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http://www.nishio-rent.co.jp/
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西尾レントオール
西尾
公志
(ニシオ
マサシ)
西尾レントオール株式会社社長
国内市場の収益性を回復させ、海外での基盤整備を行う
◆セグメント変更と連結会社について
社長室室長 佐藤 靖
従来の事業区分は「都市型建機市場」、「郊外型建機市場」、「イベント・産業界他」の 3 区分であったが、今期か
ら「レンタル関連事業」、「その他の事業」の 2 区分とした。これはレンタル事業の多様化により都市型建機市場・郊
外型建機市場の区分が困難になってきたことと、連結子会社にレンタル以外の部分が増えてきたことによる。
連結会社については、現在、連結子会社 14 社、持分法対象会社 1 社であり、その他非連結会社が 5 社ある。
今回新たにグループ入りしたのは、ショージ、新トモエ電機工業、ニシオレントオールグアム、日本スポーツコート
である。ショージは九州の建設機械総合レンタル会社で、今回当社が出資して連結会社となった。新トモエ電機工
業は連結対象ではないが、建設現場の鉄道、工場向けにバッテリー車両やハイブリッド車両などの特殊搬送車両
を製作し、環境対策や効率化に取り組んでいる。特に電気関係技術のノウハウを持っているため、今後の事業に
おいて重要な位置付けになってくるとみている。ニシオレントオールグアムは新たに設立した現地法人で、まだ事
業は開始していない。日本スポーツコートは連結対象ではないが、主にスポーツ関係施設やイベント会場の床材、
スポーツコートのレンタル・販売を行っており、アメリカスポーツコート社の日本輸入総販売元として独占的に事業
を展開している。今後、イベント分野での波及効果が期待できる。
◆2010 年 9 月期決算概要
2010 年 9 月期の決算は、売上高 682 億 99 百万円(前期比 7 億 25 百万円増)、営業利益 12 億 47 百万円、経
常利益 12 億 57 百万円、当期純利益 5 億 74 百万円の増収増益となった。
資産は資産合計が前期比 42 億 92 百万円増の 900 億 46 百万円となった。これは現預金が同 7 億 81 百万円
増、受取手形・売掛金が同 10 億 95 百万円増となったほか、今回連結したショージ社の資産・負債部分が影響して
いる。有利子負債は子会社の新規連結等により同 30 億 38 百万円増の 265 億 87 百万円、株主資本は 447 億 57
百万円、純資産は同 1 百万円増であった。
当期純利益は前期のマイナス 14 億 15 百万円から 19 億 89 百万円増加した。内訳としては、西尾レントオール
が売上 18 億 23 百万円減となったものの、売上原価 24 億 41 百万円等の圧縮により 1 億 99 百万円の増益、サコ
スは売上が 6 億 17 百万円減となったが、販管費減尐・売上原価減尐・繰延べ税金資産取り崩しがなくなったことな
どで 11 億 34 百万円の増益、その他のグループ会社では売上 31 億 65 百万円増、売上原価 18 億 62 百万円増な
どにより 6 億 56 百万円の増益となっている。
連結各社の売上高および構成比を見ると、 西尾レントオールが売上高 467 億 98 百万円で 68.5%、サコスが
112 億 47 百万円、16.5%を占め、ニシオティーアンドエム 6.8%、三央 3.2%、山﨑マシーナリー2.1%等と続いてい
る。ただし、海外売上では西尾レントオールやサコスの比率は低く、ニシオティーアンドエムと三央が 19%以上を占
めて、海外に特化して展開していることが分かる。利益面では西尾レントオール 2 億 35 百万円(構成比 40.9%)、
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ニシオティーアンドエム 2 億 22 百万円(同 38.7%)、三央 1 億 47 百万円(同 25.6%)で、この 3 社が利益の大部分
を占めている。海外取引の多い会社が利益面でもかなり貢献したといえる。
なお、単体ベースの設備投資額は 2008 年 9 月期 163 億 46 百万円、2009 年 9 月期 102 億 82 百万円、2010
年 9 月期 83 億 24 百万円と減尐が続いており、それに伴って減価償却費も減尐している。
◆2011 年 9 月期の進め方
社長 西尾公志
2010 年 9 月期はやや回復基調であったが、海外売上に助けられた部分もあり、依然として厳しい状況は続いて
いる。国内市場では単価下落や公共投資減尐など競争が激化しているため、できるだけ高い単価の獲得を目指
し、同時に海外での基盤整備を推進したいと考えている。
国内市場については単価を上げる意味でも地元深耕・現場密着を図る。そのためにはまず、顧客の近くに拠点
を設置することが必要だが、拠点拡大については機械ヤードやモビステーションといった人件費・固定費の尐ない
軽装備拠点を中心に進めていく。機械ヤードは商圏半径 5~10 ㎞程度、尐人数で入出庫や軽整備のみを行い、
営業・事務は母店営業所が担当するものであり、モビステーションは工事用車両カーシェアリングで無人運営の拠
点である。モビステーションは現在 32 カ所あるが、2011 年 9 月期には 50 カ所に増やし、売上目標は来期 60 百万
円、将来的には 1 億円を目指す。なお、一部で発電機等の小物も実験的に取り扱っているが、問題がなければ各
地に広げていきたいと考えている。
また、単に機械をレンタルするだけではなく、オペレータを付けた施工付レンタルを推進していく。特に主力であ
る舗装機械アスファルトフィニッシャや高所作業用タワークレーンなどのオペレータを拡充している。アスファルトフ
ィニッシャの保有台数はレンタル会社保有台数シェアの 10%程度にあたる。道路舗装は環境負荷に配慮して施工
をする為、特殊な合材を使用するようになるなど機械側に負担がかかってきている。そのためこのサービスは大変
好評である。
さらに、発電所、製鉄所、石油化学プラントといった新しいニーズへの対応も進めている。製鉄所や火力発電所
では石灰や鉄鉱石などの粉塵対策が課題になっており、専門性の高い当社グループの水処理プラントへのニー
ズも増えている。そういった専門性の高い機械・装置の商品開発およびレンタル・販売を推進し、継続的メンテナン
ス工事を獲得したい。
一方、安全や環境に対する法規制が非常に厳しくなっており、その部分でも新しいビジネスチャンスがあると考
えている。耐震補強や環境対策としての屋上緑化、太陽光発電パネル取り付けなどの工事が増えており、当社オ
リジナルのキャリアブルクレーンを投入していく。また、建築基準法改訂によって外壁調査が義務付けられたが、
800 万棟がその対象になると見られ、当社は赤外線サーモグラフィや形状測定システム「KUMONOS」などをアピー
ルしていく。情報化施工は道路・河川工事の際に GPS データなどを取り入れて施工を合理化・効率化させるもので、
今後は中小規模工事にも導入される予定である。昨年の情報化施工発注件数 126 件のうち当社が機械供給をし
たり立ち会ったりした現場は 51 件に上り、業界でも突出している。先駆者として地方整備局や建設機械化協会な
どのセミナーへ講師派遣や機械提供協力も行っている。低炭素型機械は公共工事における排ガス使用基準引き
上げに対応するもので、現在大型バックホウや重ダンプ等のハイブリッド化・電動化に取り組んでいる。
海外については、東南アジア(シンガポール、タイ、マレーシア、カリマンタン島等)における石油化学プラントの
メンテナンス工事や、発電所建設に伴う設備用トンネル工事向け機械のレンタルに注力している。また、タイに重
機再生ヤードを設置し、現地の技術員育成にも努めている。海外関連売上は現在 33 億円だが、3 年後には 70 億
円を目指す。
イベント・展示会については、日本スポーツコート社の床材が各種スポーツの国際競技認定を受けており、この
商品力を活かして営業を強化していきたい。また、イベント関係では中国上海に事務所を設置し、日本・韓国・中
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国の連携、国際化への対応力を強化したいと考えている。
◆2011 年 9 月期見通し
2011 年 9 月期の連結売上高は 32 億 98 百万円増を見込んでいるが、増加分の主な内訳はショージ 19 億円、
ティーアンドエム 4 億円、三央 5 億円である。また、営業利益は 7 億 3 百万円増を見込んでいるが、その主な内訳
は西尾レントオール 3 億円、サコス 50 百万~60 百万円、ティーアンドエム 50 百万~60 百万円、ショージ 1 億円で
ある。事業環境はあまり変わらないとみているが、国内の収益性をしっかり回復させて、海外への基盤をつくって
いきたい。
配当については、2010 年 9 月期まで配当性向に基づく配当を行ってきたが、事業環境の不透明さを考慮して
2013 年 9 月期までは安定配当を基本とし、2011 年 9 月期は 1 株当たり 10 円の配当を予定している。
2009 年 9 月期から減価償却費が機械購入額を上回って有利子負債を減尐させることが可能な状況になりつつ
あり、また単体での償却はほぼ一定になってきた。あとはレンタル資産の投資回収率に歯止めがかかれば利益が
上がっていくとみている。
◆質
疑
応
答◆
レンタル単価の現状と見通しを伺いたい。
単価の下落は限界に近付いたと思われる。今後は重ダンプ等のハイブリッド化やレンタル業者集約化により単
価上昇の可能性があると考えている。
来期の海外売上見込みと中国の位置付けについて見解を伺いたい。
今期、シンガポール地下鉄の水処理プラントとアルジェリアの高速道路の合計 10 億円ほどの大型物件があった
ため、来期は成長しても今期並みを予想している。中国はチャンスがあればチャレンジするが、優先順位は東南ア
ジアに置いている。
モビステーションの稼働状況について教えてほしい。
規模の大小があるので一概には言えないが、月 40~50 回利用されているところや地域を越えた動きもあるので、
今後密度が上がってくればいろいろな新しい展開も可能になってくるだろう。
(平成 22 年 11 月 18 日・東京)
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