スキーツアーバス事故の発生について

【交通政策ニュース】
スキーツアーバス事故の発生について
2016 年1月 18 日
私 鉄 総 連
2016 年1月 15 日未明、
長野県軽井沢町で発生したスキーツアーバス事故は、
死者 15 人、重軽傷者 26 人を出す、大惨事となった。あらためてお亡くなり
になった方々のご冥福と、負傷された方々の一日も早い回復をお祈りいたし
ます。
私鉄総連はこれまで、貸切バスの安全運行の確保に向けて、①過労運転の
防止とそのための適正な運行管理体制の確立、②安全運行を確保するための
適正運賃の収受・運賃ダンピングの防止、③行政による事後チェック・監査
体制の強化、などを求めてきた。また、「バス事業のあり方検討会」
、2012 年
4月に発生した関越自動車道高速ツアーバス事故後に設置された、
「高速ツア
ーバス等の過労運転防止のための検討会」、「貸切バス運賃・料金制度ワーキ
ンググループ」でも、安全運行確保に向け、働く者の代表として意見を述べ
てきた。その結果、貸切バスの安全対策として「高速・貸切バス安全安心回
復プラン」や「新貸切バス運賃・料金制度」がまとめられた。さらに「貸切
バス安全性評価認定制度」も含め、貸切バス業界が健全化に向けて努力して
いる最中での事故発生は、痛恨の極みであり、はなはだ遺憾である。
今回の事故の詳細な原因は未だ不明であるが、これまでに報道されている
内容を見る限り、①点呼の未実施や当日のルート変更など、ずさんな運行管
理、②下限を下回る運賃での運行など、定められた法令・安全対策すら遵守
されておらず、関越自動車道高速ツアーバス事故の教訓はまったく生かされ
ていない。したがって、一日も早い原因究明をはかり、当該バス事業者と運
行を委託した旅行会社ともに厳しく責任を追及されるべきであり、国に厳正
な対処と、さらなる安全対策の徹底を求めなければならない。
訪日旅行者の増加により、貸切バス事業に明るい兆しが見え始める一方で、
新規参入事業者の増加による新たな過当競争が懸念される。私鉄総連として
あらためて、貸切バス事業の健全な発展に向け、国に対して、
「貸切バス事業
者に対する過労運転防止と適正な運行管理」、「旅行業者・バス事業者に対す
る基準運賃の遵守」への指導強化を求めるとともに、新規参入事業者を中心
に監査・指導の徹底・強化を求めていく。
以
上