、B+ 11件、 B− 3件で、全体平均 BEE=1.1 境配慮設計に対する評価と取り組みをより明確にするこ 「サステイナブルな建築」を促進するため、国土交通省主導 のもと産・官・学共同で研究、開発した建築物の総合環境 性能評価システム(Comprehensive Assessment System スーパーリサイクロン システム 汚染土壌を、溶剤(化学薬品)や熱を使用せずに、水と磨砕 により浄化する環境保全型浄化技術です。 for Building Environmental Efficiency) 。 バイオレメディエーション における微生物動態解析 遺伝子解析技術を利用した迅速かつ高精度な微生物の検出技 術と、生物処理性能把握への適用です。 たもので、建築物の環境品質・性能(Q)と建築物の環境負 音カメラ 音の情報をデジタルカメラ画像上に表示し、どの部分からど のような音が出ているかを視覚的にわかるようにした装置で す。 ダクトサイレンサー 道路や鉄道沿線に立地する集合住宅の室内音環境を確保する ため、レンジフードダクトからの騒音を大幅に低減するダク トサイレンサーです。 環境効率という概念を、建築物の環境性能効率へ発展させ 荷(L)の比(BEE=Q /L)で表し、「S (素晴らしい)」「A (大変良い)」「B+ (良い)」「B− (やや劣る)」「C (劣る)」 建 築 物 の 環 境 品 質 ・ 性 能 Q の5ランクで評価します。 サイレントボイド 床衝撃音遮断性能が低下する原因となる共振現象を低減する ため、波型のボイド型枠を採用した中空スラブです。 「家族みんなが 幸せになれる街」 をコンセプトに サイレントコラム工法 事務所ビルから住居系施設へのコンバージョンにおいて梁補 強を行う手法で床衝撃音遮断性能を改善させる工法です。 タイムズ・ピース・スクエア (今福西計画) 道路用自立式防音壁 多孔質コンクリート吸音板とプレキャストガードフェンスを 組み合わせ、音環境対策に有効な高い吸音性能をもつ防音壁 です。 STEP工法 NSフロアー 設計担当者 シックハウス 対策 38 PAB工法 プラズマにより発生する衝撃波を利用した破砕技術で、破砕 対象物は主に岩やコンクリートです。 サイレントエコパネル ポーラス(多孔質)コンクリート吸音板「サイレントポーラスパ ネル」とリサイクル焼成発泡吸音パネル「エコサウンドパネル」 を組み合わせた、トンネル坑口の騒音低減システムです。 ホルムアルデヒド吸着・ 分離シート 簡単かつ低コストで室内ホルムアルデヒド濃度を短期間に低 減することができる紙製シートです。 37 50 建築物の環境負荷 L 0 建築物の環境品質・性能 建築物の環境負荷 活 き 活 き 職 場 100 = 63 37 =1.7 全体鳥瞰(1,000住戸) 塩川 武 C区画 B区画 A区画 が住む「街」にふさわしい、緑園生活環境の創造を目指し、 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 設計に取り組みました。 敷地の南北にアクセスプロムナードを設け、 その軸線に STEP工法 振動カメラ BEE=0.5 2 壁際部を絶縁処理し、防振システムネダ仕様とした、高い床 衝撃音遮断性能を有する乾式遮音二重床です。 振動の情報をデジタルカメラ画像上に表示し、どの部分から どのような振動が出ているかを視覚的にわかるようにした装 置です。 B− 大阪市内約31,990mの広大な敷地に、1,000戸の家族 スクリューの回転によって強制排出した材料をねじりせん断 で締め固める無振動無騒音の砂杭造成工法です。 B+ C BEE = 低風速から高風速(4〜20m/sec)まで、風による振動を効果 的に低減することができるアルミ製の手すりです。 A 50 0 サイレント手すり S 63 音カメラ 騒音・ 振動対策 BEE=3.0 BEE=1.5 BEE=1.0 100 事例 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の ■タイムズ・ピース・スクエア(今福西計画)のCASBEE評価 CASBEEとは 屋上ビオトープ 土壌汚染 対策技術 熊 谷 組 の C S R 沿って約130種類の木花や、アクアガーデン・コミュニテ ィハウスなどを配したアクセス共有空間を創出しました。 また、敷地の随所にさまざまな広場や、テーマ性を持たせ た庭、さらには自然の恵みを体験できるライステラス(棚 田)を設け、広大な外構空間の変化を演出しました。 タイムズ・ピース・スクエアの3区画すべてが完成する のは2009年3月ですが、見て・触れて・作って・楽しむ、 そんな四季との素敵な環境が育む「街」となるよう、 これ からも取り組んでいきたいと思います。 シティゲート(A区画) アクセスプロムナード(A区画) サイレントエコパネル 熊谷組グループ CSR報告書 2007 39 安全・品質・環境No.1 環境No.1を目指して 施工時の環境配慮 グリーン購入推進の取り組み──グリーン購入率を指標として 軽油使用量の削減を中心とする「地球温暖化防止対策」 、建設資機材の「グリーン購入推進」 、 分別の徹底による「廃棄物削減」──3つの重点項目を掲げ、 熊谷組と協力会社が一体となって活動を推進しています。 すが目標値を上げて活動を進めています。 当社では、建設資機材の購入にあたって、リサイクル 製品、環境への影響を低減した製品などを可能な限り使 *特定調達品目:2000年5月にグリーン購入法「国等による環境物品 等の調達の推進等に関する法律」が制定され、2001年3月に「環境物 品等の調達の推進に関する基本方針」(環境省告示)が示され、「公共工 事における特定調達品目」が指定されています。また、調達の推進のた めに、毎年、品目の見直しが行われています。 **グリーン購入率:工事出来高1億円に占めるグリーン調達品目購入 費の割合 用するグリーン購入を推進しています。 グリーン購入の対象となる資機材には、国が定めた 「特定調達品目*」を中心に、土木工事では12種類、建 築工事では36種類を選んでいます。建築工事では、工 事に使用する材料の種類が多いため、グリーン購入の対 地球温暖化防止への取り組み──CO2排出量の削減 日本の全産業の事業活動の中では、建設業の施工段階 における二酸化炭素(以下CO2)排出量の影響は1%程 象とする資機材が多くなっています。 ループ全体で41.8t/億円となり、2005年度(50.0t/ 億円)より16%減少しています。 ■工事出来高1億円あたりのグリーン購入費の推移 グリーン購入の達成度を見る指標として当社では、グ (百万円) リーン購入率**を使用しており、グリーン購入対象資 10 8 7.9 度といわれていますが、当社においては、CO2排出量削 2007年度の環境月 機材の購入額の割合を上げることが達成度を上げること 減による温暖化防止を最重要課題の一つとして位置付 間(6月)には、全国の になります。グリーン購入の推進のために、上記以外の け、アイドリングストップの徹底による軽油使用量の削 全作業所に「省エネ運 資機材でも、マークの表示などにより環境に良いことが 減を中心に、CO2排出量を削減する活動を継続して実施 転による地球温暖化対 確かめられる場合には、その資機材の購入額をグリーン 4 しています。 策」のポスターを掲示 購入資機材の購入費として算定に考慮できるようにして 2 し、さらなる排出量削 います。 0 熊谷組グループ全体のCO2総排出量は、2006年度に は13.9万tとなり、2005年度(16.0万 t)より約13%減 少しました。また、工事量の影響を受けない指標として 利用される、出来高あたりのCO2の排出量は、熊谷組グ (万t-CO2) 減に努めています。 「省エネ運転による地球温暖化 対策」ポスター(3枚組み) グループ会社 熊谷組単体 (t-CO2/億円) 熊谷組グループ全体 50.0 40.0 30.0 41.1 熊谷組単体 熊谷組2010年度目標値** 35.9 36.0 36.9 16.0 7.3 10.0 13.7 0 1990 2002 13.9 41.8 35.8 35.5 28.6 8.5 8.7 2003 2004 2005 6.3 ※グループ会社のCO2排出量は2005年度より集計を開始しました。 海外でもアイドリングストップを開始 当社では、2006年より海外の作業所でも、アイドリ 0 2002 の掲示、現場での指示・指摘を通して、「停車中はエン ジンを切る」が、粛々と実践されています。 2003 2004 2005 2006(年度) *2010年度:12%削減(1990年度比) 。熊谷組の場合36.1t-CO2/億円 **34.5t-CO2/億円(熊谷組グループ Eアクションプランより算定) アイドリングストップ、浸透しています ADB南部高速道路作業所(スリランカ) ングストップ活動を開始しました。海外では「地球温暖 化防止のために」と大上段に構えることなく、ポスター 所長 和感がありましたが、実践が容易な活動であり、今で 2003 2004 2005 2006(年度) 使用(Reuse)を合わせた配慮「3R」 92.4 91.3 82 87 88 89 2002 2003 2004 2005 アスコンがら 9% 60 40 20 0 コンクリート がら 48% で活動中で、全作業所での実施に向 けて取り組みを進めていきます。 活 き 活 き 職 場 2006(年度) ※リサイクル率(%)= 再資源化・縮減量/建設副産物の発生量 2007年8月現在、全国13作業所 事例 建設混合廃棄物 6% 木くず 4% 金属くず 2% ■廃棄物の種類別発生率 建設汚泥 26% その他の廃棄物 5% 地道な取り組みを積み上げて、 「めざせゼロエミ!!」 安 全 ・ 品 質 ・ 環 境 No. 1 ロックボルト用充填材は空き袋を出さないよう、繰り返 し使用可能なトンパック袋を使用し、混合廃棄物の発生 城山八王子トンネル作業所 小島 隆行 東京都八王子市で山岳トンネルを施工中の城山八王子ト 削減に努めています。 ゼロエミ活動は、地道な取り組みを積み上げて、一歩 ずつ前進できればよいと考えています。 ンネル作業所では「限りなくゼロへ……めざせゼロエ ろん、大型ダンプや ミ!!」のスローガンのもと廃棄物の発生抑制と減量化に 重機で実施すること 取り組んでいます。 により、大きな効果 トンネル坑内にエコステーションを設置するとともに、 を上げています。 シンハラ語 (スリランカ) の発生抑制(Reduce)、廃棄物の再 92.3 86 当初「アイドリングストップ」という和製英語に違 した。乗用車はもち 英語 5.2 目標値 93.1 86.8 西 修一 はすっかり浸透しま 中国語 ル(Recycle)の推進に加え、廃棄物 80 ション活動を推進しています。 1990 2002 実績値 (%) 100 づけることを目的としたゼロエミッ 7.6 2006(年度) 4.3 5.2 ■リサイクル率の推移 また、分別の徹底によるリサイク を徹底して、最終処分量をゼロに近 20.0 10.0 9.3 当社では分別排出を徹底すること により廃棄物の削減に努めています。 50.0 30.0 20.0 6 廃棄物削減の取り組み──分別の徹底、ゼロエミッション活動 建設業の環境自主行動計画による目標値* 40.0 コス ミテ ュー ニク ケホ ール シダ ョー ンと の 6.8 2007年度もグリーン購入率を指標とし、少しずつで ■CO2排出量(出来高1億円あたり)推移 ■CO2排出量(総量)推移 熊 谷 組 の C S R 安全大会や作業員教育で分別指導を行い、混合廃棄物の 現場を訪れた大田社長(左)とともに 削減、一般廃棄物の適正処理を実施。また、トンネルの 坑内エコステーション 安全大会での分別指導 海外作業所で掲示している「アイドリングストップ」のポスター 40 熊谷組グループ CSR報告書 2007 41 安全・品質・環境No.1 環境No.1を目指して 環境会計 財務データ (2006年度) 環境保全活動の全体像を把握し、効率的・継続的な向上を図る上で、 環境会計は重要な指標となります。 投じたコストと、それに対する効果を把握し、環境経営に活かしています。 ■売上高 ■受注高(単体) (億円) 単体 (億円) 連結 6,000 3,000 5,223 環境保全活動のために投じた「コスト」と結果として 「環境保全効果」算出にあたっては、当社が重点的に実 802 4,000 定量的な環境情報を開示するために、「環境会計」とし 施している環境負荷低減活動(地球温暖化防止対策、 て「環境保全コスト」 、 「環境保全効果」を集計しました。 グリーン購入の推進、循環型社会の構築)と重複する 3,263 3,269 3,233 2,655 2,635 2,492 2,757 2,000 1,000 「環境保全コスト」と同様のサンプリング調査を実施 し、全社推計を行いました。 1. 対象期間:2006年4月1日〜2007年3月31日 0 2002 2003 2004 2005 0 2006 (年度) 2002 767 1,428 1,563 1,736 1,252 2003 2004 2005 2006 (年度) 4. 集計対象:当社単独工事と当社が幹事会社である共 ■経常利益 ■事業種類別完成工事高構成比(単体) 同企業体を対象とし、他社が幹事会社である場合は (億円) ※2006年度売上高2,635億円 単体 100 EMS対象外であるため除外しました。 事より38作業所をサンプリングし、出来高の比率に 91 83 80 ※参考文献 1)「建設業における環境会計ガイドライン2002年版」2002年11月、 建設業3団体環境会計ワーキンググループ 2)「環境会計ガイドライン2005年版」2005年2月、環境省 工事20作業所(出来高比率26%)、建築工事18作業 所(出来高比率27%)です。内勤部門が関与する項 土木工事 60 ■環境保全コスト 881億円 39 40 32 20 33% 30 27 取り組み内容 環境保全コスト (億円) 事業エリア内 公害防止 大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・震動・悪臭・地盤沈下など防止のためのコスト 24.0 コスト 地球環境保全 温暖化防止・省エネルギー・オゾン層破壊防止などの対策のためのコスト 12.2 資源循環 資源の効率的利用、産業・一般廃棄物のリサイクルや処理・処分などに関わるコスト 20.9 上・下流コスト 1.0 環境物品などを提供するための追加的コストなど 管理活動コスト 10 67% 4.4 環境マネジメントシステムの整備・運用、環境情報の開示、環境広告、環境負荷監視、 -4 -20 研究開発コスト 2005 2006 (年度) 6,000 単体 連結 ■完成工事高比率(単体、国内工事のみ) 5,760 民間 する支援などのためのコスト 1.4 自然修復のためのコスト、緊急事態対応準備費用など 土木 工事 3,014 2,762 2,756 2,628 2,599 2,378 2,327 2,158 2,000 0 ■環境保全効果 指標項目 分類 ・区分 項目 総エネルギー消費量 内容 電力・燃料の使用量 単位 GJ 保全効果の 実質効果* 1,445,000 3 15,700,000 3 3,900,000 水使用量 上水道・井戸水などの使用量 m 事業者内で再利用などを行い 上水道・井戸水などの使用量 m 電力、軽油、灯油の使用量から 循環的に利用している量 大気 温室効果ガス排出量 CO2排出量 万t-CO2 7.6 オフィス部門+施工部門 SOx排出量 t 42 オフィス部門+施工部門 NOx排出量 t 68 オフィス部門+施工部門 t 0 有害物質排出量 有機溶剤などPRTR対象物質の 建設業はPRTR法の対象外 使用量 廃棄物 「事業活動のマテリアルバラン ス」(p34〜35)参照 その他の 環境リスク 有害化学物質保有量 70 2002 2003 2004 2005 2006 (年度) 93 0 20 40 7 60 80 100(%) 備考 算定 水 30 建築 工事 66.6 合計 官公庁 4,607 0.5 自然保護・緑化・美化・景観保持などの環境改善対策、地域住民の行う環境活動に対 環境損傷コスト 2004 4,000 ための研究開発コスト、研究開発にともなう間接費など 社会活動コスト 2003 (億円) 2.2 環境保全に資する研究開発、製品等の生産・物流・販売段階における環境負荷抑制の 2002 ■総資産額 従業員への環境教育などのためのコスト エネルギー 建築工事 1,753億円 0 分 類 ア ウ ト プ ッ ト 80 66 より全社推計を行いました。38作業所の内訳は土木 イ ン プ ッ ト 連結 781 789 3. 集計方法: 「環境保全コスト」算出にあたっては土木工事・建築工 2,518 1,024 2. 集計範囲:熊谷組単体(ただし、 国内本社・支店のみ) ● 建築工事 2,330 1,839 項目はその結果を用い、重複しない項目については、 基本的な重要事項 2,307 30 2,217 2,000 3,417 ● 土木工事 2,757 115 4,435 目に対しては全数調査を実施しています。 の「効果」を社内的に把握するだけでなく、より正確で 不動産事業 PRTR対象物質の保有量 t 0.01未満 PCB含有電気機器(コンデンサ) 個 632 ■株式の状況(2007年3月31日現在) 証券会社 発行済株式総数 207,596,504株 普通株式 156,896,504株 (うち自己株式 1,570,418株) 第1回第1種優先株式 7,500,000株 第2回第1種優先株式 43,200,000株 株主数 普通株式 第1回第1種優先株式 第2回第1種優先株式 4.25% 所有者別分布状況 (普通株式) その他の法人 14.03% 金融機関 25.21% 外国法人など 62,273名 5名 3名 24.41% 個人その他 32.10% 技術研究所 * 保全効果の実質効果:定量的に把握できる保全効果 42 熊谷組グループ CSR報告書 2007 43 特別寄稿 山古志トンネルの開通に想う 衆議院議員 (前山古志村村長) 住民と一体となって、最新の技術・ノ ウハウを駆使していただいた成果であ ると思います。正直なところ、山が動 いていましたので、私は最初、ここに もう道はできないと思っていました。 長島 忠美 ま ず最初に、山古志トンネルの工事 に携わっていただいた工事関係者の皆 様とそれを支えていただいた熊谷組の 皆様に対して、当時の村長としてまた 被災者の一人として、改めて心から感 謝の気持ちをお伝えしたいと思います。 普通にやると最低でも5年かかると 考えられたものが1年10か月11日でで きました。私が「2年で帰宅できるよ うにしてほしい」と無理を承知でお願 いをしてスタートしました。実は自分 でも2年でできるとは思わなかったし、 誰も信じていませんでした。でも、5 年もかかったら帰る人がいなくなって しまうと心配しました。5年いなけれ ば文化はなくなる。文化の失われたと ころに帰る人はいない。実際には2年 ではなく、3年かかったけれども、再 びふるさと「山古志」に帰ることがで きました。 地域の住民ができるだけ早く帰るこ とができないと、生活の再建が困難に なることを工事関係者の皆さんが心か ら理解してくださり、また行政および 工事関係者の皆さんは大変だったと 思います。小林所長もどうやってトン ネルを短期間に掘るか途方に暮れられ たのではないでしょうか? 川に面し た坑口に行く方法がなかったですし、 最初は満足な資材の搬入路がありませ んでした。雨が降れば、通れないよう な道しかなかったですから。そういう 中で毎日夜遅くまで、そして豪雪の中 でも休みなくやっていただきました。 工事期間中、村民も皆さんに「いつ 穴が開くんだ」と毎日聞いていたので ないでしょうか。面倒であったかもし れませんが、そういったことにきちん と対応していただいた。それが信頼に つながりました。地域の住民には工事 の状況をチラシで知らせ、住民に安心 感、信頼感が広がりました。 村民が、工事関係者に「きのこ汁」 の差し入れをしたことがあるという話 ははじめて知りましたが、村民の人々 の最大限の感謝の表現だったのではな いでしょうか。私も何回も現場を見さ せていただきましたが、小林所長は毎 回丁寧に工事の状況を説明してくれま した。村民にも、子どもたちにも分か りやすく、丁寧にご説明いただきまし た。ご存知の人は少ないと思いますが、 トンネルの名前は将来の夢をつなぐ子 どもたちに書いてもらったのですよ。 夢のつながったトンネルだから。トン ネルの名前も災害復旧のシンボルとし て「山古志トンネル」とさせていただ きました。 災害復旧として歴史に残る工事と思 います。ぜひ、誇りに思ってもらいた い。熊谷組にとっては規模としては小 さいかもしれないけれども、歴史の1 ページに加えて欲しい工事と考えてい ます。村民が心から喜んでくれていま す。このことは工事関係者も誇りに思 ってもらっていいと思います。また、 このことを広く発信してほしい。この 最前線の状況を多くの人に見ていただ きたい。命がつながり、ふるさとを守 ることができたのです。 でも本来は、災害復旧としてではな く、未然に防ぐためのインフラ整備が 必要ではないでしょうか。命や財産を 守ることが大切であり、国土を守るこ とが必要だと考えています。このこと が国民に正しく伝わっていないと懸念 しています。建設業は、命と財産を守 り、安心を提供する「地球の医者」だ と思います。建設業界に対して批判の 声は多いけれども、ぜひ誇りを持って がんばってほしい。 あれから2年以上経過しましたが、3 年以内に仮設住宅を出て、山古志に戻 れそうです。仮設住宅にはまだ100世 帯住んでいますが、私は最後に仮設住 宅を出ると決めています。 2007年8月 第三者意見 熊谷組は、2005年6月、環境月間の講演会講師として高木善之氏をお招きしました。以来、環境保全 活動を中心に熊谷組の活動について継続的にアドバイスをいただいています。今年度も昨年に引き続 き、熊谷組のCSR報告書の内容、読みやすさなどについてご意見をいただくことができました。ご意 見はインタビュー形式でいただき、進行はCSR推進室長林克彦が行いました。 関連企業、社員、一般市民、リクルートの学生さん……いろ いろおられるでしょう。そのどなたをメインの対象とする か、ということです。 私ははっきりと、一般市民の中でも、特に主婦やリクルー NPO法人ネットワーク 『地球村』代表 高木 善之 「美しい地球を子どもたちに」と呼びかけ、環境問題、社会問題、人間 関係、生き方について、講演や著書でさまざまな提言を発信している。 1947年大阪府生まれ。大阪大学卒業。松下電器在職28年、退職し講 演や執筆活動に専念。現在、地球環境、生き方、人間関係に関するセミ ナー、講演、企業研修、執筆などを展開。著書に『ありがとう』、 『生き る意味』 、 『非対立の生きかた』 、 『本当の自分』、 『新地球村宣言』 、 『オー ケストラ指揮法』 、 『転生と地球』など多数。 トの学生さん、若者だと思います。主婦や若者が読みたくな る報告書が、誰にでも読める報告書ではないでしょうか。 具体的な提案 社内の元気な女子社員、若手男子社員を募り、この報告書 を渡して、 「ページ数を半分、内容を1/3にして、見出し、タ イトル、説明文を、主婦や若者に読んでもらえるように大幅 に変えてごらん」と任せることです。 1カ月くらいで、すばらしい報告書ができ上がると思いま 重厚な報告書 第一印象は、重厚な業務報告書だと思いました。 事業概要、企業統治、企業倫理、安全衛生、品質、環境、 す。社内にそういうチームを作ることもできると思います。 CSR報告書の役割 ・誰でも読める 技術、財務など重要な業務がすべて網羅され、専門語が多 ・その企業が好きになる く、文章がかたく、見出し、タイトル、説明がとてもオーソ ・夢と希望を与えられる ドックスであることなどです。 CSR報告書はそういう役割を持っています。 また、「トップメッセージ」は、社長の熱い思いが伝わっ 熊谷組を好きになってもらうために、そうしたセンス、 遊 てまいりました。「活き活き職場」では、若手社員の仕事ぶ び感覚 が必要です。CSR報告書の価値を高めるために発想 りを紹介し、とてもいい記事だと思います。 を転換し、飛躍されることを期待します。 内部報告書から、外部への報告書へ 第一は、外部の人に、読んでもらえることです。それに は、読みやすく、わかりやすく、面白く、興味を引く工夫が 必要です。ページ数は半分、内容は1/3、アピールポイント をはっきりすること。あれもこれもではなく、「これだけは 伝えたい」というものに絞ることが必要です。第二は、読む ことで、その企業のことがわかり、その企業を好きになるこ とです。それだけの情熱が必要です。 リクルートの学生さん、主婦を対象に CSR報告書の読者は、経営幹部、顧客(発注企業、施主) 、 「第三者意見」をいただいて CSR報告書の発行2年目にあたり、昨年高木様からいただいた指摘を踏まえて、生の 声、具体的な事例を多く取り入れ、また、ハイライトの記事や若手社員のはつらつとし た仕事ぶりを通じてメッセージ性を加えております。 今年度は、上記のとおり、それを後押しするような、極めて具体的なコメント、ご指 導をいただきました。新たな方向性を含んだ貴重なご意見をありがとうございました。 CSR推進室 室長 林 克彦 45 44 熊谷組グループ CSR報告書 2007 熊谷組はチーム・マイナス6%に参加しています。 表紙の絵は、ごみゼロデーの清掃活動、 ホタルビオトープの見学会などの環境保 全活動を、熊谷組と日常的に行っている 津久戸小学校の児童が環境をテーマに描 いた作品です。 今、人は地球について考えています。 そして、自然のことを想っています。 地球があって、緑にあふれ、人々が生活する。 私たちはそんな基本的なことから考えたい。 私たちのふるさと・地球にやさしい技術の確立。 熊谷組の変わらぬテーマです。 お問い合わせは 株式会社 熊谷組 CSR推進室 熊谷組グループ CSR報告書事務局 〒162-8557 東京都新宿区津久戸町2-1 TEL 03-3235-8114 FAX 03-5261-9665 URL http://www.kumagaigumi.co.jp/ e-mail [email protected] グリーン購入に取り組んでいます この報告書はVOC(揮発性有機化合物)ゼロの植物油インキ、 印刷工程で有害廃液を出さない水なし印刷を採用しています。 2007年10月 発行 次回発行は2008年10月予定
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